(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】薬物送達装置用の用量検出システムモジュール
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20220228BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/315 550P
A61M5/315 550Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020184310
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2019563149の分割
【原出願日】2019-02-20
【審査請求日】2020-12-01
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,ベンジャミン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ブルム,ティモシー マーク
(72)【発明者】
【氏名】バイリー,ロイ ハワード
(72)【発明者】
【氏名】コンク,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コルティーノビス,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】デガン,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ジャドソン,ジャレド アルデン
(72)【発明者】
【氏名】マーサーリ,ロッサーノ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】リンゲンベルガー,キンバリー アン
(72)【発明者】
【氏名】サルド,ジョルジオ マリア
(72)【発明者】
【氏名】セディヒアミリ,アミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルガニ,マルコ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/013419(WO,A1)
【文献】特表2016-502899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0079727(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0036484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置の用量ボタンへの取り外し可能な取り付けのための用量検出モジュールであって、前記用量ボタンが、ボタン側壁を有し、前記装置が、用量分注中に回転可能な被検知構成要素リングを含み、前記モジュールは、
内部区画を画定するための近位壁、前記近位壁よりも遠位にある遠位壁、およびそれらの間に延在するモジュール側壁をモジュール長手方向軸の周りに含むハウジングであって、前記遠位壁が、互いに対して等角度で配設された複数の凹部を画定し、前記ハウジングが、前記ボタン側壁の周りに結合するように構成されている、前記ハウジングと、
プロセッサおよび前記プロセッサに動作可能に結合された複数のセンサを含む電子機器アセンブリであって、前記センサの各々が、対応する凹部内に固定的に配設され、前記センサが、前記被検知構成要素リングの回転運動を検出して位置信号を生成するように構成され、前記プロセッサが、分注される用量の量を示すデータを前記位置信号に基づいて決定するために、前記位置信号を受信するように構成され、前記センサが前記被検知構成要素リングの外周と重なり合う配列で配設された磁気センサを含む、前記電子機器アセンブリと
を備える前記モジュール。
【請求項2】
前記被検知構成要素リング
が磁気リングを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記磁気センサが、5つまたは6つの磁気センサを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記ハウジングが、光ガイド部材と、ポスト開口部を画定する前記遠位壁とを含み、前記光ガイド部材が、前記ポスト開口部を通って延在し、前記電子機器アセンブリが、前記光ガイド部材上に配設された色識別センサを含み、前記色識別センサが、前記プロセッサに動作可能に結合され、前記用量ボタンからの光の反射後に前記用量ボタンの色を放出および/または検出するように構成されている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記光ガイド部材は、前記ポスト開口部を通って前記磁気センサを越えて延在する光ガイドポストを含む、請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記色識別センサは、前記光ガイドポスト上に且つそこから軸方向に離間して配設されている、請求項
5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記光ガイド部材が、前記遠位壁にしっかりと固定されている、請求項
5または6に記載のモジュール。
【請求項8】
前記光ガイド部材が、前記光ガイドポストから半径方向に離間している1つ以上の取り付けポストを含み、前記遠位壁が、前記光ガイドポストを受容する光ガイド孔、および対応する数の取り付けポストを受容する1つ以上の取り付け孔を含む、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記電子機器アセンブリが、前記プロセッサに動作可能に結合された電池と、前記電池の近位側と接触する軸方向に圧縮可能な電池支持要素とをさらに含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項10】
前記電池が、前記センサの半径方向配置に対して断面積を有し、前記センサに遮蔽を提供するように、前記センサから軸方向に離間している、請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記電子機器アセンブリへの電力を増加させるように構成されたスイッチシステムをさらに備え、前記近位
壁が、前記装置の作動から、用量送達に必要な力よりも小さい力によって前記スイッチシステムを作動させるように、前記モジュール側壁および前記遠位壁に対して軸方向に移動可能である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項12】
前記スイッチシステムが、前記電子機器アセンブリと前記近位
壁との間に延在する少なくとも1セットの付勢された接触アームと、前記プロセッサに動作可能に結合された対応する接触パッドとを含み、
前記近位
壁は、前記接触アームおよび前記接触パッドが互いに接触していない第1の近位位置と、前記接触アームおよび前記接触パッドが前記電子機器アセンブリへの前記電力の増加を可能にする接触関係にある第2の遠位位置との間で前記ハウジングに対して軸方向に移動可能である、請求項11に記載のモジュール。
【請求項13】
前記スイッチシステムが、前記接触アームおよび前記対応する接触パッドの複数のセットを含み、
前記セットの各々が、等間隔で互いに対して円周方向に配設され、
前記接触関係にある前記セットのうちの1つが、前記電子機器アセンブリへの前記電力の増加を可能にするように構成されている、請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
前記ハウジングが、前記近位
壁を近位位置に付勢するために、前記近位
壁とハウジング部分との間に結合された軸方向に圧縮可能な部材をさらに含む、請求項11に記載のモジュール。
【請求項15】
前記近位
壁が、光ガイドリングと、前記光ガイドリングによって画定された開口部上に配設された白色面または反射面とを含み、
前記光ガイドリングが、前記光ガイドリングの遠位表面から垂下する保持アームを含み、
前記電子機器アセンブリが、前記光ガイドリングにおいて光を放出するように前記プロセッサに動作可能に結合された光インジケータ要素を含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項16】
前記ボタン側壁が円筒状であり、前記ハウジングが、前記遠位壁から延在し、角度的に互いから離間している、複数の半径方向に屈曲可能なアームを含み、前記アームの各々が近位方向に延在する支え部分を有する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項17】
前記磁気センサが、用量設定中に前
記磁気リングに軸方向にかつ回転可能に係止され、用量分注中に前
記磁気リングに対して軸方向にかつ回転可能に自由であり、
前記磁気センサが、リングパターンを画定するように、互いに対して等角度で配設され、用量分注の際に前記磁気センサが、前
記磁気リングの回転運動を検出して位置信号を生成するために、軸方向に静止したままの前
記磁気リングのより近くに遠位方向に移動する、請求項
2に記載のモジュール。
【請求項18】
前記磁気センサが、5つまたは6つの磁気センサを含む、請求項17に記載のモジュール。
【請求項19】
前記磁気センサの各々が、前記磁気センサの中心から前記モジュールの軸まで画定される半径方向距離で等半径で離間しており、前記半径方向距離が、前
記磁気リングの外半径の距離に等しくなるようにサイズ決定されている、請求項17に記載のモジュール。
【請求項20】
前記ハウジングが、光ガイド部材と、ポスト開口部を画定する前記遠位壁と、を含み、前記光ガイド部材が、前記ポスト開口部を通って前記磁気センサを越えて近位方向に延在する光ガイドポストを含み、前記光ガイド部材が、前記遠位壁にしっかりと固定されている、請求項17に記載のモジュール。
【請求項21】
前記電子機器アセンブリが、前記磁気センサの近位に配設され、かつ前記プロセッサに動作可能に結合された電池をさらに含む、請求項17に記載のモジュール。
【請求項22】
前記電池の近位側と接触する軸方向に圧縮可能な電池支持要素をさらに備える請求項21に記載のモジュール。
【請求項23】
前記電子機器アセンブリへの電力を増加させるように構成されたスイッチシステムをさらに備え、
前記近位
壁が、前記スイッチシステムを作動させるように、前記モジュール側壁および前記遠位壁に対して軸方向に移動可能である、請求項17に記載のモジュール。
【請求項24】
前記スイッチシステムが、付勢された接触アームおよび対応する接触パッドの少なくとも1つのセットを含み、
前記付勢された接触アームが、前記近位
壁を近位位置に付勢するように、前記電子機器アセンブリと前記近位
壁との間に延在し、前記接触アームが、前記近位
壁と遠位方向に延在する先端とを係合する角度付きジョイントを含み、前記接触パッドが、前記電子機器アセンブリに結合され、前記プロセッサに動作可能に結合され、
前記近位壁は、前記先端および前記接触パッドが前記電子機器アセンブリへの前記電力の増加を可能にする接触関係にあるように、遠位位置に前記ハウジングに対して軸方向に移動可能である、請求項23に記載のモジュール。
【請求項25】
前記近位
壁が、光ガイドリングを含み、前記電子機器アセンブリが、前記光ガイドリングにおいて光を放出するように、前記プロセッサに動作可能に結合された光インジケータ要素を含む、請求項17に記載のモジュール。
【請求項26】
前記光ガイドリングが、前記光ガイドリングの遠位表面から垂下する保持スナップアームを含み、前記ハウジングが、前記近位
壁を近位位置に付勢するように、前記光ガイドリングと第1のスペーサ要素との間に結合された圧縮可能なガスケットをさらに含む、請求項25に記載のモジュール。
【請求項27】
前記近位
壁が、前記光ガイドリングによって画定された開口部上に配設された白色面または反射面を有する要素を含む、請求項25に記載のモジュール。
【請求項28】
前記ボタン側壁が円筒状であり、前記ハウジングが、前記遠位壁から延在する複数の半径方向に屈曲可能なアームを含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項29】
前記磁気センサおよ
び前記磁気リング
の配列からのダイヤルエラーへの寄与は、2度以下であり、前記ダイヤルエラーが、前
記磁気リングの物理的な回転位置に対応するダイヤル位置と、前記磁気センサによって検知された前
記磁気リングの被検知回転位置に対応する被検出位置との間の差である、請求項17に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達装置のための電子用量検出システムに関し、具体的には、薬物送達装置の近位端部分に取り外し可能に取り付けるように適合された電子用量検出モジュールに関する。用量送達検出システムは、薬物送達装置によって送達される薬物の用量および/または薬物送達装置に含まれる薬物のタイプを検出するように動作可能である。
【背景技術】
【0002】
様々な病気に苦しんでいる患者は、自分自身に薬物を注射しなければならないことが頻繁にある。ヒトが薬物を便利にかつ正確に自己投与することを可能にするために、ペン型注射器または注射ペンとして広く知られている様々な装置が開発されている。一般に、これらのペンには、ピストンを含み、かつ複数用量の液体薬物を含有するカートリッジが装填されている。駆動部材は、前方に移動可能であり、カートリッジ内のピストンを前進させて、含有された薬物を遠位カートリッジ端の出口から、典型的には針を介して、分注する。使い捨てまたは事前充填されたペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給を使い果たすように利用された後、ユーザは、ペン全体を廃棄し、新しい代わりのペンを使用し始める。再使用可能なペンでは、ペンがカートリッジ内の薬物の供給を使い果たすように利用された後、ペンは、分解されて、使用済みのカートリッジを新しいカートリッジに交換することが可能になり、次に、ペンは、その後の使用のために再組み立てされる。
【0003】
多くのペン型注射器および他の薬物送達装置は、装置の動作によって送達される用量に比例した様態で、部材が互いに対して回転および/または平行移動する機械的システムを利用する。したがって、当該技術分野では、送達される用量を評価するために、薬物送達装置の部材の相対的な動きを正確に測定する信頼性の高いシステムを提供する努力がなされてきた。そのようなシステムは、薬物送達装置の第1の部材に固定され、装置の第2の部材に固定された被検知構成要素の相対的な動きを検出するセンサを含み得る。
【0004】
適切な量の薬物の投与は、薬物送達装置によって送達される用量が正確であることを必要とする。多くのペン型注射器および他の薬物送達装置は、注射事象中に装置によって送達される薬物の量を自動的に検出して記録するための機能を含まない。自動化システムがない場合、患者は各注射の量および時間を手動で追跡しなければならない。したがって、注射事象中に薬物送達装置によって送達される用量を自動的に検出するように動作可能な装置が必要である。さらに、そのような用量検出装置は、取り外し可能であり、かつ複数の送達装置と共に再使用可能である必要がある。他の実施形態では、そのような用量検出装置は、送達装置と一体化される必要がある。
【0005】
正しい薬物を送達することも重要である。患者は、状況に応じて、異なる薬物、または所与の薬物の異なる形態のいずれかを選択する必要があり得る。どの薬物が薬物送達装置内にあるかを間違えると、患者に適切に投与されず、用量の投与の記録が不正確になる。これが起こる可能性は、薬物送達装置に含まれる薬物のタイプを自動的に確認する用量検出装置が使用されると大幅に減少する。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、用量検出システムの一部として利用され得る回転可能な被検知素子を含む薬物送達装置が開示される。金属リング、磁気リングなどの環状の被検知素子は、用量設定構成要素の近位表面に位置決めされる。用量設定構成要素は、装置本体に結合され、設定および/または送達される用量の量に関して、装置本体に対して回転可能である。キャリアは、被検知素子を用量設定構成要素に軸方向および回転的に固定することができる。キャリアは、用量設定構成要素の近位表面の反対側の環状の被検知素子に対して接触可能な近位に重なり合う支持体を含む。いくつかの実施形態では、キャリアは、用量設定構成要素へのその取り付けにおいて支援する要素で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、被検知素子は、接着剤を伴わずに用量設定部材に結合される。
【0007】
開示される別の実施形態は、被検知素子を薬物送達装置の用量設定構成要素に結合する方法である。ステップは、キャリアおよび環状の被検知素子を提供することであって、キャリアが、環状の被検知素子内に適合するサイズの管状本体、管状本体を越えて半径方向に延在する近位リップ、および管状本体から遠位方向に近位リップから離れる方向に延在する複数の結合脚を含む、提供することと、環状の被検知素子をキャリアの管状本体上に、および近位リップの下で接触するように結合することと、半径方向リップと用量設定構成要素の近位表面との間に環状の被検知素子を挟むために、キャリアを環状の被検知素子と共に用量設定構成要素に結合することと、を含み、キャリアの結合脚部は、キャリアを被検知素子と共に用量設定構成要素に回転可能に係止するように、用量設定構成要素に係合されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮すると、当業者にさらに明らかになるだろう。
【
図1】本開示の用量検出システムが動作可能である例示的な薬物送達装置の斜視図である。
【
図2】
図1の例示的な薬物送達装置の断面斜視図である。
【
図3-4】
図3は、
図1の例示的な薬物送達装置の近位部分の斜視図である。
図4は、本開示の用量検出システムと共に、
図1の例示的な薬物送達装置の近位部分の部分分解斜視図である。
【
図5-6】
図5は、薬物送達装置の近位部分に取り付けられた別の例示的実施形態による用量検出システムモジュールの側面部分断面概略図である。
図6は、薬物送達装置の近位部分に取り付けられた別の例示的実施形態による用量検出システムのモジュールの断面図である。
【
図7-8】
図7は、例示的な実施形態による用量設定部材に取り付けられた磁気被検知素子を検出するように配置された回転センサを示す上面概略図である。
図8は、磁気被検知素子を含む
図7の用量設定部材の斜視図である。
【
図9】磁気用量検出システムの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図10A-10B】磁気検知を利用した用量検出システムのさらに他の例示的な実施形態を示す。
【
図11A-11B】磁気検知を利用した用量検出システムのさらに他の例示的な実施形態を示す。
【
図12】別の実施形態による用量検出システムの断面図であり、センサおよび被検知素子が薬物送達装置に統合されている。
【
図13-14】
図13は、薬物送達装置の近位部分に取り付けられた別の例示的な実施形態による用量検出システムモジュールの側面断面概略図である。
図14は、薬物送達装置用の用量ボタンの例の斜視図である。
【
図15】
図13の用量検出システムモジュールのモジュールのハウジングのサブアセンブリの斜視図である。
【
図18-19】
図18は、薬物送達装置用の用量ボタンの別の例の斜視図である。
図19は、薬物送達装置用の用量ボタンの別の例の斜視図である。
【
図20-21】
図20は、薬物送達装置用の用量ボタンの別の例に装着された用量検出システムモジュールの別の例のモジュールハウジングのサブアセンブリの斜視図である。
図21は、用量ボタンから取り外された用量検出システムモジュールのモジュールハウジングのサブアセンブリの斜視図である。
【
図24-25】
図24は、
図20の用量ボタンに装着された用量検出システムモジュールのモジュールハウジングのサブアセンブリの断面図である。
図25は、薬物送達装置の近位部分に取り付けられた別の例示的な実施形態による用量検出システムモジュールの側面断面概略図である。
【
図26】薬物送達装置の近位部分に取り付けられた別の例示的な実施形態による用量検出システムモジュールの側面断面概略図である。
【
図27-28】
図27は、用量検出システムモジュールの電子機器アセンブリの例の近位斜視図である。
図28は、
図25の線28-28に沿った軸方向断面図である。
【
図30】薬物送達装置の近位部分のサブアセンブリの斜視部品部分分解図である。
【
図31-32】
図31は、組み立てられた
図30のサブアセンブリの近位部分の側面部分断面概略図である。
図32は、フランジ、キャリア、および回転センサが互いに組み立てられた状態の近位斜視図である。
【
図33-34】
図33は、フランジ、キャリア、回転センサ、およびばねが組み立てられた状態の近位斜視図である。
図34は、フランジ、キャリア、および回転センサが組み立てられた状態の近位図である。
【
図35】薬物送達装置の近位部分に取り付けられた用量送達検出システムのモジュールの別の実施形態の断面図である。
【
図36】
図35のモジュールの近位軸方向図であり、近位壁アセンブリが取り外された状態で示されている。
【
図37-38】
図37は、
図35のモジュールのユニット構成要素の近位斜視図である。
図38は、
図35のモジュールの遠位部分斜視図であり、送達装置が省略されて示されている。
【
図39】
図35のモジュールに設けられた光ガイド部材構成要素の斜視図である。
【
図40-41】
図40は、磁気検知を利用した用量送達検出システムのさらに他の例示的な実施形態の軸方向図である。
図41は、薬物送達装置の近位部分の断面図、および磁気検知システムに対するその相対位置である。
【
図42-43】
図42は、測定された回転磁束波形を、回転位置検知中の磁束波形の純粋な正弦波モデルと比較したグラフである。
図43は、4つ、5つ、および6つのセンサアーキテクチャの通常の生産手段から作製されたN35グレードの磁石のサンプル数からの磁気不均一性および高調波歪みから寄与されるダイヤル/用量エラーの結果を比較するグラフである。
【
図44-45】
図44は、4つ、5つ、および6つのセンサアーキテクチャの通常のカスタマイズ生産から作製されたN35高グレードの磁石のサンプル数からの磁気不均一性および高調波歪みから寄与されるダイヤル/用量エラーの結果を比較するグラフである。
図45は、通常の生産手段から作製されたN35グレードの磁石のロット間変動に対する高調波の割合の異なる次数を示すグラフである。
【
図46】コントローラおよびその構成要素のブロック図を示す。
【
図47】
図35のモジュールの分解図を示しており、その構成要素が互いに対して軸方向に変位している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の原理の理解を促進するために、次に、図面に例示された実施形態を参照し、特定の言語を使用して、これを説明しよう。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるだろう。
【0010】
本開示は、薬物送達装置用の検知システムに関する。一態様では、検知システムは、薬物送達装置の用量設定部材とアクチュエータとの間の相対回転運動の検知に基づいて、薬物送達装置によって送達される投与量を判定するためのものである。検知された相対角度位置または動きは、送達される投与量と相関している。第2の態様では、検知システムは、薬物送達装置に含まれる薬物のタイプを決定するためのものである。例として、薬物送達装置は、ペン型注射器の形態で記載されている。しかしながら、薬物送達装置は、注入ポンプ、ボーラス注射器または自動注射装置などの、ある用量の薬物を設定して送達するために使用される任意の装置であり得る。薬物は、このような薬物送達装置によって送達され得るタイプのうちのいずれかであり得る。
【0011】
装置10などの本明細書に記載の装置は、例えば、リザーバまたはカートリッジ20内などに、薬物をさらに含むことができる。別の実施形態では、システムは、装置10を含む1つ以上の装置および薬物を含み得る。「薬物」という用語は、限定されないが、インスリン、インスリンリスプロまたはインスリングラルギンなどのインスリンアナログ、インスリン誘導体、ダラグルチドまたはリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、治療用抗体および上記の装置による送達が可能な任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。本装置において使用されるような薬物は、1つ以上の賦形剤と共に製剤化されてもよい。装置は、ヒトに薬物を送達するために、患者、介護者または医療専門家によって、概して上述のような様態で操作される。
【0012】
例示的な薬物送達装置10は、針を通して患者に薬物を注射するように構成されるペン型注射器として
図1~
図4に示されている。ペン型注射器10は、遠位部分14および近位部分16を含む細長いペン型ハウジング12を備えた本体11を含む。遠位部分14は、ペンキャップ18内に受容されている。
図2を参照すると、遠位部分14は、分注動作中にその遠位出口端を通して分注されるべき薬液を保持するように構成されたリザーバまたはカートリッジ20を含む。遠位部分14の出口端には、取り外し可能なカバー25によって囲まれた注射針24を含む取り外し可能な針アセンブリ22が装備されている。ピストン26は、リザーバ20内に配置される。近位部分16内に配置された注射機構は、用量分注動作中にピストン26をリザーバ20の出口に向かって前進させて、含まれる薬物を強制的に針端に通すように動作可能である。注射機構は、リザーバ20を通してピストン26を前進させるために、例示的にハウジング12に対して軸方向に移動可能なねじの形態である駆動部材28を含む。
【0013】
用量設定部材30は、装置10によって分注されるべき用量を設定するためにハウジング12に連結される。例示される実施形態では、用量設定部材30は、用量設定中および用量分注中にハウジング12に対して螺旋運動する(すなわち、軸方向にかつ回転的に同時に移動する)ように動作可能なねじ要素の形態である。
図1および
図2は、そのホームまたはゼロ用量位置でハウジング12内に完全にねじ込まれた用量設定部材30を示す。用量設定部材30は、1回の注射で装置10によって送達可能な最大用量に対応する完全に伸張された位置に到達するまで、ハウジング12から近位方向にねじ切るように動作可能である。
【0014】
図2~
図4を参照すると、用量設定部材30がハウジング12に対して螺旋運動することを可能にするように、用量設定部材30は、ハウジング12の対応するねじ山付き内面に係合する螺旋状ねじ山付き外面を有する円筒状用量ダイヤル部材32を含む。用量ダイヤル部材32は、装置10のスリーブ34(
図2)のねじ山付き外面に係合する螺旋状ねじ山付き内面をさらに含む。ダイヤル部材32の外面は、ユーザに設定用量を示すために、投与量窓36を介して視認可能な数字などの用量指標マーキングを含む。用量設定部材30は、ダイヤル部材32の開放近位端に連結され、かつダイヤル部材32の開放41内に受容される戻り止め40によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される、管状フランジ38をさらに含む。用量設定部材30は、その近位端でダイヤル部材32の外周の周りに位置決めされるカラーまたはスカート42をさらに含むことができる。スカート42は、スロット46に受容されるタブ44によってダイヤル部材32に対して軸方向にかつ回転的に係止される。後述するさらなる実施形態は、スカートのない装置の例を示した。
【0015】
したがって、用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42が全て、回転的にかつ軸方向に一緒に固定されているため、用量設定部材30はそれらのいずれかまたは全てを含むと見なすことができる。用量ダイヤル部材32は、用量の設定および薬物の送達の推進に直接関与している。フランジ38は、用量ダイヤル部材32に取り付けられ、後述するように、クラッチと協働してダイヤル部材32を用量ボタン56に選択的に連結する。スカート42は、ユーザが用量を設定するためにダイヤル部材32を回転させることができるように、本体11の外部に表面を提供する。
【0016】
スカート42は、例示的に、スカート42の外面上に形成された複数の表面特徴部48および環状隆起部49を含む。表面特徴部48は、例示的に、スカート42の外面の周りに円周方向に離間された長手方向に延在するリブおよび溝であり、ユーザがスカートを把持して回転させ易くする。代替的な実施形態では、スカート42は取り外されるか、またはダイヤル部材32と一体化され、ユーザは、用量設定のために、用量ボタン56および/または用量ダイヤル部材32を把持して回転させることができる。
図4の実施形態では、ユーザは、用量設定のために、同様に複数の表面特徴部を含む一体型用量ボタン56の半径方向外側表面を把持して回転させることができる。
【0017】
送達装置10は、ダイヤル部材32内に受容されるクラッチ52を有するアクチュエータ50を含む。クラッチ52は、その近位端に軸方向に延在するステム54を含む。アクチュエータ50は、用量設定部材30のスカート42の近位に配置された用量ボタン56をさらに含む。代替的な実施形態では、用量設定部材30は、例えば
図14、
図18、
図19、および
図22に示されるように、スカートのない一体型用量ボタンを含むことができる。用量ボタン56は、用量ボタン56の遠位面の中央に位置する装着カラー58(
図2)を含む。カラー58は、用量ボタン56とクラッチ52を一緒に軸方向にかつ回転可能に固定するために、締まり嵌めまたは超音波溶接などによりクラッチ52のステム54に取り付けられる。
【0018】
用量ボタン56は、円盤状の近位端表面または面60と、遠位に延在し、かつ面60の外周縁の半径方向内側に離間された環状壁部分62とを含み、その間に環状リップ64を形成する用量ボタン56の近位面60は、アクチュエータ50を遠位方向に押すために、手動で、すなわち、ユーザによって直接的に、力が加えられ得る押圧表面として機能する。用量ボタン56は、例示的に、近位面60の中央に位置する凹状部分66を含むが、近位面60は、代替的に平坦な表面であってもよい。同様に、一体型用量ボタンは、
図22に示されるように、近位表面60の中央に位置する凹状部分66を含んでもよく、または代替的に平坦な表面であってもよい。付勢部材68、例示的にばねが、ボタン56の遠位表面70と管状フランジ38の近位表面72との間に配置され、アクチュエータ50および用量設定部材30を互いから軸方向に離して付勢する。用量ボタン56は、用量分注動作を開始するようにユーザによって押下可能である。
【0019】
送達装置10は、用量設定モードおよび用量分注モードの両方で動作可能である。用量設定モードの動作では、装置10によって送達されるべき所望の用量を設定するために、用量設定部材30をハウジング12に対してダイヤルする(回転させる)。近位方向へのダイヤルは、設定用量を増加させるように機能し、遠位方向へのダイヤルは、設定用量を減少させるように機能する。用量設定部材30は、用量設定動作中に設定用量の最小増分増加または減少に対応する回転増分(例えば、クリック)で調節可能である。例えば、1回の増分または「クリック」は、2分の1または1単位の薬物と等しくなり得る。設定用量は、投与窓36を通して示されるダイヤル指標マーキングを介してユーザに視認可能である。用量ボタン56およびクラッチ52を含むアクチュエータ50は、用量設定モードでのダイヤル中に用量設定部材30と共に軸方向にかつ回転的に移動する。
【0020】
用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42は全て互いに回転固定されており、用量ダイヤル部材32とハウジング12とのねじ接続に起因して、用量設定中に回転して薬物送達装置10の近位に伸張する。この用量設定動作中、用量ボタン56は、付勢部材68によって一緒に付勢されるフランジ38およびクラッチ52の相補的スプライン74(
図2)によってスカート42に対して回転固定される。用量設定の過程で、スカート42および用量ボタン56は、ハウジング12に対して「開始」位置から「終了」位置まで螺旋状に移動する。ハウジングに対するこの回転は、薬物送達装置10の操作によって設定される投与量に比例する。
【0021】
所望の用量が設定されてから、注射針24が、例えばユーザの皮膚を適切に貫通するように装置10を操作される。用量分注モードの動作は、用量ボタン56の近位面60に加えられる軸方向の遠位力に応答して開始される。軸方向の力は、ユーザによって用量ボタン56に直接加えられる。これにより、アクチュエータ50をハウジング12に対して軸方向に遠位に移動させる。
【0022】
アクチュエータ50の軸方向への移動動作は、付勢部材68を圧縮し、用量ボタン56と管状フランジ38との間の間隙を縮小するかまたは閉鎖する。この相対的な軸方向への移動は、クラッチ52およびフランジ38上の相補的スプライン74を分離し、それにより、アクチュエータ50、例えば用量ボタン56を、用量設定部材30に回転固定された状態から解放する。具体的には、用量設定部材30は、アクチュエータ50から回転的に連結解除され、アクチュエータ50およびハウジング12に対する用量設定部材30の後方駆動回転を可能にする。用量分注モードの動作はまた、別個のスイッチまたはトリガー機構を起動させることによっても開始され得る。
【0023】
アクチュエータ50がハウジング12に対して回転しない状態で軸方向に押し込まれ続けると、ダイヤル部材32が用量ボタン56に対して回転するにつれて、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される。注射されるべき量がまだ残っていることを示す用量マーキングは、窓36を通して視認可能である。用量設定部材30が遠位にねじ止めされると、駆動部材28は、遠位に前進されて、リザーバ20を通してピストン26を押し込み、かつ針24(
図2)を通して薬物を放出する。
【0024】
用量分注動作中に、薬物送達装置から放出される薬物の量は、ダイヤル部材32がハウジング12内にねじ戻される際のアクチュエータ50に対する用量設定部材30の回転運動の量に比例する注射は、ダイヤル部材32の雌ねじがスリーブ34の対応する雄ねじの遠位端に到達したときに完了する(
図2)。次に、装置10は、
図2および
図3に示されるような準備状態またはゼロ用量位置に再び配置される。
【0025】
用量ボタン56に対する用量ダイヤル部材32の、したがって回転固定されたフランジ38およびスカート42の開始および終了角度位置は、用量送達中に角度位置の「絶対」変化を提供する。相対回転が360°を超えたかどうかの判定は、いくつかの方法で判定される。例として、全回転は、検知システムによって任意の数の方法で測定することができる用量設定部材30の増分運動も考慮に入れることによって決定することができる。
【0026】
例示的な送達装置10の設計および動作のさらなる詳細は、Medication Dispensing Apparatus with Triple Screw Threads for Mechanical Advantageと題される米国特許第7,291,132号に見出すことができ、その全体的な開示は、参照により本明細書に組み込まれる。送達装置の別の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Automatic Injection Device With Delay Mechanism Including Dual Functioning Biasing Member」と題される米国特許第8,734,394号に見出すことができる自動注射装置であり、そのような装置は、薬物送達装置内の相対回転の検知に基づいて薬物送達装置から送達された薬物の量を判定するように、本明細書に記載の1つ以上の様々なセンサシステムを用いて変更される。
【0027】
本明細書に記載の用量検出システムは、薬物送達装置の部材に取り付けられた検知構成要素および被検知構成要素を使用する。「取り付けられた」という用語は、それらが本明細書に記載されるように動作可能であるように、構成要素の位置を薬物送達装置の別の構成要素または部材に固定する任意の様態を包含する。例えば、検知構成要素は、部材上に直接配置されるか、部材内に受容されるか、部材に一体化されるか、または別様に部材と接続されることによって、薬物送達装置の部材に取り付けられ得る。接続は、例えば、摩擦係合、スプライン、スナップまたは圧入、音波溶接または接着剤によって形成される接続を含み得る。
【0028】
「直接取り付けられた」という用語は、2つの構成要素、または1つの構成用途と1つの部材が、取り付け構成要素以外の中間部材を用いることなく物理的に一緒に固定される取り付けを説明するために使用される。取り付け構成要素は、取り付けを容易にするために2つの構成要素間に介在する締結具、アダプタ、または締結システムの他の部品(圧縮膜など)を備えることができる。「直接的な取り付け」は、例えば、
図2においてダイヤル部材32がクラッチ52によって用量ボタン56に連結される方法などの、構成要素/部材が1つ以上の中間機能部材によって連結される接続と区別される。
【0029】
「固定された」という用語は、示される運動が起こってもまたは起こらなくてもよいことを示すために使用される。例えば、2つの部材が回転して一緒に移動することが必要とされる場合、第1の部材は第2の部材と「回転固定」される。一態様では、部材は、構造的にではなく機能的に別の部材に対して「固定」されてもよい。例えば、2つの部材間の摩擦係合がそれらを一緒に回転固定するようにある部材が別の部材に対して押圧されてもよいが、2つの部材は第1の部材の押圧がなければ一緒に固定され得ない。
【0030】
様々なセンサシステムが本明細書において企図される。一般に、センサシステムは検知構成要素および被検知構成要素を含む。「検知構成要素」という用語は、被検知構成要素の相対位置を検出することができる任意の構成要素を指す。検知構成要素は、検知素子または「センサ」を、検知素子を操作するための関連する電気構成要素と共に含む。「被検知構成要素」は、検知構成要素が検知構成要素に対する被検知構成要素の位置および/または動きを検出することができる任意の構成要素である。用量送達検出システムの場合、被検知構成要素は検知構成要素に対して回転し、それによって被検知構成要素の角度位置および/または回転運動を検出することができる。用量タイプ検出システムの場合、検知構成要素は被検知構成要素の相対角度位置を検出する。検知構成要素は1つ以上の検知素子を含むことができ、被検知構成要素は1つ以上の被検知素子を含むことができる。センサシステムは、被検知構成要素(複数可)の位置または動きを検出し、被検知構成要素(複数可)の位置(複数可)または動き(複数可)を表す出力を提供することができる。
【0031】
センサシステムは、典型的には、被検知領域内の1つ以上の被検知素子の位置に関連して変動する検知されたパラメータの特性を検出する。被検知素子は、検知されたパラメータの特性に直接的または間接的に影響を及ぼす様態で被検知領域内に及ぶかまたは別様に影響する。センサと被検知素子との相対位置は、検知されたパラメータの特性に影響を及ぼし、センサシステムのマイクロコントローラユニット(MCU)が被検知素子の異なる回転位置を決定することを可能にする。
【0032】
好適なセンサシステムは、能動的構成要素と受動的構成要素の組み合わせを含み得る。検知構成要素が能動的構成要素として動作している場合、両方の構成要素が電源またはMCUなどの他のシステム要素に接続される必要はない。
【0033】
2つの部材の相対位置を検出することができる様々な検知技術のいずれが組み込まれてもよい。そのような技術は、例えば、触覚的、光学的、誘導的または電気的測定に基づく技術を含み得る。そのような技術は、磁場などの場に関連する検知されたパラメータの測定を含み得る。一形態では、磁気構成要素をセンサに対して移動させると、磁気センサが、検知された磁場における変化を検知する。別の実施形態では、対象物を磁場内に配置したときおよび/または磁場を通って移動させたときに、センサシステムが磁場の特性および/または磁場への変化を検知することができる。場の変動は、被検知領域内の被検知素子の位置に関連して検知されたパラメータの特性を変化させる。そのような実施形態では、検知されたパラメータは、静電容量、コンダクタンス、抵抗、インピーダンス、電圧、インダクタンスなどであり得る。例えば、磁気抵抗型センサは、センサの素子の抵抗に特性変化をもたらす印加磁場の歪みを検出する。別の例として、ホール効果センサは、印加磁場の歪みから生じる電圧の変化を検出する。
【0034】
一態様では、センサシステムは、被検知素子、したがって薬物送達装置の関連する部材の相対位置または動きを検出する。センサシステムは、被検知構成要素の位置(複数可)または移動量を表す出力を生成する。例えば、センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の回転を判定することができる出力を生成するように動作可能であり得る。出力を受信するために、MCUが各センサに動作可能に接続される。一態様では、MCUは、薬物送達装置の動作によって送達される用量を出力から決定するように構成される。
【0035】
用量送達検出システムは、2つの部材間の相対回転運動を検出することを含む。送達される投与量と既知の関係を有する回転の程度により、センサシステムは、用量注射の開始から用量注射の終了までの角度移動量を検出するように動作する。例えば、ペン型注射器の典型的な関係は、用量設定部材の18°の角度変位が1単位用量に等しいということであるが、他の角度関係もまた好適である。センサシステムは、用量送達中の用量設定部材の全角度変位を判定するように動作可能である。したがって、角度変位が90°であれば、5単位の用量が送達されたことになる。
【0036】
角度変位を検出するための1つの手法は、注射が進むにつれて用量の増分をカウントすることである。例えば、センサシステムは、各繰り返しが既定の程度の回転角度の指標となるように、被検知素子の繰り返しパターンを使用することができる。都合のよいことに、パターンは、各繰り返しが薬物送達装置を用いて設定され得る用量の最小増分に対応するように確立することができる。
【0037】
代替的な手法は、相対的に移動する部材の開始位置と停止位置を検出し、それらの位置の間の差として送達投与量を判定することである。この手法では、センサシステムが用量設定部材の全回転数を検出することが判定の一部であり得る。このための様々な方法は十分に当業者の範囲内であり、全回転数を評価するために増分数を「カウントする」ことを含み得る。
【0038】
センサシステム構成要素は、恒久的にまたは取り外し可能に薬物送達装置に取り付けることができる。例示的な実施形態では、用量検出システムの構成要素の少なくともいくつかは、薬物送達装置に取り外し可能に取り付けられるモジュールの形態で提供される。これは、これらのセンサ構成要素を1つより多くのペン型注射器で使用できるようにするという利点を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、検知構成要素がアクチュエータに取り付けられ、被検知構成要素が用量設定部材に取り付けられる。被検知構成要素はまた、用量設定部材またはその任意の部分を含み得る。センサシステムは、用量送達中に、被検知構成要素、したがって用量設定部材の相対回転を検出し、それから薬物送達装置によって送達される投与量が判定される。例示的な実施形態では、回転センサがアクチュエータに取り付けられ、回転固定される。アクチュエータは、用量送達中に薬物送達装置の本体に対して回転しない。この実施形態では、被検知構成要素が、用量送達中にアクチュエータおよび装置本体に対して回転する用量設定部材に取り付けられ、回転固定される。被検知構成要素はまた、用量設定部材またはその任意の部分を含み得る。例示的な実施形態では、回転センサは、用量送達中に、相対的に回転する用量設定部材に直接取り付けられない。
【0040】
図5を参照すると、装置10などの薬物送達装置との組み合わせにおいて有用なモジュール82の一例を含む用量送達検出システム80が概略的な形態で示されている。モジュール82は、回転センサ86およびプロセッサ、メモリ、電池などの他の関連構成要素を含む、84に概略的に示されるセンサシステムを担持する。モジュール82は、アクチュエータに取り外し可能に取り付けることができる別個の構成要素として提供される。
【0041】
用量検出モジュール82は、用量ボタン56に取り付けられた本体88を含む。本体88は、例示的に、円筒状の側壁90と、側壁90にわたって広がりそれを密封する頂壁92とを含む。例として、
図5において、上側壁90は、モジュール82を用量ボタン56に取り付ける内側に延在するタブ94を有するように概略的に示されている。用量検出モジュール82は、代替的に、スナップまたは圧入、ねじインターフェースなどの任意の好適な締結手段を介して用量ボタン56に取り付けられ得るが、但し、一態様では、モジュール82を第1の薬物送達装置から取り外し、その後、第2の薬物送達装置に取り付けることができるものとする。取り付けは用量ボタン56上のいずれの位置であってよいが、但し、本明細書で論じるように、用量ボタン56が用量設定部材30に対して軸方向に任意の必要量を移動することができるものとする。モジュール82の代替的な取り付け要素の例は、後述の
図15、
図23および
図37に示されている。
【0042】
用量送達中、用量設定部材30は用量ボタン56およびモジュール82に対して自由に回転できる。例示的な実施形態では、モジュール82は用量ボタン56と回転固定されており、用量送達中は回転しない。これは、例えば、
図5のタブ94を用いて、または、用量ボタン56に対してモジュール82が軸方向に移動したときにモジュール本体88および用量ボタン56上の互いに向かい合うスプラインまたは他の表面特徴部を係合させることによって、構造的に提供され得る。別の実施形態では、モジュールの遠位への押圧が、モジュール82と用量ボタン56との間に十分な摩擦係合をもたらし、用量送達中にモジュール82と用量ボタン56一緒に回転固定されたままにする。
【0043】
頂壁92は、用量ボタン56の面60から離間され、それによって回転センサおよび他の構成要素の一部または全部を含むことができるキャビティ96を提供する。キャビティ96は底部が開口していてもよいか、または底壁98などによって囲まれていてもよい。底壁98は、用量ボタン56の面60に直接当接するように配置することができる。代替的に、底壁98が存在する場合、それは用量ボタン56から離間されてもよく、モジュール82と用量ボタン56との間の他の接触は、モジュール82に加えられる軸方向力が用量ボタン56に伝達されるように使用され得る。別の実施形態では、モジュール82は、
図22に示されるように、一体型用量ボタン構成に回転固定されてもよい。
【0044】
代替的な実施形態では、用量設定中のモジュール82は、代わりに用量設定部材30に取り付けられる。例えば、側壁90は、隆起部49の下の位置でスカート42と係合する内側への突起102を有する下壁部分100を含み得る。この手法では、タブ94が省略されてもよく、モジュール82が用量ボタン56の近位面60および環状隆起部49の遠位側に効果的に係合する。この構成では、スカート42の表面特徴部と係合してモジュール82をスカート42に回転固定する表面特徴部が下壁部分100に提供されてもよい。用量設定中にハウジング82に加えられる回転力は、それによって、下壁部分100とスカート42との連結によってスカート42に伝達される。
【0045】
用量送達を続行するために、モジュール82はスカート42から回転的に解放される。下壁部分100とスカート42との連結は、スカート42に対するモジュール82の遠位軸方向に移動したときに切り離されるように構成され、それにより、用量送達中にスカート42がモジュール82に対して回転することが可能になる。
【0046】
同様に、モジュール82は、用量設定中に用量ボタン56およびスカート42の両方と連結されてもよい。これは、用量設定におけるモジュールの回転中に追加の連結面を提供するという利点を有する。次に、用量送達が開始される際のスカート42に対するモジュール82の軸方向への移動などによって、スカート42へのモジュール82の連結が用量注射前に解放され、それにより、用量送達中に用量設定部材30がモジュール82に対して回転することが可能になる。
【0047】
特定の実施形態では、回転センサ86が、被検知構成要素を検出するために側壁90に連結される。下壁部分100はまた、用量送達中に用量設定部材30がモジュール82およびハウジング12に対して回転するときに、ユーザの手が誤ってそれに抗力を加える可能性を減少させるのに役立つ。さらに、用量ボタン56は用量設定中に用量設定部材30に回転固定されているため、下壁部分100を含む側壁90は、用量設定中にユーザによって容易に把持および操作され得る単一の連続的な表面を提供する。
【0048】
用量検出モジュール82を押下することによって注射プロセスが開始されると、用量ボタン56と用量設定部材30とが一緒に回転固定される。モジュール82、したがって用量ボタン56を短い距離、例えば2mm未満移動させると、回転係合が解放され、用量が送達されると用量設定部材30がモジュール82に対して回転する。フィンガーパッドまたは他のトリガー機構の使用にかかわらず、用量ボタン56が用量ボタン56と用量設定部材30との回転係止を解除するのに十分な距離を移動する前に用量検出システムが起動する。
【0049】
例示的に、用量送達検出システムは、本明細書に記載されるようなセンサシステムの動作に好適な電子機器アセンブリを含む。電子機器アセンブリは、1つ以上の回転センサからの出力を受信するために、センサシステムに動作可能に接続される。電子機器アセンブリは、例えばモジュール本体88によって画定されたキャビティ96内に含まれるプロセッサ、電源、メモリ、マイクロコントローラなどの従来の構成要素を含むことができる。代替的に、少なくともいくつかの構成要素は、コンピュータ、スマートフォン、または他の装置などの外部装置によって、別個に提供されてもよい。次に、有線または無線接続などによって適切なときに外部コントローラ構成要素をセンサシステムに動作可能に接続するための手段が提供される。
【0050】
例示的な電子機器アセンブリ120は、複数の電子部品を有するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)を含む。電子機器アセンブリは、検知された相対回転を表す信号をセンサから受信するためにプロセッサと動作可能に通信する1つ以上の回転センサ86を含むセンサシステムを備える。電子機器アセンブリは、少なくとも1つの処理コアおよび内部メモリを備えるMCUをさらに含む。電子機器アセンブリの概略の一例が
図46に示されている。このシステムは、構成要素に電力を供給するための電池、例示的にコイン型電池を含む。MCUは、アクチュエータに対する用量設定部材の検出された回転に基づいて薬物送達装置10によって送達される用量を検出することを含む、本明細書に記載される動作を実行するように動作可能な制御ロジックを含む。一実施形態では、検出された回転は、ペン型注射器のスカート42と用量ボタン56との間である。
【0051】
MCUは、検出された用量をローカルメモリ(例えば、内部フラッシュメモリまたはオンボードEEPROM)に格納するように動作可能である。MCUは、検出された用量を表す信号を、Bluetooth低エネルギー(BLE)または他の好適な短距離もしくは長距離無線通信プロトコルを介して、ユーザのスマートフォンなどの対を成す遠隔電子装置に無線で送信および/または受信するようにさらに動作可能である。例示的に、BLE制御ロジックおよびMCUは、同じ回路上に集積される。電子機器の配列のさらなる説明をさらに詳細に後述する。
【0052】
検知電子機器の多くはキャビティ96内に含まれる。しかしながら、回転センサは、被検知構成要素の相対的な動きを検知するために様々な場所に配置され得る。例えば、回転センサは、キャビティ96内、本体88内であるがキャビティ96の外側、または下壁部分100などの本体の他の場所に位置してもよい。唯一の要件は、回転センサが、用量送達中に被検知構成要素の回転運動を効果的に検出するように配置されることである。いくつかの実施形態では、回転センサは装置10と一体化される。
【0053】
1つ以上の被検知素子が用量設定部材30に取り付けられる。一態様では、被検知素子は用量設定部材のスカート42に直接取り付けられる。代替的に、被検知素子は、ダイヤル部材、フランジ、および/またはスカートを含む、用量設定構成要素のうちのいずれか1つ以上に取り付けられてもよい。唯一の要件は、検知素子(複数可)が、用量送達中の相対回転運動中に回転センサによって検知されるように配置されることである。他の実施形態では、被検知構成要素は用量設定部材30またはその任意の部分を含む。
【0054】
用量送達検出システム80のさらなる例示的な実施形態が
図6~
図13に提供される。実施形態は、
図1~
図5に関して共通の詳細が既に提供されているため、若干概略的に示されている。概して、各実施形態は、円筒状の上壁90および頂壁92を有する本体88を含む、用量検出モジュール82の同様の構成要素を含む。各実施形態はまた下壁100を含むが、下壁100が存在しないことを含むこれらの構成要素の変形例が本開示の範囲内であることが理解されるであろう。本明細書におけるこれまでの説明と共通する他の部品は、モジュール本体88のキャビティ96内に含まれる電子機器アセンブリ120、用量ボタン56、用量設定部材32および装置ハウジング12を含む。さらに、各実施形態では、用量検出モジュール82は、用量ボタン56の環状側壁62に取り付けられているように概略的に示されているが、代替的な取り付け形態および取り付け位置が用いられてもよい。例えば、用量検出モジュール82が用量ボタン56に取り付けられてもよく、いくつかの実施形態では、スカート42に解放可能に取り付けられてもよい。また、用量検出モジュール82は、
図22および
図35に示されるように、一体型用量ボタンに取り付けることができる。
【0055】
各実施例も、特定のタイプのセンサシステムの使用を示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、用量検出システムは、同じかまたは異なる検知技術を使用する複数の検知システムを含む。これは、検知システムのうちの1つが故障した場合に冗長性を提供する。それはまた、第1の検知システムが適切に機能していることを定期的に確認するために第2の検知システムを使用する能力を提供する。
【0056】
特定の実施形態では、
図6に示されるように、モジュール82の頂壁92にフィンガーパッド110が取り付けられている。フィンガーパッド110は頂壁92に連結され、頂壁92は上側壁90に取り付けられる。フィンガーパッド110は、半径方向内側に延在し、かつ壁構成要素92の円周向の溝116内に受容される隆起部114を含む。溝116は、フィンガーパッド110と壁構成要素92との間のわずかな軸方向への移動を可能にする。ばね(図示せず)は通常、フィンガーパッド110を壁構成要素92から離して上方に付勢する。フィンガーパッド110は壁構成要素92に回転固定されてもよい。注射プロセスが開始される際のモジュール本体88に向かって遠位方向へのフィンガーパッド110の軸方向への移動は、選択された事象を引き起こすために使用され得る。フィンガーパッド110の1つの用途は、用量注射が開始されるときのモジュール本体88に対するフィンガーパッド110の初期の押圧および軸方向への移動時の薬物送達装置電子機器の起動であり得る。例えば、この初期の軸方向への移動は、装置、特に用量検出システムに関連する構成要素を「目覚めさせる」ために使用されてもよい。一例では、モジュール82は、情報をユーザに示すための表示部を含む。そのような表示部は、フィンガーパッド110と一体化することができる。MCUは、検知されたデータを受信して処理し、例えば、用量設定、分注された用量、注射の状態、注射の完了、日付および/もしくは時間、または次の注射までの時間などの情報を当該表示部に表示するように動作可能な表示部駆動ソフトウェアモジュールおよび制御ロジックを含む。
【0057】
フィンガーパッドが存在しない場合、システム電子機器は他の様々な方法で起動することができる。例えば、用量送達の開始時におけるモジュール82の初期の軸方向への移動は、接点の閉鎖またはスイッチの物理的な係合などによって直接検出され得る。また、他の様々な動作、例えば、ペンキャップの取り外し、加速度計を用いたペンの動きの検出、または用量の設定に基づいて、薬物送達装置を起動することも知られている。多くの手法において、用量検出システムは用量送達の開始前に起動される。
【0058】
図6~
図8を参照すると、用量検出モジュール82は磁気検知システム84を用いて動作する。2つの磁気センサ130が、用量設定部材30のスカート42の反対側の下壁部分100(例示的には下壁部分100の内面)に配置されている。全ての実施形態に関して、回転センサ(複数可)および被検知素子(複数可)の数および位置は異なってもよい。例えば、
図6~
図8の実施形態は、代わりに、スカート42の周りに均等にまたは不均等に離間された任意の数の磁気センサ130を含んでもよい。被検知構成要素132(
図7および
図8)は、例示的にスカート42の内部に示される、スカート42に固定された磁気ストリップ134を含む。例示的な実施形態では、ストリップは、5対の南北磁気構成要素、例えば136および138を含み、したがって各磁気部分は36°にわたって延在する。磁気センサ130は18°の間隔で配置され(
図7)、磁気ストリップ132の、したがってスカート42のデジタル位置を2ビットのグレイコード方式で読み取る。例えば、センサがN-S磁気対の通過を検出すると、スカート42が36°回転したことが検出され、これは2単位の、例えば加算(または減算)された用量に相当する。
【0059】
異なる数または位置の磁気素子を含む他の磁気パターンも使用することができる。さらに、代替的な実施形態では、
図9に示されるように、被検知構成要素133が用量設定部材30のフランジ38に取り付けられるかまたは一体化される。
【0060】
前述のように、検知システム84は、磁気センサ130に対する検知素子の回転量を検出するように構成される。この回転量は、装置によって送達される投与量と直接相関している。相対回転は、例えば、スカート42の開始位置と停止位置との間の差を識別することによって、または薬物の送達中にスカート42の増分移動の数を「カウントする」ことによって、用量送達中のスカート42の動きを検出することにより判定される。
【0061】
図10A、
図10B、
図11A、および
図11Bを参照すると、N極154およびS極156を有する環状のリング形状の双極磁石152を被検知素子として含む例示的な磁気センサシステム150が示されている。本明細書の記載の磁石は、直径方向に磁化されたリングと呼ばれることもある。磁石152はフランジ38に取り付けられており、したがって用量送達中にフランジと共に回転する。一例では、磁石152は、
図31~
図33に示されるように、取り付けキャリアでフランジ38に取り付けられる。磁石152は、代替的に、用量ダイヤル32または用量設定部材に回転固定された他の部材に取り付けられてもよい。磁石152は、例えばネオジムなどの希土類磁石、および他の後述するような様々な材料から構成されてもよい。
【0062】
センサシステム150は、モジュール82内に含まれるセンサ電子機器(図示せず)と動作可能に接続された1つ以上の検知素子160を含む測定センサ158をさらに含む。センサ158の検知素子160は、
図11Aにおいて、プリント回路基板162に取り付けられて示されており、回路基板162は、今度はモジュール82に取り付けられており、モジュール82は用量ボタン56に回転固定されている。その結果、用量送達中、磁石152は検知素子160に対して回転する。検知素子160は、磁石152の相対角度位置を検出するように動作可能である。検知素子160は、リング152が金属リングである場合、誘導センサ、容量センサ、または他の非接触センサを含むことができる。これにより、磁気センサシステム150は、用量ボタン56に対するフランジ38の全回転、したがって用量送達中のハウジング12に対する回転を検出するように動作する。一例では、磁石152および検知要素160を備えたセンサ158を含む磁気センサシステム150は、
図13、
図25、および
図35に示されるモジュール内に配列されてもよい。
【0063】
一実施形態では、磁気センサシステム150は、図示されるように、リングパターンを画定するためのモジュール82内で等半径で離間された4つの検知素子160を含む。検知素子の代替的な数および位置が用いられてもよい。例えば、
図11Bに示される別の実施形態では、単一の検知素子160が使用されている。さらに、
図11Bの検知素子160はモジュール82内の中心にあるように示されているが、他の位置が用いられてもよい。
図33および
図40に示される別の実施形態では、例えば、モジュール内で等円周方向および等半径で離間された5つの検知素子906。前述の実施形態では、検知素子160はモジュール82内に取り付けられて示されている。代替的に、用量送達中に構成要素がハウジング12に対して回転しないように、検知素子160は、用量ボタン56に回転固定された構成要素の任意の部分に取り付けられてもよい。
【0064】
説明のために、磁石152は、フランジ38に取り付けられた単一の環状の双極磁石として示されている。しかしながら、磁石152の代替的な構成および位置も企図される。例えば、磁石は、交互のN極とS極などの複数の極を備えてもよい。一実施形態では、磁石は、フランジ38の個別の回転用量設定位置の数と等しいいくつかの極対を含む。磁石152はまた、いくつかの別個の磁石部材を含み得る。加えて、磁石構成要素は、スカート42または用量ダイヤル部材32などの、用量送達中にフランジ38に回転固定された部材の任意の部分に取り付けることができる。
【0065】
代替的に、センサシステムは誘導センサシステムまたは容量センサシステムであってもよい。この種のセンサシステムは、本明細書に記載の磁気リングの取り付けと同様に、フランジに取り付けられた金属帯を含む被検知素子を利用する。センサシステムは、モジュールハウジングまたはペンハウジングの遠位壁に沿って等角度で離間された4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の独立したアンテナまたはアーマチュアなどの1つ以上の検知要素をさらに含む。それらのアンテナは、180度または他の角度だけ離れた位置にあるアンテナ対を形成し、送達される用量に比例した金属リングの角度位置のレシオメトリック測定を提供する。
【0066】
金属帯リングは、モジュールに対する金属リングの1つ以上の異なる回転位置を検出できるような形状である。金属帯は、金属リングがアンテナに対して回転すると変化する信号を発生する形状を有する。アンテナは電子機器アセンブリと動作可能に接続されていおり、そのためアンテナは用量送達中に、センサに対する、したがってペン10のハウジング12に対する金属リングの位置を検出するように機能する。金属帯は、フランジの外側に取り付けられた単一の円筒状の帯であってもよい。しかしながら、金属帯の代替的な構成および位置も企図される。例えば、金属帯は、複数の異なる金属元素を含み得る。一実施形態では、金属帯は、フランジの個別の回転用量設定位置の数と等しいいくつかの要素を含む。代替的な金属帯は、ダイヤル部材32など、用量送達中にフランジ38に回転可能に固定された構成要素の任意の部分に取り付けることができる。金属帯は、部材の内側もしくは外側で回転部材に取り付けられた金属要素を含んでもよいか、または構成要素に組み込まれた金属粒子によって、もしくは金属帯を用いて構成要素をオーバーモールドすることによって、そのような部材に組み込まれてもよい。MCUは、センサで金属リングの位置を決定するように動作可能である。
【0067】
MCUは、標準の直交差動信号計算に従って最大サンプリングレートで検知素子160の数(例えば4つ)を平均化することによって、磁石152の開始位置を決定するように動作可能である。用量送達モード中、磁石152の回転数を検出するように、MCUによってターゲット周波数でのサンプリングが実行される。用量送達の終わりに、MCUは、標準の直交差動信号計算に従って最大サンプリングレートで検知素子160の数(例えば4つ)を平均化することによって、磁石152の最終位置を決定するように動作可能である。MCUは、決定された開始位置、回転数、および最終位置からの全回転角の計算から決定するように動作可能である。MCUは、全回転角を、装置および薬物の設計と相関する所定の数(10、15、18、20、24など)で割ることによって、投与ステップまたは単位の数を決定するように動作可能である。
【0068】
一態様では、モジュール形態の用量検出システムが開示されている。取り外し可能に取り付けられたモジュールの使用は、アクチュエータおよび用量設定部材の両方が薬物装置ハウジングの外部にある部分を含む薬物送達装置と共に使用するのに特に適している。これらの外部部分は、本明細書に記載されるように、用量ボタンなどのアクチュエータへの検知構成要素の直接的な取り付け、および用量スカート、フランジ、またはダイヤル部材などの用量設定部材への被検知構成要素の直接的な取り付けを可能にする。これに関して、「用量ボタン」は、装置ハウジングの外側に位置する部分を含む薬物送達装置の構成要素をより一般的に指し、ユーザが設定された用量を送達するために使用するのに利用可能な露出表面を含む。同様に、用量「スカート」は、装置ハウジングの外側に位置し、それによりユーザが用量を設定するために構成要素を把持して回転させるのに利用可能な露出部分を有する薬物送達装置の構成要素をより一般的に指す。本明細書に開示されるように、用量スカートは、用量送達中に用量ボタンに対して回転する。また、用量スカートまたは用量ボタンのいずれかを回転させて用量を設定することができるように、用量設定中に用量スカートを用量ボタンに回転固定することができる。代替的な実施形態では、送達装置が用量スカートを含まない場合があり、ユーザは用量設定のためにアクチュエータ(例えば用量ボタン)を把持して回転させてもよい。いくつかの実施形態では、用量検出モジュールがアクチュエータおよび/または用量スカートに取り付けられた状態で、用量検出モジュールを回転させ、それによって送達装置の用量設定部材を回転させて送達されるべき用量を設定することができる。
【0069】
本開示のさらなる特徴は、用量検出システム80の検知システムを、追加モジュールとしてよりもむしろ統合型システムとして、薬物送達装置に最初から組み込むことができるということである。
【0070】
上記は、用量送達中にアクチュエータに対する用量設定部材の相対回転を検知するための様々な構造および方法についての考察を提供する。薬物送達装置の特定の実施形態では、アクチュエータは、用量設定中、ペン本体に対して螺旋状に移動する。例示目的のために、本開示は、そのような螺旋運動するアクチュエータに関する用量検出システムについて説明する。しかしながら、開示される用量検出システムの原理および物理的動作は、用量送達中に回転するが平行移動しないアクチュエータと組み合わせて使用されてもよいことを当業者は理解するであろう。用量検出システムは、装置が用量注射中に用量設定部材に対して回転するアクチュエータを含むという条件で、他の構成の医療用送達装置と共に動作可能であることも理解されよう。
【0071】
検出システムはまた、ペン型注射器によって投与されるべき薬物の特徴を識別するためのモジュールと共に使用されてもよい。ペン型注射器は、多種多様な薬物と共に、さらには、先述のような様々なタイプの所与の薬物と共に使用される。例えば、インスリンは、意図する目的に応じて異なる形態で入手可能である。インスリンのタイプには、速効型、短時間作用型、中時間作用型および長時間作用型が含まれる。別の観点では、薬物のタイプは、どの薬物が関与しているか、例えばインスリン対非インスリン薬物、および/または薬物の濃度を指す。その結果が深刻な影響を与える場合があるため、薬物のタイプを混同しないことが重要である。
【0072】
薬物のタイプに基づいて特定のパラメータを相関させることができる。インスリンを例として使用すると、どのタイプのインスリンが関与しているか、インスリンのタイプが投与のタイミングとどのように相関しているかなどの要因に基づいて、適切な量の用量に関する既知の制限が存在する。別の観点では、治療方法を正確に監視および評価するために、どのタイプの薬物が投与されたかを知ることが必要である。一態様では、投与されるべき薬物のタイプを識別することができるセンサシステムが提供される。
【0073】
薬物のタイプを決定するために、例えば、薬物送達装置に含まれる、本明細書に記載の薬物のいずれかなどの薬物のタイプの一意の識別情報を検出するモジュールが提供される。モジュールを薬物送達装置、例えばペン型注射器に装着すると、モジュールは薬物のタイプを検出し、それをメモリに格納する。その後、モジュールは、ペン内の薬物のタイプ、ならびに以前の投与履歴および他の情報を考慮して、薬物の設定または送達を評価することができる。薬物のタイプを検出する一例は、
図29の識別センサ680で後述する。別の例を次に記載する。
【0074】
この薬物タイプの検出は、位置合わせ特徴部に対する被検知素子の所定の角度位置を検出するように動作可能である様々なセンサシステムに有用である。これらのセンサシステムは、本明細書で先に開示したものを含む。この薬物タイプの決定が用量送達の量を検出するためにセンサシステムと容易に組み合わされることは、さらなる態様である。2つのシステムは、独立してまたは互いに協調して動作し得る。
【0075】
特定の態様では、用量送達を検出するために使用されるセンサシステムはまた、薬物タイプを識別するためにも使用される。例えば、
図10A~
図10Bおよび
図11A~
図11B、ならびに関連する文章は、送達される用量の量を決定するための検知素子160および磁石152を含む磁気センサシステムについて記載している。磁石152は、センサシステムが検知素子に対する磁石152の特定の角度位置を検出することができるように一意の構成を有する。
【0076】
例示的なセンサシステム230はまた、取り外し可能なモジュールとして提供されるよりもむしろ、薬物送達装置に統合されたシステムとしても有用である。
図12を参照すると、
図1~
図4の装置10と実質的に同じ薬物送達装置310が示されている。薬物送達装置310は、装置本体11と、用量ダイヤル部材32、フランジ38、およびスカート42を備える用量設定部材30とを含む。これらの構成要素は、前述のように機能するように構成される。アクチュエータ50は、クラッチ52およびそれに取り付けられた用量ボタン56を備える。用量設定中、用量ボタン56は、用量設定部材30に回転固定される。用量を送達するために、この回転的な固定が解除され、用量設定部材30は、送達された投与量に比例して用量ボタン56に対して回転する。本明細書に記載の用量検出システムの他の実施形態は、装置310に一体的に組み込まれてもよい。
【0077】
図13~
図15は、装置の軸AAの周りに同軸に配設された円筒状の側壁404および頂壁406を含む用量ボタン402を有する薬物送達装置に取り付け可能なモジュール(ここではモジュール400と呼ぶ)の別の例を示す。用量ボタン402の頂壁406は、モジュール400が用量ボタン402に装着されていないときに用量を送達するために使用者によって直接押される上部または近位軸方向表面408を含む。頂壁406は、側壁404の半径方向外向きに延在し、それによってリップ410を形成する。側壁404は、
図14に示されるように、上面408と遠位端との間に延在する。
【0078】
モジュール400は、近位壁412および遠位壁414を一般的に含むハウジング411を含む。モジュール400は、近位壁412と遠位壁414との間に延在し、それらとの区画418を形成する周囲側壁416をさらに含む。用量ボタンに装着されたときに、遠位壁414の遠位に面する軸方向表面413は、例示的に、用量ボタン402の上面408に対して受容される。モジュール400の壁が特定の構成で示されているが、壁は、区画418の形成に適した任意の所望の構成であってもよい。一例では、区画418は、水分および粒子状物質の侵入に抵抗するように構成されてもよい。別の例では、区画418は、塵および破片には抵抗するが、水分の直接的な侵入には抵抗しないように構成されてもよい。業界標準では、防湿および防塵のための異なる標準のガイダンスが提供されている。
【0079】
図5~
図6のモジュール82と同様の構成要素を有する区画418は、本明細書に開示するように、薬物送達装置と共に使用するための様々な所望の構成要素を含むことができる。そのような構成要素は、例えば測定センサまたは他のセンサ、1つ以上の電池、MCU、クロックタイマー、メモリ、および通信アセンブリを含むことができる。区画418はまた、後述するように使用するための様々なスイッチも含むことができる。
【0080】
本明細書に記載のモジュールのいずれも、モジュールハウジング411に結合された取り付け要素419を介して、本明細書に記載の用量ボタンのいずれかに取り外し可能に結合することができる。取り付け要素419は、複数の遠位方向に延在するアーム420を含む。
図13に概して示されるように、モジュール400は、ハウジング411に取り付けられてそこから遠位方向に延在するアーム420によって用量ボタン402に取り付けられる。例示的な実施形態では、アーム420は、用量ボタン402の周りに等半径で離間される。アーム420は、取り付け位置422で遠位壁414に取り付けられているように示されている。代替的に、アーム420は、側壁416などの他の位置でモジュール400に取り付けられてもよい。側壁416は、アーム420の半径方向外向きに配設され、側壁416から遠位方向にアーム420の最も遠位の延長部よりも遠い距離だけ延在して、装置に装着されたときに、アームのタンパーまたはアクセスを防止するように、アーム420を少なくとも部分的にまたは完全に覆う遠位部分424を含むことができる。遠位部分424は、アーム420をさらに囲む内向きに延在する部分426を含むことができる。代替的に、遠位部分424は、側壁416に対してスライド可能な部材として提供されてもよい。
【0081】
アーム420は、用量ボタン402のリップ410上を移動し、側壁404の半径方向外向きに面する表面421との摩擦係合を提供するように構成される。アーム420は、軸方向に延在し、リップ410を越えて延在するように構成された第1の部分428を含む。アーム420は、第1の部分428の半径方向内向きに延在し、用量ボタン402の半径方向外向きに面する側壁404に対して受容される支え部分430をさらに含む。部分428、430は、それらの間に結合された丸い基部429によって接合されて、「J」形状を形成し、第1の部分428がスタッフ部分を形成し、基部および支えがフック端を形成する。支え部分430は、リップ410の下側に対して受容される軸方向支え部分432を含むことができる。これにより、用量ボタン402に対するモジュール400の近位変位に対する抵抗が追加される。しかしながら、リップ410の下面と軸方向支え部分432の係合表面には、所望の場合にモジュール400の取り外しを容易にするために傾斜面が設けられてもよい。一例では、アーム420の各々は、用量ボタンへの取り付け中およびそれからの脱離中にリップ410を取り除くために半径方向に移動可能である。一例では、両方の部分428、430が外向きに屈曲し、いくつかの例では、第1の部分428または支え部分430のうちの一方のみが外向きに屈曲してリップの上を移動する。アーム420は、半径方向内向きの構成で付勢されてもよく、取り付け位置422の周りで外向きに偏向または枢動されてもよい。付勢された構成では、アーム420は、用量ボタン402への軸方向の保持、ならびに用量設定中および/または用量分注中のトルク伝達(許容可能なスリップを全くまたはほとんど伴わない)に適している、側壁404の表面に沿ったいくつかの係合スポットに対して半径方向の垂直力を加えるように適合およびサイズ決定される。
【0082】
遠位壁414に取り付けられたアーム420を含むアセンブリ434(成形または製造された構成要素として示されている)が
図15に示されている。製造の目的のために、アーム420および他の構成要素は、遠位壁414(壁414の半径方向外向きの表面として示される)と組み合わされ、遠位壁414は次にモジュール400の他の部分に取り付けられる。
図16および
図17は、遠位壁414およびその構成要素部品のいくつかを示している。遠位壁414は、後述する識別センサが用量ボタン402の上面408を見ることを可能にするための、内部に形成された孔436を含む。光ガイド孔436は、図示のように、「D」形状を含む様々な形状を有してもよい。内部に形成された別の開口部438は、後述もする、モジュール400が用量ボタン402に装着されたときを決定することを可能にするプレゼンススイッチを収容する。一例では、開口部438は、遠位壁414から省略されている。センサ受容凹状位置440は、例えば、先に開示した磁気、誘導、または容量検知素子などの4つの測定センサを半径方向に離間して配置するために遠位壁に設けられる。凹部440の深さは、製造中および使用中にセンサを構造的に支持するのに十分な材料の厚さを残しつつ、検知される構成要素に近接してセンサを配置するようにサイズ決定されている。凹部440により、センサの安全な固定が可能になり、そのためセンサは、より一貫した検知能力のために、それぞれの位置を維持する。センサが互いに対して等角度に配設され(90度離れた4つのセンサ(図示のとおり)、72度離れた5つのセンサ、60度離れた6つのセンサなど)、かつモジュールの長手方向軸から等半径で配設されるように、凹部440が配列される。凹部440を画定する壁もまた、共通平面に沿ってセンサを配設するように構成される。モジュールの通気のために、他のポートが提供され得る。遠位壁414をモジュールハウジングの相補的な取り付け機能に結合するために、取り付け軸方向翼441が提供されてもよい。
【0083】
アーム420の数は、所望の軸方向保持力および/またはトルク伝達に起因して、例えば3から36の範囲で変化し得る。アーム420は、ポストによって画定される取り付け位置422で遠位壁414に取り付けられるように示されており、図示されるようにポストは、単一のポストまたは一対のポスト442、444であり得る。16個のアーム420を含むアセンブリ434が示されている。アセンブリ434は、遠位壁414の周囲の周りに円周方向に離間されている、4対の装着ポスト442、444を含むように示されている。装着ポストの各対は、各々4本のアームなどの複数のアームを有する円周セグメント445を支持するように構成される。各セグメント445は、装着ポスト442、444を受容する装着穴446を含む。所定の位置に受容されると、装着ポスト442、444は、しっかりと固定された様態で遠位壁414にアームセグメントを熱かしめ成形するために使用される。
【0084】
ハウジングへのアーム420の取り付けは、様々な材料からのアームの製造を可能にする。それらの材料は、強度、弾性、耐久性などの所望の特徴を得るために選択されてもよい。例えば、ベリリウム銅はアームとして使用するのに有利な特性を有していることが分かっている。別個の取り付け具はまた、用量ボタンに対するアームの配置に関して柔軟性も提供する。例えば、アームは、遠位壁414、側壁416、または遠位部分424を含む、モジュールの様々な壁に装着されてもよい。
【0085】
アーム420は、用量ボタン402の表面421の異なる構成に適し得る。
図14は、表面421が平滑さを有していることを示している(リブもしくは溝または平面変動を伴わない)。ボタンの表面421は、アーム420とのトルク伝達を強化する表面特徴を含むことができる。他の実施形態が、アームと用量ボタンの周囲壁との間の相互作用に使用されてもよい。
図18は、例えば、離間して軸方向に延在する隆起部474を有し、それらの間に一連の凹部476を形成する、側壁472を含む装置の用量ボタン470の別の例を示す。この実施形態では、アーム420の部分は、凹部476内に受容可能であり得る。アーム420は、
図22に示される隆起部の別の構成に適している場合がある。凹部476の円周方向幅は、アーム420の円周方向幅を受容するようにサイズ決定されてもよい。このサイズ決定により、ぴったりと適合することが可能になり得つか、または腕の動きを円周方向にいくらか自由にすることが可能になり得る。隣接する隆起部の存在は、使用中にモジュールが用量ボタンに対して回転しないことをさらに保証する。
図19は、用量ボタン480が多角形で提供される側壁482を含み、それによってモジュールのアームを受容するための一連の平坦な表面484を画定する代替的な設計を示す。隣接する平坦な表面484を分離するのは、丸い軸方向ジョイント485である。平坦で平滑な円筒状の表面の使用により、用量ボタンに対するモジュールの向きに関するあらゆる問題が回避される一方、凹状および多角形の設計により、アームと用量ボタンの側壁との追加の摩擦係合が提供される。
【0086】
図20~
図24は、モジュールの一部であるときに、取り付け要素519を介して本明細書に記載の用量ボタンのいずれかに取り外し可能に結合されるように構成された、ユニット500と呼ばれるモジュール取り付けサブアセンブリの別の例を示す。取り付け要素519は、管状取り付けハウジング511に結合される(モジュールハウジングの他の部分は省略されているが、完全なモジュールハウジングを画定するそれらの部分の態様が
図13および
図25に示されている)。取り付け要素519を備えた取り付けハウジング511は、後述するようにモジュール600の一部を形成してもよい。取り付け要素519は、複数の遠位方向に延在するアーム520を含む。
図20に概して示されるように、モジュールの一部が、ハウジング511に取り付けられ、かつそれから遠位方向に、特に遠位壁514によって画定される凹状区域でハウジング511の環状ハウジング部分517から遠位方向に延在する、アーム520によって用量ボタン502の別の実施例に取り付けられるときのユニット500。環状ハウジングは、例えば少なくとも部分的に電子機器を受容するためのキャビティを画定する。例示的な実施形態では、アーム520は、用量ボタン502の周りに等半径で離間される。アーム520は、取り付けハウジング511の遠位壁514に結合され、そこから垂下するものとして示されている。
【0087】
図21は、用量ボタン502のリップ510上を移動し、用量ボタン502の側壁504の半径方向外向きに面する表面521との摩擦係合を提供するように弾性的に構成されるアーム520を示す。
図23をさらに参照すると、アーム520は、アーム520の軸方向本体の半径方向内向きに延在し、半径方向外向きに面する側壁504に対して受容される支え部分530を含む。支え部分530は、アーム520の内面から半径方向内向きに延在する突出本体531を含むことができる。突出体531は、
図24に示されるリップ510の下側533に対して受容されるか、またはそれに近接して配置される軸方向支え面532を含むことができる。これにより、取り付けられたときの用量ボタン502に対するモジュールの近位変位に対する抵抗が追加される。支え部分530の突出体531は、遠位端537を含むことができる。表面532および/または遠位に面する端部537は、突出体531にテーパー状のプロファイルを与えるために、任意の角度で角度を付けることができる。突出体531は、表面532と端部537との間に延在する軸方向長さを有する半径方向に面する係合表面538を含むことができる。係合表面538は、平面、丸い(図示のように)、テーパー状、またはV字形であってもよい。
図23に示されるように、突出体531は、アーム520の幅よりも小さい幅を有し得る。別の例では、アームは、隣接する隆起部内または交互の隆起部内に適合するように配列された複数の突出体を含むことができる。
【0088】
図22は、用量ボタン502の側壁504が、離間されて軸方向に延在する複数の隆起部545を含み、それらの間に一連の凹部547を形成することを示している。ボタン502はまた、近位上面508を備えた近位壁を含む。近位表面508のうちの少なくとも一部は、独特の種類の薬物および/または用量に対応する色を有し得る。色付きのボタン502は、他のボタンが同様の配色を有していてもよいため、本明細書に記載の他のすべてのボタンの代表となる。この目的のために、本明細書に記載のモジュールのいずれかを異なる種類のペンに取り付けることができ、色検出を使用して、モジュールは識別情報を外部装置に通信することができる。モジュールおよび/または外部装置は、ペンが所与の薬物および用量に対して一意の回転プロファイルを有することに起因して、同じ全回転量に対して送達される薬物の異なる数のユニットを決定してもよい。一例では、ボタン502の上面508全体が単色である。別の例では、凹部または突出部またはボタン表面の中心などの、表面特徴または領域507Aは、第1の色を有してもよく、表面特徴または特定の領域に隣接する領域507Bは、第1の色とは異なる第2の色を有してもよい。本明細書に記載の薬物識別検知は、モジュールの構成に応じて第1の色または第2の色を対象としてもよい。この実施形態では、アーム520の支え部分530のうちの少なくとも一部は、凹部547内に受容可能である。一例では、凹部547の各々の円周幅は、支え部分530の係合表面538の円周幅を受容するようにサイズ決定されてもよく、他の実施形態では、凹部547は、例えば
図20に示されるような、本明細書に記載のアームの先端のいずれかの係合表面の先端端部を受容するようにサイズ決定されてもよい。各支え部分530の円周方向幅は、凹部547を覆うように大きくサイズ決定されており、凹部に入ることなく隣接する隆起部と係合する。一実施形態では、凹部547の近位範囲549は、半径方向リップ510内に延在し得る。
図24に示される凹部547の深さD1は、凹部の軸方向範囲に沿って一定であってもよい。他の例では、凹部547の深さは、例えば、凹部547の遠位端に向かってよりも近位端に向かって、より深くなるようにサイズ決定されているなど、軸方向範囲に沿って変化し得る。アーム520はまた、例えば
図14、
図18、および
図19に示されるような他のボタン表面にも適し得る。遠位壁514の遠位に面する軸方向表面513に対するアーム520の軸方向支え面532の突出軸方向距離Oは、半径方向リップ502の軸方向深さDより大きくてもよい。
【0089】
図24を参照すると、アーム520の延長部の長さは、遠位壁506の遠位に面する軸方向表面505によって画定され、軸AAに直交する平面を越えて、用量ボタン502の側壁504の半径方向外向き面521に沿って支え部分530を配置するようにサイズ決定されてもよい。一例では、延長部分の長さは、側壁504の遠位下部がアームの任意の部分によって係合されないままであるように、側壁504の近位上部509のみに沿って支え部分530を配置するようにサイズ決定される。
図24に示される用量ボタンは、用量ボタン502の上面508と用量ボタン502の遠位端511との間で測定される軸方向の高さHを含む。支え部分530の遠位端513、すなわち、アーム520の側壁504と直接係合する支え部分530の最遠位部分は、軸方向距離HLで側壁504の表面521と係合し、それによって半径方向リップ510と側壁に対する遠位端513の係合位置との間の支え部分530の表面係合部分538を配置する。支え部分は、リム510の下側と、側壁504の上半分に沿って位置する遠位端513の係合位置との間で軸方向に延在することができる。軸方向距離HLは、
図24に示されるように、用量ボタン502の上面508に接する表面505および遠位端513のそのような係合位置によって画定される当該平面の間で測定される。一例では、軸方向距離HLは、側壁504の近位部分509に沿って支え部分530を配置するために、用量ボタン502の軸方向高さHの最大50%にサイズ決定されてもよい。この位置は、ボタンを配置した取り付けられたモジュール内のアームの空間的な影響を軽減し得る。支え部分530の係合表面538は、より大きな半径方向の力のために、半径方向リップ510の軸方向の厚さよりも軸方向に大きくなるようにサイズ決定される。図示されるように、より軸方向にコンパクトな構成のアーム520の支え部分530は、リム510に沿った支え部分の表面538の力を生じさせる軸方向の移動および摩擦の量を減少し、それによりユーザの取り付けおよび/または離脱力を減少させ得る。より軸方向にコンパクトな構成のアームの支え部分はまた、モジュールの取り付けおよび/または離脱の継続時間を短縮することができ、それによりユーザに取り付けが成功したかどうかの疑問が残らないようにする。
【0090】
図21は、アーム520の各々が、用量ボタンへの取り付け(または用量ボタンに対する近位方向Pへのモジュールの移動)中および用量ボタンからの脱離(または用量ボタンに対する遠位方向DDへのモジュールの移動)中にリップ510を取り除くように、矢印535の方向に半径方向に移動可能であることを示している。アーム520は、半径方向内向きの構成で付勢されてもよく、アームが遠位壁514から垂下する場所の周りで外向きに偏向または枢動されてもよい。付勢される構成では、アーム520は、用量ボタン502への軸方向の保持、ならびに用量設定中および/または用量分注中のトルク伝達(許容可能なスリップを全くまたはほとんど伴わない)に適している、側壁504の表面に沿ったいくつかの係合スポットに対して半径方向の垂直力を加えるように適合およびサイズ決定される。言い換えれば、用量設定中、ボタン502に結合されたユニット500は、モジュール/ボタンを装置ハウジングからさらに遠くに移動させる第1の方向に回転する。
【0091】
要素419および519などの本明細書に記載の取り付け要素のいずれかを用いて、ユーザが遠位方向DDに加える取り付け力は、ユーザが近位方向Pに加える脱離力よりも小さくてもよい。脱離力は、4N~30Nの範囲であってもよい。一例では、アームは、脱離力が取り付け力の少なくとも1.5倍であり、モジュールの不注意による脱離を防止するように、取り付け力の少なくとも2倍大きくなり得るように構成される。一例では、脱離力は20Nを上回り、取り付け力は11N未満である。他の例では、モジュールが装置に取り付けられると、用量設定からのトルクに起因して用量ボタンに沿った支え部分の小さな程度のスリップは、用量設定装置の構成要素への過剰なトルクおよび潜在的な損傷を避けるために許容されてもよい。
【0092】
アーム520およびハウジング511は、アセタール熱可塑性樹脂(例えば、デルリン(登録商標))またはポリカーボネート材料(例えば、マクロロン(登録商標))などのプラスチック材料の成形などにより、一体型ユニットとして形成され得る。そのような一体型ユニット561が
図23に示されている。プラスチック材料は、強度、弾性、耐久性などの所望の特徴を得るために選択されてもよい。代替的に、アーム520は、ハウジングから別個に作製され、後に接着剤または溶接により取り付けられてもよい。アーム520の数は異なってもよい。図示される例では、円周方向に等間隔で位置決めされた4本のアームがある。いくつかの例では、3本のアームが提供されてもよく、他の例では、5本、6本、7本、または8本のアームが提供されてもよい。
【0093】
本明細書に記載の、アーム420または520などのアームは、用量ボタンへのモジュールの便利で効果的な取り付けを提供する。モジュールは複数の薬物送達装置での使用を目的としているため、モジュールの取り付けにより、用量ボタンに対するモジュールの取り付けおよび取り外しをすぐに行うことが可能になる。これは、モジュールの取り付け/離脱に必要な力の量を設定するための適切な構成および物理的特性を有する、本明細書に記載のアームに由来する。本明細書に記載のアームはまた、薬物送達装置への繰り返される取り付けに十分な耐久性を有し、半径方向の圧縮力を提供するために外側に沿って配設されたコイルばねまたはリングなどの別個のリテーナ部品を使用せずに、ボタンに適切な固定および保持を提供する弾性を保持するように構成される。
【0094】
例えば、取り付け要素419または519のうちのいずれか一方の使用などによって薬物送達装置に装着されると、モジュールは、用量ボタンと摩擦係合する。これにより、いくつかの薬物送達装置の用量設定中など、必要に応じて、モジュールを使用して、用量ボタンを回転させることが可能になる。本明細書に記載のアームの支え部分の表面係合は、様々なパラメータを介して制御され得る。摩擦係合は、モジュールの表面に垂直に加えられる力および接触面に適用可能な摩擦係数の要因に依存する。加えられる半径方向の力は、とりわけ、アームのサイズおよび形状、アームの弾性および弾力性、ならびにその他の要因に依存する。開示された取り付け要素により、回転のためにモジュールを用量ボタンで摩擦係止するための所望のバランスを提供するために、それらのパラメータおよび他のパラメータから選択することが可能になり、用量ボタンに対するモジュールの容易な取り付けおよび脱離が可能になる。
【0095】
以下の説明はモジュール600に関連しているが、本明細書に記載のモジュールのいずれも、モジュールの使用を容易にするために1つ以上のスイッチを含むことができる。前述したように、モジュールは、薬物送達装置に取り外し可能に取り付けられる。必要に応じて、モジュールを1つの薬物送達装置から取り外し、次いで別の薬物送達装置と組み合わせて使用すると便利である。当業者は、本明細書に記載の様々な取り付け要素が、装置へのそのような結合に使用され得ることを理解するであろう。
図25~
図28を参照すると、モジュール600は、近位壁アセンブリ602、側壁604、および遠位壁606を含む。それによって、モジュール600の壁602、604、606は、電子機器アセンブリ610を収容するように構成された内部区画608を画定する。壁602は、LEDが使用されるときに光ガイドを提供するために、上縁の周りに透明または半透明の材料を含むことができる。
【0096】
取り付け要素607は、
図15では取り付け要素419として例示的に示されているが、モジュール600に本明細書に記載の任意の他の取り付けユニットを設けることもできるため、限定するものではない。そのような構成では、管状の取り付けハウジング511の近位端開口部は、摩擦嵌めまたは他の方法でしっかりと固定されて遠位壁606の外周面609上に適合するようにサイズ決定される。この構成では、ポスト442、444およびポスト442、444の間に配設されたブロック突出部が省略され、それによりユニット500を受容するようなサイズおよび形状である遠位壁606の平滑な外面606Aを提供することを除いて、遠位壁606は、遠位壁414(例えば、開口438、436および特徴部440、441などの特徴を有する)として
図16~
図17に例示的に示されている。
【0097】
図25、
図26、
図27、および
図29は、本明細書に記載のモジュールのいずれにも使用できる電子機器アセンブリ610の例を示している。アセンブリ610は、第1の遠位セグメント612、第2の近位セグメント614、およびそれらの間の第3の中間セグメント616を含み、各々概して618A~Bで示される接続およびリード線によって電子的に接続される。セグメント612、614、616は、「S」パターンで互いに同軸に配設されて結合されてもよい。電池621は、第1のセグメント612と第3のセグメント616との間に軸方向に配設され、弾性アームによって捕捉されて示されている。第2のセグメント614は、例えば、検知素子160などの測定センサを受容するために、内部に画定されたセンサポケット623を含むことができる。ポケット623は、モジュールハウジングの遠位壁の凹状の位置440内に整列して挿入される。代替的に、ポケット623の代わりに、測定センサはポケットを伴わずに第2のセグメント回路に直接結合されてもよい。
【0098】
図27では、第1のセグメント612は、近位に面する表面615を含み、その上に装着されたウェイクアップスイッチシステム620のスイッチ622の例を含む。モジュールは、装置および/またはモジュールのオペレータ状態を示すLEDなどのインジケータ要素624を含むことができる。一例では、インジケータ要素624は、第1のセグメント612の表面615に動作可能に装着される。ウェイクアップスイッチ622の作動は、用量の送達に関連付けられているものなどの関連する電子機器をオンにするために使用され得る。例えば、ウェイクアップスイッチ622は、被検知素子の回転によって生成される用量送達の測定に関与する、例えば検知要素160などの測定センサをオンにすることができる。LEDまたは可聴スピーカーおよび/または振動発生器などの他のインジケータ要素を使用して、用量送達の完了を通じてシステムの進行をユーザに通知し、または例えば電池充電表示などの用量送達の期間の間にユーザに通知してもよい。一例では、LEDは、スイッチ622の側面に装着される。ウェイクアップスイッチシステムは、電子機器への電力を低電力状態から完全な動作状態に上げるように構成されてもよい。
【0099】
本明細書に記載のモジュールのいずれかは、ウェイクアップスイッチシステム620を含むことができる。モジュールによるこのようなウェイクアップスイッチの提供はオプションであってもよい。一例では、
図25~
図26に示されるモジュール600は、近位壁アセンブリ602の上面に画定された凹部内に配設された軸方向に移動可能なセグメント626を含むウェイクアップスイッチシステム620を含む。ウェイクアップセグメント626は、モジュール600内に遠位方向に移動することができ、図示されるように付勢される構成を有する。ウェイクアップセグメント626は、例えば、通常は近位位置にある可撓性ディスク形状部材を備えてもよく、またはばね(図示せず)などにより近位方向に付勢される部材であってもよい。ウェイクアップセグメントの材料は、セグメント626の円周縁629に対するセグメント626の中心627のいくらかの偏向を可能にし得る。セグメント626は、モジュールハウジングの近位部分602内の凹部を画定する壁に沿ってスライド可能に配設された剛性部材であってもよい。セグメント626は、モジュールハウジングに移動可能に結合された固定セグメント(図示せず)を含み、そのためセグメント626がその付勢された近位位置にあるとき、セグメントはモジュールを出ることなくモジュールハウジング内に留まる。近位壁アセンブリ602の壁630は、付勢された近位位置からのセグメント626の遠位移動のための物理的停止またはその最遠位位置を画定するように構成された近位に面する軸方向表面631を画定する形状であってもよい。壁630は、近位壁602を通って軸AAに沿って軸方向に延在する貫通穴632のより小さいサイズの部分を画定する。
【0100】
ユーザがウェイクアップセグメント626を遠位方向に作動させると、軸方向の力は、ばね(図示せず)の付勢力に打ち勝ち、直接的または間接的にスイッチシステム620を作動させるまで、セグメント626の遠位方向の動きを可能にするのに十分である。ウェイクアップを作動させるこの軸方向の力は、用量送達のための送達装置の作動を引き起こす軸方向の力よりも小さい。一例では、セグメント626は、軸方向表面631と係合するように遠位方向に移動し得る一方、貫通穴632を画定する壁630は、セグメント626が軸方向表面630を越えて遠位方向に継続的に軸方向に撓むことを可能にするようなサイズおよび形状であってもよく、そのためスイッチシステム620を作動させるのに十分である。図示されるスイッチは、機械的スイッチまたはゴム製ドームスイッチを含むが、電気接点などの他のスイッチも企図される。本明細書に記載のスイッチは、別の構成要素との係合によって機械的に作動またはトリガーすることができる。
【0101】
一例では、スイッチシステム620は、ユーザによって押されたときにセグメント626の遠位偏向の移動を制限して、ウェイクアップスイッチ620への損傷を抑制するように構成された可撓性シュラウド635をさらに含むことができる。シュラウド635は、セグメント626とスイッチ622との間に軸方向に配置されてもよい。ユーザからの軸方向の力は、セグメント626を介してシュラウド635に伝達されて、シュラウド635の中央部分638が軸方向に偏向してスイッチ622のトリガーと係合する。シュラウド635は、偏向の最大遠位範囲を有するように構成されてもよい。そのような遠位範囲は、スイッチのトリガーの係合を可能にするが、スイッチを損傷する可能性のある位置までは遠くないようにサイズ決定されてもよい。シュラウドは、このような機能のために様々なサイズおよび形状を含む。
【0102】
図28は、シュラウド635の一例を示し、シュラウドの中央部分638を囲むハブ642の中心点から延在する、互いに対して円周方向に配設された複数の半径方向脚部640を含む。ハブの中心点は、軸AAと同軸上に位置する。ハブ642および中央部分638は、任意の形状を有してもよく、図示されるように長方形、楕円形、または円形であってもよい。中央部分642は、凹状領域の半径方向外側の周囲のハブ領域に対して遠位方向にハブを延長する凹状領域を含むことができる。脚部640Aの第1のセットの端部先端643は、例えば、先端643のサイズおよび形状を受容するようなサイズおよび形状のスロット付き領域を有するアンカー部分644の遠位表面などのアンカー部分644に結合され得る。アンカー部分644は、軸方向に可動なセグメント626から遠位方向に延在し、これによりアンカー部分644が先端643の上部に配置される。アンカー部分644は、ユーザが軸方向の力を加えると、貫通穴632内でセグメント626とともに軸方向に移動する。アンカー部分644は、成形などからセグメント626と一体的に形成されてもよく、または部分644は、別個に形成され、セグメント626の遠位表面にしっかりと固定されてもよい。脚部640Bの第2のセットの先端646は、自由であるか、またはセグメント626と係合しないままであってもよい。脚部640Aの第1のセットは、軸方向の力および偏向を脚部640の各々に分配するために、等角度位置でアンカー部分644と接触してもよい。一例では、脚部640Aの第1のセットは、より長い脚部の第2のセット640Bよりも半径方向の長さが短い。脚部640Aの第1のセットは、第2のセット640Bの隣接する脚部の間で半径方向に直接延在してもよい。脚部640のすべてがシュラウド635に柔軟性を提供し得るが、自由脚部640Bは、シュラウド636が最大遠位範囲の偏向を有することを抑制できる一方、力は、セグメント626から先端643にアンカー部分644を介して軸方向に伝達されて、先端643を貫通穴632内に移動させる。示されている例では、8つの合計脚部640があり、各々が中心点から45度だけ離れて半径方向に配設される。短い固定脚部は90度離れて配設されてもよく、長い脚部は90度離れて配設され、短い固定脚部に対して半径方向にずれていてもよい。他の数の脚部およびそれらの相対位置が使用されてもよい。一例では、電子アセンブリ610は、例えば、モジュールおよび/または用量ボタンのいかなる遠位方向の動きも伴うことなどなく、スイッチ622の軸方向のトリガーに接触する程度までユーザによって引き起こされるセグメント626およびシュラウド635の軸方向の動きによってスリープ状態から電源が投入される。代替として、ウェイクアップスイッチは、第1のセグメントに装着された対応する接触パッドとの接触から離れる方向に付勢され、部材626を介した力の伝達から接触パッドに接触するために移動可能な1つ以上の板ばね電気接触要素を含むことができる。一部の例では、電子機器アセンブリの電源投入は、接触要素の各々の同時接触によって発生する。
【0103】
本明細書に記載のモジュールのいずれかは、プレゼンススイッチシステム650を含むことができる。このようなプレゼンススイッチおよびモジュールの提供はオプションであってもよい。
図25、
図26および
図27によれば、モジュール600は、モジュール600が薬物送達装置に装着されたとき、またはそれから取り外されたときを検出する様態で遠位壁606に装着されたプレゼンススイッチシステム650を含む。システム650のプレゼンススイッチ652は、電子機器アセンブリ610の第2のセグメント614の近位表面617に動作可能に接続される。スイッチ652は、遠位壁606によって画定される開口部657(
図16の開口部438を参照)と少なくとも部分的に重なるように位置決めされた枢動スイッチアーム654を含む。遠位壁606は、例えば、
図16~
図17に示される開口部438、436および特徴部440、441などの特徴部の同じレイアウト(または実質的に同じレイアウト)を含むことができる。スイッチ652のスイッチアーム654は、付勢位置(
図27に示される)および遠位位置(破線で示される)を有する。
図25~
図26に示されるように、スイッチシステムは、薬物装置の不在を表すその付勢遠位位置(
図26に示されるように)から、モジュール600が薬物送達装置に装着されていることを示す近位位置(
図25に示される)まで移動可能である。
【0104】
プレゼンススイッチシステム650は、遠位壁606に装着されたスイッチアクチュエータ660を含む。アクチュエータ660は、第2の部材664と入れ子関係にある第1の部材662を含む。第2の部材664は、第1の部材662を受容するための円筒状の空洞を画定するカップ構成を有する。第2の部材664は、開口部657を通してスライド可能に配設される。第2の部材664は、その近位端に沿って外側の半径方向リップ663を含み、モジュール内に収容されて、微粒子および/または水の浸入の抑制を強化する。半径方向リップ663が
図25に遠位壁から離れる方向に配設されて示されているが、モジュールが装置に取り付けられたときに、
図26に示されるように、半径方向リップ663は遠位壁と係合したままでもよい。第2の部材664は、柔軟性のためにエラストマーまたは軟質プラスチック材料で作製されてもよい。第2の部材664は、モジュールを装置に装着するときに装置と直接係合することにより、モジュールハウジング内で近位位置に移動可能である。第1の部材662は、第2の部材664によって画定される空洞内に適合するような形状およびサイズにされる。第1の部材662は、その近位の軸方向端部と遠位の軸方向端部との間で軸方向に延在する円筒状の本体666を含む。遠位ハットセグメント670がアクチュエータばね672の遠位端への挿入のために画定されるように、第1の部材本体666の中間セグメントから延在する外側半径方向リム668が示されている。アクチュエータばね672は、その近位端でモジュールハウジングの内部構成要素に固定されており、アクチュエータばねの遠位端はリム668を支えており、リム668と共に移動可能である。リム668は、リム668の遠位表面から垂下する遠位スカート674を含むことができる。一例では、遠位スカート674は、リムの外側半径方向端部に結合される。リム668は、連続的な円周方向要素の代わりに、直径方向に配設された半径方向要素を備えてもよい。
【0105】
アクチュエータばね672の付勢力の下で、第1の部材662は、第2の部材664内の入れ子位置にあり、第1の部材662のリム668は、スイッチアーム654に接触して遠位方向に移動して、モジュールが装置から取り外されると、遠位位置に付勢される位置にシステムを配置するように構成される。その遠位位置にあるスイッチシステム650は、モジュールが装置に装着されていないことを電子的に示し、最小限の機能を実行するために電力制限をプロセッサにプログラムすることができる。スカート674は、遠位壁606の内面に対して第2の部材のリップ663に沿って半径方向の圧力を提供して、特定の侵入の抑制を強化することができる。モジュールを装置に結合すると、第1の部材662を備えた第2の部材664の外側端部は入れ子位置にあり、装置の用量ボタンに接触し、第1の部材の本体を介してリムに力が伝達されてばね672の力に打ち勝ち、それにより第1および第2の部材をモジュールハウジング内で近位方向に移動させ、かつそれによりスイッチシステムが近位位置に戻ることを可能にする。その近位位置にあるスイッチシステム650は、モジュールが装置に装着されていることを電子的に示し、すべての機能を実行するためにプロセッサに全電力をプログラムすることができる。
【0106】
アクチュエータ660は、ばね672によって遠位方向に付勢されており、モジュール600が薬物送達装置に装着されていない場合、通常、開口部657から遠位方向に延在する。
図25にいくらか概略的に示すように、モジュール600を本明細書に記載の用量ボタンのうちのいずれか1つ、一般的には601に装着すると、用量ボタン601の上面がアクチュエータ660を近位方向に押し、この動きがスイッチアームを近位方向に動かし、プレゼンススイッチ652をトリガーする。電子アセンブリ610のMCUは、ユニット500が薬物送達装置に装着されていることの確認として、スイッチアーム654の近位位置を認識する。それに応じて、MCUは、薬物送達装置の使用に備えて、電子機器アセンブリ610の関連する構成要素をウェイクアップさせるか、または電力を提供する。続いてモジュール600が取り外されると、ばね672はアクチュエータ660を遠位壁606の外側に戻し、スイッチアーム654はその遠位位置に戻り、モジュール600が薬物送達装置に装着されていないことを識別する。次に、MCUは、モジュールシステムをオフにするか、またはスリープモードに設定することなどによって、薬物送達装置を非使用状態に戻す。電子アセンブリ610の一例が
図46に概略的に示されている。
【0107】
実例として、モジュール600などの本明細書に記載のモジュールのいずれかはまた、薬物送達装置のタイプ、または薬物送達装置に含まれる薬物のタイプを識別するためのセンサも含むことができる。
図29を参照すると、識別センサ680は、電子アセンブリ610の第3のセグメント616の遠位表面617に動作可能に接続される。第2のセグメント614は、内部に画定された窓開口部682を含む。識別センサ680は、窓開口部682および遠位壁606の孔684(
図16~
図17の孔436の孔構成およびレイアウトを参照)上に配置され、用量ボタン601の露出表面を見ることができる。凹部686は、孔684と重なり合う遠位壁606の遠位表面に沿って形成されてもよい。凹部686は、内部に結合されたレンズまたはシールドを受容して、破片を寄せ付けないようにし得る。用量ボタン601には、孔684を通してタイプセンサ680に見えるしるしが設けられている。しるしは、装置のタイプまたは装置に含まれる薬物など、薬物送達装置に関する情報と相関している。識別センサ680は、しるしを読み取り、MCUは、薬物送達装置情報を示すものとしてしるしを認識する。光ガイド部材685を孔684内に配設して、識別センサの光路を提供することができる。スナップフ嵌めまたは接着剤または超音波溶接などにより、光ガイド部材685を遠位壁606に固定することにより、光ガイド部材の相対運動または振動によって引き起こされる光および検知歪みを防ぐことができる。例えばポリカーボネートなどの透明または半透明の材料から作製することができる光ガイド部材685は、ボタン601の上面と開口部682との間で軸方向に延在するように示されている。凹部686はまた、導光部材685の拡大されたベース部分を受容するように構成されてもよい。
【0108】
例として、識別センサ680は、用量ボタンから反射される色を検出するためのRGB源(複数可)およびセンサを含んでもよく、しるしは異なる色を含んでもよく、各色は薬物送達装置に関する特定の情報に関連付けられる。RGB光源をボタンに軸方向に誘導し、光形成センサの時期尚早な読み取りを抑制するために、遮蔽要素が提供されてもよい。代替的に、しるしは、グレースケール、パターン、または光学的に認識可能な他の材料を含んでもよい。加えて、薬物送達装置に関する情報の検出を強化するために、複数のタイプのセンサが使用されてもよい。一実施形態では、識別センサ680は、用量ボタン601の近位上面の近中心または中心を検出するように位置決めされる。しるしは、同時に、同心カラーリングなどの用量ボタン601の中心の周りに対称的に位置決めされたパターンを含んでもよい。タイプセンサ680がそのように配置されると、プレゼンススイッチ652は、モジュール600の中心からずれて位置決めされる。
【0109】
使用中、識別センサ680は、薬物送達装置に装着されたモジュール600で作動される。一例では、プレゼンススイッチ652は、ユニット500の薬物送達装置への装着を検出し、その時点で識別センサ680が作動する。収集されるたびに、薬物送達装置に関する検知された情報が保存および/または送信されてもよい。次いで、モジュール600は、所定の期間の後など、用量送達中に再作動されるまで、低電力モードに移動されてもよい。
【0110】
図27に概略的に示すように、光インジケータ要素624(LEDとして示される)、または他の信号装置は、モジュール600の様々な状態、ならびに薬物送達装置自体を含む他の構成要素をユーザに通知し得る。例えば、光信号は、薬物送達装置または薬物送達装置によって含まれる薬物のタイプを示すために使用されてもよい。薬物送達装置上のモジュールの適切な配置を確認するために、別の信号が提供されてもよい。さらに、信号は、ウェイクアップ状態またはスリープ状態などの様々な状態間のモジュール600の遷移を示してもよい。インジケータ要素は、モジュールと装置の用量ボタンとの間の取り付けの成功(緑など)を一形態で、または取り付けの失敗(黄色など)を別の形態で示すように動作可能であってもよい。
【0111】
モジュールの組み立ては、大量生産を考慮して構成することができる。以下のステップは、
図25および
図27を全体的に参照して、本明細書で説明されるモジュールのいずれにも、以下で説明されるものとは別の連続した順序で適用され得る。構成要素としての遠位壁606は、
図16に示す向きおよび配列で提供される。第1および第2の要素を備えたスイッチアクチュエータ660は、開口部657を通して挿入され、第1の要素のリム668は、開口部の縁を囲み、そこから延在する直立壁によって形成される軸方向スロット内に収まるようにサイズ決定されている(
図16に示すように)。アクチュエータばね672は、
図25に示すようにアクチュエータの上部に配置される。第2のセグメント614は、遠位壁の構成要素の内部が、遠位の構成要素に沿って形成された様々な特徴部および開口部の周りに整列して配置される。軸方向スペーサ構成要素675(
図25に示される)は、第2のセグメント614および遠位壁の上部に配置される。スペーサ675は、セグメントを所定の相対距離に位置決めするための位置合わせ特徴部を含む。次に、第3のセグメント616をスペーサ675の上部に近位に配置するために、セグメントは接続部618Aに沿って折り重ねられる。電池621は、第3のセグメント616の上部に配設され、すべてのセグメントに電力を動作可能に提供するように構成されている。次いで、第1のセグメント612を電池621の上部に近位に配置するために、第1のセグメント612は接続部618Bに沿って折り重ねられる。その後、前述のように軸受部分を備えたアーム520を備えたユニット500で遠位壁606上を摺動するか、または前述のように取り付け要素419のアームに取り付けるかのどちらかで、取り付け要素を遠位壁606に結合する。近位壁部分の構成要素602は、第1のセグメント612上に位置決めされ、
図16に示す取り付け軸方向翼への取り付けを含む、遠位壁606に確実に取り付けられてプリアセンブリを形成するための取り付け特徴部を含む。近位壁部分602は、側壁604への取り付けの前に、本明細書で説明されるように共に組み立てられた軸方向に移動可能なセグメント626およびシュラウド635を含むことができる。管状構成された側壁構成要素604は、プリアセンブリおよびその近位端を半径方向に囲んで摺動可能に配置し、近位壁部分606にしっかりと固定される。遠位スカート部分677は、側壁604の遠位端にしっかりと固定され、それにより完全に組み立てられたモジュールを形成する。
【0112】
図35を参照すると、ここではモジュール800と呼ばれるモジュールの別の実施形態は、近位壁802、側壁804、および遠位壁806を含む。それにより、モジュール800の壁802、804、806は、電子機器アセンブリ810を収納するように構成された内部区画808を画定する。近位壁802は、ディスク形状を有し、装置操作のためにユーザが押す指パッドを形成してもよい。モジュールは、
図27に示すように、例えばLEDなどの光源が使用されるときに、半径方向の光ガイドを提供するために、上縁の周りに透明または半透明の材料のリング812を含むことができる。そのような光源は、アセンブリ810の回路基板809の近位表面上に位置することができ、光ガイドリング812によって画定される開口部813を通して光を放出するように位置決めされる。リング812および近位壁802のそれぞれの対向面は、モジュールハウジングの近位壁アセンブリを画定するために互いに確実に固定されてもよい。一例では、確実な取り付けは、粘着、接着、超音波溶接などによるものであってもよい。別の例では、確実な取り付けは両面粘着テープ860であってもよい。近位壁アセンブリは、開口部813を通して放出された光リング812内の改善された半径方向の光透過性のために、開口部813を覆うように配設された白色表面または反射表面を含むことができる。近位壁の遠位表面は、白色または反射表面を含んでもよい。一例では、テープ860の遠位表面862は、白色または反射表面を含み、他の例では、白色または反射表面を備えたディスク要素が使用されてもよい。本明細書で説明される近位壁アセンブリは、光リングのない近位壁のみを指す場合がある。リング812は、別のモジュール構成要素に取り付けるための取り付け要素を含み得る。例えば、リング812は、リング812の遠位表面から垂下する複数の保持スナップアーム812Aを含み得る。アーム812Aは、ハウジングに対する近位壁の軸方向移動を可能にするように構成され、特定の位置へのリング812の取り外しを防止するように構成された先端を含む。リング形状を有するボタンガスケット811は、リング812の遠位表面と係合して示されており、アーム812Aに対して半径方向外向きに配設されている。
図47は、共通軸に沿って個々の構成要素に分離されたモジュール800などのモジュールの一実施形態の分解図を示す。
【0113】
モジュールは、リング形状を有し、スナップアーム812Aによって画定された円周に沿って配設された内側半径方向表面817を画定する第1のスペーサ要素815を含むことができる。ウェイクアップ能力のために、表面817は、近位壁アセンブリの近位位置から遠位位置までの制御された軸方向移動を可能にするように構成されている。内側半径方向表面817に沿ったスペーサ要素815の遠位表面は、近位壁アセンブリが付勢力の下で近位位置に戻るときに、スナップアーム812Aが保持のために係合する領域を提供する。いくつかの実施形態では、光リングは省略され、近位壁は、表面817と係合するためのスナップアームを含む。スペーサ要素815は、スペーサ要素の半径方向外向きの範囲に沿って配設された近位フランジ819Aを含むことができる。フランジ819Aの上端は、近位壁802の遠位方向の移動を制限するための物理的停止を提供することができる。スペーサ要素815は、スペーサ要素の半径方向外向きに沿って配設され、近位フランジ819Aに対して半径方向内向きに凹状の遠位フランジ819Bを含むことができる。凹部は、側壁の上端が遠位フランジ819Bの半径方向外面と係合するとき、側壁804の厚さを収容するようにサイズ決定されてもよい。
【0114】
ボタンガスケット811は、近位壁802およびリング812と、スペーサ要素815の形態のハウジング部分との間に軸方向に配設されている。一例では、ボタンガスケット811は、リング812、またはリングがなければ近位壁と要素815との間に係合される。ガスケット811は、その自然状態から軸方向に圧縮可能である。例えば、多孔性ウレタンフォームなどのガスケット材料は、圧縮性を提供するように構成されてもよい。ガスケット811の材料はまた、液体流出の密封を提供し得るが、換気を可能にする。他の実施形態では、ガスケット材料は、液体および空気流出の密封を提供し得る。その自然状態では、ガスケット811は、近位壁アセンブリをその伸長された近位位置に維持するために、近位壁アセンブリの外周に沿って付勢力および支持を提供することができる。ユーザが装置を使用するために近位壁を押し下げたとき、ボタンガスケット811は、固定位置にあるスペーサ要素815に対してリング/近位壁ユニットが遠位方向に移動するにつれて軸方向に圧縮する場合がある。ガスケット811は、近位壁アセンブリを伸張された位置に戻すのを助け、その移動を通して一貫した触覚フィードバックをユーザに提供することができる。圧縮可能なガスケットの代わりに、ライニングまたは他の密封手段を備えたばねを使用してもよい。
【0115】
モジュールは、要素815と遠位壁806との間に、第1のスペーサ要素815に対して遠位に配設された第2のスペーサ要素821を含むことができる。第2のスペーサ要素821は、リング形状を有する。第2のスペーサ要素821は、例えば、各々が結合を可能にする軸方向に延在する特徴部を有するなど、第1のスペーサ要素815に結合される。電池861は、要素815と821との間に配設されて示されている。電池保持要素(図示せず)は、第2の空間要素の近位表面に結合され得る。電池支持要素864は、電池の近位側と電子機器アセンブリの回路基板の1つとの間に含まれ、電池と摩擦接触して、モジュール内での電池の移動を禁止してもよい。一例では、電池支持要素864は、独立気泡フォームなどの軸方向に圧縮可能な材料のリングを含むことができる。要素864は、電池の断面積よりも小さい断面積を有し得る。側壁804は、モジュールの内容物に対して半径方向外向きに配設され、第1のスペーサ要素815と、側壁804の遠位端に結合されたベースリング823との間に軸方向に延在して示されている。ベースリング823はオプションである。側壁804は、構成要素を共に確実に固定する様態で、ベースリング823の内面に沿って形成された、対応する形状の凹部と係合する複数の遠位方向に延在する保持スナップアーム804Aを含むことができる。スナップアーム804Aは、側壁804の全体的な外周から半径方向内向きに配設されて、ベースリング823の上端の全体的な厚さを受容するようにサイズ決定されている凹部を画定してもよい。座面804Bは、側壁804の内面に沿って形成され、表面の半径方向内向きにさらに延在することができる。座面804Bは、遠位ガスケット825を受容するように構成されている。
【0116】
遠位ガスケット825は、リング形状を有し、側壁804の内面と遠位壁802の外周との間、および遠位壁802から延在する半径方向フランジ827によって画定された座面804Bと座面827Aとの間で軸方向に半径方向に配設されている。一例では、ガスケット825は、側壁804と遠位壁802との間に密封可能に係合される。ガスケット825は、例えば、多孔性ウレタンフォームなどのガスケット材料から作られてもよく、圧縮性を提供するように構成されてもよい。
【0117】
モジュール800は、存在スイッチが省略されて示されているが、例えば、前述のシステム650などの存在スイッチシステムは、当業者が理解できるようにモジュールに組み込むことができる。
【0118】
ウェイクアップスイッチシステムの別の実施形態を含むモジュール800が示されており、ここではウェイクアップスイッチシステム820と呼ばれている。ウェイクアップスイッチシステム820が例示的に示されているが、モジュール800にウェイクアップスイッチシステム620を設けることもできるので、限定するものではない。同様に、本明細書で説明される他のモジュールは、ウェイクアップスイッチシステム820を含み得る。
【0119】
図36をさらに参照すると、ウェイクアップスイッチシステム820は、電子機器アセンブリ810の、およびMCUと電気通信するフレキシブルプリント回路基板(FPCB)であり得る回路基板809に結合された1つまたは軸方向に移動可能な接触アーム822および対応する接触パッド824を含む。接触アーム822は、図に示すように、付勢された非接触の自然な構成から遠位方向に移動することができ、接触アーム822は、接触アーム822および接触パッド824が、その2つの間に電気通信があるように(したがって、電子機器への電力が完全な動作状態に増加する)接触関係にある、接触構成への電気通信(したがって、低電力状態の電子機器)がないように接触パッド824から軸方向に離間している。接触アーム822は、移動可能な近位壁の異なる軸方向位置に沿って近位壁802との接触を維持するためのプリロードを有することができる。付勢は、別個のばねによって提供されてもよく、または接触アーム822は、示されるような板ばね構成を有してもよい。
【0120】
一実施形態では、接触アーム822は、回路基板809にしっかりと装着されたベース830、ジョイント834を介してベース830に結合された移動可能なアーム長さ部分832を含む。アーム長さ部分832は、ジョイント834の周りでベース830に対して旋回運動することができる。接触アーム822からの付勢力は、上部近位壁802を近位の第1の位置に維持するのに十分であり得る。ユーザが近位壁802を遠位方向に作動させたとき、軸方向の力は、接触アーム822の付勢力に打ち勝ち、接触アーム822および接触パッド824が、スイッチシステムの制御および/または制御システムのウェイクアップのために接触している、近位壁802のその第1の位置から遠位の第2の部分への遠位方向の移動を可能にするのに十分である。近位壁802の移動は、この動作中に固定位置にあるモジュールハウジングに対して起こり、アクチュエータに作動力を加えることなくシステムの電源を入れることができる。近位壁802の移動は、アクチュエータに加えられる作動力中に最終的な遠位位置に移動して用量送達を生じさせるプロセスにあるモジュールハウジングに対しても生じ得る。スイッチシステム820は、例えば、機械式スイッチまたはゴム製ドームスイッチなどの代替スイッチ構成を含み得る。
【0121】
接触長さのアーム部分832は、ベース830によって画定された平面に対して鋭角でベース830から延在してもよいが、アーム部分の延長角度はベースに対して直角または鋭角であってもよい。半径方向の視点から見ると、接触アームはV字型の本体を有することができる。一例では、アーム部分832の任意の部分は、接触パッド824と接触可能な接触部分を含むことができる。図示の一実施形態では、アーム部分832の先端835が接触部分を画定する。別の実施形態では、接触部分は、アーム部分832の中間本体に沿っている。アーム部分832の接触部分は、例えば、研磨または平滑化表面および/または丸みを帯びた表面またはフック形状および/またはドーム状表面(
図35~
図36に示すような)を含むなど、接触パッド824との接触を強化するように構成され得る。
【0122】
近位壁802へのあらゆる印加力は、接触アームをその自然な状態からその接触構成へと移動させることができる。一実施形態では、アーム部分832は、近位に延在する第1の部分840Aおよび遠位方向に延在する第2の部分840Bを画定するために、軸受ジョイント837でその本体に沿って角度を付けることができる。第1の部分840Aは、ベース830およびジョイント834の部分と軸受ジョイント837との間に延在している。第2の部分840Bは、軸受ジョイント837と先端835との間に延在している。第1の部分840Aの延長部の長さおよび角度は、近位壁の内面802Aまたは光リングとの接触を維持するための場所に軸受ジョイント837を配置するように、あるいは、第1の位置と第2の位置との間を移動するときに、近位上壁802の表面802Aから遠位方向に延在する、対応するボス802Bを配置するように構成されている。遠位方向の第2の部分840Bの延長部の長さおよび角度は、近位壁802が第1の位置にあるときに先端835を接触パッド824と離間した関係に配置し、近位壁802が第2の位置にあるときに接触パッド824に接触するのに十分な距離で近位壁802と共に先端835の遠位方向の移動を可能にするように構成されている。代替的な実施形態、接触アーム822の軸受部分837は、接触部分の場所よりもアーム部分の先端835に近接して位置してもよい。この目的のために、接触部分は、アーム部分の谷部または凹部に沿って形成されてもよい。いくつかの接触アームの実施形態では、接触アームの軸受部分は、接触部分よりも近位の場所に配設される。
【0123】
軸方向の視点から見ると、接触アーム822のアーム部分832の構成は、直線状、角状、または湾曲状であってもよい。
図36は、弓形状のアーム部分832の一例を示している。モジュールのウェイクアップ機能には、1つの接触アームおよび接触パッドシステムで十分であるが、
図36は、3つのセットの接触アーム822および接触パッド(図には明確に示されていない)を含むシステムを示している。図示のように、3つの接触アーム822は、長手方向軸からほぼ同じ距離で半径方向に配設されてもよい。アーム822は、例えば、接触アームの隣接する端部間の20~40度の分離を可能にするように、等距離で互いに円周方向に離間して配設されてもよい。2、3、4、5、またはそれ以上などの複数のセットは、接触アーム822から上壁802への付勢力をより均等に分配することができる。複数のセットであっても、制御装置は、起動のために接触するように、接触アーム822および接触パッド824の1のセットのみ、または総数セットのすべてより少ないセットを必要とするように構成されてもよい。起動に必要な接触の総数が少ないと、ユーザは、ユーザの正確な指の配置を要求するのではなく、近位壁の任意の部分を押してウェイクアップさせることができる。偶発的な起動を支援するために、制御装置は、起動用に接触するために、例えば、接触アーム822および接触パッド824の3つのセットすべてのような2つ以上のセットを必要とするように構成され得る。
【0124】
ベース830および接触アーム部分832は、金属などの導電性材料などの同じ材料から一体的に形成されてもよい。接触パッド824は、接触アームと導電性の材料でできている。ベースおよびアーム部分は、同じ材料または異なる材料から別々に形成されてもよい。別個に形成される場合、ベースおよびアーム部分は、例えば、溶接、金属溶接エポキシ、ろう付け、または構成要素の材料に応じた他の手段など、互いに結合されてもよい。ベースおよびアーム部分は、少なくとも先端部分にプラスチック材料を含浸させる導電材料を有するか、または先端に沿って導電材料被膜を有するプラスチック材料から形成されてもよい。一例では、ベースおよびアーム部分は、導電性金属材料から一体的に形成され、接触アームが板ばね構成を有するように、リビングヒンジジョイントで互いに結合される。
【0125】
図37は、ここでスペーサユニット839として参照されているモジュール取り付けサブアセンブリの別の例を示している。ユニット839は、モジュールの一部である場合、取り付け要素807を介してモジュール800を本明細書に記載の用量ボタンのいずれかに取り外し可能に結合できるように構成されている。遠位壁806は、例えば、
図29の識別センサ680などの識別センサ用の光ガイド部材849を受容するためにその中に画定された開口836を含む。通気開口部841は、遠位壁806に画定されてもよい。センサ受容凹状場所842は、例えば、本明細書に開示されているような5つの磁気、誘導、または容量性検知素子または磁気センサ906などの等半径方向で離間した、および等角度の測定センサの配置のために、遠位壁806の近位表面に画定される。凹部842は、遠位壁806の遠位表面に位置してもよい。遠位壁806および/またはユニット839をモジュールハウジングの相補的な取り付け特徴部に結合するために、取り付け杭843を設けることができる。
【0126】
図39を参照すると、ベース855から延在する光ガイドポスト853を備えた光ガイド部材849が示されている。光ガイド部材は、光学的に透明なポリカーボネートなどの材料で作られており、識別センサがボタンの近位表面の着色部分から反射された光を放出および検知するための少なくともいくらかの光透過を可能にする。ポスト853は、開口836内に収まるようにサイズ決定されている。
図38に示すように、遠位壁806の遠位表面806Aに画定された凹状領域857は、開口836を囲むことができる。凹状領域857は、ベース855の厚さおよび形状に対応する深さおよび形状を有してもよい。開口836および凹状領域857は、固定された様式で光ガイド部材849を受容するようなサイズおよび形状とすることができる。延長部の軸方向の長さは、センサに直接接触するために近位で装置ボタンの着色表面特徴部に対して当接する、遠位壁806の遠位表面からの識別センサの光ガイド経路を提供することができるか、または、図示のように、ポスト853の端部と光色センサとの間に軸方向に離間した隙間があってもよい。光ガイドポスト853は、円形、楕円形、または長方形などのさまざまな幾何学的形状のいずれか1つの断面形状を有する。一例では、ポスト853は楕円形の断面形状を有する。1つ以上の取り付けポスト859(2つが示されている)もまた、ベース855から近位に延在してもよい。各取り付けポスト859は、光ガイドポスト853から半径方向に離間することができる。この目的のために、ベース855は、取り付けポストを収容するための翼部分855Aを含み得る。対応する数のポストの開口863を遠位壁806に画定して、製造中に取り付けポスト859を受容することができる。取り付けポストを内部に受容したら、例えば、超音波溶接などにより加熱され、材料がそれぞれのポストの開口の空所を満たし、確実な取り付けのために一貫した検知能力を高めることができる。
【0127】
モジュール800は、取り付け要素807の別の実施形態を含む。取り付け要素807は例示的に示されているが、モジュール800に取り付けユニット500または取り付け要素419を設けることもできるので、限定するものではない。同様に、本明細書で説明する他のモジュールは、取り付け要素807を含んでもよい。
【0128】
遠位壁806を備えた取り付け要素807は、モジュール800のユニット部を形成し得る。取り付け要素807は、複数の遠位方向に延在するアーム850を含み得る。例示的な一実施形態では、アーム850は、用量ボタンの周りに等角度で離間している。アーム850は、遠位壁806に結合され、遠位壁806から遠位方向に垂下しているように示されている。モジュールが装置に取り付けられたとき、アーム850は、用量ボタンの半径方向外向きに面する表面に接触するように位置決めされる。アーム850は、軸方向に延在する本体854を含む。本体854は、本体854の半径方向内向きに延在する突出軸受部分852を含むことができる。アーム850の本体854は、W字型の本体を含むことができ、アーム本体の外側遠位方向に延在する脚部856A~Bは、2つの取り付け場所で遠位壁806から延在し、近位に延在する内側アーム858は、突出本体852を含む。軸受部分852の突出本体の表面は、直角、湾曲、および/または角度付きであってもよい。あるいは、本体854は、近位方向に延在するアームを画定する部分を有するJ字型を含んでもよい。
【0129】
図35をさらに参照すると、電池861は、磁気センサおよび磁気リングに遮蔽特性を提供し得る。一例では、電池861は、強磁性ニッケル被膜を備えたコイン型電池であってもよい。電池861の配置は、磁気センサの軸方向に近位にあり、センサに遮蔽を提供し、近位方向からの磁場の影響を阻止するために、その近位側に沿って遮蔽を提供し、および/または、その遠位側に沿って遮蔽を提供して、磁気リングからセンサに向かって磁束を偏向させる。一例では、電池861は、回転センサ706などのリングからなど、センサ906などのセンサの位置に向けた磁束線のリダイレクト、およびセンサ位置からの望ましくない外部干渉からの磁束線のリダイレクトを支援することができる。この例では、半径などの電池のサイズは、軸からのセンサの半径方向の場所と一致する場合がある。別の例では、電池861の構成は、適切な厚さの鉄(ほとんどのシリーズ)、コバルトまたは他のニッケル合金を含む電池など、他の遮蔽特性を提供し得る。電池861は、磁気センサの半径方向配置に対して断面積サイズを有することができ、および/または磁気センサから軸方向に離間して、そのような遮蔽を提供することができる。
【0130】
例えば、モジュール800などの本明細書に記載のモジュールのいずれも、磁気センサなどの5つ(図示)または6つの検知素子を含むことができる。検知要素は、モジュール区画808内に配設され、電子機器アセンブリ810の回路基板809に、したがってMCUに結合されてもよい。一例では、検知素子は、
図37に示すように、遠位壁806内に画定された、対応するセンサ受容凹状場所842内に配設された5つまたは6つの磁気センサを含むが、検知素子は、遠位壁806の上部に(すなわち、凹部ではなく)、またはモジュールの区画内の遠位壁806により近位に配設されてもよい。
【0131】
図40~
図41は、磁気リングに対するセンサの配列の例を示しており、本明細書に記載の他のすべての磁気用量検出システムについて例示している。
図40は、N極903およびS極905を有する直径方向に磁化されたリング902を検知素子として含む、現在システム900と呼ばれる磁気センサシステムの別の例を示している。磁化されたリング902は、前述のように、例えばフランジなどの用量設定部材に取り付けられる。磁化されたリング902に対する、例えばホール効果センサなどの磁気センサ906の半径方向の配置は、リングパターンで互いに対して等角度であり得る。一例では、
図40に示されるように、磁気センサ906は、磁気センサ906の一部が磁化されたリング902の上にあり、残りの部分が磁化されたリング902の外側にあるように、磁化されたリング902の外周縁902Aと重なり合う関係で半径方向に配設される。重なり合う配列は、高磁束能力の範囲内にセンサを配置し、それにより、より一貫した磁束検知を実現することがわかった。
図41は、磁気センサ906の中心からAA軸までの決定された半径方向距離907を示す。半径方向距離907は、少なくとも磁化されたリング902の外半径908となるようにサイズ決定することができる。一例では、半径方向距離907は、磁化されたリング902の外半径よりも0.1~20%大きく、別の例では、半径方向距離907は、磁化されたリング902の外半径よりも少なくとも10%大きい。この位置が、他の半径方向位置を超えて検知するための強化されたピーク磁束を提供することができることは驚くべきことであった。
図11Aは、磁気センサがリング全体に配設された関連する半径方向配置の別の例を示す。
図11Bは、リングによって形成された開口部の内側全体に磁気センサが配設された関連する半径方向配置の別の例を示す。
【0132】
図41は、磁化されたリング902に対する磁気センサ906の軸方向配置および半径方向配置の例を示している。センサ906は、AA軸に実質的に直交する共通平面に沿って配設されるモジュール(明確にするためモジュール構成要素は省略)の電子機器アセンブリの回路基板903に沿って配設され得る。厚さ913の磁気リング902は、センサ906の平面に平行な平面位置に配設され得る。リング902は、装置720の配列に配設することができ、センサ906は、装置に取り外し可能に取り付け可能なモジュールに配設することができる。代替的な例では、センサ906を含むモジュールの構成要素は、
図12に示されるもののような磁化されたリング902を備えた装置と永久的に一体化され得る。
【0133】
選択されるセンサの磁束性能要件を満たすために、利用可能な空間の制約内でリングの形状を変更することができる。
図41は、用量設定中など、用量ボタンが圧縮されていないときの、磁化されたリング902上の磁気センサ906の相対的な軸方向位置911を示す。用量送達中、用量ボタンおよびセンサ906を軸方向に静止した回転する磁化されたリング902に向かって矢印909で示される距離だけ遠位に変位させた後、磁化されたリング902上の磁気センサ906の相対的な軸方向位置が変化する。磁気センサ906の遠位方向の移動量は、磁化されたリング902に対して1mm~3mmの範囲であり得る。一例では、使用中、ユーザがモジュールの上部に圧力をかけると、ボタン/ばねサブアセンブリは軸方向の圧縮を受け、センサ906と磁化されたリング902との間の相対的な軸方向距離を1.7mmの軸方向距離だけ減少させる。用量送達位置では、センサ906による読み取りに利用可能な磁化されたリング902の磁束は、センサ906が用量設定位置にあるときよりも少なくとも2倍の値である。
【0134】
直径方向に磁化されたリング902の磁石材料は、ダイヤル距離および投与距離で利用可能な磁束が信頼性のある検知のために許容可能であるように選択されるべきである。一例では、被検知構成要素に使用される磁気リングは、例えば、ニッケルコーティングを有する焼結ネオジムN35グレードの材料から作製され得る。ネオジム磁石(NdFeB、NIB、またはNeo磁石としても知られている)は、ネオジム、鉄、およびホウ素の合金から作製された希土類永久磁石である。N42、N45、N50などの他の焼結ネオジム磁石グレードおよび同様のまたは結合されたネオジムグレード(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂で射出成形または圧縮成形された)は、磁気センサでの適切な磁束の可用性を考慮することができる。選択される磁石材料は、キャリア708などのプラスチックキャリアにしっかりと適合するための機械的強度要件を満たし、亀裂または故障なしに操作および手渡しの衝撃を維持することができるようにサイズ決定されると予想される。固定された磁化されたリングは、それ自体回転しないように用量設定部材にしっかりと固定されているが、ダイヤルまたは投与中に用量設定部材と共に回転する。
【0135】
用量送達中の磁化されたリングに対するセンサの軸方向の動き、ならびにこの軸方向の位置の変化およびリングの回転による磁束の変化は、用量検出の精度を難しくする可能性がある。また、焼結N35Neo磁石のより費用対効果の高い直径方向に磁化されたリングは、不均一な磁場特性を提供し、より一貫性のない検知検出およびダイヤルエラーにつながる可能性がある。用量検出モジュールのダイヤルエラーは、磁気リングなどの装置の用量構成要素の実際の物理的回転位置(「ダイヤル位置」)と、磁気センサシステムによって検出された検知された回転位置(「被検知位置」)との間の回転位置の程度の差である。例えば、ユーザが装置から特定の単位数の薬物を送達することを望む場合、ユーザは、モジュールが取り付けられた装置ボタンを、装置のハウジングに対して、10単位などの投与ダイヤルによって示される量だけ回転させるか、または1単位あたり18度±X%に基づいて約180度回転させる。ボタンを押して送達操作を開始すると、用量検出システムは、用量送達の完了時に初期位置および最終位置を追跡することができ、初期位置と最終位置との間の差は、いくつかの回転角度および送達される用量単位の相関量に対応している。
【0136】
ダイヤルエラーは、以下の例で示すことができる。ダイヤルされた初期位置は、装置の用量/ダイヤル部材、したがって磁気リングを、用量設定が行われた後の公称ゼロ初期物理位置、および用量送達中の5単位に相関する、90度の実際の回転後のリングの送達された最終物理位置に配置することができる。ダイヤルエラーの場合、通常生産の直径方向に磁化されたリングを備えた4つのセンサシステムの用量検出システムは、リングの公称ゼロ初期位置で-10度、および送達された最終位置で100度を検出し、合計110度の検出されたリングの回転をもたらし得る。これは、実際に送達される5単位よりも大きい、送達される6単位を超える被検知用量に相当するであろう。
【0137】
ダイヤルエラーは、磁気センサおよびその他の要因からシステムに導入される可能性がある。最初の空間高調波波形(主波形/信号)は、正弦波を測定するセンサに対して磁化されたリングの回転中に、位相、ゲイン、またはオフセットエラーの影響を受けやすい可能性があり、互いに円周に沿って等間隔離間しており、磁石から軸方向に等間隔に離間しているセンサの数は、正弦波がサンプリングされる回数を表すだろう。センサの適切なキャリブレーションは、これらのエラーを大幅に減少させることができる。しかしながら、他のエラーへの寄与は、3次または4次高調波などのより高次の高調波から1次高調波までであり得る。モジュール軸からの磁石センサの一貫した半径方向の配設、ならびに各センサ間の一貫した円周方向の離間、モジュール軸に実質的に垂直であり、磁気リングに平行であるように共に位置付けられたセンサの平面の傾斜の減少、およびシステムのキャリブレーションによって、ある程度のエラーを減少させることができる。
【0138】
例えばN50グレードのネオジム磁石などの高グレードの磁気材料源を使用するか、または製造管理をより厳密にすることにより、直径方向に磁化されたリングの磁気特性における磁束の均一性を改善することで、ダイヤルエラーを減少させることができる。そのような改善された磁気構成要素はより高価であり、磁石の供給能力を制限するだろう。加えて、既に不均一な特性を示している追加の磁石センサ(さらに1つまたは2つ)を提供することで、検知能力が改善されるかどうかについては不確実であった。用量送達中に回転する直径方向に磁化されはたリング902に5つまたは6つの磁石センサ906を使用すると、通常生産の磁石に通常存在するオフセット2次および3次高調波信号歪みを適切にフィルタリングすることにより、用量決定に使用される位置信号が改善され、これがダイヤルエラーの削減につながることが発見された。このようなフィルタリングは、4つのセンサアーキテクチャには存在しなかった。この目的のために、用量検出システムによって検出された送達される単位の量が送達される単位の実際の量に対応することを保証する改善が発見された。
【0139】
通常生産N35Neo焼結直径方向磁化リングをテストして、2次、3次、4次、および5次高調波の割合振幅対1次高調波のセンサ信号の高調波歪みを決定した。結果は
図42に示されている。カスタマイズされた磁気テストフィクスチャを構築して、本明細書で説明されるモジュールに配列された磁石センササブシステム機能をエミュレートした。フィクスチャは、異なる構成をテストするだけでなく、
図40および
図41の軸方向および半径方向の配列を再現するために、センサおよび磁気リングの相対的な半径方向および円周方向の位置ならびに軸方向(平面外傾斜)位置を調節するように構成されている。個々のセンサの結果を分析して、高調波歪みおよびダイヤル/用量エラーに対する磁気不均一性の影響を理解することができる。通常の生産(より費用対効果の高い)およびカスタマイズされた生産(費用対効果の低い)方法から作製されたN35グレード磁石の4つ対5つおよび6つのセンサアーキテクチャに起因するダイヤルエラーは、それぞれ
図43~44に示されている。
図45は、通常の生産でのN35Neo焼結直径方向磁化リングの3次高調波に対する4つのセンサアーキテクチャの感度を示しており、ダイヤルエラーが6度を超えて増加しやすくなり、通常生産のN35Neo焼結直径方向磁化リングの3次高調波に対する5つのセンサアーキテクチャの耐性が得られ、ダイヤルエラーを2度未満に大幅に減少させる。
【0140】
図42は、通常の生産N35磁気リングで使用される4つのセンサアーキテクチャのダイヤルエラーを示している。4つのセンサアーキテクチャは、位置信号の信頼性に影響を与える3次高調波による望ましくないエラーの寄与を増加させることが実証されている。半径方向に等距離のセンサ構成は、回転する磁化されたリングの磁束による小さな振幅変動に耐性があると考えられていた。ネオジム磁石の磁束特性を考慮した4つ対5つおよび6つのセンサアーキテクチャの数値シミュレーションにより、円周に沿って等間隔に離間したセンサを追加すると、角度測定のより高次の高調波が減少し、それによりダイヤルおよび投与エラーの変動が減少することが示された。通常生産の焼結N35Neo磁石(元は不均一な特性を示すもの)、カスタマイズされた生産方法による焼結N35磁石(より厳密な制御あり)、および焼結N50Neo高グレード磁石による様々なテストを実行して、センサアーキテクチャ効果を互いに、かつ数値モデリングシミュレーションと比較すると、3次高調波が角度測定に最も大きな影響を与えることがわかった。この目的のために、5つのセンサアーキテクチャは、4つのセンサアーキテクチャよりも優れた3次高調波歪みを削除することができたが、6つのセンサアーキテクチャでは最大4次の高調波を削除することができた。
【0141】
図42では、磁石の形状およびその特性に基づく回転位置検知中の(ライン1010で)磁束波形の計算された所望の数学的モデルと比較した、4つのセンサアーキテクチャの360度に沿った回転位置検知中に(ライン1000で)測定された回転磁束波形の偏差につながる、より高次の高調波からのエラー寄与の影響。2つのライン1000と1010との間のこのような偏差は、4つのセンサシステムのダイヤルエラーに寄与する可能性がある。
【0142】
テストデータから、5つまたは6つの磁気センサを備えたモジュールは、歪みエラーを大幅に減少させるように構成されており、その様態では、センサ/リング配列からの磁石の歪みから2度以下になる許容可能なダイヤルエラーの寄与を生成する可能性が高い。一例では、
図43において、多くの通常生産の磁石について、4つのセンサアーキテクチャのダイヤルエラーは平均6.5度(ライン1100で)であった。同様の通常生産の磁石による5つのセンサアーキテクチャのダイヤルエラーは、それぞれ平均1.2度(ライン1110で)であり、さらに6つのセンサアーキテクチャでは平均0.5度(ライン1120で)であった。通常生産のN35磁気リングを備えた5つのセンサまたは6つのセンサアーキテクチャは、4つのセンサアーキテクチャと比較して、ダイヤルエラーを5倍以上減少させたことが示されている。カスタム生産磁石による5つのセンサまたは6つのセンサアーキテクチャは、4つのセンサアーキテクチャと比較して、エラーを3倍以上減少させたことが示されている。
図44では、カスタマイズされた生産磁石について、ダイヤルエラーは、4つのセンサ(ライン1200で)から5つのセンサアーキテクチャ(ライン1210で)まで、それぞれ平均1.4度から平均0.4度まで減少し、6つのセンサアーキテクチャ(ライン1220で)では平均0.4度減少した。
【0143】
図45は、4つのセンサおよび5つのセンサシステムの通常の生産方法によって生産されたN35グレードの焼結磁気リングの3ロット(1301、1302、1303)からの高調波変動の割合を要約している。4つのセンサアーキテクチャ(ライン1310で)は、平均最大3.8パーセントの3次高調波を示し、5つのセンサアーキテクチャ(ライン1320で)は、3次高調波で約0パーセントを示した。5つのセンサアーキテクチャ(ライン1320で)は平均最大0.8パーセントの4次高調波を示し、4つのセンサアーキテクチャ(ライン1340で)は4次高調波で約0パーセントを示した。主波形への第3高調波の寄与は、
図43に示されるように、4つのセンサアーキテクチャのダイヤルエラーを6度以上にしたものであり、5つのセンサまたは6つのセンサアーキテクチャへのセンサの追加による第3高調波の減少による主波形の改善により、
図43に示されるように、ダイヤルエラーが2度未満に減少される。
【0144】
用量送達検出システムのさらなる例示的な実施形態が、
図30~
図34に提供される。実施形態は、
図1~
図5に関して共通の詳細が既に提供されているため、若干概略的に示されている。本明細書では、用量送達の磁気検知を利用する薬物送達装置のいくつかの例示的な実施形態を記載する。例えば、磁石または金属リングなどのリング形状の要素は、接着剤、溶接、または機械的取り付けなどの様々な取り付け手段によって、装置の用量ダイヤル部材および/またはフランジにしっかりと固定することができる。大量生産の場合、取り付け手段が有益な場合がある。
図30~
図34では、薬物送達装置の一部を形成するフランジにリング形状の要素を装着する例示的な様態が示されている。
図30は、単一ユニットとして回転し、かつ軸方向に移動する一体型単一ユニット(
図31に示されるように)として互いに結合された軸方向に整列した構成要素を示しており、これには、ダイヤル部材700、例示的なクラッチ702、回転センサ706を受け入れる、例えばフランジ704などの用量設定構成要素、回転センサ706をフランジ704にしっかりと結合するキャリア708、用量ボタン712を付勢するためのボタンばね710が含まれる。フランジの代わりに、本明細書に記載の他の用量設定構成要素を使用してもよい。用量ボタン712は、本明細書に記載のボタンのうちのいずれかの構成を有し得る。
図31を参照し、
図1~
図4に関して前述したように、薬物送達装置720は、装置本体722内に装着されたダイヤル部材700を含む。フランジ704は、用量ダイヤル部材700内に受け入れられ、クラッチ702は、フランジ704内に配設される。用量ダイヤル部材700、フランジ704は、一緒に回転可能に固定され、用量設定および/または設定もしくは送達用量の量に直接関係する用量送達中に回転する。クラッチ702は、用量ボタン712が装着されるステム724を含む。ばね710は、用量ボタン712とフランジ704との間で作用して、用量ボタン712をフランジ704から近位に離れるように付勢する。前述のように、薬物送達装置は、フランジに取り付けられた回転センサをさらに備え、例えばセンサは用量ボタン内に完全に収容されている。本明細書に記載のモジュールのうちのいずれも、用量設定および/または送達中に回転センサ706の回転を検出して、関与する用量の量を決定する電子機器アセンブリおよび検知素子を含む。
【0145】
フランジ704は、形状がほぼ円筒形であり、側壁734の端部に近位軸方向表面732を画定する。フランジ704は、近位表面732の内部にある中央開口部736をさらに画定する。
図32に示されるように、回転センサ706は、環状磁石、金属リング、または磁化もしくは金属化ポリマーリングなどの環状形状を有し、フランジ704の近位表面732上に配設される。キャリア708は、近位表面732の反対側の回転センサ706の近位表面に対して配設され、センサ706をそれらの間に挟むように配設される、重なり合う近位リップまたは支持体742を含む。支持体742は、ほぼリング形状の構成要素として示されているが、代替的に、セグメント化されたリングまたは回転センサ706の周りで離間した複数の支持体を備えてもよい。
【0146】
この構成では、キャリア708は、支持体742をセンサ706に対して遠位方向に当接させることにより、フランジ704の上部の位置にセンサ706を保持する。これは、キャリア708をフランジ704に対して軸方向に固定することで実現される。一実施形態では、キャリア708は、例えばセンサ706の遠位の位置で、フランジ704に直接取り付けられる。別の例示的な実施形態では、キャリア704は、キャリア708を用量ボタン712から離れるように付勢するばね710によって、またはキャリア704をフランジ704に向かって引っ張るように作用するばねによってなど、遠位方向にばね付勢される。
【0147】
再び
図30を参照すると、キャリア708は、キャリアを通って延在するほぼ軸方向の孔754の周りで円周方向に互いに離間した複数の軸方向に延在する脚部752を有する管状本体750を含む。本体750は、フランジに対して回転センサ706を捕捉するようサイズ決定された支持体742を含む。本体750は、センサ706の内径または断面積を受け入れるようサイズ決定されている。
図31に示されるように、支持体742は、本体750のサイズを超えて半径方向外向きに延在する。本体750の部分は、そこから垂下する脚部772を備えており、センサ706の軸方向厚さのサイズまで支持体742から遠位に離れるように配設され、センサ706の遠位面に係合するスナップラジアルリップ771を含み得る。
図34に示されるように、脚部772のそれぞれは、フランジの側壁734に形成された対応する好適にサイズ決定された軸方向スロット760内に挿入するようサイズ決定および形状決定された半径方向内向きの突出要素756を含む。スロットは、摩擦係合により2つの構成要素が回転可能に係止され、それらの間にトルクが伝達されるように、要素756をぴったりと受け入れるようなサイズに決定することができる。
【0148】
要素756の半径方向端部は、
図31および
図33に示されるように、フランジ704の中央ハブと係合していてもよい。
図31に示されるように、1つの手法では、キャリア708の脚部752は、フランジ704の開口部736内に挿入されたときに、フランジ704の円筒状内面759に沿って確実に摩擦係合するようにサイズ決定された円周方向の断面スパンを画定する。一例では、脚部752は中央開口部736内に延在し、1つの手法では、センサ706の遠位の位置でフランジ704に直接取り付けられる。ばね710の関連する配置は、
図31および
図33に示されている。フランジ704は、その近位軸方向表面732に形成された半径方向スロット762を含み得る。スロット760は、
図31に示されるように、脚部752の内面が半径方向スロット762を画定する外壁の内面と密接に整列するような様態でフランジに形成される。この構成では、ばね710の遠位端は、半径方向スロット762内に配設される。半径方向スロット762を画定する壁は、ばね710の遠位端を支持し、装着カラーで用量ボタンに当接することを可能にし、それにより、キャリア708を用量ボタンから遠位方向に離れるように付勢する。
【0149】
キャリア708の様々な構成要素は、部分的または完全な円周方向部材のいずれかを備え得る。例えば、キャリア708の本体は、フランジの周りに完全に延在し得るか、または離間したセグメントとして形成され得る。有利には、キャリアの使用は、回転センサが接着剤を使用せずに所定の位置にしっかりと保持されることを意味する。接着剤を使用することができるが、接着剤は製造プロセスを複雑にする可能性がある。
【0150】
電子機器アセンブリ610は、電源および関連する接触子用の電池621、プログラムされた命令を実行するためのMCU、プログラムおよびデータを格納するためのメモリ、データを送信および/または受信するための通信アセンブリ、時間を追跡するためのタイマー、ならびに説明されている様々なスイッチおよびセンサを含む、モジュール600ならびに本明細書に記載の他のモジュールのうちのいずれかのための様々な動作可能に接続された構成要素を含む。例えば、モジュール82、232、400、または600などの本明細書に記載のモジュールのうちのいずれも、前述のセンサシステム150と共に使用するための検知素子160を収容するように構成されることを含む、本明細書に記載の電子機器アセンブリのうちのいずれかを収容するように構成され得る。
【0151】
図46は、本明細書に記載のモジュールのうちのいずれかに含まれ得る、1400と呼ばれる電子機器アセンブリの例を示している。MCUは、モジュールの電子機能を実現するようにプログラムされている。MCUは、アクチュエータに対する用量送達部材の検出された回転に基づいて薬物送達装置によって送達される用量を決定するのに使用されるデータを得ることを含む、本明細書に記載の動作を実行するように動作可能な制御ロジックを含む。MCUは、フランジに固定された回転センサの回転量を決定することによりデータを得るように動作可能であり得、これは、例えばホール効果センサなどのシステムの測定センサの検知素子によって回転センサの磁場を検出することにより決定される。
【0152】
アセンブリは、用量センサ1402A~E、メモリ1408、識別センサ1404、カウンター1414、光駆動部1411および光インジケータ1412、電源投入モジュール1406、通信モジュール1410、表示部駆動部/表示部1416、電源1418、ならびにプレゼンスモジュール1420のうちの1つ以上に動作可能に結合され得るMCUを含む。アセンブリ1400は、例えば、5つの磁気センサ1402A~E(図示)または6つのセンサなど、任意の数の用量センサを含み得る。MCUは、総回転単位を決定するように構成されている。MCUは、プレゼンススイッチシステムのトリガーを介してモジュールが装置のボタンに結合されているかどうかを判定するために、この実施形態では破線でオプションであると示されているプレゼンスモジュール1420を介して構成され得る。MCUは、識別センサ1404を介して用量ボタンの色を決定するように構成されており、いくつかの例では、特定の薬物に対応する、オンボードまたはオフボードで決定された色データを外部装置に関連付ける。MCUは、パワーオンモジュール1406として示される、使用のために電子機器アセンブリの電源を入れるためにウェイクアップスイッチのトリガーを決定するように構成される。一例では、全回転は、データベース、早見表、またはメモリに格納された他のデータを有するメモリを含む外部装置と通信して、総回転単位を特定された所与の薬剤に対して送達される薬剤の量に相関させることができる。別の例では、MCUは、送達される薬物の量を決定するように構成され得る。MCUは、検出された用量をローカルメモリ1408(例えば、内部フラッシュメモリまたはオンボードEEPROM)に格納するように動作可能であり得る。MCUはさらに、例えば、回転ユニット(いずれか1つまたはそれらの任意の組み合わせ)、薬物識別(色など)データ、タイムスタンプ、最終投与からの時間、電池の充電状態、モジュール識別番号、モジュールの着脱時間、非アクティブ時間、および/またはその他のエラー(例えば、用量検出および/または送信エラー、薬剤識別検出および/または送信エラーなど)などの装置データを表す信号を、Bluetooth低エネルギー(BLE)または他の好適な短距離もしくは長距離無線通信プロトコルモジュール1410(例えば、近距離無線通信(NFC)、WIFI、またはセルラーネットワーク)上のユーザのスマートフォンなどの対を成す遠隔電子装置に無線で送信するように動作可能である。例示的に、BLE制御ロジックおよびMCUは、同じ回路上に集積される。一例では、モジュール600などの本明細書に記載のモジュールのうちのいずれも、ユーザへの情報の表示のために、この実施形態では破線でオプションであると示されている表示部モジュール1420を含み得る。そのような表示部は、LED、LCD、またはその他のデジタルもしくはアナログ表示部であってもよく、近位部分の指パッドと一体化され得る。MCUは、検知されたデータを受信して処理し、例えば、用量設定、分注された用量、注射の状態、注射の完了、日付および/もしくは時間、または次の注射までの時間などの情報を当該表示部に表示するように動作可能な表示部駆動部ソフトウェアモジュールおよび制御ロジックを含む。別の例では、MCUは、データが正常に送信されたかどうか、電池の充電が高いかもしくは低いか、または他の臨床通信について、オン/オフのシーケンスおよび異なる色によって患者と通信するために使用される、例えば、RGB LED、オレンジ色LED、および緑色LEDなどの1つ以上のLED1412に結合されたLED駆動部1411を含む。カウンター1414は、例えば投与時間などの時間を追跡するためにMCUに電子的に結合されたリアルタイムクロック(RTC)として示されている。カウンター1414は、通電に基づいてゼロからの秒を追跡する時間カウンターでもあり得る。時間またはカウント値は、外部装置に通信することができる。
【0153】
用量検出システムは、例としてペン型注射器などの薬物送達装置の特定の設計を用いて説明されてきた。しかしながら、例示的な用量検出システムはまた、本明細書に記載の様態で動作可能な、代替的な薬物送達装置と共に、および他の検知構成と共に使用されてもよい。例えば、様々な検知およびスイッチシステムのうちのいずれか1つ以上がモジュールから省略される場合がある。
【0154】
本発明は、図面および前述の説明において詳細に示され、記載されてきたが、これらは例示的なものであり、本質的に限定するものではないと見なすべきである。例えば、装置検知モジュールは、投与量設定中に相対回転を経験する好適な部品を有する装置部分と共に機能するように適合されている場合、用量設定量を検知することができる。したがって、本出願は、その一般原則を使用して、本発明のあらゆる変形、使用、または適合を包含することが意図されている。さらに、本出願は、本発明が関係する技術分野における既知のまたは慣習的な実施内にある本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。本明細書に含まれる特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の範囲内にある全ての変更、等価、および修正は、保護されることが望まれる。
【0155】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、本開示において記載されている。
【0156】
1.薬物送達装置の用量ボタンへの取り外し可能な取り付けのための用量検出モジュールであって、用量ボタンが、円筒状のボタン側壁を有し、装置が、用量分注中に回転可能な被検知構成要素リングを含み、モジュールが、内部区画を画定するための近位壁アセンブリ、遠位壁、およびそれらの間に延在するモジュール側壁をモジュール長手方向軸の周りに含むハウジングであって、モジュール側壁が、遠位壁を越えて遠位方向に延在し、遠位壁が、互いに対して等角度で配設された複数の凹部を画定し、ハウジングが、ボタン側壁の周りに結合するように構成されている、ハウジングと、プロセッサ、およびプロセッサに動作可能に結合された複数のセンサを含む電子機器アセンブリであって、センサの各々が、対応する凹部内に固定的に配設され、センサが、被検知構成要素リングの回転運動を検出して位置信号を生成するように構成され、プロセッサが、分注される用量の量を示すデータを位置信号に基づいて決定するために、位置信号を受信するように構成されている、電子機器アセンブリと、を備える、モジュール。
2.被検知構成要素リングが、双極磁気リングを含み、センサが、双極磁気リングの外周と重なり合う配列で配設された磁気センサを含む、態様1に記載のモジュール。
3.磁気センサが、5つまたは6つの磁気センサを含む、態様2に記載のモジュール。
4.ハウジングが、光ガイド部材と、ポスト開口部を画定する遠位壁と、を含み、光ガイド部材が、ポスト開口部を通って磁気センサを越えて近位方向に延在する光ガイドポストを含み、電子機器アセンブリが、光ガイドポスト上に、かつそこから軸方向に離間して配設された色センサを含み、色センサが、プロセッサに動作可能に結合され、用量ボタンの色を放出および/または検出するように構成されている、態様1~3のいずれか1つに記載のモジュール。
5.光ガイド部材が、遠位壁にしっかりと固定されている、態様4に記載のモジュール。
6.光ガイド部材が、光ガイドポストから半径方向に離間している1つ以上の取り付けポストを含み、遠位壁が、光ガイドポストを受容する光ガイド孔、および対応する数の取り付けポストを受容する1つ以上の取り付け孔を含む、態様5に記載のモジュール。
7.電子機器アセンブリが、プロセッサに動作可能に結合された電池と、電池の近位側と摩擦接触する軸方向に圧縮可能な電池支持要素と、をさらに含む、態様1~6のいずれか1つに記載のモジュール。
8.電池が、センサの半径方向配置に対して断面積を有し、センサに遮蔽を提供するように、センサから軸方向に離間している、態様7に記載のモジュール。
9.電子機器アセンブリへの電力を増加させるように構成されたスイッチシステムをさらに備え、近位壁アセンブリが、装置の作動から、用量送達に必要な力よりも小さい力によってスイッチシステムを作動させるように、モジュール側壁および遠位壁に対して軸方向に移動可能である、態様1~8のいずれか1つに記載のモジュール。
10.スイッチシステムが、電子機器アセンブリと近位壁アセンブリとの間に延在する少なくとも1セットの付勢された接触アームと、プロセッサに動作可能に結合された対応する接触パッドと、を含み、近位壁アセンブリは、接触アームおよび接触パッドが互いに接触していない第1の近位位置と、接触アームおよび接触パッドが電子機器アセンブリへの電力の増加を可能にする接触関係にある第2の遠位位置との間でハウジングに対して軸方向に移動可能である、態様9に記載のモジュール。
11.スイッチシステムが、接触アームおよび対応する接触パッドの複数のセットを含み、セットの各々が、等間隔で互いに対して円周方向に配設され、接触関係にあるセットのうちの1つが、電子機器アセンブリへの電力の増加を可能にするように構成されている、態様10に記載のモジュール。
12.ハウジングが、近位壁アセンブリを近位位置に付勢するために、近位壁アセンブリとハウジング部分との間に結合された軸方向に圧縮可能な部材をさらに含む、態様9に記載のモジュール。
13.近位壁アセンブリが、光ガイドリングと、光ガイドリングによって画定される開口部上に配設された白色面または反射面と、を含み、光ガイドリングが、ハウジングのハウジング部分に結合された保持アームを含み、電子機器アセンブリが、光ガイドリングにおいて光を放出するように、プロセッサに動作可能に結合された光インジケータ要素を含む、態様1~12のいずれか1つに記載のモジュール。
14.ハウジングが、遠位壁から延在し、角度的に互いから離間している、複数の半径方向に屈曲可能なアームを含み、アームの各々が、近位方向に延在する支え部分を有する、態様1~13の態様のいずれか1つに記載のモジュール。
15.用量検出システムであって、投与部材にしっかりと結合され、用量設定および用量分注中に回転可能な磁気リングを有する薬物送達装置と、プロセッサ、およびプロセッサに動作可能に結合された複数の磁気センサを含む電子機器アセンブリであって、磁気センサが、磁気リングの外周に対して重なり合う位置にあり、磁気センサが、プロセッサに対してしっかりと固定され、磁気センサが、用量設定中に磁気リングに軸方向にかつ回転可能に係止され、用量分注中に磁気リングに対して軸方向にかつ回転可能に自由であり、磁気センサが、リングパターンを画定するように互いに対して等角度で配設され、用量分注の際に磁気センサが、磁気リングの回転移動を検出して位置信号を生成するために、遠位方向に磁気リングのより近くに移動し、回転する磁気リングに対して静止したままとなり、プロセッサが、分注された投与量を示すデータを位置信号に基づいて決定するために、位置信号を受信するように構成されている、電子機器アセンブリと、を備える、システム。
16.複数の磁気センサが、5つまたは6つの磁気センサを含み、磁気リングが、双極磁気リングを含む、態様15に記載のシステム。
17.磁気センサの各々が、磁気センサの中心からモジュールの軸まで画定される半径方向距離で等半径で離間しており、半径方向距離が、磁気リングの外半径の距離に等しくなるようにサイズ決定されている、態様15および16のいずれか1つに記載のシステム。
18.電子機器アセンブリが配設される内部区画を画定するための近位壁アセンブリ、遠位壁、およびそれらの間に結合された側壁を含むモジュールハウジングをさらに備え、遠位壁は、磁気センサが配設される複数の凹部を画定している、態様15~17のいずれか1つに記載のシステム。
19.モジュールハウジングが、光ガイド部材と、ポスト開口部を画定する遠位壁と、を含み、光ガイド部材が、ポスト開口部を通って磁気センサを越えて近位方向に延在する光ガイドポストを含み、光ガイド部材が、遠位壁にしっかりと固定されている、態様18に記載のシステム。
20.電子機器アセンブリが、磁気センサの近位に配設され、かつプロセッサに動作可能に結合された電池をさらに含む、態様18~19のいずれか1つに記載のシステム
21.電池の近位側と摩擦接触する軸方向に圧縮可能な電池支持要素をさらに備える、態様20に記載のシステム。
22.電子機器アセンブリへの電力を増加させるように構成されたスイッチシステムをさらに備え、近位壁アセンブリが、スイッチシステムを作動させるように、側壁および遠位壁に対して軸方向に移動可能である、態様18~21のいずれか1つに記載のシステム。
23.スイッチシステムが、付勢された接触アームおよび対応する接触パッドの少なくとも1つのセットを含み、付勢された接触アームが、近位壁アセンブリを近位位置に付勢するように、電子機器アセンブリと近位壁アセンブリとの間に延在し、接触アームが、近位壁アセンブリと遠位方向に延在する先端とを係合する角度付きジョイントを含み、接触パッドが、電子機器アセンブリに結合され、プロセッサに動作可能に結合され、近位壁は、先端および接触パッドが電子機器アセンブリへの電力の増加を可能にする接触関係にあるように、遠位位置にモジュールハウジングに対して軸方向に移動可能である、態様22に記載のシステム。
24.近位壁アセンブリが、光ガイドリングを含み、電子機器アセンブリが、光ガイドリングにおいて光を放出するように、プロセッサに動作可能に結合された光インジケータ要素を含む、態様18~23のいずれか1つに記載のシステム。
25.光ガイドリングが、ハウジング部分に結合された保持スナップアームを含み、モジュールハウジングが、近位壁アセンブリを近位位置に付勢するように、光ガイドリングと第1のスペーサ要素との間に結合された圧縮可能なガスケットをさらに含む、態様24に記載のシステム。
26.近位壁アセンブリが、光ガイドリングによって画定された開口部上に配設された白色面または反射面を有する要素を含む、態様24に記載のシステム。
27.モジュールハウジングが、遠位壁から延在する複数の半径方向に屈曲可能なアームを含み、アームが、装置からのモジュールハウジングの取り付けおよび脱離を可能にするように構成された近位方向に延在した部分を有する、態様18~26の態様のいずれか1つに記載のシステム。
28.磁気リングが、双極磁気リングを含み、磁気センサおよび双極磁気リング配列からのダイヤルエラーへの寄与は、2度以下であり、ダイヤルエラーが、双極磁気リングの物理的な回転位置に対応するダイヤル位置と、磁気センサによって検知された双極磁気リングの被検知回転位置に対応する被検出位置との間の差である、態様15~27のいずれか1つに記載のシステム。
29.薬物送達装置の用量ボタンへの取り外し可能な取り付けのためのモジュールであって、用量ボタンが、円筒状の側壁および上面を有する頂壁を有し、用量ボタンが、円筒状の側壁を越えて頂壁で外向きに延在する半径方向リップをさらに含み、モジュールが、近位壁、遠位壁、および近位壁と遠位壁との間に延在し、それらとの区画を形成する周囲側壁を含むハウジングと、ハウジング区画内に受容された電子機器アセンブリであって、プロセッサ、およびプロセッサに動作可能に結合された測定センサを含む、電子機器アセンブリと、ハウジングに結合され、そこから遠位方向に延在する複数のアームであって、アームの各々が、アームの半径方向内向きに延在する支え部分を含み、アームの各々が、用量ボタンの半径方向リップを越えて遠位方向に延在して、モジュールが取り付けられたときに、用量ボタンの半径方向リップに遠位である係合位置で用量ボタンの円筒状の側壁と係合するように支え部分を位置決めするようにサイズは決定され、アームの各々は、モジュールが装置に取り付けられるか、またはそこから脱離されたときに半径方向リップを取り除くように、半径方向外向きに屈曲するように構成され、アームの各々が、モジュールが取り付けられたときに、円筒状の側壁に対して係合位置で半径方向内向きの力を加えるように構成されている、複数のアームと、を備える、モジュール。
30.遠位壁は、モジュールが取り付けられたときに、用量ボタンの上面に対して受容されるように構成された遠位表面を有する、態様29に記載のモジュール。
31.アームが、等半径で互いから離間している、態様29および30のいずれか1つに記載のモジュール。
32.アームが、ハウジングの壁に取り付けられている、態様31に記載のモジュール。
33.アームが、J形状を有するように形成されている、態様32に記載のモジュール。
34.アームの支え部分は、モジュールが取り付けられたときに、用量ボタンの半径方向リップの下側に対して、またはそれに近接して受容されるように構成された表面を含む、態様31に記載のモジュール。
35.アームが、遠位壁と一体的に形成されている、態様31に記載のモジュール。
36.アームは、用量ボタンからモジュールを取り外すための脱離力が、用量ボタンにモジュールを装着するための取り付け力の少なくとも2倍であるように構成されている、態様29~35のいずれか1つに記載のモジュール。
37.ハウジングの近位壁内に配設され、かつそれに対して軸方向に移動可能な移動可能なセグメントを含むウェイクアップスイッチシステムと、プロセッサに動作可能に結合されたウェイクアップスイッチと、をさらに備える、態様29~36のいずれか1つに記載のモジュール。
38.ウェイクアップスイッチシステムが、移動可能なセグメントとウェイクアップスイッチとの間に配設された屈曲可能なシュラウドを含み、シュラウドが、複数の半径方向に延在する脚部を含む、態様37に記載のモジュール。
39.脚部が、第1のセットの固定脚部および第2のセットの自由脚部を含む、態様38に記載のモジュール。
40.プレゼンススイッチと、ハウジングの遠位壁によって画定された開口部内にスライド可能に配設された、付勢された軸方向アクチュエータとを含むプレゼンススイッチシステムをさらに備える、態様29~39のいずれか1つに記載のモジュール。
41.軸方向アクチュエータは、モジュールが用量ボタンから脱離されたときに、プレゼンススイッチのスイッチアームをトリガーするように位置決めされた外半径方向リムを含む、態様40に記載のモジュール。
42.装置の薬物のタイプを示すデータを検出するように構成された薬物識別システムをさらに備える、態様29~41のいずれか1つに記載のモジュール。
43.薬物識別システムが、プロセッサに動作可能に結合されたRGBセンサを含み、ハウジングの遠位壁が、内部に画定された孔を含み、孔は、モジュールが取り付けられたときに、ダイヤルボタンの上面の色検出を可能にするように、RGBセンサ上に軸方向に位置決めされている、態様42に記載のモジュール。
44.電子機器アセンブリが、互いに電気的に結合された第1のセグメント、第2のセグメント、および第3のセグメントを含み、第3のセグメントが、第1および第2のセグメントの間に配設されている、態様29~43のいずれか1つに記載のモジュール。
45.電子機器アセンブリの第1のセグメントが、上部に動作可能に装着されたウェイクアップスイッチを含み、第3のセグメントが、上部に動作可能に装着された薬物識別センサを含む、態様44に記載のモジュール。
46.ハウジングの遠位壁に画定されたセンサ凹部をさらに含み、測定センサが、等角度で互いから離間している複数の磁石センサを含み、各磁石センサが、対応するセンサ凹部内に配設されている、態様29~45のいずれか1つに記載のモジュール。
47.薬物送達システムであって、装置本体、および装置本体の近位部分に配設された用量ボタンを含む薬物送達装置であって、用量ボタンが、円筒状の側壁、および上面を有する頂壁を含み、用量ボタンが、円筒状の側壁の半径方向外向きの頂壁の延長によって形成されたリップをさらに含み、用量ボタンが、回転センサ、および回転センサに結合されたキャリアを含む、薬物送達装置と、薬物送達装置に装着されたモジュールであって、モジュールが、近位壁、遠位壁、および近位壁と遠位壁との間に延在し、かつそれらとの区画を形成する周囲側壁を含むハウジング、ハウジング区画内に受容されたセンサアセンブリであって、回転センサの動きを検出するように構成された測定センサ、電池、メモリ、プロセッサ、および通信アセンブリを含む電子機器アセンブリを含む、センサアセンブリ、ならびに、ハウジングに結合され、そこから遠位方向に延在する複数のアームであって、各々が、アームの半径方向内向きに延在する支え部分を含む、アーム、を含む、モジュールと、を備え、モジュールが用量ボタンに装着されたときに、アームの各々は、用量ボタンの半径方向リップに遠位である係合位置で用量ボタンの円筒状の側壁に係合する支え部分を位置決めするように、用量ボタンの半径方向リップを越えて遠位方向に延在し、アームの各々が、円筒状の側壁に対して係合位置で半径方向内向きの力を加えるように構成され、アームの各々は、モジュールが装置から取り外されたときに半径方向リップを取り除くように、半径方向外向きに屈曲するように構成されている、システム。
48.アームの軸方向延長部が、用量ボタンの側壁の近位部分に沿って支え部分を配置するように、遠位壁を越える、態様47に記載のシステム。
49.支え部分の係合表面が、半径方向リップの軸方向厚さよりも軸方向に大きくサイズ決定されている、態様47~48のいずれか1つに記載のシステム。