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特許7030969フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20220228BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/38
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020522814
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 KR2018013074
(87)【国際公開番号】W WO2019088684
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】10-2017-0143045
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】リュ, ハン スブ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドン ピル
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/082652(WO,A1)
【文献】特表2012-503451(JP,A)
【文献】特開2000-138512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190678(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255856(US,A1)
【文献】特開2010-200207(JP,A)
【文献】特開平03-113901(JP,A)
【文献】特開平01-188003(JP,A)
【文献】特開2017-175540(JP,A)
【文献】国際公開第2006/106759(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0040773(KR,A)
【文献】国際公開第2016/163838(WO,A1)
【文献】特表2018-535590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261026(US,A1)
【文献】特開2010-283855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/00
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層と、
前記誘電層の上面上に配列された、互いに異なる周波数領域帯の複数の放射パターンと、
前記放射パターンのそれぞれから分岐され、前記誘電層の前記上面上で前記放射パターンのそれぞれと一体に形成され、前記放射パターンと同一層に配置される伝送線路と、
前記伝送線路に共に接続される駆動回路部とを含み、
前記複数の放射パターンは、それぞれ単一のループ状を呈し、互いに電気的、物理的に分離され、いずれかの放射パターン内の空間に他の放射パターンが配置され
20~60GHzの範囲の高周波数帯域で駆動可能なことを特徴とするフィルムアンテナ。
【請求項2】
前記放射パターンは、前記駆動回路部から順次配列される第1の放射パターン、第2の放射パターン及び第3の放射パターンを含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項3】
前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンに行くほど共振周波数が減少する、請求項2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項4】
前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンは、前記駆動回路部により独立して制御される、請求項2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項5】
前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンは、それぞれ単一のループ状を呈し、
前記第2の放射パターン内の空間に前記第1の放射パターンが配置され、前記第3の放射パターン内の空間に前記第2の放射パターンが配置される、請求項2に記載のフィルムアンテナ。
【請求項6】
前記放射パターンの間または前記放射パターン内の空間には、ダミーメッシュパターンが形成される、請求項5に記載のフィルムアンテナ。
【請求項7】
前記ダミーメッシュパターンは、分節部を含む、請求項6に記載のフィルムアンテナ。
【請求項8】
前記放射パターンは、メッシュパターン構造を含む、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項9】
前記駆動回路部は、複数形成され、前記駆動回路部ごとに互いに異なる前記周波数領域帯の前記複数の放射パターンが集積される、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項10】
前記放射パターンは、同一平面上に配置される、請求項1に記載のフィルムアンテナ。
【請求項11】
前記放射パターンが形成された前記誘電層と、
前記誘電層の下に配置されたグランド層とをさらに含む、請求項10に記載のフィルムアンテナ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルムアンテナを含む、画像表示装置。
【請求項13】
前記フィルムアンテナは、前記画像表示装置の前面部に配置される、請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記放射パターンは、前記画像表示装置の表示領域上に配置される、請求項13に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムアンテナ及びそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、電極および誘電層を含むフィルムアンテナ、並びにそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)などの無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0003】
また、最近では、透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイなどの薄型、高透明、高解像度のディスプレイ装置が開発され、前記アンテナもまた、限られた厚さ内で向上した送受信感度を持つように開発される必要がある。
【0004】
しかしながら、アンテナが搭載されるディスプレイ装置がより薄型、軽量化されることによって、前記アンテナが占めるスペースも減少し得る。このため、広帯域で様々な種類の信号に感度を持つようにアンテナを設計することが困難になることがある。
【0005】
また、アンテナが前記ディスプレイ装置の前面に配置される場合には、画像品質に影響を与えないように高透明度を持つ必要がある。
【0006】
例えば、韓国公開特許第2003-0095557号は、携帯用端末に内蔵されるアンテナ構造を開示しているが、前述のようなディスプレイ装置の最近の開発動向に適用するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、向上した放射特性および光学的特性を有するフィルムアンテナを提供することである。
【0008】
本発明の課題は、向上した放射特性および光学的特性を有するフィルムアンテナを含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.互いに異なる周波数領域帯の複数の放射パターンと、
前記放射パターンのそれぞれから分岐される伝送線路と、
前記伝送線路に共に接続される駆動回路部とを含む、フィルムアンテナ。
【0010】
2.前記項目1において、前記放射パターンは、前記駆動回路部から順次配列される第1の放射パターン、第2の放射パターン及び第3の放射パターンを含む、フィルムアンテナ。
【0011】
3.前記項目2において、前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンに行くほど共振周波数が減少する、フィルムアンテナ。
【0012】
4.前記項目2において、前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンは、前記駆動回路部により独立して制御される、フィルムアンテナ。
【0013】
5.前記項目2において、前記第1の放射パターン、前記第2の放射パターン及び前記第3の放射パターンは、それぞれループ状を呈し、
前記第2の放射パターン内の空間に前記第1の放射パターンが配置され、前記第3の放射パターン内の空間に前記第2の放射パターンが配置される、フィルムアンテナ。
【0014】
6.前記項目5において、前記放射パターンの間または前記放射パターン内の空間には、ダミーメッシュパターンが形成される、フィルムアンテナ。
【0015】
7.前記項目6において、前記ダミーメッシュパターンは、分節部を含む、フィルムアンテナ。
【0016】
8.前記項目1において、前記放射パターンは、メッシュパターン構造を含む、フィルムアンテナ。
【0017】
9.前記項目1において、前記駆動回路部は、複数形成され、前記駆動回路部ごとに互いに異なる前記周波数領域帯の前記複数の放射パターンが集積される、フィルムアンテナ。
【0018】
10.前記項目1において、前記放射パターンは、同一平面上に配置される、フィルムアンテナ。
【0019】
11.前記項目10において、前記放射パターンが形成された誘電層と、
前記誘電層の下に配置されたグランド層とをさらに含む、フィルムアンテナ。
【0020】
12.前記項目1~11のいずれかのフィルムアンテナを含む、画像表示装置。
【0021】
13.前記項目12において、前記フィルムアンテナは、前記画像表示装置の前面部に配置される、画像表示装置。
【0022】
14.前記項目13において、前記放射パターンは、前記画像表示装置の表示領域上に配置される、画像表示装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態に係るフィルムアンテナは、同一平面内で互いに順次配列される互いに異なる周波数帯域の放射パターンを含む。これにより、限られたスペース内で複数の異なる種類の周波数に感度を持つ広帯域アンテナを実現できる。
【0024】
前記放射パターンは、伝送線路を介して一つの駆動回路部に接続することができる。これにより、異なる周波数帯域の各放射パターンを一括して制御し、より集積化して前記フィルムアンテナに組み込むことができる。また、前記放射パターンを用いて、所望の周波数を選択的に送受信し、信号感度および放射効率を向上させることができる。
【0025】
例示的な実施形態によると、前記放射パターンの間には、メッシュパターン構造のダミーパターンが形成される。これにより、アンテナの透過率が向上し、電極の視認を防止できる。
【0026】
例示的な実施形態によると、前記フィルムアンテナは、ディスプレイ装置の前面上に配置され、高透過率および広帯域通信が可能なディスプレイ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図2図2は、例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略断面図である。
図3図3は、一部の例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図4図4は、一部の例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図5図5は、前記フィルムアンテナのダミーメッシュパターンの構造を示す部分拡大図である。
図6図6は、前記フィルムアンテナのダミーメッシュパターンの構造を示す部分拡大図である。
図7図7は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置に適用されるフィルムアンテナを示す概略平面図である。
図8図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態は、互いに異なる周波数領域帯の複数の放射パターンと、前記放射パターンのそれぞれから分岐される伝送線路と、前記伝送線路に共に接続される駆動回路部とを含むフィルムアンテナを提供する。また、本発明の実施形態は、前記フィルムアンテナを含み、広帯域通信機能が実現可能なディスプレイ装置を提供する。
【0029】
前記フィルムアンテナは、例えば、透明フィルムの形で製作されるマイクロストリップパッチアンテナ(microstrip patch antenna)であってもよい。前記フィルムアンテナは、例えば、3G~5G移動通信のための通信機器に適用できる。例えば、前記フィルムアンテナは、約1GHz以上、一実施形態では約20~60GHzの範囲の高周波数帯域で駆動可能である。また、前記フィルムアンテナは、例えば1GHz以下の周波数帯域でも共に駆動できる。
【0030】
また、本発明の実施形態は、前記フィルムアンテナを含むディスプレイ装置を提供するものである。
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0032】
図1及び図2は、それぞれ例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略の平面図および断面図である。
【0033】
図1及び図2を参照すると、前記フィルムアンテナは、誘電層100と、該誘電層100上に形成された電極層115とを含むことができる。電極層115は、放射パターン110と、伝送線路120とを含むことができる。
【0034】
誘電層100は、所定の誘電率を有する絶縁物質を含むことができる。誘電層100は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、金属酸化物などの無機絶縁物質、またはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、イミド系の樹脂などの有機絶縁物質を含むことができる。誘電層100は、放射パターン110および伝送線路120が形成されるフィルムアンテナのフィルム基材として機能することができる。
【0035】
一部の実施形態では、誘電層100の誘電率は、約1~20の範囲に調節することができる。前記誘電率が約20を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、所望の、例えば25GHz~35GHzの範囲の高周波帯域(例えば5G帯域)での駆動を実現できないことがある。
【0036】
例示的な実施形態によると、放射パターン110は、互いに異なる共振周波数を有する複数の放射パターンを含むことができる。一部の実施形態では、放射パターン110は、それぞれ異なる共振周波数を有する第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116を含むことができる。
【0037】
図1に示すように、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116は、誘電層100の一側から順次配列することができる。一部の実施形態では、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116は、ループ(loop)状を有することができる。図1では、各放射パターン110の形状が四角形で示されているが、これに限定されるものではなく、前記フィルムアンテナの面積、周波数などを考慮して適宜変更することができる。
【0038】
例えば、第1の放射パターン112は第2の放射パターン114の内部に含まれ、第2の放射パターン114は第3の放射パターン116の内部に含まれる形状に配列されてもよい。これにより、幅または長さが増加し、複数の放射パターン110が順次拡張されて配列され得る。
【0039】
例示的な実施形態によると、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116に行くほど、送受信可能な共振周波数が減少し得る。
【0040】
一部の実施形態では、第1の放射パターン112は、5G通信(例えば、約28~30GHz)、第2の放射パターン114は、ワイファイ(Wi-Fi、例えば、約2.5 ~5GHz)、また第3の放射パターン116は、4G通信(例えば、約1.7~2GHz)に該当する共振周波数を持つことができる。
【0041】
放射パターン110のそれぞれの共振周波数は、前記フィルムアンテナが搭載される電子機器の用途、構造によって、適宜変更または追加することができる。例えば、近距離無線通信(NFC)用の放射パターンを第3の放射パターン116の外部に配置することもできる。
【0042】
放射パターン110は、伝送線路120を介して駆動回路部DCに電気的に接続することができる。例示的な実施形態によると、前述した複数の放射パターン110が伝送線路120を介して、一つの駆動回路部DCによって集積または一体化できる。駆動回路部DCは、例えば、集積回路ICチップを含むことができる。
【0043】
第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116は、それぞれ、第1の伝送線路122、第2の伝送線路124及び第3の伝送線路126を介して駆動回路部DCに接続することができる。
【0044】
駆動回路部DCは、各放射パターン110を独立して駆動させることができる。例えば、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114及び第3の放射パターン116は、駆動回路部DCによりそれぞれ独立してオン/オフ(On/Off)することができる。
【0045】
一実現形態では、駆動回路部DCにより、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114または第3の放射パターン116のいずれか一つの放射パターンを選択して駆動することができる。一実現形態では、駆動回路部DCにより、第1の放射パターン112、第2の放射パターン114または第3の放射パターン116のうちの2以上の放射パターンを選択して駆動することができる。
【0046】
例示的な実施形態によると、放射パターン110は、誘電層100の上面上で、いずれも同一平面または同一レベル上に配置することができる。伝送線路120もまた、放射パターン110と共に同一平面上に配置することができる。これにより、複数の共振周波数に対応する放射パターンを、前述のループ状を用いて、単一のフィルムの限られたスペース内に収容することができる。これにより、前記フィルムアンテナによって、複数の共振周波数の選択的あるいは同時送受信を実現できる。
【0047】
また、誘電層100の誘電率を考慮して、受信可能な周波数によって各放射パターン110の幅または長さを調節することができる。
【0048】
放射パターン110及び/又は伝送線路120は、それぞれ銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、またはこれらの合金を含むことができる。これらは、単独であるいは2以上を組み合わせて使用することができる。例えば、放射パターン110及び/又は伝送線路120は、低抵抗の実現のために、銀(Ag)または銀合金を含むことができ、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金を含むことができる。
【0049】
一部の実施形態では、放射パターン110及び/又は伝送線路120は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)などの透明金属酸化物を含むことができる。
【0050】
一部の実施形態では、放射パターン110及び/又は伝送線路120は、透過率の向上のために、メッシュ(mesh)-パターン構造を含むこともできる。
【0051】
一部の実施形態では、放射パターン110は、高透過率の金属薄膜構造を持つことができる。例えば、放射パターン110は、約50~200Åの厚さのソリッド金属薄膜構造を有することができる。例えば、放射パターン110の透過率は約70%以上、好ましくは約80%以上であってもよい。
【0052】
一部の実施形態では、誘電層100の底面上にグランド層90を形成することができる。例えば、誘電層100によって電極層115とグランド層90との間で静電容量(capacitance)又はインダクタンス(inductance)が形成され、前記フィルムアンテナが駆動又はセンシングできる周波数帯域を調整することができる。例えば、前記フィルムアンテナは、垂直放射アンテナで提供することができる。
【0053】
グランド層90は、金属、合金または透明導電性酸化物を含むことができる。一実施形態では、前記フィルムアンテナが実装されるディスプレイ装置の導電性部材をグランド層90として提供することもできる。
【0054】
図3は、一部の例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
【0055】
図3を参照すると、各放射パターン110は、伝送線路120と共にループを形成することができる。この場合、各放射パターン110は、図3に点線の丸に示されているような開放領域を含み、前記開放領域を介して伝送線路120に接続することができる。
【0056】
図4は、一部の例示的な実施形態に係るフィルムアンテナを示す概略平面図である。
【0057】
図4を参照すると、各放射パターン110の内部または放射パターン110の間の空間は、ダミー領域として定義することができる。例えば、第1の放射パターン112の内部には、第1のダミー領域が定義され、第2の放射パターン114と第1の放射パターン112との間には、第2のダミー領域が定義され、第3の放射パターン116と第2の放射パターン114との間には、第3のダミー領域が定義され得る。
【0058】
例示的な実施形態によると、各ダミー領域内には、ダミーメッシュ(mesh)パターン130を形成することができる。前記第1のダミー領域内には第1のダミーメッシュパターン132を形成し、前記第2のダミー領域内には第2のダミーメッシュパターン134を形成し、前記第3のダミー領域内には第3のダミーメッシュパターン136を形成することができる。
【0059】
一部の実施形態では、放射パターン110もまたメッシュパターン構造を含むことができる。これにより、前記フィルムアンテナの透過率を向上できる。また、ダミーメッシュパターン130を形成することにより、パターン形状の違いによる電極の視認を低減することができる。
【0060】
各放射パターン110のプロファイルに沿って、分離領域140を形成することができる。分離領域140によって放射パターン110及びダミーメッシュパターン130を区分または絶縁することができる。
【0061】
一部の実施形態では、第3の放射パターン116の外部領域にもダミーメッシュパターンを形成することができる。例えば、メッシュパターン層を実質的に誘電層100の全面上に形成することができる。その後、前記メッシュパターン層をエッチングして分離領域140を形成することにより、放射パターン110及びダミーメッシュパターン130を定義することができる。
【0062】
一部の実施形態では、伝送線路120もまた前記メッシュパターン構造を含み、放射パターン110と一体に形成することができる。
【0063】
図5及び図6は、前記フィルムアンテナのダミーメッシュパターンの構造を示す部分拡大図である。
【0064】
図5を参照すると、ダミーメッシュパターン130は、互いに交わるように延長する電極ライン135によって、例えば、複数の単位メッシュ・ユニットを含むことができる。前記単位メッシュ・ユニットは、図5に示すように菱形形状を有することができる。
【0065】
一部の例示的な実施形態では、前記単位メッシュ・ユニットは、分節部C1を含むことができる。例えば、前記単位メッシュ・ユニットの各辺ごとに分節部C1を形成することができる。
【0066】
ダミーメッシュパターン130が分節部C1を含むことにより、ダミーメッシュパターン130は、実質的に絶縁体で提供することができる。これにより、隣接する放射パターン110に対する信号干渉を抑制しつつ、前記フィルムアンテナの光学的特性を向上させることができる。
【0067】
分節部の位置は、図5に示される例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0068】
図6を参照すると、一部の実施形態では、分節部C2は、ダミーメッシュパターン130に含まれた電極ライン135の交差領域(図5の「I」)に形成することもできる。
【0069】
例えば、図6に示すように、交差領域Iで少なくとも一部の電極ライン135が互いに断絶され、分節部C2を定義することができる。
【0070】
図7は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置に適用されるフィルムアンテナを示す概略平面図である。
【0071】
図7を参照すると、前記フィルムアンテナは、複数の駆動回路部DCを含むことができる。例えば、駆動回路部DCは、前記フィルムアンテナの両側部に分布することができる。
【0072】
前述のように、各駆動回路部によって互いに異なる周波数を有する放射パターン110が伝送線路120を介して集積または一体化することができる。
【0073】
また、駆動回路部DCをフィルムアンテナの周辺領域に沿って均等に分布させることにより、信号感度を向上させ、信号損失又は信号遮断を防止することができる。
【0074】
前述のように、放射パターン110及び伝送線路120を除いた誘電層100上の領域は、実質的にダミーメッシュパターンで充填することができる。
【0075】
図8は、例示的な実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略平面図である。例えば、図8は、ディスプレイ装置のウインドウを含む外部形状を示している。
【0076】
図8を参照すると、ディスプレイ装置200は、表示領域210及び周辺領域220を含むことができる。周辺領域220は、例えば、表示領域210の両側部及び/又は両端部に配置することができる。
【0077】
一部の実施形態では、前述のフィルムアンテナは、ディスプレイ装置200の前面に配置することができる。この場合、フィルムアンテナの放射パターン110及びダミーメッシュパターン130は、ディスプレイ装置200の表示領域210上に配置できる。前述のように、メッシュパターンを用いて透過率を向上させ、電極の視認を抑制することができる。
【0078】
フィルムアンテナの駆動回路部DCは、ディスプレイ装置200の周辺領域220に対応するように配置できる。周辺領域220は、例えば、ディスプレイ装置の遮光部またはベゼル部に相当し得る。
【0079】
例示的な実施形態によると、複数の駆動回路部DCおよび異なる共振周波数の放射パターン110により、高周波帯域及び低周波帯域を共に包括し、信号感度が向上した通信機能をディスプレイ装置200に実現することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8