(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】水殺菌方法および該方法に用いる給水栓接続装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20060101AFI20220228BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C02F1/32
A47K3/28
(21)【出願番号】P 2020523484
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 DE2018100463
(87)【国際公開番号】W WO2019011369
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】102017115743.3
(32)【優先日】2017-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520224786
【氏名又は名称】キュー ワン ホールディング アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Q One Holding AG
【住所又は居所原語表記】Buententerminal, Gueterstrasse 3, 6060 Sarnen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヘーネ
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0045995(KR,A)
【文献】特表2003-502113(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016112034(DE,A1)
【文献】特開平10-072853(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106216114(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
A47K 3/02- 4/00
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
E03C 1/00- 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースに
フレキシブルに接続された給水栓接続部(1
)と非使用時に前記給水栓接続部(1)を保持する(21)ための給水栓接続部ホルダ(2)とを備えた、建物または船
舶に設けられた給水設備において、UV照射により水を殺菌する方法であって、UV照射を前記給水栓接続部(1)において行う方法において、
前記方法は、
前記給水栓接続部ホルダ(2)内に、UV照射手段(3)を提供するステップと、
前記給水栓接続部(1)の使用後に、前記給水栓接続部ホルダ(2)内に前記給水栓接続部(1)を配置するステップと、
前記給水栓接続部(1)が前記給水栓接続部ホルダ(2)に
配置されているときに、
前記UV照射手段(3)からのUV
光線を
、前記給水栓接続部ホルダ(2)から
、前記給水栓接続部(1)
に設けられた第1のUV光線透過窓(15)を通して前記給水栓接続部(1)内を案内される水に照射させるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記給水栓接続部(1)が前記給水栓接続部ホルダ(2)内に保持された(21)後に、UV照射を開始しかつ所定の接続継続時間の間維持する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記給水栓接続部(1)を前記給水栓接続部ホルダ(2)内に次に再び保持させた(21)場合のUV照射は、所定の第1の反復インターバルを超過した場合にのみ開始される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
所定の第2の反復インターバルを超過したときに、前記給水栓接続部(1)が使用されていない場合には、UV照射が開始される、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
ホースに
フレキシブルに接続された給水栓接続部(1
)と非使用時に前記給水栓接続部(1)を保持する(21)ための給水栓接続部ホルダ(2)とを備え、前記給水栓接続部(1)内を案内される水に対してUV照射手段(3)が設けられている、建物または船
舶に設けられた給水設備における給水栓接続装置において、
前記UV照射手段(3)は、前記給水栓接続部ホルダ(2)内に配置されており、前記給水栓接続部(1)には
第1のUV光線透過窓(15)が配置されており、前記給水栓接続部ホルダ(2)内に該給水栓接続部(1)が保持された(21)場合に
、前記UV照射手段(3)
からのUV光線が前記第1のUV光線透過窓(15)を通して前記給水栓接続部(1)内を案内される水を照射するように
なっている、ことを特徴とする、給水栓接続装置。
【請求項6】
前記UV照射手段(3)は、UVC放射LED半導体(31)である、請求項5記載の給水栓接続装置。
【請求項7】
前記UV照射手段(3)は、給水栓接続部ホルダ(2)内に水密に配置されており、前記給水栓接続部ホルダ(2)には、前記給水栓接続部(1)の前記第1のUV光線透過窓(15)と向かい合うように第2のUV光透過窓(22)が設けられている、請求項5または6記載の給水栓接続装置。
【請求項8】
前記UV照射手段(3)には、低電圧供給によるまたは前記給水栓接続部ホルダ(2)に設けられたバッテリ(42)による電力供給部が対応して配置されている、請求項5、6または7記載の給水栓接続装置。
【請求項9】
前記給水栓接続部ホルダ(2)に、前記給水栓接続部(1)が非使用時に前記給水栓接続部ホルダ(2)に保持されている(21)場合に前記UV照射手段(3)を作動させる、作動手段(41)が設けられている、請求項5から8までのいずれか1項記載の給水栓接続装置。
【請求項10】
前記給水栓接続部(1)は、ノズル(13)を備えたハンドシャワーであり、該ハンドシャワー(1’)内において前記ノズル(13)の手前には、シェード手段(5)が配置されている、請求項5から9までのいずれか1項記載の給水栓接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースにフレキシブルに接続される給水栓接続部、特にハンドシャワーおよび非使用時に給水栓接続部を保持するための給水栓接続部ホルダを備えた、建物または船舶等に設けられた給水設備へのUV照射により、水を殺菌する方法であって、UV照射を給水栓接続部において行う方法に関する。さらに本発明は、ホースにフレキシブルに接続される給水栓接続部、特にハンドシャワーおよび非使用時に給水栓接続部を保持するための給水栓接続部ホルダを備えた、建物または船舶等に設けられた給水設備における給水栓接続装置であって、給水栓接続部内を案内される水に対するUV照射手段が設けられている給水栓接続装置に関する。
【0002】
建物および例えば船舶にも設けられている、使用水および飲用水用の給水設備は、その内部で病原菌、特にレジオネラ菌が増殖するため、病気の原因として繰り返し苦情を言われることになる。給水栓接続部内の乾かない残留水は、病原菌にその増殖を特に促進する条件を与えてしまう。よってこの場合、汚染水が特にシャワーヘッドから最小液滴で~霧状に放出されることになる。この水霧は容易に吸い込まれる恐れがあるため、人間にとって気道や肺が直接に汚染されるという危険をはらんでいる。レジオネラ菌による肺や気道の汚染は、重病になる恐れがある。
【0003】
多用される対策は、高温に調節された水による導管系全体の加熱およびその後の清水による導管系全体の完全洗浄であり、これにより、系からあらゆる残留病原菌を除去することができる。別の周知の対策は、紫外光(UV光)に基づく化学的、電気的および光技術的な方法を用いた、水の中央濾過または中央殺菌である。
【0004】
高温の水による洗浄の欠点は、このためのエネルギ消費量および水消費量が極めて高く、かつこの対策は定期的に繰り返されねばならない、という点にある。それにもかかわらず、特に危険にさらされたコンポーネント全てが効果的に殺菌されている、ということを保証するのは困難でしかない。
【0005】
中央濾過・殺菌システムの欠点は、この場合には望ましい微生物および水成分も減少または全滅させられる恐れがある、という点にある。水は、あらゆる成分を含むその本来の形態では自然食品であるため、中央殺菌は、全ての消費者の意向ではない。
【0006】
不都合にも、レジオネラ菌等の有害な病原菌を防ぐために中央に設置される全てのシステムは、特に危険にさらされる可能性のある栓接続部や特にシャワーヘッド等の、給水システムの複数箇所に不適切に設置される。これらの中央システムの場合にはむしろ、給水部全体を殺菌せねばならないことから大きな手間が生じるにもかかわらず、特に危険にさらされる箇所、つまり栓接続部および特にシャワーヘッドから、望ましくない病原菌増殖が十分に排除されてはいない。まさに栓接続部および特にシャワーヘッド内では、そこに残留水が残留していると、室温において空気の影響を受けて、レジオネラ菌の増殖が促進される恐れがある。さらに中央システムは、病原菌が非中央箇所において、場合により生じるコンポーネントの故障または別の理由によりシステム内に侵入して分散し、次いで病原菌にとって好適な箇所で増殖する、ということを防ぐことはできない。
【0007】
よって、給水栓接続部、特にシャワーヘッド内にUV照射するための装置が知られている。
【0008】
独国特許出願公開第10157355号明細書に記載の構成では、UV照射は、使用水を案内する、シャワーヘッドの直前の導管内、例えばシャワーホース内で行われる。よって導管内(ただしシャワーヘッド内ではない)に残留する残留水を、UV照射により殺菌することができる。
【0009】
独国特許出願公開第19639802号明細書から公知の同様のシャワーヘッドでは、シャワーヘッド内に残留する残留水が、給水栓接続部を閉じた後でもUVランプにより照射され、ひいては病原菌が除去されるようになっている。
【0010】
独国特許出願公開第19736636号明細書から公知の、給水栓接続部内の水からUV照射により病原菌を除去する装置では、まずUVランプを作動させ、次いで初めて、給水栓接続部から水流を解放する。つまり水流出開始前に、予め病原菌除去を行おうとする。
【0011】
類似の装置は、中国実用新案公告第203695256号明細書ならびに特開2001-334179号公報または韓国公開特許第10-2008-0093535号公報から公知である。
【0012】
同様に、独国実用新案第20105341号明細書には、水を殺菌しかつ病原菌を除去するための装置ならびにこのような装置を備えたシャワーヘッドが記載されている。この場合は通流装置のことであり、この通流装置は、内部に石英ガラスから成る細長い管を有しており、管内には紫外光放射ランプが設けられている。この場合、水は2つの環状室に流入しかつ再び戻る方向に流れるようになっており、両環状室は、流路内に設けられた別の石英ガラス管により隔離されているため、UV光が両方の流路に作用することができるようになっている。
【0013】
さらに米国特許出願公開第20160331855明細書から公知の殺菌システムでは、UV光源が給水栓接続部の内面または外面に、光線透過窓と共に組み込まれる、もしくはUV光線が、給水栓接続部ひいてはその内部を案内される水に、直接に入射させられるようになっている。
【0014】
不都合にも、公知のUV照射装置の場合には、UV光を用いた、給水栓接続部における直接的な殺菌は、そこに収納された照射素子によってしか達成され得ない。このことはやはり、エネルギ供給部を電気的に安全にかつスペース的にシャワーヘッドのケーシング内に収納しなければならないと共に、シャワーヘッド内にはUV照射素子も収納しなければならず、ハンドシャワーの使用時にユーザが持つ必要もある、ということに起因する。前掲の独国特許出願公開第10157355号明細書だけには、UV光線を使用水接続部の領域で、接続部材を介してハンドシャワーのフレキシブルなホース内に入射させることが提案されている。しかしながらこの構成には、シャワーヘッドにおける直接的なUV照射が実現され得ない、という欠点がある。つまりこれに相応して、シャワーヘッド内に存在する残留水がやはり病原菌、特にレジオネラ菌の増殖の温床として働く恐れがある。
【0015】
したがって本発明の課題は、ホースにフレキシブルに接続された給水栓接続部を用いて水を殺菌する方法もしくは給水栓接続部、つまり特にハンドシャワーが、UV照射手段も、相応するエネルギ供給部も有していないにもかかわらず、給水栓接続部内に位置する残留水のUV照射をも可能にする、相応する給水栓接続装置を提供することにある。
【0016】
この課題は、請求項1記載の方法および請求項5記載の給水栓接続装置により解決される。
【0017】
給水栓接続部が給水栓接続部ホルダに保持されているときに、UV照射を給水栓接続部ホルダから給水栓接続部に向けることにより、UV照射を給水栓接続部ホルダ内で生ぜしめかつ給水栓接続部に向け、これにより、給水栓接続部が給水栓接続部ホルダに挿入されている場合には常に、給水栓接続部内に含まれる水や残留水のUV照射ひいては殺菌が可能である。
【0018】
装置的に前記課題は、UV照射手段が給水栓接続部ホルダ内に配置されており、給水栓接続部内には、給水栓接続部ホルダ内に保持された場合にUV照射手段に向かい合うようにUV光線透過窓が配置されていることにより解決される。つまり本発明では、給水栓接続部、特にハンドシャワーを慣用のように取り扱うことができ、給水栓接続部が追加的な電気装置により加重されたり、体積が加えられたりすることはない。給水栓接続部内には、適当な箇所にUV光線透過窓を配置するだけでよく、UV光線透過窓は、給水栓接続部ホルダに設けられた、対応するUV照射手段により照射され得る。全体として、水流出部の直前の給水栓接続部に対するUV照射により、病原菌の増殖に抗して作用する、ということが保証されている。
【0019】
給水栓接続部が給水栓接続部ホルダ内に保持された後にUV照射が開始されかつ所定の接続継続時間の間維持されると、給水栓接続部の使用後に給水栓接続部内に残留している残留水が次いで所定の時間にわたりUV照射されることにより、確実に病原菌除去される。
【0020】
短時間の後に給水栓接続部を再び作動させようとする場合、例えばシャワー過程を中断した場合または第2のシャワー過程がすぐに続く場合には、不要な追加の病原菌除去を回避しひいてはエネルギを節約するために、給水栓接続部が給水栓接続部ホルダ内に次に再び保持された場合のUV照射は、所定の第1の反復インターバルを超過した場合にのみ開始される、ということが想定されていてよい。例えば病原菌除去は、24時間毎、48時間毎またはそれどころか週に一度だけ行われる必要がある。このことは経験値または検査に応じて調整することができる。
【0021】
他方では、所定の第2の反復インターバルを超過したときに、給水栓接続部が使用されていない場合には、UV照射が開始される、ということが有利な場合がある。例えば、比較的長時間にわたり使用されない場合に残留水の病原菌除去を行うためにUV照射が繰り返されることが望ましく、これにより、比較的長期にわたる待機後に病原菌除去が行われるにもかかわらず、病原菌の数が極度に多くなることはない。つまり例えば、病原菌除去は、少なくとも週に一度または第2の反復インターバルとして2週間または4週間の時間が経過した後に必要とされ得る。
【0022】
装置的に適当なUV照射手段としては、UVC放射LED半導体が好適である。それというのも、UVC放射LED半導体は、その放射強度に比べて低い電力消費量を有しているため、所望の放射強度に迅速に到達すると共に、殺菌に最適な光の波長に良好に調節可能であるからである。
【0023】
UV照射手段が給水栓接続部ホルダ内に水密に配置されており、UV光透過カバーが給水栓接続部ホルダ内に、給水栓接続部のUV光線透過窓に向かい合うように設けられている場合には、給水栓接続部ホルダ内に収納されたUV照射装置も、侵入してくる水による損傷から防護されている。UV照射は、1つは給水栓接続部ホルダに設けられかつ1つは給水栓接続部に設けられた、いわば2つのUV光線透過窓を介して、給水栓接続部内に残留している残留水に向かって作用する。
【0024】
さらに有利には、UV照射手段には、低電圧供給によるまたは給水栓接続部ホルダに設けられたバッテリによる電力供給部が対応して配置されており、つまりエネルギ供給部を単独で、シャワー室または浴室の壁に固定されて配置された給水栓接続部ホルダに設けることができる。この場合、この装置を後付けするためには、UV照射手段が、給水栓接続部ホルダ内に設けられたバッテリにより生ぜしめられると、特に好適である。それというのもこれにより、給水栓接続部ホルダに通じる領域内に低電圧線路を敷設するための追加的な取付け作業が一切必要とされなくなるからである。この場合、試験測定において、給水栓接続部ホルダ内のUV照射手段への供給量は、市販の9Vのブロック型バッテリを用いると約3000回の殺菌を行うためには全く十分である、ということが判明した。よってこのような装置はバッテリ供給される場合でも、個人の浴室における通常使用において少なくとも2年の間は十分であると考えられる。9Vのブロック型バッテリを用いたエネルギ供給と、低電圧供給を用いたエネルギ供給の両方において、給水栓接続部ホルダに接するユーザは、場合により生じ得る、健康を害する恐れのある感電から防護されている、ということが保証されている。
【0025】
給水栓接続部ホルダに、給水栓接続部が非使用時に給水栓接続部ホルダに保持されている場合にUV照射手段を作動させる作動手段が設けられている、ということにより、好適にはUV照射は、給水栓接続部、特にハンドシャワーが給水栓接続部ホルダに再び挿入されると発動される。場合により、UV照射は例えば10分の待機時間が経過した後に初めて始まる、ということが想定されてもよく、これにより、ユーザが開始されたUV照射により刺激されるまたはそれどころか害されることはなくなる。
【0026】
前記構成に対して択一的に、給水栓接続部がノズルを備えたハンドシャワーであり、ハンドシャワー内でノズルの手前にシェード手段が配置されていることにより、UV光の不本意な出射が回避され得る。つまりこれらのシェード手段は、シャワー時もしくはシャワーヘッド使用後に、場合により健康を害するUVC光線がノズルから出射する恐れは一切ない、ということを保証する。シェード手段は、UVC光線源(LED半導体)からユーザの皮膚または目に対する直接的な光線暴露を防ぐ。
【0027】
さらに、UV照射手段用の電子制御装置内に、安全上重大な故障が確認されると直ちにUV照射をすぐに終了させる安全回路が設けられている、ということが想定され得る。これは例えば、給水栓接続部もしくはシャワーヘッドのケーシングの破損であるか、またはUVC光線が妨げられることなく構成部材から出射する恐れがあるという危険をはらむ、その他の技術的な欠陥であり得る。安全回路としては、例えば光センサ、圧力センサおよび/または湿度センサが考えられる。場合により、給水栓接続部と給水栓接続部ホルダとの間に信号通信手段を設けることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下に、本発明による給水栓接続装置を添付の図面につき詳しく説明する。
【0029】
図1には、ハンドシャワー1’の形態の給水栓接続部1ならびに対応して配置され、壁Wに取り付けられた給水栓接続部ホルダ2が示されている。ハンドシャワー1’は給水栓接続部ホルダ2に、破線で示すように収納することができる。その他の点では、ハンドシャワー1’は慣用のように、自由に取り扱うことができる。ハンドシャワーもしくはシャワーヘッド1’として形成された給水栓接続部1は、給水部に通じるシャワーホースに接続されている。シャワーヘッド1’の下流側の端部には、水流出部12としてケーシング10に形成された多数のノズル13を備えたシャワー部が形成されている。
【0030】
壁Wに取り付けられた給水栓接続部ホルダ2はホルダケーシング20を有しており、ホルダケーシング20には、シャワーヘッドもしくはハンドシャワー1’を保持するための保持部21が形成されている。給水栓接続部ホルダ2のホルダケーシング20の内部には、UV照射手段3が配置されている。UV照射手段3は、例えば1つの回路基板上に配置された複数のUVC放射LED31を有している。回路基板上には、必要とされる電子制御装置4が配置されてよい。
図1では、電子制御装置4は小箱として形成されている。電子制御装置4には作動手段41が配置されており、作動手段41は、給水栓接続部ホルダ2の保持部21にハンドシャワー1’が掛け込まれると作動して、「ハンドシャワーが給水栓接続部ホルダ2に正しく保持された」という信号を発信する。電力供給は、同様に給水栓接続部ホルダ2のホルダケーシング20内に収納されたバッテリ42を介して行われる。
【0031】
一方では給水栓接続部ホルダ2内の電気的なコンポーネントを水分から防護すると同時に、UV照射手段3において生ぜしめられたUV光線の放射を可能にするために、ホルダケーシング20内には、UV光線を透過させるための第2の窓22が設けられている。同様に、ハンドシャワー1’のケーシング10内には、UV光線を透過させるための第1の窓15が配置されており、第1の窓15は、ハンドシャワーが給水栓接続部ホルダ2内に所定のように収納されると、UV光線を透過させるための第2の窓22に正確に隣接し、これにより、給水栓接続部ホルダ2内でUV照射手段3により生ぜしめられたUV光線が、ハンドシャワー1’に入射して有効に作用することができる。
【0032】
この状態は、
図2に再度詳細に、部分的に断面した部分図として示されている。UVC放射LED31から放射された、UV照射手段3のUVC光線Zは、UV光線を透過させるための第2の窓22と、直に接続するように平行に配置された、UV光線を透過させるための第1の窓15とを透過して、ハンドシャワー1’の内部空間に作用する。そこの内部空間に場合により存在している残留水は、UVC光線により殺菌されることになる。
【0033】
この場合、シャワーヘッドもしくはハンドシャワー1’は別の構成において、ノズル13の直前にシェード手段5を有している。
図2では、シャワー部の領域の一部において、この状態が示されている。シェード手段5は、ノズル13の各流入開口14の手前の内側に配置されたフード51から成っている。UVC耐久性で光を透過させないこれらのフード51は、LED半導体からUVC光がノズル13を透過して外部空間に放射されることを防止する。つまりノズル13の流入部14は、フード51により、入射してくるUVC光線Zから確実に防護されている。フード51は、ノズル13の流入部14に対して間隔をあけて配置されているため、シャワーヘッド1に供給されるべき水は、
図2に示す流れ矢印Xに相応して、実質的に遮られずにノズル13を通流することができる。
【0034】
次に水殺菌方法の機能形式を、ここで説明した給水栓接続装置に基づき説明する。
【0035】
ユーザがハンドシャワー1’を使用してから、ハンドシャワー1’を、このために設けられた給水栓接続部ホルダ2の保持部21に挿入すると、電子制御装置4の作動手段41を介して、使用されたばかりのハンドシャワー1’が今収納された、ということが伝えられる。電子制御装置4は、バッテリ42からの電圧供給をUVC放射LED31に切り換えることにより、UV照射手段3を作動させる。これに相応して、ハンドシャワー1’の内部空間のUV照射が始まる。それというのも、UV光線、特に好適にはUVC光線Zが、UV照射手段3から2つの窓15,22を介してハンドシャワー1’の内部空間に入射して作用するからである。
【0036】
UV光によるユーザへの危害を回避するために、ハンドシャワー1’が給水栓接続部ホルダ2の保持部21に掛け込まれた後に、場合により、例えば10分間の予め設定された待機時間がプリセットされてもよい。待機時間はさらに、例えば石鹸を塗るためのシャワー休止時に、殺菌プログラムを毎回再スタートさせないようにするためにも、予め設定される。つまり重要なのは、シャワーヘッドの次の比較的長い停止時間の間に殺菌することである。この場合、電子制御装置4は、ハンドシャワー1’内に存在する残留水の十分な殺菌に必要とされる、予め設定された最小値に相応する接続継続時間を保持することになる。残留水中に存在している病原菌(レジオネラ菌)を殺菌することにより、残留水中で最適な増殖条件が支配的になった場合に病原菌が大幅に増殖するということが防止される。
【0037】
さらに、予め設定された第1の反復インターバルを設けることにより、ハンドシャワーの使用後に、毎回再び水殺菌が開始されることはない、ということが達成され得る。第1の反復インターバルは、例えば24時間、48時間またはそれどころかまるまる1週間を有していてよい。これにより、シャワーの使用頻度および給水栓接続部ホルダ2へのハンドシャワー1’の収納頻度に関係無く、殺菌は、例えば24時間以内に一度だけ実施される、ということが保証され得る。
【0038】
さらに、電子制御装置4には第2の反復インターバルがさらに記憶されていてよい。第2の反復インターバルは、シャワーが比較的長期間使用されないと、ハンドシャワー1’内に場合により存在する、依然として病原菌を含んだ残留水が、再び大幅な増殖を招くことの対策として役立つ。つまり例えば、例えば2週間または4週間の比較的長期間にわたり使用されない場合には、第2の反復インターバルがプリセットされていてよい。つまり、例えばハンドシャワー1’が4週間使用されないと、その後殺菌が自動的に行われるようになっている。
【符号の説明】
【0039】
1 給水栓接続部
1’ シャワーヘッド、ハンドシャワー
10 ケーシング
11 流入接続部
12 水流出部
13 ノズル
14 流入開口
15 第1の窓
2 給水栓接続部ホルダ
20 ホルダケーシング
21 保持部
22 第2の窓
3 UV照射手段
31 UVC放射LED
4 電子制御装置
41 作動手段
42 バッテリ
5 シェード手段
51 フード
W 壁
X 水流方向
Z UVC光線