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特許7030974オキサミドエステル基を有するシロキサンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】オキサミドエステル基を有するシロキサンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/10 20060101AFI20220228BHJP
   C08G 77/26 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C07F7/10 W
C08G77/26
C07F7/10 X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020524484
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2017083535
(87)【国際公開番号】W WO2019120484
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、シェーファー
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516515(JP,A)
【文献】特開2013-120292(JP,A)
【文献】国際公開第2011/068123(WO,A1)
【文献】特開2014-043506(JP,A)
【文献】特開平06-025418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0149745(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08G
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式
【化1】
のシラン、
必要に応じて(B)一般式
(RO)4-tSi (III)のシラン、および
(W)水
を反応させることにより、オキサミドエステル基を有するシロキサンを調製する方法。
[ここで、
は、独立に同一でも異なってもよく、一価の、置換されていてもよい、SiC結合した炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてもよく、
は、水素原子、または置換されていてもよい炭化水素基を表し、
Yは、二価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基は酸素原子または窒素原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、一価の、置換されていてもよい、SiC結合した炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
sは、0、1または2であり、
tは、0、1、2または3である。]
【請求項2】
sが1または2である前記式(II)の(A)シランを使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(III)の(B)シランを使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水(W)の過剰分が、前記シラン(A)および必要に応じて使用される(B)における反応性の-OR基および-OR基(ここでRおよびRは上記で定義したとおりである)の合計数に対して、0.4~10倍モルの量となるように、水(W)を使用することを特徴とする、請求項1~3の一つ以上に記載の方法。
【請求項5】
がメチル基であり、Rが水素原子であり、Yが-C-であり、sが1または2であり、Rがメチルまたはエチル基であり、Rがエチル基である前記式(II)の(A)シランを、触媒(C)の非存在下、Rがメチル基であり、Rがメチルまたはエチル基であり、tが2または3である前記式(III)の(B)シランと反応させることを特徴とする、請求項1~4の一つ以上に記載の方法。
【請求項6】
2~1000個のケイ素原子を有するシロキサンが得られることを特徴とする、請求項1~5の一つ以上に記載の方法。
【請求項7】

(RO)SiO4-a-b-c/2 (I)の単位を有するシロキサン。
[ここで、
Rは、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
は、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
Xは、基
【化2】
を表し、ここで、R、Y、およびRは上記で定義したとおりであり、
aは、0または1であり、
bは、0、1、2または3であり、
cは、0、1、2または3であるが、合計a+b+cは3未満または3に等しく、各々の分子は、aが1であり、合計b+cが0または1である前記式(I)の単位を少なくとも一つ含むものとする。]
【請求項8】
前記式(I)の単位のみからなることを特徴とする、請求項7に記載のシロキサン。
【請求項9】
前記式(I)の単位の少なくとも50%において、合計a+b+cが2であることを特徴とする、請求項7または8に記載のシロキサン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキサミドエステル基を有するシロキサンの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学基
【化1】
は、2-アミノ-2-オキソアセテートもしくはオキサミド基、またはオキサミドエステル基としばしば呼ばれるが、以下、用語オキサミドエステルはこの基をいうために使用されるものとする。上記ハーフエステル構造とオキソ基との組合せは、オキサミドエステルが、特にアミンまたはアルコールと反応するときに、アミドまたはカルバミン酸塩よりも反応性が高いという利点を有することを意味する。しかしながら、それらはイソシアネート構造よりもかなり安定であり、例えば、それらは二量化または三量化せず、かなり反応性が低く、このことはこれらの基を用いた反応制御をより単純なものとする。
【0003】
オキサミドエステル官能性ポリシロキサンは多くの適用分野で使用することができるが、例えばEP-A 1963404に記載されているように、特に熱可塑性シロキサンのブロック共重合体の調製のために使用することができる。そのようなオキサミドエステル官能性シロキサンの調製は、原理上は知られており、US-A 2007/0149745に記載されている。この方法は、出発物質としてビスアミノアルキル官能性シロキサンを使用し、それは様々な方法によって調製することができる。これらのビスアミノアルキル官能性シロキサンは、過剰に存在しているシュウ酸ジアルキルと好適に反応し、所望の置換されたアミノ(オキソ)アセテート-官能性シロキサン(以下では単にオキサミドエステル官能性シロキサンという)を形成する。これらの生成物がさらに反応しうる前に、反応混合物中に存在する過剰のシュウ酸ジアルキルは、通常は除去する必要もあり、それはこの場合には主としてバッチ式真空蒸留によって行われる。しかしながら、上記方法について不利な点がいくつかある。オキサミドエステル官能性シロキサンの官能基化の程度は、出発物質として使用されるビス(アミノアルキル)シロキサンの官能基化の程度に第一に依存するが、これらを99%を超える官能性で調製するためには非常に労力を必要とする。さらに、副反応を避けるためには、添加されるシュウ酸ジアルキルを比較的大過剰で使用する必要があるが、これらは時に有毒であるため、同様に労力およびコストのかかるこれらのシュウ酸ジアルキルの除去を必然的に伴う。第三の主要な不利な点は、シュウ酸ジエチル等の市販のシュウ酸ジアルキルが、ビスアミノ官能性シロキサンとの反応で、時に極度に着色した生成物をもたらす不純物を含むという事実にあり、さらなる使用が光学的に無色透明の生成物を必要とする場合は、それはさらなる工程において労力をかけて脱色されなければならない。適切なアミノシロキサン前駆体の利用可能性は、様々な鎖長のオキサミドエステル官能性シロキサンを調製するための前提条件である。しかしながら、おそらくこの方法の最も不利な点は、産業プロセスにおいて側鎖にオキサミドエステル官能基を有するシロキサンを調製することがほとんど不可能であるということであり、これは、2つの側鎖アミン基と1分子のシュウ酸ジエチルとの反応が、鎖延長生成物をもたらし、したがって部分的に架橋された生成物をもたらすからである。この反応は非現実的な高過剰のシュウ酸エステルによってのみ抑制することができ、その除去はこれらの化合物の合成を非経済的なものとする。結果として、側鎖にオキサレート基を有する化合物はこれまでに記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対処すべき課題は、したがって、従来技術の不利な点を克服するということである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(A)一般式
【化2】
のシラン、
必要に応じて(B)一般式
(RO)4-tSi (III)
のシラン、および
(W)水
を反応させることにより、オキサミドエステル基を有するシロキサンを調製する方法を提供する。
[ここで、
は、独立に同一でも異なってもよく、一価の、置換されていてもよい、SiC結合した炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてもよく、
は、水素原子、または置換されていてもよい炭化水素基を表し、
Yは、二価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基は酸素原子または窒素原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、一価の、置換されていてもよい、SiC結合した炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
は、独立に同一でも異なってもよく、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基を表すが、当該炭化水素基はヘテロ原子によって中断されていてもよく、
sは、0、1または2であり、好ましくは1または2であり、
tは、0、1、2または3であり、好ましくは2または3である。]
【発明を実施するための形態】
【0006】
炭化水素基Rの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびtert-ペンチル基;n-ヘキシル基等のヘキシル基;n-ヘプチル基等のヘプチル基;n-オクチル基および2,2,4-トリメチルペンチル基等のイソオクチル基などのオクチル基;n-ノニル基等のノニル基;n-デシル基等のデシル基;n-ドデシル基等のドデシル基;n-オクタデシル基等のオクタデシル基などのアルキル基;、シクロペンチル、シクロヘキシル、ならびにシクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;、ビニル、1-プロペニルおよび2-プロペニル基などのアルケニル基;、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル基などのアリール基;、o-、m-、p-トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基などのアルカリール基;またはベンジル基もしくはα-およびβ-フェニルエチル基などのアラルキル基である。
【0007】
置換された炭化水素基Rの例は、クロロメチル、3-クロロプロピル、3-ブロモプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、および5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル基、ならびにクロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基;ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;またはグリシジルオキシプロピル基等のエポキシ基である。
【0008】
基Rは、好ましくは、一価の、SiC結合した、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、酸素原子によって中断されていてもよく、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~6の一価の脂肪族炭化水素基であり、特にメチル、エチルまたはプロピル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0009】
基Rの例は、基Rとして列挙した基、および炭素原子を介して結合したポリアルキレングリコール基である。
【0010】
基Rは、好ましくは、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてもよく、より好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、特にメチル、エチルまたはプロピル基である。
【0011】
基Rの例は、基Rとして列挙した基、および炭素原子を介して結合したポリアルキレングリコール基である。基Rは、好ましくは、一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてもよく、より好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、特にメチル、エチルまたはプロピル基である。
【0012】
基Rの例は、基Rとして列挙した基である。
【0013】
基Rは、好ましくは、一価の、SiC結合した、ハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、酸素原子によって中断されていてもよく、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1~6の一価の脂肪族炭化水素基であり、特にメチル、エチルまたはプロピル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0014】
基Rの例は、基Rとして列挙した基である。
【0015】
基Rは、好ましくは、水素原子、または一価の、置換されていてもよい炭化水素基であり、当該炭化水素基は酸素原子によって中断されていてもよく、より好ましくは水素原子または炭素数1~6の一価の炭化水素基であり、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピル基である。
【0016】
基Rの例は、水素原子または基Rとして列挙した基である。
【0017】
基Rは、好ましくは、水素原子、または-CNもしくは-ハロゲンで置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1~6の直鎖状アルキル基であり、特に水素原子、メチルまたはエチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0018】
基Yの例は、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、tert-ペンチレン基、n-ヘキシレン基等のヘキシレン基、n-ヘプチレン基等のヘプチレン基、n-オクチレン基、および2,2,4-トリメチルペンチレン基等のイソオクチレン基等のオクチレン基、n-ノニレン基等のノニレン基、n-デシレン基等のデシレン基、n-ドデシレン基等のドデシレン基などのアルキレン基;、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン基およびメチルシクロヘキシレン基などのシクロアルキレン基である。基Yのさらなる例は、ヘテロアルキレン基であり、例えば、エチルアミノプロピル基等の、窒素によって中断されたヘテロアルキレン基である。
【0019】
基Yは、ハロゲン原子、好ましくはフッ素または塩素、で置換されていてもよい、アルキレン基またはヘテロアルキレン基であることが好ましく、好ましくは炭素数1~6のアルキレン基であり、より好ましくはメチレン、プロピレンまたはブチレン基であり、特にn-プロピレン基である。
【0020】
本発明に従って調製されるオキサミドエステル含有シロキサンは、直鎖状形態、環状形態、または分岐状もしくは架橋形態で存在してもよい。
【0021】
本発明に従って使用される式(II)の化合物(A)の例は、
R1 = -CH3; R2 = -CH3; R3 = -CH2CH3, Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=2,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=2,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=2,
R1 = -CH3; R2 = -CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=1,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=1,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=1,
R1 = -CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=3,
R1 = -CH3; R3 = -CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)3 -; s=3,
R1 = -CH3; R2 = -CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2,
R1 = -CH3; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2,
R1 = -C6H5; R2 = -CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2,
R1 = -C6H5; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH2CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2, および
R1 = -C6H5; R2 = -CH2CH3; R3 = -CH3; Rx = -H; Y = -(CH2)-; s=2
である。
【0022】
本発明に従って使用される式(II)の化合物は、好ましくは脂肪族のモノアルコキシまたはジアルコキシ系オキサミドエステル官能性シランである。
【0023】
本発明に従って使用される式(II)の化合物は、好ましくは無色の、空気中で安定であり、水の非存在下で安定な化合物であり、より好ましくは無色の化合物である。
【0024】
式(II)の化合物は、市販品であるか、あるいは、シリコン化学で標準の方法によって調製してもよい。
【0025】
本発明に従って使用される式(III)の化合物の例は、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジヒドロキシジメチルシラン、ヒドロキシトリメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジヒドロキシジフェニルシラン、ジヒドロキシメチルフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランである。
【0026】
本発明に従って使用される式(III)の化合物は、好ましくはジメトキシジメチルシラン、ヒドロキシトリメチルシランまたはメトキシトリメチルシランであり、より好ましくはジメトキシジメチルシランおよびヒドロキシトリメチルシランである。
【0027】
式(III)の化合物は、市販品であるか、あるいは、シリコン化学で標準の方法により調製することもできる。
【0028】
式(III)のシランを使用する場合、本発明の方法におけるシラン(III)と式(II)のシランとの重量比は広範囲で変化してもよく、本発明の方法により調製される化合物の所望の分子量により主として決定される。
【0029】
本発明の方法で式(III)のシランを使用する場合、その使用量は、各々の場合において成分(II)100重量部に対して、好ましくは10~1000重量部、より好ましくは30~300重量部である。本発明の方法において、式(III)のシランを用いることが好ましい。
【0030】
成分(W)の例は、雨水、地下水、湧き水、河川水および海水等の天然水、脱塩水、蒸留水または(複数回)再蒸留水等の化学水、精製水(aqua purificata; Pharm. Eur. 3)、薬用脱イオン水(aqua deionisata)、薬用蒸留水(aqua destillata)、薬用再蒸留水(aqua bidestillata)、薬用注射水(aqua ad injectionam)または薬用保存水(aqua conservata)等の医療または調剤用の水、独国飲料水条例に基づく飲料水、ならびにミネラルウォーターである。
【0031】
本発明の方法において、水(W)は、各々の場合においてシラン(A)および必要に応じて使用される(B)における反応性の-OR基および-OR基の合計数に対して、好ましくは0.4~10倍モル過剰、より好ましくは0.8~3倍モル過剰の量で使用され、ここでRおよびRは上記で定義したとおりである。
【0032】
本発明の方法において、成分(A)、必要に応じて(B)および(W)に加えて、さらなる成分、例えば触媒(C)および有機溶媒(D)、を使用してもよい。
【0033】
必要に応じて使用される触媒(C)は、強酸または強塩基等の、これまでに記載されてきた平衡または縮合方法で使用されている触媒と同様のものを使用することができる。使用される触媒(C)は、上記方法の条件下において固形であってもよく、液体であってもよい。
【0034】
必要に応じて使用される触媒(C)は、好ましくは、HCl、硫酸、スルホン酸もしくは塩化ホスホニトリル(PNCl)、またはこれらのオリゴマーもしくはポリマー類似物等の強酸、またはNaOH、KOH、CsOH、RbOH、水酸化アンモニウムもしくは金属アルコキシド等の強塩基である。
【0035】
触媒(C)を用いる場合、各々の場合において成分(A)および(B)の合計量に対して、それらは好ましくは10~10000重量ppm、より好ましくは10~2000重量ppmの量で存在する。本発明の方法において、触媒(C)を用いないことが好ましい。
【0036】
本発明の方法は、溶媒(D)の存在下または非存在下で実施することができる。溶媒(D)を用いる場合、それらは、0.1MPaにおいて80~160℃の沸点範囲を有する溶媒または溶媒混合物であることが好ましい。用語「溶媒」は、全ての反応成分がそれに溶解する必要があるということを意味するものではない。溶媒(D)は、所望の最終生成物を技術的手段によってより容易に搬送またはポンプで注入できるよう、その粘度を低下させる等のために存在してもよい。
【0037】
必要に応じて使用される非プロトン性溶媒(D)の好適例は、ヘキサン、ヘプタンもしくはデカン等の脂肪族炭化水素、トルエンもしくはキシレン等の芳香族炭化水素、ならびにテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルおよびメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)等のエーテル、アセトンもしくは2-ブタノン等のケトン、またはエタノールもしくはメタノール等のアルコールである。
【0038】
本発明の方法で溶媒(D)を使用する場合、その量は、反応混合物の充分な均一化を確保するのに充分な量であることが好ましい。
【0039】
本発明の方法で溶媒(D)を使用する場合、その量は、各々の場合において使用される全成分の合計重量に対して、好ましくは20重量%~80重量%であり、より好ましくは20重量%~50重量%である。本発明の方法において、溶媒(D)を使用しないことが好ましい。
【0040】
本発明の方法において、使用される物質の合計量中の成分(A)~(D)の割合は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。
【0041】
本発明の方法において、成分(A)~(D)およびそれらの調製で生じる任意の不純物以外のさらなる構成要素は、使用しないことが好ましい。
【0042】
本発明の方法において、使用される出発物質は、任意の所望の、そして既知の方法で互いに混合してもよい。構成要素(A)、必要に応じて(B)、必要に応じて(C)、および必要に応じて(D)、ならびに水(W)が混合される順番は特に重要ではないが、触媒(C)を用いるとき実際には、触媒を他の構成要素の混合物に好ましくは最後に添加することが有用であることが分かっている。特に触媒(C)をより容易に正確に量るためには、触媒(C)は、溶媒(D)中のプレミックスとして、あるいは成分(A)もしくは(B)のうちの一つ、特に成分(B)を用いる場合は好ましくは成分(B)中のプレミックスとして、加えてもよい。
【0043】
上記反応が一旦起こると、得られる生成混合物は、それ自体既知の方法で処理される。水等の未反応の出発物質、またはアルコール等の任意の縮合生成物、または環状の非官能性シロキサン等の副生成物の除去は、好ましくは高温および/または減圧下で行われる。加えて、本発明に従う上記反応が一旦終了すると、必要に応じて使用される触媒(C)は、その性質、使用量または最終生成物の使用目的に応じて、中和されたまたは中和されていない形態で最終生成物中に残留したままでもよい。あるいは、それらを中和し、既知の方法、例えばろ過、あるいは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の塩基性酸化物または炭酸塩もしくは炭酸水素塩等の塩基性塩への吸着によって、必要に応じてフィルターで除くこともできる。
【0044】
本発明に従って得られる生成混合物中に場合により残存する、環状の非官能性シロキサン生成物の量は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満である。特に一般式
[R Si-O] (IV)
[ここでnは3~5である。]の低分子量環状シロキサンは、従来技術で知られた温度および圧力での下流連続式またはバッチ式真空蒸留を用いて除去することができる。
【0045】
本発明の方法の好ましい態様では、Rがメチル基であり、Rが水素原子であり、Yが-C-であり、sが1または2であり、Rがメチルまたはエチル基であり、Rがエチル基である式(II)の(A)シランを、触媒(C)の非存在下、Rがメチル基であり、Rがメチルまたはエチル基であり、tが2または3である式(III)の(B)シランと反応させる。
【0046】
本発明の方法で使用される成分は、各々の場合において1種の当該成分でもよく、2種以上の当該成分の混合物であってもよい。
【0047】
本発明の方法は、好ましくは窒素またはアルゴン等の不活性ガス下、より好ましくは窒素下で実施される。
【0048】
本発明の方法を実施するための好ましい反応器の選択は、使用される出発物質の粘度および想定生成物の粘度によって本質的に決定される。伝統的な撹拌槽型反応器に加えて混練機等の他の装置を、高分子量生成物用を含めて、上記方法を実施するために用いてもよい。
【0049】
本発明の方法は、好ましくは0℃~250℃、より好ましくは20℃~150℃、最も好ましくは20℃~90℃の温度で実施される。本発明の方法は、それに加えて、好ましくは10hPa~2000hPa、より好ましくは100hPa~1100hPa、特に環境気圧、すなわち900hPa~1100hPaの圧力で実施される。
【0050】
本発明の方法は、バッチ式、半連続式または完全連続式プロセスで、好ましくはバッチ式プロセスで実施することができる。
【0051】
本発明の方法は、式
(RO)SiO4-a-b-c/2 (I)
の単位を有するシロキサンを提供する。
[ここで、
Rは、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
は、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
Xは、基
【化3】
を表し、ここで、R、Y、およびRは上記で定義したとおりであり、
aは、0または1であり、
bは、0、1、2または3であり、
cは、0、1、2または3であるが、
合計a+b+cは3未満または3に等しく、各々の分子は少なくとも一つの基Xを含むものとする。]
【0052】
本発明は、式
(RO)SiO4-a-b-c/2 (I)
の単位を有するシロキサンをさらに提供する。
[ここで、
Rは、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
は、同一でも異なってもよく、基Rとして上記で定義したとおりであり、
Xは、基
【化4】
を表し、ここで、R、Y、およびRは上記で定義したとおりであり、
aは、0または1であり、
bは、0、1、2または3であり、
cは、0、1、2または3であるが、
合計a+b+cは3未満または3に等しく、各々の分子は、aが1であり、合計b+cが0または1である式(I)の単位を少なくとも一つ含むものとする。]
【0053】
本発明に従う、または本発明に従って調製されるシロキサンは、好ましくは2~1000個のケイ素原子、より好ましくは2~100個のケイ素原子、最も好ましくは2~50個のケイ素原子を有する。化合物(I)のシロキサンは、好ましくは環状または直鎖状であり、最も好ましくは直鎖状である。
【0054】
本発明に従う、または本発明に従って調製されるシロキサンは、好ましくは式(I)の単位のみからなる。
【0055】
本発明に従う、または本発明に従って調製されるシロキサンにおいて、合計a+b+cは、式(I)の単位の少なくとも50%において好ましくは2である。
【0056】
本発明に従って調製される一般式(I)の化合物の例は、
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]4-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]4-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]4-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Et-O-CO-CO-NH-C2H4-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]2-O-SiMe2-C3H6-NH-C2H4-NH -CO-CO-O-Et,
Et-O-CO-CO-NH-C2H4-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]4-O-SiMe2-C3H6-NH-C2H4-NH -CO-CO-O-Et,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Et-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Me-O-CO-CO-NH-C3H6-SiMe2-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Me,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe2-C3H6-NH-CO-CO-O-Et,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]1-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]2-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-C2H4-NH-CO-CO-O-Et]3-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Me]1-O-SiMe3,
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Me]2-O-SiMe3, および
Me3Si-[OSiMe2]10-[OSiMe-C3H6-NH-CO-CO-O-Me]3-O-SiMe3
であり、ここで、Meはメチル基を、Etはエチル基を表す。
【0057】
本発明に従って調製されるシロキサンは、好ましくは0~100、より好ましくは0~20、最も好ましくは0~10のAPHA色指数を有する。
【0058】
本発明において、APHA指数の決定は、DIN ISO 6271-2に従って、好ましくはHach-LangeのLico 500機器を用いて行う。測定されるAPHA指数は、測定される生成物の色だけでなく、濁度も考慮する。
【0059】
本発明に従って調製されるシロキサンは、好ましくは263g/mol~10000g/mol、より好ましくは420g/mol~5000g/mol、最も好ましくは448~4000g/molの平均分子量Mn(数平均)を有する。
【0060】
本発明において、数平均分子量Mnは、ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、THF中、60℃、流量:1.2ml/min、検出:RI(屈折率)検出器で、Waters社USAのスチラゲルHR3-HR4-HR5-HR5カラムセット、注入量:100μlを使用して決定される。
【0061】
あるいは、数平均分子量Mnは、末端基および他の官能基の積分を通じたHまたは29Si NMRスペクトルを評価することにより決定してもよい。
【0062】
最終生成物の平均分子量(数平均)は、ここでは個々の場合における本発明に従って使用される出発物質の割合により主として決定される。
【0063】
本発明の方法は、容易かつ迅速に、そして単純な出発物質を用いて実施することができるという利点を有する。
【0064】
本発明の方法は、オキサミドエステル基を有するシロキサンが高純度で、特に、濁りなく、そして黄変なく得られるという利点を有する。
【0065】
本発明の方法は、容易に得られ、安価で、処理が容易な出発物質を用いることができるというさらなる利点を有する。
【0066】
本発明の方法は、オキサミドエステル基を有し、選択的に微調整可能で高度に官能基化されたシロキサンが得られるという利点を有する。
【0067】
本発明の方法は同様に、オキサミドエステル基(望ましいオキサミドエステル基は側鎖にある)を有するシロキサンを得るために用いることができるという利点を有する。
【0068】
本発明の方法は、例えば、羊毛、綿もしくは織物などの繊維を被覆するために、または革製品を被覆するために、または機械建造における潤滑油として使用できる官能性シロキサンを提供する。加えて、本発明に従う、または本発明に従って調製される官能性シロキサンは、ポリマーの製造または変性に使用してもよい。
【実施例
【0069】
以下に記載の実施例において、全ての部および百分率は、他に明記しない限り、重量基準である。加えて、全ての粘度のデータは、温度25℃に関連する。他に明記しない限り、以下に記載する実施例は、環境気圧、すなわち約1010hPa、および室温、すなわち約20℃、または追加の加熱もしくは冷却を行わないで室温で反応物を混合して到達する温度で行う。
【0070】
以下に記載する実施例は、不活性ガスとして窒素の存在下に行う。
【0071】
実施例で得られる分子量は、数平均分子量である。副生成物の含有量および平均分子量は、NMR分光法により評価する。平均鎖長、残留Si-OH含有量、および、適切な場合は、サイクル含有量は、29Si-NMR分光法により決定し、シロキサン骨格中のオキサミドエステル基とアルキル基との比率は、H-NMRにより決定する。
Meは、メチル基を表す。
【0072】
以下の出発物質を使用する:
シラン1:ジメトキシジメチルシラン(120.22g/mol)
シラン2:
エチル 2-((3-(ジエトキシ(メチル)シリル)プロピル)アミノ)-2-オキソアセテート EtO-CO-CO-HN-CH2CH2CH2-Si-Me(EtO)2(291.42g/mol)
シラン3:
エチル 2-((3-(メトキシジメチルシリル)プロピル)アミノ)-2-オキソアセテート EtO-CO-CO-HN-CH2CH2CH2-Si-Me2(MeO)(247.36g/mol)
シラン4:
エチル 2-((3-(エトキシジメチルシリル)プロピル)アミノ)-2-オキソアセテート EtO-CO-CO-HN-CH2CH2CH2-Si-Me2(EtO)(261.39g/mol)
シラン5:トリメチルシラノール(90.20g/mol)
【0073】
実施例1
撹拌器、内部温度計および還流冷却器を備えた250mlの三つ口丸底フラスコ中の43.6g(176mmol)のシラン3に、22℃で、撹拌しながら、6.4g(353mmol)の水を加え、混合物を50℃に加熱した。5時間後、過剰の水および形成されたアルコールをロータリーエバポレーターにより圧力10hPaで除去し、37.3gのビスオキサミドエステルプロピル末端ジシロキサンを、透明な粘性液体(512mPas)として得た。
【0074】
実施例2~17
実施例1に記載した手順と類似の方法で、撹拌器、内部温度計および還流冷却器を備えた250mlの三つ口丸底フラスコ中、使用するシラン1~5を、22℃で撹拌しながら、表1に示す量で連続的に互いに混合した。次いで適切な量の水を撹拌しながら30分かけて滴下し、得られた混合物を50℃に加熱した。5時間後、過剰の水および形成されたアルコールをロータリーエバポレーターにより圧力10hPaで除去し、表2に示す物性を有するシロキサンを得た。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
本発明に従って得られるシロキサンは、無色透明の縮合生成物であり、ある場合においてはオキサミドエステル基の存在に起因して高粘度を有する。