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特許7030976エチレンインターポリマー生成物及びフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】エチレンインターポリマー生成物及びフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/02 20060101AFI20220228BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220228BHJP
   C08F 210/16 20060101ALI20220228BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C08F10/02
C08F4/6592
C08F210/16
C08J5/18 CES
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524635
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 IB2018058110
(87)【国際公開番号】W WO2019092524
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-07-01
(31)【優先権主張番号】15/805,268
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カゼミ、ニオウシャ
(72)【発明者】
【氏名】クレチェック、モニカ
(72)【発明者】
【氏名】コナガンティ、ビノド
(72)【発明者】
【氏名】ギロン、ブロンウイン
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤール、シベンドラ
(72)【発明者】
【氏名】シブタン、ファズル
(72)【発明者】
【氏名】カシリ、セピデー
(72)【発明者】
【氏名】ソロモンズ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ケシュトカール、メーディ
【審査官】古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511214(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122414(WO,A1)
【文献】特表2002-505352(JP,A)
【文献】特開平09-183817(JP,A)
【文献】国際公開第2015/147215(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 10/02
C08F 4/6592
C08F 210/16
C08J 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であって、
a)0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF)、
b)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であり、中性子放射化を用いて測定される前記残留触媒金属、
c)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)であり、次の関係:
UR=(SC-T)/T
(式中、SCは、100個の炭素あたりの側鎖不飽和の量であり、Tは、100個の炭素あたりの末端不飽和の量であり、それらは、前記エチレンインターポリマー生成物において、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98によって決定される)で定義されるUR、
を含
エチレンインターポリマー生成物は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含み、
第1のエチレンインターポリマーは、0.01~200dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第2のエチレンインターポリマーは、0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第3のエチレンインターポリマーは、0.4~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し、
前記エチレンインターポリマー生成物は、少なくとも1つの均一触媒配合物を使用して合成され、
前記均一触媒配合物は、式(I):
【化1】


(式中、Mはハフニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R 基は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、又はC 6-10 アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、若しくは環状又はハロゲン原子、C 1-10 アルキルラジカル、C 1-10 アルコキシラジカル、C 6-10 アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよく;
は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルを表し;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される)
によって定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物である、
エチレンインターポリマー生成物。
【請求項2】
0.3~500dg/分のメルトインデックス及び0.855~0.975g/ccの密度を有し、メルトインデックスはASTM D1238(2.16kg荷重及び190℃)に従って測定され、密度はASTM D792に従って測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項3】
0~25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンをさらに含む、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項4】
前記1つ以上のα-オレフィンが、C~C10α-オレフィンである、請求項に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項5】
前記1つ以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、請求項に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項6】
1.7~25の多分散性M/Mを有し、重量平均分子量M及び数平均分子量Mは従来のサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項7】
1%~98%のCDBI50を有し、CDBI50はCTREFを用いて測定される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項8】
溶液重合プロセスで製造される、請求項1に記載のエチレンインターポリマー生成物。
【請求項9】
少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む少なくとも1層を含むフィルムであって、
前記エチレンインターポリマー生成物は、
a)0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF)、
b)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であり、中性子放射化を用いて測定される前記残留触媒金属、
c)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)であり、次の関係:
UR=(SC-T)/T
(式中、SCは、100個の炭素あたりの側鎖不飽和の量であり、Tは、100個の炭素あたりの末端不飽和の量であり、それらは、前記エチレンインターポリマー生成物において、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98によって決定される)
で定義されるUR、
によって特徴付けられ、
エチレンインターポリマー生成物は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含み、
第1のエチレンインターポリマーは、0.01~200dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第2のエチレンインターポリマーは、0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第3のエチレンインターポリマーは、0.4~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し、
前記エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成され
前記架橋メタロセン触媒配合物は、式(I):
【化2】

(式中、Mはハフニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R 基は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、又はC 6-10 アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、若しくは環状又はハロゲン原子、C 1-10 アルキルラジカル、C 1-10 アルコキシラジカル、C 6-10 アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよく;
は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルを表し;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される)
によって定義される成分Aを含む、
フィルム。
【請求項10】
前記エチレンインターポリマー生成物が、0.3~500dg/分のメルトインデックス及び0.855~0.975g/ccの密度を有し、メルトインデックスはASTM D1238(2.16kg荷重及び190℃)に従って測定され、密度はASTM D792に従って測定される、請求項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記エチレンインターポリマー生成物が、0~25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンをさらに含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項12】
前記1つ以上のα-オレフィンが、C~C10α-オレフィンである、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記1つ以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記エチレンインターポリマー生成物が、1.7~25の多分散性M/Mを有し、重量平均分子量M及び数平均分子量Mが従来のサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定される、請求項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記エチレンインターポリマー生成物が、1%~98%のCDBI50を有し、CDBI50がCTREFを用いて測定される、請求項に記載のフィルム。
【請求項16】
前記層が、少なくとも1つの第2のポリマーをさらに含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項17】
前記第2のポリマーが、1つ以上のエチレンポリマー、1つ以上のプロピレンポリマー、又は前記エチレンポリマー及び前記プロピレンポリマーの混合物である、請求項に記載のフィルム。
【請求項18】
前記フィルムが、0.5ミル~10ミルの厚さを有する、請求項に記載のフィルム。
【請求項19】
前記フィルムが2~11層を含み、少なくとも1つの層は前記エチレンインターポリマー生成物を含む、請求項に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
溶液重合プロセスは、典型的には、生成されるエチレンホモポリマー又はエチレンコポリマーの融点を超える温度で行われる。
【背景技術】
【0002】
典型的な溶液重合プロセスにおいて、触媒成分、溶媒、モノマー、及び水素は、圧力下で1つ以上の反応器に供給される。
【0003】
エチレン重合又はエチレン共重合の場合、反応器温度は80℃~300℃の範囲であってもよく、圧力は一般に3MPag~45MPagの範囲である。生成されたエチレンホモポリマー又はコポリマーは、反応器条件下で溶媒中に溶解したままである。反応器内の溶媒の滞留時間は比較的短く、例えば、1秒~20分である。溶液プロセスは、幅広いプロセス条件の下で操作できるため、さまざまなエチレンポリマーの生成を可能にする。反応器の後、触媒失活剤を添加することにより、重合反応を停止してさらなる重合を防ぐ。任意選択で、失活溶液は、酸スカベンジャーを添加することにより、不動態化され得る。次いで、失活溶液、又は任意の不動態化溶液は、ポリマー回収に送られ、そこでエチレンホモポリマー又はコポリマーが、プロセス溶媒、未反応残留エチレン、及び未反応の任意のα-オレフィンから分離される。
【0004】
溶液重合では、より高い生産速度でエチレンインターポリマーを生産する、すなわち1時間あたりに生成されるエチレンインターポリマーのポンドが増加する、改善されたプロセスが必要である。より高い生産速度は、溶液重合プラントの収益性を高める。本明細書に開示される触媒配合物及び溶液重合プロセスは、この必要性を満たす。
【0005】
溶液重合では、所与の反応器温度で生成されるエチレンインターポリマーの分子量を増加させる必要もある。特定の触媒配合物を考えると、反応器温度が下がるとポリマーの分子量が増加することは、当業者にはよく知られている。しかし、溶液の粘度が高くなりすぎると、反応器温度を下げることが問題になる可能性がある。結果として、溶液重合では、高い反応器温度(又はより低い反応器粘度)で高分子量エチレンインターポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。本明細書に開示される触媒配合物及び溶液重合プロセスは、この必要性を満たす。
【0006】
溶液重合プロセスでは、1つ以上のα-オレフィンを成長高分子鎖に組み込むのに非常に効率的な触媒配合物も必要とされている。換言すると、溶液重合反応器内の所与の[α-オレフィン/エチレン]重量比で、より低密度のエチレン/α-オレフィンコポリマーを生成する触媒配合物が必要とされている。別の言い方をすると、特定の密度を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーを、反応器供給原料内のより低い(α-オレフィン/エチレン)重量比で生成する触媒配合物が必要とされている。そのような触媒配合物は、利用可能なα-オレフィンを効率的に利用し、溶液プロセスの再循環流中のα-オレフィンの量を減少させる。
【0007】
本明細書に開示される触媒配合物及び溶液プロセスは、さまざまな最終用途において望ましい特性を有する独特のエチレンインターポリマー生成物を生成する。非限定的な1つの最終用途は、開示されたエチレンインターポリマー生成物を含む包装フィルムを含む。望ましいフィルム特性の非限定的な例には、改善された光学特性、より低いシール開始温度、及び改善されたホットタック性能が含まれる。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物から調製されたフィルムは、改善された特性を有する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一実施形態は、少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であり、ここで、エチレンインターポリマー生成物は、0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF)、0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属、及び-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)を有する。エチレンインターポリマー生成物は、0.3~500dg/分のメルトインデックス(I)、0.855~0.975g/ccの密度、及び0~25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを有してもよい。適切なα-オレフィンには、1つ以上のC~C10α-オレフィンが含まれる。エチレンインターポリマー生成物のさらなる実施形態は、1.7~25の多分散性(M/M)を有し、ここで、M及びMは、従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で決定された、それぞれ重量平均分子量及び数平均分子量である。エチレンインターポリマー生成物の追加の実施形態は、1%~98%のCDBI50を有し、CDBI50はCTREFを用いて測定される。
【0009】
追加の実施形態は、少なくとも1つの均一触媒配合物を用いて連続溶液重合プロセスを使用する前記エチレンインターポリマー生成物の製造を含む。適切な均一触媒配合物の1つの実施形態は、式(I)によって定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物である。
【化1】

式中、Mはチタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R基は水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、又は環状であっても、さらにハロゲン原子、C1-10アルキルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、C6-10アリール、又はアリールオキシラジカルで置換されていてもよく;
は水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子を含むアルキルシリルラジカルを表し;R及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子を含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;R及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子を含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される。
【0010】
さらなる実施形態は、改善された連続溶液重合プロセスを含み、当該改善されたプロセスは、エチレン及び任意選択で少なくとも1つのα-オレフィンを、プロセス溶媒中、1つ以上の反応器内で、架橋メタロセン触媒配合物を使用して重合させて、エチレンインターポリマー生成物を形成することを含み、前記改善されたプロセスは、次式:
PR=100×(PR-PR)/PR≧10%
(式中、PRは、改善されたプロセスの生産速度であり、PRは、架橋メタロセン触媒配合物が非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えられた比較連続溶液重合プロセスの比較生産速度である)
によって定義される、増加した生産速度PRを有する。
【0011】
追加の実施形態は、アルモキサン共触媒(成分M);ホウ素イオン活性剤(成分B)、及び、任意に、ヒンダードフェノール(成分P)を含む架橋メタロセン触媒配合物を含む。成分M、B及びPの非限定的な例には、メチルアルモキサン(MMAO-7)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールがそれぞれ含まれる。
【0012】
追加の実施形態は、1つ以上のC~C12アルカンを含むプロセス溶媒と、80℃~300℃の温度及び3MPag~45MPagの圧力で動作する1つ以上の反応器とを使用する改善されたプロセスを含む。実施形態は、1つ以上の反応器内のプロセス溶媒が10秒~720秒の平均反応器滞留時間を有するような反応器条件を含んでもよい。さらなる実施形態は、1つ以上の反応器で使用される触媒入口温度が20℃から180℃まで変化し得るような反応器条件を含んでもよい。
【0013】
他の実施形態は、改善された連続溶液重合プロセスを含み、当該改善されたプロセスにおいて、エチレンインターポリマー生成物は、エチレン及び任意選択で少なくとも1つのα-オレフィンを、プロセス溶媒中、1つ以上の反応器内で、架橋メタロセン触媒配合物を使用して重合させることによって形成され、前記改善されたプロセスは、以下の(a)及び/又は(b)によって特徴付けられる:
(a)エチレンインターポリマー生成物は、以下の式によって定義されるように、少なくとも10%改善された(高い)重量平均分子量、Mを有し
の改善割合(%)=100%×(M -M )/M ≧5%
(式中、M は改善されたプロセスを使用して生成されたエチレンインターポリマー生成物の重量平均分子量であり、M は比較エチレンインターポリマー生成物の比較重量平均分子量であり;比較エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより、比較プロセスで生成された)。
(b)改善されたプロセスで使用される[α-オレフィン/エチレン]重量比は、以下の式によって定義されるように、少なくとも70%減少された(改善された)
【数1】

(式中、(α-オレフィン/エチレン)は、改善されたプロセスに添加されたα-オレフィンの重量を、改善されたプロセスに添加されたエチレンの重量で割ったものを表し、目標密度を有するエチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物によって生成され;
(α-オレフィン/エチレン)は、目標密度を有する比較エチレンインターポリマー生成物を生成するために必要な比較重量比を表し、比較エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより、比較プロセスで合成された)。
【0014】
エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、第1のエチレンインターポリマーを含み得る。エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、第1のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマーを含み得る。エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、第1のエチレンインターポリマー及び第2のエチレンインターポリマーを含み得る。エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマーを含み得る。
【0015】
第1のエチレンインターポリマーは、0.01~200dg/分のメルトインデックスと0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有し;第1のエチレンインターポリマーは、5~100重量%のエチレンインターポリマー生成物を含み得る。第2のエチレンインターポリマーは、0~95重量%のエチレンインターポリマー生成物を含んでもよく、0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する。第3のエチレンインターポリマーは、0~30重量%のエチレンインターポリマー生成物を含んでもよく、0.4~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する。重量パーセント(重量%)は、第1の、第2の、又は任意の第3のエチレンインターポリマーの重量を、個別に、エチレンインターポリマー生成物の総重量で割ったもので、メルトインデックスは、ASTM D1238に従って測定され(2.16kg荷重及び190℃)、密度は、ASTM D792に従って測定される。
【0016】
さらなる実施形態では、第1及び第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は、98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよく;第1及び第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は、70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は、98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよく;第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は、35%、他の場合では40%、さらに他の場合では45%であってもよい。
【0017】
他の実施形態では、第1及び第2のエチレンインターポリマーのM/Mの上限は、2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよく;第1及び第2のエチレンインターポリマーのM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、及びさらに他の場合では1.9であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのM/Mの上限は、5.0、他の場合では4.8、さらに他の場合では4.5であってもよく;任意の第3のエチレンインターポリマーのM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、及びさらに他の場合では1.9であってもよい。
【0018】
本開示では、エチレンインターポリマーの長鎖分岐の量は、無次元長鎖分岐係数「LCBF」によって特徴付けられた。いくつかの実施形態では、第1及び第2のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよく;第1及び第2のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001、他の場合では0.0015、さらに他の場合では0.002(無次元)であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよく;第3のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001未満、すなわち、長鎖分岐の検出不能なレベルであってもよい。
【0019】
本開示では、エチレンインターポリマーの不飽和度を特徴付けるために、不飽和比「UR」が使用された。いくつかの実施形態では、第1及び第2のエチレンインターポリマーのURの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であってもよく、第1及び第2のエチレンインターポリマーのURの下限は、-0.40、他の場合では-0.30、さらに他の場合では-0.20(無次元)であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのURの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であってもよく;第3のエチレンインターポリマーのURの下限は、-1.0、他の場合では-0.95、さらに他の場合では-0.9であってもよい。
【0020】
本開示では、エチレンインターポリマー中の残留触媒金属の量は、中性子放射化分析「NAA」によって特徴付けられた。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよい;一方、第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の触媒残留物は、その製造に使用された触媒を反映している。架橋メタロセン触媒配合物を使用した場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。非架橋シングルサイト触媒配合物を使用した場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの上限は、3.0ppm、他の場合では2.0ppm、さらに他の場合では1.5ppmであってもよく、第3のエチレンインターポリマー生成物中の金属CR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。式(I)又は(II)で定義された属のメンバーではない、かさ高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合は3.0ppmであってもよく;第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。不均一触媒配合物を使用した場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの上限は、12ppm、他の場合では10ppm、さらに他の場合では8ppmであってもよく;第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの下限は、0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では3ppmであってもよい。
【0021】
製造品の非限定的な実施形態は、少なくとも1つの層を含むフィルムを含み、当該層は、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物の少なくとも1つを含み;当該エチレンインターポリマー生成物は、1)0.001以上の無次元長鎖分岐係数、LCBF、2)0.03以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属、及び3)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比、URを有する。他の実施形態では、フィルムは、比較フィルムと比較して10%~30%高い、45°でのフィルム光沢を有し、及び/又はフィルムは、比較フィルムと比較して30%~50%低い、フィルムヘイズを有する。比較フィルムは、架橋メタロセン触媒配合物で合成されたエチレンインターポリマー生成物が非架橋シングルサイト触媒配合物で合成された比較エチレンインターポリマー生成物に置き換えられていることを除いて、同じ組成である。
【0022】
追加のフィルムの実施形態は、少なくとも1つの層が少なくとも1つの第2のポリマーをさらに含むフィルムを含み;第2のポリマーは、1つ以上のエチレンポリマー、1つ以上のプロピレンポリマー、又はエチレンポリマーとプロピレンポリマーの混合物であってもよい。さらなる実施形態は、0.5ミルから10ミルの総厚さを有するフィルムを含む。他の実施形態は、少なくとも1つの層が少なくとも1つのエチレンインターポリマー生成物を含む、2~11層を有する多層フィルムを含む。
【0023】
以下の図は、本開示の選択された実施形態を例示する目的で提示されている。本開示の実施形態は、これらの図によって限定されないことが理解され、例えば、図3及び図4に示された容器の正確な数、又は容器の配置は限定的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、例1~例6の不飽和比「UR」を、比較例Q~V及び比較例1~5と比較している。
図2図2は、長鎖分岐係数(LCBF)の決定を示す。プロットされた横座標は、補正されたゼロせん断粘度の対数(log(ZSV))であり、プロットされた縦座標は、補正された固有粘度の対数(log(IV))であった。LCBを有さない、又はLCBが検出不能なエチレンポリマーは、基準線に該当する。LCBを有するエチレンポリマーは基準線から外れており、無次元長鎖分岐係数(LCBF)によって特徴付けられた。LCBF=(S×S)/2;式中、S及びSはそれぞれ水平及び垂直シフト係数である。
図3図3は、1つのCSTR反応器(容器11a)及び1つの管状反応器(容器17)を使用する連続溶液重合プロセスの実施形態を示す。
図4図4は、2つのCSTR反応器(容器111a及び容器112a)並びに1つの管状反応器(容器117)を使用する連続溶液重合プロセスの実施形態を示す。2つのCSTRは、直列モード又は並列モードで操作できる。
図5図5は、例14及び比較例14において、SECで分子量を決定し、GPCFTIRで分岐含有量(BrF、C/1000C)を決定したことを示す。
図6図6は、第1、第2、及び第3のエチレンインターポリマーへのエチレンインターポリマー生成物の例15のデコンボリューションを示す。
図7図7は、シール温度の関数としての多層フィルムのコールドシール力(ニュートン、N)を示す。
図8図8は、シール温度の関数としての多層フィルムのホットタック力(ニュートン、N)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<用語の定義>
例又は別段の指示がある場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、押出条件などに関するすべての数字又は表現は、「約」という用語によってすべての場合に変更されると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、様々な実施形態が取得することを望む所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字を考慮して、通常の丸め技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。具体例に記載されている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値もそれぞれの試験測定で見出された標準偏差から必然的に生じる特定のエラーを本質的に含む。
【0026】
本明細書に列挙されるいずれの数値範囲もそこに包含されるすべての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と列挙された最大値10とを含むそれらの間のすべての部分範囲を含むことを意図しており、すなわち、最小値が1以上で、最大値が10以下である。開示されている数値範囲は連続しているため、最小値と最大値との間のすべての値が含まれる。特に明記しない限り、本出願で指定されている様々な数値範囲は近似値である。
【0027】
本明細書で表されるすべての組成範囲は、実際には合計で100パーセント(体積パーセント又は重量パーセント)に制限され、100パーセントを超えない。組成物中に複数の成分が存在することができる場合、当業者が容易に理解するように、実際に使用される成分の量が最大100パーセントに適合するという理解を前提とすると、各成分の最大量の合計は、100パーセントを超えることができる。
【0028】
本開示のより完全な理解を形成するために、以下の用語が定義され、添付の図面及び全体を通して様々な実施形態の説明とともに使用されるべきである。
【0029】
本明細書で使用される「モノマー」という用語は、化学的に反応し、それ自体又は他のモノマーと化学的に結合してポリマーを形成し得る小分子を指す。
【0030】
本明細書で使用される「α-オレフィン」という用語は、鎖の一端に二重結合を有する3~20個の炭素原子を含有する直鎖炭化水素鎖を有するモノマーを説明するために使用され、同等の用語は「直鎖α-オレフィン」である。
【0031】
本明細書で使用される「エチレンポリマー」という用語は、エチレンポリマーを作製するために使用される特定の触媒又は特定のプロセスに関係なく、エチレン及び任意に1つ以上の追加のモノマーから生成された高分子を指す。ポリエチレンの分野では、1つ以上の追加のモノマーは、「コモノマー」と呼ばれることが多く、しばしばα-オレフィンを含む。「ホモポリマー」という用語は、1種類のモノマーのみを含有するポリマーを指す。一般的なエチレンポリマーには、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極低密度ポリエチレン(ULDPE)、プラストマー、及びエラストマーが含まれる。エチレンポリマーという用語には、高圧重合プロセスで生成されるポリマーも含まれ;非限定的な例には、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレンアルキルアクリラートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、及びエチレンアクリル酸の金属塩(一般にイオノマーと呼ばれる)が含まれる。エチレンポリマーという用語には、2~4つのコモノマーを含み得るブロックコポリマーも含まれる。エチレンポリマーという用語には、上記のエチレンポリマーの組合せ又はブレンドも含まれる。
【0032】
「エチレンインターポリマー」という用語は、高圧重合プロセスで生成されるポリマーを除く「エチレンポリマー」グループ内のポリマーのサブセットを指し;高圧プロセスで生成されるポリマーの非限定的な例には、LDPE及びEVA(後者はエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー)が含まれる。
【0033】
「不均一エチレンインターポリマー」という用語は、不均一触媒配合物を使用して生成されるエチレンインターポリマーグループのポリマーのサブセットを指し;その非限定的な例には、チーグラー・ナッタ又はクロム触媒が含まれる。
【0034】
「均一エチレンインターポリマー」という用語は、均一触媒配合物を使用して生成されるエチレンインターポリマーグループのポリマーのサブセットを指す。典型的には、均一エチレンインターポリマーは狭い分子量分布を有し、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)M/M値が2.8未満であり;M及びMは、それぞれ重量及び数平均分子量を指す。対照的に、不均一エチレンインターポリマーのM/Mは、典型的には、均一エチレンインターポリマーのM/Mより大きい。一般に、均一エチレンインターポリマーも狭いコモノマー分布を有し;すなわち、分子量分布内の各高分子は同様のコモノマー含有量を有する。多くの場合、組成分布幅指数「CDBI」は、コモノマーがエチレンインターポリマー内でどのように分布するかを定量化するとともに、異なる触媒又はプロセスで生成されたエチレンインターポリマーを区別するために使用される。「CDBI50」は、その組成が中央値コモノマー組成の50%以内であるエチレンインターポリマーの割合として定義され;この定義は、Exxon Chemical Patents Inc.に譲渡された米国特許第5,206,075号に記載されている定義と一致している。エチレンインターポリマーのCDBI50は、TREF曲線(温度上昇溶出分別)から計算することができ;TREF法は、Wild,et al.,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,Vol.20(3),441頁-455頁に記載されている。典型的には、均一エチレンインターポリマーのCDBI50は、約70%を超える。対照的に、不均一エチレンインターポリマーを含有するα-オレフィンのCDBI50は、一般に均一エチレンインターポリマーのCDBI50未満である。(コモノマー含有量が異なる)2つ以上の均一エチレンインターポリマーのブレンドは、70%未満のCDBI50を有してもよく;本開示では、そのようなブレンドは均一ブレンド又は均一組成物と呼ばれる場合がある。同様に、(重量平均分子量(M)が異なる)2つ以上の均一エチレンインターポリマーのブレンドは、M/M≧2.8を有してもよく;本開示では、そのようなブレンドは均一レンド又は均一組成物と呼ばれる場合がある。
【0035】
本開示では、「均一エチレンインターポリマー」という用語は、直鎖均一エチレンインターポリマー及び実質的に直鎖の均一エチレンインターポリマーの両方を指す。当技術分野において、直鎖均一エチレンインターポリマーは、一般に、長鎖分岐がないか、検出不能な量の長鎖分岐を有すると仮定され;実質的に直鎖エチレンインターポリマーは、一般に、1000個の炭素原子あたり約0.01~約3.0個を超える長鎖分岐を有すると仮定される。長鎖分岐は本質的に高分子であり、すなわち長鎖分岐が付着している高分子と長さが同様である。
【0036】
本開示では、「均一触媒」という用語は、均一触媒により生成されるポリマーの特徴により定義される。より具体的には、狭い分子量分布(SEC M/M値が2.8未満)及び狭いコモノマー分布(CDBI50>70%)を有する均一エチレンインターポリマーを生成する場合、触媒は均一触媒である。均一触媒は、当技術分野で周知である。均一触媒属の2つのサブセットには、非架橋メタロセン触媒及び架橋メタロセン触媒が含まれる。非架橋メタロセン触媒は、触媒金属に結合した2つのかさ高い配位子を特徴とし、非限定的な例には、二塩化ビス(イソプロピル-シクロペンタジエニル)ハフニウムが含まれる。架橋メタロセン触媒では、2つのかさ高い配位子が共有結合(架橋)し、非限定的な例には、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジクロライドが含まれ;ジフェニルメチレン基は、シクロペンタジエニル及びフルオレニルの配位子を一緒に結合又は架橋する。均一触媒属の2つの追加のサブセットには、非架橋及び架橋シングルサイト触媒が含まれる。本開示では、シングルサイト触媒は、触媒金属に結合したかさ高い配位子を1つだけ有することを特徴とする。非架橋シングルサイト触媒の非限定的な例には、シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミン二塩化チタンが含まれる。架橋シングルサイト触媒の非限定的な例には、[C(CH-Si(CH-N(tBu)]チタンジクロライドが含まれ、-Si(CH基は架橋基として機能する。
【0037】
本明細書において、「ポリオレフィン」という用語には、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーが含まれ;プロピレンポリマーの非限定的な例には、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチックプロピレンホモポリマー、少なくとも1つのコモノマー(例えばα-オレフィン)を含有するランダムプロピレンコポリマー、並びに衝撃ポリプロピレンコポリマー又は異相ポリプロピレンコポリマーが含まれる。
【0038】
「熱可塑性」という用語は、加熱すると液体になり、圧力下で流動し、冷却すると固化するポリマーを指す。熱可塑性ポリマーには、エチレンポリマーだけでなく、プラスチック産業で使用される他のポリマーも含まれ;フィルム用途で一般的に使用される他のポリマーの非限定的な例には、バリア樹脂(EVOH)、タイ樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミドなどが含まれる。
【0039】
本明細書で使用される「単層フィルム」という用語は、1つ以上の熱可塑性プラスチックの単一層を含むフィルムを指す。
【0040】
本明細書で使用される「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビルラジカル」、又は「ヒドロカルビル基」という用語は、1つの水素が不足している水素及び炭素を含む、直鎖、分岐、又は環状の脂肪族、オレフィン、アセチレン、及びアリール(芳香族)ラジカルを指す。
【0041】
本明細書で使用される「アルキルラジカル」には、1つの水素ラジカルが不足している直鎖、分岐、及び環状パラフィンラジカルが含まれ;非限定的な例には、メチル(-CH)及びエチル(-CHCH)ラジカルが含まれる。「アルケニルラジカル」という用語は、1つの水素ラジカルが不足している少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖、分岐、及び環状炭化水素を指す。
【0042】
本明細書で使用される「アリール」基という用語には、フェニル、ナフチル、ピリジル、及びその分子が芳香環構造を有する他のラジカルが含まれ;非限定的な例には、ナフチレン、フェナントレン、及びアントラセンが含まれる。「アリールアルキル」基は、そこからペンダントしたアリール基を有するアルキル基であり;非限定的な例には、ベンジル、フェネチル、及びトリルメチルが含まれ;「アルキルアリール」は、そこからペンダントした1つ以上のアルキル基を有するアリール基であり;非限定的な例には、トリル、キシリル、メシチル、及びクミルが含まれる。
【0043】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という語句は、炭素及び炭素に結合することができる水素以外の任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含有する炭化水素ラジカルであり、同じ又は異なるヘテロ原子の1つ以上を含有してもよい。一実施形態では、ヘテロ原子含有基は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含有するヒドロカルビル基である。ヘテロ原子含有基の非限定的な例には、イミン、アミン、酸化物、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環、オキサゾリン、チオエーテルなどのラジカルが含まれる。「複素環式」という用語は、ホウ素、アルミニウム、シリコン、ゲルマニウム、窒素、リン、酸素、及び硫黄からなる群から選択される1~3個の原子を含む炭素骨格を有する環系を指す。
【0044】
本明細書で使用される「非置換」という用語は、水素ラジカルが非置換という用語に続く分子基に結合していることを意味する。「置換」という用語は、この用語に続く基が、基内の任意の位置で1つ以上の水素ラジカルを置き換えた1つ以上の部分を有することを意味し;部分の非限定的な例には、ハロゲンラジカル(F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C~C10アルキル基、C~C10アルケニル基、及びそれらの組合せが含まれる。置換アルキル及びアリールの非限定的な例には、アシルラジカル、アルキルアミノラジカル、アルコキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルチオラジカル、ジアルキルアミノラジカル、アルコキシカルボニルラジカル、アリールオキシカルボニルラジカル、カルボモイルラジカル、アルキル及びジアルキルカルバモイルラジカル、アシルオキシラジカル、アシルアミノラジカル、アリールアミノラジカル、並びにそれらの組合せが含まれる。
【0045】
本明細書では、「R1」及びその上付き文字「R1」という用語は、連続溶液重合プロセスにおける第1の反応器を指し;R1が記号Rとは異なることが理解され;後者は、例えばヒドロカルビル基を表す化学式で使用される。同様に、「R2」及びその上付き文字「R2」という用語は、第2の反応器を指し;「R3」及びその上付き文字「R3」という用語は、第3の反応器を指す。
【0046】
本明細書で使用される「オリゴマー」という用語は、低分子量のエチレンポリマー、例えば、約2000~3000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有するエチレンポリマーを指す。オリゴマーに一般的に使用される他の用語には、「ワックス」又は「グリース」が含まれる。本明細書で使用される「軽質不純物」という用語は、連続溶液重合プロセス内の様々な容器及びプロセス流中に存在し得る比較的低い沸点を有する化合物を指し;非限定的な例には、メタン、エタン、プロパン、ブタン、窒素、CO、クロロエタン、HClなどが含まれる。
【0047】
<実施形態の説明>
連続溶液重合プロセスを改善する必要がある。例えば、所与の反応器温度で生成されたエチレンインターポリマーの分子量を増加させるためである。さらに、溶液重合では、成長する高分子鎖に1つ以上のα-オレフィンを組み込むのに非常に効率的な触媒配合物が必要である。異なる方法で表現すると、反応器供給物中のより低い(α-オレフィン/エチレン)比で、特定の密度を有するエチレン/α-オレフィンコポリマーを生成する触媒配合物が必要である。さらに、製造品に変換した場合に改善された特性を有する、エチレンインターポリマー生成物が必要である。
【0048】
本明細書に開示される実施形態において、「架橋メタロセン触媒配合物」は、少なくとも1つの溶液重合反応器で使用された。この触媒配合物には、式(I)で定義される、かさ高い配位子-金属錯体である「成分A」が含まれていた。
【化2】
【0049】
式(I)において:Mの非限定的な例には、4族金属、すなわち、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムが含まれ;Gの非限定的な例には、14族元素、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛が含まれ;Xはハロゲン原子、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を表し;R基は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され(これらのラジカルは、直鎖、分岐、又は環状であるか、ハロゲン原子、C1-10アルキルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、C6-10アリール、又はアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよい);
は水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルを表し;
及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;
及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C6-10アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC3-30炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される。
【0050】
当技術分野において、式(I)に示されるX(R)基について一般的に使用される用語は、「脱離基」、すなわち、式(I)から引き抜かれて1つ以上のオレフィンを重合できる触媒種を形成する任意の配位子である。X(R)基の同等の用語は「活性化可能配位子」である。式(I)に示されるX(R)基のさらなる非限定的な例には、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシラート、及びジエンなどの弱塩基が含まれる。別の実施形態では、2つのR基は、縮合環又は環系の一部を形成してもよい。
【0051】
成分Aのさらなる実施形態には、式(I)に示される構造の構造異性体、光学異性体、又は鏡像異性体(メソ異性体及びラセミ異性体)、並びにそれらの混合物が含まれる。限定して解釈されるべきではないが、成分Aの2つの種は、分子式[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfCl]を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジクロライド、及び;分子式[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfMe]を有するジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチルを含む。
【0052】
本明細書に開示される実施形態において、「架橋メタロセン触媒配合物」は、(i)第1のエチレンインターポリマーを生成するための第1の反応器、又は(ii)第1及び第3エチレンインターポリマーを生成するための第1及び第3の反応器、又は(iii)第1及び第2のエチレンインターポリマーを生成するための第1及び第2の反応器、又は(iv)第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーを生成するための第1、第2及び第3の溶液重合反応器で使用された。第1及び第2の反応器は、直列又は並列モードで操作され得る。直列モードでは、第1の反応器からの流出物は第2の反応器に直接流れ込む。対照的に、並列モードでは、第1の反応器からの流出物は第2の反応器を迂回し、第1及び第2の反応器からの流出物は第2の反応器の下流で合流する。
【0053】
多種多様な触媒配合物を、任意の第3の反応器で使用することができる。第3の反応器で使用される触媒配合物の非限定的な例には、上記の架橋メタロセン触媒配合物、下記の非架橋シングルサイト触媒配合物、式(I)(上記)又は式(II)(下記)で定義される属のメンバーではないかさ高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物、又は不均一な触媒配合物が含まれる。不均一触媒配合物の非限定的な例には、チーグラー・ナッタ又はクロム触媒配合物が含まれる。
【0054】
本明細書に開示されている比較例1の試料、例えば、比較例1aと1bでは、「非架橋シングルサイト触媒配合物」が少なくとも1つの溶液重合反応器で使用された。この触媒配合物は、以下の式(II)で定義される、かさ高い配位子-金属錯体(以下「成分C」)を含んでいた。
(LM(PI)(Q) (II)
【0055】
式(II)において:(L)はかさ高い配位子を表し;Mは金属原子を表し;PIはホスフィンイミン配位子を表し;Qは脱離基を表し;aは0又は1であり;bは1又は2であり;(a+b)=2;nは1又は2であり;(a+b+n)の合計は、金属Mの原子価に等しい。式(II)のMの非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムが含まれる。
【0056】
式(II)のかさ高い配位子Lの非限定的な例には、非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型配位子、ヘテロ原子置換及び/又はヘテロ原子含有シクロペンタジエニル型配位子が含まれる。追加の非限定的な例には、シクロペンタフェナントレニル配位子、非置換又は置換インデニル配位子、ベンズインデニル配位子、非置換又は置換フルオレニル配位子、オクタヒドロフルオレニル配位子、シクロオクタテトラエンジイル配位子、シクロペンタシクロドデセン配位子、アゼニル配位子、アズレン配位子、ペンタレン配位子、ホスホイル配位子、ホスフィンイミン、ピロリル配位子、ピロゾリル配位子、カルバゾリル配位子、ボラベンゼン配位子などが含まれ、それらの水素化バージョン、例えばテトラヒドロインデニル配位子が含まれる。他の実施形態では、Lは、金属Mへのη結合が可能な任意の他の配位子構造であってもよく、そのような実施形態は、金属Mへのη結合及びη結合の両方を含む。他の実施形態では、Lは、1つ以上のヘテロ原子を含んでもよく、例えば、窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、硫黄、及びリンを、炭素原子と組み合わせて、開環、非環式、若しくは縮合環、又は環系、例えば、ヘテロシクロペンタジエニル補助配位子を形成してもよい。Lの他の非限定的な実施形態には、かさ高いアミド、リン化物、アルコキシド、アリールオキシド、イミド、カルボライド、ボロリド、ポルフィリン、フタロシアニン、コリン、及び他のポリアゾ大環状化合物が含まれる。
【0057】
ホスフィンイミン配位子PIは、式(III)で定義される:
(RP=N- (III)
(式中、R基は、水素原子;ハロゲン原子;非置換又は1つ以上のハロゲン原子で置換されたC1-20ヒドロカルビルラジカル;C1-8アルコキシラジカル;C6-10アリールラジカル;C6-10アリールオキシラジカル;アミドラジカル;式-Si(Rのシリルラジカルから独立して選択され、式中、R基は、水素原子、C1-8アルキル若しくはアルコキシラジカル、C6-10アリールラジカル、C6-10アリールオキシラジカル、又は式-Ge(Rのゲルマニルラジカルから独立して選択され、式中、R基は、Rがこの段落で定義されるように定義される)。
【0058】
脱離基Qは、1つ以上のオレフィンを重合することができる触媒種を形成する式(II)から引き抜かれることができる任意の配位子である。いくつかの実施形態では、QはMへのシグマ結合を有するモノアニオン不安定配位子である。金属の酸化状態に応じて、式(II)が中性のかさ高い配位子-金属錯体を表すようにnの値は1又は2である。Q配位子の非限定的な例には、水素原子、ハロゲン、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、C5-10アリールオキシドラジカルが含まれ;これらのラジカルは、直鎖、分岐、若しくは環状、又はハロゲン原子、C1-10アルキルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、C6-10アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよい。Q配位子のさらなる非限定的な例には、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシラート、ジエン、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルなどの弱塩基が含まれる。別の実施形態では、2つのQ配位子は、縮合環又は環系の一部を形成し得る。
【0059】
成分Cのさらなる実施形態には、式(II)に示されるかさ高い配位子-金属錯体の構造、光学又は鏡像異性体(メソ異性体及びラセミ異性体)及びそれらの混合物が含まれる。
【0060】
限定して解釈されるべきではないが、成分Cの2つの種は、分子式[Cp[(t-Bu)PN]TiCl]を有するシクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミンチタンジクロライド、及び;分子式[Cp[(イソプロピル)PN]TiCl]を有するシクロペンタジエニルトリ(イソプロピル)ホスフィンイミンチタンジクロライドを含む。
【0061】
架橋メタロセン触媒配合物は、成分A(上記で定義)、成分M、成分B、及び成分Pを含有する。成分M、B、及びPは以下に定義され、上付き文字「」は、それぞれの成分が成分Aを含有する触媒配合物、すなわち架橋メタロセン触媒配合物の一部であったという事実を示す。
【0062】
本開示において、比較エチレンインターポリマー生成物は、非架橋シングルサイト触媒配合物を使用することにより調製された。これらの比較試料において、非架橋シングルサイト触媒配合物は、第1の重合反応器、又は第1及び第2の重合反応器、又は第1、第2及び第3の重合反応内の架橋メタロセン触媒配合物を置き換えた。非架橋シングルサイト触媒配合物は、成分C(上記で定義)、成分M、成分B、及び成分Pを含有する。成分M、B、及びPは以下に定義され、上付き文字「」は、それぞれの成分が成分Cを含有する触媒配合物、すなわち非架橋シングルサイト触媒配合物の一部であったという事実を示した。
【0063】
触媒成分M、B、及びPは、各触媒配合物について独立して選択された。より明確にするために:成分M及びMは、同じ化合物であってもそうでなくてもよく;成分B及びBは、同じ化合物であってもそうでなくてもよく;成分P及びPは、同じ化合物であってもそうでなくてもよい。さらに、各触媒配合物の成分のモル比を独立して調整することにより、触媒活性を最適化した。
【0064】
成分M、B、及びPは特に限定されず、すなわち、以下に記載するように多種多様な成分を使用することができた。
【0065】
成分Mは、成分A又は成分Cをカチオン性複合体に活性化する共触媒として機能し、これにより、エチレン又はエチレンとα-オレフィンとの混合物を効果的に重合して高分子量エチレンインターポリマーを生成した。架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物において、各成分Mは、種々の化合物から独立して選択され、当業者は、本開示の実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。成分Mに好適な化合物には、アルモキサン共触媒が含まれていた(アルモキサンと同等の用語はアルミノキサンである)。アルモキサン共触媒の正確な構造は不確かであったが、主題の専門家であれば、一般に、それが一般式(IV):
(R)AlO-(Al(R)-O)-Al(R) (IV)
(式中、R基は1~20個の炭素原子を含む同じ又は異なる直鎖、分岐、又は環状ヒドロカルビル基であり、nは0~約50である)
の繰り返し単位を含有するオリゴマー種であったことに同意する。アルモキサンの非限定的な例は、メチルアルミノキサン(又はMMAO-7)であり、式(IV)の各R基はメチルラジカルである。
【0066】
成分Bは、イオン活性剤であった。一般に、イオン活性剤は、カチオン及びかさ高いアニオンで構成され;後者は実質的に非調整的である。
【0067】
架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物において、各成分Bは、種々の化合物から独立して選択され、当業者は、本開示の実施形態が開示された特定の化合物に限定されないことを理解するであろう。成分Bの非限定的な例は、ホウ素原子に結合した4つの配位子と4配位のホウ素イオン活性剤であった。ホウ素イオン活性剤の非限定的な例には、以下に示す式(V)及び(VI)が含まれた:
[R[B(R (V)
(式中、Bはホウ素原子を表し、Rは、芳香族ヒドロカルビル(例えば、トリフェニルメチルカチオン)であり、各Rは、非置換であるか、フッ素原子から選択される3~5つの置換基で置換されたフェニルラジカル、非置換であるか、フッ素原子で置換されたC1-4アルキル又はアルコキシラジカル;並びに式-Si(R(式中、各Rは、水素原子及びC1-4アルキルラジカルから独立して選択された)のシリルラジカルから独立して選択された)並びに;式(VI)の化合物:
[(RZH][B(R (VI)
(式中、Bはホウ素原子であり、Hは水素原子であり、Zは窒素又はリン原子であり、tは2又は3であり、Rは、C1-8アルキルラジカル、非置換であるか、最大3つのC1-4アルキルラジカルで置換されたフェニルラジカルから選択され、又は窒素原子と一緒になった1つのRがアニリニウムラジカルを形成してもよく、Rは、式(VI)で上で定義された通りであった)。
【0068】
式(V)及び(VI)の両方において、Rの非限定的な例は、ペンタフルオロフェニルラジカルであった。一般に、ホウ素イオン活性剤はテトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ素の塩として説明することができ;非限定的な例には、アニリニウム及びトリチル(又はトリフェニルメチリウム)とテトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ素のアニリニウム、カルボニウム、オキソニウム、ホスホニウム、並びにスルホニウム塩が含まれる。イオン活性剤の追加の非限定的な例には、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)n-ブチルホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジ-(イソプロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トロピリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキスペンタフルオロフェニルボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(1,2,2-トリフルオロエテニル)ボラート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルメチリウムテトラキス(2,3,4,5-テトラフルオロフェニル)ボラート、及びベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,5テトラフルオロフェニル)ボラートが含まれる。容易に入手可能な市販のイオン活性剤には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラート、及びトリフェニルメチリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボラートが含まれた。
【0069】
成分Pは、ヒンダードフェノールであり、それぞれの触媒配合物の任意成分である。架橋メタロセン触媒配合物及び非架橋シングルサイト触媒配合物において、各成分Pは、種々の化合物から独立して選択され、当業者は、本開示の実施形態が開示された具体的な化合物に限定されないことを理解するであろう。ヒンダードフェノールの非限定的な例には、ブチル化フェノール系酸化防止剤、ブチル化ヒドロキシトルエン、2,4-ジ-tert-ブチル-6-エチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びオクタデシル-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナートが含まれた。
【0070】
以下で十分に説明するように、高活性の架橋メタロセン触媒配合物は、配合物中の4つの成分(すなわち、成分A、成分M、成分B、及び任意に成分P)の量及びモル比を最適化することによって生成した。高活性とは、非常に少量の触媒配合物から非常に大量のエチレンインターポリマーが生成されることを意味する。同様に、高活性の非架橋シングルサイト触媒配合物(比較触媒配合物)は、配合物中の4つの成分(すなわち、成分C、成分M、成分B、及び任意に成分P)の量及びモル比を最適化することによって生成した。
【0071】
本開示では、任意の第3の反応器で不均一触媒配合物を使用して、第3のエチレンインターポリマーを合成することができる。不均一触媒配合物の非限定的な例には、チーグラー・ナッタ及びクロム触媒配合物が含まれる。チーグラー・ナッタ触媒配合物の非限定的な例には、「インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物」又は「バッチ式チーグラー・ナッタ触媒配合物」が含まれる。「インライン」という用語は、少量の活性チーグラー・ナッタ触媒の連続合成と、この触媒を直ちに第3の反応器に注入することとを指し、エチレン及び1つ以上の任意のα-オレフィンが重合されて、任意の第3のエチレンインターポリマーを形成した。「バッチ」という用語は、連続操作溶液重合プロセスの外部にある、又は分離された1つ以上の混合容器内でのはるかに大量の触媒又はプロ触媒の合成を指す。調製後、バッチ式チーグラー・ナッタ触媒配合物、又はバッチ式チーグラー・ナッタプロ触媒を触媒貯蔵タンクに移した。「プロ触媒」という用語は、(エチレンの重合に関しては不活性である)不活性な触媒配合物を指し;プロ触媒は、アルキルアルミニウム共触媒を添加することにより活性触媒に変換された。必要に応じて、プロ触媒を貯蔵タンクから少なくとも1つの連続操作反応器にポンプで送り、そこで活性触媒がエチレンと1つ以上の任意のα-オレフィンとを重合して、エチレンインターポリマーを形成した。プロ触媒は、反応器内又は反応器の外部で活性触媒に変換されてもよい。
【0072】
多種多様な化合物を使用して、活性チーグラー・ナッタ触媒配合物を合成できる。以下は、活性チーグラー・ナッタ触媒配合物を生成するために組み合わせ得る様々な化合物について説明している。当業者は、本開示の実施形態が開示された具体的な化合物に限定されないことを理解するであろう。
【0073】
活性チーグラー・ナッタ触媒配合物は、マグネシウム化合物、塩化物化合物、金属化合物、アルキルアルミニウム共触媒、及びアルミニウムアルキルから形成されてもよい。本開示では、「成分(v)」という用語は、マグネシウム化合物と同等であり、「成分(vi)」という用語は、塩化物化合物と同等であり、「成分(vii)」という用語は、金属化合物と同等であり、「成分(viii)」という用語は、アルキルアルミニウム共触媒と同等であり、「成分(ix)」という用語は、アルミニウムアルキルと同等である。当業者には理解されるように、チーグラー・ナッタ触媒配合物は追加の成分を含有してもよく;追加の成分の非限定的な例は、電子供与体、例えばアミン又はエーテルである。
【0074】
活性インライン・チーグラー・ナッタ触媒配合物の非限定的な例は、以下のように調製することができる。第1のステップでは、マグネシウム化合物(成分(v))の溶液を塩化物化合物(成分(vi))の溶液と反応させて、溶液中に懸濁した塩化マグネシウム担体を形成する。マグネシウム化合物の非限定的な例には、Mg(Rが含まれ;式中、R基は、同じ又は異なる、1~10個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。塩化物化合物の非限定的な例には、RClが含まれ;式中、Rは水素原子、又は1~10個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状ヒドロカルビルラジカルを表す。第1のステップでは、マグネシウム化合物の溶液は、アルミニウムアルキル(成分(ix))も含有し得る。アルミニウムアルキルの非限定的な例には、Al(Rが含まれ、R基は、1~10個の炭素原子を含有する同じ又は異なる直鎖、分岐、又は環状ヒドロカルビルラジカルであってもよい。第2のステップでは、金属化合物(成分(vii))の溶液を塩化マグネシウムの溶液に添加し、金属化合物を塩化マグネシウムに担持させる。好適な金属化合物の非限定的な例には、M(X)又はMO(X)が含まれ;式中、Mは周期表の4族~8族から選択される金属、又は4族~8族から選択される金属の混合物を表し;Oは酸素を表し;Xは塩化物又は臭化物を表し;nは金属の酸化状態を満たす3~6の整数である。好適な金属化合物の追加の非限定的な例には、4族~8族の金属アルキル、金属アルコキシド(金属アルキルをアルコールと反応させることで調製され得る)、並びにハロゲン化物、アルキル、及びアルコキシド配位子の混合物を含有する混合配位子金属化合物が含まれる。第3のステップでは、アルキルアルミニウム共触媒(成分(viii))の溶液を塩化マグネシウムに担持された金属化合物に添加する。式(VII)で表されるように、多種多様なアルキルアルミニウム共触媒が好適であり:
Al(R(OR(X) (VII)
式中、R基は同じ又は異なる、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり得;OR基は同じ又は異なる、アルコキシ又はアリールオキシ基であり得、Rは、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;Xは塩化物又は臭化物であり;(p+q+r)=3であるがただし、pは0よりも大きいことを条件とする。一般的に使用されるアルキルアルミニウム共触媒の非限定的な例には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、ジメチルアルミニウム塩化物又は臭化物、ジエチルアルミニウム塩化物又は臭化物、ジブチルアルミニウム塩化物又は臭化物、及びエチルアルミニウム二塩化物又は二臭化物が含まれる。
【0075】
活性なインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を合成するための上記の段落で説明したプロセスは、種々の溶媒で実施することができ;溶媒の非限定的な例には、直鎖若しくは分岐C~C12アルカン又はそれらの混合物が含まれる。
【0076】
活性なインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を生成するために、5つの成分(v)~(ix)の量及びモル比を以下に説明するように最適化する。
【0077】
不均一触媒配合物の追加の実施形態には、「金属化合物」がクロム化合物である配合が含まれ;非限定的な例には、シリルクロマート、酸化クロム、及びクロモセンが含まれる。いくつかの実施形態では、クロム化合物は、シリカ又はアルミナなどの金属酸化物上に担持される。クロムを含有する不均一触媒配合物には、共触媒も含まれてもよく;共触媒の非限定的な例には、トリアルキルアルミニウム、アルキルアルミノキサン、及びジアルコキシアルキルアルミニウム化合物などが含まれる。
【0078】
本開示では、架橋メタロセン触媒配合物は、独特の不飽和比URを有する溶液プロセスエチレンインターポリマー生成物を生成した。
【0079】
表1は、比較例と比較した、本開示の例における100個の炭素(100C)あたりの内部、側鎖及び末端不飽和の量、すなわち、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98に従って測定されたトランスビニレン、ビニリデン及び末端ビニル基の量を開示する。表1は、次の式で定義される無次元の「不飽和比」、「UR」も開示している。
UR=(SC-T)/T 式(UR)
式中、SCは側鎖不飽和、Tは末端不飽和である。図1は、例と比較例の平均UR値を比較したものである。統計的に、複数の例(例1~6)は、すべての比較例と比較して、有意に異なる平均UR値を有する。例えば、例1~6の平均UR値は-0.116±0.087で、比較例Q1~Q4の平均UR値は0.085±0.014であり;これらの平均UR値は、分散が等しいと仮定したt検定に基づいて有意に異なった。すなわち、4.51のt統計は、2.31の両側テール臨界値を超え、0.00197の両側テールP値は0.05未満であった。比較Qは、オーストリア、ウィーン、ボレアリスから入手可能なQueoと呼ばれる市販製品であり;具体的には、比較例Q1はQueo 0201、比較例Q2はQueo 8201、比較例Q3はQueo 0203、比較例Q4はQueo 1001であった。Queo製品は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、1つの反応器とメタロセン触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されると考えられる。
【0080】
統計的に、例1~6の平均UR値は、比較例R、比較例S、比較例T、比較例U、比較例V、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4及び比較例5とも有意に異なっていた。表1と図1に示すように、比較例Rの平均URは1.349±0.907であった。これは、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なAffinityと呼ばれる市販製品の7試料の平均であり;具体的には、Affinity PL1880(3試料)、Affinity PF1140、Affinity PF1142及びAffinity PL1881であった。Affinityの試料は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、1つの反応器とシングルサイト触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されると考えられる。比較例Sの平均URは0.1833±0.0550であった。すなわち、テキサス州スプリングのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なEnableと呼ばれる市販製品の5試料の平均であり;具体的には、Enable 27-03CH(3試料)及びEnable 20-05(2試料)であった。Enable製品は、エチレン/1-ヘキセンコポリマーであり、1つの反応器とメタロセン触媒配合物を使用する気相プロセスで生成されると考えられる。比較例Tの平均URは-0.6600±0.1306であった。すなわち、テキサス州スプリングのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なExceedと呼ばれる市販製品の48試料の平均であり;具体的には、Exceed 1018(26試料)、Exceed 1023(4試料)、Exceed 1015(3試料)、Exceed 4518(3試料)、Exceed 3518(4試料)、Exceed 1012(3試料)、エクシード1318CA(2試料)、エクシード3812、エクシード1023DA及びエクシード2718CBであった。Exceed製品は、エチレン/1-ヘキセンコポリマーであり、1つの反応器とメタロセン触媒配合物を使用する気相プロセスで生成されると考えられる。比較例Uは-0.667のUR値を有し、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なElite AT 6202と呼ばれる市販製品であった。 Elite AT 6202は、エチレン/1-ヘキセンコポリマーであり、少なくとも1つの均一触媒配合物を使用する二重反応器溶液プロセスで生成されると考えられている。比較例Vの平均URは-0.8737±0.0663であった。すなわち、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なEliteと呼ばれる市販製品の25試料の平均であり;具体的には、Elite 5400(12試料)、Elite 5100(4試料)、Elite 5110(2試料)、Elite 5230(2試料)、Elite 5101及びElite 5500であった。Elite製品は、エチレン/1-オクテンコポリマーであり、第1の反応器でシングルサイト触媒配合物を、第2の反応器でバッチ式チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されると考えられる。比較例1の平均URは-0.4374±0.1698、すなわちアルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationから入手可能なSURPASS FPs117と呼ばれる市販製品の61試料の平均であった。SURPASS FPs117は、シングルサイト触媒配合を使用した溶液重合プロセスで生成されたエチレン/1-オクテンコポリマーであった。比較例2の平均URは-0.5000±0.1000、すなわちアルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationが製造した実験製品の3試料の平均であった。比較例2a、2b、2cは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物を、第2の反応器で非架橋シングルサイト触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されたエチレン/1-オクテンコポリマー(約0.917g/cc及び約1.0 I)であった。比較例3の平均URは-0.8548±0.0427、すなわちアルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationが製造した実験製品の4試料の平均であった。比較例3a、3b、3c、及び3dは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物を、第2の反応器でとインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されたエチレン/1-オクテンコポリマー(約0.917g/cc及び約1.0 I)であった。比較例4の平均URは-0.8633±0.0470であった。すなわち、アルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationから入手可能なSURPASSと呼ばれる市販製品の平均21試料であり;具体的には、SURPASS SPs116(6試料)、SURPASS SPsK919(5試料)、SURPASS VPsK114(3試料)及びSURPASS VPsK914(7試料)であった。これらは、第1の反応器でシングルサイト触媒配合物を、第2の反応器でインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用する溶液重合プロセスで生成されたエチレン/1-オクテンコポリマーであった。比較例5の平均URは-0.8687±0.0296であった。すなわち、アルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationから入手可能なSCLAIR(登録商標)FP120と呼ばれる市販製品の137試料の平均であった。FP120は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用した溶液重合プロセスで生成されたエチレン/1-オクテンコポリマーであった。
【0081】
図1と表1から明らかなように、比較3~5と比較VのUR値に有意差はなく(UR値の範囲は-0.8548 ~ -0.8737である)、これは、チーグラー・ナッタ触媒が、これらのコポリマーの少なくとも一部を製造するために使用されたという事実を反映していると考えられる。
【0082】
本開示では、架橋メタロセン触媒配合物は、長鎖分岐(以下「LCB」)を有するエチレンインターポリマー生成物を生成した。
【0083】
LCBは、当業者によく知られているポリエチレンの構造的特徴である。従来、LCBの量を定量化するには3つの方法、すなわち、核磁気共鳴分光法(NMR)があり、例えば、J.C.Randall,J Macromol.Sci.,Rev.Macromol.Chem.Phys.1989,29,201;triple detection SEC equipped with a DRI,a viscometer and a low-angle laser light scattering detectorを参照、例えば、W.W.Yau and D.R.Hill,Int.J.Polym.Anal.Charact.1996;2:151;and rheologyを参照、例えば、W.W.Graessley,Acc.Chem.Res.1977,10,332-339を参照されたい。長鎖分岐は本質的に高分子であり、すなわち、NMRスペクトル、三重検出器SEC実験、又はレオロジー実験で見られるのに十分な長さである。
【0084】
NMRを介したLCB分析の制限は、6個の炭素原子以上の分岐の分岐長さを区別できないことである(したがって、NMRは側鎖としてヘキシル基を有するエチレン/1-オクテンコポリマーのLCBを特性評価するために使用できない)。
【0085】
三重検出SEC法は、固有粘度([η])を測定する(W.W.Yau,D.Gillespie,Analytical and Polymer Science,TAPPI Polymers,Laminations,and Coatings Conference Proceedings,Chicago 2000;2:699 or F.Beer,G.Capaccio,L.J.Rose,J.Appl.Polym.Sci.1999,73:2807 or P.M.Wood-Adams,J.M.Dealy,A.W.deGroot,O.D.Redwine,Macromolecules 2000年;33:7489頁を参照)。分岐ポリマーの固有粘度([η])を同じ分子量の直鎖ポリマーの固有粘度([η])と参照することにより、粘度分岐指数係数g’(g’=[η]/[η])を、分岐特性評価に使用した。ただし、短鎖分岐(SCB)及び長鎖分岐(LCB)の両方が固有粘度([η])に寄与するため、エチレン/1-オクテンコポリマーではなくエチレン/1-ブテン及びエチレン/1-ヘキセンコポリマーのSCB寄与を分離する努力がなされた(Lue et al.,US6,870,010B1を参照)。本開示では、3種類のエチレン/1-オレフィンコポリマー、すなわちオクテン、ヘキセン、及びブテンコポリマーについてMark-Houwink定数Kに対するSCBの影響を調べるために系統的調査が行われた。SCBの寄与を差し引いた後、LCBを含むエチレン/1-オレフィンコポリマーの特性評価のために、粘度LCBインデックスが導入された。粘度LCBインデックスは、140℃で試料の1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)で測定されたMark-Houwink定数(K)を、直鎖エチレン/1-オレフィンコポリマーのSCB補正Mark-Houwink定数(Kco)で割ったものとして定義された、式(1)。
【数2】

(式中、[η]は3D-SECで決定された固有粘度(dL/g)であり、Mは3D-SECを使用して決定された粘度平均モル質量(g/モル)であり;SCBはFTIRを使用して決定された短鎖分岐含有量(CH#/1000C)であり;Aは試験中のエチレン/α-オレフィンインターポリマー中に存在するα-オレフィンに依存する定数であり、具体的には、Aは1-オクテン、1-ヘキセン、及び1-ブテンに対してそれぞれ2.1626、1.9772、及び1.1398であった)。エチレンホモポリマーの場合は、Mark-Houwink定数の補正は必要なく、すなわち、SCBはゼロである。
【0086】
当技術分野において、レオロジーはまた、エチレンインターポリマー中のLCBの量又は不足を測定するための効果的な方法であった。LCBを定量化するいくつかのレオロジー手法が開示されている。一般的に使用される方法の1つは、ゼロせん断粘度(η)及び重量平均モル質量(M)データに基づいていた。3.41電力依存性(η=K×M 3.41)は、直鎖のみから構成される単分散ポリエチレンについて確立されており、例えば、R.L.Arnett及びC.P.Thomas,J.Phys.Chem.1980年,84,649-652頁を参照されたい。ηが同じMの直鎖エチレンポリマーの予想を超えるエチレンポリマーは、長鎖分岐を含有するとみなされた。ただし、多分散性、例えばM/Mの影響に関しては、この分野で議論がある。多分散性への依存性は、いくつかの場合で観察された(M.Ansari et al.,Rheol.Acta,2011年,5017-27頁を参照)が、他の場合では観察されなかった(T.P.Karjala et al.,Journal of Applied Polymer Science 2011年,636-646頁を参照)。
【0087】
レオロジーによるLCB分析の別の例は、ゼロせん断粘度(η)及び固有粘度([η])データに基づき、例えば、R.N.Shroff及びH.Mavridis,Macromolecules 1999年,32,8454頁を参照されたい;これは、本質的に直鎖ポリエチレン(すなわち、LCBのレベルが非常に低いポリエチレン)に適用できる。この方法の重要な制限は、SCBの固有粘度への寄与である。[η]は、SCB含有量の増加とともに減少することがよく知られている。
【0088】
本開示では、体系的な調査を行って、SCB及びモル質量分布の両方の影響を調べた。SCB及びモル質量分布(多分散性)の両方の寄与を差し引いた後、以下に完全に説明するように、エチレン/α-オレフィンコポリマーのLCBの量を特徴付けするために、長鎖分岐係数(以下「LCBF」)を導入した。
【0089】
本開示では、長鎖分岐係数(LCBF)を使用して、エチレンインターポリマー生成物中のLCBの量を特徴付けた。開示されているエチレンインターポリマー生成物は、(i)第1の反応器内;(ii)第1及び第2の反応器内;又は(iii)第1、第2及び第3の反応器内;の架橋メタロセン触媒配合物を使用して生成され、又は(iv)任意に、第3の反応器内で使用される架橋メタロセン触媒配合物は、代替の均一触媒配合物又は不均一触媒配合物で置き換えることができる。
【0090】
図2は、LCBFの計算を示している。図2に示す実線の「基準線」は、LCBを含まない(又は検出不能なレベルのLCBを含む)エチレンポリマーを特徴付けている。
【0091】
LCBを含むエチレンインターポリマーは、基準線から外れた。例えば、エチレンインターポリマー生成物の例1~3(図2の白い丸)は、基準線から水平及び垂直に外れていた。
【0092】
LCBFの計算には、式(2)で説明されているように、多分散度補正ゼロせん断粘度(ZSV)及びSCB補正固有粘度(IV)が必要である。
【0093】
ポアズの次元を有するゼロせん断粘度ZSVの補正は、式(2)に示すように実行された:
【数3】

(式中、η、ゼロせん断粘度(ポアズ)は本開示の「試験方法」セクションに記載されているようにDMAによって測定し;Pdは従来のSEC(「試験方法」を参照)を使用して測定した無次元の多分散性(M/M)であり、1.8389及び2.4110は無次元の定数である)。
【0094】
dL/gの次元を有する固有粘度IVの補正は、式(3)に示すように実行された:
【数4】

(式中、固有粘度[η](dL/g)は3D-SECを使用して測定され(「試験方法」を参照);(CH#/1000C)の次元を有するSCBは、FTIRを使用して決定され(「試験方法」を参照);M、粘度平均モル質量(g/モル)は3D-SECを使用して決定され(「試験方法」を参照);Aは、エチレン/α-オレフィンインターポリマー試料中のα-オレフィンに依存する無次元定数であり、すなわち、1-オクテン、1-ヘキセン、及び1-ブテンα-オレフィンの場合、Aはそれぞれ2.1626、1.9772、又は1.1398であった)。エチレンホモポリマーの場合は、Mark-Houwink定数の補正は必要なく、すなわち、SCBはゼロである。
【0095】
直鎖エチレン/α-オレフィンインターポリマー(LCBを含まないか、又は検出不能なレベルのLCBを含む)は、式(4)で定義される基準線上にある。
【数5】
【0096】
図2に示すように、LCBFの計算は、以下の式で定義されるように、線形基準線からの水平シフト(S)及び垂直シフト(S)に基づいた:
【数6】

【数7】
【0097】
式(5)及び(6)では、ZSV及びIVの次元が、それぞれポアズ及びdL/gであることが必要である。水平シフト(S)は、一定の固有粘度(IV)でのZSVのシフトであり、Log関数を削除すると、その物理的意味、すなわち、2つのゼロせん断粘度の比、同じIVを有する直鎖エチレンポリマーのZSVに対する試験下の試料のZSVが明らかである。水平シフト(S)は無次元であった。垂直シフト(S)は、一定のゼロせん断粘度(ZSV)でのIVのシフトであり、Log関数を削除すると、その物理的意味、すなわち、2つの固有粘度の比、試験下の試料のIVに対する同じZSVを有する直鎖エチレンポリマーのIVが明らかである。垂直シフト(S)は無次元であった。
【0098】
無次元長鎖分岐係数(LCBF)は、式(7)で定義された:
【数8】

【0099】
直鎖エチレン/α-オレフィンインターポリマー(LCBを含まないか、検出不能なレベルのLCBを含む)は、式(4)で定義される基準線上にある。表2A及び表2Bは、LCBを有さない(又はLCBが検出不能な)37の基準樹脂を示している。基準樹脂は、1.68~9.23の範囲のM/M値を有し、表2Aの「A」の値は、基準樹脂に1-オクテン、1-ヘキセン、又は1-ブテンのα-オレフィンが含まれているかどうかを示している。基準樹脂には、チーグラー・ナッタ、均一及び混合(チーグラー・ナッタ+均一)触媒配合物を用いて溶液、気相、又はスラリープロセスで生成されたエチレンポリマーが含まれていた。本開示では、基準樹脂が0.000426~1.47×10-9の範囲のLCBF値を有していたことを示す表2Bから明らかなように、LCBを有さない(又はLCBが検出不能な)樹脂は、0.001(無次元)未満のLCBFによって特徴付けられた。
【0100】
表3Aは、例及び比較例のLCBF値を開示している。例えば、長鎖分岐の例1のS及びSは、それぞれ0.646及び0.136であり、LCBFは、0.044((0.646×0.136)/2)であった。対照的に、LCBを含まない比較1aのS及びSは、それぞれ-0.022及び-0.0047であり、LCBFは、0.0001((-0.022×(-0.047))/2)であった。
【0101】
本開示では、LCBを有する樹脂は、0.001(無次元)以上のLCBFを有するものとして特徴付けられ、対照的に、LCBを有さない(又はLCBが検出不能な)樹脂は、0.001(無次元)未満のLCBFによって特徴付けられた。
【0102】
本明細書に開示されているエチレンインターポリマー生成物、すなわち例1~3は、表3A及び図2から明らかなようにLCBを含んでいた。より具体的には、表3Aに示されるように、例1~3のLCBFは、それぞれ0.044、0.054及び0.056であり、図2に示される線形基準線上にはない。対照的に、比較例1aのLCBFは0.0001(表3A)であり、基準線(図2、塗りつぶされた三角形)上にある。すなわち、LCBが含まれていないか、検出不能なレベルのLCBを含む。例1~2は、第1及び第2の溶液重合反応器で架橋メタロセン触媒配合物を使用して生成されたエチレンインターポリマー生成物であり、例3は、第1の溶液重合反応器で架橋メタロセン触媒配合物を使用して生成された。比較例1aは、第1及び第2の溶液重合反応器において非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して生成された。比較例1aは、アルバータ州カルガリーのNOVA Chemicals Corporationから入手可能なFPs117-Cとコード化された市販製品であった。表3Aから、比較例Q1、Q3、及びQ4(図2の白抜きの四角)には長鎖分岐が含まれていることが明らかであり、すなわち、LCBF値がそれぞれ0.049、0.018、及び0.067であった。比較例Qは、オーストリア、ウィーン、ボレアリスから入手可能なQueoと呼ばれる市販製品であり;具体的には、比較例Q1はQueo 0201、比較例Q3はQueo 0203、比較例Q4はQueo 1001であった。
【0103】
表3Bは、比較例R1(図2の白い菱形)がLCBFを含み、LCBF値が0.040であることを要約したものである。比較例R1は、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なAffinity PL1880Gと呼ばれる市販製品であった。表3Bに示すように、比較例S1とS2(図2の黒丸)はLCBを含み、LCBF値はそれぞれ0.141と0.333であった。比較例S1及びS2は、スプリングテキサスのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なEnableと呼ばれる市販製品であり;具体的には、Enable 20-05HH及びEnable 27-03であった。表3Bは、比較例U(図2のクロスx記号)にLCBが含まれていること、すなわちLCBF値が0.036であることを示している。比較例Uは、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なElite AT 6202とコード化された市販製品であった。LCBF値が0.0080と0.0088である、表3B(V2aとV2b)に要約されている比較例V2(図2のダッシュのような記号)の2つの試料は、ミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能なElite 5100Gと呼ばれる市販製品である。比較例Tは、テキサス州スプリングのExxonMobil Chemical Companyから入手可能なExceed 1018であった。
【0104】
比較例4と比較例5は、表3A~3B又は図2には表示されていないが、これらの樹脂はLCBを有さない、又は、検出不能なレベルのLCB(すなわちLCBF<0.001)を有していた。比較例2及び3も、表3A~3B又は図2には示さなかった。比較例2はLCBを含んでいた、すなわち、比較例2(すなわち、比較例2aから2c)の3つの試料の平均LCBFは0.037であった。比較例3はLCBを含みました。すなわち、比較例3(すなわち、比較例3a~3d)の4つの試料の平均LCBFは0.016であった。
【0105】
<溶液重合プロセス>
連続溶液重合プロセスの実施形態を図3及び図4に示す。図3及び図4は、限定するものと解釈されるべきではなく、実施形態は、示された容器の正確な配置又は数に限定されないことが理解される。簡単に言うと、図3は1つの連続攪拌タンク反応器(CSTR)に続いて任意の管状反応器を示し、図4は2つのCSTRに続いて任意の管状反応器を示す。図3及び図4の点線は、連続重合プロセスの任意の機能を示す。本開示において、図4に示される管状反応器117の同等の用語は、「第3の反応器」又は「R3」であり;任選選択で、この反応器内で第3のエチレンインターポリマーを生成した。1つのCSTRを有する図3に目を向けると、第3の反応器又はR3という用語も、管状反応器17を説明するために使用され;ここで、第3のエチレンインターポリマーが任意に生成された。
【0106】
図3では、プロセス溶媒1、エチレン2、及び任意のα-オレフィン3が組み合わされて、反応器11aに流入する反応器供給流RF1が生成される。組み合わされた反応器供給流RF1が形成されることは特に重要ではなく;すなわち、反応器供給流は、流れ1~3が独立して反応器11aに注入される実施形態を含む、可能なすべての組合せで組み合わせることができる。任意選択で、水素を流れ4を通して反応器11aに注入してもよく;反応器11a内で生成された第1のエチレンインターポリマーの分子量を制御する(減少する)ために水素が一般に添加される。反応器11aは、反応器の外部のモーター及び反応器内の撹拌器を含む撹拌アセンブリ11bによって連続的に撹拌される。
【0107】
架橋メタロセン触媒配合物は、流れ5eを介して反応器11aに注入される。触媒成分流れ5d、5c、5b及び任意の5aは、それぞれ、イオン活性剤(成分B)、かさ高い配位子-金属錯体(成分A)、アルモキサン共触媒(成分M)、及び任意のヒンダードフェノール(成分P)を指す。触媒成分流れは、可能なすべての構成で配置することができ、流れ5aから5dが独立して反応器11aに注入される実施形態を含む。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。成分A、B、M及びPの触媒成分溶媒は同じでも異なっていてもよい。触媒成分溶媒は、触媒成分の組合せが任意のプロセス流で沈殿物;例えば、流れ5eにおける触媒成分の沈殿を生成しないように選択される。本開示では、「第1の均一触媒アセンブリ」という用語は、架橋メタロセン触媒配合物を第1の反応器11aに送るように機能する、流れ5aから5e、流れ制御装置及びタンク(図3には示さず)の組合せを指す。架橋メタロセン触媒配合物の最適化について以下に説明する。
【0108】
反応器11aは、プロセス溶媒に溶解した第1のエチレンインターポリマー、並びに未反応のエチレン、未反応のα-オレフィン(存在する場合)、未反応の水素(存在する場合)、活性触媒、失活触媒、残留触媒成分、及びその他の不純物(存在する場合)を含有する第1の出口流である流れ11cを生成する。
【0109】
任意に、第1の出口流である流れ11cは、触媒失活剤タンク18Aからの触媒失活剤Aを添加することによって失活され、失活溶液A、流れ12eを形成し;この場合、図3はデフォルトで単一反応器溶液プロセスになる。触媒失活剤が添加されない場合、流れ11cは管状反応器17に入る。触媒失活剤Aについては以下で説明する。
【0110】
「管状反応器」という用語は、その従来の意味、すなわち単純な管を伝えることを意味し;長さ/直径(L/D)比は少なくとも10/1である。任意選択で、以下のプロセス溶媒13、エチレン14、及びα-オレフィン15の反応器供給流のうちの1つ以上を管状反応器17に注入してもよい。図3に示すように、流れ13、14、及び15を組み合わせて、反応器供給流RF3を形成し、後者を反応器17に注入してもよい。流れRF3が形成されることは特に重要ではなく;すなわち、可能なすべての組合せで反応器供給流を組み合わせることができる。任意選択で、水素を流れ16を通して反応器17に注入してもよい。任意選択で、均一又は不均一触媒配合物を反応器17に注入してもよい。均一触媒配合物の非限定的な例には、架橋メタロセン触媒配合物、非架橋シングルサイト触媒配合物、又はかさ高い配位子-金属錯体が式(I)若しくは式(2)で定義される属のメンバーではない均一触媒配合物が含まれる。図3の流れ40は、「第2の均一触媒アセンブリ」からの出力を表している。第2の均一触媒アセンブリの一実施形態は、上記の第1の均一触媒アセンブリと同様であり、すなわち、同様の流れ、流れ制御装置、及び容器を有する。
【0111】
図3では、流れ34aから流れ34hは、「不均一触媒アセンブリ」を表している。一実施形態では、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、不均一触媒アセンブリで生成される。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を構成する成分は、流れ34a、34b、34c及び34dを通して導入される。流れ34aはアルミニウムアルキルとマグネシウム化合物の混合物を含み、流れ34bは塩化物化合物を含み、流れ34cは金属化合物を含み、流れ34dはアルキルアルミニウム共触媒を含む。効率的なインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、以下のモル比:(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)又は(ix)/(v);(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)又は(vi)/(v);(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)又は(viii)/(vii)、及び;(アルキルアルミニウム)/(金属化合物)又は(ix)/(vii)を最適化することにより形成された場合であって、また、これらの化合物が反応して平衡化する時間も必要である。
【0112】
流れ34aは、プロセス溶媒中にマグネシウム化合物、成分(v)及びアルミニウムアルキル、成分(ix)の2成分ブレンドを含有している。流れ10aの(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は、70、場合によっては50、他の場合では30であってもよい。(アルミニウムアルキル)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は、3.0、場合によっては5.0、他の場合では10であってもよい。流れ34bは、プロセス溶媒中に塩化物化合物(成分(vi))の溶液を含有している。流れ34bは流れ34aと組み合わされ、流れ34aと34bの混合により塩化マグネシウム触媒担体が生成される。効率的なインライン式チーグラー・ナッタ触媒(オレフィン重合で効率的)を生成するには、(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比を最適化する。(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の上限は、4、場合によっては3.5、他の場合では3.0であってもよい。(塩化物化合物)/(マグネシウム化合物)モル比の下限は、1.0、場合によっては1.5、他の場合では1.9であってもよい。流れ34cを介した塩化物化合物の添加と金属化合物(成分(vii))の添加との間の時間が制御される(以下、HUT-1(第1のホールドアップ時間))。HUT-1は、流れ34aと流れ34bが平衡化して塩化マグネシウム担体を形成する時間である。HUT-1の上限は、70秒、場合によっては60秒、他の場合では50秒であってもよい。HUT-1の下限は、5秒、場合によっては10秒、他の場合では20秒であってもよい。HUT-1は、流れ34b注入ポートと流れ34c注入ポートとの間の導管の長さを調整すること、並びに流れ34a及び34bの流量を制御することにより制御される。流れ34dを介した、成分(vii)の添加とアルキルアルミニウム共触媒である成分(viii)の添加との間の時間が制御される(以下、HUT-2(第2のホールドアップ時間))。HUT-2は、塩化マグネシウム担体と流れ34cとが反応して平衡化する時間である。HUT-2の上限は、50秒、場合によっては35秒、他の場合では25秒であってもよい。HUT-2の下限は、2秒、場合によっては6秒、他の場合では10秒であってもよい。HUT-2は、流れ34c注入ポートと流れ34d注入ポートとの間の導管の長さを調整すること、並びに流れ34a、34b及び34cの流量を制御することにより制御される。添加されるアルキルアルミニウム共触媒の量は、効率的な触媒を生成するために最適化されており;これは、(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比、又は(viii)/(vii)モル比を調整することで実現される。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の上限は、10、場合によっては7.5、他の場合では6.0であってもよい。(アルキルアルミニウム共触媒)/(金属化合物)モル比の下限は、0、場合によっては1.0、他の場合では2.0であってもよい。加えて、アルキルアルミニウム共触媒の添加とインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の反応器17への注入との間の時間が制御される(以下、HUT-3(第3のホールドアップ時間))。HUT-3は、流れ34dが混合して平衡化し、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を形成する時間である。HUT-3の上限は、15秒、場合によっては10秒、他の場合では8秒であってもよい。HUT-3の下限は、0.5秒、場合によっては1秒、他の場合では2秒であってもよい。HUT-3は、反応器17の流れ34d注入ポートと触媒注入ポートとの間の導管の長さを調整することにより、及び流れ34a~34dの流量を制御することにより、制御される。図3に示すように、任意に、流れ34dの100%、アルキルアルミニウム共触媒を、流れ34hを介して反応器17に直接注入してもよい。任意選択で、流れ34dの一部を、流れ34hを介して反応器17に直接注入してもよく、流れ34dの残りの部分を、流れ34fを介して反応器17に注入してもよい。
【0113】
反応器17に添加されるインライン式不均一触媒配合物の量は、反応器溶液中の金属化合物(成分(vii))の百万分率(ppm)、以下「R3(vii)(ppm)」として表される。R3(vii)(ppm)の上限は、10ppm、場合によっては8ppm、他の場合では6ppmであってもよい。R3(vii)(ppm)の下限は、場合によっては0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では2ppmであってもよい。反応器17内の(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比、又は(ix)/(vii)モル比も制御される。反応器内の(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比の上限は、2であり、場合によっては1.5であり、他の場合では1.0であってもよい。反応器内の(アルミニウムアルキル)/(金属化合物)モル比の下限は、0.05、場合によっては0.075、他の場合では0.1であってもよい。
【0114】
インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を調製して反応器17に送るために用いられる流れの任意の組合せ、すなわち流れ34a~34hを加熱又は冷却してもよく;場合によっては、流れ34a~34hの上限温度は、90℃、他の場合では80℃、さらに他の場合では70℃であってもよく;場合によっては、下限温度は、20℃、他の場合では35℃、さらに他の場合では50℃であってもよい。
【0115】
反応器17では、第3のエチレンインターポリマーが形成されてもされなくてもよい。触媒失活剤Aが触媒失活剤タンク18Aを介して反応器17の上流に添加される場合、第3のエチレンインターポリマーは形成されない。触媒失活剤Bが触媒失活剤タンク18Bを介して反応器17の下流に添加される場合、第3のエチレンインターポリマーが形成され、失活溶液、すなわち流れ19を形成する。
【0116】
反応器17で生成される任意の第3のエチレンインターポリマーは、種々の操作モードを使用して形成され得る;ただし、触媒失活剤Aは反応器17の上流には追加されないことを条件とする。操作モードの非限定的な例には、(a)反応器17に入る残留エチレン、任意の残留α-オレフィン、及び残留活性触媒が反応して、任意の第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は;(b)新鮮なプロセス溶媒13、新鮮なエチレン14、及び任意に新鮮なα-オレフィン15が反応器17に添加され、反応器17に入る残留活性触媒が任意の第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は;(c)新鮮な触媒配合物を反応器17に添加して、残留エチレンと任意の残留α-オレフィンとを重合させ、任意の第3のエチレンインターポリマーを形成する、又は;(d)新鮮なプロセス溶媒13、エチレン14、任意のα-オレフィン15、及び新鮮な触媒配合物を反応器17に添加して、任意の第3のエチレンインターポリマーを形成する、が含まれる。
【0117】
図3では、失活溶液A(流れ12e)又はB(流れ19)は、圧力低下装置20及び熱交換器21を通過する。任意の不均一触媒配合物が添加されている場合、不動態化溶液23を形成するタンク22を介して不動態化剤を添加してもよい。不動態化溶液、失活溶液A又は失活溶液Bは、圧力低下装置24を通過し、第1の蒸気/液体分離器25に入る;以下、「V/L」は蒸気/液体と同等である。第1のV/L分離器で2つの流れが形成される:エチレンインターポリマーが豊富で、残留エチレン、任意の残留α-オレフィン、及び触媒残留物も含有する溶液を含む第1の底部流27、並びに;エチレン、プロセス溶媒、任意のα-オレフィン、任意の水素、オリゴマー、及び軽質不純物(存在する場合)を含む第1の気体オーバーヘッド流26。
【0118】
第1の底部流は、第2のV/L分離器28に入る。第2のV/L分離器では、2つの流れが形成される:第1の底部流27に対して、エチレンインターポリマー生成物が豊富で、プロセス溶媒がより少ない溶液を含む第2の底部流30、並びに;プロセス溶媒、任意のα-オレフィン、エチレン、オリゴマー、及び軽質不純物(存在する場合)を含む第2の気体オーバーヘッド流29。
【0119】
第2の底部流30は、第3のV/L分離器31に流入する。第3のV/L分離器では、2つの流れが形成される:エチレンインターポリマー生成物、失活された触媒残留物、及び5重量%未満の残留プロセス溶媒を含む生成物流33、並びに;本質的にプロセス溶媒、任意のα-オレフィン、及び軽質不純物(存在する場合)から構成される第3の気体オーバーヘッド流32。
【0120】
実施形態はまた、減圧で動作する(すなわち、動作圧力が大気圧よりも低い)1つ以上のV/L分離器の使用、及び/又は脱揮プロセス中に熱が加えられる実施形態(すなわち、1つ以上の熱交換器が1つ以上のV/L分離器の上流若しくは内部で使用される)の使用を含む。このような実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の残留揮発分が500ppm未満になるように、残留プロセス溶媒及びコモノマーの除去を容易にする。
【0121】
生成物流33は、ポリマー回収操作に進む。ポリマー回収操作の非限定的な例には、溶融エチレンインターポリマー生成物をペレタイザーに押し込む1つ以上のギアポンプ、単軸スクリュー押出機、又は二軸スクリュー押出機が含まれる。他の実施形態は、脱揮押出機の使用を含み、エチレンインターポリマー生成物中の揮発分が500ppm未満になるように、残留プロセス溶媒及び任意のα-オレフィンを除去することができる。ペレット化されると、固化したエチレンインターポリマー生成物は、典型的には、製品サイロに輸送される。
【0122】
図3に示す第1、第2、及び第3の気体オーバーヘッド流(それぞれ流れ26、29、及び32)は、蒸留塔に送られ、そこで溶媒、エチレン、及び任意のα-オレフィンがリサイクルのために分離され、又は;第1、第2、及び第3の気体オーバーヘッド流が反応器にリサイクルされ、又は;第1、第2、及び第3の気体オーバーヘッド流の一部は、反応器にリサイクルされ、残りの部分は蒸留塔に送られる。
【0123】
図4は、2つのCSTR反応器及び任意の管状反応器を使用する連続溶液重合プロセスの実施形態を示している。プロセス溶媒101、エチレン102、及び任意のα-オレフィン103を組み合わせて、反応器111aに流入する反応器供給流RF101を生成する。任意選択で、水素を流れ104を通して反応器111aに注入してもよい。反応器111aは、撹拌アセンブリ111bによって連続的に撹拌される。
【0124】
第1の架橋メタロセン触媒配合物は、流れ105eを介して反応器111aに注入される。触媒成分流れ105d、105c、105b及び任意の105aは、それぞれ、イオン活性剤(成分B、上付き文字「」は第1の反応器を示す)、かさ高い配位子-金属錯体(成分A)、アルモキサン共触媒(成分M)、及び任意のヒンダードフェノール(成分P)を含む。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。成分A、B、M及びPの触媒成分溶媒は同じでも異なっていてもよい。図4では、第1の均一触媒アセンブリは、活性架橋メタロセン触媒配合物を反応器111aに送るように機能する、流れ105aから105e、流れ制御装置及びタンクの組合せを指す。
【0125】
反応器111aは、プロセス溶媒に溶解した第1のエチレンインターポリマーを含む第1の出口流、流れ111cを生成する。 図4は、反応器111a及び112aが直列モード又は並列モードで操作され得る2つの実施形態を含む。直列モードでは、流れ111c(第1の出口流)の100%が流れ制御装置111dを通過し、反応器112aに入る流れ11eを形成する。対照的に、並列モードでは、流れ111cの100%が流れ制御装置111fを通過して流れ111gを形成する。流れ111gは反応器112aを迂回し、流れ112c(第2の出口流)と組み合わされて流れ112d(第3の出口流)を形成する。
【0126】
新鮮な反応器供給流が反応器112aに注入され;プロセス溶媒106、エチレン107、及び任意のα-オレフィン108を組み合わせて、反応器供給流RF102を生成する。流れRF102が形成されることは重要ではなく;すなわち、反応器供給流は、各流を反応器に独立して注入することを含む、可能なすべての組み合わせで組み合わせることができる。任意に、第2のエチレンインターポリマーの分子量を制御するために、水素を、流れ109を通して反応器112aに注入してもよい。反応器112aは、反応器の外部のモーター及び反応器内の撹拌器を含む撹拌アセンブリ112bによって連続的に撹拌される。
【0127】
図4に示すように、第2の架橋メタロセン触媒配合物は、流れ110aを通して反応器112aに注入され、第2のエチレンインターポリマーが反応器112a内で生成される。触媒成分流れ110d、110c、110b及び任意の105aは、それぞれ、イオン活性剤(成分B、上付き文字「」は第1の反応器を示す)、かさ高い配位子-金属錯体(成分A)、アルモキサン共触媒(成分M)、及び任意のヒンダードフェノール(成分P)を含む。触媒成分流れは、可能なすべての構成で配置することができ、流れ110aから110dが独立して反応器111aに注入される実施形態を含む。各触媒成分は、触媒成分溶媒に溶解される。
【0128】
式(I)は、触媒成分Aの属を定義するが、反応器112aで使用される成分Aは、反応器111aで使用される触媒成分Aに対して同じであっても異なっていてもよい。同様に、触媒成分B及びB、触媒成分M及びM、並びに触媒成分P及びPの化学組成は、同じであっても異なっていてもよい。本開示では、「第2の均一触媒アセンブリ」という用語は、第2の架橋メタロセン触媒配合物を第2の反応器である図4の反応器112aに送るように機能する、流れ110aから110e、流れ制御装置及びタンクの組合せを指す。第1及び第2の架橋メタロセン触媒配合物の最適化について以下に説明する。
【0129】
図4には示されていないが、追加の実施形態は、流れ105aの2つの流れへの分割を含み、蒸気105aの一部が反応器111aに注入され、流れ105aの残りの部分が反応器112aに注入される。換言すると、第1の架橋メタロセン触媒配合物が両方の反応器に注入される。
【0130】
反応器111a及び112aが直列モードで操作される場合、第2の出口流112cは、プロセス溶媒に溶解した第2のエチレンインターポリマー及び第1のエチレンインターポリマー;並びに未反応のエチレン、未反応のα-オレフィン(存在する場合)、未反応の水素(存在する場合)、活性触媒、失活触媒、触媒成分、及び他の不純物(存在する場合)を含有する。任意選択で、第2の出口流112cは、触媒失活剤タンク118Aから触媒失活剤Aを添加することにより失活され、失活溶液A、流れ112eを形成し;この場合、図4は二重反応器溶液プロセスのデフォルトになる。第2の出口流112cが失活されない場合、第2の出口流は管状反応器117に入る。
【0131】
反応器111a及び112aが並列モードで操作される場合、第2の出口流112cは、プロセス溶媒に溶解された第2のエチレンインターポリマーを含む。第2の出口流112cは、流れ111gと組み合わされて第3の出口流112dを形成し、後者はプロセス溶媒に溶解した第2のエチレンインターポリマー及び第1のエチレンインターポリマーを含む。任意選択で、第3の出口流112dは、触媒失活剤タンク118Aから触媒失活剤Aを添加することにより失活され、失活溶液A、流れ112eを形成する。第3の出口流112dが失活されない場合、第3の出口流112dは管状反応器117に入る。
【0132】
任意選択で、以下のプロセス溶媒113、エチレン114、及びα-オレフィン115の反応器供給流のうちの1つ以上を管状反応器117に注入してもよい。図4に示すように、流れ113、114、及び115を組み合わせて、反応器供給流RF103を形成し、後者を反応器117に注入してもよい。流れRF103が形成されることは特に重要ではなく;すなわち、可能なすべての組合せで反応器供給流を組み合わせることができる。任意選択で、水素を流れ116を通して反応器117に注入してもよい。
【0133】
任意選択で、均一又は不均一触媒配合物を反応器117に注入してもよい。均一触媒配合物の非限定的な例には、架橋メタロセン触媒配合物、非架橋シングルサイト触媒配合物、又はかさ高い配位子-金属錯体が式(I)若しくは式(2)で定義される属のメンバーではない均一触媒配合物が含まれる。図4の流れ140は、「第3の均一触媒アセンブリ」からの出力を表している。第3の均一触媒アセンブリの一実施形態は、上記の第1の均一触媒アセンブリと同様であり、すなわち、同様の流れ、流れ制御装置、及び容器を有する。
【0134】
図4では、流れ134aから流れ134hは、「不均一触媒アセンブリ」を表している。一実施形態では、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、不均一触媒アセンブリで生成される。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を構成する成分は、流れ134a、134b、134c及び134dを通して導入される。流れ134aはアルミニウムアルキルとマグネシウム化合物の混合物を含み、流れ134bは塩化物化合物を含み、流れ134cは金属化合物を含み、流れ134dはアルキルアルミニウム共触媒を含む。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の最適化については、上記で説明している。
【0135】
調製されると、インライン式チーグラー・ナッタ触媒が、流れ134eを通して反応器117に注入され;任意に、追加のアルキルアルミニウム共触媒が、流れ134hを通して反応器117に注入される。図4に示すように、任意に、流れ134dの100%、アルキルアルミニウム共触媒を、流れ134hを介して反応器117に直接注入してもよい。任意選択で、アルキルアルミニウム共触媒の一部を、流れ134hを介して反応器117に直接注入してもよく、その残りの部分を、流れ134eを介して反応器117に注入してもよい。不均一触媒アセンブリを構成する流れの任意の組合せ、すなわち流れ134a~134e及び134hを、加熱又は冷却してもよい。
【0136】
第3のエチレンインターポリマーは、反応器117内で形成してもしなくてもよい。触媒失活剤Aが触媒失活剤タンク118Aを介して反応器117の上流に添加される場合、第3のエチレンインターポリマーは形成されない。触媒失活剤Bが触媒失活剤タンク118Bを介して反応器117の下流に添加される場合、第3のエチレンインターポリマーが形成される。 反応器117で生成される任意の第3のエチレンインターポリマーは、上記のように、種々の操作モードを使用して形成され得る;ただし、触媒失活剤Aは反応器17の上流には追加されないことを条件とする。
【0137】
直列モードでは、反応器117は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含む第3の出口流117bを生成する。図4に示すように、触媒失活剤Bは、触媒失活剤タンク118Bを介して第3の出口流117bに添加され、失活溶液B、流れ119を生成してもよい;ただし、触媒失活剤Aが反応器117の上流に添加された場合、触媒失活剤Bは添加されないことを条件とする。上述のように、触媒失活剤Aが添加された場合、失活溶液A(流れ112e)は管状反応器117から出る流れ117bと同等である。
【0138】
並列モード操作では、反応器117は、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含む第4の出口流117bを生成する(上述のように、並列モードでは、流れ112dは第3の出口流である)。図4に示すように、並列モードでは、触媒失活剤Bは、触媒失活剤タンク118Bを介して第4の出口流117bに添加され、失活溶液B、流れ119を生成してもよい;ただし、触媒失活剤Aが反応器117の上流に添加された場合、触媒失活剤Bは添加されないことを条件とする。
【0139】
図4では、失活溶液A(流れ112e)又はB(流れ119)は、圧力低下装置120及び熱交換器121を通過する。任意に、不均一触媒配合物が添加されている場合、不動態化溶液123を形成するタンク122を介して不動態化剤を添加してもよい。
【0140】
失活溶液A、失活溶液B又は不動態化溶液123は、圧力低下装置124を通過し、第1のV/L分離器に入る。第1のV/L分離器で2つの流れが形成される:エチレンインターポリマーが豊富な溶液を含む第1の底部流127、並びに;エチレン、プロセス溶媒、任意のα-オレフィン、任意の水素が豊富な第1の気体オーバーヘッド流126。
【0141】
第1の底部流は、第2のV/L分離器128に入る。第2のV/L分離器では、2つの流れが形成される:第1の底部流127に対して、エチレンインターポリマーが豊富で、プロセス溶媒がより少ない溶液を含む第2の底部流130、及び;第2の気体オーバーヘッド流129。
【0142】
第2の底部流130は、第3のV/L分離器131に流入する。第3のV/L分離器では、2つの流れが形成される:エチレンインターポリマー生成物、失活された触媒残留物、及び5重量%未満の残留プロセス溶媒を含む生成物流133、並びに;第3の気体オーバーヘッド流132。生成物流133は、ポリマー回収操作に進む。
【0143】
他の実施形態は、減圧で動作する(すなわち、動作圧力が大気圧よりも低い)1つ以上のV/L分離器の使用、及び/又は脱揮プロセス中に熱が加えられる実施形態(すなわち、1つ以上の熱交換器が1つ以上のV/L分離器の上流若しくは内部で使用される)の使用を含む。このような実施形態は、エチレンインターポリマー生成物中の残留揮発分が500ppm未満になるように、残留プロセス溶媒及びコモノマーの除去を容易にする。
【0144】
生成物流133は、ポリマー回収操作に進む。ポリマー回収操作の非限定的な例には、溶融エチレンインターポリマー生成物をペレタイザーに押し込む1つ以上のギアポンプ、単軸スクリュー押出機、又は二軸スクリュー押出機が含まれる。他の実施形態は、脱揮押出機の使用を含み、エチレンインターポリマー生成物中の揮発分が500ppm未満になるように、残留プロセス溶媒及び任意のα-オレフィンを除去することができる。ペレット化されると、固化したエチレンインターポリマー生成物は、典型的には、製品サイロに輸送される。
【0145】
高活性の架橋シングルサイト触媒配合物は、4つの触媒成分(成分C、成分M、成分B、及び成分P)のそれぞれの割合を最適化することによって生成した。「高活性」という用語は、オレフィンをポリオレフィンに変換する際に触媒配合物が非常に効率的であることを意味する。実際には、最適化の目的は、以下の比率を最大化することである:(生成されるエチレンインターポリマー生成物)/(消費される触媒のポンド)。単一のCSTRの場合、反応器R1に添加されたかさ高い配位子-金属錯体、成分Aの量は、R1の溶液の総質量における成分Aの百万分率(ppm)、すなわち、表5Aに記載されている「R1触媒(ppm)」として表された。成分Aのppmの上限は、5、場合によっては3、その他の場合では2であってもよい。成分Aのppmの下限は、0.02、場合によっては0.05、他の場合では0.1であってもよい。2つのCSTRの場合、R1及びR2に添加された成分Aの量が制御され、R1及びR2内の成分Aの百万分率(ppm)として表され、任意選択で、R3に添加された成分Aの量が制御され、R3内の成分Aの百万分率(ppm)として表された。
【0146】
R1に添加される触媒成分B、イオン活性剤の割合は、R1溶液中の(イオン活性剤)/(成分A)モル比([B]/[A])を制御することにより最適化された。R1の上限([B]/[A])は、10、場合によっては5、他の場合では2であってもよい。R1の下限([B]/[A])は、0.3、場合によっては0.5、他の場合では1.0であってもよい。触媒成分Mの割合は、R1溶液中の(アルモキサン)/(成分A)モル比、([M]/[A])を制御することにより最適化された。アルモキサン共触媒は、一般に、成分Aに対してモル過剰で添加された。R1の上限([M]/[A])は、300、場合によっては200、他の場合では100であってもよい。R1の下限([M]/[A])は、1、場合によっては10、他の場合では30であってもよい。触媒成分P(ヒンダードフェノール)のR1への添加は任意である。添加する場合、成分Pの割合は、R1の(ヒンダードフェノール)/(アルモキサン)、([P]/[M])、モル比を制御することにより最適化された。R1の上限([P]/[M])は、1、場合によっては0.75、他の場合では0.5であってもよい。R1の下限([P]/[M])は、0.0、場合によっては0.1、他の場合では0.2であってもよい。
【0147】
2つのCSTR及び2つの均一触媒アセンブリを使用する実施形態では、第2の架橋メタロセン触媒配合物は、第1の架橋メタロセン触媒配合物とは独立に調製され、上記のように最適化されてもよい。任意選択で、架橋メタロセン触媒配合物を管状反応器で使用し、上記のように最適化してもよい。
【0148】
図3及び図4に示される連続溶液プロセスの実施形態では、種々の溶媒をプロセス溶媒として使用することができ;非限定的な例には、直鎖、分岐、又は環状のC~C12アルカンが含まれる。α-オレフィンの非限定的な例には、1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセンが含まれる。好適な触媒成分溶媒には、脂肪族及び芳香族炭化水素が含まれる。脂肪族触媒成分溶媒の非限定的な例には、直鎖、分岐、又は環状C5-12脂肪族炭化水素、例えばペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、水素化ナフサ、又はそれらの組合せが含まれる。芳香族触媒成分溶媒の非限定的な例には、ベンゼン、トルエン(メチルベンゼン)、エチルベンゼン、o-キシレン(1,2-ジメチルベンゼン)、m-キシレン(1,3-ジメチルベンゼン)、p-キシレン(1,4-ジメチルベンゼン)、キシレン異性体の混合物、ヘメリテン(1,2,3-トリメチルベンゼン)、プソイドクメン(1,2,4-トリメチルベンゼン)、メシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン)、トリメチルベンゼン異性体の混合物、プレヘニテン(1,2,3,4-テトラメチルベンゼン)、デュレン(1,2,3,5-テトラメチルベンゼン)、テトラメチルベンゼン異性体の混合物、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、及びそれらの組合せが含まれる。
【0149】
反応器供給流(溶媒、モノマー、α-オレフィン、水素、触媒配合物など)は、触媒失活毒を本質的に含むべきではないことが、当業者には周知であり;毒物の非限定的な例には、水、脂肪酸、アルコール、ケトン、及びアルデヒドなどの微量の含酸素化合物が含まれる。そのような毒物は、標準的な精製実践を使用して、反応器供給流から除去され;非限定的な例には、分子ふるい床、アルミナ床、並びに溶媒、エチレン、及びα-オレフィンなどを精製するための酸素除去触媒が含まれる。
【0150】
図3に示す第1の反応器、又は図4に示す第1及び第2の反応器を参照すると、供給流の任意の組合せを加熱又は冷却してもよく;具体的には、図3の流れ1~4と図4の流れ101~104及び106~109である。反応器供給流の温度の上限は、90℃;他の場合では80℃、さらに他の場合では70℃であってもよい。反応器供給流の温度の下限は、20℃;他の場合では35℃、さらに他の場合では50℃であってもよい。
【0151】
管状反応器に供給する流れの任意の組合せを加熱又は冷却してもよく;例えば、図3及び図4の流れ13~16である。場合によっては、管状反応器の供給流は、調節され、すなわち、管状反応器の供給流は少なくとも周囲温度以上に加熱される。管状反応器供給流の上限温度は、場合によっては200℃、他の場合では170℃、さらに他の場合では140℃であり;管状反応器供給流の下限温度は、場合によっては60℃、他の場合では90℃、さらに他の場合では120℃である;ただし、管状反応器供給流の温度は、管状反応器に入るプロセス流の温度未満であることを条件とする。
【0152】
溶液重合反応器(例えば、図4の容器111a(R1)及び112a(R2))の操作温度は、広範囲にわたって変化し得る。例えば、反応器温度の上限は、場合によっては300℃、他の場合では280℃、さらに他の場合では260℃であってもよく;場合によっては下限は、80℃、他の場合では100℃、さらに他の場合では125℃であってもよい。第2の反応器である反応器112a(R2)は、第1の反応器111a(R1)よりも高い温度で操作される。これら2つの反応器(TR2-TR1)の最大温度差は、場合によっては120℃、他の場合では100℃、さらに他の場合では80℃であり;最小値(TR2-TR1)は、場合によっては1℃、他の場合では5℃、さらに他の場合では10℃である。任意の管状反応器である反応器117(R3)は、場合によってはR2より100℃高く;他の場合ではR2より60℃高く、さらに他の場合ではR2より10℃高く、別の場合では0℃高い、すなわちR2と同じ温度で操作されてもよい。任意のR3内の温度は、その長さに沿って上昇し得る。R3の入口と出口との最大温度差は、場合によっては100℃、他の場合では60℃、さらに他の場合では40℃である。R3の入口と出口との最小温度差は、場合によっては0℃、他の場合では3℃、さらに他の場合では10℃である。場合によっては、R3は断熱的に操作され、他の場合ではR3は加熱される。
【0153】
重合反応器内の圧力は、重合溶液を単相溶液として維持し、ポリマー溶液を反応器から熱交換器を通してポリマー回収操作に押し上げるための上流圧力を提供するのに十分高くなければならない。図3及び図4に示される実施形態を参照すると、溶液重合反応器の操作圧力は、広範囲にわたって変化し得る。例えば、反応器圧力の上限は、場合によっては45MPag、他の場合では30MPag、さらに他の場合では20MPagであってもよく;下限は、場合によっては3MPag、他の場合では5MPag、さらに他の場合では7MPagであってもよい。
【0154】
図3及び図4に示す実施形態を参照すると、第1のV/L分離器に入る前に、失活溶液A、失活溶液B又は不動態化溶液は、場合によっては300℃、他の場合では290℃、さらに他の場合では280℃の最大温度を有してもよく;最低温度は、場合によっては150℃、他の場合では200℃、さらに他の場合では220℃であってもよい。第1のV/L分離器に入る直前に、失活溶液A、失活溶液B又は不動態化溶液は、場合によっては40MPag、他の場合では25MPag、さらに他の場合では15MPagの最大圧力を有してもよく;最小圧力は、場合によっては1.5MPag、他の場合では5MPag、さらに他の場合では6MPagであってもよい。
【0155】
第1のV/L分離器(それぞれ図3及び図4の容器25及び容器125)は、比較的広範囲の温度及び圧力で操作され得る。例えば、第1のV/L分離器の最大操作温度は、場合によっては300℃、他の場合では285℃、さらに他の場合では270℃であってもよく;最小操作温度は、場合によっては100℃、他の場合では140℃、さらに他の場合では170℃であってもよい。第1のV/L分離器の最大操作圧力は、場合によっては20MPag、他の場合では10MPag、さらに他の場合では5MPagであってもよく;最小操作圧力は、場合によっては1MPag、他の場合では2MPag、さらに他の場合では3MPagであってもよい。
【0156】
第2のV/L分離器は、比較的広範囲の温度及び圧力で操作され得る。例えば、第2のV/L分離器の最大操作温度は、場合によっては300℃、他の場合では250℃、さらに他の場合では200℃であってもよく;最小操作温度は、場合によっては100℃、他の場合では125℃、さらに他の場合では150℃であってもよい。第2のV/L分離器の最大操作圧力は、場合によっては1000kPag、他の場合では900kPag、さらに他の場合では800kPagであってもよく;最小操作圧力は、場合によっては10kPag、他の場合では20kPag、さらに他の場合では30kPagであってもよい。
【0157】
第3のV/L分離器(それぞれ図3及び図4の容器31及び容器131)は、比較的広範囲の温度及び圧力で操作され得る。例えば、第3のV/L分離器の最大操作温度は、場合によっては300℃、他の場合では250℃、さらに他の場合では200℃であってもよく;最小操作温度は、場合によっては100℃、他の場合では125℃、さらに他の場合では150℃であってもよい。第3のV/L分離器の最大操作圧力は、場合によっては500kPag、他の場合では150kPag、さらに他の場合では100kPagであってもよく;最小操作圧力は、場合によっては1kPag、他の場合では10kPag、さらに他の場合では25kPagであってもよい。
【0158】
図3及び図4に示す連続溶液重合プロセスの実施形態は、3つのV/L分離器を示している。しかし、連続溶液重合の実施形態は、少なくとも1つのV/L分離器を備える構成を含んでもよい。
【0159】
連続溶液重合プロセスで生成されたエチレンインターポリマー生成物は、当業者に周知の従来の脱揮システムを使用して回収することができ、非限定的な例には、フラッシュ脱揮システム及び脱揮押出機が含まれる。
【0160】
図4の反応器111a(R1)及び反応器112a(R2)には、任意の反応器の形状又は設計を使用することができ;非限定的な例には、非撹拌又は撹拌型の球形、円筒形、又はタンク状の容器、並びに管状反応器又は再循環ループ反応器が含まれる。商業規模では、R1の最大容量は、場合によっては約20,000ガロン(約75,710L)、他の場合では約10,000ガロン(約37,850L)、さらに他の場合では約5,000ガロン(約18,930L)であってもよい。商業規模では、R1の最小容量は、場合によっては約100ガロン(約379L)、他の場合では約500ガロン(約1,893L)、さらに他の場合では約1,000ガロン(約3,785L)であってもよい。パイロットプラント規模では、反応器容量は、典型的には非常に小さく、例えば、パイロット規模でのR1の容量は約2ガロン未満(約7.6L未満)であり得る。本開示では、反応器R2の容量は、反応器R1の容量のパーセントとして表される。R2の容量の上限は、場合によってはR1の約600%、他の場合ではR1の約400%、さらに他の場合ではR1の約200%であってもよい。明確にするために、R1の容量が5,000ガロンであり、R2がR1の容量の200%である場合、そのときR2は、10,000ガロンの容量を有する。R2の容量の下限は、場合によっては、R1の約50%、他の場合ではR1の約100%、さらに他の場合ではR1の約150%であってもよい。連続的に撹拌されるタンク型反応器の場合、撹拌速度は広範囲にわたって変化することができ;場合によっては、約10rpm~約2000rpm、他の場合では約100~約1500rpm、さらに他の場合では約200~約1300rpmで変化し得る。本開示では、管状反応器であるR3の容量は、反応器R2の容量のパーセントとして表される。R3の容量の上限は、場合によってはR2の約500%、他の場合ではR2の約300%、さらに他の場合ではR2の約100%であってもよい。R3の容量の下限は、場合によってはR2の約3%、他の場合ではR2の約10%、さらに他の場合ではR2の約50%であってもよい。
【0161】
化学工学の分野で一般的に使用されるパラメータである「平均反応器滞留時間」は、反応器滞留時間分布の最初の瞬間によって定義され;反応器滞留時間分布は、流体要素が反応器内で費やす時間の量を記述する確率分布関数である。平均反応器滞留時間は、プロセス流量及び反応器の混合、設計、及び能力に応じて大きく変化し得る。R1の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、場合によっては600秒、他の場合では360秒、さらに他の場合では180秒であってもよい。R1の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、場合によっては10秒、他の場合では20秒、さらに他の場合では40秒であってもよい。R2の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、場合によっては720秒、他の場合では480秒、さらに他の場合では240秒であってもよい。R2の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、場合によっては10秒、他の場合では30秒、さらに他の場合では60秒であってもよい。R3の溶液の平均反応器滞留時間の上限は、場合によっては600秒、他の場合では360秒、さらに他の場合では180秒であってもよい。R3の溶液の平均反応器滞留時間の下限は、場合によっては1秒、他の場合では5秒、さらに他の場合では10秒であってもよい。
【0162】
任意選択で、図4に示す連続溶液重合プロセスの実施形態に追加の反応器(例えば、CSTR、ループ、チューブなど)を追加できる。本開示では、反応器の数は特に重要ではない;ただし、連続溶液重合プロセスが、少なくとも1つの架橋メタロセン触媒配合物を用いる少なくとも1つの反応器を備えることを条件とする。
【0163】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、プロセスに供給されるエチレンの総量は、3つの反応器R1、R2、及びR3の間で分配又は分割することができる。この操作変数は、エチレンスプリット(ES)と呼ばれ、すなわち、「ESR1」、「ESR2」、及び「ESR3」は、それぞれR1、R2、及びR3に注入されたエチレンの重量パーセントを指す;ただし、ESR1+ESR2+ESR3=100%であることを条件とする。これは、以下の流れ:流れ102(R1)、流れ107(R2)、及び流れ114(R3)のエチレン流量を調整することで達成される。ESR1の上限は、場合によっては約60%、他の場合では約55%、さらに他の場合では約50%であり;ESR1の下限は、場合によっては約10%、他の場合では約15%、さらに他の場合では約20%である。ESR2の上限は、場合によっては約90%、他の場合では約80%、さらに他の場合では約70%であり;ESR2の下限は、場合によっては約20%、他の場合では約30%、さらに他の場合では約40%である。ESR3の上限は、場合によっては約30%、他の場合では約25%、さらに他の場合では約20%であり;ESR3の下限は、場合によっては0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。
【0164】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、各反応器のエチレン濃度も制御される。反応器1のエチレン濃度(以下、ECR1)は、反応器1のエチレンの重量を反応器1に添加されるすべての総重量で割ったものとして定義され;ECR2及びECR3も同様に定義される。反応器(ECR1又はECR2又はECR3)のエチレン濃度は、場合によっては約7重量パーセント(重量%)~約25重量%、他の場合では約8重量%~約20重量%、さらに他の場合では約9重量%~約17重量%で変化してもよい。
【0165】
図4に示される連続溶液重合プロセスの実施形態の操作において、各反応器で変換されたエチレンの総量が監視される。「QR1」という用語は、R1に添加されたエチレンのうち、触媒配合物によりエチレンインターポリマーに変換されるパーセントを指す。同様に、QR2及びQR3は、R2及びR3に添加されたエチレンのうち、それぞれの反応器でエチレンインターポリマーに変換されたパーセントを表す。エチレン転化率は、種々のプロセス条件、例えば触媒濃度、触媒配合物、不純物、及び毒物に応じて大きく変化し得る。QR1及びQR2の両方の上限は、場合によっては約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり;QR1及びQR2の両方の下限は、場合によっては約65%、他の場合では約70%、さらに他の場合では約75%である。QR3の上限は、場合によっては約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり;QR3の下限は、場合によっては0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。「Q」という用語は、連続溶液重合プラント全体にわたる合計又は全体のエチレン転化率を表し;すなわち、Q=100×[インターポリマー生成物中のエチレンの重量]/([インターポリマー生成物中のエチレンの重量]+[未反応エチレンの重量])。Qの上限は、場合によっては約99%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%であり;Qの下限は、場合によっては約75%、他の場合では約80%、さらに他の場合では約85%である。
【0166】
図4を参照すると、任意に、α-オレフィンを連続溶液重合プロセスに添加してもよい。添加する場合、α-オレフィンは、R1、R2、及びR3の間で比例又は分割されてもよい。この操作変数は、コモノマー(α-オレフィン)スプリット(CS)と呼ばれており、すなわち、「CSR1」、「CSR2」、及び「CSR3」は、それぞれR1、R2、及びR3に注入されるα-オレフィンコモノマーの重量パーセントを指す;ただし、CSR1+CSR2+CSR3=100%であることを条件とする。これは、以下の流れ:流れ103(R1)、流れ108(R2)、及び流れ115(R3)のα-オレフィン流量を調整することで達成される。CSR1の上限は、場合によっては100%(すなわち、α-オレフィンの100%がR1に注入される)、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CSR1の下限は、場合によっては0%(R1で生成されたエチレンホモポリマー)、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。CSR2の上限は、場合によっては約100%(すなわち、α-オレフィンの100%が反応器2に注入される)、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CSR2の下限は、場合によっては0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。CSR3の上限は、場合によっては100%、他の場合では約95%、さらに他の場合では約90%である。CSR3の下限は、場合によっては0%、他の場合では約5%、さらに他の場合では約10%である。
【0167】
本開示に記載される連続重合プロセスでは、重合は、触媒失活剤(catalyst deactivator)を添加することにより停止する。図3の実施形態は、(a)触媒失活剤タンク18Aから触媒失活剤Aを添加することにより管状反応器の上流、又は;(b)触媒失活剤タンク18Bから触媒失活剤Bを添加することによる管状反応器の下流のいずれかで生じる触媒失活を示す。触媒失活剤タンク18A及び18Bは、ニート(100%)触媒失活剤、溶媒中の触媒失活剤の溶液、又は溶媒中の触媒失活剤のスラリーを含有し得る。触媒失活剤A及びBの化学組成は同じでも異なっていてもよい。好適な溶媒の非限定的な例には、直鎖又は分岐C~C12アルカンが含まれる。本開示では、触媒失活剤の添加方法は特に重要ではない。添加されると、触媒失活剤は、活性触媒種を不活性形態に変えることにより、重合反応を実質的に停止させる。好適な失活剤は、当技術分野で周知であり、非限定的な例には、アミン(例えば、Zborilらの米国特許第4,803,259号);カルボン酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩(例えば、Machanらの米国特許第4,105,609号);水(例えば、Bernier etらの米国特許第4,731,438号);ハイドロタルサイト、アルコール、及びカルボン酸(例えば、Miyataの米国特許第4,379,882号);又はそれらの組合せ(Sibtainらの米国特許第6,180,730号)が含まれる。本開示では、添加される触媒失活剤の定量化は、以下の触媒失活剤モル比によって決定された:0.3≦(触媒失活剤)/((総触媒金属)+(アルキルアルミニウム共触媒)+(アルミニウムアルキル))≦2.0;式中、総触媒金属は、溶液プロセスに添加された触媒金属の合計モル数である。触媒失活剤のモル比の上限は、2、場合によっては1.5、他の場合では0.75であり得る。触媒失活剤のモル比の下限は、0.3、場合によっては0.35、さらに他の場合では0.4であり得る。一般に、触媒失活剤は、触媒が失活し、重合反応が急冷するように最小限の量で添加される。
【0168】
任意の不均一触媒配合物を第3の反応器で使用した場合、第1のV/L分離器に入る前に、不動態化剤又は酸スカベンジャーを失活溶液A又はBを添加して、不動態化溶液、すなわち図3に示すように不動態化溶液流23を形成した。任意の不動態化剤タンク22は、ニート(100%)不動態化剤、溶媒中の不動態化剤の溶液、又は溶媒中の不動態化剤のスラリーを含有してもよい。好適な溶媒の非限定的な例には、直鎖又は分岐C~C12アルカンが含まれる。本開示では、不動態化剤の添加方法は特に重要ではない。好適な不動態化剤は、当技術分野で周知であり、非限定的な例には、カルボン酸のアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩又はハイドロタルサイトが含まれる。添加する不動態化剤の量は、広範囲にわたって変化してもよい。添加される不動態化剤の量は、溶液プロセスに添加される塩化物化合物の総モル数、すなわち、不均一触媒配合物を製造するために使用される塩化物化合物「化合物(vi)」及び金属化合物「化合物(vii)」によって決定された。任意選択で、第1及び第2の塩化物化合物並びに第1及び第2の金属化合物が使用されてもよく、すなわち、第1及び第2の不均一触媒配合物を形成してもよく、この場合、添加される不動態化剤の量は、すべての塩化物含有化合物の総モルにより決定される。(不動態化剤)/(総塩化物)モル比の上限は、15、場合によっては13、他の場合では11であってもよい。(不動態化剤)/(総塩化物)モル比の下限は、約5、場合によっては約7、さらに他の場合では約9であってもよい。一般に、失活剤は、失活溶液を実質的に不動態化するために最小限の量で添加される。
【0169】
本開示では、非架橋シングルサイト触媒配合物が比較溶液プロセスで使用され、比較エチレンインターポリマー生成物が製造された。高活性の非架橋シングルサイト触媒配合物は、4つの触媒成分:成分C、成分M(上付き文字「」は非架橋シングルサイト触媒配合物を示す)、成分B、及び成分Pのそれぞれの割合を最適化することによって生成した。
【0170】
1つのCSTRの場合、第1の反応器(R1)に添加されたかさ高い配位子-金属錯体、成分Cの量は、R1の溶液の総質量における成分Cの百万分率(ppm)、すなわち、「R1触媒(ppm)」として表された。2つのCSTRの場合、R1及びR2に添加された成分Cの量が制御され、R1及びR2内の成分Cの百万分率(ppm)として表され、任意選択で、R3に添加された成分Cの量が制御され、R3内の成分Cの百万分率(ppm)として表された。任意の反応器における成分Cのppmの上限は、5、場合によっては3、その他の場合では2であってもよい。任意の反応器における成分Cのppmの下限は、0.02、場合によっては0.05、他の場合では0.1であってもよい。
【0171】
触媒成分Bの割合は、反応器内の、(イオン活性剤)/(かさ高い配位子-金属錯体)モル比([B]/[C])を制御することにより最適化された。反応器の上限([B]/[C])は、10、場合によっては5、他の場合では2であってもよい。反応器の下限([B]/[C])は、0.3、場合によっては0.5、他の場合では1.0であってもよい。触媒成分Mの割合は、反応器内の、(アルモキサン)/(かさ高い配位子-金属錯体)モル比、([M]/[C])を制御することにより最適化された。アルモキサン共触媒は、一般に、かさ高い配位子-金属錯体に対してモル過剰で添加された。反応器の上限([M]/[C])モル比は、1000、場合によっては500、他の場合では200であってもよい。反応器の下限([M]/[C])モル比は、1、場合によっては10、他の場合では30であってもよい。触媒成分Pの添加は任意である。添加する場合、成分Pの割合は、任意の反応器内の、(ヒンダードフェノール)/(アルモキサン)モル比、([P]/[M])、を制御することにより最適化された。反応器の上限([P]/[M])モル比は、1.0、場合によっては0.75、他の場合では0.5であってもよい。反応器の下限([P]/[M])モル比は、0.0、場合によっては0.1、他の場合では0.2であってもよい。
【0172】
<インターポリマー>
第1のエチレンインターポリマーは、架橋メタロセン触媒配合物によって合成された。第1の均一触媒配合物の一実施形態は、であった。図3に示される実施形態を参照すると、任意のα-オレフィンが反応器11a(R1)に添加されない場合、第1のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーである。α-オレフィンが添加される場合、以下の重量比は、第1のエチレンインターポリマーの密度を制御するための1つのパラメータ:((α-オレフィン)/(エチレン))R1である。((α-オレフィン)/(エチレン))R1の上限は、約3;他の場合では約2、さらに他の場合では約1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R1の下限は、0;他の場合では約0.25、さらに他の場合では約0.5であってもよい。以下、「σ」という記号は、R1、すなわち図3の反応器11a又は図4の反応器111aで生成された第1のエチレンインターポリマーの密度を指す。σの上限は、0.975g/cc;場合によっては0.965g/cc;他の場合では0.955g/ccであってもよい。σの下限は、0.855g/cc、場合によっては0.865g/cc;他の場合では0.875g/ccであってもよい。密度は、第1のエチレンインターポリマーの1つ以上のα-オレフィンの含有量が増加するにつれて減少する。α-オレフィン含有量は、第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントとして表された。第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの上限は、25%、場合によっては23%、他の場合では20%であってもよい。第1のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は、0%、すなわち、溶液重合プロセスにα-オレフィンは添加されず、第1のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0173】
エチレンインターポリマーのCDBI50(組成分布分岐指数)を決定する方法は、当業者に周知である。パーセントで表されるCDBI50は、コモノマー(α-オレフィン)組成が中央のコモノマー組成の50%以内であるエチレンインターポリマーのパーセントとして定義された。均一触媒配合物で生成されたエチレンインターポリマーのCDBI50は、不均一触媒配合物で生成されたα-オレフィン含有エチレンインターポリマーのCDBI50に対して高いことも当業者には周知である。第1のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は、98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は、70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。
【0174】
第1のエチレンインターポリマーのM/Mの上限は、2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0175】
第1のエチレンインターポリマーは、上記の無次元LCBFパラメータによって特徴付けられるように、長鎖分岐を含んでいる。第1のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001、他の場合では0.0015、さらに他の場合では0.002(無次元)であってもよい。
【0176】
第1のエチレンインターポリマーは、上記の式(UR)で定義される不飽和比URを有する。第1のエチレンインターポリマーのURの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であってもよい。第1のエチレンインターポリマーのURの下限は、-0.40、他の場合では-0.30、さらに他の場合では-0.20(無次元)であってもよい。
【0177】
第1のエチレンインターポリマーには、第1の反応器に注入された架橋メタロセン触媒配合物の化学組成を反映する「残留触媒金属」が含まれていた。残留触媒金属は、中性子放射化分析(NAA)によって定量化された。すなわち、第1のエチレンインターポリマー中の触媒金属の百万分率(ppm)として定量化され、その触媒金属は、成分A(式(I))の金属に由来し、この金属を「金属AR1」と呼ぶ。金属AR1の非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムが含まれる。1つのインターポリマー(すなわち、第1のエチレンインターポリマー)を含むエチレンインターポリマー生成物の場合、残留触媒金属は、エチレンインターポリマー生成物中のppm金属AR1に等しい。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよい。第1のエチレンインターポリマー中の金属AR1のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0178】
R1に添加される水素の量は、連続溶液重合プロセスで、メルトインデックスが異なる第1のエチレンインターポリマー(以下I )を生成できるように、広範囲にわたって変化することができる(メルトインデックスは、ASTM D1238に概説されている手順に従って、2.16kgの荷重を使用して190℃で測定される)。これは、流れ4の水素流量を調整することで達成される(図3)。反応器11a(R1)に添加される水素の量は、反応器R1の総質量に対するR1の百万分の1(ppm)の水素として表される(以下、H R1(ppm))。場合によっては、H R1(ppm)は100ppm~0ppm、他の場合では50ppm~0ppm、別の場合では20ppm~0ppm、さらに他の場合では2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は200dg/分、場合によっては100dg/分;他の場合では50dg/分;さらに他の場合では1dg/分であってもよい。I の下限は0.01dg/分、場合によっては0.05dg/分;他の場合では、0.1dg/分;さらに他の場合では0.5 dg/分であってもよい。
【0179】
エチレンインターポリマー生成物中の第1のエチレンインターポリマーの重量パーセント(重量%)の上限は、100重量%、場合によっては60重量%、他の場合では55重量%、さらに他の場合では50重量%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の第1のエチレンインターポリマーの重量%の下限は、5重量%、他の場合では8重量%、さらに他の場合では10重量%であってもよい。
【0180】
第2のエチレンインターポリマーは、存在してもしなくてもよい。図3は、第2のエチレンインターポリマーが存在しない、すなわち、1つのCSTRが使用され、流れ11cが(失活剤タンク18Aを介して)失活された実施形態を示している。図4に目を向けると、第2のエチレンインターポリマーは、第2の溶液重合反応器112a(又はR2)に架橋メタロセン触媒配合物を注入することによって合成された。任意のα-オレフィンが、新鮮なα-オレフィン流108を介して、又は流れ111eで反応器111a(R1)から持ち越されて(直列モード)、反応器112a(R2)に添加されない場合、第2のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーである。α-オレフィンがR2に存在した場合、以下の重量比は、第2のエチレンインターポリマーの密度を制御するための1つのパラメータ:((α-オレフィン)/(エチレン))R2であった。((α-オレフィン)/(エチレン))R2の上限は、3;他の場合では2、さらに他の場合では1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R2の下限は、0;他の場合では0.25、さらに他の場合では0.5であってもよい。以下、「σ」という記号は、第2のエチレンインターポリマーの密度を指す。σの上限は、0.975g/cc;場合によっては0.965g/cc;他の場合では0.955g/ccであってもよい。σの下限は、0.855g/cc、場合によっては0.865g/cc;他の場合では0.875g/ccであってもよい。第2のエチレンインターポリマー中の1つ以上のα-オレフィンのモルパーセントの上限は、25%、場合によっては23%、他の場合では20%であってもよい。第2のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は、0%、すなわち、溶液重合プロセスにα-オレフィンは添加されず、第2のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0181】
第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は、98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は、70%、他の場合では75%、さらに他の場合では80%であってもよい。
【0182】
第2のエチレンインターポリマーのM/Mの上限は、2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0183】
第2のエチレンインターポリマーは、無次元LCBFパラメータによって特徴付けられるように、長鎖分岐を含んでいる。第2のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001、他の場合では0.0015、さらに他の場合では0.002(無次元)であってもよい。
【0184】
第2のエチレンインターポリマーは、式(UR)で定義される不飽和比URを有する。第2のエチレンインターポリマーのURの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であってもよい。第2のエチレンインターポリマーのURの下限は、-0.40、他の場合では-0.30、さらに他の場合では-0.20(無次元)であってもよい。
【0185】
第2のエチレンインターポリマー中の触媒残留物は、R2で使用される架橋メタロセン触媒配合物の量又はR2で使用される成分Aの量を反映する。第2の反応器で使用される「金属AR2」を含む成分A(式(I))の種は、第1の反応器で使用される成分Aの種と異なってもよい。第2のエチレンインターポリマーの純粋な試料の場合、第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方、第2のエチレンインターポリマー中の金属AR2のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0186】
図4に示す実施形態を参照すると、R2に添加される水素の量は、連続溶液重合プロセスで、メルトインデックスが異なる第2のエチレンインターポリマー(以下I )を生成できるように、広範囲にわたって変化することができる。これは、流れ109の水素流量を調整することで達成される。添加される水素の量は、反応器R2の総質量に対するR2の百万分の1(ppm)の水素として表された(以下、H R2(ppm))。場合によっては、H R2(ppm)は、100ppm~0ppm、場合によっては50ppm~0ppm、他の場合では20ppm~0ppm、さらに他の場合では約2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は、1000dg/分;場合によっては750dg/分;他の場合では500dg/分;さらに他の場合では200dg/分であってもよい。I の下限は、0.3dg/分、場合によっては0.4dg/分、他の場合では0.5dg/分、さらに他の場合では0.6dg/分であってもよい。
【0187】
エチレンインターポリマー生成物中の第2のエチレンインターポリマーの重量パーセント(重量%)の上限は、95重量%、他の場合では92重量%、さらに他の場合では90重量%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の第2のエチレンインターポリマーの重量%の下限は、0重量%、場合によっては20重量%、他の場合では30重量%、さらに他の場合では40重量%であってもよい。
【0188】
任意選択で、エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、第3のエチレンインターポリマーを含んでいた。図3を参照すると、触媒失活剤Aが反応器17の上流に添加されなかった場合、第3のエチレンインターポリマーが、反応器17(R3)内で生成された。図4を参照すると、触媒失活剤が反応器117の上流に添加されなかった場合、第3のエチレンインターポリマーが、反応器117内で生成された。α-オレフィンが添加されなかった場合、第3のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。α-オレフィンがR3に存在した場合、以下の重量比は、第3のエチレンインターポリマーの密度を制御するための1つのパラメータ:((α-オレフィン)/(エチレン))R3であった。((α-オレフィン)/(エチレン))R3の上限は、3;他の場合では2、さらに他の場合では1であってもよい。((α-オレフィン)/(エチレン))R3の下限は、0;他の場合では0.25、さらに他の場合では0.5であってもよい。以下、「σ」という記号は、第3のエチレンインターポリマーの密度を指す。σの上限は、0.975g/cc;場合によっては0.965g/cc;他の場合では0.955g/ccであってもよい。σの下限は、0.855g/cc、場合によっては0.865g/cc;他の場合では0.875g/ccであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の1つ以上のα-オレフィンのモルパーセントの上限は、25%、場合によっては23%、他の場合では20%であってもよい。第3のエチレンインターポリマー中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は、0%、すなわち、溶液重合プロセスにα-オレフィンは添加されず、第3のエチレンインターポリマーはエチレンホモポリマーであった。
【0189】
次の均一触媒配合物の1つ以上をR3に注入できる:架橋メタロセン触媒配合物、非架橋シングルサイト触媒配合物、又は式(I)若しくは式(II)で定義される属のメンバーではないかさ高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物。図3及び図4は、それぞれ流れ40又は流れ140を介して、それぞれ反応器17又は反応器117への均一触媒配合物の注入を示している。この開示は、不均一触媒配合物が第3の反応器(R3)に注入された実施形態を含む。図3は、オンラインのチーグラー・ナッタ触媒配合物を生成して反応器17に注入するために不均一触媒アセンブリ(流れ34a~34e及び34h)を使用した非限定的な例を示している。同様に、図4は、オンラインのチーグラー・ナッタ触媒配合物を生成して反応器117に注入するために不均一触媒アセンブリ(流れ134a~134e及び134h)を使用した非限定的な例を示している。
【0190】
第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の上限は、98%、他の場合では95%、さらに他の場合では90%であってもよい。任意の第3のエチレンインターポリマーのCDBI50の下限は、35%、他の場合では40%、さらに他の場合では45%であってもよい。
【0191】
第3のエチレンインターポリマーのM/Mの上限は、5.0、他の場合では4.8、さらに他の場合では4.5であってもよい。任意の第3のエチレンインターポリマーのM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。
【0192】
架橋メタロセン触媒配合物を第3の反応器で使用した場合、第3のエチレンインターポリマーは、上記の無次元LCBFパラメータによって特徴付けられるように、長鎖分岐を含んでいた。第3のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001、他の場合では0.0015、さらに他の場合では0.002(無次元)であってもよい。非架橋シングルサイト触媒配合物を第3反応器で使用した場合、第3のエチレンインターポリマーには検出不能な量の長鎖分岐が含まれており、すなわち、第3のエチレンインターポリマーの無次元LCBF値は0.001未満であった。不均一触媒配合物を第3の反応器で使用した場合、第3のエチレンインターポリマーには、検出不能な量の長鎖分岐が含まれていた。式(I)又は式(II)で定義された属のメンバーではない、かさ高い配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物をR3で使用した場合、第3のエチレンインターポリマーはLCBを含む場合と含まない場合がある。
【0193】
第3のエチレンインターポリマーが架橋メタロセン触媒配合物によって合成された場合、第3のエチレンインターポリマーは、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であり、URの下限は、-0.40、他の場合では-0.30、さらに他の場合では-0.20(無次元)であった。第3のエチレンインターポリマーが非架橋シングルサイト触媒配合物によって合成された場合、第3のエチレンインターポリマーは、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、-0.1、他の場合では-0.2、さらに他の場合では-0.3であり、URの下限は、-0.8、他の場合では-0.65、さらに他の場合では-0.5であった。第3のエチレンインターポリマーがチーグラー・ナッタ触媒配合物によって合成された場合、第3のエチレンインターポリマーは、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、-0.7、他の場合では-0.75、さらに他の場合では-0.8であり、URの下限は、-1.0、他の場合では-0.95、さらに他の場合では-0.9であった。
【0194】
第3のエチレンインターポリマー中の触媒残留物は、その製造に使用された触媒を反映していた。架橋メタロセン触媒配合物を使用した場合、第3の反応器で使用される「金属AR3」を含む成分A(式(I))の種は、R1、又はR1及びR2で使用される種と異なってもよい。換言すると、R3で使用される触媒金属は、R1及び/又はR2で使用される触媒金属と異なってもよい。第3のエチレンインターポリマーの純粋な試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方、第3のエチレンインターポリマー中の金属AR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0195】
第3のエチレンインターポリマーは、成分C及び触媒「金属CR3」を含む非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して合成することができる。金属CR3の非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが含まれる。第3のエチレンインターポリマーの純粋な試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの上限は、3.0ppm、他の場合では2.0ppm、さらに他の場合では1.5ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の金属CR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0196】
第3のエチレンインターポリマーは、金属「BR3」を含み、式(I)又は式(II)で定義される属のメンバーではない、かさばる配位子-金属錯体を含む均一触媒配合物を使用して合成することができる。金属BR3の非限定的な例には、4族金属、チタン、ジルコニウム及びハフニウムが含まれる。第3のエチレンインターポリマーの純粋な試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよい。第3のエチレンインターポリマー中の金属BR3のppmの下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0197】
第3のエチレンインターポリマーは、不均一触媒配合物を使用して合成することができる。不均一触媒配合物の非限定的な例は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物である;図3及び図4は、それぞれ流れ34e又は134eを介して、それぞれ管状反応器17又は117へのインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物の注入を示している。インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、金属化合物(成分(vii))を含み、「金属ZR3」という用語はこの化合物中の金属を指す。金属ZR3の非限定的な例には、周期表の4族~8族から選択される金属が含まれる。第3のエチレンインターポリマーの純粋な試料の場合、第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの上限は、12ppm、他の場合では10ppm、さらに他の場合では8ppmであってもよく;一方、第3のエチレンインターポリマー中の金属ZR3のppmの下限は、0.5ppm、他の場合では1ppm、さらに他の場合では3ppmであってもよい。
【0198】
図3及び図4に示す実施形態を参照すると、任意の水素は、それぞれ流れ16又は流れ116を介して、それぞれ管状反応器17又は117に注入されてもよい。R3に添加される水素の量は、広範囲にわたって変化し得る。R3内の水素の量(以下H R3(ppm))を調整することにより、連続溶液プロセスで、メルトインデックスが大きく異なる任意の第3のエチレンインターポリマー(以下I )を生成できる。R3に添加される任意の水素の量は、100ppm~0ppm、場合によっては50ppm~0ppm、他の場合では20~0、さらに他の場合では2ppm~0ppmの範囲である。I の上限は、2000dg/分;場合には1500dg/分;他の場合では1000dg/分;さらに他の場合では500dg/分であってもよい。I の下限は、0.4dg/分、場合によっては0.6dg/分、他の場合では0.8dg/分;さらに他の場合では1.0dg/分であってもよい。
【0199】
エチレンインターポリマー生成物中の任意の第3のエチレンインターポリマーの重量パーセント(重量%)の上限は、30重量%、他の場合では25重量%、さらに他の場合では20重量%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の任意の第3のエチレンインターポリマーの重量%の下限は、0重量%、他の場合では5重量%、さらに他の場合では10重量%であってもよい。
【0200】
エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、(i)第1のエチレンインターポリマー;(ii)第1のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマー;(iii)第1のエチレンインターポリマー及び第2のエチレンインターポリマー、又は;(iv)第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び第3のエチレンインターポリマーを含み得る。
【0201】
エチレンインターポリマー生成物の密度(ρ)の上限は、0.975g/cc;場合によっては0.965g/cc;他の場合では0.955g/ccであってもよい。エチレンインターポリマー生成物の密度の下限は、0.855g/cc;場合によっては0.865g/cc;他の場合では0.875g/ccであってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の1つ以上のα-オレフィンのモルパーセントの上限は、25%;場合によっては23%;他の場合では20%であってもよい。エチレンインターポリマー生成物中のα-オレフィンのモルパーセントの下限は、0%、すなわち、溶液重合プロセスにα-オレフィンは添加されず、エチレンインターポリマー生成物はエチレンホモポリマーであった。
【0202】
エチレンインターポリマー生成物のCDBI50の上限は、98%、他の場合では90%、さらに他の場合では85%であってもよい。α-オレフィンが連続溶液重合プロセスに添加されない場合、97%のCDBI50を有するエチレンインターポリマー生成物が生じる可能性があり;この場合、エチレンインターポリマー生成物はエチレンホモポリマーである。エチレンインターポリマー生成物のCDBI50の下限は、1%、他の場合では2%、さらに他の場合では3%であってもよい。
【0203】
エチレンインターポリマー生成物のM/Mの上限は、使用される反応器の数及び重合条件に依存する。例えば、図3を参照すると、流れ11cが管状反応器17の上流で失活される場合、エチレンインターポリマー生成物のM/Mの上限は、2.4、他の場合では2.3、さらに他の場合では2.2であってもよく;一方、このエチレンインターポリマー生成物のM/Mの下限は、1.7、他の場合では1.8、さらに他の場合では1.9であってもよい。多反応器(multi-reactor)の図4を参照すると、エチレンインターポリマー生成物(第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含む)のM/Mの上限は、25、他の場合では20、さらに他の場合では15であってもよく;一方、このエチレンインターポリマー生成物のM/Mの下限は、1.8、他の場合では1.9、さらに他の場合では2.0であってもよい。
【0204】
エチレンインターポリマー生成物は長鎖分岐(LCB)を含んでおり、LCBは上記の無次元LCBFパラメータによって特徴付けられた。第3のエチレンインターポリマーのLCBFの上限は、0.5、他の場合では0.4、さらに他の場合では0.3(無次元)であってもよい。第3のエチレンインターポリマーのLCBFの下限は、0.001、他の場合では0.0015、さらに他の場合では0.002(無次元)であってもよい。
【0205】
エチレンインターポリマー生成物が、1つ以上の架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成された場合、エチレンインターポリマー生成物は、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02(無次元)であり、URの下限は、-0.40、他の場合では-0.30、さらに他の場合では-0.20(無次元)であった。エチレンインターポリマー生成物が、非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して合成された第3のエチレンインターポリマーの一部を含む場合、エチレンインターポリマー生成物は、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02であり、URの下限は、-0.8、他の場合では-0.65、さらに他の場合では-0.5であった。エチレンインターポリマー生成物が、チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用して合成された第3のエチレンインターポリマーの一部を含む場合、エチレンインターポリマー生成物は、不飽和比URによって特徴付けられ;URの上限は、0.06、他の場合では0.04、さらに他の場合では0.02であり、、URの下限は、-1.0、他の場合では-0.95、さらに他の場合では-0.9であった。
【0206】
表4は、中性子放射化分析(NAA)によって決定された、エチレンインターポリマー生成物の例1~6の「残留触媒金属」を開示している。例1、2及び4~6では、同じ架橋メタロセン触媒配合物を反応器111a及び112a(図4)に注入し、これらの試料中の残留触媒金属は1.38~1.98ppm Hfで変動した。例3では、1つのCSTRを使用し、架橋メタロセン触媒配合物を反応器11a(図3)に注入し、例3は、残留触媒金属が2.20ppm Hfであった。例1~6では、チタンの量はN.A.A.検出限界未満であった。比較例Q1~Q4は、Hfベースの触媒配合物を使用して製造され、0.24~0.34ppm Hf及び検出不能なTiを含んでいた。比較例2及び比較例3は、Hfベース及びTiベースの触媒配合物を使用して製造された。表4の残りの比較例は、さまざまなTiベースの触媒配合物で生成され(すなわち、比較例R、S、U、V、1、4及び5)、Ti含有量は0.14~7.14ppm Tiの範囲であった。
【0207】
同じ種の成分Aが1つ以上の反応器内で使用された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の残留触媒金属の上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく、エチレンインターポリマー生成物中の残留触媒金属の下限は、0.03ppm、他の場合では0.09ppm、さらに他の場合では0.15ppmであってもよい。
【0208】
2つ以上の反応器が動作していて、各反応器内で異なる種の成分A(異なる金属を有する)が使用された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR1のppmの上限は、3.0ppm、他の場合では2.5ppm、さらに他の場合では2.0ppmであってもよく;一方、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR1のppmの下限は、0.0015ppm、他の場合では0.005ppm、さらに他の場合では0.01ppmであってもよい。
【0209】
エチレンインターポリマー生成物が2つのエチレンインターポリマーを含み、異なる種の成分A(異なる金属を有する)がR1(容器111a、図4)及びR2(容器112a、図4)で使用された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの上限は、5.0ppm、他の場合では4.0ppm、さらに他の場合では3.0ppmであってもよく;一方、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの下限は、0.0012ppm、他の場合では0.04ppm、さらに他の場合では0.06ppmであってもよい。
【0210】
エチレンインターポリマー生成物が第3のエチレンインターポリマーを含み、異なる種の成分A(異なる金属を有する)がR1、R2及びR3(容器117、図4)で使用された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの上限は、3.5ppm、他の場合では2.5ppm、さらに他の場合では2.0ppmであってもよく、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR2のppmの下限は、0.003ppm、他の場合では0.01ppm、さらに他の場合では0.015ppmであってもよい。
【0211】
エチレンインターポリマー生成物が第3のエチレンインターポリマーを含み、異なる種の成分A(異なる金属を有する)がR1、R2及びR3で使用された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属AR3のppmの上限は、1.5ppm、他の場合では1.25ppm、さらに他の場合では1.0ppmであってもよい。非架橋シングルサイト触媒配合物(金属CR3を含む)が管状反応器に注入された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属CR3のppmの上限は、1.0ppm、他の場合では0.8ppm、さらに他の場合では0.5ppmであってもよい。均一触媒配合物(金属BR3を含む)が管状反応器に注入された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属BR3のppmの上限は、1.5ppm、他の場合では1.25ppm、さらに他の場合では1.0ppmであってもよい。不均一触媒配合物(金属ZR3を含む)が管状反応器に注入された実施形態において、エチレンインターポリマー生成物中の金属ZR3のppmの上限は、3.5ppm、他の場合では3ppm、さらに他の場合では2.5ppmであってもよい。エチレンインターポリマー生成物中の金属AR3、CR3、BR3又はZR3のppmの下限は、0.0であり、すなわち、触媒失活剤が管状反応器(R3)の上流に添加された。
【0212】
エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスの上限は、500dg/分、場合によっては400dg/分;他の場合では300dg/分;さらに他の場合では200dg/分であってもよい。エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスの下限は、0.3dg/分、場合によっては0.4dg/分;他の場合では0.5dg/分;さらに他の場合では0.6dg/分であってもよい。
【0213】
<製造品>
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、単層又は多層フィルムなどの軟質製造品に変換され得る。そのようなフィルムを調製するプロセスの非限定的な例には、インフレーションフィルムプロセス、ダブルバブルプロセス、トリプルバブルプロセス、キャストフィルムプロセス、テンターフレームプロセス、及び機械方向配向(MDO)プロセスが含まれる。
【0214】
インフレーションフィルム押出プロセスでは、押出機が熱可塑性プラスチック又は熱可塑性ブレンドを加熱、溶融、混合、及び搬送する。溶融すると、熱可塑性プラスチックを環状ダイに押し込み、熱可塑性プラスチックチューブを生成する。共押出の場合、複数の押出機を用いて多層熱可塑性チューブを生成する。押出プロセスの温度は、主に、処理中の熱可塑性プラスチック又は熱可塑性ブレンド、例えば熱可塑性プラスチックの融解温度又はガラス転移温度、及び融解物の所望の粘度によって決定される。ポリオレフィンの場合、典型的な押出温度は、330°F~550°F(166℃~288℃)である。環状ダイから出ると、熱可塑性プラスチックチューブは空気で膨らみ、冷却され、固化して、一対のニップローラーに引き込まれる。空気の膨張により、チューブの直径が大きくなり、所望のサイズのバブルが形成される。ニップローラーの引張作用により、バブルは機械方向に延伸される。したがって、バブルは2つの方向:膨張する空気がバブルの直径を大きくする横方向(TD:transverse direction);及びニップローラーがバブルを延伸する機械方向(MD:machine direction)に延伸される。その結果、インフレーションフィルムの物理的特性は、典型的には異方性であり、すなわち、物理的特性はMD方向及びTD方向で異なり;例えば、フィルムの引き裂き強度及び引張特性は、典型的には、MD及びTDで異なる。いくつかの先行技術文書では、「横断方向(cross direction)」又は「CD」という用語が使用され;これらの用語は、本開示で使用される「横方向」又は「TD」という用語と同等である。インフレーションフィルムプロセスでは、空気がバブルの外周に吹き付けられ、熱可塑性プラスチックが環状ダイを出るときに冷却される。フィルムの最終的な幅は、膨張する空気又は内部のバブル圧を制御することにより決定され;言い換えれば、バブルの直径を増大又は減少させる。フィルムの厚さは、主にニップローラーの速度を増減してドローダウン速度を制御することで制御される。ニップローラーを出た後、バブル又はチューブはつぶれ、機械方向に切れ目を入れることにより、シートが作られ得る。各シートは、フィルムのロールに巻かれ得る。各ロールがさらに切れ目を入れ、所望の幅のフィルムを作り得る。フィルムの各ロールは、以下で説明するように、種々の消費者製品にさらに加工される。
【0215】
キャストフィルムプロセスは、単一又は複数の押出機を使用し得る点で同様であるが、様々な熱可塑性材料は、フラットダイダイに計量され、チューブではなく単層又は多層シートに押し出される。キャストフィルムプロセスでは、押し出されたシートは、チルロール上で固化される。
【0216】
ダブルバブルプロセスでは、第1のインフレーションフィルムバブルが形成されて冷却され、次いで、第1のインフレーションが加熱されて再膨張され、第2のインフレーションフィルムバブルが形成され、その後冷却される。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、トリプルバブルブロープロセスにも好適である。開示されたエチレンインターポリマー生成物に好適な追加のフィルム変換プロセスには、機械方向配向(MDO)ステップ;例えば、フィルムをブローするか又はフィルムをキャストし、フィルムを急冷し、次いで、フィルムチューブ又はフィルムシートを任意の延伸比でMDOプロセスに供することを伴うプロセスが含まれる。さらに、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物フィルムは、テンターフレームプロセス及び二軸配向を導入する他のプロセスでの使用に好適である。
【0217】
最終用途に応じて、開示されたエチレンインターポリマー生成物は、広範囲の厚さにわたるフィルムに変換され得る。非限定的な例には、厚さが0.5ミル(13μm)~4ミル(102μm)の範囲の食品包装フィルムが含まれ:頑丈な袋の用途では、フィルムの厚さは2ミル(51μm)~10ミル(254μm)の範囲であってもよい。
【0218】
単層フィルムの単層は、複数のエチレンインターポリマー生成物及び/又は1つ以上の追加のポリマーを含有してもよく;追加のポリマーの非限定的な例には、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーが含まれる。単層フィルム中のエチレンインターポリマー生成物の重量パーセントの下限は、3重量%、他の場合では10重量%、さらに他の場合では30重量%であってもよい。単層フィルム中のエチレンインターポリマー生成物の重量パーセントの上限は、100重量%、他の場合では90重量%、さらに他の場合では70重量%であってもよい。
【0219】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物はまた、多層フィルムの1つ以上の層で使用してもよく;多層フィルムの非限定的な例には、3、5、7、9、11以上の層が含まれる。開示されたエチレンインターポリマー生成物は、マイクロレイヤーダイ及び/又はフィードブロックを用いるプロセスでの使用にも好適であり、そのようなプロセスは多くの層を有するフィルムを生成でき、非限定的な例には、10~10,000層が含まれる。
【0220】
多層フィルム内の特定の層(エチレンインターポリマー生成物を含有する)の厚さは、総多層フィルム厚の5%、他の場合では15%、さらに他の場合では30%であってもよい。他の実施形態では、多層フィルム内の特定の層(エチレンインターポリマー生成物を含有する)の厚さは、総多層フィルム厚の95%、他の場合では80%、さらに他の場合では65%であってもよい。多層フィルムの各個々の層は、複数のエチレンインターポリマー生成物及び/又は追加の熱可塑性プラスチックを含有してもよい。
【0221】
追加の実施形態は、開示されたエチレンインターポリマー生成物を含有する単層又は多層フィルムが押出積層又は接着積層又は押出コーティングされる積層及びコーティングを含む。押出積層又は接着積層では、2つ以上の基材がそれぞれ熱可塑性樹脂又は接着剤で結合される。押出コーティングでは、熱可塑性物質が基材の表面に塗布される。これらのプロセスは、当業者には周知である。多くの場合、接着積層又は押出積層は、異なる材料を結合するために使用され、非限定的な例には、熱可塑性ウェブへの紙ウェブの結合、又は熱可塑性ウェブへのウェブを含有するアルミニウム箔の結合、又は化学的に不適合な2つの熱可塑性ウェブの結合、例えば、ウェブを含有するエチレンインターポリマー生成物のポリエステル又はポリアミドウェブへの結合が含まれる。積層の前に、開示されたエチレンインターポリマー生成物を含有するウェブは単層でも多層でもよい。積層の前に、個々のウェブは結合を改善するために表面処理されてもよく、表面処理の非限定的な例はコロナ処理である。一次ウェブ又はフィルムは、上面、その下面、又はその上面及び下面の両方に二次ウェブが積層され得る。二次ウェブ及び三次ウェブを一次ウェブに積層することができ;二次ウェブ及び三次ウェブは化学組成が異なる。非限定的な例として、二次又は三次ウェブには、ポリアミド、ポリエステル、及びポリプロピレン、又はEVOHなどのバリア樹脂層を含有するウェブが含まれ得る。そのようなウェブはまた、蒸着されたバリア層;例えば、薄い酸化シリコン(SiO)又は酸化アルミニウム(AlO)層を含んでもよい。多層ウェブ(又はフィルム)は、3、5、7、9、11以上の層を含んでもよい。
【0222】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、1つ以上のフィルム(単層又は多層)を含む広範囲の製品に使用することができる。そのような製造品の非限定的な例には、食品包装フィルム(生鮮食品及び冷凍食品、液体、並びに粒状食品)、スタンドアップパウチ、レトルト包装、並びにバッグインボックス包装;バリアフィルム(酸素、水分、芳香、油など)及び雰囲気調整包装;軽量及び頑丈なシュリンクフィルム及びラップ、照合シュリンクフィルム、パレットシュリンクフィルム、シュリンクバッグ、シュリンクバンドル、ならびシュリンクシュラウド;軽量及び頑丈なストレッチフィルム、ハンドストレッチラップ、マシンストレッチラップ、及びストレッチフードフィルム;高透明度フィルム;頑丈な袋;家庭用ラップ、オーバーラップフィルム、及びサンドイッチバッグ;工業用及び機関用フィルム、ゴミ袋、缶ライナー、雑誌の上包み、新聞バッグ、郵便バッグ、サック及び封筒、バブルラップ、カーペットフィルム、家具バッグ、ガーメントバッグ、コインバッグ、自動車パネルフィルム;ガウン、ドレープ、及び手術衣などの医療用途;建設フィルム及びシーティング、アスファルトフィルム、断熱バッグ、マスキングフィルム、造園フィルム及びバッグ;都市廃棄物処理及び採鉱用途向けのジオメンブレンライナー;バッチ封入袋;農業用フィルム、マルチフィルム、及び温室フィルム;店内包装、セルフサービスバッグ、ブティックバッグ、食料品バッグ、持ち帰り用の袋、及びTシャツバッグ;延伸フィルム、機械方向延伸(MDO)フィルム、二軸延伸フィルム、及び延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムの機能性フィルム層、例えば、シーラント及び/又は靭性層が含まれる。少なくとも1つのエチレンインターポリマー生成物を含有する1つ以上のフィルムを含む追加の製造品には、積層及び/又は多層フィルム;多層フィルム及び複合材料のシーラント及びタイ層;紙との積層;アルミ箔積層又は真空蒸着アルミニウムを含有する積層;ポリアミド積層;ポリエステル積層;押出コーティング積層;並びにホットメルト接着剤配合物が含まれる。この段落で要約された製造品は、開示されたエチレンインターポリマー生成物の少なくとも1つの実施形態を含む少なくとも1つのフィルム(単層又は多層)を含む。
【0223】
望ましいフィルムの物理的特性(単層又は多層)は、典型的には、目的の用途に依存する。望ましいフィルム特性の非限定的な例には、光学特性(光沢、ヘイズ、及び透明度)、落槍衝撃、エルメンドルフ引裂度、弾性率(1%及び2%割線弾性率)、引張特性(降伏強度、破断強度、破断点伸び、靭性など)、ヒートシール特性(ヒートシール開始温度、SIT、及びホットタック)が含まれる。特定のホットタック及びヒートシール特性は、パウチ様パッケージ内部の市販製品(液体、固体、ペースト、部品など)を装填及びシールする高速垂直及び水平型フォームフィルシールプロセスが望ましい。
【0224】
所望のフィルムの物理的特性に加えて、開示されたエチレンインターポリマー生成物は、フィルムライン上で加工しやすいことが望ましい。当業者は、「加工性」という用語を頻繁に使用して、加工性が劣るポリマーに対して、加工性が改善されたポリマーを区別する。加工性を定量化するために一般的に使用される尺度は、押出圧力であり;より具体的には、加工性が改善されたポリマーは、加工性が劣るポリマーに対して、より低い押出圧力(インフレーションフィルム又はキャストフィルム押出ライン上)を有する。
【0225】
本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、例えば、本明細書に開示される比較例1生成物と比較して、改善されたバブル安定性を有する。改善されたバブル安定性により、より高い生産速度で単層又は多層フィルムを生成することができる。センチニュートン(cN)で測定される溶融強度は、バブル安定性の尺度としてよく使用され、すなわち、溶融強度が高いほど、バブル安定性が高くなる。表に示すように、例1(4.56cN)及び例2(3.82cN)は、比較例15(2.78cN)及び比較例16(3.03cN)に比べて高い溶融強度を有している。換言すると、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物は、複数の比較例と比べて、65%~25%の改善された溶融強度を有する。
【0226】
このセクションで説明する製造品に使用されるフィルムは、任意にその使用目的に応じて、添加剤及び補助剤を含んでもよい。添加剤及び補助剤の非限定的な例には、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、フィラー材料、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、核剤、並びにそれらの組合せが含まれる。
【0227】
明細書に開示されるプロセスは、硬質用途又は硬質物品での使用に望ましい物理的特性の有用な組合せを有するエチレンインターポリマー生成物を作製することもできる。硬質物品の非限定的な例には、デリ容器、マーガリンタブ、ドリンクカップ、農産物トレイ;家庭用及び工業用容器、カップ、ボトル、バケツ、木枠、タンク、ドラム、バンパー、蓋、工業用バルク容器、工業用容器、マテリアルハンドリング容器、ボトルキャップライナー、ボトルキャップ、リビングヒンジクロージャー;おもちゃ、遊具、レクリエーション用具、ボート、海上及び安全用具;電源ケーブル、通信ケーブル、及び電線管などの電線及びケーブル用途;軟質チューブ及びホース;圧力パイプ及び非圧力パイプの両方の市場を含むパイプ用途、例えば、天然ガスの分配、水道本管、内部の配管、雨水下水道、衛生下水道、波形パイプ及び導管;発泡シート又はバンフォームから製造された発泡物品;軍用包装(用具及び調理済みの食事);パーソナルケア包装、おむつ、及び生理用品;化粧品、医薬品、及び医療用包装、並びにトラックのベッドライナー、パレット、及び自動車のダンネージが含まれる。この段落で要約された硬質製造品は、本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物のうちの1つ以上、又は本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物のうちの少なくとも1つと少なくとも1つの他の熱可塑性樹脂とのブレンドを含有する。
【0228】
そのような硬質製造品は、以下の非限定的なプロセスを使用して製作され得る:射出成形、圧縮成形、ブロー成形、回転成形、異形押出、パイプ押出、シート熱成形、及び化学又は物理発泡剤を用いる発泡プロセス。
【0229】
硬質製造品の望ましい物理的特性は、目的の用途に依存する。望ましい特性の非限定的な例には、曲げ弾性率(1%及び2%割線弾性率);引張靭性;環境応力亀裂抵抗(ESCR);遅い亀裂成長抵抗(PENT);耐摩耗性;ショア硬度;荷重下のたわみ温度;VICAT軟化点;IZOD衝撃強度;ARM耐衝撃性;シャルピー耐衝撃性、並びに;色(白色度及び/又は黄色度指数)が含まれる。
【0230】
このセクションに記載されている硬質製造品は、その使用目的に応じて、添加剤及び補助剤を任意に含み得る。添加剤及び補助剤の非限定的な例には、酸化防止剤、スリップ剤、加工助剤、帯電防止添加剤、着色剤、染料、フィラー材料、熱安定剤、光安定剤、光吸収剤、潤滑剤、顔料、可塑剤、成核剤、及びそれらの組合せが含まれる。
【0231】
<追加の実施形態>
以下の段落は、本発明の追加の実施形態を開示している。
【0232】
(i)第1のエチレンインターポリマー;(ii)第2のエチレンインターポリマー、及び;任意に第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であって、前記エチレンインターポリマー生成物が、a)0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF);b)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属;c)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)であり、次の関係:UR=(SC-T)/T;(式中、前記エチレンインターポリマー生成物において、SCは、100個の炭素あたりの側鎖不飽和の量であり、Tは、100個の炭素あたりの末端不飽和の量である)で定義されるUR、を有する。
この段落に記載されているエチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、約0.3~約500dg/分のメルトインデックス、約0.855~約0.975g/ccの密度、約1.7~約25のM/M、及び約1%~約98%のCDBI50を有してもよい。
この段落に記載されているエチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、
0.01~200dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する5~60重量パーセントの第1のエチレンインターポリマー;
0.3~1000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する20~95重量パーセントの第2のエチレンインターポリマー、及び;任意に0.5~2000dg/分のメルトインデックス及び0.855g/cc~0.975g/ccの密度を有する0~30重量パーセントの第3のエチレンインターポリマーを含んでもよく、ここで、重量パーセントは、前記第1の、前記第2の、又は前記任意の第3のエチレンインターポリマーの重量を、個別に、前記エチレンインターポリマー生成物の重量で割ったものである。
この段落に記載されているエチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、0~約25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンを含んでもよい;α-オレフィンの非限定的な例には、C~C10α-オレフィンが含まれる。
エチレンインターポリマー生成物の他の実施形態は、溶液重合プロセスで製造されてもよい。
この段落のエチレンインターポリマー生成物における第1及び第2のエチレンインターポリマーは、以下の式(I)で定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成できる。
【化3】

式中、Mはチタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R基は水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、若しくは環状又はハロゲン原子、C1-10アルキルラジカル、C1-10アルコキシラジカル、C6-10アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよく;
は水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルを表し;
及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択され;
及びRは水素原子、C1-20ヒドロカルビルラジカル、C1-20アルコキシラジカル、又はC6-10アリールオキシドラジカルから独立して選択される。
架橋メタロセン触媒配合物は、アルモキサン共触媒を含む成分M;ホウ素イオン活性剤を含む成分B、及び;任意に、ヒンダードフェノールを含む成分P、をさらに含んでもよい。
任意の第3のエチレンインターポリマーは、均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を使用して合成することができる;均一触媒配合物の非限定的な例には、架橋メタロセン触媒配合物又は非架橋シングルサイト触媒配合物が含まれる。
不均一触媒配合物の非限定的な例には、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物又はバッチ式チーグラー・ナッタ触媒配合物が含まれる。任意選択で、金属ZR3を含む不均一触媒配合物を管状反応器に注入することができ、この場合、エチレンインターポリマー生成物の実施形態は、0.1~3.5ppmの金属ZR3を含んでもよい。
【0233】
他の実施形態には、以下を含む連続溶液重合プロセスが含まれる:
i)エチレン、プロセス溶媒、架橋メタロセン触媒配合物、任意に1つ以上のα-オレフィン、及び任意に水素を第1の反応器に注入して、プロセス溶媒中に第1のエチレンインターポリマーを含有する第1の出口流を生成する工程;
ii)前記第1の出口流を第2の反応器に通し、前記第2の反応器にエチレン、前記プロセス溶媒、前記架橋メタロセン触媒配合物、任意に1つ以上のα-オレフィン、及び任意に水素を注入して、前記プロセス溶媒中に第2のエチレンインターポリマー及び前記第1のエチレンインターポリマーを含有する第2の出口流を生成する工程;
iii)前記第2の出口流を第3の反応器に通し、任意に第前記3の反応器に、エチレン、プロセス溶媒、1つ以上のα-オレフィン、水素、及び、均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を注入して、前記プロセス溶媒中に第3のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー、及び前記第1のエチレンインターポリマーを含有する第3の出口流を生成する工程;
iv)前記第3の出口流を相分離して、前記第1のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー、及び前記任意の第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を回収する工程;
ここで、前記連続溶液重合プロセスは、以下の(a)及び/又は(b)を有することによって改善される:
(a)以下の式によって定義される[α-オレフィン/エチレン]重量比が少なくとも70%減少された
【数9】

(式中、(α-オレフィン/エチレン)は、前記第1の反応器に添加された前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加された前記エチレンの重量で割ることによって計算され、目標密度を有する前記第1のエチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物によって生成され;(α-オレフィン/エチレン)は、前記第1の反応器に添加された前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加された前記エチレンの重量で割ることによって計算され、前記目標密度を有する対照エチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される);
(b)以下の式によって定義される重量平均分子量が少なくとも5%改善された
の改善割合(%)=100%×(M -M )/M ≧10%
(式中、M は前記第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量であり、M は比較エチレンインターポリマーの重量平均分子量であり;前記比較エチレンインターポリマーは、前記架橋シングルサイト触媒配合物を前記非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより、前記第1の反応器で生成される)。
このプロセスの追加のステップは、以下を含むことができる:
a)任意選択で、触媒失活剤Aを前記第2の反応器の下流の前記第2の出口流に添加して、失活溶液Aを形成する工程;
b)触媒失活剤Bを前記第3の反応器の下流の前記第3の出口流に添加して、失活溶液Bを形成する工程であって、ただし、工程a)で前記触媒失活剤Aが添加された場合、工程b)がスキップされることを条件とする、形成する工程;
c)前記失活溶液A又はBを相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収する工程。
不均一触媒配合物が第3の反応器に添加された場合、追加のプロセスステップは、以下を含むことができる:
d)前記失活溶液A又はBに不動態化剤を添加して、不動態化溶液を形成する工程であって、ただし、前記不均一触媒配合物が前記第3の反応器に添加されない場合、工程d)はスキップされる;及び
e)前記失活溶液A又はB、あるいは前記不動態化溶液を相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収する工程。
架橋メタロセン触媒配合物は、かさ高い配位子-金属錯体「成分A」;アルモキサン共触媒を含む成分M;ホウ素イオン活性剤を含む成分B、及び;任意に、ヒンダードフェノールを含む成分Pを含んでもよい;ここで、以下のモル比を使用してもよい:前記成分Bと前記成分Aとのモル比が、約0.3:1~約10:1、前記成分Mと前記成分Aとのモル比が、約1:1~約300:1、前記任意の成分Pと前記成分Mとのモル比が、0.0:1~約1:1。
成分M、B及びPの非限定的な例には、メチルアルモキサン(MMAO-7)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボラート及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールがそれぞれ含まれる。
このプロセスは、前記架橋メタロセン触媒配合物を、約20℃~約70℃の触媒入口温度で、前記第1の反応器及び任意に前記第2の反応器に注入することをさらに含んでもよく;任意選択で、前記成分M及び前記成分Pが、前記架橋メタロセン触媒配合物から削除され、式Al(R(OR
(式中、(R)基は、1~10個の炭素原子を有する同じ又は異なるヒドロカルビル基であってもよく;(OR)基は、同じ又は異なるアルコキシ又はアリールオキシ基であってもよく、式中、Rは、酸素に結合した1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;(n+o)=3であるが、ただしnが0より大きいことを条件とする)
で定義される成分Jで置き換えられてもよい。
任意選択で、前記架橋メタロセン触媒配合物を、80℃~180℃の触媒入口温度で、前記反応器に注入してもよい。
任意選択で、前記第3の反応器に注入される前記均一触媒配合物は、前記架橋メタロセン触媒配合物、前記シングルサイト触媒配合物、又はかさ高い配位子-金属錯体が式(I)若しくは(II)で定義された属のメンバーではない均一触媒配合物である。
任意選択で、前記前記第3の反応器に注入される前記不均一触媒配合物は、インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物又はバッチ式チーグラー・ナッタ触媒配合物である。
インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、以下を含むインラインプロセスで形成される:
i) 流れS1と流れS2とを組み合わせて、インライン式不均一触媒アセンブリで第1の生成物混合物を形成し、前記第1の生成物混合物をHUT-1秒間平衡化させる工程であり;ここで、前記流れS1が、前記プロセス溶媒中にマグネシウム化合物及びアルミニウムアルキルを含み、前記流れS2が、前記プロセス溶媒中に塩化物化合物を含む、工程;
ii) 前記第1の生成物混合物を流れS3と組み合わせて、前記インライン式不均一触媒アセンブリで第2の生成物混合物を形成し、前記第2の生成物混合物をHUT-2秒間平衡化させる工程であり;ここで、前記流れS3が、前記プロセス溶媒中に金属化合物を含む、工程;
iii) 前記第2の生成物混合物を流れS4と組み合わせて、前記インライン式不均一触媒アセンブリで前記インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を形成し、前記第3の反応器に注入する前に、前記インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物をHUT-3秒間平衡化させる工程であり;ここで、前記流れS4が、前記プロセス溶媒中にアルキルアルミニウム共触媒を含む、工程;
iv) 任意選択で、工程iii)がスキップされ、前記インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物が、前記第3の反応器内で形成され;ここで、前記第2の生成物混合物が、追加のHUT-3秒間平衡化され、前記第3の反応器に注入され、前記流れS4が独立して前記第3の反応器に注入される。
典型的なホールドアップ時間は、HUT-1は約5秒から約70秒、HUT-2は約2秒から約50秒、HUT-3は約0.5秒から約15秒であり;前記インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物及び任意に前記第2の生成物混合物は、約20℃~約70℃の触媒入口温度で注入される。
インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、以下を含んでもよい:
i)前記マグネシウム化合物が、式Mg(Rによって定義され、式中、R基は同じでも異なっていてもよく;
ii)前記アルミニウムアルキルが、式Al(Rで定義され、式中、R基は同じでも異なっていてもよく;
iii)前記塩化物化合物が、式RClで定義され;
iv)前記金属化合物が、式M(X)又はMO(X)によって定義され、式中、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、又はそれらの混合物を表し、Oは酸素を表し、Xは塩化物又は臭化物を表し、nは金属Mの酸化状態を満たす整数であり、
v)前記アルキルアルミニウム共触媒は、式Al(R(OR(X)で定義され、式中、R基は同じでも異なっていてもよく、OR基は同じでも異なっていてもよく、(p+q+r)=3であるが、ただしpは0より大きいことを条件とし;
式中、R、R、R、R、及びRは、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し;任意に、Rは水素原子であってもよい。
インライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物は、以下を含んでもよい:
前記第3の反応器における前記アルミニウムアルキル対前記マグネシウム化合物のモル比が、3.0:1~70:1であり;前記第3の反応器における前記塩化物化合物対前記マグネシウム化合物のモル比が、1.0:1~4.0:1であり;前記第3の反応器における前記アルキルアルミニウム共触媒対前記金属化合物のモル比が、0:1~10:1であり;前記第3の反応器における前記アルミニウムアルキル対前記金属化合物のモル比が、0.05:1~2:1である。
この段落に記載されているプロセスの実施形態では、プロセス溶媒は、1つ以上のC~C12アルカンであってもよく、前記第1、第2及び第3の反応器は、80℃~300℃の温度、及び3MPag~45MPagの圧力で動作し得る。
前記第1の反応器内のプロセス溶媒は、約10秒~約600秒の平均反応器滞留時間を有し、前記第2の反応器内の前記プロセス溶媒は、約10秒~約720秒の平均反応器滞留時間を有する。
このプロセスには、1℃~120℃の範囲の反応器温度差(TR2-TR1)もあってもよく、ここで、TR2は前記第2の反応器内の溶液の温度であり、TR1は前記第1の反応器内の溶液の温度である。
前記任意のα-オレフィンは、C~C10のα-オレフィンのうちの1つ以上であってもよい。
エチレンインターポリマー生成物は、この段落で開示されている溶液重合プロセスの実施形態を使用して生成することができる。
【0234】
他の実施形態には、以下を含む連続溶液重合プロセスが含まれる:
i)エチレン、プロセス溶媒、架橋メタロセン触媒配合物、任意に1つ以上のα-オレフィン、及び任意に水素を第1の反応器に注入して、プロセス溶媒中に第1のエチレンインターポリマーを含有する第1の出口流を生成する工程;
ii)エチレン、前記プロセス溶媒、前記架橋メタロセン触媒配合物、任意に1つ以上のα-オレフィン、及び任意に水素を第2の反応器に注入して、前記プロセス溶媒中に第2のエチレンインターポリマーを含有する第2の出口流を生成する工程;
iii)前記第1の出口流と前記第2の出口流とを組み合わせて第3の出口流を形成する工程;
iv)前記第3の出口流を第3の反応器に通し、任意に前記第3の反応器に、エチレン、プロセス溶媒、1つ以上のα-オレフィン、水素、及び、均一触媒配合物又は不均一触媒配合物を注入して、前記プロセス溶媒中に任意の第3のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー、及び前記第1のエチレンインターポリマーを含有する第4の出口流を生成する工程;
v)前記第4の出口流を相分離して、前記第1のエチレンインターポリマー、前記第2のエチレンインターポリマー、及び前記任意の第3のエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を回収する工程;
ここで、前記連続溶液重合プロセスは、以下の1つ以上、すなわち(a)及び/又は(b)を有することによって改善される:
(a)以下の式によって定義される[α-オレフィン/エチレン]重量比が少なくとも70%減少された
【数10】

(式中、(α-オレフィン/エチレン)は、前記第1の反応器に添加された前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加された前記エチレンの重量で割ることによって計算され、目標密度を有する前記第1のエチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物によって生成され;(α-オレフィン/エチレン)は、前記第1の反応器に添加された前記α-オレフィンの重量を、前記第1の反応器に添加された前記エチレンの重量で割ることによって計算され、前記目標密度を有する対照エチレンインターポリマーは、前記架橋メタロセン触媒配合物を非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより生成される);
(b)以下の式によって定義される重量平均分子量が少なくとも5%改善された
の改善割合(%)=100%×(M -M )/M ≧5%
(式中、M は前記第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量であり、M は比較エチレンインターポリマーの重量平均分子量であり;前記比較エチレンインターポリマーは、前記架橋シングルサイト触媒配合物を前記非架橋シングルサイト触媒配合物で置き換えることにより、前記第1の反応器で生成される)。
【0235】
このプロセスの追加のステップは、以下を含むことができる:
a)任意選択で、触媒失活剤Aを前記第2の反応器の下流の前記第3の出口流に添加して、失活溶液Aを形成する工程;
b)触媒失活剤Bを前記第3の反応器の下流の前記第4の出口流に添加して、失活溶液Bを形成する工程であって、ただし、工程a)で前記触媒失活剤Aが添加された場合、工程b)がスキップされることを条件とする、形成する工程;
c)前記失活溶液A又はBを相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収する工程。
不均一触媒配合物が第3の反応器に添加された場合、追加のプロセスステップは、以下を含むことができる:
d)前記失活溶液A又はBに不動態化剤を添加して、不動態化溶液を形成する工程であって、ただし、前記不均一触媒配合物が前記第3の反応器に添加されない場合、工程d)はスキップされる;及び
e)前記失活溶液A又はB、あるいは前記不動態化溶液を相分離して、前記エチレンインターポリマー生成物を回収する工程。
エチレンインターポリマー生成物は、この段落で開示されている溶液重合プロセスの実施形態を使用して生成することができる。
【0236】
<試験方法>
試験の前に、各試験片は23±2℃及び相対湿度50±10%で少なくとも24時間調整され、その後の試験は23±2℃及び相対湿度50±10%で行った。本明細書では、「ASTM条件」という用語は、23±2℃及び相対湿度50±10%に維持される実験室;並びに試験前にこの実験室で少なくとも24時間調整された試験対象の試験片を指す。ASTMは、米国材料試験協会を指す。
【0237】
<密度>
エチレンインターポリマー生成物の密度は、ASTM D792-13(2013年11月1日)を使用して決定された。
【0238】
<メルトインデックス>
エチレンインターポリマー生成物のメルトインデックスは、ASTM D1238(2013年8月1日)を使用して決定された。メルトインデックス、I、I、I10、及びI21は、それぞれ2.16kg、6.48kg、10kg、及び21.6kgの重量を使用して190℃で測定された。本明細書では、「応力指数(stress exponent)」という用語又はその頭字語「S.Ex.」は、以下の関係によって定義される:
S.Ex.=log(I/I)/log(6480/2160)
(式中、I及びIは、それぞれ6.48kg及び2.16kgの負荷を使用して190℃で測定されたメルトフローレートである)。
【0239】
<従来のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)>
エチレンインターポリマー生成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブンにおいて150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。ポリマー溶液は、流速が1.0mL/分の移動相としてTCBを使用し、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いた、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を装備したPL 220高温クロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけた。BHTを250ppmの濃度で移動相に添加して、SECカラムを酸化分解から保護した。試料注入量は200μLであった。SECカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で較正された。ASTM標準試験法D6474-12(2012年12月)に記載されているように、Mark-Houwink方程式を使用して、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。SEC生データをCirrus GPCソフトウェアで処理して、モル質量平均(M、M、M)及びモル質量分布(例えば、多分散性、M/M)を生成した。ポリエチレンの分野では、SECと同等の一般的に使用される用語は、GPC、すなわち、ゲル浸透クロマトグラフィーである。
【0240】
<トリプル検出サイズ排除クロマトグラフィー(3D-SEC)>
エチレンインターポリマー生成物試料(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブンにおいて150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために、酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、示差屈折率(DRI)検出器、二重アングル光散乱検出器(15度及び90度)、並びに示差粘度計を装備したPL 220高温クロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけた。使用したSECカラムは、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)、又は4つのPL Mixed ALS若しくはBLSカラムのいずれかであった。TCBは、流速1.0mL/分の移動相であり、SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は200μLであった。SEC生データはCirrus GPCソフトウェアで処理され、絶対モル質量及び固有粘度([η])が生成された。「絶対」モル質量という用語を使用して、3D-SECで決定された絶対モル質量と従来のSECで決定されたモル質量とを区別した。3D-SECによって決定された粘度平均モル質量(M)が計算に使用され、長鎖分岐係数(LCBF)が決定された。
【0241】
<GPC-FTIR>
エチレンインターポリマー生成物(ポリマー)溶液(2~4mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)で加熱し、オーブンにおいて150℃で4時間ホイール上で回転させることにより調製した。酸化劣化に対してポリマーを安定化させるために酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に添加した。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液は、流速1.0mL/分の移動相としてTCBを使用する4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805、及びHT806)を装備したWaters GPC 150Cクロマトグラフィーユニットで140℃でクロマトグラフィーにかけ、FTIR分光計及び加熱FTIRフロースルーセルが検出システムとして加熱トランスファーラインを通じてクロマトグラフィーユニットに結合された。SECカラムを酸化分解から保護するために、BHTを250ppmの濃度で移動相に添加した。試料注入量は300μLであった。生のFTIRスペクトルをOPUS FTIRソフトウェアで処理し、OPUSに関連付けられたChemometricソフトウェア(PLS technique)を用いて、ポリマー濃度及びメチル含有量をリアルタイムで計算した。次いで、ポリマー濃度及びメチル含有量を取得し、Cirrus GPCソフトウェアでベースライン補正した。SECカラムは、狭い分布のポリスチレン標準で較正された。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink方程式を使用して、ポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に変換した。コモノマー含有量は、Paul J.DesLauriers,Polymer 43,159-170頁(2002年);に記載されているように、ポリマー濃度及びPLS技術によって予測されたメチル含有量に基づいて計算され;参照により本明細書に組み込まれる。
【0242】
GPC-FTIR法は、各高分子鎖の末端に位置するメチル基、すなわちメチル末端基を含む総メチル含有量を測定する。したがって、生のGPC-FTIRデータは、メチル末端基から寄与分を差し引くことにより補正する必要がある。より明確にするために、生のGPC-FTIRデータは、短鎖分岐(SCB)の量を過大評価し、この過大評価は分子量(M)が減少するにつれて増加する。本開示では、生のGPC-FTIRデータは、2-メチル補正を使用して補正された。所与の分子量(M)で、以下の式;N=28000/Mを使用してメチル末端基(N)の数を計算し、N(M依存)を生のGPC-FTIRデータから差し引いて、SCB/1000C(2-メチル補正)GPC-FTIRデータを作成した。
【0243】
<組成分布分岐指数(CDBI)>
開示された例及び比較例の「組成分布分岐指数」(以下CDBI)は、IR検出器(以下CTREF)を装備したCRYSTAF/TREF200+ユニットを使用して測定された。「TREF」という頭字語は、Temperature Rising Elution Fractionation(温度上昇溶離分留)を指す。CTREFは、PolymerChAR S.A.(Valencia Technology Park,Gustave Eiffel,8,Paterna,E-46980 Valencia,Spain)から供給された。CTREFは、TREFモードで操作され、これは溶出温度、Co/Ho比(コポリマー/ホモポリマー比)、及びCDBI(組成分布幅指数)、すなわち、CDBI50及びCDBI25の関数としてポリマー試料の化学組成を生成する。ポリマー試料(80~100mg)をCTREFの反応容器に入れた。反応容器に35mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、溶液を150℃に2時間加熱することによりポリマーを溶解した。次いで、溶液のアリコート(1.5mL)をステンレススチールビーズが詰められたCTREFカラムに装填した。試料を装入したカラムは、110℃で45分間安定化させた。次いで、温度を0.09℃/分の冷却速度で30℃に下げることにより、カラム内の溶液からポリマーを結晶化させた。次いで、カラムを30℃で30分間平衡化した。次いで、TCBを0.75mL/分でカラムに流しながら、結晶化したポリマーをカラムから溶出し、カラムを0.25℃/分の加熱速度で30℃から120℃にゆっくりと加熱した。生のCTREFデータは、社内で開発されたPolymer ChARソフトウェア、Excelスプレッドシート、及びCTREFソフトウェアを使用して処理された。CDBI50は、組成が中央コモノマー(α-オレフィン)組成の50%以内であるポリマーのパーセントとして定義され;CDBI50は、米国特許第5,376,439号に記載されているように、組成分布硬化及び組成分布曲線の正規化された累積積分から計算された。当業者は、CTREF溶出温度をコモノマー含有量、すなわち特定の温度で溶出するエチレン/α-オレフィンポリマー画分中のコモノマーの量に変換するために較正曲線が必要であることを理解するであろう。そのような較正曲線の作成は、先行技術、例えば、Wild,et al.,J.Polym.Sci.,Part B,Polym.Phys.,Vol.20(3),441-455頁に記載されており、参照により本明細書に完全に組み込まれる。同様の方法で計算されたCDBI25;CDBI25は、組成が中央コモノマー組成の25%であるポリマーのパーセントとして定義される。各試料の実行終了時に、CTREFカラムは30分間クリーニングされ;具体的には、CTREFカラムの温度を160℃にして、TCBを30分間カラムに流した(0.75mL/分)。CTREFデコンボリューションを実行して、以下の式:BrF(#C/1000C)=74.29-0.7598(T CTREF)(式中、T CTREFは、CTREFクロマトグラムの第1のエチレンインターポリマーのピーク溶出温度である)及びBrF(#C/1000C)=9341.8(ρ-17766(ρ)+8446.8(式中、ρは第1のエチレンインターポリマーの密度であった)を使用して第1のエチレンインターポリマーの分岐量(BrF(#C6/1000C))及び密度を決定した。第2のエチレンインターポリマーのBrF(#C/1000C)及び密度は、ブレンド規則を使用して、エチレンインターポリマー生成物の全体のBrF(#C/1000C)及び密度を考慮して決定された。第2及び第3のエチレンインターポリマーのBrF(#C/1000C)及び密度は同じであると仮定された。
【0244】
<中性子放射化(元素分析)>
中性子放射化分析(以下N.A.A.)を使用して、エチレンインターポリマー生成物中の触媒残留物を以下のように決定した。放射線バイアル(超高純度ポリエチレンで構成され、内部容量7mL)にエチレンインターポリマー生成物試料を充填し、試料重量を記録した。空気圧移送システムを使用して、試料をSLOWPOKE(商標)原子炉(Atomic Energy of Canada Limited,Ottawa,Ontario,Canada)内部に配置し、半減期の短い元素(例えば、Ti、V、Al、Mg、及びCl)の場合は30~600秒、又は半減期の長い元素(例えば、Zr、Hf、Cr、Fe、及びNi)の場合は3~5時間照射した。反応器内の平均熱中性子束は、5×1011/cm/sであった。照射後、試料を反応器から取り出してエージングし、放射能を減衰させ;半減期の短い元素は300秒間エージングされ、半減期の長い要素は数日間エージングされた。エージング後、ゲルマニウム半導体ガンマ線検出器(OrtecモデルGEM55185、Advanced Measurement Technology Inc.,Oak Ridge,TN,USA)及びマルチチャネル分析装置(OrtecモデルDSPEC Pro)を使用して、試料のガンマ線スペクトルを記録した。試料中の各元素の量は、ガンマ線スペクトルから計算され、エチレンインターポリマー生成物試料の総重量に対する百万分の一で記録された。N.A.A.システムは、Specpure標準(所望の元素の1000ppm溶液(99%を超える純度))で較正された。1mLの溶液(目的の要素)を15mm×800mmの長方形のペーパーフィルターにピペットで取り、風乾した。次いで、濾紙を1.4mLのポリエチレン照射バイアルに入れ、N.A.A.システムで分析した。標準を使用して、N.A.A.手順(カウント/μg)の感度を決定する。
【0245】
<不飽和>
エチレンインターポリマー生成物中の不飽和基、すなわち二重結合の量は、ASTM D3124-98(2011年3月公開)並びにASTM D6248-98(2012年7月公開)に従って決定された。エチレンインターポリマー生成物の試料は、a)最初に、一晩、二硫化炭素抽出に供して、分析に干渉する可能性のある添加剤を除去し;b)試料(ペレット、フィルム、又は顆粒状)をプレスして均一な厚さ(0.5mm)のプラークにし;c)プラークをFTIRで分析して、末端(ビニル)と内部不飽和(トランスビニレン)の量を定量化し;d)サンプルプラークを臭素化し、FTIRで再分析して、側鎖不飽和(ビニリデン)の量を定量化した。これらのグループのIR共鳴は、908cm-1、965cm-1、及び888cm-1にそれぞれ現れる。手順は、Beerの法則:A=abdcに基づいており、式中、aは測定される特定の不飽和の消衰係数、bはプラークの厚さ、dはプラークの密度、cは選択された不飽和である。実験的には、密度と厚さではなく、プラークの重量と面積が測定される。
【0246】
<コモノマー含有量:フーリエ変換赤外(FTIR)分光法>
エチレンインターポリマー生成物中のコモノマーの量は、FTIRによって決定され、CH#/1000C(1000個の炭素原子あたりのメチル分岐の数)の次元を有する短鎖分岐(SCB)含有量として報告された。この試験は、ASTM D6645-01(2001)に従って、圧縮成形されたポリマープラーク及びThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を用いて完了した。ポリマープラークは、ASTM D4703-16(2016年4月)に従って、圧縮成形装置(Wabash-Genesisシリーズプレス)を使用して調製した。
【0247】
<動的機械分析(DMA)>
小さな歪み振幅での振動せん断測定を実施して、N雰囲気下の190℃、10%の歪み振幅、10ポイントあたり5ポイントで0.02~126rad/sの周波数範囲で線形粘弾性関数を取得した。周波数掃引実験は、5°の円錐角、137μmの切頭、及び25mmの直径の円錐板形状を使用して、TA Instruments DHR3応力制御レオメーターで実行した。この実験では、正弦波の歪み波が適用され、線形粘弾性関数の観点から応力応答が分析された。DMA周波数スイープの結果に基づくゼロせん断速度粘度(η)は、エリスモデル(R.B.Bird et al.「Dynamics of Polymer Liquids.Volume1:Fluid Mechanics」Wiley-Interscience Publications(1987年)228頁を参照)又はCarreau-Yasudaモデル(K.Yasuda(1979年)PhD Thesis,IT Cambridgeを参照)によって予測された。本開示では、LCBF(長鎖分岐係数)は、DMAで決定されたηを使用して決定された。
【0248】
本開示では、剪断減粘の開始、τ(秒-1)は、3つのパラメータのエリスモデル(η、τ及びη)を190℃DMAデータ(複素粘度(η)vs周波数(ω))に適合することによって決定された:すなわち、(η=η/(1+(ω/τ)(n-1))。
【0249】
J/モルの次元を有するフロー活性化エネルギー(FAE)も測定された。Rheometrics RDSIIを使用して、FAEが計算されたデータを生成した。 具体的には、4つの異なる温度(160℃、175℃、190℃、及び205℃)での溶融粘度フロー曲線(10データポイントあたり7データポイントで0.05~100rad/s)が測定された。基準温度として190℃を用いて、時間-温度-重ね合わせシフトを実行してシフト係数を取得した。各サンプルのFAEは、RheoPlus及びOrchestratorソフトウェアを用いて、フロー曲線のTTS(時間-温度重ね合わせ)(Markovitz, H.,“Superposition in Rheology”,J.Polym.Sci.,Polymer Symposium Series 50,431-456頁(1975年)を参照)シフトと、各温度のゼロせん断粘度に適合するアレニウス方程式とを使用して計算された。
【0250】
<クリープ試験>
クリープ測定は、N雰囲気下で25mmの平行平板形状を使用して、190℃でAnton Paar MCR 501レオメーターによって実行された。この実験では、厚さ1.8mmの圧縮成形された円形プラークを、予熱された上部測定治具と予熱された下部測定治具との間に配置し、熱平衡状態にした。次いで、上部プレートを1.5mmの試験ギャップサイズの50μm上まで下げた。この時点で、余分な材料を切り落とし、上部治具を測定ギャップサイズまで下げた。試料の装入及びトリミングの後、10分間の待機時間が適用され、歪みのドリフトを引き起こす残留応力を回避した。クリープ実験では、せん断応力が0から20Paに瞬時に増加し、時間に対する歪みが記録された。試料は一定のせん断応力下で変形し続け、最終的には定常歪み速度に達した。クリープデータは、逆弾性率の単位を有するクリープコンプライアンス
【数11】

の観点から報告された。クリープ実験の最後の10%の時間枠でのデータポイントの線形回帰に基づいて、定常クリープ領域の
【数12】

勾配の逆数を使用して、ゼロせん断速度粘度を計算した。
【0251】
クリープ試験中に試料が劣化したかどうかを決定するために、0.1~100rad/sの周波数範囲にわたってクリープ段階の前後に小さな歪み振幅(10%)で周波数掃引実験を実行した。クリープ段階の前後の0.1rad/sでの複素粘度の大きさの差を、熱劣化の指標として使用した。クリープで決定されたゼロせん断速度の粘度を許容できると考えるには、差は5%未満でなければならない。
【0252】
クリープ実験により、DMAで決定されたηではなく、クリープで決定されたηを使用した場合、図2に示す直鎖エチレンインターポリマーの基準線も有効であることが確認された。本開示では、LCBF(長鎖分岐係数)は、DMAで決定されたηを使用して決定された。明確にするために、表1A、表2、及び表3に報告されたゼロせん断粘度(ZSV[ポアズ])データは、DMAを使用して測定された。
【0253】
<溶融強度>
センチニュートン(cN)の次元を有する加速ホールオフ(AHO)溶融強度(MS)は、バレル直径15mm、直径2mmのフラットダイ、L/D比10:1で、10,000psi(68.95MPa)の圧力トランスデューサーを備えたRosand RH-7キャピラリーレオメーター(Malvern Instruments Ltd、ウスターシャー、英国から入手可能)で測定された。ポリマー溶融物は、一定の速度(190℃で5.33mm/分の一定のピストン速度)でキャピラリーダイから押し出され、押し出されたポリマーフィラメントが形成された。次いで、ポリマーフィラメントを一組のローラーに通し、破断するまで、増加するホールオフ速度(haul-off speed)で引き伸ばした。より具体的には、ポリマーフィラメントが破断するまで、初期のポリマーフィラメント速度を0m/minから、50~80m/分の一定の加速度で、増加させた。この実験中、ローラーへの力は常に測定され、最初は力が急速に上昇し、その後フィラメントが破断する前にプラトーになる。力対時間曲線のプラトー領域における力の最大値は、センチニュートン(cN)で測定されたポリマーの溶融強度として定義された。
【0254】
<Vicat軟化点(温度)>
エチレンインターポリマー生成物のVicat軟化点は、ASTM D1525-07(2009年12月公開)に従って決定した。この試験は、試料がASTM D1525-07試験条件、すなわち加熱速度B(120±10℃/時及び938グラムの負荷(10±0.2Nの負荷))にさらされたときに、指定された針の貫通が発生する温度を決定する。
【0255】
<熱変形温度>
エチレンインターポリマー生成物の熱変形温度は、ASTM D648-07(2007年3月1日承認)を使用して決定した。熱変形温度は、成形されたエチレンインターポリマープラーク(厚さ3.175mm(0.125インチ))の中心に0.455MPa(66PSI)の応力を加えた変形ツールが、プラークが一定の速度で媒体内で加熱されるときに、0.25mm(0.010インチ)のたわみを引き起こす温度である。
【0256】
<曲げ特性>
曲げ特性、すなわち、曲げ割線及び接線の弾性率と曲げ強度は、ASTM D790-10(2010年4月に公開)を使用して決定した。
【0257】
<フィルム落槍衝撃>
フィルム落槍衝撃強度(film dart impact strength)は、ASTM D1709-09方法A(2009年5月1日)を使用して決定した。本開示では、落槍衝撃試験は、直径1.5インチ(38mm)の半球形ヘッド落槍を使用した。
【0258】
<フィルム穿刺>
フィルム「穿刺(puncture)」、フィルムを破壊するのに必要なエネルギー(J/mm)は、ASTM D5748-95(最初は1995年に採用され、2012年に再承認)を使用して決定した。
【0259】
<フィルムLub-Tef穿刺>
「Lub-Tef穿刺」試験は、特別に設計されたTeflonプローブを使用して20インチ/分の穿刺速度で実行された。この試験の目的は、単層エチレンインターポリマー生成物フィルムの穿刺耐性を決定することであった。MTS Insight/Instron Model 5 SLユニバーサル試験マシン(MTS Testworks 4ソフトウェアを搭載)が使用され;MTS 1000 N又は5000 Nロードセルが使用された。フィルム試料は、試験前に少なくとも24時間ASTMコンディショニングされた。インフレーションフィルムのロールが与えられた場合、4.25インチの試料が横方向にカットされ、フィルムロールのレイフラットの次元の長さを有し、フィルムの外側にラベルが付けられる(プローブはフィルムの外側に影響する)。Teflonコーティングされた穿刺プローブを取り付け、試験速度を20インチ/分に設定する。フィルム試料をクランプに取り付け、1cmの潤滑油(lube)をフィルムの中心に付着させる。クロスヘッドが開始試験位置にあるときに、ロードセルフレームのリミットスイッチをクロスヘッドの上下10インチに設定する。フィルム試料の厚さを測定して記録し、穿刺試験を開始(スタート)する。次の試験の前に、プローブヘッドを完全に清掃する。少なくとも5つの一貫した穿刺刺果が得られるまで、すなわち、標準偏差が10%未満になるまで、繰り返す。使用した潤滑剤は、Muko Lubricating Jelly;水溶性パーソナル潤滑剤(Cardinal Health Inc.,1000 Tesma Way,Vaughan,ON L4K 5R8 Canadaから入手可能)であった。プローブヘッドは、1.4インチの円錐形の先端が平らな機械加工されたTeflonであった。
【0260】
<フィルム引張特性>
引張破断強度(MPa)、破断時伸び(%)、引張降伏強度(MPa)、及び引張降伏時伸び(%)は、ASTM D882-12(2012年8月1日)を使用して決定した。引張特性は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方において測定された。
【0261】
<フィルム割線係数>
割線係数は、フィルム剛性の尺度である。割線係数は、ASTM D882に従って決定した。割線係数は、応力-歪み曲線、すなわち、割線上の2つの点間に引かれた線の傾きである。応力-歪み曲線上の第1の点は、起点、すなわち、起点に対応する点(ゼロパーセント歪み及びゼロ応力の点)であり、応力-歪み曲線上の第2の点は、1%の歪みに対応する点であるが、これらの2点を所与として1%割線係数が計算され、単位面積当たりの力(MPa)に関して表現される。2%割線係数も同様に計算される。ポリエチレンの応力-歪み関係はフックの法則に従わない、すなわち、ポリエチレンの応力-歪み挙動はその粘弾性質により非線形であるため、この方法を使用してフィルム弾性率を計算する。割線係数は、200lbfの負荷セルを備えた従来のInstron引張試験機を使用して測定した。試験用に単層フィルム試料片を長さ14インチ、幅1インチ、及び厚み1ミルの寸法に切断し、試料の縁部に傷又は切込みがないことを確認する。フィルム試料を縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方に切断し、試験した。ASTM条件を使用して、試料を条件付けした。携帯型マイクロメータで各フィルムの厚みを正確に測定し、試料名と共にInstronソフトウェアに入力した。10インチのグリップ間隔でInstronに試料を装着し、1インチ/分の速度で引っ張り、応力-歪み曲線を生成した。Instronソフトウェアを使用して、1%及び2%の割線係数を計算した。
【0262】
<フィルムエルメンドルフ引裂度>
フィルム引裂性能は、ASTM D1922-09(2009年5月1日)により決定され、引裂に対する同様の用語は「エルメンドルフ引裂度」(“Elmendorf tear”)である。フィルムの引裂度は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)の両方において測定された。
【0263】
<フィルム穿刺-伝播引裂>
インフレーションフィルムの穿刺-伝播引裂抵抗は、ASTM D2582-09(2009年5月1日)を使用して決定した。この試験は、インフレーションフィルムの引裂(snagging)に対する抵抗、より正確には、引裂をもたらす動的穿刺及びその穿刺の伝播に対する抵抗を測定する。穿刺伝播引裂抵抗は、インフレーションフィルムの縦方向(MD)及び横断方向(TD)において測定された。
【0264】
<フィルム光学>
フィルム光学特性は、以下のように測定された:ヘイズ、ASTM D1003-13(2013年11月15日)、及び;光沢、ASTM D2457-13(2013年4月1日)。
【0265】
<フィルムDynatup衝撃>
Illinois Test Works Inc.,Santa Barbara,CA,USA;から購入したDynatup衝撃試験機と呼ばれる機械で、計装衝撃試験を実施し;当業者はこの試験を頻繁にDynatup衝撃試験と呼んでいる。以下の手順に従って試験が完了した。試験試料は、インフレーションフィルムのロールから幅5インチ(12.7cm)及び長さ6インチ(15.2cm)の細片を切り取ることにより調製し;フィルムの厚さは1ミルであった。試験の前に、各試料の厚さをハンドヘルドマイクロメータで正確に測定し、記録した。ASTM条件を用いた。試験試料は、空気圧クランプを使用して9250 Dynatup衝撃ドロップタワー/試験機に取り付けられた。直径0.5インチ(1.3cm)のDynatupタップ#1を、付属のアレンボルトを使用してクロスヘッドに装着した。試験の前に、フィルム衝撃速度が10.9±0.1ft/sになるような高さまでクロスヘッドを上げる。1)クロスヘッドのスローダウン又はタップのスローダウンが、試験の開始からピーク負荷の点まで20%以下であり、2)タップが試験片を貫通しなければならないように、重量をクロスヘッドに追加した。タップがフィルムを貫通しない場合、打撃速度を上げるためにクロスヘッドに追加の重量が追加される。各試験中に、Dynatupインパルスデータ取得システムソフトウェアは、実験データ(負荷(lb)対時間)を収集した。少なくとも5つのフィルム試料が試験され、ソフトウェアは、以下の平均値を報告する:「Dynatup 最大(Max)負荷(lb)」、衝撃試験中に測定された最大負荷;「Dynatup 総エネルギー(ft・lb)」、試験開始から試験終了までの負荷曲線下の領域(試料の穿刺)、及び;「最大負荷時のDynatup総エネルギー(ft・lb)」、試験開始から最大負荷点までの負荷曲線下の領域。
【0266】
<コールドシール強度>
3.5ミル(88.9μm)の9層フィルムのコールドシール強度は、従来のInstron引張試験機を使用して測定された。この試験では、2つの多層フィルムを一定の温度範囲で(層1から層1に)シールし、次いで、そのシールを少なくとも73°F(23℃)で少なくとも24時間、引張試験の前にエージングした。コールドシール強度試験では、次のパラメータを使用した:フィルム試験片の幅は1インチ(25.4mm)であった。フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、0.27N/mm;温度範囲は90℃~170℃で温度増分は5又は10℃。エージングした後、シール強度を、次の引張パラメータを使用して決定した:引張(クロスヘッド)速度、12インチ/分(30.48cm/分);グリップ間隔0.39インチ(0.99cm);シールするための引張方向、90°;及び各多層フィルムの4~8個の試料を各温度増分で試験して、平均値を計算した。コールドシール試験では、シール開始温度(SIT)を、℃で記録した;SITは、シール強度が8.8N/inに達したときの温度であった。
【0267】
<フィルムホットタック強度>
3.5ミル(88.9μm)の9層フィルムのホットタック強度は、J&Bホットタック試験機(Jbi Hot Tack,Geloeslaan 30,B-3630 Maamechelen,Belgiumから市販されている)を使用して測定した。ホットタック試験において、ポリオレフィン同士のシールの強度は、2つのフィルムをヒートシールした直後に、すなわち、ポリオレフィンが半溶融状態であるときに、測定される。この試験は、自動包装機、例えば、垂直又は水平型の、充填及び密封装置でのヒートシールをシミュレートする。J&Bホットタック試験では、以下のパラメータが使用された:フィルム試験片の幅、1インチ(25.4mm);フィルムシール時間、0.5秒;フィルムシール圧力、0.27N/mm;シール時間、0.5秒、冷却時間、0.5秒;フィルム剥離速度、7.9インチ/秒(200mm/秒);温度範囲、90℃~170℃;5又は10℃の温度増分;及び各多層フィルムの4~8個の試料を各温度増分で試験して、平均値を計算した。本開示において、℃で測定されたホットタック開始(HTO)温度は、ホットタック力が1Nに達した温度であった。さらに、最大ホットタック力(最大HTF)が記録された、すなわち、ホットタック実験中に記録された最大ホットタック力(N)であり、最大HTFが観測された温度(℃)も同様であった。
【0268】
<フィルムヘキサン抽出物>
ヘキサン抽出物は、連邦規則21 CFR§177.1520Para(c)3.1及び3.2に従って決定した;フィルム中のヘキサン抽出可能物質の量は、重量測定により決定される。精巧な、2.5グラムの3.5ミル(89μm)単層フィルムをステンレス鋼バスケットに入れ、フィルム及びバスケットを軽量した(w)。バスケットに入れたままで、フィルムを、49.5℃のn-ヘキサンで2時間抽出し;真空オーブン内で80℃で2時間乾燥し;デシケーターで30分間冷却し;軽量した(w)。重量損失パーセントは、ヘキサン抽出物パーセント(wC6):wC6=100×(w-w)/wである。
【実施例
【0269】
<パイロットプラント重合>
以下の例は、本開示の選択された実施形態を例示する目的で提示されるものであり、以下に提示される例は提示される特許請求の範囲を限定しないことが理解される。エチレンインターポリマー生成物の例は、以下に説明するように、連続溶液プロセスパイロットプラントで調製した。
【0270】
例1~3の溶液プロセス条件を、表5A及び表5Bに要約する。直列に構成された2つのCSTR反応器(R1及びR2)を使用して、例1及び例2を製造した。1つのCSTR反応器を使用して、例3(R2)を製造した。R1圧力は14MPaから18MPaまで変化した;R1からR2への連続的な流れを促進するために、より低い圧力でR2を操作した。CSTRを撹拌して、反応器内容物が十分に混合された状態にした。プロセスは、新鮮なプロセス溶媒、エチレン、1-オクテン、及び水素を反応器に供給することにより連続的に操作した。メチルペンタンをプロセス溶媒(メチルペンタン異性体の市販ブレンド)として使用した。第1のCSTR反応器(R1)の容量は3.2ガロン(12L)、第2のCSTR反応器(R2)の容量は5.8ガロン(22L)、管状反応器(R3)の容量は0.58ガロン(2.2L)であった。
【0271】
以下の成分を使用して、架橋メタロセン触媒配合物を調製した:成分A、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフオレニル)ハフニウムジメチル、[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfMe](略称CpF-2);成分M、メチルアルミノキサン(MMAO-07);成分B、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、及び;成分P、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール。以下の触媒成分溶媒を使用した:成分M及び成分P用のメチルペンタン、並びに;成分A及び成分B用のキシレン。
【0272】
比較エチレンインターポリマー生成物は、次の成分を含む非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して製造した:成分C、シクロペンタジエニルトリ(ターシャリーブチル)ホスフィンイミンチタンジクロライド[Cp[(t-Bu)PN]TiCl](略称PIC-1);成分M、メチルアルミノキサン(MMAO-07);成分B、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、及び;成分P、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール。以下の触媒成分溶媒を使用した:成分M及び成分P用のメチルペンタン、並びに;成分A及び成分B用のキシレン。
【0273】
例1の場合、表5Aは、反応器1(R1)内のCpF-2の量が0.85ppm、すなわち「R1触媒(ppm)」であったことを示している。架橋メタロセン触媒配合物の効率は、触媒成分のモル比とR1触媒入口温度とを調整することにより最適化された。表5Aに示すように、最適化されたモル比は、([M]/[A])、すなわち[(MMAO-07)/(CpF-2)];([P]/]M])、すなわち[(2,6-di-tert-ブチル-4-エチルフェノール)/(MMAO-07)]、及び;([B]/[A])、すなわち[(トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)/(CpF-2)]であった。より明確にするために、例1(表5A)では、R1のモル比は、R1([M]/[A])=50;R1([P]/[M])=0.40、及び;R1([B]/[A])=1.2であった。表5Bに示すように、例1の場合、R1触媒入口温度は21℃であった。例1及び例2では、第2の架橋メタロセン触媒配合物を第2の反応器(R2)に注入した。表5A及び表5Bは、追加のプロセスパラメータ、例えば、反応器間のエチレンと1-オクテンとの分割、反応器温度、エチレン転化率などを開示している。
【0274】
反応器内の溶媒の平均滞留時間は、各反応器を流れる溶媒の量及び溶液プロセスを流れる溶媒の総量に主に影響され、以下は、表5A及び表5BCに示す例及び比較例の代表値又は典型値である:平均反応器滞留時間は、R1で61秒、R2で73秒、0.58ガロン(2.2L)のR3体積で7.3秒であった。
【0275】
連続溶液重合プロセスでの重合は、管状反応器(R3)を出る第3の出口流に触媒失活剤を添加することにより停止した。使用した触媒失活剤は、P&G Chemicals,Cincinnati,OH,U.S.Aから市販されているオクタン酸(カプリル酸)であった。触媒失活剤は、添加される脂肪酸のモルが重合プロセスに添加される触媒金属及びアルミニウムの総モル量の50%になるように、添加された。
【0276】
2段階脱揮プロセスを用いて、プロセス溶媒からエチレンインターポリマー生成物を回収し、すなわち、2つの蒸気/液体分離器を使用して、ギアポンプ/ペレタイザーの組合せに第2のボトム流(第2のV/L分離器から)を通過させた。
【0277】
ペレット化の前に、エチレンインターポリマー生成物の重量に基づいて500ppmのIrganox 1076(一次酸化防止剤)及び500ppmのIrgafos 168(二次酸化防止剤)を添加することにより、エチレンインターポリマー生成物を安定化した。酸化防止剤をプロセス溶媒に溶解し、第1のV/L分離器と第2のV/L分離器との間に添加した。
【0278】
エチレンインターポリマー生成物の例1~3を特徴付け、結果を表6Aに開示する。表6Aは、例1~3について上記したように、架橋メタロセン触媒配合物及び反応器構成を使用する同じ溶液パイロットプラントで調製された例4~6も開示する。表6Aにおいて、「FAE(J/モル)」という用語は、実験の項に記載したように決定された、例1~6のフロー活性化エネルギーであり;「MS(cN)」は溶解強度であり、「τ(秒-1)」は、剪断減粘のレオロジー開始を開示している。
【0279】
表6Bは、比較エチレンインターポリマー生成物を示す。比較1aは、SURPASS FPs117-Cであり、比較2aは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物を使用し、第2の反応器で非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して、溶液パイロットプラントで生成し、比較3aは、第1の反応器で架橋メタロセン触媒配合物を使用し、第2の反応器でインライン式チーグラー・ナッタ触媒配合物を使用して、溶液パイロットプラントで生成し、比較4aは、SURPASS VPsK914であり、比較5a、はSCLAIR FP120であり、比較14~16は、反応器1及び2で非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して、溶液パイロットプラントで生成した。
【0280】
表6Cは、追加の比較エチレンインターポリマー生成物を示している。比較例Q1~Q4はQueo製品で、具体的にはそれぞれQueo 0201、Quoo 8201、Quoo 0203及びQueo 1001であった。残りの比較試料については、比較例R1は、Affinity PL1880;比較例S1は、Enable 20-05HH;比較例T1は、Exceed 1018CA;比較例U1は、Elite AT 6202;比較例V1は、Elite 5401Gであった。
【0281】
例えば、生産速度を上げるために、連続溶液重合プロセスを改善する必要がある。ここで、生産速度は、1時間あたりに生産されるエチレンインターポリマー生成物のキログラムである。表7A及び表7Bは、約1.0dg/分のメルトインデックス(I)及び約0.9175g/ccの密度を有する生成物を生産した直列の二重反応器溶液重合プロセス条件を開示する。改善された連続溶液重合プロセスを、表7Aの例6に表す。例6は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を反応器1及び反応器2に注入することにより、溶液パイロットプラント(上記)で製造されたエチレンインターポリマー生成物であった。
【0282】
比較連続溶液重合プロセスを、表7Aの比較例8に表す。比較例8は、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を反応器1及び反応器2に注入することにより、同じ溶液パイロットプラントで製造された比較エチレンインターポリマー生成物であった。改善されたプロセスは、93.0kg/時の生産速度PRを有していた;対照的に、比較プロセスは81.3kg/時の比較生産速度PRを有していた。改善されたプロセスは、14.5%の増加した生産速度PRを有した。すなわち、
PR = 100×(PR-PR)/PR =100×((93.0-81.3)/81.3)=14.5%。
【0283】
表8A及び表8Bは、約0.8dg/分のフラクショナルメルトインデックス(I)及び約0.9145g/ccの密度を有する生成物を生成した直列の二重反応器溶液重合プロセス条件を開示する。例5は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成した;対照的に、比較例9は、非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して合成した。例5の場合、改善された連続溶液重合プロセスは、93.9kg/時の生産速度PRを有していた;対照的に、比較プロセスでは、79.4kg/時の比較生産速度PRを有していた。改善されたプロセスでは、18.3%の増加した生産速度PRを有した。
【0284】
例えば、特定の反応器温度で生成されるエチレンインターポリマー生成物の分子量を増加させるために、連続溶液重合プロセスを改善する必要がある。さらに、溶液重合では、α-オレフィンを成長する高分子鎖に効率的に組み込む触媒配合物が必要である。別の言い方をすれば、反応器内でより低い(α-オレフィン/エチレン)比で、特定の密度を有するエチレンインターポリマー生成物を生成する触媒配合物が必要である。
【0285】
表9は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用して製造した例10と、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を使用してシミュレーションした比較例10sの溶液重合条件を比較している。例10は、1つのCSTR反応器を使用する連続溶液プロセスパイロットプラント(上記)で製造した。例10と比較して、比較例10sは、同じ反応器構成、同じ反応器温度(165℃)、同じ水素濃度(4ppm)、同じエチレン転化率(90%(QT))を使用してコンピューターシミュレーションし、[α-オレフィン/エチレン]比を調整して、例10と同じ分岐頻度(約16 C/1000C)を有するエチレンインターポリマー生成物を生産した。表9から、例10は、比較例10sと比べて、改善された溶液重合プロセスを特徴付けていること、すなわち、改善された「%減少された[α-オレフィン/エチレン]」比の結果を示していることは明らかである。詳細に説明すると、例10の[α-オレフィン/エチレン]重量比は、比較例10sの[α-オレフィン/エチレン]重量比と比較して、83.8%低かった(改善された)、すなわち:
【数13】

式中、上付き文字は触媒成分A(式(I))を表し、上付き文字は触媒成分C(式(II))を表す。さらに、架橋メタロセン触媒配合物により、「Mの改善割合(%)」が実現した。詳述すると、例10の重量平均分子量(M )は、比較例10sの重量平均分子量(M C)と比較して、73.6%高かった(改善された)、すなわち:
の改善割合(%)= 100×(M -M )/ M
の改善割合(%)= 100×(82720-47655)/47655=73.6%
【0286】
同様に、表9は、架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用して製造した例11の溶液重合条件を、非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を使用してシミュレーションした比較例10sと比較している。例11と比較例11sは、同じ反応器構成、同じ反応器温度(165℃)、同じ水素濃度(6ppm)、同じエチレン転化率(85%(Q))、及びそれぞれの[α-オレフィン /エチレン]比を調整して、ほぼ同じ分岐頻度(約21.5 C/1000C)を有するエチレンインターポリマー生成物を生産した。例11の[α-オレフィン/エチレン]重量比は、比較例11sの[α-オレフィン/エチレン]と比べて、72.7%低かった(改善された)。さらに、例11の重量平均分子量(M )は、表9に示すように、比較例11sの重量平均分子量(M )と比べて、199%高かった(改善された)。
【0287】
表10は、表9と比べて、より高い反応温度及びより低い反応器温度での溶液重合プロセスデータをまとめたものである。例えば、190℃の反応器温度で、例12をシミュレーションの比較例12sと比較することができる。例12の[α-オレフィン/エチレン]重量比は、比較例12sの[α-オレフィン/エチレン]重量比と比べて90.8%低かった(改善された)。さらに、例12の重量平均分子量(M )は、表10に示すように、比較例12sの重量平均分子量(MwC)と比べて、70.4%高かった(改善された)。
【0288】
表10では、例13は、シミュレーションによる比較13sと比較することができ、両方とも143℃の反応器温度である。例13の[α-オレフィン/エチレン]重量比は、比較例13sの[α-オレフィン/エチレン]と比べて88.9%低く(改善された)、例13の重量平均分子量(M )は、比較例13sの重量平均分子量(M )と比べて182%高かった(改善された)。
【0289】
表11A及び表11Bは、例14及び比較例14の二重反応器溶液重合条件を比較する。表11Aは反応器1のプロセス条件を開示し、表11Bは反応器2のプロセス条件を開示している。例14は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成された第1のエチレンインターポリマーと非架橋シングルサイト触媒を使用して合成された第2のエチレンインターポリマーとを含む二重反応器エチレンインターポリマー生成物であった。比較例14は、第1及び第2のエチレンインターポリマーの両方が非架橋シングルサイト触媒を使用して合成された比較二重反応器エチレンインターポリマー生成物であった。表11Aは、反応器温度(118.7℃±0.7%)及びエチレン転化率(80.0%)が例14及び比較例14で同じであったことを示しているが、架橋メタロセン触媒配合物の場合、第1の反応器で、非架橋シングルサイト触媒配合物と比較して、87.3%低い(α-オレフィン/エチレン)重量分率を使用した(すなわち、前者の例14では、0.35重量分率であったのに対し、後者の比較例14では、2.76重量分率)。さらに、反応器1で使用される水素の量は、架橋メタロセン触媒配合物を使用した場合に、非架橋シングルサイト触媒配合物と比較して3倍多かった。通常の経験者であれば、水素がオレフィン重合でM(又はメルトインデックス)を制御するために使用されるという事実を認識しており、すなわち、水素は、成長する高分子を停止させ、エチレンインターポリマーの分子量を低下させるのに非常に効果的である。
【0290】
表12は、SECデコンボリューションの結果をまとめたものであり、すなわち、二重反応器の例14及び比較例14は、第1及び第2のエチレンインターポリマーにデコンボリューションされた。表12は、例14と比較例14の第1のエチレンインターポリマーの重量平均分子量(M)が類似しているをことを示しており、前者の例14が249902Mで、後者の比較例14が275490Mである;Mにおけるこの類似性は、前者の作製に3ppmの水素が使用され、後者の作製には水素が使用されなかったとしても、結果として生じた。換言すると、表12のデータから、一定の重合温度、エチレン転化率、及び水素濃度で、架橋メタロセン触媒配合物は、非架橋シングルサイト触媒配合物と比較して、より高分子量エチレンインターポリマーを生成したことが明らかであった。
【0291】
表12はまた、非架橋シングルサイト触媒配合物、すなわち22.9BrF(C/1000C)と比較して、より多くのα-オレフィンを第1のエチレンインターポリマーに組み込んだ架橋メタロセン触媒配合物、すなわち27.8BrF(C/1000C)である例14も示している;表11Aに示すように、前者(比較例)を生成するために後者(例14)よりもはるかに少ないα-オレフィンを使用した場合でも、この分岐頻度の違いが生じたことに留意されたい。換言すると、架橋メタロセン触媒配合物は、非架橋シングルサイト触媒配合物と比較して、α-オレフィンを成長高分子(propagating macromolecules)に組み込むのにはるかに効率的である。
【0292】
図5は、例14及び比較例14のSECにより決定された分子量分布、並びにGPC-FTIRにより決定された分岐頻度を比較している(いずれも分子量の関数として)。例14の分岐分布曲線(BrF)は、第1のエチレンインターポリマー(27.8 C/1000C(0.8965g/ccの密度の第1のエチレンインターポリマー))と第2のエチレンインターポリマー(0.924 C/1000C(0.9575g/cc))のα-オレフィンの含有量の大きな差を示している。インターポリマー密度のこの大きな差、すなわちΔρ=0.0610g/cc(ρ-ρ)、(式中、ρは第2のエチレンインターポリマーの密度、ρは第1のエチレンインターポリマーの密度)は、例14が並列反応器モードで作製されたという事実、並びにに反応器1及び反応器2で使用さた触媒が異なるという事実を反映している。Δρがより高いことは、いくつかの最終用途のアプリケーションで有利であり、1つの非限定的な例としては、フィルムの靭性を維持又は改善しながらフィルムの剛性を高めることが挙げられる。対照的に、表12に示すように、比較14のΔρは1桁低く、0.0062g/ccであった。
【0293】
図6は、例4の実験的に測定されたSECクロマトグラムを3つの成分、すなわち、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び第3のエチレンインターポリマーにデコンボリューションしたものである。例4は、表13で特徴付けられている。例4は、第3の反応器の容積が2.2リットルである架橋メタロセン触媒配合物(CpF-2)を使用する溶液パイロットプラント(上記)で作製されたものである。より明確には、製造されたエチレンインターポリマー生成物である例4は、以下の総合値を有した:0.87dg/分のI、0.9112g/ccの密度及びSECにより測定される105449M(7.53M/M)。図6と表13に示すように、例4には以下が含まれている:230042のMと16.3 C/1000Cとを有する37重量%の第1のエチレンインターポリマー、22418のMと21.3 C/1000Cとを有する57重量%の第2のエチレンインターポリマー、22418のMと21.3 C/1000Cとを有する6重量%の第3のエチレンインターポリマー(分岐内容は、GPC-FTIRデータをデコンボリューションすることによって決定した)。
第1、第2、及び第3のエチレンインターポリマーの分子量分布は、Flory分布、すなわM/M=2.0によって特徴付けられた。表13は、架橋メタロセン触媒配合物を使用する溶液パイロットプラントでも作製された2つの追加試料、例5及び例6を開示している。表13に示すように、例5及び例6のSEC及びGPC-FTIR曲線もまた、第1、第2及び第3のエチレンインターポリマーにデコンボリューションされた。
【0294】
<連続重合ユニット(CPU)>
小規模連続溶液重合は、連続重合ユニット(Continuous Polymerization Unit:以下、CPU)で行った。これらの実験では、1つの反応器で、架橋メタロセン触媒配合物(成分A、CpF-1を含有する)と非架橋シングルサイト触媒配合物(成分C、PIC-1を含有する)の性能を直接する。
【0295】
CPUの単一の反応器は、71.5mLの連続撹拌型CSTRであり、重合は160℃で行われ、反応器の圧力は約10.5MPaであった。CPUには、下流の重合反応器より5℃低い温度で操作する20mLの上流混合チャンバーが含まれていた。上流の混合チャンバーを使用して、エチレン、任意のα-オレフィン、及びプロセス溶媒の一部を予熱した。触媒供給物と残りの溶媒を、連続プロセスとして重合反応器に直接添加した。重合反応器への総流量は27mL/分で一定に保った。架橋メタロセン触媒配合物の成分(成分A、成分M、成分B、及び成分P)を重合反応器に直接添加して、連続重合プロセスを維持した。より具体的には:成分Aと成分Bとをキシレン中で予混合し、反応器に直接注入し;成分Mと任意の成分Pとをプロセス溶媒で予混合し、反応器に直接注入した。比較実験では、非架橋シングルサイト触媒配合物の成分(成分C、成分M、成分B、及び成分P)を重合反応器に直接添加して、連続重合プロセスを維持した。より具体的には:成分Cと成分Bとをキシレン中で予混合し、反応器に直接注入し;成分Mと任意の成分Pとをプロセス溶媒で予混合し、反応器に直接注入した。例では、用いた成分AはCpF-1[(2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfCl]であった。比較では、用いた成分CはPIC-1([Cp[(t-Bu)PN]TiCl])であった。成分M、B、及びPは、それぞれメチルアルミノキサン(MMAO-07)、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、並びに2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノールであった。注入時に、触媒は、エチレン及び任意のα-オレフィンコモノマーの存在下で、その場で(in situ)(重合反応器内で)活性化された。([M]/[A])又は([M]/[C])のモル比が約80になるように成分Mを添加し;([M]/[A])又は([M]/[C])のモル比が約1.0になるように成分Bを添加し;([P]/[M])のモル比が約0.4になるように、成分Pを添加した。
【0296】
エチレンを較正された熱質量流量計によって反応器に供給し、重合反応器の前に反応溶媒に溶解した。任意のα-オレフィン(コモノマー、すなわち1-オクテン)を重合反応器に入る前にエチレンと予混合し、(1-オクテン)/(エチレン)重量比は0~約6.0で変化した。反応器内のエチレン濃度が約7~約15重量%で変化するように、エチレンを反応器に供給した;重量%は、エチレンの重量を反応器の内容物の総重量で割ったものである。内部反応温度を重合媒体中の熱電対によって監視し、目標設定点で±0.5℃に制御した。溶媒、モノマー、及びコモノマーの流れはすべて、反応器に入る前にCPUシステムによって精製した。
【0297】
エチレン転化率、QCPU、すなわち、転化されたエチレンの割合は、オンラインガスクロマトグラフ(GC)によって決定され、[L/(mmol・分)]の次元を有する重合活性K CPUは、
【数14】

のように定義され、式中、HUTCPUは、次元が分(分)の重合反応器内の逆空間速度(ホールドアップ時間)であり;[触媒]は、mmol/Lのチタン又はハフニウムで表される重合反応器内の触媒の濃度であった。CPU実験では、QCPUは約90%で一定に保たれ、HUTCPUは約2.5分で一定に保たれた。反応器の下流で圧力を大気圧まで下げた。エチレンインターポリマー生成物は、プロセス溶媒中のスラリーとして回収され、その後、特性評価の前に真空オーブンでの蒸発により乾燥させた。
【0298】
CPU条件を、メルトインデックスと密度がほぼ一定のエチレンインターポリマー生成物を合成するように調整し;より具体的には、架橋メタロセン触媒配合物を用いてエチレンインターポリマー生成物を合成し、非架橋シングルサイト触媒配合物を用いて比較例エチレンインターポリマー生成物を合成した。表14の各行に示すように、架橋メタロセン触媒配合物で生成されたエチレンインターポリマー生成物のM と非架橋シングルサイト触媒配合物で生成された比較例エチレンインターポリマー生成物のM とを比較すると、「Mの改善割合(%)」は少なくとも10%であった。
【0299】
表15に示すように、エチレンインターポリマー生成物が目標密度で生成されるように、反応器の(α-オレフィン/エチレン)重量比を調整する必要があった。より明確にするため、架橋メタロセン触媒配合物を使用して、目標密度でエチレンインターポリマー生成物を合成するために、(a-オレフィン/エチレン)が必要であり、非架橋シングルサイト触媒配合物を使用して、目標密度でエチレンインターポリマー生成物を合成するために、(a-オレフィン/エチレン)が必要であった。表15の各行に示されているように、架橋メタロセン触媒配合物により、制御された非架橋シングルサイト触媒配合物と比較して、改善された(減少された)(α-オレフィン/エチレン)重量比での連続溶液重合プロセスの操作が可能になった。すなわち、減少された[α-オレフィン/エチレン]重量比は、少なくとも-70%であった。
【0300】
エチレンインターポリマー生成物の例20も、上記のCPUで製造した。例20は、CpF-2((2,7-tBuFlu)PhC(Cp)HfMe)を含有する架橋メタロセン触媒配合物の能力を実証し、本質的にエラストマーであった低密度生成物を生成する能力を実証している。すなわち、例20は以下のように特徴付けられた:0.8567g/cc、72.9 BrF C/1000C、14.6モルパーセントの1-オクテン、40.6重量パーセントの1-オクテン。
【0301】
<単層フィルム>
エチレンインターポリマー生成物の例1及び例2並びに比較例15及び比較例16の単層インフレーションフィルム試料を、表16に開示されているように調製した。例1と例2は先に説明のとおりである;比較例15及び比較例16は、R1及びR2(直列モード)に非架橋シングルサイト触媒配合物(PIC-1)を注入することによって生成したパイロットプラント試料である。単層インフレーションフィルムは、グロスター押出機、2.5インチ(6.45cm)バレル直径、24/1 L/D(バレル長/バレル直径)で生成した(装備:バリアスクリュー;低圧4インチ(10.16cm)のダイ、35ミル(0.089cm)のダイギャップ、及びウエスタンポリマーエアリング)。押出機には次のスクリーンパックが装備されていた:20/40/60/80/20メッシュ。約1.0ミル(25.4μm)の厚さのインフレーションフィルムを、押出機のスクリュー速度を調整することにより、約100lb/時(45.4kg/時)の一定の出力速度で製造した。フロストライン高さ(FLH)は、冷却空気を調整することにより、16~18インチ(40.64~45.72cm)に維持した。追加のインフレーションフィルム処理条件を表16に示す。
【0302】
表16から、比較例15及び比較例16に比べて、例1及び例2のインフレーションフィルム押出機の圧力が、-16%から-29%低かったことは明らかである。インフレーションフィルムラインの出力(lb/時)は押出機の圧力によって制限される可能性があるため、インフレーションフィルム押出機の圧力が低いことは利点であった。さらに、例1及び例2の押出機の電流(amps)アンプは、比較例15及び比較例16に比べて、-10%から-26%低かった。本明細書に開示されるエチレンインターポリマー生成物が使用される場合、インフレーションフィルムラインの電力消費を低減できるので、インフレーションフィルム押出機の電流がより低いことが利点であった。
【0303】
単層フィルムの物理的性質を、例1及び例2並びに比較例15及び比較例16の選択された物理的性質と共に、表17に開示する。高い溶融強度を有するエチレンインターポリマー生成物は、インフレーションフィルム変換プロセスに有利であった;すなわち、インフレーションフィルムの出力は、インフレーションフィルムの気泡の不安定性によって制限されることが多く、樹脂の溶融強度が増加すると、バブルの安定性が向上する。例1及び例2の溶融強度(センチニュートン(cN)で測定)は、比較例15及び比較例16に比べて、25%から65%高かった。例1及び例2のフロー活性化エネルギー(kJ/モル)は、比較例15及び比較例16に比べて、42%から66%高かった。そのような樹脂は、押出温度の変化に敏感であるので、高いフロー活性化エネルギーが望ましい。例えば、より高いフロー活性化エネルギーの場合、樹脂の粘度は、押出温度の上昇とともに急速に減少するからである(押出機圧力及び電流が減少する)。
【0304】
望ましいフィルムの物理的特性には、フィルムの光学特性、例えば、低フィルムヘイズと高フィルムグロス45°が含まれる。消費者がポリエチレンフィルムに包装されたアイテムを購入する場合、光学特性は重要である。詳細に説明すると、より良い接触及び/又はシースルーの透明度を持つ包装は、内部フィルムのヘイズが低く、フィルムの光沢又は輝きが高くなる。フィルムの光学特性は、製品品質に対する消費者の認識と相関している。表17から、例1及び例2のヘイズは、比較例15及び比較例16に比べて、-40%から-45%低い(改善された)こと、及び、例1及び例2のフィルム光沢45°は、比較例15及び比較例16に比べて、16%から21%高かった(改善された)ことが明らかであった。追加のインフレーションフィルムの物理的特性を表17にまとめる。
【0305】
<多層フィルム>
多層フィルムは、Brampton Engineering(Brampton ON、Canada)から市販されている9層ラインで作製した。作製した9層フィルムの構造を表18に示す。層1は、試験中のシーラント樹脂を含んでいた。より具体的には、層1は91.5重量%のシーラント樹脂、2.5重量%のアンチブロックマスターバッチ、3重量%のスリップマスターバッチ、3重量%の加工助剤マスターバッチを含み、層1は6250ppmのアンチブロック(シリカ(珪藻土))、1500ppmのスリップ(ウルカミド)及び1500ppmの加工助剤(フルオロポリマー化合物);添加剤マスターバッチ担体樹脂は、LLDPE、約2メルトインデックス(I)及び約0.918g/ccであった。層1は内側層、すなわちインフレーションフィルムラインで多層フィルムを作製したときのバブルの内側である。9層フィルムの合計厚さは3.5ミルで一定に保たれた;層1の厚さは0.385ミル(9.8μm)、すなわち、3.5ミルの11%であった(表18)。層1~4と層6~8は、約0.917g/ccの密度と約0.60dg/分のメルトインデックス(I)とを有するNOVA Chemicals Corporationから入手可能なエチレン/1-オクテンコポリマーであるSURPASS FPs016-Cを含んでいた。層4、6、及び8には、20重量%のBynel 41E710、密度0.912g/cc、メルトインデックス(I)2.7dg/分のDuPont Packaging&Industrial Polymersから入手可能な無水マレイン酸グラフトLLDPEも含まれていた。層5及び9は、BASF Corporationから入手可能な、1.1dg/分のメルトインデックス(I)を持つUltramid C40 L aナイロン(ポリアミド6/66)を含んでいた。多層ダイ技術は、パンケーキダイ、FLEX-STACK共押出ダイ(SCD)で構成され、プレートの両側に流路が機械加工されており、ダイツーリングの直径は6.3インチ、この開示では85のダイギャップミルは一貫して使用され、フィルムは2.5のブローアップ比(BUR)で生産され、ラインの出力速度は250lb/時で一定に保たれた。9台の押出機の仕様は次のとおりある:スクリュー1.5インチ、長さ対直径比30/1、シングルフライト付き7ポリエチレンスクリュー、Madddoxミキサー、2ナイロンスクリュー、押出機は空冷され、20-H.P.モーターとすべての押出機には重量ブレンダーが装備されていた。ニップと折りたたみフレームには、Decatex水平振動牽引とニップの真下にある真珠冷却スラットが含まれていた。ラインにはタレットワインダーと振動スリッターナイフが装備されていた。表19に、使用した温度設定をまとめる。すべての金型温度は480°Fで一定に保たれた;すなわち、、層の断面、マンドレルの底、マンドレル、内側リップ、外側リップである。
【0306】
エンドユーザーはしばしば、いくつかのフィルム特性の改善及び/又は特定のバランスを望んでいる。非限定的な例には、光学特性、所与の密度の融点、ヒートシール及びホットタック特性などが含まれる。詳述すると、包装業界では、フィルムのヒートシールとホットタックの特性を改善する必要がある。例えば、剛性、靭性及び光学特性などの他のフィルムの物理的特性を維持又は改善しながら、シール開始温度(SIT)を下げ、ホットタックウィンドウを広げることが特に望ましい。
【0307】
表20は、(i)~(iv)でコード化された4つの9層フィルムのコールドシールデータとシール開始温度(SIT)を示している。フィルム(i)の層1、シーラント層は、以下の二成分ブレンドを含有した:70重量%の例1及び30重量%の比較例5;後者はSCLAIR FP120(0.920g/cc及び1.0 I)であった。層1はまた、上記のような添加剤を含んでいた。フィルム(i)の層1は、約0.909g/ccの混合密度を有していた。驚くべきことに、図7に示すように、フィルム(i)と比較フィルム(ii)のコールドシール曲線は基本的に同等であった;フィルム(ii)の層1が0.906g/ccであったことはで驚くべきことである。さらに、表20に示すように、フィルム(i)と(ii)のSITは基本的に同等で、それぞれ92.4と92.2℃であった。層1の密度の違い、すなわち、0.909g/ccと0.906g/ccの違いを考えると、これも驚くべきことである。より明確にするために、ポリエチレンフィルム従来技術には、フィルム(すなわちシーラント層)密度が増加するにつれてシール開始温度(SIT)が増加することを開示する例が豊富にある図7は、この傾向、すなわち、層1の密度が0.914g/ccのフィルム(iv)のコールドシール曲線が高温にシフトし、SITが102.5℃になったことを示している(表20)。
【0308】
図7と表20は、本明細書に開示されているエチレンインターポリマー生成物の少なくとも2つの利点を具体的に示している:(a)一定のSITでは、より高い密度のフィルム(又は層)が望ましい(フィルム(i))、なぜなら低密度の比較フィルムに比べて、フィルムの剛性が高く、パッケージ装置を介してより簡単に処理できるからである;(b)本明細書に開示されているエチレンインターポリマー生成物は、より高密度のLLDPEで希釈することができ、すなわち、シーラント樹脂配合物の全体的なコストを削減することができる。
【0309】
特定のホットタック特性は、パウチのようなパッケージ内に製品(液体、固体、ペースト、部品など)を装填及びシールする高速の垂直及び水平型フォームフィルシールプロセスで望まれる。例えば、包装業界では、幅広いホットタックウィンドウを備えたシーラント樹脂が必要である;すなわち、このような樹脂は、様々なパラメータが包装装置で変更されても、一貫して漏れのないパッケージを生成する。さらに、ホットタック開始温度(HTO(℃))は、可能な限り低い温度で生じることが望ましい。また、高温でもシール強度が十分に保たれるような高温ホットタックが望ましい。不十分なホットタック特性は、しばしば包装ラインの生産速度を制限する。
【0310】
表21に、ホットタックデータ、ホットタック開始(HTO)温度、及び9層フィルムの破損の仕方に関するコメントを示す。驚くべきことに、フィルム(iii)と(ii)のHTO温度は類似しており、それぞれ86.3℃と86.8℃であった;層1の密度が、それぞれ0.913g/ccと0.906g/ccと違うことを考えると驚くべきことである。ポリエチレンフィルム従来技術では、フィルム(又は層)密度が増加するにつれてフィルム(又は層)のHTO温度が増加することを開示しているので、これは驚くべきことである。例5を含むフィルム(iii)及び比較例15を含むフィルム(ii)のホットタックカーブを、図8に示す。例5(フィルム(iii))の密度はより高いものの、例5のホットタックウィンドウの幅は、比較例15(フィルム(ii))と同様であった。
【0311】
【表1】
【0312】
【表2A】

【表2B】
【0313】
【表3A】

【表3B】
【0314】
【表4】
【0315】
【表5A】

【表5B】
【0316】
【表6A】

【表6B】

【表6C】
【0317】
【表7A】

【表7B】
【0318】
【表8A】

【表8B】
【0319】
【表9】
【0320】
【表10】
【0321】
【表11A】

【表11B】
【0322】
【表12】
【0323】
【表13】
【0324】
【表14】
【0325】
【表15】
【0326】
【表16】
【0327】
【表17】
【0328】
【表18】
【0329】
【表19】
【0330】
【表20】
【0331】
【表21】
【産業上の利用可能性】
【0332】
本明細書に開示されているエチレンインターポリマー生成物は、広範囲の製造物品において産業上の利用可能性を有する;非限定的な例には、改善された光学特性、より低いシール開始温度、及び改善されたホットタック性能を有する柔軟な包装フィルムが含まれる。
本願の出願当初の特許請求の範囲に係る発明の内容は、以下の通りである。
[1] 少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物であって、
a)0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF)、
b)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であり、中性子放射化を用いて測定される前記残留触媒金属、
c)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)であり、次の関係:
UR=(SC -T )/T
(式中、SC は、100個の炭素あたりの側鎖不飽和の量であり、T は、100個の炭素あたりの末端不飽和の量であり、それらは、前記エチレンインターポリマー生成物において、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98によって決定される)で定義されるUR、
を含む、エチレンインターポリマー生成物。
[2] 第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含む、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[3] 0.3~500dg/分のメルトインデックス及び0.855~0.975g/ccの密度を有し、メルトインデックスはASTM D1238(2.16kg荷重及び190℃)に従って測定され、密度はASTM D792に従って測定される、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[4] 0~25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンをさらに含む、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[5] 前記1つ以上のα-オレフィンが、C ~C 10 α-オレフィンである、[4]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[6] 前記1つ以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、[5]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[7] 1.7~25の多分散性M /M を有し、重量平均分子量M 及び数平均分子量M は従来のサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定される、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[8] 1%~98%のCDBI 50 を有し、CDBI 50 はCTREFを用いて測定される、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[9] 溶液重合プロセスで製造される、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[10] 少なくとも1つの均一触媒配合物を使用して合成される、[1]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[11] 前記均一触媒配合物が、式(I):
[化1]

(式中、Mはチタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R 基は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、又はC 6-10 アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、若しくは環状又はハロゲン原子、C 1-10 アルキルラジカル、C 1-10 アルコキシラジカル、C 6-10 アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよく;
は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルを表し;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される)
によって定義される成分Aを含む架橋メタロセン触媒配合物である、[10]に記載のエチレンインターポリマー生成物。
[12] 少なくとも1つのエチレンインターポリマーを含むエチレンインターポリマー生成物を含む少なくとも1層を含むフィルムであって、
前記エチレンインターポリマー生成物は、
a)0.001以上の無次元長鎖分岐係数(LCBF)、
b)0.03ppm以上5ppm以下のハフニウムの残留触媒金属であり、中性子放射化を用いて測定される前記残留触媒金属、
c)-0.40以上0.06以下の無次元不飽和比(UR)であり、次の関係:
UR=(SC -T )/T
(式中、SC は、100個の炭素あたりの側鎖不飽和の量であり、T は、100個の炭素あたりの末端不飽和の量であり、それらは、前記エチレンインターポリマー生成物において、ASTM D3124-98及びASTM D6248-98によって決定される)
で定義されるUR、
によって特徴付けられ、前記エチレンインターポリマー生成物は、架橋メタロセン触媒配合物を使用して合成される、フィルム。
[13] 前記フィルムが、以下の1つ以上により特徴付けられる、[12]に記載のフィルム:
a)前記エチレンインターポリマー生成物が比較エチレンインターポリマー生成物に置き換えられることを除いて、同じ組成の比較フィルムと比較して10%~30%高い、45°でのフィルム光沢;
b)前記エチレンインターポリマー生成物が前記比較エチレンインターポリマー生成物に置き換えられることを除いて、同じ組成の比較フィルムと比較して30%~50%低い、フィルムヘイズ;
ここで、前記45°でのフィルム光沢は、ASTM D2457-13に従って測定され、前記フィルムヘイズは、ASTM D1003-13に従って測定される。
[14] 前記架橋メタロセン触媒配合物が、式(I):
[化2]

(式中、Mはチタン、ハフニウム、及びジルコニウムから選択される金属であり;Gは炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、又は鉛の元素であり;Xはハロゲン原子を表し、R 基は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、又はC 6-10 アリールオキシドラジカルから独立して選択され、これらのラジカルは直鎖、分岐、若しくは環状又はハロゲン原子、C 1-10 アルキルラジカル、C 1-10 アルコキシラジカル、C 6-10 アリール、若しくはアリールオキシラジカルでさらに置換されていてもよく;
は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルを表し;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択され;R 及びR は水素原子、C 1-20 ヒドロカルビルラジカル、C 1-20 アルコキシラジカル、C 6-10 アリールオキシドラジカル、又は少なくとも1つのシリコン原子とC 3-30 炭素原子とを含むアルキルシリルラジカルから独立して選択される)
によって定義される成分Aを含む、[12]に記載のフィルム。
[15] 前記エチレンインターポリマー生成物が、第1のエチレンインターポリマー、第2のエチレンインターポリマー、及び任意に第3のエチレンインターポリマーを含む、[12]に記載のフィルム。
[16] 前記エチレンインターポリマー生成物が、0.3~500dg/分のメルトインデックス及び0.855~0.975g/ccの密度を有し、メルトインデックスはASTM D1238(2.16kg荷重及び190℃)に従って測定され、密度はASTM D792に従って測定される、[12]に記載のフィルム。
[17] 前記エチレンインターポリマー生成物が、0~25モルパーセントの1つ以上のα-オレフィンをさらに含む、[12]に記載のフィルム。
[18] 前記1つ以上のα-オレフィンが、C ~C 10 α-オレフィンである、[17]に記載のフィルム。
[19] 前記1つ以上のα-オレフィンが、1-ヘキセン、1-オクテン、又は1-ヘキセン及び1-オクテンの混合物である、[18]に記載のフィルム。
[20] 前記エチレンインターポリマー生成物が、1.7~25の多分散性M /M を有し、重量平均分子量M 及び数平均分子量M が従来のサイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定される、[12]に記載のフィルム。
[21] 前記エチレンインターポリマー生成物が、1%~98%のCDBI 50 を有し、CDBI 50 がCTREFを用いて測定される、[12]に記載のフィルム。
[22] 前記層が、少なくとも1つの第2のポリマーをさらに含む、[12]に記載のフィルム。
[23] 前記第2のポリマーが、1つ以上のエチレンポリマー、1つ以上のプロピレンポリマー、又は前記エチレンポリマー及び前記プロピレンポリマーの混合物である、[12]に記載のフィルム。
[24] 前記フィルムが、0.5ミル~10ミルの厚さを有する、[12]に記載のフィルム。
[25] 前記フィルムが2~11層を含み、少なくとも1つの層は前記エチレンインターポリマー生成物を含む、[12]に記載のフィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8