(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】ピリジノイミダゾール系化合物の結晶型、塩型及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20220228BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220228BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
C07D471/04 106C
C07D471/04 CSP
A61K31/506
A61P31/16
(21)【出願番号】P 2020544744
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 CN2019076916
(87)【国際公開番号】W WO2019170067
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-08-25
(31)【優先権主張番号】201810180641.8
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519010293
【氏名又は名称】広東衆生睿創生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG RAYNOVENT BIOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 501, Building D, No.288, Shenzhou Road, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong510700 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】熊剣
(72)【発明者】
【氏名】陳小新
(72)【発明者】
【氏名】王晶晶
(72)【発明者】
【氏名】劉卓偉
(72)【発明者】
【氏名】陳新海
(72)【発明者】
【氏名】劉呈武
(72)【発明者】
【氏名】謝程
(72)【発明者】
【氏名】龍超峰
(72)【発明者】
【氏名】李鵬
(72)【発明者】
【氏名】黎健
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530713(JP,A)
【文献】特表2013-545816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/506
A61P 31/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A結晶型を有し、前記A結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.61±0.2°、9.27±0.2°、14.66±0.2°、16.69±0.2°、18.65±0.2°、19.79±0.2°、21.85±0.2°、24.63±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物1の結晶。
【請求項2】
前記A結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
前記A結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が185.46℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有する、請求項1又は2に記載の結晶。
【請求項4】
前記A結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が120.00℃±3℃の際に重量が2.479%減少する、請求項1~3のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項5】
B結晶型を有し、前記B結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.2°、11.19±0.2°、12.00±0.2°、17.28±0.2°、18.84±0.2°、22.39±0.2°、26.90±0.2°、27.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物2の結晶。
【請求項6】
前記B結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項5に記載の結晶。
【請求項7】
前記B結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が101.04℃±3℃において吸熱ピークを有し、188.30℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有する、請求項5又は6に記載の結晶。
【請求項8】
前記B結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が154.18℃±3℃の際に重量が4.087%の減少し、196.80℃±3℃の際に重量が4.610%減少する、請求項5~7のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項9】
C結晶型を有し、前記C結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:5.90±0.2°、6.52±0.2°、8.00±0.2°、12.28±0.2°、15.06±0.2°、15.84±0.2°、21.22±0.2°、26.82±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物II-1の結晶。
【請求項10】
前記C結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項9に記載の結晶。
【請求項11】
前記C結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が193.754℃±3℃において吸熱ピークを有し、235.53℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項9又は10に記載の結晶。
【請求項12】
前記C結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が117.79℃±3℃の際に重量が5.000%の減少し、222.15℃±3℃の際に重量が12.377%減少する、請求項9~11のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項13】
D結晶型を有し、前記D結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.96±0.2°、9.44±0.2°、10.31±0.2°、14.95±0.2°、17.38±0.2°、20.67±0.2°、21.89±0.2°、22.72±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物II-2の結晶。
【請求項14】
前記D結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項13に記載の結晶。
【請求項15】
前記D結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が193.68℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項13又は14に記載の結晶。
【請求項16】
前記D結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が78.99℃±3℃の際に重量が0.231%減少し、198.74℃±3℃の際に重量が5.826%減少する、請求項13~15のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項17】
E結晶型を有し、前記E結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.10±0.2°、9.60±0.2°、16.09±0.2°、17.61±0.2°、18.42±0.2°、22.97±0.2°、23.58±0.2°、25.14±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物3の結晶。
【請求項18】
前記E結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項17に記載の結晶。
【請求項19】
前記E結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が258.27℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有する、請求項17又は18に記載の結晶。
【請求項20】
前記E結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が121.35℃±3℃の際に重量が0.905%減少する、請求項17~19のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項21】
F結晶型を有し、前記F結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.47±0.2°、9.11±0.2°、9.90±0.2°、15.85±0.2°、16.28±0.2°、19.40±0.2°、20.37±0.2°、24.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物III-1の結晶。
【請求項22】
前記F結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項21に記載の結晶。
【請求項23】
前記F結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が78.73℃±3℃において吸熱ピークを有し、222.37℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、245.01℃±3℃において発熱ピークを有する、請求項21又は22に記載の結晶。
【請求項24】
前記F結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が39.57℃±3℃の際に重量が1.192%減少し、81.27℃±3℃の際に重量が3.683%減少し、199.63℃±3℃の際に重量が6.023%減少する、請求項21~23のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項25】
G結晶型を有し、前記G結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.23±0.2°、7.20±0.2°、7.81±0.2°、11.22±0.2°、12.38±0.2°、14.30±0.2°、15.90±0.2°、18.97±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物III-1の結晶。
【請求項26】
前記G結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項25に記載の結晶。
【請求項27】
前記G結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が70.13℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項25又は26に記載の結晶。
【請求項28】
H結晶型を有し、前記H結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.71±0.2°、5.56±0.2°、7.98±0.2°、8.97±0.2°、18.16±0.2°、22.42±0.2°、26.37±0.2°、27.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物IV-1の結晶。
【請求項29】
前記H結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項28に記載の結晶。
【請求項30】
前記H結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が141.17℃±3℃において吸熱ピークを有し、243.06℃±3℃において吸熱ピークを有し、257.74℃±3℃において発熱ピークを有する、請求項28又は29に記載の結晶。
【請求項31】
前記H結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が73.74±3℃において1.328%の重量減少を有し、207.43℃±3℃において4.986%の重量減少を有し、249.40℃±3℃において5.627%の重量減少を有する、請求項28~30のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項32】
K結晶型を有し、前記K結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.83±0.2°、7.39±0.2°、11.61±0.2°、14.81±0.2°、16.19±0.2°、18.50±0.2°、19.29±0.2°、20.86±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物IV-1の結晶。
【請求項33】
前記K結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項32に記載の結晶。
【請求項34】
前記K結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が83.69℃±3℃において3.442%の重量減少を有し、183.76℃±3℃において4.947%の重量減少を有する、請求項32又は33に記載の結晶。
【請求項35】
I結晶型を有し、前記I結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.89±0.2°、6.19±0.2°、7.45±0.2°16.23±0.2°、18.28±0.2°、18.95±0.2°、26.31±0.2°、27.04±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物IV-2の結晶。
【請求項36】
前記I結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項35に記載の結晶。
【請求項37】
前記I結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が86.86℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項35又は36に記載の結晶。
【請求項38】
前記I結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が46.81℃±3℃において1.298%の重量減少を有し、89.20℃±3℃において3.607%の重量減少を有し、169.65℃±3℃において4.641%の重量減少を有する、請求項35~37のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項39】
J結晶型を有し、前記J結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.97±0.2°、6.19±0.2°、16.33±0.2°、19.15±0.2°、19.84±0.2°、21.02±0.2°、22.68±0.2°、23.92±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物IV-2の結晶。
【請求項40】
前記J結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項39に記載の結晶。
【請求項41】
前記J結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が61.29℃±3℃において吸熱ピークを有し、86.40℃±3℃において吸熱ピークを有し、151.50℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項39又は40に記載の結晶。
【請求項42】
前記J結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が220.12℃±3℃において3.412%の重量減少を有する、請求項39~41のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項43】
L結晶型を有し、前記L結晶型のX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.91±0.2°、10.39±0.2°、14.18±0.2°、16.01±0.2°、16.47±0.2°、18.04±0.2°、20.31±0.2°、21.91±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、化合物V-1の結晶。
【請求項44】
前記L結晶型のXRPDスペクトル解析データが下記の表:
に示す通りである、請求項43に記載の結晶。
【請求項45】
前記L結晶型の示差走査熱量(DSC)曲線が168.08℃±3℃において吸熱ピークを有し、204.17℃±3℃において吸熱ピークを有する、請求項43又は44に記載の結晶。
【請求項46】
前記L結晶型の熱重量分析(TGA)曲線が80.19℃±3℃において0.830%の重量減少を有し、149.87℃±3℃において3.058%の重量減少を有し、201.25℃±3℃において4.648%の重量減少を有する、請求項43~45のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか一項に記載の結晶を含む抗インフルエンザウイルス薬。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2018年3月5日に出願されたCN201810180641.8に基づく優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ピリジノイミダゾール系化合物の結晶型、塩型及びその製造方法に関し、抗インフルエンザウイルス関連疾患の薬物の製造における、前記結晶型の使用をさらに含む。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルス(influenza virus、IFV)は、ヒト及び動物がインフルエンザに罹ることを引き起こすことができる分節型の一本鎖アンチセンスRNAウイルスである。インフルエンザ大爆発により、多くの人が亡くなり、巨大の社会的パニックをもたらし、社会的不安定要素が増えている。
【0004】
インフルエンザは、生産力及び関連医療資源の喪失による直接コストと、予防措置による間接コストとを発生させる。米国では、インフルエンザにより年間トータル約100億ドルの損失も被っており、今後のインフルエンザ大流行により数千億ドルの直接コスト及び間接コストの発生が可能であると推測されている。予防コストも非常に高く、世界各国の政府が、すでに数十億ドルも掛けて、起こり得るH5N1鳥インフルエンザの大流行に備えて計画を立てている。コストは薬物及びワクチンの購入に、並びに防災訓練の進展は出入国管理強化の戦略に関連している。
【0005】
現在のインフルエンザの治療選択は、予防接種と、抗ウイルス薬物による化学療法及び化学予防法の実施とを含む。抗ウイルス薬物はインフルエンザの治療にも適用できる。なかでも、ノイラミニダーゼ阻害剤、例えばオセルタミビル(タミフル)はインフルエンザA型ウイルスに対する効果が顕著であるが、臨床的観察を介して、この種のノイラミニダーゼ阻害剤に対して薬剤抵抗性ウイルス株が現れたことが見い出された。抗インフルエンザウイルスの分野において、単剤で用いられA型インフルエンザを治療することもできるし、又は市販されている他の作用機序の抗インフルエンザウイルス薬物との併用により、A型インフルエンザの予防及び治療に用いることもできる、新規作用機序の抗インフルエンザウイルス薬物が臨床で急いで必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は従来技術の不足を解決するために、ピリジノイミダゾール系化合物及びその塩型、対応する結晶型及びその製造方法を提供し、当該ピリジノイミダゾール系化合物及びその塩型を臨床用薬品として開発することに選択可能な複数の原料を提供している。
【0007】
化合物の結晶型の特徴付けについて、当業者は、特定化合物の特定の結晶型について、特徴付ける過程で設備機器、操作方法、試料の純度、人為的な要素等の影響により、そのX射線粉末回折スペクトル(XRPD)に、各回折ピークの2θ角が繰り返し実験においてある程度変動し、その変動範囲(誤差範囲)が通常±0.2°であることが分かる。また、当業者は、粉末X線回折スペクトルの各回折ピークの2θ角、吸収強度(ピーク高さ)等の要因を統合し、回折ピークの安定性及び再現性がその影響を受けることも分かる。具体的には、吸収強度が強く、分離がよく、2θ角が小さい回折ピークであるほど、良い安定性及び再現性を有し、当該特定の結晶型を特徴付けることに用いることができる。2θ角が大きい、及び/又は分離が悪い、及び/又は相対強度が弱い回折ピークについて、設備機器、操作方法、試料の純度、人為的な要素等の影響により大きく変動する可能性があり、繰り返し実験において繰り返して現れることができないことも可能であるので、当業者であれば、このような吸収ピークは本結晶型を特徴付ける際に必要な回折ピークではないことが分かる。より具体的には、本発明はピークを選択する場合、すべて2θ角、吸収強度(ピーク高さ)等の要素を総合的に考慮し、安定性及び再現性に従いグループ化する。
【0008】
当業者であれば、特定化合物について、その異なる水和物、溶剤合物、無水物は、ある物理的特徴において、存在する差異が小さく、さらに差異がないことが可能であることが分かる。具体的には、本発明のシリーズ化合物について、その同一塩型の異なる水和物、溶剤合物、無水物は、同様となる傾向のあるXRPDスペクトルを有し、その差異は、異なるDSC及び/又はTGAスペクトルを有することである。
【0009】
本発明の第1の目的は、nが0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5及び4から選ばれる式(I)化合物の一連の結晶型を提供することである。
【0010】
具体的には、前記式(I)化合物のA結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.61±0.2°、9.27±0.2°、14.66±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、前記式(I)化合物のA結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.61±0.2°、9.27±0.2°、14.66±0.2°、16.69±0.2°、18.65±0.2°、19.79±0.2°、21.85±0.2°、24.63±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明のいくつかの態様において、上記式(I)化合物のA結晶型は、そのXRPD解析データが表1に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0012】
【0013】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型のXRPDスペクトルが
図1に示す通りである。
【0014】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型は、その示差走査熱量曲線(DSC)が185.46℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型は、そのDSCスペクトルが
図2に示す通りである。
【0015】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型は、その熱重量分析曲線(TGA)が120.00℃±3℃の際に重量が2.479%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型は、そのTGAスペクトルが
図3に示す通りである。
【0016】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のA結晶型において、式(I)化合物の構造が化合物1に示す通りである。
【0017】
具体的には、前記式(I)化合物のB結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.2°、11.19±0.2°、22.39±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、前記式(I)化合物のB結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.2°、11.19±0.2°、12.00±0.2°、17.28±0.2°、18.84±0.2°、22.39±0.2°、26.90±0.2°、27.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0018】
本発明のいくつかの態様において、上記式(I)化合物のB結晶型は、そのXRPD解析データが表2に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0019】
【0020】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図4に示す通りである。
【0021】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型は、その示差走査熱量曲線が101.04℃±3℃において吸熱ピークを有し、188.30℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型は、そのDSCスペクトルが
図5に示す通りである。
【0022】
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型は、その熱重量分析曲線が154.18℃±3℃の際に重量が4.087%減少し、196.80℃±3℃の際に重量が4.610%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型は、そのTGAスペクトルが
図6に示す通りである。
本発明のいくつかの態様において、前記式(I)化合物のB結晶型において、式(I)化合物の構造は化合物2の通りである。
【0023】
本発明の第2の目的は、n
2が1から選ばれ、m
2が0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5及び4から選ばれる、下記式で示される式(II)化合物及びその対応する一連の結晶型を提供することである。
【0024】
さらに、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.00±0.2°、15.06±0.2°、15.84±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(II)化合物のC結晶型をさらに提供している。さらに、前記式(II)化合物のC結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:5.90±0.2°、6.52±0.2°、8.00±0.2°、12.28±0.2°、15.06±0.2°、15.84±0.2°、21.22±0.2°、26.82±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0025】
本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のC結晶型は、そのXRPD解析データが表3に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0026】
【0027】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のC結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図7に示す通りである。
【0028】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のC結晶型は、その示差走査熱量曲線が193.754℃±3℃において吸熱ピークを有し、235.53℃±3℃において吸熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のC結晶型は、そのDSCスペクトルが
図8に示す通りである。
【0029】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のC結晶型は、その熱重量分析曲線が117.79℃±3℃の際に重量が5.000%減少し、222.15℃±3℃の際に重量が12.377%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のC結晶型は、そのTGAスペクトルが
図9に示す通りである。
【0030】
本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のC結晶型は、その式(II)化合物が以下の化合物II-1である。
【0031】
さらに、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.96±0.2°、10.31±0.2°、14.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.96±0.2°、9.44±0.2°、10.31±0.2°、14.95±0.2°、17.38±0.2°、20.67±0.2°、21.89±0.2°、22.72±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(II)化合物のD結晶型をさらに提供している。本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のD結晶型は、そのXRPD解析データが表4に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0032】
【0033】
本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のD結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図10に示す通りである。
【0034】
本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のD結晶型は、その示差走査熱量曲線が193.68℃±3℃において吸熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のD結晶型は、そのDSCスペクトルが
図11に示す通りである。
【0035】
本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のD結晶型は、その熱重量分析曲線が78.99℃±3℃の際に重量が0.231%減少し、198.74℃±3℃の際に重量が5.826%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式II化合物のD結晶型は、そのTGAスペクトルが
図12に示す通りである。
【0036】
本発明のいくつかの態様において、前記式(II)化合物のD結晶型は、その式(II)化合物の構造が化合物II-2である。
【0037】
本発明の第3の目的は、化合物3の化合物及びその結晶型を提供することである。
【0038】
さらに、化合物3のE結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.10±0.2°、9.60±0.2°、22.97±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、前記化合物3のE結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:8.10±0.2°、9.60±0.2°、16.09±0.2°、17.61±0.2°、18.42±0.2°、22.97±0.2°、23.58±0.2°、25.14±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。本発明のいくつかの態様において、前記化合物3のE結晶型は、そのXRPD解析データが表5に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0039】
【0040】
本発明のいくつかの態様において、上記化合物3のE結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図13に示す通りである。
【0041】
本発明のいくつかの態様において、前記化合物3のE結晶型は、その示差走査熱量曲線が258.27℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記化合物3のE結晶型は、そのDSCスペクトルが
図14に示す通りである。
【0042】
本発明のいくつかの態様において、前記化合物3のE結晶型は、その熱重量分析曲線が121.35℃±3℃の際に重量が0.905%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記化合物3のE結晶型は、そのTGAスペクトルが
図15に示す通りである。
【0043】
本発明の第4の目的は、下記式で示される式(III)化合物及びその結晶型を提供することである。
【0044】
なかでも、
n3が1から選ばれ、
m3が0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5及び4から選ばれる。
【0045】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.47±0.2°、9.11±0.2°、9.90±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.47±0.2°、9.11±0.2°、9.90±0.2°、15.85±0.2°、16.28±0.2°、19.40±0.2°、20.37±0.2°、24.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(III)化合物のF結晶型をさらに提供する。
【0046】
本発明のいくつかの態様において、前記式(III)化合物のF結晶型は、そのXRPD解析データが表6に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0047】
【0048】
本発明のいくつかの態様において、前記式(III)化合物のF結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図16に示す通りである。
【0049】
本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のF結晶型は、その示差走査熱量曲線が78.73℃±3℃において吸熱ピークを有し、222.37℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、245.01℃±3℃において発熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のF結晶型は、そのDSCスペクトルが
図17に示す通りである。
【0050】
本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のF結晶型は、その熱重量分析曲線が39.57℃±3℃の際に重量が1.192%減少し、81.27℃±3℃の際に重量が3.683%減少し、199.63℃±3℃の際に重量が6.023%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記F結晶型は、そのTGAスペクトルが
図18に示す通りである。
【0051】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.23±0.2°、7.20±0.2°、14.30±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(III)化合物のG結晶型をさらに提供している。さらに、前記式(III)化合物のG結晶型は、そのX射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:6.23±0.2°、7.20±0.2°、7.81±0.2°、11.22±0.2°、12.38±0.2°、14.30±0.2°、15.90±0.2°、18.97±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0052】
本発明のいくつかの態様において、前記式(III)化合物のG結晶型は、そのXRPD解析データが表7に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0053】
【0054】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のG結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図19に示す通りである。
【0055】
本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のG結晶型は、その示差走査熱量曲線が70.13℃±3℃において吸熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のG結晶型は、そのDSCスペクトルが
図20に示す通りである。
【0056】
本発明のいくつかの態様において、前記式III化合物のG結晶型は、その熱重量分析曲線が
図21に示す通りである。
【0057】
本発明のいくつかの態様において、前記式(III)化合物のF結晶型とG結晶型は、その式(III)化合物の構造が化合物III-1である。
【0058】
本発明の第4の目的は、下記式で示される式(IV)化合物をさらに提供することである。
【0059】
なかでも、
n4が1から選ばれ、
m4が0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5及び4から選ばれる。
【0060】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.71±0.2°、5.56±0.2°、18.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.71±0.2°、5.56±0.2°、7.98±0.2°、8.97±0.2°、18.16±0.2°、22.42±0.2°、26.37±0.2°、27.10±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)化合物のH結晶型をさらに提供している。
【0061】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、そのXRPD解析データが表8に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0062】
【0063】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図22に示す通りである。
【0064】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、その示差走査熱量曲線が141.17℃±3℃において吸熱ピークを有し、243.06℃±3℃において吸熱ピークを有し、257.74℃±3℃において発熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、そのDSCスペクトルが
図23に示す通りである。
【0065】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、その熱重量分析曲線が73.74±3℃の際に重量が1.328%減少し、207.43℃±3℃の際に重量が4.986%減少し、249.40℃±3℃の際に重量が5.627%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型は、そのTGAスペクトルが
図24に示す通りである。
【0066】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.89±0.2°、6.19±0.2°、7.45±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.89±0.2°、6.19±0.2°、7.45±0.2°、16.23±0.2°、18.28±0.2°、18.95±0.2°、26.31±0.2°、27.04±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)化合物のI結晶型をさらに提供している。本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、そのXRPD解析データが表9に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0067】
【0068】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図25に示す通りである。
【0069】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、その示差走査熱量曲線が86.86℃±3℃において吸熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、そのDSCスペクトルが
図26に示す通りである。
【0070】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、その熱重量分析曲線が46.81℃±3℃の際に重量が1.298%減少し、89.20℃±3℃の際に重量が3.607%減少し、169.65℃±3℃の際に重量が4.641%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型は、そのTGAスペクトルが
図27に示す通りである。
【0071】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.97±0.2°、16.33±0.2°、23.92±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.97±0.2°、6.19±0.2°、16.33±0.2°、19.15±0.2°、19.84±0.2°、21.02±0.2°、22.68±0.2°、23.92±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)化合物のJ結晶型をさらに提供している。さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、そのXRPD解析データが表10に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0072】
【0073】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図28に示す通りである。
【0074】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、その示差走査熱量曲線が61.29℃±3℃において吸熱ピークを有し、86.40℃±3℃において吸熱ピークを有し、151.50℃±3℃において吸熱ピークを有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、そのDSCスペクトルが
図29に示す通りである。
【0075】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、その熱重量分析曲線が220.12℃±3℃の際に重量が3.412%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のJ結晶型は、そのTGAスペクトルが
図30に示す通りである。
【0076】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.83±0.2°、7.39±0.2°、14.80±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:4.83±0.2°、7.39±0.2°、11.61±0.2°、14.81±0.2°、16.19±0.2°、18.50±0.2°、19.29±0.2°、20.86±0.2°において特徴的な回折ピークを有する式(IV)化合物のK結晶型をさらに提供している。
【0077】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のK結晶型は、そのXRPD解析データが表11に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0078】
【0079】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のK結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図31に示す通りである。
【0080】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のK結晶型は、そのDSCスペクトルが
図32に示す通りである。
【0081】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のK結晶型は、その熱重量分析曲線が83.69℃±3℃の際に重量が3.442%減少し、183.76℃±3℃の際に重量が4.947%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のK結晶型は、そのTGAスペクトルが
図33に示す通りである。
【0082】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のH結晶型とK結晶型は、その式(IV)化合物の構造式が化合物IV-1である。
【0083】
本発明のいくつかの態様において、前記式(IV)化合物のI結晶型とJ結晶型は、その式(IV)化合物の構造式が化合物IV-2の通りである。
【0084】
本発明の第5の目的は、下記式で示される式(V)化合物及びその結晶型をさらに提供することである。
【0085】
なかでも、
n5が0.5及び1から選ばれ、
m5が0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5及び4から選ばれる。
【0086】
具体的には、本発明は、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:10.39±0.2°、18.04±0.2°、20.31±0.2°において特徴的な回折ピークを有し、さらに、X射線粉末回折スペクトルが以下の2θ角:7.91±0.2°、10.39±0.2°、14.18±0.2°、16.01±0.2°、16.47±0.2°、18.04±0.2°、20.31±0.2°、21.91±0.2°において特徴的な回折ピークを有する、式(V)化合物のL結晶型をさらに提供している。さらに、本発明のいくつかの態様において、上記式(V)化合物のL結晶型は、そのXRPD解析データが表12に示す通りである。当業者であれば、ピーク高さの変動性が大きいことに対して、XRPD解析データに2θがその変動性が小さいことで、結晶型の特徴付けにより好適に用いられることが分かる。
【0087】
【0088】
本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、そのXRPDスペクトルが
図34に示す通りである。
【0089】
本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、その示差走査熱量曲線が168.08℃±3℃において吸熱ピークを有し、204.17℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、そのDSCスペクトルが
図35に示す通りである。
【0090】
本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、その熱重量分析曲線が80.19℃±3℃の際に重量が0.830%減少し、149.87℃±3℃の際に重量が3.058%減少し、201.25℃±3℃の際に重量が4.648%減少し、さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、そのTGAスペクトルが
図36に示す通りである。
【0091】
さらに、本発明のいくつかの態様において、前記式(V)化合物のL結晶型は、その式(V)化合物が化合物V-1である。
【0092】
本発明は、抗インフルエンザウイルス薬物の製造における、前記結晶型の使用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0093】
本発明に提供される結晶型は性質が安定しており、吸湿率が小さく、製薬の将来性がある。
【0094】
具体的には、本発明は、ピリジノピラゾール系化合物の遊離状態、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、塩酸塩、p-トルエンスルホン酸塩の塩型、及び遊離状態、各塩型の対応する結晶型を提供している。さらなる実験により、得られた遊離状態、塩型の結晶型はすべて高い安定性を有していることが明らかになり、高温、高湿等の条件で貯蔵過程で不純物の含有量が顕著に変わらず、結晶型が基本的に変わらないことが示され、優れた製剤可能性を有することが分かった。なお、前記一部の結晶型について、さらに中間体結晶型として、他の安定結晶型を製造することに用いることができる。
【0095】
また、本発明に係る化合物は細胞レベル阻害インフルエンザウイルス複製試験においても積極的効果を示している。その対応する塩型及びその結晶型が遊離状態化合物とほぼ同様な積極的効果を有すると理解されてもよい。
定義及び説明
【0096】
特に断りのない限り、本明細書に用いられる以下の用語と句は下記の意味を含むことが意図される。一つの特定の句又は用語は、特に定義されていない場合、不確定か不明であると考えられるものではなく、一般的な意味で理解すべきである。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品又はその活性成分を表すことが意図される。
【0097】
本発明の中間体化合物は、以下に挙げられる具体的な実施の態様、他の化学合成法と組み合わせた実施の態様、及び当業者に周知である等価の置き換え方式を含む、当業者に周知である複数の合成方法により調製することができる。好ましい実施の態様は、本発明の実施例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
本発明の具体的な実施の態様の化学反応は適当な溶剤において完成されるものであり、前記溶剤は本発明の化学変化及びその必要な試薬及び材料に適しなければならない。本発明の化合物を得るために、当業者は従来の実施の態様に基づき合成ステップ又は反応フローを変形又は選択する必要があることがある。
【0099】
以下に実施の形態により本発明を詳しく説明するが、これらの実施の形態は本発明を何らか制限するものではない。
【0100】
本発明に用いられる全ての溶剤は市販されるものであり、さらに精製することなく使用できる。
【0101】
本発明は下記の略語を用いる。DMFはジメチルホルムアミド、MsOHはメタンスルフォン酸、EtOHはエタノール、NaOHは水酸化ナトリウムである。
【0102】
化合物は手動で名付けられ、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアで名付けられ、市販化合物はベンダー名を用いる。
【0103】
本発明に係る粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器の型番:ブルカーD8 advance X線回折計
測定方法:約10~20mgの試料をXRPDの検出に用いる。
詳細なXRPDパラメータは下記の通りである。
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4~40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
試料パン回転数:15rpm
【0104】
本発明に係る示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器の型番:TA Q2000示差走査熱量計
測定方法:試料(約1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に量り取り測定を行い、50mL/min N2条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を30℃から280℃まで加熱する。
【0105】
本発明に係る熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法
計器の型番:TA Q5000IR熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に量り取り測定を行い、25mL/min N2条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から300℃まで加熱する。
【0106】
高速液体クロマトグラフィー(High PerformanceLiquid Chromatograph、HPLC)
解析方法は下記の通りである。
【0107】
【0108】
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】A結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図4】B結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図7】C結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図10】D結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図13】E結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図16】F結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図19】G結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図22】H結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図25】I結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図28】J結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図31】K結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図34】L結晶型のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0110】
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
【0111】
参照例1:化合物BB-1の製造
ステップ1:化合物BB-1-2の合成:
化合物BB-1-1(300mg、1.97mmol)のブロモホルム(5mL)溶液に亜硝酸tert-ブチル(406mg、3.94mmol)を入れた。混合物を60℃で1時間撹拌した後、90℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、濃縮し粗生成物を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(5~20%酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、化合物BB-1-2(300.00mg、収率70.50%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:11.25(br s,1H),8.54(dd,J=1.88、2.64Hz,1H),7.69(dd,J=2.51,7.28Hz,1H).MS(ESI)m/z:215.9(M+H
+).
ステップ2:化合物BB-1-3の合成:
化合物BB-1-2(300mg、1.39mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)溶液にトリフェニルクロロメタン(426mg、1.53mmol)と炭酸カリウム(576mg、4.17mmol)を加え、混合物を25℃で12時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(50mL)で希釈してから、飽和食塩水(15mL×3)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し粗生成物を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(0~10%酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、化合物BB-1-3(350mg、収率54.94%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ:8.16(dd,J=1.25,2.76Hz,1H),7.53(dd,J=3.01,7.53Hz,1H),7.25(s,15H).MS(ESI)m/z:458.2(M+H
+).
ステップ3:化合物BB-1の合成:
化合物BB-1-3(350mg、763.66μmol)とビス(ピナコラト)ジボロン(291mg、1.15mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(7mL)溶液に、醋酸カリウム(225mg、2.29mmol)とジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(28mg、38.18μmol)を入れた。混合物を100℃で窒素雰囲気で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、ろ過し、ろ液を酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和食塩水(20mL×3)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し粗生成物を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(0~10%酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、BB-1(300mg、収率77.73%)を得た。MS(ESI)m/z:733.2(M+Na
+).
【0112】
実施例1:化合物1の製造
ステップ1:化合物1-2の合成
0℃で、化合物1-1(25.00g、149.73mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(80mL)に溶解させ、シクロプロピルマグネシウムブロミド(0.5M、500.10mL)を滴下し、反応液を室温で一晩撹拌した。その後反応液を0℃まで冷却し、それぞれトリエチルアミン(15.15g、149.73mmol、20.75mL)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液と、ヨウ素(38.00g、149.73mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液とを加え、反応液を室温で3時間撹拌した。反応液に酢酸エチル(1L)を加え、それぞれ、水(300mL×3)と飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮したものをシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、化合物1-2(8g、収率25.8%)を得た。
ステップ2:化合物1-3の合成
化合物(2S,3S)-エチル3-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(450mg、2.28mmol)と化合物1-2(450mg、2.17mmol)をテトラヒドロフラン(5.00mL)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(841.35mg、6.51mmol)を加え、反応液を55℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~5:1)で精製し、化合物1-3(460.00mg、収率57.6%)を得た。
ステップ3:化合物1-4の合成
室温にて、化合物1-3(460.00mg、1.25mmol)とBB-1(1.05g、1.25mmol)を2-メチルテトラヒドロフラン(8.00mL)と水(2.00mL)に溶解させ、それぞれリン酸カリウム(796.34mg、3.75mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(114.51mg、125.05μmol)及び2-ビシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(119mg、250μmol)を加え、反応液を80℃で一晩反応させた。反応液を室温まで冷却し、水(30mL)を入れた後、ろ過した。ろ液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=20:1~3:1)で精製し、化合物1-4(600mg、収率61%)を得た。MS(ESI)m/z:773.4(M+H
+).
ステップ4:化合物1-5の合成
室温にて、化合物1-4(600.00mg、844.11μmol)をジクロロメタン(6.00mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(962.45mg、8.44mmol)とトリエチルシラン(981.53mg、8.44mmol)を加え、反応液を室温で4時間反応させた。反応液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1)で精製し、化合物1-5(350.00mg、収率87.6%)を得た。MS(ESI)m/z:469.2(M+H
+).
ステップ5:化合物1の合成
室温にて、化合物1-5(160.00mg、341.52μmol)をジオキサン(3.00mL)と水(500.00μL)に溶解させ、水酸化ナトリウム(136.61mg、3.42mmol)を入れた。反応液を80℃で1時間反応させた。反応液を減圧濃縮した後、1M HClを入れてpH=5まで調整し、固体を析出しろ過し、ケーキを水(10mL)で洗浄し、乾燥し、化合物1(55.4mg、収率36.5%)を得た。
1H NMR(400MHz,d
4-MeOH)δ8.49-8.58(m,2H),4.92(br s,1H),2.78(br d,J=6.78Hz,1H),2.22-2.31(m,1H),2.11(br s,1H),1.80-2.02(m,4H),1.61-1.77(m,3H),1.44-1.59(m,2H),1.25-1.34(m,3H),1.03-1.11(m,2H)。MSm/z:441.1[M+1]+.
【0113】
実施例2:A結晶型の製造
100mgの化合物1をバイアル瓶に入れ、0.8mLのエタノールを入れ、懸濁液にした。上記懸濁液試料をサーモミキサー(40℃)に置き試験(遮光)を行った。懸濁液試料を40℃で60時間振とうした後遠心をかけ、その後、残存試料を真空乾燥箱(40℃)に置き一晩乾燥し、A結晶型を得た。得られたA結晶型のXRPDスペクトルは
図1に、DSCスペクトルは
図2に、TGAスペクトルは
図3に示す通りである。
【0114】
実施例3:A結晶型の製造
100mgの化合物1をバイアル瓶に入れ、1.2mLの酢酸エチルを入れ、懸濁液にした。上記懸濁液試料をサーモミキサー(40℃)に置き試験(遮光)を行った。懸濁液試料を40℃で60時間振とうした後遠心をかけ、その後、残存試料を真空乾燥箱(40℃)に置き一晩乾燥し、実施例2とほぼ同様なA結晶型を得た。
【0115】
実施例4:B結晶型の製造
66gの化合物1を600mLのエタノールと水の混合溶液(エタノール:水=1:1)に入れ、懸濁液にした。撹拌器に置き、40℃で48時間撹拌した後ろ過し、ケーキを乾燥し、B結晶型を得た。得られたB結晶型のXRPDスペクトルは
図4に、DSCスペクトルは
図5に、TGAスペクトルは
図6に示す通りである。
【0116】
実施例5:B結晶型の製造
66gの化合物1を600mLのエタノールと水の混合溶液(エタノール:水=3:1)に入れ、懸濁液にした。撹拌器に置き、40℃で48時間撹拌した後ろ過し、ケーキを乾燥し、実施例4とほぼ同様なB結晶型を得た。
【0117】
実施例6:C結晶型の製造
5gの化合物1を250mLのナスフラスコに入れ、THF(100mL)を加え、塩酸(0.98mL、9mLのTHFに溶解させた)を加え、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、C結晶型(4.29g)を得た。得られたC結晶型のXRPDスペクトルは
図7に、DSCスペクトルは
図8に、TGAスペクトルは
図9に示す通りである。
【0118】
実施例7:D結晶型の製造
C結晶型(0.201g)をアセトニトリル(3mL)に溶解させパルピングし、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、D結晶型を得た。得られたD結晶型のXRPDスペクトルは
図10に、DSCスペクトルは
図11に、TGAスペクトルは
図12に示す通りである。
【0119】
実施例8:E結晶型の製造
5gの化合物1を250mLのナスフラスコに入れ、THF(100mL)を加え、p-トルエンスルホン酸一水和物(2.26g、10mLのTHFに溶解させた)を加え、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、固体(0.425g)を得た。この固体(0.101g)をアセトン(2mL)に入れ12hパルピングし、E結晶型を得た。得られたE結晶型のXRPDスペクトルは
図13に、DSCスペクトルは
図14に、TGAスペクトルは
図15に示す通りである。
【0120】
実施例9:F結晶型の製造
5gの化合物1を250mLのナスフラスコに入れ、THF(100mL)を加え、NaOH水溶液(0.477g、1mLの水に溶解させた)を加え、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、F結晶型を得た。得られたF結晶型のXRPDスペクトルは
図16に、DSCスペクトルは
図17に、TGAスペクトルは
図18に示す通りである。
【0121】
実施例9-1:F結晶型の製造
実施例9で得られたF結晶型202mgを取り、EtOH:H2O=3:1(4mL)で加え、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、F結晶型を得た。得られたF結晶型は実施例9とほぼ同様なものであった。
【0122】
実施例10:G結晶型の製造
F結晶型(0.206g)をアセトニトリル(3mL)に溶解させパルピングし、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、G結晶型を得た。得られたG結晶型のXRPDスペクトルは
図19に、DSCスペクトルは
図20に、TGAスペクトルは
図21に示す通りである。
【0123】
実施例11:H結晶型の製造
約2gの化合物1を秤量し100mLのナスフラスコに入れ、THF(35mL)を加え、KOH水溶液(0.255g、0.5mLと5mLのTHFに溶解させた)を加え、30℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、H結晶型を得た。得られたH結晶型のXRPDスペクトルは
図22に、DSCスペクトルは
図23に、TGAスペクトルは
図24に示す通りである。
【0124】
実施例12:I結晶型の製造
H結晶型(0.201g)をアセトニトリル(3mL)に溶解させパルピングし、25℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、I結晶型を得た。得られたI結晶型のXRPDスペクトルは
図25に、DSCスペクトルは
図26に、TGAスペクトルは
図27に示す通りである。
【0125】
実施例13:J結晶型の製造
H結晶型(0.202g)をアセトン(3mL)に溶解させパルピングし、25℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、J結晶型を得た。得られたJ結晶型のXRPDスペクトルは
図28に、DSCスペクトルは
図29に、TGAスペクトルは
図30に示す通りである。
【0126】
実施例14:K結晶型の製造
H結晶型(0.201g)をエタノールと水の混合溶剤(エタノール:水=3:1)(4mL)に溶解させパルピングし、25℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、K結晶型を得た。得られたK結晶型のXRPDスペクトルは
図31に、DSCスペクトルは
図32に、TGAスペクトルは
図33に示す通りである。
【0127】
実施例15:L結晶型の製造
2gの化合物1を100mLのナスフラスコに入れ、THF(35mL)を加え、水酸化カルシウム水溶液(0.168g、0.5mLと5mLのTHFに溶解させた)を加え、25℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、固体(1.440g)を得た。この固体(0.204g)をエタノールと水の混合溶剤(エタノール:水=3:1)(4mL)に溶解させパルピングし、25℃で12時間撹拌し、固体をろ過し、ケーキを40℃で真空乾燥し、L結晶型を得た。得られたL結晶型のXRPDスペクトルは
図34に、DSCスペクトルは
図35に、TGAスペクトルは
図36に示す通りである。
【0128】
実験例1:A結晶型の固体安定性試験
A結晶型の試料をガラス試料瓶の底部に置き、薄く伸ばした。高温、高湿及び加速条件で置かれる試料をアルミホイルで瓶口を密封し、アルミホイルに刺して小さな穴を開けて、試料が雰囲気と十分に接触できることを確保した。光条件で置かれる試料は室温で開口して立てられ、試料が光源に曝し、十分なエネルギーを照射した後、サンプリングして検出した。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、含有量及び不純物を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたA結晶型が高温、高湿及び加速実験において、総不純物の含有量の変化が相対的に小さいことを示し、XRPD検出法によりA結晶型に変化がなく、相対的に高い安定性を有することが発見された。
【0129】
実験例2:B結晶型の固体安定性試験
B結晶型の試料をガラス試料瓶の底部に置き、薄く伸ばした。高温、高湿及び加速条件で置かれる試料をアルミホイルで瓶口を密封し、アルミホイルに刺して小さな穴を開けて、試料が雰囲気と十分に接触できることを確保した。光条件で置かれる試料は室温で開口して立てられ、試料が光源に曝し、十分なエネルギーを照射した後、サンプリングして検出した。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、含有量及び不純物を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたB結晶型が高温、高湿において総不純物の含有量に殆ど変化がなく、加速実験において総不純物の含有量の変化が小さいことを示し、XRPD検出法によりB結晶型に変化がなく、高い安定性を有することが発見された。
【0130】
実験例3
実験例1と同じ方法でD結晶型の安定性を調べた。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、不純物及び結晶型を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたD結晶型が高温、高湿、光照及び加速実験において総不純物の含有量に殆ど変化がないことを示し、XRPD検出法によりD結晶型に変化がなく、相対的に高い安定性を有することが発見された。
【0131】
実験例4
実験例1と同じ方法でF結晶型の安定性を調べた。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、不純物及び結晶型を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたF結晶型が高温、高湿及び加速実験において総不純物の含有量に殆ど変化がないことを示し、XRPD検出法によりF結晶型に変化がなく、相対的に高い安定性を有することが発見された。
【0132】
実験例5
実験例1と同じ方法でG結晶型の安定性を調べた。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、不純物及び結晶型を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたG結晶型が高湿及び加速実験において総不純物の含有量に殆ど変化がなく、高温条件実験において総不純物の含有量の変化が相対的に小さいことを示し、XRPD検出法によりG結晶型に変化がないことが発見され、結晶型が相対的に高い安定性を有することが分かった。
【0133】
実験例6
実験例1と同じ方法でH結晶型の安定性を調べた。各時点でサンプリングして解析し、検出結果と0日目の初期検出結果とを比べ、調査項目は、外観、不純物及び結晶型を含む。試験の結果を以下の表に示す。
以上の試験の結果から分かるように、前記実施例で製造されたH結晶型が高温、高湿、光照及び加速実験において総不純物の含有量に殆ど変化がないことを示し、XRPD検出法によりH結晶型に変化がないことが発見され、結晶型が相対的に高い安定性を有することが分かった。
【0134】
当業者であれば、実施例中の結晶型は長期間に亘り、撹拌しパルピングし、晶析したものであり、安定した状態となる傾向にあり、さらに高い安定性を有し、かなりの薬用の将来性があり、生産において薬用製品を製造する中間体として用いられてもよいことが分かる。
生物部分
【0135】
インフルエンザウイルス細胞変性効果(CPE)実験
化合物の半有効濃度(EC50)値を測定することにより、化合物のインフルエンザウイルス(Influenza virus、IFV)に対する抗ウイルス活性を評価した。細胞変性効果実験は、化合物のウイルス感染細胞への防御効果を測定し化合物の抗ウイルス活性を反映することに広く用いられる。
【0136】
インフルエンザウイルスCPE実験
MDCK細胞(ATCC、製品番号CCL-34)を2,000から3,000cells/wellの密度で384ウェル細胞培養用プレート(黒)に接種し、その後、37℃、5%CO
2インキュベータに置き一晩培養した。化合物をEcho555非接触ナノリッター分注システムで希釈し細胞孔に入れた(3倍希釈、8つの濃度で測定)。インフルエンザウイルスA/Weiss/43(H1N1)株(ATCC、製品番号VR-96)をその後1ウェルあたり1/2で90%組織培養感染量(TCID90)で細胞培養孔に入れ、培養基におけるDMSOの終濃度は0.5%であった。ウイルス対照孔(DMSOとウイルスを加え、化合物を加えない)と、細胞対照孔(DMSOを加え、化合物とウイルスを加えない)を設けた。細胞培養用プレートを37℃、5%CO
2インキュベータに置き5日間培養した。5日間培養後、セルカウンティングキットCCK8で細胞活性を検出した。生データが化合物抗ウイルス活性の計算に用いられる。
化合物の抗ウイルス活性は、化合物のウイルスによる細胞ウイルス効果への阻害率(%)で示される。計算式は下記の通りである。
GraphPad Prismソフトウェアで化合物の阻害率を非線形フィット解析し、化合物のEC
50値を得た。実験の結果を表15に示す。
【0137】
結果及び検討:化合物1が細胞レベル阻害インフルエンザウイルス複製試験において積極的な効果を示している。
【0138】
実験例2:インビボ薬効の検討
インフルエンザA型ウイルスH1N1マウス感染モデルにおける化合物の薬効の評価
マウスに点鼻によりインフルエンザA型ウイルスH1N1(Virapur社、製品番号:F1003A)を感染させ、感染36時間後化合物で処置し始め、1日に2回、7日間連続経口投与した。マウスの体重変化及び生存率を観察することにより、化合物の前記モデルにおける抗インフルエンザA型ウイルスH1N1効果を評価した。
実験ではSPFレベルのBALB/cマウス(6~7週齢、雌)(LINGCHANG BIOTECH)を選択した。マウスがBSL-2動物室に着いた後、少なくとも3日間馴化させた後、実験を始めた。感染当日を実験0日目とした。マウスにペントバルビタールナトリウムを腹腔内投与し麻酔を行った(75mg/kg、10ml/kg)。動物が深麻酔状態となった後、点鼻によりH1N1 A/WSN/33ウイルスを感染させ、感染体積が50μlであった。1日目から7日目まで、1日に2回、毎日被検化合物10mg/kg(投与体積10ml/kg)を経口投与した。初めての投与時間は感染後36時間であった。毎日マウスの状態を観察し、マウスの体重及び生存率を記録した。14日目に、全ての生きている動物を安楽死させた。
被検動物の生存率及び体重減少率は表16の通りである。
【0139】