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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-25
(45)【発行日】2022-03-07
(54)【発明の名称】制御回路、制御装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220228BHJP
   H04R 29/00 20060101ALI20220228BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20220228BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R3/00 320
H04R29/00
H02M7/48 E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021523524
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2020024366
(87)【国際公開番号】W WO2021002233
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019123693
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 正明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴範
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-121202(JP,A)
【文献】特開2013-046385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0173994(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284825(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1741685(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 29/00
H02M 7/48
H04R 19/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動、音又は圧力を発生することができ、振動、音又は圧力を検出することができる静電型トランスデューサを制御する、制御回路であって、
第1制御信号が第1レベルの場合に、第2制御信号に応じた電圧を前記静電型トランスデューサの両端間に印加するように、電圧出力回路を制御し、前記第1制御信号が第2レベルの場合に、前記電圧出力回路を停止させる、電圧出力回路制御部と、
前記静電型トランスデューサの端子間電圧を第1閾値電圧以下にクランプしたクランプ電圧を出力する、電圧クランプ部と、
前記クランプ電圧が、第2閾値電圧以下になった場合に、前記第2レベルの前記第1制御信号を出力し、前記第2制御信号が、第3閾値電圧より高くなった場合に、前記第1レベルの前記第1制御信号を出力する、制御信号出力部と、
を備える、
ことを特徴とする、制御回路。
【請求項2】
前記第2制御信号は、
振動、音又は圧力を前記静電型トランスデューサに発生させる場合には、発生させたい任意の波形の信号であり、振動、音又は圧力を前記静電型トランスデューサに検出させる場合には、振幅が前記任意の波形の信号より小さい三角波の信号である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記制御信号出力部は、
前記クランプ電圧と前記第2閾値電圧とを比較する第1コンパレータと、
前記第2制御信号と前記第3閾値電圧とを比較する第2コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力信号によってセットされ、前記第2コンパレータの出力信号によってリセットされ、前記第1制御信号を出力するフリップフロップと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項4】
前記制御信号出力部は、
前記第1制御信号が変化してから予め定められた期間内は、前記第1コンパレータの出力信号をマスクするマスク回路を更に含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記電圧クランプ部は、
ドレインが前記静電型トランスデューサの高電位側の端子に接続され、ゲートにバイアス電圧が供給され、ソースから前記クランプ電圧を出力するトランジスタを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記トランジスタは、
前記第2制御信号が前記第3閾値電圧以下の場合に、ゲートにバイアス電圧が供給され、前記第2制御信号が前記第3閾値電圧より高い場合に、ゲートにバイアス電圧が供給されない、
ことを特徴とする、請求項5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記トランジスタは、
前記第2制御信号が、前記第3閾値電圧よりも高い第4閾値電圧以下の場合に、ゲートにバイアス電圧が供給され、前記第2制御信号が、前記第4閾値電圧よりも高い場合に、ゲートにバイアス電圧が供給されない、
ことを特徴とする、請求項5に記載の制御回路。
【請求項8】
前記クランプ電圧が前記第1閾値電圧より低い第5閾値電圧以下であり、且つ、前記第1制御信号が前記第2レベルの場合に、前記クランプ電圧を出力し、前記クランプ電圧が前記第5閾値電圧より高いか、又は、前記第1制御信号が前記第1レベルの場合に、前記第5閾値電圧を出力する、電圧出力部を更に含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項9】
前記電圧出力部は、
前記第1制御信号が前記第1レベルであっても、前記クランプ電圧が、前記第2閾値電圧よりも高い第6閾値電圧以下であり、且つ、前記第2制御信号が前記第3閾値電圧以下である場合に、前記クランプ電圧を出力する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の制御回路。
【請求項10】
前記静電型トランスデューサは、静電型アクチュエータ又は静電型圧力検出素子である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項11】
半導体集積回路である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項12】
請求項1に記載の制御回路と、
前記電圧出力回路と、
を含む、
ことを特徴とする、制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の制御装置と、
前記第2制御信号を前記制御回路に出力する、信号出力部と、
前記クランプ電圧の変化に基づいて、前記静電型トランスデューサに印加された振動、音又は圧力を検出する、電圧変化検出部と、
を含む、
ことを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、制御装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動、音又は圧力を発生することができ、振動、音又は圧力を検出することができる、静電型トランスデューサが記載されている。
【0003】
この静電型トランスデューサに振動、音又は圧力を発生させると共に、振動、音又は圧力を検出させる場合には、振動、音又は圧力を発生させるための第1の静電型トランスデューサを第1の制御回路で制御し、振動、音又は圧力を検出させるための第2の静電型トランスデューサを第2の制御回路で制御する必要があった。
【0004】
しかしながら、1個の制御回路が、1個の静電型トランスデューサを制御することで、振動、音又は圧力を発生させ、振動、音又は圧力を検出させることが、望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-183814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、1個の静電型トランスデューサに振動、音又は圧力を発生させ、振動、音又は圧力を検出させる、制御回路、制御装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の制御回路は、
振動、音又は圧力を発生することができ、振動、音又は圧力を検出することができる静電型トランスデューサを制御する、制御回路であって、
第1制御信号が第1レベルの場合に、第2制御信号に応じた電圧を前記静電型トランスデューサの両端間に印加するように、電圧出力回路を制御し、前記第1制御信号が第2レベルの場合に、前記電圧出力回路を停止させる、電圧出力回路制御部と、
前記静電型トランスデューサの端子間電圧を第1閾値電圧以下にクランプしたクランプ電圧を出力する、電圧クランプ部と、
前記クランプ電圧が、第2閾値電圧以下になった場合に、前記第2レベルの前記第1制御信号を出力し、前記第2制御信号が、第3閾値電圧より高くなった場合に、前記第1レベルの前記第1制御信号を出力する、制御信号出力部と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0008】
前記制御回路において、
前記第2制御信号は、
振動、音又は圧力を前記静電型トランスデューサに発生させる場合には、発生させたい任意の波形の信号であり、振動、音又は圧力を前記静電型トランスデューサに検出させる場合には、振幅が前記任意の波形の信号より小さい三角波の信号である、
ことを特徴とする。
【0009】
前記制御回路において、
前記制御信号出力部は、
前記クランプ電圧と前記第2閾値電圧とを比較する第1コンパレータと、
前記第2制御信号と前記第3閾値電圧とを比較する第2コンパレータと、
前記第1コンパレータの出力信号によってセットされ、前記第2コンパレータの出力信号によってリセットされ、前記第1制御信号を出力するフリップフロップと、
を含む、
ことを特徴とする。
【0010】
前記制御回路において、
前記制御信号出力部は、
前記第1制御信号が変化してから予め定められた期間内は、前記第1コンパレータの出力信号をマスクするマスク回路を更に含む、
ことを特徴とする。
【0011】
前記制御回路において、
前記電圧クランプ部は、
ドレインが前記静電型トランスデューサの高電位側の端子に接続され、ゲートにバイアス電圧が供給され、ソースから前記クランプ電圧を出力するトランジスタを含む、
ことを特徴とする。
【0012】
前記制御回路において、
前記トランジスタは、
前記第2制御信号が前記第3閾値電圧以下の場合に、ゲートにバイアス電圧が供給され、前記第2制御信号が前記第3閾値電圧より高い場合に、ゲートにバイアス電圧が供給されない、
ことを特徴とする。
【0013】
前記制御回路において、
前記トランジスタは、
前記第2制御信号が、前記第3閾値電圧よりも高い第4閾値電圧以下の場合に、ゲートにバイアス電圧が供給され、前記第2制御信号が、前記第4閾値電圧よりも高い場合に、ゲートにバイアス電圧が供給されない、
ことを特徴とする。
【0014】
前記制御回路において、
前記クランプ電圧が前記第1閾値電圧より低い第5閾値電圧以下であり、且つ、前記第1制御信号が前記第2レベルの場合に、前記クランプ電圧を出力し、前記クランプ電圧が前記第5閾値電圧より高いか、又は、前記第1制御信号が前記第1レベルの場合に、前記第5閾値電圧を出力する、電圧出力部を更に含む、
ことを特徴とする。
【0015】
前記制御回路において、
前記電圧出力部は、
前記第1制御信号が前記第1レベルであっても、前記クランプ電圧が、前記第2閾値電圧よりも高い第6閾値電圧以下であり、且つ、前記第2制御信号が前記第3閾値電圧以下である場合に、前記クランプ電圧を出力する、
ことを特徴とする。
【0016】
前記制御回路において、
前記静電型トランスデューサは、静電型アクチュエータ又は静電型圧力検出素子である、
ことを特徴とする。
【0017】
前記制御回路において、
半導体集積回路である、
ことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様の制御装置は、
前記制御回路と、
前記電圧出力回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様のシステムは、
前記制御装置と、
前記第2制御信号を前記制御回路に出力する、信号出力部と、
前記クランプ電圧の変化に基づいて、前記静電型トランスデューサに印加された振動、音又は圧力を検出する、電圧変化検出部と、
を含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様の制御回路、制御装置及びシステムは、1個の静電型トランスデューサに振動、音又は圧力を発生させ、振動、音又は圧力を検出させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、比較例の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
図2図2は、比較例の検出原理を説明する図である。
図3図3は、比較例の検出原理を説明する図である。
図4図4は、第1の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態のシステムの各部の信号の波形を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態のシステムの各部の信号の波形を示す図である。
図7図7は、第1の実施の形態のシステムの各部の信号の波形を示す図である。
図8図8は、第1の実施の形態のシステムの各部の信号の波形を示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
図10図10は、第3の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
図11図11は、第4の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
図12図12は、第5の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の制御回路、制御装置及びシステムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0023】
<第1の実施の形態>
以下、第1の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態の理解を容易にするため、先に比較例について説明する。
【0024】
(比較例)
図1は、比較例の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。システム100は、制御装置102と、マイクロコンピュータ103と、直流電源4と、静電型トランスデューサ5と、コンデンサ6と、を含む。
【0025】
静電型トランスデューサ5は、特許文献1記載の静電型トランスデューサが例示されるが、本開示はこれに限定されない。静電型トランスデューサ5は、静電型アクチュエータ又は静電型圧力検出素子と称してもよい。
【0026】
静電型トランスデューサ5は、直列接続された抵抗21及びコンデンサ22と、コンデンサ22に並列接続された抵抗23と、の等価回路で表される。
【0027】
抵抗21の抵抗値は、120Ω(オーム)から360Ω程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。コンデンサ22の静電容量は、100nF(ナノファラド)から300nF程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。抵抗23の抵抗値は、12MΩ(メガオーム)程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0028】
静電型トランスデューサ5は、高電圧(例えば、410V)が印加されると、コンデンサ22の両電極間の間隔が変化することで、振動、音又は圧力を発生することができる。
【0029】
また、静電型トランスデューサ5は、振動、音又は圧力が印加されると、コンデンサ22の両電極間の間隔が変化することで、振動、音又は圧力を検出することができる。
【0030】
コンデンサ6は、静電型トランスデューサ5に電気的に並列接続されている。コンデンサ6は、静電型トランスデューサ5に印加される電圧を平滑化する。
【0031】
図2及び図3は、比較例の検出原理を説明する図である。
【0032】
スイッチ203は、パルス発生回路202が発生するパルス信号に応じて、オンオフする。
【0033】
スイッチ203は、パルス信号がハイレベルの場合に、オン状態になる。スイッチ203がオン状態になると、直流電源201の電圧が、静電型トランスデューサ5に印加され、電荷が、コンデンサ22にチャージされる。直流電源201の電圧は、予め定められた電圧である5Vが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0034】
スイッチ203は、パルス信号がローレベルの場合に、オフ状態になる。スイッチ203がオフ状態になると、コンデンサ22にチャージされた電荷が、抵抗205を介して放電される。電圧検出回路204は、静電型トランスデューサ5の電圧を検出する。
【0035】
抵抗205の抵抗値は、2MΩ程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0036】
図3を参照すると、タイミングt100からタイミングt101までの間において、スイッチ203がオン状態になると、静電型トランスデューサ5の電圧は、直流電源201の電圧と同じになる。
【0037】
タイミングt101からタイミングt102までの間において、スイッチ203がオフ状態になると、コンデンサ22にチャージされた電荷が放電される。従って、静電型トランスデューサ5の電圧は、抵抗21、コンデンサ22、抵抗23、及び、抵抗205の時定数に応じて、下降する。
【0038】
タイミングt103からタイミングt104までの間において、スイッチ203がオン状態になる。このとき、静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力が印加されると、コンデンサ22の両電極間の間隔が短くなり、コンデンサ22の静電容量が大きくなる。つまり、抵抗21、コンデンサ22、抵抗23、及び、抵抗205の時定数が、大きくなる。
【0039】
タイミングt104からタイミングt105までの間において、スイッチ203がオフ状態になると、コンデンサ22にチャージされた電荷が放電される。このとき、抵抗21、コンデンサ22、抵抗23、及び、抵抗205の時定数が大きくなっている。従って、静電型トランスデューサ5の電圧は、タイミングt101からタイミングt102までの間と比べて、緩やかに下降する。これにより、静電型トランスデューサ5は、振動、音又は圧力を検出することができる。
【0040】
再び図1を参照すると、制御装置102は、電圧出力回路7と、制御回路108と、を含む。
【0041】
電圧出力回路7は、フライバック型のコンバータとするが、本開示はこれに限定されない。電圧出力回路7は、フォワード型のコンバータであってもよいし、インバータであってもよい。
【0042】
制御回路108は、マイクロコンピュータ103の制御下で、電圧出力回路7を制御する。電圧出力回路7は、制御回路108の制御下で、直流電源4の電力を変換して、変換後の電力を静電型トランスデューサ5に印加する。
【0043】
直流電源4の電圧は、12Vが例示されるが、本開示はこれに限定されない。電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に印加する電圧は、0Vから410Vの間で変化する電圧とするが、本開示はこれに限定されない。電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に印加する電圧の波形は、静電型トランスデューサ5から発生させたい任意の波形である。任意の波形は、正弦波、又は、複数の正弦波を重ね合わせた合成波が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0044】
制御回路108は、静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力を発生させる場合に、電圧出力回路7を動作させる。
【0045】
制御回路108は、静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力を検出させる場合に、電圧出力回路7を停止させる。
【0046】
制御回路108は、ドライバIC(Integrated Circuit:半導体集積回路)とするが、本開示はこれに限定されない。
【0047】
電圧出力回路7は、トランス11と、ダイオード12及び14と、Nチャネル型のトランジスタ13及び15と、抵抗16及び17と、分圧回路18と、を含む。
【0048】
分圧回路18は、静電型トランスデューサ5の電圧Sを分圧した分圧電圧Sを、制御回路108に出力する。分圧回路18は、静電型トランスデューサ5の電圧を410分の1に分圧することが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0049】
比較例では、電圧出力回路7がフライバック型のコンバータであるので、トランス11の1次巻線11aと、2次巻線11bとは、逆極性に巻かれている。
【0050】
電圧出力回路7は、回生型であり、1次側回路と2次側回路とが対称になっている。電圧出力回路7は、回生型としたが、本開示はこれに限定されない。
【0051】
電圧出力回路7は、回生型とすることで、静電型トランスデューサ5側の電力を直流電源4側に回生できるので、電力損失を抑制できる。
【0052】
トランス11の1次巻線11aの一端は、直流電源4の高電位側の端子に、電気的に接続されている。ダイオード12のアノードは、直流電源4の低電位側の端子に、電気的に接続されている。直流電源4の低電位側の端子は、基準電位に電気的に接続されている。基準電位は、接地電位が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0053】
ダイオード12のカソードは、トランス11の1次巻線11aの他端に、電気的に接続されている。トランジスタ13のドレイン-ソース経路は、ダイオード12に、電気的に並列接続されている。トランジスタ13のゲートには、抵抗16を介して、第1スイッチング信号Sが制御回路108から入力される。
【0054】
トランス11の2次巻線11bの一端は、静電型トランスデューサ5の一端に、電気的に接続されている。ダイオード14のアノードは、静電型トランスデューサ5の他端に、電気的に接続されている。静電型トランスデューサ5の他端は、基準電位に電気的に接続されている。
【0055】
ダイオード14のカソードは、トランス11の2次巻線11bの他端に、電気的に接続されている。トランジスタ15のドレイン-ソース経路は、ダイオード14に、電気的に並列接続されている。トランジスタ15のゲートには、抵抗17を介して、第2スイッチング信号Sが制御回路108から入力される。
【0056】
制御回路108は、静電型トランスデューサ5の電圧Sを上昇させる場合(例えば、0Vから410Vへと正弦波状に上昇させる場合)には、PWM(Pulse Width Modulation)の第1スイッチング信号Sをトランジスタ13のゲートに出力し、トランジスタ13をスイッチング動作させる。
【0057】
トランジスタ13がオン状態の期間に、トランス11の1次巻線11a側にエネルギーが蓄積される。トランジスタ13がオフ状態の期間に、トランス11の2次巻線11bから、エネルギーが放出される。2次巻線11bから放出されたエネルギーは、ダイオード14で整流され、静電型トランスデューサ5に入力される。
【0058】
制御回路108は、静電型トランスデューサ5の電圧Sを下降させる場合(例えば、410Vから0Vへと正弦波状に下降させる場合)には、PWMの第2スイッチング信号Sをトランジスタ15のゲートに出力し、トランジスタ15をスイッチング動作させる。
【0059】
トランジスタ15がオン状態の期間に、トランス11の2次巻線11b側にエネルギーが蓄積される。トランジスタ15がオフ状態の期間に、トランス11の1次巻線11aから、エネルギーが放出される。1次巻線11aから放出されたエネルギーは、ダイオード12で整流され、直流電源4に入力される。
【0060】
制御回路108は、電圧出力回路制御部30と、パルス信号出力部140と、電圧クランプ部50と、を含む。
【0061】
電圧出力回路制御部30は、スイッチング信号出力部31と、エラーアンプ32と、バッファ33及び34と、を含む。
【0062】
エラーアンプ32の非反転入力端子には、出力電圧制御信号S102が、マイクロコンピュータ103内の出力電圧制御信号出力回路122から入力される。出力電圧制御信号S102は、0Vから1Vの間で変化する電圧とするが、本開示はこれに限定されない。出力電圧制御信号S102の波形は、静電型トランスデューサ5から発生させたい任意の波形である。任意の波形は、正弦波、又は、複数の正弦波を重ね合わせた合成波が例示されるが、本開示はこれに限定されない。電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に印加する電圧Sは、出力電圧制御信号S102に予め定められたゲインを乗じた電圧となる。
【0063】
エラーアンプ32の反転入力端子には、分圧電圧Sが、分圧回路18から入力される。
【0064】
エラーアンプ32は、出力電圧制御信号S102と分圧電圧Sとの差分に応じた信号を、スイッチング信号出力部31に出力する。例えば、エラーアンプ32は、出力電圧制御信号S102と分圧電圧Sとの差分を増幅して、スイッチング信号出力部31に出力する。
【0065】
スイッチング信号出力部31には、検出制御信号S101が、マイクロコンピュータ103内の検出制御信号出力回路121から入力される。
【0066】
検出制御信号出力回路121は、静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力を出力させる場合には、ローレベル(第1レベル)の検出制御信号S101をスイッチング信号出力部31に出力する。
【0067】
検出制御信号出力回路121は、静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力を検出させる場合には、ハイレベル(第2レベル)の検出制御信号S101をスイッチング信号出力部31に出力する。
【0068】
スイッチング信号出力部31は、検出制御信号S101がローレベルの場合には、エラーアンプ32の出力信号に基づき、第1スイッチング信号S又は第2スイッチング信号Sを電圧出力回路7に出力して、電圧出力回路7を動作させる。
【0069】
スイッチング信号出力部31は、PWMの第1スイッチング信号Sを、バッファ33及び抵抗16を介して、トランジスタ13のゲートに出力する。スイッチング信号出力部31は、PWMの第2スイッチング信号Sを、バッファ34及び抵抗17を介して、トランジスタ15のゲートに出力する。
【0070】
スイッチング信号出力部31は、検出制御信号S101がハイレベルの場合には、第1スイッチング信号S及び第2スイッチング信号Sを電圧出力回路7に出力せず、電圧出力回路7を停止させる。
【0071】
パルス信号出力部140は、バッファ141を含む。バッファ141には、マイクロコンピュータ103内のパルス信号発生回路123から、パルス信号S103が入力される。パルス信号S103は、ローレベルが0Vであり、ハイレベルが5Vであるとするが、本開示はこれに限定されない。バッファ141は、パルス信号S103を、ダイオード9を介して、静電型トランスデューサ5の一端に出力する。
【0072】
ダイオード9は、高耐圧型(例えば、410V以上の耐圧)である。静電型トランスデューサ5の電圧がバッファ141の出力電圧より高い場合は、ダイオード9はオフ状態となる。これにより、バッファ141に高電圧が印加されることを抑制でき、バッファ141が保護される。
【0073】
ダイオード9は、制御回路108(ドライバIC)内に設けられてもよい。
【0074】
電圧クランプ部50は、直流電源51と、Nチャネル型のトランジスタ52と、を含む。直流電源51の低電位側の端子は、基準電位に電気的に接続されている。直流電源51の高電位側の端子は、トランジスタ52のゲートに電気的に接続されている。直流電源51の出力電圧は、8Vが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0075】
トランジスタ52は、高耐圧型(例えば、410V以上の耐圧)である。トランジスタ52のゲート-ソース間の電圧閾値VTHは、3Vが例示される。そして、トランジスタ52のゲートには、8Vのバイアス電圧が印加されている。従って、トランジスタ52のソース電圧は、最大で5V(=8V-3V)が例示される。
【0076】
トランジスタ52のソース電圧の最大値(例えば、5V)が、本開示の「第1閾値電圧」に対応する。
【0077】
トランジスタ52のソース電圧は、ドレイン電圧が5V以下の場合は、ドレイン電圧に等しくなる。トランジスタ52のソース電圧は、ドレイン電圧が5Vより高い場合は、5Vになる。つまり、トランジスタ52は、静電型トランスデューサ5の一端の電圧Sを5V以下にクランプしたクランプ電圧Sをマイクロコンピュータ103内の電圧変化検出部124に出力する。
【0078】
電圧変化検出部124は、図2及び図3で説明した検出原理に基づき、クランプ電圧Sの変化に基づいて、静電型トランスデューサ5に印加された振動、音又は圧力を検出することができる。例えば、電圧変化検出部124は、クランプ電圧Sが5Vから予め定められた電圧まで下降する時間を計測することにより、静電型トランスデューサ5の時定数、即ち静電型トランスデューサ5に印加された振動、音又は圧力を検出することができる。
【0079】
制御装置102は、上記の構成により、1個の静電型トランスデューサ5を制御し、振動、音又は圧力を発生させ、振動、音又は圧力を検出させることができる。
【0080】
(第1の実施の形態)
図4は、第1の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。なお、比較例と同様の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0081】
システム1は、制御装置2と、マイクロコンピュータ3と、を含む。制御装置2は、制御回路8を含む。制御回路8は、制御回路108(図1参照)と比較して、パルス信号出力部140を含んでいない。また、制御回路8は、制御回路108と比較して、制御信号出力部60を更に含む。
【0082】
マイクロコンピュータ3は、マイクロコンピュータ103(図1参照)と比較して、検出制御信号出力回路121、出力電圧制御信号出力回路122、及び、パルス信号発生回路123を含んでいない。また、マイクロコンピュータ3は、マイクロコンピュータ103と比較して、出力電圧制御信号出力回路125を更に含む。
【0083】
制御信号出力部60は、RS型のフリップフロップ61と、コンパレータ62と、直流電源63と、マスク回路64と、NANDゲート回路65と、コンパレータ66と、直流電源67と、を含む。
【0084】
コンパレータ66が、本開示の「第1コンパレータ」に対応する。コンパレータ62が、本開示の「第2コンパレータ」に対応する。
【0085】
フリップフロップ61は、NANDゲート回路65の出力信号がローレベルの場合にセットされ、ハイレベルの検出制御信号Sを出力する。
【0086】
フリップフロップ61は、コンパレータ62の出力信号がローレベルの場合にリセットされ、ローレベルの検出制御信号Sを出力する。
【0087】
検出制御信号Sが、本開示の「第1制御信号」に対応する。
【0088】
NANDゲート回路65は、コンパレータ66の出力信号がハイレベルであり、且つ、マスク回路64の出力信号がハイレベルである場合に、ローレベルの信号をフリップフロップ61の反転セット端子に出力する。NANDゲート回路65は、その他の場合に、ハイレベルの信号をフリップフロップ61の反転セット端子に出力する。
【0089】
コンパレータ66の反転入力端子には、クランプ電圧Sが入力される。先に説明した通り、クランプ電圧Sは、0Vから5Vの範囲で変化する。
【0090】
コンパレータ66の非反転入力端子には、直流電源67の電圧が入力される。直流電源67は、第2閾値電圧Vthを出力する。第2閾値電圧Vthは、1Vが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0091】
コンパレータ66は、クランプ電圧Sが第2閾値電圧Vth(例えば、1V)以下である場合は、ハイレベルの信号をNANDゲート回路65の一方の入力端子に出力する。コンパレータ66は、クランプ電圧Sが第2閾値電圧Vthよりも高い場合は、ローレベルの信号をNANDゲート回路65の一方の入力端子に出力する。
【0092】
マスク回路64は、フリップフロップ61の反転出力信号(検出制御信号Sの論理反転信号)を、NANDゲート回路65の他方の入力端子に出力する。但し、マスク回路64は、フリップフロップ61の反転出力信号がハイレベルからローレベルに変化してから、予め定められた期間内は、コンパレータ66がハイレベルを出力したとしても、NANDゲート回路65の出力をハイレベルに維持する。つまり、マスク回路64は、コンパレータ66の出力信号をマスクする。従って、マスク回路64は、チャタリングを抑制することができる。マスク回路64は、ワンショット回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0093】
コンパレータ62の反転入力端子には、出力電圧制御信号Sが、マイクロコンピュータ3内の出力電圧制御信号出力回路125から入力される。
【0094】
出力電圧制御信号Sは、振動、音又は圧力を静電型トランスデューサ5に発生させる場合には、0Vから1Vの範囲で変化する信号とするが、本開示はこれに限定されない。出力電圧制御信号Sの波形は、静電型トランスデューサ5から発生させたい任意の波形である。任意の波形は、正弦波、又は、複数の正弦波を重ね合わせた合成波が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0095】
また、出力電圧制御信号Sは、振動、音又は圧力を静電型トランスデューサ5に検出させる場合には、0Vから100mVの範囲で三角波状に変化する信号とするが、本開示はこれに限定されない。
【0096】
出力電圧制御信号Sが、本開示の「第2制御信号」に対応する。
【0097】
コンパレータ62の非反転入力端子には、直流電源63の電圧が入力される。直流電源63は、第3閾値電圧Vthを出力する。第3閾値電圧Vthは、30mVが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0098】
コンパレータ62は、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vth(例えば、30mV)以下である場合は、ハイレベルの信号をフリップフロップ61の反転リセット端子に出力する。コンパレータ62は、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vthよりも高い場合は、ローレベルの信号をフリップフロップ61の反転リセット端子に出力する。
【0099】
以上を総合すると、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vthよりも高くなると、フリップフロップ61がリセットされるので、制御信号出力部60は、ローレベルの検出制御信号Sを出力する。これにより、電圧出力回路制御部30は、出力電圧制御信号Sに応じた電圧を静電型トランスデューサ5に印加するように、電圧出力回路7を制御する。
【0100】
出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vthよりも高い間は、制御信号出力部60は、ローレベルの検出制御信号Sを出力し続ける。これにより、電圧出力回路制御部30は、出力電圧制御信号Sに応じた電圧を静電型トランスデューサ5に印加するように、電圧出力回路7を制御し続ける。
【0101】
その後、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vth以下になり、且つ、クランプ電圧Sが第2閾値電圧Vth以下になると、フリップフロップ61がセットされる。従って、制御信号出力部60は、ハイレベルの検出制御信号Sを出力する。これにより、電圧出力回路制御部30は、電圧出力回路7を停止させる。
【0102】
図5から図8は、第1の実施の形態のシステムの各部の信号の波形を示す図である。
【0103】
図5は、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形301を示す図である。静電型トランスデューサ5が振動、音又は圧力を検出する期間を、本開示では「検出期間」と称する。タイミングtからタイミングtまでは、検出期間311であり、タイミングtからタイミングtまでは、検出期間313である。
【0104】
静電型トランスデューサ5が振動、音又は圧力を発生する期間を、本開示では「発生期間」と称する。タイミングtからタイミングtまでは、発生期間312であり、タイミングtからタイミングtまでは、発生期間314である。
【0105】
発生期間312及び314では、出力電圧制御信号Sが、例えば正弦波状に変化する。これに応じて、発生期間312及び314では、電圧出力回路7は、例えば正弦波状の電圧Sを、静電型トランスデューサ5に印加する。例えば、発生期間312及び314では、電圧出力回路7は、0Vから410V程度の範囲で変化する例えば正弦波状の電圧Sを、静電型トランスデューサ5に印加する。
【0106】
また、検出期間311及び313では、出力電圧制御信号Sは、三角波状に変化する。これに応じて、検出期間311及び313では、電圧出力回路7は、振幅が例えば正弦波より小さい三角波状の電圧Sを、静電型トランスデューサ5に印加する。例えば、検出期間311及び313では、電圧出力回路7は、1Vから10V程度の範囲で変化する三角波状の電圧Sを、静電型トランスデューサ5に印加する。
【0107】
図5に示すように、検出期間313は、発生期間312と発生期間314との間の谷間部分(低電圧部分)に設けることも可能である。
【0108】
図6は、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形301を示す図である。詳しくは、図6は、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形301の、検出期間での拡大図である。
【0109】
検出期間の内の、電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に電圧Sを印加する期間を、本開示では「検出電圧印加期間」と称する。タイミングt10からタイミングt11までは、検出電圧印加期間321である。
【0110】
検出期間の内の、電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に電圧Sを印加せず、電圧変化検出部124がクランプ電圧Sをセンシングする期間を、本開示では「検出センシング期間」と称する。タイミングt11からタイミングt12までは、検出センシング期間322である。
【0111】
検出電圧印加期間321では、電圧出力回路7は、出力電圧制御信号Sに応じて、一定の第1勾配で上昇し、その後一定の第2勾配で下降する三角波状の電圧Sを、静電型トランスデューサ5に印加する。第1勾配と第2勾配とは、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0112】
電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に印加する三角波状の電圧Sのピーク値は、例えば、10V程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。出力電圧制御信号Sの三角波状の電圧の周波数、即ち、電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に印加する三角波状の電圧Sの周波数は、1kHz(キロヘルツ)程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0113】
なお、出力電圧制御信号Sの波形は、瞬間的に上昇し、その後一定の勾配で下降する三角波の一種である、のこぎり波状であっても良い。つまり、電圧出力回路7は、のこぎり波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加しても良い。但し、電圧出力回路7が、のこぎり波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加すると、のこぎり波のピーク付近で静電型トランスデューサ5の電圧Sに大きな変動(オーバーシュート)が発生し、変動が収束するのに時間が掛かる可能性がある。従って、変動が収束する時間を抑制する観点から、出力電圧制御信号Sの波形は、三角波状であることが、好ましい。つまり、電圧出力回路7は、三角波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加することが、好ましい。
【0114】
また、出力電圧制御信号Sの波形は、正弦波状であっても良い。つまり、電圧出力回路7は、正弦波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加しても良い。但し、電圧出力回路7が正弦波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加すると、コンデンサ22の静電容量の計算(後述)が複雑になる。従って、コンデンサ22の静電容量の計算の簡素化の観点から、出力電圧制御信号Sの波形は、一定の勾配で下降する、三角波状であることが、好ましい。つまり、電圧出力回路7は、三角波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加することが、好ましい。
【0115】
図7は、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形301を示す図である。詳しくは、図7は、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形301の、検出センシング期間322近傍での拡大図である。
【0116】
静電型トランスデューサ5に振動、音又は圧力が印加されると、コンデンサ22の両電極間の間隔が変化するので、コンデンサ22の静電容量が変化する。従って、タイミングt11において、電圧出力回路7が静電型トランスデューサ5に電圧Sを印加することを終了すると、検出センシング期間322において、静電型トランスデューサ5の電圧Sは、コンデンサ22の静電容量に応じた電圧になる。なお、検出センシング期間322において、静電型トランスデューサ5の電圧Sは、若干の過渡状態を有して、上昇する。
【0117】
検出センシング期間322において、コンデンサ22の静電容量が小さいほど、静電型トランスデューサ5の電圧Sは低くなり、コンデンサ22の静電容量が大きいほど、静電型トランスデューサ5の電圧Sは高くなる。つまり、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形が波形301aとなる場合、コンデンサ22の静電容量は、波形301b及び301cの場合よりも小さい。また、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形が波形301cとなる場合、コンデンサ22の静電容量は、波形301a及び301bの場合よりも大きい。また、静電型トランスデューサ5の電圧Sの波形が波形301bとなる場合、コンデンサ22の静電容量は、波形301aの場合と波形301cの場合との間になる。
【0118】
図8は、制御回路8の各部の信号の波形を示す図である。詳しくは、図8は、制御回路8の各部の信号の波形の、検出センシング期間322近傍での拡大図である。
【0119】
図8(a)を参照すると、波形401は、出力電圧制御信号Sの波形である。出力電圧制御信号Sは、一定の第2勾配で下降し、検出センシング期間322内でゼロになり、その後、一定の第1勾配で上昇する。
【0120】
図8(f)を参照すると、波形406は、検出制御信号Sの波形である。検出電圧印加期間321及び323において、フリップフロップ61がリセットされるので、検出制御信号Sは、ローレベルである。また、検出センシング期間322において、フリップフロップ61がセットされるので、検出制御信号Sは、ハイレベルである。従って、スイッチング信号出力部31は、検出電圧印加期間321及び323において、電圧出力回路7を動作させ、検出センシング期間322において、電圧出力回路7を停止させる。
【0121】
図8(c)を参照すると、波形403は、第2スイッチング信号Sの波形である。検出電圧印加期間321において、検出制御信号Sがローレベルであるので、スイッチング信号出力部31は、PWMの第2スイッチング信号Sをトランジスタ15のゲートに出力し、トランジスタ15をスイッチング動作させる。これにより、電圧出力回路7は、波形301で示すように、静電型トランスデューサ5の電圧Sを下降させる。
【0122】
図8(b)を参照すると、波形402は、コンデンサ22の電圧の波形である。波形402で表されるコンデンサ22の電圧は、波形301で表される電圧出力回路7の印加電圧(電圧S)よりも、高い。コンデンサ22の電圧と電圧出力回路7の印加電圧との電圧差により、電流が、コンデンサ22から抵抗21を経由して電圧出力回路7へ流れる。つまり、コンデンサ22の電荷が、抵抗21を経由して、電圧出力回路7へ引き抜かれる。コンデンサ22から抵抗21を経由して電圧出力回路7へ流れる電流を、本開示では「引き抜き電流」と称する。
【0123】
図8(e)を参照すると、波形405は、抵抗21に流れる電流の波形である。電圧出力回路7からコンデンサ22へ流れる方向を正とし、コンデンサ22から電圧出力回路7へ流れる方向を負としている。
【0124】
コンデンサ22の電圧と電圧出力回路7の印加電圧(電圧S)との電圧差は、抵抗21での電圧降下分に等しい。
【0125】
コンデンサ22の静電容量Cと、引き抜き電流Iと、電圧出力回路7の印加電圧(電圧S)Vと、の間には、次の式(1)が成り立つ。
I=C×dV/dt ・・・(1)
【0126】
第1の実施の形態では、電圧出力回路7の印加電圧(電圧S)の変化率dV/dtを一定としているので、引き抜き電流Iは、一定となる。
【0127】
なお、出力電圧制御信号Sの波形が正弦波状である場合、即ち、電圧出力回路7が正弦波状の電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加する場合、電圧Sの変化率dV/dtが一定ではないので、引き抜き電流Iも、一定とならない。
【0128】
タイミングt11において、波形301で示すように、電圧出力回路7の印加電圧(電圧S)が第2閾値電圧Vth以下になると、フリップフロップ61がセットされる。従って、波形406で示すように、検出制御信号Sがハイレベルになる。これにより、スイッチング信号出力部31は、電圧出力回路7を停止させる。つまり、電圧出力回路7は、電圧出力を停止する。
【0129】
電圧出力回路7が電圧出力を停止すると、抵抗21に電流が流れなくなる。これにより、抵抗21での電圧降下が無くなる。従って、検出センシング期間322において、波形301で表される静電型トランスデューサ5の電圧Sは、コンデンサ22の電圧に略等しくなる。
【0130】
電圧変化検出部124は、検出センシング期間322内(例えば、タイミングt12)において、静電型トランスデューサ5の電圧S(クランプ電圧S)をセンシングする。静電型トランスデューサ5の電圧S(クランプ電圧S)と第2閾値電圧Vthとの電圧差が、抵抗21での電圧降下分に相当する。電圧変化検出部124は、抵抗21での電圧降下分を抵抗21の抵抗値で除することにより、引き抜き電流Iを計算できる。これにより、式(1)において、引き抜き電流I、及び、電圧Sの変化率dV/dtが、既知となる。従って、電圧変化検出部124は、コンデンサ22の静電容量Cを計算できる。これにより、電圧変化検出部124は、静電型トランスデューサ5に印加された振動、音又は圧力を検出することができる。
【0131】
タイミングt12において、波形401で示すように、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vthを超えると、フリップフロップ61がリセットされる。従って、波形406で示すように、検出制御信号Sがローレベルになる。これにより、スイッチング信号出力部31は、電圧出力回路7を動作させる。つまり、電圧出力回路7は、電圧を出力する。
【0132】
一方、検出センシング期間322では、電圧出力回路7は電圧出力を停止しているため、電圧出力回路7の電圧は、出力電圧制御信号Sに応じた電圧とならない。よって、エラーアンプ32は、制御範囲(ダイナミックレンジ)から外れている。図示していないが、検出センシング期間322から検出電圧印加期間323への切り替わり時の出力オーバーシュート対策の為、検出センシング期間322の間、エラーアンプ32の出力をローレベルに下げている。これにより、波形301に示すように、静電型トランスデューサ5の電圧Sは、一時低下する。その後、出力電圧制御信号Sが上昇するとともに、電圧出力回路7は、出力電圧制御信号Sに応じた電圧を、静電型トランスデューサ5に印加する。波形404は、第1スイッチング信号Sの波形である。これにより、静電型トランスデューサ5の電圧Sも、上昇する。
【0133】
(まとめ)
制御回路8は、制御回路108と同様に、1個の静電型トランスデューサ5を制御し、振動、音又は圧力を発生させ、振動、音又は圧力を検出させることができる。
【0134】
また、制御装置102では、図2及び図3で検出原理を説明した通り、コンデンサ22を自然放電させる。従って、コンデンサ22の放電に時間が掛かる。なお、図2中の抵抗205(図1中の分圧回路18に対応)の抵抗値を小さくすれば、コンデンサ22の自然放電に掛かる時間を短くすることができる。しかしながら、抵抗205は、ピーク時に410Vの高電圧が印加される。従って、抵抗205の抵抗値を小さくすると、抵抗205に流れる電流が大きくなる。つまり、抵抗205がダメージを受ける可能性がある。従って、抵抗205の抵抗値を小さくすることには、限度がある。つまり、コンデンサ22の自然放電に掛かる時間を短くすることには、限度がある。
【0135】
一方、制御装置2では、電圧出力回路7が、一定の第2勾配で下降する電圧Sを静電型トランスデューサ5に印加し、コンデンサ22の電圧を強制的に低下させる。つまり、電圧出力回路7は、コンデンサ22の電荷を強制的に放電する。従って、制御装置2は、制御装置102と比較して、コンデンサ22の放電に掛かる時間を短くすることができる。これにより、制御装置2は、制御装置102と比較して、短い時間で、振動、音又は圧力を検出することが可能である。
【0136】
また、システム1は、システム100と比較して、検出制御信号出力回路121及びパルス信号発生回路123を不要にすることができる。これにより、システム1は、マイクロコンピュータ3の回路を抑制できるとともに、マイクロコンピュータ3と制御回路8との間の配線を抑制することができる。
【0137】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。なお、第1の実施の形態又は比較例と同様の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0138】
システム1Aは、制御装置2Aを含む。制御装置2Aは、制御回路8Aを含む。制御回路8Aは、制御回路8と比較して、電圧出力部70を更に含む。
【0139】
電圧出力部70は、直流電源71と、コンパレータ72と、NANDゲート回路73と、NOTゲート回路(インバータ回路)74と、トランスファーゲート75及び76と、を含む。
【0140】
直流電源71は、第5閾値電圧Vthを出力する。第5閾値電圧Vthは、第1閾値電圧Vth(例えば、5V)よりも低い電圧(例えば、4.5V)である。
【0141】
トランスファーゲート75の入力端子には、第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)が直流電源71から入力される。トランスファーゲート76の入力端子には、クランプ電圧Sが入力される。
【0142】
コンパレータ72の反転入力端子には、クランプ電圧Sが入力される。コンパレータ72の非反転入力端子には、第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)が入力される。コンパレータ72は、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth以下の場合には、ハイレベルの信号をNANDゲート回路73の一方の入力端子に出力する。コンパレータ72は、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vthより高い場合には、ローレベルの信号をNANDゲート回路73の一方の入力端子に出力する。
【0143】
NANDゲート回路73の他方の入力端子には、検出制御信号Sが入力される。NANDゲート回路73は、コンパレータ72の出力信号がハイレベルであり、且つ、検出制御信号Sがハイレベルである場合に、ローレベルの信号を、NOTゲート回路74の入力端子及びトランスファーゲート75の制御端子に出力する。NANDゲート回路73は、その他の場合に、ハイレベルの信号を、NOTゲート回路74の入力端子及びトランスファーゲート75の制御端子に出力する。
【0144】
NOTゲート回路74は、NANDゲート回路73の出力信号を論理反転して、トランスファーゲート76の制御端子に出力する。
【0145】
以上を総合すると、NANDゲート回路73は、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)以下であり、且つ、検出制御信号Sがハイレベルである場合に、ローレベルの信号を、トランスファーゲート75の制御端子に出力する。つまり、NANDゲート回路73は、クランプ電圧Sが4.5V以下であり、且つ、電圧出力回路7が停止している場合に、ローレベルの信号を、トランスファーゲート75の制御端子に出力する。これにより、トランスファーゲート75は、オフ状態になる。一方、NOTゲート回路74は、ハイレベルの信号を、トランスファーゲート76の制御端子に出力する。これにより、トランスファーゲート76は、オン状態になる。従って、トランスファーゲート76は、クランプ電圧Sを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0146】
一方、NANDゲート回路73は、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)より高いか、又は、検出制御信号Sがローレベルである場合に、ハイレベルの信号を、トランスファーゲート75の制御端子に出力する。つまり、NANDゲート回路73は、クランプ電圧Sが4.5Vより高いか、又は、電圧出力回路7が動作している場合に、ハイレベルの信号を、トランスファーゲート75の制御端子に出力する。これにより、トランスファーゲート75は、オン状態になる。一方、NOTゲート回路74は、ローレベルの信号を、トランスファーゲート76の制御端子に出力する。これにより、トランスファーゲート76は、オフ状態になる。従って、トランスファーゲート75は、第5閾値電圧Vthを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0147】
例えば、再び図8を参照すると、検出センシング期間322において、波形406で表される検出制御信号Sがハイレベルであり、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth以下であるので、NANDゲート回路73は、ローレベルの信号を出力する。従って、電圧出力部70は、検出センシング期間322において、クランプ電圧Sを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。一方、検出電圧印加期間321及び323において、波形406で表される検出制御信号Sがローレベルであるので、NANDゲート回路73は、ハイレベルの信号を出力する。従って、電圧出力部70は、検出電圧印加期間321及び323、つまり電圧出力回路7が動作している場合に、第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)を、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0148】
従って、電圧出力部70は、電圧出力回路7が動作している場合は、第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)を出力電圧Sとして出力するので、出力電圧Sの不要な変動を抑制できる。これにより、電圧変化検出部124は、コンデンサ22の電圧を安定してセンシングすることができる。
【0149】
<第3の実施の形態>
図10は、第3の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。なお、第1若しくは第2の実施の形態、又は、比較例と同様の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0150】
システム1Bは、制御装置2Bを含む。制御装置2Bは、制御回路8Bを含む。制御回路8Bは、制御回路8Aと比較して、電圧出力部70に代えて、電圧出力部70Bを含む。
【0151】
電圧出力部70Bは、電圧出力部70と比較して、直流電源77と、コンパレータ78と、NANDゲート回路79及び80と、を更に含む。
【0152】
直流電源77は、第2閾値電圧Vth(例えば、1V)よりも高い第6閾値電圧Vthを出力する。第6閾値電圧Vthは、1.5Vが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0153】
コンパレータ78の反転入力端子には、クランプ電圧Sが入力される。コンパレータ72の非反転入力端子には、第6閾値電圧Vth(例えば、1.5V)が入力される。コンパレータ78は、クランプ電圧Sが第6閾値電圧Vth以下の場合には、ハイレベルの信号をNANDゲート回路79の一方の入力端子に出力する。コンパレータ78は、クランプ電圧Sが第6閾値電圧Vthより高い場合には、ローレベルの信号をNANDゲート回路79の一方の入力端子に出力する。
【0154】
NANDゲート回路79の他方の入力端子には、コンパレータ62の出力信号が入力される。NANDゲート回路79は、コンパレータ78の出力信号がハイレベルであり、且つ、コンパレータ62の出力信号がハイレベルである場合に、ローレベルの信号を、NANDゲート回路80の一方の入力端子に出力する。NANDゲート回路79は、その他の場合に、ハイレベルの信号を、NANDゲート回路80の一方の入力端子に出力する。
【0155】
NANDゲート回路80の他方の入力端子には、フリップフロップ61の反転出力信号(検出制御信号Sの論理反転信号)が入力される。NANDゲート回路80は、NANDゲート回路79の出力信号がハイレベルであり、且つ、フリップフロップ61の反転出力信号がハイレベルである場合に、ローレベルの信号を、NANDゲート回路73の他方の入力端子に出力する。NANDゲート回路80は、その他の場合に、ハイレベルの信号を、NANDゲート回路73の他方の入力端子に出力する。
【0156】
以上を総合すると、電圧出力部70Bは、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)より高い場合は、他の条件に依らず、第5閾値電圧Vthを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0157】
次に、電圧出力部70Bは、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)以下の場合は、検出制御信号Sがハイレベルの場合(電圧出力回路7が停止している場合)に、クランプ電圧Sを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0158】
更に、電圧出力部70Bは、クランプ電圧Sが第5閾値電圧Vth(例えば、4.5V)以下であり、且つ、検出制御信号Sがローレベルの場合(電圧出力回路7が動作している場合)であっても、次の条件下で、クランプ電圧Sを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。即ち、電圧出力部70Bは、クランプ電圧Sが第6閾値電圧Vth(例えば、1.5V)以下であり、且つ、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vth(例えば、30mV)以下である場合に、クランプ電圧Sを、出力電圧Sとして、電圧変化検出部124に出力する。
【0159】
従って、電圧出力部70Bがクランプ電圧Sを出力電圧Sとして出力するタイミングは、第2の実施の形態の電圧出力部70と比較して、早くなる。これにより、電圧変化検出部124は、第2の実施の形態と比較して、早いタイミングから、コンデンサ22の電圧のセンシングを開始することができる。これにより、電圧変化検出部124は、出力電圧Sをより安定してセンシングすることができる。
【0160】
<第4の実施の形態>
図11は、第4の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。なお、第1、第2若しくは第3の実施の形態、又は、比較例と同様の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0161】
システム1Cは、制御装置2Cを含む。制御装置2Cは、制御回路8Cを含む。制御回路8Cは、制御回路8Aと比較して、電圧クランプ部50に代えて、電圧クランプ部50Cを含む。
【0162】
電圧クランプ部50Cは、電圧クランプ部50と比較して、NOTゲート回路(インバータ回路)53と、トランスファーゲート54及び55と、を更に含む。
【0163】
NOTゲート回路53の入力端子には、コンパレータ62の出力信号が入力される。NOTゲート回路53は、コンパレータ62の出力信号がローレベルである場合に、ハイレベルの信号を、トランスファーゲート54の制御端子に出力する。トランスファーゲート55の制御端子には、コンパレータ62の出力信号が入力される。
【0164】
トランスファーゲート54の入力端子には、基準電位(例えば、接地電位)が入力される。トランスファーゲート55の入力端子には、例えば、8Vが直流電源51から入力される。
【0165】
以上を総合すると、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vth(例えば、30mV)以下である場合に、トランスファーゲート54がオフ状態になり、トランスファーゲート55がオン状態になる。これにより、トランジスタ52のゲートには、バイアス電圧(例えば、8V)が印加される。従って、トランジスタ52は、オン状態になり、電圧クランプ部50Cは、クランプ電圧Sを出力する。
【0166】
一方、出力電圧制御信号Sが第3閾値電圧Vthより高い場合に、トランスファーゲート54がオン状態になり、トランスファーゲート55がオフ状態になる。これにより、トランジスタ52のゲートには、基準電位が印加されるので、バイアス電圧(例えば、8V)が印加されない。従って、トランジスタ52は、オフ状態になり、電圧クランプ部50Cは、クランプ電圧Sを出力しない。
【0167】
従って、トランジスタ52は、検出センシング期間322を含む期間ではオン状態になり、その他の期間(検出センシング期間322を含まない期間)ではオフ状態になる。これにより、電圧クランプ部50Cは、トランジスタ52の消費電力を抑制できる。
【0168】
なお、第4の実施の形態と、第3の実施の形態と、を組み合わせても良い。即ち、制御回路8Cが、電圧出力部70に代えて、電圧出力部70Bを含んでも良い。
【0169】
<第5の実施の形態>
図12は、第5の実施の形態の制御装置を用いたシステムの構成を示す図である。なお、第1、第2、第3若しくは第4の実施の形態、又は、比較例と同様の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0170】
システム1Dは、制御装置2Dを含む。制御装置2Dは、制御回路8Dを含む。制御回路8Dは、制御回路8Cと比較して、電圧クランプ部50Cに代えて、電圧クランプ部50Dを含む。
【0171】
電圧クランプ部50Dは、電圧クランプ部50Cと比較して、直流電源56と、コンパレータ57と、を更に含む。
【0172】
直流電源56は、第4閾値電圧Vthを出力する。第4閾値電圧Vthは、第3閾値電圧Vth(例えば、30mV)より、若干高い電圧が例示される。例えば、第4閾値電圧Vthは、35mV程度が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0173】
コンパレータ57の反転入力端子には、出力電圧制御信号Sが入力される。コンパレータ57の非反転入力端子には、第4閾値電圧Vth(例えば、35mV)が入力される。コンパレータ57は、出力電圧制御信号Sが第4閾値電圧Vth以下の場合には、ハイレベルの信号をNOTゲート回路53の入力端子及びトランスファーゲート55の制御端子に出力する。コンパレータ57は、出力電圧制御信号Sが第4閾値電圧Vthより高い場合には、ローレベルの信号をNOTゲート回路53の入力端子及びトランスファーゲート55の制御端子に出力する。
【0174】
以上を総合すると、出力電圧制御信号Sが第4閾値電圧Vth(例えば、35mV)以下である場合に、トランスファーゲート54がオフ状態になり、トランスファーゲート55がオン状態になる。これにより、トランジスタ52のゲートには、バイアス電圧(例えば、8V)が印加される。従って、トランジスタ52は、オン状態になり、電圧クランプ部50Dは、クランプ電圧Sを出力する。
【0175】
一方、出力電圧制御信号Sが第4閾値電圧Vthより高い場合に、トランスファーゲート54がオン状態になり、トランスファーゲート55がオフ状態になる。これにより、トランジスタ52のゲートには、基準電位が印加されるので、バイアス電圧(例えば、8V)が印加されない。従って、トランジスタ52は、オフ状態になり、電圧クランプ部50Dは、クランプ電圧Sを出力しない。
【0176】
従って、電圧クランプ部50Dがクランプ電圧Sの出力を開始するタイミングは、第4の実施の形態の電圧クランプ部50Cと比較して、早くなる。また、電圧クランプ部50Dがクランプ電圧Sの出力を終了するタイミングは、第4の実施の形態の電圧クランプ部50Cと比較して、遅くなる。これにより、電圧クランプ部50Dは、第4の実施の形態と比較して、クランプ電圧Sを出力する期間を長くすることができる。従って、電圧変化検出部124は、出力電圧Sをより安定してセンシングすることができる。
【0177】
なお、第5の実施の形態と、第3の実施の形態と、を組み合わせても良い。即ち、制御回路8Dが、電圧出力部70に代えて、電圧出力部70Bを含んでも良い。
【0178】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0179】
1、1A、1B、1C、1D システム
2、2A、2B、2C、2D 制御装置
3 マイクロコンピュータ
4、51、56、63、67、71、77 直流電源
5 静電型トランスデューサ
6 コンデンサ
7 電圧出力回路
8、8A、8B、8C、8D 制御回路
30 電圧出力回路制御部
31 スイッチング信号出力部
32 エラーアンプ
33、34 バッファ
50、50C、50D 電圧クランプ部
52 トランジスタ
53、74 NOTゲート回路
54、55、75、76 トランスファーゲート
60 制御信号出力部
61 フリップフロップ
57、62、66、72、78 コンパレータ
64 マスク回路
65、73、79、80 NANDゲート回路
70、70B 電圧出力部
124 電圧変化検出部
125 出力電圧制御信号出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12