(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220301BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20220301BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G2/06 500
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H05K1/18 K
(21)【出願番号】P 2017088925
(22)【出願日】2017-04-27
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2016-0092759
(32)【優先日】2016-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ホ サム
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-289837(JP,A)
【文献】特開2013-106036(JP,A)
【文献】特開2013-232606(JP,A)
【文献】特開平11-126730(JP,A)
【文献】特開2012-204441(JP,A)
【文献】特開2007-129224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、実装面を通じて互いに離隔して露出するように前記誘電体層を挟んで交互に配置され
、本体部と該本体部から延長したリード部とをそれぞれ有する第1及び第2内部電極、及び実装面に前記誘電体層が積層される方向に沿って設けられ、前記第1及び第2内部電極の
前記リード部が露出した部分とそれぞれ接触する第1及び第2溝部を含むキャパシタ本体と、
前記第1及び第2溝部にそれぞれ形成され、前記第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ接続する第1及び第2外部電極とを含み、
前記第1及び第2溝部は、互いに対向する方向に延長し、前記キャパシタ本体のコーナーのうち隣接したコーナーの一部を除去
し、
前記第1及び第2溝部のそれぞれの長さをa'、前記キャパシタ本体の長さをL'としたときに、1/6L'<a'<1/3L'の式を満たし、
前記キャパシタ本体の実装面において、前記第1及び第2溝部間のマージン部の幅をd、前記キャパシタ本体の長さをL'としたときに、1/6L'<d<1/2L'の式を満たす
積層型キャパシタ。
【請求項2】
上面に第1及び第2電極パッドを有する基板と、
前記基板上に実装する請求項
1に記載の積層型キャパシタとを含む、積層型キャパシタの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタ及びその実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の一つである積層型キャパシタは、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、個人携帯用端末機(PDA:Personal Digital Assistants)及び携帯電話などの様々な電子製品の基板に装着され、電気を充電または放電する役割をする。
【0003】
このような積層型キャパシタは、小型でかつ容量が保障され、実装が容易であるという長所により、多様な電子装置の部品として使用されることができ、最近、高容量及び高信頼性の方向で開発が行われている。
【0004】
高容量の積層型キャパシタを実現するためには、キャパシタ本体を構成する材料の誘電率を高めるか、または誘電体層及び内部電極の厚さを薄膜化して積層数を増加させる方法がある。
【0005】
しかし、高誘電率材料の組成開発は容易ではなく、現在の製造方法により誘電体層の厚さを薄くするには限界があるため、このような方法により製品の容量を増加させるにも限界がある。
【0006】
よって、キャパシタの超小型化の傾向に合わせながらも、製品の容量は高めることができる方法に関する研究が求められる。
【0007】
従来の2端子積層型キャパシタは、外部電極がキャパシタ本体の長さ方向の両端部に形成される。これにより、外部電極が塗布された面積の分だけ、チップの長さ方向のサイズが大きくなる。
【0008】
SMD(表面実装素子:surface mounting device)方式の一つである下面実装構造の積層型キャパシタは、外部電極がキャパシタ本体の実装面に形成される。
【0009】
これにより、従来の2端子積層型キャパシタに比べて、同一のチップサイズで外部電極の塗布面積を減少させ、その分だけ内部電極の面積を増加させることにより、キャパシタの容量を増加させることができる。
【0010】
しかし、下面実装構造の積層型キャパシタは、外部電極がキャパシタ本体の実装面だけに形成された場合、半田が接触する実装面積を減らすことはできるが、減少した実装面積の分だけSMTの際に半田接合強度が低下するという問題がある。
【0011】
そこで、下面実装構造において、半田接合強度を確保するために、外部電極をキャパシタ本体の側面の一部まで延長させた構造が開示されているが、この場合、延長された外部電極の大きさの分だけ半田フィレットが形成される実装面積がキャパシタ本体の長さ方向に伸びることになる。
【0012】
従って、従来の2端子キャパシタに比べて、同一のチップサイズで外部電極の塗布面積を減少させ、その分だけ内部電極の面積を増加させようとする本来の目的及び効果を充分に達成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国特許公開第10-2013-0022824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、下面実装構造において、基板上への実装の際に半田との接合強度を改善することができる積層型キャパシタ及びその実装基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面は、誘電体層、実装面を通じて互いに離隔して露出するように上記誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極、及び実装面に上記誘電体層が積層される方向に沿って設けられ、上記第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ接触する第1及び第2溝部を含むキャパシタ本体と、上記第1及び第2溝部にそれぞれ形成され、上記第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ接続する第1及び第2外部電極とを含む積層型キャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施例によると、キャパシタ本体の実装面に溝部を設けた後、該溝部に外部電極を形成して、基板に実装の際に半田が接合する面積を拡張させることにより、下面実装構造を有するキャパシタの静電容量を増加させる効果を損なわずに維持しながらも、下面実装構造を有する積層型キャパシタにおいて未解決の課題であるSMTの際に半田接合強度が低下するという問題を緩和することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の積層型キャパシタに適用される誘電体層、第1内部電極及び第2内部電極の構造をそれぞれ示す平面図である。
【
図3】
図1において、第1及び第2外部電極が取り外された状態のキャパシタ本体を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図1の積層型キャパシタにおいて、溝部と外部電極の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】
図1の積層型キャパシタにおいて、溝部と外部電極のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図6】
図5の積層型キャパシタを90°回転させて示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す積層型キャパシタを側面から見た側面図である。
【
図8】
図1の積層型キャパシタが基板に実装された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)が誇張されることがある。
【0019】
なお、各実施形態の図面に示された同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施形態を明確に説明するために、キャパシタ本体の方向を定義すると、図面上に表されたX、Y及びZは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層及び内部電極の積層方向と同一の概念で使用されることができる。
【0021】
また、本実施形態では、説明の便宜のために、キャパシタ本体110のZ方向に対向する両面を第1及び第2面S1、S2と設定し、X方向に対向し、第1及び第2面S1、S2の先端を連結する両面を第3及び第4面S3、S4と設定し、Y方向に対向し、第1及び第2面S1、S2と第3及び第4面S3、S4との先端をそれぞれ連結する両面を第5及び第6面S5、S6と設定して共に説明する。ここで、第1面S1は、実装面と同一の概念で使用されることができる。
【0022】
<積層型キャパシタ>
図1は、本発明の一実施例による積層型キャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2(a)及び
図2(b)は、
図1に適用される第1内部電極及び第2内部電極の構造をそれぞれ示す平面図である。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、本実施例による積層型キャパシタ100は、誘電体層111、第1及び第2内部電極121、122及び第1及び第2溝部141、142を含むキャパシタ本体110と第1及び第2外部電極131、132とを含む。
【0024】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111を積層して形成され、特に制限されないが、図示のように略六面体状を有することができる。
【0025】
この時、キャパシタ本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は図面上の図示に限定されない。
【0026】
また、誘電体層111は焼結された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0027】
このようなキャパシタ本体110は、キャパシタの静電容量形成に寄与する部分として、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むアクティブ領域を含むとともに、マージン部としてアクティブ領域の対向する最外殻にそれぞれ配置されるカバー領域とを含む。
【0028】
上記アクティブ領域は、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返して積層して形成されることができる。この時、誘電体層111の厚さは、積層型キャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができる。また、誘電体層111は、高誘電率を有するセラミックの粉末、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末を含むことができるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。さらに、誘電体層111には、上記セラミック粉末と共に、必要に応じて、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などが少なくとも一つ以上さらに添加されることができる。
【0029】
上記カバー領域は、キャパシタ本体110のY方向の両側にそれぞれ位置し、内部電極を含まないことを除き、誘電体層111と同一の材質及び構成を有することができる。このようなカバー領域は、Y方向を積層方向として単一誘電体層または2個以上の誘電体層111をY方向から見た上記アクティブ領域の両側外郭にそれぞれ積層して設けることができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0030】
第1内部電極121及び第2内部電極122は、互いに異なる極性を有する電極であり、キャパシタ本体110内で誘電体層111を挟んでY方向に沿って交互に配置される。誘電体層111上に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して形成することができ、中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁することができる。
【0031】
上記導電性ペーストに含まれる導電性金属は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)またはこれらの合金であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0032】
また、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0033】
本実施例の第1及び第2内部電極121、122は、キャパシタ本体110の第1面S1を通じて露出して形成される。この時、第1及び第2内部電極121、122の露出する部分は、X方向に互いに離隔して配置される。
【0034】
また、第1及び第2内部電極121、122がY方向に互いにオーバーラップする面積は、キャパシタの容量形成と関係がある。
【0035】
第1内部電極121は、第1本体部121aと、第1本体部121aでキャパシタ本体110の第1面S1を通じて露出して延長する第1リード部121bとを含む。
【0036】
第2内部電極122は、Y方向に沿って第1本体部121aと重複しながら延在する第2本体部122aと、第2本体部122aでキャパシタ本体110の第1面S1を通じて露出して延長する第2リード部122bとを含む。この時、第1及び第2リード部121b、122bは、X方向に互いに離隔する。
【0037】
第1溝部141は、キャパシタ本体110の第1面S1にY方向に沿って長く延長して設けられる。この時、第1溝部141は、両端がキャパシタ本体110の第5及び第6面S5、S6を通じて露出して設けられることができ、第1内部電極121で第1リード部121bのエッジ(edge)が共に除去されるように設けられることができる。
【0038】
そして、第2溝部142は、キャパシタ本体110の第1面S1にY方向に沿って長く延長して設けられる。この時、第2溝部142は、両端がキャパシタ本体110の第5及び第6面S5、S6を通じて露出して設けられることができ、第2内部電極122で第2リード部122bのエッジが共に除去されるように設けられることができる。
【0039】
第1外部電極131は、第1溝部141に導電性物質を満たして形成する。第1外部電極131は、第1溝部141と対応する第1内部電極121の第1リード部121bのエッジに接触し、Y方向に積層した複数の第1内部電極121を電気的に接続する。この時、第1外部電極131のY方向の両端は、キャパシタ本体110の第5及び第6面S5、S6を通じて露出することができる。
【0040】
第2外部電極132は、第2溝部142に導電性物質を満たして形成する。第2外部電極132は、第2溝部142と対応する第2内部電極122の第2リード部122bのエッジに接触し、Y方向に積層した複数の第2内部電極122を電気的に接続する。この時、第2外部電極132のY方向の両端は、キャパシタ本体110の第5及び第6面S5、S6を通じて露出することができる。
【0041】
このような第1及び第2外部電極131、132は、導電性金属を含む導電性ペーストによって形成されることができる。また、上記の導電性金属は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)又はこれらの合金であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0042】
一方、第1及び第2外部電極131、132の表面は、キャパシタ本体110の実装面である第1面S1と一つの平面をなすように形成されることができる。よって、基板に設置する際に実装基板の高さをさらに低くすることができる。
【0043】
図3を参照すると、図面上のaは、第1及び第2溝部141、142のX方向におけるそれぞれの幅であり、bは、キャパシタ本体110のY方向の幅であり、cは、第1及び第2溝部141、142のZ方向におけるそれぞれの深さであり、Lは、キャパシタ本体110の長さであり、Tは、キャパシタ本体110の高さである。
【0044】
この時、aが1/6L以下である場合、キャパシタンス結合性の低下により静電容量が充分に確保できない問題が発生し得、aが1/3L以上である場合、キャパシタの強度が低下する問題が発生し得る。従って、aの好ましい範囲は、1/6L<a<1/3Lである。
【0045】
また、cが1/6T以上である場合、一方の極性を有する内部電極が他方の極性を有する内部電極と接触してショートの問題が発生し得るため、cの好ましい範囲は、c<1/6Tである。
【0046】
一方、本実施例では、第1及び第2溝部141、142の形状が略四角断面状であると図示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図4に示すように、第1及び第2溝部143、144の形状は、断面が半円に近いアーク状でなることができ、他の例として、第1及び第2溝部は、必要に応じて円形及び三角形など多様に変更することができる。
【0047】
一方、第1及び第2外部電極133、134も、第1及び第2溝部143、144の形状によって形状が変更されることができる。本実施例では、第1及び第2外部電極133、134が第1及び第2溝部143、144の形状に合わせて半円に近いアーク状でなることができる。
【0048】
本実施例の積層型キャパシタは、下面実装構造であり、第1及び第2外部電極131、132間の距離が短く、外部極性が印加される第1及び第2内部電極121、122間の距離も近くなるため、電圧印加の際に電流ループ(current loop)が短くなり、等価直列インダクタンス(ESL:Equvalent Series Inductance)がさらに低くなることができる。
【0049】
従来の2端子積層型キャパシタにおいて、外部電極は、キャリアプレート(carrier plate)にキャパシタ本体をロードした後、上記キャパシタ本体の両端部に導電性ペーストをディップ(dipping)して形成される。
【0050】
上記外部電極を形成する方式の場合、キャパシタのサイズが上記キャパシタ本体の両端部に形成された外部電極の厚さの分だけ大きくなる。また、外部電極を別途に焼成する過程が追加されるため、製造工程が複雑化する問題がある。
【0051】
一方、下面実装構造のキャパシタは、外部電極が陰刻治具あるいは陽刻治具を使用して形成されるため、半田付け(soldering)がキャパシタ本体の実装面から外部に突出した外部電極上のみで行われる。従って、上記2端子積層型キャパシタに比べて静電容量を形成可能な面積をさらに広く確保することができる。しかし、半田の接触面積はさらに減少するため、キャパシタと基板の接合強度が弱くなる問題が発生し得る。
【0052】
本実施例の積層型キャパシタは、キャパシタ本体の実装面に第1及び第2溝部を設け、第1及び第2溝部に第1及び第2外部電極をコーティング方式で形成した後、一度に焼成を行う。
【0053】
そのため、製造工程が簡素化するだけでなく、第1及び第2外部電極がキャパシタ本体の実装面に形成される下面実装構造でありながら、第1及び第2外部電極がキャパシタ本体の実装面から外部に突出す構造ではなくなる。
【0054】
従って、第1及び第2外部電極の露出した面積が第1及び第2リード部が互いに接続しない範囲内で最大化するため、既存の下面実装構造のキャパシタに比べて半田の接触面積を増加させて、キャパシタと基板の接合強度を向上させることができる。
【0055】
<変形例>
図5は、
図1の積層型キャパシタにおいて、溝部と外部電極のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【0056】
ここで、誘電体層111と、第1及び第2内部電極121、122の構造は、前述した実施例と類似するので、重複を避けるために具体的な説明は省略する。
【0057】
図5を参照すると、本実施例の積層型キャパシタ100"は、キャパシタ本体110"の第1面に設けられた第1及び第2溝部145、146が互いに対向するX方向にそれぞれ延長され、キャパシタ本体110"の第3及び第4面とそれぞれ連結される。即ち、キャパシタ本体110"のコーナーのうち、キャパシタ本体110"の第1面と接し、X方向に互いに対向するコーナーの一部が第1及び第2溝部によってそれぞれ除去される。
【0058】
図6は、
図5の積層型キャパシタを90°回転させて示す斜視図であり、
図7は、
図6の側面図である。
【0059】
図6及び
図7において、tは、キャパシタ本体の高さであり、Wは、キャパシタ本体の幅であり、Lは、キャパシタ本体の長さである。Lb1は、第1外部電極135の幅であり、Lb2は、第2外部電極136の幅である。Fは、キャパシタ本体にかかる力であり、t0は、キャパシタ本体の第1面で力が加わる位置までの高さである。
【0060】
第1及び第2外部電極の面積と半田接合強度の相関関係は、以下の数式1及び2の通りである。ここで、Lb=Lb1+Lb2であり、σは、第1及び第2外部電極それぞれの引張応力を示し、τは、第1及び第2外部電極それぞれのせん断応力を示す。
【0061】
また、数式1は、力平衡(Force Equilibrium)であり、数式2は、モーメント平衡(Moment Equilibrium)である。
【数1】
【数2】
【0062】
上記数式1及び2を参照すると、基板に実装された積層型キャパシタは、一定の力Fを受けた場合、これに影響を受けないためにはFに対する抵抗を有さなければならない。
【0063】
この時、Fは、面積(W×Lb)と接合部であるそれぞれの第1及び第2外部電極のせん断応力(τ)に比例する性質を有している。即ち、Fが増加すれば、これに耐えるために、第1及び第2外部電極の面積とせん断応力が増加しなければならないことが分かる。
【0064】
また、Fを受けた場合、水平方向のせん断応力以外に垂直方向への引張応力も発生するが、引張応力は力に比例し、第1及び第外部電極の面積には反比例することが分かる。即ち、第1及び第2外部電極の面積が増加すれば、引張応力と外力も減少するため、接合部におけるFに対する影響を最小化することができる。
【0065】
上記数式1及び2の説明に基づいて、本実施例の積層型キャパシタにおいて、溝部の最適化した数値について説明する。
【0066】
図5において、dは、キャパシタ本体110"の第1面で第1及び第2溝部145、146間のマージン部110aのX方向の幅であり、a'は、第1及び第2溝部のX方向におけるそれぞれの幅であり、c'は、第1及び第2溝部145、146のZ方向におけるそれぞれの深さであり、L'は、キャパシタ本体110"の長さである。
【0067】
この時、a'が1/6L'以下である場合、連結性の低下により容量が充分に確保できない問題が発生し得、a'が1/3L'以上である場合、キャパシタの強度が低下する問題が発生し得る。従って、a'の好ましい範囲は、1/6L'<a'<1/3L'である。
【0068】
そして、dが1/6L'以下である場合、キャパシタの強度が低下する問題が発生し得、dが1/2L'以上である場合、相対的にa'が小さくなり連結性の低下により容量が充分に確保できない問題が発生し得る。従って、dの好ましい範囲は、1/6L'<d<1/2L'である。
【0069】
また、c'は、キャパシタのサイズ及び内部電極の形状によってキャパシタ本体のZ方向における最大マージン幅が異なるため、キャパシタ本体のZ方向における最大マージン幅以下となるように設定することができる。
【0070】
<積層型キャパシタの実装基板>
図8を参照すると、本実施例による積層型キャパシタの実装基板は、積層型キャパシタ100が実装される基板211と、基板211の上面に互いに離隔して配置される第1及び第2電極パッド221、222とを含む。
【0071】
積層型キャパシタ100は、第1外部電極131及び第2外部電極132が第1電極パッド221及び第2電極パッド222上にそれぞれ接触して位置した状態で、半田231、232によって固定されて基板211と電気的に連結することができる。
【0072】
上記のように構成される積層型キャパシタの実装基板は、積層型キャパシタ100の第1内部電極121及び第2内部電極122がキャパシタ本体110の実装面だけに露出して第1及び第2溝部141、142内に形成されるため、基板211に実装の際に半田231、232と接合する面積を最大限確保することができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0074】
100 積層型キャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
121a、122a 第1及び第2本体部
121b、122b 第1及び第2リード部
131、132 第1及び第2外部電極
141、142 第1及び第2溝部
211 基板
221、222 第1及び第2電極パッド
231、232 半田