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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20220301BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220301BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20220301BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G03G15/00 450
G03G21/14
B65H9/00 A
G03G15/00 447
B65H7/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017107579
(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公開番号】P2018205392
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 嘉輝
(72)【発明者】
【氏名】塩川 康夫
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴弘
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0132016(US,A1)
【文献】特開2016-108152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0159598(US,A1)
【文献】特開2014-133634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193186(US,A1)
【文献】特開2011-006160(JP,A)
【文献】特開2015-094876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 13/00-15/02
B65H 43/00-43/08
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写部に用紙を搬送して当該用紙に画像を転写する画像形成装置において、
搬送されてくる用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記揺動ローラーと前記転写部の間に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する検知部と、
前記用紙が前記転写部に突入する前及び前記用紙が前記転写部に突入した後における前記揺動ローラーの揺動制御を行い、少なくとも前記用紙が前記転写部に突入した後は、前記揺動ローラーを予め定められた揺動制御情報に基づいて揺動させ、前記検知部により検知された検知結果に基づいて前記揺動ローラーの揺動を停止させる制御部と、
前記転写部を通過することにより画像が転写された前記用紙を読み取って前記用紙の領域と前記画像の領域を含む読取画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により取得された読取画像から前記用紙の側端部と前記画像との距離とを取得し、取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報を補正する補正部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報の補正値を決定し、決定した補正値を記憶部に記憶させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部は、用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報の補正値を格納したテーブルを記憶する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報を格納したテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報の補正値を決定し、決定した補正値により前記テーブルに格納されている揺動制御情報を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙を通紙し、当該用紙に画像を転写して前記画像読取部による読み取りを行い、その読取画像から取得した前記距離に基づいて前記テーブルの設定又は補正を行う調整モードを備える請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記画像読取部により読み取りを行う毎にその読取画像から取得した前記距離に基づいてリアルタイムに前記揺動制御情報の補正を行う請求項1~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記画像読取部によ所定期間に取得された読取画像から取得した前記距離に基づくずれ量の演算値に基づいて、前記揺動制御情報の補正を行う請求項1~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、予め定められた複数のタイミングで前記揺動制御情報に基づいて前記揺動ローラーを揺動させ、
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記複数のタイミング毎に前記揺動制御情報をそれぞれ補正する請求項1~7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記揺動ローラーは、前記用紙の搬送方向に直交する方向に揺動する請求項1~8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
搬送されてくる用紙を転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記揺動ローラーと前記転写部の間に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する検知部と、
を備える画像形成装置における揺動ローラーの制御方法であって、
前記用紙が前記転写部に突入する前及び前記用紙が前記転写部に突入した後における前記揺動ローラーの揺動制御を行う制御部により、少なくとも前記用紙が前記転写部に突入した後は、前記揺動ローラーを予め定められた揺動制御情報に基づいて揺動させ、前記検知部により検知された検知結果に基づいて前記揺動ローラーの揺動を停止させる工程と、
前記転写部を通過することにより画像が転写された前記用紙を画像読取部により読み取って前記用紙の領域と前記画像の領域を含む読取画像を取得する工程と、
前記画像読取部により取得された読取画像から前記用紙の側端部と前記画像との距離とを取得し、取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報を補正する工程と、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンターやスキャナー、コピー機、ファックス等の機能を兼ねた多機能な画像形成装置が広く使用されている。画像形成装置では、画像形成時において給紙部や反転経路から転写部に用紙が搬送されるが、装置の機械的な要因等により、用紙が搬送方向に対して直交する方向(以下、用紙幅方向という場合もある)に片寄ってしまう場合がある。このように用紙の片寄りが発生した状態で印刷処理を行った場合には、用紙に対する画像の形成位置が本来の適正位置からずれてしまうという問題が発生する。
【0003】
そこで、用紙の片寄りを考慮して画像と用紙とを精度良く位置合わせするために、レジストローラーにて用紙を挟持して用紙幅方向に揺動することで用紙の片寄りを補正するレジスト揺動補正が行われている。例えば、特許文献1には、画像形成位置の上流側にレジストローラーを配置すると共にこのレジストローラーの下流側であって二次転写ローラーの上流側にラインセンサーを配置し、ラインセンサーで検知された用紙の片寄り量に基づいて用紙を用紙幅方向に揺動することで用紙の片寄りを補正する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-91563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1を始めとする従来の技術では、用紙先端が二次転写ローラーに到達する前にレジストローラーが揺動し、用紙の側端部の位置を合わせている。しかし、二次転写ローラーに用紙が到達する前に揺動を行うだけでは、レジストローラー、二次転写ローラー、定着ローラーのアライメントのずれや画像形成装置を正面から見たときの各ローラーの手前側と奥側とのローラー径の差によって、用紙が搬送方向(副走査方向)の途中から曲がる副走査曲がりが発生してしまう。また、レジストローラーに用紙の先端を突き当てて用紙の斜行を補正するスキュー補正によって用紙の先端の斜行は補正されるが後端が補正されず、先端と後端の間で歪みが残るため、副走査曲がりが発生してしまう(図7参照)。特に、長尺紙ではこの影響を受けやすいため、副走査曲がりが顕著に発生する。副走査曲がりが発生した状態で印刷を行うと、用紙に対して画像の形成位置が途中からずれてしまう。
【0006】
本発明の課題は、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
転写部に用紙を搬送して当該用紙に画像を転写する画像形成装置において、
搬送されてくる用紙を前記転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記揺動ローラーと前記転写部の間に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する検知部と、
前記用紙が前記転写部に突入する前及び前記用紙が前記転写部に突入した後における前記揺動ローラーの揺動制御を行い、少なくとも前記用紙が前記転写部に突入した後は、前記揺動ローラーを予め定められた揺動制御情報に基づいて揺動させ、前記検知部により検知された検知結果に基づいて前記揺動ローラーの揺動を停止させる制御部と、
前記転写部を通過することにより画像が転写された前記用紙を読み取って前記用紙の領域と前記画像の領域を含む読取画像を取得する画像読取部と、
前記画像読取部により取得された読取画像から前記用紙の側端部と前記画像との距離とを取得し、取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報を補正する補正部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報の補正値を決定し、決定した補正値を記憶部に記憶させる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記記憶部は、用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報の補正値を格納したテーブルを記憶する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
用紙搬送に係る条件に応じて前記揺動制御情報を格納したテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報の補正値を決定し、決定した補正値により前記テーブルに格納されている揺動制御情報を補正する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
用紙を通紙し、当該用紙に画像を転写して前記画像読取部による読み取りを行い、その読取画像から取得した前記距離に基づいて前記テーブルの設定又は補正を行う調整モードを備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、
前記補正部は、前記画像読取部により読み取りを行う毎にその読取画像から取得した前記距離に基づいてリアルタイムに前記揺動制御情報の補正を行う。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、
前記補正部は、前記画像読取部によ所定期間に取得された読取画像から取得した前記距離に基づくずれ量の演算値に基づいて、前記揺動制御情報の補正を行う。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の発明において、
前記制御部は、予め定められた複数のタイミングで前記揺動制御情報に基づいて前記揺動ローラーを揺動させ、
前記補正部は、前記画像読取部による読取画像から取得した前記距離に基づいて、前記複数のタイミング毎に前記揺動制御情報をそれぞれ補正する。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれか一項に記載の発明において、
前記揺動ローラーは、前記用紙の搬送方向に直交する方向に揺動する。
【0016】
請求項10に記載の発明は、
搬送されてくる用紙を転写部に向けて搬送する一対のローラーにより構成される揺動ローラーと、
前記揺動ローラーと前記転写部の間に配置され、前記用紙の側端部の位置を検知する検知部と、
を備える画像形成装置における揺動ローラーの制御方法であって、
前記用紙が前記転写部に突入する前及び前記用紙が前記転写部に突入した後における前記揺動ローラーの揺動制御を行う制御部により、少なくとも前記用紙が前記転写部に突入した後は、前記揺動ローラーを予め定められた揺動制御情報に基づいて揺動させ、前記検知部により検知された検知結果に基づいて前記揺動ローラーの揺動を停止させる工程と、
前記転写部を通過することにより画像が転写された前記用紙を画像読取部により読み取って前記用紙の領域と前記画像の領域を含む読取画像を取得する工程と、
前記画像読取部により取得された読取画像から前記用紙の側端部と前記画像との距離とを取得し、取得した前記距離に基づいて、前記揺動制御情報を補正する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図である。
図2】レジストローラーによる用紙の揺動処理を示す説明図である。
図3図1の画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図4】第2の揺動制御テーブルのデータ格納例を示す図である。
図5】第1の実施形態において図3の制御部により実行される揺動制御処理Aを示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態において図3の制御部により実行される揺動制御処理Bを示すフローチャートである。
図7】副走査曲がりの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0020】
<第1の実施形態>
[画像形成装置100の構成]
まず、第1の実施形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置100を模式的に示す構成図である。この画像形成装置100は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置100であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0021】
画像形成装置100は、原稿読取装置SC、画像形成部10、定着装置50、画像読取部60、制御部11を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0022】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、通信部13により画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0023】
画像形成部10は、4組の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6、二次転写ローラー9等を備えて構成されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成ユニット10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ユニット10Kで構成されている。
【0024】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成ユニット10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0025】
感光体ドラム1Y~1Kは、帯電部2Y~2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y~3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y~1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y~4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y~1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y~1K上には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y~1K上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0026】
中間転写ベルト6上に転写された各色よりなるトナー画像は、後述する用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、二次転写ローラー9によって転写される。この二次転写ローラー9は中間転写ベルト6と圧接して配置されることによりニップ部(以下「転写ニップ部」という)を形成する圧接部材である。
【0027】
用紙搬送部20は、用紙Pの搬送経路に従って用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。あるいは、用紙Pは、画像形成装置100と接続された給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容されており、給紙装置が保有する用紙Pは、当該給紙装置から画像形成装置100へと供給されることで、搬送経路へと送り出される。
【0028】
この搬送経路において、転写ニップ部よりも上流側には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、圧接された一対のローラーによって構成されており、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより用紙Pを搬送する。また、個々の搬送手段を構成する一対のローラーは、ローラー間の状態を圧接状態と離間状態とで切り換えることができように構成されている。
【0029】
本実施形態において、用紙Pの搬送経路の上流側から下流側にかけて、中間搬送ローラー23~25、ループローラー26及びレジストローラー27が搬送手段として設けられている。なお、搬送手段は、一対のローラーで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラーの組み合わせといったように、一対の回転部材からなる構成を広く採用することができる。
【0030】
このような搬送経路において、給紙トレイ21又は給紙装置の給紙トレイから給紙された用紙Pは、上流側から下流側に設けられた複数の中間搬送ローラー23~25及びループローラー26により順次搬送されて、搬送経路を進行する。用紙Pの先端がレジストローラー27へと近づくと、ループローラー26等によって搬送される用紙Pは、回転停止状態のレジストローラー27に突き当てられ、そして、ループローラー26が所定時間だけ回転を継続することで、用紙Pにループが形成される。このループ形成の作用により、用紙Pの先端の曲がりが矯正される(スキュー補正)。
【0031】
つぎに、中間転写ベルト6が担持するトナー画像と同期するように所定のタイミングでレジストローラー27が回転を開始すると、中間搬送ローラー23~25及びループローラー26は、圧接状態から離間状態へと切り換えられる。すなわち、ループローラー26が離間状態へと遷移してからは、用紙Pは、レジストローラー27のみによって搬送される。このレジストローラー27は、揺動ローラーとして、用紙Pの搬送を行いながら後述する揺動処理を行い、像担持体としての中間転写ベルト6と転写部としての二次転写ローラー9の転写ニップ部へと用紙Pを搬送する。
【0032】
図2は、レジストローラー27による用紙Pの揺動処理を示す説明図である。レジストローラー27は、用紙幅方向CD(用紙搬送方向(副走査方向)FDと直行する方向)に揺動可能に構成されている。このレジストローラー27には、電動モーターを主体とする駆動機構34が連結されており、当該駆動機構34によって駆動されることにより、所定のホームポジションを起点として用紙幅方向CDに移動することができる。
【0033】
レジストローラー27は、用紙Pが自身を通過する通過期間に合わせて用紙幅方向CDに沿って移動することにより、搬送される用紙Pを用紙幅方向CDに沿って移動させることができる(揺動処理)。これにより、レジストローラー27は、転写されるトナー画像の位置と整合するように、用紙幅方向CDにおける用紙Pの搬送位置を調整する。ここで、用紙幅方向CDにおいて用紙Pの側端部が通過すべき位置を目標位置Tpと呼ぶ。この目標位置Tpは、用紙幅方向CDにおいて、用紙Pの側端部がその位置を通過すれば、用紙Pとトナー画像との位置関係が最適となる(例えば、用紙Pの幅方向の中央とトナー画像の幅方向の中央とが一致する)と見込まれる位置であり、レジストローラー27は、用紙Pの側端部が目標位置Tpとなるように用紙Pの用紙幅方向CDの搬送位置を調整する。用紙Pとトナー画像との位置関係が最適となるトナー画像の位置を最適画像位置と呼ぶ。
【0034】
搬送経路には、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2が設けられており、これらのセンサーにおける検出結果に基づいて、制御部11によりレジストローラー27の動作が制御される。
【0035】
レジストセンサーSE1は、搬送経路においてレジストローラー27とループローラー26との間に配置されており、センサーの検出位置(レジストローラー27の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。このレジストセンサーSE1の検出結果は、レジストローラー27の回転開始タイミングの検知等に用いられる。
【0036】
位置検知センサーSE2は、用紙Pの側端部の用紙幅方向CDの位置を検知する検知部である。位置検知センサーSE2としては、例えば、複数の受光素子を用紙幅方向CDに沿って直線状に配列したリニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)などを用いることができる。この位置検知センサーSE2の検出結果は、揺動処理におけるレジストローラー27の移動量の決定や、二次転写ローラー9へ用紙Pの先端が突入したタイミングを把握するために用いられる。
【0037】
再び図1に示すように、定着装置50は、トナー画像が転写された用紙P、すなわち、転写ニップ部から送り出された用紙Pに定着処理を施す装置であり、例えば、一対の定着部材(例えば一対のローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒーターとで構成されている。この定着装置50は、用紙Pの搬送過程において、一対の定着部材による加圧と定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0038】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、画像読取部(ICCU)60により読み取られた後、排紙ローラー28により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、画像読取部60により読み取られた後、切換ゲート30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、複数の再給紙用の搬送手段によって搬送され、レジストローラー27を介して転写ニップ部へと用紙Pを回帰させる。なお、排紙ローラー28、切換ゲート30、反転ローラー31及び再給紙用の搬送手段も前述した用紙搬送部20を構成する。
【0039】
画像読取部60は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、トナー画像が転写された用紙Pを読み取って、得られた読取画像を制御部11に出力する。なお、本実施形態では、画像読取部60は用紙P上のトナー画像の色を測定できるものとするが、少なくとも用紙Pの領域とトナー画像の領域が認識できるものであれば特に限定されない。また、本実施形態では、画像読取部60が定着装置50の下流であって切換ゲート30により搬送経路が切り替えられる手前側に配置されているものとするが、二次転写ローラー9の下流であって用紙Pの両面(片面ずつでも良い)を読み取り可能な位置であればその配置位置は特に限定されない。もちろん、オプション機器として画像形成装置100の下流に配置してもよい。
【0040】
図3は、本実施形態にかかる画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
制御部11は、図3に示すように、記憶部12、通信部13、操作部14、原稿読取装置SC、画像形成部10、用紙搬送部20、定着装置50、画像読取部60、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2、環境センサーSE3に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100各部の動作を集中制御する。例えば、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、ジョブを実行し、原稿読取装置SCや通信部13により入力される画像データに基づいて用紙Pにトナー画像を形成させる制御を行う。また、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、後述する揺動制御処理Aを実行し、ジョブ実行中のレジストローラー27の揺動制御及び揺動制御情報の補正を行う。
【0041】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメータやデータ等を記憶している。
【0042】
例えば、記憶部12には、第1の揺動制御テーブル121、第2の揺動制御テーブル122、補正値テーブル123が記憶されている。
【0043】
第1の揺動制御テーブル121は、用紙Pが二次転写ローラー9に突入する前のレジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御情報(ここでは一例として、用紙Pの目標位置Tp及び揺動速度)が記憶されたテーブルである。
ここで、トナー画像を最適画像位置にノイズ等を発生させることなく形成するための揺動制御情報は、用紙Pの紙種(坪量、サイズ、紙質等)、環境(例えば、温度や湿度)、画像を形成する用紙面(表面/裏面)、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件によって異なる。すなわち、用紙Pの最適画像位置に精度良くトナー画像を書き込むためには、第1の揺動制御テーブル121において、紙種、環境、印刷面、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件に応じて揺動制御情報が格納されていることが好ましい。
【0044】
第2の揺動制御テーブル122は、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後のレジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御情報(ここでは一例として、用紙Pの目標位置Tp、揺動方向(+、-)及び揺動速度)が記憶されたテーブルである。
図4は、第2の揺動制御テーブル122の一例を示す図である。本実施形態では、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後、レジストローラー27は、予め定められた複数のタイミング(揺動タイミングと呼ぶ)で揺動するよう制御されるようになっており、第2の揺動制御テーブル122には、各揺動タイミング(タイミング1~n)で用いられる揺動制御情報がそれぞれ記憶されている。ここで、上述のように、用紙Pの最適画像位置に精度良くトナー画像を書き込むためには、第2の揺動制御テーブル122において、紙種、環境、画像を形成する用紙面、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件に応じて、各揺動タイミング(タイミング1~n)で用いられる揺動制御情報が格納されていることが好ましい。図4においては、一例として、紙種毎に各揺動タイミング(タイミング1~n)で用いられる揺動制御情報が格納された第2の揺動制御テーブル122を示している。
【0045】
補正値テーブル123は、第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122の揺動制御情報を補正するための補正値を格納するテーブルである。
ここで、用紙Pの側端部を目標位置Tpに合わせても、上述の副走査曲がり等により、必ずしもトナー画像が最適画像位置に形成されないことがある。また、そのずれ量は、用紙Pの紙種、環境、用紙面、用紙Pの給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件によって異なる。そこで、補正値テーブル123は、紙種、環境、印刷面、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件に応じて第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122の各揺動制御情報に対する補正値を格納する。
【0046】
なお、本実施形態において、レジストローラー27の揺動制御に用いられる揺動制御情報(例えば、目標位置Tp等)は、第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122に格納されている揺動制御情報を補正値テーブル123の補正値により補正した情報である。
【0047】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、外部機器との接続を行う。
【0048】
操作部14は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部14としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部14を通じて、ユーザーは、印刷条件、すなわち、用紙Pの種類(例えば、坪量、サイズ、紙質等)、使用する給紙トレイ、画像の濃度、倍率、両面印刷の有無などを設定することができる。また、ユーザーは、操作部14を通じて、ジョブの実行指令や調整モードでの動作指示を入力することができる。また、制御部11は、操作部14を制御することにより、当該操作部14を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0049】
環境センサーSE3は、例えば、温度センサーや湿度センサー等を備えて構成され、画像形成装置100の筐体内の温度や湿度を検知し、検知結果を制御部11に出力する。
【0050】
[画像形成装置100の動作]
次に、第1の実施形態における画像形成装置100の動作について説明する。
図5は、レジストローラー27の揺動動作を制御するための揺動制御処理Aを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザーからのジョブの実行指令に応じて、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によって実行される。
【0051】
ジョブが開始され、位置検知センサーSE2により用紙Pの側端部の位置が検知されると(ステップS1)、制御部11は、位置検知センサーSE2による検知結果と、揺動制御テーブル121及び補正値テーブル122により特定される用紙搬送に係る条件に応じた目標位置Tpとに基づいて、用紙Pの側端部が目標位置Tpからずれているか否かを判断する(ステップS2)。
【0052】
用紙Pの側端部が目標位置Tpからずれていないと判断した場合(ステップS2;NO)、制御部11は、ステップS1に戻る。
【0053】
用紙Pの端部が目標位置Tpからずれていると判断した場合(ステップS2;YES)、制御部11は、駆動機構34によりレジストローラー27を揺動させる(ステップS3)。すなわち、用紙Pの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量に基づいてレジストローラー27の揺動量及び揺動方向を決定し、決定した揺動方向に決定した揺動量だけ、第1の揺動制御テーブル121及び補正値テーブル123により特定される用紙搬送に係る条件に応じた揺動速度でレジストローラー27を駆動機構34により揺動させて停止させる。
【0054】
次いで、制御部11は、用紙Pが二次転写ローラー9に突入したか否かを判断する(ステップS4)。本実施形態では、例えば、位置検知センサーSE2が用紙Pの先端を検知してから所定期間t1が経過した場合、用紙Pが二次転写ローラー9に突入したと判断する。なお、予め二次転写ローラー9付近にセンサーを配置し、そのセンサーにより用紙Pが検知された場合に、用紙Pが二次転写ローラー9に突入したと判断することとしてもよい。また、二次転写ローラー9の圧変動等により判断してもよい。
【0055】
用紙Pが二次転写ローラー9に突入していないと判断した場合(ステップS4;NO)、制御部11は、ステップS1に戻り、ステップS1~ステップS4の処理を繰り返し実行する。
【0056】
用紙Pが二次転写ローラー9に突入したと判断すると(ステップS4;YES)、制御部11は、揺動タイミングが到来するのを待機する(ステップS5)。ここで、揺動タイミングは、例えば、位置検知センサーSE2が用紙Pの先端を検知してから所定時間t1が経過した後、すなわち、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後、所定時間t2が経過する毎に設定されている。
【0057】
揺動タイミングが到来すると(ステップS5;YES)、制御部11は、駆動機構34により、第2の揺動制御テーブル122及び補正値テーブル123により特定される、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた揺動方向及び揺動速度でレジストローラー27を揺動させ(ステップS6)、位置検知センサーSE2による検知結果に基づいて、用紙Pの側端部が第2の揺動制御テーブル122及び補正値テーブル123により特定される、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた目標位置Tpに到達したか否かを判断する(ステップS7)。
用紙Pの側端部が目標位置Tpに到達していないと判断した場合(ステップS7;NO)、制御部11は、ステップS6に戻り、レジストローラー27の揺動を続ける。
用紙Pの側端部が目標位置Tpに到達したと判断した場合(ステップS7;YES)、制御部11は、駆動機構34により揺動を停止させ(ステップS8)、ステップS9に移行する。
【0058】
なお、制御部11は、位置検知センサーSE2により検知される用紙Pの側端部の位置に基づいて、揺動方向が目標位置Tpから離れる方向に向かっているか否かを判断し、離れる方向に向かっていると判断した場合、制御部11は、直ちにステップS8に移行して、レジストローラー27に揺動を停止させる。
【0059】
ステップS9において、制御部11は、最終揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する(ステップS9)。例えば、用紙Pの用紙サイズと、位置検知センサーSE2が用紙Pの先端を検知してからの経過時間及び搬送速度に基づいて、最終揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する。
最終揺動タイミングでの揺動が終了していないと判断した場合(ステップS9;NO)、制御部11は、ステップS5に戻り、次の揺動タイミングを待機して、揺動タイミングが到来すると、レジストローラー27を揺動させ、用紙Pの端部が目標位置Tpに到達すると、レジストローラー27の揺動を停止する処理を繰り返す。
【0060】
このように、本実施形態においては、用紙先端が二次転写ローラー9に突入する前だけでなく、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後においても、副走査方向の複数の位置で用紙Pの側端部の位置補正を行っている。したがって、用紙Pの先端だけでなく、後端においても用紙側端部の位置補正を行うので、例えば、長尺紙などの用紙搬送方向に長い用紙において顕著に生じる副走査曲がりを補正することができる。
【0061】
最終揺動タイミングでの揺動が終了したと判断した場合(ステップS9;YES)、制御部11は、二次転写ローラー9を通過してトナー画像が形成された用紙Pを画像読取部60により読み取らせ(ステップS10)、画像読取部60により取得された読取画像に基づいて、揺動制御情報の補正値を算出する(ステップS11)。
【0062】
ステップS11において、例えば、制御部11は、読取画像から用紙Pの領域及びトナー画像の領域を特定し、用紙Pの副走査方向の予め定められた各位置(複数位置。少なくとも二次転写ローラー9の突入前に側端部の位置補正が行われた所定位置(用紙先端など)及び二次転写ローラー9の突入後の揺動タイミングで側端部の位置補正が行われた複数の位置を含む)における用紙Pの側端部とトナー画像との距離を取得する。そして、例えば、取得した距離と、トナー画像が最適画像位置に書き込まれたときの用紙Pの側端部とトナー画像との距離の差分をずれ量として算出し、算出したずれ量に基づいて、各位置における目標位置Tp(揺動タイミングに対応する位置では、さらに揺動方向)の補正値を算出する。
【0063】
また、制御部11は、画像読取部60により取得された読取画像に基づいて、トナー画像領域のノイズを検出する。例えば、読取画像におけるトナー画像領域の値と原稿画像の値とを照合し、ノイズ(画像不良)を検出する。ここで、二次転写ローラー9への突入後は二次転写ローラー9により用紙Pが挟持された状態で揺動するので、揺動速度が速すぎると、転写ずれ等によるノイズが発生する。そこで、制御部11は、トナー画像領域のノイズを検出し、ノイズが発生した副走査方向における位置の揺動速度を下げるための補正値を算出する。
【0064】
そして、制御部11は、副走査方向の各位置について算出された補正値により、補正値テーブル123を更新する(ステップS12)。すなわち、算出した補正値により、補正値テーブル123の副走査方向の各位置の、用紙搬送に係る条件に応じた補正値を上書きして、上書きした補正値テーブル123を記憶部12に記憶させる。
【0065】
ここで、位置検知センサーSE2の位置において用紙Pの側端部を目標位置Tpに合わせたとしても、上述のように副走査曲がりが発生し、後端にいくにしたがって用紙Pに対する画像位置のずれが大きくなる傾向がある。特に、長尺紙のように、用紙搬送方向に長い用紙では、そのずれは顕著となる。本実施形態では、用紙Pの副走査方向の、少なくとも二次転写ローラー9の突入前に側端部の位置補正が行われた所定位置及び揺動タイミングで側端部の位置補正が行われた複数の位置における揺動制御情報の補正値を算出して補正値テーブル123に記憶するので、副走査方向のそれぞれの位置の画像ずれやノイズに基づいて、個別に揺動制御情報を補正することができ、副走査曲がりによる用紙と画像位置のずれを高精度に抑制することが可能となる。また、常に同一側端部を合わせるため、紙外形のバラツキによる影響を抑制することができる。
【0066】
次いで、制御部11は、最終ページまでの転写が終了したか否かを判断する(ステップS13)。
最終ページまでの転写が終了していないと判断した場合(ステップS13;NO)、制御部11は、ステップS1に戻る。
最終ページまでの転写が終了したと判断した場合(ステップS13;YES)、制御部11は、揺動制御処理Aを終了する。
【0067】
上記揺動制御処理Aは、ジョブ実行中におけるレジストローラー27の揺動動作に基づいてその後の揺動制御に用いる揺動制御情報を補正する処理であるが、画像形成装置100は調整モードを有しており、調整モードにおいて、ジョブ実行前に予め補正値テーブル123に補正値を設定又は補正することができる。例えば、操作部14により調整モードでの動作が指示されると、制御部11は、給紙トレイ21や給紙装置の給紙トレイから所定枚数の用紙を搬送させ、予め記憶部12に記憶されている画像データに基づいて画像形成ユニット10Y~10Kにより画像を形成させて二次転写ローラー9により用紙にトナー画像を転写させる。また、制御部11は、上記揺動制御処理Aと同様の制御によりレジストローラー27の揺動及びトナー画像が転写された用紙の画像読取部60による読み取りを行わせ、画像読取部60による読み取り結果に基づいて揺動制御情報の補正値を算出し、算出した補正値を補正値テーブル123に設定又は補正する。このように、画像形成装置100は、調整モードを有しているので、ジョブ実行前に予め補正値テーブル123に補正値を設定又は補正することができ、一枚目から用紙に対する画像位置のずれを抑制し、仕上がりのよいプリントを提供することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態においては、算出された揺動制御情報の補正値を補正値テーブル123に記憶する例について説明したが、第2の実施形態においては、算出された補正値により補正された揺動制御情報を第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122に記憶する例について説明する。
【0069】
第2の実施形態の記憶部12には、後述する揺動制御処理Bを実行するためのプログラムが記憶されている。また、記憶部12には、第1の実施形態で説明した第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122が記憶されている。
その他の第2の実施形態における構成は第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態における動作について説明する。
【0070】
図6は、第2の実施形態において制御部11により実行されるレジストローラー27の揺動制御処理Bを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザーからのジョブの実行指令に応じて、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によって実行される。
【0071】
ジョブが開始され、位置検知センサーSE2により用紙Pの側端部の位置が検知されると(ステップS21)、制御部11は、位置検知センサーSE2による検知結果及び第1の揺動制御テーブル121により特定される用紙搬送に係る条件に応じた目標位置Tpに基づいて、用紙Pの側端部が目標位置Tpからずれているか否かを判断する(ステップS22)。
【0072】
用紙Pの側端部が目標位置Tpからずれていないと判断した場合(ステップS22;NO)、制御部11は、ステップS21に戻る。
【0073】
用紙Pの端部が目標位置Tpからずれていると判断した場合(ステップS22;YES)、制御部11は、用紙Pの側端部の位置と目標位置Tpとのずれ量に基づいてレジストローラー27の揺動量及び揺動方向を決定し、決定した揺動方向に決定した揺動量だけ、第1の揺動制御テーブル121により特定される用紙搬送に係る条件に応じた揺動速度でレジストローラー27を駆動機構34により揺動させる(ステップS23)。
【0074】
次いで、制御部11は、用紙Pが二次転写ローラー9に突入したか否かを判断する(ステップS24)。ステップS24における判断手法は、図5のステップS4において説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0075】
用紙Pが二次転写ローラー9に突入していないと判断した場合(ステップS24;NO)、制御部11は、ステップS21に戻り、ステップS21~ステップS24の処理を繰り返し実行する。
【0076】
用紙Pが二次転写ローラー9に突入したと判断すると(ステップS24;YES)、制御部11は、揺動タイミングが到来するのを待機する(ステップS25)。ここで、揺動タイミングは、例えば、位置検知センサーSE2が用紙Pの先端を検知してから所定時間t1が経過した後、すなわち、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後、所定時間t2が経過する毎に設定されている。
【0077】
揺動タイミングが到来すると(ステップS25;YES)、制御部11は、駆動機構34により、第2の揺動制御テーブル122により特定される、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた揺動方向及び揺動速度でレジストローラー27を揺動させ(ステップS26)、位置検知センサーSE2による検知結果に基づいて、用紙Pの側端部が第2の揺動制御テーブル122により特定される、揺動タイミング及び用紙搬送に係る条件に応じた目標位置Tpに到達したか否かを判断する(ステップS27)。
用紙Pの側端部が目標位置Tpに到達していないと判断した場合(ステップS27;NO)、制御部11は、ステップS26に戻り、レジストローラー27の揺動を続ける。
用紙Pの側端部が目標位置Tpに到達したと判断した場合(ステップS27;YES)、制御部11は、駆動機構34によりレジストローラー27の揺動を停止させ(ステップS28)、ステップS29に移行する。
【0078】
なお、制御部11は、位置検知センサーSE2により検知される用紙Pの側端部の位置に基づいて、揺動方向が目標位置Tpから離れる方向に向かっているか否かを判断し、離れる方向に向かっていると判断した場合、制御部11は、直ちにステップS28に移行して、レジストローラー27の揺動を停止させる。
【0079】
ステップS29において、制御部11は、最終揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する(ステップS29)。例えば、用紙Pの用紙サイズと、位置検知センサーSE2が用紙Pの先端を検知してからの経過時間及び搬送速度に基づいて、最終揺動タイミングでの揺動が終了したか否かを判断する。
最終揺動タイミングでの揺動が終了していないと判断した場合(ステップS29;NO)、制御部11は、ステップS25に戻り、次の揺動タイミングを待機して、揺動タイミングが到来すると、レジストローラー27を揺動させ、用紙Pの端部が目標位置Tpに到達すると、レジストローラー27の揺動を停止する処理を繰り返す。
【0080】
このように、本実施形態においては、用紙先端が二次転写ローラー9に突入する前だけでなく、用紙先端が二次転写ローラー9に突入した後においても、副走査方向の複数の位置で用紙Pの側端部の位置補正を行っている。したがって、用紙Pの先端だけでなく、後端においても用紙側端部の位置補正を行うので、例えば、長尺紙などの用紙搬送方向の長い用紙において顕著に生じる副走査曲がりを補正することができる。
【0081】
最終揺動タイミングでの揺動が終了したと判断した場合(ステップS29;YES)、制御部11は、二次転写ローラー9を通過してトナー画像が形成された用紙Pを画像読取部60により読み取らせ(ステップS30)、画像読取部60により取得された読取画像に基づいて、揺動制御情報の補正値を算出する(ステップS31)。
【0082】
ステップS31において、例えば、制御部11は、読取画像から用紙Pの領域及びトナー画像の領域を特定し、用紙Pの副走査方向の予め定められた各位置(複数位置。少なくとも二次転写ローラー9の突入前に側端部の位置補正が行われた所定位置(用紙先端など)及び二次転写ローラー9の突入後の揺動タイミングで側端部の位置補正が行われた複数の位置を含む)における揺動制御情報(目標位置Tp、揺動方向、揺動速度)の補正値を算出する。補正値の算出手法は、図5のステップS12で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0083】
そして、制御部11は、副走査方向の各位置について算出された補正値に基づいて、第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122の揺動制御情報を補正し(ステップS32)、補正した揺動制御情報で第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122を更新する(ステップS33)。すなわち、算出した補正値により、第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122の各揺動タイミングの、用紙搬送に係る条件に応じた揺動制御情報を補正して、補正した第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122を記憶部12に記憶させる。
【0084】
ここで、位置検知センサーSE2の位置において用紙Pの側端部を目標位置Tpに合わせたとしても、上述のように副走査曲がりが発生し、後端にいくにしたがって用紙Pに対する画像位置のずれが大きくなる傾向がある。特に、長尺紙のように、用紙搬送方向に長い用紙では、そのずれは顕著となる。本実施形態では、用紙Pの副走査方向の、少なくとも二次転写ローラー9の突入前に側端部の位置補正が行われた所定位置及び揺動タイミングで側端部の位置補正が行われた複数の位置における揺動制御情報を補正して第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122に記憶する。したがって、副走査方向のそれぞれの位置における画像ずれやノイズに基づいて、個別に揺動制御情報を補正することができ、副走査曲がりによる用紙と画像位置のずれを高精度に抑制することが可能となる。また、常に同一側端部を合わせるため、紙外形のバラツキによる影響を抑制することができる。
【0085】
次いで、制御部11は、最終ページまでの転写が終了したか否かを判断する(ステップS34)。
最終ページまでの転写が終了していないと判断した場合(ステップS34;NO)、制御部11は、ステップS21に戻る。
最終ページまでの転写が終了したと判断した場合(ステップS34;YES)、制御部11は、揺動制御処理Bを終了する。
【0086】
上記揺動制御処理Bは、ジョブ実行中におけるレジストローラー27の揺動動作に基づいてその後の揺動制御に用いる揺動制御情報を補正する処理であるが、画像形成装置100は、調整モードを有しており、調整モードにおいて、ジョブ実行前に予め第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122の揺動制御情報を設定又は補正することができる。例えば、操作部14により調整モードでの動作が指示されると、制御部11は、給紙トレイ21や給紙装置の給紙トレイから所定枚数の用紙を搬送させ、予め記憶部12に記憶されている画像データに基づいて画像形成ユニット10Y~10Kにより画像を形成させて二次転写ローラー9により用紙に画像を転写させる。また、制御部11は、上記揺動制御処理Bと同様の制御によりレジストローラー27の揺動及び画像が転写された用紙の画像読取部60による読み取りを行わせ、画像読取部60による読み取り結果に基づいて第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122に揺動制御情報を設定又は補正する。このように、画像形成装置100は、調整モードを有しているので、ジョブ実行前に予め第1の揺動制御テーブル121及び第2の揺動制御テーブル122に揺動制御情報を設定又は補正することができ、一枚目の用紙に対する用紙と画像位置のずれを抑制し、仕上がりのよいプリントを提供することができる。
【0087】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、制御部11は、用紙Pが二次転写ローラー9に突入する前は、位置検知センサーSE2により検知された検知結果及び第1の揺動制御テーブル121に記憶されている予め定められた揺動制御情報に基づいてレジストローラー27を揺動させ、用紙Pが二次転写ローラー9に突入した後は、レジストローラー27を第2の揺動制御テーブル122に記憶されている予め定められた揺動制御情報に基づいて揺動させ、位置検知センサーSE2により検知された検知結果に基づいてレジストローラー27の揺動を停止させる。そして、二次転写ローラー9を通過した画像転写済みの用紙Pを画像読取部60により読み取らせ、その読み取り結果に基づいて、揺動制御情報を補正する。
したがって、用紙Pが二次転写ローラー9に到達した後においても用紙Pの側端部の位置の調整を行い、さらに、転写後の用紙とトナー画像の位置のずれに基づいて揺動制御情報を補正するので、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【0088】
例えば、画像読取部60による読み取り結果に基づいて、用紙が二次転写ローラー9に突入する前のレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報を補正することで、用紙先端側における画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【0089】
また、例えば、画像読取部60による読み取り結果に基づいて、用紙が二次転写ローラー9に突入した後のレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報を補正することで、用紙後端側における画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【0090】
また、例えば、画像読取部60による読み取り結果に基づいて、揺動制御情報の補正値を決定し、決定した補正値を記憶部12に記憶させることで、次のジョブや電源OFF後も補正値を利用することができる。また、例えば、紙種、環境、画像を形成する用紙面、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件に応じて揺動制御情報の補正値を格納したテーブルを記憶部12に記憶するようにすることで、用紙搬送に係る条件に応じた最適な揺動制御を行うことが可能となる。
【0091】
また、例えば、紙種、環境、画像を形成する用紙面、給紙トレイ等の用紙搬送に係る条件に応じた揺動制御情報を格納したテーブルを記憶部12に記憶しておき、画像読取部60による読み取り結果に基づいて決定した補正値によりテーブルに格納されている用紙搬送に係る条件に応じた揺動制御情報を補正することで、用紙搬送に係る条件に応じた最適な揺動制御を行うことが可能となる。
【0092】
また、画像形成装置100は調整モードを有し、調整モードでの動作が指示されると、自動的に用紙を通紙し、当該用紙に画像を転写して画像読取部60による読み取りを行い、その読み取り結果に基づいて第1の揺動制御テーブル121、第2の揺動制御テーブル122、及び/又は補正値テーブル123を補正するので、ジョブの実行前に予め揺動制御情報や補正値を最適なものに設定しておくことができる。
【0093】
また、予め定められた複数のタイミングでレジストローラー27を揺動制御情報に基づいて揺動させ、画像読取部60による読み取り結果に基づいて、複数のタイミング毎の揺動制御情報をそれぞれ補正することで、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれをより高精度に抑制することができる。
【0094】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0095】
例えば、上記第1及び第2の実施形態においては、1ページ分の画像が転写される毎に、用紙Pを画像読取部60により読み取り、その読み取り結果に基づいて、リアルタイムに揺動制御情報の補正を行う場合を例にとり説明したが、所定期間(すなわち、複数枚の画像が転写された用紙)の読み取り結果の演算値(例えば、ずれ量の平均値、中央値等)に基づいて、揺動制御情報の補正を行うこととしてもよい。これにより、所定期間の傾向に基づいて、効率的に揺動制御情報の補正を行うことができる。
【0096】
また、上記揺動制御処理A、Bでは、ジョブ実行中において、前紙の画像読取部60の読み取り結果に基づいて、次紙におけるレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報の補正を行う場合を例にとり説明したが、自紙の後端側におけるレジストローラー27の揺動制御に用いる揺動制御情報の補正を行ってもよい。例えば、長尺紙等の用紙搬送方向が長い用紙の場合には、画像読取部60が所定サイズまでの用紙を読み取ったら、その読み取り結果に基づいて、制御部11が揺動制御情報の補正値を算出して揺動制御情報を補正し、補正した揺動制御情報に基づいて自紙の後端側におけるレジストローラー27の制御を行ってもよい。
【0097】
また、上記実施形態においては、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ローラーに一次転写し、中間転写ローラーから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
【0098】
また、上記実施形態においては、レジストローラー27と二次転写ローラー9の間に位置検知センサーSE2を設け、位置検知センサーSE2による用紙側端部の検知結果に基づいて、レジストローラー27の揺動を制御することとして説明したが、位置検知センサーSE2を設けず、画像読取部60による転写済みの用紙の読み取り結果に基づいて直接レジストローラー27の揺動制御を行うこととしてもよい。
【0099】
また、上記実施形態においては、レジストローラー27が用紙搬送方向に直交する方向に揺動するものとして説明したが、揺動方向は、必ずしも用紙搬送方向に直交する方向でなくてもよく、用紙送り方向を変えられれば良い。
【0100】
また、上記実施形態においては、揺動ローラーがレジストローラー27である場合を例にとり説明したが、これに限定されず、例えば、レジストローラー27とは別体であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態においては、用紙Pの二次転写ローラー9への突入前においては位置検知センサーSE2による検知結果と揺動制御情報に基づいてレジストローラー27を揺動させることとして説明したが、これに限定されず、例えば、用紙Pの二次転写ローラー9への突入後と同様の揺動制御を行うこととしてもよい。
【0102】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0103】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
100 画像形成装置
11 制御部
12 記憶部
121 第1の揺動制御テーブル
122 第2の揺動制御テーブル
123 補正値テーブル
13 通信部
14 操作部
SC 原稿読取装置
10 画像形成部
9 二次転写ローラー
20 用紙搬送部
27 レジストローラー
50 定着装置
60 画像読取部
SE1 レジストセンサー
SE2 位置検知センサー
SE3 環境センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7