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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】調光体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20220301BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20220301BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220301BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1345
G02F1/1333
E06B9/24 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017135433
(22)【出願日】2017-07-11
(65)【公開番号】P2019020434
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 竜也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 潤一
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0040828(KR,A)
【文献】米国特許第05142644(US,A)
【文献】特開2006-184525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1345
G02F 1/1333
G02F 1/1334
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層が、前記調光層に電圧を印加する透明導電膜が形成された透明基材に挟持されてなる構成であり、前記調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に液晶分子が配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有している構造の液晶材料からなる調光体において、
前記調光体の端部にあり、一方の透明基材が切り欠かれて露出した透明導電膜上への電気的接続のための給電電極部は、前記透明基材の断裁形状に応じて露出する前記透明導電膜表面の4角の形状がすべて曲率半径を有する非直角の頂部を有していることを特徴とする調光体。
【請求項2】
前記透明導電膜表面に形成される少なくとも導電ペースト,導電テープの何れかの形状は、曲率半径を有する非直角の頂部を有していることを特徴とする請求項1記載の調光体。
【請求項3】
前記非直角の頂部の曲率半径は、前記透明基材の断裁に応じて露出する前記透明導電膜表面の形状を矩形と見た場合、その短辺長さ以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の調光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的制御によって光の透過状態を制御する光学素子を備えた調光体に関し、特に、透明電極層付き透明基材へのリード線連結構造として好適な給電構造(電極構造)の改良された調光体に関する。
以降の説明においては、調光体,調光装置,調光シート,調光フィルムなど各種用語を混在して用いることもあるが、透明基材が、例えばガラス板,アクリル板などのリジッドな基材であったり、フレキシブルな樹脂フィルムであったり、フレキシブルな調光フィルムが厚さ,剛性確保のため、リジッドな基材に固定される(あるいは、挟持された合わせガラスの形態とされる)ことに起因する最終形態に伴う相違であり、本願発明ではそれらを同義語として取扱うものとする。
【背景技術】
【0002】
不透明状態(あるいは白濁状態)と透明状態とを切り替える調光シートは様々な用途で用いられている。
例えば、調光シートは、電極間に保持された液晶層を備え、電極に印加する電圧により液晶層に含まれる液晶分子の配向状態を変化させて、入射した光を散乱する不透明状態と、入射した光を透過する透明状態とを切り替え可能に構成されている。(例えば、特許文献1参照)
調光シートは、例えばガラス等の透明基材に固定することにより、窓ガラスや展示ウィンドウ、間仕切りなどに採用することが可能となり、例えばプライベート空間とパブリック空間とを分離するため等、空間を分離する設備の他、自動車のサンルーフやサンバイザー用途としての利用についても提案されている。
【0003】
調光体30における電極(給電部)構造の一例では、図2に示すように、液晶層33、並びに透明導電膜35a及びPETフィルム34aが切り欠かれた調光体30の一端に設けられ、露出した透明導電膜35bの上に塗布された銀ペースト40と、銀ペースト40の上側に圧着されたピンコネクタ41とから成る。ピンコネクタ41は舌片状に延出する延出部41aを備え、ハンダ42によってリード線43が当該延出部41aに連結されている。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
舌片状の延出部41aを備えハンダ42が自由端上にある不安定な構造に換えて、図3に示すように、上側の電極フィルム(イ)が切り欠かれて下側の電極フィルム(ロ)の透明導電膜が露出した表面に導電ペースト,導電テープを積層し(同図では、「導電テープ等」として単層で図示している)、ハンダ等を形成し、配線(リード線)に連結した構造の給電部(導電テープは舌片状に延出させない)も採用されている。
上側の電極フィルム(イ)側に形成される給電部は、上記の様に電極フィルム(ロ)側に形成された給電部とは重なり合わず離間した箇所に、同図を上下反転した状態で同様に形成される。
こうして電極フィルム(イ)(ロ)に付与された給電部から電圧が印加され、調光体の液晶駆動が行なわれる。
以下、図3において破線で囲まれる箇所(α)を「給電電極」と称して、調光体の電極フィルムに形成された透明導電膜による電極と差別することとする。
【0005】
図4は、図3に示す給電電極の平面図である。
図4(a)の平面図では、調光体における同図下端部に帯状の接続領域に給電電極が形成される。
給電電極は、紙面手前側の電極フィルムを帯状に切り欠いて(断裁~剥離)、露出した紙面奥側の電極フィルムに形成された透明導電膜表面に導電ペースト,導電テープを積層し(同図では、導電ペースト,導電テープを単一部材として図示している)、帯状の導電テープ上の略中央部にハンダを形成し、配線(リード線)に連結した構造である。
同図上端部には、対向透明導電膜(紙面の手前側)に接続される帯状の接続領域に形成される給電電極が点線で図示される。
各帯状の接続領域は、図4(a)の様に、調光体の対辺同士に形成しても良く、図4(b)の様に、同一辺であっても表裏で重なり合わない様に、左右端部との余白,接続領域同士の間隔を適度に保って配置しても良い。端部との額縁状の余白は、フレームに装着,合わせガラス形態とする際の封止部の加工をする上で必要となる。
【0006】
接続領域サイズは図4(a)の様に、調光体内部で液晶層が挟持された領域サイズ(矩形の調光体シートの左右一辺)の100%近くに渡る長さであっても、図4(b)の様に、調光体シートの一辺長さの1/2未満であっても、リード線が半田接合されるポイントを僅かに超える程度(>0%)であっても良い。
接続領域サイズが小さい場合には、図1(a)の様に紙面手前側の透明導電フィルム(イ)の下端部を幅方向(左右)の全てに渡って断裁~剥離して、液晶層,透明電極を露出させる必要はなく、給電電極部の形成に必要なサイズで透明導電フィルムを断裁~除去すれば良い。対向透明電極に接続領域を形成する際の透明導電フィルム(ロ)の断裁~剥離の取扱いの上でも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-146051号公報
【文献】実公平6-37395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4(a)(b)に示される様に、給電電極の形成箇所では、透明導電フィルムの断裁~除去に応じて露出する透明導電膜表面の形状は矩形である。
また、透明導電膜表面に形成される導電テープ等(導電ペースト,導電テープ)の形状も矩形である。
【0009】
矩形の透明導電膜,導電テープ等(導電ペースト,導電テープ)を有する給電電極から調光体の駆動電圧を印加することで、矩形の角(直角の隅)での電気抵抗が上昇し、角部の温度が上昇するにことに伴い、液晶層の変性を招いたり、消費電力の増大を招くという問題が発生する。
ITO:1.5~2.0×10-4[Ωcm],銅:1.68 ×10-7 [Ωcm]に例示される相違の通り、透明導電膜(前者)は、不透明な金属導電材料(後者)に比べて電気抵抗が高く、導通箇所の形状,厚さに応じた表面抵抗率(シート抵抗)の変動が顕著であることは公知である。
【0010】
本発明は、給電電極部の形状に依存した電気抵抗の上昇に伴う液晶層の変性(表示品位の低下),消費電力の増大を回避した調光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の調光体は、
印加電圧に応じてヘイズを2種類以上に切替可能な調光層が、前記調光層に電圧を印加する透明導電膜が形成された透明基材に挟持されてなる構成であり、前記調光層は、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に液晶分子が配置されるか、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有している構造の液晶材料からなる調光体において、
調光体の端部に、一方の透明基材が切り欠かれて露出した透明導電膜上への電気的接続のための給電電極部は、透明導電膜が露出した表面に少なくとも導電テープが貼着され、前記テープ上に形成したハンダを介してリード線に連結する構造であり、透明基材の断裁形状に応じて露出する透明導電膜表面の形状は、曲率半径を有する非直角の頂部を有していることを特徴とする。
【0012】
曲率半径(R)としては、給電部を形成する領域全体(または、導電ペーストや導電テープ)の形状を矩形と見た場合、その短辺長さ(α)以下であれば良い。
好ましくは、前記短辺長さ(α)の20%であることが取扱形状および加工適正から好ましい。
【発明の効果】
【0013】
給電電極部を構成する導電要素(透明導電膜,導電ペースト,導電テープ)の少なくとも何れかの形状が、曲率半径を有する非直角の頂部を有していることにより、給電電極部から調光体の駆動電圧を印加した際、前記導電要素内での表面抵抗の上昇を伴わず、給電電極部での温度上昇,液晶層の変性,消費電力の増大を招くという問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による調光体における電極(給電部)構造例を示す説明図。
図2】従来技術による調光体における電極(給電部)構造例を示す説明図。
図3】従来技術による調光体における電極(給電部)構造例を示す説明図。
図4図3に示す給電電極の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図示を用いて説明するが、本発明は以下の図示・説明によって限定されるものではない。
図1は本発明による調光体における電極(給電部)構造例を示す説明図であり、(a)が給電電極部を含む調光体全体を示す平面図,(b)が給電電極部を構成する透明導電膜の形状を示す拡大図である。
【0016】
本発明では、調光層として、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に液晶分子が配置されたタイプのPNLC(ポリマーネットワーク液晶)、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有するタイプのPDLC(高分子分散液晶)の何れかを採用する。
以下、PNLCで代表して本実施形態を説明する。
【0017】
<PNLCによる調光体>
PNLCからなる調光層を具備する調光体(フィルム)の製造にあたっては、液晶と光重合性化合物(モノマー)との混合物を一対の透明電極基板(透明導電膜の形成された透明基板)の間に挟み、一定の条件下で紫外線を照射し、光重合によって光重合性化合物が高分子に変化すると共に、光重合および架橋結合により、微細なドメイン(高分子の空隙)を無数に有するポリマーネットワークが液晶中に形成する。
【0018】
PNLCの駆動電圧は、一般にポリマーネットワークの構造上の特性(ドメインの大きさや形状,ポリマーネットワークの膜厚など)に依存しており、ポリマーネットワークの構造と、得られる光透過/散乱度との関係において、駆動電圧が決定されている。
100V以下の電圧領域において、十分な光透過/散乱度が得られるようなPNLCを構成するには、各ドメインがいずれも適正な大きさで均一となるように、かつ、形状も均一となるようにポリマーネットワークを形成する必要がある。
本発明では、ポリマーネットワーク構造に依存するドメインサイズを3μm以下、好ましくは2μm以下、一層好ましくは0.3~1.7μmのサイズとなる様に制御する。
【0019】
製造方法の詳細については、九州ナノテック光学株式会社による特許第4387931号に説明されており、本発明の実施形態においても、調光体となる液晶素子の製造は前記特許に準拠したプロセスを採用する。前記プロセスは、上述した「サイズや方向性の制御されたネットワーク構造」の設計~製造の上で非常に有効である。
【0020】
本実施形態による調光体では、PNLCからなる調光層と透明導電フィルム(透明導電膜の形成された透明基板)とを備えている。
透明導電フィルムは、調光層(PNLC)を挟持しており、調光層(PNLC)に電圧を印加して、高ヘイズ(散乱状態),低ヘイズ(透過状態)を変化させる。
【0021】
透明導電フィルムは、フィルム基材上に透明な導電材料からなる透明電極を成膜してなる透明導電フィルムを互いの透明電極側を対向して調光層を挟持する。
透明導電フィルムを構成する透明基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,ポリエチレン(PE)フィルム,ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。透明基材の厚みは、約50~200μm程度が望ましい。
透明電極(透明導電膜)には、一般的にITOなどの金属酸化物が用いられるが、ITOに替えて低抵抗の導電性ポリマーを採用することも可能である。導電性ポリマーとしては、PEDOT/PSSに例示されるπ共役系導電性高分子にドープされたポリアニオンを含む材料の採用が好適である。
透明電極の好適な厚さは略80nm以上150nm以下である。
尚、PNLCでは印加電圧に応じて、0/1以外の中間調のヘイズ状態を表現することも可能である。
【0022】
本発明は、光散乱(白濁)系から電圧を印加(ON)にすることで透明状態へ変化するノーマルモード方式に加えて、電圧の印加で透明から白濁系へと状態が変化するリバースモード方式にも適用可能である。
リバースタイプの調光層(PNLC)を具備する調光体では、調光層の上側の透明導電フィルムの間に配向膜を積層するとともに、調光層の下側の透明導電フィルムの間にも配向膜が積層される。(図示せず)
【0023】
ポリマーネットワーク及び液晶分子は、一対の配向膜の間に配置されている。
配向膜は、いわゆる垂直配向膜であり、調光層2に電圧を印加していないときに、液晶分子の長手方向が配向膜の法線方向に沿うように、当該液晶分子を配向する。このため、リバースタイプの調光層(PNLC)は、電圧を印加していないときに低ヘイズ状態となり、透過性が高くなる。
【0024】
<給電電極部>
本実施形態による給電電極部の形成にあたっては、露出させる透明導電膜表面の形状を、曲率半径を有する非直角の頂部を有している形状に加工する。
上記形状での加工にあたり、カッターなど機械的な断裁手段,レーザー断裁手段が適宜選定される。
上記形状で露出させた透明導電膜表面に給電電極部を形成するにあたっては、液状で残存する調光層(PNLC)を拭き取り、導通性を確保した状態の表面に、少なくとも帯状の導電ペースト,導電テープを順次積層し、導電テープ上の略中央部にハンダを形成し、配線(リード線)に連結する。
【0025】
ITO,IZO,有機導電膜からなる透明導電膜は、ハンダに接着しないため、ハンダ付が可能となる様に、透明導電膜上に金属メッキ層(Niが代表的)を形成したり、導電性接着剤による厚膜層を形成するなどの中継的役割を担う端子処理が必要となっている。
工程,部材を低減した構成としては、透明導電膜上に導電テープを貼着し、ハンダ付けが行なわれる構成が好ましい。
本実施形態では、透明導電膜上に、導電ペースト,導電テープを順次積層する。
導電ペーストとしては、透明導電膜との密着性が良い材料であれば何でもよいが、例えば銀ペーストを用いることができる。導電テープとしては、例えば銅テープを用いることができる。
【0026】
ハーフカット(一方の透明導電フィルムの断裁)の形状に応じて、透明導電膜自体が成膜された形状には変化がなく全面でベタなままであるが、透明導電膜の露出部分の形状は変わり、対向する他方の導電フィルム(挟持される液晶層との接触箇所)との接触箇所の形状が変わることで、シート抵抗値が下がることになる。
本実施形態においては、導電ペースト,導電テープでも、帯状形状に形成する際、直角の角を持つ矩形でなく、4角に曲率半径(R)を持たせることも好ましい。
【0027】
上記のように形成された給電電極部において、外部電源から調光体に給電を行なうリード線を銅テープ上で半田接続した後、半田部分と上記接続領域を覆う状態で電極保護層を形成する。
半田接続にあたっては、鉛フリー半田(加熱温度=約200℃),加熱温度の低い超音波半田など、半田の種類は適宜選択される。
電極保護層の材料としては、紫外線硬化性エポキシ樹脂あるいは紫外線硬化性アクリル樹脂が短時間で硬化させることが可能であり好適である。
電極保護層に要求される特性として、絶縁性,耐水性(電蝕防止),機械的強度,保護対象との密着性が挙げられ、重視する目的に応じて適宜選択される。
【実施例
【0028】
一対の透明導電フィルム(ITOの成膜されたPETフィルム)の透明導電膜側同士を対向させた間にPNLCが挟持されてなる調光フィルム(A4サイズ)に、以下の様に給電電極部を形成した。
【0029】
透明導電フィルムの一方にレーザープリンタ((株)ユニバーサルレーザーシステムズ)でA4サイズの端部(図1(a)の左下に示す位置)に、短辺10mm×長辺100mmの矩形状に切り込み(ハーフカット)を入れ、透明導電フィルムを剥離して切り欠け部を形成した。
矩形の4角のうち、右側2つの頂部ではR=2mmの曲率半径を有するカーブで断裁した。(図1(b)参照)
【0030】
切り欠いた透明導電フィルムの剥離により露出したPNLC層をイソプロピルアルコール,酢酸エチル,トルエン等の適宜な溶媒で除去し、透明導電膜(ITO)を露出させ、30μm厚の両面導電テープ(寺岡製作所製No.7742)を貼合し、その上に銅フィルム(三井金属製3EC-HTE)を貼合し給電電極部を形成した。
【0031】
他方の透明導電フィルムでの給電電極部の形成では、金属刃でA4サイズの端部(図1(a)の右下に示す位置)に、短辺10mm×長辺100mmの矩形状に切り込み(ハーフカット)を入れ、透明導電フィルムを剥離して切り欠け部を形成した。
矩形の4角のうち、2つの頂部ではR=2mmの曲率半径を有するカーブで断裁した。
切り欠いた透明導電フィルムの剥離後、同様に給電電極部を形成した。
【0032】
<対比評価>
給電電極部に曲率半径(R)を持たせる加工を施した実施例に係る調光体と、給電電極部が直角の4角のみからなること以外は同一条件で作製した従来製品に係る調光体を用意し、共に交流電圧40Vを印加し、1ヶ月間透明状態で放置した後、両者を観察した。
従来製品に係る調光体では、給電電極部周囲の温度が上昇し、遮光状態(電圧OFF)で給電電極部の周囲1mm程度が透明になったのに対して、実施例に係る調光体では、給電電極部の温度上昇も確認されず、遮光状態(電圧OFF)で給電電極部周囲も問題なく遮光(散乱)状態が良好に維持されていた。
尚、本発明の他実施例として、図1(c)に示す様に、矩形の4角の全てに曲率半径(R)を持たせる加工を施すことや、更には透明導電膜上に貼合する両面導電テープ,銅フィルムの少なくとも一方にも矩形の4角の少なくとも何れかに曲率半径(R)を持たせる加工を施すことにより、矩形の角(直角の隅)での電気抵抗が上昇することを抑制する上での効果が一層向上する。
【符号の説明】
【0033】
30 調光体
33 液晶層
34(a,b) PETフィルム
35(a,b) 透明導電膜
40 銀ペースト
41 ピンコネクタ
41a 延出部
42 ハンダ
43 リード線
図1
図2
図3
図4