(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】画像形成装置及び位置検知機能の異常診断方法
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20220301BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20220301BHJP
H02P 29/024 20160101ALI20220301BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B65H7/02
H02P29/024
G03G15/02 103
(21)【出願番号】P 2017217616
(22)【出願日】2017-11-10
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克典
(72)【発明者】
【氏名】山元 健二
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-090983(JP,A)
【文献】特開2001-194875(JP,A)
【文献】特開平07-077903(JP,A)
【文献】特開2011-203635(JP,A)
【文献】特開平06-214450(JP,A)
【文献】特開2006-153912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B65H 7/02
H02P 29/024
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置と第2の位置の間を移動する移動部材と、
移動駆動部用コネクタを介して入力された指令に基づいて前記移動部材を移動させる移動駆動部と、
前記第1の位置に設けられるとともに第1コネクタを介して電源が供給され、前記第1コネクタを介して前記移動部材
が第1の位置に
有ることを示す検知信号又は前記移動部材が第1の位置に無いことを示す検知信号を出力する第1位置検知センサと、
前記第2の位置に設けられるとともに第2コネクタを介して電源が供給され、前記第2コネクタを介して前記移動部材
が第2の位置に
有ることを示す検知信号又は前記移動部材が第2の位置に無いことを示す検知信号を出力する第2位置検知センサと、
前記第1位置検知センサと前記第2位置検知センサが出力する前記検知信号を用いて前記移動部材の位置を判断し、前記移動駆動部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々において、第1の位置及び第2の位置の各々に前記移動部材が有ることを表す
前記検知信号の論理と、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの各々のコネクタ抜け
が発生しているときの前記検知信号の論理と、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々
が異常状態である
ときの前記検知信号の論理が同じであって、
前記制御部は、位置検知機能の故障診断として、前記移動部材の移動開始前及び移動開始後の前記第1位置検知センサと前記第2位置検知センサの検知信号から、少なくとも前記移動駆動部の異常、前記第1位置検知センサ
の異常もしくは前記第1コネクタのコネクタ抜け、又は、前記第2位置検知センサの異常
もしくは前記第2コネクタのコネクタ抜けのいずれが発生したかを判定する処理を行う
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々に対応して設けられるセンサ検知回路を介して各センサに第1電源を供給する第1電源部と、
各センサ検知回路に対し対応する前記第1位置検知センサ又は前記第2位置検知センサの検知信号をプルアップする第2電源を供給する第2電源部と、を備え、
前記制御部は、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々の前記検知信号が移動部材有りを示す信号である場合に、前記第2電源部から前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサへ供給していた前記第2電源を停止したことで前記検知信号が移動部材無しを示す信号に変化することにより、または、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々の前記検知信号が移動部材無しを示す信号である場合に、前記第1電源部から前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサへ供給していた前記第1電源を停止したことで前記検知信号が移動部材有りを示す信号に変化することにより、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々に対応する前記センサ検知回路により前記移動部材の有無を正常に検知できていることを判定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動部材が第1の位置に存在し、前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した場合、又は、
前記移動部材が第2の位置に存在し、前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した場合、又は、
前記移動部材が第1の位置と第2の位置の中間に存在し、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサが共に移動部材無しを示す検知信号を出力した場合、
前記制御部は、前記移動駆動部に指令を出して前記移動部材の移動を開始する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記移動部材が第1の位置に存在し、前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した状態から、前記移動駆動部に前記移動部材を第2の位置に移動させる指令を送出したときに、前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力した場合には、前記第1コネクタが抜けたか、又は前記第1位置検知センサが異常であると判定し、
または、前記移動部材が第2の位置に存在し、前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した状態から、前記移動駆動部に前記移動部材を第1の位置に移動させる指令を送出したときに、前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力した場合には、前記第2コネクタが抜けたか、又は前記第2位置検知センサが異常であると判定する
請求項1に又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記移動部材が第1の位置に存在し、前記第1位置検知センサが第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した状態から、前記移動駆動部に前記移動部材を第2の位置に移動させる指令を送出したときに、前記第2位置検知センサが規定時間内に第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力しない場合には、前記移動駆動部用コネクタが抜けたか、又は前記移動駆動部が異常であると判定し、
または、前記移動部材が第2の位置に存在し、前記第2位置検知センサが第2の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力し、かつ前記第1位置検知センサが
第1の位置に移動部材無しを示す検知信号を出力した状態から前記移動駆動部に前記移動部材を第1の位置に移動させる指令を送出したときに、前記第1位置検知センサが規定時間内に第1の位置に移動部材有りを示す検知信号を出力しない場合には、前記移動駆動部が異常であると判定する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに前記移動駆動部であるモータを駆動するモータ駆動回路に接続され、モータ電流を検出する電流検出回路、を備え、
前記制御部は、前記モータに前記移動部材の移動を指令し、前記モータの回転時に前記電流検出回路が前記モータの動作電流閾値以上のモータ電流を検出した状態で、移動先のセンサが所定時間内に移動部材有りを示す検知信号を出力しない場合には、ギア異常により前記モータが空回りしていると判定し、また、前記電流検出回路で検出された前記モータ電流が、過電流閾値以上である場合には、重負荷又はメカ
異常であると判定する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記移動駆動部用コネクタ、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、及び前記制御部は、前記移動部材の取り外しが可能に構成されたメンテナンス用コネクタに配線で接続されており、
前記制御部は、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサがともに移動部材有りを示す検知信号を出力した場合に、前記メンテナンス用コネクタが抜けていると判定する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項8】
さらに、前記移動部材の動作開始時の前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理と、前記移動部材の動作終了時の前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理と、
前記移動部材が前回動作したときの正常終了又は異常終了の結果と、前記制御部の電源がオフする直前の前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理とが保存されるデータ保存部、を備え、
前記制御部は、前回の前記移動部材の動作終了後に前記移動部材の移動動作を開始する際に、前記データ保存部に保存された各情報と、今回の前記移動部材の移動動作開始時における前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理とから、前記位置検知機能の異常の有無を判定する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記移動駆動部用コネクタ、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、及び前記制御部は、前記移動部材の取り外しが可能に構成されたメンテナンス用コネクタに配線で接続されており、
前記制御部は、前回の前記移動部材の移動動作が正常に終了し、前記制御部の電源オフと電源オンを経て前記移動部材の移動動作を開始時に、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサがともに移動部材有りを示す検知信号を出力した場合には、前記メンテナンス用コネクタが抜けていると判定し、そして、前記メンテナンス用コネクタが抜けていると判定した後に前記制御部の電源オフ時には、前記電源がオフする直前の前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理を前記データ保存部に保存しない
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記移動駆動部はステッピングモータであり、
前記制御部は、前記ステッピングモータが動作していないと判定した後、前記ステッピングモータの回転数を低下させて前記ステッピングモータを動作させ、移動先のセンサが移動部材有りを示す信号を出力した場合には、前記ステッピングモータは重負荷の状態であると判定する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記移動駆動部はステッピングモータであり、
前記制御部は、前記ステッピングモータが動作していないと判定した後、前記ステッピングモータの設定電流値を上げて前記ステッピングモータを動作させ、移動先のセンサが移動部材有りを示す信号を出力した場合には、前記ステッピングモータは重負荷の状態であると判定する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々に対応する前記センサ検知回路により前記移動部材の有無を正常に検知できている場合に、各センサ検知回路が正常であると判定し、
次いで、前記センサ検知回路が正常であると判定した後、移動先のセンサが前記移動部材有りの信号を検知している状態において、前回の前記移動部材の動作終了後に前記移動部材の移動動作を開始する際に、前記データ保存部に保存された各情報と、今回の前記移動部材の移動動作開始時における前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの
前記検知信号の論理とから、前記位置検知機能の異常の有無を判定し、異常有りと判定した場合には、前記移動部材の移動動作を実施せず、
また、前記位置検知機能に異常無しと判定した場合には、前記移動部材の移動動作を開始し、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの検知信号の論理変化によって前記位置検知機能の異常の有無を判定する
請求項2を引用する請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記移動部材は、少なくとも、搬送された用紙の姿勢を矯正する圧着及び離間可能に構成されたレジストローラ、中間転写ベルトの表面に当接する位置と当接しない位置とを移動可能に構成されたクリーニング部材、又は感光体ドラム表面を帯電させる帯電部の帯電ワイヤと略平行に移動される清掃部材のいずれかである
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記清掃部材は、前記帯電ワイヤと略平行に配置された、前記移動駆動部の回転駆動に従い駆動する送りネジにより、前記帯電ワイヤと略平行に移動される
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
第1の位置と第2の位置の間を移動する移動部材と、移動駆動部用コネクタを介して入力された指令に基づいて前記移動部材を移動させる移動駆動部と、前記第1の位置に設けられるとともに第1コネクタを介して電源が供給され、前記第1コネクタを介して前記移動部材
が第1の位置に
有ることを示す検知信号又は前記移動部材が第1の位置に無いことを示す検知信号を出力する第1位置検知センサと、前記第2の位置に設けられるとともに第2コネクタを介して電源が供給され、前記第2コネクタを介して前記移動部材
が第2の位置に
有ることを示す検知信号又は前記移動部材が第2の位置に無いことを示す検知信号を出力する第2位置検知センサと、前記第1位置検知センサと前記第2位置検知センサが出力する前記検知信号を用いて前記移動部材の位置を判断し、前記移動駆動部の動作を制御する制御部と、を備えた画像形成装置における位置検知機能異常診断方法であって、
前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々において、第1の位置及び第2の位置の各々に前記移動部材が有ることを表す
前記検知信号の論理と、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの各々のコネクタ抜け
が発生しているときの前記検知信号の論理と、前記第1位置検知センサ及び前記第2位置検知センサの各々
が異常状態である
ときの前記検知信号の論理が同じであり、
前記制御部が、位置検知機能の故障診断として、前記移動部材の移動開始前及び移動開始後に前記第1位置検知センサと前記第2位置検知センサから出力される検知信号を取得する取得ステップと、
前記制御部が、前記移動部材の移動開始前及び移動開始後に前記第1位置検知センサと前記第2位置検知センサから出力される検知信号から、少なくとも前記移動駆動部の異常、前記第1位置検知センサ
の異常もしくは前記第1コネクタのコネクタ抜け、又は、前記第2位置検知センサの異常
もしくは前記第2コネクタのコネクタ抜けのいずれが発生したかを判定する処理を行う判定ステップと、を含む
位置検知機能の異常診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び位置検知機能の異常診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2個以上の位置検出センサを有し、センサ検知論理によって移動部材の位置を判断して当該移動部材を移動させるモータの回転方向を制御する駆動方式において、制御基板と移動駆動ユニットを中継するコネクタが抜けた状態や、位置検出センサの検出面が汚れて異常が発生した状態、センサ検知回路が異常の状態で移動部材の移動を開始すると、次のような問題が発生する。第1に移動部材の停止位置が検知できないため、移動部材はオーバーランし、移動部材を含む移動駆動ユニットを破損するおそれがある。第2に位置検知機能の不具合箇所が特定できない場合、修復に時間を要する。
【0003】
一方、移動駆動ユニットのメンテナンスを行うためにコネクタを外す必要がある場合、電源OFF状態でコネクタを外し、メンテナンス終了後に移動駆動ユニットを所定位置にセットしたとしても、コネクタに移動駆動ユニットを差し忘れると、異常と誤検知されてしまう。このため、コネクタ抜けを検知する必要がある。
【0004】
特許文献1には、ホームポジションセンサ(1個)とモータロック信号により位置検知を行うチャージワイヤ清掃装置において、清掃部材がホームポジション側に存在するときにモータロック信号が発生した際、ホームポジションセンサがONしていれば確実にホームポジションにあることを検知することが記載されている。また、特許文献1では、チャージワイヤ2を清掃するための清掃部材が、ホームポジションセンサを確実にオフしている時間を経過した後に、ホームポジションセンサからの信号をチェックして検出信号がオンのままであった場合に、ホームポジションセンサが異常であると判断する技術が記載されている。
【0005】
特許文献2には、センサのLED電源と信号線をコネクタの両端に接続し、温度センサをコネクタの中央に接続することで、コネクタの半挿しの場合に、センサ信号の断線検知レベルから、コネクタの断線かサーミスタの故障かを判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平06-214450号公報
【文献】特開2004-219468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の状況から、2個以上の位置検出センサを有し、センサ検知論理によって移動部材の位置を判断して当該移動部材を移動させる駆動源(モータ等)の駆動を制御する駆動方式において、従来よりも簡単な構成により異常箇所を特定することが望まれていた。特許文献1,2には、このような2つの位置を移動する移動機構の異常箇所を特定する点について考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の画像形成装置は、第1の位置と第2の位置の間を移動する移動部材と、移動駆動部用コネクタを介して入力された指令に基づいて移動部材を移動させる移動駆動部と、第1の位置に設けられるとともに第1コネクタを介して電源が供給され、第1コネクタを介して移動部材が第1の位置に有ることを示す検知信号又は移動部材が第1の位置に無いことを示す検知信号を出力する第1位置検知センサと、第2の位置に設けられるとともに第2コネクタを介して電源が供給され、第2コネクタを介して移動部材が第2の位置に有ることを示す検知信号又は移動部材が第2の位置に無いことを示す検知信号を出力する第2位置検知センサと、第1位置検知センサと第2位置検知センサが出力する検知信号を用いて移動部材の位置を判断し、移動駆動部の動作を制御する制御部と、を備える。
第1位置検知センサ及び第2位置検知センサの各々において、第1の位置及び第2の位置の各々に移動部材が有ることを表す検知信号の論理と、第1コネクタ及び第2コネクタの各々のコネクタ抜けが発生しているときの検知信号の論理と、第1位置検知センサ及び第2位置検知センサの各々が異常状態であるときの検知信号の論理が同じである。そして、制御部は、位置検知機能の故障診断として、移動部材の移動開始前及び移動開始後の第1位置検知センサと第2位置検知センサの検知信号から、少なくとも移動駆動部の異常、第1位置検知センサの異常もしくは第1コネクタのコネクタ抜け、又は、第2位置検知センサの異常もしくは第2コネクタのコネクタ抜けのいずれが発生したかを判定する処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、従来よりも簡単な構成により、2つの位置を移動する移動機構の異常箇所を特定することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る位置検知機能が搭載される画像形成装置の構成例を示す断面模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電極清掃ユニットの一例を示す説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る位置検知機能の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る第1センサ及び第2センサのセンサ論理の設定例を示すテーブルである。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る正常停止位置(第1の位置)における第1センサ及び第2センサのセンサ論理を示す説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る清掃部材が第1の位置から第2の位置へ移動する場合の動作仕様についての説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る清掃部材が第2の位置から第1の位置へ移動する場合の動作仕様についての説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るメンテナンス用コネクタ抜けの検知例を示す説明図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の第1例に係る第1コネクタ抜け及び第1センサ異常の検知例を示す説明図である。
【
図10】
図9の第1コネクタ抜け及び第1センサ異常の検知例におけるセンサ論理を示す説明図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態の第2例に係る第2コネクタ抜け及び第2センサ異常の検知例を示す説明図である。
【
図12】
図11の第2コネクタ抜け及び第2センサ異常の検知例におけるセンサ論理を示す説明図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態の第1例に係るモータのコネクタ抜け及びモータ異常の検知例を示す説明図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態の第2例に係るモータのコネクタ抜け及びモータ異常の検知例を示す説明図である。
【
図15】本発明の第4の実施形態に係るセンサ検知回路異常の検知例を示す説明図である。
【
図16】
図15のセンサ検知回路異常の検知例におけるセンサ論理を示す説明図である。
【
図17】本発明の第5の実施形態の第1例に係るメンテナンス用コネクタ抜けの検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図18】本発明の第5の実施形態の第2例に係る第2センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図19】本発明の第5の実施形態の第3例に係る第1センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図20】本発明の第5の実施形態の第4例に係る第2センサのコネクタ抜け(第2コネクタ抜け)又は第2センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図21】本発明の第5の実施形態の第5例に係るモータ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図22】本発明の第5の実施形態の第6例に係るモータのコネクタ抜け又はモータ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。
【
図23】本発明の第6の実施形態に係る制御基板のモータ電流検出機能の構成例を示す説明図である。
【
図24】本発明の第6の実施形態の第1例に係るモータ電流波形の例を示す説明図である。
【
図25】本発明の第6の実施形態の第2例に係るモータ電流波形の例を示す説明図である。
【
図26】本発明の第6の実施形態の第3例に係るモータ電流波形の例を示す説明図である。
【
図27】本発明の第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(1)である。
【
図28】本発明の第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(2)である。
【
図29】本発明の第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(3)である。
【
図30】本発明の第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)の例について、添付図面を参照しながら説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
<1.第1の実施形態>
[画像形成装置の構成]
図1は、第1の実施形態に係る位置検知機能が搭載される画像形成装置の構成例を示す断面模式図である。
図1に示す画像形成装置1は、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式を採用しており、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色(基本色)のトナー画像を重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、給紙トレイ20A,20Bと、画像形成部30と、自動原稿給送装置(ADF)12を備える画像入力部11と、操作表示部13とを備える。給紙トレイ20A,20Bは、一般的な大きさの用紙の他に、通常の用紙よりも用紙搬送方向に長い長尺紙を給紙できるものとする。
【0013】
また、画像形成装置1には、給紙トレイ20A,20B又は手差しトレイから給紙された用紙Sを搬送する搬送路21が形成されている。搬送路21には、用紙Sを搬送するための複数のローラ(搬送ローラ、レジストローラなど)が設けられている。例えば、搬送路21上の2次転写部35の上流側には、搬送された用紙の姿勢を矯正する圧着及び離間可能に構成されたレジストローラ24が設けられている。
【0014】
画像形成部30は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成するために、4つの画像形成ユニット31Y,31M,31C,31Kを備えている。画像形成ユニット31Y,31M,31C,31Kを、画像形成ユニット31と総称することがある。各画像形成ユニット31は、帯電部33、LED書き込みユニット(レーザ光源)、現像部、感光体ドラムを有している。また、画像形成部30は、画像形成ユニット31Y,31M,31C,31Kの感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kに形成された画像が転写される中間転写ベルト34、2次転写部35、及び2次転写部35の用紙搬送方向の下流側に定着部36を備える。感光体ドラム32Y,32M,32C,32Kを、感光体ドラム32と総称することがある。
【0015】
定着部36の用紙搬送方向の下流側で、搬送路21が伸長して排紙口に接続されている。また、搬送路21には、定着部36の下流側で分岐して、2次転写部35の上流側の搬送路21に合流する反転搬送路23が接続されている。反転搬送路23には、用紙Sを反転させる反転部22が設けられている。反転部22は、定着部36から搬送された用紙Sを反転し、反転搬送路23を通して2次転写部35の上流側で搬送路21に搬送する。また、反転部22は、反転した用紙Sを定着部36の下流側の搬送路21に戻してそのまま排紙することもできる。
【0016】
画像形成装置1の上部には、操作表示部13が設置されている。操作表示部13は、例えば画像形成処理等のジョブの開始を指示する操作部としての機能を備えている。操作表示部13には、液晶パネル等からなる表示部(図示略)と、タッチパネル等からなる操作部(図示略)が設置されている。表示部は、ユーザーによる操作内容および設定情報等の表示が可能になっている。なお、操作表示部13をマウスやタブレットなどで構成し、表示部とは別体で構成することも可能である。
【0017】
画像形成装置1は、画像形成モードにおいて、各色の画像形成ユニット31が備える感光体ドラム32を帯電させると共に原稿画像に合わせて感光体ドラム32の表面を露光し、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各々に対応する感光体ドラム32の静電潜像に対し現像部を用いてトナーを付着させ、各色のトナー画像を形成する。次に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光体ドラム32に形成されたトナー画像を、回転駆動する中間転写ベルト34の表面に順次、1次転写する。
【0018】
次に、2次転写部35(2次転写ローラ)により、中間転写ベルト34上に1次転写された各色のトナー画像を、搬送路21を搬送された用紙Sに2次転写する。中間転写ベルト34上の各色のトナー画像が用紙Sに2次転写されることにより、カラー画像が形成される。画像形成装置1は、カラーのトナー画像が形成された用紙Sを定着部36へ排出する。なお、中間転写ベルト34上の2次転写部35の下流側には、中間転写ベルト34に残留したトナーを掻き取って除去するクリーニング部材37が設けられている。クリーニング部材37は、中間転写ベルト34の表面に当接する位置と当接しない位置とを移動可能に構成される。
【0019】
定着部36は、画像形成装置1から供給される、カラーのトナー画像が形成された用紙Sに定着処理を行う装置である。定着部36は、搬送された用紙Sを加圧及び加熱して、転写されたトナー画像を用紙Sに定着させる。定着部36は、例えば、定着部材である定着上ローラ及び定着下ローラで構成されている。定着上ローラ及び定着下ローラは、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラと定着下ローラとの圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0020】
定着上ローラの内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラの外周部にあるローラ部が温められる。用紙Sは、2次転写部35によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラと向き合うように定着ニップ部に搬送される。定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラと定着下ローラとによる加圧と、定着上ローラのローラ部の熱による加熱が行われる。定着部36により定着処理が行われた用紙Sは、排紙トレイ40から排出される。
【0021】
本実施形態の位置検知機能は、レジストローラ24やクリーニング部材37、帯電部33の帯電ワイヤ33wを掃除する清掃部材60(
図2参照)などの、少なくとも2つの位置を移動する移動部材の位置を検知する。以下、移動部材として往復動作する清掃部材60の位置を検知する場合を例に、本実施形態の位置検知機能について説明する。
【0022】
[電極清掃ユニット]
図2は、帯電部33の帯電ワイヤ33wを清掃する電極清掃ユニット33cの一例を示す説明図である。
電極清掃ユニット33cは、清掃部材60、送りネジ60a、第1位置検知センサ(以下「第1センサ」と称する。)62、第2位置検知センサ(以下「第2センサ」と称する。)63、及びモータ61(移動駆動部の一例)を備える。
【0023】
清掃部材60は、感光体ドラム表面を帯電させる棒状の帯電ワイヤ33wに当接し、帯電ワイヤ33wに帯電している電荷を中和する。
送りネジ60aは、清掃部材60に螺入されて帯電ワイヤ33wと略平行に配置され、清掃部材60を帯電ワイヤ33wと略平行に移動させるための移送体である。送りネジ60aの端部には、従動ギヤ60bが固定されており、モータ61によって回転駆動する駆動ギヤ60cが従動ギヤ60bと噛み合うことにより、従動ギヤ60bが回転する。モータ61の回転方向に応じて、清掃部材60がF方向(第1の位置から第2の位置へ向かう方向)又はR方向(第2の位置から第1の位置へ向かう方向)に移動する。
【0024】
第1センサ62は、送りネジ60aの一方の端部に対応する位置(第1の位置の例)に配置されている。第1センサ62は、可動切片62aを有し、可動切片62aが第1センサ62によって直接又は間接的に押されることにより、可動切片62a及び可動機構で構成されるアクチュエータがON状態となる。このとき第1センサ62は、検知信号としてHigh信号(以下「H信号」と略記する。)を出力する。また、アクチュエータがOFF状態のとき、第1センサ62は、検知信号としてLow信号(以下「L信号」と略記する。)を出力する。
【0025】
同様に、第2センサ63は、送りネジ60aの他方の端部に対応する位置(第2の位置の例)に配置されている。第2センサ63は、可動切片63aを有し、可動切片63aが第2センサ63によって直接又は間接的に押されることにより、可動切片63a及び可動機構で構成されるアクチュエータがON状態となる。このとき第2センサ63は、検知信号としてH信号を出力する。また、アクチュエータがOFF状態のとき、第2センサ63は、検知信号としてL信号を出力する。本実施形態及び後述する各実施形態において、
図2に示すように、第1の位置と第2の位置の間を、中間位置と定義する。
【0026】
なお、本明細書において、第1センサ62及び第2センサ63の各々が検知信号としてH信号を出力すること又は各センサのその状態を「センサ論理はHである」と称し、また検知信号としてL信号を出力すること又は各センサのその状態を「センサ論理はLである」と称する。
【0027】
モータ61は、配線によってモータ用コネクタ71に接続している。そして、モータ用コネクタ71、第1センサ62が接続された第1コネクタ72、及び第2センサ63が接続された第2コネクタ73はそれぞれ、メンテナンス用コネクタ74のオス側コネクタ74bと接続している。メンテナンス用コネクタ74は、オス側コネクタ74bとメス側コネクタ74aにより構成されており、メス側コネクタ74aは配線を介して制御基板50(
図3参照)に接続されている。
【0028】
[制御基板]
図3は、位置検知機能を実現する制御基板50の構成例を示すブロック図である。
図3に示す制御基板50には、メンテナンス用コネクタ74が接続されている。制御基板50は、制御部51、不揮発メモリ52、ドライバ(駆動回路)53、電流検出部54、第1電源部55、及び第2電源部56を備える。
【0029】
制御部51は、制御基板50の各部の制御を行うとともに、各種演算処理を行う。制御部51は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。CPUが、不揮発メモリ52に格納された制御プログラムを実行することにより、本実施形態における各機能が実現される。さらに、制御部51は、操作表示部13から入力された操作信号に基づいて演算処理や制御を行う。
【0030】
この制御部51は、第1電源部55に制御信号(CONT信号)を送出し、第1電源部55の動作を制御する。また、制御部51は、第2電源部56に制御信号(CONT信号)を送出し、第2電源部56の動作を制御する。
【0031】
第1電源部55は、制御信号に基づいて、メンテナンス用コネクタ74及び第1コネクタ72を介して、第1センサ62に電源を供給するとともに、メンテナンス用コネクタ74及び第2コネクタ73を介して、第2センサ63に電源を供給する。
【0032】
第2電源部56は、センサ検知回路50dを通じて接地されている。センサ検知回路50dは、抵抗R1と抵抗R2が直列に接続されてなる2つの直列回路を備える。即ち、第1センサ62及び第2センサ63のそれぞれに対して、センサ検知回路50dが設けられる。第1の直列回路の抵抗R1と抵抗R2の接続点が、第1コネクタ72とメンテナンス用コネクタ74を介して、第1センサ62と接続しており、第1センサ62の検知信号(第1センサ検知信号)が抵抗R1と抵抗R2の接続点を通じて制御部51に取り込まれる。また、第2の直列回路の抵抗R1と抵抗R2の接続点が、第2コネクタ73とメンテナンス用コネクタ74を介して第2センサ63と接続しており、第2センサ63の検知信号が(第2センサ検知信号)抵抗R1と抵抗R2の接続点を通じて制御部51に取り込まれる。なお、センサ検知回路50dについては、後述する
図15で詳細に説明する。
【0033】
また、制御部51は、ドライバ53に制御信号(CONT、F/R)を出力する。ドライバ53は、制御部51からの制御信号に基づき、メンテナンス用コネクタ74及びモータ用コネクタ71を介して駆動信号をモータ61に供給する。モータ61は、この駆動信号に基づいて、指定された方向及び速度で回転駆動する。また、ドライバ53は、モータ61が出力するモータ電流を電流検出部54に供給する。電流検出部54は、ドライバ53から供給されたモータ電流を検出し、検出したモータ電流の情報を制御部51へ出力する。
【0034】
図2及び
図3に示したように、第1センサ62は、第1コネクタ72及びメンテナンス用コネクタ74を介して、清掃部材60の位置に応じた検知信号を制御部51へ出力する。また、第2センサ63は、第2コネクタ73及びメンテナンス用コネクタ74を介して、清掃部材60の位置に応じた検知信号を制御部51へ出力する。
【0035】
[センサ論理]
図4は、第1センサ62及び第2センサ63のセンサ論理の設定例を示すテーブルである。
図4に示すようなセンサ論理を定義したテーブルを予め不揮発メモリ52に格納し、制御部51が参照できるようにしておく。
【0036】
清掃部材60が中間位置にある場合、第1センサ62の論理は“L(第1の位置に無し)”であり、第2センサ63の論理は“L(第2の位置に無し)”である。また清掃部材60が第1の位置にある場合、第1センサ62の論理は“H(第1の位置に有り)”であり、第2センサ63の論理は“L(第2の位置に無し)”である。また清掃部材60が第2の位置にある場合、第1センサ62の論理は“L(第1の位置に無し)”であり、第2センサ63の論理は“H(第2の位置に有り)”である。さらにメンテナンス用コネクタ抜けの場合には、第1センサ62の論理は“H”であり、かつ第2センサ63の論理も“H”である。
【0037】
後述する
図15に示すように、各々のセンサに対応するセンサ検知回路50dにおいて検知信号をプルアップするため、第1コネクタ72、第2コネクタ73、又はメンテナンス用コネクタが抜けている場合には、第1センサ62及び第2センサ63の論理はそれぞれ“H”となる。また、後述する
図16に示すように、各センサの検出面が汚れてセンサ異常の状態である場合には、各センサの検知信号は“H”となる。
【0038】
このように、本実施形態及び後述する各実施形態では、第1センサ62及び第2センサ63の各々において、第1の位置及び第2の位置の各々に清掃部材60が有ることを表す検知信号の論理と、第1コネクタ72、第2コネクタ73及びメンテナンス用コネクタ73の各々のコネクタ抜けが発生しているときの検知信号の論理と、第1センサ62及び第2センサ63の各々が異常状態であるときの検知信号の論理が同じ“H”に設定される。そして、各実施形態は、各センサの検知信号(検知論理)を得て、モータ61が動作時の各センサの検知論理の変化から、コネクタ抜け、モータやセンサの異常(汚れ)などを検知することができる。
【0039】
例えば、後述するように各実施形態は、清掃部材60の移動開始前及び移動開始後における、第1センサ62及び第2センサ63の検知信号から、モータ61の異常、第1センサ62の異常もしくは第1コネクタ72のコネクタ抜け、又は、第2センサ63の異常もしくは第2コネクタ73のコネクタ抜けのいずれが発生したかを判断することができる。
【0040】
[正常停止位置のセンサ論理]
図5は、正常停止位置(第1の位置)における第1センサ62及び第2センサ63のセンサ論理を示す説明図である。
位置検知機能が正常である場合、清掃部材60が第1の位置で停止すると、アクチュエータはONであり第1コネクタ72の抜けはないため、第1センサ62の論理は“H”である。また、アクチュエータはOFFであり第2センサ63の論理は“L”となる。制御部51は、各センサのセンサ論理が上記(
図5)の場合に、
清掃部材60が第1の位置に正常に停止していると判断し、ドライバ53によりモータ61に指令を出して、第2の位置へ向けて清掃部材60の移動を開始する。
【0041】
清掃部材60が第2の位置にある場合には、制御部51は、第1センサ62の論理が“L”、また第2センサ63の論理が“H”のとき、清掃部材60が第2の位置に正常に停止していると判断し、第1の位置へ向けて清掃部材60の移動を開始する。
【0042】
[第1の位置から第2の位置へ移動する場合の動作仕様]
図6は、清掃部材60が第1の位置から第2の位置へ移動する場合の動作仕様についての説明図である。
清掃部材60は第1の位置にあるため、第1センサ62の論理は清掃部材有りを示す“H”である(
図6上段)。制御部51は、清掃部材移動開始時に、移動先の第2センサ63の論理が「第2の位置に清掃部材無しを示す“L”」であることを確認し、清掃部材60がF方向(第1の位置から第2の位置へ向かう方向)に移動するようにモータ61を正回転(F回転)させる。
【0043】
清掃部材60が第1の位置を離れて中間位置になると、第1センサ62のアクチュエータがOFFし、第1センサ62の論理は「第1の位置に清掃部材無しを示す“L”」になる(
図6中段)。そして、清掃部材60が第2の位置に到達すると、第2センサ63のアクチュエータがONし、第2センサ63の論理は「第2の位置に清掃部材有りを示す“H”」に変化し、制御部51はモータ61を停止する(
図6下段)。
【0044】
[第2の位置から第1の位置へ移動する場合の動作仕様]
図7は、清掃部材60が第2の位置から第1の位置へ移動する場合の動作仕様についての説明図である。
清掃部材60は第2の位置にあるため、第2センサ63の論理は清掃部材有りを示す“H”である(
図7上段)。制御部51は、清掃部材移動開始時に、移動先の第1センサ62の論理が「第1の位置に清掃部材無しを示す“L”」であることを確認し、清掃部材60がR方向(第2の位置から第1の位置へ向かう方向)に移動するようにモータ61を逆回転(R回転)させる。
【0045】
清掃部材60が第2の位置を離れて中間位置になると、第2センサ63のアクチュエータがOFFし、第2センサ63の論理は“L”になる(
図7中段)。そして、清掃部材60が第1の位置に到達すると、第1センサ62のアクチュエータがONし、第1センサ62の論理は “H”に変化し、制御部51はモータ61を停止する(
図7下段)。
【0046】
[メンテナンス用コネクタ抜け]
図8は、メンテナンス用コネクタ抜けの検知例を示す説明図である。
メンテナンス用コネクタ73のオス側コネクタ74bとメス側コネクタ74aが互いに外れている場合を想定する。清掃部材60が、第1の位置、中間位置、又は第2の位置のいずれの位置にあっても、第1センサ62と第2センサ63の論理がともに、清掃部材有りを示す“H”である場合には、制御部51はメンテナンス用コネクタ抜けと判定する。なお、第1コネクタ72と第2コネクタ73の両方が外れている場合にも、第1センサ62と第2センサ63の論理はともに“H”であるので、この場合には、併せて第1コネクタ72及び第2コネクタ73抜けを判定してもよい。
【0047】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の位置(第2の位置)に清掃部材60がある又は中間位置に清掃部材60がある状態において、第1センサ62(第2センサ63)と接続する第1コネクタ72(第2コネクタ73)の抜け、又は第1センサ62(第2センサ63)の異常を検知する例である。
【0048】
[第1例]
図9は、第2の実施形態の第1例に係る第1コネクタ72抜け、及び第1センサ62異常の検知例を示す説明図である。
図10は、
図9の第1コネクタ72抜け、及び第1センサ62異常の検知例におけるセンサ論理を示す。
【0049】
第1の位置に清掃部材60がある場合、第1センサ62のアクチュエータはONし、第1センサ62の論理は“H”である。また、第2センサ63のアクチュエータはOFFし、第2センサ63の論理は“L”である(
図9上段)。ここで、清掃部材60を第2の位置へ移動させた場合に、清掃部材60が第1の位置を離れて第1センサ62のアクチュエータはOFFしたが、第1センサ62の論理は“H”のままであったとする。移動先の第2センサ63のアクチュエータはOFFであり、第2センサ63の論理は“L”のままである(
図9中段)。
【0050】
そして、第1センサ62の論理が“H”のまま第2センサ63の論理が“H”(第2の位置に清掃部材有り)になった場合(
図9下段)、第2センサ63の論理が移動前の論理から変化したため、モータ61は正常動作している。そこで、制御部51は、第1センサ62のコネクタ抜け、又は第1センサ62の異常であると判断する。
【0051】
[第2例]
図11は、第2の実施形態の第2例に係る第2コネクタ73抜け、及び第2センサ63異常の検知例を示す説明図である。
図12は、
図11の第2コネクタ73抜け、及び第2センサ63異常の検知例におけるセンサ論理を示す。
【0052】
第2の位置に清掃部材60がある場合、第2センサ63のアクチュエータはONし、第2センサ63の論理は“H”である。また、第1センサ62のアクチュエータはOFFし、第1センサ62の論理は“L”である(
図11上段)。ここで、清掃部材60を第1の位置へ移動させた場合に、清掃部材60が第2の位置を離れて第2センサ63のアクチュエータはOFFしたが、第2センサ63の論理は“H”のままであったとする。移動先の第1センサ62のアクチュエータはOFFであり、第1センサ62の論理は“L”のままである(
図11中段)。
【0053】
そして、第2センサ63の論理が“H”のまま第1センサ62の論理が“H”(第1の位置に清掃部材有り)になった場合(
図11下段)、第1センサ62の論理が移動前の論理から変化したため、モータ61は正常動作している。そこで、制御部51は、第2センサ63のコネクタ抜け、又は第2センサ63の異常であると判断する。
【0054】
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態は、モータ用コネクタ71の抜け、又はモータ61の動作異常を検知する例である。
【0055】
[第1例]
図13は、第3の実施形態の第1例に係るモータ用コネクタ71抜け及びモータ61異常の検知例を示す説明図である。ここでは、清掃部材60が第1の位置から第2の位置へ移動する場合を例に説明する。
【0056】
第1センサ62の論理が“H”、第2センサ63の論理が“L”である状態において、制御部51が清掃部材60の移動を指示してから一定時間経過後も第2センサ63の論理が“L”のままであった場合には、清掃部材60が第1の位置に留まっている。そこで、制御部51は、モータ用コネクタ71の抜け又はモータ61の動作異常であると判断する。
【0057】
[第2例]
図14は、第3の実施形態の第2例に係るモータ用コネクタ71抜け及びモータ61異常の検知例を示す説明図である。ここでは、清掃部材60が第2の位置から第1の位置へ移動する場合を例に説明する。
【0058】
第2センサ63の論理が“H”、第1センサ62の論理が“L”である状態において、制御部51が清掃部材60の移動を指示してから一定時間経過後も第1センサ62の論理が“L”のままであった場合には、清掃部材60が第2の位置に留まっている。そこで、制御部51は、モータ用コネクタ71の抜け又はモータ61の動作異常であると判断する。
【0059】
<4.第4の実施形態>
第4の実施形態は、制御基板50が備えるセンサ検知回路50dの動作確認を行う例である。すなわち本実施形態では、制御部51によりセンサ検知回路50dの正常又は異常を判定する。
【0060】
図15は、第4の実施形態に係るセンサ検知回路異常の検知例を示す説明図である。
第1センサ62と第2センサ63の各々に対応するセンサ検知回路50dの構成は同じであるため、第1センサ62に対応するセンサ検知回路50dについてのみ説明する。
【0061】
センサ検知回路50dは、スイッチング素子であるトランジスタ57-1,57-2と、抵抗R1,R2を備える。トランジスタ57-1のエミッタ端子は、第1電源部55に接続され、トランジスタ57-1のコレクタ端子は、第1センサ62の抵抗とダイオードで構成される発光部64に接続されている。トランジスタ57-1のベース端子に、制御部51からセンサ電源供給信号(
図3のCONT信号)が入力される。このように第1電源部55は、第1センサ62及び第2センサ63の各々に対応して設けられるセンサ検知回路50dを介して、各センサにセンサ電源(第1電源)を供給する。なお、トランジスタ57-1,57-2には、バイポーラトランジスタを用いたが、電界効果トランジスタでもよい。
【0062】
トランジスタ57-2のエミッタ端子は、第2電源部56に接続され、トランジスタ57-2のコレクタ端子は、抵抗R1と抵抗R2の直列回路を介して接地されている。抵抗R1と抵抗R2の接続点は、第1センサ62のフォトトランジスタで構成される受光部65に接続されているとともに、制御部51と接続している。トランジスタ57-2のベース端子に、制御部51からプルアップ電源供給信号(
図3のCONT信号)が入力される。抵抗R2にかかる電圧が、センサ検知信号として制御部51に取り込まれる。このように第2電源部56は、第1センサ62及び第2センサ63の各々に対応して設けられるセンサ検知回路50dを介して、各センサにプルアップ電源(第2電源)を供給する。なお、
図15には、第1電源部55及び第2電源部56の電源電圧が3.3V、抵抗R1の抵抗値が2.2kΩ、抵抗R2の抵抗値が100kΩと記載されているが、この例に限られない。
【0063】
このように構成されたセンサ検知回路50dにおいて、センサ検知信号に対するプルアップ電源供給、及びセンサ電源供給を制御すれば、センサ検知回路50dが正常に動作しているかを判断することが可能となる。
【0064】
図16は、
図15のセンサ検知回路異常の検知例におけるセンサ論理を示す。
第1の条件は、発光部64と受光部65との間に遮蔽物66を挿入し(遮蔽)、かつセンサ電源及びプルアップ電源を供給した状態において、センサ検知信号が“H”(部材有り)である。ここで、プルアップ電源の供給をONからOFFに切り替えたとき、センサ検知信号が“H”から“L”(部材無し)に変化すれば、制御センサ検知回路50d(制御基板50)は正常である。しかし、センサ検知信号が“H”のままである場合、制御部51は、センサ検知回路50d(制御基板50)は異常であると判断する。なお、遮蔽物66は、不図示の駆動源(モータやシリンダーなど)と移動機構により、発光部64から受光部65へ射出された光を遮光する位置と遮光しない位置を往復移動する。この遮蔽物66の移動は、制御部51の指示に基づいて行われる。
【0065】
第2の条件は、発光部64と受光部65との間に遮蔽物66が存在せず(オープン)、かつセンサ電源及びプルアップ電源を供給した状態において、センサ検知信号が“L”(部材無し)である。ここで、センサ電源の供給をONからOFFに切り替えたとき、センサ検知信号が“L”から“H”(部材有り)に変化すれば、制御センサ検知回路50d(制御基板50)は正常である。しかし、センサ検知信号が“L”のままである場合、制御部51は、センサ検知回路50d内の配線の地絡又はセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断する。
【0066】
センサ検知回路50dはセンサごとに設けられているため、制御部51は、すべてのセンサ検知回路50dについて動作確認を行う。
【0067】
上述した第4の実施形態では、第1センサ62及び第2センサ63へ供給している電源と、センサの検知信号をプルアップしている電源とをOFF/ON可能な構成とする。そして、検知信号が清掃部材有りを検知している場合には、プルアップしている電源をOFFし、検知信号が清掃部材無しに変化するか否かを確認する。また。検知信号が清掃部材無しを検知している場合には、センサに供給している電源をOFFし、検知信号が清掃部材有りに変化するか否かを確認する。これらの確認により、センサ検知回路が清掃部材の位置を正常に検知できているかを判断することができる。
【0068】
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態は、移動部材の動作完了時のセンサ論理、異常検出結果を保存し、保存した情報を異常診断に利用するものである。
【0069】
[第1例]
図17は、第5の実施形態の第1例に係るメンテナンス用コネクタ抜けの検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第1例は、前回は清掃部材60の移動動作が正常に終了し、電源OFF及びON後の今回の清掃部材60の移動動作時に第1センサ62及び第2センサ63ともに、正常な停止位置に清掃部材有りと検知した場合の例であって、メンテナンス用コネクタ74抜けの検知例である。制御部51は、
図17に示す検知例の情報を、不揮発メモリ52の不図示のデータベースに蓄積する。ここでの電源は、画像形成装置1の主電源等であり、例えば主電源をOFFにすると制御基板50(制御部51)の電源がOFFする。
【0070】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。そして、清掃部材60が第2の位置からホームポジションである第1の位置へ移動すると一回の動作(清掃処理)が終了する。動作終了後のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。そのため、制御部51は、この動作は正常に終了したと判断する。
【0071】
ここで、制御基板50の電源をOFFした場合、電源OFF時(厳密には電源OFFの直前)のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。制御部51は、清掃部材60が第1の位置にあるという情報をデータベースに保存し、電源OFF時に前回動作のセンサ論理は正常であるとして終了する。
【0072】
次に、今回動作を開始するにあたり、制御基板50に電源が投入されて電源オンになる。清掃部材60が第1の位置にある状態で、制御部51は、まず電源OFFからONになった後の第1センサ62及び第2センサ63ともに清掃部材有りを示す“H”(異常へ変化)である場合、メンテナンス用コネクタ74の抜けと判断し、操作表示部13に警告を表示する。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にはOFF直前のセンサ論理をデータベースに保存しない。その理由は、前回動作時のデータを今回動作時のデータで上書きすると、前回の清掃部材60の位置や各センサの状態がわからなくなるからである。したがって、この場合、前回の第1の位置に清掃部材有りというデータのままであるから、第1センサ62は“H、第2センサ63は”L“である。
【0073】
[第2例]
図18は、第5の実施形態の第2例に係る第2センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第2例は、前回は清掃部材60の移動動作が正常に終了し、電源OFF及びONが無く、今回の清掃部材60の移動動作時に第1センサ62及び第2センサ63ともに清掃部材60有りを検出した場合の例である。
【0074】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。その後、清掃部材60が第2の位置から第1の位置へ移動すると一回の動作(清掃処理)が終了する。動作終了後のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。そのため、制御部51は、この動作は正常に終了したと判断する。
【0075】
次に、今回動作開始時に、清掃部材60は第1の位置にある状態であるが、第2センサ63が “L”から “H”(異常)に変化し、第1センサ62及び第2センサ63がともに“H”になった場合には、制御部51は、第2センサ63が異常であると判断し、操作表示部13に警告を表示する。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にOFF直前のセンサ論理と、異常情報データ(第2センサ63の異常)をデータベースに保存する。
【0076】
[第3例]
図19は、第5の実施形態の第3例に係る第1センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第3例は、前回は清掃部材60が第2の位置まで移動したが、第1センサ
62が清掃部材無しを検知せずに第1センサ異常と検知し、その後電源ON及びOFFを実施し、今回の清掃部材60の移動動作時のセンサ論理に変化が無い場合に、メンテナンス用コネクタ74の抜けとは検知せず、前回同様の第1センサ62の異常と検知した場合の例である。
【0077】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。その後、清掃部材60が第2の位置で異常終了したが、第1センサ62は“H”(異常)のままであるため、制御部51は、第1センサ72が異常であると判断し、操作表示部13に警告を表示するとともに、異常情報データをデータベースに保存する。
【0078】
ここで、制御基板50の電源をOFFした場合、電源OFF時(厳密には電源OFFの直前)のセンサ論理は、第1センサ62が“H”(異常)、第2センサ63が“H”である。制御部51は、電源OFF時にこのOFF直前のセンサ論理もデータベースに保存する。
【0079】
次に、今回動作を開始するにあたり、制御基板50に電源が投入されて電源ONになる。ここで、清掃部材60はホームポジションである第1の位置に移動しているものとする。このときの移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が“H”(異常)、第2センサ63も “L”であり、前回の異常のままセンサ論理に変化が見られない。そのため、制御部51は、第1センサ62の異常と判断し、清掃部材60の移動を行わない。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にOFF直前のセンサ論理と、前回と同じ異常情報データ(第1センサ62の異常)をデータベースに保存する。
【0080】
[第4例]
図20は、第5の実施形態の第4例に係る第2センサのコネクタ抜け(第2コネクタ抜け)又は第2センサ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第4例は、前回に清掃部材60が第2の位置まで移動したが第1センサ
62が清掃部材無しを検知せず、第1センサ62の異常と検知し、その後電源OFF/ONを実施し、今回動作時に第1センサ62が正常となったため、動作開始し第2センサ63のコネクタ抜け又は第2センサ63の異常と検知した場合の例である。
【0081】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。その後、清掃部材60が第2の位置で異常終了したが、第1センサ62は“H”(異常)のままであるため、制御部51は、第1センサ72が異常であると判断し、操作表示部13に警告を表示するとともに、異常情報データをデータベースに保存する。
【0082】
ここで、制御基板50の電源をOFFした場合、電源OFF時(厳密には電源OFFの直前)のセンサ論理は、第1センサ62が“H”(異常)、第2センサ63が“H”である。制御部51は、電源OFF時にこのOFF直前のセンサ論理もデータベースに保存する。
【0083】
次に、今回動作を開始するにあたり、制御基板50に電源が投入されて電源ONになる。今回動作開始時、清掃部材60が第2の位置にあるものとし、また第1センサ62が正常状態に変化し“H”になったとする。制御部51は、第1センサ62が正常であるため、第2の位置から第1の位置への清掃部材60の移動を開始する。しかし、清掃部材60が第1の位置に正常に移動したが、第2センサ63が清掃部材有りから清掃部材無しに変化しなかったとする。この場合、制御部51は、第2センサ63のコネクタ(第2コネクタ73)の抜け又は第2センサ63の異常と判断し、操作表示部13に警告を表示する。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にOFF直前のセンサ論理と、今回の異常情報データ(第2コネクタ73の抜け又は第2センサ63の異常)をデータベースに保存する。
【0084】
[第5例]
図21は、第5の実施形態の第5例に係るモータ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第5例は、前回は清掃部材60の移動動作が正常に終了し、今回の清掃部材60の移動動作時に所定時間経過しても第1センサ62及び第2センサ63ともに論理に変化が無い場合の例である。所定時間については予め規定して不揮発メモリ52に保存しておく。
【0085】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。その後、清掃部材60が第2の位置から第1の位置へ移動すると一回の動作(清掃処理)が終了する。動作終了後のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。そのため、制御部51は、この動作は正常に終了したと判断する。
【0086】
次に、今回動作開始時に、制御部51はドライバ53によりモータ61へ移動開始の指令を出し、所定時間内に第1センサ62及び第2センサ63ともに論理に変化が無いため、モータ61の異常であると判断し、操作表示部13に警告を表示する。今回動作開始前に電源OFFしていないから、異常の原因からコネクタ抜けが排除される。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にOFF直前のセンサ論理と、異常情報データ(モータ61の異常)をデータベースに保存する。
【0087】
[第6例]
図22は、第5の実施形態の第6例に係るモータのコネクタ抜け又はモータ異常の検知例を示すセンサ論理の説明図である。この第6例は、前回は清掃部材60の移動動作が正常に終了し、電源OFF/ON実施後の今回の清掃部材60の移動動作時に所定時間経過しても第1センサ62及び第2センサ63がともに論理に変化が無い場合の例である。
【0088】
まず前回動作において、制御部51が清掃部材60に対する第1の位置から第2の位置への移動開始指示を出した場合、移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が清掃部材有りを示す“H”、第2センサ63が清掃部材無しを示す“L”である。そして、清掃部材60が第2の位置から第1の位置へ移動すると一回の動作(清掃処理)が終了する。動作終了後のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。そのため、制御部51は、この動作は正常に終了したと判断する。
【0089】
ここで、制御基板50の電源をOFFした場合、電源OFF時(厳密には電源OFFの直前)のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。制御部51は、清掃部材60が第1の位置にあるという情報をデータベースに保存し、電源OFF時に前回動作のセンサ論理は正常であるとして終了する。
【0090】
次に、今回動作を開始するにあたり、制御基板50に電源が投入されて電源ONになる。今回動作開始時に、制御部51はドライバ53によりモータ61へ移動開始の指令を出し、所定時間内に第1センサ62及び第2センサ63ともに論理に変化が無いため、モータ61のコネクタ(モータ用コネクタ71)抜け又はモータ61の異常であると判断し、操作表示部13に警告を表示する。そして、制御部51は、今回動作後の電源OFF時にOFF直前のセンサ論理と、異常情報データ(モータ用コネクタ71の抜け又はモータ61の異常)をデータベースに保存する。
【0091】
上述した第5の実施形態によれば、前回の清掃部材の動作開始時のセンサ論理、動作完了時のセンサ論理、異常終了と正常終了の状態、並びに画像形成装置1(制御基板50)の電源OFF直前のセンサ論理を保存する。そして、制御部51は、次回の清掃部材60の動作開始時に前回のセンサ論理、異常終了と正常終了の結果、電源OFF/ON状態、前回の電源OFF直前のセンサ論理と、今回のセンサ論理から異常箇所を詳細に特定することが可能である。
【0092】
<6.第6の実施形態>
図23は、第6の実施形態に係る制御基板50のモータ電流検出機能の構成例を示す説明図である。
【0093】
図23に示すように、制御基板50は、制御部51、ドライバ53、及び電流検出部54を備える。制御部51は、ドライバ53に対し、回転速度指令(CONT)と回転方向指令(F/R)を含む制御信号を供給する。ドライバ53は、電源電圧24Vの供給を受けて、モータ61に駆動信号を供給してモータ61を回転駆動させる。電流検出部54は、ドライバ53から送られてくるモータ61のモータ電流を検出し、電流検出信号を制御部51に送る。例えば電流検出部54はオペアンプと抵抗を用いて構成することができるが、この例に限らず周知の構成を採用することができる。電流検出部54は、ドライバ53と接地端子との間に設けられた抵抗の両端電圧を取り込んでモータ電流を検出する。また、制御部51には、第1センサ62の検知信号と第2センサ63の検知信号が入力される。
【0094】
[第1例]
図24は、第6の実施形態の第1例に係るモータ電流波形の例を示す。
図24の横軸は時間、縦軸のモータCONTはモータ61に対する回転速度指令、第一閾値は動作電流値、第二閾値は過電流値を示す。モータCONTがONになった直後、モータ電流は上昇し、制御部51は、モータ電流が第二閾値を超えるとモータ61の負荷異常と判断する。負荷異常とは、モータ61にかかる負荷が設定よりも大きい状態をいう。
【0095】
[第2例]
図25は、第6の実施形態の第2例に係るモータ電流波形の例を示す。
図25の例は、第1の位置にある清掃部材60を第2の位置に移動させる場合の例である。移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。モータ電流が第一閾値(動作電流値)よりも低くモータ61がほとんど回転しないため、モータCONTがオンになってから所定時間内に第2センサ63が“H”に変化しない場合、制御部51は、モータ61又はドライバ53の異常であると判断する。
【0096】
[第3例]
図26は、第6の実施形態の第3例に係るモータ電流波形の例を示す。
図26の例は、第1の位置にある清掃部材60を第2の位置に移動させる場合の例である。移動開始時のセンサ論理は、第1センサ62が“H”、第2センサ63が“L”である。モータ61は正常に回転しているが、所定時間内に第2センサ63が“H”に変化しない場合、制御部51は、ギヤ空回り(ギヤ異常)と判断する。
【0097】
上述したように、第6の実施形態では、モータ駆動時の電流値を検出し、動作電流閾値、過電流閾値を設ける。そして、移動先のセンサが正常な場合に、モータ61を駆動させ、モータ61の動作電流値、移動先のセンサ論理からモータ61の異常、メカ異常を検知する。
【0098】
<7.第7の実施形態>
次に、制御部51による位置検知機能における異常箇所特定処理(位置検知機能の異常診断方法)の手順例について、
図27~
図30を参照して説明する。
図27~
図30の異常箇所特定処理は、上述した第1~第6の実施形態を組み合わせたものになっている。また
図27~
図30に示す例は、動作開始時に第1の位置にある清掃部材60を第2の位置に移動させる場合の例である。
【0099】
図27は、第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(1)である。
図28は、第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(2)である。
図29は、第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(3)である。
図30は、第7の実施形態に係る位置検知機能における異常箇所特定処理の手順例を示すフローチャート(4)である。
【0100】
図27において、まず制御部51は、清掃部材60を第1の位置から第2の位置へ移動させる指示を受信する(S1)。この移動指示としては、例えば、予め決められたプログラムに従って行われるものや、保守員が操作表示部13に手動で清掃処理を指示したものなどがある。
【0101】
次いで、制御部51は、清掃部材60は第1センサ62で検知可能な位置にあるか否かを判定し(S2)、清掃部材60が第1センサ62で検知可能な位置にあれば(S2のYES)、第1センサ62に対するプルアップ供給電源をOFFする(S3)。一方、清掃部材60が第1センサ62で検知可能な位置になければ(S2のNO)、制御部51は、
図29のステップS41(結合子D)に移行する。第1センサ62に対するプルアップ供給電源をOFFする(S3)。
【0102】
次いで、制御部51は、第1センサ62の状態が検知(H)から非検知(L)に変化したか否かを判定する(S4)。検知の状態とは、センサが清掃部材有りを示す検知信号(H)を出力している状態であり、また非検知の状態とは、センサが清掃部材無しを示す検知信号(L)を出力している状態である。第1センサ62の状態が非検知(L)に変化した場合には(S4のYES)、制御部51は、第1センサ62のセンサ検知回路50dは正常であると判断する(S5)。一方、第1センサ62の状態が検知(H)のままである場合には(S4のNO)、制御部51は、第1センサ62のセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断し(S6)、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0103】
次いで、制御部51は、清掃部材60は第2センサ63で検知できない位置か否かを判定し(S7)、清掃部材60が第2センサ63で検知できない位置にあれば(S7のYES)、第2センサ63への電源供給をOFFする(S8)。
【0104】
次いで、制御部51は、第2センサ63の状態が非検知(L)から検知(H)に変化したか否かを判定する(S9)。第2センサ63の状態が検知(H)に変化した場合には(S9のYES)、制御部51は、第2センサ63のセンサ検知回路50dは正常であると判断し(S10)、
図28のステップS21(結合子C)に移行する。一方、第2センサ63の状態が非検知(L)のままである場合には(S9のNO)、制御部51は、第2センサ63のセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断し(S11)本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0105】
一方、制御部51は、清掃部材60が第2センサ63で検知可能な位置にあれば(S7のNO)、第2センサ63に対するプルアップ供給電源をOFFする(S12)。次いで、制御部51は、第2センサ62の状態が検知(H)から非検知(L)に変化したか否かを判定する(S13)。
【0106】
第2センサ63の状態が非検知(L)に変化した場合には(S13のYES)、制御部51は、メンテナンス用コネクタ74の抜けを検知する(S14)。また、第2センサ63の状態が検知(H)に変化した場合には(S13のNO)、制御部51は、第2センサ63のセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断する(S15)。制御部51は、ステップS14又はS15の処理が終了後、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0107】
次いで、ステップS10の処理後、制御部51は、清掃部材60が第1の位置に存在すると判断する(S21)。次いで、制御部51は、第1の位置から第2の位置へ清掃部材60を移動させる指令をドライバ53に出力し、モータ61の動作を開始する(S22)。次いで、制御部51は、移動指令を出してから規定時間内に第2センサ63で清掃部材60を検知したか否かを判定する(S23)。
【0108】
第2センサ63が規定時間内に清掃部材60を検知した場合には(S23のYES)、制御部51は、第1センサ62の状態が検知(H)から非検知(L)に変化したか否かを判定する(S24)。第1センサ62の状態が非検知(L)に変化した場合には(S24のYES)、制御部51は、清掃部材60が第2の位置への移動を完了したと判断しモータ61を停止する(S25)。
【0109】
一方、制御部51は、第1センサ62の状態が検知(L)のままであった場合には(S24のNO)、第1センサ62が異常であると判断する(S26)。そして、制御部51は、ステップS25又はS26の処理が終了後、本フローチャートの処理を終了する。
【0110】
また、制御部51は、第2センサ63が規定時間内に清掃部材60を検知できなかった場合には(S23のNO)、制御部51は、電流検出部54によりモータ過電流信号を検知したか否かを判定する(S27)。電流検出部54によりモータ過電流信号を検知した場合には(S27のYES)、制御部51は、負荷異常又はアクチュエータ異常(清掃部材60の移動機構の異常)であると判断する(S28)。
【0111】
一方、制御部51は、電流検出部54によりモータ過電流信号を検知しなかった場合には(S27のNO)、制御部51は、電流検出部54によりモータ正常電流信号を検知したか否かを判定する(S29)。電流検出部54によりモータ正常電流信号を検知した場合には(S29のYES)、制御部51は、ギヤ空回りと判断する(S30)。また、電流検出部54によりモータ正常電流信号を検知しなかった場合には(S29のNO)、制御部51は、モータ61が異常であると判断する(S31)。そして、制御部51は、ステップS28,S30又はS31の処理が終了後、本フローチャートの処理を終了する。
【0112】
次いで、ステップS2において清掃部材60が第1センサ62で検知可能な位置にはないと判定した場合(S2のNO、結合子D)、制御部51は、第1センサ62への電源供給をOFFする(S41)。
【0113】
次いで、制御部51は、第1センサ62の状態が非検知(L)から検知(H)に変化したか否かを判定する(S42)。第1センサ62の状態が検知(H)に変化した場合には(S42のYES)、制御部51は、第1センサ62のセンサ検知回路50dは正常であると判断する(S43)。一方、第1センサ62の状態が非検知(L)のままである場合には(S42のNO)、制御部51は、第1センサ62のセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断し(S49)、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0114】
次いで、制御部51は、清掃部材60は第2センサ63で検知可能な位置か否かを判定し(S44)、清掃部材60が第2センサ63で検知可能な位置にあれば(S44のYES)、第2センサ63に対するプルアップ供給電源をOFFする(S45)。
【0115】
次いで、制御部51は、第2センサ63の状態が検知(H)から非検知(L)に変化したか否かを判定する(S46)。第2センサ63の状態が非検知(L)に変化した場合には(S46のYES)、制御部51は、第2センサ63のセンサ検知回路50dは正常であると判断し(S47)。
図30のステップS61(結合子E)に移行する。一方、第2センサ63の状態が検知(H)のままである場合には(S46のNO)、制御部51は、第2センサ63のセンサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断し(S48)、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0116】
また、制御部51は、清掃部材60が第2センサ63で検知可能な位置にない場合には(S44のNO)、第2センサ63への電源供給をOFFする(S50)。次いで、制御部51は、第2センサ62の状態が非検知(L)から検知(H)に変化したか否かを判定する(S51)。
【0117】
第2センサ63の状態が検知(H)に変化した場合には(S51のYES)、制御部51は、第2
センサ63の
センサ検知回路50d(制御基板50)が正常であると判断し(S52)、
図30のステップS67(結合子F)に移行する。また、第2センサ63の状態が非検知(L)のままである場合には(S51のNO)、制御部51は、第2
センサ63の
センサ検知回路50d(制御基板50)が異常であると判断し、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0118】
次いで、ステップS47の処理後、制御部51は、清掃部材60が第2の位置に存在すると判断する(S61)。次いで、制御部51は、第2の位置から第1の位置へ清掃部材60を移動させる指令をドライバ53に出力し、モータ61の動作を開始する(S62)。次いで、制御部51は、移動指令を出してから規定時間内に第1センサ62で清掃部材60を検知したか否かを判定する(S63)。
【0119】
第1センサ62が規定時間内に清掃部材60を検知した場合には(S63のYES)、制御部51は、第2センサ63の状態が検知(H)から非検知(L)に変化したか否かを判定する(S64)。第2センサ63の状態が非検知(L)に変化した場合には(S64のYES)、制御部51は、清掃部材60が第1の位置への移動を完了したと判断しモータ61を停止する(S65)。
【0120】
一方、制御部51は、第2センサ63の状態が検知(H)のままであった場合には(S64のNO)、第2センサ63が異常であると判断し(S66)、本フローチャートの処理を終了する(結合子B)。
【0121】
次いで、ステップS52の処理後、制御部51は、清掃部材60が中間位置に存在すると判断する(S67)。次いで、制御部51は、中間位置から第1の位置へ清掃部材60を移動させる指令をドライバ53に出力し、モータ61の動作を開始する(S68)。次いで、制御部51は、移動指令を出してから規定時間内に第1センサ62で清掃部材60を検知したか否かを判定する(S69)。
【0122】
第1センサ62が規定時間内に清掃部材60を検知した場合には(S69のYES)、制御部51は、清掃部材60が第1の位置への移動を完了したと判断しモータ61を停止する(S70)。そして、制御部51は、ステップS65又はS70の処理後、ステップS1に移行し(結合子A)、清掃部材60を第1の位置から第2の位置へ移動させる指示の受信待ちを行う。
【0123】
さらに、第1センサ62が規定時間内に清掃部材60を検知できなかった場合には(S63のNO、S69のNO)、制御部51は、ステップS27の判定処理に移行する(結合子G)。
【0124】
上述した第7の実施形態では、清掃部材60の移動を開始する際の処理の順番として、制御部51は、各センサのセンサ検知回路50dの正常を確認後、移動先のセンサが清掃部材無しであり、前回のセンサ情報、異常発生情報、電源OFF/ON情報、今回のセンサ論理情報から、移動動作開始可能か否かを判断する。そして、異常ありと判断した場合には、制御部51は、これらの情報から異常個所を特定し、清掃部材60の移動を実施しない。一方、制御部51は、異常なし(正常である)と判断した場合には、清掃部材60の移動動作を開始しセンサ論理の変化から、異常の有無(正常/異常)を判断する。
【0125】
<8.変形例>
上術した各実施形態におけるモータ61には、一例としてステッピングモータが用いられる。制御部51は、各実施形態においてステッピングモータが動作していないと判定した後、ステッピングモータの回転数を変化させ、負荷変動を判断する。例えばステッピングモータの回転数を低下させて動作させる。回転数を低下させるとステッピングモータの回転トルクが上昇するので、制御部51は、回転トルクが上昇した状態でステッピングモータが回転するか確認する。なお、ステッピングモータの回転数低下により、清掃部材が移動先のセンサに到達するまでの時間が延長される。そして、制御部51は、移動先のセンサが移動部材有りを示す信号を出力した場合には、ステッピングモータは重負荷の状態であると判定し、負荷異常を操作表示部13に表示する。
【0126】
また、制御部51は、各実施形態においてステッピングモータが動作していないと判定した後、ステッピングモータの設定電流値を上げてステッピングモータを動作させるようにしてもよい。設定電流値を上げるとステッピングモータの回転トルクが上昇するので、制御部51は、回転トルクが上昇した状態でステッピングモータが回転するか確認する。そして、制御部51は、移動先のセンサが移動部材有りを示す信号を出力した場合には、ステッピングモータは重負荷の状態であると判定し、負荷異常を操作表示部13に表示する。
【0127】
また、モータ61が重負荷の状態であると検知した場合には、モータ61を停止せずに、故障延命処理として発生回数のカウント数を保存する。そして、制御部51は、発生回数のカウント数が所定のカウント数を超えた場合に、操作表示部13に異常であることを示す警告を表示し、画像形成装置1を停止する。これにより、生産効率の低下が小幅に留められる。
【0128】
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0129】
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成要素に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成要素の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0130】
また、上記の各構成要素、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0131】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
【0132】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0133】
1…画像形成装置、 13…操作表示部、 24…ローラ、 33…帯電部、 33c…電極清掃ユニット、 33w…帯電用ワイヤ、 37…クリーニング部、 50d…センサ検知回路、 51…制御部、 55…第1電源部、 56…第2電源部、 53…ドライバ、 54…電流検出部、 57-1,57-2…トランジスタ、 60…清掃部材(移動部材)、 60a…スライドバー、 61…モータ(移動駆動部)、 62…第1センサ、 63…第2センサ、 71…モータ用コネクタ、 72…第1コネクタ、 73…第2コネクタ、 74…メンテナンス用コネクタ