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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220301BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220301BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/20 510
G01H17/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017223794
(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公開番号】P2019095556
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】菊池 暢
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-226482(JP,A)
【文献】特開2016-022619(JP,A)
【文献】特開2013-167793(JP,A)
【文献】特開2006-292734(JP,A)
【文献】特開平08-166325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/20
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動作に用いられる消耗部品と、
前記消耗部品に係る動作時に発生する音の周波数解析情報を取得する周波数取得部と、
前記周波数取得部により取得された前記周波数解析情報と、所定周波数解析情報との周波数変化量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記周波数変化量に基づいて、前記消耗部品の耐久寿命を予測する予測部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記予測部により予測された予測耐久寿命に応じて、前記消耗部品の耐久寿命を前記予測耐久寿命よりも長くする否かについて判定する制御部を備える、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記周波数解析情報における前記音に関するパラメーターの第1特徴部分に対応する第1周波数と、前記所定周波数解析情報における前記音に関するパラメーターの第2特徴部分に対応する第2周波数との差分を算出する、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1特徴部分は、前記周波数解析情報における前記音に関するパラメーターのピーク値であり、
前記第2特徴部分は、前記周波数解析情報における前記音に関するパラメーターのピーク値である、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記周波数解析情報の履歴情報を記憶する記憶部を備え、
前記算出部は、前記記憶部に記憶される前記履歴情報を前記所定周波数解析情報として、前記周波数変化量を算出する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記消耗部品の初期状態における周波数解析情報を前記所定周波数解析情報として、前記周波数変化量を算出する、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記消耗部品に係る動作時に発生する音を取得し、当該音の周波数解析を行う周波数解析部を備える、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記消耗部品に係る動作時に発生する音を集音する集音部を備える、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム(像担持体)に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムへ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
画像形成装置において、画像形成に用いられる消耗部品の耐久寿命は、例えば、印刷枚数に応じて設定される。しかし、印刷に用いられる用紙の坪量、画像形成される画像のカバレッジ、印刷速度、温度条件、定着ニップ等の圧等の画像形成装置の使用条件がユーザーによって異なる場合がある。
【0004】
例えば、印刷速度が高速に設定された条件であって、厚紙を印刷する場合と、印刷速度が低速に設定された条件であって、薄紙を印刷する場合とでは、消耗部品の劣化度合いが異なる。つまり、ユーザーの使用条件に応じて、消耗部品の耐久寿命が異なるので、消耗部品が、常に設定された耐久寿命通りに耐久寿命を迎えるとは限らない。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1には、周波数特性における音量のピーク値が規定値より大きいか否かについて判定することで、使用過多に起因した消耗部品の劣化を予測および判定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-226482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、音量のピーク値が規定値を超えないものの、正常動作時とは異なる高音や、低音の異常音については、使用過多に起因した消耗部品の劣化を判定することができない。すなわち、特許文献1に記載の構成では、消耗部品の耐久寿命を予測および判定する構成として一定の限界のある構成となっていた。
【0008】
本発明の目的は、消耗部品の耐久寿命を正確に予測ることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、
所定の動作に用いられる消耗部品と、
前記消耗部品に係る動作時に発生する音の周波数解析情報を取得する周波数取得部と、
前記周波数取得部により取得された前記周波数解析情報と、所定周波数解析情報との周波数変化量を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記周波数変化量に基づいて、前記消耗部品の耐久寿命予測する予測部と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消耗部品の耐久寿命を正確に予測ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図3】定着部の拡大図である。
図4】音の強度における周波数特性を示す図である。
図5】耐久寿命予測制御を説明するための図である。
図6】耐久寿命予測制御を説明するための図である。
図7】予測耐久寿命を長くする制御を説明するための図である。
図8】画像形成装置における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第1動作例を示すフローチャートである。
図9】画像形成装置における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第2動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0014】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0015】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0016】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0017】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0018】
制御部101は、後述する集音部材73により集音された音を取得し、当該音に基づいて、定着部60の消耗部品における耐久寿命判定制御および耐久寿命予測制御を行う。耐久寿命判定制御および耐久寿命予測制御については後述する。
【0019】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0020】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0021】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0022】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0023】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0024】
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0025】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0026】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0027】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0028】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0029】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0030】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0031】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0032】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0033】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0034】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0035】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0036】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0037】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0038】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0039】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0040】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0041】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0042】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0043】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0044】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62およびパッド部材64を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62とパッド部材64とによって張架されている。
【0045】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー63を有する。加圧ローラー63は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0046】
また、図3に示すように、定着ベルト61とパッド部材64との間には、摺動シート65が設けられている。摺動シート65は、パッド部材64と定着ベルト61との間の摩擦抵抗を低減するためのシートである。摺動シート65としては、基材が織布構造を有するガラス繊維等であり、表層にPTFE等のフッ素系樹脂をコーティングしたものが用いられる。
【0047】
また、定着部60における定着ニップの下流側には、集音部の一例としての集音部材73が設けられている。集音部材73は、定着ニップ付近で発生する音を集音する。集音部材73により集音された音は、制御部101における、後述する耐久寿命判定制御および耐久寿命予測制御に用いられる。
【0048】
図1に示すように、用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
【0049】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0050】
次に、制御部101における耐久寿命判定制御について説明する。
画像形成装置1において、定着部60における所定の動作に用いられる消耗部品、例えば、摺動シート65の耐久寿命は、印刷枚数等に応じて設定される。なお、以下の説明では、消耗部品を摺動シート65として説明する。
【0051】
しかし、摺動シート65に設定された耐久寿命は、印刷に用いられる用紙の坪量、画像形成される画像のカバレッジ、印刷速度、温度条件、定着ニップの圧等の条件の変化が考慮されていない。
【0052】
例えば、印刷速度が高速に設定された条件であって、厚紙を印刷する第1条件と、印刷速度が低速に設定された条件であって、薄紙を印刷する第2条件とでは、摺動シート65の劣化度合いが異なる。
【0053】
具体的には、第1条件の場合、第2条件と比較して、印刷速度が速く、かつ、定着ニップにおける圧が大きいので、摺動シート65の表層が定着ベルト61により摩耗しやすくなり、結果的に摺動シート65の耐久寿命が第2条件よりも短くなる。つまり、ユーザーの使用方法に応じて、摺動シート65の耐久寿命が異なるので、摺動シート65が、常に設定された耐久寿命通りに耐久寿命を迎えるとは限らない。
【0054】
そこで、制御部101は、集音部材73により集音された音の周波数解析を行うことで、当該周波数解析の解析結果を示す音の周波数特性である周波数解析情報を取得する。制御部101は、所定周波数解析情報を記憶部72等から読み出して、周波数解析情報と所定周波数解析情報との周波数変化量を算出し、当該周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久状態を判定する。制御部101は、本発明の「算出部」および「判定部」に対応する。
【0055】
所定周波数解析情報は、例えば、摺動シート65の初期状態時における、集音部材73により集音された音の周波数特性を示し、記憶部72等に記憶される。具体的には、例えば、摺動シート65が新品に交換された際に、初期動作時における、集音部材73により集音された音を制御部101が取得し、当該音の周波数解析を行うことで生成された周波数特性が所定周波数解析情報として記憶部72等に記憶される。なお、所定周波数解析情報は、予め実験等により得られた周波数特性等であっても良い。
【0056】
摺動シート65に係る動作時に集音された音における周波数特性においては、例えば、図4に示す実線L1のように、低周波数帯(例えば、1kHz未満)において、音の強度が、他の部分よりも突出する突出部Mが得られることが確認されている。突出部Mは、本発明の「第2特徴部分」に対応する。
【0057】
図4では、例えば、定着部60のウォームアップ時に、定着ベルト61が数回転する間において集音された音に基づく音の強度の周波数特性が示されており、音の強度の各値として、数回転する定着ベルト61の一回転分の平均値が示されている。
【0058】
音の強度は、音に関するパラメーターであり、例えば、摺動シート65に係る動作時における振動数や、摺動シート65に係る動作時に発生する音の大きさや音圧である。
【0059】
しかし、その一方で摺動シート65の耐久が進行すると、当該摺動シート65に係る動作時に発生する音が徐々に変化する。例えば、定着部60における摺動シート65は、定着ベルト61とパッド部材64との間に挟まれていることから、定着ベルト61が回転することにより、摺動シート65の表層におけるコーティング部分が摩耗していく。摺動シート65が摩耗していくと、摺動シート65と定着ベルト61との間における摩擦抵抗が増大するので、定着ニップ部分において発生する音が徐々に変化する。
【0060】
このように、摺動シート65の表層におけるコーティング部分が摩耗した状態における、音の周波数特性は、図4に示す破線L2のような特性となることが確認されている。破線L2の特性は、周波数全体として、実線L1と同一又は類似した特徴部分を有する周波数特性となる。しかし、破線L2における低周波数帯において、破線L2の他の部分よりも突出する部分である第1突出部M1が、実線L1の初期状態における突出部Mに対して異なる周波数となる位置に位置する。第1突出部M1は、本発明の「第1特徴部分」に対応する。
【0061】
つまり、第1突出部M1のピーク値に対応する第1周波数W1が、突出部Mのピーク値に対応する第2周波数W2に対して変動する。図4では、第1周波数W1が第2周波数W2よりも大きくなる側に変動する例を示している。
【0062】
また、高周波数帯(例えば、10kHz前後)において、破線L2においては、実線L1の初期状態よりも音の強度が突出する第2突出部M2が現れる。このように、摺動シート65の表層におけるコーティング部分が摩耗すると、音の周波数特性において顕著な違いが示される。
【0063】
ここで、摺動シート65に係る動作時に発生する音における音量の大きさで耐久状態を判定する場合、予め設定された閾値よりも大きい音量でなければ、耐久寿命を迎えたか否かについて判定できない可能性がある。つまり、音量のピーク値が閾値を超えないものの、正常動作時とは異なる高音や、低音の異常音については、使用過多に起因した摺動シート65の劣化を判定することができない。
【0064】
例えば、摺動シート65が耐久寿命を迎えて破損してしまうと、大きい音が発生し、高周波数帯における音の強度に、第2突出部M2が発生するような変動が見られる。このような場合、例えば、周波数特性全体の音量の平均値を監視することにより、摺動シート65の劣化を判定することが可能であると考えられる。
【0065】
しかし、摺動シート65の劣化が進行していくと、低周波数帯においてピーク値に対応する周波数が変動する傾向が見られるが、周波数特性全体の音量の平均値においては、第2突出部M2が発生しない限り、さほど変動しないと考えられる。そのため、このような場合、音量により摺動シート65の劣化を判定できない可能性があるが、このような周波数の変動を監視することで、摺動シート65の耐久状態を正確に認識することが可能であると考えられる。
【0066】
そのため、本実施の形態では、周波数解析情報と所定周波数解析情報との間の周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久状態を判定するので、摺動シート65に係る動作時に発生する音の変化を正確に認識し、ひいては摺動シート65の耐久状態を正確に判定することができる。
【0067】
具体的には、制御部101は、周波数変化量として第1周波数W1と第2周波数W2との差分を算出し、当該差分が所定周波数(例えば、100Hz)以上である場合、摺動シート65が耐久寿命であると判定する。所定周波数は、例えば、摺動シート65が新品状態から、耐久寿命を迎えた状態又は耐久寿命に極めて近い状態における周波数の変化量を示す値等であり、実験やシミュレーション等により適宜設定される値である。
【0068】
また、制御部101は、周波数解析情報と所定周波数解析情報との間における、高周波数帯において、音の強度に変化があった場合、摺動シート65が耐久寿命であると判定しても良い。
【0069】
次に、制御部101における耐久寿命予測制御について説明する。
上述したように、周波数変化量により摺動シート65の音の変化を正確に認識できるため、制御部101は、周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久寿命を予測する。制御部101は、本発明の「予測部」に対応する。
【0070】
具体的には、図5に示すように、制御部101は、摺動シート65の駆動時間がT1のときの周波数変化量と、駆動時間がT1より長いT2のときの周波数変化量とをそれぞれ算出し、これらの周波数変化量から、当該周波数変化量が所定周波数V0に到達する駆動時間を予測する。
【0071】
例えば、駆動時間がT1の時の周波数変化量が0であり、駆動時間がT2の時の周波数変化量がV1である場合、縦軸を周波数変化量とし、横軸を駆動時間としたグラフに、各駆動時間の周波数変化量をプロットする。そして、制御部101は、この2点を通る直線の延長線E1を形成し、当該延長線E1が所定周波数V0と交わるときの駆動時間であるT3を、摺動シート65が耐久寿命になる時間と予測する。
【0072】
駆動時間がT1のときの周波数変化量は、例えば、記憶部72に、駆動時間がT1の時の周波数解析情報の履歴情報として記憶される。そして、制御部101が、駆動時間がT2のときに周波数変化量を算出した際に、記憶部72からT1のときの周波数変化量を読み出すことで、上記の耐久寿命予測制御を行う。
【0073】
このようにすることで、摺動シート65の耐久寿命を容易に予測することができるので、摺動シート65を正しい耐久寿命まで使用することができる。また、摺動シート65における部品交換の目安を判断しやすくなるので、画像形成装置1をメンテナンスするためのサービスマンが部品交換作業をする回数を削減できるとともに、無駄に部品交換をすることが抑制され、ひいては部品交換にかかるコストを低減することができる。
【0074】
なお、図5については、周波数変化量が正の値、つまり、耐久が進むにつれ、ピーク値に対応する周波数が大きい側に変動する場合について例示しているが、耐久が進むにつれ、ピーク値に対応する周波数が小さい側に変動する場合もある。そのため、所定周波数は、正側のV0に加え、負側にも-V0が設定されている。また、周波数変化量が負の値になる例として、仮に正側と同様の絶対値を有する周波数変化量が得られた場合、負側の領域に正側の一次曲線(延長線E1を含む)を反転したような挙動を示す一次直線D1が形成される。そして、一次直線D1と負側の所定周波数である-V0との交点である時間が、摺動シート65の耐久寿命に到達する時間と予測される。
【0075】
また、図5では、駆動時間がT1とT2のときにおける2つの周波数変化量のみで摺動シート65の耐久寿命を予測していたが、3つ以上の周波数変化量を用いて摺動シート65の耐久寿命を予測しても良い。
【0076】
図6には、駆動時間がT1とT2の間で、さらに6つの周波数変化量を加えた計8つの周波数変化量がプロットされたものが示されている。図6における8つの周波数変化量は、駆動時間がT1のときの周波数変化量である0と、駆動時間がT2のときの周波数変化量であるV2との間の範囲内のものである。制御部101は、これらの8つの周波数変化量の近似曲線を延長させた延長曲線E2を形成し、当該延長曲線E2と所定周波数V0とが交わるときの駆動時間であるT4を、摺動シート65が耐久寿命になる時間と予測する。
【0077】
このようにすることで、図5に示す例と同様の効果が得られるとともに、図5に示す例よりも摺動シート65の耐久寿命の予測精度を向上させることができる。なお、図6においても、図5と同様に、負側にも所定周波数-V0が設定される。また、周波数変化量が負の値になる例として、仮に正側と同様の絶対値を有する周波数変化量が得られた場合、負側の領域に正側の曲線(延長曲線E2を含む)を反転したような挙動を示す曲線D2が形成される。そして、曲線D2と、負側の所定周波数である-V0との交点に係る時間が、摺動シート65の耐久寿命に到達する時間と予測される。
【0078】
また、制御部101は、予測した予測耐久寿命に応じて、摺動シート65の耐久寿命を当該予測耐久寿命よりも長くするか否かについて判定するようにしても良い。
【0079】
画像形成装置1の初期設定において、生産性向上の観点から、用紙Sの搬送速度等が比較的高速になるように設定されているが、部品交換回数の削減や、部品が交換されるまでに時間がかかるようなとき等、消耗部品の耐久性が重要視されるような場合も想定される。そのような場合、制御部101は、摺動シート65の耐久寿命が予測耐久寿命よりも長くすると判定する。
【0080】
図7では、制御部101は、周波数変化量がV2に到達した場合、摺動シート65の耐久寿命を予測耐久寿命よりも長くなるように、例えば、用紙Sの搬送速度を遅くするように制御する。制御部101は、近似曲線の延長曲線E2よりも、時間に対する周波数変化量が小さくなるような予測曲線E3を形成し、当該予測曲線E3が所定周波数V0と交わる駆動時間であるT5を新たな予測耐久寿命とする。
【0081】
これにより、摺動シート65の予測耐久寿命を長くすることができるので、予測耐久寿命の時間を状況に応じて調整することができる。また、この制御は、周波数変化量がV2等の任意の値に到達した際に、自動で行っても良いし、ユーザーに生産性および耐久性の何れかを選択させるようにしても良い。ユーザーにこの制御を選択させる場合、例えば、操作部などにどちらかを選択させるような表示をする、アラーム等を発生させる等、警報を出力させるようにしても良い。
【0082】
なお、図7における周波数変化量が負の値になる例として、仮に正側と同様の絶対値を有する周波数変化量が得られた場合、負側の領域に正側の曲線(延長曲線E2を含む),E3を反転したような挙動を示す曲線D3,D4が形成される。そして、曲線D3,D4と、負側の所定周波数である-V0との交点に係る時間が、状況に応じて摺動シート65の予測耐久寿命となる。
【0083】
次に、画像形成装置1における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第1動作例について説明する。図8は、画像形成装置1における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第1動作例を示すフローチャートである。図8における処理は、摺動シート65が交換された後から、摺動シート65が耐久寿命を迎えるまでの処理を前提としている。
【0084】
図8に示すように、制御部101は、摺動シート65の初期状態における周波数解析情報を取得する(ステップS101)。具体的には、制御部101は、ウォームアップ動作時において、定着部60から発生する音を取得し、当該音の周波数解析を行うことで、周波数解析情報を取得する。
【0085】
次に、制御部101は、取得した周波数解析情報を所定周波数解析情報として記憶部72に記憶させる(ステップS102)。次に、制御部101は、画像形成装置1における動作を開始させる(ステップS103)。
【0086】
次に、制御部101は、定着部60から発生する音を取得し、当該音の周波数解析を行うことで、周波数解析情報を取得する(ステップS104)。ステップS104において周波数解析情報を取得するタイミングとしては、例えば、印刷ジョブにおいて用紙Sが定着ニップに到達する前や到達した後等、定着ニップに用紙Sが位置しないタイミングが挙げられる。また、制御部101は、印刷ジョブ中において、数枚に一回のタイミングで、当該周波数解析情報を取得しても良いし、一枚毎に周波数解析情報を取得しても良い。
【0087】
次に、制御部101は、取得した周波数解析情報と、記憶部72に記憶された所定周波数解析情報との差分である周波数変化量を算出し、当該周波数変化量が所定周波数V0の絶対値以上であるか否かについて判定する(ステップS105)。
【0088】
判定の結果、周波数変化量が所定周波数V0の絶対値より小さい場合(ステップS105、NO)、制御部101は、予測耐久寿命を算出するか否かについて判定する(ステップS106)。
【0089】
判定の結果、予測耐久寿命を算出しない場合(ステップS106、NO)、処理はステップS104に戻る。例えば、摺動シート65の耐久がさほど進んでいない場合や、予測耐久寿命を算出して、時間がさほど経過していない場合等において、予測耐久寿命を算出しないと判定される。
【0090】
一方、予測耐久寿命を算出する場合(ステップS106、YES)、制御部101は、予測耐久寿命を算出する(ステップS107)。予測耐久寿命の算出方法としては、図5図6等の方法が用いられる。なお、ステップS106の処理を行わずに、ステップS107の処理を常時行うようにしても良い。
【0091】
次に、制御部101は、外部に予測耐久寿命を報知するような制御を行う(ステップS108)。当該制御としては、例えば、通信部71等を介して画像形成装置1のメンテナンスを管理する外部機関に予測耐久寿命を通知する制御等が挙げられる。ステップS108の後、処理はステップS104に戻る。
【0092】
ステップS105の判定に戻り、周波数変化量が所定周波数V0の絶対値以上である場合(ステップS105、YES)、制御部101は、摺動シート65が耐久寿命である旨を表示部21等に表示させる(ステップS109)。その後、本制御は終了する。
【0093】
次に、画像形成装置1における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第2動作例について説明する。図9は、画像形成装置1における耐久寿命予測判定制御を実行するときの第2動作例を示すフローチャートである。図9における処理は、摺動シート65が交換された後から、摺動シート65が耐久寿命を迎えるまでの処理を前提としている。
【0094】
図9に示すように、制御部101は、摺動シート65の初期状態における周波数解析情報を取得する(ステップS201)。周波数解析情報の取得については、図8のステップS101と同様である。
【0095】
次に、制御部101は、取得した周波数解析情報を所定周波数解析情報として記憶部72に記憶させる(ステップS202)。次に、制御部101は、画像形成装置1における動作を開始させる(ステップS203)。
【0096】
次に、制御部101は、定着部60から発生する音を取得し、当該音の周波数解析を行うことで、周波数解析情報を取得する(ステップS204)。周波数解析情報を取得するタイミングとしては、図8のステップS104と同様である。
【0097】
次に、制御部101は、取得した周波数解析情報と、記憶部72に記憶された所定周波数解析情報との差分である周波数変化量を算出し、当該周波数変化量が、例えば、図6に示すV2の絶対値以上であるか否かについて判定する(ステップS205)。
【0098】
判定の結果、周波数変化量がV2の絶対値より小さい場合(ステップS205、NO)、処理はステップS209に遷移する。一方、周波数変化量がV2の絶対値以上である場合(ステップS205、YES)、制御部101は、周波数変化量が所定周波数V0の絶対値以上であるか否かについて判定する(ステップS206)。
【0099】
判定の結果、周波数変化量が所定周波数V0の絶対値より小さい場合(ステップS206、NO)、制御部101は、予測耐久寿命を長くするか否かについて判定する(ステップS207)。なお、ステップS207の判定については、ユーザーの動作指示に基づいて判定するようにしても良いし、画像形成装置1の設定に基づいて判定するようにしても良い。
【0100】
判定の結果、予測耐久寿命を長くしないと判定した場合(ステップS207、NO)、処理はステップS209に遷移する。一方、予測耐久寿命を長くすると判定した場合(ステップS207、YES)、制御部101は、用紙Sの搬送速度を遅くする制御を行う(ステップS208)。なお、ステップS208においては、摺動シート65の耐久寿命を長くできるような制御であれば、どのような制御が行われても良い。
【0101】
次に、制御部101は、予測耐久寿命を算出するか否かについて判定する(ステップS209)。判定の結果、予測耐久寿命を算出しない場合(ステップS209、NO)、処理はステップS204に戻る。
【0102】
一方、予測耐久寿命を算出する場合(ステップS209、YES)、制御部101は、予測耐久寿命を算出する(ステップS210)。予測耐久寿命の算出方法としては、図5図6等の方法が用いられる。なお、ステップS209の処理を行わずに、ステップS210の処理を常時行うようにしても良い。
【0103】
次に、制御部101は、外部に予測耐久寿命を報知するような制御を行う(ステップS211)。当該制御としては、図8のステップS108と同様である。ステップS211の後、処理はステップS204に戻る。
【0104】
ステップS206の判定に戻り、周波数変化量が所定周波数V0の絶対値以上である場合(ステップS206、YES)、制御部101は、摺動シート65が耐久寿命である旨を表示部21等に表示させる(ステップS212)。その後、本制御は終了する。
【0105】
以上のような本実施の形態によれば、周波数解析情報と所定周波数解析情報との間の周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久状態を判定する。そのため、摺動シート65に係る動作時に発生する音の変化を正確に認識し、ひいては摺動シート65の耐久状態を正確に判定することができる。
【0106】
また、周波数解析情報と所定周波数解析情報との間の周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久寿命を予測するので、摺動シート65の耐久寿命を容易に予測することができ、ひいては摺動シート65を正しい耐久寿命まで使用することができる。
【0107】
また、周波数解析情報と所定周波数解析情報との間の周波数変化量に基づいて摺動シート65の耐久状態を判定および予測するので、表層を有するような消耗部品であっても、正確に耐久状態を判定および予測することができる。
【0108】
また、摺動シート65における部品交換の目安を判断しやすくなるので、画像形成装置1をメンテナンスするためのサービスマンが部品交換作業をする回数を削減できるとともに、無駄に部品交換をすることが抑制され、ひいては部品交換にかかるコストを低減することができる。
【0109】
なお、上記実施の形態では、制御部101が、集音部材73により集音された音の周波数解析を行っていたが、本発明はこれに限定されず、制御部101とは異なるCPUを有する周波数解析部により解析された周波数解析情報を制御部101が取得するようにしても良い。また、画像形成装置1の外部の周波数解析部により解析された周波数解析情報を制御部101が取得するようにしても良い。
【0110】
また、上記実施の形態では、集音部材73が定着部60における定着ニップの下流側に位置しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、定着ニップの上流側に位置しても良い。
【0111】
また、上記実施の形態では、集音部材73が画像形成装置1に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、画像形成装置1に設けられていなくても良い。この場合、画像形成装置1の外部に位置する集音部材から音の情報を制御部101や周波数解析部等が取得するようにすれば良い。
【0112】
また、上記実施の形態では、消耗部品として摺動シート65を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、定着部60における定着ベルト61や加圧ローラー63等の摺動シート65以外の部品であっても良い。また、消耗部品としては、画像形成ユニット41内の部品や中間転写ユニット42内の部品等であっても良い。
【0113】
また、上記実施の形態では、第1特徴部分として、第1周波数W1、つまり、周波数解析情報における音の強度のピーク値を例示し、第2特徴部分として、第2周波数W2、つまり、所定周波数解析情報における音の強度のピーク値を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、音の強度のピーク値以外に、周波数特性の波形に特徴的な箇所が検出される場合には、第1特徴部分および第2特徴部分を、周波数特性の波形のピーク値以外の部分にしても良い。
【0114】
また、上記実施の形態では、所定周波数解析情報として、初期状態の周波数特性を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、記憶部72等に記憶された、周波数特性の履歴情報の中から、選択された周波数特性を所定周波数解析情報としても良い。例えば、画像形成装置1の電源がオンされるような場合、前回電源をオンにしたときの履歴情報を所定周波数解析情報としても良い。
【0115】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 画像形成装置
60 定着部
61 定着ベルト
62 加熱ローラー
63 加圧ローラー
64 パッド部材
65 摺動シート
72 記憶部
73 集音部材
101 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9