(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20220301BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220301BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20220301BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20220301BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20220301BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/209
H01M50/291
H01G11/82
H01G11/10
(21)【出願番号】P 2017244117
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】飛鷹 強志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
(72)【発明者】
【氏名】岩嶋 泰行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111493(JP,A)
【文献】特開2015-207341(JP,A)
【文献】特開2013-114953(JP,A)
【文献】特開2013-069657(JP,A)
【文献】国際公開第2017/052296(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01G 11/82
H01G 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の蓄電素子と、
前記1以上の蓄電素子の第一方向側の端部に配置される端部蓄電素子の前記第一方向側に配置されるエンドプレートと、
前記エンドプレートを外部の部材に固定する固定部であって、前記第一方向と交差する第二方向に並ぶ2つの固定部と、を備え、
前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとの間には、前記第二方向において前記2つの固定部の間に配置される空間であって、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一方向から見て前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとが重なる領域のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間が形成され
、
前記エンドプレート及び前記端部蓄電素子の少なくとも一方は、他方に向けて突出し、前記第二方向に並ぶ2つの第一突出部を有し、
前記2つの第一突出部のそれぞれは、前記第一方向から見て、前記エンドプレートのうちの前記2つの固定部に固定されている固定領域のそれぞれと重なる位置に配置され、
前記空間は、前記2つの第一突出部の間に連続して形成された第一空間を有し、
前記2つの固定部は、前記エンドプレートと前記外部の部材とに亘って前記第三方向に延びる棒状部材である
蓄電装置。
【請求項2】
1以上の蓄電素子と、
前記1以上の蓄電素子の第一方向側の端部に配置される端部蓄電素子の前記第一方向側に配置されるエンドプレートと、
前記エンドプレートを外部の部材に固定する固定部であって、前記第一方向と交差する第二方向に並ぶ2つの固定部と、
前記エンドプレートと前記端部蓄電素子との間に配置されるスペーサ
と、を備え、
前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとの間には、前記第二方向において前記2つの固定部の間に配置される空間であって、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一方向から見て前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとが重なる領域のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間が形成され、
前記スペーサは、前記端部蓄電素子及び前記エンドプレートの少なくとも一方に向けて突出し、前記第二方向に並ぶ2つの第二突出部を有し、
前記2つの第二突出部のそれぞれは、前記第一方向から見て、前記エンドプレートのうちの前記2つの固定部に固定されている固定領域のそれぞれと重なる位置に配置され、
前記空間は、前記2つの第二突出部の間に連続して形成された第二空間を有
し、
前記2つの固定部は、前記エンドプレートと前記外部の部材とに亘って前記第三方向に延びる棒状部材である
蓄電装置。
【請求項3】
前記固定領域は、前記エンドプレートのうちの、前記第二方向における前記固定部の最大の幅を前記第三方向に延ばして形成される領域である
請求項
1または
2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記空間は、前記第三方向において、前記エンドプレートの一端から他端までの領域のうちの、前記第一方向から見て前記端部蓄電素子の容器に形成された接合部と重ならない位置に形成された連続した空間である
請求項1~
3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の蓄電素子とエンドプレートとを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1以上の蓄電素子とエンドプレートとを備え、蓄電素子をエンドプレートで挟んで蓄電素子の膨れを抑制する構成の蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、複数の二次電池セル(蓄電素子)を、2枚のエンドプレートで挟む構成の電源装置(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の蓄電装置では、蓄電素子の膨れを抑制する際に、エンドプレートに過大な力がかかるため、エンドプレートが損傷してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、エンドプレートの損傷を抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、1以上の蓄電素子と、前記1以上の蓄電素子の第一方向側の端部に配置される端部蓄電素子の前記第一方向側に配置されるエンドプレートと、前記エンドプレートを外部の部材に固定する固定部であって、前記第一方向と交差する第二方向に並ぶ2つの固定部と、を備え、前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとの間には、前記第二方向において前記2つの固定部の間に配置される空間であって、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一方向から見て前記端部蓄電素子と前記エンドプレートとが重なる領域のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間が形成されている。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、端部に配置される端部蓄電素子とエンドプレートとの間には、エンドプレートを外部の部材に固定する2つの固定部の間に配置される空間であって、端部蓄電素子とエンドプレートとが重なる領域のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間が形成されている。ここで、エンドプレートのうちの外部と固定される部分は、端部蓄電素子からの力に対して強い部分である。このため、エンドプレートを外部と固定する2つの固定部の間に空間を形成し、当該2つの固定部の近傍で端部蓄電素子からの力を受けるようにする。また、当該空間は、エンドプレートが端部蓄電素子と対向している領域のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間であるため、当該一端から、端部蓄電素子による力を最も受けると考えられる中央部までの間は、端部蓄電素子から受ける力を回避することができる。このように、エンドプレートが損傷しやすい部分では端部蓄電素子からの力を回避しつつ、強固な部分で端部蓄電素子からの力を受けることで、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【0008】
また、前記エンドプレートは、前記端部蓄電素子に向けて突出し、前記第二方向に並ぶ2つの第一突出部を有し、前記2つの第一突出部のそれぞれは、前記第一方向から見て、前記エンドプレートのうちの前記2つの固定部に固定されている固定領域のそれぞれと重なる位置に配置され、前記空間は、前記2つの第一突出部の間に連続して形成された第一空間を有することにしてもよい。
【0009】
これによれば、蓄電装置において、エンドプレートは、端部蓄電素子に向けて突出する2つの第一突出部を有し、当該2つの第一突出部は、2つの固定部に固定されている固定領域と重なる位置に配置され、当該2つの第一突出部の間に連続して第一空間が形成されている。このように、エンドプレートが端部蓄電素子に向けて突出した2つの第一突出部を有するため、エンドプレートを配置すれば、容易に、2つの固定部の間に第一空間を形成することができる。これにより、当該2つの固定部の近傍で端部蓄電素子からの力を受けるようにすることができるため、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【0010】
また、さらに、前記エンドプレートと前記端部蓄電素子との間に配置されるスペーサを備え、前記スペーサは、前記端部蓄電素子及び前記エンドプレートの少なくとも一方に向けて突出し、前記第二方向に並ぶ2つの第二突出部を有し、前記2つの第二突出部のそれぞれは、前記第一方向から見て、前記エンドプレートのうちの前記2つの固定部に固定されている固定領域のそれぞれと重なる位置に配置され、前記空間は、前記2つの第二突出部の間に連続して形成された第二空間を有することにしてもよい。
【0011】
これによれば、蓄電装置は、端部蓄電素子及びエンドプレートの少なくとも一方に向けて突出する2つの第二突出部を有するスペーサを備え、当該2つの第二突出部は、2つの固定部に固定されている固定領域と重なる位置に配置され、当該2つの第二突出部の間に連続して第二空間が形成されている。このように、スペーサが端部蓄電素子及びエンドプレートの少なくとも一方に向けて突出した2つの突出部を有するため、スペーサを配置すれば、容易に、2つの固定部の間に第二空間を形成することができる。これにより、当該2つの固定部の近傍で端部蓄電素子からの力を受けるようにすることができるため、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【0012】
また、前記固定領域は、前記エンドプレートのうちの、前記第二方向における前記固定部の最大の幅を前記第三方向に延ばして形成される領域であることにしてもよい。
【0013】
これによれば、蓄電装置において、固定領域は、エンドプレートのうちの固定部の最大の幅を延ばして形成される領域である。つまり、固定部の最大の幅を上下に延ばした領域が固定部によって固定する力が加えられている部分であるので、この領域を固定領域とし、当該固定領域と重なる位置に、突出部を配置する。これにより、当該突出部で端部蓄電素子からの力を受けることができるため、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【0014】
また、前記空間は、前記第三方向において、前記エンドプレートの一端から他端までの領域のうちの、前記第一方向から見て前記端部蓄電素子の容器に形成された接合部と重ならない位置に形成された連続した空間であることにしてもよい。
【0015】
これによれば、蓄電装置において、形成される空間は、エンドプレートの一端から他端までの領域のうちの、端部蓄電素子の容器に形成された接合部と重ならない位置に形成された連続した空間である。ここで、当該接合部の損傷を抑制するためには、当該接合部をエンドプレートで押さえるのが好ましいため、当該接合部に対向する位置には空間を形成しないのが好ましい。このため、エンドプレートの一端から他端のうちの当該接合部以外の位置に連続して空間を形成することで、当該接合部の損傷を抑制しつつ、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【0016】
なお、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備えるエンドプレートまたはスペーサとしても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における蓄電装置によれば、エンドプレートの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電素子の外観を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るエンドプレートの構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るエンドプレートが蓄電素子に取り付けられた状態での構成を示す側面図である。
【
図5】実施の形態に係るエンドプレートが蓄電素子に取り付けられた状態での構成を示す上面図及び正面図である。
【
図6】実施の形態の変形例1に係るエンドプレート及びスペーサの構成を示す斜視図である。
【
図7A】実施の形態の変形例1に係るエンドプレート及びスペーサが端部蓄電素子に取り付けられた状態での構成を示す上面図である。
【
図7B】実施の形態の変形例1の他の例に係るエンドプレート及びスペーサが端部蓄電素子に取り付けられた状態での構成を示す上面図である。
【
図8】実施の形態の変形例2に係るエンドプレートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、寸法等は必ずしも厳密に図示したものではない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における電極端子(つまり、正極端子及び負極端子)の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、蓄電素子の並び方向、エンドプレートの並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、当該容器の厚さ方向、または、エンドプレートの厚さ方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、蓄電素子の容器の短側面の長手方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0021】
(実施の形態)
[1 蓄電装置10の全般的な説明]
まず、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
【0022】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0023】
図1に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子100(本実施の形態では、5つの蓄電素子100)と、2つのエンドプレート200(エンドプレート200a、200b)と、蓄電素子100を拘束する拘束部材300とを備えている。なお、蓄電装置10は、蓄電素子100同士を電気的に接続するバスバー、蓄電素子100間に配置されるスペーサ、蓄電素子100の外方に配置される外装体、バスバーの位置決めを行うバスバーフレーム、蓄電素子100と拘束部材300とを絶縁する絶縁部材、蓄電素子100の充電状態や放電状態を監視するための回路基板やリレー等の電気機器なども備えていてもよいが、これらの図示は省略し、詳細な説明も省略する。
【0024】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、5個の蓄電素子100がY軸方向に配列されている。ここで、Y軸方向プラス側(以下、第一方向側ともいう)の端部に配置される蓄電素子100を、端部蓄電素子100aとも呼ぶこととする。また、Y軸方向マイナス側の端部に配置される蓄電素子100を、端部蓄電素子100bとも呼ぶこととする。また、端部蓄電素子100a及び端部蓄電素子100bの間に配置される3個の蓄電素子100を、中間部蓄電素子100cとも呼ぶこととする。
【0025】
なお、蓄電素子100の個数は5個に限定されず、1個、または、5個以外の複数個数であってもよい。蓄電素子100の個数が1個または2個の場合には、当該1個または2個の蓄電素子100を端部蓄電素子と呼ぶことができる。蓄電素子100の個数が3個以上の場合には、両端部の蓄電素子100を端部蓄電素子と呼び、その間の蓄電素子100を中間部蓄電素子と呼ぶことができる。
【0026】
また、蓄電素子100の接続形態は特に限定されず、全てが直列接続されていてもよいし、いずれかの蓄電素子100が並列接続されていてもよい。また、本実施の形態では、直方体形状(角型)の蓄電素子100を図示しているが、蓄電素子100の形状は、直方体形状には限定されず、長円柱形状や円柱形状等であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。また、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。この蓄電素子100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0027】
エンドプレート200及び拘束部材300は、複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)において、蓄電素子100を外方から圧迫する部材である。つまり、エンドプレート200及び拘束部材300は、複数の蓄電素子100を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を両側から圧迫する。
【0028】
具体的には、エンドプレート200は、複数の蓄電素子100のY軸方向両側に配置された平板状部材(挟持部材)であり、複数の蓄電素子100を、当該複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)の両側から挟み込んで保持する。エンドプレート200は、強度の観点等から、例えば鋼やステンレス等の金属製(導電性)の部材で形成されているが、これに限定されず、例えば強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよい。なお、エンドプレート200が金属等の導電性の部材で形成されている場合には、腐食防止等の観点から、エンドプレート200に絶縁処理を施したり、エンドプレート200と蓄電素子100との間に絶縁部材を配置したりしてもよい。
【0029】
ここで、端部蓄電素子100aのY軸方向プラス側(第一方向側)に配置されるエンドプレート200を、エンドプレート200aとも呼ぶこととする。また、端部蓄電素子100bのY軸方向マイナス側に配置されるエンドプレート200を、エンドプレート200bとも呼ぶこととする。このエンドプレート200(エンドプレート200a、エンドプレート200b)の構成の詳細な説明については、後述する。
【0030】
拘束部材300は、両端がエンドプレート200に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状の部材(拘束バー)である。つまり、拘束部材300は、当該複数の蓄電素子100を跨ぐように配置され、当該複数の蓄電素子100に対してこれらの並び方向(Y軸方向)における拘束力を付与する。
【0031】
本実施の形態では、X軸方向において複数の蓄電素子100の両側方に2つの拘束部材300が配置されており、当該2つの拘束部材300のそれぞれが、Y軸方向両端部において、2つのエンドプレート200のX軸方向端部に取り付けられている。これにより、2つの拘束部材300は、複数の蓄電素子100をX軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。なお、エンドプレート200への拘束部材300の取り付けは、ボルト310によって固定されているが、ボルト310による固定には限定されず、溶接や接着等で固定されていてもかまわない。また、拘束部材300は、エンドプレート200と同様に、例えば鋼やステンレス等の金属製の部材で形成されているのが好ましいが、金属以外の部材で形成されていてもかまわない。
【0032】
また、蓄電装置10は、蓄電装置10の外部に配置される外部部材400に載置されて、固定部500によって固定される。外部部材400は、例えば、蓄電装置10を搭載する車の車体、蓄電装置10を冷却(例えば水冷)する冷却装置、蓄電装置10を載置する設備の外装体等である。また、固定部500は、エンドプレート200を外部部材400に固定する部材であって、X軸方向(以下、第二方向ともいう)に2つの固定部500が並んで配置されている。本実施の形態では、固定部500は、エンドプレート200を貫通して外部部材400に接合されるボルトである。
【0033】
つまり、エンドプレート200に形成されたZ軸方向に延びる貫通孔(後述の貫通孔211)に、固定部500が挿入されて、エンドプレート200が外部部材400に固定されることで、蓄電装置10が外部部材400に固定される。なお、固定部500は、ボルトには限定されない。例えば、固定部500は棒状部材であり、貫通孔211に当該棒状部材が挿入されて、当該棒状部材とエンドプレート200及び外部部材400とが溶接等により接合されることにしてもよい。
【0034】
[2 蓄電素子100の詳細な説明]
次に、蓄電素子100(端部蓄電素子100a、100b及び中間部蓄電素子100c)の構成について、詳細に説明する。なお、端部蓄電素子100a、100b及び中間部蓄電素子100cは、全て同様の構成を有するため、以下では、蓄電素子100として説明する。
図2は、本実施の形態に係る蓄電素子100の外観を示す斜視図である。
【0035】
図2に示すように、蓄電素子100は、容器110と、2つの電極端子120(正極端子及び負極端子)とを備えている。また、容器110の内方には、電極体、集電体(正極集電体及び負極集電体)、及び電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。
【0036】
容器110は、開口が形成された容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する蓋体112とを有する直方体形状(角型)の容器である。容器本体111は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸方向両側の側面に2つの長側面部、X軸方向両側の側面に2つの短側面部、並びに、Z軸方向マイナス側に底面部を有している。蓋体112は、容器110の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体111のZ軸方向プラス側に配置されている。
【0037】
具体的には、容器110は、電極体等を容器本体111の内方に収容後、容器本体111と蓋体112とが溶接等によって接合されて接合部113が形成されることにより、内部が密封される構造となっている。つまり、容器110の側面(X軸方向両側及びY軸方向両側の面)には、容器本体111と蓋体112とが互いに接合された接合部113が形成されている。なお、容器110(容器本体111及び蓋体112)の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。また、蓋体112には、容器110内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁や、電解液を注液する注液部等が設けられているが、これらの図示及び説明は省略する。
【0038】
電極端子120は、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続される端子(正極端子及び負極端子)である。つまり、電極端子120は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。なお、電極端子120は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0039】
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。ここで、電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極板は、銅または銅合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。また、集電体は、電極端子120と電極体とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0040】
[3 エンドプレート200の構成の説明]
次に、エンドプレート200(エンドプレート200a、200b)の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係るエンドプレート200の構成を示す斜視図である。なお、同図では、エンドプレート200としてエンドプレート200aを図示しているが、エンドプレート200bは、エンドプレート200aをZ軸まわりに180°回転したものと同じ構成を有するため、エンドプレート200bの図示は省略する。
【0041】
同図に示すように、エンドプレート200は、プレート本体部210と、X軸方向(第二方向)に並ぶ2つの第一突出部220と、上端部に配置される端部突出部230とを有している。プレート本体部210は、エンドプレート200の本体部を構成するXZ平面に平行な矩形状かつ平板状の部位である。また、プレート本体部210は、X軸方向両端部に、Z軸方向に貫通する2つの上面視円形状の貫通孔211が形成されている。上述の通り、貫通孔211は、固定部500が挿入される孔であり、この貫通孔211に挿入された固定部500が外部部材400に接合されることで、プレート本体部210が外部部材400に固定される。
【0042】
第一突出部220は、プレート本体部210のX軸方向両端部からY軸方向マイナス側へ突出した矩形状かつ平板状の部位であり、Z軸方向に延設されて形成されている。つまり、第一突出部220は、プレート本体部210のY軸方向マイナス側の側面の両端部から突出して配置されており、端部突出部230の下端縁からプレート本体部210の下端縁までに亘って、Z軸方向に延設されて配置されている。また、第一突出部220は、貫通孔211と対応する位置、つまり、貫通孔211のY軸方向マイナス側の位置に配置されている。言い換えれば、第一突出部220は、Y軸方向から見て、貫通孔211と重なる位置に配置されている。
【0043】
端部突出部230は、プレート本体部210のZ軸方向プラス側の端部からY軸方向マイナス側へ突出した矩形状かつ平板状の部位であり、X軸方向に延設されて形成されている。つまり、端部突出部230は、プレート本体部210のY軸方向マイナス側の側面の上端部から突出して配置されており、プレート本体部210のX軸方向プラス側の端縁からX軸方向マイナス側の端縁までに亘って、X軸方向に延設されて配置されている。なお、端部突出部230は、第一突出部220と同等の突出高さを有しており、Y軸方向マイナス側の面が、段差なく第一突出部220と連続する形状となっている。
【0044】
[4 エンドプレート200の取付構成の説明]
次に、エンドプレート200が蓄電素子100に取り付けられた状態での構成について、詳細に説明する。
図4は、本実施の形態に係るエンドプレート200が蓄電素子100に取り付けられた状態での構成を示す側面図である。具体的には、
図4は、
図1に示した蓄電装置10を、X軸方向プラス側から見た場合の図である。なお、
図4では、説明の便宜のため、拘束部材300を省略して示している。
【0045】
また、
図5は、本実施の形態に係るエンドプレート200が蓄電素子100に取り付けられた状態での構成を示す上面図及び正面図である。具体的には、
図5の(a)は、
図4に示した蓄電装置10の端部蓄電素子100a及びエンドプレート200aを、Z軸方向プラス側から見た場合の図であり、
図5の(b)は、
図5の(a)の構成をY軸方向プラス側から見た場合の図である。なお、
図5の(b)では、説明の便宜のため、端部蓄電素子100aの電極端子120を省略して示している。
【0046】
図4に示すように、エンドプレート200a及びエンドプレート200bは、端部蓄電素子100a、3つの中間部蓄電素子100c及び端部蓄電素子100bを挟んで配置される。具体的には、エンドプレート200aは、2つの第一突出部220及び端部突出部230が端部蓄電素子100aに向けて突出し、かつ、端部蓄電素子100aの容器110に当接するように配置される。具体的には、2つの第一突出部220は、端部蓄電素子100aの容器110の長側面部のX軸方向両側に当接して配置される。また、端部突出部230は、当該容器110の容器本体111と蓋体112との接合部113に対向する位置に配置されており、当該接合部113を覆うように、当該接合部113に当接して配置される。
【0047】
また、端部蓄電素子100bとエンドプレート200bとの位置関係についても、同様である。なお、このように、エンドプレート200a側の構成とエンドプレート200b側の構成とは、同様の構成を有しているため、以下では、エンドプレート200a側の構成について詳細に説明し、エンドプレート200b側の構成については、説明を省略する。
【0048】
ここで、上述の通り、2つの第一突出部220及び端部突出部230が端部蓄電素子100aに当接することで、端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとの間には、空間が形成される。この空間について、以下に詳細に説明する。
【0049】
図5の(a)に示すように、端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとの間には、第一空間S1と、第一空間S1の両側方に配置される側方空間S2とが形成される。第一空間S1は、第二方向(X軸方向)において、2つの固定部500の間に配置される空間である。つまり、第一空間S1は、2つの第一突出部220の間に配置され、かつ、2つの第一突出部220の間で途切れることなく、2つの第一突出部220の間に連続して形成された空間である。また、側方空間S2は、X軸方向プラス側の第一突出部220のX軸方向プラス側、及び、X軸方向マイナス側の第一突出部220のX軸方向マイナス側に配置された空間である。
【0050】
また、
図5の(b)に示すように、第一空間S1は、第一方向(Y軸方向)及び第二方向(X軸方向)と交差する第三方向(Z軸方向)において、第一方向から見て端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとが重なる領域(同図の領域R1)のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間である。ここで、端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとは、第一方向(Y軸方向)から見て、ほぼ同じ大きさを有しているため、「第一方向から見て端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとが重なる領域」(領域R1)とは、エンドプレート200aの外縁で囲まれる矩形状の領域である。つまり、第一空間S1は、Y軸方向から見て、Z軸方向においてエンドプレート200aの一端から中央部に亘って連続する空間である。
【0051】
本実施の形態では、第一空間S1は、エンドプレート200aの下端から端部突出部230の下端に亘って連続する空間、つまり、Z軸方向においてエンドプレート200aの一端から他端までの領域のうちの端部突出部230を除く空間である。ここで、端部突出部230は、上述の通り、端部蓄電素子100aの容器110に形成された接合部113と当接する部位である。このため、第一空間S1は、第三方向(Z軸方向)において、エンドプレート200aの一端から他端までの領域のうちの、第一方向(Y軸方向)から見て端部蓄電素子100aの容器110に形成された接合部113と重ならない位置に形成された連続した空間である。
【0052】
なお、第一空間S1は、上記の領域R1の一端から中央部に亘って連続する空間であればよいため、例えば、エンドプレート200aの上端から中央部に亘って連続する空間であってもよい。また、Y軸方向から見て、端部蓄電素子100aがエンドプレート200aよりも小さい場合には、上記の領域R1は、端部蓄電素子100aの外縁で囲まれる領域となる。この場合、第一空間S1は、エンドプレート200aの下端または上端まで延びていなくてもよく、当該領域R1の一端(下端または上端)まで延びていればよい。
【0053】
ここで、第一空間S1は、2つの第一突出部220の間に配置されるが、この2つの第一突出部220の配置位置について、詳細に説明する。
図5の(b)に示すように、2つの第一突出部220のそれぞれは、第一方向(Y軸方向)から見て、エンドプレート200aのうちの2つの固定部500に固定されている固定領域R2のそれぞれと重なる位置に配置されている。ここで、固定領域R2とは、エンドプレート200aのうちの、第二方向(X軸方向)における固定部500の最大の幅を第三方向(Z軸方向)に延ばして形成される領域である。
【0054】
つまり、本実施の形態では、固定部500はボルトであるため、X軸方向において、ボルトの頭部が、軸部よりも幅が大きく、固定部500のうちの最大の幅を有している。そして、エンドプレート200aが固定部500によって固定される際には、ボルトの頭部にエンドプレート200aが押さえ付けられるため、ボルトの頭部の幅の領域において、エンドプレート200aに固定力が加わる。このように、ボルトの頭部の幅に対応する領域である固定領域R2が、エンドプレート200aのうちの強固な部分となるため、第一突出部220を固定領域R2と重なる位置に配置する。なお、本実施の形態では、第一突出部220は、Y軸方向から見て、固定領域R2の全体を含むように配置されているが、固定領域R2の一部しか含まないように、X軸方向プラス側またはマイナス側にずれて配置されていてもよい。
【0055】
また、側方空間S2についても、第一空間S1と同様に、Z軸方向において、領域R1のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間、つまり、エンドプレート200aの一端から他端までの領域のうちの接合部113と重ならない位置に形成された連続した空間である。なお、側方空間S2の形状は、上記と異なる形状であってもよく、また、側方空間S2が形成されていなくてもよい。
【0056】
[5 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとの間には、エンドプレート200aを外部部材400に固定する2つの固定部500の間に配置される空間であって、端部蓄電素子100aとエンドプレート200aとが重なる領域R1のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間(第一空間S1)が形成されている。ここで、エンドプレート200aのうちの外部と固定される部分は、端部蓄電素子100aからの力に対して強い部分である。このため、エンドプレート200aを外部と固定する2つの固定部500の間に空間を形成し、当該2つの固定部500の近傍で端部蓄電素子100aからの力を受けるようにする。また、当該空間は、エンドプレート200aが端部蓄電素子100aと対向している領域R1のうちの少なくとも一端から中央部に亘って連続する空間であるため、当該一端から、端部蓄電素子100aによる力を最も受けると考えられる中央部までの間は、端部蓄電素子100aから受ける力を回避することができる。このように、エンドプレート200aが損傷しやすい部分では端部蓄電素子100aからの力を回避しつつ、強固な部分で端部蓄電素子100aからの力を受けることで、エンドプレート200aの損傷を抑制することができる。これにより、エンドプレート200aを強固なものにする必要がなく、エンドプレート200aのサイズ縮小等を実現することができる。
【0057】
また、エンドプレート200aは、端部蓄電素子100aに向けて突出する2つの第一突出部220を有し、当該2つの第一突出部220は、2つの固定部500に固定されている固定領域R2と重なる位置に配置され、当該2つの第一突出部220の間に連続して第一空間S1が形成されている。このように、エンドプレート200aが端部蓄電素子100aに向けて突出した2つの第一突出部220を有するため、エンドプレート200aを配置すれば、容易に、2つの固定部500の間に第一空間S1を形成することができる。これにより、当該2つの固定部500の近傍で端部蓄電素子100aからの力を受けるようにすることができるため、エンドプレート200aの損傷を抑制することができる。
【0058】
また、固定領域R2は、エンドプレート200aのうちの固定部500の最大の幅を延ばして形成される領域である。つまり、固定部500の最大の幅を上下に延ばした領域が固定部500によって固定する力が加えられている部分であるので、この領域を固定領域R2とし、当該固定領域R2と重なる位置に、第一突出部220を配置する。これにより、第一突出部220で端部蓄電素子100aからの力を受けることができるため、エンドプレート200aの損傷を抑制することができる。
【0059】
また、第一空間S1は、エンドプレート200aの一端から他端までの領域のうちの、端部蓄電素子100aの容器110に形成された接合部113と重ならない位置に形成された連続した空間である。ここで、当該接合部113の損傷を抑制するためには、当該接合部113をエンドプレート200aで押さえるのが好ましいため、当該接合部113に対向する位置には空間を形成しないのが好ましい。このため、エンドプレート200aの一端から他端のうちの当該接合部113以外の位置に連続して空間を形成することで、当該接合部113の損傷を抑制しつつ、エンドプレート200aの損傷を抑制することができる。
【0060】
なお、エンドプレート200b側についても、同様の効果を奏することができる。
【0061】
[6 変形例の説明]
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。
図6は、本実施の形態の変形例1に係るエンドプレート200c及びスペーサ600の構成を示す斜視図である。なお、
図6は、上記実施の形態における
図3に対応する図である。また、
図7A及び
図7Bは、本実施の形態の変形例1に係るエンドプレート200c及びスペーサ600が端部蓄電素子100aに取り付けられた状態での構成を示す上面図である。なお、
図7A及び
図7Bは、上記実施の形態における
図5の(a)に対応する図である。
【0062】
まず、
図6に示すように、本変形例では、上記実施の形態のエンドプレート200に代えて、エンドプレート200c及びスペーサ600が配置される。エンドプレート200c及びスペーサ600は、上記実施の形態のエンドプレート200を分割して、2部材にしたような形状を有している。つまり、エンドプレート200cは、上記実施の形態のエンドプレート200が有するプレート本体部210と同様の形状を有している。また、スペーサ600は、矩形状かつ平板状のスペーサ本体部610と、上記実施の形態のエンドプレート200が有する2つの第一突出部220及び端部突出部230と同様の形状の第二突出部620及び端部突出部630とを有している。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0063】
なお、エンドプレート200cは、上記実施の形態のエンドプレート200と同様の材質で形成することができる。また、スペーサ600は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性部材、マイカ片を集積し結合することで構成されるダンマ材等の断熱性部材、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、カゼイン樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性(及び耐熱性)部材、または、セラミックス等の耐熱性部材などで形成することができる。
【0064】
そして、
図7Aに示すように、エンドプレート200cと端部蓄電素子100aとの間に、スペーサ600が配置される。これにより、第二方向(X軸方向)に並ぶ2つの第二突出部620が、端部蓄電素子100a及びエンドプレート200cの少なくとも一方に向けて突出して配置される。同図では、2つの第二突出部620は、端部蓄電素子100aに向けて突出して配置される。なお、この2つの第二突出部620の形状及び配置位置等は、上記実施の形態における2つの第一突出部220の形状及び配置位置等と同様である。つまり、2つの第二突出部620のそれぞれは、第一方向(Y軸方向)から見て、エンドプレート200cのうちの2つの固定部500に固定されている固定領域のそれぞれと重なる位置に配置される。
【0065】
これにより、スペーサ600と端部蓄電素子100aとの間に、第二空間S3と、2つの側方空間S4とが形成される。ここで、第二空間S3は、2つの第二突出部620の間に連続して形成された空間である。また、2つの側方空間S4は、第二空間S3の両側方に形成された空間である。なお、第二空間S3及び側方空間S4の形状及び配置位置等は、上記実施の形態における第一空間S1及び側方空間S2の形状及び配置位置等と同様である。
【0066】
また、
図7Bに示すように、2つの第二突出部620は、エンドプレート200cに向けて突出して配置されてもよい。つまり、
図7Aにおけるスペーサ600を、反転させて配置してもよい。これにより、スペーサ600とエンドプレート200cとの間に、第二空間S3と、2つの側方空間S4とが形成される。
【0067】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、本変形例に係る蓄電装置は、端部蓄電素子100a及びエンドプレート200cの少なくとも一方に向けて突出する2つの第二突出部620を有するスペーサ600を備え、当該2つの第二突出部620は、2つの固定部500に固定されている固定領域と重なる位置に配置され、当該2つの第二突出部620の間に連続して第二空間S3が形成されている。このように、スペーサ600が端部蓄電素子100a及びエンドプレート200cの少なくとも一方に向けて突出した2つの突出部を有するため、エンドプレート200cに突出部を形成しなくても、エンドプレート200cとは別部材のスペーサ600を配置すれば、容易に、2つの固定部500の間に第二空間S3を形成することができる。これにより、当該2つの固定部500の近傍で端部蓄電素子100aからの力を受けるようにすることができるため、エンドプレート200cの損傷を抑制することができる。
【0068】
なお、エンドプレート200cではなく、上記実施の形態におけるエンドプレート200と端部蓄電素子100aとの間に、本変形例におけるスペーサ600を配置してもよい。また、スペーサ600は、端部蓄電素子100a及びエンドプレート200cの一方ではなく、双方に突出する突出部を有していてもよい。
【0069】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。
図8は、本実施の形態の変形例2に係るエンドプレート200dの構成を示す斜視図である。なお、
図8は、上記実施の形態における
図3に対応する図である。
【0070】
図8に示すように、本変形例におけるエンドプレート200dは、上記実施の形態におけるエンドプレート200の端部突出部230を有していない。つまり、エンドプレート200dを端部蓄電素子100aに取り付けた場合に、エンドプレート200dの一端(上端)から他端(下端)まで連続した空間が形成されることとなる。言い換えれば、Z軸方向において、Y軸方向から見て端部蓄電素子100aとエンドプレート200dとが重なる領域のうちの一端から他端に亘って連続する空間が形成される。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様のため、詳細な説明は省略する。
【0071】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0072】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、エンドプレート200a(または、エンドプレート200c、200d)側と、エンドプレート200b側とが上記の構成を有していることとした。しかし、エンドプレート200a(または、エンドプレート200c、200d)側、及び、エンドプレート200b側のいずれか一方のみが上記の構成を有していることにしてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子100は、容器110の側面(X軸方向両側及びY軸方向両側の面)に、容器本体111と蓋体112との接合部113を有していることとした。しかし、蓄電素子100は、容器110の上面(Z軸方向プラス側の面)に接合部113を有していることにしてもよい。例えば、蓋体112を容器本体111の上部の開口部に嵌め込んで上方から溶接を行う場合などに、容器110の上面に接合部113が形成される。この場合でも、エンドプレート200の端部突出部230(またはスペーサ600の端部突出部630)を、Y軸方向から見て、容器110の側面における接合部113と重なる位置に当接して配置することで、接合部113を補強して接合部113が損傷するのを抑制することができる。
【0074】
また、上記実施の形態及びその変形例では、エンドプレート(またはスペーサ600)は、第一突出部220(または第二突出部620)等の突出部を一体に有していることとした。しかし、エンドプレート(またはスペーサ600)は、別体の当該突出部を有していることにしてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態及びその変形例では、エンドプレート(またはスペーサ600)に突出部が設けられていることで、端部蓄電素子100aとエンドプレートとの間に空間が形成されることとした。しかし、端部蓄電素子100aに、エンドプレートへ向けて突出する突出部が設けられていることで、端部蓄電素子100aとエンドプレートとの間に空間が形成されることにしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態及びその変形例では、エンドプレート(またはスペーサ600)の第一突出部220(または第二突出部620)は、Z軸方向に延設されて配置されていることとした。しかし、第一突出部220(または第二突出部620)は、上記実施の形態及びその変形例における長さよりも短くてもよいし、Z軸方向に並ぶ複数の突出部に分かれて配置されていてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態及びその変形例では、固定部500は、エンドプレートの下端から上端まで延設されていることとした。しかし、固定部500は、それよりも短い長さであってもよく、例えば、エンドプレートの下端から中央部まで、または、エンドプレートの下端部のみに配置されていることにしてもよい。ただし、蓄電素子100の膨れを抑制する観点から、固定部500は、エンドプレートの下端部から中央部よりも上側等、少なくともエンドプレートの中央部に対応する位置に配置されているのが好ましい。
【0078】
また、上記実施の形態及びその変形例では、2つの固定部500がX軸方向に並んで配置されることとした。しかし、固定部500の数は限定されず、例えば、Y軸方向に2つの固定部500が配置されたものが、X軸方向に2セット並んで配置されるような構成でもよい。また、3つ以上の固定部500がX軸方向に並んで配置されていてもよい。このような場合でも、X軸方向において、隣り合う2つの固定部500の間に空間が形成されていれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0079】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0080】
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備えるエンドプレートまたはスペーサ600としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0082】
10 蓄電装置
100 蓄電素子
100a、100b 端部蓄電素子
100c 中間部蓄電素子
110 容器
111 容器本体
112 蓋体
113 接合部
120 電極端子
200、200a、200b、200c、200d エンドプレート
210 プレート本体部
211 貫通孔
220 第一突出部
230 端部突出部
300 拘束部材
310 ボルト
400 外部部材
500 固定部
600 スペーサ
610 スペーサ本体部
620 第二突出部
630 端部突出部