(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】通知装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20220301BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20220301BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20220301BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20220301BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20220301BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01M10/48 P
B60L3/00 S
G01R31/385
G01R31/392
H01M10/42 P
H02J7/00 Q
(21)【出願番号】P 2018025873
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2020-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】今野 桂太
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠
(72)【発明者】
【氏名】北本 雄祐
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037184(WO,A1)
【文献】特開2016-167336(JP,A)
【文献】特開2007-195312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42 - 10/48
G01R 31/36 - 31/396
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、
算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出した時間とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記時間と
を参照し、所定期間ごとに、当該所定期間において前記第1算出部が算出した抵抗値の最大値を特定し、複数の所定期間のそれぞれに対して特定した前記最大値に基づいて、前記抵抗値と前記時間との関係を特定し、当該関係に基づいて、
前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となる時間を算出し、現在の時間から、前記抵抗値が
前記所定値となるまでの時間である残時間を算出する第2算出部と、
算出した前記残時間を通知する通知部と、
を備える通知装置。
【請求項2】
車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、
算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出したときの前記車両の累積稼働時間とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記累積稼働時間と
を参照し、前記車両の所定の稼働期間ごとに、当該所定の稼働期間において前記第1算出部が算出した抵抗値の最大値を特定し、複数の所定の稼働期間のそれぞれに対して特定した前記最大値に基づいて、前記抵抗値と前記累積稼働時間との関係を特定し、当該関係に基づいて、
前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となる累積稼働時間を算出し、現時点における累積稼働時間から、前記抵抗値が
前記所定値となる
累積稼働時間
までの稼働時間である残稼働時間を算出する第2算出部と、
算出した前記残稼働時間を通知する通知部と、
を備える通知装置。
【請求項3】
車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、
前記車両の走行距離を特定する走行距離特定部と、
算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出したときの前記走行距離とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記走行距離と
を参照し、前記車両の所定の走行距離範囲ごとに、当該走行距離範囲において前記第1算出部が算出した抵抗値の最大値を特定し、複数の走行距離範囲のそれぞれに対して特定した前記最大値に基づいて、前記抵抗値と前記走行距離との関係を特定し、当該関係に基づいて、
前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となる走行距離を算出し、現時点における走行距離から、前記抵抗値が
前記所定値とな
る走行距離
までの走行距離である残走行距離を算出する第2算出部と、
算出した前記残走行距離を通知する通知部と、
を備える通知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたバッテリの内部抵抗を算出し、当該内部抵抗に基づいてバッテリの劣化状態を診断することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリが劣化していると判定された場合に、車両の運転者、販売会社、運行管理者、車両製造者、車両点検者等(以下、車両の運転者等という。)がバッテリを速やかに交換することができない場合がある。したがって、車両の運転者等にとっては、バッテリがどの程度で劣化状態に達するのか予め把握できることが好ましい。
【0005】
そこで、本開示はこれらの点に鑑みてなされたものであり、バッテリがどの程度で劣化状態に達するのか把握させることができる通知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る通知装置は、車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出した時間とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記時間との関係に基づいて、現在の時間から、前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となるまでの時間である残時間を算出する第2算出部と、算出した前記残時間を通知する通知部と、を備える。
【0007】
前記第2算出部は、所定期間ごとに、当該所定期間において前記第1算出部が算出した抵抗値の最大値を特定し、複数の所定期間のそれぞれに対して特定した最大値に基づいて前記時間と前記抵抗値との関係を特定し、当該関係に基づいて前記抵抗値が前記所定値となる時間を算出し、現在の時間から算出した時間までの時間を、前記残時間として算出してもよい。
【0008】
本開示の第2の態様に係る通知装置は、車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出したときの前記車両の累積稼働時間とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記累積稼働時間との関係に基づいて、現時点における累積稼働時間から、前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となるまでの稼働時間である残稼働時間を算出する第2算出部と、算出した前記残稼働時間を通知する通知部と、を備える。
【0009】
本開示の第3の態様に係る通知装置は、車両に搭載されたバッテリの内部抵抗の抵抗値を算出する第1算出部と、前記車両の走行距離を特定する走行距離特定部と、算出した抵抗値と、前記抵抗値を算出したときの前記走行距離とを関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記記憶部に記憶されている複数の前記抵抗値と前記走行距離との関係に基づいて、現時点における走行距離から、前記抵抗値が、前記バッテリが劣化していることを示す所定値となるまでの走行距離である残走行距離を算出する第2算出部と、算出した前記残走行距離を通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、バッテリがどの程度で劣化状態に達するのか把握させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施の形態に係る通知装置が設けられている車両の構成を示す図である。
【
図2】内部抵抗の抵抗値を複数の期間のいずれかに分類した結果の一例を示す図である。
【
図3】複数組のデータと、係数が特定された2次関数に基づく曲線とを示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る通知装置が実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図5】第3実施の形態に係る通知装置が設けられている車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態の概要>
図1は、第1実施の形態に係る通知装置10が設けられている車両の構成を示す図である。実施の形態に係る通知装置10は車両Vに搭載され、車両Vに搭載されたバッテリ1がどの程度で劣化状態に達するのかを車両Vの運転者等に把握させるために用いられる。
【0013】
実施の形態に係る通知装置10は、車両Vに搭載されたバッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出する。通知装置10は、時間の経過に対する内部抵抗の抵抗値の変化状況に基づいて、内部抵抗の抵抗値と時間との関係を特定する。通知装置10は、特定した関係に基づいて、内部抵抗の抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの残時間を算出する。そして、通知装置10は、算出した残時間を通知する。このようにすることで、通知装置10は、車両Vの運転者等に、バッテリ1がどの程度で劣化状態に達するのか把握させることができる。
【0014】
<車両Vの構成>
続いて、通知装置10に関する車両Vの構成について説明する。
図1に示すように、車両Vは、バッテリ1と、電圧計2と、電流計3と、ディスプレイ4と、通知装置10とを備える。
【0015】
バッテリ1は、車両Vに搭載され、車両Vに設けられている電装品(不図示)に電力を供給する。
電圧計2は、バッテリ1のプラス電極とマイナス電極との間の電圧を測定する。
電流計3は、バッテリ1から出力される電流を測定する。
ディスプレイ4は、例えば、車両Vの車室に設けられており、各種情報を出力する。本実施の形態において、ディスプレイ4は、バッテリ1が劣化するまでの残時間を表示する。
【0016】
通知装置10は、車両Vに搭載され、バッテリ1が劣化するまでの残時間の表示を行うためのコンピュータである。通知装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。
【0017】
記憶部11は、例えばROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)やハードディスクである。記憶部11は、制御部12を機能させるための各種のプログラムを記憶する。記憶部11は、制御部12を、第1算出部121、記憶制御部122、第2算出部123及び通知部124として機能させる通知プログラムを記憶する。
【0018】
制御部12は、例えばECU(Electronic Control Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されている通知プログラムを実行することにより、第1算出部121、記憶制御部122、第2算出部123及び通知部124として機能する。
【0019】
第1算出部121は、車両Vに搭載されたバッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出する。具体的には、第1算出部121は、車両Vに搭載されたエンジン(不図示)の駆動開始時に電圧計2が測定した電圧と、電流計3が測定した電流とに基づいて、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出する。なお、第1算出部121は、エンジンの駆動開始時に内部抵抗の抵抗値を算出したが、これに限らず、バッテリ1から大電流が出力する場合に電圧計2が測定した電圧と、電流計3が測定した電流とに基づいて、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出してもよい。
【0020】
記憶制御部122は、第1算出部121が算出した内部抵抗の抵抗値と、当該抵抗値を算出した時間とを関連付けて記憶部11に記憶させる。ここで、抵抗値を算出した時間は、例えば現在の日時を示す情報であるものとするが、現在の日時の代わりに、車両Vが工場から出荷され、車両Vが初めて走行した時点からの経過時間を記憶させてもよい。また、記憶制御部122は、バッテリ1が交換されたことに応じて、経過時間を初期化してもよい。
【0021】
第2算出部123は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と時間との関係に基づいて、現在の時間から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの時間である残時間を算出する。例えば、第2算出部123は、車両Vに搭載されているエンジンの駆動開始時に当該残時間を算出する。
【0022】
具体的には、第2算出部123は、所定期間ごとに、当該所定期間において第1算出部121が算出した抵抗値の最大値を特定する。例えば、第2算出部123は、記憶部11に抵抗値と関連付けられている時間のうち、最も古い時間を基準時間とする。そして、第2算出部123は、基準時間からの経過時間に基づいて、第1算出部121が算出した抵抗値を複数の期間のいずれかに分類する。
【0023】
図2は、内部抵抗の抵抗値を複数の期間のいずれかに分類した結果の一例を示す図である。
図2に示されるように、例えば、基準時間からの経過時間が0~200時間において算出された内部抵抗の抵抗値は、8mΩ以下であり、200~400時間において算出された内部抵抗の抵抗値は、8~11mΩであることが確認できる。第2算出部123は、複数の期間のいずれかに抵抗値を分類した結果に基づいて、複数の期間のそれぞれにおいて算出された抵抗値の最大値を特定する。例えば、第2算出部123は、基準時間からの経過時間が0~200時間において算出された抵抗値の最大値を8mΩ、200~400時間において算出された抵抗値の最大値を11mΩと特定する。
【0024】
ここで、内部抵抗の抵抗値は、温度によって変化することが知られている。そこで、記憶制御部122が、内部抵抗の抵抗値を算出したときのバッテリ1の周囲温度に基づいて、複数の温度範囲のいずれかに関連付けて、算出した抵抗値と、当該抵抗値を算出したときの時間とを関連付けて記憶してもよい。そして、第2算出部123は、各経過時間に対して特定した抵抗値の最大値を、当該抵抗値に関連付けられている温度範囲に基づいて補正するようにしてもよい。このようにすることで、通知装置10は、同一の温度条件において内部抵抗の抵抗値が測定されたものとみなして残時間を算出することができる。
【0025】
また、内部抵抗の抵抗値は、バッテリ1の充電率(SOC:State Of Charge)によって変化することが知られている。例えば、SOCが低い場合には、内部抵抗の抵抗値が急激に大きくなることが知られている。そこで、制御部12がバッテリ1のSOCを特定するようにしてもよい。そして、記憶制御部122は、バッテリ1のSOCが所定値以下である場合には、第1算出部121が算出した内部抵抗の抵抗値を記憶部11に記憶させないようにしてもよい。このようにすることで、通知装置10は、SOCが低く、内部抵抗の抵抗値が急激に大きくなる場合の内部抵抗の抵抗値を記憶部11に記憶させないようにし、精度良く残時間を算出することができる。
【0026】
続いて、第2算出部123は、複数の所定期間のそれぞれに対して特定した最大値に基づいて、時間と抵抗値との関係を特定する。そして、第2算出部123は、当該関係に基づいて、抵抗値が所定値となる時間を算出し、現在の時間から算出した時間までの時間を残時間として算出する。
【0027】
具体的には、まず、第2算出部123は、所定期間に対応する経過時間と、当該所定期間に対応する最大値とを1組のデータとする。例えば、第2算出部123は、基準時間からの経過時間が0~200時間である場合には、経過時間を200、最大値を8mΩとする1組のデータを作成する。また、第2算出部123は、基準時間からの経過時間が200~400時間である場合には、経過時間を400、最大値を11mΩとする1組のデータを作成する。
【0028】
第2算出部123は、例えば、内部抵抗の抵抗値が時間の経過に対して2次関数的に増加するものとし、最小二乗法を用いて、経過時間と最大値とを関連付けた複数組のデータに対応する2次関数の係数値を特定する。なお、内部抵抗の抵抗値が時間の経過に対して2次関数的に増加することとしたが、これに限らず、他の関数にしたがって増加することとしてもよい。例えば、第2算出部123は、内部抵抗の抵抗値が時間の経過に対して指数関数的に増加するものとし、最小二乗法を用いて、複数組のデータに対応する近似曲線の係数値を特定してもよい。
【0029】
図3は、複数組のデータと、係数が特定された2次関数に基づく曲線とを示す図である。
図3に示される点D1~D4は、作成された複数組のデータを示す点である。曲線Lは、係数が特定された2次関数に基づく経過時間と内部抵抗の抵抗値との関係を示す曲線である。
【0030】
続いて、第2算出部123は、係数が特定された2次関数に対して、抵抗値として所定値Thを入力し、当該所定値Thに対応する経過時間Hthを算出する。また、第2算出部123は、現在の時間に対応する経過時間を算出する。第2算出部123は、所定値Thに対応する経過時間Hthから、現在の時間に対応する経過時間を減算することにより、残時間を算出する。
【0031】
通知部124は、例えば、第2算出部123が算出した残時間を示す情報をディスプレイ4に出力することにより、残時間を通知する。なお、通知部124は、第2算出部123が算出した残時間が所定時間以下である場合に、残時間を通知したり、バッテリ1が劣化するまでの時間が迫っていることを示す警告情報を通知したりしてもよい。また、本実施形態では、通知部124は、第2算出部123が算出した残時間を示す情報をディスプレイ4に出力することとしたが、これに限らない。例えば、通知部124は、第2算出部123が算出した残時間を示す情報を、車両Vに搭載された通信部(不図示)を介して、運行管理システム等の車両Vの外部の装置に出力してもよい。
【0032】
<通知装置10が実行する処理の流れ>
図4は、第1の実施の形態に係る通知装置10が実行する処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、第1算出部121は、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出する(S1)。
続いて、記憶制御部122は、算出された抵抗値と、時間とを関連付けて記憶部11に記憶させる(S2)。
【0034】
続いて、第2算出部123は、抵抗値と時間との関係を示す関数の係数を特定する(S3)。
続いて、第2算出部123は、特定した関数に基づいて残時間を算出する(S4)。
続いて、通知部124は、算出された残時間を通知する(S5)。
【0035】
<第1の実施の形態に係る効果>
以上説明したように、第1の実施の形態に係る通知装置10は、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出し、当該抵抗値を算出した時間と関連付けて記憶部11に記憶させる。そして、通知装置10は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と時間との関係に基づいて、現在の時間から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの時間である残時間を算出し、算出した残時間を通知する。このようにすることで、現在からどの程度時間が経過するとバッテリ1が劣化状態に達するのかを車両Vの運転者等に把握させることができる。
【0036】
また、通知装置10は、所定期間ごとに、当該所定期間において算出した抵抗値の最大値を特定し、複数の所定期間のそれぞれに対して特定した最大値に基づいて時間と抵抗値との関係を特定し、当該関係に基づいて抵抗値が所定値となる時間を算出する。所定期間において算出される内部抵抗の抵抗値にはばらつきがあり、想定される抵抗値よりも低く算出されることがある。これに対して、通知装置10は、所定期間に対応する抵抗値として、所定期間において算出した抵抗値の最大値を採用するので、算出される抵抗値のばらつきが残時間の算出に与える影響を抑制し、残時間の算出精度を高めることができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
続いて、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態において、通知装置10は、時間と内部抵抗の抵抗値との関係に基づいて残時間を算出した。これに対して、第2の実施の形態に係る通知装置10は、車両Vの稼働時間と内部抵抗の抵抗値との関係に基づいて、残稼働時間を算出する点で第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態に係る通知装置10について説明する。以下、第1の実施の形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0038】
第2の実施の形態において、記憶制御部122は、第1算出部121が算出した抵抗値と、当該抵抗値を算出したときの車両Vの累積稼働時間とを関連付けて記憶部11に記憶させる。ここで、累積稼働時間は、車両Vが工場から出荷され、車両Vが初めて走行した時点からの、車両Vが稼働していた時間である。なお、車両Vが稼働している状態は、例えば、車両Vのイグニッションキーがオンである状態である。また、記憶制御部122は、バッテリ1が交換されたことに応じて、累積稼働時間を初期化してもよい。
【0039】
第2算出部123は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と、累積稼働時間との関係に基づいて、現時点における累積稼働時間から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの稼働時間である残稼働時間を算出する。
【0040】
まず、第2算出部123は、抵抗値と累積稼働時間との関係に基づいて、複数の累積稼働時間のそれぞれに対応する抵抗値の最大値を特定する。例えば、第2算出部123は、200時間おきに累積稼働時間を分割し、200時間の間に算出された抵抗値の最大値を特定する。例えば、第2算出部123は、累積稼働時間が0~200時間である場合に算出された抵抗値の最大値を特定するとともに、累積稼働時間が200~400時間である場合に算出された抵抗値の最大値を特定する。
【0041】
そして、第2算出部123は、複数の累積稼働時間のそれぞれと、特定した最大値とに基づいて、累積稼働時間と抵抗値との関係を特定する。第2算出部123は、第1の実施の形態と同様に、累積稼働時間と抵抗値との関係を示す関数の係数を特定することにより、当該関係を特定する。第2算出部123は、当該関係に基づいて、抵抗値が所定値となるときの累積稼働時間を算出し、抵抗値が所定値となる累積稼働時間から、現在の時間に対応する累積稼働時間を減算した時間を残稼働時間として算出する。
【0042】
通知部124は、例えば、第2算出部123が算出した残稼働時間を示す情報をディスプレイ4に出力することにより、残稼働時間を通知する。
【0043】
<第2の実施の形態に係る効果>
以上説明したように、第2の実施の形態に係る通知装置10は、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出し、当該抵抗値を算出したときの車両Vの累積稼働時間と関連付けて記憶部11に記憶させる。そして、通知装置10は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と累積稼働時間との関係に基づいて、現時点における累積稼働時間から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの稼働時間である残稼働時間を算出し、算出した残稼働時間を通知する。このようにすることで、車両Vをどの程度稼働させるとバッテリ1が劣化状態に達するのかを車両Vの運転者等に把握させることができる。
【0044】
<第3の実施の形態>
続いて、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態において、第3の実施の形態に係る通知装置10は、車両Vの走行距離と内部抵抗の抵抗値との関係に基づいて、残走行距離を算出する点で第1の実施の形態と異なる。
【0045】
図5は、第3の実施の形態に係る通知装置10が設けられている車両Vの構成を示す図である。
図5に示されるように、第3の実施の形態に係る通知装置10は、走行距離特定部125をさらに備える。
【0046】
走行距離特定部125は、車両Vの走行距離を特定する。ここで、車両Vの走行距離は、車両Vが初めて走行を開始した時点からの走行距離である。
記憶制御部122は、第1算出部121が算出した抵抗値と、当該抵抗値を算出したときに走行距離特定部125が特定した車両Vの走行距離とを関連付けて記憶部11に記憶させる。また、記憶制御部122は、バッテリ1が交換されたことに応じて、交換タイミングにおける走行距離を記憶してもよい。そして、記憶制御部122は、バッテリ1が交換された後には、第1算出部121が算出した抵抗値と、当該抵抗値を算出したときに特定された車両Vの走行距離からバッテリ1の交換時の走行距離を減算した距離とを関連付けて記憶部11に記憶させてもよい。
【0047】
第2算出部123は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と、走行距離との関係に基づいて、現時点における走行距離から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの走行距離である残走行距離を算出する。例えば、第2算出部123は、抵抗値と走行距離との関係に基づいて、複数の走行距離範囲のそれぞれにおいて算出された抵抗値の最大値を特定する。
【0048】
第2算出部123は、複数の走行距離範囲のそれぞれと、特定した最大値とに基づいて、走行距離と抵抗値との関係を特定し、当該関係に基づいて、抵抗値が所定値となるときの走行距離を算出する。そして、第2算出部123は、抵抗値が所定値となるときの走行距離から、現在の時間に対応する走行距離を減算した距離を残走行距離として算出する。
【0049】
通知部124は、例えば、第2算出部123が算出した残走行距離を示す情報をディスプレイ4に出力することにより、残走行距離を通知する。
【0050】
<第3の実施の形態に係る効果>
以上説明したように、第3の実施の形態に係る通知装置10は、バッテリ1の内部抵抗の抵抗値を算出し、当該抵抗値を算出したときの車両Vの走行距離と関連付けて記憶部11に記憶させる。そして、通知装置10は、記憶部11に記憶されている複数の抵抗値と走行距離との関係に基づいて、現時点における走行距離から、抵抗値が、バッテリ1が劣化していることを示す所定値となるまでの走行距離である残走行距離を算出し、算出した残走行距離を通知する。このようにすることで、現在から車両Vをどの程度走行させるとバッテリ1が劣化状態に達するのかを車両Vの運転者等に把握させることができる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、本発明は、上記の実施の形態を組み合わせて実施してもよい。例えば、通知装置10は、バッテリ1が劣化するまでの残時間、残稼働時間、残走行距離の少なくともいずれかを通知してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1・・・バッテリ
2・・・電圧計
3・・・電流計
4・・・ディスプレイ
10・・・通知装置
11・・・記憶部
12・・・制御部
121・・・第1算出部
122・・・記憶制御部
123・・・第2算出部
124・・・通知部
125・・・走行距離特定部
V・・・車両