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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6554 20140101AFI20220301BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220301BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20220301BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220301BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220301BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220301BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20220301BHJP
【FI】
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/647
H01M50/20
H01M10/04 Z
H01M10/6555
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018059737
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019175585
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114512(JP,A)
【文献】特開2013-191538(JP,A)
【文献】特開2014-056800(JP,A)
【文献】特開2007-305425(JP,A)
【文献】特表2018-519646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60-10/667
H01M 50/20-50/298
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極板の一方の面に正極層が設けられると共に前記電極板の他方の面に負極層が設けられた複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された蓄電モジュールと、
前記複数のバイポーラ電極の積層方向において、前記蓄電モジュールに対して積層されると共に前記蓄電モジュールに接触した状態で配置された導電性を有する冷却板と、を備え、
前記蓄電モジュールの前記積層方向における一方側の端部及び他方側の端部の少なくとも一方に、前記蓄電モジュールに対する前記冷却板の位置を規定する位置決め部が設けられている、蓄電装置。
【請求項2】
前記積層方向から見て前記冷却板は矩形状であり、
前記位置決め部は、少なくとも前記冷却板の対角線上の一対の角部に対応する位置に設けられると共に、前記積層方向から見てL字状である、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記冷却板には、前記積層方向に交差する方向に延在し、冷媒が流通する貫通孔が設けられ、
前記位置決め部は、前記貫通孔が延在する方向に沿った前記冷却板の側面に対応する位置に設けられている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記蓄電モジュールの前記一方側の端部及び前記他方側の端部の両方に設けられている、請求項1~3の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電モジュール及び前記冷却板をそれぞれ複数備え、
前記蓄電モジュールと前記冷却板とは交互に積層され、
前記位置決め部は、それぞれの前記蓄電モジュールの前記一方側の端部にのみ設けられている、請求項1~3の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記蓄電モジュールの前記一方側の端部から前記積層方向に突出し、
前記蓄電モジュールの前記他方側の端部には、前記位置決め部及び前記冷却板に対応した凹部が設けられている、請求項5に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、例えば特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載の蓄電装置は、複数のバイポーラ電極が積層された複数のバイポーラ二次電池(蓄電モジュール)と、バイポーラ二次電池同士の間に積層され、バイポーラ二次電池を冷却可能な集電板(冷却板)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-305425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように蓄電モジュールに対して冷却板を積層した場合、蓄電モジュールと冷却板との間に位置ずれが発生する可能性がある。その結果、蓄電モジュールの複数のバイポーラ電極のうち、冷却板に接するバイポーラ電極の電極板が破損するといった事態が発生し得る。
【0005】
本発明は、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれを抑制することが可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電装置は、電極板の一方の面に正極層が設けられると共に電極板の他方の面に負極層が設けられた複数のバイポーラ電極がセパレータを介して積層された蓄電モジュールと、複数のバイポーラ電極の積層方向において、蓄電モジュールに対して積層されると共に蓄電モジュールに接触した状態で配置された導電性を有する冷却板と、を備え、蓄電モジュールの積層方向における一方側の端部及び他方側の端部の少なくとも一方に、蓄電モジュールに対する冷却板の位置を規定する位置決め部が設けられている。
【0007】
この蓄電装置では、蓄電モジュールの積層方向における一方側の端部及び他方側の端部の少なくとも一方に、蓄電モジュールに対する冷却板の位置を規定する位置決め部が設けられている。このように位置決め部が設けられていることにより、蓄電モジュールに対して冷却板が固定される。したがって、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれを抑制することができる。
【0008】
積層方向から見て冷却板は矩形状であり、位置決め部は、少なくとも冷却板の対角線上の一対の角部に対応する位置に設けられると共に、積層方向から見てL字状であってもよい。この構成によれば、位置決め部の体積を小さくできるので、材料費の低減を図りつつ、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれを抑制することができる。
【0009】
冷却板には、積層方向に交差する方向に延在し、冷媒が流通する貫通孔が設けられ、位置決め部は、貫通孔が延在する方向に沿った冷却板の側面に対応する位置に設けられてもよい。この構成によれば、冷媒の流通を妨げない位置に位置決め部が設けられているので、冷却板による冷却能力を低下させることなく、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれを抑制することができる。
【0010】
位置決め部は、蓄電モジュールの一方側の端部及び他方側の端部の両方に設けられていてもよい。この構成によれば、一の冷却板が隣り合う2つの蓄電モジュールの位置決め部によって固定されるので、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0011】
蓄電装置は、蓄電モジュール及び冷却板をそれぞれ複数備え、蓄電モジュールと冷却板とは交互に積層され、位置決め部は、それぞれの蓄電モジュールの一方側の端部にのみ設けられていてもよい。この構成によれば、それぞれの蓄電モジュールの他方側の端部に位置決め部が設けられていないので、蓄電モジュールと、この蓄電モジュールの他方側に配置され、他の蓄電モジュールの位置決め部よって位置決めされた冷却板との間で寸法の公差を吸収できる。したがって、蓄電モジュールと複数の冷却板との積層を容易に行うことができる。
【0012】
位置決め部は、蓄電モジュールの一方側の端部から積層方向に突出し、蓄電モジュールの他方側の端部には、位置決め部及び冷却板に対応した凹部が設けられていてもよい。この構成によれば、一の蓄電モジュールの位置決め部が、一の蓄電モジュールの一方側において隣り合う他の蓄電モジュールの凹部に嵌合可能である。したがって、位置決め部によって隣り合う蓄電モジュール同士の位置決めを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電モジュールと冷却板との位置ずれを抑制することが可能な蓄電装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る蓄電装置を示す概略断面図である。
図2図1の蓄電装置に含まれる蓄電モジュールを示す概略断面図である。
図3図1の蓄電モジュール及び冷却板の位置決め構造を示す概略断面図である。
図4】積層方向から見た蓄電モジュール及び冷却板を概略的に示す図である。
図5】位置決め部の変形例を概略的に示す図である。
図6】位置決め部の他の変形例を示す概略断面図である。
図7】位置決め部の更に他の変形例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1~6には、XYZ直交座標系が示される。
【0016】
図1に示される蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電モジュール12は、例えば、バイポーラ電池である。以下の説明では、そのような蓄電モジュール12として、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0017】
複数の蓄電モジュール12は、金属板等の冷却板14を介して積層されて配列体11を形成している。冷却板14は、蓄電モジュールに接触した状態で配置されている。積層方向(Z方向)から見たとき、蓄電モジュール12及び冷却板14は、例えば、矩形形状を有する。積層方向から見たとき、冷却板14は、蓄電モジュール12よりも小さくなっている。言い換えれば、冷却板14は、積層方向から見たときに蓄電モジュール12が配置される領域内に配置されている。冷却板14は導電性を有しており、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向に直列に接続されている。蓄電モジュール12には、蓄電モジュール12に対する冷却板14の位置を規定する位置決め部60(図3及び図4参照)が設けられている。位置決め部60の詳細な構成については後述する。
【0018】
冷却板14は、蓄電モジュール12の積層方向において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。すなわち、冷却板14は、積層方向において、配列体11の両端にも配置されている。積層方向において、一端に位置する冷却板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する冷却板14には負極端子26が接続されている。正極端子24及び負極端子26は、接続される冷却板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向に交差する方向(X方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
【0019】
冷却板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板として機能し得る。冷却板14の内部には、積層方向に交差する交差方向(Y方向)に延在する複数の貫通孔14Hが設けられている。貫通孔14Hは、交差方向において互いに対向する一方の端面から他方の端面まで連通している。貫通孔14Hは、積層方向及び交差方向に交差する方向(X方向)に配列されている。貫通孔14Hには、例えば空気等の冷媒が流通される。これにより、蓄電モジュール12において発生した熱を効果的に外部に放出できる。
【0020】
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び冷却板14を積層方向に拘束する拘束部材15を備え得る。拘束部材15は、一対の拘束プレート16,17と、拘束プレート16,17同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)と、を備える。各拘束プレート16,17と冷却板14との間には、例えば、樹脂フィルムなどの絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16,17は、例えば、鉄等の金属によって構成されている。
【0021】
積層方向から見たとき、各拘束プレート16,17及び絶縁フィルム22は、例えば、矩形形状を有する。絶縁フィルム22は、冷却板14よりも大きくなっており、各拘束プレート16,17は、蓄電モジュール12よりも大きくなっている。積層方向から見たとき、拘束プレート16の縁部には、ボルト18の軸部が挿通される挿通孔16aが蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向から見たとき、拘束プレート17の縁部には、ボルト18の軸部が挿通される挿通孔17aが蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向から見たときに各拘束プレート16,17が矩形形状を有している場合、挿通孔16a及び挿通孔17aは、拘束プレート16,17の角部に位置する。
【0022】
一方の拘束プレート16は、負極端子26に接続された冷却板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート17は、正極端子24に接続された冷却板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば、一方の拘束プレート16側から他方の拘束プレート17側に向かって挿通孔16a及び挿通孔17aに通され、他方の拘束プレート17から突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、冷却板14、及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向に拘束荷重が付加される。
【0023】
図2に示されるように、蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極32が一方向(積層方向)に積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向から見たとき、積層体30は、例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32の間にはセパレータ40が配置され得る。バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極層36と、電極板34の他方面に設けられた負極層38と、を含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極層36は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極層38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極層38は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極層36と対向している。
【0024】
積層方向において、積層体30の一端には、内側面に負極層38が配置された電極板34(負極側終端電極)が配置され、積層体30の他端には、内側面に正極層36が配置された電極板34(正極側終端電極)が配置される。負極側終端電極の負極層38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極層36と対向している。正極側終端電極の正極層36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極層38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う冷却板14(図1参照)に接続される。
【0025】
蓄電モジュール12は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する積層体30の側面30aにおいて電極板34の縁部34aを保持する枠体50を備える。枠体50は、積層体30の側面30aを取り囲むように構成されている。枠体50は、バイポーラ電極32の積層方向から見て、例えば、矩形形状を有している。枠体50は、電極板34の縁部34aを保持する第1樹脂部52と、積層方向から見たときに第1樹脂部52の周囲に設けられた第2樹脂部54とを有する。
【0026】
枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の一方面(正極層36が形成される面)から縁部34aにおける電極板34の端面にわたって設けられている。バイポーラ電極32の積層方向から見たとき、各第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aの全周にわたって設けられている。隣り合う第1樹脂部52同士は、各バイポーラ電極32の電極板34の他方面(負極層38が形成される面)の外側に延在する面において溶着している。その結果、第1樹脂部52には、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aが埋没して保持されている。各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aと同様に、積層体30の両端に配置された電極板34の縁部34aも第1樹脂部52に埋没した状態で保持されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1樹脂部52とによって気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
【0027】
枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向において積層体30の全長にわたって延在する筒状部である。第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する第1樹脂部52の外側面を覆っている。第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する内側面において第1樹脂部52の外側面に溶着されている。第2樹脂部54は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形に筒状に形成されている。
【0028】
電極板34は、例えば、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されていない未塗工領域となっており、当該未塗工領域が枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52に埋没して保持される領域となっている。正極層36を構成する正極活物質の例には、水酸化ニッケルが含まれる。負極層38を構成する負極活物質の例には、水素吸蔵合金が含まれる。電極板34の他方面における負極層38の形成領域は、電極板34の一方面における正極層36の形成領域に対して一回り大きくなっている。なお、電極板34は、導電性樹脂から形成されてもよい。
【0029】
セパレータ40は、例えば、シート状に形成されている。セパレータ40を形成する材料の例には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布及び不織布等が含まれる。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されていてもよい。
【0030】
枠体50(第1樹脂部52及び第2樹脂部54)を構成する樹脂材料の例には、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及び変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が含まれる。
【0031】
次に、図3及び図4を参照して、蓄電モジュール12と冷却板14との位置決め構造、及び位置決め部60について詳細に説明する。位置決め部60は、蓄電モジュール12の積層方向における一方側の端部及び他方側の端部の少なくとも一方に設けられており、冷却板14の位置を固定している。本実施形態では、図3及び図4に示されるように、位置決め部60は、それぞれの蓄電モジュール12の一方側(すなわち、蓄電モジュール12の正極となる側)の端部12aのみに設けられている。位置決め部60は、枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54から積層方向に交差する面に沿って延出し、冷却板14に当接している。位置決め部60の上面と第2樹脂部54の上面とは面一である。本実施形態では、位置決め部60は枠体50の第2樹脂部54と一体に形成されているが、位置決め部60は第2樹脂部54と別体であってもよい。蓄電モジュール12の他方側(すなわち、蓄電モジュール12の負極となる側)の端部12bには、枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54の開口によって凹部Oが形成されている。積層方向に交差する方向(X方向及びY方向)において、凹部Oの寸法は冷却板14の寸法より大きくなっている。
【0032】
図4に示されるように、積層方向から見て、冷却板14は矩形状であり、位置決め部60は、少なくとも冷却板14の対角線上の一対の角部に対応する位置に設けられる。本実施形態では、位置決め部60は、冷却板14の全ての角部に対応する位置にそれぞれ設けられている。位置決め部60は、例えば、積層方向から見たときの蓄電モジュール12の中心と冷却板14の中心とが略一致するように、冷却板14を固定している。なお、本実施形態では4つの位置決め部60が設けられているが、位置決め部60は、冷却板14の対角線上の一対の角部に対応する位置に2つのみ設けられていてもよい。
【0033】
それぞれの位置決め部60は、冷却板14に設けられた貫通孔14Hが延びる交差方向(Y方向)に沿って延びる第1延在部61と、積層方向及び交差方向に交差する方向(X方向)に沿って延びる第2延在部62と、を有しており、積層方向から見てL字状である。それぞれの位置決め部60の第1延在部61は、交差方向(Y方向)に沿って延びる冷却板14の側面14a,14bに当接している。同様に、それぞれの位置決め部60の第2延在部62は、積層方向及び交差方向に交差する方向(X方向)に沿って延びる冷却板14の側面14c,14dに当接している。第1延在部61と冷却板14の側面14a,14bとが当接する部分の長さL1は、第2延在部62と冷却板14の側面14c,14dとが当接する部分の長さL2よりも長くなっている。換言すると、貫通孔14Hが延びる方向に交差するX方向に延在する第2延在部62の寸法は小さくなっている。これにより、位置決め部60によって貫通孔14Hにおける冷媒の流通が妨げられ、冷却板14による冷却能力の低下が抑制されている。
【0034】
位置決め部60は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって、枠体50の第2樹脂部54と共に形成される。位置決め部60を構成する樹脂材料としては、枠体50と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及び変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が用いられ得る。
【0035】
以上説明したように、蓄電装置10では、蓄電モジュール12に、蓄電モジュール12に対する冷却板14の位置を規定する位置決め部60が設けられている。このように位置決め部60が設けられていることにより、蓄電モジュール12に対して冷却板14が固定される。したがって、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれを抑制することができる。その結果、蓄電モジュール12の複数のバイポーラ電極32のうち、冷却板14に接する電極板34(正極側終端電極)が破損することを抑制できる。
【0036】
また、積層方向から見て冷却板14は矩形状であり、位置決め部60は、少なくとも冷却板14の対角線上の一対の角部に対応する位置に設けられると共に、積層方向から見てL字状である。これにより、位置決め部60の体積を小さくできるので、材料費の低減を図りつつ、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれを抑制することができる。
【0037】
また、それぞれの位置決め部60は、積層方向に交差する交差方向に延びる第1延在部61と、積層方向及び交差方向に交差する方向に延びる第2延在部62とを有し、第1延在部61と冷却板14とが互いに当接する部分の長さL1は、第2延在部62と冷却板14とが互いに当接する部分の長さL2はより長くなっている。これにより、貫通孔14Hが延びる方向に交差するX方向に延在する第2延在部62の寸法は小さくなっているので、位置決め部60によって貫通孔14Hにおける冷媒の流通が妨げられ、冷却板14による冷却能力が低下することを抑制できる。
【0038】
また、蓄電装置10は、蓄電モジュール12及び冷却板14をそれぞれ複数備え、蓄電モジュール12と冷却板14とは交互に積層され、位置決め部60は、それぞれの蓄電モジュール12の一方側の端部12aにのみ設けられている。このように、それぞれの蓄電モジュール12の他方側の端部12bに位置決め部60が設けられていないので、蓄電モジュール12と、この蓄電モジュール12の他方側(端部12b側)に配置され、他の蓄電モジュール12の位置決め部60によって位置決めされた冷却板14との間で寸法の公差を吸収できる。したがって、複数の蓄電モジュール12と複数の冷却板14との積層を容易に行うことができる。
【0039】
次に、図5を参照して、変形例に係る位置決め部70について説明する。位置決め部70は、位置決め部60と同様に、それぞれの蓄電モジュール12の一方側(すなわち、蓄電モジュール12の正極となる側)の端部12aに設けられている。位置決め部70は、枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54から積層方向に交差する面に沿って延出し、冷却板14に当接している。位置決め部70が位置決め部60と相違する点は、冷却板14の対角線上の角部ではなく、冷却板14の貫通孔14Hが延在する方向に沿った冷却板14の側面14a,14bに対応する位置にそれぞれ設けられている点である。図5に示される例では、位置決め部70は、交差方向に沿って延びる矩形状である。
【0040】
上記の変形例においても、蓄電モジュール12に、蓄電モジュール12に対する冷却板14の位置を規定する位置決め部70が設けられているので、蓄電モジュール12に対して冷却板14が固定される。したがって、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれを抑制することができる。その結果、蓄電モジュール12の複数のバイポーラ電極32のうち、冷却板14に接する電極板34(正極側終端電極)が破損することを抑制できる。
【0041】
また、位置決め部70は、貫通孔14Hが延在する交差方向に沿った冷却板14の側面14a,14bに対応する位置に設けられている。これにより、冷媒の流通を妨げない位置に位置決め部70が設けられているので、冷却板14による冷却能力を低下させることなく、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれを抑制することができる。
【0042】
次に、図6を参照して、他の変形例に係る位置決め部80について説明する。位置決め部80は、位置決め部60及び位置決め部70と同様に、それぞれの蓄電モジュール12の一方側(すなわち、蓄電モジュール12の正極となる側)の端部12aに設けられている。位置決め部80も、枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54から積層方向に交差する面に沿って延出し、冷却板14に当接している。位置決め部80が位置決め部60,70と相違する点は、蓄電モジュール12の一方側の端部12aから積層方向に突出している点である。図5に示される例では、積層方向における位置決め部70の寸法は、積層方向における冷却板14の寸法と略同一である。すなわち、位置決め部60の上面と冷却板14の上面とは面一である。また、蓄電モジュール12の他方側の端部12bに設けられた凹部Oは、位置決め部80及び冷却板14に対応している。すなわち、積層方向に交差する方向(X方向及びY方向)において、凹部Oの寸法は、位置決め部80及び冷却板14の寸法と略同一である。
【0043】
なお、位置決め部80は、例えば位置決め部60と同様に、冷却板14の角部に対応した位置に設けられ、L字状であってもよい。また、位置決め部80は、位置決め部70と同様に、冷却板14の貫通孔14Hが延在する方向に沿った冷却板14の側面14a,14bに対応する位置にそれぞれ設けられ、交差方向に延びる矩形状であってもよい。
【0044】
上記の他の変形例においても、蓄電モジュール12に、蓄電モジュール12に対する冷却板14の位置を規定する位置決め部80が設けられているので、蓄電モジュール12に対して冷却板14が固定される。したがって、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれを抑制することができる。その結果、蓄電モジュール12の複数のバイポーラ電極32のうち、冷却板14に接する電極板34(正極側終端電極)が破損することを抑制できる。
【0045】
また、蓄電モジュール12の一方側の端部12aから積層方向に突出し、蓄電モジュール12の他方側の端部12bには、位置決め部80及び冷却板14に対応した凹部Oが設けられている。これにより、一の蓄電モジュール12の位置決め部80が、一の蓄電モジュール12の一方側(すなわち、蓄電モジュール12の正極となる側)において隣り合う他の蓄電モジュール12の凹部Oに嵌合可能である。したがって、位置決め部80によって隣り合う蓄電モジュール12同士の位置決めを行うことができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記の実施形態では、位置決め部60が蓄電モジュール12の一方側の端部12aのみに設けられている例について説明したが、位置決め部60は、蓄電モジュール12の他方側の端部12bのみに設けられていてもよい。また、位置決め部60は、図7に示されるように、蓄電モジュール12の一方側の端部12a及び他方側の端部12bの両方に設けられていてもよい。この場合、一の冷却板14が隣り合う2つの蓄電モジュール12の位置決め部60によって固定されるので、蓄電モジュール12と冷却板14との位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、積層方向から見た位置決め部の形状がL字状又は矩形状である例について説明したが、位置決め部の形状、及び位置決め部が設けられる位置は特に限定されず、適宜変更可能である。例えば、位置決め部は、積層方向から見て冷却板14に対応した開口を有する矩形枠状であってもよい。すなわち、位置決め部は、貫通孔14Hを完全に塞がないように冷却板14の側面14a,14b,14c,14dの全面に接していてもよい。この場合、位置決め部、枠体50、及び冷却板14によって積層体30の全面が覆われるので、例えば積層体30の内圧が上昇した場合であっても、蓄電モジュール12の変形を抑制することができる。
【0048】
また、上記の実施形態では、冷却板14の対角線上の角部に対応した位置、又は、冷却板14の貫通孔14Hが延在する交差方向(Y方向)に沿った冷却板14の側面14a,14bに対応する位置に位置決め部が設けられている例について説明したが、位置決め部は、積層方向及び交差方向に交差する方向(X方向)に沿った冷却板14の側面14c,14dに対応する位置に貫通孔14Hを完全に塞がないように設けられていてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、蓄電装置10が複数の蓄電モジュール12を備える例について説明したが、蓄電装置10は1つの蓄電モジュール12のみを備えていてもよい。この場合においても、位置決め部60は、蓄電モジュール12の一方側の端部12aのみに設けられていてもよいし、蓄電モジュール12の一方側の端部12a及び他方側の端部12bの両方に設けられていてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、射出成形によって、第2樹脂部54と共に位置決め部を形成する例について説明したが、位置決め部を第2樹脂部54とは別に形成し、蓄電モジュール12に取り付けてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、冷却板14が貫通孔14Hを有する例について説明したが、冷却板14は貫通孔14Hを有していなくてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、蓄電装置10がニッケル水素二次電池である例について説明したが、蓄電装置10はリチウムイオン二次電池であってもよい。この場合、正極活物質は、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等である。負極活物質は、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiO(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等である。
【符号の説明】
【0053】
10…蓄電装置、12…蓄電モジュール、12a,12b…端部、14…冷却板、14H…貫通孔、14a,14b,14c,14d…側面、30…積層体、32…バイポーラ電極、34…電極板、36…正極層、38…負極層、40…セパレータ、60,70,80…位置決め部、O…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7