(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】電動式搬送車両の蓄電ユニット装置
(51)【国際特許分類】
B60L 50/64 20190101AFI20220301BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220301BHJP
B60K 11/00 20060101ALI20220301BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220301BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220301BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20220301BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20220301BHJP
H02J 7/02 20160101ALN20220301BHJP
【FI】
B60L50/64
H02J7/00 P
B60K11/00
B60K1/04 Z
H01M10/44 Q
H01M10/46 101
H01M10/613
H01M10/6571
H01M10/633
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6568
H02J7/02 H
(21)【出願番号】P 2018122770
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】松久 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-322414(JP,A)
【文献】特開平09-285022(JP,A)
【文献】特開平11-089002(JP,A)
【文献】特開2018-011480(JP,A)
【文献】特開平07-304338(JP,A)
【文献】特開2016-225249(JP,A)
【文献】特開2016-219146(JP,A)
【文献】特開2009-289429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00 - 7/12
B60K 11/00 - 11/08
B60K 1/04
H01M 10/42 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な蓄電モジュールを収容可能とし、電動式搬送車両に対して着脱可能な蓄電ユニットを備え、
前記蓄電ユニットは、前記電動式搬送車両の入力端子と接続可能であって、前記蓄電モジュールから前記電動式搬送車両へ給電可能とする給電用端子を備えた電動式搬送車両の蓄電ユニット装置において、
前記蓄電ユニットは、
外部電源と接続可能な充電用端子と、
前記充電用端子と前記蓄電モジュールとの間の通電と、前記蓄電モジュールと前記給電用端子との間の通電を切り換える切換スイッチと、
前記切換スイッチを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記蓄電ユニットが前記電動式搬送車両に装着された状態で、前記充電用端子が前記外部電源と接続されるとき、前記充電用端子と前記蓄電モジュールとの間を通電させるとともに、前記蓄電モジュールと前記給電用端子との間の通電を遮断するように前記切換スイッチを制御することを特徴とする電動式搬送車両の蓄電ユニット装置。
【請求項2】
前記蓄電モジュールと並列接続され、前記蓄電モジュールを冷却する冷却装置を備え、
前記冷却装置は、前記充電用端子が前記外部電源と接続される前記蓄電モジュールの充電時に、前記給電用端子を通じた前記外部電源の電力により作動されることを特徴とする請求項1記載の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置。
【請求項3】
前記充電用端子は、前記蓄電ユニットが前記電動式搬送車両に装着された状態では、前記電動式搬送車両の外側を臨む位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、前記蓄電モジュールと前記給電用端子とが通電される電動式搬送車の運転時に前記蓄電モジュールに蓄電された電力により作動されることを特徴とする請求項2記載の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動式搬送車両の蓄電ユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置としては、例えば、特許文献1に開示された電動無人搬送車両が知られている。特許文献1の電動無人搬送車は、バッテリに貯蔵されている電力を動力源として自律走行する電動車両である。この電動無人搬送車は、荷台の下部に設けられた充電装置格納箱と、充電装置格納箱から所定間隔離されて荷台から懸架されたバッテリを有している。
【0003】
充電装置格納箱には、電力供給制御装置と、接続器と、充電装置とが設けられている。バッテリの電力は、主に、電力供給制御装置を介して、走行装置へ供給される。外部より供給される商用電源の電力は、個別に接続器へ入力され、その入力された電力の一つが充電装置へ供給される。その結果、充電装置によりバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電動無人搬送車では、接続器がバッテリと離れた場所に設けられているため、バッテリを電動無人搬送車から取り外し、外部の商用電源の電力を取り外したバッテリに充電することができないという問題がある。この場合、バッテリを充電するために電動無人搬送車が待機することになり、電動無人搬送車の搬送効率が低下する。また、バッテリを電動無人搬送車から取り外さずに急速充電する場合では、バッテリの種類によってはバッテリの冷却が必要である。バッテリに冷却装置を設けて充電中のバッテリを冷却することも考えられるが、充電時には冷却装置がバッテリに充電された電力を消費するため、バッテリの劣化が促進されるという問題を生じる。特に、コンテナ等の大型の荷を搬送する電動式搬送車両では、荷の搬送と停止を繰り返し、充電の頻度が高くなることから、バッテリの劣化を抑制することが要請されている。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、電動式無人搬送車両に装着した状態で充電できるほか、電動式無人搬送車から取り外した状態で充電できる電動式搬送車両の蓄電ユニット装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、充放電可能な蓄電モジュールを収容可能とし、電動式搬送車両に対して着脱可能な蓄電ユニットを備え、前記蓄電ユニットは、前記電動式搬送車両の入力端子と接続可能であって、前記蓄電モジュールから前記電動式搬送車両へ給電可能とする給電用端子を備えた電動式搬送車両の蓄電ユニット装置において、前記蓄電ユニットは、外部電源と接続可能な充電用端子と、前記充電用端子と前記蓄電モジュールとの間の通電と、前記蓄電モジュールと前記給電用端子との間の通電を切り換える切換スイッチと、前記切換スイッチを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記蓄電ユニットが前記電動式搬送車両に装着された状態で、前記充電用端子が前記外部電源と接続されるとき、前記充電用端子と前記蓄電モジュールとの間を通電させるとともに、前記蓄電モジュールと前記給電用端子との間の通電を遮断するように前記切換スイッチを制御することを特徴とする。
を用いた測距センサでもよい。
【0008】
本発明では、蓄電ユニットは、外部電源と接続可能な充電用端子と、充電用端子と蓄電モジュールとの間の通電と、蓄電モジュールと給電用端子との間の通電を切り換える通電切換器と、通電切換器を制御する制御装置と、を備える。このため、電動式搬送車両から取り外された蓄電ユニットを充電することができるほか、電動式搬送車両に装着された蓄電ユニットを充電することができる。したがって、蓄電ユニットの充電待ち等による電動式搬送車両の搬送効率の低下を抑制することができる。また、蓄電ユニットが故障して電動式搬送車両が停止しても、充電済みの蓄電モジュールを備えた蓄電ユニットと交換すれば、停止した電動式搬送車両を牽引する作業が大幅に削減され、電動式搬送車両の保守作業の効率が向上する。
【0009】
また、上記の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置において、前記蓄電モジュールと並列接続され、前記蓄電モジュールを冷却する冷却装置を備え、前記冷却装置は、前記充電用端子が前記外部電源と接続される前記蓄電モジュールの充電時に、前記給電用端子を通じた前記外部電源の電力により作動される構成としてもよい。
この場合、蓄電モジュールを急速充電しても、冷却装置によって蓄電モジュールが冷却されるので、急速充電による蓄電ユニットの高温化を抑制でき、急速充電による蓄電モジュールの劣化を抑制することができる。
【0010】
また、上記の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置において、前記充電用端子は、前記蓄電ユニットが前記電動式搬送車両に装着された状態では、前記電動式搬送車両の外側を臨む位置に設けられている構成としてもよい。
この場合、蓄電ユニットが電動式搬送車両に装着された状態では、充電用端子が電動式搬送車両の外側を臨むため、充電用端子は外部電源と接続し易くなる。よって、蓄電ユニットが電動式搬送車両に装着された状態での蓄電モジュールの充電が行い易い。
【0011】
また、上記の電動式搬送車両の蓄電ユニット装置において、前記冷却装置は、前記蓄電モジュールと前記給電用端子とが通電される電動式搬送車の運転時に前記蓄電モジュールに蓄電された電力により作動される構成としてもよい。
この場合、冷却装置は電動式搬送車両の運転時に蓄電モジュールを冷却することができる。よって、蓄電モジュールの放電時における高温化を抑制でき、放電による蓄電モジュールの劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電動式無人搬送車両に装着した状態で充電できるほか、電動式無人搬送車から取り外した状態で充電できる電動式搬送車両の蓄電ユニット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る蓄電ユニット装置を適用した電動式搬送車両の側面図である。
【
図2】(a)は本発明の実施形態に係る蓄電ユニット装置を適用した電動式搬送車両の平面図であり、(b)は電動式搬送車両の正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る蓄電ユニット装置の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る蓄電ユニット装置のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電動式搬送車両の蓄電ユニット装置について図面を参照して説明する。本実施形態の電動式搬送車両は、港湾設備としてのコンテナターミナルにおいて船舶とコンテナヤードとの間にてコンテナの荷役を受けてコンテナを搬送する複数のコンテナ用無人搬送車である。複数のコンテナ用無人搬送車は、コンテナ用無人搬送車の走行経路から離隔する位置に設置された上位システムである運用制御装置からの指令に基づいて走行経路を走行する。
【0015】
図1に示すように、電動式搬送車両としてのコンテナ用無人搬送車10の車体11は、コンテナCを支持する荷台12を備えている。車体11の下部前側には左右一対の前輪13を備え、車体11の下部後側には左右一対の後輪14が備えられている。前輪13および後輪14について説明すると、車体11に対して水平方向に旋回自在の旋回支持部15が設けられている。
図2(a)、
図2(b)に示すように、旋回支持部15の下端には、車軸(図示せず)およびデフ機構(図示せず)を収容する軸ケース16が連結されている。車軸の両端にはタイヤ17がそれぞれ取り付けられており、前輪13および後輪14は、2本のタイヤ17を備えるダブルタイヤ構造となっている。軸ケース16には走行用の電動モータ18が設けられている。本実施形態では電動モータ18としてサーボモータが用いられている。
【0016】
各旋回支持部15の上部には、操舵機構19がそれぞれ連結されている。操舵機構19は、図示されないが旋回支持部15を旋回させるための操舵用の電動モータおよび減速機を備えている。従って、前輪13および後輪14は操舵機構19の作動により互いに独立して操舵可能である。
【0017】
車体11の幅方向の縁部付近には、荷台12に対するコンテナCの幅方向の位置ずれを規制する複数のストッパ20が備えられている。また、車体11の前部および後部には、荷台12に搭載されるコンテナCの長さ方向の位置ずれを規制するストッパ21がそれぞれ設けられている。
【0018】
図1に示すように、車体11の底部における前部および後部には、走行経路Aにおける路面に埋設されたトランスポンダ22の情報を受信可能とする情報受信部としてのトランスポンダ受信機23が備えられている。トランスポンダ受信機23はトランスポンダ22を読み取ることにより位置検出を行う。
【0019】
本実施形態の蓄電ユニット装置は、コンテナ用無人搬送車10に対して着脱可能な蓄電ユニット25を備えている。具体的には、蓄電ユニット25は、車体11の前後方向における中間付近において車体11に対して着脱可能に備えられている。蓄電ユニット25は、走行用の電動モータ18や操舵用の電動モータを駆動するための電力が蓄えられる。
図3に示すように、蓄電ユニット25は、全体形状としては略立方体であり、蓄電ケース26と、蓄電ケース26に保持される4つの蓄電モジュール27を備えている。さらに、
図4に示すように、蓄電ユニット25は、給電用端子28と、充電用端子29と、切換スイッチ30と、制御装置31と、冷却装置32と、を備えている。
【0020】
蓄電ケース26は4つの蓄電モジュール27を収容可能であって保持する。4つの蓄電モジュール27は並列接続されている。
図4に示すように、給電用端子28は、車体11側の入力端子24と接続可能であり、蓄電モジュール27の電力を車体11側の走行用の電動モータ18や操舵用の電動モータ等の負荷へ供給するための端子である。つまり、給電用端子28は、蓄電モジュール27からコンテナ用無人搬送車10へ給電可能とする。給電用端子28は、車体11に装着された状態では、蓄電ユニット25の前部に位置し、車体11側の入力端子24と接続可能な位置に設けられている。
【0021】
充電用端子29は、外部電源との接続により蓄電モジュール27を充電するための端子である。充電用端子29は、車体11に装着された状態では、蓄電ユニット25の側部における前後方向の中心に位置し、
図4に示す外部電源の出力端子Tが接続され易い位置に設けられている。つまり、充電用端子29は、蓄電ケース26が車体11に装着された状態では、車体11の外側を臨む位置に設けられている。
【0022】
切換スイッチ30は充電用端子29と蓄電モジュール27との間の通電と、蓄電モジュール27と給電用端子28との間の通電を切り換えるスイッチである。切換スイッチ30は制御装置31と接続されており、切換スイッチ30は、制御装置31により制御され、切り換えられる。
図3では、切換スイッチ30は図示されない。
【0023】
制御装置31は、各種データを計算するほか、プログラムを実行する演算処理部(図示せず)と、各種データおよびプログラムを記憶する記憶部(図示せず)と、を備えている。制御装置31は、各蓄電モジュール27と通信可能に接続されている。制御装置31は、充電用端子29および切換スイッチ30と接続されており、充電用端子29および切換スイッチ30を制御する。
【0024】
冷却装置32は、蓄電モジュール27を冷却するために設けられており、蓄電モジュール27の方向への送風を発生する電動ファン(図示せず)を備えている。冷却装置32は、蓄電モジュール27と並例接続されている。冷却装置32は、蓄電モジュール27の充電時およびコンテナ用無人搬送車10の走行時(放電時)に作動される。
【0025】
次に、蓄電モジュール27について説明すると、蓄電モジュール27は充放電可能であり、複数の蓄電池33と、蓄電池33の状態を監視して充放電を制御する電池ECU34を備えている。各蓄電モジュール27の電池ECU34は、制御装置31と通信可能に接続されている。本実施形態の蓄電池33はリチウムイオン二次電池である。電池ECU34は、蓄電モジュール27の各部を監視して制御する。
【0026】
図4に示すように、複数の蓄電池33は直列接続されている。蓄電モジュール27には、複数の蓄電池33の通電と遮断とを切り換えるスイッチ35が設けられているほか、電流センサ36、漏電検出センサ37およびサービスプラグ38が備えられている。電流センサ36は充放電時の電流を検出し、漏電検出センサ37は充放電時における漏電の有無を検出する。サービスプラグ38は、蓄電池33の交換等の保守作業の際に取り外すプラグであり、サービスプラグ38を取り外すことにより蓄電池33における通電が確実に遮断される。電流センサ36、漏電検出センサ37およびサービスプラグ38は電池ECU34と接続されている。電池ECU34は、電流センサ36、漏電検出センサ37およびサービスプラグ38の信号の伝達を受けて、スイッチ35のオン・オフを制御する。
【0027】
次に、本実施形態の蓄電ユニット25の充電について説明する。本実施形態の蓄電ユニット25は、車体11に装着された状態での充電が可能であるほか、車体11から取り外された状態での充電が可能である。
【0028】
車体11に装着された状態の蓄電ユニット25を充電する場合、外部電源の出力端子Tを充電用端子29に接続する。制御装置31は充電用端子29に外部電源の出力端子Tが接続されたことを検知する。制御装置31は、蓄電モジュール27と給電用端子28との間の通電を遮断し、充電用端子29と蓄電モジュール27との間を通電させるように、切換スイッチ30を制御して切り換える。
【0029】
切換スイッチ30の切り換えにより、外部電源の電力は充電用端子29を通じて蓄電モジュール27へ蓄えられる。このとき、蓄電モジュール27と並列接続されている冷却装置32へ電力が供給され、冷却装置32が作動される。各蓄電モジュール27に蓄電されるとともに、冷却装置32から発生する送風によって各蓄電モジュール27が冷却される。冷却装置32は、複数の蓄電モジュール27と並列接続であるため、外部電源の電力を使って作動され、蓄電モジュール27に蓄えられた電力を消費することはない。
【0030】
蓄電モジュール27の各蓄電池33が満充電となると、電池ECU34はスイッチ35をオンからオフに切り換えて、蓄電池33への通電を遮断する。各蓄電モジュール27の蓄電池33が満充電になると、制御装置31は、蓄電モジュール27の充電が完了したことを認識する。制御装置31が蓄電モジュール27の充電を完了した後、外部電源の出力端子Tを充電用端子29から切り離す。
【0031】
次に、制御装置31は、蓄電モジュール27と給電用端子28との間を通電させ、充電用端子29と蓄電モジュール27との間の通電を遮断するように、切換スイッチ30を制御して切り換える。さらに、制御装置31は、電池ECU34に対してスイッチ35をオフからオンに切り換える指令を出す。電池ECU34は指令を受けてスイッチ35をオフからオンに切り換える。スイッチ35がオンに切り換わることにより、各蓄電モジュール27に蓄えられている電力が給電用端子28を通じて走行用の電動モータ18や操舵用の電動モータ等の負荷へ供給される。車体11の負荷へ電力が供給されることにより、コンテナ用無人搬送車10は走行可能となる。このように、本実施形態では、蓄電ユニット25が車体11に装着された状態で充電が完了すると、コンテナ用無人搬送車10は直ちに走行可能となる。
【0032】
スイッチ35がオフからオンに切り換わることにより、蓄電モジュール27に蓄えられている電力が冷却装置32へ供給され、冷却装置32は蓄電モジュール27の電力により作動する。つまり、冷却装置32はコンテナ用無人搬送車10の走行時に作動する。したがって、蓄電モジュール27の放電時において、冷却装置32は蓄電モジュール27を冷却する。
【0033】
車体11から取り外された状態の蓄電ユニット25を充電する場合について説明する。この場合も外部電源の出力端子Tを充電用端子29に接続する。制御装置31は充電用端子29に外部電源の出力端子Tが接続されたことを検知する。制御装置31は、蓄電モジュール27と給電用端子28との間の通電を遮断し、充電用端子29と蓄電モジュール27との間を通電させるように、切換スイッチ30を制御して切り換える。
【0034】
切換スイッチ30の切り換えにより、外部電源の電力は充電用端子29を通じて蓄電モジュール27へ蓄えられる。このとき、蓄電モジュール27と並列接続されている冷却装置32へ電力が供給され、冷却装置32が作動される。各蓄電モジュール27に蓄電されるとともに、冷却装置32から発生する送風によって各蓄電モジュール27が冷却される。冷却装置32は、複数の蓄電モジュール27と並列接続であるため、外部電源の電力を使って作動し、蓄電モジュール27に蓄えられた電力を消費することはない。
【0035】
蓄電モジュール27の各蓄電池33が満充電となると、電池ECU34はスイッチ35をオンからオフに切り換えて、蓄電池33への通電を遮断する。各蓄電モジュール27の蓄電池33が満充電になると、制御装置31は、蓄電モジュール27の充電が完了したことを認識する。制御装置31が蓄電モジュール27の充電を完了した後、外部電源の出力端子Tを充電用端子29から切り離す。充電が完了した蓄電ユニット25は、コンテナ用無人搬送車10に装着されている別の蓄電ユニット25と交換するまで保管しておけばよい。
【0036】
充電が完了した蓄電ユニット25が交換によりコンテナ用無人搬送車10に装着されると、入力端子24が給電用端子28と接続される。次に、制御装置31は、蓄電モジュール27と給電用端子28との間を通電させ、充電用端子29と蓄電モジュール27との間の通電を遮断するように、切換スイッチ30を制御して切り換える。さらに、制御装置31は、電池ECU34に対してスイッチ35をオフからオンに切り換える指令を出す。電池ECU34は指令を受けてスイッチ35をオフからオンに切り換える。スイッチ35がオンに切り換わることにより、各蓄電モジュール27に蓄えられている電力が給電用端子28を通じて走行用の電動モータ18や操舵用の電動モータ等の負荷へ供給される。車体11の負荷へ電力が供給されることにより、コンテナ用無人搬送車10は走行可能となる。
【0037】
また、スイッチ35がオフからオンに切り換わることにより、蓄電モジュール27に蓄えられている電力が冷却装置32へ供給され、冷却装置32はコンテナ用無人搬送車10の走行時に作動する。つまり、蓄電モジュール27の放電時において、冷却装置32は蓄電モジュール27を冷却する。
【0038】
本実施形態の蓄電ユニット25は以下の作用効果を奏する。
(1)蓄電ユニット25は、外部電源の出力端子Tと接続可能な充電用端子29と、充電用端子29と蓄電モジュール27との間の通電と、蓄電モジュール27と給電用端子28との間の通電を切り換える切換スイッチ30と、切換スイッチ30を制御する制御装置31と、を備える。このため、コンテナ用無人搬送車10から取り外された蓄電ユニット25を充電することができるほか、コンテナ用無人搬送車10に装着された蓄電ユニット25を充電することができる。したがって、蓄電ユニット25の充電待ち等によるコンテナ用無人搬送車10の搬送効率の低下を抑制することができる。また、蓄電モジュール27が故障してコンテナ用無人搬送車10が停止しても、故障した蓄電ユニット25と充電済みの蓄電モジュール27を備えた蓄電ユニット25とを入れ換えて交換すれば、停止したコンテナ用無人搬送車10を牽引する作業が大幅に削減され、コンテナ用無人搬送車10の保守作業の効率が向上する。
【0039】
(2)蓄電ユニット25は、蓄電モジュール27と並列接続され、蓄電モジュール27を冷却する冷却装置32を備えている。冷却装置32は、充電用端子29が外部電源の出力端子Tと接続される蓄電モジュール27の充電時に、充電用端子29を通じた外部電源の電力により作動される。この場合、蓄電モジュール27を急速充電しても、冷却装置32によって蓄電モジュール27が冷却されるので、急速充電による蓄電モジュール27の高温化を抑制でき、急速充電による蓄電モジュール27の劣化を抑制することができる。
【0040】
(3)充電用端子29は、蓄電ユニット25がコンテナ用無人搬送車10に装着された状態では、コンテナ用無人搬送車10の外側を臨む位置に設けられている。このため、充電用端子29は外部電源の出力端子Tと接続し易くなる。よって、蓄電ユニット25がコンテナ用無人搬送車10に装着された状態での蓄電モジュール27の充電が行い易い。
【0041】
(4)冷却装置32は、蓄電モジュール27と給電用端子28とが通電されるコンテナ用無人搬送車10の運転時に蓄電モジュール27に蓄電された電力により作動される。このため、冷却装置32はコンテナ用無人搬送車10の運転時に蓄電モジュール27を冷却することができる。よって、蓄電モジュール27の放電時における高温化を抑制でき、放電による蓄電モジュール27の劣化を抑制することができる。
【0042】
(5)蓄電ユニット25は、コンテナ用無人搬送車10に装着されたままで充電できるほか、コンテナ用無人搬送車10から取り外された状態であっても充電可能である。このため、コンテナ用無人搬送車10の運用効率を損なうことなく、蓄電ユニット25の充電を行うことができる。
【0043】
(6)蓄電ユニット25は、充電用端子29と、切換スイッチ30と、制御装置31と、を備える。このため、コンテナ用無人搬送車10に充電用端子を設ける必要がなく、コンテナ用無人搬送車10の車体11に充電用端子を設ける場合と比較して、電力線の短縮化を図ることができ、送電による電力ロスを低減することができる。
【0044】
(7)コンテナ用無人搬送車10は、大型の荷であるコンテナCを搬送することから、走行および停止を繰り返し、さらに、蓄電ユニット25の急速充電の頻度が比較的高い。そして、蓄電ユニット25は、蓄電モジュール27の充電と同時に外部電源の電力によって蓄電モジュール27を冷却することができる。このため、蓄電ユニット25によれば、コンテナ用無人搬送車10の搬送効率の低下を抑制する効果や、充電による高温化による蓄電モジュール27の劣化を防止する効果は、小さい荷を搬送する電動式搬送車両の場合と比較すると大きい。
【0045】
(8)蓄電モジュール27の充電には、外部電源の電力により冷却装置32が作動されることから、充電時に蓄電ユニットに一旦蓄電された電力を用いて冷却装置を作動させる場合に比較すると、蓄電モジュール27の充放電の回数が抑制され、充放電の回数抑制により蓄電モジュール27の劣化を抑制することができる。
【0046】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0047】
○ 上記の実施形態では、蓄電ユニットが冷却装置を備えるとしたが、冷却装置は必須ではなく、冷却装置を備えない冷却装置であってもよい。充電の際に冷却を必要としない蓄電モジュールの場合に適用することが可能である。
○ 上記の実施形態では、蓄電モジュールの蓄電池はリチウムイオン二次電池としたが、蓄電モジュールの蓄電池はリチウムイオン二次電池に限定されない。蓄電モジュールの蓄電池は、例えば、ニッケル水素二次電池等、リチウムイオン二次電池以外の二次電池としてもよい。
○ 上記の実施形態では、蓄電モジュール毎に冷却装置を設けたがこの限りではない。冷却装置の数は特に限定されない。また、送風ファンによる空冷式の冷却装置としたが、ラジエータおよびラジエータファンを用いる水冷式の冷却装置であってもよい。
○ 上記の実施形態では、冷却装置は急速充電時および走行時に蓄電モジュールを冷却するとしたが、冷却装置は急速充電時のみ冷却するようにしてもよい。また、走行時に冷却する場合でも、放電に応じて冷却装置の送風量を増減するようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、蓄電ユニット装置が適用される電動式搬送車両としてコンテナ用無人搬送車を例示して説明したが、電動式搬送車両は、コンテナ用無人搬送システムに限定されない。例えば、有人式の電動式搬送車両でもよく、搬送対象の荷もコンテナ以外の荷であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 コンテナ用無人搬送車(電動式搬送車両)
11 車体
12 荷台
18 電動モータ
19 操舵機構
24 入力端子(車体側)
25 蓄電ユニット
26 蓄電ケース
27 蓄電モジュール
28 給電用端子
29 充電用端子
30 切換スイッチ
31 制御装置
32 冷却装置
33 蓄電池
34 電池ECU
35 スイッチ
T 出力端子(外部電源)