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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】振動検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20220301BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220301BHJP
   G01M 3/02 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G01H9/00 B
G03B15/00 S
G01M3/02 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018224835
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020085829
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆史
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-90190(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179599(WO,A1)
【文献】特開2009-159553(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073430(WO,A1)
【文献】特開2016-170029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G01M 3/00-3/40
G03B 15/00-15/035,15/06-15/16
G03B 5/00-8/08
H04N 5/14-5/217
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所に設置される第1のカメラに作用する振動を検出する方法であって、
1画素当たりの画角が前記第1のカメラより小さい第2のカメラが、前記所定の場所に設置された状態で、前記第2のカメラを用いて時系列画像を撮影する撮影工程と、
前記第2のカメラを用いて撮影された前記時系列画像を基にして、前記第2のカメラに作用する振動を示す振動データを生成する生成工程と、を備える、振動検出方法。
【請求項2】
前記1画素当たりの画角が前記第1のカメラより小さい前記第2のカメラとは、以下の式が成立することである、請求項1に記載の振動検出方法。
第2のカメラの画角<(第1のカメラの画角×画素数比)÷倍率数
ここで、画素数比は、第2のカメラの横方向の画素数÷第1のカメラの横方向の画素数または第2のカメラの縦方向の画素数÷第1のカメラの縦方向の画素数を示し、倍率数は、1より大きい数値を示す。
【請求項3】
前記生成工程は、前記第2のカメラを用いて撮影された前記時系列画像に写された像の位置ずれ量を時系列で示す位置ずれデータを生成し、前記第1のカメラを用いて撮影する時系列画像に対して実行される画像認識のための画像処理に対応する信号処理を、前記位置ずれデータに対して実行することにより、前記振動データを生成する、請求項1または2に記載の振動検出方法。
【請求項4】
前記画像処理は、ガス領域の抽出処理である、請求項3に記載の振動検出方法。
【請求項5】
前記ガス領域を示す信号を基にして定められたしきい値と前記振動データとを比較して、前記生成工程後に、前記第1のカメラの設置可否を判定する判定工程をさらに備える、請求項4に記載の振動検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラに作用する振動を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
操業時に大量のガスを取り扱う施設として、例えば、ガスプラント、石油化学プラント、火力発電所、製鉄関連施設がある。これらの施設では、施設の経年劣化、施設の運転ミス等により、ガス漏れが発生する可能性があるので、ガス検出装置が使用されている。これにより、ガス漏れが少ない状態でガス漏れを発見することができるので、大事故を防止することができる。
【0003】
ガス検出装置として、プローブ式のガス検出装置が広く使用されているが、最近、赤外画像式のガス検出装置が使用されるようになってきている。前者は、検出プローブにガス分子が接触したとき、このプローブの電気的特性が変化することを基にしてガスを検出する。後者は、ガスが光吸収または光放射する性質を基にしてガスを検出する。
【0004】
赤外画像式のガス検出装置について詳しく説明する。ガスが存在すると、絶対温度が0K以上の背景物体が黒体放射することにより生じる電磁波(主に赤外線領域の電磁波)の一部がガスによって吸収され、また、ガス自身が黒体放射によって電磁波を放射するため、電磁波の量が変化する。従って、赤外画像の撮影範囲にガスが存在するとき、赤外画像のうち、ガスが存在する領域(以下、ガス領域)に対応する画素の画素値(輝度値)は、電磁波の量の変化を反映した値となる。よって、ガスを検出することが可能となり、また、ガスを可視化することが可能となる。赤外画像式のガス検出装置によれば、赤外線カメラを撮像対象(例えば、プラント内のガス輸送管)に接近させなくても、ガス検出をすることができる。
【0005】
赤外画像式のガス検出装置は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1は、撮像部(赤外線カメラ)と、撮像部が出力した検出データに対して画像処理をしてガスを検出するガス監視処理部と、を備えるデータ品質保証システムを開示する。データ品質保証システムは、撮像部(赤外線カメラ)のぶれが補正可能な範囲を超えれば、撮像部が出力した検出データを無効にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-170029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
赤外線カメラは、ガス漏洩の監視対象を撮影できる所定の場所に設置される。赤外線カメラのぶれは、所定の場所に設置された赤外線カメラに作用する振動で発生する。振動の原因は、上記施設の操業、風等である。赤外線カメラに振動が作用すると、ガス検出の精度が低下する理由を簡単に説明する。赤外線カメラに振動が作用すると、赤外線カメラに搭載された画像センサを構成する各画素が振動する。これにより、各画素が撮影している背景領域が微小な時間周期で変化し、背景の電磁波量の変化を示す信号の変化が大きくなる。背景の中で、コントラストが高い箇所は、コントラストが低い箇所と比べて、電磁波量が大きく変化する。
【0008】
ガスが存在することによって生じる電磁波量の変化は僅かである。このため、背景の電磁波量の変化を示す信号の変化が大きくなると、ガスが存在することによって生じる電磁波量の変化を示す信号は、背景の電磁波量の変化を示す信号と分別することが困難となる。従って、たとえ赤外線カメラの1画素サイズより小さいずれ(サブピクセルレベルのずれ)を生じさせる振動であっても、そのような場所に赤外線カメラを設置することは望ましくない。
【0009】
特許文献1においては、赤外線カメラの振動を検知する手段として、加速度センサー、ジャイロセンサー、あるいは画像の特徴点抽出を用いた手段が記載されている。しかしながらこれらの手段では、サブピクセルレベルのずれを生じさせる振動を精度よく検出するのは困難である。サブピクセルレベルのずれが生じる振動を検出できる技術が望まれる。
【0010】
本発明は、所定の場所に設置されるカメラについて、このカメラの1画素サイズより小さいずれを発生させる振動を検出することができる振動検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明に係る振動検出方法は、所定の場所に設置される第1のカメラに作用する振動を検出する方法であって、1画素当たりの画角が前記第1のカメラより小さい第2のカメラが、前記所定の場所に設置された状態で、前記第2のカメラを用いて時系列画像を撮影する撮影工程と、前記第2のカメラを用いて撮影された前記時系列画像を基にして、前記第2のカメラに作用する振動を示す振動データを生成する生成工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の場所に設置されるカメラについて、このカメラの1画素サイズより小さいずれを発生させる振動を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る振動検出システムとガス検出システムのそれぞれを示すブロック図である。
図2A】振動検出装置の機能ブロック図である。
図2B図2Aに示す振動検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】時系列画素データを説明する説明図である。
図4】ガス領域を抽出する画像処理を説明するフローチャートである。
図5】横方向位置ずれデータd_Lから横方向振動データD_Lが生成されるステップを説明する説明図である。
図6】実施形態に係る振動検出方法を説明するフローチャートである。
図7】振動データ生成部の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。
【0015】
図1は、実施形態に係る振動検出システム5とガス検出システム1のそれぞれを示すブロック図である。ガス検出システム1から説明する。ガス検出システム1は、赤外線カメラ2とガス検出装置3とを備える。
【0016】
赤外線カメラ2(第1のカメラの一例)は、ガス検出装置3に接続され、ガス検出装置3の制御に従って、撮影対象Tの赤外画像の動画V1(時系列画像の一例)を撮影し、動画V1をガス検出装置3に送信する。時系列画像は、異なる時刻で撮影された画像が時系列に並べられた構造を有する。実施形態では、撮影対象Tとして、ガス漏れの監視対象(例えば、ガス輸送管)を例にして説明する。赤外線カメラ2は、撮影対象Tを撮影できる所定の場所(例えば、撮影対象Tを俯瞰できる場所)に設置される。このような場所として、例えば、建物屋上、鉄塔、煙突、ポール、フェンス、コンクリート柱がある。赤外線カメラ2の撮像範囲R1に撮像対象Tが含まれるように、所定の場所において、赤外線カメラ2の高さおよび角度が設定される。
【0017】
赤外線カメラ2は、検出したいガスの光吸収波長に感度を有する二次元イメージセンサー20を備える。例えば、炭化水素系のガスの場合、約3μmの波長帯に感度を有する二次元イメージセンサー20が用いられる。このようなセンサーとして、例えば、冷却型インジウムアンチモン(InSb)イメージセンサー、冷却型水銀カドミウムテルル(HgCdTe)イメージセンサーがある。
【0018】
検出したいガスが吸収または放射する電磁波の波長帯が、赤外線の波長帯以外の場合(例えば、紫外線の波長帯)、この波長帯に感度を有するカメラが用いられる。
【0019】
ガス検出装置3は、赤外線カメラ2が撮影した動画V1を用いたガス検出に必要な各種の画像処理をするコンピュータ装置である。ガス検出装置3は、動画V1を構成するフレームに対して、ガスが出現している領域(ガス領域)を抽出する画像処理をする。撮影対象Tからガスが漏れることにより、撮影範囲Rにガスが出現していれば、ガス領域が抽出される。
【0020】
振動検出システム5は、可視光カメラ6(第2のカメラの一例)と振動検出装置7とを備える。可視光カメラ6は、上記所定の場所に設置される。可視光カメラ6の設置場所は、赤外線カメラ2の設置場所と同一であるか、厳密に同一でなくてもよく、赤外線カメラ2に作用する振動を検出できる場所であればよい。赤外線カメラ2がポールに設置される例で説明する。ポールに固定された、赤外線カメラ用の取付冶具に可視光カメラ6が取り付けられてもよいし(厳密に同一)、ポールに固定された取付冶具に赤外線カメラ2が取り付けられた状態で、同じポールに固定された別の取付冶具に可視光カメラ6が取り付けられてもよい。
【0021】
可視光カメラ6は、可視光の波長領域に感度を有する二次元イメージセンサー60を備える。二次元イメージセンサー60は、例えば、二次元CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー、二次元CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。
【0022】
なお、第2のカメラは、振動データを生成することができる動画を撮影できればよいので、可視光カメラ6に限らない。第2のカメラは、可視光カメラ、近赤外線カメラ、赤外線カメラのいずれでもよい。
【0023】
可視光カメラ6の撮影範囲R2は、赤外線カメラ2の撮影範囲R1に含まれている。可視光カメラ6の撮影対象は、赤外線カメラ2の撮影範囲にある静止物(例えば、建物、配管)である。
【0024】
可視光カメラ6のフレームレートは、赤外線カメラ2のフレームレート以上である。可視光カメラ6のフレームレートが、赤外線カメラ2のフレームレートより小さければ、赤外線カメラ2が撮影した動画V1に写る像に作用する振動の検出に漏れが発生するからである。好ましくは、可視光カメラ6のフレームレートは、赤外線カメラ2のフレームレートの整数倍である。
【0025】
可視光カメラ6の1画素当たりの画角は、赤外線カメラ2の1画素当たりの画角より小さくされている。θ1が赤外線カメラ2の1画素当たりの画角とし、θ2が可視光カメラ6の1画素当たりの画角とする。以下の式1が成立する。
θ2<θ1/N・・・式1
【0026】
ここでNは倍率数を示す。倍率数Nは、1より大きく、好ましくは、10以上である。式1が成立することにより、振動による画像のずれが、赤外線カメラ2の画素においてはサブピクセルサイズのずれであったものが、可視光カメラ6の画素においてはピクセルサイズ以上のずれとなるため、赤外線カメラ2の画素のサイズよりも小さなずれを示す振動データを得ることができる。倍率数Nが大きくなると、より小さいずれを示す振動データを得ることができ、可視光カメラ6に望遠レンズを取り付けることによって、倍率数Nを大きくすることができる。この場合、望遠レンズの倍率が高くなるに従って、倍率数Nが大きくなる。
【0027】
α1が赤外線カメラ2の画角、α2が可視光カメラ6の画角、n1_Lが赤外線カメラ2の横方向の画素数、n1_Vが赤外線カメラ2の縦方向の画素数、n2_Lが可視光カメラ6の横方向の画素数、n2_Vが可視光カメラ6の縦方向の画素数とする。
【0028】
横方向について、θ1=α1/n1_Lであり、θ2=α2/n2_Lである。縦方向について、θ1=α1/n1_Vであり、θ2=α2/n2_Vである。式1は、式2-1および式2-2に書き換えることができる。
(α2/n2_L)<(α1/n1_L)/N・・・式2-1
(α2/n2_V)<(α1/n1_V)/N・・・式2-2
【0029】
式2-1、式2-2は、それぞれ、式3-1、式3-2に書き換えることができる。
α2<{α1×(n2_L/n1_L)}/N・・・式3-1
α2<{α1×(n2_V/n1_V)}/N・・・式3-2
【0030】
画素数比が、n2_L/n1_L(可視光カメラ6の横方向の画素数÷赤外線カメラ2の横方向の画素数)、または、n2_V/n1_V(可視光カメラ6の縦方向の画素数÷赤外線カメラ2の縦方向の画素数)とする。式3-1と式3-2は、式4に書き換えることができる。
【0031】
α2<(α1×画素数比)÷N・・・式4
【0032】
以上より、式1は、式4に書き換えることができる。
【0033】
実施形態では、第1のカメラと第2のカメラとが別々であるが、同一のカメラが第1のカメラおよび第2のカメラとして用いられてもよい。すなわち、第1のカメラである赤外線カメラ2が、第2のカメラとして用いられてもよい。赤外線カメラ2が第2のカメラとして用いられる場合、赤外線カメラ2に望遠レンズを取り付けることにより、式1を成立させることができる。
【0034】
図1を参照して、振動検出装置7は、可視光カメラ6が撮影した動画V2を基にして振動データを生成する等の機能を有するコンピュータ装置である。図2Aは、振動検出装置7の機能ブロック図である。振動検出装置7は、パーソナルコンピューター、スマートフォン、タブレット端末等に備えられ、機能ブロックとして、本体部70と、操作部71と、表示部72とを備える。本体部70は、制御処理部700と、インターフェース部701と、振動データ生成部702と、設置判定部703と、記憶部704と、表示制御部705と、を備える。
【0035】
制御処理部700は、振動検出装置7の各部(インターフェース部701、振動データ生成部702、設置判定部703、記憶部704、表示制御部705)を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。
【0036】
インターフェース部701は、制御処理部700の制御に従って、振動検出装置7とこの装置の外部の装置(可視光カメラ6、操作部71、表示部72)との間で通信をするためのインターフェースである。インターフェース部701と外部の装置とは、直接接続されていてもよいし、LANを介して接続されていてもよい。
【0037】
振動データ生成部702は、可視光カメラ6を用いて撮影された動画V2(時系列画像の一例)を基にして、可視光カメラ6に作用する振動を示す振動データDを生成する。振動データ生成部702は、位置ずれ検出部7020と位置ずれデータ処理部7021とを備える。
【0038】
位置ずれ検出部7020は、動画V2に写された像の位置ずれ量を時系列で示す位置ずれデータdを生成する。詳しく説明する。位置ずれ検出部7020は、撮像範囲R2(図1)にある静止物(例えば、プラント内の建物、配管)をテンプレート画像として用いて、動画V2を構成する各フレームに対して、テンプレートマッチングをすることにより、各フレームに対して、静止物の像のずれ量を測定する。これが位置ずれ量を示す位置ずれデータdとなる。位置ずれ量は、フレームの横方向(x方向)と縦方向(y方向)のそれぞれについて測定される。従って、位置ずれ検出部7020は、位置ずれデータdとして、横方向位置ずれデータd_Lと縦方向位置ずれデータd_Vとを生成する。
【0039】
位置ずれデータ処理部7021は、位置ずれデータに対して、所定の処理をして、振動データDを生成する。位置ずれデータ処理部7021は、振動データDとして、横方向振動データD_Lと縦方向振動データD_Vとを生成する。位置ずれデータ処理部7021の詳細は、後で説明する。
【0040】
設置判定部703は、振動データDを基にして、赤外線カメラ2の設置の可否を判定する。
【0041】
記憶部704は、制御処理部700、振動データ生成部702、設置判定部703および表示制御部705の機能を実行するのに必要な各種の画像、データ、プログラムを記憶する。
【0042】
表示制御部705は、各種画像を表示部72に表示させる。例えば、表示制御部705は、振動データDを示す画像を表示部72に表示させたり、赤外線カメラ2の設置可否の判定結果を示す画像を表示部72に表示させたりする。
【0043】
操作部71は、インターフェース部701に接続されており、ユーザが、振動検出装置7に各種の命令、各種のデータを入力する装置である。命令は、例えば、振動検出を実行する命令である。データは、例えば、振動しきい値の算出に必要なデータ(画角θ1、画角θ2等)である。表示部72は、上述した各種画像を表示する。
【0044】
図2Bは、図2Aに示す振動検出装置7のハードウェア構成を示すブロック図である。振動検出装置7は、CPU(Central Processing Unit)7a、RAM(Random Access Memory)7b、ROM(Read Only Memory)7c、HDD(Hard Disk Drive)7d、液晶ディスプレイ7e、通信インターフェイス7f、キーボード等7g、及び、これらを接続するバス7hを備える。液晶ディスプレイ7eは、表示部72を実現するハードウェアである。液晶ディスプレイ7eの替わりに、有機ELディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)、プラズマディスプレイ等でもよい。通信インターフェイス7fは、インターフェース部701を実現するハードウェアであり、例えば、有線通信用又は無線通信用の通信カードである。キーボード等7gは、操作部71を実現するハードウェアである。キーボードの替わりに、タッチパネル、マウスでもよい。
【0045】
HDD7dには、制御処理部700、振動データ生成部702、設置判定部703、9および表示制御部705について、これらの機能ブロックをそれぞれ実現するためのプログラム、及び、各種データ(例えば、動画V2)が格納されている。プログラムは、HDD7dの替わりにROM7cに記憶してもよい。振動検出装置7は、HDD7dの替わりに、フラッシュメモリを備え、これらのプログラムおよびデータは、フラッシュメモリに記憶してもよい。HDD7dは、記憶部704を実現するハードウェアである。HDD7dの替わりに、フラッシュメモリでもよい。
【0046】
CPU7aは、ハードウェアプロセッサの一例であり、上述したプログラムを、HDD7dから読み出してRAM7bに展開させ、展開されたプログラムを実行することによって、制御処理部700、振動データ生成部702、設置判定部703および表示制御部705が実現される。但し、これらの機能について、各機能の一部又は全部は、CPU7aによる処理に替えて、又は、これと共に、DSP(Digital Signal Processor)による処理によって実現されてもよい。又、同様に、各機能の一部又は全部は、ソフトウェアによる処理に替えて、又は、これと共に、専用のハードウェア回路による処理によって実現されてもよい。
【0047】
図2Aを参照して、位置ずれデータ処理部7021について詳しく説明する。位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L、縦方向位置ずれデータd_Vに対して、それぞれ、ガス検出装置3が実行するガス領域抽出の画像処理(画像認識のための画像処理の一例)と同じ処理をすることにより、横方向振動データD_L、縦方向振動データD_Vを生成する。
【0048】
ガス領域抽出の画像処理は、公知技術を適用することができる。例えば、この公知技術は、国際公開WO2017073430に開示されている。この国際公開された技術は、本発明者が発明した技術であり、これについて、図1に示す赤外線カメラ2が撮影した動画V1を例にして説明する。
【0049】
動画V1は、フレームが時系列に複数並べられた構造を有する。複数のフレームの同じ位置にある画素の画素データを時系列に並べたデータを、時系列画素データとする。時系列画素データを具体的に説明する。図3は、時系列画素データを説明する説明図である。動画V1のフレーム数をKとする。一つのフレームがM個の画素で構成されているとする。画素データは、画素の輝度値又は輝度値を温度換算した温度値を示す。
【0050】
複数(K個)のフレームの同じ位置にある画素とは、同じ順番の画素を意味する。例えば、1番目の画素で説明すると、1番目のフレームに含まれる1番目の画素の画素データ、2番目のフレームに含まれる1番目の画素の画素データ、・・・、K-1番目のフレームに含まれる1番目の画素の画素データ、K番目のフレームに含まれる1番目の画素の画素データを、時系列に並べたデータが、1番目の画素の時系列画素データとなる。時系列画素データの数は、一つのフレームを構成する画素の数と同じであり、これら複数(M個)の時系列画素データにより動画V1が構成される。
【0051】
図1を参照して、赤外線カメラ2が動画V1を撮影している状態で、ガス漏れが発生したとき、動画V1には、漏れたガスによる温度変化を示す第1の周波数成分データが含まれる。ガス検出装置3は、動画V1に対して、第1の周波数成分データが含まれるガス領域を抽出する画像処理をする。図4は、この画像処理を説明するフローチャートである。
【0052】
図3および図4を参照して、ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第2の周波数成分データを抽出する(ステップS1)。第2の周波数成分データは、第1の周波数成分データよりも周波数が低く、背景の温度変化を示すデータである。第2の周波数成分データは、時系列画素データに対して、K個のフレームより少ない第1の所定数(例えば、21)のフレームを単位とする単純移動平均を算出することにより時系列画素データから抽出されたデータである。
【0053】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第3の周波数成分データを抽出する(ステップS4)。第3の周波数成分データは、高周波ノイズである。第3の周波数成分データは、時系列画素データに対して、第1の所定数(例えば、21)より少ない第3の所定数(例えば、3)のフレームを単位とする単純移動平均を算出することにより時系列画素データから抽出されたデータである。
【0054】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第1の差分データを算出する(ステップS2)。第1の差分データは、時系列画素データとこの時系列画素データから抽出された第2の周波数成分データとの差分を算出して得られるデータである。
【0055】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第2の差分データを算出する(ステップS5)。第2の差分データは、時系列画素データとこの時系列画素データから抽出された第3の周波数成分データとの差分を算出して得られるデータである。
【0056】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第1のばらつきデータを算出する(ステップS3)。第1のばらつきデータは、第1の差分データに対して、第2の所定数(例えば、21)のフレームを単位とする所定の演算をすることにより算出されたデータであり、第1の差分データの波形のばらつきを示すデータである。ばらつきは、例えば、移動標準偏差である。
【0057】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第2のばらつきデータを算出する(ステップS6)。第2のばらつきデータは、第2の差分データに対して、第4の所定数(例えば、21)のフレームを単位とする所定の演算をすることにより算出されたデータであり、第2の差分データの波形のばらつきを示すデータである。ばらつきは、例えば、移動標準偏差である。
【0058】
ガス検出装置3は、M個の時系列画素データのそれぞれに対応するM個の第3の差分データを算出する(ステップS7)。第3の差分データは、同じ時系列画素データから得られた第1のばらつきデータと第2のばらつきデータとの差分を算出して得られるデータである。M個の第3の差分データで構成される動画が、ガス領域が抽出された動画となる。
【0059】
以上が、ガス領域を抽出する画像処理の一例の説明である。図2Aを参照して、位置ずれデータdは、位置ずれ量の時系列変化を示すので、時系列画素データ(図3)と同様に扱え、ガス領域抽出の画像処理(図4のステップS1~S7)に対応した信号処理が可能である(言い換えれば、ガス領域抽出の画像処理と同じ信号処理を適用することが可能である)。位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L、縦方向位置ずれデータd_Vに対して、それぞれ、ガス領域抽出の画像処理(図4)と同じ信号処理をすることにより、横方向振動データD_L、縦方向振動データD_Vを生成する。
【0060】
横方向位置ずれデータd_Lを例にして説明する。図5は、横方向位置ずれデータd_Lから横方向振動データD_Lが生成されるステップを説明する説明図である。図5は、グラフG1~グラフG8を含む。各グラフの横軸は、フレームの順番を示す。各グラフの縦軸は、波形の大きさを示す。
【0061】
グラフG1は、横方向位置ずれデータd_Lの波形を示す。グラフG2は、第2の周波数成分データの波形を示す。グラフG3は、第3の周波数成分データの波形を示す。グラフG4は、第1の差分データの波形を示す。グラフG5は、第2の差分データの波形を示す。グラフG6は、第1のばらつきデータの波形を示す。グラフG7は、第2のばらつきデータの波形を示す。グラフG8は、横方向振動データD_Lの波形を示す。
【0062】
位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L(グラフG1)から第2の周波数成分データ(グラフG2)を抽出する。これは、図4のステップS1の処理である。位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L(グラフG1)から第3の周波数成分データ(グラフG3)を抽出する。これは、図4のステップS4の処理である。
【0063】
位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L(グラフG1)と第2の周波数成分データ(グラフG2)との差分を算出して得られる第1の差分データ(グラフG4)を算出する。これは、図4のステップS2の処理である。位置ずれデータ処理部7021は、横方向位置ずれデータd_L(グラフG1)と第3の周波数成分データ(グラフG3)との差分を算出して得られる第2の差分データ(グラフG5)を算出する。これは、図4のステップS5の処理である。
【0064】
位置ずれデータ処理部7021は、第1の差分データ(グラフG4)に対して、第2の所定数(例えば、21)のフレームを単位とする所定の演算をすることにより、第1のばらつきデータ(グラフG6)を算出する。これは、図4のステップS3の処理である。位置ずれデータ処理部7021は、第2の差分データ(グラフG5)に対して、第4の所定数(例えば、21)のフレームを単位とする所定の演算をすることにより、第2のばらつきデータ(グラフG7)を算出する。これは、図4のステップS6の処理である。
【0065】
位置ずれデータ処理部7021は、同じ時系列画素データから得られた第1のばらつきデータ(グラフG6)と第2のばらつきデータ(グラフG7)との差分を算出して得られる第3の差分データ(グラフG8)を算出する。これは、図4のステップS7の処理である。第3の差分データ(グラフG8)が、横方向振動データD_Lである。
【0066】
位置ずれデータ処理部7021は、同様にして、縦方向位置ずれデータd_Vを基にして、縦方向振動データD_Vを生成する。
【0067】
以上説明したように、時系列データである位置ずれデータdに対して、ガス領域抽出の画像処理と同じ信号処理(時系列データに対する信号処理)がされることにより、振動データDが生成される。実施形態によれば、振動データDは、ガス領域抽出の妨げとなる振動が抽出されたデータである。このデータに基づいて赤外線カメラ2の設置可否を判定すれば、判定精度を向上させることができる。
【0068】
可視光カメラ6のフレームレートが赤外線カメラ2のフレームレートより大きいとき、ガス領域抽出の妨げとならない振動も振動データDに含まれる可能性がある。従って、可視光カメラ6のフレームレートは、赤外線カメラ2のフレームレートと同じであることが好ましい。よって、可視光カメラ6のフレームレートが赤外線カメラ2のフレームレートより大きいとき、振動データ生成部702は、動画V2のフレームレートを赤外線カメラ2のフレームレートと同じにする処理をした後、この動画を基にして位置ずれデータdを生成してもよい。フレームレートを同じにする処理は、例えば、動画V2を構成するフレームを間引きする処理でもよいし、動画V2を構成するフレームの移動平均を求める処理でもよい。
【0069】
振動データ生成部702は、振動データDとして、横方向振動データD_Lと縦方向振動データD_Vとを生成する。振動データ生成部702は、これらを基にして、振動データD(代表振動データ)を生成してもよい。例えば、振動データ生成部702は、横方向振動データD_Lと縦方向振動データD_Vについて、同じ時刻のデータを二乗和し、これの平方根を求めることにより、振動データD(代表振動データ)を生成してもよいし、横方向振動データD_Lと縦方向振動データD_Vについて、同じ時刻のデータを比較し、大きい方のデータを選択することにより、振動データD(代表振動データ)を生成してもよい。
【0070】
振動しきい値Th(しきい値の一例)について説明する。記憶部704(図2A)は、振動しきい値Thを予め記憶している。振動しきい値Thは、以下の式5で示される。
Th=L/g・・・式5
【0071】
Lから説明する。Lは、以下の式6で示される。
L=S/κ・・・式6
Sは、ガス検出しきい値を示す。κは、安全率を示す。安全率κは、ガス検出信号Sと振動により発生する信号とを区別するための比率である。安全率κが高くなるに従って、ガスの誤検出が少なくなる。
【0072】
ガス検出しきい値Sは、以下の式7で示される。
S=γ{P(T+ΔK)-P(T)}・・・式7
γは、ガス検出仕様において、検出ガスの濃度厚み積における光吸収率を示す。P(T)は、ガス検出仕様における検出ガス温度条件の黒体放射輝度に相当する赤外輝度を示す。P(T+ΔK)は、ガス検出仕様における背景温度条件の黒体放射輝度に相当する赤外輝度を示す。
【0073】
γ、P(T)、P(T+ΔK)は、それぞれガス濃度厚み積、ガス温度、背景温度に依存する値である。このため、ガス検出しきい値Sを決めるためには、それぞれ所定の値が必要となる。カメラの検出仕様で決められた値として、それぞれの所定の値は、例えば、10%LELm(=0.005m)、300K、303Kである。
【0074】
次に、gを説明する。赤外線カメラ2の振動量hは、以下の式8で示される。
h=(θ2/θ1)×D・・・式8
θ1は、赤外線カメラ2の1画素当たりの画角を示す。θ2は、可視光カメラ6の1画素当たりの画角を示す。Dは、振動データ生成部702が生成した振動データを示す。
【0075】
赤外線カメラ2が振動することにより、赤外線カメラ2の各画素(二次元イメージセンサ20(図1)の各画素)が振動する。これにより、動画V1を構成する各フレームにおいて、フレームに写された像のエッジを構成する画素が検出する赤外線量(輝度)が変化する。振動によって、エッジを構成する1つの画素が検出する赤外線量(輝度)の最大値をImax、最小値をIminとする。この画素の輝度の変化量は、h×(Imax-Imin)となる。輝度変化量の最大値を想定し、赤外線カメラ2の各画素が受光できる輝度値の範囲において、最大の輝度値をImaxとし、最小の輝度値をIminとする。これにより、赤外線カメラ2の各画素の輝度の変化量Cは、以下の式9で示すことができる。
C=h×(Imax-Imin)・・・式9
【0076】
Imax-Iminをβとすると、式9は、以下の式10で示される。
C=h×β・・・式10
【0077】
式8と式10とから以下の式11が導かれる。
C={(θ2/θ1)×D}×β・・・式11
【0078】
gは、式11の右辺に含まれる以下の式12で定義される。
g=β×(θ2/θ1)・・・式12
【0079】
式11と式12とから以下の式13が導かれる。
C=g×D・・・式13
【0080】
Cは振動によって生じた輝度の変化量である。この値が、ガス検出しきい値Sを安全率κで割った値、すなわちLよりも小さければ、ガス検出が可能であり、赤外線カメラ2の設置が可と判定される。
g×D<L・・・式14
【0081】
式14の両辺をgで割る。
D<L/g・・・式15
式15を満たす振動データDが振動しきい値Thとなるので、振動しきい値Thは、式5で示される。
【0082】
実施形態に係る振動検出方法について説明する。図6は、これを説明するフローチャートである。図1図2Aおよび図6を参照して、ユーザは、赤外線カメラ2が設置される場所に、可視光カメラ6を設置する(ステップS11)。可視光カメラ6の1画素当たりの画角θ2は、赤外線カメラ2の1画素当たりの画角θ1より小さくされている。
【0083】
ユーザは、操作部71を操作して、振動検出の命令を振動検出装置7に入力する。これにより、制御処理部700は、可視光カメラ6を作動させて、動画V2を撮影させる(ステップS12)。可視光カメラ6は、動画V2を振動検出装置7に送信する。インターフェース部701は、送信されてきた動画V2を受信し、制御処理部700は、受信された動画V2を振動データ生成部702へ転送する。
【0084】
振動データ生成部702は、動画V2を基にして、振動データDを生成する(ステップS13)。
【0085】
設置判定部703は、記憶部704から振動しきい値Thを読み出し、振動データDと比較する(ステップS14)。設置判定部703は、振動データDが振動しきい値Thより大きいとき(ステップS14でYes)、赤外線カメラ2の設置を不可と判定する(ステップS15)。表示制御部705は、設置不可を示す画像を表示部72に表示させる。設置判定部703は、振動データDが振動しきい値Th以下のとき(ステップS14でNo)、赤外線カメラ2の設置を可能と判定する(ステップS16)。表示制御部705は、設置可能を示す画像を表示部72に表示させる。
【0086】
なお、赤外線カメラ2が設置できるか否かは、ユーザが振動データDを見て判定してもよいし、ユーザが振動しきい値Thと振動データDとを比較して判定してもよい。
【0087】
実施形態の主な効果を説明する。振動データDは、赤外線カメラ2が設置される場所に設置された可視光カメラ6を用いて撮影された動画V2を基にして生成される。可視光カメラ6は、赤外線カメラ2と比べて、1画素当たりの画角が小さくされている。このため、振動データDは、赤外線カメラ2の1画素サイズより小さいずれ(サブピクセルレベルのずれ)を示すことができる。従って、実施形態に係る振動検出方法によれば、所定の場所に設置される赤外線カメラ2について、このカメラの1画素サイズより小さいずれを発生させる振動を検出することができる。
【0088】
振動データ生成部702の変形例を説明する。図7は、この変形例を示すブロック図である。変形例は、位置ずれデータ処理部7021の替わりに、ゲイン・オフセット処理部が備える。位置ずれデータ処理部7021は、位置ずれデータdに対して、図4に示す画像処理と同じ処理をして、振動データDを生成する。これに対して、ゲイン・オフセット処理部は、以下の式16を用いて、位置ずれデータdから振動データDを生成する(横方向位置ずれデータd_Lから横方向振動データD_Lを生成し、縦方向位置ずれデータd_Vから縦方向振動データD_Vを生成する)。
D=ad+b・・・式16
aは、ゲインを示す。bは、オフセットを示す。
【0089】
ゲインa、オフセットbについて具体的に説明する。位置ずれデータdは、可視光カメラ6の1画素当たりの画角θ2を基にして算出されるので、可視光カメラ6の画素の単位でずれ量を示す。例えば、ずれ量が、2.5であれば、可視光カメラ6の画素の2.5画素分のずれということになる。赤外線カメラ2の画素を単位とするずれ量を示す振動データDを得たい場合があるとする(赤外線カメラ2の画素を単位とするずれ量の方が、赤外線カメラ2の振動によるずれ量を理解し易い)。この場合、ゲイン・オフセット処理部は、a=θ1/θ2、b=0を式16に代入して、位置ずれデータdから振動データDを生成する。
【0090】
位置ずれデータdを振動データDとしたい場合があるとする。ゲイン・オフセット処理部は、a=1、b=0を式16に代入して、位置ずれデータdから振動データDを生成する。
【0091】
特定期間の振動振幅を求めたい場合があるとする。ゲイン・オフセット処理部は、まず、b=0を式16に代入して、位置ずれデータdから振動データDを生成する(D=ad)。ゲイン・オフセット処理部は、次に、この振動データDに対して、特定期間の平均値mを算出し、b=-mを式16に代入して、振動データD(D=ad-m)を生成する。この振動データDは、特定期間の振動振幅を示す。この場合、オフセットbについては、位置ずれデータdによって変更されることになる。
【0092】
位置ずれデータdは、通常、プラスの値とマイナスの値の両方を示す。振動データDをプラスの値にしたい場合があるとする。ゲイン・オフセット処理部は、0からadの最小値を差し引いた値と同じかそれよりも大きな値をbとして、式14に代入して、位置ずれデータdから振動データDを生成する。この場合もオフセットbについては、位置ずれデータdによって変更されることになる。
【符号の説明】
【0093】
D 振動データ
D_L 横方向振動データ
D_V 縦方向振動データ
d 位置ずれデータ
d_L 横方向位置ずれデータ
d_V 縦方向位置ずれデータ
R1 赤外線カメラの撮影範囲
R2 可視光カメラの撮影範囲
T 撮影対象
V1 赤外線カメラが撮影した動画
V2 可視光カメラが撮影した動画
θ1 赤外線カメラの1画素当たりの画角
θ2 可視光カメラの1画素当たりの画角
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7