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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】移動体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 1/02 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
G01P1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018556595
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2017043567
(87)【国際公開番号】W WO2018110360
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2016243275
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】須山 佑貴
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-94746(JP,A)
【文献】特開平3-108667(JP,A)
【文献】国際公開第2005/085875(WO,A1)
【文献】国際公開第97/04318(WO,A1)
【文献】国際公開第95/10055(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/00- 3/80
G01D 5/00- 5/252
G01D 5/39- 5/62
G01R33/00-33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体の移動に応じた電気信号を出力する磁気検出素子と、
前記磁気検出素子に磁界を加える磁石と、
前記磁気検出素子に接続されるリード端子と、
前記磁気検出素子、前記磁石および前記リード端子が一方側に取り付けられる第1のハウジングと、
前記第1のハウジングの前記一方側を覆って嵌合連結され前記被検出体と対向して配置される第2のハウジングと、を有し、
前記第1のハウジングには、固定対象に固定設置するための固定部が設けられるとともに、前記リード端子の一部が埋設一体化されて設けられ、
前記第2のハウジングは、前記磁気検出素子および前記磁石を覆う円筒部を有し、
前記円筒部は、外周に補強用のリブが円周方向等間隔に複数本一体に形成され、前記リブの後方には、Oリング溝が形成され、Oリングが装着される、
ことを特徴とする移動体検出装置。
【請求項2】
前記第2のハウジングには、前記固定部による固定設置にともない前記第1のハウジングと前記固定対象とに挟み込まれるフランジ部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動体検出装置。
【請求項3】
前記固定部は、金属製で円筒状のカラーを備えるとともに、前記第1のハウジングに一体化され、
前記フランジ部は、前記固定部の周囲の少なくとも一部に形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直線運動や回転運動する移動体の移動を検出するため移動体検出装置が用いられている。例えば、特許文献1に開示されている移動体検出装置の固定構造は、磁気検出素子と、磁気検出素子に磁界を加える磁石と、磁気検出素子に接続される基板とを備える検知部をセンサ本体に組み付け、センサ本体に連結されるカバーで検知部を覆い、カバーを介して機器に固定するよう構成されており、移動体の移動に伴う磁界の変化を検出するようにしている。
また、特許文献2に開示された回転検出装置は、有底のケース内に磁気検出素子と、磁気検出素子に磁界を加える磁石と、磁気検出素子に接続される基板とを備える検知部を配置し、ケース内に充填する樹脂で検知部を固定し、ケースを介して機器に固定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-208023号公報
【文献】特開2008-164439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された移動体検出装置の固定構造では、機器にカバーを介してセンサ本体を固定しているため、機器の振動などによって磁気検出素子などがカバー内で変位することがあり、検出精度の低下を招くという問題がある。
一方、特許文献2に開示された回転検出装置では、機器に固定するケース内に、充填した樹脂によって磁気検出素子などを固定するため、機器の振動などによってケース内で磁気検出素子などが変位することを抑制できるものの、組立時に充填した樹脂を硬化させる時間が必要となり、生産効率が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、振動などによって検出精度の低下を招くことがなく生産効率が高い移動体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の移動体検出装置は、
被検出体の移動に応じた電気信号を出力する磁気検出素子と、
前記磁気検出素子に磁界を加える磁石と、
前記磁気検出素子に接続されるリード端子と、
前記磁気検出素子、前記磁石および前記リード端子が一方側に取り付けられる第1のハウジングと、
前記第1のハウジングの前記一方側を覆って嵌合連結され前記被検出体と対向して配置される第2のハウジングと、を有し、
前記第1のハウジングには、固定対象に固定設置するための固定部が設けられるとともに、前記リード端子の一部が埋設一体化されて設けられている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動などによって検出精度の低下を招くことがなく生産効率が高い移動体検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の移動体検出装置の一実施の形態に係る分解状態の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る概略斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態に係る移動体検出装置を、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明では、図2に示した移動体検出装置100の状態を基準として、前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向とする。また、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が向く方向を+(プラス)方向、その反対方向を-(マイナス)方向として説明する。
本発明の移動体検出装置100は、被検出体の移動に応じた電気信号を出力する磁気検出素子10と、磁気検出素子10に磁界を加える磁石20と、磁気検出素子10に接続されるリード端子30と、磁気検出素子10、磁石20およびリード端子30が一方側に取り付けられる第1のハウジング40と、第1のハウジング40の一方側を覆って嵌合連結され被検出体と対向して配置される第2のハウジング50と、を有し、第1のハウジング40には、固定対象70に固定設置するための固定部42が設けられるとともに、リード端子30の一部が埋設一体化されて構成されている。
【0010】
本実施の形態に係る移動体検出装置100は、例えば、二輪車の前輪の車軸近傍に設けられる回転検出装置として構成され、検出される前輪の回転数から車速を計測する。すなわち、移動体検出装置100では、前輪の車軸が被検出体とされ、車軸近傍の車体が固定対象70とされ、固定対象70に第1のハウジング40の固定部42が固定され、第1のハウジング40に嵌合連結された第2のハウジング50が車軸と対向して配置される。
【0011】
磁気検出素子10は、被検出体である移動体の移動に伴う磁界の変化を感知するホールICなどで構成されている。磁気検出素子10は、先端の鉛直面(Y-Z面)の検出部10aに対して端子10bが検出部10aの上端から直角に後方(-X方向)に突き出して設けられている。磁気検出素子10は、第1のハウジング40の収容部43に収容される。収容部43は、第1のハウジング40と一体に成形され前方(+X方向)に突き出すように成形されている。収容部43は、前方側中央部が開口するとともに、上方(+Z方向)が開口した第1凹部43aが形成され、第1凹部43a内に上方(+Z方向)から磁気検出素子10の検出部10aが収容されて検出部10aの先端面(+X方向の端面)が前方側中央部の開口に位置して被検出体と対向するように配置される。
【0012】
磁石20は、磁気検出素子10に磁界を加えるためのものである。磁石20は、例えば直方体状に形成されたフェライト磁石で構成される。磁石20は、磁気検出素子10が収容される第1凹部43aに隣接する後方(-X方向)に設けられ下方(-Z方向)が開口した第2凹部43bに下方から収容されている。
【0013】
リード端子30は、第1のハウジング40に一体成形される収容部43の上面と平行に配置されて第1のハウジング40および収容部43にインサート成形により埋設一体化されており、前方側の端部が磁気検出素子10の端子10bと半田付けなどで接続され、後方側の端部30a(図3参照)が第1のハウジング40の後方のコネクタ部44内に突き出すコネクタピンとして検出信号を外部に導出できるようにしてある。
なお、リード端子30の前方側の端部と磁気検出素子10の端子10bとの間には、基板を設け、磁気検出素子10の検出信号を処理するICやチップ素子などの電子部品が実装された出力信号処理回路を設けておき、基板の処理回路で処理された出力信号を、リード端子30を介してコネクタ部44から外部に導出できるようにしたり、あるいは、磁気検出素子10からの検出信号を出力した後、外部の処理回路で処理するようにしてある。
【0014】
第1のハウジング40は、図1に示すように、大小2つの円弧部を連結した外形が略小判状の本体部41と、本体部41の小さな円弧部の中心部に同心上に形成された固定部42と、本体部41の大きな円弧部の中心部から前方(+X方向)に突き出して一体に形成された収容部43と、本体部41の大きな円弧部から後方(-X方向)に突き出して一体に形成されたコネクタ部44と、を備えて構成されており、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT:Poly Butylene Terephthalate)樹脂など合成樹脂製とされている。
なお、2つの円弧部の大きさは同じであっても良い。
【0015】
固定部42は、金属製で円筒状のカラー42aを備えるとともに、第1のハウジング40の本体部41の下方に突き出す部分に一体化されている。固定部42は、本体部41の小さな円弧部に金属製の円筒状のカラー42aをインサート成形することで一体化されている。カラー42aには、図3に示すように、後方(-X方向)から固定用ボルトを入れて固定対象70に締め付けることで、第1のハウジング40を固定できる。
本体部41は、大きな円弧部の内側縁部と小さな円弧部のカラー42aの大きな円弧部側の半円部とで囲まれる部分が側壁部41aとされ、側壁部41aで囲まれた内側部分が凹部とされて平板状の底板部41bで後方(-X方向)側が塞がれている。
【0016】
収容部43は、本体部41の底板部41bの前方側に円柱部43cを介して前方に突き出して略直方体状に一体に合成樹脂で成形されている。円柱部43cの外周部には、Oリング溝が形成されてOリング45が装着され、後述する嵌合連結される第2のハウジング50との間をシール状態とする。
収容部43は、既に説明したように、第1凹部43aと第2凹部43bとが設けられ、第1凹部43aには、磁気検出素子10が、第2凹部43bには、磁石20がそれぞれ装着される。
【0017】
コネクタ部44は、中空の四角筒状とされて後方(-X方向)が開口し、本体部41の底板部41bから後方に突き出して一体に形成されており、外部の装着側のコネクタ(図示せず)を所定の向きに連結でき、係止凹凸部によってコネクタ同士の係止連結状態を保持できるようにしてある。
【0018】
第2のハウジング50は、第1のハウジング40の一方側(前方側(+X方向))を覆って嵌合連結され被検出体と対向して配置される有底の円筒部51と、円筒部51の開口端に一体に形成されたフランジ部52とを備えて形成されている。第2のハウジング50は、第1のハウジング40と同一の合成樹脂製とされ、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂など合成樹脂製とされている。
第2のハウジング50は、第1のハウジング40に一体に形成された収容部43に収容された磁気検出素子10および磁石20などを覆うカバーとして円筒部51が機能しており、円筒部51の外周には、補強用のリブ51aが円周方向等間隔に複数本一体に形成してある。リブ51aにより、剛性を高めて固定対象70からの振動の影響を緩和する。また、リブ51aは、Oリング53取り付け時の誘い込みおよび移動物体検出装置100を固定対象70に取り付ける際の誘い込みとしての機能を有している。円筒部51のリブ51aの後方には、Oリング溝51bが形成され、Oリング53が装着され、固定対象70との間をシールするとともに、Oリング53によって固定対象70からの振動の第1のハウジング40への伝達を抑えている。
フランジ部52は、第1のハウジング40の側壁部41aの内側形状に沿った外形状に形成されており、周囲を囲む側壁部52aと、側壁部52aの前方側の開口部を塞ぐとともに、円筒部51が一体に設けられた蓋板部52bとで構成される。
これにより、第2のハウジング50を第1のハウジング40の内側に被せるように装着して連結することで、第1のハウジング40の側壁部41aの内側に、第2のハウジング50のフランジ部52の側壁部52aが接するように嵌合され、側壁部41aの開口部が蓋板部52bで塞がれた状態となり、フランジ部52が第1のハウジング40の固定部42と同一の厚みとなる。
すなわち、第1のハウジング40の本体部41の側壁部41aの高さと第2のハウジング50のフランジ部52の側壁部52aの高さとが、嵌合連結状態とした場合に、蓋板部52bが第1のハウジング40の固定部42と同一の厚みとなるように設定してある。
また、第2のハウジング50のフランジ部52は、第1のハウジング40を固定部42によって固定対象70に固定設置すると、第1のハウジング40と固定対象70とに挟み込まれることになり、移動体検出装置100を確実に固定対象70に保持することができる。
【0019】
第1のハウジング40と第2のハウジング50との間には、嵌合連結状態を保持する連結保持機構60が設けられている。
固定対象70に固定される固定側となる第1のハウジング40には、側壁部41aに4箇所の係合凹部61が略矩形の孔として形成されている。
第1のハウジング40に嵌合連結される連結側となる第2のハウジング50の側壁部52aに、係合凹部61に内側から外側に向かって係合するフックを備えた係合凸部62が一体に形成されている。
これにより、第2のハウジング50の側壁部52aを第1のハウジング40の側壁部41aの内側に装着して連結することで、第2のハウジング50の係合凸部62のフックが第1のハウジング40の係合凹部61の孔に係合し、第1のハウジング40と第2のハウジング50の嵌合連結状態が連結保持機構60で保持される。
なお、係合凹部61と係合凸部62は、逆に第1のハウジング40に係合凸部62を設け、第2のハウジング50に係合凹部61を設けるようにしても良い。
さらに、この移動体検出装置100では、第1のハウジング40を固定部42を介して固定対象70に固定設置すると、第1のハウジング40に嵌合連結した第2のハウジング50のフランジ部52が、第1のハウジング40と固定対象70とに挟み込まれることになり、例え、連結保持機構60による嵌合連結状態に問題が生じても移動体検出装置100を確実に固定対象70に保持することができる。
【0020】
このような移動体検出装置100は、図3に示すように、円柱部43cにOリング45を装着し、収容部43に磁気検出素子10および磁石20を収納した第1のハウジング40に第2のハウジング50を被せるようにして嵌合連結し、連結保持機構60の係合凹部61と係合凸部62とを係合して連結状態を保持する。また、第2のハウジング50のOリング溝51bにOリング53を装着しておく。
次いで、移動体検出装置100を、固定対象70に形成した図示しない被検出体と対向する取付孔71に第2のハウジング50を装着するようにし、第1のハウジング40の固定部42のカラー42aに入れた取付ボルトを固定対象70に締め付けることで固定する。コネクタ部44には、外部から装着用のコネクタが接続され、検出信号を外部に出力できるようにする。
これにより、移動体検出装置100は、取付ボルトで固定対象70に固定され、被検出体と磁気検出素子10が対向した状態となり、被検出体の移動量(回転数など)が磁気検出素子10で検出(計測)される。
移動体検出装置100を、例えば、回転検出装置とする場合には、二輪車の前輪の車軸が被検出体とされ、車軸近傍の車体が固定対象70とされ、固定対象70に第1のハウジング40の固定部42を固定することで、第1のハウジング40に嵌合連結された第2のハウジング50の先端が取付孔71内で車軸と対向して配置される。これにより、被検出体である二輪車の車軸が回転することにより生じる磁気変化から車軸の回転数が計測され、車速が演算されて外部に出力されたり、あるいは、車軸の回転数が検出されて出力される。
【0021】
移動体検出装置100では、第1のハウジング40に収容部43を一体に形成してリード端子30をインサート成形により埋設一体化しておき、収容部43の第1凹部43aに磁気検出素子10を収容し、第2凹部43bに磁石20を収容し、第1のハウジング40を、固定部42を介して固定対象70に固定しているので、被検出体の振動系と移動体検出装置100の振動系が同一となる。
これにより、これまでの装置では、第2のハウジング50を機器側である固定対象に固定し、第2のハウジング50に第1のハウジング40を連結していたので、被検出体の振動が第2のハウジング50を介して磁気検出素子10や磁石20が収容固定された第1のハウジング40に伝達され、2つの振動系から振動が伝達され、これらの振動の影響により検出精度の低下を招いていたが、本願移動体検出装置100によれば、振動系が1つとなり振動の影響を抑えて高精度に検出することができる。
また、これまでの装置では、第2のハウジング50に磁気検出素子10や磁石20を収容し樹脂を充填して硬化させるようにしていたが、本願移動体検出装置100では、樹脂の充填による固定が不要となり、硬化時間を設ける必要がなく、短時間で効率よく生産することができる。
移動体検出装置100では、第1のハウジング40の内側に第2のハウジング50を配置して嵌合連結するようにしたので、第2のハウジング50をコンパクトにすることができ、小型軽量化により振動系の質量を小さくして振動の影響を抑えることができる。
また、第2のハウジング50は、Oリング溝51bの外周に装着したOリング53を介して固定対象70の取付孔71に装着してあるので、固定対象70からの振動をOリング53で緩和することができ、振動低減効果を期待することができる。
【0022】
以上、実施の形態と共に、具体的に説明したように、本発明の移動体検出装置100によれば、被検出体の移動に応じた電気信号を出力する磁気検出素子10と、磁気検出素子10に磁界を加える磁石20と、磁気検出素子10に接続されるリード端子30と、磁気検出素子10、磁石20およびリード端子30が一方側に取り付けられる第1のハウジング40と、第1のハウジング40の一方側を覆って嵌合連結され被検出体と対向して配置される第2のハウジング50と、を有し、第1のハウジング40には、固定対象70に固定設置するための固定部42が設けられるとともに、リード端子30の一部が埋設一体化されて構成されているので、固定対象70の振動系と磁気検出素子10や磁石20の振動系が同一となり、異なる振動系による検出精度の低下を抑えて高精度に検出することができる。
また、固定対象70に固定する第1のハウジング40に磁気検出素子10や磁石20を固定するので、第2のハウジング50に樹脂を充填し硬化させて磁気検出素子10や磁石20を固定する必要がなく、硬化時間が不要となり短時間に効率よく生産することができる。
【0023】
本発明の移動体検出装置100によれば、第2のハウジング50には、固定部42による固定設置にともない第1のハウジング40と固定対象70とに挟み込まれるフランジ部52が設けられているので、第1のハウジング40を介して第2のハウジング50を確実に固定することができる。これにより、万一、第1のハウジング40と第2のハウジング50との嵌合連結が解放されるようなことがあってもそのまま固定対象70への固定状態を維持することができる。
【0024】
本発明の移動体検出装置100によれば、固定部42は、金属製で円筒状のカラー42aを備えるとともに、第1のハウジング40に一体化され、フランジ部52は、固定部42の周囲の少なくとも一部に形成されているので、固定部42の金属製のカラー42aによって固定対象70に確実に固定することができるとともに、固定部42の固定にともなってフランジ部52を挟んで固定することができ、一層強固に、確実に固定することができる。
【0025】
なお、上記実施の形態では、移動体検出装置100を回転検出装置として回転運動する被検出体を検出する場合を例に説明したが、これに限らず、直線運動する被検出体を検出する場合であっても良い。
また、磁気検出素子10は、ホールICで構成した場合を例に説明したが、これに限らず他の形式のものなど任意のものであっても良い。
さらに、第1のハウジング40や第2のハウジング50等の素材については、特に限定するものではなく、通常使用される合成樹脂などを用いることができる。
また、移動体検出装置100でのX,Y,Z方向は、説明のために設定したものであり、移動体検出装置100の取付方向等は、これらの方向に限定するものでない。
また、本発明は、上記実施の形態に何ら限定するものではない。
【符号の説明】
【0026】
100 移動体検出装置
10 磁気検出素子
10a 検出部
10b 端子
20 磁石
30 リード端子
30a 端部
40 第1のハウジング
41 本体部
41a 側壁部
41b 底板部
42 固定部
42a カラー
43 収容部
43a 第1凹部
43b 第2凹部
43c 円柱部
44 コネクタ部
45 Oリング
50 第2のハウジング
51 円筒部
51a リブ
51b Oリング溝
52 フランジ部
52a 側壁部
52b 蓋板部
53 Oリング
60 連結保持機構
61 係合凹部
62 係合凸部
70 固定対象
71 取付孔
図1
図2
図3