(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G10K 11/178 20060101AFI20220301BHJP
B60R 11/02 20060101ALN20220301BHJP
【FI】
G10K11/178 100
B60R11/02 S
(21)【出願番号】P 2019526149
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012078
(87)【国際公開番号】W WO2019003525
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2017125857
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 堅一
(72)【発明者】
【氏名】浅田 宏平
(72)【発明者】
【氏名】板橋 徹徳
(72)【発明者】
【氏名】林 繁利
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 剛
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-008098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0112490(US,A1)
【文献】特開平06-067679(JP,A)
【文献】特開2012-252240(JP,A)
【文献】特開2017-097186(JP,A)
【文献】特開2007-003994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0079234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
B60R 11/02
H04R 1/10
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する信号処理部
と、
他の装置との協調動作が異なる複数の動作モードの中から前記信号処理部の動作モードを選択する動作モード制御部と、
を備え
、
前記信号処理部は、前記他の装置がノイズキャンセル機能を有する場合、前記他の装置との間でノイズキャンセル能力に関する情報を交換する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第2の信号は、前記ノイズの周波数を決定するための情報である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ノイズは、回転運動に伴うノイズであり、
前記第2の信号は、前記回転運動の回転数を示す情報である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ノイズ源は、車両の動力源であり
前記第2の装置は、前記車両に搭載され、前記第2の信号を無線送信する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記動作モード制御部は、前記ノイズの高域成分の多さに応じて前記動作モードを選択する、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ノイズ源は、車両の動力源であり、
前記動作モード制御部は、前記ユーザが前記車両の車室内に入ったか否かに応じて前記動作モードを選択する、請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記動作モード制御部は、前記車両の車室内にいる人の数に応じて前記動作モードを選択する、請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号は、前記第1の装置が有する第1の音響出力部又は前記第2の装置が有する第2の音響出力部の少なくともいずれかにより出力される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力信号は、前記ノイズキャンセル信号、又は前記ノイズキャンセル信号と音源から発生した音響信号に所定の信号処理が適用された信号とを合成した信号の少なくともいずれかである、請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記信号処理部は、無線通信路を含まない第1の経路を介して前記第1の信号を取得し、無線通信路を含む第2の経路を介して前記第2の信号を取得し、
前記出力信号は、前記第1の音響出力部により出力される、請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記信号処理部は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象として前記ノイズキャンセル信号を生成する、請求項
10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記信号処理部は、無線通信路を含む第3の経路を介して前記第1の信号を取得し、無線通信路を含まない第4の経路を介して前記第2の信号を取得し、
前記出力信号は、前記第2の音響出力部により出力される、請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記信号処理部は、前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象として前記ノイズキャンセル信号を生成する、請求項
12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
ユーザが装着した状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有し、前記音響入力部により第1の信号を検出する第1の装置と、
ノイズ源から発生するノイズを示す第2の信号を取得する第2の装置と、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する第3の装置と、
前記第2の信号に基づいて前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象とする第2のノイズキャンセル信号を生成する第4の装置と、を備え、
前記第3の装置は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象とする第1のノイズキャンセル信号を生成し、
前記第1の装置は、前記第1のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第1の音響出力部を有し、
前記第2の装置は、前記第2のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第2の音響出力部を有する、
情報処理システム。
【請求項15】
ユーザが装着した状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有し、前記音響入力部により第1の信号を検出する第1の装置と、
ノイズ源から発生するノイズを示す第2の信号を取得する第2の装置と、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する
複数の第3の装置と、
一方の前記第3の装置は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象とする第1のノイズキャンセル信号を生成し、
他方の前記第3の装置は、前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象とする第3のノイズキャンセル信号を生成し、
前記第1の装置は、前記第1のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第1の音響出力部を有し、
前記第2の装置は、前記第3のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第2の音響出力部を有する、
情報処理システム。
【請求項16】
プロセッサが、
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得
し、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得
し、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号
を生成
し、
他の装置との協調動作が異なる複数の動作モードの中から前記プロセッサの動作モードを選択し、
前記他の装置がノイズキャンセル機能を有する場合、前記他の装置との間でノイズキャンセル能力に関する情報を交換する、
情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータ
に、
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成
し、
他の装置との協調動作が異なる複数の動作モードの中から前記コンピュータの動作モードを選択し、
前記他の装置がノイズキャンセル機能を有する場合、前記他の装置との間でノイズキャンセル能力に関する情報を交換する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノイズキャンセリング(ノイズ相殺)技術が広く開発されている。ノイズキャンセリング技術によれば、ノイズの音響特性を得ることで、ノイズを打ち消す(即ち、キャンセルする)音響(audio)を発生させることにより、ノイズをキャンセルすることが可能である。例えば、下記特許文献1には、ノイズをキャンセルする音響を複数のスピーカから出力し、それぞれのスピーカからマイクロホンまでの複数の経路に対して適応アルゴリズムを適用することで、安定的にノイズをキャンセルする技術が開示されている。
【0003】
一方で、近年では常時装着することが想定される様々なウェアラブルデバイスが普及している。例えば、下記特許文献2では、耳穴開放型イヤホンが開示されている。耳穴開放型イヤホンは、いわゆるイヤホンと同様にユーザに装着されて使用される。ただし、耳穴開放型イヤホンは、装着状態において耳穴を密閉しないので、非装着時と同等の周囲音の聴取特性が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-61868号公報
【文献】国際公開第2016/067700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に開示されているような、非装着時と同等の周囲音の聴取特性を有するウェアラブルデバイスでは、典型的な密閉型のイヤホンと比較して周囲のノイズの影響を大きく受ける。そのため、上記特許文献1に開示されているようなノイズキャンセリング技術だけでは十分にノイズをキャンセルすることが困難な場合がある。
【0006】
そこで、本開示では、複数の装置を協調して動作させることで、より高いノイズキャンセル効果得ることが可能な仕組みを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する信号処理部、を備える情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、ユーザが装着した状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有し、前記音響入力部により第1の信号を検出する第1の装置と、ノイズ源から発生するノイズを示す第2の信号を取得する第2の装置と、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する第3の装置と、を備える、情報処理システムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得することと、ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得することと、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号をプロセッサにより生成することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、コンピュータを、ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する信号処理部、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、複数の装置を協調して動作させることで、より高いノイズキャンセル効果得ることが可能な仕組みが提供される。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る耳穴開放デバイスの外観構成の一例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの構成の一例を説明するための図である。
【
図4】本実施形態に係るANCによるエンジン音を対象としたノイズキャンセル処理を説明するための図である。
【
図5】典型的なANCによるエンジン音を対象としたノイズキャンセル処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの第1の動作モードの第1の例を説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの第1の動作モードの第2の例を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの第2の動作モードを説明するための図である。
【
図9】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの第3の動作モードを説明するための図である。
【
図10】本実施形態に係るノイズキャンセリングシステムの第4の動作モードを説明するための図である。
【
図11】本実施形態に係るANCにより実行される動作モード制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】耳穴開放デバイスと車載装置との協調動作処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図13】耳穴開放デバイスと車載装置との協調動作処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図14】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じてANC300A及び300Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、ANC300A及び300Bを特に区別する必要が無い場合には、単にANC300と称する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.はじめに
1.1.概要
1.2.耳穴開放デバイスの外観構成
2.ノイズキャンセリングシステムの構成例
2.1.耳穴開放デバイス
2.2.車載装置
2.3.ANC
3.処理の流れ
4.ハードウェア構成例
5.まとめ
【0016】
<<1.はじめに>>
<1.1.概要>
図1は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の概要を説明するための図である。ユーザは、耳穴開放デバイス100を常時装着しながら生活する。耳穴開放デバイス100は、装着状態において耳穴を密閉しないので、非装着時と同等の周囲音の聴取特性が実現される。そのため、ユーザは、耳穴開放デバイス100を装着していても、非装着時と同様に周囲音を聴きながら生活することが可能である。
図1に示した例では、ユーザは、耳穴開放デバイス100を装着しながら、歩き、その後自動車に乗り込んで運転し、自動車を降りて自宅で寛ぐ。
【0017】
耳穴開放デバイス100は、単体でノイズをキャンセルすることも可能であるし、他の装置と協調してノイズをキャンセルすることも可能である。ユーザが歩行している場合、例えば、耳穴開放デバイス100は、耳穴開放デバイス100に設けられたスピーカ及びマイクを用いて、即ち耳穴開放デバイス100単体でノイズキャンセル処理を行う。ユーザが自動車を運転している場合、例えば、耳穴開放デバイス100は、自動車と協調してエンジン音を対象としたノイズキャンセル処理を行う。ユーザが自宅で寛いでいる場合、例えば、耳穴開放デバイス100は、部屋にある扇風機と協調して扇風機のモータ音を対象としたノイズキャンセル処理を行う。
【0018】
このように、本実施形態に係る耳穴開放デバイス100は、ユーザの生活シーンに応じて周囲にある装置と協調してノイズをキャンセルすることが可能である。
【0019】
<1.2.耳穴開放デバイスの外観構成>
図2は、本実施形態に係る耳穴開放デバイスの外観構成の一例を説明するための図である。
図2に示すように、耳穴開放デバイス100は、聴取者(即ち、ユーザ)の片耳に装着されて用いられる。
【0020】
図2に示すように、耳穴開放デバイス100は、音響を発生する音響発生部110と、音響発生部110により発生される音響を一端121から取り込む音導部120と、音導部120を他端122付近で保持する保持部130を備えている。音導部120は、中空の管材から成り、その両端は共に開放端である。音導部120の一端121は、音響発生部110からの発生音の音響入力孔であり、他端122はその音響出力孔である。従って、一端121が音響発生部110に取り付けられることで、音導部120は片側開放状態となっている。
【0021】
保持部130は、外耳道の入り口付近(例えば、珠間切痕)と係合して、音導部120の他端122の音響出力孔が外耳道の奥側を向くように、音導部120をその他端122付近で支持する。音導部120の少なくとも他端122付近の外径は、耳穴の内径よりもはるかに小さくなるように形成されている。従って、音導部120の他端122が保持部130によって外耳道の入り口付近で保持されている状態でも、聴取者の耳穴を塞ぐことはない。すなわち、耳穴は開放されている。耳穴開放デバイス100は、典型的なイヤホンとは異なり、耳穴開放型のイヤホンであると言える。
【0022】
また、保持部130は、音導部120を保持した状態でも、外耳道の入り口(耳穴)を外界に開放する開口部131を備えている。
図2に示した例では、保持部130はリング状の構造体であり、リング内側方向へ設けられた棒状の支持部材132がリング中心付近で合わさる部分に音響入力部140が設けられており、リング状構造体のそれ以外の部分はすべて開口部131となっている。なお、保持部130は、リング状構造に限定されるものではなく、中空構造を備えていれば、音導部120の他端122を支持し、音響入力部140を設けられる任意の形状でよい。
【0023】
管状の音導部120は、音響発生部110から発生される音響をその一端121から管内に取り込むと、その空気振動を伝搬して、保持部130によって外耳道の入り口付近に保持された他端122から外耳道に向けて放射して、鼓膜に伝える。
【0024】
上述したように、音導部120の他端122付近を保持する保持部130は、外耳道の入り口(耳穴)を外界に開放する開口部131を備えている。従って、耳穴開放デバイス100を装着した状態でも、聴取者の耳穴が塞がれることはない。聴取者は、耳穴開放デバイス100を装着して音響発生部110から出力される音響を聴取している間も、開口部131を介して周囲音を十分に聴取することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る耳穴開放デバイス100は、耳穴を開放しているが、音響発生部110からの発生音(即ち、再生音)の外部への漏れを防止することができる。なぜならば、音導部120の他端122が外耳道の入り口付近で外耳道の奥を向くように取り付けられ、音響発生部110の出力が小さくても十分な音質を得ることができるからである。また、音導部120の他端122から放射される空気振動の指向性も、音漏れの防止に寄与し得る。
【0026】
音導部120は、中間部分に、耳介の背面側から正面側に折り返す屈曲形状を有している。この屈曲部分は、開閉構造を有するピンチ部123となっており、ピンチ力を発生して耳垂を挟持することで、耳穴開放デバイス100の聴取者への装着を維持することが可能である。
【0027】
リング状の保持部130のリング中心付近に設けられる音響入力部140は、鼓膜と反対側を向いて設けられ、周囲音を主に検出(即ち、収音)する。即ち、音響入力部140は、外耳道の奥側を向いて配置される他端122と逆方向を向いて設けられる。そのため、音響入力部140による検出結果への、他端122から出力される音響発生部110からの発生音の影響が軽減される。
【0028】
音響入力部140は、ノイズキャンセルのためのいわゆるエラーマイクとして機能し、音響入力部140による検出結果はエラー信号として扱われる。音響入力部140が耳穴付近、即ち鼓膜付近に配置されるので、高いノイズキャンセル精度が期待される。
【0029】
なお、
図2に示した耳穴開放デバイス100は、右耳に装着されることを想定して構成されているが、左耳装着用の耳穴開放デバイス100は、これとは左右対称に構成される。また、耳穴開放デバイス100は、右耳用と左耳用との両方を含む両耳用として構成されてもよい。
【0030】
<<2.ノイズキャンセリングシステムの構成例>>
図3は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の構成の一例を説明するための図である。
図3に示すように、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1は、耳穴開放デバイス100、車載装置200、及びANC(Active Noise Canceller)300を含む。
【0031】
<2.1.耳穴開放デバイスの構成例>
耳穴開放デバイス100は、ユーザに装着されて音響の入出力を行う装置である。本実施形態に係る耳穴開放デバイス100は、第1の装置に相当する。
図1を参照して説明したように、耳穴開放デバイス100は、ユーザに装着された状態でユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部140を有する。耳穴開放デバイス100は、両耳用として構成される場合、ユーザに装着された状態でユーザの右の耳穴から所定距離内に配置される右耳用の音響入力部140A、及び左の耳穴から所定距離内に配置される左耳用の音響入力部140Bを有する。また、
図1を参照して説明したように、耳穴開放デバイス100は、ユーザに装着された状態でユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響発生部110を有する。耳穴開放デバイス100は、両耳用として構成される場合、ユーザに装着された状態でユーザの右の耳穴から所定距離内に配置される右耳用の音響発生部110A、及び左の耳穴から所定距離内に配置される左耳用の音響発生部110Bを有する。耳穴から所定距離内に配置されることは、鼓膜から所定距離内に配置されること、又は外耳道の入り口付近に配置されることとして捉えられてもよい。
【0032】
音響入力部140は、周囲音を検出するマイクロホン(以下、単にマイクとも称する)を含み、マイクによる検出結果を示す音響信号(以下、第1の信号とも称する)を生成する。音響入力部140は、マイクにより得られた音響信号を増幅処理するマイクアンプ回路、アナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog Digital Converter)、並びにノイズキャンセル及び音源分離等の処理を行う信号処理回路を有していてもよい。
【0033】
音響発生部110は、音響信号を出力する第1の音響出力部である。音響発生部110は、DAC(Digital Analog Converter)およびアンプを含んでいてもよく、音響信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、出力(即ち、再生)する。例えば、音響発生部110は、ANC300により生成されるノイズキャンセル信号を出力する。他にも、耳穴開放デバイス100は、コンテンツ再生機能を有していてもよく、例えば音源から取得された音響信号を音響発生部110から出力してもよい。
【0034】
<2.2.車載装置の構成例>
車載装置200は、ノイズ源を管理する装置の一例である。本実施形態に係る車載装置200は、第2の装置に相当する。車載装置200は、ノイズ源から発生するノイズを示す信号(以下、第2の信号とも称する)を取得する。第2の信号は、ノイズ源から発生するノイズの周波数を情報である。例えば、ノイズ源は、回転運動を行う動体を含み、ノイズは、かかる回転運動に伴うノイズであり、第2の信号は、回転運動の回転数を示す情報である。具体的には、ノイズ源は、内燃機関(即ち、エンジン)又はモータ等の車両の動力源であってもよい。なお、動力源の回転数を示す情報は、回転数そのものを示す情報であってもよいし、クランクパルス等の回転数に関連する情報であってもよい。典型的には、車載装置200は、ノイズ源と一体的に、例えば同一の筐体に含まれて構成される。本明細書では、ノイズ源はエンジンであり、車載装置200は当該エンジンが搭載される自動車に搭載されるものとする。
【0035】
車載装置200は、車室内の音を検出して検出結果を示す音響信号を生成する音響入力部(後述する車載マイク220に相当)を含む。この音響入力部は、マイクにより得られた音響信号を増幅処理するマイクアンプ回路、アナログ信号をデジタル信号に変換するADC、並びにノイズキャンセル及び音源分離等の処理を行う信号処理回路を有していてもよい。
【0036】
車載装置200は、音響信号を出力する第2の音響出力部(後述する車載スピーカ210に相当)を含む。第2の音響出力部は、DAC(Digital Analog Converter)およびアンプを介して、音響信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、出力(即ち、再生)する。例えば、車載装置200は、ANC300により生成されるノイズキャンセル信号を出力する。他にも、車載装置200は、コンテンツ再生機能を有していてもよく、例えば音源から取得された音響信号を第2の音響出力部から出力してもよい。第2の音響出力部は、例えば自動車の車載オーディオ用途のドアウーファーにより実現される。他にも、第2の音響出力部は、座席のヘッドレストにおける乗員の耳元に配置されたり、天井に配置されたりしてもよい。
【0037】
<2.3.ANCの構成例>
ANC300は、ノイズキャンセル信号を生成する装置である。本実施形態に係るANC300は、第3の装置に相当する。本実施形態に係るANC300は、第3の装置に相当する。
図3に示すように、ANC300は、取得部310、信号処理部320、及び動作モード制御部330を含む。
【0038】
・取得部310
取得部310は、耳穴開放デバイス100から第1の信号を取得し、車載装置200から第2の信号を取得する。取得部310は、有線又は無線の通信インタフェースにより実現されてもよく、有線通信路又は無線通信路を介して第1の信号又は第2の信号を取得する。
【0039】
ANC300は、耳穴開放デバイス100と一体的に、又は耳穴開放デバイス100に含まれて構成されてもよい。その場合、ANC300は、有線通信路を介して第1の信号を取得する。一方で、ANC300は、無線通信路を介して第2の信号を取得する。かかる無線通信路は、LTE、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))、NFC(Near Field Communication)又はZigBee(登録商標)等の任意の無線通信規格に準拠して確立される。
【0040】
ANC300は、車載装置200と一体的に、又は車載装置200に含まれて構成されてもよい。その場合、ANC300は、無線通信路を介して第1の信号を取得する。かかる無線通信路は、任意の無線通信規格に準拠して確立される。一方で、ANC300は、有線通信路を介して第2の信号を取得する。かかる有線通信路は、例えばCAN(Controller Area Network)-BUSである。
【0041】
・信号処理部320
信号処理部320は、取得部310により取得された第1の信号及び前記第2の信号に基づいてノイズ源から発生するノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する。例えば、信号処理部320は、第1の信号をエラー信号とし、第2の信号に基づいて参照信号を生成し、AFF(Adaptive Feedforward)方式のノイズキャンセル処理を行うことで、ノイズキャンセル信号を生成する。ここで、参照信号とは、典型的なAFF方式のノイズキャンセル処理において、いわゆるリファレンスマイクにより検出される、ノイズの音響信号である。AFF方式のノイズキャンセル処理は、エンジンの回転数の変動等に応じてノイズの周波数が変動する場合であっても、フィルタの特性をその変動に追従させることで、継続的にノイズをキャンセルすることが可能である。ANC300によるノイズキャンセル処理を、
図4を参照して説明する。
【0042】
図4は、本実施形態に係るANC300によるエンジン音を対象としたノイズキャンセル処理を説明するための図である。ANC300は、エンジン290の回転数を示す第2の信号に基づいてターゲット周波数を決定し、ターゲット周波数の正弦波を発生させる。このターゲット周波数の正弦波は、いわゆるリファレンスマイクにより検出される参照信号に相当する。
【0043】
ANC300は、可変フィルタのフィルタ係数を設定する。詳しくは、適応アルゴリズムは、第1の信号、参照信号、及び音響伝達特性Hの推定値に基づいて、適応アルゴリズムを用いてフィルタ係数を算出する。そして、ANC300は、可変フィルタのフィルタ係数を、適応アルゴリズムにより算出したフィルタ係数に逐次的に書き換える。なお、用いられ得る適応アルゴリズムとしては、例えば、LMS(Least Mean Square)等が挙げられる。また、音響伝達特性Hは、ノイズキャンセル信号が出力されるスピーカ(例えば、音響発生部110)からエラーマイク(他とベア、音響入力部140)までの伝達経路である二次経路の音響伝達特性である。
【0044】
可変フィルタは、適応アルゴリズムにより設定されたフィルタ係数を参照信号に適用する(即ち、畳み込む)ことで、ノイズキャンセル信号を生成する。生成された信号は、スピーカから出力されて、エラーマイクの位置でエンジンからのノイズがキャンセルされる。
【0045】
続いて、車載のスピーカ及びマイクを用いる典型的な車載ANCによるノイズキャンセル処理を、
図5を参照して説明する。
【0046】
図5は、典型的な車載ANCによるエンジン音を対象としたノイズキャンセル処理の具体例を説明するための図である。
図5に示すように、車載スピーカ210A~210D及び車載マイク220A~220Dが車室内に設けられる。ANC250は、車載マイク220A~220Dにより検出されたエラー信号、及びエンジンから得られる参照信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成し、車載スピーカ210A~210Dから出力させる。車載スピーカ210A~210Dとしては、車載オーディオ用途のドアウーファーが利用可能である。また、車載マイク220A~220Dは、その近傍でノイズがキャンセルされることから、ヘッドレスト近傍又は天井付など、乗員の耳から近い場所に配置されることが望ましい。
【0047】
図5に示した車載ANCは、車載マイク220によりエラー信号が取得される点で本実施形態に係るANC300と異なる。ANC300は、
図5に示した例において、車載マイク220に代えて音響入力部140により取得されたエラー信号に基づいて、ノイズキャンセル信号を生成する。
【0048】
ノイズキャンセル信号に基づいて出力信号が生成される。出力信号は、ノイズキャンセル信号、又はノイズキャンセル信号と音源から発生した音響信号に所定の信号処理が適用された信号とを合成した信号の少なくともいずれかである。所定の信号処理として、例えば、音像定位処理が適用されてもよい。音像定位処理とは、音響信号に対して目的とする音像位置用の各耳の頭部音響伝達関数(HRTF:Head-Related Transfer Function)を時間軸上で畳み込むことで、任意の場所への音像定位を実現させる処理である。ノイズキャンセル信号と音源から発生した音響信号とが合成された合成信号に基づいて出力信号が生成される場合、ユーザは、コンテンツを楽しみながらノイズキャンセル効果を享受することが可能となる。なお、音源としては、音楽、ラジオ音声、通話音声又はナビ音声等が挙げられる。出力信号の生成は、ANC300により行われてもよいし、耳穴開放デバイス100又は車載装置200により行われてもよい。
【0049】
出力信号は、耳穴開放デバイス100が有する第1の音響出力部又は車載装置200が有する第2の音響出力部の少なくともいずれかにより出力される。耳穴開放デバイス100から出力信号が出力される場合、ノイズキャンセル信号が鼓膜付近から出力されるので、高いノイズキャンセル効果を実現可能である。一方で、車載装置200から出力信号が出力される場合、ドアウーファー等の音楽再生用の口径が大きなスピーカから出力信号が出力されることとなる。そのため、特に低域でより効果的にノイズをキャンセルすることが可能である。
【0050】
信号処理部320は、他の装置がノイズキャンセル機能を有する場合、当該他の装置との間でノイズキャンセル能力に関する情報を交換する。例えば、耳穴開放デバイス100がANC300Aを含み、車載装置200がANC300Bを含む場合、耳穴開放デバイス100と車載装置200との間で、即ちANC300AとANC300Bとの間でノイズキャンセル能力に関する情報が交換される。ノイズキャンセル能力に関する情報としては、動作可能周波数、スピーカの口径の大きさ、又は最大音量等のスペック情報が挙げられる。他にも、ノイズキャンセル処理の対象周波数等の動作設定情報、並びに実行中のノイズキャンセル処理によるノイズのキャンセル量又はトラブル情報等のノイズキャンセル処理に関連する情報が交換されてもよい。このような情報の交換により、ANC300は、他の装置と協調して効率的にノイズをキャンセルすることが可能となる。
【0051】
信号処理部320は、ノイズキャンセル処理の対象とする周波数又はノイズキャンセル信号の大きさ(即ち、振幅)を制御してもよい。例えば、信号処理部320は、周囲音のうち、ナビ音声又は警告音等のユーザが気付くべき音の周波数帯域を、ノイズキャンセル対象から除外する。これにより、ユーザは、気づくべき音に気付くことが可能となる。
【0052】
・動作モード制御部330
動作モード制御部330は、他の装置との協調動作が異なる複数の動作モードの中から信号処理部320の動作モードを選択する。複数の動作モード群は、ANC300と耳穴開放デバイス100及び車載装置200との協調動作が異なる動作モードを複数含む。
動作モードのバリエーションについては、後に詳しく説明する。複数の動作モードの中から適切な動作モードが選択されることにより、ANC300が状況に応じた高いノイズキャンセル効果を発揮することが可能となる。
【0053】
ノイズ源が車両の動力源である場合、動作モード制御部330は、ユーザが車両の車室内に入ったか否かに応じて動作モードを選択してもよい。例えば、動作モード制御部330は、ユーザが車室外にいる場合、耳穴開放デバイス100が車載装置200と協調しない動作モードを選択する。一方で、動作モード制御部330は、ユーザが車室内にいる場合、耳穴開放デバイス100と車載装置200とが協調して動作する動作モード(例えば、後述する第1~第4の動作モード)を選択する。このような動作モードの選択により、例えばユーザが耳穴開放デバイス100を装着した状態で歩いて自動車まで移動し、自動車に乗り込んで運転し、その後自動車を降りて歩く、といった状況下でシームレスな動作モードの変更を行うことが可能となる。
【0054】
動作モード制御部330は、ノイズの高域成分の多さに応じて動作モードを選択してもよい。例えば、動作モード制御部330は、高域ノイズが少ない場合、車載装置200で出力信号を出力する動作モード(例えば、後述する第2の動作モード)を選択する。一方で、動作モード制御部330は、高域ノイズが多い場合、耳穴開放デバイス100側で出力信号を出力する動作モード(例えば、後述する第3又は第4の動作モード)を選択する。このような選択により、高域ノイズ及び低域ノイズを効果的にキャンセルすることが可能となる。高域ノイズが耳穴開放デバイス100からの出力信号の出力により効果的にキャンセルされ、低域ノイズが車載装置200からの出力信号の出力により効果的にキャンセルされることは、後に詳しく説明する。
【0055】
動作モード制御部330は、車両の車室内にいる人の数に応じて動作モードを選択してもよい。例えば、動作モード制御部330は、車室内に耳穴開放デバイス100を装着したユーザが複数いる場合、耳穴開放デバイス100と車載装置200との無線通信量が少ない動作モード(例えば、後述する第3の動作モード)を選択する。一方で、動作モード制御部330は、車室内に耳穴開放デバイス100を装着したユーザが一人でいる場合、耳穴開放デバイス100と車載装置200との無線通信量が多い動作モード(例えば、後述する第4の動作モード)を選択する。これにより、ANC300は、無線通信にかかる遅延を考慮したノイズキャンセルを行うことが可能となる。
【0056】
以下、具体的な動作モードの一例を説明する。以下の説明において、百の位が1である構成要素は耳穴開放デバイス100の構成要素であり、百の位が2である構成要素は車載装置200の構成要素であるものとする。
【0057】
(1)第1の動作モード
本動作モードは、耳穴開放デバイス100の音響発生部110により出力信号が出力されるモードである。
【0058】
・第1の例
図6は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の第1の動作モードの第1の例を説明するための図である。
図6に示した動作モードでは、耳穴開放デバイス100に設けられたANC300が動作する。
図6では、耳穴開放デバイス100の構成要素に関しては、同一の構成要素に同一の符号の後に異なるアルファベットを付して、右耳用と左耳用とを区別している。アルファベットAが付された構成要素は右耳用の処理を行い、アルファベットBが付された構成要素は左耳用の処理を行う。なお、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが、車載装置200を搭載した自動車の車室内にいるものとする。
【0059】
車載装置200の無線送信部230は、エンジン290から第2の信号を取得して、耳穴開放デバイス100に無線通信路を介して送信(即ち、無線送信)する。
【0060】
耳穴開放デバイス100の無線受信部150は、車載装置200から送信された第2の信号を受信して、ANC300A及びANC300Bへ出力する。以下、右耳用の処理について説明する。
【0061】
音響入力部140Aは第1の信号を検出して、検出した第1の信号をANC300Aへ出力する。
【0062】
ANC300Aは、第1の信号及び第2の信号を取得する。ここで、ANC300Aは、無線通信路を含まない経路(第1の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。ANC300Aは、無線通信路を含む経路(第2の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300Aは、第1の信号及び第2の信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。
【0063】
ANC300Aにより生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成される。
図6に示した例では、耳穴開放デバイス100は、DAC160Aによりノイズキャンセル信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ162Aにより増幅することで、出力信号を生成する。このようにして生成された出力信号は、音響発生部110Aにより出力される。
【0064】
以上、右耳側の処理について説明した。左耳側の処理も同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0065】
本動作モードによれば、ANC300は、無線通信路を含む経路で第2の信号を取得する。第2の信号は、エンジン290の回転数を示す情報であるので、参照信号と比較してデータ量が少ない。そのため、ANC300は、参照信号が無線送信される場合と比較して、無線の遅延による影響を受けにくい。さらに、エンジン290の回転数は、その変動がある程度予測可能であり、比較的緩やかに変動するものである。そのため、ANC300は、無線に遅延が生じた場合でも、エンジン290の回転数の変動を予測しながらノイズキャンセル信号を生成することで、ノイズキャンセル効果を維持することが可能である。
【0066】
・第2の例
図7は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の第1の動作モードの第2の例を説明するための図である。
図7に示した例では、耳穴開放デバイス100がコンテンツ再生機能を有する。なお、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが、車載装置200を搭載した自動車の車室内にいるものとする。
【0067】
音源164から発生した音響信号は、ANC300A及び300B、並びに加算器166A及び166Bへ出力される。以下、右耳側の処理について説明する。
【0068】
音響入力部140Aは第1の信号を検出して、検出した第1の信号をANC300Aへ出力する。
【0069】
ANC300Aは、第1の信号及び第2の信号を取得する。ここで、ANC300Aは、無線通信路を含まない経路(第1の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。ANC300Aは、無線通信路を含む経路(第2の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300Aは、第1の信号及び第2の信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。
【0070】
とりわけ、ANC300Aは、第1の信号及び第2の信号に加えて、音源164から発生した音響信号に基づいて、ノイズキャンセル信号を生成する。例えば、ANC300Aは、第1の信号から、音源164から発生した音響信号の成分(即ち、回り込み成分)をキャンセルし、回り込み成分のキャンセル後の第1の信号及び第2の信号に基づいて、ノイズキャンセル信号を生成する。これにより、ANC300Aは、ノイズキャンセル処理へのコンテンツの影響を排することが可能となる。
【0071】
ANC300Aにより生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成される。
図7に示した例では、耳穴開放デバイス100は、まず、ANC300Aから出力されたノイズキャンセル信号と音源164から発生した音響信号とを加算器166Aにより合成する。そして、耳穴開放デバイス100は、DAC160Aによりかかる合成信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ162Aにより増幅することで、出力信号を生成する。このようにして生成された出力信号は、音響発生部110Aにより出力される。
【0072】
以上、右耳側の処理について説明した。左耳側の処理も同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0073】
本動作モードによれば、ノイズキャンセル信号と音源から発生した音響信号とが合成された合成信号に基づいて出力信号が生成される。そのため、ユーザは、コンテンツを楽しみながらノイズキャンセル効果を享受することが可能となる。
【0074】
例えば、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが音源を再生しながら自動車の車室内に乗り込んだ場合に、手動または、自動車の車室に入った(又は、車室内にいる)ことを認識する装置(図示しないセンサー等)と連携して自動で、
図7を参照して説明した動作を開始する。このような動作の切り替えにより、ユーザは、耳穴開放デバイス100を操作したり、再生中のコンテンツを停止したりせずとも、シームレスにノイズキャンセル効果を享受することが可能である。
【0075】
(2)第2の動作モード
本動作モードは、車載装置200の車載スピーカ210により出力信号が出力されるモードである。
【0076】
図8は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の第2の動作モードを説明するための図である。
図8に示した例では、車載装置200に設けられたANC300が動作する。
図8では、耳穴開放デバイス100の構成要素に関しては、同一の構成要素に同一の符号の後に異なるアルファベットを付して、右耳用と左耳用とを区別している。アルファベットAが付された構成要素は右耳用の処理を行い、アルファベットBが付された構成要素は左耳用の処理を行う。なお、耳穴開放デバイス100による処理については、右耳側の処理について説明し、左耳側の処理については右耳側と同様であるので説明を省略する。なお、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが、車載装置200を搭載した自動車の車室内にいるものとする。
【0077】
耳穴開放デバイス100は、音源164から発生した音響信号を、DAC160Aによりデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ162Aにより増幅して、音響発生部110Aから出力させる。
【0078】
音響入力部140Aは、第1の信号を検出して、検出した第1の信号を無線送信部152へ出力する。
【0079】
無線送信部152は、音響入力部140A及び140Bにより検出された2チャンネルの第1の信号を、車載装置200に無線通信路を介して送信(即ち、無線送信)する。耳穴開放デバイス100は、音響入力部140により検出された第1の信号から、音源164から発生した音響信号の成分(即ち、回り込み成分)をキャンセルした上で、無線送信することが望ましい。これにより、ANC300によるノイズキャンセル処理へのコンテンツの影響を排することが可能となる。
【0080】
車載装置200の無線受信部232は、耳穴開放デバイス100から送信された第1の信号を受信して、ANC300へ出力する。また、エンジン290の回転数を示す第2の信号は、ANC300へ出力される。
【0081】
ANC300は、第1の信号及び第2の信号を取得する。ここで、ANC300は、無線通信路を含む経路(第3の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。ANC300は、無線通信路を含まない経路(第4の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300は、第1の信号及び第2の信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。
【0082】
ANC300により生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成される。
図7に示した例では、車載装置200は、DAC240によりノイズキャンセル信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ242により増幅することで、出力信号を生成する。このようにして生成された出力信号は、車載スピーカ210A~210Dにより出力される。
【0083】
本動作モードによれば、車載マイクと比較してユーザの鼓膜に近い耳穴開放デバイス100の音響入力部140が、エラーマイクとして機能する。このため、本配置では、
図5に示した例と比較して、高いノイズキャンセル効果を実現することが可能である。
【0084】
(3)第3の動作モード
本動作モードは、音響入力部140及び車載マイク220がエラーマイクとして利用され、音響発生部110及び車載スピーカ210によりノイズキャンセル信号に基づく出力信号が出力されるモードである。とりわけ、本動作モードは、耳穴開放デバイス100と車載装置200とで周波数帯域を分担してノイズキャンセル処理が行われる。
【0085】
図9は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の第3の動作モードを説明するための図である。
図9に示した動作モードでは、耳穴開放デバイス100に設けられたANC300A、300B、及び車載装置200に設けられたANC250が動作する。
図9では、耳穴開放デバイス100の構成要素に関しては、同一の構成要素に同一の符号の後に異なるアルファベットを付して、右耳用と左耳用とを区別している。アルファベットAが付された構成要素は右耳用の処理を行い、アルファベットBが付された構成要素は左耳用の処理を行う。なお、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが、車載装置200を搭載した自動車の車室内にいるものとする。
【0086】
車載装置200の無線送信部230は、エンジン290から第2の信号を取得して、耳穴開放デバイス100に無線通信路を介して送信(即ち、無線送信)する。また、エンジン290の回転数を示す第2の信号は、ANC250へ出力される。
【0087】
車載装置200の車載マイク220A~220Dは、周囲音を検出して検出結果を示す音響信号(以下、第3の信号とも称する)を生成する。車載マイク220A~220Dは、マイクにより得られた音響信号を増幅処理するマイクアンプ回路、アナログ信号をデジタル信号に変換するADC、並びにノイズキャンセル及び音源分離等の処理を行う信号処理回路を有していてもよい。車載マイク220A~220Dは、検出した第3の信号をANC250へ出力する。
【0088】
ANC250は、
図5を参照して説明したように、ノイズキャンセル信号を生成する装置である。本実施形態に係るANC250は、第4の装置に相当する。ANC250は、第3の信号及び第2の信号を取得する。ここで、ANC250は、無線通信路を含まない経路を介して、第3の信号及び第2の信号を取得する。そして、ANC250は、第3の信号及び第2の信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。本動作モードでは、第3の信号が、ANC250によるノイズキャンセル処理におけるエラー信号として用いられる。ただし、ANC250は、ノイズ源から発生するノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象としてノイズキャンセル信号(第2のノイズキャンセル信号に相当)を生成する。
【0089】
ANC250により生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成される。
図9に示した例では、車載装置200は、DAC240によりノイズキャンセル信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、アンプ242により増幅することで、出力信号を生成する。このようにして生成された出力信号は、車載スピーカ210A~210Dにより出力される。
【0090】
耳穴開放デバイス100における処理は、
図7を参照して上記説明した通りである。
即ち、ANC300A及び300Bは、無線通信路を含まない経路(第1の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。また、ANC300は、無線送信部230から無線受信部150への無線通信路を含む経路(第2の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300A及び300Bは、第1の信号及び第2の信号、並びに音源164から発生した音響信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。そして、当該ノイズキャンセル信号に基づく出力信号が音響発生部110から出力される。ただし、本動作モードでは、ANC300A及び300Bは、ノイズ源から発生するノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象としてノイズキャンセル信号(第1のノイズキャンセル信号に相当)を生成する。ANC300A及び300Bにより生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成され、音響発生部110A及び110Bにより出力される。
【0091】
本動作モードによれば、耳穴開放デバイス100側で第1の周波数より高い周波数成分を対象としたノイズキャンセル信号に基づく出力信号が出力され、車載装置200側で第2の周波数より低い周波数成分を対象としたノイズキャンセル信号に基づく出力信号が出力される。即ち、耳穴開放デバイス100側でノイズのうち高周波数成分がキャンセルされ、車載装置200側でノイズのうち低周波成分がキャンセルされる。このような協調動作により、効率よくノイズキャンセル効果を得ることが可能である。
【0092】
耳穴開放デバイス100は、音響回路のサイズなどの制約から低い周波数のノイズキャンセルが難しい。一方で、車載装置200ではエラーマイクとスピーカとの距離的な制約から高い周波数のノイズキャンセルが難しい。この点、本動作モードによれば、耳穴開放デバイス100側が車載装置200側ではキャンセルが困難な高い周波数帯域のノイズをキャンセル対象とし、車載装置200側が耳穴開放デバイス100側ではキャンセルが困難な低い周波数帯域のノイズをキャンセル対象とする、協調動作が実現される。このようなお互いを補い合う協調動作により、ノイズキャンセリングシステム1は、広い周波数帯域を対象とした高いノイズキャンセル効果を得ることが可能である。
【0093】
高域のノイズは、耳とスピーカとの位置関係に応じて、ノイズキャンセル信号によるノイズキャンセル効果が大きく変わる。耳穴開放デバイス100が装着された状態ではユーザの耳とスピーカ(音響発生部110又は他端122)の位置とが固定化される。従って、耳穴開放デバイス100のスピーカから高域のノイズをキャンセルするための出力信号が出力されることはノイズキャンセル効果の安定的な発揮に有効である。
【0094】
なお、第1の周波数と第2の周波数とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ノイズキャンセル効果を全周波数帯域で得るために、両者は同一である又は第1の周波数より第2の周波数の方が高い(即ち、キャンセル対象の周波数帯域が一部重複する)ことが望ましい。
【0095】
(4)第4の動作モード
本動作モードは、音響入力部140の信号のみがエラー信号として利用され、音響発生部110及び車載スピーカ210によりノイズキャンセル信号に基づく出力信号が出力されるモードである。とりわけ、本動作モードは、耳穴開放デバイス100と車載装置200とで周波数帯域を分担してノイズキャンセル処理が行われる。
【0096】
図10は、本実施形態に係るノイズキャンセリングシステム1の第4の動作モードを説明するための図である。
図10に示した動作モードでは、耳穴開放デバイス100に設けられたANC300A、300B及び車載装置200に設けられたANC300Cが動作する。
図10では、耳穴開放デバイス100の構成要素に関しては、同一の構成要素に同一の符号の後に異なるアルファベットを付して、右耳用と左耳用とを区別している。アルファベットAが付された構成要素は右耳用の処理を行い、アルファベットBが付された構成要素は左耳用の処理を行う。なお、耳穴開放デバイス100を装着したユーザが、車載装置200を搭載した自動車の車室内にいるものとする。
【0097】
車載装置200の無線送信部230は、エンジン290から第2の信号を取得して、耳穴開放デバイス100に無線通信路を介して送信(即ち、無線送信)する。その他の車載装置200における処理は、
図8を参照して上記説明した通りである。即ち、ANC300Cは、無線送信部152から無線受信部232への無線通信路を含む経路(第3の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。また、ANC300Cは、無線通信路を含まない経路(第4の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300Cは、第1の信号及び第2の信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。ただし、ANC300Cは、ノイズ源から発生するノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象としてノイズキャンセル信号(第3のノイズキャンセル信号に相当)を生成する。ANC300Cにより生成されたノイズキャンセル信号に基づいて、出力信号が生成され、車載スピーカ210A~210Dにより出力される。
【0098】
耳穴開放デバイス100における処理は、
図7を参照して上記説明した通りである。
即ち、ANC300A及び300Bは、無線通信路を含まない経路(第1の経路に相当)を介して第1の信号を取得する。また、ANC300A及び300Bは、無線送信部230から無線受信部150への無線通信路を含む経路(第2の経路に相当)を介して第2の信号を取得する。そして、ANC300A及び300Bは、第1の信号及び第2の信号、並びに音源164から発生した音響信号に基づいてノイズキャンセル信号を生成する。そして、当該ノイズキャンセル信号に基づく出力信号が音響発生部110から出力される。ただし、本動作モードでは、ANC300A及び300Bは、ノイズ源から発生するノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象としてノイズキャンセル信号(第1のノイズキャンセル信号に相当)を生成する。
【0099】
本動作モードによれば、第3の動作モードと同様の効果が奏される。即ち、本動作モードでは、効率よくノイズキャンセル効果を得ると共に、広い周波数帯域を対象とした高いノイズキャンセル効果を得ることが可能である。
【0100】
さらに、本動作モードによれば、耳穴開放デバイス100の音響入力部140のみがエラーマイクとして機能する。そのため、車載スピーカ210が搭載された自動車であれば、後付けでノイズキャンセリングシステム1を構築することが可能である。
【0101】
<<3.処理の流れ>>
以下、
図11~
図13を参照して、ノイズキャンセリングシステム1における処理の流れの一例を説明する。
【0102】
図11は、本実施形態に係るANC300により実行される動作モード制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、耳穴開放デバイス100又は車載装置200の少なくともいずれかにANC300が含まれているものとする。以下に説明する処理は、耳穴開放デバイス100に含まれるANC300又は車載装置200に含まれるANC300のいずれにより実行されてもよい。
【0103】
図11に示すように、まず、ANC300は、耳穴開放デバイス100単体でノイズキャンセル効果が十分に得られるか否かを判定する(ステップS100)。例えば、耳穴開放デバイス100に含まれるANC300は、まず第1の動作モードで動作しながら、エラー信号に基づいてノイズが十分にキャンセルされているか否かを判定する。
【0104】
耳穴開放デバイス100単体でノイズキャンセル効果が十分に得られると判定された場合(ステップS100/YES)、ANC300は、第1の動作モードを選択する(ステップS102)。
【0105】
一方で、耳穴開放デバイス100単体でノイズキャンセル効果が十分には得られないと判定された場合(ステップS100/NO)、ANC300は、自動車の車室内に耳穴開放デバイス100を装着したユーザが複数人乗車しているか否かを判定する(ステップS104)。
【0106】
複数人乗車していると判定された場合(ステップS104/YES)、ANC300は、高域ノイズが所定の閾値より多いか否かを判定する(ステップS106)。高域ノイズが所定の閾値より多いと判定された場合(ステップS106/YES)、ANC300は、第3の動作モードを選択する(ステップS108)。一方で、高域ノイズが所定の閾値より少ないと判定された場合(ステップS106/NO)、ANC300は、第2の動作モードを選択する(ステップS110)。
【0107】
一人で乗車していると判定された場合(ステップS104/NO)、ANC300は、高域ノイズが所定の閾値より多いか否かを判定する(ステップS112)。高域ノイズが所定の閾値より多いと判定された場合(ステップS112/YES)、ANC300は、第4の動作モードを選択する(ステップS114)。一方で、高域ノイズが所定の閾値より少ないと判定された場合(ステップS112/NO)、ANC300は、第2の動作モードを選択する(ステップS116)。
【0108】
以上により、処理は終了する。
【0109】
図12及び
図13は、耳穴開放デバイス100と車載装置200との協調動作処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。なお、耳穴開放デバイス100又は車載装置200の少なくともいずれかにANC300が含まれているものとする。
【0110】
図12に示すように、まず、耳穴開放デバイス100及び車載装置200は、接続処理を行う。詳しくは、まず、車載装置200は、識別情報を含む無線信号を送信する(ステップS300)。この識別情報には、例えば車載装置200のメーカID及び製品ID等の、車載装置200を識別するための情報が含まれる。耳穴開放デバイス100は、無線信号を受信して(ステップS200)、受信した無線信号が車載装置200からの信号であるか否かを判定する(ステップS202)。車載装置200からの信号でない場合(ステップS202/NO)、耳穴開放デバイス100は、無線信号の受信を継続する。一方で、車載装置200からの信号である場合(ステップS202/YES)、即ち車載装置200から識別情報を含む無線信号を受信した場合、耳穴開放デバイス100は、識別情報を含む無線信号を送信する(ステップS204)。この識別情報には、例えば耳穴開放デバイス100のメーカID及び製品ID等の、耳穴開放デバイス100を識別するための情報が含まれる。
【0111】
次いで、耳穴開放デバイス100及び車載装置200は、協調調整処理を行う。詳しくは、車載装置200は、スペック情報を含む無線信号を耳穴開放デバイス100に送信し(ステップS310)、耳穴開放デバイス100は当該無線信号を受信する(ステップS210)。このスペック情報には、例えば、車載装置200の動作可能周波数等が含まれる。次いで、耳穴開放デバイス100は、車載装置200の識別情報に基づいて車載装置200のスペック情報の補助情報を検索する(ステップS212)。次に、耳穴開放デバイス100は、耳穴開放デバイス100及び車載装置200のノイズキャンセル処理の対象周波数(例えば、上述した第1の周波数及び第2の周波数)及び動作モードを決定する(ステップS214)。ステップS212及びS214に関しては、耳穴開放デバイス100は、必要に応じてクラウドにアクセスしてもよい。この際、クラウドにアクセスするために、車載装置に装備した無線装置を経由して行うようにしてもよい。そして、耳穴開放デバイス100は、動作設定情報を含む無線信号を車載装置200に送信し(ステップS216)、車載装置200は当該無線信号を受信する(ステップS312)。この動作設定情報には、例えば、ノイズキャンセル処理の対象周波数及び動作モードを指定する情報が含まれる。
【0112】
次に、耳穴開放デバイス100及び車載装置200は、協働動作を行う。詳しくは、耳穴開放デバイス100及び車載装置200の各々は、ノイズキャンセル処理を行い(ステップS220、S320)、ノイズキャンセル処理関連情報を含む無線信号を送信し合う。詳しくは、耳穴開放デバイス100は、ノイズキャンセル処理関連情報を含む無線信号を車載装置200へ送信し(ステップS222)、無線信号を受信し(ステップS224)、受信した無線信号が車載装置200からの信号であるか否かを判定する(ステップS226)。また、車載装置200は、ノイズキャンセル処理関連情報を含む無線信号を耳穴開放デバイス100へ送信し(ステップS322)、無線信号を受信し(ステップS324)、受信した無線信号が耳穴開放デバイス100からの信号であるか否かを判定する(ステップS326)。なお、ノイズキャンセル処理関連情報には、例えば、耳穴開放デバイス100及び車載装置200の各々のノイズのキャンセル量及びトラブル情報等が含まれる。耳穴開放デバイス100及び車載装置200の各々は、他方のノイズキャンセル関連情報に基づいて、動作設定情報を変更し、他方へ通知してもよい。耳穴開放デバイス100及び車載装置200は、お互いの無線信号を受信している間は(ステップS226/YES、S326/YES)、ノイズキャンセル処理(ステップS220、S320)を継続する。一方で、耳穴開放デバイス100及び車載装置200は、例えば距離が通信可能距離を超える等によりお互いの無線信号を受信しなくなると(ステップS226/NO、S326/NO)、協調動作を終了する。
【0113】
以上により、処理は終了する。
【0114】
<<4.ハードウェア構成例>>
最後に、
図14を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図14は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、
図14に示す情報処理装置900は、例えば、
図3に示した耳穴開放デバイス100、車載装置200又はANC300を実現し得る。本実施形態に係る耳穴開放デバイス100、車載装置200又はANC300による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現される。
【0115】
図14に示すように、情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903及びホストバス904aを備える。また、情報処理装置900は、ブリッジ904、外部バス904b、インタフェース905、入力装置906、出力装置907、ストレージ装置908、ドライブ909、接続ポート911及び通信装置913を備える。情報処理装置900は、CPU901に代えて、又はこれとともに、電気回路、DSP若しくはASIC等の処理回路を有してもよい。
【0116】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901は、ANC300の取得部310、信号処理部320及び動作モード制御部330を形成し得る。
【0117】
CPU901、ROM902及びRAM903は、CPUバスなどを含むホストバス904aにより相互に接続されている。ホストバス904aは、ブリッジ904を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス904bに接続されている。なお、必ずしもホストバス904a、ブリッジ904および外部バス904bを分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0118】
入力装置906は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロホン、スイッチ及びレバー等、ユーザによって情報が入力される装置によって実現される。また、入力装置906は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器であってもよい。さらに、入力装置906は、例えば、上記の入力手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などを含んでいてもよい。情報処理装置900のユーザは、この入力装置906を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。入力装置906は、例えば、
図3に示す耳穴開放デバイス100又は車載装置200の少なくともいずれかに含まれる。
【0119】
出力装置907は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で形成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置、レーザープロジェクタ、LEDプロジェクタ及びランプ等の表示装置や、スピーカ及びヘッドホン等の音声出力装置や、プリンタ装置等がある。出力装置907は、例えば、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、情報処理装置900が行った各種処理により得られた結果を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。出力装置907は、例えば、
図3に示す耳穴開放デバイス100又は車載装置200の少なくともいずれかに含まれる。
【0120】
ストレージ装置908は、情報処理装置900の記憶部の一例として形成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置908は、例えば、HDD等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等により実現される。ストレージ装置908は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。このストレージ装置908は、CPU901が実行するプログラムや各種データ及び外部から取得した各種のデータ等を格納する。
【0121】
ドライブ909は、記憶媒体用リーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ909は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ909は、リムーバブル記憶媒体に情報を書き込むこともできる。
【0122】
接続ポート911は、外部機器と接続されるインタフェースであって、例えばUSB(Universal Serial Bus)などによりデータ伝送可能な外部機器との接続口である。
【0123】
通信装置913は、例えば、ネットワーク920に接続するための通信デバイス等で形成された通信インタフェースである。通信装置913は、例えば、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、LTE(Long Term Evolution)、Bluetooth(登録商標)又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置913は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ又は各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置913は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。本実施形態では、
図3に示す耳穴開放デバイス100、車載装置200及びANC300の各々が通信装置913を含み、互いに有線又は無線により通信する。
【0124】
なお、ネットワーク920は、ネットワーク920に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、ネットワーク920は、インターネット、電話回線網、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワーク920は、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0125】
以上、本実施形態に係る情報処理装置900の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて実現されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより実現されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0126】
なお、上述のような本実施形態に係る情報処理装置900の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0127】
<<5.まとめ>>
以上、
図1~
図14を参照して、本開示の一実施形態について説明した。上記説明したように、本実施形態に係るANC300は、ユーザに装着された状態でユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部140を有する耳穴開放デバイス100により検出される第1の信号を取得する。また、ANC300は、ノイズ源から発生するノイズを示す、車載装置200により取得される第2の信号を取得する。そして、ANC300は、取得した第1の信号及び第2の信号に基づいて、ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する。このように、ANC300は、耳穴開放デバイス100及び車載装置200と協調して動作することで、ノイズ源から発生するノイズを効率的にキャンセルさせることが可能である。
【0128】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0129】
例えば、上記実施形態では、第1の装置が耳穴開放デバイス100である場合を例に挙げて説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、第1の装置は、ネックバンド型、イヤリング型、又は眼鏡型等の任意の種類のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、第2の装置が車載装置200である場合を例に挙げて説明したが、本技術はかかる例に限定されない。第2の装置は、ノイズ源を管理する装置であればよく、例えば、扇風機自体、扇風機を管理するホームサーバ、換気扇、バイク、ヘリコプター、又は電車等であってもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、音響が空間に出力される場合を例に挙げて説明したが、本技術は係る例に限定されない。例えば、音響は、骨伝導スピーカ等により非空間に出力されてもよい。
【0132】
また、本明細書において説明した各装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部が別々の装置として実現されても良い。例えば、ANC300は、耳穴開放デバイス100又は車載装置200に含まれてもよい。また、ANC300は、耳穴開放デバイス100及び車載装置200とネットワーク等で接続されたサーバ等の装置に備えられてもよい。
【0133】
また、本明細書においてフローチャート及びシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0134】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0135】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する信号処理部、
を備える情報処理装置。
(2)
前記第2の信号は、前記ノイズの周波数を決定するための情報である、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記ノイズは、回転運動に伴うノイズであり、
前記第2の信号は、前記回転運動の回転数を示す情報である、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記ノイズ源は、車両の動力源であり
前記第2の装置は、前記車両に搭載され、前記第2の信号を無線送信する、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記情報処理装置は、他の装置との協調動作が異なる複数の動作モードの中から前記信号処理部の動作モードを選択する動作モード制御部をさらに備える、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(6)
前記動作モード制御部は、前記ノイズの高域成分の多さに応じて前記動作モードを選択する、前記(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記ノイズ源は、車両の動力源であり、
前記動作モード制御部は、前記ユーザが前記車両の車室内に入ったか否かに応じて前記動作モードを選択する、前記(6)に記載の情報処理装置。
(8)
前記動作モード制御部は、前記車両の車室内にいる人の数に応じて前記動作モードを選択する、前記(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記信号処理部は、前記他の装置がノイズキャンセル機能を有する場合、前記他の装置との間でノイズキャンセル能力に関する情報を交換する、前記(5)~(8)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(10)
前記ノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号は、前記第1の装置が有する第1の音響出力部又は前記第2の装置が有する第2の音響出力部の少なくともいずれかにより出力される、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(11)
前記出力信号は、前記ノイズキャンセル信号、又は前記ノイズキャンセル信号と音源から発生した音響信号に所定の信号処理が適用された信号とを合成した信号の少なくともいずれかである、前記(10)に記載の情報処理装置。
(12)
前記信号処理部は、無線通信路を含まない第1の経路を介して前記第1の信号を取得し、無線通信路を含む第2の経路を介して前記第2の信号を取得し、
前記出力信号は、前記第1の音響出力部により出力される、前記(10)又は(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記信号処理部は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象として前記ノイズキャンセル信号を生成する、前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記信号処理部は、無線通信路を含む第3の経路を介して前記第1の信号を取得し、無線通信路を含まない第4の経路を介して前記第2の信号を取得し、
前記出力信号は、前記第2の音響出力部により出力される、前記(10)又は(11)に記載の情報処理装置。
(15)
前記信号処理部は、前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象として前記ノイズキャンセル信号を生成する、前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
ユーザが装着した状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有し、前記音響入力部により第1の信号を検出する第1の装置と、
ノイズ源から発生するノイズを示す第2の信号を取得する第2の装置と、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する第3の装置と、
を備える、情報処理システム。
(17)
前記情報処理システムは、前記第2の信号に基づいて前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象とする第2のノイズキャンセル信号を生成する第4の装置をさらに備え、
前記第3の装置は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象とする第1のノイズキャンセル信号を生成し、
前記第1の装置は、前記第1のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第1の音響出力部を有し、
前記第2の装置は、前記第2のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第2の音響出力部を有する、前記(16)に記載の情報処理システム。
(18)
前記情報処理システムは、前記第3の装置を複数含み、
一方の前記第3の装置は、前記ノイズのうち第1の周波数より高い周波数成分を対象とする第1のノイズキャンセル信号を生成し、
他方の前記第3の装置は、前記ノイズのうち第2の周波数より低い周波数成分を対象とする第3のノイズキャンセル信号を生成し、
前記第1の装置は、前記第1のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第1の音響出力部を有し、
前記第2の装置は、前記第3のノイズキャンセル信号に基づいて生成された出力信号を出力する第2の音響出力部を有する、前記(16)に記載の情報処理システム。
(19)
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得することと、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得することと、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号をプロセッサにより生成することと、
を含む情報処理方法。
(20)
コンピュータを、
ユーザに装着された状態で前記ユーザの片方の耳穴から所定距離内に配置される音響入力部を有する第1の装置の前記音響入力部により検出される第1の信号を取得し、
ノイズ源から発生するノイズを示す、第2の装置により取得される第2の信号を取得し、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて前記ノイズを対象とするノイズキャンセル信号を生成する信号処理部、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0136】
1 ノイズキャンセリングシステム
100 耳穴開放デバイス
110 音響発生部
120 音導部
121 一端
122 他端
123 ピンチ部
130 保持部
131 開口部
132 支持部材
140 音響入力部
150 無線受信部
152 無線送信部
162 アンプ
164 音源
166 加算器
200 車載装置
210 車載スピーカ
220 車載マイク
230 無線送信部
232 無線受信部
242 アンプ
290 エンジン
300 ANC(Active Noise Canceller)
310 取得部
320 信号処理部
330 動作モード制御部