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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】情報出力装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220301BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B66B3/00 P
B66B5/00 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020181725
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-016953(JP,A)
【文献】特開2019-160015(JP,A)
【文献】特許第6865321(JP,B1)
【文献】特開2021-170776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得部と、
エレベータを利用した各利用者について、前記利用者識別情報と、当該利用者識別情報が示す利用者のエレベータの利用に関する利用情報と、当該利用の日時とを対応付けた利用履歴情報から、取得された前記利用者識別情報が示す利用者と、前記エレベータの利用において接近した可能性が高い利用者である接近者の前記利用履歴情報を抽出する抽出部と、
前記接近者を示す接近者情報を出力する出力部と、を備え
前記取得部は、前記利用者識別情報とともに期間を示す期間情報を取得し、
前記抽出部は、取得された前記期間情報が示す期間内の前記日時を含む前記利用履歴情報を抽出する、
情報出力装置。
【請求項2】
前記利用情報は、前記利用者が乗車したかごを識別するかご識別情報と、前記かごの進行方向が反転するまでの前記かごの移動を識別する移動識別情報とを含み、
前記抽出部は、
取得された前記利用者識別情報を含む前記利用履歴情報である利用者情報を特定し、
当該利用者情報に基づく所定の条件を満たす、当該利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出し、
前記所定の条件は、前記利用者情報と同一の前記かご識別情報および前記移動識別情報を含む、との第1同乗条件を含む、
請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記利用履歴情報は、前記移動識別情報が示す前記移動のうち、前記利用者識別情報が示す利用者が前記かごに乗車していた区間を特定可能な乗車区間情報をさらに含み、
前記所定の条件は、前記区間の少なくとも一部が、前記利用者情報に含まれる前記乗車区間情報から特定された前記区間と重なる、との第2同乗条件を含み、
前記抽出部は、前記第1同乗条件および前記第2同乗条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出する、
請求項2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記抽出部により抽出された前記利用履歴情報が示す前記接近者について、前記出発階情報、前記行先階情報、前記乗車日時および前記降車日時に基づき、取得された前記利用者識別情報が示す利用者と同乗した時間を特定する時間特定部をさらに備え、
前記出力部は、特定された前記時間に基づき、前記接近者情報を出力する、
請求項2または3に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記所定の条件は、(1)前記行先階情報が、前記利用者情報に含まれる前記出発階情報と同一である、(2)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(3)前記降車日時について、前記利用者情報に含まれる前記乗車日時との差分が所定値以下である、との第1接近条件を含み、
前記抽出部は、前記第1接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記所定の条件は、(1)前記出発階情報が、前記利用者情報に含まれる前記行先階情報と同一である、(2)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(3)前記乗車日時について、前記利用者情報に含まれる前記降車日時との差分が所定値以下である、との第2接近条件を含み、
前記抽出部は、前記第2接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出する、
請求項2から5のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記利用の日時は、前記利用者識別情報が示す利用者が行先階登録装置において前記行先階を登録した日時であり、
前記所定の条件は、(1)前記出発階情報が、前記利用者情報に含まれる前記行先階情報と同一である、(2)前記利用の日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より前である、(3)前記乗車日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より後である、との第3接近条件を含み、
前記抽出部は、前記第3接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出する、
請求項2から6のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記利用の日時は、前記利用者識別情報が示す利用者が行先階登録装置において前記行先階を登録した日時であり、
前記所定の条件は、(1)前記行先階情報が、前記利用者情報に含まれる前記出発階情報と同一である、(2)前記降車日時が、前記利用者情報に含まれる前記利用の日時より後、かつ、前記利用者情報に含まれる前記乗車日時より前である、との第4接近条件を含み、
前記抽出部は、前記第4接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出する、
請求項2から7のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項9】
前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該利用者が当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、
前記利用者情報以外の前記利用履歴情報から、所定の第2条件を満たす前記利用履歴情報を抽出する第2抽出部をさらに備え、
前記所定の第2条件は、(1)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(2)前記乗車日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より後かつ所定時間以内である、との条件であり、
前記出力部は、さらに、前記第2抽出部により抽出された前記利用者の情報を出力する、
請求項2から8のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項10】
前記利用履歴情報に含まれる前記利用者識別情報は、当該利用者識別情報が示す利用者の連絡先を示す連絡先情報と対応付けられており、
前記取得部は、前記出力部により出力された情報の少なくともいずれかを選択する選択操作の入力を示す情報を取得し、
前記選択操作により選択された前記情報に対応する前記利用者識別情報を特定し、特定した当該利用者識別情報と対応付けられた前記連絡先情報が示す連絡先に、前記接近者である旨の通知を行う通知部をさらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項11】
前記抽出部は、前記エレベータの利用において、抽出した前記利用履歴情報が示す前記接近者と接近した可能性が高い二次接近者の前記利用履歴情報をさらに抽出し、
前記出力部は、前記二次接近者を示す二次接近者情報を、前記接近者情報に対応付けて出力する、
請求項1から10のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【請求項12】
前記エレベータは、利用者の各々が、複数設置された座席の1つに着席して利用する施設を有する建物に設置されており、
前記利用者の行先階を登録する行先階登録装置に入力された、前記利用者識別情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された前記利用者識別情報が示す利用者の行先階を登録する登録部と、
当該行先階に設けられた前記施設で利用者が着席する座席を決定する決定部と、
前記取得部により取得された前記利用者識別情報が示す利用者が着席していた前記座席と近接した前記座席に着席していた近接着席者を抽出する第3抽出部と、をさらに備え、
前記出力部は、前記第3抽出部により抽出された前記近接着席者を示す情報を出力する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の情報出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの利用者を識別する情報に基づき、情報を出力する情報出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの利用に関する情報を、エレベータの利用者を識別する情報と対応付けて記憶することにより、検索可能とする技術が知られている。特許文献1には、防犯カメラの画像データを利用者の認証結果と対応付けて記憶することにより、検索可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-103854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、近年、エレベータの特定の利用者について、当該利用者に接近した可能性が高い人物、特に、当該利用者とエレベータに同乗した人物を特定することについてのニーズがある。例えば、ウィルス等に感染した利用者について、その利用者からの感染経路を特定するために、当該利用者とエレベータに同乗した人物を特定することが必要となる場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、特定の人物とエレベータの利用において接近した可能性が高い人物を検索して出力する情報出力装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る情報出力装置は、エレベータの利用者を識別する利用者識別情報を取得する取得部と、エレベータを利用した各利用者について、前記利用者識別情報と、当該利用者識別情報が示す利用者のエレベータの利用に関する利用情報と、当該利用の日時とを対応付けた利用履歴情報から、取得された前記利用者識別情報が示す利用者と、前記エレベータの利用において接近した可能性が高い利用者である接近者の前記利用履歴情報を抽出する抽出部と、前記接近者を示す接近者情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
前記の構成によれば、エレベータを利用した利用者の利用者識別情報を入力することにより、当該利用者識別情報が示す利用者とエレベータの利用において接近した可能性が高い接近者を検索し、その情報を取得することができる。これにより、例えば、利用者がウィルス等に感染した場合に、当該利用者から感染した可能性のある人物として接近者を特定することができる。また、例えば、ある利用者が、エレベータに発生した問題を報告してきたとき、接近者を特定することで、当該問題の信ぴょう性を接近者に確認することができる。
【0008】
接近者は例えば、利用者とかごに同乗した同乗者や、乗降時に利用者とすれ違った人であるが、これに限定されない。
【0009】
また、本発明の態様2に係る情報出力装置は、上記態様1において、前記取得部は、前記利用者識別情報とともに期間を示す期間情報を取得し、前記抽出部は、取得された前記期間情報が示す期間内の前記日時を含む前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0010】
前記の構成によれば、利用者識別情報とともに期間情報を入力し、当該期間における接近者を特定するので、必要な接近者情報を出力することができる。例えば、利用者がウィルス等に感染した場合に、感染が発覚した日から所定期間前までを期間情報として入力することにより、期間情報が示す期間以前の接近者、換言すれば、当該利用者から感染した可能性の低い人物の情報を接近者情報として出力してしまうことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の態様3に係る情報出力装置は、上記態様1または2において、前記利用情報は、前記利用者が乗車したかごを識別するかご識別情報と、前記かごの進行方向が反転するまでの前記かごの移動を識別する移動識別情報とを含み、前記抽出部は、取得された前記利用者識別情報を含む前記利用履歴情報である利用者情報を特定し、当該利用者情報に基づく所定の条件を満たす、当該利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出し、前記所定の条件は、前記利用者情報と同一の前記かご識別情報および前記移動識別情報を含む、との第1同乗条件を含んでもよい。
【0012】
前記の構成によれば、入力された期間内において、入力された利用者とエレベータで同乗した可能性が高い人物を特定することができる。これにより、例えば、エレベータの利用においてウィルス等に感染する可能性が高い、感染者の同乗者を特定することができる。また、例えば、或る利用者が報告してきた問題が、かご内で発生した問題であった場合、同乗者を特定することで、当該問題の信ぴょう性を同乗者に確認することができる。
【0013】
また、本発明の態様4に係る情報出力装置は、上記態様3において、前記利用履歴情報は、前記移動識別情報が示す前記移動のうち、前記利用者識別情報が示す利用者が前記かごに乗車していた区間を特定可能な乗車区間情報をさらに含み、前記所定の条件は、前記区間の少なくとも一部が、前記利用者情報に含まれる前記乗車区間情報から特定された前記区間と重なる、との第2同乗条件を含み、前記抽出部は、前記第1同乗条件および前記第2同乗条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0014】
前記の構成によれば、移動識別情報が一致する場合であっても、利用者がかごから降車してから当該かごに乗車した人物、および、利用者がかごに乗車する前に当該かごから降車した人物については、その情報が出力されないので、検索対象の利用者の同乗者をより正確に特定することができる。
【0015】
なお、「乗車区間情報」は、例えば、出発階および行先階を示す情報であるが、これに限定されない。
【0016】
また、本発明の態様5に係る情報出力装置は、上記態様3または4において、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記抽出部により抽出された前記利用履歴情報が示す前記接近者について、前記出発階情報、前記行先階情報、前記乗車日時および前記降車日時に基づき、取得された前記利用者識別情報が示す利用者と同乗した時間を特定する時間特定部をさらに備え、前記出力部は、特定された前記時間に基づき、前記接近者情報を出力してもよい。
【0017】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザに対し、同乗した時間に基づく同乗者の提示を行うことができる。例えば、同乗した時間が長い順にソートされた状態で同乗者を提示することができる。あるいは、同乗した時間が所定値以上の同乗者のみを提示することができる。これにより、当該ユーザの利便性が向上する。
【0018】
また、本発明の態様6に係る情報出力装置は、上記態様3から5のいずれかにおいて、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記所定の条件は、(1)前記行先階情報が、前記利用者情報に含まれる前記出発階情報と同一である、(2)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(3)前記降車日時について、前記利用者情報に含まれる前記乗車日時との差分が所定値以下である、との第1接近条件を含み、前記抽出部は、前記第1接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0019】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザに対し、入力された利用者がかごに乗車する際に、そのかごから降車した利用者を提示することができる。これにより、例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、エレベータの利用に関して、感染者と同乗していないものの、感染者と接近した利用者を特定することができる。
【0020】
また、本発明の態様7に係る情報出力装置は、上記態様3から6のいずれかにおいて、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記所定の条件は、(1)前記出発階情報が、前記利用者情報に含まれる前記行先階情報と同一である、(2)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(3)前記乗車日時について、前記利用者情報に含まれる前記降車日時との差分が所定値以下である、との第2接近条件を含み、前記抽出部は、前記第2接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0021】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザに対し、入力された利用者がかごから降車する際に、そのかごに乗車した利用者を提示することができる。これにより、例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、エレベータの利用に関して、感染者と同乗していないものの、感染者と接近した利用者を特定することができる。
【0022】
また、本発明の態様8に係る情報出力装置は、上記態様3から7のいずれかにおいて、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記利用の日時は、前記利用者識別情報が示す利用者が行先階登録装置において前記行先階を登録した日時であり、前記所定の条件は、(1)前記出発階情報が、前記利用者情報に含まれる前記行先階情報と同一である、(2)前記利用の日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より前である、(3)前記乗車日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より後である、との第3接近条件を含み、前記抽出部は、前記第3接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0023】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザに対し、入力された利用者がかごから降車する際に、エレベータホールにいた利用者を提示することができる。これにより、例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、エレベータの利用に関して、感染者と同乗していないものの、感染者と接近した利用者を特定することができる。
【0024】
また、本発明の態様9に係る情報出力装置は、上記態様3から8において、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者の出発階を示す出発階情報、当該利用者の行先階を示す行先階情報、当該利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記利用の日時は、前記利用者識別情報が示す利用者が行先階登録装置において前記行先階を登録した日時であり、前記所定の条件は、(1)前記行先階情報が、前記利用者情報に含まれる前記出発階情報と同一である、(2)前記降車日時が、前記利用者情報に含まれる前記利用の日時より後、かつ、前記利用者情報に含まれる前記乗車日時より前である、との第4接近条件を含み、前記抽出部は、前記第4接近条件を満たす前記利用者情報以外の前記利用履歴情報を抽出してもよい。
【0025】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザに対し、入力された利用者がいるエレベータホールに降車した利用者を提示することができる。これにより、例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、エレベータの利用に関して、感染者と同乗していないものの、感染者と接近した利用者を特定することができる。
【0026】
また、本発明の態様10に係る情報出力装置は、上記態様3から9のいずれかにおいて、前記利用履歴情報は、前記利用者識別情報が示す利用者が前記かご識別情報が示すかごに乗車した日時を示す乗車日時、当該利用者が当該かごから降車した日時を示す降車日時を含み、前記利用者情報以外の前記利用履歴情報から、所定の第2条件を満たす前記利用履歴情報を抽出する第2抽出部をさらに備え、前記所定の第2条件は、(1)前記かご識別情報が、前記利用者情報に含まれる前記かご識別情報と同一である、および、(2)前記乗車日時が、前記利用者情報に含まれる前記降車日時より後かつ所定時間以内である、との条件であり、前記出力部は、さらに、前記第2抽出部により抽出された前記利用者の情報を出力してもよい。
【0027】
前記の構成によれば、入力された利用者の接近者だけでなく、当該利用者がエレベータを利用した直後に、当該利用者と同一のかごに乗車した利用者を特定することができる。例えば、検索対象となる利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、ウィルス等がかご内に残存している可能性がある。このため、上記のように特定された利用者は、ウィルス等に感染している可能性がある。このような利用者を特定することで、当該利用者を感染した可能性がある人物として特定することができる。
【0028】
また、本発明の態様11に係る情報出力装置は、上記態様1から10のいずれかにおいて、前記利用履歴情報に含まれる前記利用者識別情報は、当該利用者識別情報が示す利用者の連絡先を示す連絡先情報と対応付けられており、前記取得部は、前記出力部により出力された情報の少なくともいずれかを選択する選択操作の入力を示す情報を取得し、前記選択操作により選択された前記情報に対応する前記利用者識別情報を特定し、特定した当該利用者識別情報と対応付けられた前記連絡先情報が示す連絡先に、前記接近者である旨の通知を行う通知部をさらに備えてもよい。
【0029】
前記の構成によれば、接近者として特定された利用者が、自身が接近者であることを認識することができる。例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、接近者として特定された利用者は、自身が感染している可能性を認識し、必要な対応をとることができる。
【0030】
また、本発明の態様12に係る情報出力装置は、上記態様1から11のいずれかにおいて、前記抽出部は、前記エレベータの利用において、抽出した前記利用履歴情報が示す前記接近者と接近した可能性が高い二次接近者の前記利用履歴情報をさらに抽出し、前記出力部は、前記二次接近者を示す二次接近者情報を、前記接近者情報に対応付けて出力してもよい。
【0031】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザは、接近者と接近した可能性が高い二次接近者をも認識することができる。例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合において、接近者がウィルスに感染していた場合、当該接近者からの感染のおそれがある人物を容易に特定することができる。
【0032】
また、本発明の態様13に係る情報出力装置は、上記態様1から12のいずれかにおいて、前記エレベータは、利用者の各々が、複数設置された座席の1つに着席して利用する施設を有する建物に設置されており、前記利用者の行先階を登録する行先階登録装置に入力された、前記利用者識別情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部により取得された前記利用者識別情報が示す利用者の行先階を登録する登録部と、当該行先階に設けられた前記施設で利用者が着席する座席を決定する決定部と、前記取得部により取得された前記利用者識別情報が示す利用者が着席していた前記座席と近接した前記座席に着席していた近接着席者を抽出する第3抽出部と、をさらに備え、前記出力部は、前記第3抽出部により抽出された前記近接着席者を示す情報を出力してもよい。
【0033】
前記の構成によれば、検索を行ったユーザは、エレベータを利用した利用者の識別情報を入力することにより、当該識別情報が示す利用者の近くに着席していた利用者の情報を取得することができる。これにより、エレベータにおいては入力された利用者と接近していないが、施設において入力された利用者と接近していた人物を特定することができる。例えば、入力された利用者がウィルス等に感染した感染者である場合、特定した人物を感染の可能性がある人物とみなし、必要な対応をとることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一態様によれば、特定の人物とエレベータの利用において接近した可能性が高い人物を検索して出力する情報出力装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態1に係る情報出力装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示す情報出力装置が記憶しているエレベータ利用履歴の一具体例を示す図である。
図3図1に示す情報出力装置が記憶している連絡先データベースの一具体例を示す図である。
図4図1に示す情報出力装置が実行する接近者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態1に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態3に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態4に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態5に係る情報出力装置が実行する接近者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態5に係る検索装置に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態6に係るエレベータ制御装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図13図12に示すエレベータ制御装置が記憶している座席履歴の一具体例を示す図である。
図14図12に示すエレベータ制御装置が実行するエレベータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】本発明の実施形態6に係る行先階登録装置に表示される画面の一具体例を示す図である。
図16図12に示すエレベータ制御装置が実行する近接着席者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】本発明の実施形態6に係る検索装置に表示される、近接着席者の検索画面の一例を示す図である。
図18】本発明の一変形例に係る検索装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報出力装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。情報出力装置1は、特定の人物とエレベータの利用において接近した接近者についての情報(以下、接近者情報と表記する)を出力する。
【0037】
<情報出力装置1の要部構成>
情報出力装置1は、制御部10、記憶部11および通信部12を備える。制御部10は、情報出力装置1の各部を統括して制御する。記憶部11は、情報出力装置1が実行する各種プログラムや、情報出力装置1が使用する各種データを記憶する。通信部12は、各種装置と情報の送受信を行う。
【0038】
一例として、本実施形態では、記憶部11はエレベータ利用履歴111および連絡先データベース112を記憶している。これらの詳細については後述する。また、一例として、本実施形態では、通信部12は、検索装置2、エレベータ制御装置4および利用者端末装置5と情報の送受信を行う。
【0039】
検索装置2は、利用者の入力に基づき、接近者の検索条件を情報出力装置1へ送信し、その応答として、接近者情報を受信する。検索条件は、少なくとも、エレベータの利用者を識別する利用者識別情報を含む。本開示に係る各実施形態では、検索装置2は、受信した接近者情報に基づく表示を行う表示部(図1では不図示)を備えるものとする。また、本開示に係る各実施形態では、検索条件に含まれる利用者識別情報が示す利用者は、ウィルス等に感染した感染者であるとする。
【0040】
エレベータ制御装置4はエレベータを制御する。一例として、エレベータ制御装置4は、行先階登録装置3からの行先階の登録に基づき、エレベータのかごの移動を制御する。具体的には、エレベータ制御装置4は、エレベータのかごを利用者のいる階床へ移動させる。そして、エレベータ制御装置4は、当該利用者のかごへの乗車後に、かごを利用者が登録した行先階へ移動させる。エレベータ制御装置4は、情報出力装置1などと群管理システムを形成していてもよい。
【0041】
行先階登録装置3は、建物の各エレベータ乗場(エレベータホールとも称する)に設けられ、利用者の入力に基づき、エレベータ制御装置4に利用者の行先階を登録する。本開示に係る各実施形態では、行先階登録装置3は、利用者が所有する端末から利用者を識別する利用者識別情報を読み取る読取部(図1では不図示)を備えるものとする。上記端末は、例えば、近距離無線通信の機能を備えたカード型の端末であってもよい。一例として、当該カード型端末を読取部に近接または接触させることにより、利用者識別情報が行先階登録装置3へ送信され、利用者は、行先階登録装置3を利用することができる。
【0042】
利用者端末装置5は、エレベータの利用者が所持する端末装置である。利用者端末装置5の一例としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォンなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
制御部10は、通信制御部101(取得部、通知部)、接近者抽出部102(抽出部)、時間特定部103および履歴更新部104を含む。
【0044】
通信制御部101は、通信部12を制御して情報の送受信を行う。接近者抽出部102は、検索装置2から送信された検索条件に含まれる利用者識別情報が示す利用者(感染者)に、エレベータの利用において接近した接近者の情報を抽出する。時間特定部103は、感染者と接近者とがエレベータのかごに同乗していた場合に、同乗していた時間である同乗時間を特定する。履歴更新部104は、エレベータ利用履歴111を更新する。
【0045】
<エレベータ利用履歴111>
ここで、エレベータ利用履歴111の詳細について説明する。図2は、エレベータ利用履歴111の一具体例を示す図である。本開示に係る各実施形態では、エレベータ利用履歴111が、図2に示すテーブル形式のデータである例を説明するが、エレベータ利用履歴111のデータ形式はこの例に限定されない。
【0046】
エレベータ利用履歴111は、登録日時(利用の日時)、ID、出発階(乗車区間情報、出発階情報)、出発日時(乗車日時)、行先階(乗車区間情報、行先階情報)、到着日時(降車日時)、運行番号(移動識別情報)および乗車号機(かご識別情報)の各情報を対応付けたレコード(利用履歴情報)を含む。IDは、利用者の利用者識別情報である。上述したとおり、当該利用者識別情報は、行先階登録装置3の読取部を介して入力される。
【0047】
登録日時は、行先階登録装置3を用いて行先階の登録を行った日時を示す情報である。一例として、当該日時は、エレベータ制御装置4が、行先階登録装置3から行先階の登録に関する登録情報を受信した日時であってもよい。一例として、登録情報は、出発階を示す情報、行先階を示す情報および利用者識別情報を含む。
【0048】
出発階は、行先階の登録における出発階を示す情報である。換言すれば、出発階は、利用者が行先階登録装置3を用いて行先階の登録を行った階床を示す情報である。出発日時は、行先階の登録を受けて出発階へ移動したかごが、当該出発階からの移動を開始した日時を示す情報である。出発日時は、エレベータ制御装置4が記憶しているエレベータの運行の履歴を示す運行履歴に含まれている。
【0049】
行先階は、行先階の登録における行先階を示す情報である。到着日時は、上記出発階から出発したかごが、行先階に到着した日時を示す情報である。到着日時は、上記運行履歴に含まれている。
【0050】
運行番号は、エレベータのかごの進行方向が反転するまでのかごの移動を識別する情報である。例えば、かごが1階から10階まで移動し、10階に到着後、5階へ移動する場合を考える。この例において、1階から10階までの移動には、運行番号として「1234」が割り振られたものとする。この場合において、10階から5階への移動には、「1234」からインクリメントされた番号である「1235」が割り振られる。一例として、運行番号は、かご(号機)毎の番号である。運行番号の割り振りは、一例として、エレベータ制御装置4が実行する。換言すれば、運行番号は、上記運行履歴に含まれている。
【0051】
乗車号機は、行先階の登録を行った利用者が乗ったエレベータのかごを示す情報である。換言すれば、乗車号機は、行先階の登録に基づき、エレベータ制御装置4が出発階へ移動させると決定したかごを示す情報である。
【0052】
以上のとおり、エレベータ利用履歴111の各レコードに含まれる情報は、いずれも、エレベータ制御装置4から取得することができる。なお、出発階、出発日時、行先階、到着日時、運行番号および乗車号機の各情報は、いずれも、IDが示す利用者のエレベータの利用に関する利用情報と表現することができる。
【0053】
<連絡先データベース112>
図3は、連絡先データベース112の一具体例を示す図である。本開示に係る各実施形態では、連絡先データベース112が、図3に示すテーブル形式のデータである例を説明するが、連絡先データベース112のデータ形式はこの例に限定されない。
【0054】
連絡先データベース112は、IDおよび連絡先(連絡先情報)を対応付けたレコードを含む。IDは、上述したとおり利用者識別情報である。連絡先は、電話番号、メールアドレス、インスタントメッセンジャーのIDなど、メッセージの宛先を示す情報である。つまり、連絡先データベース112の各レコードは、エレベータの各利用者の連絡先を示す情報である。
【0055】
<接近者抽出処理>
図4は、情報出力装置1が実行する接近者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS1において、通信制御部101は、通信部12を介して、検索装置2から送信されたID(すなわち利用者識別情報)および期間情報を含む検索条件を受信する。そして、通信制御部101は、受信した検索条件を接近者抽出部102へ出力する。
【0057】
ここで、期間情報とは、検索装置2に入力された期間を示す情報である。当該期間の終了時点は例えば、感染者のウィルス感染が発覚した時点である。当該期間の開始時点は例えば、感染者のウィルス感染が発覚した時点から、当該ウィルスの潜伏期間だけ遡った時点である。
【0058】
図5は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図5は、入力前の検索画面の一例を示す図である。
【0059】
検索画面は、入力領域200および出力領域201を含む。入力領域200は、検索条件を入力する領域である。出力領域201は、検索結果、すなわち、接近者情報が出力される領域である。図5は入力前の検索画面であるため、出力領域201には何も表示されていない。
【0060】
入力領域200は、ID入力領域221、期間入力領域222および223、並びに検索開始ボタン224を含む。ID入力領域221には、利用者識別情報が入力される。期間入力領域222には、期間の開始時点が入力される。期間入力領域223には、期間の終了時点が入力される。
【0061】
検索開始ボタン224への操作が入力されると、利用者識別情報および期間情報が情報出力装置1へ送信される。
【0062】
なお、検索装置2は、パーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンやタブレット端末であってもよい。前者の場合、検索装置2の利用者は、例えば、パーソナルコンピュータに接続されたキーボードやマウスを用いて操作を入力する。後者の場合、検索装置2の利用者は、例えば、検索装置2に設けられたタッチスクリーンに対して操作(タッチ操作など)を入力する。
【0063】
再び図4を参照し、接近者抽出処理の続きを説明する。ステップS2において、接近者抽出部102は、受信したIDのレコードを特定する。具体的には、接近者抽出部102は、エレベータ利用履歴111を参照して、通信制御部101から取得した検索条件に含まれる期間情報が示す期間内のレコードから、当該検索条件に含まれる利用者識別情報を含む、1または複数のレコード(利用者情報)を特定する。ここで、「期間内のレコード」とは、レコードに含まれる登録日時、出発日時および到着日時の少なくともいずれかが、期間情報が示す期間内に含まれているレコードを指す。なお、以降、接近者抽出部102が特定したこのレコードを感染者レコードと称する場合がある。また、以降、単に「期間」と記載した場合、期間情報が示す期間を指すものとする。
【0064】
ステップS3において、接近者抽出部102は、特定した感染者レコードにおける乗車区間を特定する。具体的には、接近者抽出部102は、感染者レコードに含まれる出発階よび行先階から乗車区間を特定する。例えば、出発階が1階、行先階が10階である場合、乗車区間は1階から10階である。
【0065】
ステップS4において、接近者抽出部102は、期間内の他のレコードから、条件を満たす、1または複数の接近者レコードを抽出する。ここで、「他のレコード」とは、期間内のレコードから感染者レコードを除いたレコードである。接近者抽出部102は、以下の条件1および2を満たすレコードを接近者レコードとして抽出する。条件1は、感染者レコードに含まれる乗車号機および運行番号と、同一の乗車号機運行番号を含む、との条件(第1同乗条件)である。条件2は、他のレコードの各々から特定された乗車区間の少なくとも一部が、感染者レコードから特定された乗車区間と重なる、との条件(第2同乗条件)である。つまり、本実施形態に係る接近者は、期間内に感染者とエレベータにおいて同乗した同乗者である。なお、条件2を満たしているか否かを判定するために、接近者抽出部102は、他のレコードのそれぞれについて乗車区間を特定する。また、以降、感染者レコードと接近者レコードとの間で、重なっている乗車区間を「同乗区間」と表記する。接近者抽出部102は、感染者レコードおよび接近者レコード、並びに、感染者レコードおよび接近者レコードから特定した同乗区間を時間特定部103へ出力する。
【0066】
なお、感染者レコードが複数である場合、接近者抽出部102は、いずれかの感染者レコードに対して条件1および条件2を満たしていれば、そのレコードを接近者レコードとして抽出する。
【0067】
ステップS5において、時間特定部103は、接近者レコードについて、同乗時間を特定する。具体的には、時間特定部103は、同乗区間について、かごの移動にかかった時間を特定する。同乗区間の開始時点および終了時点は、接近者レコードに含まれる出発日時および到着日時、並びに、感染者レコードに含まれる出発日時および到着日時のいずれかであるので、時間特定部103は、取得した情報を用いて同乗時間を特定することができる。時間特定部103は、特定した同乗時間を接近者抽出部102へ出力する。接近者抽出部102は、接近者レコードに、当該接近者レコードに基づき特定された同乗時間を対応付けて通信制御部101へ出力する。
【0068】
ステップS6において、通信制御部101は、接近者レコードに基づく接近者情報を検索装置2へ送信する。具体的には、通信制御部101は、通信部12を制御して、接近者レコードと同乗時間を対応付けた情報を検索装置2へ送信する。
【0069】
図6は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図6は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0070】
図6に示す検索画面では、出力領域201に検索結果が表示されている。具体的には、出力領域201は、接近者タイル225Aおよび225B、接近者の合計人数、並びに、メール通知ボタン227を含む。
【0071】
接近者の合計人数は、受信した接近者情報の数に対応する。接近者タイル225Aおよび225Bは、受信した接近者情報に基づき、検索装置2が生成した画像である。なお、以降、接近者タイル225Aおよび225Bを区別しない場合、接近者タイル225と表記する。接近者タイル225は、接近者の合計人数と同数生成される。つまり、図6の例では42個の接近者タイル225が生成される。図6の例において表示されていない接近者タイル225は、例えば、検索装置2の利用者がスクロール操作を入力することにより表示される。
【0072】
メール通知ボタン227は、すべての接近者(図6の例では42人)に、接近者である旨、すなわち、期間内にエレベータの利用において感染者に接近したことを通知するためのボタンである。メール通知ボタン227への操作が入力されると、すべての接近者にメールが送信される。この処理の詳細については後述する。
【0073】
図6に示す接近者タイル225は、接近者のID(利用者識別情報)、期間内において感染者と同乗した日付、同乗時間、同乗したかご(号機)、同乗した区間を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。なお、接近者タイル225Aは、これらテキストの組み合わせを2つ含む。これは、ID「0048」が示す接近者が、エレベータにおいて、感染者と期間内に2回同乗したことを示す。
【0074】
また、接近者タイル225は、メール通知ボタン226を含む。メール通知ボタン226は、その接近者タイル225に対応する接近者に、接近者である旨を通知するためのボタンである。メール通知ボタン226への操作が入力されると、そのメール通知ボタン226を含む接近者タイル225が示す接近者にメールが送信される。
【0075】
再び図4を参照し、接近者抽出処理の続きを説明する。ステップS7において、通信制御部101は、通知指示の受信を待機している。通知指示は、検索装置2の利用者がメール通知ボタン226または227への操作(選択操作)を入力したときに、情報出力装置1へ送信される情報である。通知指示は、利用者識別情報を含む。メール通知ボタン226への操作が入力された場合、通知指示は、当該メール通知ボタン226に対応する利用者識別情報を含む。「メール通知ボタン226に対応する利用者識別情報」とは、メール通知ボタン226と同じ接近者タイル225にテキストとして含まれている利用者識別情報である。メール通知ボタン227への操作が入力された場合、通知指示は、すべての接近者の利用者識別情報を含む。
【0076】
ステップS8において、通信制御部101は、通知先を特定する。具体的には通信制御部101は、連絡先データベース112を参照して、通知指示として取得した利用者識別情報に対応付けられた連絡先(この例ではメールアドレス)を、通知先として特定する。
【0077】
ステップS9において、通信制御部101は、特定した通知先へ通知を送信する。当該通知は、記憶部11にあらかじめ記憶されている定型文に基づくものあってもよいし、少なくとも一部を制御部10が生成してもよい。これにより、接近者の利用者端末装置5に、接近者である旨のメールが送信される。以上で、接近者抽出処理は終了する。
【0078】
なお、ステップS7における通知指示の受信待機は、所定の時間の経過時点や、検索装置2から新たな検索条件を受信した時点で終了してもよい。
【0079】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る情報出力装置1は、感染者の利用者識別情報を含む検索条件を、検索装置2から受信する通信制御部101を備える、また、情報出力装置1は、エレベータ利用履歴111の各レコードから、接近者レコードを抽出する接近者抽出部102を備える。また、通信制御部101は、抽出した接近者レコードに基づく接近者情報を検索装置2へ送信する。
【0080】
この構成によれば、検索装置2の利用者は、感染者の利用者識別情報を検索条件として情報出力装置1へ送信することにより、当該感染者とエレベータの利用において接近した可能性が高い接近者の情報を取得することができる。これにより、検索装置2の利用者は、接近者、すなわち、感染者からウィルス等に感染した可能性のある人物を特定することができる。
【0081】
また、上記検索条件には、期間を示す期間情報が含まれる。すなわち、通信制御部101は、当該期間情報を取得する。また、接近者抽出部102は、期間情報が示す期間内の日時を含み、かつ、取得した利用者識別情報を含むレコードを接近者レコードとして抽出する。
【0082】
この構成によれば、期間情報を、感染者からウィルス感染する可能性がある期間とすることで、感染した可能性がある接近者を適切に抽出することができる。
【0083】
また、接近者抽出部102は、以下の条件1および条件2を満たすレコードを接近者レコードとして抽出する。条件1:感染者レコードに含まれる運行番号および乗車号機と同一の運行番号および乗車号機を含む。条件2:出発階および行先階から特定される区間の少なくとも一部が、感染者レコードの出発階および行先階から特定される区間と重なる。
【0084】
この構成によれば、検索装置2の利用者は、期間内に利用者とエレベータで同乗した同乗者を特定することができる。
【0085】
また、情報出力装置1は、抽出された接近者レコードが示す接近者について、感染者と同乗した時間を特定する時間特定部103を備える。
【0086】
この構成によれば、感染者と接近者とが同乗した時間を検索装置2の利用者に提示することができるので、当該利用者は、この同乗した時間に基づき、接近者の中でより感染している可能性が高い人物を特定することができる。
【0087】
また、通信制御部101は、検索装置2から通知指示を取得し、当該通知指示が示す接近者について、連絡先データベース112を参照して連絡先を特定し、当該連絡先に接近者である旨を通知する。
【0088】
この構成によれば、接近者として抽出されたエレベータの利用者が、自身が接近者であることを認識することができる。そして、当該利用者は、自身がウィルス等に感染している可能性を認識し、必要な対応をとることができる。
【0089】
<実施形態1の変形例>
接近者抽出部102は、条件1および2のうち、条件1のみを満たすレコードを接近者レコードとして抽出してもよい。これは、以降の実施形態で同乗者を抽出する場合も同様である。
【0090】
この構成では、感染者がかごから降車してから当該かごに乗車した人物や、感染者がかごに乗車する前に当該かごから降車した人物を接近者として抽出してしまう可能性があるが、同乗者の可能性が高い人物を接近者として抽出することができる。
【0091】
検索装置2は、同乗時間に基づく接近者タイル225の表示を行ってもよい。例えば、検索装置2は、同乗時間が長い順で接近者タイル225を並べて表示してもよい。また、例えば、検索画面の入力領域200は、感染者との同乗時間の合計値が閾値以上の人のみ接近者として抽出するためのボタンやチェックボックスなどを含んでいてもよい。当該閾値は、所定値であってもよいし、検索装置2の利用者が設定可能であってもよい。
【0092】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、以降の実施形態では、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0093】
図7は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図7は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0094】
まず、入力領域200について説明する。図7に示す入力領域200は、チェックボックス228および229を含む点が、実施形態1に係る入力領域200と異なる。
【0095】
チェックボックス228および229は、操作が入力されるたびに、チェックマークの表示と非表示とが切り替わる。
【0096】
チェックボックス228は、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した人物を接近者として抽出するためのチェックボックスである。チェックボックス228にチェックマークが表示された状態で検索開始ボタン224への操作が入力されると、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した人物が接近者として抽出される。
【0097】
チェックボックス229は、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した人物を接近者として抽出するためのチェックボックスである。チェックボックス228にチェックマークが表示された状態で検索開始ボタン224への操作が入力されると、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した人物が接近者として抽出される。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る情報出力装置1は、感染者の同乗者に加え、感染者のエレベータの乗降時に、感染者とすれ違った人物を接近者として抽出する。
【0099】
具体的には、接近者抽出部102は、実施形態1にて説明した条件1および2を満たすレコードに加え、以下の条件3~5(第1接近条件)を満たすレコードと、以下の条件4、6および7(第2接近条件)を満たすレコードの少なくとも一方を接近者レコードとして抽出する。
【0100】
条件3は、行先階が、感染者レコードに含まれる出発階と同一である、との条件である。条件4は、乗車号機が、感染者レコードに含まれる乗車号機と同一である、との条件である。条件5は、降車日時について、感染者レコードに含まれる乗車日時との差分が所定値以下である、との条件である。すなわち、条件3~5を満たすレコードは、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した人物のレコードである。
【0101】
条件6は、出発階が、感染者レコードに含まれる行先階と同一である、との条件である。条件7は、乗車日時について、感染者レコードに含まれる降車日時との差分が所定値以下である、との条件である。すなわち、条件4、6および7を満たすレコードは、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した人物のレコードである。
【0102】
接近者抽出部102は、以上の処理を図4のステップS4の処理の一部として実行する。
【0103】
再び図7を参照し、本実施形態に係る出力領域201について説明する。本実施形態に係る接近者タイル225が示す接近者は、感染者とエレベータにて同乗した同乗者、感染者のエレベータの乗降時に、感染者とすれ違った人物である。
【0104】
接近者タイル225Cは、期間内において、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した接近者の情報を含む。具体的には、接近者タイル225Cは、接近者のID(利用者識別情報)、期間内の日付、かごの出発時刻、乗車号機および出発階を示すテキストを含む。また、接近者タイル225Cは、感染者のID、かごの到着時刻、乗車号機および到着階を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。
【0105】
接近者タイル225Dは、期間内において、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した接近者の情報を含む。具体的には、接近者タイル225Dは、接近者のID(利用者識別情報)、期間内の日付、かごの到着時刻、乗車号機および到着階を示すテキストを含む。また、接近者タイル225Cは、感染者のID、かごの出発時刻、乗車号機および出発階を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。
【0106】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る情報出力装置1の接近者抽出部102は、以下の条件3~5を満たすレコードと、条件4、6および7を満たすレコードとを接近者レコードとして抽出する。条件3:行先階が、感染者レコードの出発階と同一である。条件4:乗車号機が、感染者レコードの乗車号機と同一である。条件5:降車日時について、感染者レコードの乗車日時との差分が所定値以下である。条件6:出発階が、感染者レコードの行先階と同一である。条件7:乗車日時について、感染者レコードの降車日時との差分が所定値以下である。
【0107】
この構成によれば、検索装置2の利用者に対し、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した人物、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した人物を接近者として提示することができる。これにより、検索装置2の利用者は、感染者とエレベータにて同乗していないものの、エレベータの利用にて感染者と接近した人物を特定することができる。
【0108】
なお、チェックボックス228および229のいずれか一方のみにチェックマークを表示させて検索開始ボタン224への操作が入力された場合、出力領域201には、感染者がかごに乗車したときに、当該かごから降車した人物、または、感染者がかごから降車したときに、当該かごに乗車した人物のいずれか一方のみの接近者タイル225が表示される。
【0109】
<実施形態2の変形例>
検索装置2は、出力領域201に、接近者タイル225のうち、同乗者の接近者タイル225のみを表示し、感染者とすれ違った人物の接近者タイル225を表示する画面は、同乗者の接近者タイル225を表示している画面から遷移可能な別画面としてもよい。この例において、検索画面は、上記別画面に遷移するためのボタンを含む。
【0110】
また、検索装置2は、同乗者の接近者タイル225、感染者とすれ違った人物の接近者タイル225の順で接近者タイル225を並べてもよい。
【0111】
また、同乗者を検索するための検索画面と、感染者とすれ違った人物を検索するための検索画面とは別画面であってもよい。すなわち、後者の検索画面では、同乗者ではなく感染者とすれ違った人物のみを検索する。
【0112】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。図8は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図8は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0113】
まず、入力領域200について説明する。図8に示す入力領域200は、チェックボックス230を含む点が、実施形態1に係る入力領域200と異なる。なお、本実施形態に係る入力領域200は、実施形態2で説明したチェックボックス228および229を含んでいるが、これらを含んでいなくてもよい。
【0114】
チェックボックス230は、操作が入力されるたびに、チェックマークの表示と非表示とが切り替わる。チェックボックス230は、(1)感染者がかごからエレベータホールに降車したときに、当該エレベータホールにてかごの到着を待っていた人物と、(2)感染者がエレベータホールにてかごの到着を待っているときに、当該エレベータホールにかごから降車した人物とを接近者として抽出するためのチェックボックスである。チェックボックス230にチェックマークが表示された状態で検索開始ボタン224への操作が入力されると、上記(1)および(2)の人物が接近者として抽出される。
【0115】
すなわち、本実施形態に係る情報出力装置1は、感染者の同乗者に加え、感染者とエレベータホールですれ違った人物を接近者として抽出する。
【0116】
具体的には、接近者抽出部102は、実施形態1にて説明した条件1および2を満たすレコードに加え、上述した条件3、並びに、以下の条件8および9(第3接近条件)を満たすレコードと、上述した条件6および以下の条件10(第4接近条件)を満たすレコードとを接近者レコードとして抽出する。
【0117】
条件8は、登録日時が、感染者レコードの到着日時より前である、との条件である。条件9は、出発日時が、感染者レコードの到着日時より後である、との条件である。すなわち、条件3、8および9を満たすレコードは、感染者がかごからエレベータホールに降車したときに、当該エレベータホールにてかごの到着を待っていいた人物のレコードである。
【0118】
条件10は、到着日時が、感染者レコードの登録日時より後、かつ、感染者レコードの出発日時より前である、との条件である。すなわち、条件6および10を満たすレコードは、感染者がエレベータホールにてかごの到着を待っているときに、当該エレベータホールにかごから降車した人物のレコードである。
【0119】
接近者抽出部102は、以上の処理を図4のステップS4の処理の一部として実行する。
【0120】
再び図8を参照し、本実施形態に係る出力領域201について説明する。本実施形態に係る接近者タイル225が示す接近者は、感染者とエレベータにて同乗した同乗者、感染者とエレベータホールですれ違った人物である。
【0121】
接近者タイル225Eは、期間内において、感染者がエレベータホールにてかごの到着を待っているときに、当該エレベータホールにかごから降車した接近者の情報を含む。具体的には、接近者タイル225Eは、接近者のID、期間内の日付、かごの到着時刻、乗車号機および到着階を示すテキストを含む。また、接近者タイル225Eは、感染者のID、登録時刻、出発時刻、出発階および乗車号機を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。
【0122】
接近者タイル225Fは、期間内において、感染者がかごからエレベータホールに降車したときに、当該エレベータホールにてかごの到着を待っていた接近者の情報を含む。具体的には、接近者タイル225Fは、接近者のID、期間内の日付、登録時刻、出発時刻、出発階および乗車号機を示すテキストを含む。また、接近者タイル225Fは、感染者のID、到着時刻、乗車号機および行先階を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。
【0123】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る情報出力装置1の接近者抽出部102は、以下の条件3、8および9を満たすレコードと、条件6および10を満たすレコードとを接近者レコードとして抽出する。条件3:行先階が、感染者レコードの出発階と同一である。条件4:乗車号機が、感染者レコードの乗車号機と同一である。条件8:登録日時が、感染者レコードの到着日時より前である。条件9:出発日時が、感染者レコードの到着日時より後である。条件6:出発階が、感染者レコードの行先階と同一である。条件10:到着日時が、感染者レコードの登録日時より後、かつ、感染者レコードの出発日時より前である。
【0124】
この構成によれば、検索装置2の利用者に対し、感染者がエレベータホールにてかごの到着を待っているときに、当該エレベータホールにかごから降車した人物、感染者がかごからエレベータホールに降車したときに、当該エレベータホールにてかごの到着を待っていた人物を接近者として提示することができる。これにより、検索装置2の利用者は、感染者とエレベータにて同乗していないものの、エレベータの利用にて感染者と接近した人物を特定することができる。
【0125】
<実施形態3の変形例>
検索装置2は、出力領域201に、接近者タイル225のうち、同乗者の接近者タイル225のみを表示し、感染者と同じエレベータホールにいた人物の接近者タイル225を表示する画面は、同乗者の接近者タイル225を表示している画面から遷移可能な別画面としてもよい。この例において、検索画面は、上記別画面に遷移するためのボタンを含む。
【0126】
また、検索装置2は、同乗者の接近者タイル225、感染者と同じエレベータホールにいた人物の接近者タイル225の順で接近者タイル225を並べてもよい。この例において、感染者とすれ違った人物の接近者タイル225がある場合、同乗者の接近者タイル225と、感染者と同じエレベータホールにいた人物の接近者タイル225との間に並べてもよい。換言すれば、検索装置2は、感染者からウィルス等に感染した可能性が高い順に、接近者タイル225を並べてもよい。
【0127】
また、同乗者を検索するための検索画面と、感染者とすれ違った人物を検索するための検索画面とは別画面であってもよい。すなわち、後者の検索画面では、同乗者ではなくエレベータホールにおいて感染者と接近した人物のみを検索する。
【0128】
また、接近者抽出部102は、条件3、8および9と、条件6および10とに加え、条件4を満たすレコードを接近者レコードとして抽出してもよい。すなわち、接近者抽出部102は、感染者と同じエレベータホールにいた人物が、感染者と同一のかごに乗る場合のみ、接近者として抽出してもよい。
【0129】
〔実施形態4〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。図9は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図9は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0130】
まず、入力領域200について説明する。図9に示す入力領域200は、チェックボックス231を含む点が、実施形態1に係る入力領域200と異なる。なお、本実施形態に係る入力領域200は、実施形態2で説明したチェックボックス228および229、並びに、実施形態3で説明したチェックボックス230を含んでいるが、これらを含んでいなくてもよい。
【0131】
チェックボックス231は、操作が入力されるたびに、チェックマークの表示と非表示とが切り替わる。チェックボックス231は、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物を抽出するためのチェックボックスである。当該人物は、感染者に接近した人物ではないが、本実施形態では当該人物を接近者に含める。チェックボックス231にチェックマークが表示された状態で検索開始ボタン224への操作が入力されると、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物が接近者として抽出される。
【0132】
すなわち、本実施形態に係る情報出力装置1は、感染者の同乗者に加え、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物を接近者として抽出する。
【0133】
具体的には、接近者抽出部102(第2抽出部)は、実施形態1にて説明した条件1および2を満たすレコードに加え、上述した条件4、および、以下の条件11を満たすレコードを接近者レコードとして抽出する。
【0134】
条件11は、乗車日時が、感染者レコードの降車日時より後、かつ所定時間以内である、との条件である。当該所定時間は、一定の時間であってもよいし、検索装置2の利用者が設定可能であってもよい。
【0135】
すなわち、条件4および11(所定の第2条件)を満たすレコードは、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物のレコードである。接近者抽出部102は、以上の処理を図4のステップS4の処理の一部として実行する。
【0136】
再び図9を参照し、本実施形態に係る出力領域201について説明する。本実施形態に係る接近者タイル225が示す接近者は、感染者とエレベータにて同乗した同乗者、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物である。
【0137】
接近者タイル225Gおよび225Hは、期間内において、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物の情報を含む。具体的には、接近者タイル225Gおよび225Hは、接近者のID、期間内の日付、かごの出発時刻、乗車号機および出発階を示すテキストを含む。また、接近者タイル225Gおよび225Hは、感染者のID、かごの到着時刻、乗車号機および行先階を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも接近者情報から生成される。
【0138】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る情報出力装置1の接近者抽出部102は、以下の条件4および11を満たすレコードを接近者レコードとして抽出する。条件4:乗車号機が、感染者レコードの乗車号機と同一である。条件11:乗車日時が、感染者レコードの降車日時より後、かつ所定時間以内である。
【0139】
この構成によれば、検索装置2の利用者に対し、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物を提示することができる。この人物は、エレベータの利用において感染者に接近した人物ではないが、感染者が乗車したかごには、ウィルス等が残存している可能性がある。つまり、当該人物は、ウィルス等に感染している可能性がある。このような人物を特定することで、当該人物をウィルス等に感染した可能性がある人物として特定することができる。
【0140】
<実施形態4の変形例>
検索装置2は、出力領域201に、接近者タイル225のうち、同乗者の接近者タイル225のみを表示し、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物の接近者タイル225を表示する画面は、同乗者の接近者タイル225を表示している画面から遷移可能な別画面としてもよい。この例において、検索画面は、上記別画面に遷移するためのボタンを含む。
【0141】
また、検索装置2は、同乗者の接近者タイル225、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物の接近者タイル225の順で接近者タイル225を並べてもよい。この例において、感染者とすれ違った人物や、感染者と同じエレベータホールにいた人物の接近者タイル225がある場合、同乗者、感染者とすれ違った人物、感染者と同じエレベータホールにいた人物、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物の順で、接近者タイル225を並べてもよい。換言すれば、検索装置2は、感染者からウィルス等に感染した可能性が高い順に、接近者タイル225を並べてもよい。
【0142】
また、同乗者を検索するための検索画面と、感染者が乗車したかごに、感染者が降車してから所定時間以内に乗車した人物を検索するための検索画面とは別画面であってもよい。すなわち、後者の検索画面では、同乗者ではなく、感染者がかごから降車してから所定時間以内に当該かごに乗車した人物のみを検索する。
【0143】
〔実施形態5〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。本実施形態に係る情報出力装置1は、期間内のエレベータの利用において、接近者に接近した二次接近者の情報を検索装置2へ出力する。
【0144】
<接近者抽出処理>
図10は、本実施形態に係る情報出力装置1が実行する接近者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図10において、図4を参照して説明した接近者抽出処理と同一の処理を実行するステップについては、同じステップ番号を付している。また、当該ステップについては、実施形態1ですでに説明しているため、ここでは説明を繰り返さない。
【0145】
ステップS11について、接近者抽出部102は、接近者レコードの各々について、条件を満たす二次接近者レコードを抽出する。ここでの抽出対象は、感染者レコードおよび接近者レコード以外のレコードのうち、条件を満たすレコードである。また、条件は、接近者レコードの抽出条件と同一である。なお、以降、或る接近者レコードに着目したとき、当該接近者レコードとの間で条件を満たす二次接近者レコードを、「対応する二次接近者レコード」と表記する。接近者抽出部102は、接近者レコードと、各接近者レコードに対応する二次接近者レコード、並びに、接近者レコードと、各接近者レコードに対応する二次接近者レコードとの組み合わせから特定した同乗区間を時間特定部103へ出力する。
【0146】
ステップS12において、時間特定部103は、二次接近者レコードについて、接近者との同乗時間を特定する。具体的には、時間特定部103は、各同乗区間について、かごの移動にかかった時間を特定する。当該同乗区間の開始時点および終了時点は、接近者レコードに含まれる出発日時および到着日時、並びに、当該接近者レコードに対応する二次接近者レコードに含まれる出発日時および到着日時のいずれかであるので、時間特定部103は、取得した情報を用いて同乗時間を特定することができる。時間特定部103は、特定した同乗時間を接近者抽出部102へ出力する。接近者抽出部102は、二次接近者レコードに、当該二次接近者レコードに基づき特定された同乗時間を対応付けて通信制御部101へ出力する。
【0147】
ステップS13において、通信制御部101は、接近者レコードおよび二次接近者レコードに基づく接近者情報(二次接近者情報)を検索装置2へ送信する。具体的には、通信制御部101は、通信部12を制御して、接近者レコードと同乗時間を対応付けた情報を検索装置2へ送信する。
【0148】
図11は、検索装置2に表示される、接近者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図11は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0149】
図11に示す接近者タイル225は、二次接近者表示ボタン232を含む。二次接近者表示ボタン232は、各接近者タイル225が示す接近者の二次接近者を表示するためのボタンである。二次接近者表示ボタン232への操作が入力されると、当該二次接近者表示ボタン232を含む接近者タイルが示す接近者の二次接近者に関する情報が表示される。
【0150】
検索装置2は、当該情報について、図11に示す画面とは別の画面に遷移させて表示してもよいし、図11に示す画面に、当該情報を含むウィンドウを表示させてもよい。
【0151】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係る情報出力装置1の接近者抽出部102は、接近者レコードに加え、二次接近者レコードを抽出する。そして、通信制御部101は、接近者レコードおよび二次接近者レコードに基づく接近者情報を検索装置2へ送信する。
【0152】
この構成によれば、検索装置2の利用者は、接近者に加え、二次接近者をも特定することができる。これにより、接近者がウィルス等に感染していた場合、当該接近者からの感染の恐れがある二次接近者を容易に特定することができる。
【0153】
<実施形態5の変形例>
検索装置2は、検索画面の入力領域200に、二次接近者レコードを抽出するか否かを切り替えるチェックボックスを含めていてもよい。当該チェックボックスにチェックマークが表示されている場合のみ、接近者タイル225に二次接近者表示ボタン232が含められる。
【0154】
〔実施形態6〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。本発明に係る情報出力装置1は、エレベータの利用において感染者と接近した接近者に加え、感染者と近接して着席した近接着席者を特定する。
【0155】
本実施形態において、エレベータが設置された建物は、複数の階床に或る企業の執務室(施設)が設けられているものとする。また、当該企業は、フリーアドレスを採用しているものとする。つまり、当該企業の従業員は、日によって勤務する執務室や、利用する座席が異なるものとする。
【0156】
図12は、本実施形態に係るエレベータ制御装置4aの要部構成の一例を示すブロック図である。エレベータ制御装置4aはエレベータを制御する装置である。本実施形態では、情報出力装置はエレベータ制御装置4aと一体となっているものとする。
【0157】
<エレベータ制御装置4aの要部構成>
エレベータ制御装置4aは、制御部40、記憶部41および通信部42を備える。制御部40は、エレベータ制御装置4aの各部を統括して制御する。記憶部41は、エレベータ制御装置4が実行する各種プログラムや、エレベータ制御装置4aが使用する各種データを記憶する。通信部42は、各種装置と情報の送受信を行う。
【0158】
一例として、本実施形態では、記憶部41はエレベータ利用履歴111、連絡先データベース112および座席履歴411を記憶している。エレベータ利用履歴111および連絡先データベース112については、すでに説明しているためここでは説明を繰り返さない。また、座席履歴411の詳細については後述する。
【0159】
一例として、本実施形態では、通信部42は、検索装置2、行先階登録装置3および利用者端末装置5と情報の送受信を行う。
【0160】
制御部40は、通信制御部401(取得部、通知部、第2取得部)、接近者抽出部402(抽出部、第3抽出部)、時間特定部103、履歴更新部104、呼び実行部405(登録部)および座席決定部406(決定部)を含む。
【0161】
通信制御部401は、通信部42を制御して情報の送受信を行う。通信制御部401が通信制御部101と異なる点は、行先階登録装置3との情報の送受信を制御する点である。接近者抽出部402は、接近者に加え近接着席者の情報を抽出する。呼び実行部405は、行先階を登録して制御するかご(号機)を決定し、当該かごを、登録内容に応じて移動させる。座席決定部406は、行先階登録装置の利用者が本日着席する座席を決定する。また、座席決定部406は、座席の決定に基づき座席履歴411を更新する。
【0162】
<座席履歴411>
ここで、座席履歴411の詳細について説明する。図13は、座席履歴411の一具体例を示す図である。本実施形態では、座席履歴411が、図13に示すテーブル形式のデータである例を説明するが、座席履歴411のデータ形式はこの例に限定されない。
【0163】
座席履歴411は、登録日時、ID、座席階および座席番号を対応付けたレコードを含む。IDは、利用者の利用者識別情報である。登録日時は、行先階登録装置3を用いて行先階の登録を行った日時を示す情報である。なお、本実施形態では、行先階の登録の際に、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席を決定する。座席階は、決定した座席がある階床を示す情報である。換言すれば、座席階は、行先階登録装置3の利用者が本日勤務する執務室がある階床を示す情報である。座席番号は、座席階が示す執務室において、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席を示す情報である。登録日時、ID、座席階および座席番号は、いずれも行先階登録装置3から取得することができ、その詳細については後述する。
【0164】
<エレベータ制御処理>
図14は、エレベータ制御装置4aが実行するエレベータ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るエレベータ制御処理は、行先階登録に基づくエレベータの制御処理である。図15は、行先階登録装置3に表示される画面の一具体例を示す図である。
【0165】
図15の行先階登録装置3Aは、行先階登録装置3に対する利用者の操作を受け付ける前の、初期画面を表示している行先階登録装置3である。
【0166】
行先階登録装置3Aのタッチスクリーン31は、読取部32へのカード型端末のタッチを促すテキストを含む。利用者は、読取部32に対し自身のカード型端末をタッチする。これにより、読取部32を介してカード型端末から利用者識別情報が行先階登録装置3へ送信される。
【0167】
行先階登録装置3Bは、利用者識別情報受信後の画面を表示している行先階登録装置3である。行先階登録装置3Bのタッチスクリーン31は、座席案内ボタン311およびフロア移動ボタン312を含む。
【0168】
座席案内ボタン311は、行先階登録とともに、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席の決定を行うためのボタンである。フロア移動ボタン312は、行先階登録と座席の決定とのうち、行先階登録のみを行うためのボタンである。ここでは、利用者は座席案内ボタン311への操作を行ったものとする。行先階登録装置3は、受信した利用者識別情報をエレベータ制御装置4aへ送信する。
【0169】
図14のステップS21において、通信制御部401は、行先階登録装置3からID(利用者識別情報)を受信する。通信制御部401は、受信したIDを座席決定部406へ出力する。座席決定部406は、執務室がある階床の少なくとも一部を示す選択肢情報を通信制御部401へ出力する。当該情報が示す階床は、利用者に提示される行先階の選択肢を生成するために用いられる。
【0170】
執務室がある階床の一部を示す情報を出力する場合、座席決定部406は、ランダムに階床を選択してもよいし、各執務室で現在勤務している勤務人数に基づいて選択してもよい。
【0171】
ステップS22において、通信制御部401は、階床の選択肢情報を行先階登録装置3へ送信する。
【0172】
図15の行先階登録装置3Cは、選択肢情報に基づき、行先階の選択肢ボタン313を含む選択画面を表示している行先階登録装置3である。行先階登録装置3Cの例では、選択肢ボタン313は、それぞれ「2」、「4」、「10」との数字が記載された3つのボタンである。これらはそれぞれ、2階、4階、10階を行先階として登録するためのボタンである。
【0173】
ここでは、行先階登録装置3の利用者は、「10」が表示されたボタンへの操作を入力したものとする。これにより、行先階登録装置3は、登録する行先階(10階)を示す行先階情報をエレベータ制御装置4aへ送信する。
【0174】
再び図14を参照し、エレベータ制御処理の続きを説明する。ステップS23において、通信制御部401は、通信部42を介して行先階情報を受信する。通信制御部401は、受信した行先階情報を呼び実行部405および座席決定部406へ出力する。
【0175】
ステップS24において、座席決定部406は行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席を決定する。具体的には、座席決定部406は、取得した行先階情報が示す階床にある執務室に設けられた座席であって、現在空席となっている座席のうちの1つを、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席として決定する。座席決定部406は、空席のうちの1つをランダムに決定してもよいし、すでに着席者が決定している座席に基づいて決定してもよい。後者の場合、例えば、すでに着席者が決定している座席から最も遠い座席を、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席として決定してもよい。座席決定部406は、決定した座席を示す座席情報を、通信制御部401へ出力する。また、座席決定部406は、座席の決定に基づき座席履歴411を更新する。
【0176】
ステップS25において、呼び実行部405は、出発階、すなわち、行先階情報を送信した行先階登録装置3がある階床へ移動させるエレベータの号機を決定する。換言すれば、呼び実行部405は、行先階の登録を行う。呼び実行部405は、決定した号機を示す号機情報を通信制御部401へ出力する。なお、図14では、ステップS25は、ステップS24の後に記載されているが、ステップS25の処理は、ステップS24の処理より前、あるいは、ステップS24の処理と並行して実行されてもよい。
【0177】
ステップS26において、通信制御部401は、取得した座席情報および号機情報を行先階登録装置3へ送信する。ステップS27において、呼び実行部405は、決定した号機のかごを出発階へ移動させる。以上でエレベータ制御処理は終了する。なお、ステップS27は、ステップS26の後に記載されているが、ステップS27の処理は、ステップS26の処理より前、あるいは、ステップS26の処理と並行して実行されてもよい。
【0178】
図15の行先階登録装置3Dは、座席情報および号機情報に基づき、行先階の登録および座席の決定の内容を示す最終画面を表示している行先階登録装置3である。
【0179】
最終画面は、行先階登録装置3の利用者が乗るべき号機を示すテキストと、当該利用者が本日勤務する執務室がある階床(すなわち、行先階)を示すテキストと、本日着席する座席を示すテキストとを含む。また、最終画面は、当該座席を示す画像314を含む。画像314は、一例として、複数の矩形からなり、当該矩形のそれぞれが、執務室に設けられた座席に対応する。行先階登録装置3Dの例では、黒塗りの矩形が現時点で着席者が決定している座席を示し、白塗りの矩形が空き座席を示し、網掛の矩形315が、行先階登録装置3の利用者が本日着席する座席を示す。
【0180】
最終画面を視認することにより、行先階登録装置3の利用者は、自身が乗る号機と、自身が本日着席する座席とを認識することができる。
【0181】
<近接着席者抽出処理>
図16は、エレベータ制御装置4aが実行する近接着席者抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図16において、図4を参照して説明した接近者抽出処理と同一の処理を実行するステップについては、同じステップ番号を付している。また、当該ステップについては、実施形態1ですでに説明しているため、ここでは説明を繰り返さない。
【0182】
ステップS31において、接近者抽出部402は、座席履歴411を参照し、検索装置2から受信したIDを含む、1または複数のレコード(感染者レコード)を特定する。
【0183】
ステップS32において、接近者抽出部402は、期間内の他のレコードから、条件を満たす近接着席者レコードを抽出する。具体的には、接近者抽出部402は、期間内のレコードから、以下の条件12~14を満たすレコードを近接着席者レコードとして抽出する。条件12は、感染者レコードと登録日時が示す日付が同一であるとの条件である。条件13は、感染者レコードと座席階が同一であるとの条件である。条件14は、感染者レコードに含まれる座席番号が示す座席と、隣接する座席を示す座席番号を含むとの条件である。接近者抽出部402は、感染者レコードおよび近接着席者レコードを通信制御部401へ出力する。
【0184】
ステップS33において、通信制御部401は、近接着席者レコードに基づく近接着席者情報を検索装置2へ送信する。
【0185】
図17は、検索装置2に表示される、近接着席者の検索画面の一例を示す図である。具体的には、図17は、検索開始ボタン224への操作が入力された後の検索画面の一例を示す図である。
【0186】
図17に示す入力領域200は、近接着席者を検索する画面であることを示すテキスト「近接着席者検索」が、「接近者検索」に代えて表示されていることを除けば、図6に示す入力領域200と同一である。
【0187】
図17に示す出力領域201は、近接着席者タイル233Aおよび233Bが、接近者タイル225に代えて表示されていることを除けば、図6に示す出力領域201と同一である。なお、以降、近接着席者タイル233Aおよび233Bを区別しない場合、近接着席者タイル233と表記する。近接着席者タイル233は、近接着席者の合計人数と同数生成される。つまり、図17の例では12個の近接着席者タイル233が生成される。図17の例において表示されていない近接着席者タイル233は、例えば、検索装置2の利用者がスクロール操作を入力することにより表示される。
【0188】
近接着席者タイル233は、近接着席者のID(利用者識別情報)、期間内において感染者の隣(感染者の席の上下、左右、斜め方向の席)に着席した日付、座席階および座席番号、並びに、感染者のID、座席階および座席番号を示すテキストを含む。これらのテキストは、いずれも近接着席者情報から生成される。なお、近接着席者タイル233Aは、これらテキストの組み合わせを2つ含む。これは、ID「0023」が示す接近者が、期間内に2回、感染者の隣に着席したことを示す。また、接近者タイル225は、メール通知ボタン226を含む。
【0189】
<作用効果>
以上のとおり、本実施形態に係るエレベータ制御装置4aの通信制御部401は、行先階登録装置3に入力された利用者識別情報を、行先階登録装置3から受信する。また、呼び実行部405は、当該利用者識別情報が示す利用者の行先階を登録する。また、座席決定部406は、行先階に設けられた執務室で利用者が着席する座席を決定する。また、接近者抽出部402は、感染者の近接着席者を示す近接着席者レコードを抽出する。また、通信制御部401は、近接着席者レコードに基づく近接着席者情報を検索装置2へ送信する。
【0190】
この構成によれば、感染者の利用者識別情報を入力することにより、当該感染者の隣に着席していた人物の情報を取得することができる。これにより、エレベータにおいては感染者と接近していないが、執務室において感染者と接近していた人物を特定することができる。よって、特定した人物を感染の可能性がある人物とみなし、必要な対応をとることができる。
【0191】
<実施形態6の変形例>
検索装置2が表示する検索画面の入力領域200は、接近者と近接着席者との両方を検索可能となっていてもよい。この例において、エレベータ制御装置4aが実行する接近者抽出処理は、実施形態1~5のいずれかで説明した接近者抽出処理であればよい。
【0192】
実施形態6では、近接着席者として、感染者の隣に着席した人物を抽出したが、近接着席者はこの例に限定されない。例えば、近接着席者は、感染者の着席した座席から所定距離以内にある座席に着席した人物であってもよい。
【0193】
〔その他の変形例〕
図18は、或る変形例に係る検索装置2aの要部構成の一例を示すブロック図である。当該変形例において、情報出力装置は、検索装置2aと一体となっている。なお、ここでは、実施形態1にて説明した情報出力装置1が、検索装置2aと一体となっている例を説明するが、検索装置2aと一体となっている情報出力装置は他の実施形態で説明した情報出力装置であってもよい。
【0194】
検索装置2aは、制御部10a、記憶部11、通信部12、入力部21および表示部22を備える。制御部10aは、検索装置2aの各部を統括して制御する。入力部21は、検索装置2aの利用者の操作入力を受け付ける。表示部22は、検索装置2aが生成した画像を表示する。入力部21および表示部22は、タッチスクリーンとして一体となっていてもよい。
【0195】
制御部10aが制御部10と異なる点は、入出力制御部105(取得部、出力部)を含む点である。入出力制御部105は、入力部21および表示部22を制御する。具体的には、入出力制御部105は、入力部21が受け付けた操作の操作信号を取得し、制御部10aの各部へ出力する。一例として、入出力制御部105は、検索開始ボタン224への操作の操作信号を取得し、接近者抽出部102へ出力する。
【0196】
また、入出力制御部105は、接近者抽出部102から取得した感染者レコード、接近者レコード、並びに、各接近者レコードが示す接近者の感染者との同乗時間に基づき、接近者タイル225等の情報を表示部22に表示させる。具体的には、入出力制御部105は、接近者タイル225、接近者の合計人数、メール通知ボタン227を生成し、出力領域201に表示させる。
【0197】
以上のとおり、本変形例に係る検索装置2aの入出力制御部105は、入力部21に入力された利用者識別情報を取得する。また、接近者抽出部102は、取得した利用者識別情報が示す感染者の接近者の接近者レコードを抽出する。また、入出力制御部105は、接近者レコードに基づく接近者情報を表示部22に表示させる。
【0198】
上述した各実施形態では、検索装置2または2aの利用者は、感染者のIDを入力していたが、これに限定されない。検索装置2または2aに入力するIDは、例えば、エレベータに発生した問題を報告した利用者のIDであってもよい。当該IDを入力することにより、問題が発生したエレベータに、当該利用者と同乗した同乗者を特定することができる。これにより、特定した同乗者に問題について確認することで、問題の信ぴょう性を確認することができる。
【0199】
上述した各実施形態では、接近者抽出部102または402は、出発階および行先階から乗車区間を特定していたが、エレベータ利用履歴111の各レコードは、出発階および行先階に代えて、乗車区間そのものを含んでいてもよい。
【0200】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報出力装置1、検索装置2aおよびエレベータ制御装置4aの制御ブロック(特に制御部10、10aおよび40)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0201】
後者の場合、情報出力装置1、検索装置2aおよびエレベータ制御装置4aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【符号の説明】
【0202】
1 情報出力装置
2a 検索装置(情報出力装置)
4a エレベータ制御装置(情報出力装置)
101 通信制御部(取得部、通知部)
102 接近者抽出部(抽出部、第2抽出部)
105 入出力制御部(取得部、出力部)
401 通信制御部(取得部、通知部、第2取得部)
402 接近者抽出部(抽出部、第3抽出部)
405 呼び実行部(登録部)
406 座席決定部(決定部)
【要約】
【課題】特定の人物とエレベータの利用において接近した可能性が高い人物を検索して出力する。
【解決手段】情報出力装置(1)は、感染者の利用者識別情報を含む検索条件を、検索装置(2)から受信する通信制御部(101)と、エレベータ利用履歴(111)の各レコードから、接近者レコードを抽出する接近者抽出部(102)とを備え、通信制御部(101)は、抽出した接近者レコードに基づく接近者情報を検索装置(2)へ送信する。
【選択図】図1
図1
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図18