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特許7031723ケーブル用コネクタ及びケーブル用コネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】ケーブル用コネクタ及びケーブル用コネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/20 20060101AFI20220301BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20220301BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20220301BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01R4/20
H01R4/70 F
H01R43/048 Z
H01R43/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020203405
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2021-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】義浦 康夫
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-17181(JP,A)
【文献】特開2019-200898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/20
H01R 13/648
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を備えるケーブルと接続するケーブル用コネクタであって、
前記導電部と接続する導電性のコンタクトと、
前記コンタクトを保持する絶縁性のインシュレータと、
前記絶縁部に加締められる加締め部を備え、前記インシュレータを覆う導電性のシェルと、
前記加締め部に直接重ねて設けられ、前記加締め部を介して前記絶縁部に加締められる筒状且つ導電性の第1のスリーブと、
を有することを特徴とするケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記第1のスリーブは、
円周方向においてつなぎ目が無い、
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル用コネクタ。
【請求項3】
導電性の第2のスリーブを有し、
前記ケーブル用コネクタは、
内部導電部と外部導電部とから構成される前記導電部と、前記内部導電部と前記外部導電部との間において前記内部導電部を覆う内部絶縁部と、前記外部導電部を覆う外部絶縁部と、から構成される前記絶縁部と、を備える前記ケーブルと接続し、
前記コンタクトは、
前記内部導電部と接続し、
前記第2のスリーブは、
前記外部絶縁部と前記加締め部との間に設けられると共に、前記外部絶縁部に加締められ、
前記加締め部は、
前記第2のスリーブの外周部に折り返された前記外部導電部を前記第2のスリーブとの間で挟んだ状態で前記第2のスリーブを介して前記外部絶縁部に加締められ、
前記第1のスリーブは、
前記外部導電部を挟んだ前記加締め部及び前記第2のスリーブを介して前記外部絶縁部に加締められる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のケーブル用コネクタ。
【請求項4】
導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を備えるケーブルと接続するケーブル用コネクタの製造方法であって、
前記導電部に導電性のコンタクトを接続する工程と、
前記コンタクトを絶縁性のインシュレータによって保持する工程と、
導電性のシェルの本体部によって前記インシュレータを覆うと共に前記シェルの加締め部を前記絶縁部に加締める工程と、
筒状且つ導電性のスリーブを前記加締め部に直接重ねた後に前記スリーブを前記加締め部を介して前記絶縁部に加締める工程と、
を有することを特徴とするケーブル用コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルと接続するケーブル用コネクタ及びケーブル用コネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用等のケーブル用コネクタに対しては、ケーブルの高い引張強度が要求されるため、ケーブルとの接続部に対する強度の向上が求められている。
【0003】
特許文献1は、ケーブルに固定されるコネクタ端子に関し、ケーブル被覆の外周にスリーブを配置し、ケーブル内部のシールド編組をスリーブの外周上に折り返し、さらにその外周から、シールドシェルのバレルを加締める構成を開示している。しかしながら、特許文献1のコネクタ端子は、ケーブル被覆には厚みがあると共に弾性があるため、スリーブ及びバレルが開く方向に負荷がかかることにより、加締めが緩み、シールドとバレルとの導通が不安定になる懸念があると共に、ケーブルとコネクタ端子との固定強度の低下が懸念される。
【0004】
これに対して、従来、加締め部にはんだ処理を行うことにより、上記の懸念を解消するケーブル用コネクタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-92063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の加締め部にはんだ処理を行うケーブル用コネクタにおいては、加工費が上昇すると共に、品質のばらつきを生じるという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、加工費の上昇及び品質のばらつきを抑制しつつ、加締めが緩むことを抑制することができ、ケーブルの導電部との導通を安定させることができると共に、ケーブルに対する固定強度の低下を抑制することができるケーブル用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るケーブル用コネクタは、導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を備えるケーブルと接続するケーブル用コネクタであって、前記導電部と接続する導電性のコンタクトと、前記コンタクトを保持する絶縁性のインシュレータと、前記絶縁部に加締められる加締め部を備え、前記インシュレータを覆う導電性のシェルと、前記加締め部に直接重ねて設けられ、前記加締め部を介して前記絶縁部に加締められる筒状且つ導電性の第1のスリーブと、を有する。
【0009】
本発明に係るケーブル用コネクタの製造方法は、導電部と、前記導電部を覆う絶縁部と、を備えるケーブルと接続するケーブル用コネクタの製造方法であって、前記導電部に導電性のコンタクトを接続する工程と、前記コンタクトを絶縁性のインシュレータによって保持する工程と、導電性のシェルの本体部によって前記インシュレータを覆うと共に前記シェルの加締め部を前記絶縁部に加締める工程と、筒状且つ導電性のスリーブを前記加締め部に直接重ねた後に前記スリーブを前記加締め部を介して前記絶縁部に加締める工程と、を有する。
【0010】
ケーブルの絶縁部等より加締め部の加締めが緩む方向に力が加わる場合に、筒状の第1のスリーブによって加締め部の加締めが緩む方向への力を抑制する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加工費の上昇及び品質のばらつきを抑制しつつ、加締めが緩むことを抑制することができ、ケーブルの導電部との導通を安定させることができると共に、ケーブルに対する固定強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてコンタクトにケーブルの内部導体を接続した状態の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてケーブルの外部絶縁部にインナースリーブを加締めた状態の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてインナースリーブの外周部にケーブルの編組を折り返した状態の斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてコンタクトをインシュレータに保持すると共にケーブルの編組にシェルを加締めた状態の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてシェルにアウタースリーブを加締めた状態の斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてシェルにアウタースリーブを加締めた状態の平面図である。
図9】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタの製造過程においてシェルにアウウタースリーブを加締めた状態の背面図である。
図10】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタのアウタースリーブの斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタのアウタースリーブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタにつき、詳細に説明する。
【0014】
<ケーブル用コネクタの構成>
本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタ1の構成につき、図1から図11を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、図2及び図8における左方向を前方向とし、図2及び図8における右方向を後方向として説明する。
【0015】
ケーブル用コネクタ1は、ケーブル100と接続し、コンタクト10と、インナースリーブ20と、インシュレータ30と、シェル40と、アウタースリーブ50と、ハウジング60と、カバー70と、を有している。
【0016】
ここで、ケーブル100は、複数の内部導電部101と、複数の内部導電部101を各々覆う複数の内部絶縁部102と、内部絶縁部102を覆う外部導電部としての編組部103と、編組部103を覆う外部絶縁部104と、を有している。複数の内部導電部101の数は、ここでは4つを例示する。
【0017】
コンタクト10は、導電性を有する材料によって形成されており、図3から図5に示すように、固定部11と、係合部12と、接続部13と、を備えている。
【0018】
固定部11は、ケーブル100の内部導電部101に固定されて接続している。
【0019】
係合部12は、金属板を打ち抜いた後に外方に曲げ加工して形成されており、インシュレータ30と係合することによりコンタクト10がインシュレータ30に保持されている。
【0020】
接続部13は、図示しない相手側コネクタの導電性コンタクトと弾性力によって接続する。接続部13は、金属板を打ち抜いた後に内方に曲げ加工して形成されていると共に、相手側コネクタの導電性コンタクトに対して弾性変形することによって接続する接続片部131を備えている。
【0021】
インナースリーブ20は、導電性を有する材料によって形成されており、オープンバレルの構成を有している。インナースリーブ20は、外部絶縁部104とシェル40の後述の加締め部42との間に設けられている。インナースリーブ20は、ケーブル100の外部絶縁部104に対して筒状になるように加締められている。加締められたインナースリーブ20は、ケーブル100の図4に示す軸線Pと直交する平面によって切断した断面が円形になっている。インナースリーブ20は、図5に示すように、外周部にケーブル100の編組部103が折り返されている。
【0022】
インシュレータ30は、絶縁性を有する材料によって形成されていると共に、図6に示すように矩形状である。インシュレータ30は、前後方向に貫通する貫通孔31を備えている。貫通孔31は、コンタクト10を互いに絶縁した状態で保持していると共に、相手側コネクタの図示しない導電性コンタクトを前方より挿入可能にしている。
【0023】
シェル40は、導電性を有する材料によって形成されており、図7に示すように、本体部41と、加締め部42と、連結部43と、を備えている。
【0024】
本体部41は、インシュレータ30を覆っている。本体部41は、金属板を外方に切り起こして形成した係合片部411を備え、図示しない相手側コネクタの導電部と接続する。
【0025】
加締め部42は、オープンバレルの構成を有しており、インナースリーブ20とアウタースリーブ50との間に設けられている。加締め部42は、インナースリーブ20の外周部に折り返されたケーブル100の編組部103をインナースリーブ20との間で挟んだ状態で、インナースリーブ20を介して外部絶縁部104に加締められている。加締め部42は、ケーブル100の外部絶縁部104に対して筒状になるように加締められている。加締められた加締め部42は、ケーブル100の図6に示す軸線Pと直交する平面によって切断した断面が円形になっている。
【0026】
連結部43は、本体部41と加締め部42とを接続している。
【0027】
アウタースリーブ50は、導電性を有する材料によって形成されている。アウタースリーブ50は、図7から図11に示すように、円周方向においてつなぎ目の無い筒状(パイプ状)のクローズドバレルの構成を有している。アウタースリーブ50は、互いに平行に延設されると共に対向する直線状壁部51と、互いに外方に凸形状となるように湾曲していると共に対向し、直線状壁部51に接続する湾曲状壁部52と、を備え、図11に示すように略六角形である。アウタースリーブ50は、加締め部42に重ねて設けられており、編組部103を挟んだインナースリーブ20及び加締め部42を介してケーブル100の外部絶縁部104に加締められている。
【0028】
なお、アウタースリーブ50は、図11に示す形状として、六角形にする場合に限らず、八角形等の任意の形状にすることができる。また、図9において、アウタースリーブ50は、略六角形であるが、加締められることにより実際には塑性変形している。
【0029】
ハウジング60は、図1及び図2に示すように、シェル40の係合片部411と係合することにより、シェル40を覆った状態でシェル40に取り付けられ、開口部61と、嵌合片部62と、係合突出部63と、を備えている。
【0030】
開口部61は、前端を外部に開放してインシュレータ30を外部に露出させている。開口部61には、図示しない相手側コネクタが挿入される。
【0031】
嵌合片部62は、弾性変形可能であり、弾性変形して相手側コネクタの図示しないロック部と嵌合することにより、ケーブル用コネクタ1と相手側コネクタとを接続する。
【0032】
係合突出部63は、後端側に設けられると共に外方に突出している。
【0033】
カバー70は、図1及び図2に示すように、弾性変形可能な係合片部71を備えており、係合片部71がハウジング60の係合突出部63と係合することにより、ハウジング60に取り付けられてハウジング60の後方を覆っている。
【0034】
<ケーブル用コネクタの製造方法>
本発明の実施形態に係るケーブル用コネクタ1の製造方法につき、以下に詳細に説明する。
【0035】
まず、図3に示すように、ケーブル100の内部導電部101の各々に対して、コンタクト10の固定部11を固定してコンタクト10を接続する。
【0036】
次に、ケーブル100の外部絶縁部104を切除等して編組部103を外部絶縁部104から露出させた後に、インナースリーブ20にケーブル100の外部絶縁部104を挿通して、図4に示すように、インナースリーブ20を外部絶縁部104に加締める。なお、図4では、露出させた編組部103の記載を省略している。
【0037】
この際に、インナースリーブ20は、周方向の一端20aと他端20bとが当接した状態で外部絶縁部104に加締められる。これにより、インナースリーブ20を過剰に加締めることはできないため、加締めによるケーブル100の断線を抑制することができる。
【0038】
次に、図5に示すように、ケーブル100の露出させた編組部103をインナースリーブ20の外周上に折り返す。
【0039】
次に、カバー70にケーブル100を挿通させると共に、アウタースリーブ50にケーブル100を挿通させる。なお、カバー70にケーブル100を挿通させる工程及びアウタースリーブ50にケーブル100を挿通させる工程は、編組部103をインナースリーブ20の外周上に折り返す工程の前の任意のタイミングで行ってもよい。
【0040】
次に、図6に示すように、コンタクト10の接続部13をインシュレータ30の貫通孔31に後方より挿入して、コンタクト10の係合部12をインシュレータ30の図示しない係合部に係合させることにより、ケーブル100にインシュレータ30を取り付ける。なお、ケーブル100にインシュレータ30を取り付ける工程は、カバー70にケーブル100を挿通させる工程及びアウタースリーブ50にケーブル100を挿通させる工程よりも後であって、編組部103をインナースリーブ20の外周上に折り返す工程よりも前に行ってもよい。
【0041】
次に、図6に示すように、シェル40の本体部41によってインシュレータ30を覆うと共に、シェル40の加締め部42とインナースリーブ20との間で編組部103を挟んだ状態で、加締め部42をインナースリーブ20を介して外部絶縁部104に加締める。この際に、インナースリーブ20がケーブル100の外部絶縁部104に対して筒状になるように加締められていると共に、加締め部42がケーブル100の外部絶縁部104に対して筒状になるように加締められているため、インナースリーブ20と加締め部42とによって編組部103を均一にバランス良く挟むことができ、電気的な接続及び加締め強度を維持することができる。
【0042】
次に、加締め部42上にアウタースリーブ50を移動させた後に、図7及び図8に示すように、アウタースリーブ50を編組部103を挟んだインナースリーブ20及び加締め部42を介してケーブル100の外部絶縁部104に加締める。この際に、アウタースリーブ50と外部絶縁部104との間にインナースリーブ20を設けることにより、アウタースリーブ50を加締める際にアウタースリーブ50に加える力をある程度大まかに設定することができ、容易に製造することができる。
【0043】
次に、シェル40を覆うようにハウジング60をシェル40に取り付ける。
【0044】
次に、カバー70をハウジング60の後方に移動させて、カバー70の係合片部71とハウジング60の係合突出部63とを係合することにより、ケーブル用コネクタ1が完成する。
【0045】
上記の製造方法によって生産されたケーブル用コネクタ1は、インナースリーブ20とシェル40とで編組部103を挟み込むことにより、ケーブル100の引張強度を向上させることができる。
【0046】
また、アウタースリーブ50を設けることにより、外部絶縁部104の弾性力により外部絶縁部104がクッションとなって、インナースリーブ20を剛体化することができないこと、及びインナースリーブ20及びシェル40の加締め部42に対して加締めが緩む方向に力が加わることによる強度の低下を抑制することができる。
【0047】
また、インナースリーブ20によってケーブル100の外部絶縁部104を加締めることにより、加締めの強度を維持しつつ、過度な加締めによる信号の伝送性能の悪化を回避することができると共に、加締めによるケーブル100の断線を抑制することができる。
【0048】
また、シェル40の加締め部42とインナースリーブ20とによって編組部103を挟んで加締め部42を外部絶縁部104に加締めることにより、編組部103との接触を安定させることができると共に加締め強度の低下を抑制することができる。
【0049】
更に、アウタースリーブ50を円周方向においてつなぎ目の無い筒状にすることにより、外部絶縁部104等によってインナースリーブ20及びシェル40の加締め部42が広がることを確実に抑え込むことができる。
【0050】
因みに、ケーブル100に対する加締め強度を向上させるためにシェル40の板厚を大きくする場合には、シェル40のバネ性が低下するため、シェル40と相手側コネクタとの接触性能の低下を招くと共に、インシュレータ30及びハウジング60に対するシェル40の取付性能の低下を招く。
【0051】
このように、本実施形態によれば、外部絶縁部104に加締められる加締め部42を備え、インシュレータ30を覆う導電性のシェル40と、加締め部42に重ねて設けられ、加締め部42を介して外部絶縁部104に加締められる筒状且つ導電性のアウタースリーブ50と、を有することにより、加工費の上昇及び品質のばらつきを抑制しつつ、加締めが緩むことを抑制することができ、ケーブルの導電部との導通を安定させることができると共に、ケーブルに対する固定強度の低下を抑制することができる。
【0052】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0053】
具体的には、上記実施形態において、ケーブル用コネクタ1は、内部導体101と、内部絶縁部102と、編組部103と、外部絶縁部104と、を備えるケーブル100に接続したが、これに限らず、導電部と導電部を覆う絶縁部とを備えるケーブルに接続してもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、4つの内部導電部101を有するケーブル100と接続したが、これに限らず、1つ又は4つ以外の複数の内部導電部を有するケーブルと接続するように構成することができる。
【0055】
また、上記実施形態において、インナースリーブ20とシェル40の加締め部42との間で編組部103を挟んだ状態で加締め部42によって加締めたが、これに限らず、インナースリーブ20とシェル40の加締め部42との間で編組部103を挟まずに加締め部42によって加締めてもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、インナースリーブ20を設けたが、これに限らず、インナースリーブ20を設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係るケーブル用コネクタ及びケーブル用コネクタの製造方法は、加工費の上昇及び品質のばらつきを抑制しつつ、加締めが緩むことを抑制し、ケーブルの導電部との導通を安定させると共に、ケーブルに対する固定強度の低下を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 ケーブル用コネクタ
10 コンタクト
11 固定部
12 係合部
13 接続部
20 インナースリーブ
30 インシュレータ
31 貫通孔
40 シェル
41 本体部
42 加締め部
43 連結部
50 アウタースリーブ
51 直線状壁部
52 湾曲状壁部
60 ハウジング
61 開口部
62 嵌合片部
63 係合突出部
70 カバー
71 係合片部
100 ケーブル
101 内部導電部
102 内部絶縁部
103 編組部
104 外部絶縁部
131 接続片部
【要約】
【課題】加工費の上昇及び品質のばらつきを抑制しつつ、加締めが緩むことを抑制し、ケーブルの導電部との導通を安定させると共に、ケーブルに対する固定強度の低下を抑制すること。
【解決手段】ケーブル用コネクタ1は、内部導電部101と接続する導電性のコンタクト10と、コンタクト10を保持する絶縁性のインシュレータ30と、外部絶縁部104に加締められる加締め部42を備え、インシュレータ30を覆う導電性のシェル40と、加締め部42に重ねて設けられ、加締め部42を介して外部絶縁部104に加締められる筒状且つ導電性のアウタースリーブ50と、を有する。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11