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特許7031809バルブディスクのアプリケーションベース制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】バルブディスクのアプリケーションベース制御
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20220301BHJP
   F15B 11/06 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G05B19/042
F15B11/06 B
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2018554741
(86)(22)【出願日】2017-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2017059270
(87)【国際公開番号】W WO2017182511
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】102016107407.1
(32)【優先日】2016-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508294228
【氏名又は名称】フェスト エスエー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Festo SE & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドール、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン、リューディガー
(72)【発明者】
【氏名】エルマー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】リンク、マイケル
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-516844(JP,A)
【文献】国際公開第2013/107466(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236683(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0240682(US,A1)
【文献】国際公開第1998/25189(WO,A1)
【文献】独国実用新案第20006295(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04 - 19/05
F15B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧運動タスクのための空気圧バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための電子実行ユニットであって、前記空気圧バルブアセンブリの前記オープンループ制御および前記クローズドループ制御のためのアプリケーションは、ピストン-シリンダアセンブリに対し前記空気圧運動タスクを実行するために、前記電子実行ユニットにロードされるか、またはロード可能であり、
前記電子実行ユニットは、前記空気圧バルブアセンブリ内のバルブディスクの有するセンサにより記録される内部測定信号と、前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号ユニットにより記録される内部測定信号と、前記ピストン-シリンダアセンブリ内のピストン-シリンダセンサユニットにより記録される内部センサ信号と、外部センサユニットからの外部プロセス信号とに基づき、前記アプリケーションをクローズドループ制御されたアプリケーションに変更する、電子実行ユニット。
【請求項2】
前記電子実行ユニットは、マイクロコントローラであり、前記空気圧バルブアセンブリはバルブアイランドである、
請求項1に記載の電子実行ユニット。
【請求項3】
前記空気圧バルブアセンブリは、前記ピストン-シリンダアセンブリ上に直接配置される、
請求項1または2に記載の電子実行ユニット。
【請求項4】
前記ピストン-シリンダアセンブリ上で記録される前記内部センサ信号は、前処理および処理のために、直接かつ何ら前処理を行うことなく前記電子実行ユニットに送信される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子実行ユニット。
【請求項5】
前記ピストン-シリンダアセンブリと前記電子実行ユニットとの間には電気ケーブルが設けられていない、
請求項4に記載の電子実行ユニット。
【請求項6】
前記空気圧バルブアセンブリは、前記ピストン-シリンダアセンブリ上に直接には配置されないが、前記ピストン-シリンダアセンブリをリモートで動かすよう構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子実行ユニット。
【請求項7】
前記電子実行ユニットは、前記アプリケーションを読み込むための入力インタフェースと、前記ピストン-シリンダアセンブリを動かすための空気圧式作用接続としての出力インタフェースとを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の電子実行ユニット。
【請求項8】
バルブアイランドの前記電子実行ユニットは、前記入力インタフェースから読み込んだ前記アプリケーションを、前記バルブディスクの入力インタフェースへと転送する、
請求項7に記載の電子実行ユニット。
【請求項9】
前記電子実行ユニットは、前記アプリケーションを実装するために使用され、バルブをオープンループ方式および/もしくはクローズドループ方式で直接的に制御するよう、ならびに/または、少なくとも1つの更なるバルブアセンブリをオープンループ方式および/もしくはクローズドループ方式で間接的に制御するようバルブアイランド上に配置され、前記バルブは、前記バルブアイランド上にローカルに配置され、前記少なくとも1つの更なるバルブアセンブリは、それぞれの空気圧運動タスクを実行するよう、ずらして配置された駆動要素上に配置される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電子実行ユニット。
【請求項10】
前記アプリケーションによる、前記ずらして配置された駆動要素上の前記更なるバルブアセンブリの間接的なオープンループ制御および/またはクローズドループ制御中、前記バルブアイランドと前記更なるバルブアセンブリとの間にはただ1つの電気接続が設けられ、前記更なるバルブアセンブリの前記バルブの全ては、共通の空気圧供給線によって供給を受ける、
請求項9に記載の電子実行ユニット。
【請求項11】
前記更なるバルブアセンブリの前記バルブの前記空気圧供給線は、前記電気接続とは別個に延在する、
請求項10に記載の電子実行ユニット。
【請求項12】
前記電子実行ユニットは、前記空気圧運動タスクが実行されるべきコンポーネント以外のコンポーネント上に配置される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の電子実行ユニット。
【請求項13】
前記空気圧バルブアセンブリは、前記空気圧バルブアセンブリ上に配置された、または、前記更なるバルブアセンブリ上にリモートに配置されたセンサによって記録される内部センサ信号に基づいて、クローズドループ方式で制御される、
請求項9に記載の電子実行ユニット。
【請求項14】
前記電気接続は、前記更なるバルブアセンブリ上で記録されたセンサデータであって、クローズドループ制御の目的で前記アプリケーションに送信されるセンサデータを送信するために使用される、
請求項10に記載の電子実行ユニット。
【請求項15】
バルブアイランドのための請求項1から14のいずれか一項に記載の電子実行ユニットと、
バルブディスクのマイクロコントローラとを、備える、
電空システム。
【請求項16】
前記バルブディスクと前記バルブアイランドとの間の通信接続は、プロトコルドライバを備えるポイントツーポイントの通信チャネルとして設計されるか、または、バスシステムとして設計される、
請求項15に記載の電空システム。
【請求項17】
空気圧運動タスクのための空気圧バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための電子バルブコントローラであって、前記空気圧バルブアセンブリの前記オープンループ制御および前記クローズドループ制御のためのアプリケーションは、ピストン-シリンダアセンブリに対し前記空気圧運動タスクを実行するために、前記電子バルブコントローラにロードされるか、またはロード可能であり、
前記電子バルブコントローラは、前記アプリケーションの実行中に、前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号と、前記ピストン-シリンダアセンブリの内部測定信号と、外部センサユニットからの外部プロセス信号とに基づき、前記アプリケーションを変更し、パラメータ化する、
電子バルブコントローラ。
【請求項18】
前記空気圧バルブアセンブリは、バルブアイランドであり、前記バルブアイランドは、複数のバルブディスクを備え、1つのバルブディスクは、複数の続された空気圧バルブを有するよう設計される、
請求項17に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項19】
前記電子バルブコントローラは、インタフェースを介して計算ユニットとデータを交換し、前記計算ユニットは、エディタを介して入力された前記空気圧運動タスクに基づいて前記アプリケーションを生成するよう機能する、
請求項17または18に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項20】
前記電子バルブコントローラおよび内部測定信号ユニットは、バルブアイランド上に配置され、前記電子バルブコントローラは、前記内部測定信号ユニットを介して前記空気圧バルブアセンブリの記内部測定信号を受信し、クローズドループ制御のために前記空気圧バルブアセンブリの前記内部測定信号を計算することを目的としている、
請求項17から19のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項21】
前記電子バルブコントローラは、前記ピストン-シリンダアセンブリを動かすために、オープンループ方式およびクローズドループ方式で前記空気圧バルブアセンブリを制御し、前記ピストン-シリンダアセンブリは、前記ピストン-シリンダアセンブリの前記内部測定信号を検出するためのピストン-シリンダセンサユニットを含み、前記電子バルブコントローラは、クローズドループ制御のために、検出された前記ピストン-シリンダアセンブリの前記内部測定信号を計算することを目的としている、
請求項17から20のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項22】
バルブアイランドのバルブディスクにおいて実装され、前記バルブディスクのセンサ信号を計算することを目的とした第1のクローズドループ回路と、
前記電子バルブコントローラに統合され、クローズドループ制御のために、前記ピストン-シリンダアセンブリの前記内部測定信号、および/または前記空気圧バルブアセンブリの前記内部測定信号、および/または前記外部センサユニットの前記外部プロセス信号を計算することを目的とした第2のクローズドループ回路と
を備える
請求項17から21のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項23】
前記電子バルブコントローラは、バスシステムを介してデジタルプログラマブル制御装置とデータを交換し、前記アプリケーションの前記空気圧バルブアセンブリ上での前記実行が、前記デジタルプログラマブル制御装置によってトリガできるよう、前記電子バルブコントローラにロードされた前記アプリケーションは、前記デジタルプログラマブル制御装置上のプログラムシーケンスに組み込まれる、
請求項17から22のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項24】
前記電子バルブコントローラは、バスシステムを介してデジタルプログラマブル制御装置とデータを交換し、前記デジタルプログラマブル制御装置には、前記空気圧運動タスクを実行する目的で、前記電子バルブコントローラにロード可能な更なる制御アプリケーションが提供される、
請求項17から23のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラ。
【請求項25】
請求項1から14のいずれか一項に記載の電子実行ユニット、または請求項17から24のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラによってオープンループ方式およびクローズドループ方式で制御されるバルブアセンブリ。
【請求項26】
空気圧運動タスクをピストン‐シリンダアセンブリに実行するための空気圧バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための方法であって、
前記空気圧運動タスクを読み込む段階と、
アプリケーションオブジェクトのライブラリにアクセスして、記録された前記空気圧運動タスクに基づいて、前記空気圧バルブアセンブリの前記オープンループ制御および前記クローズドループ制御のための実行可能プログラムコードを自動で生成する段階と、
前記実行可能プログラムコードをアプリケーションとして前記空気圧バルブアセンブリの実行ユニットにリアルタイムでロードする段階と
を備え、
前記ロードする段階は、さらに、前記アプリケーションを、前記空気圧バルブアセンブリ内のバルブディスクの有するセンサにより記録される内部測定信号と、前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号ユニットにより記録される内部測定信号と、前記ピストン‐シリンダアセンブリ内のピストン-シリンダセンサユニットにより記録される内部センサ信号と、外部センサユニットからの外部プロセス信号とに基づき、クローズドループ制御されたアプリケーションに変更する段階を含む、
る方法。
【請求項27】
前記空気圧バルブアセンブリによる前記空気圧運動タスクの実行中、前記空気圧バルブアセンブリの前記クローズドループ制御のために、
バルブアイランドのバルブディスクにおいて実装され、前記空気圧バルブアセンブリ内のバルブディスクの有するセンサにより記録される前記内部測定信号を計算する第1のクローズドループ回路と、
電子バルブコントローラに統合され、前記ピストン-シリンダセンサユニットの前記内部センサ信号および/または前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号ユニットにより記録される前記内部測定信号および/または前記外部センサユニットの前記外部プロセス信号を計算する第2のクローズドループ回路と
の少なくとも2つのクローズドループ回路が使用される、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記クローズドループ制御は、前記空気圧バルブアセンブリ内のバルブディスクの有するセンサにより記録される前記内部測定信号、前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号ユニットにより記録される前記内部測定信号、および/または前記外部センサユニットの前記外部プロセス信号の所望の仕様を自動的に計算することを含む、
請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記空気圧バルブアセンブリの前記クローズドループ制御は、リアルタイムで遂行される、
請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アプリケーションはパラメータ化され、前記アプリケーションをパラメータ化するために、所望の仕様が計算される、
請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
オープンループ制御またはクローズドループ制御を行う目的で、
制動機能提供することによってピストン運動を制動すること、
クローズドループ方式でピストン速度を制御するために、スロットル機能を提供することによってクローズドループ方式で前記ピストン速度を制御すること、
圧力制御および/または圧力進行制御を提供すること、
クローズドループ方式で前記空気圧運動タスクの実行時間を制御すること、
クローズドループ方式で前記空気圧運動タスクのエネルギー効率を制御すること、
中間停止および/または別個の運動セクションを有する運動を実行すること、
決定される応用固有のパラメータに関するクローズドループ制御、
診断目的で、前記空気圧運動タスクを実行すること、
バルブの流量または質量流量のオープンループ制御、
という操作条件が特定可能であり、前記操作条件から所望の仕様が計算される、
請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記空気圧バルブアセンブリの前記クローズドループ制御のために、前記空気圧バルブアセンブリの内部測定信号ユニットにより記録される前記内部測定信号、前記ピストン-シリンダセンサユニットの前記内部センサ信号、および/または前記外部センサユニットの前記外部プロセス信号が計算される、
請求項26から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
空気圧運動タスクを実行するための、空気圧バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための空気圧運動制御システムであって、
前記空気圧運動タスクを記録するためのユーザインタフェースとしてのエディタと、
アプリケーションとして提供される実行可能プログラムコードを、記録された前記空気圧運動タスクに基づいて生成するよう設計された計算ユニットと、
前記空気圧運動タスクにしたがってオープンループ方式で前記空気圧バルブアセンブリを制御し、および/または、内部クローズドループ制御変数および外部プロセス信号に基づいて、クローズドループ方式で前記空気圧バルブアセンブリを制御するべく、前記アプリケーションを読み込み、前記アプリケーションを実行するよう設計された前記空気圧バルブアセンブリのための少なくとも1つの、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子実行ユニットまたは請求項17から24のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラと
を備える空気圧運動制御システム。
【請求項34】
前記計算ユニットは、
記録された前記空気圧運動タスクを一連のタスクに分けるよう設計されたインタープリタと、
実行可能プログラムコードをアプリケーションオブジェクトから生成するために、タスクごとに、提供された全てのアプリケーションオブジェクトの全体のセットから各タスクに必要な前記アプリケーションオブジェクトを選択するべく、格納された前記アプリケーションオブジェクトを含むメモリにアクセスするよう設計された合成部と、
生成された前記実行可能プログラムコードを、前記少なくとも1つの、請求項1から14のいずれか一項に記載の電子実行ユニットまたは請求項17から24のいずれか一項に記載の電子バルブコントローラに分配し、前記少なくとも1つの電子実行ユニットまたは前記電子バルブコントローラにおいて前記実行可能プログラムコードをロードするよう設計された分配部と、
成された前記実行可能プログラムコードを実行するよう設計され、かつ、任意選択で、内部測定信号をクローズドループ制御変数として記録し、変更された実行可能プログラムコードを生成するべく前記内部測定信号を前記計算ユニットに返すよう設計された実行部と
を有する、
請求項33に記載の空気圧運動制御システム。
【請求項35】
前記計算ユニットはまた、
ライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトのライブラリを格納する外部メモリにアクセスするよう設計されたマッチャを有し、
前記マッチャは、記録された前記空気圧運動タスクを内部および外部のクローズドループ制御変数を考慮に入れて実行することを目的とした、ライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトが、前記外部メモリ内に存在するか否かを分析することによって、事前定義可能な最適化基準の観点から前記実行可能プログラムコードの前記生成を最適化するよう設計され、存在する場合、ダウンロード目的で、および、前記合成部が使用するために、前記外部メモリのライセンスを必要とする前記アプリケーションオブジェクトにアクセスするべく、ライセンスを必要とする前記アプリケーションオブジェクトのライセンスキーがライセンスメモリにおいてチェックされる、
請求項34に記載の空気圧運動制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電空分野に関し、特には、バルブアセンブリで実行されるべき空気圧運動タスクのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための電子バルブコントローラと、バルブコントローラで、オープンループ方式で制御され、かつクローズドループ方式で制御されるバルブアセンブリと、バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための方法と、空気圧運動制御システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、例えばメモリプログラマブルコントローラの形態の電子制御デバイスによって、流体的に操作可能なアクチュエータを作動させることが知られている。ここで、制御電子機器によって作動信号がバルブデバイスに提供される。メモリプログラマブルコントローラは、バルブ機能を制御するために選択され得る事前設定された所望のバルブを提供するために使用されてよい。
【0003】
国際公開第2013/107 466号によると、個々の流体制御バルブで流体制御ユニットを具体的に設定することが知られている。この目的を達成するためには、運動タスクが実行される対象の流体制御バルブおよびピストン-シリンダアセンブリに関する空気圧パラメータを記録する必要がある。ユーザがバルブ機能を決定した後、バルブディスクを作動させるためのオープンループ制御およびクローズドループ制御のパラメータを含む設定ファイルが作り出されてよい。
【0004】
これに関しては、実行可能な空気圧運動タスク量が既に事前設定されていることが不利であると分かっている。したがって、これまでのシステムは、種々の技術的応用を実装できるほど柔軟ではないと分かっている。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、柔軟性およびクローズドループ制御という選択肢の観点から空気圧システムを改善することである。更に、コストおよび設置に必要な支出が低減される。
【0006】
この目的は、いずれの場合も独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題、発明を実施するための形態、および図面である。
【0007】
同目的の達成は、以下では電子バルブコントローラに関連して説明される。その中で言及される特徴、利点、または代替的実施形態は同様にまた、クレームされた他の主題に移行され、またその逆も当てはまる。換言すると、方法の請求項は、デバイスを形成する請求項に関連して説明またはクレームされた特徴で同様に作成することができる。その際、方法に係る対応する機能的特徴は、デバイス(またはシステムまたは製品)の対応するハードウェアモジュール、具体的にはマイクロプロセッサモジュールによって具現化され、またその逆も当てはまる。
【0008】
別の態様においては、本発明は、1つの実施形態ではバルブディスクのマイクロコントローラとして設計され得る電子実行ユニットにおけるアプリケーションの読み込みに関する。
【0009】
第1の実施形態の変形例においては、バルブディスクは直接空気圧式ピストン-シリンダアセンブリ上に配置される。バルブディスクは空気圧式ピストン-シリンダアセンブリにおいて取り付けられてよいか、空気圧式ピストン-シリンダアセンブリに統合されてよいか、または、空気圧式ピストン-シリンダアセンブリに着脱可能もしくは着脱不能に固定されてよい。バルブディスクは、少なくとも2つの作用チャネル(および可能なベンチレーションチャネル)でピストン-シリンダアセンブリを動かすよう、ピストン-シリンダアセンブリに接続される。バルブディスクは、ピストン-シリンダアセンブリと共に、電空デバイス、特に、アプリケーションによって作動させられ得るシリンダ-バルブアセンブリまたはシリンダ-バルブ組み合わせ体を形成する。
【0010】
第2の実施形態においては、ピストン-シリンダアセンブリはバルブディスクからずらして配置される。換言すると、バルブディスクは、直接ピストン-シリンダアセンブリ上に配置されるのではなく、その代わりに、対応する空気圧式の作用接続および更なるデータ線によってピストン-シリンダアセンブリに機能的に結び付いている。
【0011】
アプリケーションがバルブディスクの電子実行ユニットに直接ロードされるようになっているのが好ましい。これは、マイクロコントローラであってよい。
【0012】
更に、アプリケーションがバルブディスクの実行ユニットに直接ロードされないことも可能であるが、その代わり、アプリケーションは最初にバルブアイランドの電子バルブコントローラにロードされる。その後、アプリケーションは、専用の方式で、電子バルブコントローラから特定のバルブディスクへ、または特定のバルブディスクのマイクロコントローラへ、その場所での実行のためにリレーされてよい。
【0013】
アプリケーションは、オープンループ方式で、リモートにある更なるバルブアセンブリを間接的に制御するよう機能することも可能である。この文脈において、「リモート」という用語は、アプリケーションがロードおよび実装される電子実行ユニットおよび/またはマイクロコントローラからリモートであることを意味する。間接制御は、バルブアイランドのマイクロコントローラから、例えばロボットアームなどのリモート駆動要素の更なるバルブアセンブリの少なくとも1つのマイクロコントローラに制御データが送信されることによって遂行され得る。当該少なくとも1つのマイクロコントローラは、バルブアイランドからずらして、または離して配置されている。このことは、バルブアイランドと(ロボットアームの)更なるバルブアセンブリとの間にただ1つの電子接続線さえ提供されればよいという技術的有利性を有する。
【0014】
換言すると、電子実行ユニットは、アプリケーションを実装するために使用でき、また、一方では、バルブアイランド上に配置されたバルブまたはバルブアセンブリをオープンループ方式および/もしくはクローズドループ方式で直接的に制御するために、ならびに/または、他方では、ずらして配置された駆動要素上に配置された少なくとも1つの更なるバルブアセンブリをオープンループ方式および/もしくはクローズドループ方式で間接的に制御して、その場所において(すなわちリモートに)それぞれの空気圧運動タスクを実行するために、電子実行ユニットはバルブアイランドに配置され得る。
【0015】
言うまでもなく、両制御、すなわち、アプリケーションも実装されているコンポーネント上に形成されたバルブのその場での直接的なオープンループバルブ制御と、アプリケーションが実装されている同じコンポーネント上に形成されていないリモートバルブの間接的なオープンループバルブ制御との両方を組み合わせることができる。
【0016】
本発明の更なる有利な実施形態においては、ずらして配置された駆動要素上のアプリケーションによる更なるバルブアセンブリの間接的なオープンループ制御および/またはクローズドループ制御中、データ用、特には制御データ用、任意選択でセンサデータ用のただ1つの電気接続が、バルブアイランドと更なるバルブアセンブリ(またはその電子実行ユニット/マイクロコントローラ)との間に提供される。更なるバルブアセンブリのバルブの全ては、当該電子接続とは別に導かれ得る共通の空気圧供給線によって供給を受けてよい。特に、この場合、例えば6bar(6×10Pa)の供給圧力が事前設定されてよい。
【0017】
本発明の更なる有利な実施形態においては、(ずらして配置された駆動要素上に配置された)更なるバルブアセンブリのバルブの空気圧供給線は、電気接続とは別になっている。したがって、管の本数を低減できる。
【0018】
1つの有利な発展形態において、電気接続または電気接続線は、更なるバルブアセンブリにおいて記録され、かつクローズドループ制御のためにアプリケーションに送信されたセンサデータを送信するよう機能する。この場合、電気接続線は双方向である。
【0019】
本発明の更なる好適な実施形態においては、アプリケーションが実装された電子実行ユニットは、空気圧運動タスクが実行されるべき特定のコンポーネント以外のコンポーネント上に配置されてよい。当該特定のコンポーネントとは、例えば、構造的に別個のロボットアームであってよい。
【0020】
本発明の好適な実施形態において、例えばバルブディスクであってよい空気圧バルブアセンブリは、空気圧バルブアセンブリ上にローカルに(例えばバルブディスク上だけに)配置されたセンサによって記録される内部センサ信号に基づいてクローズドループ方式で制御される。このことは、バルブディスクを自立的に操作し、クローズドループ方式で制御できるという技術的有利性を有する。リモートのピストン-シリンダアセンブリに係る電力損失を回避できる。
【0021】
本発明の更なる好適な実施形態においては、空気圧バルブアセンブリは、バルブアイランド上にローカルに配置されたセンサによって記録されるセンサ信号に基づいてクローズドループ方式で制御される。「ローカル」とは、この場合、アプリケーションがロードされている電子実行ユニットに対して「ローカル」であることを意味する。このことは、信号線がピストン-シリンダアセンブリにルーティングされ、維持される必要がないという技術的有利性を有する。
【0022】
前述の両実施形態では、オープンループ制御またはクローズドループ制御を行う目的で、ピストン-シリンダアセンブリがセンサ信号を何ら読み込む必要がない。
【0023】
その一方で、代替的にまたは累積的に、センサ信号は、更なるバルブアセンブリ上にリモートに配置されたリモートセンサから発せられてもよい。
【0024】
基本的に、更なるバルブアセンブリは、1つのバルブで形成されてよく、または複数のバルブを備えることができる。更なるバルブアセンブリはまた、1つのバルブディスクによって形成されてよく、または複数のバルブディスクを備えることができる。
【0025】
別の態様においては、本発明の目的は、電空システムによって達成される。当該システムは少なくとも2つの実行ユニットを備え、1つの実行ユニットは、バルブアイランドの電子バルブコントローラとして設計され、更なる実行ユニットは、バルブディスクのマイクロコントローラとして設計され、ピストン-シリンダアセンブリ上で空気圧運動タスクを実行するよう、アプリケーションが電子バルブコントローラにおいて受信され、マイクロコントローラに転送されて、マイクロコントローラにおいて、オープンループ方式およびクローズドループ方式でバルブディスクを制御するためにアプリケーションが使用される。
【0026】
本発明の好適な実施形態では、バルブディスクとバルブアイランドとの間の通信接続は、特にはプロトコルドライバを用いてポイントツーポイントの通信チャネルとして設計されるか、またはバスシステムとして設計される。
【0027】
更なる態様において、前述の目的は、空気圧運動タスクのための少なくとも1つの空気圧バルブを有するバルブアセンブリをオープンループ制御およびクローズドループ制御するための電子バルブコントローラによって達成される。本発明にしたがって、空気圧運動タスクを実行するよう、バルブアセンブリをオープンループ制御およびクローズドループ制御するための、提供された種々のアプリケーションのセットのうちの1つのアプリケーションが、電子バルブコントローラに実行可能な態様でロードされるか、またはロード可能である。
【0028】
アプリケーションは、実行可能プログラムコードとして生成され、読み込まれてよく、直接バルブアイランド上で使用または実行されてよい。アプリケーションは、バルブアセンブリ用の制御コマンドを含む。それらの間にまた更なる電子エンティティを接続する必要はない。計算ユニットでは、所望の運動タスクまたはバルブ機能に応じてコード生成フェーズにおいて種々のアプリケーションが生成され、ユーザが選択するためのアプリケーションのセットとして提供される。その後、実行フェーズにおいて、ユーザは、各特定の運動タスクをオープンループ制御およびクローズドループ制御するために、アプリケーションのセットから少なくとも1つの特定のアプリケーションを選択できる。ユーザはまた、オープンループ制御/クローズドループ制御のために、利用可能なアプリケーションのセットから複数のアプリケーションを選択できるという事実が明示的に参照されてよい。アプリケーションを生成するよう、計算ユニットは、アプリケーションオブジェクトのモデルおよびライブラリにアクセスできる。アプリケーションは、1または複数の実行ユニット上で(分散システムとして)実行されてよい。好適な実施形態において、実行ユニットは電子バルブコントローラである。その一方で、代替的にまたは累積的に、使用される実行ユニットは、例えばバルブディスクのマイクロコントローラまたはメモリプログラマブルコントローラの形態の制御装置といった、対応する技術的要件(プロセッサの性能、記憶領域、入力ポート、出力ポート、またはインタフェース等)を有する更なる電子エンティティであってもよい。換言すると、各実行ユニットは、分散システムとして改めて設計されてよい。
【0029】
好適な実施形態において、バルブアセンブリとは、複数の、具体的には4個または8個のバルブディスクを含むいわゆるバルブアイランドであり、当該バルブディスクは、同一の構造を有することができ、電子バルブコントローラによって一元的にオープンループ方式で制御され、かつクローズドループ方式で制御される。電子バルブコントローラは同様に、バルブアイランド上にローカルに配置される。代替的に、電子バルブコントローラは分散システムとして設計されてよい。ここで、個々のコントローラモジュールは、データを交換する。当該コントローラモジュールは、例えばバルブディスク上のマイクロコントローラとして設計されてよい。
【0030】
バルブアイランドの個々のバルブディスクは、4つのバルブを有するバルブモジュールである。バルブは、(例えばピストン-シリンダアセンブリなどの)作用要素または作用装置をオープンループ方式で制御するための制御要素である。バルブディスクはそれぞれ、異なるタイプの運動、運動タスク、または空気圧機能を実行でき、したがって、異なって作動されてよい。また、全く同じバルブディスクが、異なるタイプの実施形態(スロットル調整の実施形態、ノイズ低減の実施形態等)における異なる部分的な運動タスクを連続的に実行し、それに応じて作動されることも可能である。バルブアイランドのバルブディスクは、同じ時間間隔において並行して異なるタイプの運動および運動タスクを実行できる。したがって、運動タスクは、クローズドループ方式で制御され得る実行モード、およびユーザによって調整され得る運動タイプ(スロットル調整タイプ、エネルギー効率の良いタイプ等)も含む。
【0031】
バルブディスクの方は、バルブディスクの4つのバルブを作動させるよう機能する電子バルブディスクコントローラを含む。優れたバルブ機能を提供または実行できるよう、これらの4つのバルブは、電気的ホイートストーンブリッジ方式で接続される。
【0032】
本発明の有利な発展形態において、電子バルブコントローラは、空気接続および電気接続、ならびに、種々のプロトコルで操作され得る(場合によっては種々の)バスシステムとして設計され得るデータ接続を含む複数のインタフェースを有する。電子バルブコントローラは、特に、好ましくはデータ交換用双方向インタフェースとして設計された、計算ユニットへのインタフェースを有する。計算ユニットは、エディタまたは(電子的、音波、光等の)別の入力手段を介して入力された運動タスクに基づいてアプリケーションを生み出すよう機能する。アプリケーションは、コード生成フェーズにおいて生成される。本発明の簡易的な変形例においては、選択可能なアプリケーションの全てがこのコード生成フェーズにおいて生成され、応用に応じてユーザによって選択され、実行目的で1または複数の実行ユニットにロードされてよい。アプリケーションは、所望の仕様にしたがって適応的にパラメータ化されるので、既に選択されロードされたアプリケーションの変更バージョンが、実行フェーズで生成されてよい。当該アプリケーションが、再度実行ユニットのうちの1つにロードされる必要はない。
【0033】
電子バルブコントローラは、それに統合された内部測定信号ユニットを有するのが好都合である。当該測定信号ユニットによって、電子バルブコントローラは、バルブアセンブリ、具体的にはバルブディスクの全てを有するバルブアイランドの内部のまたはローカルな測定信号を受信し、クローズドループ制御のためにそれらの信号を計算する。当該計算は、好ましくは直接電子バルブコントローラ上で遂行される。代替的に、クローズドループ制御変数は、クローズドループインタフェースを介して、計算ユニットにそこでの処理のためにリレーされる。このことは、運動タスクの実行が、記録された事前定義可能な空気圧条件を用いて、クローズドループ方式で準リアルタイムに制御され得るという利点を有する。ユーザは、クローズドループ制御のために、どの物理条件が考慮されるかを知りたいと望んでいるか前もって決定できることが好ましい(例えば、温度、エネルギー、流量等)。これらのクローズドループ制御変数は、同様に事前定義可能イベントにしたがって(時間ベースイベントにしたがって、例えば定期的に、または、状態ベースイベントにしたがって、例えば、運動タスクの特定の運動シーケンスを実行した後で)記録され、クローズドループ制御のために計算ユニットまたは実行ユニットにリレーされる。したがって、1つのバルブディスクの測定信号のみならず、同じバルブアイランド、または複数のバルブディスクから成るコンポーネントの群の、並列に位置し使用される複数のバルブディスクの測定信号、およびピストンシリンダアセンブリの内部センサ信号も考慮に入れられることが有利であると分かる。
【0034】
本発明の好適な実施形態において、運動タスクを実行するためのバルブアイランドのバルブのクローズドループ制御は、バルブアイランドの内部測定信号、すなわち、バルブアイランド上で記録された測定信号、またはセンサ信号に基づいて、および、外部プロセス信号および/または外部クローズドループ制御変数および/または外部測定信号に基づいて遂行される。既に述べたとおり、内部測定信号ユニットにおいて、異なるバルブディスクの測定信号が確実に記録され、クローズドループ制御を行う目的で計算ユニットまたは実行ユニットに、各バルブディスクへの割り当てを有してリレーされてよい。したがって、バルブディスク特有のクローズドループ制御が有利に実行されてよい。外部パラメータ(外部プロセス信号、クローズドループ制御変数、測定信号)は、例えばエネルギー消費、無振動、またはノイズ生成の仕様といった、バルブアイランドの外部において記録されるか、または提供される空気関連の物理パラメータであってよい。外部変数は、技術的プロセスであって、当該プロセスの状況において運動タスクが実行される、技術的プロセス、のプロセス信号(すなわち、例えば、空気圧バルブアセンブリによってコンポーネントを動かすための生産プロセスの充填レベル信号もしくは位置信号、または、例えば、動かされるロボット等の信号)であることが好ましい。各クローズドループ制御パラメータの記録された実際の仕様(これらはまた、通常は連続する複数の信号、一の信号、または曲線状の進化である)を、事前定義可能な所望の仕様と一致の観点から比較し、それに応じてそれらをクローズドループ方式で制御するよう、クローズドループ制御回路、または対応するクローズドループ制御アルゴリズムが提供される。これらのクローズドループ制御変数は応用事例によって異なるので、1つの例示的実施形態においては、外部クローズドループ制御変数および内部クローズドループ制御変数は、前もって、特にはコード生成フェーズにおいて定義することができ、それによって、不必要な測定値は記録も処理もされる必要がなく、その代わりに、各応用に関連するそれらの測定値だけが記録され、処理される必要があるようになっている。
【0035】
より簡易な実施形態では、クローズドループ制御は、内部または外部クローズドループ制御変数だけに基づいて実行されてよい。
【0036】
基本的に、クローズドループ制御は、変更されたアプリケーションが作り出されることを保証する。なぜなら、当該アプリケーションは計算された所望の仕様でパラメータ化され、実行ユニット上でこのパラメータ化されたバージョンで実行されるからである。1つの発展形態において、アプリケーションを生成するためのデータ技術システム、具体的にはいわゆる計算ユニットまたは実行ユニットを、自己学習システムとして設計するようになっている。この場合、運動タスクの実行中、(好ましくは、アプリケーションが実行される実行ユニット上で、すなわち、例えばバルブアイランド上で、または実行ユニットとデータを交換するユニット上で)フィードバックおよび診断の情報が記録され、当該情報は、アプリケーションを生成またはパラメータ化するために計算ユニットにリレーされる。換言すると、意図した運動タスクの実行中、バルブアセンブリはまた、異なるバージョンのアプリケーションによってオープンループ方式で制御されてよい。ここで、異なるバージョンまたはパラメータ化のアプリケーションは、考慮に入れられるクローズドループ制御変数に基づいている。
【0037】
第1の実施形態において、生成されたアプリケーションは、実行目的で電子バルブコントローラに直接ロードされる。この場合、例えばメモリプログラマブルコントローラといった更なる制御ユニットを使用することはもはや必須ではない。しかしながら、任意選択で、例えばメモリプログラマブルコントローラの形態で更に外部制御ユニットをシステムに組み込むことももちろん可能であってよい。この場合、電子バルブコントローラにロードされるアプリケーションは、メモリプログラマブルコントローラ上に提供された各バルブアイランドの制御プログラムに組み込まれる。したがって、電子バルブコントローラ上のアプリケーションの実行は、特に開始制御コマンドおよび終了制御コマンドによって、および任意選択で緊急時には緊急遮断機能によって、メモリプログラマブルコントローラを介してトリガされてよい。したがって、本発明にしたがって、バルブアイランドのオープンループ制御タスクおよびクローズドループ制御タスクは、もはや(メモリプログラマブルコントローラが使用されている場合でさえ)メモリプログラマブルコントローラによって間接的に実装および実行されるのではなく、その代わりに、バルブアイランド上、したがってローカルにバルブアイランド上に位置する電子バルブコントローラによって直接的に実装および実行される。したがって、いわば、その場での直接的なオープンループ制御およびクローズドループ制御のためのインテリジェント機能が、有利に、バルブアイランドに再配置されてよい。別の実施形態において、デジタルプログラマブル制御装置には、更なる制御アプリケーションが提供されてよい。当該アプリケーションは、空気圧運動タスクを実行する目的で電子バルブコントローラにロードされてよい。しかしながら、通常メモリプログラマブルコントローラは、ただ、上位の機能を実行するため、および、技術応用システムの他のユニットと協働するため(ロボット制御等)だけに使用される。その後メモリプログラマブルコントローラは、例えば緊急遮断中の衝突を回避するよう、例えば電気駆動に関連して運動シーケンスを調整する。
【0038】
第2の実施形態において、生成されたアプリケーションは、実行目的で電子バルブコントローラに直接ロードされるのではなく、その代わりにデジタルプログラマブル制御装置にロードされる。その後、デジタルプログラマブル制御装置は、制御コマンドを実行ユニット、特には電子バルブコントローラに送信する。制御コマンドは、実行可能プログラムコードに組み込まれてよい。当該プログラムコードはまた、例えば、特定の測定値をクローズドループ制御変数として記録することを促す。
【0039】
更なる態様において、前述の目的は、生成されたアプリケーションがロードされ実行される電子実行ユニットによって達成される。これらのユニットは、具体的には、電子バルブコントローラ、個々のバルブディスク上の制御ユニット(マイクロコントローラ)、または、メモリプログラマブルコントローラもしくは計算ユニットとデータを交換するエンティティといった、バルブアセンブリ上に、および特にはバルブアイランド上に形成される電子プロセッサユニットまたはデジタルプロセッサユニットである。電子制御ユニットは、(例えばロボットアームなどの運動ユニットの)空気圧運動タスクを実行すべく、オープンループ方式および/またはクローズドループ方式で空気圧バルブアセンブリを制御するよう機能する。
【0040】
更なる態様において、前述の目的は、空気圧運動タスクを実行するための空気圧バルブアセンブリをオープンループ制御およびクローズドループ制御するための方法によって達成される。当該方法は、空気圧運動タスクを読み込む段階と、アプリケーションオブジェクトのライブラリにアクセスして、記録された空気圧運動タスクに基づいて実行可能プログラムコードを自動的に生成し、バルブアセンブリの少なくとも1つのまたは複数の実行ユニットに個々のアプリケーションオブジェクトを分配する段階と、バルブアセンブリの少なくとも1つのまたは複数の実行ユニットに、実行可能プログラムコードをアプリケーションとしてリアルタイムにロードする段階とを備える。通常、ロードの手順には、アプリケーションの実行も続く。
【0041】
変更されたアプリケーション、すなわちパラメータ化されたアプリケーション(または別のバージョンのアプリケーション)を生成するよう、および、当該アプリケーションを、実行目的で実行ユニット(例えば、電子バルブコントローラ)にロードするよう、アプリケーションの実行中(したがって、バルブアセンブリによる運動タスクの実行中)に記録されたバルブアイランドおよびバルブディスク(バルブアセンブリ)の内部測定信号と、技術システムの外部プロセス信号とが、実行ユニットに空気圧クローズドループ制御変数としてリレーされるのが好ましい。この手順は、パラメータ化されたアプリケーションが実行ユニット上でリアルタイムで利用可能となるよう、リアルタイムで、および具体的には0.5ミリ秒から5ミリ秒の範囲で実行されてよい。変更されたアプリケーションが作り出された場合でさえ(すなわち、クローズドループ制御アプリケーション)、当該アプリケーションは実行ユニットにリアルタイムでロードされてよい。このことは、フィードバックによって変更されるアプリケーションに対しても適用される。
【0042】
実際には、バルブアセンブリのオープンループ制御またはクローズドループ制御のために、以下の操作条件、すなわち実行モードまたは運動の変形例が考慮に入れられ、組み合わせて選択および適用もされ得ることが好都合であることが分かっている。それらは、選択のために、例えば計算ユニットまたは別の装置といったユーザインタフェース上において、例えばプラグイン形式でも表示されてよい。 当該操作条件とは、制動機能、特にはソフト停止、を提供することによってピストン運動を制動すること、ピストン速度を制御するためのスロットル機能を提供することによってクローズドループ方式でピストンの速度を制御すること、圧力制御および/または圧力進行制御(pressure progression control)を提供すること、運動タスクの実行時間、運動タスクのエネルギー効率、バルブ機能の仕様、中間停止および/または別個の運動セクションを有する運動、診断目的のための運動タスク、および、運動タスク等を実行したときの例えば無振動、熱の発生、電流消費、および/または放音などの、各応用に関連し得る更なる基準である。
【0043】
当該方法は、オープンループ方式およびクローズドループ方式でバルブアセンブリを制御するために使用されてよい。当該方法は、バルブ機能を特定することも可能である。この目的を達成するため、提供されたアプリケーションのセットから特定のアプリケーションを選択でき、その後、実行ユニットにロードされる。
【0044】
クローズドループ方式でバルブアセンブリを制御するべく、バルブアセンブリの内部(バルブアイランド-内部)の測定信号と、外部(バルブアイランド-外部)のクローズドループ制御変数とが考慮に入れられることが好ましい。少なくとも2つの別個のクローズドループ回路が設けられる。第1のクローズドループ回路は、各バルブディスク上に位置し、バルブディスクまたは各バルブ上に配置されたセンサ(例えば圧力センサまたは位置センサ)に基づいて、クローズドループ方式でバルブディスクの4つの各バルブを制御する。第2のクローズドループ回路は、電子バルブコントローラ上に設けられる。このクローズドループ回路は、バルブアイランドのバルブディスクの全てについての挙動を、クローズドループ方式で、また互いに関連付けもして制御する。
【0045】
第2のクローズドループ回路は、内部測定信号ユニットの内部測定信号を処理してよい。本発明の更なる実施形態では、第3のクローズドループ回路が設けられてよい。第3のクローズドループ回路は、バルブアイランドの外部において、電子コンポーネント上またはメモリプログラマブルコントローラ上に位置付けられてよく、例えば圧力信号または他のセンサ信号(温度等)といった外部のセンサ信号を処理してよい。その後、当該外部信号は、緊急遮断時における衝突を防止するべく、アクチュエータ(グリッパ)を特定の位置に動かす。これに関しては、外部センサユニットのプロセス信号が処理される。メモリプログラマブルコントローラは、対応するコマンド(例えば、「シリンダ1をAからBに動かし、5秒間間隔を空けた後、スロットル調整方式でシリンダ1をBからCに動かし、シリンダ2をAからDに動かせ」)によって、バルブアイランドの個々のバルブディスクの各運動タスクの正しい順序を制御するためにも使用されてよい。本発明の更なる実施形態では、第4のクローズドループ回路が実装されてよい。第4のクローズドループ回路は、運動タスクの実行モード(制動モード、ノイズ低減モード等)に関してユーザの仕様を用いてアプリケーションを適合させる、またはパラメータ化する。仕様はユーザインタフェースを介して入力され、その後、アルゴリズムによって自動的に計算され所望の仕様となり、当該所望の仕様がアプリケーションをパラメータ化するために使用される。アプリケーションは、2つのセグメントを備える。主部と、対応する所望の仕様ごとに異なってパラメータ化される、所望の仕様に依存する部分である。アプリケーションの主部は、パラメータ化中ですら変わらないままである。このことは、運動タスクの実行モードが変更された場合でさえ、またはクローズドループ制御変数が変更された場合においても、アプリケーションを再びコンパイルし、繰り返しロードする必要がないという利点を有する。したがって、プロセスコストおよび管理に係る支出が大幅に低減され得る。この上位のクローズドループ回路は、アプリケーションを再生成し、その後実行ユニットにダウンロードすることによって作り出されてよい。
【0046】
更なる態様において、前述の目的は、空気圧運動タスクを実行するための空気圧バルブアセンブリのオープンループ制御およびクローズドループ制御のための空気圧運動制御システムによって達成される。当該システムは、空気圧運動タスクを記録するための、ユーザインタフェースとしてのエディタと、記録された空気圧運動タスクに基づいて、実行可能プログラムコードを生成するかまたはアプリケーションとして提供される、既に生成されたプログラムコードを選択し、クローズドループ制御データおよび/またはプロセス信号を用いてこのコードをパラメータ化するよう設計された計算ユニットと、いずれの場合も、記録された運動タスクにしたがってオープンループ方式でバルブアセンブリを制御し、および/または内部変数およびクローズドループ制御変数に基づいてクローズドループ方式で上記バルブアセンブリを制御するべく、アプリケーションを読み込み、アプリケーションを実行するよう設計された、バルブアセンブリ上に配置された少なくとも1つの実行ユニットとを備える。
【0047】
空気圧運動制御システムは、バルブアセンブリの内部のまたはローカルな測定信号を記録するために使用される少なくとも1つの内部測定信号ユニットを備える。当該信号は、クローズドループ方式で空気圧運動タスクを制御するための実行可能プログラムコードを生成するためにリアルタイムで使用される。各バルブアイランドは、そのような測定信号ユニットを1つ有するのが好ましい。空気圧運動制御システムの計算ユニットは、記録された運動タスクを一連のタスクに分けるよう設計されたインタープリタと、実行可能プログラムコードをアプリケーションオブジェクトから生成するために、タスクごとに、タスクの全体のセットから各タスクに必要なアプリケーションオブジェクトを選択するべく、格納されたアプリケーションオブジェクトを含むメモリにアクセスするよう設計された合成部と、生成された実行可能プログラムコードを少なくとも1つの実行ユニットに分配し、当該少なくとも1つの実行ユニットにおいて当該実行可能プログラムコードをロードするよう設計された分配部と、好ましくは、生成された実行可能プログラムコードをリアルタイムで実行する実行ユニットとして設計され、かつ、任意選択で、内部測定信号をクローズドループ制御変数として記録し、変更された(パラメータ化された)実行可能プログラムコードを生成するべく当該内部測定信号を返すよう設計された実行部とを有するのが好ましい。当該計算ユニットは、任意選択で、ライセンスメモリ、および/またはライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトのライブラリを格納する外部メモリ(データベース)にアクセスするよう設計されたマッチャを有する。マッチャは、アプリケーション生成を連続的に最適化するよう機能する。通常、アプリケーションを生成するための合成部は、アプリケーションオブジェクトを含む内部メモリにアクセスする。当該メモリには、ライセンスされた、またはライセンスフリーのアプリケーションオブジェクトが既に位置している。しかしながら、最適化の目的で、当該システムは、ライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトが位置している、クラウドソリューションとして構成されてよい外部メモリエンティティにアクセスしてよい。アプリケーションオブジェクトは、アプリケーションを生成するために利用可能とするべく、(ユーザインタフェース上に表示され、ライセンス条件に同意した後)、まず、ユーザ側で更に対処することによって認可されなければならない。外部メモリのアプリケーションオブジェクトは、種々の条件および基準について最適化されたそのようなアプリケーションオブジェクトも含む。
【0048】
空気圧運動制御システムがクローズドループ方式で空気圧運動タスクを最適化および/または制御するよう設計された最適化モジュールを備える場合、実行可能プログラムコードの生成中、事前定義可能な最適化基準が考慮に入れられるので、更なる改善が達成されてよい。事前定義可能な最適化基準とは、時間に関連した基準(継続時間、迅速さ)、エネルギー効率、音または熱の発生等であってよい。
【0049】
当該目的は、コンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムによって更に達成される。当該プログラムは、コンピュータ上で実行されると、上記においてより詳細に説明された方法に係る方法の段階の全てを実行する。これに関しては、コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体に格納されること、およびコンピュータプログラム製品として販売されることも可能である。
【0050】
以下の発明を実施するための形態において、特徴と共に、限定的に理解されるべきではない例示的実施形態、および、それらの更なる利点が図面を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の1つの有利な実施形態に係る空気圧システムの概略図を示す。
図2】1つの例示的実施形態のバルブディスクの分解図を示す。
図3】バルブディスクの更なるコンポーネントを示す。
図4a】4つのバルブディスクを有するバルブアイランドの例示的な概略図である。
図4b】8つのバルブディスクを有するバルブアイランドを示す。
図5】本発明の1つの有利な実施形態に係る空気圧システムのコンポーネントとそれらの相互作用とについての概要を示す。
図6】クローズドループ方式でバルブアセンブリを制御するための種々のクローズドループ回路の概略図を示す。
図7】アプリケーションを実行するためのバルブディスクが直接ピストン-シリンダアセンブリ上に配置された本発明の一実施形態の例を示す。
図8】アプリケーションを実行するためのバルブディスクがピストン-シリンダアセンブリ上に直接には配置されない本発明の一実施形態の更なる例を示す。
図9】バルブアイランドがアプリケーションをバルブディスクにリレーするための通過ステーションとして使用される一実施形態を説明する。
図10】バルブアイランドからずらして配置され、それによってオープンループ方式および/またはクローズドループ方式で制御される更なるバルブアセンブリを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、以下において図面を参照してより詳細に説明される。
【0053】
図1は、本発明の1つの有利な実施形態に係る電空システムのコンポーネントの概略図を示す。計算ユニット1000は計算用のプロセッサを有し、かつ、運動タスクを入力するためのエディタEとして設計され得るモニタを有するか、またはそれに接続されている。計算ユニット1000は、図1の左側に例として示された、パーソナルコンピュータ、または、ネットワークを介して接続された複数のコンピュータエンティティの網組織などのコンピュータユニットであってよい。当該ネットワークとは、有線ネットワーク(例えば有線LAN)または無線ネットワーク(例えばWLAN)であってよい。本出願の範囲内で、例えば、分散システムとして組み合わせて使用されてもよいタブレット、ハンドヘルド端末、スマートフォン、またはラップトップなどのようなモバイルのデータ処理装置などの、計算ユニット1000の他の設計が提供されることも同様に当業者には明らかである。計算ユニット1000の各装置は、ネットワーク(LAN、WAN、WLAN等)を介して、システムの更なるデジタルエンティティおよび/または電子エンティティ(SPS、電子バルブコントローラ1等)に接続されてよい。任意選択で、1つの例示的実施形態では、計算ユニット1000は、メモリプログラマブル制御装置SPSとデータを交換してよい。しかしながら、このことは絶対に必要というわけではない。
【0054】
基本的に、本発明は、種々の応用シナリオを包含することができるように、かつ、バルブ運動の実行中に記録されたクローズドループ制御変数を更なる作動中に考慮に入れることができるように、バルブアセンブリの空気圧バルブを適応的に作動させることを目的とする。この目的を達成するため、第1のコード生成フェーズにおける更なる技術的基準(例えば、実行時間、エネルギー消費等に関する要件)を含む応用の各運動タスクに応じて、例えば、電子バルブアイランドコントローラ1上、メモリプログラマブル制御装置SPS上、および/またはマイクロコントローラ124上などの電空システムの電子実行ユニット上でアプリケーションAとして実行され得るプログラムコードが生成される。この目的を達成するため、アプリケーションAは、とりわけバルブ制御コマンドを含むか、または生成する。第2の時間フェーズ、バルブ運動フェーズ、または実行フェーズにおいて、生成されたアプリケーションAまたは生成されたバルブ制御コマンドは、例えば、バルブアイランドVI(バルブターミナル)の電子バルブアイランドコントローラ1上、または各バルブディスクVSもしくはバルブVの電子バルブコントローラ(マイクロコントローラ124)上、または更なるバルブアセンブリWV上といったバルブアセンブリの実行ユニット上で実行される。
【0055】
本発明の実施形態に応じて、(バルブアイランドコントローラ1として)バルブアイランドVI上に、および/またはバルブディスクVS上に、および/または個々のバルブV上に、および/または更なるバルブアセンブリWV上に配置されてよい電子実行ユニットの全ては、ネットワークインタフェースを有するよう設計されてよい。ネットワークインタフェースは、入力インタフェースおよび/または出力インタフェースを含んでよい。ネットワークを介したデータ送信中、例えば、IEEE802.3規格、特にはイーサネット(登録商標)などに基づいて、IP系のプロトコルがトランスポート層として使用されてよい。例えば、実行目的で、UDPパケット(例えば、アプリケーションAまたは制御データ)が各電子実行ユニットに送信されてよい。同様に、例えばセンサデータパケットなどのUDPパケットが電子実行ユニットに送信されてよい。ネットワークインタフェースは有線であってよい。
【0056】
有線データ送信を無線データ送信に結合させ、受信機ノードからの/受信機ノードへの無線データ送信を達成するべく、電子実行ユニットにアダプタを設けることも可能である。アダプタは、例えばフィールドバスカプラで形成されてよい。
【0057】
したがって、アプリケーションは、無線データ送信によって空気圧運動タスクに応じてオープンループ方式でバルブを制御するべく、モバイルデバイス(例えば、タブレット、スマートフォン)によって操作されてよい。
【0058】
更に、ローカルに記録されたセンサデータを、(例えばクローズドループ制御する目的で)受信機ノードで処理するべく、または、受信機ノードから更なるノードにリレーするべく、無線で受信機ノードに送信することが可能になる。
【0059】
本発明の一実施形態の例において、バルブアイランドコントローラ1は、イーサネット(登録商標)インタフェースを有するよう設計されてよい。データは、イーサネット(登録商標)インタフェースを介してUDPごとに送信および/または受信されてよい。データは、デジタルデータ(例えば、バルブを作動させるための制御データ)、および/またはアナログデータ(例えば、圧力測定データなどのセンサデータ)であってよい。
【0060】
2つの時間フェーズが、時間的に交互に配置されてよい(交互配置モード)。このことは、特に、運動の実行中、運動タスクのクローズドループ制御のために使用されるべきクローズドループ制御値が記録されるときに有利であることを示している。その後、アプリケーションAを再度ロードしコンパイルすることなく、パラメータ化されたバージョンのアプリケーションAが、実行ユニット1、124、SPS上で生成および実行されてよい。パラメータ化されたバージョンは、記録された外部および内部のクローズドループ制御変数から計算される所望の仕様に基づいている。所望の仕様は、離散信号または時間連続信号(例えば曲線状の進化(curve progression)であってよい。したがって、運動タスクが実行中であるとき、実行モード(例えば、制動モード、エネルギー効率の良いモード等)すら変更することが有利に可能である。
【0061】
コード生成フェーズ中、計算ユニット1000は稼働中であり、アプリケーションのセットを生成することを目的としている。計算ユニット1000は、インタフェースを介して外部センサユニット4000に接続される。当該インタフェースを介して、外部クローズドループ制御変数または技術的プロセス(ロボティクス、生産等)のプロセス信号が読み込まれてよい。他の実施形態においては、外部センサユニット4000はまた、累積的にまたは代替的に、メモリプログラマブル制御装置SPSと、および/または、電子バルブコントローラ1とデータを交換し、クローズドループ制御のためにそのセンサ信号をこれらのエンティティに送信してよい(このことは図1には示していない)。バルブ運動中または実行フェーズ中、各実行ユニット1、124は、バルブアセンブリ上で稼働中である。このことは、図1において縦の破線によって表されるべきである。バルブ機能、したがって運動タスク、のオープンループ制御は、提供されたアプリケーションのセットから特定のアプリケーションを選択することによって遂行される。
【0062】
バルブアイランドVIは、4つまたは8つの立方体状のバルブディスクVSと電子バルブアイランドコントローラ1と内部測定信号ユニット5000とを有する。電子バルブアイランドコントローラ1は、一元的にまたは分散型の解決手段として、バルブディスクVSが配置されたバルブアイランドVIをいずれの場合もオープンループ制御するという役割を果たす。内部測定信号ユニット5000は、バルブアイランドVIにおけるローカルなまたは内部の測定信号として、とりわけ圧力、ストローク(運動距離)、流量、温度などの空気測定値を記録し、処理およびクローズドループ制御のために、電子バルブアイランドコントローラ1および/または更なる電子的実例にこれらの値をリレーすることを目的としている。コード生成フェーズにおいて、ユーザは、計算中に、およびコード生成のために、値が記録され考慮に入れられるべきパラメータを決定してよい。オプションの更なる挿入モジュールのためのダミープレートと、例えばバスノードとして、および/またはイーサネット(登録商標)ウェブ視覚化インタフェースとして設計され得るインタフェースノードがバルブアイランドVI上に統合されてよい。バルブアイランドVIのコンポーネントの全てがベースプレート10に固定される。ベースプレート10は、アルミニウム押出形材から作り出すことができ、例えば、(図1には示されないが、図4aおよび図4bにおいてより詳細に示されている)作用接続50といった管を接続するための空気接続と、空気の出入り、特には消音機のベンチレーションのための接続とを有する。更に、ケーブルおよび電子インタフェース用の電気接続14が設けられる。
【0063】
図1では、その右側において、空気接続12が作用チャネルとして機能し、上記アセンブリを動かすべく、作用装置、この場合はピストン-シリンダアセンブリ11、と通信することが概略的に示されている。図4aおよび図4bに示すように、通常は、複数の作用接続50が設けられ、この場合は1つのバルブディスクVSにつき2つの作用接続が設けられている。ピストン-シリンダアセンブリ11において、ピストン-シリンダセンサユニット6000の形態の更なるセンサが設計されている。当該センサユニットは、例えば、個々の、または組み合わせられた、終了位置センサ、位置センサ、ストロークセンサ、圧力センサ等を含む。これらの内部センサ信号は、クローズドループ制御のために、電子バルブコントローラ1に直接リレーされるのが好ましい。当該内部センサ信号は、クローズドループ制御のために、内部測定信号ユニット5000のローカルなまたは内部の測定信号、および外部センサユニット4000の外部プロセス信号と共に、直接電子バルブコントローラ1上で計算されてよい。
【0064】
本発明の好適な実施形態において、バルブアイランドVIのバルブディスクVSの全ては、図2に関連して後に説明されるものと同一の構造を有する。
【0065】
電子バルブコントローラ1は、バルブアセンブリVS、VIに設けられたバルブのオープンループ制御およびクローズドループ制御のために使用される。本発明の好適な実施形態では、バルブアセンブリはバルブアイランドVIによって形成され、アプリケーションAを実行するための実行ユニットは、一元的かつ同時にバルブアイランドVIの複数の(4つまたは8つの)バルブディスクVSを作動させ、クローズドループ方式で制御できる電子バルブアイランドコントローラ1である。
【0066】
以下、図5を参照して本発明の基本原理が説明される。計算ユニット1000は、エディタEを有し、またはエディタEとデータを通信する(このケースは図1に示されている)。エディタEは、例えば、「本体Xを位置Aから位置Bに動かし、また、できるだけ迅速にそれを実行せよ」、「スロットルで調整された移動を実行せよ」、「運動Xを実行し、ソフト停止でその運動を終了せよ」等のような任意のタイプの運動タスクを入力するよう機能する。運動タスクは、定義可能な時間間隔で実行される複数のタスクシーケンスまたは部分的運動を含むことができる。運動タスクはまた、種々の実行モード(スロットル調整モード、エネルギー効率の良いモード、無振動モード等)で実行されてよい。
【0067】
基本的に、運動タスクは、一塊のものを、決定可能な速度および決定可能な加速度で三次元空間内をまたはパスに沿って動かし、また任意選択で、決定可能なエネルギー消費で動かす物理的手順を定義する。運動タスクは、ソフトウェア開発プラットフォームの提供されたモデルへのユーザによる入力であるのが好ましい。しかしながら、ファイルから、具体的には(例えば、Matlab/SimulinkまたはCodesysなどのようなプラットフォームの)パラメータ化ファイルから、実行されるべき運動タスクを読み込むこともまた本発明の範囲内である。同様に、運動タスクはメモリに格納されてよい。運動タスクは、(機械可読フォーマット等のテキストファイル、画像ファイル、またはビデオ記録として)種々のフォーマットで提供されてよい。基本のモデルでは、各空気圧の要件は定義されている。ソフトウェア開発プラットフォームは、モデルが、シミュレートおよびテスト可能で、自動でコード(例えばC++コード)を生成できるよう設計されるのが好ましい。生成されたコードは、実行可能プログラムコードである。本発明の好適な実施形態において、モデルはMatlab-Simulink環境で生成される。Simulink(登録商標)は、モデルベースの技術開発のためのブロック図環境であり、システムレベルで設計およびシミュレーションを支援し、かつ自動コード生成と組み込みシステムの連続的なテストおよび検証とを可能にもする。しかしながら、他のモデルおよびプラットフォームも適用されてよい。
【0068】
既に述べたとおり、本発明に係る方法は、基本的に2つの時間フェーズに分割される。
【0069】
1.コード生成フェーズ。当該フェーズでは、記録された運動タスクから、アプリケーションAの形態の実行可能コードが自動で生成される。クローズドループ制御変数を考慮に入れることによって、アプリケーションAは連続的に変更および改良されてよい。例えば、コード生成用モデルは、自己学習システムとして設計されてよい。
【0070】
2.バルブ運動フェーズまたは実行フェーズ。このフェーズでは、提供されたアプリケーションAの仕様にしたがってバルブアセンブリVS、VIのバルブが作動されるので、運動タスクが実際に実行される。この目的を達成するため、アプリケーションAは、バルブアセンブリVS、VIの1または複数の実行ユニット1、124上で実行される。空気測定値および各応用事例に関連する測定値は、1または複数の内部センサユニットの各バルブアイランドVI上で記録されるのが好ましい。ここで、上記測定値は、アプリケーション生成またはアプリケーション変更のためのクローズドループ制御変数として返され、それにより、アプリケーションが改善、改良、または変更され、かつ、変更された(特には、パラメータ化された)バージョンでアプリケーションが実行ユニットにロードされる。累積的に、アプリケーションのパラメータ化に、外部クローズドループ制御変数も使用されてよい。
【0071】
計算ユニット1000は、記録された空気圧運動タスクに基づいて、実行可能プログラムコードを自動で生成するために設けられる。図5から分かるように、計算ユニット1000は、複数のモジュールであって、その全てがネットワークを介してデータを交換する複数のモジュール、すなわち、記録された運動タスクを一連のタスクに分けることを目的としたインタープリタ1002を有する。当該一連のタスクは、次々に実行される運動シーケンスであってよい。更に、計算ユニット1000は、タスクのセットから各タスクに必要なアプリケーションオブジェクトを選択して、そこから実行可能プログラムコードを生成するべく、格納されたアプリケーションオブジェクトを含むメモリ1004にアクセスするよう設計された合成部1006を有する。更に計算ユニット1000には、少なくとも1つの実行ユニットに、すなわち、バルブディスクVSの電子バルブコントローラ1および/もしくはマイクロコントローラ124に、ならびに/またはメモリプログラマブル制御装置SPSに、生成された実行可能プログラムコードを分配し、当該少なくとも1つの実行ユニットにおいて当該実行可能プログラムコードをロードするよう設計された分配部1020が設けられている。更に、計算ユニット1000は、生成された実行可能プログラムコードを実行するよう設計された実行部1022を有する。本発明の主な実施形態において、実行部1022は、バルブアイランドVI上の実行ユニット1、124として設計される。代替的にもしくは累積的に、実行部1022は、例えば技術的プロセス設置の作用装置に関連して更に調整タスクを担う、例えばメモリプログラマブル制御装置SPSなどの上位のエンティティとして設けられてよい。実行ユニット1、124、SPSは、アプリケーションプログラムを実行するのみならず、バルブアセンブリの、特にはバルブアイランドVIの内部測定信号をクローズドループ制御変数として記録するようにも設計され、かつ、変更された実行可能プログラムコードを生成するために当該信号を計算ユニット1000に返すよう設計される。クローズドループ制御インタフェース3000は、この目的のために利用可能である。
【0072】
生成されたアプリケーションAは、実行目的で、電子バルブコントローラ1および/または他の分散された実行ユニットに直接ロードされてよい。この場合、バルブアセンブリVS、VIを作動させるためのメモリプログラマブルコントローラSPSを使用することは、もはや絶対に必要というわけではない。アプリケーションAまたはその一部を制御装置SPSにロードすることも可能である。その後、制御装置SPSは、オープンループ制御目的でコードを電子バルブコントローラ1にリレーする。通常、アプリケーションAを電子バルブコントローラ1にロードした後、プログラムコードは、メモリプログラマブルコントローラSPSがプログラムシーケンスをトリガできるよう、メモリプログラマブルコントローラSPS上に統合されてよい。したがって、メモリプログラマブルコントローラSPSは、運動タスクのための少なくとも1つの開始コマンドおよび1つの終了コマンドを電子バルブコントローラ1に送信するために使用されてよい。
【0073】
更に、本発明の好適な実施形態において、計算ユニット1000は、ライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトのライブラリがいずれの場合も格納されている外部メモリ2000および/またはライセンスメモリ1010にアクセスするよう設計されたマッチャ1008を有する。外部メモリ2000は、アプリケーションオブジェクトのクラウドベースライブラリとして設計されてよい。ライセンスメモリ1010は、アプリケーションオブジェクトに関連するライセンスデータを格納する。マッチャ1008は、種々の側面から実行可能プログラムコードの生成を最適化するよう設計される。このことは、記録された運動タスクを内部および外部のクローズドループ制御変数を考慮に入れて実行するのに、メモリ1004からの既に使用された前のアプリケーションオブジェクトよりも適切な(および、より適切である可能性のある)、ライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトがライセンスメモリ1010および/または外部メモリ2000の中に存在するか否かを分析することによって達成される。上記の場合であり、かつ、記録された測定条件の下、「より良好な」アプリケーションオブジェクトが(記録されたクローズドループ制御変数によって)運動タスクに提供される場合、利用可能なアプリケーションオブジェクトのタイプと、それらのライセンス条件とがユーザインタフェース上にユーザに対して表示されてよい。ユーザが、対応するライセンス料を支払うことによってライセンス条件に同意した場合、ライセンスを必要とする各アプリケーションオブジェクトは、外部メモリ2000、および/またはメモリ1004(メモリ1004が同様にライセンスを必要とするアプリケーションオブジェクトを含む場合は)からロードされてよく、アプリケーションAを生成するために使用されてよい。並行して、ライセンスメモリ1010においてライセンスデータ記録が更新される。取得された、またはライセンスされたアプリケーションオブジェクトは、合成部1006にリレーされてよい。運動タスクを入力し、ライセンスを必要とするメモリ1010からの適切なアプリケーションオブジェクトを表示するためのユーザインタフェースは対応する必要がないことに留意されたい。
【0074】
本発明の好適な実施形態では、エディタEおよび計算ユニット1000は同じシステム上に位置している。それに対して、電子バルブコントローラ1およびバルブアセンブリVS、VIは1つのコンポーネントに統合されている。しかしながら、当該コンポーネントはリモート場所に位置している(分散システム)か、または対応するデータインタフェースを介して接続されている。本発明の代替的な実施形態では、この場合、更なる構造および/またはコンピュータベースユニットも設けられてよい。それにより、例えばエディタEは計算ユニット1000のシステム上には位置しない。
【0075】
空気圧運動制御システムは、例えば、所要時間、エネルギー、圧縮空気等に関する最適化などの、実行可能プログラムコードの生成中に事前に定義されてよい最適化基準を考慮に入れることによって、空気圧運動タスクを最適化し、および/またはクローズドループ制御を行うよう構成された最適化モジュールを有利に備える。
【0076】
図5に示すように、クローズドループ制御変数は、実行可能プログラムコードの生成中に考慮に入れられる。本発明の好適な実施形態は、内部および外部のクローズドループ制御変数の両方に関連する。この文脈において、「内部」は、電子バルブコントローラ1上に配置された内部測定信号ユニット5000上で記録される物理的測定信号を指し、したがって、バルブアイランド-内部のおよびローカルな測定信号に関連する。「外部」は、アプリケーションAを生成するために、あらゆる空気関連の外部クローズドループ制御変数(すなわち、バルブアイランド-外部のおよび例えば中央または全体的な変数)が読み込まれ、考慮に入れられ得ることを表すよう意図されている。外部クローズドループ制御変数は、外部センサユニット4000から読み込まれる。内部クローズドループ制御変数は、バルブアイランドまたは電子バルブコントローラ1から計算ユニット1000へとクローズドループ制御インタフェース3000を介して返される。
【0077】
図2は、4つのバルブのユニットを有するバルブディスクVSの実質的なコンポーネントを示す。バルブディスクVSは筐体100を備える。筐体100において、この例では、4つのブースタカートリッジ112が取り付けられている。ブースタカートリッジ112は、流量を局所的に、または選択的な地点において増加させるよう機能する。エレクトロニクス回路基板120がバルブディスクVSの中央部分に配置される。エレクトロニクス回路基板120において、シリアル同期データバス(シリアルペリフェラルインタフェース、SPI)114が配置され、デジタルデータは、当該シリアル同期データバスにより、マスタスレーブ原理にしたがって交換されてよい。加えて、エレクトロニクス回路基板120にセンサが形成されてよい。バルブディスクVSは、エレクトロニクス回路基板120に加えて、バルブ118および圧電アクチュエータ116を有するバルブユニットを備える。圧電アクチュエータ116は、電圧が印加されたとき膨張しまたは動く薄い圧電層の複数の層を通常含み、したがって電空インタフェースとして機能する。これらのコンポーネントは、締結要素122によって取り付けられて、完全なモジュールを形成する。
【0078】
図3は、本発明の好適な実施形態に係るバルブディスクVSの構造を示す。バルブディスクVSは、優れたバルブ機能を提供できるよう、バルブユニットに4つのバルブ118を備える。当該4つのバルブ118は、シリンダの2つのシリンダチャンバを(例えば電気的ホイートストーンブリッジ方式の)ブリッジ回路によって互いに独立に制御する。ブースタ112は、いずれの場合も流量を増加させるよう機能する。各バルブディスクVSは、作動電圧を提供するための、例えばマイクロコントローラ124として設計され得るコントローラユニットを備える。作動電圧は、バルブストロークを実行し、または圧力比を調整するよう、アプリケーションAの運動タスクに対応して定義される。本発明の1つの実施形態において、マイクロコントローラ124は、個々のバルブを制御し、データを通信するよう、特には、電子バルブコントローラ1(図には示されていない)とデータを(双方向に)交換するよう機能する。本発明の別の実施形態においては、各バルブディスクVSは、一方で実行ユニットとしてアプリケーションAを実行するよう機能するマイクロコントローラを有する。当該マイクロコントローラは、同じバルブアイランドVIの他のバルブディスクVSの他のそれぞれのマイクロコントローラとデータを通信する。
【0079】
本発明にしたがって、(例えば、4/2-、4/3、2x3/2、2x3/3方向制御バルブ等としての)バルブディスクVSのバルブ機能および更なる機能、バルブの実行モードおよび操作条件(例えば、ソフト停止、エコモード、圧力制御、流量制御等)がアプリケーションAによって適応的に変更されてよい。バルブ機能および操作条件の選択は、全く同じバルブメカニズムまたはバルブ構成が使用されるべき場合でさえ可能である。したがって、本発明にしたがって、(特定の物理的コンポーネントを有する)特定の空気圧システムの場合、バルブ機能は、それぞれの運動タスクを有する応用事例に可変的に適合されてよい。
【0080】
図4aおよび図4bは、種々の実施形態の変形例のバルブアイランドVIを示す。図4aは、4つのバルブディスクVSから成るバルブアイランドVIを示し、図4bは、8つのバルブディスクVSから成るバルブアイランドVIを示す。参照符号40は、供給接続または圧力接続を例として指定している。バルブアイランドVIは、ローカルな測定信号を記録するための内部測定信号ユニット5000を備える。測定信号とは、温度、圧力、バルブスプールの位置(ストローク)、流量、流速等のような空気関連の物理的測定変数の全てであってよい。信号は、時間連続信号または離散信号であってよい。各物理的変数は、複数のセンサによって決定されてよく、その後、平均化された信号が提供される。記録されるべき内部測定信号ユニット5000のクローズドループ制御変数は、コード生成フェーズにおいて定義される。ベンチレーションが参照符号12で指定されている。複数の作用チャネルまたは作用接続50が、作用装置、この場合は、図示されていないピストン-シリンダアセンブリ11を制御し動かす。
【0081】
1つの例示的実施形態において、電子バルブコントローラ1は、技術的診断に使用されてよい。この目的を達成するため、対応する測定値がセンサユニット4000、5000によって記録され、診断モジュールにリレーされる。診断モジュールは、例えば計算ユニット1000上で形成されてよい。例えば、アプリケーションにおいてリークをモニタすることが可能である。この目的を達成するため、バルブにおいて、管において、ネジ接続において、およびシリンダにおいて、センサが配置されてよい。(初回の)スタートアップ中、(目標状態に等しい)所望の状態、および(良好)な参照となる実際の状態が記録される。アプリケーションAのランタイム中、シリンダが、センサデータの記録を可能にする位置に位置している場合、バルブアセンブリの各位置におけるリークレベルを実際の状態として決定することが、診断タスクをトリガすることによって可能である。所望の状態と実際の状態とを比較した後、各技術診断情報が、例えば状態ビット(例えば「リーク増加」)として、計算ユニット1000および/または電子バルブコントローラ1に送信されてよい。所望の状態の各パラメータはそれぞれ、空気圧システムの学習ラン(learning run)において決定されてよい。
【0082】
更なる例示的実施形態では、例えば空気圧ドライブおよび/またはガイドの摩耗状態が決定されるべきなので、アプリケーションモニタリングが実行されてよい。空気圧ドライブの始動圧力と、終了位置間のランタイムは、圧力レベル、温度、および/または更なるパラメータ(前の運動等)を考慮に入れて、内部測定信号ユニット5000に記録される。その後、この状態は、所望の状態および参照としてスタートアップ中に格納される。ランタイム中、モニタリングタスクをトリガした後、シリンダがその最終位置にあるとき、(コンポーネントの摩擦および摩耗に関する状態データを含む)空気圧ドライブのトライボロジの状態が確認されてよい。実際の状態の記録と所望の状態との比較とに応じて、その結果が状態ビット(例えば、「摩擦増加」)として、例えば計算ユニット1000といったモニタリングエンティティに送信される。
【0083】
更なる例では、バルブディスクVSの種々の位置における、例えば、圧電ベンダ、パイロットカートリッジの内部、U字形状のエレクトロニクス回路基板120の下側、ブースタカートリッジの内側前面等におけるバルブパラメータを記録することによってバルブ状態が記録されてよい。
【0084】
所望の状態は、バルブアセンブリの製造業者によって記録され、参照として格納される。アプリケーションAのランタイム中、電子バルブコントローラ1または計算ユニット1000上のモニタリングタスクの対応するトリガによって、バルブまたはバルブディスクVSのシステム状態が決定され、状態ビット(例えば、「バルブを点検」)において送信されてよい。
【0085】
図6は、バルブアセンブリのクローズドループ制御のために使用される種々のクローズドループ回路を示す。当該バルブアイランドVIは、上記においてより詳細に説明されている構造を有し、4つのバルブディスクVSと内部測定信号ユニット5000とを備える。各バルブディスクVSには、それらをクローズドループ方式で制御するべく、(各バルブディスクVS上にローカルに記録された)内部センサ信号を計算する第1のクローズドループ回路RK1が統合されている。ピストン-シリンダセンサユニット6000の内部センサ信号は、クローズドループ制御の目的で、第1のクローズドループ回路RK1のために計算されるのが好ましい。加えて、任意選択で、内部測定信号ユニット5000のローカルな測定信号が同様に計算されてよい。第2のクローズドループ回路RK2が電子バルブコントローラ1に統合される。第2のクローズドループ回路RK2は、内部測定信号ユニット5000およびピストンシリンダセンサユニット6000によって読み込まれるセンサ信号を計算するよう機能する。本発明の1つの実施形態において、外部センサユニット4000が、データ技術の観点から、バルブアイランドVIに、特には電子バルブコントローラ1に接続される。それにより、外部センサユニット4000は、それに記録されたプロセス信号を、クローズドループ制御の目的で直接電子バルブコントローラ1に送ることができる。この場合、クローズドループ制御の目的で、内部測定信号ユニット5000およびピストン-シリンダセンサユニット6000のセンサ信号に加えて、外部プロセス信号もまた、電子バルブコントローラ1上でローカルに計算される。
【0086】
本発明の好適な実施形態において、通常、運動タスクはエディタE上で記録され、アプリケーションAは、計算ユニット1000において実行可能プログラムコードで生成される。その後、アプリケーションAは、実行目的で、1または複数の実行ユニットに分配されてよい。実行ユニットは、空気圧バルブまたはバルブアセンブリ上に設けられるデジタルエンティティまたは電子コンポーネントである。バルブアセンブリは、バルブアイランドVI、したがってバルブディスクVS群の電子バルブコントローラ1か、または、1つのバルブディスクVSのマイクロコントローラ124もしくは別の制御ユニットであってよい。空気圧システムのモジュールの全てがデータを交換し、それにより、分散型の解決手段も実装され得る。
【0087】
図7は、アプリケーションA(図7から図9では、Appとも短縮される)が、バルブディスクVS上の入力インタフェースINを介して、例えば中央サーバといったコンピュータベースエンティティによって読み込まれる例示的実施形態を示す。入力インタフェースINは、バルブディスクVSのマイクロコントローラ124に統合されるのが好ましい。アプリケーションAは、空気圧運動タスクにしたがってピストン-シリンダアセンブリ11を動かすべく、オープンループ制御コマンドおよび/またはクローズドループ制御コマンドを含む。
【0088】
図7に示した実施形態では、バルブディスクVSは、直接ピストン-シリンダアセンブリ11上に取り付けられる。ピストン-シリンダアセンブリ11の2つのチャンバを操作するための対応する空気チャネルと、任意選択で、エアレーション接続およびベンチレーション接続とが同様に設けられる。簡単にするために、図中、これらの接続は作用接続50として組み合わされ、ほんの概略的に示される。バルブディスクVSは、ピストン-シリンダアセンブリ11と共に電空デバイスを形成する。
【0089】
この実施形態の重要な利点は、機能的な流体チャネルがなく、またはそれを除いては、コンポーネント(センサ、信号記録ユニット等)を備えるピストン-シリンダアセンブリ11とマイクロコントローラ124との間には、更なるケーブルを設ける必要がないという事実に見て取ることができる。
【0090】
圧力変換器を介してピストン-シリンダアセンブリ11に記録される圧力信号は、ピストン-シリンダアセンブリ11上で何らローカルな前処理を行うことなく、前処理および更なる処理のために直接マイクロコントローラ124に送信されるのが好ましい。この目的を達成するため、マイクロコントローラ124は、元々アナログ信号であったものをデジタル信号に変換するためのAD変換器ユニットを有してよい。
【0091】
同様に、ピストン-シリンダアセンブリ11において検出される距離測定信号または終了位置スイッチ信号などの他の信号タイプも、何らローカルな前処理を行うことなく、(前)処理のために直接マイクロコントローラ124に通信されてよい。本発明のこの実施形態において、インタフェース50は、バルブ制御信号をピストン-シリンダアセンブリ11に通信するべく単方向であるのではなく、その代わりに、評価および処理の目的で、ピストンシリンダアセンブリ11のアナログ信号ですら電子実行ユニットに、特にはマイクロコントローラ124に返送されるよう双方向である。
【0092】
上述の、ピストン-シリンダアセンブリ11の信号の前処理および処理の電子実行ユニットへの委託は、図7に示される本発明の設計においてのみならず、図8または図9に関連して以下で説明される本発明の他の実施形態においても同様に構成され得る。
【0093】
図8は、ピストン-シリンダアセンブリ11が、直接電空デバイスしたがってバルブディスクVS上に位置はしないが、その代わりにバルブディスクからずらして設けられた一実施形態を示す。バルブディスクVSとピストン-シリンダアセンブリ11との間の対応するチャネルおよび接続が設けられる。
【0094】
図9は、アプリケーションAが直接バルブディスクVSにロードされるのではなく、その代わりに、最初にバルブアイランドにロードされ、その後、バルブアイランドがアプリケーションAを、バルブディスクの入力インタフェースINに転送する更なる変形例を示す。この目的を達成するため、バルブアイランドVIは制御ユニットとして電子バルブコントローラ1を有し、電子バルブコントローラ1の方が入力インタフェースINIを含む。この入力インタフェースINIは、サーバからのアプリケーションAを記録することを目的としている。この例示的実施形態では、したがって、アプリケーションAは、直接バルブアイランドVI上で実装され、実行されるのではなく、その代わりに、リモート処理のためだけに、バルブアイランドによって専用のバルブディスクVSに転送される。図7および図8に関連して上記において説明したように、扱われるバルブディスクVSは、(図9において実線で示した)ピストン-シリンダアセンブリ11上に直接配置されても、配置されなくてもよい。直近で参照したケースでは、バルブディスクVSとピストン-シリンダアセンブリ11との間に、対応する接続が設けられている。図9において、このケースは、破線で示され、代替的、間接的なアセンブリを表すよう意図される。
【0095】
図10は、バルブアイランドVIが、受信された制御App、またはAppによって生成された制御信号を転送するためだけに使用されるという範囲において、図9に関連して説明された設計と類似している本発明の更なる実施形態を概略的に示す。直接アプリケーションAによって提供されるか、または間接的にバルブアイランドのマイクロコントローラμC上で計算される制御信号は、ずらして配置された駆動要素、具体的にはロボットアームRのマイクロコントローラに、単一のデータ線である電気接続eVを介してリレーされる。ロボットアームR上には、運動タスクにしたがってロボットアームRの駆動要素を動かすべく、更なるバルブまたは更なるバルブアセンブリ(例えば、バルブディスク)が配置される。制御信号は、アプリケーションAがロードされたコンポーネント上で生成されるのが好ましい。通常、これは、バルブアイランドVIのマイクロコントローラμC124、1である。図10の右側においてほんの概略的に示されたロボットアームRは、(電気データ線eVを除き)それがバルブアイランドVIに接続されていないか、または、バルブアイランドVIとは異なる場所において通常は別個のコンポーネントとして位置決めされているという事実を特徴とする。
【0096】
更なるバルブアセンブリWVは、ただ1つのバルブVから成るものであってよく、または、複数のバルブVを含んでよく、または、少なくとも1つのバルブディスクVSを含んでもよい。更なるバルブアセンブリWVは、共通の空気圧供給線55によって圧力が供給される。通常、空気圧供給線55は、バルブアイランドVIからくる線によっては供給を受けない。空気圧供給線55は、事前設定可能な圧力、例えば6bar(6×10Pa)で供給されてよく、ロボットアームRのバルブは、別個の供給源によって供給されてよい。したがって、バルブアイランドVIは、制御データを送信するために、ずらして配置された別個のロボットアームRに単一のデータ線eVのみによって接続されるはずなので、接続線または管への支出を大幅に低減する。線eVを介して記録された制御データでもって、オープンループ方式で更なるバルブアセンブリWVを制御するべく、ロボットアームR上に受信機が形成されなくてはならない。受信機は、(例えばマイクロコントローラとして)電子実行ユニット124の形態で設けられてよい(分かりやすくするために、これは図10には示されていない)。
【0097】
他の実施形態において、上述の設計が組み合わされてもよい。したがって、例えば、アプリケーションAは、第1の運動タスクを、オープンループ方式および/またはクローズドループ方式で、バルブアイランドVI上で直接制御することが可能であり、また、第2の運動タスクを、バルブアイランドVIとは別個の運動ユニット上に配置された更なるバルブまたは更なるバルブアセンブリWV上で間接的に制御することも可能である。図10の例では、これはロボットアームRである。
【0098】
無線インタフェースを介して更なるバルブアセンブリWVをバルブアイランドVIに接続することも、同様に本発明の範囲内である。その後、バルブアイランドVIのマイクロコントローラ上で実行されるアプリケーションAの制御信号は、(例えば、無線ネットワーク、特にはIEEE802.11系のWLANを介して)更なるバルブアセンブリWVに無線で送信されてよい。同様に、更なるバルブアセンブリWVのバルブ上においてローカルに記録されたセンサデータは、例えば、クローズドループ制御の目的で、アプリケーションに無線で送信されてよい。この場合、バルブアイランドと、リモートの別個の更なるバルブアセンブリとの間にケーブルは必要ない。
【0099】
いくつかの利点が本発明と関連付けられる。例えば、同じ構成(機械的構造)のバルブディスクVSおよび/またはバルブアイランドVIで、種々のバルブ機能が(例えば、エコモードの有無にかかわらず、ソフト停止または流量制御等の有無にかかわらず、4/2または4/3方向制御バルブとして)作動されてよい。一方、種々のバルブ機能、したがって種々の運動タスクは、一元的にユーザインタフェースのただ1つのマスク上で制御されてよい。ユーザインタフェースは、計算ユニット1000上に、または代替的に制御装置SPS上に設けられるのが好ましい。これにより、操作および制御が明確かつ簡単になる。更に、バルブアイランドVIまたはバルブディスクVSの内部クローズドループ制御変数、および、外部クローズドループ制御変数(例えば、バルブアイランドVIの外部のプロセス信号)の両方に基づいて、運動タスクの実行中、クローズドループ制御が実行されてよい。クローズドループ制御により、アプリケーションAの新しいバージョン(新しいパラメータ化)が直接もたらされ得る。当該新しいバージョンのアプリケーションAは、リアルタイムで実行ユニットにロードされる。更新されたパラメータ化なしに、非常に迅速な運動タスクの変更も行われ得る。種々のアプリケーションAを選択するおかげで、オープンループ方式で運動タスクを制御するべく、流体技術に関する深い知識はもはや必要ない。
【0100】
最後に、本発明および例示的実施形態の説明は、基本的に、本発明の特定の物理的実装に関して非限定的であると理解されることに留意されたい。本発明の個々の実施形態に関連して説明され示された全ての特徴は、同時に本発明の有利な効果を得るべく、本発明に係る各主題において種々に組み合わせて提供され得る。特に、本発明は、説明された形態のバルブアイランドのみならず、それぞれが空気圧バルブを有するバルブアセンブリまたはバルブ回路を備える他のコンポーネント群にも適用され得ることが当業者にとっては明らかである。更に、空気圧運動制御システムのコンポーネントは、複数の物理製品にわたって分散されてよい。したがって、特に、エディタE、計算ユニット1000、およびバルブアセンブリVS、VIの少なくとも1つの実行ユニット1、124、SPSは、種々の構造ユニット上に設けられてよい。
【0101】
本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって設定されるのであり、発明を実施する形態において説明され、または図面において示された特徴によって限定されることはない。
【0102】
[参照符号]
VS:バルブディスク、 VS1:第1のバルブディスク、 VS2:第2のバルブディスク等 、VI:バルブアイランド、1:電子バルブコントローラ、 SPS:メモリプログラマブル制御装置、10:バルブアイランドのベースプレート、11:ピストン-シリンダアセンブリ、12:ベンチレーション設備、14:電気接続、40:供給接続、50:作用接続、100:ブースタカートリッジの筐体、112:ブースタカートリッジ、114:シリアル同期データバス、116:圧電アクチュエータ、118:バルブ、120:エレクトロニクス回路基板、122:締結要素、124:マイクロコントローラ、E:エディタ 、MEM:メモリ、1000:計算ユニット、1002:インタープリタ、1004:アプリケーションオブジェクトを含むメモリ、1006:合成部、1008:マッチャ、1010:ライセンスデータを含むデータベース、1020:分配部、1022:実行ユニット、2000:アプリケーションオブジェクトのライブラリ、A:アプリケーション、3000:クローズドループ制御インタフェース、4000:外部センサユニット、5000:内部測定信号ユニット、6000:ピストン-シリンダセンサユニット、RK1:第1のクローズドループ制御回路、RK2:第2のクローズドループ制御回路、R:ロボットアーム、 WV:バルブアイランドからずらして配置された更なるバルブアセンブリ、55:空気圧供給線、eV:バルブアイランドと更なるバルブアセンブリとの間の電気接続または電気接続線
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10