(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2018097617
(22)【出願日】2018-05-22
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮永 真
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102778(JP,A)
【文献】特開2016-209521(JP,A)
【文献】特開2013-022168(JP,A)
【文献】特許第6818361(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の動力によって変位する第一部材と、
前記第一部材に支持された部材であって、当該第一部材に対して原位置と演出位置との間を変位することが可能な第二部材と、
前記駆動源の動力を前記第一部材に伝達する動力伝達部材と、
前記第一部材および動かないように固定された固定部材に接続された支持部材と、
を備え、
前記第一部材における前記動力伝達部材が接続された第一接続部よりも、前記第一部材における前記支持部材が接続された第二接続部の方が、前記演出位置に位置する前記第二部材に近い位置に設けられて
おり、
前記第一部材と前記動力伝達部材は、互いの相対的な位置関係が変化しないように接続されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
段階的に動作する可動役物を備えた遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動役物が段階的に動作する際、当該可動役物がぶれてしまうおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、駆動源によって動作する部材のぶれを抑制することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、駆動源の動力によって変位する第一部材と、前記第一部材に支持された部材であって、当該第一部材に対して原位置と演出位置との間を変位することが可能な第二部材と、前記駆動源の動力を前記第一部材に伝達する動力伝達部材と、前記第一部材および動かないように固定された固定部材に接続された部材であって、前記駆動源の動力により変位する前記第一部材に伴って変位する支持部材と、を備え、前記第一部材における前記動力伝達部材が接続された第一接続部よりも、前記第一部材における前記支持部材が接続された第二接続部の方が、前記演出位置に位置する前記第二部材に近い位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる遊技機によれば、駆動源によって動作する部材のぶれを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】表示装置(表示領域)に表示された識別図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】第一部材が第一原位置に、第二部材が第二原位置に位置する状態における演出ユニットを示した図である。
【
図4】第一部材が第一演出位置に、第二部材が第二原位置に位置する状態における演出ユニットを示した図である。
【
図5】第一部材が第一演出位置に、第二部材が第二演出位置置に位置する状態における演出ユニットを示した図である。
【
図6】第一部材に第二部材の変位を停止させるストッパ部が設けられていることを説明するための図である。
【
図7】第一部材(突出部)と支持部材が面接触していることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0010】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に上記数値(当否判定情報)が記憶されていることは、保留図柄80として表示される(
図2参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄70(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄70を含む識別図柄群70g(左識別図柄群70gL、中識別図柄群70gC、右識別図柄群70gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群70gから一の識別図柄70が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群70gから選択されて停止した識別図柄70の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄70の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄70を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄70として設定することができる。
【0017】
遊技の趣向性を向上させるため、種々の演出が実行される。本実施形態では、当該演出の一種として、可動演出が実行される。可動演出は、可動ユニット10が動作する演出である。以下、当該可動ユニット10について説明する。
【0018】
可動ユニット10は、第一部材11および第二部材12を備える(
図1、
図3~5参照)。第一部材11は、第一駆動源21によって原位置(以下、第二部材12の原位置と区別するため第一原位置と称する)(
図3に示す位置)と演出位置(以下、第二部材12の演出位置と区別するため第二演出位置と称する)(
図4、5に示す位置)との間を変位する部材である。本実施形態における第一部材11は、大まかに見て平面視(遊技者の視線(前後方向)で見た形状をいう。以下同じ)略長方形状の部材である。第一部材11は、第一原位置に位置するときには、その全部または大部分が遊技盤90に覆われた状態にある。具体的には、略長方形状の第一部材11が遊技盤90の開口901の下端縁に沿うように位置し、その全部または大部分が遊技盤90の開口901よりも下側の部分に覆われることで、遊技者には視認困難な状態にある。一方、第一演出位置に位置するときには、その全部または大部分が、表示領域911の前側に位置して遊技盤90に形成された開口901を通じて遊技者に視認される状態となる(
図1参照)。第一部材11の前面には、第一演出位置に位置したときの演出効果を高めるための装飾(電飾を含んでいてもよい)が形成されている。
【0019】
第一駆動源21の動力は、動力伝達機構を介して第一部材11に伝達される。当該動力伝達機構は、第一部材11に接続された動力伝達部材211を含む(
図3~5参照)。本実施形態における、動力伝達部材211は、第一部材11との相対的な位置関係を変化させることができないように、第一部材11の左側端部に固定されている。動力伝達部材211は、一方側端部が第一伝達部材221に固定され、他方側端部がベース部材40(本願発明における固定部材に相当する)に接続されている。ベース部材40は、遊技機1の本体側に動かないように固定された枠部材であり、その全部または大部分が遊技盤90に覆われて(遊技盤90の後方に位置して)遊技者には視認できない部材である。ベース部材40は、複数の部材が組み合わされてなるものであってもよい。本実施形態では、動力伝達部材211の他方側端部はベース部材40(ベース部材40の左側)に対し回動自在に支持されている。第一駆動源21の動力が動力伝達部材211に伝達されることで、当該動力伝達部材211が回動し、それにより当該動力伝達部材211に接続された第一部材11が変位することになる。つまり、本実施形態における第一部材11は、ベース部材40に対する動力伝達部材211の回動軸を中心とした円を描くように変位することになる。本実施形態では、第一部材11を変位させるために、当該第一部材11に接続される部材は動力伝達部材211のみである(後述する支持部材30は動力伝達機能を発現しない)。第一駆動源21から第一部材11に至るまでの動力伝達経路は一つであるともいえる。なお、第一駆動源21から動力伝達部材211までの動力を伝達するための構造はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0020】
第二部材12(
図1、
図3~5参照)は、第一部材11に支持されたものであって、当該第一部材11に対して変位することが可能なものである。つまり、第二部材12が第一部材11に対して変位することで、第一部材11と第二部材12の相対的な位置関係が変化する。第二部材12は、原位置(上記第一原位置と区別するため、以下第二原位置と称する)(
図3、4に示す位置)と演出位置(上記第一演出位置と区別するため、以下第二演出位置と称する)との間を変位する(
図5に示す位置)。かかる第二原位置および第二演出位置は、あくまで、第一部材11に対する相対的な位置である。第二部材12は、第一部材11に支持されたものであるから、第一駆動源21を駆動させたときには、第一部材11が変位することになるところ、当該変位に伴って第二部材12も変位することになる(
図3、4参照)。一方、本実施形態では、第二部材12に動力が伝達される(第一部材11には動力が伝達されない)第二駆動源22が設けられており、当該第二駆動源22を駆動させたときには、第一部材11に対して第二部材12が変位することになる。
【0021】
第一部材11が第一原位置に位置するときには、第二部材12も第二原位置に位置するようにされる。このような状態にあるときには、第一部材11とともに第二部材12も遊技盤90の開口901よりも下側の部分に覆われることで、遊技者には視認困難な状態にある。一方、第一部材11が第一演出位置に位置するときには、第二部材12の全部または大部分が遊技盤90に形成された開口901を通じて遊技者に視認される状態となる(
図1参照)。第二部材12の前面には、第二演出位置に位置したときの演出効果を高めるための装飾(電飾を含んでいてもよい)が形成されている。
【0022】
本実施形態における第二部材12は、第一部材11の前側で直線状にスライド自在に設けられている。図示しないが、第一部材11の前側および第二部材12の後側の一方には直線状のスライドレールが固定され、他方側には当該スライドレールに係合するスライダが固定されている。当該スライドレール内をスライダがスライドすることにより、第一部材11に対して第二部材12が直線状に変位する。つまり、第二部材12が第二原位置と第二演出位置との間を変位する。第二部材12は第一部材11よりも前側に設けられているため、第二部材12が第二原位置に位置するときよりも、第二演出位置に位置するときの方が、第一部材11(第一部材11の前側に設けられた装飾)が、第二部材12に覆われずに露出する領域が大きくなる(
図4、5参照)。換言すれば、第二部材12が原位置に位置するときの方が、第二演出位置に位置するときよりも、第一部材11とそれよりも前にある第二部材12とが前後方向に重なる領域が大きくなるということである。
【0023】
第二駆動源22の動力を第二部材12に伝達する構造(動力伝達機構)はどのようなものであってもよい。本実施形態では、第一部材11が変位することによって第二部材12が変位したとしても、第二駆動源22の動力が第二部材12に伝達可能な動力伝達機構が構築されている。具体的には、長穴(貫通孔であるかどうかは問わない)が形成され、第二部材12に接続された第一伝達部材221と、当該長穴に係合する突起が形成され、当該突起が形成された反対側に設定された回動軸を中心として第二駆動源22の動力により回動する第二伝達部材222を有し、第二部材12が変位したときに長穴内を突起がスライドすることで、第二部材12がどのような位置にあっても第二駆動源22の動力が第二部材12に伝達されるような機構が構築されている。ただし、これはあくまで一例である。本実施形態では、第二駆動源22の動力は、第一部材11には伝達されない。ただし、一の駆動源により、第一部材11と第二部材12の両方を駆動させるものとしてもよい。第二部材12のみに駆動源の動力が伝達され、第一部材11に対して第二部材12が変位することが可能な動力伝達機構が構築されていればよい。また、第二駆動源22やその動力を第二部材12に伝達する動力伝達機構が、第一部材11に設けられた構成(第一部材11が変位すると、当該第一部材11と一緒に、第二駆動源22やその動力を第二部材12に伝達する動力伝達機構が変位する構成)としてもよい。
【0024】
第一部材11には、第二原位置から第二演出位置に向かって変位してきた第二部材12を第二演出位置にて停止させるストッパ部111が設けられている。つまり、第二部材12(第二部材12と一体的に変位するような部材を含む)は、その一部である衝突部121が当該ストッパ部111に接触することにより第二演出位置にて停止する(
図6参照)。第二原位置から変位する第二部材12(衝突部121)は、ある程度の勢いをもってストッパ部111に衝突し、第二演出位置にて停止することになる。ストッパ部111は、第一部材11における動力伝達部材211が接続された箇所の反対側(第一部材11の先端側)に設けられている。当該ストッパ部111や衝突部121は、上述したスライドレールまたはスライダの端部に設けられたものとしてもよい。つまり、スライドレール内をスライドするスライダ(衝突部121)が、スライドレールの端部であるストッパ部111に衝突することで、第一部材11に対する第二部材12の変位が止まる構成としてもよい。
【0025】
可動演出は次のような態様となる。第一部材11が第一原位置に、第二部材12が第二原位置に位置した状態(
図3参照)で、第一駆動源21を駆動させる。そうすると、第一駆動源21の動力が第一部材11に伝達されて、第一部材11が第一原位置から第一演出位置に向かって変位する。この際、第二部材12は第一部材11に対する相対的な位置を維持したまま(第二原位置に位置したまま)、第一部材11とともに変位する(
図4参照)。第一部材11が第一演出位置に到達した後、第一駆動源21の駆動は停止され、第二駆動源22を駆動させる。そうすると、第二駆動源22の動力が第二部材12に伝達されて、第二部材12が第二原位置から第二演出位置に向かって変位する。つまり、第一部材11に対し、第二部材12が変位する。第一演出位置に位置した第一部材11の先端側(動力伝達部材211が接続された側の反対側)から、第二部材12が飛び出るような演出形態となる(
図5参照)。可動ユニット10全体で見れば、第二部材12が飛び出た分、全体が大きく(長く)なったかのような演出形態となる。このように第一部材11に対して変位する第二部材12は、ストッパ部111によって第二演出位置にて停止させられる。
【0026】
本実施形態における第一部材11には、支持部材30が接続されている(
図3~5参照)。支持部材30は、第一部材11およびベース部材40に接続されている。具体的には、支持部材30の一端は第一部材11に対して回動自在に接続され、他端はベース部材40に接続されている。本実施形態では、第一部材11の動きに合わせて支持部材30が変位できるようにするため、支持部材30の他端はその接続箇所を変化させることができるように(本実施形態では幅方向にスライド自在となるように)してベース部材40に接続されている。ただし、支持部材30の他端の前後方向への動きは、ベース部材40によって規制されている。支持部材30は、駆動源等によって動作するような部材ではなく、第一駆動源21の動力により第一部材11が変位する際に、当該第一部材11の変位に伴って変位する部材である。つまり、第一部材11に従動する部材である。
【0027】
第一部材11における支持部材30が接続された箇所(第二接続部X2)は、第一部材11における動力伝達部材211が接続された箇所(第一接続部X1)よりも第二部材12(第二演出位置に位置する第二部材12)に近い側に設けられている(
図5参照)。第一部材11における動力伝達部材211が接続された側を第一部材11の基端側とし、その逆を先端側とすれば、支持部材30が接続された箇所は、動力伝達部材211が接続された箇所よりも先端側ということである。
【0028】
本実施形態では、第一部材11の下側(第一原位置に位置するときにおける下側)に突出部112が設けられており、当該突出部112に対して支持部材30の一端が回動自在に接続されている。第一部材11の一部である突出部112と支持部材30の一部は面接触する。具体的には、突出部112の前面(前後方向に略直交する平面)と、支持部材30の一端側の後面(前後方向に略直交する平面)とは面接触する(
図7参照)。したがって、第一部材11の先端側の前方への変位は、支持部材30によって抑制されることになる。前方への変位が抑制されるということは、第一部材11の先端側の後方への変位も抑制されることになる。
【0029】
このような支持部材30を設ける意義は次のようなものである。上述したように、可動演出の発生時には、第一部材11に対して第二部材12が変位する。第二部材12が第二原位置から変位し、第二演出位置で停止する際には、当該停止に伴う反作用力が生じ、第二部材12の先端側が前後にぶれてしまう(一緒に第一部材11の先端側も前後にぶれてしまう)おそれがある。本実施形態における第一部材11に対する第二部材12の変位は、第一部材11の先端側から第二部材12が飛び出るような態様であるため、当該「ぶれ」が大きくなるおそれがある。また、本実施形態では、第二部材12は、第二原位置から直線状に変位して第二演出位置にて第一部材11の先端側に設けられたストッパ部111に停止させられるものである、すなわち第二演出位置まで変位してきた第二部材12の勢いがストッパ部111に吸収されるものであるため、当該「ぶれ」が大きくなるおそれがある。また、本実施形態では、第一部材11と動力伝達部材211は互いの相対的な位置関係が変化しないように一方が他方に固定されたものであるため、第一部材11と動力伝達部材211の接続箇所(第一部材11の基端側)が支点となって第一部材11の先端側の「ぶれ」を大きくしてしまうおそれがある。
【0030】
これに対し本実施形態では、第一部材11の先端側には支持部材30の一端が接続されている。当該支持部材30の他端は動かないように固定された部材であるベース部材40に接続されているため、第一部材11が前後に変位しようとしても、その変位は支持部材30に抑制される。第一部材11の前後の変位が抑制されるということは、それに支持された第二部材12の前後の変位も抑制されるということである。つまり、支持部材30により、上記のような「ぶれ」が抑制されることとなる。
【0031】
特に、本実施形態における支持部材30(支持部材30の後面の一部)は、第一部材11(突出部112の前面の一部)に面接触している。つまり、当該面接触する箇所により、支持部材30が第一部材11を前方から押さえつけているというような格好となるため、第一部材11の前方への変位を抑制する効果が大きいといえる。
【0032】
なお、支持部材30は、第一部材11に対して回動自在に接続されたものであるため、支持部材30により、前後方向以外の方向の第一部材11の「ぶれ」も抑制される。つまり、支持部材30により、特に「前後方向」の「ぶれ」が抑制されるというだけであって、それ以外の方向の「ぶれ」が全く抑制されないというわけではない。
【0033】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の具体例を用いて説明する技術的事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0034】
○第一具体例
上記実施形態では、支持部材30の後面の一部と、第一部材11(突出部112)の前面の一部が面接触していることを説明したが、前後の位置関係が逆であってもよい。つまり、支持部材30の前面の一部と、第一部材11(突出部112)の後面の一部が面接触している構成としてもよい。第一部材11の先端側が前方および後方の一方に変位することが抑制されれば、他方への変位も抑制されることになる。
【0035】
○第二具体例
第一部材11の一部が、支持部材30の一部に挟まれるような構造とする。上記実施形態と同様に、第一部材11における支持部材30の接続箇所として突出部112が設けられたものとするのであれば、当該突出部112が、支持部材30の一部に前後から挟まれるような構造とする(
図8参照)。
【0036】
具体的には、支持部材30の一端(第一部材11側の端部)には、前部31と後部32を含む二股状の部分が構築される。前部31と後部32が一つの部材から構築されるものとしてもよいし、二以上の部材から構築されるものとしてもよい。前部31と後部32は、所定の空間を隔てて少なくとも一部が前後方向に重なるように設けられる。当該前部31と後部32との間(上記所定の空間)に突出部112が入り込んだ状態で、第一部材11と支持部材30が接続される。このようにすることで、第一部材11の先端側の前方への変位は前部31により、後方への変位は後部32により抑制されることとなるため、上記実施形態よりも第一部材11および第二部材12の「ぶれ」を抑制する効果が大きくなるという利点がある。
【0037】
本例においても、第一部材11の一部と支持部材30の一部は面接触するものであることが好ましい。すなわち、突出部112の前面は前部31の後面と、突出部112の後面は後部32の前面と面接触した状態にあることが好ましい。このようにすることで、「ぶれ」を抑制する効果がさらに高められる。ただし、第一部材11の変位に合わせて第一部材11と支持部材30の相対的な関係は変化することになるため、前部31と後部32の間で突出部112は自在に変位することができるように(上記面接触する部分が容易に摺動可能な態様)すべきである。つまり、前部31と後部32の間に突出部112が「すきま嵌め」されたような構造であることが好ましい。
【0038】
○第三具体例
上記実施形態は、第一部材11に支持部材30が接続されている構成であることを説明したが、第二部材12に支持部材30が接続された構成としてもよい。第一部材11の変位に伴う第二部材12の変位や、第一部材11に対する第二部材12の変位に伴って変位することが可能な支持部材30が第二部材12に接続された構成とする。
【0039】
このようにすることで、第二部材12の「ぶれ」を抑制することができる。また、第二部材12を介して当該第二部材12を支持する第一部材11の「ぶれ」を抑制することができる。ただし、第二部材12は第一部材11に支持されたものであるため、上記実施形態のように、「支持する」側の部材である第一部材11の「ぶれ」が支持部材30によって直接的に抑制される構造とした方が、可動ユニット10全体の「ぶれ」の抑制効果が高いといえる。
【0040】
○第四具体例
複数の支持部材30が設けられた構造とする(
図9参照)。このようにすることで、一の支持部材30が設けられた構造に比して、「ぶれ」の抑制作用がさらに高められる。
【0041】
例えば、二つの支持部材30(第一支持部材30aと第二支持部材30b)を設ける場合、第一部材11の一方側(第一部材11の下側)に第一支持部材30aが接続され、第一部材11の他方側(第一部材11の上側)に第二支持部材30bが接続される構造とするとよい。このようにすることで、第一部材11の一方側および他方側の両方で「ぶれ」が抑制されることになるから、第一部材11全体の「ぶれ」の抑制作用がさらに高められる。
【0042】
○第五具体例
上記実施形態は、第一部材11およびそれに支持された第二部材12の前後方向の「ぶれ」を抑制するために、第一部材11の前面の一部に面接触するように支持部材30が接続されていることを説明したが、前後方向以外の方向における「ぶれ」が抑制される構造としてもよい。具体的には、第一部材11と支持部材30は、抑制すべき「ぶれ」の方向に略直交する面同士が面接触するものとすればよい。例えば、左右方向の「ぶれ」を抑制したいのであれば、第一部材11と支持部材30における互いに面接触する面は、左右方向に略直交するものとされる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0044】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、可動する部材を備えた遊技機であれば、回動式遊技機等の異なる遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
【0045】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0046】
・手段1
駆動源の動力によって変位する第一部材と、
前記第一部材に支持された部材であって、当該第一部材に対して原位置と演出位置との間を変位することが可能な第二部材と、
前記駆動源の動力を前記第一部材に伝達する動力伝達部材と、
前記第一部材および動かないように固定された固定部材に接続された支持部材と、
を備え、
前記第一部材における前記動力伝達部材が接続された第一接続部よりも、前記第一部材における前記支持部材が接続された第二接続部の方が、前記演出位置に位置する前記第二部材に近い位置に設けられていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、第一部材やそれに支持される第二部材の「ぶれ」が支持部材により抑制される。
【0047】
・手段2
前記第一部材には、前記原位置から変位した前記第二部材を前記演出位置にて停止させるストッパ部が設けられていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようなストッパ部が設けられていると、演出位置に向かって変位してきた第二部材の勢いにより第一部材の「ぶれ」が大きくなってしまうおそれがあるところ、当該「ぶれ」が支持部材により抑制されることになる。
【0048】
・手段3
前記第二部材は、前記原位置から真っすぐに変位し、前記ストッパ部により前記演出位置にて停止させられるものであることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
このように、第二部材が直線状に変位するものとすれば、ストッパ部にかかる衝撃が大きいために第一部材の「ぶれ」が大きくなってしまうおそれがあるところ、当該「ぶれ」が支持部材により抑制されることになる。
【0049】
・手段4
前記第一部材と前記動力伝達部材は、互いの相対的な位置関係が変化しないように接続されていることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このように、第一部材に対し動力伝達部材が固定された構造とすると、当該固定箇所を支点として第一部材が大きくぶれてしまうおそれがあるところ、当該「ぶれ」が支持部材により抑制されることになる。
【0050】
・手段5
前記第一部材の一部が、前記支持部材の一部に面接触するようにして、前記第一部材と前記支持部材が接続されていることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、第一部材やそれに支持される第二部材の「ぶれ」を抑制する作用が高まる。
【0051】
・手段6
前記第一部材の一部が、前記支持部材の一部に挟まれるようにして、前記第一部材と前記支持部材が接続されていることを特徴とする手段1から手段4のいずれか一項に記載の遊技機。
このようにすることで、第一部材やそれに支持される第二部材の「ぶれ」を抑制する作用が高まる。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技機
10 可動ユニット
11 第一部材
111 ストッパ部
12 第二部材
21 第一駆動源
211 動力伝達部材
22 第二駆動源
30 支持部材
40 ベース部材(固定部材)
X1 第一接続部
X2 第二接続部