IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 何 金軒の特許一覧

<>
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図1
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図2
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図3
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図4
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図5
  • 特許-排泄物クリーニング装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】排泄物クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/44 20060101AFI20220301BHJP
   A47K 11/06 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A61F5/44 Z
A61F5/44 S
A47K11/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018154967
(22)【出願日】2018-08-21
(65)【公開番号】P2019134913
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】107104031
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518298832
【氏名又は名称】何 金軒
【氏名又は名称原語表記】HO CHIH-HSUAN
【住所又は居所原語表記】5F.,No.236,Syuecheng Rd.,Sansia Dist.,New Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】何 金軒
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-364841(JP,A)
【文献】特開2008-188365(JP,A)
【文献】特開2007-307080(JP,A)
【文献】特開2004-135962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44
A47K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一本のパイプと、一つのタンクと、ホットエアプロセッサーと、を含む排泄物クリーニングマシンと
その内部に少なくとも一つの第一継ぎ手が設けられ、そのボトムに第一開口が設けられ、前記第一開口の位置は使用者の肛門位置に対応する外部被覆クロス、及び、
カップ状を呈し、前記使用者の膀胱位置から鼠蹊部に沿って後ろへ尾椎の下に伸びるインナーアセンブリーを含み、
該インナーアセンブリーは、
前記第一継ぎ手と接続される第二継ぎ手と、
前記第一開口の位置に対応して、前記インナーアセンブリーのボトムに設けられ、また、前記パイプを通じて前記排泄物クリーニングマシンに接続する第二開口と、
前記使用者の膀胱をカバーする位置に対応する、曲線形状のカップである一つのフロントエンド部と、
前記使用者の臀部に位置する、曲線形状のカップである一つのバックエンド部と、
前記フロントエンド部と前記バックエンド部とを接続する1本の導流通路と、
前記インナーアセンブリーの内部に設けられ、また、前記排泄物クリーニングマシンと電気的に接続され、排泄物の検知と前記排泄物クリーニングマシンの駆動に用いられ、前記パイプを通じて前記排泄物を前記排泄物クリーニングマシンに収集する少なくとも一つのセンサー、及び、
前記排泄物クリーニングマシンに接続され、前記使用者を洗浄する洗浄アセンブリーを含み、
前記少なくとも一つのセンサーは、前記導流通路と前記第二開口の傍及び間に設けられる第一センサー、及び前記インナーアセンブリーの後にある内壁に設けられる第二センサーを含み、
前記導流通路は、尿を前記第一センサーへと導き、
前記洗浄アセンブリーは、前記フロントエンド部の前記導流通路に近い位置に設置され、また、1本の第一水管を通じて前記排泄物クリーニングマシンの前記タンクと接続するフロントエンドノズルと、
前記バックエンド部に設置され、また、1本の第二水管を通じて前記排泄物クリーニングマシンの前記タンクと接続するバックエンドノズルと、及び
前記導流通路の位置に設置され、また、1本のガスを通じて前記排泄物クリーニングマシンの前記ホットエアプロセッサーと接続されるホットエアアウトレットを含むことを特徴とする排泄物クリーニング装置。
【請求項2】
前記排泄物クリーニングマシンの中に吸引モーター及び収集バケツが設けられ、前記第一センサー又は前記第二センサーが前記排泄物を検知すると、前記パイプを通じて前記排泄物を前記吸引モーターによって前記排泄物の収集バケツに吸い込むことを特徴とする請求項に記載の排泄物クリーニング装置。
【請求項3】
前記ホットエアアウトレットは一つのカバー部を有することを特徴とする請求項に記載の排泄物クリーニング装置。
【請求項4】
前記排泄物クリーニングマシンは一つのエアポンプを含み、前記エアポンプは前記第二水管を通じて前記バックエンドノズルに接続されることを特徴とする請求項に記載の排泄物クリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクリーニング装置に関し、特に、排泄物を自力で処理できない使用者に用いられる排泄物クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
寝たきりの状態になって、ベッドから起きられない患者は自立排泄ができない。介護者又は家族の助けによって、大・小便をきれいに除去し、衛生を保っている。よく見られる方法は、おむつを使用することであり、汚れたら交換して、下半身を洗浄・払拭してから新しいおむつに交換するが、多くの患者にとっては快適ではなく、精神面や尊厳にも関わり、心理的な抵抗を感じる。
【0003】
但し、一部のメーカーは設備又は機器を開発し、マシンを通じてスマート洗浄を行い、おむつに替えたいと考えているが、現在まで、既存の欠点として、排泄の必要がある場合、介護者の助けによってこれらの設備を患者の体に着用し、排泄と洗浄作業が終わった後、取り外す必要があり、使用上おむつより簡単ではなく、想像以上に難しいものである。衛生面で問題が生じがちである。
【0004】
このため、完全に自動で排泄物をクリーニングでき、排泄物を効果的にクリーニングすると同時に、行動が不自由な患者の要求を満足でき、着用が快適で衛生的な設備・装置を開発することは、関係メーカーの目指す目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記欠点に鑑みて、新規な排泄物クリーニング装置の開発に成功した。本発明の特徴は、排泄物クリーニング装置が、排泄物収集機能と使用者の下半身とパンツの洗浄機能を統合し、使用者が他人の助力なしに、手軽で便利に排泄物のクリーニング作業を行うことができることである。
【0006】
一つの実施例に示すように、本発明の排泄物クリーニング装置は、外部被覆クロス、インナーアセンブリー及び排泄物クリーニングマシンを含む。外部被覆クロスの内部に少なくとも一つの第一継ぎ手が設けられ、また、そのボトムに第一開口が設置され、第一開口の位置は使用者の肛門位置に対応する。インナーアセンブリーはカップ状を呈し、使用者の膀胱位置から鼠蹊部に沿って後ろへ尾椎の下に伸び、また、第二継ぎ手、第二開口、少なくとも一つのセンサー及び洗浄アセンブリーを含む。
【0007】
第二継ぎ手は前記第一継ぎ手と接続する。第二開口は第一開口に対応し、インナーアセンブリーのボトムに設けられ、また、1本のパイプを通じて排泄物クリーニングマシンと接続する。少なくとも一つのセンサーは排泄物を検知し、また、排泄物クリーニングマシンを駆動し、洗浄アセンブリーは排泄物クリーニングマシンに接続され、使用者の洗浄に用いられる。
【0008】
本発明のもう一つのカテゴリーによれば、一種の排泄物クリーニング方法であって、使用者は他人の助力なしに、衛生で快適に排泄物クリーニング作業を行うことができる。一つの実施例に示すように、排泄物クリーニング方法として、少なくとも一つのセンサーが使用者が着用しているパンツに排泄物があることを検知した場合、その処理プロセスは、洗い流し工程ステップ、吸引工程ステップ、ブロー工程ステップ及び乾燥工程ステップを含む。
【0009】
洗い流し工程ステップは下記に示すとおりである。検知した排泄物によって小便モード又は大便モードを設定すること、判断して排泄物クリーニング装置を男性モード又は女性モードを設定すること、男性モードの場合、排泄物クリーニング装置はバックエンドノズルを駆動して使用者の肛門に対し噴水して洗い流し、また、フロントエンドノズルを駆動してパンツの前部を洗い流すこと、排泄物クリーニング装置は女性モードに設定された場合、バックエンドノズルを駆動して使用者の肛門及び泌尿器を洗い流すこと。
【0010】
このため、構造とフローによって、他人の助力なしに、寝たきりの患者は快適な自立洗浄作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の排泄物クリーニング装置の着用イメージ図である。
図2】本発明の排泄物クリーニングマシンの構造図である。
図3】本発明のインナーアセンブリーの側面図である。
図4図3の上面図である。
図5】本発明の排泄物クリーニング方法のフローチャートである。
図6】本発明の排泄物クリーニング方法のモード切り替え状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2を参照されたい。図1は本発明の排泄物クリーニング装置の着用イメージ図であり、図2は本発明の排泄物クリーニングマシンの構造図である。
【0013】
実施例に示すように、本発明の排泄物クリーニング装置は、外部被覆クロス1、インナーアセンブリー2及び排泄物クリーニングマシン3を含む。図1に示すように、外部被覆クロス1はパンツのスタイルであり、使用者の臀部60に着用され、外部被覆クロス1の内部に少なくとも一つの第一継ぎ手が設けられ、また、そのボトムに一つの第一開口11が設置され、第一開口11の位置は使用者の肛門位置に対応する。インナーアセンブリー2はカップ状を呈し、使用者の膀胱位置から鼠蹊部(太もも61の内側)に沿って後ろへ尾椎の下に伸びる。第二継ぎ手20は第一継ぎ手10と接続され、インナーアセンブリー2と外部被覆クロス1を接続させ、外部被覆クロス1と前記インナーアセンブリー2でパンツを形成させる。実施例に示すように、第一継ぎ手10と前記第二継ぎ手20はマジックテープ(登録商標)を含むが、これに限定されない。
【0014】
インナーアセンブリー2は、第二継ぎ手20、第二開口21、少なくとも一つのセンサー22及び洗浄アセンブリー23を有する。第二開口21は第一開口11の位置に対応し、インナーアセンブリー2のボトムに設けられ、第二開口21は1本のパイプ30を通じて排泄物クリーニングマシン3に接続される。少なくとも一つのセンサー22はインナーアセンブリー2の内部に設けられ、また、排泄物クリーニングマシン3と電気的に接続され、排泄物の検知と排泄物クリーニングマシン3の駆動に用いられ、パイプ30を通じて、排泄物を排泄物クリーニングマシン3に収集する。洗浄アセンブリー23は排泄物クリーニングマシン3と接続され、使用者を洗浄する。
【0015】
また、図3及び図4に示すように、インナーアセンブリー2のカップ状は一つのフロントエンド部24及び一つのバックエンド部25を有する。フロントエンド部24は使用者の膀胱をカバーする位置に対応し、バックエンド部25は使用者の臀部に位置し、フロントエンド部24とバックエンド部25とは1本の導流通路26より接続される。導流通路26は尿の排泄物をフロントエンド部24よりバックエンド部25に導く。
【0016】
少なくとも一つのセンサー22は、第一センサー221及び第二センサー222を含む。本実施例に示すように、第一センサー221は第二開口21に設けられ、一種の排泄物(例えば尿)が第二開口21の前に流れ込む時、第一センサー221はそれを検知して、また、排泄物クリーニングマシン3に知らせる。第二センサー222は、インナーアセンブリー2の後の内壁に設けられ、一種の排泄物(例えば大便)が第二センサー222の検知範囲に落ちる際、第二センサー222はそれを検知し、また、排泄物クリーニングマシン3に知らせ、それを駆動する。
【0017】
図2に示すように、排泄物クリーニングマシン3の中に吸引モーター31及び収集バケツ32が設けられる。第一センサー221又は第二センサー222が排泄物を検知すると、排泄物はパイプ30を通じて吸引モーター31より収集バケツ32に吸い込まれる。
【0018】
図3から図5まで示すように、図3は本発明のインナーアセンブリーの側面図であり、図4図3の上面図である。図3図4に示すように、洗浄アセンブリー23はフロントエンドノズル231を含み、フロントエンドノズル231はフロントエンド部24に設置され、また、1本の第一水管33を通じて排泄物クリーニングマシン3のタンク34に接続される。第一水管33はウォーターポンプ39を通じて、タンク34の水をフロントエンドノズル231に導き、フロントエンドノズル231よりインナーアセンブリー2の内壁を前から後ろへスプレー洗浄する。
【0019】
図2及び図4に示すように、洗浄アセンブリー23はバックエンドノズル232及びホットエアアウトレット233を含む。バックエンドノズル232はバックエンド部25に設置され、また、第二水管35を通じて排泄物クリーニングマシン3のタンク34と接続し、第二水管35はウォーターポンプ39を通じてタンク34の水をバックエンドノズル332に導き、バックエンドノズル232より使用者の肛門又は泌尿器を洗い流す。
【0020】
より良好な洗浄効果を達成させるため、排泄物クリーニングマシン3はさらにエアポンプ38を含み、エアポンプ38は第二水管35を通じてバックエンドノズル232に接続され、排泄物が吸収され排泄物収集バケツ32に貯蔵されたり、泌尿器と肛門が水で洗い流された後、エアポンプ38は外部空気を吸い込んで泌尿器と肛門をブローし、付着した汚水を除去する。
【0021】
ホットエアアウトレット233は導流通路26に設置され、また、エアパイプ36を通じて排泄物クリーニングマシン3のホットエアプロセッサー37に接続され、ホットエアプロセッサー37はホットエアを生じることができ、また、エアパイプ36によりインナーアセンブリー2の中に導入して乾燥する。
【0022】
なお、ホットエアアウトレット233は導流通路26に設置され、大量の尿排泄物又は液体が導流通路26を流れることを回避するため、ホットエアアウトレット233は少しインナーアセンブリー2の内部に伸び、カバー部234を形成し、使用者はベッドに寝たきりになった場合、横たわった姿勢で、導流通路26を流れる尿は大部分が直接バックエンド部25に落ちる。
【0023】
図5に示すように、図5は本発明の排泄物クリーニング方法のフローチャートである。本発明の排泄物クリーニング方法は性別の異なった使用者に基づき、異なった排泄物(例えば、尿又は大便)によってダイナミックに排泄物クリーニングの処理プロセスを決める。一つの実施例に示すように、一種の排泄物クリーニング方法として、少なくとも一つのセンサーは使用者が着用しているパンツに一種の排泄物があることを検知した場合、下記のステップを実行する。
S100:検知した排泄物によって小便モード又は大便モードを設定すること。
S101:判断して排泄物クリーニング装置を男性モード又は女性モードに設定すること。
S102:男性モードの場合、排泄物クリーニング装置はバックエンドノズルを駆動して使用者の肛門に対し、噴水して洗い流し、また、フロントエンドノズルを駆動してパンツの前部を洗い流すこと。
S103:排泄物と洗い流した汚水を一緒に収集バケツに吸い込むと同時に、排泄物の臭気を濾過すること。
S104:パンツの内部に対し、エアをブローし、使用者の皮膚に付着した汚水を除去すること。
S105:パンツの内部にホットエアを導入し、パンツを乾燥させること。ここで、パンツは防水材質である。
【0024】
S106:排泄物クリーニング装置が女性モードである場合、バックエンドノズルを駆動して使用者の肛門及び泌尿器を洗い流す。一つの実施例として、男性モードと女性モードは使用者の実際の性別によって予め設定しておき、もちろん、女性の使用者に対しても男性モードを利用して洗浄でき、男性モードは主に男性泌尿器向けの構造であり、特別な洗い流しを必要とせず、尿が残った内壁を洗い流し、尿の臭気を除去し、パンツの清浄度を保つだけで良い。
【0025】
図6に示すように、図6は本発明の排泄物クリーニング方法のモード切り替えルールの状態図である。大便モードと小便モードは主に二つのセンサー(第一センサー及び第二センサー)によって、それぞれ排泄物の種類を判断し、また、種類に基づき、対応する時間と水量などのパラメーターを与え、洗浄さを確保する。このため、排泄物クリーニング方法はまた、切り替えルールを設定する。その内容は下記の通りである。
S201:第一センサーが排泄物を検知した時、排泄物クリーニング装置を小便モードに設定すること。
S202:小便モードにおいて、第二センサーが排泄物を検知した時、小便モードを大便モードに切り替えること。
S203:大便モードにおいて、第一センサーが排泄物を検知した場合、大・小便モードの切り替えを行わないこと。
【0026】
切り替えルールによって、本発明のクリーニング方法は大・小便モードの切り替えミスを回避することができ、大便状態の下で、小便モードで洗浄作業を行わないことを確保する。
【0027】
このため、本発明の構造とフローによって、寝たきりの患者は他人の助力なしに、快適な自立洗浄作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1 外部被覆クロス
10 第一継ぎ手
11 第一開口
2 インナーアセンブリー
20 第二継ぎ手
21 第二開口
22 少なくとも一つのセンサー
221 第一センサー
222 第二センサー
23 洗浄アセンブリー
231 フロントエンドノズル
232 バックエンドノズル
233 ホットエアアウトレット
234 カバー部
24 フロントエンド部
25 バックエンド部
26 導流通路
3 排泄物クリーニングマシン
30 パイプ
31 吸引モーター
32 収集バケツ
33 第一水管
34 タンク
35 第二水管
36 エアパイプ
37 ホットエアプロセッサー
38 エアポンプ
39 ウォーターポンプ
60 臀部
61 太もも
図1
図2
図3
図4
図5
図6