(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
B60N2/28
(21)【出願番号】P 2019181603
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2021-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】大山 達哉
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-012899(JP,A)
【文献】特開2015-074313(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受台と、
前記受台に対して
前後方向に移動して前記受台に対する傾きを変化可能且つ前記受台に対して回転可能に前記受台に支持された座席と、を備え、
前記座席は、前記受台から着脱可能であ
り、
前記座席は、座席本体部と、前記座席本体部から延び出して前記受台に接続されたベース部と、を含み、
前記ベース部は、前記ベース部に対して上下方向に移動可能な係合軸を有し、
前記受台は、前後方向に離間して設けられた複数の係合穴であって、前記係合軸が上方から挿入される複数の係合穴を有し、
前記係合軸が前記複数の係合穴のいずれかに挿入された状態で、前記座席の前記受台に対する前後方向の移動が規制されると共に、前記座席は前記係合軸の周りを前記受台に対して回転可能である、チャイルドシート。
【請求項2】
前記受台は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつばを有し、
前記座席は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記保持位置にある前記つばと重なり且つ前記解放位置にある前記つばからずれる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記保持位置に位置する前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制される、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記座席は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつばを有し、
前記受台は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記保持位置にある前記つばと重なり且つ前記解放位置にある前記つばからずれる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記保持位置に位置する前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制される、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記座席は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向と交わる方向に延びるつばを有し、
前記受台は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記つばと重なる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制される、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記座席は、前記受台に対して予め定めた相対回転位置にある場合に前記受台から取り外し可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
受台と、
前記受台に
前後方向に移動して前記受台に対する傾きを変化可能且つ前記受台に対して回転可能に前記受台に支持されたベース部と、前記ベース部に取り外し可能に支持された座席本体部と、を有する座席と、を備え
、
前記ベース部は、前記ベース部に対して上下方向に移動可能な係合軸を有し、
前記受台は、前後方向に離間して設けられた複数の係合穴であって、前記係合軸が上方から挿入される複数の係合穴を有し、
前記係合軸が前記複数の係合穴のいずれかに挿入された状態で、前記座席の前記受台に対する前後方向の移動が規制されると共に、前記座席は前記係合軸の周りを前記受台に対して回転可能である、チャイルドシート。
【請求項7】
前記座席本体部および前記ベース部の一方は、前記座席本体部と前記ベース部とを接続するロック部材を有している、請求項6に記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等に乳幼児を乗せる場合に用いられるチャイルドシートについて、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、車両用シートに取り付けられる受台と、受台上に支持される座席と、を有するチャイルドシートが開示されている。このチャイルドシートでは、座席が受台に対して摺動し、座席の受台に対する傾きを変更すること(すなわちリクライニングさせること)ができる。また、座席が受台に対して回転可能に取り付けられている。これにより、車両の進行方向の前方を向くようにして乳幼児を座席上に座らせるだけでなく、上記進行方向の後方を向くようにして乳幼児を座席上に座らせることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなチャイルドシートへのニーズの一つとして、座席が受台から取り外し可能であることがある。
【0005】
本件発明は、このような点を考慮してなされたものであって、座席が受台に対してリクライニングおよび回転可能であると共に、受台から取り外し可能なチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるチャイルドシートは、
受台と、
前記受台に対して一方向に移動して前記受台に対する傾きを変化可能且つ前記受台に対して回転可能に前記受台に支持された座席と、を備え、
前記座席は、前記受台から着脱可能である。
【0007】
本発明によるチャイルドシートにおいて、
前記受台は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつばを有し、
前記座席は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記保持位置にある前記つばと重なり且つ前記解放位置にある前記つばからずれる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記保持位置に位置する前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制されてもよい。
【0008】
また、本発明によるチャイルドシートにおいて、
前記座席は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつばを有し、
前記受台は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記保持位置にある前記つばと重なり且つ前記解放位置にある前記つばからずれる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記保持位置に位置する前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制されてもよい。
【0009】
また、本発明によるチャイルドシートにおいて、
前記座席は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向と交わる方向に延びるつばを有し、
前記受台は、前記座席を前記受台から取り外す際の移動方向への投影において前記つばと重なる位置に設けられた規制部を有し、
前記規制部と前記つばとの接触により、前記座席の前記受台からの取り外しが規制されてもよい。
【0010】
また、本発明によるチャイルドシートにおいて、
前記座席は、前記受台に対して予め定めた相対回転位置にある場合に前記受台から取り外し可能であってもよい。
【0011】
あるいは、本発明によるチャイルドシートは、
受台と、
前記受台に一方向に移動して前記受台に対する傾きを変化可能且つ前記受台に対して回転可能に前記受台に支持されたベース部と、前記ベース部に取り外し可能に支持された座席本体部と、を有する座席と、を備える。
【0012】
本発明によるチャイルドシートにおいて、
前記座席本体部および前記ベース部の一方は、前記座席本体部と前記ベース部とを接続するロック部材を有していてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、座席が受台に対してリクライニングおよび回転可能であると共に、受台から取り外し可能なチャイルドシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるチャイルドシートの第1の実施形態を示す斜視図。
【
図2】座席の回転操作を説明するための図であって、チャイルドシートを示す側面図。
【
図3】座席のリクライニング操作を説明するための図であって、チャイルドシートを示す側面図。
【
図4】座席の取り外し操作を説明するための図であって、チャイルドシートを示す側面図。
【
図8】
図5に示す座席および受台のA-A線に沿った部分断面図。
【
図9】
図8に対応する図であって、つばが解放位置に配置されている場合の座席および受台の部分断面図。
【
図10】
図5に対応する図であって、第2の実施形態によるチャイルドシートの座席および受台の部分縦断面図。
【
図11】
図10に示す座席および受台のB-B線に沿った部分断面図。
【
図12】
図11に対応する図であって、座席が横向き状態である場合の座席および受台の部分断面図。
【
図13】
図5に対応する図であって、第3実施形態によるチャイルドシートの座席および受台の部分縦断面図。
【
図14】
図14に示す座席および受台のC-C線に沿った部分断面図。
【
図16】
図13に対応する図であって、受台と受台から取り外された座席本体部とを示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本発明によるチャイルドシート(チャイルドカーシート)10の第1の実施形態を説明するための斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態におけるチャイルドシート10は、車両(例えば自動車)のシート1に取り付けられる受台20と、受台20上に設けられ、受台20に対して傾きを変化可能、回転可能且つ分離可能な座席40と、を有する。図示された例では、チャイルドシート10は、チャイルドシート本体11として、受台20と座席40とを有している。
図1に示すように、チャイルドシート10は、さらに、受台20の背面から後方に延び出す取り付け具80を有している。取り付け具80が車両のシート1の図示しない固定具(例えばISOFIX方式対応のラッチ)に接続されることにより、チャイルドシート10は、シート1に固定される。また、チャイルドシート10は、チャイルドシート本体11の受台20に着脱可能に取り付けられるサポートレッグ90を有している。サポートレッグ90は、車両のシート1を支持する車両の床面3まで延び、チャイルドシート本体11(受台20)の前方部分を下方から支持するようになる。
【0018】
図2は、チャイルドシート10の回転操作を説明するための図である。
図2に示すように、座席40は、受台20に対し、チャイルドシート10の前後方向に延びる鉛直面に沿った回転軸線Rxを中心として回転可能となっている。そして、座席40を受台20に対して回転させることによって、乳幼児を、後方を向くようにしてチャイルドシート10に着座させることができる。以下において、
図2に実線で示された座席40の状態を、座席40の「前向き状態」とも呼び、
図2に二点鎖線で示された座席40の状態を、座席40の「後向き状態」とも呼ぶ。
【0019】
なお、本明細書中において、チャイルドシート10の座席40および座席40の各部に対する「上」、「下」、「前」および「後」の用語は、特に指示がない場合、座席40に着座した乳幼児を基準とした「上」、「下」、「前」および「後」を意味するものとする。また、チャイルドシート10の受台20に対する「上」、「下」、「前」および「後」の用語は、特に指示がない場合、車両の通常の走行を基準とした「上」、「下」、「前」および「後」を意味するものとする。
【0020】
図3は、チャイルドシート10のリクライニング操作を説明するための図である。
図3に示すように、座席40は、受台20に対して一方向に(図示された例では受台20の前後方向に)移動して受台20に対する傾きを変化可能に受台20に支持されている。より具体的には、座席40は、前後方向に延びる鉛直面に沿った方向sdに沿って、受台20に対し摺動可能となっている。受台20に対する座席40の傾きを変化させることにより、座席40をリクライニングさせることができる。
【0021】
図4は、座席40の取り外し操作を説明するための図である。
図4に示すように、座席40は、受台20に対して取り外し可能に接続されている。これにより、座席40に着座した乳幼児を、座席40とともに受台20上から移動させることができる。
【0022】
以下において、チャイルドシート本体11の各部分についてさらに詳細に説明する。
【0023】
まず、受台20について説明する。
図1に示すように、受台20は、車両のシート1の座部1a上に載置されるようになる基部21と、車両のシート1の背部1bに対面するようになる起立部22と、を有している。
【0024】
図6および
図7に示すように、基部21は、基部本体部23と、基部本体部23を上方から覆うカバー部24とを有する。カバー部24には、後述する座席40を受容する接続開口25が設けられている。
図7によく示されているように、接続開口25は、受台20の前後方向に延びる楕円形をなしている。
【0025】
図5および
図7に示すように、基部本体部23のうち、接続開口25と対面する部分には、座席40と係合する係合部26が設けられている。係合部26は、受台20の前後方向に延びて座席40を下方から支持する突条部27を含む。突条部27には、後述する座席40の係合軸53が上方から挿入される係合穴28が設けられている。
図7に示すように、係合穴28は、受台20の前後方向に離間して、複数設けられている。
【0026】
図5に示すように、基部本体部23とカバー部24との間には、座席40を保持するつば30が設けられている。図示された例では、
図7および
図8に示すように、つば30は、受台20の幅方向における突条部27の一側および他側に、それぞれ配置されている。各つば30は、受台20の幅方向に移動可能である。
図8および
図9に示すように、つば30は、座席40を受台20から取り外す際の移動方向td(以下、単に「取り外し方向td」とも呼ぶ)の投影において、座席40の下端部と重なる保持位置(
図8参照)と、座席40の下端部からずれる解放位置(
図9参照)との間を移動可能である。つば30は、図示しない付勢手段によって保持位置に向けて付勢されている。つば30は、図示しない着脱操作部を操作することにより、解放位置に配置される。
【0027】
次に、座席40について説明する。上述したように、
図5に示すように、座席40は、座席本体部41と、座席本体部41から延び出して受台20に接続されたベース部50と、を含む。
図1に示すように、座席本体部41は、ベース部50に接続された座部42と、座部42から延び出た背部43と、を有している。
【0028】
図5に示すように、ベース部50は、座席本体部41の座部42から下方に延び出している。ベース部50は、受台20に受台20の前後方向に移動して受台20に対する傾きを変化可能に受台20に支持されている。また、ベース部50は、受台20に対して回転可能に受台20に支持されている。
【0029】
図示された例では、ベース部50は、受台20の接続開口25を通過して、受台20の突条部27によって下方から支持されている。より具体的には、ベース部50は、接続開口25内を通過する円筒形状のベース部本体部51と、ベース部本体部51の下端部からベース部本体部51の径方向外側に延び出す円板状の延出部52を有する。延出部52は、上記取り外し方向tdへの投影において保持位置にあるつば30と重なり且つ解放位置にあるつば30からずれる位置に設けられている。このような延出部52が保持位置にあるつば30と基部本体部23との間に配置され、つば30に下方から接触することにより、座席40の受台20からの取り外しが規制される。すなわち、図示された例において、延出部52は、座席40の受台20からの取り外しを規制する規制部をなす。
【0030】
また、ベース部50は、受台20と係合する係合軸53を有している。係合軸53は、ベース部本体部51内に配置された付勢手段54により下方に付勢されて、ベース部本体部51の底面から下方に突出する。係合軸53が受台20の係合穴28に挿入されることにより、ベース部50が受台20と係合する。そして、座席40の受台20に対する前後方向の移動が規制される。また、係合軸53が受台20の係合穴28に挿入された座席40は、係合軸53の周りを受台20に対して回転可能である。ここで、係合軸53は、座席本体部41の座部42に設けられたリクライニング操作部55を操作することによって上方に移動可能である。このため、リクライニング操作部55を操作して係合軸53を上方に移動させることにより、係合軸53を係合穴28から抜け出させて、ベース部50と受台20との係合を解除することができる。
【0031】
なお、突条部27の上面は、受台20の底面に対する傾きが突条部27の前端に向かうにつれて小さくなる湾曲面を含む。これにより、座席40を前方に移動させるほど、座席40を受台20に対して寝かせた状態にすることができる。
【0032】
また、座席40の受台20に対する回転は、図示しない回転規制手段によって規制されている。回転規制手段による規制は、座席本体部41の座部42に設けられた回転操作部56を操作することによって解除することができる。
【0033】
次に、
図3および
図5を参照して、以上の構成からなるチャイルドシート10のリクライニング操作における作用について説明する。
【0034】
座席40を、
図3に実線で示す位置からリクライニングさせる場合について説明する。まず、
図5に示すように、座席40の係合軸53は、受台20に設けられた突条部27の最も後方に位置する係合穴28に収容されている。これにより、座席40は、
図3において実線で示す位置で、ベース部50に対する前後方向の移動が規制されている。
【0035】
この状態で、リクライニング操作部55を操作すると、係合軸53が上方に移動し、係合穴28から抜け出る。この状態で、座席40を受台20に対して前方に移動させる。このとき、座席40を下方から支持する突条部27の上面が上述した湾曲面を含んでいることにより、座席40が受台20に対して傾倒する。座席40の受台20に対する傾きが所望の傾きになったら、リクライニング操作部55の操作を終了する。これにより、係合軸53が下方に移動して、突条部27の対応する係合穴28内に収容される。この結果、座席40が受台20に対して傾倒したまま、受台20に対する座席40の前後方向の移動が規制される。
【0036】
一方、受台20に対して傾倒した座席40を起立させるには、逆の操作を行えばよい。
【0037】
次に、
図2を参照して、受台20に対する座席40の回転操作における作用について説明する。まず、上述したように、座席40の受台20に対する回転は、回転規制手段に依って規制されている。このような座席40を受台20に対して回転させるためには、回転操作部56を操作して回転規制手段による規制を解除し、座席40を、回転軸線Rxを中心とする円の周方向に押して、係合軸53の周りで受台20に対して回転させる。
【0038】
次に、
図5、
図8および
図9を参照して、座席40の受台20に対する取り外し操作における作用について説明する。
【0039】
まず、
図8に示すように、つば30が保持位置に配置されており、ベース部50の規制部(延出部)52がつば30に下方から接触している(
図5および
図8参照)。これにより、座席40の受台20からの取り外しが規制されている。
【0040】
座席40を受台20から取り外すため、まず、着脱操作部を操作して、
図9に示すつば30を解放位置に移動させる。これにより、つば30は、上記取り外し方向tdへの投影において、座席40の規制部(延出部)52からずれた位置に配置される。つば30を解放位置に配置したまま座席40を上記取り外し方向tdに沿って上方に移動させると、座席40が受台20から取り外される。
【0041】
なお、座席40を受台20に取り付けるには、逆の操作を行えばよい。
【0042】
以上、上述した例では、つば30が受台20に設けられ、規制部52が座席40に設けられる場合について説明してきたが、これに限られない。例えば、つば30が座席40に設けられ、規制部52が受台20に設けられてもよい。この場合、例えば、つば30は、ベース部本体部51の下端部に、座席40の幅方向に移動可能に設けられている。また、つば30は、上記取り外し方向tdへの投影において、受台20の接続開口25を画成する壁24aの下端部と重なる保持位置と、当該下端部からずれる解放位置との間を移動可能である。そして、上記壁24aの下端部が規制部52をなし、つば30は、保持位置にある場合に規制部52に下方から接触する。
【0043】
以上のように、第1の実施形態によれば、チャイルドシート10は、受台20と、受台20に対して一方向に移動して受台20に対する傾きを変化可能且つ受台20に対して回転可能に受台20に支持された座席40と、を備え、座席40は、受台20から着脱可能である。このようなチャイルドシート10によれば、座席40を受台20に対してリクライニングおよび回転させることができ、また、受台20から取り外すことができる。
【0044】
具体的には、受台20は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつば30を有している。また、座席40は、座席40を受台20から取り外す際の移動方向tdへの投影において保持位置にあるつば30と重なり且つ解放位置にあるつば30からずれる位置に設けられた規制部52を有している。そして、規制部52と保持位置に位置するつば30との接触により、座席40の受台20からの取り外しが規制される。
【0045】
あるいは、座席40は、保持位置と解放位置との間を移動可能なつば30を有し、受台20は、座席40を受台20から取り外す際の移動方向tdへの投影において保持位置にあるつば30と重なり且つ解放位置にあるつば30からずれる位置に設けられた規制部52を有している。そして、規制部52と保持位置に位置するつば30との接触により、座席40の受台20からの取り外しが規制される。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、
図10乃至
図12を参照して、第2の実施形態によるチャイルドシート110について説明する。
図10は、
図5に対応する図であって、第2の実施形態によるチャイルドシート110の座席140および受台120の部分縦断面図である。
図11は、
図10に示す座席140および受台120のB-B線に沿った部分断面図である。また、
図12は、
図11に対応する図であって、座席140が横向き状態である場合の座席140および受台120の部分断面図である。
【0047】
図10乃至
図12に示す例では、
図1乃至
図9に示すチャイルドシート10と比較して、座席140がベース部本体部51に固定されたつば130を有し、受台120が規制部124を有している点で異なっている。他の構成は、
図1乃至
図9に示すチャイルドシート10と略同一である。
図10乃至
図12に示す例において、
図1乃至
図9に示す第1の実施形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
上述したように、座席140のベース部本体部51の下端部から、上記取り外し方向tdと交わる方向に延びるつば130が延び出している。つば130は、ベース部本体部51に対し移動不能に設けられている。また、受台20のカバー部24の接続開口25を画成する壁24aの下端部が規制部124をなし、つば130が規制部124に下方から接触することにより、座席140の受台120からの取り外しが規制されている。
【0049】
図示された例では、つば130は、上記取り外し方向tdと直交する平面内を、座席140の幅方向に延びている。
【0050】
図11に示すように、つば130は、座席140を前向き状態および後ろ向き状態にした際、上記取り外し方向tdへの投影において、規制部124と重なる位置に設けられている。これにより、座席140が前向き状態および後ろ向き状態にある際、つば130が規制部124に下方から接触して、座席140の受台120からの取り外しが規制される。
【0051】
また、
図12に示すように、つば130は、座席140を受台120の幅方向を向く横向き状態にした際、規制部124からずれる位置に設けられている。これにより、座席40が横向き状態にある際、つば130と規制部124とは干渉せず、座席140の受台120からの取り外しが許容される。
【0052】
すなわち、図示された例では、座席140は、受台120に対して予め定めた相対回転位置にある場合に受台120から取り外し可能である。これにより、座席140が意図せず受台120から外れることが効果的に防止される。
【0053】
次に、
図10乃至
図12を参照して、座席140の受台120に対する取り外し操作における作用について説明する。
【0054】
まず、
図10に示すように、座席140は前向き状態にある。このとき、
図11に示すように、つば130は、上記取り外し方向tdへの投影において規制部124と重なる位置にあり、規制部124に下方から接触している。これにより、座席140の受台120からの取り外しが規制されている。
【0055】
座席140を受台120から取り外すため、まず、回転操作部56を操作して回転規制手段による規制を解除し、座席140を受台120に対して回転させ、横向き状態にする。これにより、つば130は、上記取り外し方向tdへの投影において、受台120の規制部124からずれた位置に配置される。座席140を横向き状態にしたまま、座席140を上記取り外し方向tdに沿って上方に移動させると、座席140が受台120から取り外される。
【0056】
なお、座席140を受台120に取り付けるには、逆の操作を行えばよい。
【0057】
また、座席140のリクライニング操作および回転操作については、上述したリクライニング操作および回転操作と同様の操作を行えばよい。
【0058】
以上のように、第2の実施形態によれば、座席140は、座席140を受台120から取り外す際の移動方向tdと交わる方向に延びるつば130を有している。また、受台120は、座席140を受台20から取り外す際の移動方向tdへの投影においてつば130と重なる位置に設けられた規制部124を有している。規制部124とつば130との接触により、座席140の受台120からの取り外しが規制される。このようなチャイルドシート110によっても、座席140を受台120に対してリクライニングおよび回転させることができ、また、受台120から取り外すことができる。
【0059】
また、第2の実施形態によれば、座席140が受台120に対して予め定めた相対回転位置にある場合に受台120から取り外し可能である。これにより、座席140が意図せず受台120から外れることが効果的に防止される。
【0060】
<第3の実施形態>
次に、
図13乃至
図16を参照して、第3の実施形態によるチャイルドシート210について説明する。
図13は、
図5に対応する図であって、第3の実施形態によるチャイルドシート210の座席240および受台220の部分縦断面図である。
図14は、
図13に示す座席240および受台220のC-C線に沿った部分断面図である。また、
図15は、ロック部材251の斜視図である。また、
図16は、
図13に対応する図であって、受台220と受台220から取り外された座席240とを示す部分断面図である。
【0061】
図13乃至
図16に示す例では、
図1乃至
図9に示すチャイルドシート10と比較して、座席240のベース部250が受台220から取り外し不能であり、座席本体部241がベース部250から取り外し可能である点で異なっている。他の構成は、
図1乃至
図9に示すチャイルドシート10と略同一である。
図13乃至
図16に示す例において、
図1乃至
図9に示す第1の実施形態と同様の部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
座席240は、ベース部250と、ベース部250に取り外し可能に支持された座席本体部241とを有する。ベース部250は、受台220に一方向に(図示された例では受台220の前後方向に)移動して受台220に対する傾きを変化可能に受台220に支持されている。また、ベース部250は、受台220に対して回転可能に受台220に支持されている。
【0063】
受台220は、上記取り外し方向tdにおける投影において、カバー部24の接続開口25を画成する壁24aは、ベース部250の延出部52と重なる。これにより、ベース部250の受台220からの取り外しが規制される。
【0064】
座席本体部241の座部42の底面には鉤爪部242が設けられている。鉤爪部242は、座部42の底面の前端部および後端部にそれぞれ設けられている。各鉤爪部242は、先端が、座席本体部241の前方に向けて延びている。
【0065】
ベース部250の頂面には、ロック部材251が設けられている。ロック部材251は、ベース部250の頂面の前端部及び後端部に設けられている。各ロック部材251は、ベース部250の幅方向に互いに対向して配置された一対の保持体252と、一対の保持体252によって両端が保持されたピン253とを有する。座席本体部241の鉤爪部242の先端を、対応するロック部材251の後方から、一対の保持体252とピン253とベース部250の頂面とによって囲まれた領域に挿入することにより、鉤爪部242はロック部材251に係止され、座席本体部241はベース部250に固定される。
【0066】
次に、
図13乃至
図16を参照して、座席240の受台220に対する取り外し操作における作用について説明する。
【0067】
まず、
図13および
図15に示すように、座席本体部241の鉤爪部242がベース部250のロック部材251に係止されることにより、座席本体部241のベース部250からの取り外しが規制されている。
【0068】
座席240をベース部250から取り外すため、座席本体部241をベース部250に対して後方に移動させる。これにより、鉤爪部242が一対の保持体252とピン253とベース部250の頂面とによって囲まれた領域から抜け出て、鉤爪部242とロック部材251との係合が解除される。そして、座席240を上記取り外し方向tdに沿って上方に移動させると、座席240が受台220から取り外される。
【0069】
なお、座席240を受台20に取り付けるには、逆の操作を行えばよい。
【0070】
また、座席240のリクライニング操作および回転操作については、上述したリクライニング操作および回転操作と同様の操作を行えばよい。
【0071】
以上、上述した例では、ロック部材251がベース部250に設けられ、鉤爪部242が座席240に設けられる場合について説明してきたが、これに限られない。例えば、ロック部材251が座席240に設けられ、鉤爪部242がベース部250に設けられてもよい。
【0072】
また、座席本体部241は、受台220に対して予め定めた相対回転位置にある場合に(例えば座席240が横向き状態である場合に)、ベース部250から取り外し可能であってもよい。これにより、座席本体部241が意図せずベース部250から外れることが効果的に防止される。
【0073】
また、鉤爪部242は、座席本体部241をロック部材251に対して前後方向に移動させることによりロック部材251に着脱されるが、これに限られない。鉤爪部242は、ロック部材251のピン253が保持体252に着脱されることにより、ロック部材251に着脱されてもよい。また、鉤爪部242を座席本体部241に対して回動させることにより、鉤爪部242の先端が一対の保持体252とピン253とベース部250の頂面とによって囲まれた領域内に挿入され又は当該領域から引き抜かれてもよい。
【0074】
以上のように、第3の実施形態によれば、チャイルドシート210は、受台20と、受台220に一方向に移動して受台220に対する傾きを変化可能且つ受台220に対して回転可能に受台220に支持されたベース部250と、ベース部250に取り外し可能に支持された座席本体部241と、を有する座席240と、を備える。このようなチャイルドシート210によれば、座席240を受台220に対してリクライニングおよび回転させることができ、また、座席本体部241を受台220から取り外すことができる。
【0075】
具体的には、座席本体部241およびベース部250の一方は、座席本体部241とベース部250とを接続するロック部材251を有している。
【0076】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 車両のシート
10,110,210 チャイルドシート
20,120,220 受台
30,130 つば
40 座席
41,141,241 座席本体部
42 座部
43 背部
50,250 ベース部
53 係合軸
251 ロック部材