IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華南理工大学の特許一覧

特許7031909高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ
<>
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図1
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図2
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図3
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図4
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図5
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図6
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図7
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図8
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図9
  • 特許-高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/342 20150101AFI20220301BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20220301BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01Q5/342
H01Q13/10
H01Q13/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020564861
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020093912
(87)【国際公開番号】W WO2021057072
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】201910930914.0
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】トゥー チーホン
(72)【発明者】
【氏名】ニエ ナー
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110247180(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0063321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/342
H01P 13/08
H01Q 13/10
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナであって、
第1誘電体基板、第2誘電体基板、第3誘電体基板、ミリ波パッチアレイ、短絡ポスト、マイクロストリップケーブル、金属接地板、ベル型スロット、T字型分岐、寄生パッチ、フィーダ、及び長さの異なる2対の開回路ラインを備え、
前記第1誘電体基板、第2誘電体基板、第3誘電体基板は積層して配置され、該第2誘電体基板は第1誘電体基板と第3誘電体基板との間に介在しており、第1誘電体基板と第3誘電体基板を離間させ、
前記ミリ波パッチアレイは第1誘電体基板の上面に設けられ、前記マイクロストリップケーブルは第1誘電体基板の下面に設けられ、
前記短絡ポストの数がミリ波パッチアレイのミリ波パッチの数と同じであり、且つ、1つの短絡ポストが1つのミリ波パッチに対応し、前記短絡ポストは第1誘電体基板を通り抜けてミリ波パッチアレイとマイクロストリップケーブルを接続し、
前記金属接地板は第3誘電体基板の上面に設けられ、前記ベル型スロットは金属接地板をエッチングすることにより得られ、マイクロ波周波数帯では放射構造として機能し、ミリ波周波数帯ではフィード構造として機能し、
前記T字型分岐はベル型スロットに接続され、前記寄生パッチは、それぞれベル型スロットの両端のスリットに設けられる2つあり、前記フィーダ及び長さの異なる2対の開回路ラインは、それぞれ第3誘電体基板の下面に設けられ、且つ、該フィーダの左右両側には、1つの短い開回路ラインと1つの長い開回路ラインが対称的に配置されており、この短い開回路ライン及び長い開回路ラインとフィーダが互いに平行し、この短い開回路ラインは長い開回路ラインとフィーダの間に位置し、前記ミリ波パッチアレイはフィーダを対称軸として左右ミラー対称となる2つの部分となり、前記ベル型スロットとフィーダとが互いに垂直であり、且つ、該ベル型スロットの両端、2つの寄生パッチ及びT字型分岐の横方向部分がすべてフィーダを対称軸として左右ミラー対称となる、ことを特徴とする5G高周波数比アンテナ。
【請求項2】
前記ミリ波パッチの数が4であり、nは0以外の自然数である、ことを特徴とする請求項1に記載の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信の技術分野に関し、特に高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の急速な発展に伴い、多数の電子機器には小型化、多機能化の傾向があり、無線通信技術の「ブリッジ」及びエアインターフェースとしてのアンテナにもこのような傾向があることが言うまでもいない。従来の単一周波数アンテナは、周波数帯が単一であり、そして高調波抑制機能がないため、実用時の要件を満たすために、通常ラジオ周波数の先端にフィルタを増設する必要があり、したがって、高調波抑制機能付きの二重周波数アンテナは発展を遂げている。しかし、通常のマイクロ波帯二重周波数アンテナは急速に発展しているミリ波技術に対応できなくなる。したがって、高周波数比二重周波数アンテナの研究は重要な課題となっている。
【0003】
ブロードバンド通信ネットワーク技術、特に5G通信の急速な発展に伴い、発展のためにミリ波周波数帯の実用が望まれている。ただし、従来の二重周波数高周波数比アンテナには高調波抑制特性がない。それによりアンテナの普及が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点及び不備を解決するために、構造がコンパクトであり、構造の多用途化が実現され、マイクロ波帯4.8GHz~5GHz及びミリ波帯26GHz/28GHzの範囲の5G無線通信システムにも適用できる、高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成させるために、本発明は下記技術案を提供する。
【0006】
高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナであって、
第1誘電体基板、第2誘電体基板、第3誘電体基板、ミリ波パッチアレイ、短絡ポスト、マイクロストリップケーブル、金属接地板、ベル型スロット、T字型分岐、寄生パッチ、フィーダ、及び長さの異なる2対の開回路ラインを備え、
前記第1誘電体基板、第2誘電体基板、第3誘電体基板は積層して配置され、該第2誘電体基板は第1誘電体基板と第3誘電体基板との間に介在しており、第1誘電体基板と第3誘電体基板を離間させ、
前記ミリ波パッチアレイは第1誘電体基板の上面に設けられ、前記マイクロストリップケーブルは第1誘電体基板の下面に設けられ、
前記短絡ポストの数がミリ波パッチアレイのミリ波パッチの数と同じであり、且つ、1つの短絡ポストが1つのミリ波パッチに対応し、前記短絡ポストは第1誘電体基板を通り抜けてミリ波パッチアレイとマイクロストリップケーブルを接続し、
前記金属接地板は第3誘電体基板の上面に設けられ、前記ベル型スロットは金属接地板をエッチングすることにより得られ、マイクロ波周波数帯では放射構造として機能し、ミリ波周波数帯ではフィード構造として機能し、
前記T字型分岐はベル型スロットに接続され、前記寄生パッチは、それぞれベル型スロットの両端のスリットに設けられる2つあり、前記フィーダ及び長さの異なる2対の開回路ラインは、それぞれ第3誘電体基板の下面に設けられ、且つ、該フィーダの左右両側には、1つの短い開回路ラインと1つの長い開回路ラインが対称的に配置されており、この短い開回路ライン及び長い開回路ラインとフィーダが互いに平行し、この短い開回路ラインは長い開回路ラインとフィーダの間に位置し、前記ミリ波パッチアレイはフィーダを対称軸として左右ミラー対称となる2つの部分となり、前記ベル型スロットとフィーダとが互いに垂直であり、且つ、該ベル型スロットの両端、2つの寄生パッチ及びT字型分岐の横方向部分がすべてフィーダを対称軸として左右ミラー対称となる。
【0007】
さらに、前記ミリ波パッチの数が4であり、nは0以外の自然数である。
【発明の効果】
【0008】
従来技術に比べて、下記利点及び有益な効果を有する。
1、本発明のアンテナは、複雑なフィルタ構造を必要とせずに、良好な高調波抑制特性を実現する。
2、本発明のアンテナでは、ベル型スロットは、マイクロ波周波数帯では放射構造として機能し、ミリ波周波数帯ではフィード構造とし、それにより構造の多用途化が実現される。
3、本発明のアンテナでは、マイクロ波信号をバリアするための複雑な構造を必要とせずに、マイクロ波及びミリ波の周波数帯での放射特性を実現できる。
4、本発明のアンテナの入力ポートのリターンロスのシミュレーション結果から明らかなように、その周波帯は、マイクロ波帯4.8GHz~5GHzとミリ波帯26GHz/28GHzの範囲の5G無線通信システムに対応できる。
5、本発明のアンテナは、断面が小さく、構造がコンパクトであるという利点を有し、工事用に適しており、従来技術による高周波数比アンテナの構造が複雑で、体積が大きく、帯域幅が狭いという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナの斜視図である。
図2】本発明の実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナの正面図である。
図3】本発明の実施例の第1誘電体基板の上面図である。
図4】本発明の実施例の第1誘電体基板の下面図である。
図5】本発明の実施例の第2誘電体基板の斜視図である。
図6】本発明の実施例の第3誘電体基板の上面図である。
図7】本発明の実施例の第3誘電体基板の下面図である。
図8】本発明の実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナ|S11|とゲイン(Gain)パラメータのシミュレーション結果の曲線図であり、黒色の実線は|S11|のシミュレーション曲線であり、灰色の点線はゲインシミュレーション曲線である。
図9】本発明の実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナのマイクロ波帯5GHzでのメインプレーンの放射方向図である。
図10】本発明の実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナのミリ波帯26.5GHzでのメインプレーンの放射方向図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、特定の実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0011】
図1図7に示すように、本実施例に係る高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナは、第1誘電体基板1、第2誘電体基板2、第3誘電体基板3、ミリ波パッチアレイ、短絡ポスト9、マイクロストリップケーブル8、金属接地板7、ベル型スロット12、T字型分岐13、寄生パッチ11、フィーダ6、及び長さの異なる2対の開回路ライン4、5を備え、前記第1誘電体基板1、第2誘電体基板2、第3誘電体基板3は積層して配置され、該第2誘電体基板2は第1誘電体基板1と第3誘電体基板3との間に介在しており、第1誘電体基板1と第3誘電体基板3を離間させ、前記ミリ波パッチアレイは第1誘電体基板1の上面に設けられ、4個のミリ波パッチ10からなり、ここでnは0以外の自然数であり、一方、本実施例では、前記ミリ波パッチ10は8個あり、図には、この8個のミリ波パッチ10は、左右対称となる2列であり、つまり、4個を1列とし、前記マイクロストリップケーブル8は、1対(即ち2本)あり、第1誘電体基板1の下面に設けられ、前記短絡ポスト9の数がミリ波パッチアレイのミリ波パッチ10の数と同じであり、且つ1つの短絡ポスト9が1つのミリ波パッチ10に対応し、本実施例では、8個のミリ波パッチ10があるため、短絡ポスト9も8個あり、この8個の短絡ポスト9は第1誘電体基板1を通り抜けて8個のミリ波パッチ10と1対のマイクロストリップケーブル8を接続し、具体的には、1列のミリ波パッチには1本のマイクロストリップケーブル8が接続される。前記金属接地板7は第3誘電体基板3の上面に設けられ、前記ベル型スロット12は、金属接地板7をエッチングすることにより得られ、マイクロ波周波数帯では放射構造として機能し、ミリ波周波数帯ではフィード構造として機能する。前記T字型分岐13はベル型スロット12に接続され、前記寄生パッチ11は、それぞれベル型スロット12の両端のスリットに設けられる2つある。前記フィーダ6と長さの異なる2対の開回路ライン4、5は、それぞれ第3誘電体基板3の下面に設けられ、且つ、該フィーダ6の左右両側には、1つの短い開回路ライン5と1つの長い開回路ライン4が対称的に配置されており、この短い開回路ライン5及び長い開回路ライン4とフィーダ6が互いに平行し、この短い開回路ライン5は長い開回路ライン4とフィーダ6との間に位置し、上記2列のミリ波パッチはフィーダ6を対称軸として左右ミラー対称となり、前記ベル型スロット12とフィーダ6が互いに垂直であり、且つこのベル型スロット12の両端では、2つの寄生パッチ11及びT字型分岐13の横方向部分はすべてフィーダ6を対称軸として左右ミラー対称となる。
【0012】
本実施例の上記高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナの各部のサイズパラメータを調整した後、計算及び電磁界シミュレーションにより、本実施例の5G高周波数比アンテナについて検証シミュレーションを行い、該アンテナの3GHz~29GHzの周波数範囲内の|S11(|入力ポートリターンロス)とゲイン(Gain)のパラメータシミュレーション結果の曲線を図8に示し、図には、2本の曲線が見られ、黒色の実線は|S11|のシミュレーションパラメータであり、灰色の点線はゲインのシミュレーションパラメータである。同図から分かるように、4.4GHz~5.46GHz周波数帯の範囲では、実線曲線の値が-10dB未満であり、点線の値が3.2~4dBの範囲であり、25.3GHz~28.5GHz周波数帯の範囲では、実線曲線の値が-10dB未満であり、点線の値が13.65~15.56dBの範囲であり、シミュレーション結果から明らかなように、本実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナは、広い帯域幅を有し、性能に優れており、しかも6GHz~23GHzの周波数帯を抑制し、4.8GHz~5GHz及び26GHz/28GHzの範囲内の5G無線通信システムに適用する場合の要件を満たす。
【0013】
本実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナのHFSSシミュレーションモデルの5GHzでの放射方向図を図9に示す。本実施例の高い高調波抑制機能付き5G高周波数比アンテナのHFSSシミュレーションモデルの26.5GHzでの放射方向図を図10に示す。
【0014】
上記実施例では、前記第1誘電体基板1、第2誘電体基板2、第3誘電体基板3は、FR-4、ポリイミド、テフロンガラスクロス及び同時焼成セラミックのうちのいずれか1種の材料で構成され、前記金属接地板7、1対の寄生パッチ11、フィーダ6、1対のマイクロストリップケーブル8、2対の開回路ライン4、5、ミリ波パッチ10に使用される金属は、アルミニウム、鉄、スズ、銅、銀、金、及びプラチナのうちのいずれか1種、またはアルミニウム、鉄、スズ、銅、銀、金、及びプラチナの任意の合金である。
【0015】
以上は、本発明特許の好適な実施例に過ぎず、本発明特許の特許範囲はこれに制限されず、当業者が本発明特許で開示された範囲内で本発明特許の技術案及びその発明構想に基づいて行う同等置換や変化はすべて本発明特許の特許範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10