(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】エアロゾル発生材料を加熱するための装置及びその装置のためのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220301BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220301BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020183793
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2018548172の分割
【原出願日】2017-03-30
【審査請求日】2020-11-10
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ファロン, ゲーリー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】ガノーニ, カブ
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アウン, ワリッド
(72)【発明者】
【氏名】カルジュラ, カール
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506170(JP,A)
【文献】国際公開第2016/005533(WO,A1)
【文献】特表2015-532828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A61M 11/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生材料を加熱して前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置であって、
ヒータを備えるハウジングであり、前記ヒータが少なくとも第1の加熱表面を備え、前記第1の加熱表面が、湾曲凸状であると共に、前記ハウジングに差し込み可能なカートリッジの第1の本体の可撓性の熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するように構成され、前記ヒータが、前記装置の長手方向軸線に実質的に平行に延在し、以て、使用時、前記ヒータが、前記第1の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱して前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる、ハウジング、
を備える装置。
【請求項2】
前記ヒータが、前記第1の加熱表面を備える加熱板を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、吸い口出口を有する吸い口をさらに備え、前記ハウジングが、少なくとも一つの空気入口を備え、使用時、使用者が前記吸い口の前記出口を吸うと、空気が前記ハウジングの前記少なくとも一つの空気入口を通り、前記第1の本体の入口を通って流れ、空気と、揮発した前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分及び/又はエアロゾルとの混合物が、前記第1の本体の出口から流出する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記カートリッジが前記装置に差し込まれたときに前記第1の本体に孔を開けて、前記第1の本体の前記入口及び前記第1の本体の前記出口のうちの一方を形成するための第1の穿孔具を備える、請求
項3に記載の装置。
【請求項5】
前記カートリッジが前記装置に差し込まれたときに前記第1の本体に孔を開けて、前記第1の本体の前記入口及び前記第1の本体の前記出口のうちの他方を形成するための第2の穿孔具を備える請求
項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ヒータが第2の加熱表面を備え、前記第2の加熱表面が、前記ハウジングに差し込み可能な前記カートリッジの第2の本体の前記熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するためのものであり、以て、使用時、前記ヒータが、前記第2の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱して前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ヒータが、前記第1の加熱表面及び第2の加熱表面を画定するヒータ板であり、前記第1及び第2の加熱表面が前記ヒータ板の両側の表面であり、前記第2の加熱表面が、前記ハウジングに差し込み可能な前記カートリッジの第2の本体の第2の熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するためのものであり、以て、使用時、前記ヒータが、前記第1の本体によって画定された室内、及び前記第2の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱して前記室内の前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記カ-トリッジを前記装置に差し込むことができる、又は前記装置から取り外すことができる開位置と、閉位置との間を動くことができるカバー部を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記カバー部が、前記
開位置と前記
閉位置との間を滑って動くように前記装置に支持されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記カバー部が、前記
開位置と前記
閉位置との間を枢動するように前記装置に支持されている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
蝶番装置を備える請求項10に記載の装置であって、前記蝶番装置のまわりを前記カバー部が枢動する、装置。
【請求項12】
前記蝶番装置が開口を備えた本体を備え、前記開口が前記本体を貫通して形成され、前記装置の吸い口に流体接続されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
エアロゾル発生材料を加熱して前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置と、
前記装置とともに使用するためのカートリッジと、
を備えるシステムであって、
前記装置が、ヒータを備えるハウジングを備え、前記ヒータが、少なくとも第1の加熱表面を備え、前記第1の加熱表面が、湾曲凸状であると共に前記ハウジングに差し込まれた前記カートリッジの第1の本体の第1の基部の少なくとも主要部分に接触するように構成され、前記ヒータが、前記装置の長手方向軸線に実質的に平行に延在し、
前記カートリッジが、第1の室を画定する前記第1の本体を備え、前記第1の本体が、前記第1の基部を備え、前記第1の基部が、熱伝導材料の可撓性のシートを備えると共に第1の外面を有し、エアロゾル発生材料が、前記第1の室内に配置され、前記第1の基部の前記第1の外面の少なくとも主要部分が、前記装置の前記ヒータの湾曲凸状の前記第1の加熱表面に接触するように構成され、
使用時、前記ヒータが、前記第1の室内のエアロゾル発生材料を加熱して前記エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる、
システム。
【請求項14】
熱伝導材料の前記シートが金属箔を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記カートリッジが、
第2の外面を有する熱伝導材料のシートを備える第2の基部を備える、第2の室を画定する第2の本体と、
前記第2の室内に配置されたエアロゾル発生材料と、
をさらに備え、
前記第2の基部の前記第2の外面の少なくとも主要部分が、前記装置の前記ヒータの第2の加熱表面に接触するように構成され、前記第2の基部が、前記第2の本体の長手方向軸線に実質的に平行である、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生材料を加熱するように構成された装置及びその装置のためのカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。実際に燃焼させずに、したがって燃焼又は燃える過程によって、例えば、タバコの変質の結果としての煙又はエアロゾルを生成しないで、化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる非燃焼加熱式(heat-not-burn)製品、タバコ加熱製品、又はタバコ加熱装置がある。これらは、エアロゾル発生材料を燃やすのではなく加熱することでエアロゾルを形成することができる化合物を放出する。そのエアロゾル発生材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本書で説明するいくつかの実施形態によれば、エアロゾル発生材料を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのカートリッジが提供される。本カートリッジは、熱伝導材料のシートを備え第1の外面を有する第1の基部を備える、第1の室を画定する第1の本体と、第1の室内に配置されたエアロゾル発生材料とを備える。第1の室内のエアロゾル発生材料を加熱するために、第1の基部の第1の外面の少なくとも主要部分は、装置のヒータの第1の加熱表面に接触するように構成され、第1の基部は、第1の本体の長手方向軸線に実質的に平行である。
【0004】
熱伝導材料のシートは可撓性であってもよく、金属箔を備えてもよい。他の例では、熱伝導材料のシートは非可撓性であってもよい。
【0005】
第1の本体は、第1の基部に取り付けられた第1のカバーを備えることができ、第1のカバーと第1の基部とは第1の室を画定する。
【0006】
第1のカバーはプラスチック又はポリイミド材料を含んでもよい。
【0007】
第1の本体は、使用時、第1の室に空気を流入させることを可能にするための入口と、入口から間隔を置いて配置された出口であって、少なくとも一つの揮発したエアロゾル発生材料の成分及び/又はエアロゾルを第1の室から流出させることを可能にするための出口とを備える。
【0008】
本カートリッジは、第2の外面を有する熱伝導材料のシートを備える第2の基部を備える、第2の室を画定する第2の本体と、第2の室内に配置されたエアロゾル発生材料とをさらに備えることができ、第2の基部の第2の外面の少なくとも主要部分は、装置のヒータの第2の加熱表面に接触するように構成され、第2の基部は、第2の本体の長手方向軸線に実質的に平行である。
【0009】
第1の基部と第2の基部とが相対的に枢動することができるように、第1の基部と第2の基部とは互いに接続することができ、その結果、使用者は、第1の外面をヒータの第1の加熱表面に接触させ、第2の外面をヒータの第2の加熱表面に接触させることができる。
【0010】
第1の基部と第2の基部とは第1の弱化線に沿って接続することができて、相対的に枢動することが可能となる。
【0011】
使用前構成では、第1の基部と第2の基部とは、カートリッジの長手方向軸線に実質的に垂直な、第1の基部及び第2の基部のそれぞれの側面で接続することができる。
【0012】
第2の本体は、第2の基部に取り付けられた第2のカバーを備えることができ、第2のカバーと第2の基部とは第2の室を画定し、使用前構成では、第1のカバーと第2のカバーとは第2の弱化線に沿って接続され、第2の弱化線は、第1の基部と第2の基部とが相対的に枢動可能な動きを受けるときに断裂し、以て、第1のカバーと第2のカバーとは分離されて、第1のカバー用の揮発した材料及び/又はエアロゾルの出口、及び第2のカバー用の揮発した材料及び/又はエアロゾルの出口を形成する。
【0013】
第1の基部は、第2の基部に孔を開けるための第1の穿孔具を備えて第2の室用の空気入口を形成することができ、第2の基部は、第1の基部に孔を開けるための第2の穿孔具を備えて第1の室用の空気入口を形成することができる。
【0014】
使用前構成では、第1の基部と第2の基部とは、カートリッジの長手方向軸線に実質的に平行な、第1の基部及び第2の基部のそれぞれの側面で接続することができる。
【0015】
本書で説明するいくつかの実施形態によれば、エアロゾル発生材料を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置もまた提供される。本装置は、ヒータを備えるハウジングを備え、ヒータは少なくとも第1の加熱表面を備え、第1の加熱表面は、ハウジングに差し込み可能なカートリッジの第1の本体の熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するように構成され、ヒータは、装置の長手方向軸線に実質的に平行に延在し、以て、使用時、ヒータは、第1の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる。
【0016】
ヒータは、第1の加熱表面を備える加熱板を備えることができる。
【0017】
第1の加熱表面は湾曲凸状であってもよい。
【0018】
本装置は、吸い口出口を有する吸い口をさらに備えることができ、ハウジングは、少なくとも一つの空気入口を備え、使用時、使用者が吸い口の出口を吸うと、空気はハウジングの少なくとも一つの空気入口を通り、第1の本体の入口を通って流れ、空気と、少なくとも一つの揮発したエアロゾル発生材料の成分及び/又はエアロゾルとの混合物は、第1の本体の出口から流出する。
【0019】
本装置は、カートリッジが装置に差し込まれたときに第1の本体に孔を開けて、第1の本体の入口及び第1の本体の出口のうちの一方を形成するための第1の穿孔具を備えることができる。
【0020】
本装置は、カートリッジが装置に差し込まれたときに第1の本体に孔を開けて、第1の本体の入口及び第1の本体の出口のうちの他方を形成するための第2の穿孔具を備えることができる。
【0021】
本装置は、カートリッジが装置に差し込まれたときに第1の本体に孔を開けて、第1の本体の入口及び第1の本体の出口のうちの他方を形成するための第2の穿孔具を備えることができる。
【0022】
ヒータは第2の加熱表面を備えることができ、第2の加熱表面は、ハウジングに差し込み可能なカートリッジの第2の本体の熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するためのものであり、以て、使用時、ヒータは、第2の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる。
【0023】
ヒータは、第1の加熱表面及び第2の加熱表面を画定するヒータ板とすることができ、第1及び第2の加熱表面はヒータ板の両側の表面であり、第2の加熱表面は、ハウジングに差し込み可能なカートリッジの第2の本体の第2の熱伝導基部の少なくとも主要部分に接触するためのものであり、以て、使用時、ヒータは、第1の本体によって画定された室内、及び第2の本体によって画定された室内のエアロゾル発生材料を加熱して室内のエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させる。
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第1の例の概略側面図である。
【
図2】蓋部が開位置にある
図1の装置の第1の例の概略側面図である。
【
図3】蓋部が開位置にあり、カートリッジの第1の例が装置に差し込まれている状態の
図1の装置の概略斜視図である。
【
図4】カートリッジの第1の例が装置に差し込まれている状態の
図1の装置の一部分の概略拡大斜視図である。
【
図5】蓋部が開位置にある
図1の装置のさらなる概略斜視図である。
【
図6】カートリッジの第1の例の概略斜視図である。
【
図7】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第2の例の概略側面図である。
【
図8】蓋部が開位置にあり、カートリッジの第2の例が装置に差し込まれている状態の
図7の装置の概略斜視図である。
【
図9】蓋部が開位置にあり、カートリッジの第2の例が装置に差し込まれた状態の
図7の装置の概略側面図である。
【
図11a】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第2の例のヒータ支持部の図である。
【
図11b】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第2の例の蓋部の図である。
【
図12】カートリッジの第2の例が装置の第2の例に差し込まれたときの装置の第2の例のヒータ支持部と蓋部との断面図である。
【
図13】蓋部が開位置にあるときの装置の第2の例の一部分の概略破断平面図である。
【
図14】蓋部が閉位置にあるときの装置の第2の例の一部分の概略破断平面図である。
【
図15】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第3の例の概略側面図である。
【
図16】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第3の例の概略斜視図である。
【
図17】カートリッジの第3の例が装置に差し込まれている状態の、エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第3の例の概略斜視図である。
【
図19a】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第3の例のヒータ支持部の概略斜視図である。
【
図19b】エアロゾル発生材料を加熱するための装置の第3の例の蓋部と吸い口部との概略斜視図である。
【
図20A】エアロゾル発生ゲルを受け入れるための粗い第1の表面を有する第1の内側の層の第1の例の概略平面図である。
【
図20B】エアロゾル発生ゲルを受け入れるための粗い第1の表面を有する第1の内側の層の第1の例の概略斜視図である。
【
図20C】エアロゾル発生ゲルを加熱してエアロゾル発生ゲルの少なくとも一つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための喫煙品の第1の例の概略斜視図である。
【
図21】スコア線を有する喫煙品の支持層の概略斜視図である。
【
図22】エアロゾル発生剤を加熱してエアロゾル発生剤の少なくとも一つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための喫煙品の第2の例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本書では、用語「エアロゾル発生材料」は、加熱されると揮発成分を発生させる材料を含む。「エアロゾル発生材料」は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ抽出物を含むタバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含んでいてもよい。「エアロゾル発生材料」はまた、例えば、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい香味料、チョークなどの充填材料及び/又は吸着材料、グリセロール、プロピレングリコール、或いはトリアセチンを含む他の非タバコ製品を含んでいてもよい。エアロゾル発生材料はまた、結合材料、例えば、アルギン酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0027】
図1~6を参照すると、装置1、及び装置1内に差し込み可能なカートリッジ100の第1の例が示されている。装置1は、カートリッジ100が装置1の内部に差し込まれているときに、カートリッジ100内に入れられたエアロゾル発生材料(図示せず)を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるように構成されている。
【0028】
装置1は、いわゆる「タバコ加熱製品」の装置である。この例の装置1は概ね細長く、概ね管状のハウジング3を備えている。管状のハウジング3は、主ハウジング部5と、ヒータ支持部7と、蓋部9と、出口11aを備える吸い口11とを備えている。
【0029】
装置1のこれらの部分は、任意の適切な材料(複数可)、例えば、プラスチック又は金属又はそれらを組み合わせたものを含んでもよい。吸い口11(又は、吸い口11の少なくとも先端)は、唇に快適に感じる材料、例えば、適切なプラスチック又はシリコンゴムを基にした材料を含んでもよい。
【0030】
主ハウジング部5は、第1の長手方向端部5a及び第2の長手方向端部5bを備えている。第1の端部5aは、装置1の全体の遠位端を定め、第2の端部5bは、装置1の長さに沿ってその半分をほぼ超えたところに位置している。
【0031】
ヒータ支持部7は、主ハウジング部5の第2の長手方向端部5bから延在して、ヒータ13を支持するプラットフォーム7a(
図3、4、及び5で最も明瞭に分かる)を画定する。ヒータ支持部7は、この例の場合のように、複数の相互接続された部分7b、7cを備えていてもよく、それらのうちの一つ7bは主ハウジング部5に接続されている、又は、ヒータ支持部7は単一片の部分であってもよい。
【0032】
ヒータ支持部7と蓋部9とは、蓋部9が蝶番装置15のまわりをヒータ支持部7に対して、
図1に示された閉位置と
図2~5に示された開位置との間を枢動できるように構成された蝶番装置15(
図4で最も良く分かる)によって接続されている。蓋部9は、この例の場合のように、複数の相互接続された部分9d、9eを備えていてもよく、そのうちの一つ9eは吸い口11に接続されている、又は、蓋部9は単一片の部分であってもよい。
【0033】
蝶番装置15は、ヒータ支持部7の縁部7dに沿って配置され、装置1の長手方向軸線に対して横方向に整列している。
【0034】
蓋部9が開位置のとき、蓋部9は開いたチャネル8(
図3を参照のこと)を画定し、使用者は、カートリッジ100をその中に差し込むことができる、又はその中から取り外すことができる。蓋部9が閉位置のとき、チャネル8に差し込まれたカートリッジ100は、ヒータ13に当たった状態で装置1内に保持されている。
【0035】
装置1は、使用者が吸い口11を吸っているとき、空気がハウジング3に流入することができるように、一つ以上の空気入口、この例では、部分7bを貫通して形成された空気入口7eをさらに備えることができる。
【0036】
この例では、ヒータ13は、両側にある一対の表面又は面(図にはそのうちの一つ13aだけ見える)を備える薄くて細長い加熱板を備える。加熱板は、熱伝導材料、例えば、アルミナなどの金属から形成してもよい。ヒータ13は、その長手方向軸線が装置1の長手方向軸線に平行となる状態で配置され、表面のうちの第1の表面13aは露出され、表面のうちの第2の表面は支持プラットフォーム7aに密着するように置かれる。露出した表面13aは、例えば、湾曲凸状に、又は湾曲凹状に湾曲させてもよく、この例では、露出した表面13aの形状は湾曲凸状である。ヒータ13は、抵抗加熱素子、例えば、露出した表面13aに形成された、例えば、プリントされた回路(図示せず)を備える。
【0037】
装置1は、主ハウジング5内に、この例では、電源19及び電気制御回路21を含む電子装置/電力室をさらに有する。電気制御回路21は、以下にさらに述べるように、ヒータ13を制御するように構成及び配置された、マイクロプロセッサ装置などの制御器を含むことができる。
【0038】
電源19は電池とすることができ、電池は、充電式電池又は非充電式電池とすることができる。例としては、ニッケルカドミウム電池を含むが、任意の適切な電池を使用してもよい。電池19は、ヒータ13に電気的に結合されて、必要なときに電気制御回路21の制御の下、電力を供給して(先に述べたように、エアロゾル発生材料を燃焼させずに、又は熱分解させずにエアロゾル発生材料を揮発させるために)カートリッジ100内のエアロゾル発生材料を加熱する。装置1は、この例では、主ハウジング部5の第1の端部5aを貫通して形成された充電口5c(
図3を参照のこと)をさらに備えて、電池19が充電式電池の場合には、充電器(図示せず)を電池19に電気的に接続することを可能にする、或いは、外部装置(例えば、コンピュータ)を制御回路21に接続して制御回路からデータをダウンロードする、又は、制御回路21にデータ又はソフロウェアをアップロードすることができる。
【0039】
装置1は、押しボタンなどの手動アクチュエータ(図示せず)、及び空気流量センサなどの制御センサ(図示せず)のうちの一方、他方、又は両方をさらに備えることができ、それぞれ制御回路21に動作可能に結合されている。使用者は、ヒータ13を手動で作動させることができる、又は、使用者が吸い口11を吸っていることをセンサが検出することに応答してヒータ13が自動的に作動することができる。
【0040】
次に、特に
図6を参照すると、カートリッジ100は、平板状の基部104に取り付けられた、例えば、接着された保護カバー102を備える。カバー102と平板状の基部104とは一緒になって、エアロゾル発生材料(図示せず)を入れるための室を画定する第1の本体を形成する。基部104は、第1の本体の長手方向軸線に対して実質的に平行である。
【0041】
この例では、平板状の基部104は、主矩形部104aと、主矩形部104aの両側の第1の側面104d及び第2の側面104eからそれぞれ突出する同一の第1の突出部104b及び第2の突出部104cとを備える。第1の突出部104b及び第2の突出部104cの面積は、主矩形部104aの面積に比べて比較的小さい。第1の突出部104b及び第2の突出部104cは互いに反対側にあり、平板状の基部104の長手方向軸線について対称に配置される。
【0042】
保護カバー102は、上面102aと多面ある側面102bとを備える。保護カバー102が占める領域は平板状の基部104のほとんどを覆う。この例では、保護カバー102は、第1の突出部104b及び第2の突出部104cの実質的にすべてと主矩形部104aのほとんどを覆う。主矩形部104aの第3の側面104f及び第4の側面104gに沿う主矩形部104aの比較的狭い第1の片104h及び第2の片104iは保護カバー102によって覆われていない。
【0043】
平板状の基部104は、熱伝導材料のシート、例えば、アルミニウム箔などの金属箔から形成される。
【0044】
保護カバー102は、プラスチック材料、典型的には、PVC又は配向ポリアミド(OPA:Orientated Polyamide)などの熱成形プラスチック材料から形成される。一例では、保護カバーは、外側のプラスチック材料層(例えば、OPA)と内側の箔層(例えば、アルミニウム箔)を含む多層となっている。
【0045】
保護カバー102は、適切な接着剤を使って平板状の基部104に接着される。例えば、上記の多層の例では、保護カバー102は、内側の箔層の下にある接着ラッカーの層、好ましくは、高耐熱性ラッカーによって平板状の基部104に接着される。高耐熱性ラッカーを使うことによって高温での急速な加熱が可能になることは有利である。接着ラッカーは、保護カバー102が平板状の基部104と接触する領域のみに設けられ、保護カバー102及び平板状の基部104のうちの一方又は他方にのみ塗布されることが好ましい。これによって、高耐熱性ラッカーの使用量は最少となり、使用時に熱によってラッカーが揮発する可能性を小さくする。好ましい例では、エアロゾル発生材料がない領域に接着剤を塗布することができる。
【0046】
おそらく
図3及び4で最も良く分かるように、装置1の蓋部9は、蓋部9の内面に形成され、間隔を置いて配置された一対の平行な案内溝9b、9cを備える。案内溝の一方9bは、蓋部9の第1の真直ぐな縁の近くに形成され、それに沿って走り、案内溝の他方9cは、第1の真直ぐな縁の反対側の蓋部9の第2の真直ぐな縁の近くに形成され、それに沿って走る。
【0047】
カートリッジ100を蓋部9に差し込むために、使用者は、主矩形部104aの第3の側面104fを案内溝9cと位置合わせし、主矩形部104aの第4の側面104gを案内溝9bと位置合わせし(
図3を参照のこと)、開いたチャネル8の差し込み位置にカートリッジ100を押し込む。カートリッジ100が、差し込み位置にあるとき(
図4は、カートリッジが部分的に差し込み位置にあることを示している)、カートリッジ100の第3の側面104f及び第4の側面104gは案内溝9c、9bによって支えられている。
【0048】
図3及び4で最も良く分かるように、蓋部9は内側端面9aをさらに備え、内側端面9aは、蓋部9の内側に延在する第1の突起20を備える。カートリッジ100が蓋部9に差し込まれると、鋭い又はとがった端部を有する第1の突起20は保護カバー102の前面に孔を開ける。
【0049】
図2で最も良く分かるように、第2の突起23は、ヒータ13と主ハウジング部5との間の位置でヒータ支持プラットフォーム7a上に配置される。第2の突起23は、加熱支持プラットフォーム7aから上向きに延在する。
【0050】
使用者が、蓋部9を開位置から閉位置に動かし、カートリッジ100が差し込まれているとき、鋭い又はとがった端部を有する第2の突起23は、平板状の基部104の第1の突出部104bと接触して孔を開ける。
【0051】
蓋部9を閉めると、差し込まれたカートリッジ100は、平板状の基部104の底面の少なくとも主要部分又はすべてが第1の加熱表面13aと接触した状態で、ヒータ13の第1の表面13aに「押し当てられる」。可撓性の平板状の基部104は、このように定位置に保持されると、加熱表面13aの湾曲凸状の形状を採用するようにわずかに変形又は湾曲する。この配置によって、第1の加熱表面13aと平板状の基部104との間は特に良い熱接触となる。
【0052】
第1の突起20は一つ以上の空気通路を備え、一つ以上の空気通路は、第1の突起20を貫通して形成され、吸い口11の出口11aと流体連通している。同様に、第2の突起23は一つ以上の空気通路を備え、一つ以上の空気通路は、第2の突起23を貫通して形成され、ハウジング3に形成された一つ以上の空気入口7eと流体連通している。したがって、第1の突起20はカートリッジ100の出口として働き、第2の突起23はカートリッジ100の入口として働く。
【0053】
使用時、使用者がアクチュエータ(図示せず)を作動させると、制御回路21は、電流が、第1の加熱表面13aに形成された抵抗加熱素子(図示せず)を通って流れてヒータ13の温度を上昇させるように作動する。上記のように、基部104は熱伝導材料から形成され、第1の加熱表面13aと良好に熱接触している。したがって、加熱13からの熱はカートリッジ100の内部に非常に効率的に伝達され、以て、カートリッジ100内のエアロゾル発生材料が加熱される。これによって、エアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分が、エアロゾル発生材料を燃焼させずに揮発する。平板状の基部104が、カバー102及び平板状の基部104によって画定された第1の本体の長手方向軸線に対して実質的に平行であるので、カートリッジ100内のエアロゾル発生材料を効率的に加熱することができ、カートリッジ100の実質的に全長に沿って均一に加熱することができることは有利である。
【0054】
使用者が吸い口11を吸うと、カートリッジ100内の圧力が下がり、それによって、空気流は一つ以上の入口7eを通ってハウジング3内に引き込まれ、さらに空気流は第2の突起23内の空気通路孔を経てカートリッジ100内に引き込まれる。典型的には、カートリッジ100に入るこの空気流によって、エアロゾル発生材料43の(一つ以上の)揮発した成分は冷却され、その結果、この/これらの(一つ以上の)成分は凝縮してエアロゾルを形成する。
【0055】
使用者が続けて吸うと、空気流及びエアロゾルは吸い口11を経て使用者の口の中に吸い込まれる。(一つ以上の)揮発成分が使い尽くされるまでこれを繰り返すことができる。いくつかの例では、エアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発した成分は、カートリッジ100自体内で温度が下がってエアロゾルを形成し、他の例では、エアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発した成分は、第1の突起20の空気通路を経てカートリッジ100を出た後、吸い口11で温度が下がってエアロゾルを形成する。さらなる例では、エアロゾルのいくらかはカートリッジ100内で形成され、エアロゾルのいくらかはカートリッジ100の外側の吸い口11内で形成される。
【0056】
カートリッジ100内のエアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが使い尽くされると、使用者は、蓋部9を開け、カートリッジ100を取り外して、別の未使用のカートリッジ100をチャネルに差し込み、上記のプロセスを繰り返す。
【0057】
次に、
図7から14を参照すると、装置300、及び装置300に差し込み可能なカートリッジ400の第2の例が示されている。上記の装置1のように、装置300は、いわゆる「タバコ加熱製品」の装置であり、カートリッジ400が装置300の内部に差し込まれているときに、カートリッジ400内に入れられたエアロゾル発生材料(図示せず)を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるように構成されている。
【0058】
この第2の例の装置300は、この場合も、概ね細長く、概ね管状のハウジング303を備えている。特に
図7、8、及び9に示すように、管状のハウジング303は、主ハウジング部305と、主ハウジング部305に接続されたヒータ支持部307と、ヒータ支持部307に接続された蓋部309と、蓋部309に接続された吸い口311とを備えている。吸い口311は出口311aを備えている。
【0059】
主ハウジング部305は、第1の長手方向端部305a及び第2の長手方向端部305bを備えている。第1の端部305aは、装置300の全体の遠位端を定め、第2の端部305bは、装置300の長さに沿ってその半分をほぼ超えたところに位置している。
【0060】
ヒータ支持部307は、主ハウジング部305の第2の長手方向端部305bから延在して、ヒータ313を支持するプラットフォームを画定する。蓋部309は、下記でより詳細に説明するように、ヒータ313が装置300内に閉じ込められた、
図7に示された閉位置と、ヒータ313が露出され、装置300にカートリッジ400を差し込むことができる、
図8及び9に示された開位置との間を摺動することができるように、ヒータ支持部307に摺動可能に接続されている。
【0061】
装置300は、一つ以上の空気入口308をさらに備えており、この例では、空気入口308は、部分307を貫通して形成され、吸い口311の出口311aと流体連通している。
【0062】
装置300及びその様々な部分は、第1の例に関して上記で説明した材料のいずれかを含んでもよい。
【0063】
この例では、ヒータ313は、両側にある一対の第1及び第2の加熱表面313a又は面(図にはそのうちの一つだけ見える)を備える薄くて細長い板の形態である。ヒータ313は、両側の第1及び第2の加熱表面又は面313aの両方がヒータ支持部307内で露出されるように、その長手方向軸線が装置300の長手方向軸線と平行で、ヒータ支持部307内で、その長い縁のうちの一つに沿って直立して支持される状態で配置される。上記の加熱表面13aと同様に、第1及び第2の加熱表面313aのそれぞれもまた、例えば、湾曲凸状に又は湾曲凹状に湾曲させてもよく、加熱表面313a上に、例えば、プリントされたそれぞれの抵抗加熱素子、例えば回路(図示せず)を形成してもよい。
【0064】
上記の装置1と同様に、装置300は、主ハウジング部305内に、この例では、電源319及び電気制御回路321を含む電子装置/電力室をさらに有する。この場合も、電気制御回路321は、以下にさらに述べるように、ヒータ313を制御するように構成及び配置された、マイクロプロセッサ装置などの制御器を含むことができる。
【0065】
電源319は、装置1に関して上記した電源のうちのいずれかとすることができる。この場合も、電源319は、ヒータ313に電気的に結合されて、必要なときに電気制御回路321の制御の下、電力を供給して(先に述べたように、エアロゾル発生材料を燃焼させず、又は熱分解させずにエアロゾル発生材料を揮発させるために)カートリッジ400内のエアロゾル発生材料を加熱する。この場合も、装置300は、この例では、主ハウジング部305の第1の端部305aを貫通して形成された充電口305cをさらに備えて、電源319が充電式電池の場合には、充電器(図示せず)を電源319に電気的に接続することを可能にする、或いは、外部装置(例えば、コンピュータ)を制御回路321に接続して制御回路からデータをダウンロードする、又は、制御回路321にデータ又はソフロウェアをアップロードすることができる。
【0066】
装置300は、制御回路321に動作可能に結合された、装置1に関して上記したようなアクチュエータ及び/又はセンサのいずれかをさらに備えることができる。
【0067】
図10a~
図10dで最も良く分かるように、この例では、カートリッジ400は、第1のカートリッジ本体400aと第2のカートリッジ本体400bとを備える2本体配置である。第1のカートリッジ本体400a及び第2のカートリッジ本体400bのそれぞれは、それぞれの平板状の基部404、404’に取り付けられた、例えば、接着されたそれぞれの保護カバー402、402’を備える。各カバー402、402’と、それが取り付けられた平板状の基部404、404’とは一緒になって、エアロゾル発生材料(図示せず)を入れるための室を画定する。平板状の基部404は、第1のカートリッジ本体400aの長手方向軸線に対して実質的に平行であり、平板状の基部404’は、第2のカートリッジ本体400bの長手方向軸線に対して実質的に平行である。
【0068】
この例では、各平板状の基部404、404’は実質的に矩形であるが、他の形状も可能である。各保護カバー402、402’は、細長い主中央部402a、402a’と、細長い主中央部402a、402a’のそれぞれの端に、より小さな第1の端部402b、402b’及び第2の端部402c、402’cを備える。
図10aから最も良く認識されるように、第2の端部402c、402’cは、カートリッジ400の長手方向軸線について互いに対してずらされている。各中央カバー部402a、402a’は、その上面に沿って細長い凹所403、403’を画定する。
【0069】
これもまた、
図10aから最も良く認識されるように、平板状の基部404、404’は、第1の弱化線408に沿って対向する端部で互いに接続され、第1の端部402b、402b’もまた、第1の弱化線408と位置合わせされた第2の弱化線410に沿って対向する端部で互いに接続される。弱化線は、例えば、ミシン目、鋸歯状の線、又は切れ目線とすることができる。
【0070】
カートリッジ100に関して上記したように、平板状の基部404、404’は、熱伝導材料のシート、例えば、アルミニウム箔などの金属箔から形成され、保護カバー402、402’は、第1の例に関して上記した材料のうちのいずれかから形成することができ、これもまた、第1の例に関して上記したように、適切な接着剤を使って平板状の基部404、404’に接着することができる。
【0071】
カートリッジ400を装置300に差し込むために、使用者は、
図10aに示された「使用前」構成のカートリッジ本体400を取って、平板状の基部404、404’を第1の弱化線408で互いの方向に向けて折り曲げる。
図10bに最も良く示されるように、折り曲げることによって、第1のカートリッジ本体400aと第2のカートリッジ本体400bとは、第2の弱化線410で互いから分離し、第1のカートリッジ本体400aの内部が開口402eを通して露出され、第2のカートリッジ本体400bの内部が開口402e’を通して露出される。開口402eは第1のカートリッジ本体400a用の出口となり、開口402e’は第1のカートリッジ本体400b用の出口となる。
【0072】
次いで、使用者は、カートリッジ400を平板状の基部404、404’の間にあるヒータ313とともにヒータ支持部307の内部に配置して、ヒータ313が平板状の基部404、404’の間に挟まれるまで、平板状の基部404、404’を一緒に折り曲げ続けることができる。この位置では、平板状の基部404の底面の少なくとも主要部分又はすべてはヒータ313の第1の加熱表面313aに当たっており、平板状の基部404’の底面の少なくとも主要部分又はすべてはヒータ313の第2の加熱表面に当たっている。
【0073】
第1のカートリッジ本体400a及び第2のカートリッジ本体400bのそれぞれは、この例では、短い管の形態の部材412、412’をそれぞれ備え、これらの部材は、両端が開口し、平板状の基部404、404’を貫通して延在して、一方の側から他方の側に平板状の基部404、404’を貫通する通路を画定している。各部材412、412’は、カバー402、402’の外側であるが、中央部402a、402a’及び第2の端部402、402’のすぐ近くに配置されている。各部材412、412’は、貫通して延在する平板状の基部404、404’の下側から離れるように突出している。
【0074】
図10c及び10d(説明を明瞭にするため、ヒータ313は図示されていない)から最も良く認識されるように、平板状の基部404、404’が、それらの間にヒータ313が挟まれるように折り曲げられると、部材412’は、第1のカートリッジ本体400aのカバー402の第2の端部402cの下の領域で第1のカートリッジ本体400aの平板状の基部404を貫通する孔を開ける。同様に、部材412は、第2のカートリッジ本体400bのカバー402’の第2の端部402c’の下の領域で第2のカートリッジ本体400bの平板状の基部404’を貫通する孔を開ける。したがって、平板状の基部404、404’を貫通する孔を開ける部材412、412’の端部は、この孔開けを容易にするために、鋭い又はとがっていることなどが好ましい。下記でより詳細に説明するように、部材412は第2のカートリッジ本体400b用の入口として働き、部材412’は第1のカートリッジ本体400a用の入口として働く。
【0075】
図11a及び12から最も良く認識されるように、ヒータ支持部307は断面が概ね「U」字形であり、平行隆起部307aの第1の対を備え、隆起部307aはその基部に沿って走り、隆起部307aの対の間に第1の長手方向の溝307bを画定する。一方の端部において、平行隆起部307bの対は、高くなった横部材307cで終端となり、横部材307cは平行隆起部307aにまたがり、第2の溝307dを画定する。第2の溝307dは、溝307aと第2の溝307dとが約90度の角度で合するように第1の長手方向の溝307aの中まで走る。ヒータ313は、第2の溝307dの中で支持され、縁が、第1の長手方向の溝307bに平行に、第1の長手方向の溝307bのすぐ上を走る状態で置かれる。カートリッジ400が装置300に差し込まれると、カバー端部402b、402b’は横部材307cの上で支持される。
【0076】
図12に示すように、カートリッジ400が装置300内に配置されているとき、平板状の基部404、404’のそれぞれの第1の対面部(符号「A」)は、第1の長手方向の溝307bに受け入れられ、細長い主中央カバー部402a、402a’のそれぞれは、平行な隆起部307aのそれぞれの上で支持されている。
【0077】
ヒータ支持部307の平行な長手方向の縁307eのそれぞれは、それぞれの案内レールを画定し、案内レールは、ヒータ支持部307のわずかに内側を延在し、蓋部309を摺動可能に支持するように使用される。
【0078】
図11b及び12から最も良く認識されるように、蓋部309もまた、断面が実質的に「U」字形である。蓋部309は、蓋部309の外面の両側で一致する位置に配置された一対の平行な長手方向の溝309aを画定する。
図12に示すように、蓋部309は、蓋部309の平行な長手方向の溝309aのそれぞれに受け入れられたヒータ支持部307の案内レール307eのそれぞれによって、ヒータ支持部307に摺動可能に取り付けられる。これによって、蓋部309は、カートリッジ400を装置300に差し込むことができる、又は装置300から取り外すことができる、
図8、9、及び13に示された開位置と、差し込まれている場合、カートリッジ400が装置400内に閉じ込められた、
図7に示された閉位置との間を摺動することができる。
【0079】
蓋部309は、その内面に、ヒータ支持部307の第1の長手方向の溝307bに平行で、その反対側にある第2の長手方向の溝309bを画定する。
図12に示すように、蓋部309が閉位置にあるとき、第2の長手方向の溝309bは、平板状の基部404、404’のそれぞれの第2の対面部(符号「B」)を受け入れる。蓋部は、その内面に、平行で対向している第2の隆起部の対309cをさらに画定する。蓋部309が閉位置にあり、カートリッジ400が装置300に差し込まれているとき、第2の隆起部309cの対のそれぞれは、第1のカートリッジ本体402a、402b及び第2のカートリッジ本体のそれぞれの保護カバー402、402’の細長い主中央部402a、402a’に画定されたそれぞれの凹所403、403’内に受け入れられている。
【0080】
図13及び14に示すように、吸い口311は、断面が概ね円形で、蓋部309に接続する吸い口311の端部に配置されたガスケット311bを備える。ガスケット311bは、蓋部309が閉位置に動かされると、保護カバー402、402’の開いた端部402b、402b’に係合する。ガスケット311bは、吸い口311の出口311aと流体連通している。
【0081】
使用時、使用者がアクチュエータ(図示せず)を作動させると、制御回路321は、電流が、第1の加熱表面313a及び第2の加熱表面に形成された抵抗加熱素子(図示せず)を通って流れてヒータ313の温度を上昇させ、その結果、第1のヒータ表面313aが第1のカートリッジ本体400aのエアロゾル発生材料を加熱し、第2のヒータ表面が第2のカートリッジ本体400bのエアロゾル発生材料を加熱するように作動する。この場合もまた、平板状の基部404、404’は熱伝導材料から形成され、ヒータ313と良好に熱接触しており、熱は、各カートリッジ本体400a、400bのエアロゾル発生材料に非常に効率的に伝達される。これによって、各カートリッジ本体400a、400bのエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分は、エアロゾル発生材料を燃焼させずに揮発する。
【0082】
使用者が吸い口311を吸うと、各カートリッジ本体400a、400b内の圧力が下がり、それによって、空気は部分307の空気入口308、並びに部材412’及び412によって画定されたそれぞれの空気入口を経て各カートリッジ本体400a、400b内に引き込まれる。典型的には、この空気流によって、エアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発した成分は冷却され、その結果、この/これらの成分は凝縮して、各カートリッジ本体400a、400bの内側、吸い口311の内側、又はその両方の内側でエアロゾルを形成する。使用者が続けて吸うと、空気流及びエアロゾルが吸い口311を経て使用者の口の中に吸い込まれる。(一つ以上の)揮発成分が使い尽くされるまでこれを繰り返すことができる。空気流、並びにエアロゾル発生材料の揮発した(一つ以上の)成分及び/又はエアロゾルは、開口402e、402e’を通ってカートリッジ本体400a、400bを出る。
【0083】
カートリッジ400内のエアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが使い尽くされると、使用者は、蓋部309を開け、カートリッジ400を取り外して、別の未使用のカートリッジ400をチャネルに差込み、上記のプロセスを繰り返す。
【0084】
いくつかの例では、第1の加熱表面313a及び第2の加熱表面に形成された抵抗加熱素子(図示せず)は、各カートリッジ本体400a、400bのエアロゾル発生材料を異なった時間間隔で互いに独立して加熱することができるように、互いに独立して制御することができる。エアロゾル発生材料は、各カートリッジ本体400a、400bでは異なっていてもよい。例えば、カートリッジ本体400a、400bのうちの一つは香味材料(例えば、メンソール)を含んでもよく、使用者が香料を味わいたいときに、制御回路321が、香味材料を入れている特定のカートリッジ本体400a、400bの平板状の基部404、404’と接触する第1及び第2の加熱表面のうちの一方の抵抗加熱素子(図示せず)だけを作動させるような方法で、使用者はアクチュエータ(図示せず)を使用することができる。
【0085】
第1の加熱表面313a及び第2の加熱表面に形成された抵抗加熱素子(図示せず)を互いに独立して制御することができる例では、抵抗加熱素子(図示せず)のうちの作動させた一方によって発生した熱が、ヒータ313の本体を通して、抵抗加熱素子の作動させていない他方が設けられた加熱表面に伝わることを防ぐために、ヒータ313は、例えば、第1の加熱表面313aと第2の加熱表面との間、例えば、その中間に断熱層(図示せず)を備えてもよい。
【0086】
カートリッジ400は、任意の所与の平板状の基部の任意の側が、弱化線によって任意の他の所与の平板状の基部の任意の側に接続されて、使用者が、カートリッジのパックからカートリッジを分離する(すなわち、切り離す)ことができるように、このようなカートリッジのパック(図示せず)の形態で供されてもよいことは認識されるであろう。
【0087】
カートリッジ400の変形例(図示せず)では、第1のカートリッジ本体400a及び第2のカートリッジ本体400bは互いに本質的に鏡像関係にあり、したがって、第2の端部402c、402’cは、カートリッジ400の長手方向軸線について互いに対してずらされておらず、その代わりに、第2の端部402c、402’cの位置は合っており、それぞれの部材412、412’の位置は合っている(例えば、第1の端部402c及び部材412は、第1の端部402’c及び部材412’の位置とそれぞれ鏡像関係となるように逆になっている)。
【0088】
この例では、このようなカートリッジのパックの形態のカートリッジ400は、基部404、404’の長い側を、パックの別のこのようなカートリッジの基部の対応する長い側に接続する弱化線のあたりで基部404、404’の長い側を枢動することによってパックから切り離すことができる。このようにして、部材412は、他のこのようなカートリッジの第1のカートリッジ本体のカバーの第2の端部の下の領域で、パックに残っているこの他のこのようなカートリッジの第1のカートリッジ本体の第1の平板状の基部を貫通する孔を開け、同様に、この他のこのようなカートリッジの第1のカートリッジ本体の対応する部材は、カバー402の第2の端部402cの下の領域で、第1のカートリッジ本体の第1の平板状の基部404を貫通する孔を開ける。同様に、部材412’は、カートリッジの第2のカートリッジ本体のカバーの第2の端部の下の領域で、パックに残っているこの他のこのようなカートリッジの第2のカートリッジ本体の第2の平板状の基部を貫通する孔を開け、同様に、この他のこのようなカートリッジの第2のカートリッジ本体の対応する部材は、カバー402’の第2の端部402c’の下の領域で、第2のカートリッジ本体400a’の第2の平板状の基部404’を貫通する孔を開ける。パックから離すと、次いで使用者は、
図10a及び10bに関して上記したように、平板状の基部404、404’を第1の弱化線408で互いの方向に向けて折り曲げることができ、それによって、第1のカートリッジ本体400aと第2のカートリッジ本体400bとは、第2の弱化線410で互いから分離する。
【0089】
次に、
図15から19bを参照すると、装置500、及び装置500内に差し込み可能なカートリッジ600の第3の例が示されている。装置500は、上記の装置1及び300と同様であり、カートリッジ600が装置500の内部に差し込まれているときに、カートリッジ600内に入れられたエアロゾル発生材料(図示せず)を加熱してエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分を揮発させるよう構成された別の「タバコ加熱製品」の装置である。
【0090】
この第3の例の装置500は、この場合も、概ね細長く、概ね管状のハウジング503を備えている。特に
図15、16、及び17に示すように、管状のハウジング503は、主ハウジング部505と、ヒータ513を支持するヒータ支持部507と、蓋部509と、吸い口511とを備えている。
【0091】
主ハウジング部505は、上記の2つの例の主ハウジング部と非常に似ており、第1の長手方向端部505a(この場合も、装置500の全体の遠位端を定めている)、及び装置500の長さに沿ってその半分をほぼ超えたところに位置している第2の長手方向端部505bを備えている。
【0092】
ヒータ支持部507は、主ハウジング部505の第2の長手方向端部505bから延在して、ヒータ513を支持するプラットフォームを画定する。ヒータ支持部507は、この例の場合のように、複数の相互接続された部分507b、507cを備えていてもよく、それらのうちの一つ507bは主ハウジング部505に接続されている、又は、ヒータ支持部507は単一片の部分であってもよい。
【0093】
装置500は、この例では、部分507cを貫通して形成され、吸い口511の出口511aと流体連通している一つ以上の空気入口508をさらに備える。
【0094】
ヒータ支持部507と蓋部509とは、蓋部509がヒータ支持部507に対して
図15及び16に示された閉位置と
図17に示された開位置の間で枢動できるように構成された蝶番装置によって接続されている。蓋部509は、この例の場合のように、複数の相互接続された部分509d、509eを備えていてもよく、そのうちの一つ509eは吸い口511に接続されている、又は、蓋部509は単一片の部分であってもよい。
【0095】
この例では、ヒータ513は、第2の例のヒータと同様で、両側にある一対の第1及び第2の加熱表面513a又は面(そのうちの一つだけ見える)を備える薄くて細長い板の形態であり、両側の表面又は面513aの両方がヒータ支持部507内で露出されるように、その長手方向軸線が装置500の長手方向軸線と平行で、ヒータ支持部507内で、その長い縁のうちの一つに沿って直立して支持される状態で配置される。この場合も、第1及び第2の加熱表面513aのそれぞれもまた、例えば、湾曲凸状に又は湾曲凹状に湾曲させてもよく、加熱表面513a上に、例えば、プリントされたそれぞれの抵抗加熱素子、例えば回路(図示せず)を形成してもよい。
【0096】
上記の2つの例と同様に、電子装置/電力室が主ハウジング505内に設けられて、電源519(上記の電源のいずれかとすることができる)、及びヒータ513を制御するように構成及び配置された電気制御回路521(上記の制御回路構成部品のいずれかを含むことができる)を含む。さらに、この場合も、装置500は、この例では、主ハウジング部505の第1の端部505aを貫通して形成された充電口505bをさらに備えて、電源519が充電式電池の場合には、充電器(図示せず)を電源519に電気的に接続することを可能にする、或いは、外部装置(例えば、コンピュータ)を制御回路521に接続して制御回路からデータをダウンロードする、又は、制御回路521にデータ又はソフロウェアをアップロードすることができる。
【0097】
装置500は、制御回路515に動作可能に結合された、装置に関して上記したようなアクチュエータ及び/又はセンサのいずれかをさらに備えることができる。
【0098】
図18a~
図18cで最も良く分かるように、この第3の例では、上記の第2の例と同様に、カートリッジ600は、第1のカートリッジ本体600aと第2のカートリッジ本体600bとを備える2本体配置である。第1のカートリッジ本体600a及び第2のカートリッジ本体600bのそれぞれは、それぞれの平板状の基部604、604’に取り付けられた、例えば、接着されたそれぞれの保護カバー602、602’を備える。各カバー602、602’と、それが取り付けられた平板状の基部604、604’とは一緒になって、エアロゾル発生材料(図示せず)を入れるための室を画定する。平板状の基部604は、第1のカートリッジ本体600aの長手方向軸線に対して実質的に平行であり、平板状の基部604’は、第2のカートリッジ本体600bの長手方向軸線に対して実質的に平行である。
【0099】
各平板状の基部604、604’は実質的に矩形である。各保護カバー602、602’は、細長い主中央部602a、602a’と、細長い主中央部602a、602a’のそれぞれの端に、より小さな第1の端部602b及び第2の端部602cを備えている。第1の例のカートリッジ200及び第2の例のカートリッジ400と同様に、平板状の基部604、604’は、熱伝導材料のシート、例えば、アルミニウム箔などの金属箔から形成され、保護カバー602、602’は、第1及び第2の例に関して上記した材料のうちのいずれかから形成することができ、これもまた、第1及び第2の例に関して上記したように、適切な接着剤を使って平板状の基部604、604’に接着することができる。
【0100】
この第3の例では、上記の第2の例とは異なり、使用前の構成では、平板状の基部604、604’は、「端と端」をつなぐ関係で接合されるのではなく、弱化線608に沿ってカートリッジ600の長手方向軸線に平行な側面で互いに接続されることによって、「側面と側面」をつなぐ関係で接合されている。
【0101】
カートリッジ600を装置500に差し込むために、使用者は、
図18aに示された「使用前」構成のカートリッジ600を取って、平板状の基部604、604’が
図18bに示す位置と同様な位置を向くまで、平板状の基部604、604’を弱化線608で互いの方向に向けて折り曲げる。
【0102】
次いで、使用者は、カートリッジ600を平板状の基部604、604’の間にあるヒータ513とともにヒータ支持部607の内部に配置して、ヒータ513が平板状の基部604、604’の間に挟まれるまで、平板状の基部604、604’を一緒に折り曲げ続けることができる。この位置では、平板状の基部604の底面の少なくとも主要部分又はすべてがヒータ513の第1の表面513aに当たっており、平板状の基部604’の底面の少なくとも主要部分又はすべてはヒータ513の第2の表面に当たっている。
【0103】
第1のカートリッジ本体600a及び第2のカートリッジ本体600bのそれぞれは、この例では、短い管の形態の部材612、612’をそれぞれ備え、これらの部材は、その両端が開口し、平板状の基部604、604’を貫通して延在して、一方の側から他方の側に平板状の基部604、604’を貫通する通路を画定している。各部材612、612’は、カバー602、602’の外側であるが、中央部602a、602a’及び第2の端部602、602’のすぐ近くに配置されている。各部材612、612’は、貫通して延在する平板状の基部604、604’の下側から離れるように突出している。
【0104】
図18b及び18c(説明を明瞭にするため、ヒータ513は図示されていない)から最も良く認識されるように、平板状の基部604、604’が、それらの間にヒータ613が挟まれるように折り曲げられると、部材612’は、第1のカートリッジ本体600aのカバー602の第2の端部602cの下の領域で第1のカートリッジ本体600aの平板状の基部604を貫通する孔を開ける。同様に、部材612は、第2のカートリッジ本体600bのカバー602’の第2の端部602c’の下の領域で第2のカートリッジ本体600bの平板状の基部604’を貫通する孔を開ける。したがって、平板状の基部604、604’を貫通する孔を開ける部材612、612’の端部は、この孔開けを容易にするために、鋭い又はとがっていることなどが好ましい。下記でより詳細に説明するように、部材612は第2のカートリッジ本体600b用の入口として働き、部材612’は第1のカートリッジ本体600a用の入口として働く。第1のカバー端部602b、602b’は、第1のカートリッジ本体600a及び第2のカートリッジ本体600b用のそれぞれの出口として働くそれぞれの開いた端部602e、602e’を有する。これらの開いた端部602e、602e’には保護層(図示せず)を設けることができ、内部の材料を新鮮に保ち、カートリッジ600を装置500に差し込む前に使用者によって剥がされる。
【0105】
これに加えて又はこれに代えて、第1のカバー端部602b、602b’には、(カートリッジ400に関して上記したような)弱化線を設けることができ、第1のカバー端部602b、602b’は、2本体カートリッジのパックの形態において、対応するこのような2本体カートリッジ(図示せず)の対応する第1及び第2のカートリッジ本体(図示せず)の対応する第1のカバー端部(図示せず)に接続することができる。2本体カートリッジ600は、装置500に差し込まれる前に使用者によってこのようなパックから折り取ることができる。このようなパックでは、任意の所与の平板状の基部の任意の側が、弱化線によって任意の他の所与の平板状の基部の任意の側に接続されて、使用者が、パックからカートリッジを分離することができることは認識されるであろう。
【0106】
図19aから最も良く認識されるように、ヒータ支持部507は断面が概ね「U」字形であり、ヒータ支持部507の一方の端部507bの両側からその長手方向軸線に平行に延在する、一対の対面する丸い突出部507aを備える。丸い突出部507aの一対のそれぞれは、一対の対面する凹所507c(
図19aには一つだけ見える)をそれぞれ画定する。この例では、凹所507cは断面が概ね円形である。一方の端部507bはまた、カートリッジ600の開いた端部602e、602e’を受け入れるためのガスケットの第1の半割れ部507dを画定する。
【0107】
図19bから最も良く認識されるように、蓋部509もまた断面が実質的に「U」字形である。蓋部509及び吸い口511は両方とも継手512に取り付けられており、継手512によって、蓋部509及び吸い口511は、ヒータ支持部507に対して開位置と閉位置との間を枢動することができる。
【0108】
この例では、継手512は、一対の円形端面512b(
図19bにはそのうちの一方だけ見える)を有する部分的な球体512aを備える。各端面512bは、この例では、端面512bから延在する円柱形の突起512cをそれぞれ有する。各突起512cは凹所507cのそれぞれに受け入れられ、その結果、継手512は、ヒータ支持部507の対面する丸い突出部507aの間で支持され、蓋部509及び吸い口511が開位置と閉位置との間を枢動することができるように装置500の長手方向軸線に対して横方向の軸線周りに回転することができる。
【0109】
蓋部の一方の端部509bは、カートリッジ600の開いた端部602e、602e’を受け入れるためのガスケットの第2の半割れ部509dを画定する。ガスケットの半割れ部507d、509dのそれぞれは、断面が半円形であり、その結果、2つの半割れ部507d、509dが一緒になると(すなわち、装置600が閉じた構成のとき)ガスケットは断面が円形となる。閉じた構成では、ガスケットは、継手512を貫通する経路すべてで形成された開口512dと位置が合う。したがって、ガスケットは、吸い口611の出口611aと流体連通している。
【0110】
上記の第2の例と同様に、使用時、使用者がアクチュエータ(図示せず)を作動させると、制御回路521は、電流が、第1及び第2の加熱表面513aに形成された抵抗加熱素子(図示せず)を通って流れてヒータ513の温度を上昇させ、その結果、第1のヒータ表面513aが第1のカートリッジ本体600aのエアロゾル発生材料を加熱し、第2のヒータ表面が第2のカートリッジ本体600bのエアロゾル発生材料を加熱するように作動する。この場合もまた、平板状の基部604、604’は熱伝導材料から形成され、ヒータ513と良好に熱接触しており、熱は、各カートリッジ本体600a、600bのエアロゾル発生材料に非常に効率的に伝達される。これによって、各カートリッジ本体600a、600bのエアロゾル発生材料の少なくとも一つの成分は、エアロゾル発生材料を燃焼させずに揮発する。
【0111】
使用者が吸い口611を吸うと、各カートリッジ本体600a、600b内の圧力が下がり、それによって、空気は部分507bの空気入口508、並びに部材612’及び612によって画定されたそれぞれの空気入口を経て各カートリッジ本体600a、600b内に引き込まれる。典型的には、この空気流によって、エアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発した成分は冷却され、その結果、この/これらの成分は凝縮して、各カートリッジ本体600a、600bの内側、吸い口511の内側、又はその両方の内側にエアロゾルを形成する。使用者が続けて吸うと、空気流及びエアロゾルが吸い口511を経て使用者の口の中に吸い込まれる。(一つ以上の)揮発成分が使い尽くされるまでこれを繰り返すことができる。
【0112】
カートリッジ600内のエアロゾル発生材料の(一つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが使い尽くされると、使用者は、蓋部509を開け、カートリッジ600を取り外して、別の未使用のカートリッジ600をチャネルに差込み、上記のプロセスを繰り返す。
【0113】
図7から14に関して上記したように、いくつかの例では、第1及び第2の加熱表面513aに形成された抵抗加熱素子(図示せず)は、各カートリッジ本体600a、600bのエアロゾル発生材料を異なった時間間隔で互いに独立して加熱することができるように、互いに独立して制御することができる。この場合も、エアロゾル発生材料は、各カートリッジ本体600a、600bでは異なっていてもよく、例えば、一つのカートリッジは香味材料を入れてもよい。この場合も、ヒータ513は、熱が加熱513の一方の側から他方の側に伝わることを防ぐために、断熱層(図示せず)を備えてもよい。
【0114】
いくつかの例では、上記の例のいずれかの熱伝導材料はアルミニウムなどの非多孔質材料である。熱伝導材料として非多孔質材料を供することは、加熱時、生じたエアロゾルがヒータを通過せず材料が堆積しないので、ヒータ、及びヒータを保持するハウジングがきれいに保たれることを意味する。
【0115】
いくつかの例では、上記の例のいずれかの平板状の基部及び/又は保護カバーには、例えば、突起が平板状の基部及び/又は保護カバーに孔を開けるように構成された位置に一つ以上のスコア線及び/又はエンボスが設けられる。スコア線及び/又はエンボスは、孔を開ける位置での平板状の基部及び/又は保護カバーの強度を下げるように働き、その結果、それらに孔を開けるのに必要な力はより小さくなる。
【0116】
いくつかの例では、上記の例で述べた突起のいずれかは、孔を開けた領域にシールを供するためにガスケットを含んでもよい。
【0117】
上記の例の少なくともいくつかでは、エアロゾル発生材料は、カートリッジの平板状の基部又は各平板状の基部の内面上の層、例えば、内面に接着された層であるエアロゾル発生材料、例えば、ゲルの形態であってもよい。さらに、エアロゾル発生材料を受け入れる各平板状の基部の内面の少なくとも一部分は粗くすることができる。エアロゾル発生材料が表面から離れる(例えば、層剥離する)と加熱プロセスの有効度が下がるが、驚くことに、エアロゾル発生材料が載っている表面が粗いと、加熱中、エアロゾル発生材料がその表面から離れる(例えば、層剥離する)ことを防ぐ助けとなり得ることを見出した。
【0118】
図20A及び20Bは、第1の基部の熱伝導材料702の第1のシートの第1の内面706の例を示しており、ここでは、第1の内面は、平らでない表面、又は不規則な表面を与えるように粗くなっている。
【0119】
エアロゾル形成材料(図示せず)は、熱伝導材料702の第1のシートの第1の内面706に配置されている。
図20A及び20Bに示す例では、第1の内面706は、複数の突起708があるため粗くなっている。一例では、第1の表面206は、支持層202にいくつかの孔を開けることによって粗くされている。ピンで第1の表面206を突き刺すことによって孔を開けてもよい。
【0120】
図20A及び20Bに示す例では、突起は円柱の形態を採っているが、立方体、角錐、及び不規則な形状など、熱伝導材料の第1の内面から突出する任意の形状を使用してもよい。突起708は、同じ形状から形成される必要はない。
図20A及び20Bの突起708は、熱伝導材料702の第1の表面706のほとんどを覆っているように示されているが、他の例では、突起708は、熱伝導材料702の第1の表面706の一部分だけを覆っている。
【0121】
一例では、突起708は、高さが0.1mmと0.2mmとの間、幅が0.2mmと0.4mmとの間であるが、高さ0.15mm、幅0.3mmがより好ましい
【0122】
一例では、熱伝導材料の第1の表面706は、表面を粗くするためにエンボス加工される。突起708もまた、エンボス加工によって形成してもよい。熱伝導材料の第1の内面706のエンボス加工は、粗い表面を作る簡単で繰り返し可能な方法である。エンボスは一つ以上のロゴの形態を採ることができる。第1の内面706は、一つ以上の隆起、窪み、ギザギザ、及び高くなった部分を含むことによって粗くしてもよい。
【0123】
第1の内面706は、一つ以上の渦巻、線、及び/又は四角形などの様々な図形を用いてエンボス加工してもよい。
【0124】
図20A及び20Bに示すように、熱伝導材料702の第1の内面706が粗いと、エアロゾル発生材料704と熱伝導材料702との間の接触表面積を増大させる働きがある。粗い第1の内面706を有する熱伝導材料702とエアロゾル発生材料704とから形成された喫煙品700の例が
図20Cに示されている。表面積が増大すると、エアロゾル形成材料704と熱伝導材料702との間の接着が強くなり、したがって、エアロゾル発生材料704が熱伝導材料702の第1の内面706から離れる可能性が低くなる。
【0125】
図21に示すさらなる例では、熱伝導材料802の第1の内面806は、一つ以上のスコア線810を第1の内面806に形成することによって粗くされている。
図21は、第1の内面806に施された6本のスコア線810を有する熱伝導材料802を示しているが、いくつかの例では、第1の内面806に施されるスコア線810は6本より少なく、他の例では、6本より多い。
図20Bに示した突起708と同様に、スコア線810は、熱伝導材料806の第1の表面に表面粗さを加える機能を果たし、それによって、エアロゾル発生材料804と層802との間の接着を強くする。一例では、熱伝導材料の第1の内面806の表面粗さは、スコア線810によって与えられる。他の例では、熱伝導材料の第1の内面806の表面粗さは、突起708とスコア線810とを組み合わせることによって与えられる。
【0126】
図22に示すように、スコア線810はまた、エアロゾル発生材料804に施すことができる。エアロゾル発生材料804にスコア線810を施すと、エアロゾル発生材料804は、スコア線810を境界とする一つ以上の別々の部分にプールされる。エアロゾル発生材料804を別々の部分に分けると、任意の揮発した成分及びエアロゾル発生材料804の外面に対する流路が多くなる。
【0127】
エアロゾル発生ゲルを含むエアロゾル発生材料の例では、ゲル704及び804は、バーレー、バージニア、及びオリエントなどの異なるタバコ抽出物から形成されてもよい。異なるタバコ抽出物から形成されたエアロゾル発生ゲル704、804は、異なる特性を有してもよい。例えば、バーレータバコから形成されたゲルはよりもろいが、バージニア及びオリエントから形成されたゲルはよりしなやかである。
【0128】
本発明の実施形態は、非限定的な例として、香料、添加物、排出、組成などに関する規制などの適用法令及び/又は規制を遵守するように構成されている。例えば、本発明は、本発明を実施する装置が、使用者の調整前も後も、適用規制に準拠するように構成することができる。そのような実施は、使用者が選択可能なすべての位置で適用規制に準拠するように構成することができる。いくつかの実施形態では、本構成は、本発明を実施する装置が、使用者が選択可能なすべての位置で、必要な(一つ以上の)規制法試験に、例えば非限定的な例として、排出及び/又は煙組成に対する(一つ以上の)試験閾値/(一つ以上の)上限に合格する又はそれを上回るようなものである。
【0129】
本書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態の単なる代表的な例として供され、すべてを網羅するものではなく、及び/又は排他的ではない。本書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたように本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、或いは特許請求の範囲に対する均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で詳細に説明されたもの以外の、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に含み、それらから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
【符号の説明】
【0130】
1…装置、8…チャネル、9…蓋部、9a…蓋部の内側端面、9b、9c…案内溝、13…ヒータ、13a…第1の加熱表面、100…カートリッジ、104…基部。