(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】感染症検査方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20220301BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220301BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20220301BHJP
G16H 50/80 20180101ALI20220301BHJP
G01N 1/12 20060101ALN20220301BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12M1/34 B
G01N35/00 A
G16H50/80
G01N1/12 B
(21)【出願番号】P 2021568917
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2021023270
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2021052117
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載、令和3年1月15日、https://www.shimadzu-techno.co.jp/news/news210114.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載、令和3年1月25日、https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/k08.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載、令和3年2月25日、https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/k08.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載、令和3年2月26日、https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/k08.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載、令和3年3月18日、第28回京都市新型コロナウイルス感染症対策本部会議 https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000267/267621/0303180500sangakurenkei.pdf
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502235315
【氏名又は名称】株式会社島津テクノリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八十島 誠
(72)【発明者】
【氏名】嶽盛 公昭
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 ふみ
(72)【発明者】
【氏名】友野 卓哉
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0385296(US,A1)
【文献】特開2011-155919(JP,A)
【文献】京都市保健福祉局, 産学連携による新型コロナウイルスのモニタリング手法の開発について, [オンライン], 令和3年3月18日(2021.03.18), [検索日 2021.08.19], インターネット:<URL https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/cmsfiles/contents/0000267/267621/0303180500sangakurenkei.pdf>
【文献】Journal of Water Process Engineering, Available online 2021.01.29, Vol.40, 101947 (pp.1-10)
【文献】Science of the Total Environment, Available online 2021.02.12, Vol.775, 145790 (pp.1-12)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12M 1/00- 3/10
G01N 1/00- 1/44
G01N 35/00-37/00
G06Q 50/22;G16H 10/00-80/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から試料を採取する採取工程と、
当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得る分析工程と、
前記情報を前記採取期間と共に前記施設に通知をする通知工程と、を含み、
当該通知された情報と前記採取期間は、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性を示す、
感染症検査方法。
【請求項2】
前記採取工程は、
当該施設の下水の内、施設のトイレからの排水が流入する汚水桝から試料を採取することを特徴とする、請求項1記載の感染症検査方法。
【請求項3】
前記採取工程に先立って、前記施設の下水の内、前記試料を採取すべき場所及び/又は前記試料を採取する前記採取期間を特定する採取計画工程を更に含むことを特徴とする、
請求項1記載の感染症検査方法。
【請求項4】
前記採取工程は、前記施設の下水中に、試料採取用の吸収体を留置した後に回収し、前記吸収体に保持された物質を前記試料として回収することを特徴とする、請求項1記載の感染症検査方法。
【請求項5】
前記情報が、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性があることを示していた場合に、前記採取期間内における前記施設の滞在者の少なくとも一部に対して、前記感染性病原体に対する感染の有無を検査する工程を更に実行することを特徴とする、請求項1記載の感染症検査方法。
【請求項6】
施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から採取された試料について、前記採取期間と前記試料を特定する情報とを対応付けて記憶する採取結果データベースと、
前記試料を分析して得た、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を、前記試料を特定する情報と共に記憶する分析結果データベースと、
前記施設における滞在者を特定する情報を、当該滞在者が前記施設に滞在した期間と共に記録する滞在者データベースと、
前記各データベースにアクセス可能なコンピュータプログラムと、を備え、
前記コンピュータプログラムが、
前記試料中における感染性病原体の存在に関する情報が、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性があることを示していた場合に、前記各データベースに記憶されたデータに基づいて、前記採取期間と前記滞在者が前記施設に滞在した期間とが重複する前記滞在者のリストを抽出するステップを実行可能である、
感染症管理システム。
【請求項7】
前記施設を特定する情報を格納する施設データベースをさらに備え、
前記施設を特定する情報は、ログインIDとパスワードを含み、
前記コンピュータプログラムは、前記ログインIDと前記パスワードの入力を受け付ける入力受付手段と、当該ログインIDとパスワードを認証する手段と、当該認証されたログインIDに対応する前記施設についての、前記試料中における感染性病原体の存在に関する情報及び前記滞在者のリストを表示する表示手段とを備える、
請求項6記載の感染症管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染症の検査方法に関し、特に、市中におけるウイルス等の感染性病原体の偏在という自然法則を利用して、施設におけるクラスタ(集団感染)の発生を未然に防止する感染症検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス等の感染症が拡散することを防止するため、発熱などの症状が出た人に対してPCR検査に代表される、検査時点での感染を確認可能な感染症検査(他には抗原検査等)を行い、陽性反応が出た場合は、その濃厚接触者を含めて隔離する等の対策が講じられている。
【0003】
しかし、病院や介護施設などで集団生活をしている方の中に感染者が発見された場合、症状が確認され、PCR検査で陽性になった段階では、既に感染が広範囲に広がり、クラスタが発生するという問題があった。そこで、無症状者をも対象として、定期的にPCR検査を行うことも考えられるが、その費用や手間が相当なものとなるため、滞在者全員を対象としたPCR検査を実施している施設はほとんど見られないのが現状である。従って、クラスタも定期的に発生している。
【0004】
一方、マクロ的に感染状況を予測するために、下水処理場から採取した下水を分析して、ノロウイルスなどの感染症の推定をすることが試みられている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感染症のクラスタの発生を未然に防止することを課題とし、施設の滞在者に対して定期的なPCR検査を実施することなく、滞在者の感染可能性を判定する検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から試料を採取する採取工程と、当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得る分析工程と、前記情報を前記採取期間と共に前記施設に通知をする通知工程と、を含み、当該通知された情報と前記採取期間は、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性を示す、感染症検査方法である。
【0008】
ここでいう「施設」とは、介護施設、病院、学校、企業等の、主たる滞在者(従業員や入居者、来訪者等)を特定可能な建屋を言い、棟の単一複数を問わない。また、ここでいう「滞在者」とは、施設に居住する者(居住者)、又は施設に宿泊する者(宿泊者)に限らず、当該施設を日中のみ利用する者(利用者)をも含んだ概念である。また、「施設の下水」とは、当該施設から排出される下水を言い、当該施設から排出される汚水が公共の下水管に流入するまでの経路に存在している。
本願発明者は、市中におけるウイルスに代表される感染性病原体の分布を把握するために、クラスタの発生する施設単位での検査が有用であるという着想をし、実際の施設において、トイレ等から、感染者の排せつ物に含まれる程度の量の疑似ウイルスを下水に流し、下水中に採取期間だけ配置した採取手段により捕捉した試料を分析した。その結果、検出に十分な量のウイルスを検出することができたことから、本件発明の検査方法を完成させるに至った。
なお、感染性病原体は、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルスといったウイルスの他に、サルモネラ菌、結核菌、大腸菌O157などの細菌、または赤痢アメーバ、カンピロバクター、ダニなどの微小生物が含まれる。
【0009】
本発明は、市中におけるウイルス等の感染性病原体の偏在という自然法則を利用してクラスタの発生を未然に防ぐという感染症検査方法の発明である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、滞在者に対して定期的なPCR検査等を行わなくても、滞在者の感染可能性を判定できる結果、クラスタの発生を未然に抑制できるという効果を奏する。また、試料中に感染性病原体が観測された場合には、全員に対するPCR検査等を行うことにより、感染者を具体的に特定して、クラスタの発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】施設の下水と公共の下水との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
図1を参照して、本発明に係る感染症検査方法の一実施形態を説明する。
【0013】
本発明に係る感染症検査方法の一実施形態は、施設1と、管理会社2と、受託分析会社3と、採取業者4と、保健所5とにより行われる。まず、工程の概略を説明する。以下図中の丸囲み数字は、適宜{1}と表現する。
【0014】
[工程{1}]
管理会社2は、施設1からの依頼を受け、施設1に出向き、施設1の排水設備を調査することにより、採取場所と採取予定期間を決定する。
【0015】
[工程{2}]
管理会社2は、採取業者4に対し、決定した採取場所、採取期間、試料を特定する情報、及び施設1を特定する情報を伝達し、試料の採取を依頼する。
【0016】
[工程{3}]
依頼を受けた採取業者4は、施設1に出向き、施設の下水中の指定された採取場所において、指定された採取期間中の試料を収集して、依頼時に受けた試料を特定する情報と共に分析受託会社3に提出する。
【0017】
[工程{4}]
提出を受けた分析受託会社3は、当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得て、当該情報と、試料を特定する情報とを、管理会社2に報告する。
【0018】
[工程{5}]
報告を受けた管理会社2は、報告された試料を特定する情報に基づいて、施設1を特定する情報、採取場所、採取期間の各情報を特定し、試料中における感染性病原体の存在に関する情報と共に、施設1に提供する。
【0019】
[工程{6}]
提供を受けた施設1は、試料中における感染性病原体の存在に関する情報が感染者の存在を示す場合には、提供を受けた採取期間中における施設1の滞在者を特定し、当該滞在者に対して、PCR検査を実施する。
これにより、陽性反応が出た滞在者及び当該滞在者の濃厚接触者に対して、隔離などの措置を講じることができる。
【0020】
以下上記工程{1}~{6}について詳述する。
【0021】
[工程{1}の詳細]
管理会社2は、施設1からの依頼を受け、施設1に出向き、施設1の排水設備を調査することにより、採取場所と採取予定期間を決定する。この場合の排水設備について、
図2を参照して説明する。
【0022】
施設1の建屋内には、トイレ21と、キッチン22と、浴室23と、洗面所・手洗い場所24と、洗濯場25が設けられている。これらは、下水に排水する可能性がある設備であって、これら全てを備えている必要はない。また、これら以外にも、下水に排水する可能性のある設備が設けられていることがある。
これらの設備で生じた排水は、排水設備を通じて公共下水30に排出される。
【0023】
当該排水設備は、排水管26と、排せつ物汚水桝27と、その他汚水桝28と、各汚水桝の上に設けられたマンホール蓋29等から構成されており、上記設備から排出された排水は、排せつ物汚水桝27やその他汚水桝28等を経て、排水管26を通じて公共下水30の公共下水管31に導かれる。当該排水設備には、浄化槽が設けられていることがあるがこれに限られない。公共下水管31に導かれた排水は、公共下水道32を通じて、下水処理場40に集約される。
【0024】
このような施設1において、採取場所を選定する好ましい基準について説明する。一般に排せつ物汚水桝27と、その他汚水桝28には、地上からのアクセスを容易にするためにマンホール蓋29が設けられているため、排水管26に比べて採取場所として好ましい。また、トイレ21からは滞在者の排せつ物が排水管26を通じて排せつ物汚水桝27に一時滞留すること、及びウイルス等の感染性病原体は排せつ物や痰から高濃度で検出されることが分かっていることから、排せつ物汚水桝27を採取場所として選定することがより望ましい。
ただし、排せつ物汚水桝27とその他汚水桝28が一体となっている排水設備や、排水管26に外部からアクセス可能な排水設備もあり、また、感染性病原体は、様々なルートで下水に流入することから、採取場所の選定は上記基準に限られず、滞在者の体内から放出される感染性病原体が混入した排水が通過する場所であって、かつ、公共下水道32に流入する前である限りにおいて、種々採取場所を設定することができる。
【0025】
次に、採取予定期間を選定する好ましい基準について説明する。
例えば、浴室23からは、清掃時に大量の水が排水される。この排水が排水設備を通過する時間帯は、感染性病原体の濃度が薄まるため、採取に適さない。従って、施設1を運営する人からヒアリングを行い、浴室23の清掃時間帯や、キッチン22の食器洗いの時間帯とは異なる時間帯を採取予定期間として選定することが望ましい。また、施設1が学校やデイサービス専用の施設のように、滞在者が昼間に集中する施設の場合、昼間の時間帯を採取予定期間に設定することが望ましい。更に、当該採取予定期間があまりに短いと、滞在者の体内から排出された感染性病原体が施設1の下水に流入する機会が確保できないことから、少なくとも数時間を当該採取予定期間として設定することが望ましい。ただし、採取予定期間は、その他の種々の要因で決定してもよく、滞在者の排せつ物などが下水に流入し、かつ感染性病原体を採取した試料から検出できる期間である限りにおいて、当該採取予定期間を種々決定することができる。
【0026】
[工程{2}の詳細]
管理会社2は、採取業者4に対し、決定した採取場所、採取予定期間、試料を特定する情報、及び施設1を特定する情報を伝達し、試料の採取を依頼する。
この場合において、試料を特定する情報は、例えばバーコード53(
図3を参照)である。当該バーコード53は、採取予定の試料を他の施設や同一施設1の他の場所や時間帯において採取する試料と識別できる数字によりコード化されている。当該試料を特定する情報はバーコードに限らず、RFタグや、記憶媒体に記憶されたシリアル番号などでも良い。その他、採取予定の試料を他の施設や同一施設1の他の場所や時間帯において採取する試料と識別できる情報である限りにおいて、その態様を種々変更することができる。
また、施設1を特定する情報は、採取作業の都合上、電話番号などの連絡先、住所、施設1の担当者氏名などが含まれるが、単なる施設ごとに付与されたIDであっても良い。
その他、施設1を他の施設と識別可能である限りにおいて、その態様を種々変更可能である。
本実施形態では、採取容器52(
図3を参照)の表面に、当該バーコード53が貼り付けられると共に、検査対象の感染症名、施設1の名称、採取予定期間等の必要事項が印字されており、当該採取容器52が採取業者4に送付される。これにより、採取容器52を見るだけで、情報伝達を適切にもれなく実施できる。ただし、これらの記載は、採取容器52とは別に、印刷された紙書類により提出されてもよく、電子化されたデータで、採取業者4に伝達されても良い。採取容器52自体は採取業者4が準備しても良い。その他、採取業者4に対し、決定した採取場所、採取予定期間、試料を特定する情報、及び施設1を特定する情報が伝達される限りにおいて、その態様を種々変更可能である。
【0027】
[工程{3}の詳細]
依頼を受けた採取業者4は、施設1に出向き、施設の下水中の指定された採取場所において、指定された採取予定期間中の試料を収集して、依頼時に受けた試料を特定する情報と共に分析受託会社3に提出する。前記試料の採取方法について、
図3を参照して説明する。
採取業者4は、施設1に到着すると、採取場所情報に基づいて例えばマンホール蓋29を開け、試料キット50に含まれる試料採取用吸収体51に排せつ物汚水桝27中の下水を浸潤させる。試料キット50は試料採取用吸収体51をネットで包んだ構造であり、図示されない紐体で吊るされることによりマンホール蓋29の直下部等に設置される。紐体で吊るすことにより、下水を多く流れるトイレットペーパーのようなゴミに長時間さらされたとしても、ゴミとの衝突で試料キット50が揺動するため、ゴミの覆い被さりを防ぐことができ、病原体を効率的に収集できる。紐体は例えばワイヤーネットで構成されており、ワイヤーネットに付随した荷締めベルト等で設置箇所に固定される他、バックルアジャスターを設けてもよく、この場合は高さ方向の調整が容易になる。紐体の固定箇所は、固定された紐体の張力によって試料キット50が揺動できる限りにおいて、種々の対応を取ることができる。固定箇所は試料キット50回収の容易性からマンホール蓋29等に固定されるのが好適である。
この状態を採取予定期間だけ継続し、当該採取予定期間経過後に試料採取用吸収体51を汚水桝27から引き上げる。その後、試料採取用吸収体51を絞り、採取容器52に液状の試料を抽出する。この時、採取容器52には、バーコード53を貼り付けることが望ましい。試料採取用吸収体51は、ポリマー・脱脂綿等の吸収体を袋状の網に入れたものであり、採取期間中における汚水を吸収して、不定期なトイレ21からのフラッシングを捕まえる事ができ、時間変動に左右されずに感染性病原体の検出を行うことができる。
この時、実際に採取開始から引き上げるまでの期間を、採取期間として採取容器52に記載し、分析受託会社3に提出する。これにより、分析受託会社3には、採取された試料と共に、試料を特定する情報及び採取期間が伝えられることになる。
なお、本実施形態では、試料を特定する情報としてバーコード53を用いたが、試料を特定することができれば、単なる連番、記号その他のIDでもよく、施設1の名称と採取期間を結合した文字でも良い。その他、試料を他の施設又は他の時間帯に採取したものと区別できる限りにおいて、種々の対応を取ることができる。また、採取期間は、分析受託会社3に伝達する代わりに、管理会社2に伝達してもよい。また期間の表現方法も、採取開始の日時と採取終了の日時それぞれを含むものでも良いし、採取開始の日時と、採取を行った時間幅で表現されていても良い。その他、試料を採取している期間が特定できる限りにおいて、その態様を種々変更することができる。
【0028】
[工程{4}の詳細]
提出を受けた分析受託会社3は、当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得て、当該情報と、試料を特定する情報とを、管理会社2に報告する。
分析受託会社3は、採取容器52内の試料を前処理した上で、例えば公知のPCR検査等の検査時点での感染を確認可能な感染症検査方法(他には、抗原検査等)を行う。当該前処理の手順を、
図4を参照して説明する。
本実施形態での前処理では、第1ろ過容器61、抗体ビーズ62、第2ろ過容器63、
酵素64、第3ろ過容器65を備えた前処理キット60を使用する。
【0029】
本実施形態の前処理の手順は、概ね以下の通りである。
採取容器52内の試料を第1ろ過容器61に通して比較的大きいゴミを取り除く。
そのろ液に対して抗体ビーズ62を加えて攪拌する。この抗体ビーズ62は、検出したい感染性病原体を選択的に捕捉する抗体を、ビーズ表面に固定したもので、市販されているものを使用することができる。
その後、抗体ビーズ62を含むろ液を第2ろ過容器63に入れ、抗体ビーズ62を抽出する。
抽出された抗体ビーズ62を、純水66などと混合し、そこに酵素64を導入する。当該酵素64は、抗体をビーズから切断して遊離させるために、抗体の一部分を選択的に切断する。
そして、前記抗体の切断によってビーズから遊離された感染性病原体を、抗体ビーズ62と分離するために、第3のろ過容器65に導入する。その後、そのろ液を公知の感染性病原体検出キット70、例えばPCR検査キットにより検出する。
【0030】
本実施形態では、前処理キット60を用いて、検体の前処理をしたが、感染性病原体の種類によっては、後段の感染性病原体検出キット70のみで処理を完了できる場合もある。また、感染性病原体検出キット70としては、例えば、PCR、ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay),などを利用するものを用いることができる。また、LCMS等の液体クロマトグラフィーと質量分析計を組み合わせた分析機器を用いて感染性病原体の検出を行うものであっても良い。また、検体の前処理、又はその後の感染性病原体の検出には必ずしも上記のような前処理キット60又は感染性病原体検出キット70を用いなくてもよい。その他、感染性病原体を検出できる限りにおいて、その態様を種々変更可能である。
【0031】
分析受託会社3は、管理会社2に対して、試料を特定する情報として、バーコード53の数字情報と、感染性病原体の検出結果として、検出の有無と、検体1Lあたりの感染性病原体の存在量を通知する。
感染性病原体の検出結果は検出の有無のみでも良いし、存在量を離散化したレベル表記であっても良い。その他、感染者が存在する可能性を判定できる情報である限りにおいて、その態様を種々変更可能である。
【0032】
[工程{5}の詳細]
報告を受けた管理会社2は、報告された試料を特定する情報に基づいて、施設1を特定する情報、採取場所、採取期間の各情報を特定して、試料中における感染性病原体の存在に関する情報と共に、施設1に提供する。
この場合において、採取場所の情報は必ずしも必要としないが、実際の採取期間の情報は、後述の感染可能性のある滞在者を特定するために必ず必要となる。
更に、管理会社2は、地域の感染者の把握と、PCR検査などの検査キットの備蓄量の管理に資するため、保健所5にその結果を通知することとしても良い。その場合、事前に保健所5への通知を行うことについて、施設1の管理者の承諾を得ておく必要がある。
【0033】
[工程{6}の詳細]
提供を受けた施設1は、試料中における感染性病原体の存在に関する情報が感染者の存在を示す場合には、提供を受けた採取期間中における施設1の滞在者を特定し、当該滞在者に対して、PCR検査を実施する。
この時、施設の下水中にはその採取期間より前における滞在者の排せつ物などが含まれている可能性もあることから、例えば前回浴室23の清掃やキッチン22を使用したときなど、大量の排水行為を行った時期まで採取期間を遡及して、滞在者の滞在期間と照合することが望ましい。ただし、少なくとも採取期間中の一部時間帯に滞在時間が含まれる滞在者を特定する限りにおいて、その比較の方法を種々変更可能である。
これにより、陽性反応が出た滞在者及び当該滞在者の濃厚接触者に対して、隔離などの措置を講じることができる。
【0034】
なお、滞在者の特定を施設1が、管理会社2に委託することも可能である。その場合は、施設1の入出を管理する台帳に、入出情報と個人IDとを記入して、その一覧表を管理会社2が閲覧可能とすることにより、管理会社2が、滞在期間と採取期間との照合をした上で、施設1に通知することができる。これにより、施設1の管理者は、通知された個人IDに対応する滞在者に対して、PCR検査の推奨又は手配をするだけでよく、管理がより簡便になる。IDのみのやり取りになるため、個人情報が施設1から管理会社2に漏洩することも防ぐことができ、好適である。
【0035】
[実施形態2]
上記の実施形態をより簡便にするWebシステムについて説明する。
【0036】
本実施形態にかかるWebシステムは、
図5に示す通り、管理サーバ100と、採取業者端末101と、施設端末102と、受託分析業者端末103と、クラウド上のストレージに格納されるデータベースとして、施設DB105、採取計画DB120、採取結果DB130、及び分析結果DB140と、管理サーバ100上で動作するプログラム150とで構成される。採取業者端末101、施設端末102、受託分析業者端末103は、インターネット回線を通じて管理サーバ100にアクセス可能となっている。また、管理サーバ100は、各データベース105,120,130,140にアクセス可能に構成されている。プログラム150は、HTMLソースを発行するWebサーバプログラムや、サーバ上で動作するASPのプログラムのいずれか又は複合したものであって、上記各データベースにアクセス可能に構成されている。
更に、施設端末102は、別途ストレージに格納されたデータベースである滞在者DB110にアクセス可能に構成されている。
【0037】
<各データベースの説明>
滞在者DB110は、施設IDと、滞在者IDと、滞在者氏名と、滞在期間と、PCR検査履歴をフィールドとするデータベースである。
施設DB105は、施設IDと、施設名と、パスワードと、連絡先情報(施設の住所、電話番号、担当者氏名等)とをフィールドとするデータベースである。
採取計画DB120は、採取依頼IDと、依頼対象病原体種別と、調査施設情報と、調査依頼者情報と、採取体設置予定時刻と、採取体回収予定時刻と、採取予定日と、採取予定箇所情報と、採取依頼業者情報をフィールドとするデータベースである。
また、採取結果DB130は、採取試料IDと、採取依頼IDと、採取業者IDと、実際の採取期間とをフィールドとするデータベースである。
更に、分析結果DB140は、病原体検出値と、感染可能性判定結果と、分析依頼日と、分析結果通知日と、分析者IDをフィールドとするデータベースである。
【0038】
<プログラム150の説明>
次にプログラム150の構成について説明する。プログラム150は、大別して、施設管理プログラム151と、受注管理プログラム152と、採取管理プログラム153と、分析管理プログラム154と、検査結果管理プログラム155とから構成される。
【0039】
プログラム150を構成する各プログラムの動作について説明する。
<施設管理プログラム151の説明>
施設管理プログラム151は、施設1の新規登録を受け付けるWebページをアクセス先の端末、例えば施設端末102に表示する。施設端末102等から、当該Webページにアクセスすると、施設名、パスワード、連絡先情報等を入力でき、新規に採番する施設IDとともに、施設DB105に登録する。連絡先情報には、施設1の住所、電話番号、担当者氏名等を登録する。
【0040】
<受注管理プログラム152の説明>
受注管理プログラム152は、施設1からの依頼を受け付けるWebページをアクセス先の端末、例えば施設端末102に表示する。施設端末102等から、当該Webページにアクセスすると、ログイン画面が表示され、施設IDとパスワードの入力を受け付ける。その際、施設IDとパスワードを施設DB105のデータと照合し、認証に成功した場合は、新規依頼用ページを表示する。
新規依頼用ページでは、新規依頼の入力があった時は、採取依頼IDを新規採番するとともに、調査施設情報に施設IDを、調査依頼者情報に連絡先情報を格納して、採取計画DB120に登録する。
【0041】
受注管理プログラム152は、別途管理者のIDでログインした場合に管理者用のWebページを表示する。
管理者用のWebページには、新規に受け付けた採取依頼IDについて、調査依頼者情報に格納された連絡先情報に基づいて、施設DB105から施設1の電話番号、住所、担当者氏名を表示する。これにより、管理会社2の担当者は、施設1に電話をするなどして訪問日時を設定し、住所と担当者氏名をたよりに、施設1を訪問し、訪問時のヒアリングに基づいて、依頼対象病原体種別と、調査依頼者情報と、採取体設置予定時刻と、採取体回収予定時刻、採取予定日、採取予定箇所情報、採取依頼業者情報等を採取計画DB120に登録する。
これにより、採取計画工程(
図1における工程{1})を実行することができる。
【0042】
<採取管理プログラム153の説明>
採取管理プログラム153は、採取業者端末101からアクセスする採取業者用のWebページを表示する。当該Webページには、採取業者IDでログインすると、採取計画DB120に登録された案件のうち、採取結果DB130に未だ登録がない案件のリストと、各案件に対応して受託ボタンが表示されている。
受託ボタンをクリックすると、採取結果DB130に、選択された採取依頼IDと、採取業者IDとが、新規に自動採番される採取試料IDとともに登録される。ページには、採取試料IDの数字と、対応するバーコード53が表示され、印刷可能となる。採取業者4は、それらをシールなどに印刷し、採取容器52に貼り付ける。採取業者は、当該採取容器52と、試料採取用吸収体51を持参して、試料採取工程(
図1の工程{3})を実行して、Webページ上に、実際の採取期間を入力すると、採取結果DB130に登録される。
なお、このWebシステムにより、
図1の工程{2}(依頼工程)を自動的に行うことができるが、この依頼工程を管理会社2が担う場合は、管理会社2が当該Webページにアクセスして、採取業者IDを個別に割り当てて、その旨を採取業者4に通知することとしてもよい。
【0043】
<分析管理プログラム154の説明>
分析管理プログラム154は、受託分析業者端末103からアクセスする受託分析業者用のWebページを表示する。当該Webページには、受託者IDでログインすると、採取試料IDを入力する画面が表示される。当該画面に、採取業者から受け取った採取容器52に貼り付けられたバーコード53をバーコードリーダで読み取るか、又は記載されている採取試料IDをキーボードで入力することにより、採取結果DB130から対応する採取依頼IDを読み出し、採取計画DB120から当該採取依頼IDに対応する依頼対象病原体種別を読み出して、Webページに表示するとともに、病原体検出値と、感染可能性判定結果と、分析依頼日と、分析結果通知日と、分析者IDの入力を受け付ける。
受託分析業者5は、当該依頼対象病原体種別に基づいて、病原体分析工程(
図1の工程{4})を実行して、上記受け付けられた入力項目に適宜入力して、分析結果DB140に登録する。
管理会社2は、分析結果DB140の内容を確認して、施設1に対して、結果の報告を行うことにより、
図1の工程{5}を実行することができる。
【0044】
<検査結果管理プログラム155の説明>
検査結果管理プログラム155は、施設端末102で実行る。施設端末102から検査結果管理プログラム155を実行すると、検査結果管理プログラム155は、施設端末102からの施設IDとパスワードの入力を受け付ける。そして、入力された施設IDとパスワードを施設DB105のデータと照合し、認証に成功した場合は、認証された施設IDに対応する施設についての分析結果が分析結果DB140から読み出されて施設端末102に送出される。施設1の担当者は、分析結果DB140から読みだした分析結果の中から分析結果通知日が最新である感染可能性判定結果を参照し、当該感染可能性判定結果が、感染者の存在を示す結果であった場合は、採取結果DB130における実際の採取期間と滞在者DB110における滞在期間が重複する滞在者IDを抽出し、滞在者氏名と滞在期間と、PCR検査履歴とが記載されたリストを施設端末102の画面上に表示する。
施設1の管理者は、当該リストを保健所5に提出するとともに、病院などにPCR検査の依頼を行う。
PCR検査の結果は、PCR検査履歴に追加入力し、滞在者DB110に登録する。
これにより、必要な場合にのみ、最小限の滞在者に対して個別の感染症検査をするだけで、クラスタの発生を未然に防止することができる。
なお、本実施形態では、検査結果管理プログラム155は、施設端末102で実行されることとしたが、管理サーバ100で実行して、施設端末102にWebページとして表示することとしても良い。その場合、滞在者DB110における個人を特定可能なフィールドが、管理サーバ100からアクセス不能としておくことにより、個人情報の流出を防ぐことができる。
【0045】
本発明は上述の実施例に限らず、当業者の周知の範囲において実施形態を変形して実施される。
【0046】
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0047】
(第1項)本発明の一態様に係る感染症検査方法は、
施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から試料を採取する採取工程と、
当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得る分析工程と、
前記情報を前記採取期間と共に前記施設に通知する通知工程と、を含み、
当該通知された情報と前記採取期間は、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性を示すものである。
【0048】
(第2項)第1項に記載の感染症検査方法は、
前記採取工程が、当該施設の下水の内、施設のトイレからの排水が流入する汚水桝から試料を採取するものであってもよい。
【0049】
(第3項)第1項に記載の感染症検査方法は、
前記採取工程に先立って、前記施設の下水の内、前記試料を採取すべき場所及び/又は前記試料を採取する前記採取期間を特定する採取計画工程を更に含むものであってもよい。
【0050】
(第4項)第1項に記載の感染症検査方法は、
前記採取工程が、前記施設の下水中に、試料採取用の吸収体を留置した後に回収し、前記吸収体に保持された物質を前記試料として回収するものであってもよい。
【0051】
(第5項)第1項に記載の感染症検査方法は、
前記情報が、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性があることを示していた場合に、前記採取期間内における前記施設の滞在者の少なくとも一部に対して、前記感染性病原体に対する感染の有無を検査する工程を更に実行するものであってもよい。
【0052】
(第6項)本発明の一態様に係る感染症管理システムは、
施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から採取された試料について、前記採取期間と前記試料を特定する情報とを対応付けて記憶する採取結果データベースと、
前記試料を分析して得た、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を、前記試料を特定する情報と共に記憶する分析結果データベースと、
前記施設における滞在者を特定する情報を、当該滞在者が前記施設に滞在した期間と共に記録する滞在者データベースと、
前記各データベースにアクセス可能なコンピュータプログラムと、を備え、
前記コンピュータプログラムが、
前記試料中における感染性病原体の存在に関する情報が、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性があることを示していた場合に、前記各データベースに記憶されたデータに基づいて、前記採取期間と前記滞在者が前記施設に滞在した期間とが重複する前記滞在者のリストを抽出するステップを実行可能なものである。
【0053】
(第7項)第6項に記載の感染症管理システムは、
前記施設を特定する情報を格納する施設データベースをさらに備え、
前記施設を特定する情報が、ログインIDとパスワードを含み、
前記コンピュータプログラムが、前記ログインIDと前記パスワードの入力を受け付ける入力受付手段と、当該ログインIDとパスワードを認証する手段と、当該認証されたログインIDに対応する前記施設についての、前記試料中における感染性病原体の存在に関する情報及び前記滞在者のリストを表示する表示手段とを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・施設
2・・・管理会社
3・・・受託分析会社
4・・・採取業者
5・・・保健所
21・・・トイレ
22・・・キッチン
23・・・浴室
24・・・洗面所・手洗い場所
25・・・洗濯場
26・・・排水管
27・・・排せつ物汚水桝
28・・・その他汚水桝
29・・・マンホール蓋
30・・・公共下水施設
31・・・公共下水管
32・・・公共下水道
40・・・下水処理場
50・・・採取キット
51・・・試料採取用吸収体
52・・・採取容器
53・・・バーコード
60・・・前処理キット
61・・・第1ろ過容器
62・・・抗体ビーズ
63・・・第2ろ過容器
64・・・酵素
65・・・第3ろ過容器
70・・・感染性病原体検出キット
100・・・管理サーバ
101・・・採取業者端末
102・・・施設端末
103・・・受託分析業者端末
105・・・施設DB
110・・・滞在者DB
120・・・採取計画DB
130・・・採取結果DB
140・・・分析結果DB
150・・・プログラム
151・・・施設管理プログラム
152・・・受注管理プログラム
153・・・採取管理プログラム
154・・・分析管理プログラム
155・・・検査結果管理プログラム
【要約】
本発明は、感染症のクラスタの発生を未然に防止することを課題とし、発生施設の滞在者に対して定期的なPCR検査を実施することなく、滞在者の感染可能性を判定する検査方法を提供することを目的とする。本発明の一態様は、施設から排出される下水が公共の下水管に流入するまでの経路において、採取期間中における当該下水から試料を採取する採取工程と、当該試料を分析して、当該試料中における感染性病原体の存在に関する情報を得る分析工程と、前記情報を前記採取期間と共に前記施設に通知する通知工程と、を含み、当該通知された情報と前記採取期間は、少なくとも前記採取期間内における前記施設の滞在者中に前記感染性病原体の感染者が存在する可能性を示す、感染症検査方法である。