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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】アンテナ取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20220301BHJP
   H01Q 1/08 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01Q1/12 C
H01Q1/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018123456
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020005140
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-204417(JP,A)
【文献】特開2015-159430(JP,A)
【文献】実開昭59-127312(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/08
H01Q 1/12
H01Q 21/00- 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性アンテナが内蔵された複数のアンテナケースと、
該複数のアンテナケースが相互に所定角度で固着されるマストと、
該マストの下部に固着された取付台とを備え、
前記アンテナケースは、背面側に設けられた取付金具により複数の前記アンテナケースが相互に所定角度で前記マストに固着されており、
前記マストには、前記所定角度で設けられた前記アンテナケースと同数の規定ボルトが前記マストから突出するように設けられており、前記規定ボルトにより、前記アンテナケースの背面側に設けられた前記取付金具の前記マストに対する取付角度が規定されることを特徴とするアンテナ取付装置。
【請求項2】
前記取付金具は、前記アンテナケースの背面側に固着される取付座金具、該取付座金具に対向すると共に前記マストをその間に挟持する押さえ金具、前記取付座金具に遊動可能に設けられ両腕部の先端部が前記押さえ金具に挿通されて、先端にネジ手段が螺着されるUボルトから構成されており、
前記Uボルトの一方の腕に、前記押さえ金具の取付位置を規制する規制手段が設けられており、前記規定ボルトおよび前記規制手段により、角度調整を行うことなく前記アンテナケースを前記所定角度で前記マストに固着できることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項3】
前記アンテナケースに内蔵された指向性アンテナが、左旋円偏波アンテナおよび右旋円偏波アンテナとされていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ取付装置。
【請求項4】
前記取付台は、
前記マストの下端面に中央部が回動可能に固着された細長い矩形状の第1取付足と、前記マストの下端面に中央部が回動可能に前記第1取付足に重ねられて固着された細長い矩形状の第2取付足と、
前記第1取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第1ステーと、前記第2取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第2ステーと、
2本の前記第1ステーの上端を前記マストに固着する第1締め付け具と、2本の前記第2ステーの上端を前記マストに固着する第2締め付け具とを備えており、
前記第1締め付け具および/または前記第2締め付け具を緩めることにより、前記第1取付足および/または前記第2取付足を前記マストに対して回動可能とさせて、前記第1取付足を前記第2取付足に沿うように折り畳めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナ取付装置。
【請求項5】
前記取付台は、断面L字状とされた細長い第1取付足、第2取付足、第3取付足および第4取付足と、前記第1取付足ないし前記第4取付足の中途と前記マストの中途との間に設けられた4本のステーとを有し、
前記第1取付足と前記第2取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持するよう配置されて、前記第1取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第1ボルト手段を、前記マストの下部に形成された第1貫通孔および前記第2取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第1取付足および前記第2取付足が固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持すると共に前記第1取付足および前記第2取付足にほぼ直交して配置されて、前記第3取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第2ボルト手段を、前記マストの下部に前記第1貫通孔にほぼ直交するよう形成された第2貫通孔および前記第4取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第3取付足および前記第4取付足が固着され、
前記第1取付足と前記第2取付足とにそれぞれ設けられた2本の前記ステーの上端が、前記マストに前記第1貫通孔と平行に形成された第3貫通孔を挿通する第3ボルト手段により前記マストの中途に固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とにそれぞれ設けられた2本の前記ステーの上端が、前記マストに前記第2貫通孔と平行に形成された第4貫通孔を挿通する第4ボルト手段により前記マストの中途に固着され、
前記第1ボルト手段および前記第2ボルト手段を緩めると共に、前記第3ボルト手段および前記第4ボルト手段を前記第3貫通孔および前記第4貫通孔から外して、前記マストの前記第3貫通孔および前記第4貫通孔より高い位置にそれぞれ平行に形成された第1取付穴および第2取付穴に前記第3ボルト手段および前記第4ボルト手段をそれぞれ挿通することにより、前記第1取付足ないし第4取付足および前記4本のステーを前記マストに沿うように折り畳めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナ取付装置。
【請求項6】
前記取付台は、断面L字状とされた細長い第1取付足、第2取付足、第3取付足および第4取付足と、前記第1取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第1ステーと、前記第2取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第2ステーとを有し、
前記第1取付足と前記第2取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持するよう配置されて、前記第1取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第1ボルト手段を、前記マストの下部に形成された第1貫通孔および前記第2取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに第1取付足および第2取付足が固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持すると共に前記第1取付足および前記第2取付足にほぼ直交して配置されて、前記第3取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第2ボルト手段を、前記マストの下部に前記第1貫通孔にほぼ直交するよう形成された第2貫通孔および前記第4取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第3取付足および前記第4取付足が固着され、
2本の前記第1ステーの上端が、前記マストに前記第1貫通孔と平行に形成された第3貫通孔を挿通する第3ボルト手段により前記マストの中途に固着され、2本の前記第2ステーの上端が、前記マストに前記第2貫通孔と平行に形成された第4貫通孔を挿通する第4ボルト手段により前記マストの中途に固着され、
前記第2ボルト手段を前記第2挿通孔から外すと共に前記第4ボルト手段を前記第4貫通孔から外し、前記マストの前記第1貫通孔と前記第3貫通孔との間に前記第1貫通孔を若干回転させた角度で形成された第1取付穴に前記第2ボルト手段を挿通すると共に、前記マストの前記第2貫通孔と前記第4貫通孔との間に前記第1貫通孔を若干回転させた角度で形成された第2取付穴に前記第4ボルト手段を挿通することにより、前記第3取付足および第4取付足および2本の前記第2ステーを前記第1取付足および前記第2取付足に沿うように折り畳めることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のアンテナ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナケース内に収納された複数のアンテナ部を支持するアンテナ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な通信システムが開発及び使用されているが、円偏波モードの通信システムがある。このような通信システムにおける基地局や端末機器用のアンテナとしては円偏波アンテナが用いられる。
近年、工場や工事現場の環境モニタリングなどの場面において、移動するターゲットである人や機械に無線デバイスを携帯させたり取り付けて、ターゲットの位置を検出すると共に無線デバイスから送信されるバイタルデータ等を受信することが提案されている。ターゲットの位置を検出する位置推定技術には、ターゲットの電波を受信した端末装置が、電波の到来方向からターゲットの位置を推定する方式(AOA:Angle of Arrival)がある。この方式では、周囲に設置されている位置を推定するための端末装置が必要となる。また、端末装置が電波の到来方向を検知するために、端末装置は複数の指向性アンテナを備えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】金丸幸弘他3名著 “無線センサネットワーク可視化システムに要求される位置推定精度に関する検討”、情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report Vol.2012-HCI-150 No.12 Vol.2012-UBI-36 No.12 2012/11/2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場や工事現場の環境モニタリングなどを行う場面として、例えば、図10に示す測量済のフィールド1000内の周囲の所定位置に端末T1,端末T2,端末T3,端末T4を設置する。フィールド1000内には無線デバイスを有するターゲット1010が複数存在するが、図10ではターゲット1010を1つだけ示している。端末T1~端末T4には3基の指向性アンテナで構成された同じ構成のアンテナ装置が設けられている。端末T1のアンテナ装置では図11に示すように、第1指向性アンテナA1aの指向方向が0°方向に、第2指向性アンテナA1bの指向方向が45°方向に、第3指向性アンテナA1cの指向方向が90°方向になるよう設置されている。端末T2~端末T4のアンテナ装置も同様に、0°方向の指向方向に設置された指向性アンテナと、45°方向の指向方向に設置された指向性アンテナと、90°方向の指向方向に設置された指向性アンテナとを備えている。
【0005】
端末T1は、ターゲット1010から送信された電波を受信した第1指向性アンテナA1a、第2指向性アンテナA1bおよび第3指向性アンテナA1cのそれぞれの受信電波の振幅からターゲット1010の位置を基準である0°方向からθ1方向と推定する。また、端末T2~端末T4も同様に3基の指向性アンテナにおけるターゲット1010から送信された電波を受信したそれぞれの受信電波の振幅からターゲット1010の位置を基準である0°方向からθ2方向、θ3方向、θ4方向と検出する。端末T1~端末T4で検出されたターゲット1010の位置情報(θ1、θ2、θ3、θ4)を処理したサーバは、位置情報からフィールド1000内の位置を推定することができる。
【0006】
指向性アンテナを備えるアンテナ取付装置は、工場や工事現場の環境モニタリングなどを行う際に、複数の指向性アンテナを所定の指向方向に向くように設置する必要があり、アンテナ取付装置は設置したり取り外したりが繰り返されることから、複数の指向性アンテナを容易に所定の指向方向に向くように設置できるアンテナ取付装置が求められている。また、アンテナ取付装置には端末も取り付けられている。端末を備えるアンテナ取付装置では、設置される工場や工事現場で使用が終了した際に、アンテナ取付装置を取り外して保管し、次の現場に搬送してアンテナ取付装置を設置して使用するようになる。このため、アンテナ取付装置は搬送しやすいと共に、保管スペースが小さくなる構造とすることが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、各指向性アンテナを所定の指向方向に向くように容易に設置でき、搬送しやすいと共に保管スペースが小さくなる構造とされたアンテナ取付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例のアンテナ取付装置は、指向性アンテナが内蔵された複数のアンテナケースと、該複数のアンテナケースが相互に所定角度で固着されるマストと、該マストの下部に固着された取付台とを備え、前記アンテナケースは、背面側に設けられた取付金具により複数の前記アンテナケースが相互に所定角度で前記マストに固着されており、前記マストには、前記所定角度で設けられた前記アンテナケースと同数の規定ボルトが前記マストから突出するように設けられており、前記規定ボルトにより、前記アンテナケースの背面側に設けられた前記取付金具の前記マストに対する取付角度が規定されることを最も主要な特徴としている。
また、本発明の他の実施例のアンテナ取付装置では、前記取付金具は、前記アンテナケースの背面側に固着される取付座金具、該取付座金具に対向すると共に前記マストをその間に挟持する押さえ金具、前記取付座金具に遊動可能に設けられ両腕部の先端部が前記押さえ金具に挿通されて、先端にネジ手段が螺着されるUボルトから構成されており、
前記Uボルトの一方の腕に、前記押さえ金具の取付位置を規制する規制手段が設けられており、前記規定ボルトおよび前記規制手段により、角度調整を行うことなく前記アンテナケースを前記所定角度で前記マストに固着できることを最も主要な特徴としている。
さらに、本発明の他の実施例のアンテナ取付装置では、前記アンテナケースに内蔵された指向性アンテナが、左旋円偏波アンテナおよび右旋円偏波アンテナとされていることを最も主要な特徴としている。
【0009】
上記した本発明の各実施例のアンテナ取付装置において、前記取付台は、前記マストの下端面に中央部が回動可能に固着された細長い矩形状の第1取付足と、前記マストの下端面に中央部が回動可能に前記第1取付足に重ねられて固着された細長い矩形状の第2取付足と、前記第1取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第1ステーと、前記第2取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第2ステーと、2本の前記第1ステーの上端を前記マストに固着する第1締め付け具と、2本の前記第2ステーの上端を前記マストに固着する第2締め付け具とを備えており、前記第1締め付け具および/または前記第2締め付け具を緩めることにより、前記第1取付足および/または前記第2取付足を前記マストに対して回動可能とさせて、前記第1取付足を前記第2取付足に沿うように折り畳めるようにしてもよい。
また、上記した本発明の各実施例のアンテナ取付装置において、前記取付台は、断面L字状とされた細長い第1取付足、第2取付足、第3取付足および第4取付足と、前記第1取付足ないし前記第4取付足の中途と前記マストの中途との間に設けられた4本のステーとを有し、前記第1取付足と前記第2取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持するよう配置されて、前記第1取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第1ボルト手段を、前記マストの下部に形成された第1貫通孔および前記第2取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第1取付足および前記第2取付足が固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持すると共に前記第1取付足および前記第2取付足にほぼ直交して配置されて、前記第3取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第2ボルト手段を、前記マストの下部に前記第1貫通孔にほぼ直交するよう形成された第2貫通孔および前記第4取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第3取付足および前記第4取付足が固着され、前記第1取付足と前記第2取付足とにそれぞれ設けられた2本の前記ステーの上端が、前記マストに前記第1貫通孔と平行に形成された第3貫通孔を挿通する第3ボルト手段により前記マストの中途に固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とにそれぞれ設けられた2本の前記ステーの上端が、前記マストに前記第2貫通孔と平行に形成された第4貫通孔を挿通する第4ボルト手段により前記マストの中途に固着され、前記第1ボルト手段および前記第2ボルト手段を緩めると共に、前記第3ボルト手段および前記第4ボルト手段を前記第3貫通孔および前記第4貫通孔から外して、前記マストの前記第3貫通孔および前記第4貫通孔より高い位置にそれぞれ平行に形成された第1取付穴および第2取付穴に前記第3ボルト手段および前記第4ボルト手段をそれぞれ挿通することにより、前記第1取付足ないし第4取付足および前記4本のステーを前記マストに沿うように折り畳めるようにしてもよい。
さらに、上記した本発明の各実施例のアンテナ取付装置において、前記取付台は、断面L字状とされた細長い第1取付足、第2取付足、第3取付足および第4取付足と、前記第1取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第1ステーと、前記第2取付足の両側の中途と前記マストの中途との間に設けられた2本の第2ステーとを有し、前記第1取付足と前記第2取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持するよう配置されて、前記第1取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第1ボルト手段を、前記マストの下部に形成された第1貫通孔および前記第2取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに第1取付足および第2取付足が固着され、前記第3取付足と前記第4取付足とは、前記マストの下部を端部で挟持すると共に前記第1取付足および前記第2取付足にほぼ直交して配置されて、前記第3取付足の端部に形成された挿通孔に挿通した第2ボルト手段を、前記マストの下部に前記第1貫通孔にほぼ直交するよう形成された第2貫通孔および前記第4取付足の端部に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、前記マストに前記第3取付足および前記第4取付足が固着され、2本の前記第1ステーの上端が、前記マストに前記第1貫通孔と平行に形成された第3貫通孔を挿通する第3ボルト手段により前記マストの中途に固着され、2本の前記第2ステーの上端が、前記マストに前記第2貫通孔と平行に形成された第4貫通孔を挿通する第4ボルト手段により前記マストの中途に固着され、前記第2ボルト手段を前記第2挿通孔から外すと共に前記第4ボルト手段を前記第4貫通孔から外し、前記マストの前記第1貫通孔と前記第3貫通孔との間に前記第1貫通孔を若干回転させた角度で形成された第1取付穴に前記第2ボルト手段を挿通すると共に、前記マストの前記第2貫通孔と前記第4貫通孔との間に前記第1貫通孔を若干回転させた角度で形成された第2取付穴に前記第4ボルト手段を挿通することにより、前記第3取付足および第4取付足および2本の前記第2ステーを前記第1取付足および前記第2取付足に沿うように折り畳めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ取付装置は、マストに設けられた規定ボルトおよび取付金具に設けられた規制手段により、角度調整を行うことなくアンテナケースを所定角度でマストに固着することができ、各指向性アンテナを所定の指向方向に向くように容易に設置できるようになる。また、取付台を折り畳めるので、搬送しやすいと共に、保管スペースが小さくなる構造となされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施例であるアンテナ取付装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施例であるアンテナ取付装置の折り畳んだ構成を示す斜視図である。
図3】本発明のアンテナ取付装置における第2実施例の取付台の構成を示す斜視図である。
図4】本発明のアンテナ取付装置における第2実施例の取付台を折り畳んだ構成を示す斜視図である。
図5】本発明のアンテナ取付装置における第3実施例の取付台の構成を示す斜視図である。
図6】本発明のアンテナ取付装置における第3実施例の取付台を折り畳んだ構成を示す斜視図である。
図7】本発明の実施例のアンテナ取付装置に取り付けられたアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の実施例のアンテナ取付装置に取り付けられたアンテナ装置の構成の一部を拡大して示す斜視図である。
図9】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるマストの構成の一部を拡大して示す斜視図である。
図10】工場や工事現場の環境モニタリングなどを行う場面を示す図である。
図11図10における一つの端末の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施例>
本発明の第1実施例にかかるアンテナ取付装置100の構成を図1および図2に示す。図1は第1実施例であるアンテナ取付装置の構成を示す斜視図であり、図2は第1実施例であるアンテナ取付装置の折り畳んだ構成を示す斜視図である。
これらの図に示す本発明の第1実施例にかかるアンテナ取付装置100は、第1指向性アンテナ1、第2指向性アンテナ2、第3指向性アンテナ3が上部に所定間隔で所定方向を向くように取り付けられている第1マスト4aと、第1マスト4aを支持する第2マスト4bと、第2マスト4bをグランドに起立して支持する取付台7とを備えている。第1指向性アンテナ1は第1マスト4aに指向方向が0°の基準角度になるよう取り付けられ、第2指向性アンテナ2は第1マスト4aに指向方向が第1指向性アンテナ1の指向方向から約45°回転するよう取り付けられ、第3指向性アンテナ3はマスト4aに指向方向が第1指向性アンテナ1の指向方向から約90°回転するよう取り付けられている。第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3は、円筒形とされた電波が透過する絶縁材製、例えばビニルパイプや他の樹脂製のパイプのアンテナケース10を備え、アンテナケース10内に指向性を有するアンテナ部が内蔵され、アンテナ部の指向方向はアンテナケース10の中心軸に対してほぼ直交する方向になる。このアンテナ部は、水平偏波および垂直偏波を送受信するアンテナとされたり、円偏波を送受信するアンテナとすることができる。円偏波を送受信する場合は、ヘリカルエレメントを備える左旋円偏波アンテナ部と右旋円偏波アンテナ部とをアンテナケース10内に内蔵させる。なお、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3は、アンテナケース10の背面側が後述する取付金具5により第1マスト4aに固着されている。
【0013】
第1マスト4aの下部と第2マスト4bの上部とが2つの上下に配置されたマスト固着具4cにより固着されている。マスト固着具4cは、第1マスト4aの外周面を両側から抱持すると共に第2マスト4bの外周面を両側から抱持する部材がボルトで連結されて構成され、ボルトを締着することにより第1マスト4aが第2マスト4bに支持され、ボルトを緩めることにより第1マスト4aを第2マスト4bに対して上下に摺動できるようになる。第1マスト4aおよび第2マスト4bは、金属パイプ製あるいはFRP(Fiber-Reinforced Plastics )パイプやビニルパイプ等の樹脂パイプ製とされている。
【0014】
第2マスト4bをグランドに起立して支持する金属製の取付台7は、グランド上に配置される細長い矩形状とされた平板状の第1取付足101と、第1取付足101にほぼ直交するよう配置された細長い矩形状とされた平板状の第2取付足102とを備えている。第1取付足101と第2取付足102とは、中央部が両端部より上に位置して両端部の下面がグランドに接した際に中央部がグランドから浮くように、中央部と両端部との境界において屈曲されている。第1取付足101と第2取付足102との中央には挿通孔が形成されており、第1取付足101に第2取付足102を重ねた状態において、中央の挿通孔に下から頭部が円盤状の固定ボルトを挿通して固定ボルトを第2マスト4bの下端面に螺合する。この固定ボルトを締め付けても、第1取付足101と第2取付足102とは第2マスト4bの下端面に対して回動することができる。第1取付足101および第2取付足102の中央部における端部である両端側との境界部分にそれぞれL字金具がボルトで固着されている。そして、第1取付足101の端部にそれぞれに固着された2つのL字金具に細長い矩形状とされた平板状の2本の第1ステー111,112の下端がそれぞれボルトで固着され、第2取付足102の端部にそれぞれに固着された2つのL字金具に細長い矩形状とされた平板状の2本の第2ステー113,114の下端がそれぞれボルトで固着されている。2本の第1ステー111,112の上端は、第2マスト4bを抱持するよう固着された第1締め付け具121の両側にそれぞれボルトで固着され、2本の第2ステー113,114の上端は、第2マスト4bを抱持するよう固着された第2締め付け具122の両側にそれぞれボルトで固着されている。第1締め付け具121および第2締め付け具122は、締着ボルトを備え締着ボルトを締め付けることにより、第1ステー111,112および第2ステー113,114の機能により第2マスト4bが直立して大きな機械的強度を保てるように支持されるようになる。また、締着ボルトを緩めることにより、第1取付足101に対して第2取付足102を回転させて第1取付足101と第2取付足102の角度を開いたり閉じたりすることができるようになる。
【0015】
図1に示す状態は、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が締着され、マスト固着具4cのボルトが締着され、第1締め付け具121および第2締め付け具122の締着ボルトが締着されて、アンテナ取付装置100が組み立てられた状態を示している。この場合、第1取付足101と第2取付足102とがほぼ直交するように開かれている。そして、図2に示す状態はアンテナ取付装置100が折り畳まれた状態を示している。すなわち、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が緩められて、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が互いに平行になるように、第1マスト4aに対して回転されて、取付金具5が仮止めされている。また、マスト固着具4cのボルトが緩められて第1マスト4aが下限まで移動されてボルトが仮止めされている。さらに、第1締め付け具121または第2締め付け具122の締着ボルトが緩められて、第1取付足101または第2取付足102を回転して第1取付足101と第2取付足102とが沿うよう閉じられ、緩めた第1締め付け具121または第2締め付け具122の締着ボルトを仮止めする。この場合、締着ボルトを緩めた側の第1取付足101または第2取付足102に設けられている2本のステーを固着しているボルトも緩めるようにする。また、第1締め付け具121および第2締め付け具122の締着ボルトを共に緩めて、第1取付足101と第2取付足102とが沿うよう閉じてもよい。
【0016】
図2に示すように折り畳んだ状態とされた第1実施例のアンテナ取付装置100は、自立可能であり、ほぼ平行とされた第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の投影面上に閉じた第1取付足101および第2取付足102がほぼ重なるようになるから、保管する際に占める体積を減少することができる。このため、折り畳んだ状態の複数のアンテナ取付装置100を互いに平行になるように配置することで狭い空間であっても、多数のアンテナ取付装置100を並べて保管することができるようになる。
なお、第1実施例のアンテナ取付装置100は、第1マスト4aを第2マスト4bから上方向に伸張させる長さは任意の長さとすることができ、設置する場所に応じてアンテナ取付装置100の高さを調整することができる。最大の高さは、例えば約2300mmとされ、最も縮めた折り畳んだ状態の高さは約1800mmとなる。第1実施例のアンテナ取付装置100を折り畳んだ状態の横幅は、例えば約1000mmとなり、奥行き1000mmの空間に折り畳んだ状態のアンテナ取付装置100を3台並べて保管することができる奥行きの幅となる。
【0017】
そして、折り畳んだ状態のアンテナ取付装置100を組み立てる際には、第1締め付け具121または第2締め付け具122における締着ボルトの仮止めを解除し、締着ボルトを緩めた側の第1取付足101または第2取付足102に設けられている2本のステーを固着しているボルトの仮止めを解除する。次いで、第1取付足101と第2取付足102とがほぼ直交配置されるよう締着ボルトを緩めた取付足を開いて、緩めた第1締め付け具121または第2締め付け具122の締着ボルトを締着する。次いで、取付金具5の仮止めを解除して第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が所定方向を向くように取付金具5で固着する。所定方向に向くように第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3を固着するのは、後述するように容易に行える。また、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3からの受信信号を受信する端末が、図示していないが第2マスト4bの取付台7のすぐ上に固着されている。
さらに、第1取付足101および第2取付足102の両端に開けられているアンカー取付穴にアンカーボルトを挿通してグランドに締着するようにすると、アンテナ取付装置100の転倒を防止することができる。また、第1取付足101および第2取付足102の上に土嚢やおもりを載置するようにして、第1実施例のアンテナ取付装置100の転倒を防止するようにしてもよい。
なお、第1取付足101および第2取付足102の長さは、例えば約1000mmとされて第1実施例のアンテナ取付装置100を設置した際に、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が壁などに接触することが防止されている。この場合、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の中心軸方向の長さは約560mmとされている。また、第1実施例のアンテナ取付装置100が仮に転倒した場合は、取付台7と第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3とを結ぶ面内に端末が存在するようになり、転倒しても端末は直接衝撃を受けず保護されるようになる。
【0018】
ここで、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3を所定方向を向くように容易に固着できることについて図7ないし図9を参照して説明する。図7は第1実施例のアンテナ取付装置100に取り付けられたアンテナ装置の構成を示す斜視図、図8図7の一部の構成を拡大して示す斜視図、図9(a)は第1マスト4aの構成の一部を拡大して示す斜視図、図9(b)はその上面図である。
図9(a)(b)に示すように、第1マスト4aの上部の外周面において規定ボルト6aが突出して設けられている。この規定ボルト6aと所定間隔を開けると共に規定ボルト6aから角度θ1(例えば、45°または40°)回転させた規定ボルト6bが突出して設けられている。さらに、この規定ボルト6bと所定間隔を開けると共に規定ボルト6bから角度θ2(例えば、45°または40°)回転させた規定ボルト6cが突出して設けられている。規定ボルト6aないし規定ボルト6cの間隔は、例えば200mmまたは150mmとされている。
【0019】
第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3は、図7図8に示すように取付金具5aにより第1指向性アンテナ1が第1マスト4aの規定ボルト6aの突出位置に固着され、取付金具5bにより第2指向性アンテナ2が第1マスト4aの規定ボルト6bの突出位置に固着され、取付金具5cにより第3指向性アンテナ3が第1マスト4aの規定ボルト6cの突出位置に固着される。取付金具5aないし取付金具5cは同じ構成の取付金具5とされ、取付金具5の説明を図8を参照して取付金具5bで説明する。
図8に示すように、第2指向性アンテナ2のアンテナケース10の背面側に断面形状がM字状の取付座金具201が固着されている。この場合、取付座金具201の両側に配置された断面ほぼコ字状のサドル金具に挿通された1対の取付ネジで固着される。取付座金具201に対向すると共に第1マスト4aをその間に挟むように断面形状がコ字状の押さえ金具202が配置される。押さえ金具202の中央部は山形に折曲されており、その頂部に規定ボルト6bを挿通する規定ボルト挿通孔が形成されている。この規定ボルト挿通孔に第1マスト4aに設けられた規定ボルト6bが挿通されるように、第1マスト4aを取付座金具201と押さえ金具202との間に配置して、取付座金具201に遊動可能に設けられているUボルト204のネジが切られている両腕部の先端部を押さえ金具202の両側に挿通して、両腕部の先端に1対の蝶ネジ205を螺合して締着する。
【0020】
これにより、取付座金具201と押さえ金具202との間に第1マスト4aが挟持されて、第2指向性アンテナ2を第1マスト4aに取り付けることができる。取付座金具201および押さえ金具202は平板状の板金を加工して作成されており、取付座金具201と押さえ金具202の第1マスト4aに接する部位には第1マスト4aに喰い込む鋸歯状の突起が複数形成されている。また、Uボルト204のネジが切られている一方の腕の所定位置にストップナット206が螺着されている。ストップナット206は、2つのナットからなるロックナットとすることができる。押さえ金具202から突出しているストップナット206が設けられているUボルト204の腕に蝶ネジ205を螺合していくと、押さえ金具202の裏面がストップナット206に衝突した際に、押さえ金具202がストップナット206と蝶ネジ205で挟持されて固着される。すなわち、取付座金具201から押さえ金具202までの間隔がストップナット206により規制されるようになる。次いで、Uボルト204のもう一方の腕に蝶ネジ205を締着する。これにより、取付座金具201から押さえ金具202までの間隔がストップナット206により規制されることから、取付座金具201に対して押さえ金具202が斜めになることが防止されて平行になって、規定ボルト6bに対して取付金具5bが固着された第2指向性アンテナ2が直交するように固着される。
【0021】
このように、押さえ金具202をUボルト204で取り付ける際に、ストップナット206側を先に締着してから他側を締着することにより、取付金具5bは規定ボルト6bに対して直交するようになる。そして、第2指向性アンテナ2の指向方向はアンテナケースの中心軸に対してほぼ直交するから、取付金具5bにより第1マスト4aに固着されている第2指向性アンテナ2の指向方向は規定ボルト6bの延伸方向となる。これにより、第2指向性アンテナ2が所定方向を向くように角度調整を行うことなく容易に固着することができる。第1指向性アンテナ1および第3指向性アンテナ3も規定ボルト6aと取付金具5aおよび規定ボルト6cと取付金具5cにより第2指向性アンテナ2と同様に第1マスト4aに固着されることから、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3を所定方向を向くように角度調整を行うことなく容易に固着することができる。
【0022】
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例にかかるアンテナ取付装置200を説明する。第2実施例のアンテナ取付装置200は、第1実施例のアンテナ取付装置100の取付台7が構成の異なる取付台8で構成されており、取付台8の構成を除いて第1実施例のアンテナ取付装置100と同様の構成とされている。そこで、第2実施例のアンテナ取付装置200では図3および図4を参照して取付台8だけの説明を行う。図3は第2実施例の取付台8の構成を示す斜視図、図4は第2実施例の取付台8を折り畳んだ構成を示す斜視図である。
第2実施例のアンテナ取付装置200において、第2マスト4bがグランドに起立されるよう支持する金属製の取付台8は、グランド上に配置される細長い断面L字状の第1取付足141と、第1取付足141に対向するよう配置された細長い断面L字状の第2取付足142と、第1取付足141および第2取付足142にほぼ直交するよう配置された細長い断面L字状の第3取付足143と、第3取付足143に対向するよう配置された細長い断面L字状の第4取付足144とを備えている。
【0023】
第1取付足141ないし第4取付足144の一端において、L字状に立設している側に挿通孔がそれぞれ形成されており、第2マスト4bの下部には第2マスト4bを横方向に貫通する第1貫通孔と、第1貫通孔のすぐ上に第1貫通孔と直交する第2マスト4bを貫通する第2貫通孔が形成されている。第2マスト4bの下部の第1貫通孔を第1取付足141および第2取付足142の一端で両側から挟持するよう第1取付足141および第2取付足142が配置されて、第1取付足141の一端に形成された挿通孔に挿通した第1取付ボルト161を、第2マスト4bの第1貫通孔に挿通し、さらに、第2取付足142の一端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bの下部に第1取付足141および第2取付足142が固着されている。また、第2マスト4bの下部の第2貫通孔を第3取付足143および第4取付足144の一端で両側から挟持するよう第3取付足143および第4取付足144が配置されて、第3取付足143の一端に形成された挿通孔に挿通した第2取付ボルト162を、第2マスト4bの第2貫通孔に挿通し、さらに、第4取付足144の一端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bに第3取付足143および第4取付足144が固着されている。
【0024】
第1取付足141ないし第4取付足144の中央部のL字状に立設している側にそれぞれステー取付孔が形成されている。また、第2マスト4bの下端から所定位置に第2マスト4bを貫通する第1貫通孔にほぼ平行とされた第3貫通孔が形成され、第3貫通孔のすぐ上に第2貫通孔とほぼ平行に第2マスト4bを貫通する第4貫通孔が形成され、第3貫通孔の上に所定間隔開けて第3貫通孔とほぼ平行に第2マスト4bを貫通する第1取付穴165が形成され、第4貫通孔の上に所定間隔開けて第4貫通孔とほぼ平行に第2マスト4bを貫通する第2取付穴166が形成されている。
第1取付足141のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状のステー151の下端がボルトで固着され、第2取付足142のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状のステー152の下端がボルトで固着され、第3取付足143のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状のステー153の下端がボルトで固着され、第4取付足144のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状のステー154の下端がボルトで固着されている。
【0025】
そして、ステー151の上端に形成された挿通孔に挿通した第3取付ボルト163を、第2マスト4bの第3貫通孔に挿通し、さらに、ステー152の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着されている。また、ステー153の上端に形成された挿通孔に挿通した第4取付ボルト164を、第2マスト4bの第4貫通孔に挿通し、さらに、ステー154の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着されている。これにより、第1取付足141および第2取付足142に第3取付足143および第4取付足144がほぼ直交して第2マスト4bに固着され、ステー151ないしステー154の機能により第2マスト4bが直立されて大きな機械的強度を保てるように支持されるようになる。
【0026】
図3に示す状態は第2実施例のアンテナ取付装置200が組み立てられた状態を示しており、図示されていないが第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が締着され、マスト固着具4cのボルトが締着されている。そして、図4に示す状態は第2実施例のアンテナ取付装置200が折り畳まれた状態を示している。すなわち、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が緩められて、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が互いに平行になるように、第1マスト4aに対して回転されて、取付金具5が仮止めされている。また、マスト固着具4cのボルトが緩められて第1マスト4aが下限まで移動されてボルトが仮止めされている。さらに、図4に示すように取付台8が折り畳まれている。折り畳んだ状態とされた第2実施例のアンテナ取付装置200は、保管する際に占める体積を減少することができる。このため、折り畳んだ状態の複数のアンテナ取付装置200を互いに平行になるように配置することで狭い空間であっても、多数のアンテナ取付装置200を並べて保管することができるようになる。
【0027】
取付台8を折り畳む際には、第1取付ボルト161および第2取付ボルト162を緩め、さらに、第3取付ボルト163および第4取付ボルト164を第2マスト4bの第3貫通孔および第4貫通孔から取り外す。そして、ステー151の上端に形成された挿通孔に挿通した第3取付ボルト163を、第2マスト4bの第3貫通孔より上に形成した第1取付穴165に挿通し、さらに、ステー152の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bに沿うように第1取付足141および第2取付足142および2本のステー151,152が回転されて固着されるようになる。また、ステー153の上端に形成された挿通孔に挿通した第4取付ボルト164を、第2マスト4bの第4貫通孔より上に形成した第2取付穴166に挿通し、さらに、ステー154の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bに沿うように第3取付足143および第4取付足144および2本のステー153,154が回転されて固着されるようになる。この取付台8の状態が図4に示す状態となり、第1取付ボルト161および第2取付ボルト162は仮止めされている。
【0028】
そして、折り畳んだ状態の第2実施例のアンテナ取付装置200を組み立てる際には、第3取付ボルト163および第4取付ボルト164を第2マスト4bの第1取付穴165および第2取付穴166から取り外す。次いで、第1取付ボルト161および第2取付ボルト162の仮止めを解除して、第3取付ボルト163および第4取付ボルト164を第3貫通孔および第4貫通孔に上述したように挿通して螺着する。また、取付金具5の仮止めを解除して第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が所定方向を向くように取付金具5で固着する。所定方向に向くように第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3を固着するのは、上述したように容易に行える。さらに、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3からの受信信号を受信する端末が、図示していないが第2マスト4bの取付台8のすぐ上に固着されている。さらにまた、第1取付足141ないし第4取付足144の外側に位置する他端にアンカー取付穴を開けて、アンカー取付穴にアンカーボルトを挿通してグランドに締着して、第2実施例のアンテナ取付装置200の転倒を防止するようにしてもよい。さらにまた、第1取付足141ないし第4取付足144の上に土嚢やおもりを載置するようにして、第2実施例のアンテナ取付装置200の転倒を防止するようにしてもよい。
なお、第1取付足141と第2取付足142との両端間、第3取付足143と第4取付足144との両端間の長さは、例えば約1000mmとされて第2実施例のアンテナ取付装置200を設置した際に、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が壁などに接触することが防止されている。この場合、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の中心軸方向の長さは約560mmとされている。また、第2実施例のアンテナ取付装置200が仮に転倒した場合は、取付台8と第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3とを結ぶ面内に端末が存在するようになり、転倒しても端末は直接衝撃を受けず保護されるようになる。
【0029】
<第3実施例>
次に、本発明の第3実施例にかかるアンテナ取付装置300を説明する。第3実施例のアンテナ取付装置300は、第1実施例のアンテナ取付装置100の取付台7が構成の異なる取付台9で構成されており、取付台9の構成を除いて第1実施例のアンテナ取付装置100と同様の構成とされている。そこで、第3実施例のアンテナ取付装置300では図5および図6を参照して取付台9だけの説明を行う。図5は第3実施例の取付台9の構成を示す斜視図、図6は第3実施例の取付台9を折り畳んだ構成を示す斜視図である。
第3実施例のアンテナ取付装置300において、第2マスト4bがグランドに起立されるよう支持する金属製の取付台9は、グランド上に配置される細長い断面L字状の第1取付足141と、第1取付足141に対向するよう配置された細長い断面L字状の第2取付足142と、第1取付足141および第2取付足142にほぼ直交するよう配置された細長い断面L字状と第3取付足143と、第3取付足143に対向するよう配置された細長い断面L字状の第4取付足144とを備えている。
【0030】
第1取付足141ないし第4取付足144の一端において、L字状に立設している側に挿通孔がそれぞれ形成されており、第2マスト4bの下部には第2マスト4bを横方向に貫通する第1貫通孔と、第1貫通孔のすぐ上に第1貫通孔と直交する第2マスト4bを貫通する第2貫通孔が形成されている。第2マスト4bの下部の第1貫通孔を第1取付足141および第2取付足142の一端で両側から挟持するよう第1取付足141および第2取付足142が配置されて、第1取付足141の一端に形成された挿通孔に挿通した第1取付ボルト161を、第2マスト4bの第1貫通孔に挿通し、さらに、第2取付足142の一端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bの下部に第1取付足141および第2取付足142が固着されている。また、第2マスト4bの下部の第2貫通孔を第3取付足143および第4取付足144の一端で両側から挟持するよう第3取付足143および第4取付足144が配置されて、第3取付足143の一端に形成された挿通孔に挿通した第2取付ボルト162を、第2マスト4bの第2貫通孔に挿通し、さらに、第4取付足144の一端に形成された挿通孔に挿通して螺着することにより、第2マスト4bに第3取付足143および第4取付足144が固着されている。
【0031】
第1取付足141ないし第4取付足144の中央部のL字状に立設している側にそれぞれステー取付孔が形成されている。また、第2マスト4bの下端から所定位置に第2マスト4bを貫通する第1貫通孔にほぼ平行とされた第3貫通孔が形成され、第3貫通孔のすぐ上に第2貫通孔とほぼ平行に第2マスト4bを貫通する第4貫通孔が形成されている。さらに、第1貫通孔と第3貫通孔の間の所定位置に第1貫通孔を若干回転させた角度で第2マスト4bを貫通する第1取付穴175が形成され、第1取付穴175のすぐ上に第1取付穴175とほぼ平行に第2マスト4bを貫通する第2取付穴176が形成されている。
第1取付足141のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状の第1ステー171の下端がボルトで固着され、第2取付足142のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状の第1ステー172の下端がボルトで固着され、第3取付足143のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状の第2ステー173の下端がボルトで固着され、第4取付足144のステー取付孔に細長い矩形状とされた平板状の第2ステー174の下端がボルトで固着されている。
【0032】
そして、第1ステー171の上端に形成された挿通孔に挿通した第3取付ボルト163を、第2マスト4bの第3貫通孔に挿通し、さらに、第1ステー172の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着されている。また、第2ステー173の上端に形成された挿通孔に挿通した第4取付ボルト164を、第2マスト4bの第4貫通孔に挿通し、さらに、第2ステー174の上端に形成された挿通孔に挿通して螺着されている。これにより、第1取付足141および第2取付足142に第3取付足143および第4取付足144がほぼ直交して第2マスト4bに固着され、2本の第1ステー171,172および2本の第2ステー173,174の機能により第2マスト4bが直立されて大きな機械的強度を保てるように支持されるようになる。また、2本の第2ステー173,174の上端に形成された挿通孔から下側に所定間隔を開けて取付孔173aがそれぞれ形成されている。なお、ステーの共通化を図るために、2本の第1ステー171,172にも上記取付孔173aを形成するようにしても良い。
【0033】
図5に示す状態は第3実施例のアンテナ取付装置300が組み立てられた状態を示しており、図示されていないが第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が締着され、マスト固着具4cのボルトが締着されている。そして、図6に示す状態は第3実施例のアンテナ取付装置300が折り畳まれた状態を示している。すなわち、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の取付金具5が緩められて、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が互いに平行になるように、第1マスト4aに対して回転されて、取付金具5が仮止めされている。また、マスト固着具4cのボルトが緩められて第1マスト4aが下限まで移動されてボルトが仮止めされている。さらに、図6に示すように取付台9が折り畳まれている。折り畳んだ状態とされた第3実施例のアンテナ取付装置300は、ほぼ平行とされた第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の投影面上に閉じた第1取付足141ないし第4取付足144がほぼ重なるようになるから、保管する際に占める体積を減少することができる。このため、折り畳んだ状態の複数の第3実施例のアンテナ取付装置300を互いに平行になるように配置することで狭い空間であっても、多数の第3実施例のアンテナ取付装置300を並べて保管することができるようになる。
【0034】
取付台9を折り畳む際には、第2取付ボルト162および第4取付ボルト164を第2マスト4bの第2貫通孔および第4貫通孔から取り外す。そして、第2マスト4bの第1取付穴175を第3取付足143および第4取付足144の一端で両側から挟持するよう第3取付足143および第4取付足144を配置して、第3取付足143の一端に形成された挿通孔に挿通した第2取付ボルト162を、第2マスト4bの第1取付穴175に挿通し、さらに、第4取付足144の一端に形成された挿通孔に挿通して螺着する。また、第2ステー173の上端に形成された挿通孔の下に形成された取付孔173aに挿通した第4取付ボルト164を、第2マスト4bの第2取付孔176に挿通し、さらに、第2ステー174の上端に形成された挿通孔の下に形成された取付孔173aに挿通して螺着する。第1取付穴175および第2取付穴176は第1貫通孔を若干回転させた角度で第2マスト4bを貫通するよう形成されていることから、第1取付足141および第2取付足142に対して第3取付足143および第4取付足144と2本の第2ステー173,174が閉じると共に、第3取付足143および第4取付足144の後端が若干上に浮いて固着されるようになる。この取付台9の状態が図6に示す状態となる。
【0035】
そして、折り畳んだ状態の第3実施例のアンテナ取付装置300を組み立てる際には、第2取付ボルト162および第4取付ボルト164を第2マスト4bの第1取付穴175および第2取付穴176から取り外す。次いで、第2取付ボルト162および第4取付ボルト164を第2貫通孔および第4貫通孔に上述したように挿通して螺着する。また、取付金具5の仮止めを解除して第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が所定方向を向くように取付金具5で固着する。所定方向に向くように第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3を固着するのは、上述したように容易に行える。さらに、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3からの受信信号を受信する端末が、図示していないが第2マスト4bの取付台9のすぐ上に固着されている。さらにまた、第1取付足141ないし第4取付足144の外側に位置する他端にアンカー取付穴を開けて、アンカー取付穴にアンカーボルトを挿通してグランドに締着して、第3実施例のアンテナ取付装置300の転倒を防止するようにしてもよい。さらにまた、第1取付足141ないし第4取付足144の上に土嚢やおもりを載置するようにして、第3実施例のアンテナ取付装置300の転倒を防止するようにしてもよい。
なお、第1取付足141と第2取付足142との両端間、第3取付足143と第4取付足144との両端間の長さは、例えば約1000mmとされて第3実施例のアンテナ取付装置300を設置した際に、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3が壁などに接触することが防止されている。この場合、第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3の中心軸方向の長さは約560mmとされている。また、第3実施例のアンテナ取付装置300が仮に転倒した場合は、取付台9と第1指向性アンテナ1ないし第3指向性アンテナ3とを結ぶ面内に端末が存在するようになり、転倒しても端末は直接衝撃を受けず保護されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の実施例にかかるアンテナ取付装置は、工場や工事現場の環境モニタリングなどを行う場面で設置されるアンテナ取付装置とすることができる。この場合、本発明の実施例にかかるアンテナ取付装置は端末を備えており、測量済のフィールド内の周囲の所定位置に図10に示すように設置される。
上記説明した本発明の実施例のアンテナ取付装置において、円偏波を送受信する場合にアンテナケース内に内蔵されるヘリカルエレメントを備える左旋円偏波アンテナ部と右旋円偏波アンテナ部とは、例えば、2組のホット素子とコールド素子を構成する第1ヘリカル素子ないし第4ヘリカル素子をヘリカル状に巻回して構成することができる。そして、第1の組に給電される位相と第2の組に給電される位相との位相差を約90°となるよう給電することにより、円偏波を送受信できるようになる。この場合、第1ヘリカル素子ないし第4ヘリカル素子を左巻きのヘリカル状に巻回することで左旋円偏波用となり、右巻きのヘリカル状に巻回することで右旋円偏波用とすることができる。また、第1ヘリカル素子ないし第4ヘリカル素子の巻き中心の軸を互いに偏心させて、ピッチを小さくすることにより、電気的特性がずれることなく低姿勢化することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 第1指向性アンテナ、2 第2指向性アンテナ、3 第3指向性アンテナ、4a 第1マスト、4b 第2マスト、4c マスト固着具、5 取付金具、5a,5b,5c 取付金具、6a,6b,6c 規定ボルト、7 取付台、8 取付台、9 取付台、10 アンテナケース、100 アンテナ取付装置、101 第1取付足、102 第2取付足、111,112 第1ステー、113,114 第2ステー、121 第1締め付け具、122 第2締め付け具、141 第1取付足、142 第2取付足、143 第3取付足、144 第4取付足、151~154 ステー、161 第1取付ボルト、162 第2取付ボルト、163 第3取付ボルト、164 第4取付ボルト、165 第1取付穴、166 第2取付穴、171,172 第1ステー、173,174 第2ステー、173a 取付孔、175 第1取付穴、176 第2取付孔、200 アンテナ取付装置、201 取付座金具、202 押さえ金具、204 Uボルト、205 蝶ネジ、206 ストップナット、300 アンテナ取付装置、1010 ターゲット、A1a 第1指向性アンテナ、A1b 第2指向性アンテナ、A1c 第3指向性アンテナ、T1~T4 端末
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