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特許7031994二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計
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  • 特許-二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計 図1
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  • 特許-二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計 図11
  • 特許-二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/52 20060101AFI20220301BHJP
   G01G 19/44 20060101ALI20220301BHJP
   G01G 19/02 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G01G19/52 F
G01G19/44 Z
G01G19/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019001044
(22)【出願日】2019-01-08
(65)【公開番号】P2020112358
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000127570
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】川口 恭
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】実公平05-037228(JP,Y2)
【文献】特開平10-232161(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1076961(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0223625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/00-19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量機構を有する大型の平板型の計量台と、前記計量台を収容して床面を移動可能なスタンドとを備えた体重計であって、
前記スタンドは、
前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持する第1タイヤと、
前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤと、
を有し、
前記第1タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第2傾斜角度とは異なるように構成されている、
ことを特徴とする体重計。
【請求項2】
前記第1タイヤおよび前記第2タイヤは、それぞれ一対ずつ設けられ、床面から離間して回動可能に取り付けられており、
前記一対の第1タイヤは、互いの軸方向が略一致するように、前記第1タイヤの進行方向に対して平行に取付けられており、
前記一対の第2タイヤは、前記第2タイヤの進行方向に対して並列に並んで取付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の体重計。
【請求項3】
前記一対の第2タイヤは、前記一対の並んだ第1タイヤ間に配置され、取付けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の体重計。
【請求項4】
前記第2タイヤは、前記スタンドを傾斜させて前記第2タイヤ床面に接地する傾斜方向に傾斜して取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の体重計。
【請求項5】
前記第2タイヤの接地面の横断面形状が円弧状である、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の体重計。
【請求項6】
傾斜させることで床面を移動可能な移動機構が設けられた大型の体重計であって、
前記体重計を傾斜させた際に床面に接地して前記体重計を支持する第1タイヤと、
前記体重計を傾斜させた際に床面に接地して前記体重計を支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤと、
を備え、
前記第1タイヤが床面に接地する際の前記体重計の第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する際の前記体重計の第2傾斜角度よりも大きくなるように構成されている、
ことを特徴とする体重計。
【請求項7】
計量台を収容して床面を移動可能なスタンドであって、
前記スタンドは、前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持する第1タイヤと、
前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤと、
を備え、
前記第1タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第2傾斜角度よりも大きくなるように構成されている、
ことを特徴とするスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は主に車椅子体重計などの医療用の大型体重計において、二方向に移動可能な体重計、体重計を収容および搬送可能なスタンド、およびスタンドを備えた体重計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子体重計などの医療用の大型の薄型秤は重量物であり、持ち上げての搬送は困難であるため、例えば特許文献1のように傾けた状態で移動可能な移動機構が秤自体に設けられていたり、あるいは特許文献2のように秤とは別にタイヤ付きのスタンドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-232161号
【文献】実開平2-140426
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらはいずれも移動の方向が一方向のみである。車椅子体重計は大型であるため、上記の構成では小回りもきかず、狭い曲路の搬送に難がある。
【0005】
本発明はこれを鑑みてなされたものであり、その目的は、二方向に移動可能な、体重計、体重計を収納および搬送可能なスタンド、スタンドを備えた体重計の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明のある態様での体重計は、秤量機構を有する大型の平板型の計量台と、前記計量台を収容して床面を移動可能なスタンドとを備えた体重計であって、前記スタンドは、前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持する第1タイヤと、前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤとを有し、前記第1タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する傾斜際の前記スタンドの第2傾斜角度よりも大きくなるように構成した。
【0007】
またある態様では、前記第1タイヤおよび前記第2タイヤは、それぞれ一対ずつ設けられており、前記一対の第1タイヤは、互いの軸方向が略一致するように、前記第1タイヤの進行方向に対して平行に取付けられており、前記一対の第2タイヤは、前記第2タイヤの進行方向に対して並列に並んで取付けられているよう構成した。
【0008】
またある態様では、前記一対の第2タイヤは、前記一対の並んだ第1タイヤ間に配置され、取付けられているよう構成した。
【0009】
またある態様では、前記第2タイヤは、前記スタンドを傾斜させて前記第2タイヤ床面に接地させる傾斜方向に傾斜して取り付けられているよう構成した。
【0010】
またある態様では、前記第2タイヤの接地面の横断面形状が円弧状であるよう構成した。
【0011】
また、本発明のある態様として、傾斜させることで床面を移動可能な移動機構が設けられた大型の体重計であって、前記体重計を傾斜させた際に床面に接地して前記体重計を支持する第1タイヤと、前記体重計を傾斜させた際に床面に接地して前記体重計を支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤとを備え、前記第1タイヤが床面に接地する際の前記体重計の第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する傾斜際の前記体重計の第2傾斜角度よりも大きくなるように構成される体重計を提供する。
【0012】
また、本発明のある態様として、計量台を収容して床面を移動可能なスタンドであって、前記スタンドは、前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持する第1タイヤと、前記スタンドを傾斜させた際に床面に接地して前記スタンドを支持し、その進行方向が前記第1タイヤの進行方向と所定角度を成すように取り付けられた第2タイヤとを備え、前記第1タイヤが床面に接地する際の前記スタンドの第1傾斜角度は、前記第2タイヤが床面に接地する傾斜際の前記スタンドの第2傾斜角度よりも大きくなるように構成されるスタンドを提供する。
【0013】
上記態様によれば、進行方向が異なる二つのタイヤが取付けされているため二方向に進むことでき、方向の変更、即ち接地して支持するタイヤの変更はスタンド(あるいは体重計)の傾斜角度によって決定されるため方向変更の操作が非常に容易であり、簡易でコンパクトな構成で、小回りがきいて傾斜に強い構造をもつ体重計、体重計を収容及び搬送可能なスタンド、及びスタンドを備えた体重計を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、二方向に移動可能な、体重計、体重計を収納および輸送可能なスタンド、及びスタンドを備えた体重計が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の形態に係る体重計であり、(A)は使用状態を、(B)は収容状態を示す。
図2】スタンドの正面斜視図である。
図3】スタンドの正面図である。
図4】スタンドの右側面図である。
図5】スタンドの背面図である。
図6】スタンドの底面斜視図である。
図7】カバーを外した状態のスタンドの正面斜視図である。
図8図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9】計量台のスタンド収容を説明する説明図である。
図10】計量台を収容したスタンドの傾斜状態を示し、(A)は0度傾斜状態、(B)はα度以上β度未満傾斜させた状態、(C)はβ度以上傾斜させた状態を示す。
図11図10のスタンドの拡大図であり、スタンドの床面との接地状態を示す説明図である(計量台は省略されている)。
図12】本発明の形態に係る体重計の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る体重計1であり、(A)が使用状態、(B)が収容状態を示し、図2図7はそれぞれスタンド20の、正面斜視図、正面図、右側面図、背面図、底面斜視図、カバーを外した状態の正面斜視図を示す。図8図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0018】
図1に示すように、体重計1は、計量台10と、スタンド20を備える。計量台10は略扁平直方体形状で、車椅子体重計などの医療用の大型薄型秤であり、車椅子に乗ったまま直接計量台10に乗り上げたり、足を高く上げることなく直接計量台10に載って測定できるように、平坦面の対向する二辺に、設置状態で床面に連なる緩勾配の傾斜部を備える。計量台10の秤量機構は、例えば特開平10-232161号などに詳しく、従来周知の構成である。
【0019】
スタンド20は、計量台10を収容および搬送が可能で、計量台10を収容した状態においても、計量台10を収容しない単独の状態においても、他者による支えを必要とせず、自立可能である。
【0020】
スタンド20は、上下方向に揺動可能に支持された表示部21を備える。体重計1を使用の際、表示部21は、床面に設置された計量台10とケーブル30で接続されて計量結果を表示する(図1(A)参照)。体重計1を搬送の際は、ケーブル30が外され、計量台10が倒立してスタンド20に収容され、表示部21が計量台10に係合して、計量台10を固定する(図1(B)参照)。計量台10と表示部21とは、ケーブル30の代わりにBluetooth(登録商標)等の無線により接続されるよう構成しても良い。
【0021】
スタンド20は、床面に接地するベース23、およびベース23に立設される支持体22、ベース23を覆うカバー27を備える。
【0022】
支持体22は中空の金属部材から構成される。支持体22は、ベース23の底面部23aに垂設される二つの支持端部22aと、支持端部22aに連続して鉛直方向に対して背面方向へ所定角度で傾斜して上方に延びる傾斜部22bと、傾斜部22bに連続して水平方向(左右方向)に延びる持手部22cと、二つの傾斜部22bを水平方向に結ぶ水平部22dとを有する。持手部22cは体重計1を搬送の際に使用者に把持される。表示部21は水平部22dに支持される。支持体22は、計量台10を収容の際、これを支えて保持する。
【0023】
ベース23は一枚の金属製平板を屈曲・溶接することで形成され、スタンド20自立時に床面との接地面である底面部23a、底面部23aから連続して背面方向に傾いて上方に延びる背面部23b、支持体22の背面に対向する一対の側面部23cを有する。
【0024】
側面部23cの前面側の端部は支持端部22aに溶接されており、側面部23cは支持体22の立設を補強するリブの役割を果たす。
【0025】
側面部23cの外側には一対の第1タイヤ25が、互いの軸が略一致するよう平行に、回動可能に支持されている。第1タイヤ25の軸は持手部22cと平行であり、第1タイヤ25の進行方向は前後方向(図7の矢印DR1)となっている。
【0026】
また、背面部23bには、一対の第2タイヤ26が、互いの軸が平行となるように並列に並んで、回動可能に支持されている。第2タイヤ26の進行方向は、左右方向(図7の矢印DR2)となっており、第1タイヤ25の進行方向と直交している。
【0027】
第1タイヤ25の軸は側面部23cと、第2タイヤ26の軸は背面部23bと、それぞれ直交するように配置されており、背面部23bは鉛直方向より背面へ傾いて設けられているため、第2タイヤ26は鉛直方向に対して後方へ傾いた状態で支持されている(図6図8参照)。
【0028】
第1タイヤ25及び第2タイヤ26は、床面より離間して支持されているため、スタンド20が自立した状態で、第1タイヤ25も第2タイヤ26も床面とは接地しない。このため、スタンド20は底面部23aのみで安定して自立する。
【0029】
底面部23aの上面には、一枚の金属製平板から構成される載置台24がネジ固定されている。載置台24は、計量台10を載置する載置面24aが底面とは緩角度を成すよう、前方側が高くなるように形成されている。倒立して載置面24aに載置された計量台10を、背面にある支持体22の方向へ僅かに傾かせ、計量台10の転倒を防止している。
【0030】
底面部23aと背面部23bとの稜線である屈曲部23dは、使用者が持手部22cを把持してスタンド20を後方へ傾斜させる際の支点となる。
【0031】
ベース23は、ベース23の形状に合わせて形成されたカバー27に覆われている。カバー27には、前方に左右方向に延びる凹部27aが形成されている。凹部27aには、収容状態で底面となる計量台10の傾斜部の無い側面部が嵌合する。凹部27aの底面には載置台24に対応した開口部27bが設けられており、カバー27が取付けられた状態で、開口部27bから載置面24aが露出する。
【0032】
カバー27は第1タイヤ25及び第2タイヤ26とは離間して配置され、第1タイヤ25及び第2タイヤ26の回動を邪魔しない。
【0033】
カバー27の中央付近には物入れとして使用できる大きく窪んだ袋部27cが形成されており、使用者が体重計1を搬送の際にはここへケーブル30などを入れて一緒に運ぶことができる。
【0034】
図9に示すように、スタンド20に計量台10を収容の際は、まず表示部21を上方に揺動させ、計量台10を倒立させて載置面24aに載置し、再び表示部21を下方に揺動させて計量台10の側面と係合させる。計量台10は凹部27aに嵌り、僅かに後方に傾倒しながら支持体22に支持された状態で表示部21に固定され、安定した状態でスタンド20に保持される。本実施形態では計量台10の固定に表示部21を用いたが、代わりに面ファスナーを用いて計量台10を水平部22dに固定するよう構成してもよい。
【0035】
ここで、スタンド20の搬送について図10および図11を用いて詳しく説明する。図10は計量台10を収容したスタンド20の傾斜状態を示し、(A)はスタンド20が自立した状態、(B)は(A)の状態からスタンド20を僅かに傾斜させた状態、(C)はスタンド20を(B)の状態からより大きな角度で傾斜させた状態を示す。図11図10のスタンド20の拡大図であり、スタンド20の床面との接地状態を説明するための説明図である。図11では計量台10は省略している。
【0036】
全体が傾斜せず、底面部23aが床面に接地している、即ちスタンド20が自立した状態では、第1タイヤ25も第2タイヤ26も、床面には接地していない(図11(A)参照。第2タイヤ26も僅かに床面から離間している)。このとき屈曲部23dを中心として、床面と第2タイヤ26の接線は角度αの微角を成している。また第1タイヤ25及び第2タイヤ26の接線と床面とは角度βを成している。0<角度α<角度βであり、角度βが角度αよりも大きくなるように、第1タイヤ25及び第2タイヤ26は、取付け位置、タイヤ半径、取付け角度を調整されて、配置されている。
【0037】
スタンド20を、屈曲部23dを支点として背面側へ角度α以上(角度β未満)傾斜させると、底面部23aは床面から離間して第2タイヤ26が床面に接地する(図11(B)参照)。このとき、第1タイヤ25は床面に接地しておらず、スタンド20は第2タイヤ26のみで支持される。第2タイヤ26の進行方向は左右方向(図10(B)においては扉から出入りする方向)であるため、スタンド20は僅かに傾斜した状態で左右方向へ移動できる。
【0038】
スタンド20を、今度は第2タイヤ26を支点としてさらに後方へ傾斜させ、傾斜角度が角度βを超えると、第1タイヤ25が床面と接地して第2タイヤ26は床面から離間し、スタンド20は第1タイヤ25のみで支持される(図11(C)参照)。第1タイヤ25の進行方向は前後方向であるため、この傾斜した状態でスタンド20を前後方向へ移動できる。
【0039】
即ち、使用者はスタンド20を自身に向かって僅かに傾けることでスタンドを左右方向へ移動させることができ、更に傾斜させることでスタンド20を押して、あるいは引いて進むことができる。図10に示すように、使用者はスタンド20を僅かに傾けて扉から通路へ搬出し、通路ではスタンド20を更に傾斜させて通路を走らせ搬送することができる。スタンド20は上記構成により二方向への移動が可能であるため小回りがきき、移動方向の変更は傾斜角度の変更のみで行えるため、操作が非常に容易である。
【0040】
本実施形態では角度α=1度、角度β=15度で構成されている。角度αは0度以上~5度程度の微角が好ましい。角度α=0度(スタンド20自立状態で第2タイヤ26が床面に接地)とし、傾斜支点を第2タイヤ26としても構わない。角度βは10度以上が好ましい。
【0041】
互いの進行方向が所定角度をなすように取り付けられた第1タイヤ25と第2ダイヤ26において、第2タイヤ26が床面に接地する傾斜角度αと第1タイヤ25が床面に接地する傾斜角度βを異ならしめるだけで二方向への移動は可能であるが、所定角度が略90度で前後左右方向への移動とし、左右方向へ移動のための角度αが、前後方向へ移動のための角度βよりも小さい方が好ましい。これは、角度α傾けての左右方向への移動はドアの出入りなどを想定しており、あまり傾斜角度を大きくするとその分前後方向の長さが伸びるため、狭いドアからの出入りが難しくなる。一般的な扉の幅を超えない範囲で左右方向移動のためのタイヤが使用できることが必要であるため、角度αは微角であることが好ましい。さらに左右方向への移動は補助的で、通常は持手部22cを把持してスタンド20を前へ押して、あるいは後ろ手に引いて搬送するため、傾斜角度が大きい方が安定性が増して持ち運びしやすいことから、より大きな傾斜角度が必要なタイヤ(角度β)を前後方向の移動のために割り当てる方が使い勝手が良い。
【0042】
第1タイヤ25及び第2タイヤ26は樹脂製であり、荷重による変形が殆どない。もちろん、両者にゴムタイヤを使用することも可能であり、その場合、計量台10が積み込まれた状態でのタイヤの弾性変形や、傾斜させた際の沈み込み量を考慮することが望ましい。
【0043】
移動のメインである第1タイヤ25の間に、よりタイヤ半径の小さな第2タイヤ26が並列に配置され、全体が狭い範囲に機能的に収まり、移動方向変更のための機構も不要で、移動機構がコンパクトに集約されている。
【0044】
第1タイヤ25及び第2タイヤ26は、接地面がラウンド形状(接地面の横断面形状が円弧状)であるため、傾斜して接地しても安定してスタンド20を支持できる。また、第2タイヤ26はスタンド20の傾斜方向と同方向(背面方向)に傾斜して取り付けられており、傾斜に強い構造となっている。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限られない。図12に変形例として体重計1A、体重計1Bを示す。体重計1Aおよび体重計1Bは別体としてのスタンドを有さず、前述のスタンドの輸送機能を計量台10に備えた形態で、支持体22は上方に延びて手すりとして計量台10に直接取付され、第1タイヤ25及び第2タイヤ26も計量台10に直接設けられている。
【0046】
体重計1Aはこの形態のまま搬送、収納され、使用者は体重計1Aを傾斜させることで二方向へ自走させることができ、輸送も計量も容易に行うことができる。
【0047】
体重計1Bは、収納時に支持体22が計量台10側へ回転して折り畳まれる形態で、コンパクトに畳むことができ、省スペースに収納できる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態や変形例について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 体重計
10 計量台
20 スタンド
21 表示部
22 支持体
23 ベース
25 第1タイヤ
26 第2タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12