(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220301BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220301BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220301BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N5/225 300
H04N5/232 480
(21)【出願番号】P 2017136035
(22)【出願日】2017-07-12
【審査請求日】2020-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】五明 正人
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083582(JP,A)
【文献】特開2015-082072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 30/00
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子および撮像素子を備える回転体と、前記回転体を前記光学素子の光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を介して前記回転体を支持する固定体と、前記回転体を回転させるローリング用磁気駆動機構と、を有し、前記ローリング用磁気駆動機構は、
前記回転体に保持されたコイルと、
前記固定体に保持されて前記コイルと対向する磁石と、を備え、前記磁石は、前記光軸回りの周方向で2つに分極着磁されている振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法において、
前記回転体であって前記コイルと前記磁石との対向方向から見た場合に前記磁石の着磁分極線と重なる位置に
角度位置復帰用磁性部材を
固定させ、
前記磁石を前記光軸回りに移動させ
ることによって、前記角度位置復帰用磁性部材と前記磁石との間に働く磁気吸引力により前記回転体を前記光軸回りの予め定めた角度位置に配置し、
前記回転体を前記光軸回りの予め定めた角度位置に配置した状態で、移動させた
前記磁石を移動後の移動位置で
前記固定体に固定することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法。
【請求項2】
前記固定体に、固定部材と、前記光軸回りに回転可能な状態で前記固定部材に支持された回転部材と、を備え、
前記固定部材に、前記回転支持機構を介して前記回転体を支持し、
前記回転部材を、磁性部材とし、
前記回転部材に
前記磁石を固定し、
前記回転部材を回転させて
前記磁石を前記光軸回りに移動させることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法。
【請求項3】
前記コイルとして、前記光軸を間に挟んだ両側に配置された2つの前記コイルを備え、
前記磁石として、各コイルに対向する2つの前記磁石を備え、
前記角度位置復帰用磁性部材として、
前記回転体に保持された2つの
前記角度位置復帰用磁性部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法。
【請求項4】
前記コイルと前記磁石とを、前記光軸方向で対向させることを特徴とする請求項1から
3のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末や移動体に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や車両、無人ヘリコプターなどの移動体に搭載される光学ユニットの中には、光学ユニットの揺れに起因する撮影画像の乱れを抑制するために、光学素子を揺動させて振れを補正する振れ補正機能を備えるものがある。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子および撮像素子を備える撮像モジュールと、撮像モジュールを揺動可能に支持する揺動支持機構と、撮像モジュールを光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構とを備える。また、振れ補正機能付き光学ユニットは、撮像モジュールを光軸と交差するピッチング(縦揺れ:チルティング)方向およびヨーイング(横揺れ:パンニング)方向に揺動させる揺動用磁気駆動機構と、撮像モジュールを光軸回りに回転させるローリング用磁気駆動機構とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像モジュールが光軸回りに回転可能に支持されている光学ユニットでは、撮像素子を含む回転体の基準角度位置を調整しなければ、撮像モジュールから出力される画像が傾斜してしまうという問題がある。しかし、撮像モジュールを含む回転体の基準角度位置を調整する回転体基準角度位置調整方法は提案されていない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、撮像素子を含む回転体の基準角度位置を所望の角度位置に設定できる振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法を提案することにある。また、このような回転体基準角度位置調整方法を容易に行うことができる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、光学素子および撮像素子を備える回転体と、前記回転体を前記光学素子の光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を介して前記回転体を支持する固定体と、前記回転体を回転させるローリング用磁気駆動機構と、を有し、前記ローリング用磁気駆動機構は、前記回転体に保持されたコイルと、前記固定体に保持されて前記コイルと対向する磁石と、を備え、前記磁石は、前記光軸回りの周方向で2つに分極着磁されている振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法において、前記回転体であって前記コイルと前記磁石との対向方向から見た場合に前記磁石の着磁分極線と重なる位置に角度位置復帰用磁性部材を固定させ、前記磁石を前記光軸回りに移動させることによって、前記角度位置復帰用磁性部材と前記磁石との間に働く磁気吸引力により前記回転体を前記光軸回りの予め定めた角度位置に配置し、前記回転体を前記光軸回りの予め定めた角度位置に配置した状態で、移動させた前記磁石を移動後の移動位置で前記固定体に固定することを特徴とする。
【0007】
本発明では、回転体および固定体のうちローリング用磁気駆動機構のコイルが保持されている側には、ローリング用磁気駆動機構の磁石と重なる位置に磁性部材を保持させてい
る。ここで、磁性部材と磁石との間には、磁性部材の中心と磁石の着磁分極線とが光軸回りでズレたときに、これらを一致させる方向の磁気吸引力が発生する。従って、磁性部材および磁石の一方を光軸回りに移動させれば、磁性部材と磁石との間に働く磁気吸引力によって、撮像素子を備える回転体の姿勢が光軸回りで変位する。よって、磁性部材または磁石を移動させて回転体を所望の角度位置に配置した後に、移動させた磁性部材または磁石を移動位置で固定すれば回転体の基準角度位置を設定できる。これにより、撮像素子から出力される画像が傾斜することを防止できる。
【0008】
本発明において、前記固定体に、固定部材と、前記光軸回りに回転可能な状態で前記固定部材に支持された回転部材と、を備え、前記固定部材に、前記回転支持機構を介して前記回転体を支持し、前記回転部材を、磁性部材とし、前記回転部材に前記磁石を固定し、前記回転部材を回転させて前記磁石を前記光軸回りに移動させることが望ましい。このようにすれば、固定体に保持された磁石を光軸回りに移動させることが容易となる。このようにすれば、回転部材がヨークとして機能するので、ローリング用磁気駆動機構が回転体を回転させるトルクを上昇させることができる。また、回転部材を磁性部材とすれば、回転部材に磁石を保持して固定することが容易である。
【0010】
本発明において、前記コイルとして、前記光軸を間に挟んだ両側に配置された2つの前記コイルを備え、前記磁石として、各コイルに対向する2つの前記磁石を備え、前記角度位置復帰用磁性部材として、前記回転体に保持された2つの前記角度位置復帰用磁性部材を備えることが望ましい。このようにすれば、2つの磁石に対して、それぞれ磁気吸引力を発揮する2つの磁性部材を備えるので、磁性部材および磁石の一方を移動させたときに、回転体を光軸回りに変位させやすい。また、ローリング用磁気駆動機構として、光軸を間に挟んで2つのローリング用磁気駆動機構を備えるものとなるので、回転体を回転駆動するトルクを向上させることができる。
【0011】
本発明において、前記コイルと前記磁石とを、前記光軸方向で対向させることが望ましい。このようにすれば、振れ補正機能付き光学ユニットが光軸と直交する方向で大型化することを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットの回転体基準角度位置調整方法によれば、ローリング用磁気駆動機構の磁石、または、磁石と重なる位置に配置された磁性部材を光軸回りに移動させることにより、撮像素子を備える回転体を所望の角度位置に配置できるので、基準角度位置を設定できる。
【0020】
また、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットによれば、磁石または磁性部材が固定された回転部材を回転させることにより、撮像素子を備える回転体を所望の角度位置に配置して、基準角度位置を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を適用した光学ユニットを被写体側から見た斜視図である。
【
図2】
図1のA-A線における光学ユニットの断面図である。
【
図3】
図1の光学ユニットを被写体側から見た分解斜視図である。
【
図4】第1ユニットを被写体側から見た分解斜視図である。
【
図5】第1ユニットを反被写体側から見た分解斜視図である。
【
図6】可動ユニットを被写体側から見た場合の斜視図である。
【
図7】可動ユニットを被写体側から見た場合の分解斜視図である。
【
図8】可動ユニットを反被写体側から見た場合の分解斜視図である。
【
図9】光学ユニットを軸線と直交する平面で切断した断面図である。
【
図10】第2ユニットを被写体側および反被写体側から見た斜視図である。
【
図12】第2ユニットを被写体側から見た分解斜視図である。
【
図13】第2ユニットを反被写体側から見た分解斜視図である。
【
図14】固定部材、ローリング駆動用磁石、ヨークの分解斜視図である。
【
図16】可動ユニットの組み立て動作のフローチャートである。
【
図17】可動ユニットの基準角度位置調整動作の説明図である。
【
図18】可動ユニットの基準角度位置調整動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した光学ユニットの実施形態を説明する。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を-Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を-Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を-Zで示す。Z軸方向は光学ユニットの軸線方向であり、光学素子の光軸方向である。+Z方向は光学ユニットの被写体側であり、-Z方向は光学ユニットの反被写体側(像側)である。
【0023】
(全体構成)
図1は本発明を適用した光学ユニットを被写体側から見た斜視図である。
図2は
図1のA-A線における光学ユニットの断面図である。
図3は
図1の光学ユニットを被写体側から見た場合の分解斜視図である。
図1に示す光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器に振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。本例の光学ユニット1は、撮影画像の乱れを回避するため、搭載する撮像モジュール2の傾きや回転を補正する振れ補正機能付き光学ユニットである。
【0024】
図2、
図3に示すように、光学ユニット1は、撮像モジュール2を有する第1ユニット3と、-Z方向の側から第1ユニット3を回転可能に支持する第2ユニット4を備える。
【0025】
図2に示すように、第1ユニット3は、撮像モジュール2を備える可動ユニット5と、可動ユニット5を揺動可能に支持する揺動支持機構6と、揺動支持機構6を介して可動ユニット5を外周側から支持するホルダ7と、可動ユニット5およびホルダ7を外周側から囲むケース体8とを備える。撮像モジュール2は、光学素子9と、光学素子9の光軸上に配置された撮像素子10とを備える。揺動支持機構6は、可動ユニット5を、予め定めた軸線Lと光学素子9の光軸とが一致する基準姿勢および軸線Lに対して光軸が傾斜する傾斜姿勢の間で揺動可能に支持する。揺動支持機構6はジンバル機構である。軸線LはZ軸と一致する。
【0026】
また、第1ユニット3は、可動ユニット5を揺動させる揺動用磁気駆動機構11と、揺動する可動ユニット5を基準姿勢に復帰させるための姿勢復帰機構12を備える。揺動用磁気駆動機構11は、可動ユニット5に保持された揺動駆動用コイル13と、ケース体8に保持された揺動駆動用磁石14と、を備える。揺動駆動用コイル13と揺動駆動用磁石
14とは軸線Lと直交する径方向で対向する。姿勢復帰機構12は、ケース体8に保持された揺動駆動用磁石14と、可動ユニット5に保持されて揺動駆動用磁石14と対向する姿勢復帰用磁性部材15とを備える。姿勢復帰機構12は、揺動用磁気駆動機構11が駆動されていない状態における可動ユニット5の基準姿勢を規定する。
【0027】
さらに、第1ユニット3は、可動ユニット5の揺動範囲を規制する揺動ストッパ機構17を備える。また、
図1および
図3に示すように、第1ユニット3は、揺動駆動用コイル13に電気的に接続されたフレキシブルプリント基板18と、撮像素子10に電気的に接続されたフレキシブルプリント基板19と、を備える。可動ユニット5には、可動ユニット5の重心と可動ユニット5の揺動中心とを一致させるためのウエイト20が取り付けられている。
【0028】
次に、第2ユニット4は、ホルダ7を軸線L回りに回転可能に支持する回転支持機構21と、回転支持機構21を介してホルダ7を支持する固定部材22と、固定部材22に回転可能に支持された回転部材23と、を備える。回転支持機構21は、回転台座24と、台座支持機構25と、を備える。回転台座24は、台座支持機構25を介して、固定部材22に回転可能に支持されている。台座支持機構25は軸受部26と回転支持部27とを備える。軸受部26は回転支持部27の-Z方向の側に位置する。回転部材23は、回転支持機構21によるホルダ7の回転中心線(軸線L)と同一の回転中心線(軸線L)回りに回転可能な状態で、固定部材22に支持されている。
【0029】
また、第2ユニット4は、回転台座24を回転させるローリング用磁気駆動機構31を備える。ローリング用磁気駆動機構31は、回転台座24に保持されたローリング駆動用コイル35と、回転部材23に固定されたローリング駆動用磁石36とを備える。ローリング駆動用コイル35とローリング駆動用磁石36とはZ軸方向で対向する。
【0030】
ローリング駆動用磁石36は回転部材23介して固定部材22に保持されている。ローリング駆動用磁石36は、回転部材23の回転中心線(軸線L)から離間する位置に固定されている。従って、回転部材23を固定部材22に対して軸線L回りに相対回転させたときに、ローリング駆動用磁石36は軸線L回り(周方向)に移動する。
【0031】
さらに、第2ユニット4は、回転した回転台座24を予め定めた基準角度位置に復帰させるための角度位置復帰機構32を備える。角度位置復帰機構32は、回転台座24に固定された角度位置復帰用磁性部材37(磁性部材)と、ローリング駆動用磁石36と、を備える。角度位置復帰用磁性部材37は、ローリング駆動用コイル35とローリング駆動用磁石36との対向方向(Z軸方向)から見た場合にローリング駆動用磁石36と重なる位置にある。
【0032】
また、第2ユニット4は、
図3に示すように、回転台座24の回転角度範囲を規制する回転ストッパ機構38を備える。さらに、第2ユニット4は、ローリング駆動用コイル35に電気的に接続されたフレキシブルプリント基板39と、固定部材22に固定されたカバー部材40を備える。
【0033】
ここで、回転台座24には、第1ユニット3のホルダ7が取り付けられる。従って、回転台座24が回転すると、第1ユニット3の可動ユニット5およびホルダ7が回転台座24と一体にZ軸回り(軸線L回り)を回転する。よって、第1ユニット3の可動ユニット5およびホルダ7と第2ユニット4の回転台座24とはZ軸回りに一体に回転する回転体43を構成する。一方、固定部材22には第1ユニット3のケース体8が取り付けられる。これにより、固定部材22、回転部材23、ケース体8およびカバー部材40は、回転体43を回転可能に支持する固定体44を構成する。回転台座24は可動ユニット5を回
転可能に支持する回転支持機構21を構成するとともに、回転体43を構成している。
【0034】
(第1ユニット)
図3に示すように、ケース体8はZ軸方向から見た場合に略8角形の外形をした筒状ケース45と、筒状ケース45に対して+Z方向の側(被写体側)から組み付けられる被写体側ケース46と、を備える。筒状ケース45は磁性材料から形成される。被写体側ケース46は樹脂材料から形成される。
【0035】
筒状ケース45は、略8角形の筒部47を備える。筒部47は、X軸方向に対向する側板51、52と、Y軸方向に対向する側板53、54と、X軸方向およびY軸方向に対して45度傾いた4箇所の角部に設けられた側板55とを備える。X軸方向に対向する側板51、52とY軸方向に対向する側板53、54の内周面には、それぞれ揺動駆動用磁石14が保持されている。各揺動駆動用磁石14はZ軸方向で分極着磁されている。各揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aはZ軸(軸線L)と直交する方向を周方向に延びる。揺動駆動用磁石14は接着剤により固定されている。
【0036】
また、筒状ケース45は、+X方向の下端縁部分、+Y方向の下端縁部分、および、-Y方向の下端縁部分に、それぞれ位置決め用切欠き部56を備える。さらに、筒部47は、-X方向の下端縁部分に、フレキシブルプリント基板18、19を引き回すための矩形の切欠き部57を備える。
【0037】
被写体側ケース46は、Z軸方向から見た場合に筒状ケース45と同一の輪郭形状を備える。また、被写体側ケース46の中央には円形開口部58が形成されている。
図1に示すように、円形開口部58には、撮像モジュール2の+Z方向の端部分、および、ホルダ7の+Z方向の端部分が挿入される。
【0038】
(ホルダ)
図4は可動ユニット5およびホルダ7を+Z方向の側から見た場合の分解斜視図である。
図5は可動ユニット5およびホルダ7を-Z方向の側から見た場合の分解斜視図である。
図5では揺動支持機構6を構成する可動枠と板バネとを分解して示す。
図4に示すように、ホルダ7は、可動ユニット5の+Z方向の端部分が挿入されるホルダ環状部62と、ホルダ環状部62の-Z方向側に連続するホルダ胴部63とを備える。ホルダ胴部63は、周方向に配列された4つの窓部64と、周方向に隣り合う窓部64を区画する4本の縦枠部65を備える。4つの窓部64のうちの2つの窓部64はX軸方向に開口し、他の2つはY軸方向に開口する。4本の縦枠部65は、それぞれ、X軸方向とY軸方向の間の角度位置に配置されている。
【0039】
ホルダ胴部63は、+X方向の下端縁部分、+Y方向の下端縁部分、および、-Y方向の下端縁部分に、それぞれ位置決め用切欠き部67を備える。また、ホルダ胴部63は、-X方向の下端縁部分に、フレキシブルプリント基板18、19を引き回すための矩形の切欠き部68を備える。
【0040】
(可動ユニット)
図6は可動ユニット5を+Z方向の側(被写体側)から見た場合の斜視図である。
図7は可動ユニット5を+Z方向の側(被写体側)から見た場合の分解斜視図である。
図8は可動ユニット5を-Z方向の側から見た場合の分解斜視図である。
図6、
図7、
図8では、フレキシブルプリント基板18、19を省略して示す。
【0041】
図6、
図7、
図8に示すように、可動ユニット5は、撮像モジュール2と、撮像モジュール2に固定されたウエイト20と、撮像モジュール2を外周側から保持するモジュール
ホルダ71と、を備える。
図7に示すように、撮像モジュール2は、光学素子9および撮像素子10を保持するハウジング70を備える。ハウジング70は、内周側に光学素子9を保持する鏡筒部72と、鏡筒部72の-Z方向の端部分において内周側に撮像素子10を保持する角筒部74と、鏡筒部72と角筒部74との間を接続する端板部73とを備える。角筒部をZ軸方向から見た場合の形状は矩形である。端板部73は、鏡筒部72の-Z方向の端縁からZ軸と直交する方向を外周側に広がり、角筒部74の+Z方向の端縁に連続する。端板部73における+X方向および-Y方向の角部および-X方向および+Y方向の角部には、+Z方向に突出する位置決め突起73aが設けられている。
【0042】
図8に示すように、撮像素子10は、Z軸方向から見た場合の輪郭形状が矩形である。撮像素子10は、フレキシブルプリント基板19に実装されている。撮像素子10は、角筒部74の内側に固定される際にZ軸回り(軸線L回り)で位置決めさる。すなわち、撮像素子10は、互いに直交する2辺に位置決め用の基準面を備えており、これらの基準面を角筒部74の内側で互いに直交する2つの内壁面に当接させることにより、Z軸回りの角度位置が規定される。
【0043】
モジュールホルダ71は、
図6に示すように、Z軸方向から見た場合に略8角形の底板部78と、底板部78のX軸方向の両端において、+Z方向に立ち上がりY軸方向に延在する一対の壁部79、80と、底板部78のY軸方向の両端において、+Z方向に立ち上がりX軸方向に延在する一対の壁部81、82と、底板部78の+X方向および-Y方向の端および底板部78の-X方向および+Y方向の端においてX軸方向およびY軸方向に傾斜する一対の壁部83を備える。壁部83の+Z方向の端部分には、揺動支持機構6の第1揺動支持部101が設けられている。第1揺動支持部101は、壁部83の+Z方向の端部分を+Z方向の側および内周側から切り欠いた切欠き凹部である。揺動支持機構6の詳細は後述する。
【0044】
また、モジュールホルダ71は、
図7および
図8に示すように、底板部78の中心に設けられた光学モジュール保持部85を備える。光学モジュール保持部85は筒状であり、軸線Lと同軸である。
図8に示すように、底板部78において、光学モジュール保持部85の+X方向および-Y方向の側の部分、および、光学モジュール保持部85の-X方向および+Y方向の側の部分には、それぞれ位置決め用凹部78aが設けられている。底板部78において、光学モジュール保持部85の+X方向および+Y方向の端部分、および、光学モジュール保持部85の-X方向および-Y方向の端部分には矩形の切欠き部78bが設けられている。
【0045】
図6に示すように、撮像モジュール2は、光学モジュール保持部85に鏡筒部72が挿入された状態でモジュールホルダ71に保持される。撮像モジュール2がモジュールホルダ71に保持された状態では、鏡筒部72はモジュールホルダ71の光学モジュール保持部85を貫通して、光学モジュール保持部85から+Z方向に突出する。端板部73は、モジュールホルダ71の底板部78に-Z方向から当接して、位置決め突起73aが底板部78の位置決め用凹部78aに挿入される。これにより、撮像モジュール2は、Z軸回りの角度位置が規定された状態でモジュールホルダ71に保持される。ここで、ウエイト20は、環状であり、鏡筒部72において光学モジュール保持部85から+Z方向に突出している部分の外周面に固定されている。鏡筒部72はウエイト20をZ軸方向に貫通する。ウエイト20は、例えば、真鍮などの非磁性の金属からなる。
【0046】
図6、
図8に示すように、モジュールホルダ71の各壁部79、80、81、82における+Z方向の端面には、+Z方向に突出する2つの揺動ストッパ用凸部87が設けられている。2つの揺動ストッパ用凸部87は、各壁部79、80、81、82における周方向の両端部分から、それぞれ突出する。
【0047】
各壁部79、80、81、82において径方向の外側を向く外側面には、コイル固定部88が設けられている。各コイル固定部88には、
図7、
図8に示すように、中心穴を径方向の外側に向けた姿勢で揺動駆動用コイル13が固定される。また、-X方向の側に位置する壁部80および+Y方向の側に位置する壁部81のコイル固定部88にはホール素子固定部89が設けられている。ホール素子固定部89にはホール素子90が固定される。ホール素子90はZ軸方向で各揺動駆動用コイル13の中心に位置する。ホール素子90は、フレキシブルプリント基板18に電気的に接続されている。
【0048】
図6、
図7に示すように、各壁部79、80、81、82において径方向の内側を向く内側面には、姿勢復帰用磁性部材15を固定するための磁性部材固定部92が設けられている。磁性部材固定部92は、内側面を一定幅でZ軸方向に延びる溝である。姿勢復帰用磁性部材15は矩形板状でありZ軸方向の寸法が周方向の寸法よりも長い。姿勢復帰用磁性部材15は、長手方向をZ軸方向に向けた姿勢で、接着剤により、磁性部材固定部92内に固定されている。
図2に示すように、姿勢復帰用磁性部材15は、可動ユニット5が基準姿勢の状態を径方向から見た場合に、姿勢復帰用磁性部材15の中心が揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aと重なる。
【0049】
(揺動支持機構)
図9はZ軸(軸線L)と直交して揺動支持機構6を通過する平面で光学ユニット1を切断した断面図である。揺動支持機構6は、モジュールホルダ71とホルダ7との間に構成されている。
図9に示すように、揺動支持機構6は、モジュールホルダ71の第1軸R1上の対角位置に設けられた2箇所の第1揺動支持部101と、ホルダ胴部63(縦枠部65)の第2軸R2上の対角位置に設けられた2箇所の第2揺動支持部102と、第1揺動支持部101および第2揺動支持部102によって支持される可動枠103と、を備える。ここで、第1軸R1および第2軸R2はZ軸方向と直交し、且つ、X軸方向およびY軸方向に対して45度傾いた方向である。従って、第1揺動支持部101および第2揺動支持部102はX軸方向とY軸方向との間の角度位置に配置される。
図4、
図5に示すように、第2揺動支持部102は、ホルダ7の縦枠部65の内側面に設けられている。第2揺動支持部102は、縦枠部65の内側面を-Z方向の側および内周側から切り欠いた切欠き凹部である。
【0050】
図4、
図5、
図9に示すように、可動枠103はZ軸方向から見た平面形状が略円形の板状ばねである。可動枠103の外側面にはZ軸回りの90°の角度間隔の4か所に溶接等によって金属製の球体104が固定されている。この球体104は、モジュールホルダ71に設けられた第1揺動支持部101、および、ホルダ7の縦枠部65に設けられた第2揺動支持部102に保持される接点ばね105と点接触する。
図4および
図5に示すように、接点ばね105は、略U字形状に折り曲げられた板状ばねであり、第1揺動支持部101に保持される接点ばね105は第1軸R1方向に弾性変形可能であり、第2揺動支持部102に保持される接点ばね105は第2軸R2方向に弾性変形可能である。従って、可動枠103はZ軸方向と直交する2方向(第1軸R1方向および第2軸R2方向)の各方向回りに回転可能な状態で支持される。
【0051】
(揺動用磁気駆動機構)
揺動用磁気駆動機構11は、
図9に示すように、可動ユニット5と筒状ケース45の間に設けられた第1揺動用磁気駆動機構11Aおよび第2揺動用磁気駆動機構11Bを備える。第1揺動用磁気駆動機構11Aは、X軸方向で対向する揺動駆動用磁石14と揺動駆動用コイル13とからなる組を2組備える。また、第1揺動用磁気駆動機構11Aは、-X方向の側の組の揺動駆動用コイル13の内側に配置されたホール素子90を備える。第2揺動用磁気駆動機構11Bは、Y軸方向で対向する揺動駆動用磁石14と揺動駆動用コ
イル13とからなる組を2組備える。また、第2揺動用磁気駆動機構11Bは、+Y方向の側の組の揺動駆動用コイル13の内側に配置されたホール素子90を備える。
【0052】
各揺動駆動用コイル13はモジュールホルダ71のX軸方向の両側の壁部79、80およびY軸方向の両側の壁部81、82の外側面に保持されている。揺動駆動用磁石14は、筒状ケース45の側板51、52、53、54の内側面に保持されている。各揺動駆動用磁石14は、
図2および
図3に示すようにZ軸方向に2分割され、内面側の磁極が着磁分極線14aを境にして異なるように着磁されている。揺動駆動用コイル13は、+Z方向側および-Z方向側の長辺部分が有効辺として利用される。可動ユニット5が基準姿勢のときに、各ホール素子90は、外周側に位置する揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aと対向する。ここで、筒状ケース45は磁性材料から構成されているので、揺動駆動用磁石14に対するヨークとして機能する。
【0053】
可動ユニット5の+Y方向側および-Y方向側に位置する2組の第2揺動用磁気駆動機構11Bは、揺動駆動用コイル13への通電時にX軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。また、可動ユニット5の+X方向側および-X方向側に位置する2組の第1揺動用磁気駆動機構11Aは、揺動駆動用コイル13への通電時にY軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。揺動用磁気駆動機構11は、第2揺動用磁気駆動機構11BによるX軸回りの回転、および第1揺動用磁気駆動機構11AによるY軸回りの回転を合成することにより、撮像モジュール2を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる。X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う場合は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成する。
【0054】
(揺動ストッパ機構)
図2に示すように、可動ユニット5の揺動範囲を規制する揺動ストッパ機構17は、可動ユニット5(モジュールホルダ71)に設けられた揺動ストッパ用凸部87と、ホルダ環状部62とから構成される。可動ユニット5が所定の揺動範囲を超える傾斜姿勢となると、揺動ストッパ用凸部87がホルダ環状部62に当接して、それ以上、可動ユニット5が傾斜することを規制する。また、揺動ストッパ機構17は、外力によって可動ユニット5が+Z方向に移動した場合に、揺動ストッパ用凸部87がホルダ環状部62に当接して、可動ユニット5がそれ以上、+Z方向に移動することを規制する。
【0055】
(姿勢復帰機構)
姿勢復帰機構12は、姿勢復帰用磁性部材15と、揺動駆動用磁石14と、を備える。
図2に示すように、姿勢復帰用磁性部材15は、径方向において、揺動駆動用コイル13を間に挟んで揺動駆動用磁石14とは反対側に配置されている。ホルダ7が基準姿勢の状態を径方向から見た場合には、姿勢復帰用磁性部材15の中心は、外周側に位置する揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aと重なる位置にある。
【0056】
ここで、可動ユニット5が基準姿勢から傾斜すると(撮像モジュール2の光軸が軸線Lに対して傾斜すると)、姿勢復帰用磁性部材15の中心が、揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aからZ軸方向にずれる。これにより、姿勢復帰用磁性部材15と揺動駆動用磁石14との間には、姿勢復帰用磁性部材15の中心を揺動駆動用磁石14の着磁分極線14aの位置する側に向わせる方向の磁気吸引力が働く。すなわち、可動ユニット5が基準姿勢から傾斜すると、姿勢復帰用磁性部材15と揺動駆動用磁石14との間に、可動ユニット5を基準姿勢に復帰させる方向の磁気吸引力が働く。従って、姿勢復帰用磁性部材15と、揺動駆動用磁石14とは、可動ユニット5を基準姿勢に復帰させる。
【0057】
(第2ユニット)
次に、
図10から
図14を参照して第2ユニット4を説明する。
図10(a)は+Z方
向の側から見た場合の第2ユニット4の斜視図であり、
図10(b)は-Z方向の側から見た場合の第2ユニット4の斜視図である。
図11は第2ユニット4の断面図である。
図12は+Z方向の側(被写体側)から見た場合の第2ユニット4の分解斜視図である。
図13は-Z方向の側(反被写体側)から見た場合の第2ユニット4の分解斜視図である。
図14(a)は固定部材22、ローリング駆動用磁石36および回転部材23を+Z方向から見た場合の分解斜視図であり、
図14(b)は固定部材22、ローリング駆動用磁石36および回転部材23を-Z方向から見た場合の分解斜視図である。
【0058】
図11に示すように、第2ユニット4は、ホルダ7を軸線L回りに回転可能に支持する回転支持機構21と、回転支持機構21を介してホルダ7を支持する固定部材22と、フレキシブルプリント基板39と、カバー部材40と、を備える。回転支持機構21は、回転台座24と台座支持機構25(軸受部26および回転支持部27)とを備える。固定部材22には、回転部材23がZ軸回りに回転可能に支持されている。
【0059】
図12および
図13に示すように、固定部材22はZ軸方向が薄い偏平形状をしている。固定部材22は-X方向の端縁部分に、矩形の切欠き部112を備える。
図12に示すように、固定部材22は、切欠き部112を除く外周縁部分に段部113を備える。段部113には、+X方向、+Y方向および-Y方向の各方向に突出する3つの突部114が設けられている。
【0060】
図11、
図12、
図14(a)に示すように、固定部材22はY軸方向の中央部分にZ軸方向に貫通する円形の貫通穴115を備える。貫通穴115の内側には軸受部26が位置する。軸受部26は、軸線Lと同軸に配置された内輪および外輪と、内輪と外輪との間で転動する球体を備えるボールベアリングである。また、固定部材22は、+Z方向の端面に、貫通穴115を同軸に囲む固定部材側環状溝116を備える。さらに、固定部材22は、+Z方向の端面において、固定部材側環状溝116を間に挟んだY軸方向の両側にローリング駆動用磁石保持凹部117を備える。各ローリング駆動用磁石保持凹部117は、矩形であり、ローリング駆動用磁石36よりも大きな形状を備える。
【0061】
また、固定部材22は、
図13および
図14(b)に示すように、-Z方向の端面に回転部材保持凹部118を備える。回転部材保持凹部118はY軸方向に長く形成されている。
図14(b)に示すように、回転部材保持凹部118は、固定部材22のY軸方向の中央部分に位置する矩形の中央凹部部分118aと、中央凹部部分118aから中央凹部部分118aよりも細い幅で+Y方向に延びる矩形の一方側凹部部分118bと、中央凹部部分118aから中央凹部部分118aよりも細い幅で-Y方向に延びる矩形の他方側凹部部分118cと、を備える。ここで、
図14に示すように、Z軸方向から見た場合に、一方側凹部部分118bと一方のローリング駆動用磁石保持凹部117とはZ軸方向で重なり、連通している。他方側凹部部分118cと他方のローリング駆動用磁石保持凹部117とはZ軸方向で重なり、連通している。
図14(b)に示すように、一方側凹部部分118bと他方側凹部部分118cとの間に位置する回転部材保持凹部118の中央凹部部分118aの底面には、環状突部120が設けられている。環状突部120は、Z軸方向から見た場合に、固定部材側環状溝116と重なる位置に形成されている。環状突部120は貫通穴115および固定部材側環状溝116と同軸である。
【0062】
図13に示すように、回転部材23は、固定部材22の環状突部120が嵌合する円形開口部23aを備える中央部分23bと、中央部分23bから中央部分23bよりも細い幅で+Y方向に延びる矩形の一方側突出部分23cと、中央部分23bから中央部分23bよりも細い幅で-Y方向に延びる矩形の他方側突出部分23dと、を備える。中央部分23bの+X方向の端縁は、Y軸方向の中心からY軸方向の両端に向かって-X方向に傾斜している。従って、中央部分23bの+X方向の端縁は、Y軸方向の中心から+Y方向
に向かって-X方向に傾斜する第1端縁部分28aと、Y軸方向の中心から-Y方向に向かって-X方向に傾斜する第2端縁部分28bと、を備える。また、中央部分23bの-X方向の端縁は、Y軸方向の中心からY軸方向の両端に向かって+X方向に傾斜している。従って、中央部分23bの-X方向の端縁は、Y軸方向の中心から+Y方向に向かって+X方向に傾斜する第3端縁部分28cと、Y軸方向の中心から-Y方向に向かって+X方向に傾斜する第4端縁部分28dと、を備える。よって、中央部分23bの輪郭形状は6角形である。
【0063】
図14に示すように、回転部材23の一方側突出部分23cおよび他方側突出部分23dには、それぞれローリング駆動用磁石36が固定されている。ローリング駆動用磁石36は、
図12に示すように、周方向に分極着磁されている。各ローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aは、ローリング駆動用磁石36の周方向の中央を径方向に延びる。2つのローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aを結んだ仮想線は軸線Lと直交する。ここで、回転部材23は、磁性部材であり、Z軸方向でローリング駆動用磁石36を間に挟んでローリング駆動用コイル35と反対側に位置する。従って、回転部材23はヨークとして機能する。
【0064】
2つのローリング駆動用磁石36が固定された回転部材23は、
図13に示すように、-Z方向から回転部材保持凹部118に挿入される。この際に、回転部材23の円形開口部23aには、固定部材22の環状突部120が挿入される。これにより、回転部材23の円形開口部23aと固定部材22の環状突部120とは摺動可能に嵌合する。従って、回転部材23は環状突部120の環状外周面をガイド面として、Z軸回り(軸線L回り)に回転可能な状態で、固定部材22に支持される。
【0065】
また、回転部材23は、回転部材保持凹部118よりも一回り小さく、回転部材23が回転部材保持凹部118に挿入された状態では、回転部材23と回転部材保持凹部118の内壁面との間には隙間が形成される。さらに、回転部材23の中央部分23bの+X方向の端縁を構成する第1端縁部分28aおよび第2端縁部分28bは、それぞれ、Y軸方向の中心から両端に向かって回転部材保持凹部118(中央凹部部分118a)の内壁面から離間する方向に傾斜している。従って、回転部材23は、周方向から回転部材保持凹部118の内壁面が当接するまでの範囲で、Z軸回りに移動可能である。換言すれば、固定部材22における回転部材保持凹部118の内壁面は、回転部材23の回転範囲を規定するストッパ部121である。
【0066】
ここで、回転部材23が-Z方向から回転部材保持凹部118に挿入されると、各ローリング駆動用磁石36は、各ローリング駆動用磁石保持凹部117の内側に配置される。各ローリング駆動用磁石36が各ローリング駆動用磁石保持凹部117の内側に配置された状態では、
図12に示すように、各ローリング駆動用磁石36と、各ローリング駆動用磁石保持凹部117の内壁面との間には隙間が形成される。かかる隙間が形成されることにより、回転部材23が回転部材保持凹部118内で回転したときに、各ローリング駆動用磁石36と固定部材22における各ローリング駆動用磁石保持凹部117の内壁面とが衝突することが回避される。
【0067】
次に、固定部材22は、
図12、
図14(a)に示すように、+Z方向の端面の固定部材側環状溝116から+X方向に離間する位置に、+Z方向に突出する回転ストッパ用凸部119を備える。また、固定部材22は、
図13、
図14(b)-Z方向の端面において、回転部材保持凹部118を外周側から囲む位置に4つのカバー部材固定用凸部123を備える。4つのカバー部材固定用凸部123のうちの2つは、固定部材22の+Y方向の端縁部分において、X軸方向で回転部材保持凹部118を間に挟んだ両側に設けられている。4つのカバー部材固定用凸部123のうちの他の2つは、固定部材22の-Y方向
の端縁部分において、X軸方向で回転部材保持凹部118を間に挟んだ両側に設けられている。4つのカバー部材固定用凸部123には、-Z方向からカバー部材40が固定される。カバー部材40は、回転部材23を-Z方向から被う。カバー部材40の中心には円形の開口部40aが設けられている。
【0068】
次に、回転台座24は、
図13に示すようにZ軸方向が薄い偏平形状の台座本体131と、台座本体131から-Z方向に突出する軸部132を備える。
図11に示すように、軸部132は、固定部材22の貫通穴115に保持された軸受部26に挿入される。すなわち、軸部132は、貫通穴115に保持されたボールベアリングの内輪によって外周側から保持される。
【0069】
台座本体131の固定部材22に対向する面には、
図13に示すように、軸部132と同軸に台座側環状溝133が設けられている。台座側環状溝133は、固定部材22の固定部材側環状溝116とZ軸方向で対向する。固定部材側環状溝116は、軸受部26の外輪の外周面より径方向の外側に形成されている。ここで、
図12、
図13に示すように、回転支持部27は、台座側環状溝133と、固定部材側環状溝116と、台座側環状溝133および固定部材側環状溝116の間に配置された6つの転動体134と、固定部材側環状溝116と台座側環状溝133との間で転動体134を転動可能に保持するリテーナ135と、を備える。回転支持部27は、軸受部26の外周側において、台座本体131を回転可能に支持する。
【0070】
図13に示すように、台座本体131における固定部材22に対向する面には、軸部132を間に挟んだ両側に一対のコイル固定部138が設けられている。一対のコイル固定部138には、中心穴をZ軸方向に向けた姿勢でローリング駆動用コイル35が保持される。一方のコイル固定部138に固定されたローリング駆動用コイル35の内側にはホール素子140が固定されている。ホール素子140は、周方向でローリング駆動用コイル35と対向する。ホール素子140は、ローリング駆動用コイル35に電気的に接続されたフレキシブルプリント基板39に電気的に接続されている。
【0071】
図12に示すように、台座本体131の+Z方向の側の端面には、その外周縁から内側に一定幅だけ内側にセットバックした外周縁部分に、当該端面を+X方向の側およびY軸方向の両側から囲む略コの字形状の周壁142が設けられている。周壁142には、+X方向、+Y方向および-Y方向の各方向に突出する3つの突部143が設けられている。
【0072】
また、台座本体131の+Z方向の側の端面には、軸部132を間に挟んだY軸方向の両側に、角度位置復帰用磁性部材37を固定するための磁性部材固定溝144が設けられている。磁性部材固定溝144はX軸方向に平行に延びる。角度位置復帰用磁性部材37は、長方形の板状であり、周方向(X軸方向)の寸法が径方向の寸法よりも長い。角度位置復帰用磁性部材37は磁性部材固定溝144に挿入され、接着剤により固定されている。角度位置復帰用磁性部材37は、Z軸方向から見た場合に、ローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aと重なる。
【0073】
ここで、
図12に示すように、台座本体131は、周方向で磁性部材固定溝144と異なる位置に開口部146を備える。本例では、開口部146は、軸部132から+X方向に離間した位置に設けられている。
【0074】
(ローリング用磁気駆動機構)
図10および
図11に示すように、回転台座24が回転支持部27および軸受部26を介して固定部材22に回転可能に保持されると、ローリング用磁気駆動機構31が構成される。
図11に示すように、ローリング用磁気駆動機構31は、回転台座24の軸部13
2を間に挟んだ両側に保持された一対のローリング用磁気駆動機構31を備える。各ローリング用磁気駆動機構31は、回転台座24に保持されたローリング駆動用コイル35と、固定部材22に保持されてZ軸方向で各ローリング駆動用コイル35と対向するローリング駆動用磁石36とを備える。
図12に示すように、ローリング駆動用磁石36は、周方向に2分割され、ローリング駆動用コイル35と対向する面の磁極が着磁分極線36aを境にして異なるように着磁されている。ローリング駆動用コイル35は空芯コイルであり、径方向に延びる長辺部分が有効辺として利用される。
【0075】
(回転ストッパ機構)
また、回転台座24が回転支持部27および軸受部26を介して固定部材22に保持されると、
図10(a)に示すように、固定部材22の回転ストッパ用凸部119が回転台座24の開口部146に挿入される。これにより、固定部材22の回転ストッパ用凸部119と回転台座24の開口部146とは、回転台座24のZ軸回りの回転角度範囲を規制する回転ストッパ機構38を構成する。すなわち、回転台座24は、回転ストッパ用凸部119が開口部146の内周壁(当接部)と干渉しない範囲でZ軸回りを回転するものとなる。換言すれば、回転ストッパ機構38は、開口部146の内周壁が周方向から回転ストッパ用凸部119に当接することにより、回転台座24の回転角度範囲を規制する。
【0076】
(角度位置復帰機構)
図15は角度位置復帰機構32の説明図である。
図15(a)は、ローリング用磁気駆動機構31が駆動されておらず、回転台座24が予め設定された基準角度位置に配置されている状態を示す。
図15(b)は、回転台座24が基準角度位置からCW方向に回転した状態を示す。
図15(c)は、回転台座24が基準角度位置からCCW方向に回転した状態を示す。
図11および
図15に示すように、角度位置復帰機構32は、回転台座24に固定された角度位置復帰用磁性部材37と、固定部材22の回転部材23に固定されたローリング駆動用磁石36と、を備える。
【0077】
図11に示すように、角度位置復帰用磁性部材37はZ軸方向において、ローリング駆動用コイル35を間に挟んでローリング駆動用磁石36とは反対側に配置されている。回転台座24が予め定めた基準角度位置に配置されている状態をZ軸方向から見た場合には、
図15(a)に示すように、角度位置復帰用磁性部材37の中心37aは、-Z方向に位置するローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aと重なる位置にある。
【0078】
図15(b)または
図15(c)に示すように、回転台座24が基準角度位置からCW方向またはCCW方向に回転すると、角度位置復帰用磁性部材37の中心37aが、ローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aから周方向にずれる。これにより、角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36との間には、角度位置復帰用磁性部材37の中心37aをローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aの位置する側に向わせる方向の磁気吸引力Fが働く。すなわち、回転台座24が基準角度位置から回転すると、角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36との間に、回転台座24を基準角度位置に復帰させる方向の磁気吸引力Fが働く。従って、角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36とは、回転台座24を基準角度位置に復帰させる角度位置復帰機構32として機能する。
【0079】
(第1ユニットの第2ユニットへの取り付け)
ここで、第1ユニット3が第2ユニット4に取り付けられる際には、ホルダ7のホルダ胴部63の下端部分に第2ユニット4の周壁142が挿入される。この際に、
図3に示すように、ホルダ胴部63に設けられた位置決め用切欠き部67に、第2ユニット4の周壁142から突出する突部143が挿入される。従って、ホルダ7は、径方向および周方向に位置決めされた状態で回転台座24に固定される。また、第1ユニット3が第2ユニッ
ト4に取り付けられる際には、
図1および
図3に示すように、筒状ケース45の下端部分に固定部材22の外周縁の段部113の+Z方向の側の部分が挿入され、筒状ケース45に設けられた位置決め用切欠き部56に、段部113に設けられた突部114が挿入される。従って、ケース体8は径方向および周方向に位置決めされた状態で固定部材22に固定されて、固定体44を構成する。これにより、光学ユニット1が完成する。
【0080】
(光学ユニットの振れ補正)
光学ユニット1は、上記のように、第1ユニット3が、X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う揺動用磁気駆動機構11を備える。従って、ピッチング(縦揺れ)方向およびヨーイング(横揺れ)方向の振れ補正を行うことができる。また、光学ユニット1は、第2ユニット4が、第1ユニット3のホルダ7を回転させるローリング用磁気駆動機構31を備えるので、ローリング方向の振れ補正を行うことができる。ここで、光学ユニット1は、可動ユニット5にジャイロスコープを備えることにより、ジャイロスコープによって直交する3軸回りの振れを検出して、検出した振れを打ち消すように揺動用磁気駆動機構11およびローリング用磁気駆動機構31を駆動する。
【0081】
(回転体の基準角度位置調整方法)
図16は光学ユニット1の組み立て動作のフローチャートである。
図17および
図18は回転体43の基準角度位置調整方法の説明図である。
図17は、回転部材23がY軸方向に延びる姿勢とされている場合を示す。
図18は、
図17に示す状態から回転部材23を光軸(Z軸)回りの第1方向Dに回転させた場合を示す。なお、
図17および
図18における回転台座24の回転は、回転体43の回転と対応するものである。
【0082】
回転体43の基準角度位置調整は、撮像素子10から出力される画像が傾斜しないように、回転体43の軸線L回りの姿勢(撮像モジュール2の光軸回りの姿勢)を調整するものである。回転体43の基準角度位置調整は、光学ユニット1の組み立ての最終段階で行われる。より具体的には、第1ユニット3が第2ユニット4に組み付けられた後であって、第2ユニット4にカバー部材40が取り付けられていない状態で行われる。
【0083】
光学ユニット1の組み立て動作では、まず、光学素子9および撮像素子10を備える撮像モジュール2が、モジュールホルダ71に保持される。撮像モジュール2がモジュールホルダ71の保持される際には、その端板部73をモジュールホルダ71の底板部78に当接させ、その位置決め突起73aが底板部78の位置決め用凹部78aに挿入されている。すなわち、撮像モジュール2は、光軸方向(Z軸方向)、径方向、および光軸回り(Z軸回り)に位置決めされた状態でモジュールホルダ71に保持される(ステップST1)。これにより、可動ユニット5が構成される。
【0084】
次に、可動ユニット5(撮像モジュール2)を、揺動支持機構6を介してホルダ7に揺動可能に支持させる。その後、可動ユニット5(撮像モジュール2)を支持したホルダ7を、回転台座24に固定する(ステップST2)。ここで、ホルダ7を回転台座24に固定する際には、ホルダ胴部63の下端部分に回転台座24の周壁142が挿入され、ホルダ胴部63に設けられた位置決め用切欠き部67に、周壁142から突出する突部143が挿入されている。従って、ホルダ7は、径方向および周方向に位置決めされた状態で回転台座24に固定される。換言すれば、可動ユニット5(撮像モジュール2)は、径方向および周方向に位置決めされた状態で、回転台座24に固定される。これにより、可動ユニット5、ホルダ7および回転台座24からなる回転体43が構成される。
【0085】
しかる後に、固定部材22にケース体8を固定する(ステップST3)。ケース体8を固定部材22に固定する際には、筒状ケース45の下端部分に固定部材22の外周縁の段部113の+Z方向の側の部分を挿入し、筒状ケース45の位置決め用切欠き部56に、
段部113に設けられた突部114を挿入する。従って、ケース体8は径方向および周方向に位置決めされた状態で固定部材22に固定される。これにより、カバー部材40を除く固定体44が構成される。
【0086】
ここで、回転体43を構成する回転台座24には、角度位置復帰用磁性部材37が固定されている。この一方で、固定体44を構成する固定部材22には、回転部材23が撮像モジュール2の光軸回り(Z軸回り)に回転可能に保持されており、回転部材23にはローリング駆動用磁石36が固定されている。
【0087】
次に、回転体43の基準角度位置調整を行う。回転体43の基準角度位置調整では、フレキシブルプリント基板39を介して撮像素子10の画像を外部のモニターに出力するとともに、当該モニターに光学ユニット1を機器に設置する際の基準となる筒状ケース45の側板を示す基準線を表示する。そして、モニターに出力された画像と、モニターに表示した基準線とが、互いに平行か否かを監視する(ステップST4)。ここで、基準線は、例えば、側板53の+Z方向の端縁を表す線などとすることができる。なお、基準角度位置調整する前の時点では、すなわち、カバー部材40を除く固定体44が構成された時点では、
図17(b)に示すように、固定部材22に支持された回転部材23はY軸方向に延びている。従って、
図17(a)に示すように、回転部材23に固定された2つのローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aはY軸方向に延びている。
【0088】
ステップST5において、モニターに出力された画像と、モニターに表示した基準線とが、互いに平行でない場合には(ステップST5:No)、回転部材23を光軸(Z軸)回りに回転させる(ステップST6)。
【0089】
ここで、
図15を参照して説明したとおり、回転台座24に固定された角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36との間には、角度位置復帰用磁性部材37の中心37aとローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aとがズレた場合に、角度位置復帰用磁性部材37の中心37aをローリング駆動用磁石36の着磁分極線36aに一致させる方向の磁気吸引力Fが発生する。従って、
図17(b)に示す状態から
図18(b)に示すように回転部材23を撮像モジュール2の光軸回りの第1方向Dに回転させてローリング駆動用磁石36を光軸回りの第1方向Dに移動させると、角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36との間に働く磁気吸引力Fによって、回転体43(回転台座24)がローリング駆動用磁石36の移動に追随して第1方向Dに変位(回転する)する。なお、回転部材23を第1方向Dとは反対方向に回転させた場合には、回転部材23に保持されたローリング駆動用磁石36の移動に追随して回転体43(回転台座24)が第1方向Dとは反対方向に変位(回転)する。
【0090】
その後、ステップST5において、モニターに出力された画像と、モニターに表示した基準線とが、互いに平行となった場合には(ステップST5:Yes)、回転部材23を回転後の回転位置で固定部材22に接着剤で固定する。従って、ローリング駆動用磁石36は移動後の移動位置に配置された状態で維持される。これにより、基準角度位置調整動作は終了し、回転体43の基準角度位置が新たに設定された状態となる。しかる後に、カバー部材40を固定部材22に固定する。これにより、光学ユニット1の組み立ては完了する。
【0091】
(作用効果)
本例では、ローリング駆動用磁石36が回転部材23に固定されており、回転部材23が固定部材22に回転可能に保持されている。従って、回転体43の基準角度位置を設定するために、ローリング駆動用磁石36を光軸回りに移動させることが容易である。また、回転部材23は、磁性部材なので、回転部材23にローリング駆動用磁石36を保持す
ることが容易である。
【0092】
さらに、本例では、ローリング用磁気駆動機構31として、光軸(軸線L)を間に挟んだ両側にローリング用磁気駆動機構31を備えるとともに、これら2つのローリング用磁気駆動機構31のローリング駆動用磁石36との間で磁気吸引力Fを発生させる2つの角度位置復帰用磁性部材37を備える。従って、角度位置復帰用磁性部材37が一つの場合と比較して、回転部材23を回転させたときに、ローリング駆動用磁石36の移動に回転体43を追随させやすい。
【0093】
また、本例では、固定部材22における回転部材保持凹部118の内壁面は、回転部材23の回転範囲を規定するストッパ部121として機能する。従って、回転部材23を光軸(Z軸)回りに回転させる際に、回転部材23を過度に回転させてしまうことがない。
【0094】
さらに、本例では、ローリング駆動用磁石36を保持する回転部材23が、磁性部材であり、ヨークとして機能する。従って、ローリング用磁気駆動機構31が回転体43を回転させるトルクが向上する。
【0095】
また、本例では、ローリング駆動用磁石36とローリング駆動用コイル35とが光軸方向(軸線L方向)で対向しているので、振れ補正機能付き光学ユニットが光軸と直交する径方向で大型化することを抑制できる。
【0096】
(変形例)
なお、回転部材23には、当該回転部材23を前記光軸回りに回転させるための治具を係止するための係止部を備えることができる。係止部は、回転部材23をZ軸方向に貫通する係止孔、回転部材23の外周縁に設けた切欠き部とすることができる。また、係止部として、回転部材23の-Z方向の端面から突出する突部を設けることもできる。
【0097】
上記の例では、ローリング駆動用磁石36をZ軸回りに移動させて回転体43(回転台座24)の基準角度位置を調整しているが、回転台座24上で角度位置復帰用磁性部材37を移動させて、回転体43(回転台座24)の基準角度位置を調整してもよい。この場合には、例えば、回転台座24の磁性部材固定溝144内で、角度位置復帰用磁性部材37を長手方向に移動させる。
【0098】
(その他の実施の形態)
なお、回転台座24の側にローリング駆動用磁石36を保持し、固定部材22の側にローリング駆動用コイル35を保持して、ローリング用磁気駆動機構31を構成してもよい。この場合には、固定部材22に回転可能に支持された回転部材23にローリング駆動用コイル35をおよび角度位置復帰用磁性部材37を固定する。そして、回転部材23を固定部材22に対して軸線L回りに相対回転させることにより、回転体43の基準角度位置を調整する。
【0099】
また、回転台座24に保持されたローリング駆動用コイル35と、固定部材22に保持されたローリング駆動用磁石36とを光軸(軸線L)と交差する方向で対向させることもできる。この場合には、角度位置復帰用磁性部材37とローリング駆動用磁石36も光軸(軸線L)と交差する方向で対向させる。
【符号の説明】
【0100】
1…光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)、2…撮像モジュール、3…第1ユニット、4…第2ユニット、5…可動ユニット、6…揺動支持機構、7…ホルダ、8…ケース体、9…光学素子、10…撮像素子、11・11A・11B…揺動用磁気駆動機構、
12…姿勢復帰機構、13…揺動駆動用コイル、14…揺動駆動用磁石、14a…着磁分極線、15…姿勢復帰用磁性部材、17…揺動ストッパ機構、18・19…フレキシブルプリント基板、20…ウエイト、21…回転支持機構、22…固定部材、23…回転部材、23a…円形開口部、23b…中央部分、23c…一方側突出部分、23d…他方側突出部分、24…回転台座、25…台座支持機構、26…軸受部、27…回転支持部、28a・28b…回転部材の中央部分の+X軸方向の端縁部分、28c・28d…回転部材の中央部分の-X軸方向の端縁部分、31…ローリング用磁気駆動機構、32…角度位置復帰機構、35…ローリング駆動用コイル、36…ローリング駆動用磁石、36a…着磁分極線、37…角度位置復帰用磁性部材(磁性部材)、37a…角度位置復帰用磁性部材の中心、38…回転ストッパ機構、39…フレキシブルプリント基板、40…カバー部材、40a…開口部、43…回転体、44…固定体、45…筒状ケース、46…被写体側ケース、47…筒部、51~55…側板、56…位置決め用切欠き部、57…切欠き部、58…円形開口部、62…ホルダ環状部、63…ホルダ胴部、64…窓部、65…縦枠部、67…位置決め用切欠き部部、68…切欠き部、70…ハウジング、71…モジュールホルダ、72…鏡筒部、73…端板部、73a…突起、74…角筒部、78…底板部、78a…位置決め用凹部、78b…切欠き部、79~82…壁部、85…光学モジュール保持部、87…揺動ストッパ用凸部、88…コイル固定部、89…ホール素子固定部、90…ホール素子、92…磁性部材固定部、101…第1揺動支持部、102…第2揺動支持部、103…可動枠、104…球体、112…切欠き部、113…段部、114…突部、115…貫通穴、116…固定部材側環状溝、117…ローリング駆動用磁石保持凹部、118…回転部材保持凹部、118a…中央凹部部分、118b…一方側凹部部分、118c…他方側凹部部分、119…回転ストッパ用凸部、120…環状突部、121…ストッパ部、123…カバー部材固定用凸部、131…台座本体、132…軸部、133…台座側環状溝、134…転動体、135…リテーナ、138…コイル固定部、140…ホール素子、142…周壁、143…突部、144…磁性部材固定溝、146…開口部、D…第1方向、F…磁気吸引力、L…軸線、R1…第1軸、R2…第2軸