(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】流体精製方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/64 20060101AFI20220301BHJP
B01D 53/38 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/52 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/70 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/72 20060101ALI20220301BHJP
B01D 53/83 20060101ALI20220301BHJP
B01J 20/10 20060101ALI20220301BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20220301BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20220301BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B01D53/64 100
B01D53/64 ZAB
B01D53/38
B01D53/50 100
B01D53/52
B01D53/56 100
B01D53/62 100
B01D53/68 100
B01D53/70
B01D53/72
B01D53/83
B01J20/10 C
B01J20/18 E
B01J20/28 Z
C02F1/28 A
C02F1/28 B
C02F1/28 C
C02F1/28 D
(21)【出願番号】P 2017513222
(86)(22)【出願日】2015-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2015071735
(87)【国際公開番号】W WO2016046203
(87)【国際公開日】2016-03-31
【審査請求日】2018-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】102014113620.9
(32)【優先日】2014-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518338264
【氏名又は名称】アイ-ストーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】I-Stone GmbH
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherstr. 2 a, 82319 Starnberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フィヒテル
(72)【発明者】
【氏名】ローラント フィヒテル
【合議体】
【審判長】日比野 隆治
【審判官】金 公彦
【審判官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-4985(JP,A)
【文献】特開平3-285858(JP,A)
【文献】特開平2-95490(JP,A)
【文献】特開2005-36159(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/
B01J 20/10-20/16
C02F 1/28,1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶出可能なケイ素及び/又はアルミニウム化合物の部分を少なくとも5質量%の量で含むポゾランを、被精製流体と、前記ポゾランから前記ケイ素及び/又はアルミニウム化合物を放出させる条件下で接触させる工程を含む流体精製方法であって、
前記ポゾランの溶出可能な化合物の前記量は、
所定の体積の評価される粉砕石材(ポゾラン、ブレーン値:約2,500cm
2/g以上)を秤量し、次いで、塩酸の添加によりpHが5.0に調整されている4倍の体積の水に懸濁させ、懸濁液を25℃の温度で3時間に亘って撹拌し、その後、形成された液体及び/又はゼリーから、それぞれ石材を分離し、オーブンに移し、そこで減圧下150℃で3時間に亘って乾燥させ、そのように乾燥された石材を秤量し、その質量を初期質量と比べることにより決定されるものである、流体精製方法。
【請求項2】
前記ポゾランが、シリカゲル、ケイ酸塩及び/若しくはゼオライトから成る群から選択されるケイ素化合物、かつ/又はアルミニウム化合物との混合物において使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポゾランが、元素硫黄との混合物において使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記硫黄が、前記ポゾラン上へ含浸又は焼結される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポゾランが、硫化物、ポリ硫化物、チオン酸塩とポリチオン酸塩、四硫化ナトリウム、金属塩、及び/若しくは触媒活性物質、又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される成分と混合及び/又は含浸されているか、又は前記ポゾランが、元素硫黄、水ガラス又はそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される成分を充填されているか、又は前記ポゾランが、活性化トラスと混合されている、請求項1~4のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項6】
前記触媒活性物質又は金属塩が、バナジウム、タングステン、チタン、パラジウム、ロジウム、白金、オーエルメタル、ラネーニッケル、酸化マンガン、五酸化バナジウム、酸化サマリウム(III)及び/又はホプカライト、又はそれらの任意の組み合わせをそれぞれ含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポゾランが、コークス、活性炭及び/又はアルカリ性成分、又はそれらの任意の組み合わせと混合されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
排ガスの精製のための請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
精製が、水銀、重金属、酸化窒素、ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、一酸化炭素、塩酸、二酸化硫黄、硫化水素、細菌、菌類、生物学的デブリ又はそれらの任意の組み合わせから選択される汚染物質の前記流体からの除去を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
精製プロセスに適用されるポゾランの使用であって、
前記ポゾランは、前記ポゾランからケイ素及び/又はアルミニウム化合物の放出を可能とする条件下で溶出し得るケイ素及び/又はアルミニウム化合物の部分を含み、
前記ポゾランから前記ケイ素及び/又はアルミニウム化合物の放出を可能とする前記条件は、被精製流体の6.0以下のpH値及び/又は昇温を含み、
前記ケイ素及び/又はアルミニウム化合物が少なくとも5質量%の量で溶出され、
前記ポゾラン
は、溶出可能なケイ素及び/又はアルミニウム化合物の部分を少なくとも5質量%の量で含み、溶出可能なケイ素及び/又はアルミニウム化合物の前記量は、
所定の体積の評価される粉砕石材(ポゾラン、ブレーン値:約2,500cm
2/g以上)を秤量し、次いで、塩酸の添加によりpHが5.0に調整されている4倍の体積の水に懸濁させ、懸濁液を25℃の温度で3時間に亘って撹拌し、その後、形成された液体及び/又はゼリーから、それぞれ石材を分離し、オーブンに移し、そこで減圧下150℃で3時間に亘って乾燥させ、そのように乾燥された石材を秤量し、その質量を初期質量と比べることにより決定されるものである、流体の精製及び/又は流体からの汚染物質の除去のための使用。
【請求項11】
前記汚染物質が、水銀、重金属、酸化窒素、ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、一酸化炭素、塩酸、二酸化硫黄、硫化水素、細菌、菌類、生物学的デブリ又はそれらの任意の組み合わせから選択される物質を含む、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体から、特に燃焼プラントの排ガスから物質を取り除く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ガス、オイル、及び炭などの化石燃料が、電気又は熱エネルギーを生成するために、廃棄物を焼却するために、又は物質、特に鉱物を変換するか、若しくは精製するために、主として使用されていた。独国及び日本などの国では電気エネルギーと稼働中の原子力発電所からの同時引き抜き(pullout)の需要の増加に起因して、炭が、先進国自体に存在するために注目されていた。
【0003】
化石燃料、特に石炭の燃焼中、二酸化炭素が放出され、他の有害物質、例えば、二酸化硫黄、二酸化窒素、炭水化物、塩酸、ダイオキシン、フラン、フライアッシュ、カーボンブラックなどだけでなく、毒性の強い重金属、例えば、水銀なども放出される。特に、そのような問題は、複数の異なる処理物の不均質混合物が化石燃料とともに焼かれて、物質に含まれるか、又はその燃焼中に形成された毒素が環境中に排出される廃棄物焼却プラントで起きる。
【0004】
とりわけ、これらの理由のために、燃焼プラントは、燃焼ガスからの有害物質の実質的に完全な除去を可能にする複合精製装置なしでは許容されない。しかしながら、講じられた対策にもかかわらず、環境中の水銀量は増加し、その増加は、主として、燃焼プラント中の炭の使用の増大に起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
国際環境プログラム(UNEP)により提供される情報によると、2005年に環境中へ排出された水銀(Hg)量は、合計で約498トンであり、その約6トンは独国のパワープラントから、約50トンは米国の発電プラントから、100トン超は中国の火力発電所から出ている。
【0006】
燃焼ガスを精製するために、表層フィルター、電気的フィルター、ガスクリーナー、及び遠心分離機などを使用する除塵方法が、通常利用される。ガス状及び流体物の除去のために、熱による後燃焼、触媒的変換などの方法、又は吸着及び吸収方法が使用される。経済的観点から、燃焼ガスの精製は、吸着及び吸収方法に着目しており、それによると、上記燃焼ガス中の毒素の有効な減少が達成されるであろう。
【0007】
吸収は、単に、化学添加物又は吸収剤を含む水に燃焼ガスを導いて通すことにより達成されるであろう。
【0008】
吸収中、気体又は液体は、それぞれ、特定の材料の上又は中へ導かれ、その材料は、その表面に、気体又は液体に含まれる物質を保持し得る。吸収剤は熱再生に供されることができ、それにより、吸収された物質は吸収剤から離され、吸収剤は再利用されることができる。
【0009】
吸着材として適切な材料を選択するための主な基準は、その活性表面積であり、その基準によると活性炭(約300~1000m2/gの活性表面積)が複数の用途で適切な材料になる。
【0010】
しかしながら、活性炭の使用は、複数の欠点と関連する。例えば、内在する可燃性のために、活性炭は、単純に安全上の理由から、より高温の燃焼ガス中では使用されないであろう。さらに、このために使用される温度は、過剰に高くできず、他方では完全脱着を実質的に抑制するので、熱脱着が問題となる。
【0011】
さらに、活性炭の使用は、燃焼中に蓄積しているフライアッシュの工業的利用を損なうことがある。これらのフライアッシュは、パワープラントのフィルターから回収され、通常は資源と見なされ、とりわけコンクリート製造におけるセメントに適したものとして利用される。したがって、フライアッシュの高い比表面積のために、それらが、コンクリートに凍結抵抗性(frost-tau-properties)を与えるために必須のコンクリート骨材、例えば空孔形成材を吸収する傾向にあるので、燃焼ガス流中への活性炭の注入は、フライアッシュの品質を悪くし、それらのコンクリート製造における使用を損なうであろう。この理由によって、フライアッシュから活性炭を取り除くために、多数の高価な追加の手段を採用する必要がある。
【0012】
この問題を解決するために、独国特許第10 2012 012 367号明細書では、改質トラスの使用が提案されており、改質トラスは、酸及び/又は水と界面活性剤の混合物による処理で、その活性表面が40m2以上のBET値まで増加したものである。しかしながら、パワープラント又は燃焼プラントにおける使用の前に、トラスを前処理しなければならないという欠点がある。
【0013】
その観点では、本発明の課題は、流体、特にパワープラントの燃焼ガスを精製するための単純で費用効率の高い方法であって、多機能であり、かつ従来法の欠点を示さない方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、一般的なプロセス条件下で少なくとも約5質量%の部分が放出可能であるポゾラン(Puzzolan)を利用する流体精製方法を提供することにより解決された。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ポゾランは、加熱下、例えば火山活動中に一般に形成される石材であり、実質的に、アルミナ(Al2O3)、石灰石、酸化鉄、アルカリ化合物、さらにはケイ素化合物、すなわち二酸化ケイ素、例えば、シリカゲル、ケイ酸塩、及び/又はゼオライトから成る。原則として、天然ポゾラン(ポゾラナ(pozzolana))と人工ポゾラン(例えば粉砕されたレンガ)が区別される。
【0016】
本発明に至る実験中、本発明者らは、特定のポゾランが、それ自体は大きな表面積ではないにもかかわらず、前処理なしで、その場(in situ)で気体及び流体から有害物質を除去するのに驚くほど高い有効性を示すことを見出した。
【0017】
本発明において提案されるこれらのポゾランは、精製プロセス中に通常存在する条件下で溶け出す一部の物質、すなわちケイ素/アルミニウム化合物、例えば、二酸化ケイ素、シリカゲル、ケイ酸塩及び/若しくはゼオライト、並びに/又はアルミニウム化合物(例えばAl2O3)などの更なる成分を少なくとも約5質量%示す。そのような条件は、例えば、増加した酸性環境、昇温及び/又は増加した湿度である。
【0018】
理論に拘束されることを望まないが、或る環境条件下、例えば増加した酸性環境及び/又は昇温及び/又は増加した湿度では、ポゾランに存在するケイ素化合物(例えばシリカゲル(SiO2)及び/又はケイ酸塩(SiO4)及び/又はゼオライトの形態)並びにポゾランに存在するアルミニウム化合物(例えばAl2O3など)は溶け出すであろう(すなわち、ポゾランから出てくるであろう)ことが今のところ考えられる。その結果、一方では、ポゾランの活性表面が増え、かつ被処理流体又は被精製流体に存在する物質の吸着に利用できるであろう。また、他方では、ポゾランから溶け出すか、又は出てきた(ケイ素及び/又はアルミニウム化合物である)物質は、有害物質の除去に関与するようだ。また、上記ケイ素/アルミニウム化合物の吸着能とトラス(Trass)の吸着能を単に加えても、本ポゾランを用いて達成される結果にならなかったので、ケイ素/アルミニウム化合物は、それらを成分の捕集に適したものにする特定の形態で溶け出すことがさらに考えられる。また、物質の特定の量、すなわち約5質量%が溶け出すと直ぐに、当初はケイ素/アルミニウム化合物により閉ざされていたポゾランの内部領域/チャンネルが開くことも今のところ考えられる。
【0019】
上記の理論は、異なる複数のポゾラン、例えばBavarian Trass(バイエルン・トラス、BET表面積:約22m2/g)と例えば独国のハウリ(Hauri)社から市販されているPuzzolan Vulkanit 500(BET表面積:約11m2/g)が所定時間に亘って酸性環境条件(水懸濁液、pH5.0)に曝された実験結果により支持される。したがって、Vulkanit 500を含む水懸濁液がゼリー状物になったことは、水中にケイ素化合物が存在することを示し、次いでケイ素化合物のみがポゾランから出たであろうことが分かった。同じことは、Bavarian Trassでは観察されることができなかった。
【0020】
上記実験を繰り返し、かつ水銀化合物を懸濁液に加えたときに、水溶液に残存している水銀の量が、Bavarian Trass分析と比べて、Vulcanit 500分析において驚くほど非常に低かったことは、この種類のポゾランが、ケイ素及びアルミニウム化合物を溶出させている状態では精製能を有意に増加させることを示すことも分かった。
【0021】
行われた追加実験の結果によって、このポゾランは、少なくとも約5質量%の量でポゾランから溶出し得るケイ素及び/又はアルミニウム化合物を含むことが示され、そしてBavarian Trassは2倍大きい表面積を備えるが、約5質量%未満しか溶出しなかった物質を有することが観察されるので、Bavarian Trassで観察されたものよりも驚くほど高い流体の精製能が示された。
【0022】
さらに、本方法での使用のために提案されたポゾランを、SiO2、Na2SiO4及び/又はAl2O3などのケイ素又はアルミニウム化合物が溶出しないBavarian Trassと比べると、Bavarian Trassと上記で列挙されたケイ素及びアルミニウム化合物の精製能力を足し合わせても、本方法での使用のために提案されたポゾランの精製容量又は能力と概ね等しくなかったことが分かった。
【0023】
したがって、広義には、本発明は、流体、例えばパワープラントから放出された燃焼ガス、又は液体、例えば水又はエタノールを精製する方法において、増加した酸性環境及び/又は昇温及び/又は増加した湿度などの環境条件下で溶出することができるケイ素化合物及び/又はアルミニウム化合物の量/部分を少なくとも5質量%含むポゾランの使用に関し、その方法は、上記ポゾランを、ケイ素及び/又はアルミニウム化合物がポゾランから出ることを可能にする条件下で、被精製流体と接触させる工程を含む。
【0024】
本発明に使用されるために提案されるポゾランは、少なくとも約5質量%の物質(すなわち、ケイ素及び/又はアルミニウム化合物)がポゾランから溶出することができるのであれば、天然又は人工ポゾランでよい。物質が出てくるポゾランの質量を基準として、好ましくは少なくとも約7質量%又は少なくとも約10質量%、より好ましくは少なくとも15質量%、さらに好ましくは少なくとも約20質量%、よりさらに好ましくは少なくとも約25質量%又は30質量%、よりさらにいっそう好ましくは少なくとも約35質量%又は40質量%の物質が、ポゾランから溶出されるものである。
【0025】
本明細書において定義されているとおり、用語「ポゾランから『溶出される』又は『出てくる』又は『放出される』物質」は、シリカゲル、ケイ酸塩若しくはゼオライト、又はアルミナなどのケイ素化合物及び/又はアルミニウム化合物、例えば、SiO2、Na2SiO4、及び/又はAl2O3などを含む。
【0026】
本明細書において定義されているとおり、用語「本発明/方法において使用されるために提案されるポゾラン」又は「本発明において使用されるポゾラン」は、石材の少なくとも約5質量%が下記プロセスに従って出てくることができるポゾラン石として定義されるものである:
所定の体積の評価される粉砕石材(ポゾラン、ブレーン値:約2,500cm2/g以上)を秤量し、次いで、塩酸の添加によりpHが5.0に調整されている4倍の体積の水に懸濁させる。懸濁液を25℃の温度で3時間に亘って撹拌する。その後、形成された液体及び/又はゼリーから、それぞれ石材を分離し、オーブンに移し、そこで減圧下150℃で3時間に亘って乾燥させる。そのように乾燥された石材を秤量し、その質量を初期質量と比べる。質量差が約5質量%より大きければ、評価されたポゾランを本発明における使用に適するものと見なす。
【0027】
本明細書において定義されているとおり、用語「酸性環境条件」又は「増加した酸性条件」は、少なくとも約6.5以下、好ましくは約6.0以下、より好ましくは約5.5以下、よりさらに好ましくは、約5以下、又は約4.5若しくは約4.0若しくは約3.5、又は約3.0、又は約2.5若しくは約2.0、さらには1.5若しくは約1.0若しくは約0.5の環境pH値を指定するものである。
【0028】
本明細書において定義されているとおり、用語「環境温度」又は「周囲温度」は、約18℃から約25℃までの範囲内、好ましくは約20℃から約25℃までの範囲内、より好ましくは、21℃又は22℃又は23℃又は24℃又は25℃の温度を指定するものである。
【0029】
本明細書において定義されているとおり、用語「昇温」は、約25℃以上の温度、すなわち、約25℃から約900℃まで、又は約25℃から約800℃まで、又は約25℃から約700℃まで、又は約25℃から約600℃までの範囲内の温度、好ましくは、約30℃から約500℃まで、又は約30℃から約400℃まで、又は約30℃から約300℃まで、約30℃から約200℃まで、又は約35℃から約150℃までの範囲内の温度を指定するものであり、各単一温度が、上記で列挙された間隔で、すなわち、例えば、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃など、すなわち、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃などで、明示的に記載されているものとする。
【0030】
本明細書において定義されているとおり、用語「環境水分含有量」又は「環境湿度」は、気体と液体のいずれかの状態の被処理流体中の水の特定の含有量を指定するものである。その含有量は、約5%から100%まで、約10%から100%までの範囲内にあるものであり、好ましくは、約15%から100%までの範囲内、より好ましくは、約20%から100%までの範囲内、よりさらに好ましくは、約30%から100%まで、又は約35%から100%まで、又は約40%から100%まで、又は約45%から100%まで、約50%から100%まで、又は約55%から100%まで、又は約60%から100%まで、又は約65%から100%まで、又は約70%から100%まで、又は約75%から100%まで、又は約80%から100%まで、又は約85%から100%まで、又は約90%から100%まで、又は約95%から100%までの範囲内にあるものである。
【0031】
本明細書において定義されているとおり、用語「流体」又は「水性流体」は、上記の「環境水分含有量」下で規定されたとおり、少なくとも約5%の水分を含む液体又は気体を指定するものである。
【0032】
本明細書において定義されているとおり、「%」で示される全ての量は、別段の言及がない限り、「質量%」を意味する。
【0033】
本明細書において定義されているとおり、用語「排ガス」及び「燃焼ガス」は、本明細書では区別なく用いられており、かつ化石燃料自体を燃やすことにより、又は廃棄物をさらに燃やすことにより、生成及び放出される気体を指定するものである。
【0034】
本明細書において定義されているとおり、用語「毒素」、「有害物質」及び「汚染物質」は、区別なく用いられており、かつ被処理流体に含まれることが好ましくない化合物又は物質を指定するものである。一般に、好ましくない状態は、処理後の流体の使用目的に依存する。好ましくない物質の非限定的な一覧は、水銀、重金属、酸化窒素、ダイオキシン、塩素化フラン、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、一酸化炭素、塩酸、二酸化硫黄、硫化水素、細菌、菌類、生物学的デブリ又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
本明細書において定義されているとおり、用語「吸着」及び「堆積」は、本明細書では区別なく用いられており、かつ特定の化合物が、本ポゾランの表面に結合することを指定するものである。
【0036】
本発明によれば、本発明において使用されるために提案されるポゾランは、精製プロセス中で又は精製プロセスに適用されたときに、一般的な条件下でポゾランから溶出することができる、すなわちポゾランから出てくる少なくとも5質量%のケイ素及び/又はアルミニウム化合物の部分又は量を含み、増加した表面積を有するポゾランとそれから出たケイ素/アルミニウム化合物の有効な混合物が、精製プロセス中にin situで形成される。
【0037】
本実施形態によれば、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、酸性環境条件下又は中性環境条件下、常温及び/又は昇温で流体と接触させられることができる。
【0038】
一例としては、被処理ガス状流体は、本発明に使用されるために提案されるポゾランの上に又は中に導かれることができ、そのポゾランは、床又は容器に提供されることができる。本実施形態によれば、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、例えば粉砕石材を気体流中に注入することにより、パワープラントの排ガス中に直接導入されることもできる。本技術分野でよく知られるとおり、排ガスは高酸性成分を本質的に含む。
【0039】
別の実施形態によれば、液体が、常温又は昇温で、例えば、約50℃から約90℃まで、又は約60℃から約90℃までの範囲内で、本発明に使用されるために提案されるポゾランと接触させられることができ、その液体は、本質的に酸性であるか、HCLなどの適切な酸により酸性にされるか、又は中性pHを示してよい。液体は、本発明に使用されるために提案されるポゾランを含む床若しくは容器の中へ導入されることができるか、又は液体は、容器に提供されて、例えば所定の期間に亘る撹拌下でポゾランと接触させられることができる。
【0040】
ニーズ及び環境条件に応じて、かつポゾランから出ることができるケイ素/アルミニウム化合物の部分に応じて、被処理流体から有害成分を吸収するか、又は吸着することが知られている追加の化合物を使用してよく、特にケイ素化合物、例えば、シリカゲル(SiO2)、ケイ酸塩(SiO4)及び/又はゼオライトなど、又は粘土(Al2O3)、又は当業者に知られている他の化合物を使用してよい。
【0041】
当業者は、単純な実験により、いかなる負担もなく、特定のポゾランが、本発明における使用に適する(すなわち燃焼ガスなどの流体の精製に適する)ポゾランと見なせるか否か、かつ/又は追加の予備成分が、特定の好ましい効果を達成するために使用されるものであるかどうかを決定することができる。上記のとおり、本発明における使用に適したポゾランは、所定の量/体積の被評価ポゾランを水に懸濁させて、それに含まれるケイ素/アルミニウム化合物の溶出又は放出を可能にする条件下で所定の期間に亘って水をポゾランと接触させることにより決定されることができる。放出を可能にするのに適した条件は、水のpHを中性へ、例えば7.5若しくは7.0のpHへ、又は酸性へ、例えば、約6.5若しくは約6.0さらには約5.5若しくは約5.0若しくは約4.5若しくは約4以下のpHへ調整し、かつ例えば、常温及び/又は昇温の撹拌下、形成された液体/ゼリーから石材が分離される所定の期間に亘って、ポゾランと水を接触させることであり、その石材を乾燥させ、その質量を決定し、かつ使用材料の初期質量と比べる。
【0042】
また、ポゾランからケイ素/アルミニウム化合物を溶出させる準備と、そのようにして被処理流体から有害成分を迅速に除去する実質的な有効性とが、いわゆる「ブレーン値(Blaine-Value)」として通常示される粒子サイズに依存することが分かった。
【0043】
さらに、本発明に至る実験中、約2,500cm2/g以上の「ブレーン値」を示すポゾランは、放出可能な形態で存在すれば、良好な速度でケイ素/アルミニウム化合物を放出し、それ故に、妥当な期間内に精製プロセス中で良好な有効性を示すことが分かった。これは、小さい粒子サイズが、環境条件(酸性環境、温度、湿度)下でケイ素/アルミニウム化合物がより高い量で及びより速く概ね放出されることができる更に大きな外部表面積を主として提供し、したがって、より小さな外部表面積を示す材料で開始したときと比べて、増加した(内部)表面積を有するポゾランとケイ素/アルミニウム化合物の混合物をより速く形成するということから理論的に説明されることができる。当業者は、2,500cm2/gを下回るブレーン値を有する材料は、良好な精製結果を達成するために、流体と接触させる期間を延長する必要があるという条件で、同様に使用されることができることを理解するであろう。
【0044】
一般に、本発明に使用されるために提案されるポゾランのブレーン値は、2,500cm2/g以上、好ましくは5,000cm2/g以上、より好ましくは約7,500cm2/g以上、よりさらに好ましくは約9,000cm2/g以上、よりいっそう好ましくは約11,000cm2/g以上、例えば、約14,000cm2/g又は17,000cm2/g以上である。
【0045】
また、当業者にとって、本発明に使用されるために提案されるポゾランの粒子サイズは、適切な製粉により適切に調整されることができ、したがって、使用されるポゾラン及び対象とする用途に応じて、好ましい粒子サイズを提供し得ることが明らかである。例えば、溶出されることができるケイ素/アルミニウム化合物を多量に含むポゾランを使用する場合、良好な結果を達成する限り、小さいブレーン値を選択してよく、一方で、溶出されるケイ素/アルミニウム化合物をより低い濃度で有するポゾランを選択する場合には、より高いブレーン値が、所望の期間で結果を出すためには好ましいであろう。
【0046】
本発明に使用されるために提案される本ポゾランは、パワープラントの燃焼ガス、例えば炭で燃やされるものを精製するのに特に有用である。燃焼ガスに見られる条件下、すなわち、昇温、特定の湿度、及び酸性環境では、ケイ素/アルミニウム化合物がin situで放出され、その結果、ケイ素/アルミニウム化合物が溶出され、かつ吸着のための活性(内部)表面積がより高いポゾランと、溶出化合物(ケイ素/アルミニウム化合物)とが、両方ともin situで精製プロセスに関与するから、それらは優れた吸着材である。
【0047】
結果として、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、なんらかの前処理なしで、使用されることができる。
【0048】
本発明に使用されるために提案されるポゾランの非排他的な例は、Vulkanit 500、Zeomin SP90及びZeomin SP100であり、いずれもFa. Hauri社(独国ベッツィンゲン)から市販されている。
【0049】
ポゾランは、石材であり、それ故に可燃性ではないので、排ガスから有害物質を除去するために、燃焼チャンバ中へ又は燃焼チャンバ直後の排ガス中へ直接充填されることができる。
【0050】
本発明に使用されるために提案されるポゾランは、単独で使用されることができ、特にパワープラントの燃焼ガスを精製しようとするときに、活性炭又は活性化トラスと比べて、コストがより低いという利点を有する。しかしながら、必要に応じて、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、他の既知の物質、例えば、既知の活性炭、コークス及び/又はフライアッシュとともに使用されることもできる。
【0051】
本発明に使用されるために提案されるポゾランの別の利点は、上記酸性成分が、ケイ素/アルミニウム化合物の放出を起こし、かつ少なくとも部分的に取り込まれるので、ポゾランは、被精製流体中に存在する酸性成分を捕集することができるという点にある。これは、排/燃焼ガスに存在する酸性成分を捕捉するために複雑なシステムを要する化石燃料で稼働するパワープラント又は廃棄物の燃焼時に、特に重要である。
【0052】
必要かつ適切な場合には、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、塩基性物質、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、クイックライム、ドロマイト、炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム等と混合されることができ、被処理流体に存在する酸性成分のさらに良好な捕集を可能にすることができる。
【0053】
好ましい実施形態によれば、本発明に使用されるために提案されるポゾランは、炭素及びチョーク変異種と共に、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、活性炭及び/又はコークスとの混合物などにおいて、使用される。
【0054】
別の実施形態によれば、本発明は、本ポゾランと硫黄の使用、又は追加のアジュバント/添加剤のための、例えば、硫化物、ポリ硫化物、チオン酸塩及びポリチオン酸塩(例えば、-O3S-Sn-SO3
-)、四硫化ナトリウム、元素硫黄などのように、流体からの水銀の除去に役立つ成分のためのキャリアとしての本ポゾランの使用にも関する。代替的には、又は上記に加えて、バナジウム、タングステン、チタン、パラジウム、ロジウム、白金、オーエルメタル、ラネーニッケル、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、酸化サマリウム(III)又はホプカライトのような触媒を本ポゾランの表面領域上に組み込んでよい。
【0055】
これらの化合物は、従来の方法、例えば含浸、好ましくは、例えば硝酸銅などの可溶性塩での含浸に従って、本ポゾランの表面上へ堆積されることができる。したがって、本ポゾランは、流体の吸着精製と同時に触媒精製、例えば、セメントオーブンの燃焼ガス中の窒素酸化物のSCRの還元、又は有機物及び/若しくは塩素化炭化水素及び/若しくは一酸化炭素の酸化を進めるために使用されることができる。
【0056】
別の好ましい実施形態によれば、水銀の実質的に完全な除去を達成するために、本ポゾランは、元素硫黄とともに使用されることができ、元素硫黄は、その混合物に存在することができるか、又は本ポゾラン上へホップディップコーティングされるか、若しくは焼結融合されるか、若しくは所望により可溶性ガラスで接着されることができる。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、ポゾランから出たケイ素/アルミニウム化合物も、それらがキャリア上での硫黄の微細分布を可能にするので、観察された効果に寄与することが今のところ考えられる。
【0057】
本ポゾランの別の利点は、例えば活性炭のように可燃性ではないにもかかわらず、それらの水銀の吸着容量が高いことにある。上記のとおり、本ポゾランは、燃焼チャンバ中へ、若しくはその下流の任意の段階で排/燃焼ガス中へ直接導入されることができるか、又はポゾランの物理的構造を変えない約800℃の温度でさえも、いかなる問題もなく、使用されることができる。有害物質の吸着を目的として、排ガス流のさらに下流の位置での導入が適切なこともあり、その位置では、排ガスは依然として300℃以上又は約200℃以上の温度を有する。本ポゾランは、好ましい粒子サイズを有する石材であるから、排ガスによって、かつ排ガスとともに運ばれるであろうし、プラント中で使用される従来のウェブ又は電気的フィルター上に回収されるまでガスと反応することができ、石材の上を流れるガスは、その除去までは石材とさらに反応することができる。
【0058】
別の利点は、ポゾランが、一般に耐摩耗性であり、細塵を生成する傾向がないということにある。ポゾランは、任意の従来法に従って好ましい粒子サイズ又は粒度分布へ製粉されることができるので、パワープラントにおける活性炭の代替として気流法に直接使用されることができる。それらは、従来法で排ガス流に注入されて排ガス流と連動し、固体は、フィルターを配置した下流で回収される。代替的には、本ポゾランは、充填床において、すなわち、粉末形態及び/又は粒形態及び/又は被処理流体に使用可能な表面を減少させることなくキャリア上に接着された状態で使用されることもできる。
【0059】
活性炭に対する本ポゾランの別の利点については、本ポゾランは、高い水吸収容量を示し、高い水吸収容量は、フィルターをセメント結合させることなく精製プロセスを露点付近で行うことを可能にするのに対して、そのようなセメント結合は、これらの条件下で活性炭を使用したときに起こり得るということが分かる。さらに、本ポゾランは、コンクリート製造に使用されることになるフライアッシュの性質を劣化させない。
【0060】
下記実施例では、本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されない。
【実施例】
【0061】
実施例
例1:
排ガスを精製するための天然ポゾランVulkanit 500の使用
下記の所定の組成:
- 窒素 90体積%
- 酸素 10体積%
- HCl 18.1mg/L
- 湿度 0.15g/L
- Hg(HgCl2として) 4.428g
を示す気体27Lを、約2.2L/分の速度及び170℃で、150mgの天然ポゾラン(Vulkanit 500、ハウリ(Hauri)社、独国;BET活性表面:約11;ブレーン値:約14,000)を含む管の中へ導いて通過させた。管の後で回収された気体には、約78.9%の水銀の吸着率と対応する0.931gの水銀を検出することができた。
【0062】
例2:
比較分析
下記材料:
A)150mgのVulkanit 500及び150mgのチョーク;
B)150mgのチョーク;
C)150mgのBavarian Trass(BET表面:22m2/g);
D)150mgのSiO2;
E)150mgのNa2SiO4;
F)150mgのAl2O3;
を用いたこと以外は例1と同じ条件下で例1の実験を繰り返した。
【0063】
個別の材料による水銀吸着の結果は、以下のとおりに決定されることができた:
A)83.2%
B)4.7%
C)12%
D)10.6%
E)8.4%
F)26.4%
【0064】
この結果から、例1で使用されたポゾランの水銀堆積率は、混合物中でチョークをさらに使用することによって、概ね増加されることができるということになる。他方、Vulkanit 500のほぼ2倍の大きさの活性表面を示すBavarian Trassは、約12%の水銀堆積率しか得ていない。さらに、ポゾランから溶出し得る物質(ケイ素/アルミニウム化合物)は、Vulkanit 500単独で得られる結果と等しくなるように添加されたとしても、そのような結果にならなかった。
【0065】
例3:
硫黄との混合物における天然ポゾランVulkanit 500の使用
下記の所定の組成:
- 窒素 90体積%
- 酸素 10体積%
- HCl 18.1mg/L
- 湿度 0.15g/L
- Hg(HgCl2として) 4.428g
を示す気体27Lを、170℃で、(5:1の比と対応する)125mgのVulkanit 500と25mgの硫黄華から成る混合物150mgを含む管の中へ導いて通過させた。管を通過した後の気体には、約98.21%の水銀堆積率と対応する0.079gの水銀を検出することができた。
【0066】
例4:
硫黄及びチョークとの混合物における天然ポゾランVulkanit 500の使用
下記の所定の組成:
- 窒素 90体積%
- 酸素 10体積%
- HCl 18.1mg/L
- 湿度 0.15g/L
- Hg(HgCl2として) 4.428g
を示す気体27Lを、170℃で、(5:1の比と対応する)125mgのVulkanit 500及び25mgの硫黄華から成る混合物150mgと、150mgのチョーク(メルカーセメント社、ハールブルグ、独国)とを含む管の中へ導いて通過させた。管を通過した気体には、約99.98%の水銀堆積率と対応する0.001gの水銀しか検出できなかった。
【0067】
例5:
天然ポゾランSP 90の使用
下記の所定の組成:
- 窒素 90体積%
- 酸素 10体積%
- HCl 18.1mg/L
- 湿度 0.15g/L
- Hg(HgCl2として) 4.428g
を示す気体27Lを、170℃で、150mgのSP 90(ハウリ社、独国、ブレーン値:約9000)を含む管の中へ導いて通過させた。管を通過した気体には、約72.8%の水銀堆積率と対応する1.204gの量の水銀を検出することができた。
【0068】
例6:
硫黄との混合物における天然ポゾランSP 90の使用
下記の所定の組成:
- 窒素 90体積%
- 酸素 10体積%
- HCl 18.1mg/L
- 湿度 0.15g/L
- Hg(HgCl2として) 4.428g
を示す気体27Lを、170℃で、(5:1の比と対応する)125mgのSP 90(ハウリ社、独国、ブレーン値:約9000)と25mgの硫黄華から成る混合物150mgを含む管の中へ導いて通過させた。管を通過した気体には、約95.69%の水銀堆積率と対応する0.191gの量の水銀を検出することができた。
【0069】
例7:
水の精製における天然ポゾランVulkanit 500の使用
Vulkanit V500を目盛り付きフラスコ中へ200mLの充填レベルまで入れて、その容量を水で1リットルへ調整することによって、様々な比較分析試料を調製したところ、7.5のpH(試料:A1,A2,A3,A4,A5,A6)及び6.0のpH(試料:B1,B2,B3,B4)と3.0のpH(試料:C1,C2,C3,C4)とを示した(1NのHClで調整されたpHである)。それらの内容物を撹拌フラスコに移して、以下のように処理した:
(A1) 25℃で1時間の撹拌
(A2) 還流における90℃で1時間の撹拌
(A3) 25℃で6時間の撹拌
(A4) 還流における90℃で6時間の撹拌
(A5) 25℃で24時間の撹拌
(A6) 還流における90℃で24時間の撹拌
(B1) 25℃で1時間の撹拌
(B2) 還流における90℃で1時間の撹拌
(B3) 25℃で6時間の撹拌
(B4) 還流における90℃で6時間の撹拌
(C1) 25℃で1時間の撹拌
(C2) 還流における90℃で1時間の撹拌
(C3) 25℃で6時間の撹拌
(C4) 還流における90℃で6時間の撹拌
【0070】
分析試料A1~A6、B1~B4及びC1~C4において、溶出した物質の量を決定した。以下の結果が得られた:
(A1) 0.4%
(A2) 1.8%
(A3) 1.3%
(A4) 4.7%
(A5) 3.4%
(A6) 5.9%
(B1) 6.7%
(B2) 9.4%
(B3) 13.6%
(B4) 27.8%
(C1) 17.4%
(C2) 24.6%
(C3) 31.2%
(C4) 36.3%
【0071】
さらに(結果を示さないが)所定の温度では、期間の延長及び/又はpH値の低下が、物質の溶出を特定の上限まで増加させたことを見出せた。
【0072】
溶液が2gのHgCl2を含んだこと以外は上記のとおりに分析を繰り返した。個別の処理後の水に残る水銀の量を決定したところ、以下の結果が得られた(水溶液中で測定された「g」、及びポゾランと結合した割合を示した)。
(A1) 1.99g (0.5%)
(A2) 1.96g (2.0%)
(A3) 1.97g (1.5%)
(A4) 1.81g (9.50%)
(A5) 1.87g (6.5%)
(A6) 1.26g (37.0%)
(B1) 1.15g (42.5%)
(B2) 0.99g (50.5%)
(B3) 0.88g (56.0%)
(B4) 0.58g (71.0%)
(C1) 0.78g (61.0%)
(C2) 0.61g (69.5%)
(C3) 0.46g (77.0%)
(C4) 0.38g (81.0%)
【0073】
上記の結果から明らかなとおり、ポゾランは、約5質量%以上のケイ素/アルミニウム化合物が材料から溶出したときに、驚くほど増加した吸着容量を示す。理論上、これは、或る観点では、そのような量の放出可能な物質を取り除くと、それまで閉じて隠れていた内部表面積が、吸着のために利用可能になるということから説明されることができる。