IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウェスト ファーマシューティカル サービシス,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-薬剤バイアルストッパー 図1
  • 特許-薬剤バイアルストッパー 図2
  • 特許-薬剤バイアルストッパー 図3
  • 特許-薬剤バイアルストッパー 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】薬剤バイアルストッパー
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20220301BHJP
   B65D 51/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A61J1/05 315
B65D51/00 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017550249
(86)(22)【出願日】2015-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 US2015022038
(87)【国際公開番号】W WO2016153476
(87)【国際公開日】2016-09-29
【審査請求日】2018-03-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517330472
【氏名又は名称】ウェスト ファーマシューティカル サービシス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アイクホーン,クリスティアン
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】栗山 卓也
【審判官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2231418(US,A)
【文献】特開2001-130614(JP,A)
【文献】特表2005-523082(JP,A)
【文献】米国特許第3870183(US,A)
【文献】特開2014-161473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルストッパー100を穿刺することが可能な先鋭部40によってバイアル10から取り出し可能な薬剤を含むバイアル10のネック12の開口端12aを密閉するためのバイアルストッパー100であって、上記ネック12のネックフランジ14は、上記開口端12aを囲み、略環状であり、上記先鋭部40は、直径Dを有する半径方向外向きの側壁44を有する軸42を備え、上記軸42内の内腔46は、上記軸42の先端50の近位にある、上記薬剤が上記内腔46に取り込まれることを可能にする少なくとも1つの孔48を有し、
ストッパーフランジ外径Dと、ストッパーフランジ縦軸Xに平行な方向のフランジ厚さTとを有する円形円盤状であり、第1側部104と、上記第1側部104から上記フランジ厚さTの間隔を置いた第2側部106と、上記先鋭部40によって穿刺可能な、中央に位置する穿刺可能部108とを有するストッパーフランジ102と、
上記ストッパーフランジ102の上記第2側部106から延在し、上記ストッパーフランジ102の中央に配置され、上記ストッパーフランジ外径Dより小さい栓外径Dを有する円柱形状であり、上記バイアル10の上記ネック12に圧縮して嵌め込んだ状態で密閉して挿入可能であるストッパー栓110と、を備え、
上記ストッパー栓110は、上記ストッパーフランジ102の中央に配置される第1穴112および上記ストッパーフランジ102の中央に配置される第2穴116から成り、前記先鋭部40が穿刺したときに薬剤が進入し得る内部容積を有し、
上記第1穴112は、第1穴第1端部112aと、上記第1穴第1端部112aから第1穴長さLB1の間隔を置いた第1穴第2端部112bとを有し、半径方向内向きの第1穴表面114は、上記第1穴長さLB1の全長である一定の第1穴直径DB1を有し、上記第1穴第1端部112aは、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108によってふさがれ、上記先鋭部40が、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108を通り、密閉して挿入されるとき、上記第1穴直径DB1および上記第1穴長さLB1は、一定であり、
上記第2穴116は、第2穴第1端部116aと、上記第2穴第1端部116aから第2穴長さLB2の間隔を置いた第2穴第2端部116bとを有し、半径方向内向きの第2穴表面118は、上記第2穴長さLB2の全長である一定の第2穴直径DB2を有し、上記第2穴直径DB2は、上記第1穴直径DB1よりも大きく、上記第2穴第1端部116aは、上記第1穴第2端部112bと流体連結しており、
上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108は、弾性的に変形可能であり、上記先鋭部40によって穿刺されると同時に上記軸の上記半径方向外向きの側壁に密着することによって、液体進入防止封止部120が形成されることを特徴とするバイアルストッパー。
【請求項2】
バイアルストッパー100を穿刺することが可能な先鋭部40によってバイアル10から取り出し可能な薬剤を含むバイアル10のネック12の開口端12aを密閉するためのバイアルストッパー100であって、上記先鋭部40は、半径方向外向きの側壁44を有する軸42を備え、
ストッパーフランジ外径Dと、ストッパーフランジ縦軸Xに平行な方向のフランジ厚さTとを有する円形円盤状であり、第1側部104と、上記第1側部104から上記フランジ厚さTの間隔を置いた第2側部106と、上記先鋭部40によって穿刺可能な、中央に位置する穿刺可能部108とを有するストッパーフランジ102と、
上記ストッパーフランジ102の上記第2側部106から延在し、上記ストッパーフランジ102の中央に配置され、上記ストッパーフランジ外径Dより小さい栓外径Dを有する円柱形状であり、上記バイアル10の上記ネック12に圧縮して嵌め込んだ状態で密閉して挿入可能であるストッパー栓110と、を備え、
上記ストッパー栓110は、上記ストッパーフランジ102の中央に配置される第1穴112、上記ストッパーフランジ102の中央に配置される第2穴116、および、上記ストッパーフランジ102の中央に配置される、上記第1穴112と上記第2穴116との間の移行穴124から成り、前記先鋭部40が穿刺したときに薬剤が進入し得る内部容積を有し、上記第1穴は、第1穴第1端部112aと、上記第1穴第1端部112aから第1穴長さLB1の間隔を置いた第1穴第2端部112bとを有し、半径方向内向きの第1穴表面114は、上記第1穴長さLB1の全長である一定の第1穴直径DB1を有し、上記第1穴第1端部112aは、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108によってふさがれ、上記先鋭部40が、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108を通り、密閉して挿入されるとき、上記第1穴直径DB1および上記第1穴長さLB1は、一定であり、
上記第2穴116は、第2穴第1端部116aと、上記第2穴第1端部116aから第2穴長さLB2の間隔を置いた第2穴第2端部116bとを有し、半径方向内向きの第2穴表面118は、上記第2穴長さLB2の全長である一定の第2穴直径DB2を有し、上記第2穴直径DB2は、上記第1穴直径DB1よりも大きく、上記第2穴第1端部116aは、上記第1穴第2端部112bと流体連結しており、
上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108は、弾性的に変形可能であり、上記先鋭部40によって穿刺されると同時に上記軸42の上記半径方向外向きの側壁44に密着することによって、液体進入防止封止部120が形成されることを特徴とするバイアルストッパー。
【請求項3】
半径方向内向きの第1穴表面114は、上記先鋭部40が上記ストッパーフランジの上記中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、上記第1穴112の上記第2端部を越えて挿入された後、上記軸42の上記側壁と滑り接触することを特徴とする請求項1または2に記載のバイアルストッパー。
【請求項4】
上記半径方向内向きの第1穴表面114と、上記半径方向内向きの第1穴表面114に対向する上記軸42の上記側壁の一部とによって境界される環状空間の容積は、上記先鋭部40が上記ストッパーフランジの上記中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、上記第1穴112の上記第2端部を越えて挿入され、上記半径方向内向きの第1穴表面114が上記軸42の上記側壁から間隔を置いて配置されている場合、約0.01ミリリットルより大きく、約0.25ミリリットルより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のバイアルストッパー。
【請求項5】
上記半径方向内向きの第1穴表面114と、上記半径方向内向きの第1穴表面114に対向する上記軸42の上記側壁の一部とによって境界される環状空間の容積は、上記先鋭部40が上記ストッパーフランジの上記中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、上記第1穴112の上記第2端部を越えて延在し、上記半径方向内向きの第1穴表面114が上記軸42の上記側壁から間隔を置いて配置されている場合、約0.01ミリリットルより大きく、約0.14ミリリットルより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のバイアルストッパー。
【請求項6】
上記移行穴は、上記ストッパーフランジ102の上記縦軸に垂直な平面全体に位置する環状表面で構成されており、上記第1穴直径DB1と同一の移行穴内径および上記第2穴直径DB2と同一の移行穴外径を有することを特徴とする請求項2に記載のバイアルストッパー。
【請求項7】
上記移行穴は、移行穴第1端部124aと、上記移行穴第1端部124aから移行穴長さの間隔を置いた移行穴第2端部124bとを有し、上記移行穴第1端部124aは、上記第1穴直径DB1と同一の移行部第1端部直径を有し、上記移行穴第2端部124bは、上記第2穴直径DB2と同一の移行穴第2端部直径を有し、半径方向内向きの移行穴表面126は、中空円錐の切頭錘台の内面に対応する形状であることを特徴とする請求項2に記載のバイアルストッパー。
【請求項8】
上記移行穴は、移行穴第1端部124aと、上記移行穴第1端部124aから移行穴長さの間隔を置いた移行穴第2端部124bとを有し、上記移行穴第1端部124aは、上記第1穴直径DB1と同一の移行穴第1端部直径を有し、上記移行穴第2端部124bは、上記第2穴直径DB2と同一の移行穴第2端部直径を有し、半径方向内向きの移行穴表面126は弓状であることを特徴とする請求項2に記載のバイアルストッパー。
【請求項9】
上記液体進入防止封止部120は、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108が上記先鋭部40によって穿刺される際に形成された、上記ストッパーフランジ102の上記中央に位置する穿刺可能部108の破断縁部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバイアルストッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤容器のストッパーに関する。さらに具体的には、本発明は、注射針またはバイアル誘導管等の穿刺装置によって穿刺可能な薬剤バイアルストッパーに関し、該穿刺装置を引き抜くと同時に自動閉鎖する。
【背景技術】
【0002】
非経口投与用の薬剤は、薬剤バイアルに、体液と浸透圧が等しい滅菌塩化ナトリウム水溶液等の生理溶液によって上記バイアル内で還元する必要がある乾燥粉末として、還元薬剤を上記バイアルから引き出すのに先立って、保存されてもよい。直接使用可能な溶液または還元する必要がある原液状の溶液もまた、薬剤バイアルに保存される。薬剤の保存方法に関係なく、液体を薬剤バイアル内の薬剤から投薬装置へ移す必要がある。
【0003】
図1を参照すると、薬剤が取り出された、一般的な薬剤バイアル10を逆さにしたものの一部が示されている。バイアル10はネック12を有し、開口端12aが、略環状のネックフランジ14によって囲まれる。
【0004】
ストッパー栓24が延在するストッパーフランジ22を有する従来のストッパー20は、薬剤バイアル10のネック12に密閉して挿入される。ストッパー栓24は略管状形の空洞(または上部空間)26を有し、一端がストッパーフランジ22の中央に位置する穿刺可能部によってふさがれ、他端がバイアル10の中身と開放流体連結している。
【0005】
略円筒形の覆い34が延在する上壁32を有するバイアル誘導管30は、覆い34から半径方向内向きに延在し、スナップ式に瓶のフランジ14をはめ込むネックグリップ36によって、バイアル10に取り付けられる。注射筒(図示せず)に取り付け可能なハブ38は、上壁32の一方から延在する。先鋭部40は上壁32の他方から延在する。先鋭部40は、ストッパーフランジ22の中央部を穿刺する軸42を有する。軸42は半径方向外向きの側壁44を有する。軸42内の内腔46は、ハブ38と流体連結しており、軸42の先端50の近位にある、薬剤が内腔44に取り込まれることを可能にする少なくとも1つの孔48を有する。ストッパーフランジ22の捲上部28は、軸42がストッパーフランジ22を穿刺した後、軸42の側壁44の一部に沿って延在する。
【0006】
慣例では、薬剤は、ストッパーフランジ22が穿刺された後に、図1に示すようにバイアルを逆さにすることによって、該バイアルから取り出され、軸42は、孔48が捲上部28を過ぎるまでバイアル10に挿入され、薬剤は、ハブ38に取り付け可能な投薬装置(図示せず)によって取り出されてもよい。捲上部28および上部空間26の閉口端の直径が原因で、薬剤は普通、バイアル10から完全に取り出されるわけではない。例えば、従来の13ミリリットルサイズのストッパーについては、バイアルに残存する薬剤の残存量は一般的に0.14ミリリットルである。一方、従来の20ミリリットルサイズのストッパーについては、バイアルに残存する薬剤の残存量は一般的に0.25ミリリットルである。
【0007】
したがって、増え続ける薬剤費を考えると、当技術分野において、バイアルから取り出すことができない薬剤の残存量を減らす薬剤バイアルストッパーが必要である。
【発明の概要】
【0008】
手短に述べると、本発明の一実施形態は、バイアルストッパーを穿刺することが可能な先鋭部によってバイアルから取り出し可能な薬剤を含むバイアルのネックの開口端を密閉するためのバイアルストッパーを対象としている。ネックフランジは、上記開口端を囲み、略環状である。上記先鋭部は、直径を有する半径方向外向きの側壁を有する軸を備える。上記軸内の内腔は、上記軸の先端の近位にある、上記薬剤が上記内腔に取り込まれることを可能にする少なくとも1つの孔を有する。
【0009】
上記バイアルストッパーは、ストッパーフランジ縦軸によって二等分されるストッパーフランジ外径と、上記縦軸に平行な方向のフランジ厚さとを有する円形円盤状のストッパーフランジを備える。上記ストッパーフランジは、第1側部と、上記第1側部から上記フランジ厚さの間隔を置いた第2側部と、上記先鋭部によって穿刺可能な中央に位置するストッパーフランジ部とを有する。
【0010】
ストッパー栓は、上記ストッパーフランジの上記第2側部から延在する。上記ストッパー栓は、上記フランジ縦軸によって二等分される、上記ストッパーフランジ外径より小さい栓外径を有する円柱形状である。上記ストッパー栓は、上記バイアルの上記ネックに圧縮して嵌め込んだ状態で挿入可能である。
【0011】
第1穴は上記ストッパー栓内にある。上記第1穴は、第1穴第1端部と、上記第1穴第1端部から第1穴長さの間隔を置いた第1穴第2端部とを有する。半径方向内向きの第1穴表面は、上記第1穴長さの全長である一定の第1穴直径を有する。上記第1穴第1端部は、上記ストッパーフランジの上記中央に位置する穿刺可能部によってふさがれる。
【0012】
第2穴は上記ストッパー栓内にある。上記第2穴は、第2穴第1端部と、上記第2穴第1端部から第2穴長さの間隔を置いた第2穴第2端部とを有する。半径方向内向きの第2穴表面は、上記第2穴長さの全長である一定の第2穴直径を有する。上記第2穴直径は、上記第1穴直径よりも大きい。上記第2穴第1端部は、上記第1穴第2端部と流体連結している。
【0013】
上記ストッパーフランジの上記中央に位置する穿刺可能部は、弾性的に変形可能であり、上記先鋭部によって穿刺されると同時に上記軸の上記半径方向外向きの側壁に密着することによって、液体進入防止封止部が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上述の概要も以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明も、添付の図面と併せて読まれればよりよく理解されるだろう。本発明を説明するために、図面は、現在好まれている実施形態を示す。しかしながら、本発明が示されている構成および手段そのものに限定されないことを理解すべきである。
【0015】
各図は以下の通りである。
図1】従来のバイアル誘導管によって穿刺された先行技術のストッパーによって密閉された逆さまのバイアルの一部の断面図である。
図2図1のバイアル誘導管の先鋭部の一部の断面図から間隔を置いた本発明に係るバイアルストッパーの第1の好ましい実施形態の断面図である。
図3図1の従来のバイアル誘導管によって穿刺された図2の穿刺されたストッパーによって密閉された逆さまのバイアルの一部の断面図である。
図4】軸がストッパーフランジを穿刺した後にストッパーフランジの捲上部が軸の側壁の一部に沿って延在することを示す図3の拡大部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例が添付図面に示されている本発明の実施形態について詳細に言及する。本発明の明細書において使用されている用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本発明を限定する意図はない。
【0017】
本発明の説明および添付の請求項において使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で明示されない限り、複数形も含むことが意図されている。用語「備える」(“comprises”および/または“comprising”)は、本明細書において使用される際、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定しているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、部品、および/またはこれらの群の存在または追加を排除しない。
【0018】
「第1の」、「第2の」等の用語は本明細書ではさまざまな要素を説明するために使用されているが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素と他の要素とを区別するために使用されているにすぎない。例えば、本発明の範囲を逸脱することなく、第1穴は第2穴と称してもよく、同様に、第2穴は第1穴と称してもよい。
【0019】
以下の説明は、本発明に係る薬剤ストッパーバイアルのさまざまな実施形態に対して行われる。
【0020】
全体にわたって同じ数字は同じ要素を示す図面を詳細に参照すると、図2~4では、通常100と示され、以後本発明に係る「バイアルストッパー」100と称される薬剤バイアルストッパーの第1の好ましい実施形態が示されている。バイアルストッパー100は、該ストッパーを穿刺することが可能な先鋭部40によってバイアル10から取り出し可能な薬剤を含むバイアル10のネック12の開口端12aを密閉するためのものである。ネックフランジ14は、バイアル10の開口端12aを囲み、略環状である。先鋭部40は、直径Dを有する半径方向外向きの側壁44を有する軸42を備える。軸42内の内腔46は、軸42の先端50の近位にある少なくとも1つの孔48を有する。薬剤は、孔48を通して内腔46に取り込まれてもよい。
【0021】
バイアルストッパー100は、ストッパーフランジ縦軸「X」によって二等分されるストッパーフランジ外径Dと、縦軸Xに平行な方向のフランジ厚さ「T」とを有する円形円盤状のストッパーフランジ102を備える。ストッパーフランジ102は、第1側部104と、第1側部104からフランジ厚さ「T」の間隔を置いた第2側部106と、先鋭部40によって穿刺可能な中央に位置するストッパーフランジ部108とを有する。
【0022】
ストッパー栓110は、ストッパーフランジ102の第2側部106から延在する。ストッパー栓110は、フランジ縦軸Xによって二等分される、ストッパーフランジ外径Dより小さい栓外径Dを有する円柱形状である。ストッパー栓110は、バイアル10のネック12に圧縮して嵌め込んだ状態で密閉して挿入可能である。
【0023】
第1穴112はストッパー栓110内にある。第1穴112は、第1穴第1端部112aと、第1穴第1端部112aから第1穴長さLB1の間隔を置いた第1穴第2端部112bとを有する。半径方向内向きの第1穴表面114は、第1穴長さLB1の全長である一定の第1穴直径DB1を有する。第1穴第1端部112aは、ストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108によってふさがれる。
【0024】
バイアルストッパー100のいくつかの実施形態では、第1穴112の半径方向内向きの第1穴表面114は、先鋭部40がストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、第1穴112の第2端部112bを越えて挿入された後、軸42の外面44と滑り接触する。
【0025】
他の実施形態では、半径方向内向きの第1穴表面114と、半径方向内向きの第1穴表面114に対向する軸42の外面44の一部とによって境界される環状空間122の容積は、先鋭部40がストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、第1穴112の第2端部112bを越えて挿入され、半径方向内向きの第1穴表面114が軸42の外面から間隔を置いて配置されている場合、約0.01ミリリットルより大きく、約0.25ミリリットルより小さいことが望ましく、約0.20ミリリットルより小さいことが好ましい。
【0026】
バイアルストッパー100のさらに他の実施形態では、半径方向内向きの第1穴表面114と、半径方向内向きの第1穴表面114に対向する軸42の外面44の一部とによって境界される環状空間122の容積は、先鋭部40がストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108を穿刺し、第1穴112の第2端部112bを越えて挿入され、半径方向内向きの第1穴表面114が軸42の外面から間隔を置いて配置されている場合、約0.01ミリリットルより大きく、約0.14ミリリットルより小さいことが望ましく、約0.10ミリリットルより小さいことが好ましい。
【0027】
第2穴116はストッパー栓110内にある。第2穴116は、第2穴第1端部116aと、第2穴第1端部116aから第2穴長さLB2の間隔を置いた第2穴第2端部116bとを有する。半径方向内向きの第2穴表面118は、第2穴長さLB2の全長である一定の第2穴直径DB2を有する。第2穴直径DB2は、第1穴直径DB1よりも大きい。第2穴第1端部116aは、上記第1穴第2端部と流体連結している。
【0028】
ストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108は、弾性的に変形可能であり、先鋭部40によって穿刺されると同時に軸42の半径方向外向きの側壁44に密着する。これにより、液体進入防止封止部120が形成される。いくつかの実施形態では、液体進入防止封止部120は、ストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108が先鋭部40によって穿刺される際に形成され、図4に示すように軸42の外向きの側壁に沿って延在する、ストッパーフランジ102の中央に位置する穿刺可能部108の縁部を有する上昇部120aを有する。
【0029】
バイアルストッパー100は第1穴112と第2穴116との間に移行穴124を有することが好ましい。
【0030】
いくつかの実施形態では、バイアルストッパー100は、第1穴112と第2穴116との間で、移行穴第1端部124aと、移行穴第1端部124aから移行穴長さLBTの間隔を置いた移行穴第2端部124bとを有する移行穴124を有する。移行穴第1端部124aは、第1穴直径DB1と同一の移行穴第1端部直径を有する。移行部第2端部124bは、第2穴直径DB2と同一の移行穴第2端部直径を有する。移行穴124は、弓状の半径方向内向きの移行穴表面126を有する。また、半径方向内向きの移行穴表面126は、中空円錐の切頭錘台の内面に対応する形状であってもよい。
【0031】
バイアルストッパー100の好ましい実施形態では、移行穴124は、ストッパーフランジ102の縦軸Xに垂直な平面全体に位置する環状表面126で構成され、第1穴直径DB1と同一の移行穴内径および第2穴直径DB2と同一の移行穴外径を有する。
【0032】
上述の本発明の詳細な説明は、特定の実施形態に言及して開示された。しかしながら、本開示は、限定的であることまたは本発明をまさにその開示された形態に限定することは意図されていない。上述の実施形態に対して、その広い発明概念から逸脱することなく変更を行うことが可能であることを、当業者は理解するだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって規定されている本発明の趣旨および範囲を超えずになされる変更を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4