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  • 特許-ガス配送作業支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】ガス配送作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220301BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20220301BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q50/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018003883
(22)【出願日】2018-01-13
(65)【公開番号】P2019125064
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】横沢 正彦
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-167692(JP,A)
【文献】特開2001-307279(JP,A)
【文献】特開2003-261223(JP,A)
【文献】特開2008-51648(JP,A)
【文献】特開2002-279025(JP,A)
【文献】特開2001-76285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
B65G 61/00
G01F 3/22
G08C 16/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ガス消費場所に、LPガスシリンダの交換またはバルク貯槽へのLPガスの充填を行うためのガス配送作業を支援するガス配送作業支援システムであって、
前記ガス消費場所のそれぞれには、前記LPガスシリンダあるいは前記バルク貯槽が設置されているガス供給源と、前記ガス供給源から供給されるガス流量を計測するガスメータと、測位機能を備えたガス消費場所通信装置とが配置されており、
前記ガス配送作業に用いるLPガス配送車には、測位機能を備えた車載通信装置が搭載されており、
前記ガス消費場所でのガス使用状況および前記LPガス配送車の移動状況を監視するために、前記ガス消費場所通信装置および前記車載通信装置のそれぞれとの間で双方向通信を行う管理サーバが配置されており、
前記ガス消費場所には、当該ガス消費場所での前記ガス配送作業が終了した後に前記ガス供給源からのガス供給を再開させるために操作されるリセットスイッチが配置されており、
前記ガス消費場所通信装置は、前記リセットスイッチが操作されると、ガス配送先の位置情報および作業が終了した旨の信号を、前記管理サーバに送信する機能を備え、
前記管理サーバは、前記ガス配送先における前記LPガス配送車の停車時刻から作業の終了までに要した作業時間を算出する作業時間算出機能と、少なくとも前記ガス配送先での前記LPガス配送車の停車位置および前記作業時間を対応付けして記憶する記憶機能とを備えており、
前記管理サーバは、更に、
算出した前記作業時間の長短に基づき、前記LPガス配送車の前記停車位置の適否を判断する機能、および
前記作業時間の長短に基づき、作業終了場所における前記ガス供給源の設置位置の適否を判断する機能
のうちの少なくともいずれか一方の機能を備えているガス配送作業支援システム。
【請求項2】
各ガス消費場所に、LPガスシリンダの交換またはバルク貯槽へのLPガスの充填を行うためのガス配送作業を支援するガス配送作業支援システムであって、
前記ガス消費場所のそれぞれには、前記LPガスシリンダあるいは前記バルク貯槽が設置されているガス供給源と、前記ガス供給源から供給されるガス流量を計測するガスメータと、測位機能を備えたガス消費場所通信装置とが配置されており、
前記ガス配送作業に用いるLPガス配送車には、測位機能を備えた車載通信装置が搭載されており、
前記ガス消費場所でのガス使用状況および前記LPガス配送車の移動状況を監視するために、前記ガス消費場所通信装置および前記車載通信装置のそれぞれとの間で双方向通信を行う管理サーバが配置されており、
前記ガス消費場所には、当該ガス消費場所での前記ガス配送作業が終了した後に前記ガス供給源からのガス供給を再開させるために操作されるリセットスイッチが配置されており、
前記ガス消費場所通信装置は、前記リセットスイッチが操作されると、ガス配送先の位置情報および作業が終了した旨の信号を、前記管理サーバに送信する機能を備え、
前記管理サーバは、前記ガス配送先における前記LPガス配送車の停車時刻から作業の終了までに要した作業時間を算出する作業時間算出機能と、少なくとも前記ガス配送先での前記LPガス配送車の停車位置および前記作業時間を対応付けして記憶する記憶機能とを備えており、
前記管理サーバは、更に、
各ガス消費場所における前記ガス使用状況に基づき、前記ガス消費場所の中から、ガス配送が必要な一群のガス消費場所をガス配送先として抽出し、当該ガス配送先に対するガス配送日を決定するガス配送先設定機能と、
道路地図データに基づき、前記ガス配送先を順次に経由するLPガス配送車の配送ルートの候補を、配送可能ルートとして生成する配送可能ルート生成機能と、
前記配送可能ルートのそれぞれについて、前記ガス配送先のそれぞれにおいて、LPガス配送車の停車可能位置を生成する停車可能位置生成機能と、
前記配送可能ルートと前記ガス配送先のそれぞれにおける前記停車可能位置との組み合わせの中から、ガス配送時間が最短になると予想される組み合わせを、最適配送ルートおよび最適停車位置として抽出する配送ルート・停車位置設定機能と、
前記最適配送ルートおよび前記最適停車位置に関する情報を、前記LPガス配送車の前記車載通信装置に送信する送信機能と
を備えており、
前記管理サーバの前記記憶機能は、前記最適配送ルートおよび前記最適停車位置による実際のガス配送作業における、一つの前記ガス配送先から次の前記ガス配送先までの各配送区間における前記LPガス配送車による移動時間あるいは移動距離のそれぞれと、前記最適停車位置のそれぞれに対応する前記作業時間とを記憶保持し、
前記配送ルート・停車位置設定機能は、記憶保持されている情報に基づき、前記配送可能ルートのそれぞれにおける前記LPガス配送車の前記移動時間あるいは移動距離と、前記停車可能位置に対応付けされている前記作業時間とに基づき、前記最適配送ルートおよび前記最適停車位置の組み合わせを抽出するガス配送作業支援システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記配送ルート・停車位置設定機能は、前記ガス配送日における前記配送可能ルートのそれぞれに関連する道路交通情報および気象情報を含む配送ルート周辺情報に基づき、前記最適配送ルートおよび各ガス配送先での前記最適停車位置を設定するガス配送作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各ガス消費場所(ガス需要家宅)に対するガス配送作業(LPガスシリンダの交換またはバルク貯槽へのLPガスの充填)を支援するガス配送作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LPガスの配送システムとしては、各ガス消費場所におけるLPガスの残量を、通信回線を介して監視し、LPガスの配送が必要になったガス消費場所に対するLPガス配送車による適切な配送ルートを地図データに基づき決定するものが知られている。特許文献1には、このようなLPガス配送システムが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、ユーザー毎のガス使用状況に基づきLPガスの配送先および配送の優先順位を決め、これに基づき配送ルートを策定する方法が提案されている。また、事前に入手した各種情報(通行止め情報、イベント情報等)に基づき、最も早くガス配送を行える配送ルートを策定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-134391号公報
【文献】特開2002-279025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年においては、IoT技術およびAIによる学習機能を用いて、ビッグデータに基づき最適解を算出する手法が各技術分野において導入されている。LPガスのガス配送作業においても、各ガス消費場所でのガス使用状況、LPガス配送車によるガス配送状況、ガス配送作業時の配送ルート周辺状況(交通事情、気象状況など)に関するデータを蓄積し、これらをAIに学習させることで、最も効率良く短時間で複数のガス消費場所へのガス配送作業を行える配送ルートを算出可能である。
【0006】
ここで、従来においては、上記の特許文献1、2に記載されているように、ガス配送のための配送ルートを、配送先の位置、交通情報等に基づき、LPガス配送車の走行時間を短縮できる最短ルートとなるように設定している。しかしながら、LPガスの配送作業には、LPガス配送車を走行させて各ガス配送先に向かう移動時間だけでなく、各ガス配送先において配送作業員が車を停車させ、交換用のLPガスボンベを設置位置まで運び交換する等の作業を行うための作業時間も必要である。従来の配送ルートの設定方法では、各配送先で車を止めた状態での作業時間については着目されていない。
【0007】
各ガス配送先において、例えば、停車位置がガスボンベ等の設置場所から遠いと、作業時間が多く掛かる。LPガス配送車の移動時間を短縮できても、ガス配送作業時間が全体として長くなり、他の配送ルートによる場合の方が有利なこともある。LPガス配送車の走行距離あるいは移動時間に基づき配送ルートの最適化を図ることには限界がある。
【0008】
本発明の目的は、このようなLPガス配送作業の実情に鑑みて、配送作業を全体として効率良く行うためのガス配送作業支援システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明による、各ガス消費場所へのガス配送作業(LPガスシリンダの交換またはバルク貯槽へのLPガスの充填)を支援するガス配送作業支援システムは次のように構成されている。
【0010】
まず、ガス消費場所のそれぞれには、LPガスシリンダあるいはバルク貯槽が設置されているガス供給源と、ガス供給源から供給されるガス流量を計測するガスメータと、測位機能(GPS機能)を備えたガス消費場所通信装置とが配置されており、
ガス配送作業に用いるLPガス配送車には、測位機能(GPS機能)を備えた車載通信装置が搭載されており、
ガス消費場所でのガス使用状況およびLPガス配送車の移動状況を監視するために、ガス消費場所通信装置および車載通信装置のそれぞれとの間で双方向通信を行う管理サーバが配置されており、
ガス消費場所には、当該ガス消費場所でのガス配送作業が終了した後にガス供給源からのガス供給を再開させるために操作されるリセットスイッチが配置されており、
ガス消費場所通信装置は、リセットスイッチが操作されると、作業終了通報を、管理サーバに送信する機能を備え、
管理サーバは、作業位置におけるLPガス配送車の停車時刻から作業の終了までに要した作業時間を算出する作業時間算出機能と、少なくとも前記ガス配送先での前記LPガス配送車の停車位置および作業時間を対応付けして記憶する記憶機能とを備えている。
【0011】
また、管理サーバには、算出した作業時間の長短に基づき、LPガス配送車の停車位置の適否を判断する機能、および/または、作業時間の長短に基づき、作業終了場所におけるガス供給源の設置位置の適否を判断する機能が付設されている
【0012】
本発明では、ガス配送先に停車した時点から、ガス配送作業(LPガスシリンダの交換あるいはバルク貯槽へのLPガスの充填)が終了するまでに要した作業時間を算出している。作業時間の長短に基づき、停車位置の適否を判断できる。ガス配送作業員は、例えば次回の同一場所への配送作業において、停車位置を適切な位置に変更することで、作業時間を短縮できる。LPガス配送車による移動時間の短縮化と共に、各ガス配送先での作業時間の短縮化を図ることができ、全体としてガス配送作業の効率化を達成できる。また、移動時間と共に作業時間に基づくことで、管理サーバによって、より適切な配送ルートを作成可能になる。さらに、停車位置の変更が制限される場合等においては、LPガスシリンダあるいはバルク貯槽の設置位置を変更することで、ガス配送作業の効率化を図ることが可能である。
【0013】
次に、ガス配送作業におけるLPガス配送車の移動時間だけでなく、各ガス消費場所でのガス配送作業の作業時間を考慮して、最適配送ルートおよび各ガス配送先での停車位置を決定するために、管理サーバには次の機能を設けることが望ましい。
【0014】
各ガス消費場所におけるガス使用状況に基づき、ガス消費場所の中から、ガス配送が必要な一群のガス消費場所をガス配送先として抽出し、当該ガス配送先に対するガス配送日を決定するガス配送先設定機能、
道路地図データに基づき、ガス配送先を順次に経由するLPガス配送車の配送ルートの候補を、配送可能ルートとして生成する配送可能ルート生成機能、
ガス配送先のそれぞれについて、LPガス配送車の停車可能位置を生成する停車可能位置生成機能と、
予め設定した機械学習アルゴリズムに従って、ガス配送時間(移動時間)が最短になると予想される最適解である、配送可能ルートおよびガス配送先のそれぞれにおける停車可能位置との組み合わせを、最適配送ルート・最適停車位置として抽出する配送ルート・停車位置設定機能、および、
最適配送ルート・最適停車位置に関する情報を、LPガス配送車の車載通信装置に送信する送信機能。
【0015】
また、最適配送ルート、各ガス配送先での最適停車位置の設定の最適化を図るために、管理サーバは実際のガス配送作業の状況を監視し、学習する必要がある。例えば、最適配送ルートおよび最適停車位置による実際のガス配送作業における、一つのガス配送先から次のガス配送先までの配送区間のLPガス配送車による移動時間あるいは移動距離を算出し、これらを合計して移動時間を算出して記憶保持する。また、ガス配送先での停車位置置に対応する作業時間を記憶保持する。配送ルート・停車位置設定機能は、記憶保持されている情報に基づき、配送可能ルートのそれぞれにおけるLPガス配送車の移動時間と、停車可能位置に対応付けされている作業時間とに基づき、設定配送ルートおよび各ガス配送先での設定停止位置の最適な組み合わせを求める。また、実際のガス配送作業において、設定されている最適配送ルートから外れた場合、最適停車位置とは異なる停車位置に車を止めて作業を行った場合の情報も記憶保持され、これらの情報も次回の配送ルートの設定において考慮される。
【0016】
さらに、設定の最適化を図るために、配送日における配送可能ルートのそれぞれに関連する道路交通情報および気象情報を含む配送ルート周辺情報を取得し、これらも考慮して、最適配送ルートおよび各ガス配送先での最適停車位置の組み合わせを設定する。これにより、道路工事、イベント等による道路通行止め、悪天候による渋滞状況等に応じて、より適した配送ルートを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用したガス配送作業支援システムの全体構成を示す構成図である。
図2図1のシステムの動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したガス配送作業支援システムの実施の形態を説明する。
【0019】
図1を参照して説明すると、本実施の形態に係るガス配送作業支援システム1(以下、単に「システム1」という。)は、一般的なガス集中監視システムとして構築できる。システム1は、ガス管理会社2の側に設置される管理サーバ3と、個人住宅、集合住宅、会社、工場等の各ガス消費場所4(4-1、4-2、4-3、・・・4-n)のそれぞれ設置されるガス供給設備5と、ガス消費場所4のそれぞれに、LPガスシリンダの交換あるいはバルク貯槽へのLPガスの充填のためのガス配送を行う各LPガス配送車6に搭載される車載通信装置7と、これらの各部の間を結ぶ通信網Aとから構成される。
【0020】
各ガス消費場所4のガス供給設備5は、LPガスシリンダあるいはバルク貯槽が設置されているガス供給源8と、ガス供給源8から供給されるガス流量を計測するガスメータ9と、GPS機能を備えたガス消費場所通信装置10とを備えている。LPガスは、ガス供給源8からガスメータ9を通って、各ガス器具11a、11b・・・に供給される。ガスメータ9による検針値は、定期的に、あるいは、管理サーバ3の側からの要求に応じて、ガス消費場所通信装置10を介して、例えばLPWA通信により、管理サーバ3に供給される。
【0021】
ガスメータ9には、ボンベリセットスイッチ12が配置されている。LPガスシリンダの交換作業あるいはバルク貯槽へのLPガスの充填作業を行う作業員により、作業終了後にガス供給を再開するためにボンベリセットスイッチ12が操作される。ガス消費場所通信装置10は、ボンベリセットスイッチ12が操作されると、当該ガス消費場所通信装置10の位置(ガス配送の作業場所)と共に作業終了の通報を、管理サーバ3に行う機能を備えている。
【0022】
各LPガス配送車6に搭載された車載通信装置7は、GPS機能、VICS(登録商標)受信機能、カーナビゲーション機能などを備え、LPWA通信により管理サーバ3との間で双方向通信を行う車載通信装置であり、各種情報が表示部の表示画面7aに表示される。車載通信装置7は、定期的に、あるいは要求に応じて、管理サーバ3との間で双方向通信を行う。
【0023】
管理サーバ3は、LPガス配送車6のGPS機能を備えた車載通信装置から受信する位置情報等に基づき、配送ルートにおけるLPガス配送車6の停車位置L1~Ln、スタート位置L0から最初のガス配送先までの区間D0、一つのガス配送先から次のガス配送先までの配送区間D1~Dn-1のそれぞれ、および、最後のガス配送先からスタート位置L0に戻るまでの区間Dnについて、LPガス配送車6の移動時間(あるいは移動距離)を算出する。さらに、各LPガス配送先において、LPガス配送車6の停車時刻から作業終了通報を受信した時刻(作業終了時刻)までに要した時間を、作業時間ΔT1~ΔTnとして算出する。算出した作業時間ΔT1~ΔTnの長短に基づき、LPガス配送車6の停車位置L1~Lnの適否を判断する。判断結果は、例えば、次回以降のLPガス配送車6によるガス配送作業において作業員によって参照され、ガス配送作業の効率化を達成できる。
【0024】
また、本例の管理サーバ3は、ガス消費場所4における作業時間ΔT1~ΔTnの長短に基づき、当該ガス消費場所4におけるガス供給源8の設置位置の適否を判断する機能も備えている。例えば、何回かのガス配送を行った後において、停車位置例えば停止位置L1を変更したにも拘わらず、作業時間ΔT1が例えば平均的な作業時間を大幅に超える場合には、ガス供給源8の設置位置が不適切であると判断する。判断結果は、例えば、管理サーバ3の表示画面等を介して出力される。これに基づき、ガス供給源8の設置位置を変更することで、ガス配送作業の効率化を達成できる。
【0025】
(最適配送ルート・最適停車位置の設定例)
ここで、管理サーバ3にAIによる学習機能を搭載することで、当該管理サーバ3は、ガス配送の配送ルートの設定処理、および、ガス配送車6による実際のガス配送状況のモニターを繰り返し行うことで、最適配送ルートの設定能力が向上する。
【0026】
例えば、管理サーバ3は、交通情報、気象情報などの配送ルート周辺情報、および、LPガス配送車の停車位置、各ガス配送先での作業時間等に基づき、最適配送ルートを決定する。この場合、管理サーバ3は、各ガス消費場所4におけるガス使用状況を監視する監視機能に加えて、例えば、最適配送ルートを設定するための以下のような配送ルート設定処理を行う機能が備わっている。
【0027】
図2に示すフローチャートを参照して説明すると、管理サーバ3は、定期的に、各ガス消費場所4でのガス使用状況に基づき、ガス消費場所4の中から、ガス配送が必要な一群のガス消費場所4をガス配送先として抽出する(ステップST1:ガス配送先決定)。具体的には、ガス残量が設定値以下になったガス消費場所4をガス配送先として抽出する。また、各ガス消費場所4でガス使用量の多寡に応じて、所定量のガス残量が残っているうちにガス配送を行うことができるように、各ガス配送先に対するガス配送日を算出する。例えば、ガス配送日として同じ日にできるものを一群のガス配送先として決定する。ガス配送先の決定方法としては各種の方法を採用できる。
【0028】
ガス配送先およびガス配送日が決まると、道路地図データに基づき、ガス配送先を順次に経由するLPガス配送車6の配送ルートの候補を、配送可能ルートとして生成する(ステップST2:配送可能ルート生成)。また、各配送可能ルートについて、蓄積データから得られる各配送区間D0~Dnの移動時間に基づき、全移動時間を算出(予測)する。
【0029】
次に、生成した配送可能ルートのそれぞれについて、ガス配送先のそれぞれにおけるLPガス配送車6の停車可能位置を生成する(ステップST3:停車可能位置生成)。停車可能位置は、例えば、ガス配送先のガス供給源8を中心として一定の距離の領域内において、LPガス配送車6を停車可能な位置を検索することで見つける。また、管理サーバ3に過去の停車位置が記憶保持されている場合には、保持情報を参照する。
【0030】
次に、配送可能ルートと停車可能位置との組み合わせの中から、全体のガス配送作業時間が最短となることが予想される配送可能ルートと停車可能位置との組み合わせを、それぞれ、最適配送ルートおよび最適停車位置として選択する(ステップST4:配送ルート・停車位置設定)。
【0031】
ガス配送作業の前に、選択された最適配送ルートおよび最適停車位置に関する情報を、LPガス配送車6の車載通信装置7に送信する(ステップST5:送信)。
【0032】
ガス配送を行う作業員は、最適配送ルート等の情報を管理サーバ3の側から受信し(ステップST11)、LPガス配送車6を運転し、設定された配送ルートに沿って各ガス配送先に移動する。最初のガス配送先に到着すると、設定された停車位置に停車し、ガス配送作業を行う(ステップST12、13)。LPガス配送車6の走行状況は、管理サーバ3の側において監視される。
【0033】
各ガス配送先におけるガス配送作業が終了すると、作業員は、ガスメータ9に配置されているボンベリセットスイッチ12を操作して、ガスの供給を再開する。ボンベリセットスイッチ12が操作されると、ガス消費場所通信装置10を介して、当該装置10の位置情報が作業場所を表す情報として管理サーバ3に送信される。同時に、ボンベリセットスイッチ12が操作されると、作業終了通報が管理サーバ3に送信される(ステップST14)。配送ルートに沿って、各ガス配送先でのガス配送作業を行う(ステップST12~ST15)。
【0034】
管理サーバ3の側では、LPガス配送車6の走行時間、ガス配送先での停車位置、作業時間などのガス配送状況を表す各種の情報を取得して記憶保持する。例えば、最適配送ルートおよび最適停車位置による実際のガス配送作業において、一つのガス配送先から次の前記ガス配送先までの配送区間のそれぞれのLPガス配送車による移動時間(あるいは移動距離)、各ガス配送先での停車位置に対応する作業時間、その他の情報を記憶保持する。また、例えば、作業時間の長短を、それまでに蓄積されているガス配送作業の作業時間の平均値に比べて判断し、判断結果を記憶保持する。判断結果を、LPガス配送車6の作業員に通知してもよい。
【0035】
実際のガス配送作業において、管理サーバ3の側は、例えば、設定された配送ルートと共に、配送可能ルートのそれぞれに関連する道路交通情報および気象情報を含む配送ルート周辺情報を取得し、このような配送ルート周辺情報に基づき、最適な配送ルートの見直しをリアルタイムで行ってもよい。配送ルートの見直し、部分変更等を行った場合には、変更後の配送ルートを、LPガス配送車6の車載通信装置7に送信し、その表示画面に表示させる。作業員は、更新された配送ルートに従って、以後のガス配送作業を継続することになる。
【0036】
なお、このような配送ルートの変更・修正履歴、実際のガス配送作業等の状況は、管理サーバ3の側に蓄積される。蓄積データに基づき、管理サーバ3では、AIによる学習機能により、次回以降の配送ルート、停止位置の設定をより適切に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0037】
1 ガス配送作業支援システム(システム)
2 ガス管理会社
3 管理サーバ
4、4-1、4-2、4-3、・・・4-n ガス消費場所
5 ガス供給設備
6 ガス配送車
7 車載通信装置
7a 表示画面
8 ガス供給源
9 ガスメータ
10 ガス消費場所通信装置
11a、11b・・ ガス器具
12 ボンベリセットスイッチ
D0~Dn 配送区間
L0 スタート位置
L1~Ln 停車位置
A 通信網
ΔT1~ΔTn 作業時間
図1
図2