IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルファの特許一覧

<>
  • 特許-ステアリングロック装置 図1
  • 特許-ステアリングロック装置 図2
  • 特許-ステアリングロック装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】ステアリングロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/021 20130101AFI20220301BHJP
【FI】
B60R25/021
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018019027
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019137082
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 高裕
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄介
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-260818(JP,A)
【文献】特開2014-083909(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第00411790(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/021
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムに固定されるハウジングにプラグ、プラグへの回転操作によりステアリングコラム内のステアリングシャフトに係脱するロック体、前記プラグにより回転操作されるイグニッションスイッチを保持したステアリングロック装置であって、
前記イグニッションスイッチが、プラグの回転中心軸を側方から見て前記プラグに重合する領域に配置され、
かつ、前記イグニッションスイッチは、前記プラグの後端部に固定される頂点がプラグの先端方に位置するピッチ円錐を有する傘歯車を介して前記プラグの回転中心軸に対して非平行な回転軸周りに回転駆動されるステアリングロック装置。
【請求項2】
前記ロック体は前記プラグの回転中心軸に対して前記イグニッションスイッチが配置される方向と反対方向に所定角度屈折した経路上を進退駆動される請求項1記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記傘歯車に噛合するイグニッション側の傘歯車が、前記プラグが挿入されるシリンダケースの外壁に回転自在に保持される請求項1または2記載のステアリングロック装置。
【請求項4】
前記イグニッションスイッチの回転軸、およびハーネス連結部が前記プラグの回転中心軸に対してほぼ直交して配置される請求項1から3のいずれかに記載のステアリングロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配置スペースを考慮したステアリングロック装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において、ステアリングロック装置は、ハウジング内に収容されるキーシリンダ(プラグ)を有し、プラグ後端には第1ギア、カムが連結される。プラグを回転操作すると、カムが追随回転し、このカムの回転に伴ってプラグの回転中心軸上に配置されるロック部材がステアリングシャフトに対して進退駆動される。
【0003】
また、第1ギアは傘歯車により形成されており、この第1ギアに噛合し、プラグの回転中心に対して直交する軸回りに回転自在な第2ギアにイグニッションスイッチ機構(イグニッションスイッチ)が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-111124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来例において、イグニッションスイッチは、プラグの後方領域に配置されるために、ステアリングシャフトとプラグ前端との間隔が大きくなってしまい、ステアリングコラムからのステアリングロックの突出寸法が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、ステアリングコラムからプラグ前端までの間隔を可及的に小さくすることにより省スペースに貢献できるステアリングロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
ステアリングコラム1に固定されるハウジング2にプラグ3、プラグ3への回転操作によりステアリングコラム1内のステアリングシャフトに係脱するロック体4、前記プラグ3により回転操作されるイグニッションスイッチ5を保持したステアリングロック装置であって、
前記イグニッションスイッチ5が、プラグ3の回転中心軸(C3)を側方から見て前記プラグ3に重合する領域に配置され、
かつ、前記イグニッションスイッチ5は、前記プラグ3の後端部に固定される頂点がプラグ3の先端方に位置するピッチ円錐を有する傘歯車6を介して前記プラグ3の回転中心軸(C3)に対して非平行な回転軸周りに回転駆動されるステアリングロック装置を提供することにより達成される。
【0008】
本発明において、ステアリングロック装置は、ハウジング2内にプラグ3、ロック体4、およびイグニッションスイッチ5を保持して形成され、イグニッションスイッチ5は、プラグ3の回転中心軸(C3)を側方から見てプラグ3に重合する領域に配置される。
【0009】
プラグ3の側方の領域をイグニッションスイッチ5の配置領域に利用することにより、プラグ3の長手寸法に加えて、イグニッションスイッチ5の配置スペースを設定する必要がなくなるために、ステアリングコラム1からプラグ3前端までの間隔を小さくすることが可能になる。
【0010】
また、前記ロック体4は前記プラグ3の回転中心軸(C3)に対して前記イグニッションスイッチ5が配置される方向と反対方向に所定角度屈折した経路上を進退駆動されるステアリングロック装置を構成すると、ロック体4の進退口に固定されるステアリングコラム1とイグニッションスイッチ5との間には、図2に示すように大きなスペース(S)が形成される。
【0011】
一方、ステアリングコラム1の近傍には、例えば、チルトステアリング、あるいはテレスコピックステアリングを構成するためのブラケット等をはじめとして、種々の機構が配置されるために、当該ステアリングコラム1の近傍に大きなスペースを確保できる本発明において、ステアリング装置の実装の自由度を高めることが可能になる。
【0012】
さらに、本発明において、
前記イグニッションスイッチ5は、前記プラグ3の後端部に固定される頂点がプラグ3の先端方に位置するピッチ円錐を有する傘歯車6を介して前記プラグ3の回転中心軸(C3)に対して非平行な回転軸周りに回転駆動される。
【0013】
イグニッションスイッチ5は、プラグ3に固定された平歯車を介してプラグ3の回転中心軸(C3)に対して平行な回転軸周りに回転駆動することも可能であるが、プラグ3後端部、およびイグニッションスイッチ5の回転軸に固定される傘歯車6、7を介してプラグ3への回転操作力をイグニッションスイッチ5に伝達することができる。
【0014】
この場合、前記傘歯車6に噛合するイグニッション側の傘歯車7が、前記プラグ3が挿入されるシリンダケース8の外壁に回転自在に保持されるステアリングロック装置を構成すると、構造が簡単になる。
【0015】
また、前記イグニッションスイッチ5の回転軸、およびハーネス連結部9が前記プラグ3の回転中心軸(C3)に対してほぼ直交して配置されるステアリングロック装置を構成すると、イグニッションスイッチ5への車両側からのハーネスのプラグイン接続方向がステアリングコラム1に向かう方向となり、プラグイン操作が種々の機構が配置されるステアリングコラム1からイグニッションのハーネス連結部9に向かう場合に比して、接続操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のステアリングロック装置を示す正面図である。
図2図1の2A-2A線断面図である。
図3】プラグに連結される傘歯車を示す図で、(a)は正面から見た図、(b)は(a)の3B方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1以下に示すように、ステアリングロック装置は、第1フレーム10と第2フレーム11とを連結して形成されるハウジング2を有し、第1フレーム10には前方から後方に向けて開口する筒状のシリンダ収容筒部12と、シリンダ収容筒部12に直交するスイッチ収容筒部13が形成される。
【0018】
シリンダ収容筒部12には、シリンダケース8内にプラグ3を挿通させたシリンダ錠14が固定され、シリンダ収容筒部12の前方開口は、シリンダ錠14を収容させた状態でポジションキャップ15により閉塞される。
【0019】
図1に示すように、シリンダ収容筒部12の正面にはプラグ3に形成されるキー挿入孔3aが露出しており、該キー挿入孔3aに図外の真正な解錠キーを挿入することによりプラグ3を回転操作することができる。また、ポジションキャップ15の正面壁には、プラグ3の回転角を利用者に知らせるためのポジション表示マークが表示される。
【0020】
上記プラグ3の後端部には、ピッチ円錐の頂点がプラグ3への連結位置より前方に位置するように、すなわち、歯が前方を向く姿勢で傘歯車6が連結される。この傘歯車6は前端が上記プラグ3の後端に回転方向に空転不能に連結されるとともに、後端に突設された軸用突部6aを上記第2フレーム11に形成される軸用凹部11aに回転自在に嵌合させて保持されており、プラグ3の回転に伴ってプラグ3の回転中心軸(C3)周りに回転する。
【0021】
一方、上記スイッチ収容筒部13は、図2に示すように、上記プラグ3の回転中心軸(C3)を側方から見てプラグ3の専有領域にほぼ重合する位置に形成されており、内部には、イグニッションスイッチ5が収容される。すなわちイグニッションスイッチ5は、プラグの全長(l)に少なくとも一部が重合する領域に配置される。イグニッションスイッチ5は、上記プラグ3の回転中心軸(C3)に直交する回転軸周りに回転する図外の可動接点部材を有しており、該回転軸に上記プラグ3側の傘歯車6に噛合する傘歯車7が固定される。この傘歯車7は、シリンダ錠14のシリンダケース8に形成された軸嵌合凹部8aに一端が嵌合され、イグニッションスイッチ5の支持プレート5aに他端が挿通されて回転自在に保持される。
【0022】
また、イグニッションスイッチ5には、上記回転軸方向に突出するようにコネクタ(ハーネス連結部9)が設けられる。
【0023】
したがって本例において、ハーネス連結部9にハーネスをプラグイン接続した状態でプラグ3を回転操作すると、一対の傘歯車6、7を介してイグニッションスイッチ5の可動接点部材が回転駆動され、プラグ3の回転角に設定される所定の端子に給電される。
【0024】
さらに、上記第2フレーム11は、前端にプラグ3の回転中心に対して直交する底壁部12aを有しており、該底壁部12aに上述した軸用凹部11aと、ばね受け部12bとが設けられる。
【0025】
また、図2に示すように、第2フレーム11には後方に向けて延びるロック収容筒部16が形成され、該ロック収容筒部16に後方に向けて開口するロック収容穴16aが開設される。上記ロック収容筒部16、およびロック収容穴16aの延設方向とプラグ3の回転中心軸(C3)とは、ロック収容筒部16がプラグ3の回転中心軸(C3)に対し、スイッチ収容筒部13と反対方向に位置するように、所定角度(θ)で交差するように配置される。
【0026】
上記ロック収容穴16aには、杆状のロック体4が長手方向摺動自在に挿入され、後述するコラム取付部17において固定されるステアリングコラム1内に進退する。ロック体4は上述したばね受け部12bに一端が保持される圧縮スプリング18により図2に示すロック収容筒部16から突出するロック位置側に付勢される。
【0027】
ロック体4の進退駆動するために、フレームには、プラグ3に連結される傘歯車6に一体形成されるカム部6bと、一端にカム部6bに当接するフォロア部19aを、他端部にロック体4に形成される係止突部4aが係止する被係止部19bを備える駆動杆19とが配置される。
【0028】
プラグ3をロック回転位置からアンロック回転方向に回転操作すると、傘歯車6は図3(a)において時計回りに回転する。傘歯車6の回転に伴って、イグニッションスイッチ5に連結される傘歯車7が回転するとともに、カム部6bは図3(b)において左方向に移動し、この結果、駆動杆19のフォロア部19aはカム部6bに押されるようにして図3(b)において矢印方向に移動する。
【0029】
以上のフォロア部19aの移動に伴って、ロック体4は先端がロック収容筒部16内に没入するアンロック位置に移動する。
【0030】
以上のように構成されるステアリングロック装置は、カラム取付部17においてステアリングコラム1に固定される。本例において、固定状態においてロック収容筒部16はステアリングコラム1に対して直交し、この結果、ステアリングコラム1とスイッチ収容筒部13との間には、広いスペース(S)が確保され、当該領域に配置される他の部品との干渉を防止することができる。
【0031】
また、コネクタ9はステアリングコラム1に対して角度(α)だけ離隔方向に傾いて配置され、コネクタ9へのプラグイン操作を図2において矢印(C)で示すように、ステアリングコラム1から離れた位置から行うことができるために、配線接続作業性を高めることができる。
【0032】
さらに、プラグ3の後端にイグニッションスイッチ5の収納スペースを設定する必要がないために、ステアリングコラム1からステアリングロック装置の前端、すなわち、ポジションプレートまでの間隔(D)を小さくすることができ、結果、ステアリングロック装置の突出寸法を可及的に小さくすることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ステアリングコラム
2 ハウジング
3 プラグ
4 ロック体
5 イグニッションスイッチ
6 傘歯車
7 イグニッション側の傘歯車
8 シリンダケース
9 ハーネス連結部
図1
図2
図3