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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】壁高欄同士の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/10 20060101AFI20220301BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
E01D19/10
E01D21/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018033805
(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2019148121
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 輝康
(72)【発明者】
【氏名】山本 忠典
(72)【発明者】
【氏名】宮川 隆良
(72)【発明者】
【氏名】大越 靖広
(72)【発明者】
【氏名】服部 翼
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-036206(JP,A)
【文献】特開平06-264519(JP,A)
【文献】特開平06-158737(JP,A)
【文献】特開2009-030374(JP,A)
【文献】特開2012-132279(JP,A)
【文献】実開昭49-121309(JP,U)
【文献】特開昭60-080640(JP,A)
【文献】特開昭59-154249(JP,A)
【文献】特開2016-047993(JP,A)
【文献】実開昭57-093504(JP,U)
【文献】実公昭36-005945(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0257043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/10
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋軸方向に沿って目地間隔を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄の互いに対向する各端面において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝に板材が橋軸方向に沿って跨るように配置され、板材が配置された各溝内、及び、目地間隔内に充填材が充填され
平板材は、板面を貫通する貫通孔、あるいは、板面に突起又は凹部又は凹凸部を備え、
溝は、平板材の橋軸方向の端部と対向する溝底面と、溝底面の橋軸直角方向における両端側から壁高欄の端面に到達する互いに対向する一対の溝内壁面とを備え、
一対の溝内壁面は、壁高欄の端面に近付くに従って互いに近づくように形成された壁高欄同士の接合構造であって、
壁高欄を形成するコンクリート中において溝底面と溝内壁面との境界近傍位置に上下方向に延長するように設けられた鉄筋と、溝における壁高欄の端面側において溝内壁面に沿って上下方向に延長するように設けられた鉄筋とを備えたことを特徴とする壁高欄同士の接合構造。
【請求項2】
橋軸方向に沿って目地間隔を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄の互いに対向する各端面において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝に平板材が橋軸方向に沿って跨るように配置され、平板材が配置された各溝内、及び、目地間隔内に充填材が充填され、
平板材は、板面を貫通する貫通孔、あるいは、板面に突起又は凹部又は凹凸部を備え、
溝は、平板材の橋軸方向の端部と対向する溝底面と、溝底面の橋軸直角方向における両端側から壁高欄の端面に到達する互いに対向する一対の溝内壁面とを備え、
一対の溝内壁面は、壁高欄の端面に近付くに従って互いに近づくように形成された壁高欄同士の接合構造であって、
溝の溝底面と溝内壁面とに付設された縞鋼板を備えるとともに、壁高欄を形成するコンクリート中において溝底面と溝内壁面との境界近傍位置に上下方向に延長するように設けられた鉄筋と、溝における壁高欄の端面側において溝内壁面に沿って上下方向に延長するように設けられた鉄筋とを備えたことを特徴とする壁高欄同士の接合構造。
【請求項3】
壁高欄の橋軸方向に沿って延長する壁面の端縁と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝内に充填材が充填されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の壁高欄同士の接合構造。
【請求項4】
橋軸方向に沿って目地間隔を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄の互いに対向する各端面において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝に平板材が橋軸方向に沿って跨るように配置され、平板材が配置された各溝内、及び、目地間隔内に充填材が充填され、
平板材は、板面を貫通する貫通孔、あるいは、板面に突起又は凹部又は凹凸部を備え、
溝は、平板材の橋軸方向の端部と対向する溝底面と、溝底面の橋軸直角方向における両端側から壁高欄の端面に到達する互いに対向する一対の溝内壁面とを備え、
一対の溝内壁面は、壁高欄の端面に近付くに従って互いに近づくように形成された壁高欄同士の接合構造であって、
壁高欄の端面が、壁高欄の橋軸方向に沿って延長する壁面に近い壁面側端面部と、溝に近い溝側端面部と、壁面側端面部と溝側端面部とを繋ぐ中継端面部とを備え、中継端面部が、壁面側端面部の溝側端縁より溝の橋軸直角方向における中心位置から遠ざかる方向に延長する傾斜面に形成されたことを特徴とする壁高欄同士の接合構造。
【請求項5】
橋軸方向に沿って目地間隔を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄の互いに対向する各端面において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝に平板材が橋軸方向に沿って跨るように配置され、平板材が配置された各溝内、及び、目地間隔内に充填材が充填され、
平板材は、板面を貫通する貫通孔、あるいは、板面に突起又は凹部又は凹凸部を備え、
溝は、平板材の橋軸方向の端部と対向する溝底面と、溝底面の橋軸直角方向における両端側から壁高欄の端面に到達する互いに対向する一対の溝内壁面とを備え、
一対の溝内壁面は、壁高欄の端面に近付くに従って互いに近づくように形成された壁高欄同士の接合構造であって、
壁高欄の橋軸方向に沿って延長する内壁面と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝が、端面と平行な面上に位置される溝底面と、溝底面における橋軸直角方向の内壁面側の端縁から端面に到達する一方の溝内壁面と、溝底面における橋軸直角方向の外壁面側の端縁から端面に到達する他方の溝内壁面とで囲まれた空間により形成され、
さらに、
壁高欄の橋軸方向に沿って延長する外壁面と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝が、端面と平行な面上に位置される溝底面と、溝底面における橋軸直角方向の外壁面側の端縁から端面に到達する一方の溝内壁面と、溝底面における橋軸直角方向の内壁面側の端縁から端面に到達する他方の溝内壁面とで囲まれた空間により形成され、
各凹溝は、端面と一方の溝内壁面とのなす角度が鋭角に形成され、
各凹溝内に充填材が充填されたことを特徴とする壁高欄同士の接合構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋軸方向に沿って互いに隣り合うように配置される壁高欄同士を接合する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋軸方向に沿って互いに隣り合うように配置される壁高欄同士を接合する構造としては、互いに隣り合う一方の壁高欄の端面に溝を設けるとともに、互いに隣り合う他方の壁高欄の端面には前記溝内に挿入される継手を設け、当該溝内に継手を挿入した後に溝内にモルタルやコンクリート等の充填材を充填することにより、壁高欄同士を接合する構造が知られている(特許文献1参照)。
当該構造は、継手として孔あき鋼板ジベルを用い、壁高欄に加わる橋軸方向の引抜力及び橋軸直角方向の衝撃力に対して、接合部における孔あき鋼板ジベルのせん断抵抗により抵抗する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5851757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の接合構造では、継手としての孔あき鋼板ジベルが壁高欄の端面から突出するようにアンカー鋼材によって壁高欄の端部のコンクリート内に強固に固定されている。即ち、孔あき鋼板ジベルが壁高欄の端部のコンクリート内に埋め込まれている。
従って、壁高欄を取替える場合、接合部で切断すると孔あき鋼板ジベルを切断してしまって孔あき鋼板ジベルを使用できなくなるため、孔あき鋼板ジベルを避けて切断して、孔あき鋼板ジベルを斫り出す必要があり、壁高欄の取替え作業にかかる労力が甚大であるという問題点があった。
また、孔あき鋼板ジベルが変形してしまっていたら、当該孔あき鋼板ジベルが取り付けられていた壁高欄も取り替える必要があり、コスト面での問題点もあった。
本発明は、壁高欄に加わる橋軸方向の引抜力及び橋軸直角方向の衝撃力に対して十分に抵抗できるとともに、壁高欄の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れる壁高欄同士の接合構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る壁高欄同士の接合構造は、橋軸方向に沿って目地間隔を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄の互いに対向する各端面において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝に板材が橋軸方向に沿って跨るように配置され、板材が配置された各溝内、及び、目地間隔内に充填材が充填され、平板材は、板面を貫通する貫通孔、あるいは、板面に突起又は凹部又は凹凸部を備え、溝は、平板材の橋軸方向の端部と対向する溝底面と、溝底面の橋軸直角方向における両端側から壁高欄の端面に到達する互いに対向する一対の溝内壁面とを備え、一対の溝内壁面は、壁高欄の端面に近付くに従って互いに近づくように形成された壁高欄同士の接合構造であるので、壁高欄に加わる橋軸方向の引抜力及び橋軸直角方向の衝撃力に対して十分に抵抗できるとともに、壁高欄の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れる壁高欄同士の接合構造を提供でき、また、一対の溝内壁面によって充填材に対する拘束力が大きくなり、板材の引抜防止効果をさらに向上させることが可能となる。
加えて、壁高欄を形成するコンクリート中において溝底面と溝内壁面との境界近傍位置に上下方向に延長するように設けられた鉄筋と、溝における壁高欄の端面側において溝内壁面に沿って上下方向に延長するように設けられた鉄筋とを備えたので、鉄筋を配置したことにより、壁高欄に力が作用した場合に平板材の引抜せん断抵抗がより向上する。
また、溝の溝底面と溝内壁面とに付設された縞鋼板を備えるとともに、壁高欄を形成するコンクリート中において溝底面と溝内壁面との境界近傍位置に上下方向に延長するように設けられた鉄筋と、溝における壁高欄の端面側において溝内壁面に沿って上下方向に延長するように設けられた鉄筋とを備えたので、縞鋼板の凹凸部と充填材との付着により、縞鋼板と充填材との付着力が向上するとともに、鉄筋を配置したことにより、壁高欄に力が作用した場合に平板材の引抜せん断抵抗がより向上する。
また、壁高欄の橋軸方向に沿って延長する壁面の端縁と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝内に充填材が充填された構成により、目地のせん断抵抗がより向上するという効果が得られる
また、壁高欄の端面が、壁高欄の橋軸方向に沿って延長する壁面に近い壁面側端面部と、溝に近い溝側端面部と、壁面側端面部と溝側端面部とを繋ぐ中継端面部とを備え、中継端面部が、壁面側端面部の溝側端縁より溝の橋軸直角方向における中心位置から遠ざかる方向に延長する傾斜面に形成されたので、充填材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるので、目地の接合部に設置された平板材の腐食を抑制できる。
また、壁高欄の橋軸方向に沿って延長する内壁面と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝が、端面と平行な面上に位置される溝底面と、溝底面における橋軸直角方向の内壁面側の端縁から端面に到達する一方の溝内壁面と、溝底面における橋軸直角方向の外壁面側の端縁から端面に到達する他方の溝内壁面とで囲まれた空間により形成され、さらに、壁高欄の橋軸方向に沿って延長する外壁面と溝との間の端面において上下方向に延長するように形成された凹溝を備え、当該凹溝が、端面と平行な面上に位置される溝底面と、溝底面における橋軸直角方向の外壁面側の端縁から端面に到達する一方の溝内壁面と、溝底面における橋軸直角方向の内壁面側の端縁から端面に到達する他方の溝内壁面とで囲まれた空間により形成され、各凹溝は、端面と一方の溝内壁面とのなす角度が鋭角に形成され、各凹溝内に充填材が充填されたので、充填材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるので、目地の接合部に設置された平板材の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】壁高欄同士の接合構造を示す斜視図。
図2】壁高欄を示す斜視図。
図3】壁高欄同士の接合構造の施工手順を示す工程図。
図4】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図5】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図6】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図7】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図8】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図9】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図10】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図11】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図12】突起部付き鋼板を示す斜視図。
図13】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
図14】壁高欄同士の接合構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造に使用されるプレキャストコンクリート製の壁高欄1は、図1図2に示すように、橋軸方向Xに沿って延長する壁面として内壁面1u及び外壁面1fと、上面1a及び下面1bと、橋軸方向Xの両方の端面2,2とを備えた、橋軸方向Xに長いコンクリートブロックにより構成され、両方の端面2,2には、上下方向(高さ方向)Zに延長して上面1a及び下面1bに到達する溝3が形成されている。
図2に示すように、外壁面1fは、例えば、上下方向Zに垂直に延長する壁面により形成される。内壁面1uは、例えば、上部傾斜壁面1vと下部傾斜壁面1wとを備え、上部傾斜壁面1vは、上面1aから下面1bに向けて外壁面1fから次第に離れるように傾斜する傾斜面により形成され、下部傾斜壁面1wは、上部傾斜壁面1vの下端から下面1bに向けて外壁面1fから次第に離れるように傾斜する傾斜面により形成される。即ち、下部傾斜壁面1wは上部傾斜壁面1vよりも緩い傾斜角の傾斜面に形成されている。
【0008】
図2図3(a)に示すように、溝3は、端面2と平行な面上に位置される溝底面31と、溝底面31における橋軸直角方向(橋幅方向)Yの両方の端縁32,32から端面2に到達する左右の溝内壁面33,33とで囲まれた空間により形成されている。
左右の溝内壁面33,33は、端面2に近付くに従って互いに近づくよう傾斜する傾斜面により形成される。
【0009】
実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造は、図1に示すように、複数の床版を敷設して構成された床部4における橋軸直角方向Yの両端側の上面において、各壁高欄1,1を橋軸方向Xに沿って目地間隔5を介して互いに隣り合うように配置し、隣り合う各端面2,2に形成された各溝3,3に跨るように孔空き平板材としての孔空き鋼板6を設置し、溝3,3内、及び、目地間隔5内にモルタルやコンクリート等の充填材7を充填することにより、当該各溝3,3に跨るように設置された孔空き鋼板6と、当該溝3,3内、及び、目地間隔5内に充填された充填材7とによって、橋軸方向Xに沿って互いに隣り合うように配置された一方の壁高欄1と他方の壁高欄1とが接合された構造である。
尚、孔空き鋼板6は、例えば、図1に示すように、橋軸方向Xに沿って目地間隔5を介して互いに隣り合うように配置される各壁高欄1,1の互いに対向する各端面2,2において上下方向に延長するように形成されて互いに向かい合う各溝3,3に跨るように配置される板である。このように孔空き鋼板6が各溝3,3に跨るように配置された場合、孔空き鋼板6は、橋軸方向Xに沿った方向の長さが、当該互いに向かい合う各溝3,3に跨って、かつ、各溝3,3の互いに向い合う溝底面31,31間の距離よりも若干短い寸法に形成されるとともに、上下方向Zに沿った方向の長さが、溝3の上下方向Zに沿った方向の長さよりも若干短い寸法に形成され、かつ、板厚が十数mm程度(例えば13mm)の平板に形成された矩形鋼板に、板面を貫通する貫通孔61が複数個形成された構成である。当該孔空き鋼板6が互いに向かい合う各溝3,3に跨るように配置された場合に、複数の貫通孔61,61…は、橋軸方向X及び橋軸直角方向Yに沿って所定の間隔を隔てて存在することになるように形成されている。例えば、孔空き鋼板6は、互いに向かい合う各溝3,3に跨るように配置された場合に、各溝3内において、それぞれ上下方向Zに沿って所定間隔を隔てて複数個の貫通孔61,61…が位置されるように構成されている。尚、貫通孔61の直径は例えば40m~60mm程度に形成される。
【0010】
即ち、まず、図3(a)に示すように、橋軸方向Xに沿って隣り合う一方の壁高欄1の端面2の溝3の開口35と他方の壁高欄1の端面2の溝3の開口35とを向かい合せ、かつ、一方の壁高欄1の端面2と他方の壁高欄1の端面2とが所定の目地間隔5だけ隔てて離間した状態となるように、各壁高欄1,1が設置される。
そして、孔空き鋼板6が、一方の壁高欄1の端面2に形成された溝3内及び他方の壁高欄1の端面2に形成された溝3内に跨ってかつ上下方向Zに延長するように設置されることによって、各溝3,3と対向する位置において複数の貫通孔61,61…が上下方向Zに沿って所定間隔を隔てて配置されるようにする。そして、当該溝3,3内に配置された孔空き鋼板6の複数の貫通孔61,61…内に充填されるように、当該溝3,3内、及び、目地間隔5内に充填材7を充填する。
【0011】
即ち、各溝3,3内に設置された孔空き鋼板6は、各溝3,3内に橋軸方向Xに沿って跨り、かつ、上下方向Zに延長する平板材の板面を貫通する複数の貫通孔61,61…を備えた孔空き平板材として機能する。言い換えれば、板面に摩擦抵抗部として機能する複数の貫通孔61,61…を備えた板材としての孔空き鋼板6を使用するようにした。
尚、孔空き鋼板6は、橋軸方向Xに隣り合うように設置された一方の壁高欄1の溝3及び他方の壁高欄1の溝3の上方から当該各溝3,3内に挿入されて設置される。
このように、孔空き平板材としての孔空き鋼板6が各溝3,3内に挿入されて設置された後に、図3(c)に示すように、溝3,3内、及び、目地間隔5、複数の貫通孔内にモルタルやコンクリート等の充填材7を充填して、橋軸方向Xに沿って隣り合う壁高欄1,1同士を一体化させる。
【0012】
尚、必要に応じて本発明では、各溝3,3内及び目地間隔5内にモルタルやコンクリート等の充填材7が充填された部分を「目地」、各溝3,3内及び目地間隔5内に充填された充填材を「目地材」と呼んで説明する。
【0013】
実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造では、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となる。
当該構造において、図4に示すように、壁高欄1,1に衝突荷重のような力が作用した場合、孔空き鋼板6には引張力が作用するが、貫通孔61内に充填された目地材(充填材7)のせん断抵抗Sによって橋軸方向Xの引抜力Rに抵抗する。また、孔空き鋼板6の貫通孔61内の目地材より伝達される応力Pに対しては、端面2に近付くに従って互いに近づくよう傾斜する傾斜面に形成された溝3の左右の溝内壁面33,33によって目地材に対する拘束力が大きくなり、孔空き鋼板6の引抜防止効果が大きくなる。
即ち、壁高欄1,1に対して衝突荷重Q等の力が加わることによる壁高欄1,1のズレの際に生じる引張力に対して、孔空き鋼板6の板面に形成された複数の貫通孔61,61…が摩擦抵抗部として機能することによって孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗が大きくなり、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗によって抵抗する構造となるとともに、溝3の左右の溝内壁面33,33による拘束力によって孔空き鋼板6の引抜防止効果をさらに向上させることが可能な構造となる。
【0014】
また、実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造では、孔空き鋼板6が壁高欄1のコンクリート内に埋め込まれていないため、壁高欄1を取替える際には、目地(接合部)を孔空き鋼板6とともに切断すればよく、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるようになる。
即ち、残した方の壁高欄1の溝3内に残った孔空き鋼板6の半分及び充填材7を溝3から除去した後、この溝3と新しい壁高欄1の溝3とが向かい合うように新しい壁高欄1を配置し、残した方の壁高欄1の溝3と新しい壁高欄1の溝3とに跨るように孔空き鋼板6を溝3,3内に挿入した後、溝3,3内、及び、目地間隔5内にモルタルやコンクリート等の充填材7を充填して、残した方の壁高欄1と新しい壁高欄1とを一体化させればよいので、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるようになる。
【0015】
従って、実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるようになる。
【0016】
また、実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造によれば、孔空き鋼板6を各溝3,3内に挿入する構成であるので、床版同士の施工誤差が生じても孔空き鋼板6を各溝3,3内に自由に挿入できるため、施工が容易となる。
【0017】
実施形態2
図5に示すように、実施形態2に係る壁高欄同士の接合構造は、実施形態1に係る壁高欄同士の接合構造の構成に加えて、溝3の溝底面31と溝内壁面33,33とに付設された板材として充填材7と接する面が摩擦抵抗部として機能する凹凸部を有した縞鋼板8を備えるとともに、壁高欄1を形成するコンクリート中において溝底面31と溝内壁面33との境界近傍位置に上下方向に延長するように設けられた鉄筋9と、溝3の端面2側において溝内壁面33に沿って上下方向に延長するように設けられた鉄筋10とを備えた構成とした。
【0018】
尚、縞鋼板8は、溝3の断面形状に合わせた断面凹状に形成された上下方向に連続する長尺材を用いる。即ち、縞鋼板8は、溝底面31に対向する基部81と、基部81の左右の長尺縁から延長するように設けられて溝内壁面33,33に対向する側部82,82とを備えた長尺材を用いる。
例えば、鉄筋9と鉄筋10とが取り付けられた縞鋼板8を、壁高欄1を形成するための図外の型枠に設置した後に、当該型枠及び縞鋼板8で囲まれた成型空間内にコンクリートを流し込むことより、溝3に縞鋼板8、鉄筋9、鉄筋10が設けられた壁高欄1が形成される。そして、橋軸方向Xに隣り合うように設置された一方の壁高欄1の溝3及び他方の壁高欄1の溝3の上方から当該各溝3,3内に孔空き鋼板6を挿入した後、溝3,3内、及び、目地間隔5内に充填材7を充填して、橋軸方向Xに沿って隣り合う壁高欄1,1同士を一体化させる。
【0019】
実施形態2に係る壁高欄同士の接合構造によれば、縞鋼板8の摩擦抵抗部として機能する凹凸部と目地材との付着により、縞鋼板8と目地材との付着力が向上するため、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上する。
また、当該実施形態2に係る壁高欄同士の接合構造によれば、鉄筋9,10を配置したことにより、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上する。
また、鉄筋9を備えたことにより、縞鋼板8と壁高欄1との付着力が向上するため、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上する。
【0020】
従って、実施形態2に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるという実施形態1の効果に加え、縞鋼板8と鉄筋9,10とを備えたので、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上するという効果が得られる接合構造となる。
尚、鉄筋10は、橋軸方向Xに隣り合うように一方の壁高欄1と他方の壁高欄1とを設置した後、溝3内に挿入してもよい。また、鉄筋10は、溝3内において上下方向に延長するように設けられればよい。
【0021】
実施形態3
実施形態3に係る壁高欄同士の接合構造は、実施形態1の構成に加え、壁高欄1の端面2を、目地材の収縮を抑制できる形状に形成した。
即ち、図6に示すように、壁高欄1の端面2が、壁高欄1の橋軸方向Xに沿って延長する壁面(内壁面1u又は外壁面1f)に近い壁面側端面部21,21と、溝3に近い溝側端面部22,22と、壁面側端面部21と溝側端面部22とを繋ぐ中継端面部23とを備え、中継端面部23が、壁面側端面部21の溝側端縁24より溝3の橋軸直角方向Yにおける中心位置から遠ざかる方向に延長する傾斜面に形成された構成とした。
【0022】
換言すれば、壁高欄1の端面2が、内壁面1uから外壁面1fに向けて延長する壁面側端面部21の延長端である溝側端縁24から内壁面1u側に折り返す傾斜面である中継端面部23や、外壁面1fから内壁面1uに向けて延長する壁面側端面部21の延長端である溝側端縁24から外壁面1f側に折り返す傾斜面である中継端面部23を備え、壁面側端面部21と中継端面部23とのなす角度が鋭角に形成されている。
【0023】
実施形態3に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1の端面2が、壁面側端面部21と溝側端面部22と中継端面部23とを備え、中継端面部23が、壁面側端面部21の溝側端縁24より溝3から遠ざかる方向に延長する傾斜面に形成された構成、即ち、壁面側端面部21と中継端面部23とのなす角度が鋭角に形成されているので、壁面(内壁面1u又は外壁面1f)側から溝側端縁24に向けて壁面側端面部21と目地材との境界にひび割れが生じた場合、当該溝側端縁24で止まりやすくなる。
つまり、目地材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるので、目地の接合部に設置された孔空き鋼板6の腐食を抑制できる構造となる。
【0024】
従って、実施形態3に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるという実施形態1の効果に加え、壁面側端面部21と中継端面部23とのなす角度が鋭角に形成されたので、目地材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるので、目地の接合部に設置された孔空き鋼板6の腐食を抑制できるという効果が得られる接合構造となる。
【0025】
実施形態4
実施形態4に係る壁高欄同士の接合構造は、図7に示すように、実施形態3の構成と実施形態2の構成とを組み合わせた構成とした。
即ち、実施形態3の溝3に実施形態2で説明した縞鋼板8、鉄筋9、鉄筋10が設けられた壁高欄1を形成し、この壁高欄1,1を橋軸方向Xに沿って隣り合うように設置して、隣り合う各壁高欄1,1の各溝3,3内に孔空き鋼板6を挿入した後、溝3,3内、及び、目地間隔5内に充填材7を充填して、橋軸方向Xに沿って隣り合う壁高欄1,1同士を一体化させる。
実施形態4に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるという実施形態1の効果に加え、縞鋼板8と鉄筋9,10とを備えたので、壁高欄1に力が作用した場合に孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上するという実施形態2の効果、さらには、壁面側端面部21と中継端面部23とのなす角度が鋭角に形成されたので、目地材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるため、目地の接合部に設置された孔空き鋼板6の腐食を抑制できるという実施形態3の効果が得られる構造となる。
尚、図7では、図5で示した溝3の断面形状に合わせた断面凹状に形成された縞鋼板8を用いた例を図示したが、図7で示した溝3(図5の溝3よりも溝深さが短い溝3)の断面形状に合わせた断面凹状に形成された縞鋼板8を用いてもよい。
【0026】
実施形態5
実施形態5に係る壁高欄同士の接合構造は、壁高欄1の端面2の形状を工夫して、目地のせん断抵抗を向上させた。
即ち、図8に示すように、壁高欄1の橋軸方向Xに沿って延長する壁面(内壁面1u又は外壁面1f)の端縁1sと溝3との間の端面2において上下方向に延長するように形成された凹溝41を備え、当該凹溝41内に充填材7が充填されたことにより、目地のせん断抵抗を向上させた構造とした。
【0027】
従って、実施形態5に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるという実施形態1の効果に加え、凹溝41内に充填材7が充填されたことにより、目地のせん断抵抗がより向上するという効果が得られる接合構造となる。
また、壁高欄1の壁面(内壁面1u又は外壁面1f)の端縁1sと溝3との間に凹溝41を備えるため、当該凹溝41の存在により、目地の接合部への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになり、目地の接合部に設置された孔空き鋼板6の腐食を抑制できるようになる。
【0028】
実施形態6
実施形態6に係る壁高欄同士の接合構造は、図9に示すように、実施形態5の構成と実施形態2の構成とを組み合わせた構成とした。
従って、実施形態6に係る壁高欄同士の接合構造によれば、上述した実施形態1の効果に加え、実施形態2の効果、及び、実施形態5の効果が得られる接合構造となる。
【0029】
実施形態7
実施形態7に係る壁高欄同士の接合構造は、実施形態3(図6)の構成と実施形態5(図8)の構成とを兼ね備えた構成とした。
即ち、図10に示すように、壁高欄1の橋軸方向Xに沿って延長する壁面(内壁面1u又は外壁面1f)と溝3との間の端面2において上下方向に延長するように形成された凹溝51に、目地材の収縮を抑制するための鋭角部を設けるようにした。
【0030】
つまり、内壁面1uと溝3との間の端面2において上下方向に延長するように形成された凹溝51が、端面2と平行な面上に位置される溝底面52と、溝底面52における橋軸直角方向Yの内壁面1u側の端縁53から端面2に到達する溝内壁面54と、溝底面52における橋軸直角方向Yの外壁面1f側の端縁55から端面2に到達する溝内壁面56とで囲まれた空間により形成されている。
また、外壁面1fと溝3との間の端面2において上下方向に延長するように形成された凹溝51が、端面2と平行な面上に位置される溝底面52と、溝底面52における橋軸直角方向Yの外壁面1f側の端縁53から端面2に到達する溝内壁面54と、溝底面52における橋軸直角方向Yの内壁面1u側の端縁55から端面2に到達する溝内壁面56とで囲まれた空間により形成されている。
そして、端面2と溝内壁面54とのなす角度が鋭角に形成されている。
また、溝内壁面54と溝内壁面56とが平行に形成されている。
【0031】
従って、実施形態7に係る壁高欄同士の接合構造によれば、実施形態1の効果に加え、凹溝51内に充填材7が充填されたことにより、目地のせん断抵抗がより向上するという実施形態5の効果が得られ、さらに、凹溝51の溝内壁面54と端面2とのなす角度が鋭角に形成されているので、目地材の収縮を抑制できて、目地のひび割れを防止でき、目地への雨水や塩分の浸透が抑制されるようになるため、目地の接合部に設置された孔空き鋼板6の腐食を抑制できるという実施形態3の効果が得られる接合構造となる。
【0032】
実施形態8
実施形態8に係る壁高欄同士の接合構造は、図11に示すように、実施形態7の構成と実施形態2の構成とを組み合わせた構成とした。
従って、実施形態8に係る壁高欄同士の接合構造によれば、上述した実施形態7の効果に加え、実施形態2の効果(縞鋼板8と鉄筋9,10とを備えたことによる孔空き鋼板6の引抜せん断抵抗がより向上するという効果)が得られる接合構造となる。
【0033】
尚、上記では、縞鋼板8と鉄筋9と鉄筋10とを一緒に備えた構成を例示したが、縞鋼板8を備えない構成、あるいは、鉄筋9及び鉄筋10を備えない構成としてもよい。
【0034】
また、溝3の左右の溝内壁面33,33は、端面2に近付くに従って互いに近づく湾曲面、段差面等により形成されていても構わない。
【0035】
実施形態9
以上説明した壁高欄同士の接合構造では、各溝3,3に跨るように板材としての孔空き鋼板6を設置した構造としたが、実施形態9では、当該孔空き鋼板6の代わりに、例えば、図12図13に示すように、両方の板面より突出する複数の突起部62,62…を備えた板材としての突起部付き鋼板6Aを各溝3,3に跨るように設置し、各溝3,3に跨るように設置された突起部付き鋼板6Aの各突起部62,62…の周囲に充填材7が充填された壁高欄同士の接合構造とした。言い換えれば、両方の板面に摩擦抵抗部として機能する複数の突起部62,62…を備えた板材としての突起部付き鋼板6Aを使用するようにした。
実施形態9に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に力が作用した場合に突起部付き鋼板6Aの引抜せん断抵抗によって抵抗する構造となり、この場合、孔空き鋼板6を用いた場合と比べて、突起部付き鋼板6Aの板面と摩擦抵抗部として機能する複数の突起部62,62…とによる凹凸によって充填材7と突起部付き鋼板6Aとの付着力が向上し、突起部付き鋼板6Aの引抜せん断抵抗がより大きくなる。
尚、突起部62は、例えば、鋼板に形成したねじ貫通孔にボルトを締結して形成したり、あるいは、鋼板の両方の板面に突起部62となる鋼材を溶接等で接合することにより形成すればよい。
【0036】
実施形態10
両方の板面に、摩擦抵抗部として機能する複数の凹部を備えた板材を使用して、各凹部内に充填材が充填された構成としてもよい。このような板材を用いた場合でも、摩擦抵抗部として機能する凹部と充填材7との付着力が向上し、板材の引抜せん断抵抗がより大きくなる。
【0037】
実施形態11
板材として、板面が波打つように形成された波板のように両方の板面が凹凸面に形成された板材、あるいは、プレス機械等により成型されて両方の板面が凹凸面に形成された板材を用いてもよい。このような板材を用いた場合でも、摩擦抵抗部として機能する凹凸面と充填材7との付着力が向上し、板材の引抜せん断抵抗がより大きくなる。
【0038】
実施形態12
上記では、板面に形成された摩擦抵抗部として、板材を貫通するように形成された貫通孔、又は、板材の両方の板面より突出するように形成された突起部、又は、両方の板面に形成された凹部、又は、両方の板面に形成された凹凸面を備えた板材を使用した例を示したが、これら摩擦抵抗部として突起部、又は、凹部、又は、凹凸面が、一方の板面にのみ形成された板材を用いてもよい。このような板材を用いた場合でも、摩擦抵抗部を備えることで、板材の引抜せん断抵抗がより大きくなる。
【0039】
実施形態13
板材として、上述した貫通孔、突起部、凹部、凹凸面等の摩擦抵抗部を二種類以上備えるように形成された板材を用いるようにしてもよい。
【0040】
実施形態14
以上説明した壁高欄同士の接合構造では、板面に摩擦抵抗部を備えた板材を各溝3,3に跨るように設置した構造を説明としたが、板面が平面に形成された平鋼板のような平板を各溝3,3に跨るように設置し、各溝3,3に跨るように設置された鋼板の周囲に充填材7が充填された壁高欄同士の接合構造としてもよい。
実施形態14に係る壁高欄同士の接合構造によれば、壁高欄1に力が作用した場合に平板の板面と目地材との付着力による引抜せん断抵抗によって抵抗する構造となるので、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるようになる。
【0041】
実施形態15
以上説明した壁高欄同士の接合構造では、壁高欄1の端面2に近付くに従って互いに近づくよう傾斜する傾斜面により形成された左右の溝内壁面33,33を備えた溝3,3の内側に、上述したような様々な形態の板材を設置した構造としたが、図14に示すように、互いに平行となるように形成された左右の溝内壁面33A,33Aを備えた溝3A,3Aの内側に、上述したような様々な形態の板材を設置した構造としてもよい。
即ち、断面矩形状に形成された溝3A,3Aの内側に上述したような様々な形態の板材を設置した構造としてもよい。
当該壁高欄同士の接合構造であっても、少なくとも板材の板面と目地材との付着力による引抜せん断抵抗によって抵抗する構造となるので、壁高欄1に加わる橋軸方向Xの引抜力及び橋軸直角方向Yの衝撃力に対して十分に抵抗できる構造となるとともに、壁高欄1の取替え作業の容易化及び低コスト化が図れるようになる。
【0042】
また、上述した壁高欄と床版とを一体で製造すれば、床版設置時に壁高欄も設置できるため、従来工法に比べ大幅な工程短縮が可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 壁高欄、2 端面、3,3A 溝、5 目地間隔、6 孔空き鋼板(板材)、
6A 突起部付き鋼板(板材)、6B 平板により構成された鋼板(板材)、
7 充填材、31 溝底面、33,33A 溝内壁面、61 貫通孔(摩擦抵抗部)、
62 突起部(摩擦抵抗部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14