(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】局所排気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20220301BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F26B21/00 N
(21)【出願番号】P 2018063488
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595145050
【氏名又は名称】株式会社日立プラントサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏明
(72)【発明者】
【氏名】末松 孝章
(72)【発明者】
【氏名】福島 幸生
(72)【発明者】
【氏名】石井 靖之
(72)【発明者】
【氏名】小柳 貴是
(72)【発明者】
【氏名】大原 篤史
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-236582(JP,A)
【文献】実開昭60-001737(JP,U)
【文献】特開平09-193993(JP,A)
【文献】実開昭54-018881(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を取り扱う容器の開口部に設置され、
内筒を通る空気が前記容器内に流入し、外筒と前記内筒との間に配置された間隙を通り、排気口に排出され
、
前記外筒は、その下端に前記開口部の内径より若干小さい外径をもつ案内筒を有し、
前記外筒は、前記案内筒が前記容器の開口部に嵌入されて前記容器上に載置され、かつ、
前記内筒の下端の開口は、全領域から空気が流入される状態で、前記容器の開口部内に配置されている
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記外筒は、粉体を取り扱う前記容器の前記開口部に設置され、前記排気口を有し、
前記内筒は、前記外筒との間に前記間隙を有して前記外筒の内部に設置され、
前記外筒と前記内筒との間に設けられ、前記間隙における前記容器の反対側を塞ぐ上板と、
前記容器内に配置され、外部から前記容器内に流入した空気が流入されて前記間隙に流れる吸気孔とを
備えることを特徴とする局所排気装置。
【請求項3】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記外筒と前記内筒とは分割構造である
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項4】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記容器の内部に流入する空気の前記内筒の上部の開口における制御風速が0.1m/s以上である
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項5】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記外筒と前記容器との間または前記外筒と前記内筒との間の少なくとも何れかにシール材が設けられている
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項6】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記外筒と前記内筒とは分割構造であり、
前記外筒には設けられることなく前記内筒に設けられている上板を備える
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項7】
請求項1に記載の局所排気装置において、
前記容器の内部に、前記容器の外部の空気が流入される吸気孔が配置されている
ことを特徴とする局所排気装置。
【請求項8】
請求項7に記載の局所排気装置において、
前記吸気孔は、前記容器の入口の全周に亘って設けられている
ことを特徴とする局所排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品や医薬品原薬などの高薬理活性物質の製造工程において、薬塵の発生による作業者への暴露や製品間の交叉汚染を防ぐ必要がある。そのため、該製造工程では、薬塵の封じ込め技術が適用されている。
湿潤状態の高薬理活性物質を乾燥させて粉体として回収する場合には回収が容易なように、底部に中心側が低くなる傾斜のついたコニカル乾燥機が用いられる。
【0003】
コニカル乾燥機では、乾燥した粉体の大部分は傾斜を滑り落ち底部に設置された回収用容器に回収される。しかし、一部はコニカル乾燥機の壁面に残留してしまい、そのままでは回収することが困難である。
そこで、作業者はコニカル乾燥機の上部の開口部から、例えば長い柄のついた掻き取り用治具のようなものを用いて、壁面に付着した残留粉体を底部の容器に掻き出す。その際、コニカル乾燥機の上部の開口部では舞い上がった粉体が作業者および作業環境に飛散しないよう局所排気設備を設ける必要がある。
【0004】
局所排気設備は、タンク開口部やその近傍に設置され、発生した粉塵を周辺の空気とともに吸い込み、排気ダクトを通り、HEPAフィルタなどの精密フィルタを通過し、含まれる粉塵を除去した後に一般排気系統に合流させることが一般的である。局所排気設備を適切に設計し、作業環境に粉塵が飛散しないようにすることは作業環境保全及び製品の品質管理上重要である。
【0005】
例えば、特許文献1には、タンク上部に取り付ける半円型の局所排気装置が開示されている。また、特許文献2には、全円型の局所排気装置が開示されている。
特許文献1、2の局所排気装置では開口面と平行な風速を生じさせ、周辺の空気とともに発生した粉塵を吸引する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5576316号公報
【文献】US6254330B1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の局所排気装置では、半円型にすることで内部の視認性を高め、作業性を高めることができる。しかしながら、開口部付近の空気がより吸い込まれやすく吸気口からの距離が離れるに従い風速は低下する。そのため、不足分布が大きくなり、大量の空気を吸い込む必要がある。
【0008】
特許文献2の局所排気装置では、側壁にスリットを設け、開口部の水平方向に空気を吸い込む。しかし、風速のムラができ、センタで所定の風速を出すには大きな風量が必要となる。
【0009】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、吸気風量を低減しつつ必要な制御風速を維持できる局所排気装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の局所排気装置は、粉体を取り扱う容器の開口部に設置され、内筒を通る空気が前記容器内に流入し、外筒と前記内筒との間に配置された間隙を通り、排気口に排出され、前記外筒は、その下端に前記開口部の内径より若干小さい外径をもつ案内筒を有し、前記外筒は、前記案内筒が前記容器の開口部に嵌入されて前記容器上に載置され、かつ、前記内筒の下端の開口は、全領域から空気が流入される状態で、前記容器の開口部内に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吸気風量を低減しつつ必要な制御風速を維持できる局所排気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る局所排気装置とタンクおよび局所排気装置の取り付け時の空気の流れを模式的に示す正面断面図。
【
図2】実施形態の局所排気装置およびタンクの模式的分解断面図。
【
図3】実施形態の局所排気装置およびタンクの分解斜視図。
【
図4】局所排気装置のタンクへの組み付け過程を示す模式的断面図。
【
図5】局所排気装置のタンクへの組み付け過程を示す模式的断面図。
【
図6】局所排気装置のタンクへの組み付け過程を示す模式的断面図。
【
図7】局所排気装置の組立て状態と排気流路を太破線矢印で示す斜視透視図。
【
図8】局所排気装置をタンク上に設置した場合の上方から見た上面図。
【
図9】実施形態の局所排気装置と、従来の円周上に開けられた穴から水平方向に吸引し制御風速を実現する全円型との排気風量と制御風速を比較する図。
【
図10】変形例の局所排気装置およびタンクの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
これらの実施形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る局所排気装置Eとタンク7および局所排気装置Eの取り付け時の空気の流れを模式的に示す正面断面図である。
湿潤状態の高薬理活性物質を乾燥させて粉体として回収する場合、回収が容易なように底部に中心側が低くなる傾斜のついたタンク7をもつ例えばコニカル乾燥機が用いられる。
【0016】
コニカル乾燥機では、乾燥した粉体の大部分はタンク7の傾斜壁面7kを滑り落ち底部に設置された回収用容器(図示せず)に回収される。しかし、一部はタンク7の傾斜壁面等に残留してしまい、そのままでは回収が困難である。
【0017】
そこで、作業者Pはタンク7の上部の開口部7oから、例えば長い柄のついた掻き取り用治具14のようなものを用いて、タンク7の傾斜壁面7k等に付着した残留粉体を底部7tに設けられる回収用容器(図示せず)に掻き出す。
【0018】
その際、タンク7の上部の開口部7oでは舞い上がった粉体が作業者Pおよび作業環境に飛散しないよう実施形態の局所排気装置Eを設けている。
実施形態の局所排気装置Eは、タンク7上にパッキン4を介して設置されている。
【0019】
図2は、実施形態の局所排気装置Eおよびタンク7の模式的分解断面図である。
図3は、実施形態の局所排気装置Eおよびタンク7の分解斜視図である。
局所排気装置Eは、内筒1と外筒2とを備えている。
【0020】
内筒1と外筒2とは、耐蝕性を有する材料、例えばステンレスが用いられる。なお、材料は耐蝕性を有すれば他の材料を用いてもよい。
内筒1は、内筒周板1sと内筒上板1uとを有している。
【0021】
内筒周板1sは、円筒状に形成されている。
内筒上板1uは、内筒周板1sの上縁から外方に延びる円環状板材である。内筒上板1uの上には、一対の内筒持ち手6が設置されている。
【0022】
内筒上板1uの下方には、円環状のパッキン4a(
図2参照)が設置されている。なお、パッキン4aを用いず構成してもよい。
外筒2は、外筒周板2sと外筒上板2oと外筒下板2uと案内筒2aと排気ダクト接続部位3とを有している。
【0023】
外筒周板2sは、内筒1の内筒周板1sの外径より大きな径をもつ円筒状に形成されている。これにより、外筒2の外筒周板2sと内筒1の内筒周板1sとの間には円環状空間の隙間2i(
図1参照)が形成される。
外筒周板2sの一部には開口2s1(
図3参照)が形成されている。開口2s1には排気孔である筒状の排気ダクト接続部位3が接続されている。
【0024】
外筒上板2oは、外筒周板2sの上縁から内方に延びる円環状板である。外筒上板2oの上には、一対の外筒持ち手5が取り付けられている。外筒上板2oの開口2o1の内径s2は、外筒2と内筒1との位置決めに用いられることから、内筒1の内筒周板1sの外径s1より若干大きく設定されている。
【0025】
図2に示すように、外筒下板2uは、外筒周板2sの下縁から内方に延びる円環状板である。
案内筒2aは、外筒下板2uの内縁から下方に延びる筒形状を有している。案内筒2aの外径s3は、外筒2とタンク7との位置決めに用いられるため、タンク7の開口部7oの内径s4より若干小さく設定されている。
【0026】
外筒下板2uと案内筒2aとの接続部には、円環状のパッキン4が設置されている。パッキン4、4aはシリコーンゴム、EPDMゴム(Ethylene propylen diene rubber)などで形成されている。
なお、パッキン4を用いず構成してもよい。
【0027】
上記構成により、内筒1の内筒周板1sと外筒2の外筒周板2sとの間の下部は、全周に亘って吸気孔Ei(
図1参照)が形成されている。吸気孔Eiから取り入れた空気を外筒2と内筒1との間の隙間2iに吸入する。
【0028】
図1に示すように、外筒2の排気ダクト接続部位3に排気系統が接続されている。
排気系統として、HEPAフィルタ9が排気ファン10の上流に取り付けられている。排気ファン10の下流には、排気ダクトなどの排気系統11が接続されている。
【0029】
外筒2の排気ダクト接続部位3は、排気ダクト8を介して、HEPAフィルタ9に接続されている。つまり、HEPAフィルタ9に接続された排気ダクト8と、外筒2の排気ダクト接続部位3とが接続される。
上述の局所排気装置Eは以下のように使用される。
【0030】
排気ファン10を稼働させることにより、
図1に示すように、内筒1の開口面1oを介した外部から空気の流入が起こる(
図1の矢印α11)。
流入した空気は、タンク7の内部で発生した粉体とともに、吸気孔Eiから吸入され内筒1と外筒2の間に形成された隙間2iに取り込まれる。取り込まれた空気は、隙間2iを通り(
図1の矢印α13)、排気ダクト接続部位3を通って、排気ダクト8に排出される(
図1の矢印α14)。そして、流入した空気は粉体とともに、排気ダクト8を通り排出される(
図1の矢印α15)。
【0031】
この際、
図1に示すように、排気される空気のほぼ全ては内筒1を垂直方向に通過した(
図1の矢印α11)空気である。内筒1の下部はタンク7の開口部7oの開口面7o1の高さより下に位置する。これにより、タンク7の開口面7o1の高さ位置における風向の均一化が図られている。
【0032】
これにより、タンク7の内部で発生した粉体は内筒1に入る空気(
図1の矢印α11)に逆らい上昇することはできず、環状の吸気孔Eiから流入して内筒1と外筒2の間の隙間2iを通り、排気ダクト接続部位3、排気ダクト8を介して、排気される(
図1の矢印α15)。そのため、作業者Pが粉体に暴露されることを可及的に抑制できる。
【0033】
一例の局所排気装置Eのタンク7への組み付けは、以下のように行われる。
【0034】
図4~
図6は、局所排気装置Eのタンク7への組み付け過程を示す模式的断面図である。なお、
図4~
図6では、作業者Pは省略している。
【0035】
図4に示すように、作業者Pは、外筒2にパッキン4を取り付ける。この際、接着剤を用いてもよいし、用いなくともよい。
作業者Pは、外筒持ち手5を把持して外筒2を持ち上げ、外筒2の案内筒2aをタンク7の開口部7oに嵌入し、外筒2をタンク7の開口部7oに載置する(
図5参照)。
【0036】
そして、
図6に示すように、作業者Pは、内筒持ち手6を把持して内筒1を持ち上げ、内筒1の内筒周板1sをタンク7の開口部7oに載置した外筒2の外筒上板2oの開口2o1に嵌入し、内筒1をタンク7上の外筒2の上に載置する(
図7参照)。
【0037】
内筒1と外筒2との間には、円環状の空間の隙間2iが形成される。
図7は、局所排気装置Eの組立て状態と排気流路を太破線矢印で示す斜視透視図である。
図7中には、空気の流れを太破線で示している。
これにより、タンク7の開口部7oに、局所排気装置Eが設置される。そして、
図1に示すように、外筒2の排気ダクト接続部位3と、HEPAフィルタ9などが接続された排気ダクト8とが接続される。
【0038】
図1においては、内筒1と外筒2は分解可能である例を示す。そして、それぞれを設置の際に操作性を高めるため、外筒持ち手5および内筒持ち手6を図示したが、取っ手の有無は限定されず、任意である。
また、内筒1と外筒2を別々の部材の場合を示したが、これは内筒1と外筒2の洗浄性の向上を図るためである。これに対して、内筒1と外筒2が固定された一体形状の構成としても構わない。
【0039】
<排気ファン10での排気風量と制御風速>
図8は、局所排気装置Eをタンク7上に設置した場合の上方から見た上面図である。
図8の(1)~(4)は風速の測定点を示している。
【0040】
図1に示す構成で、排気ファン10での排気風量を4.02m
3/minに設定した場合における内筒1の開口面1oの位置における風速分布を計測した。
図8に示すように、開口面1oを(1)~(4)に4分割し、(1)~(4)の各測定点における制御風速を測定した結果が表1である。制御風速とは、開口面1oでの風速である。
【表1】
【0041】
測定点(1)~(4)中、最大は(1)の0.90m/sであり、最小は(3)の0.76m/sであった。その差は0.14m/sである。測定点(1)~(4)の風速測定値の平均は0.80m/sであった。
従って、内筒1の開口面1oのすべての測定点(1)~(4)で、概ね一致する制御風速が得られた。
【0042】
図9は、実施形態の局所排気装置Eと、従来の円周上に開けられた穴(開口面1oに相当)から水平方向に吸引し制御風速を実現する全円型との排気風量と制御風速を比較する図である。横軸に、排気風量(m
3/min)を示し、縦軸に制御風速(m/s)を示す。排気風量とは、排気ファン(排気ファン10に相当)での風量である。
【0043】
従来の全円型(例えば特許文献2)の既製品は0.5m/s(メートル毎秒)の制御風速を実現するためには、約19m3/min(立方メートル毎分)の排気風量が必要である。
これに対し、実施形態の局所排気装置Eは、0.8m/sの制御風速を実現するのに、4m3/minで十分である。
【0044】
従って、実施形態の局所排気装置Eでは、排気ファン10の排気風量を大幅に低減できることが確認された。
なお、内筒1の開口面1oにおける風速は、0.1m/s以上であれば、容器7からの粉体の漏洩が抑えられることが確認された。つまり、開口面1oでの風速は0.1m/s以上あれば、容器7からの粉体の逆流を抑えられる。
【0045】
上記構成の局所排気装置Eによれば、空気を一度タンク7内に吸込むので、作業員Pがタンク7内の物質を吸い込むことを可及的に抑制できる。
また、排気ファン10の排気風量が少なく済む。
【0046】
さらに、局所排気装置Eの吸気孔Eiがタンク7の開口部7oの全周に亘って形成されるので、開口部7oで吸込む空気のムラが軽減される。
また、局所排気装置Eを内筒1と外筒2との分割構成としたので、洗浄が容易である。また、内筒1と外筒2との分割なので、軽量となり取り扱い易い。
【0047】
また、パッキン4を設置することで、容器7と外筒2との間からの空気の漏洩が抑えられる。加えて、パッキン4を用いることで外筒2やタンク7が傷むことが抑制される。
同様に、パッキン4aを設置することで、内筒1と外筒2との間からの空気の漏洩が抑えられる。加えて、パッキン4aを用いることで外筒2や内筒1が傷むことが抑制される。
【0048】
従って、吸気風量(排気風量)を低減しつつ必要な制御風速を維持できる局所排気装置Eを提供できる。
【0049】
<<変形例>>
図10は、変形例の局所排気装置2Eおよびタンク7の分解斜視図である。
変形例の局所排気装置2Eは、実施形態の内筒1の内筒上板1uを
図10の符号21uのように広く形成し、外筒2の外筒上板2oを無くす構成としたものである。
【0050】
その他の構成は、実施形態と同様であるから、20番台の符号を付して示し、詳細な説明は適宜省略する。
変形例の局所排気装置2Eは、内筒21と外筒22とパッキン24とを備えている。
内筒21は、内筒周板21sと内筒上広板21uとを有している。
【0051】
内筒周板21sは、円筒状に形成されている。
内筒上広板21uは、内筒周板21sの上縁から外方に広く延びる円環状板である。内筒上広板21uの外径s5は、外筒22の外径s6と同じまたはより大きく設定されている。内筒上広板21の上には、一対の内筒持ち手26が取り付けられている。
【0052】
外筒22は、外筒周板22sと外筒下板22uと案内筒22aと排気ダクト接続部位23とを有している。
外筒周板22sは、内筒21の内筒周板21sの外径より大きな径をもつ円筒状に形成されている。内筒21の内筒周板21sと外筒22の外筒周板22sとの間には円環状空間である隙間22iが形成される。
【0053】
外筒周板22sの一部には開口22s1が形成されている。開口22s1には筒状の排気ダクト接続部位23が接続される。
外筒周板22sには、外筒持ち手25が取り付けられている。
【0054】
外筒下板22uは、外筒周板22sの下縁から内方に延びる円環状板である。
案内筒22aは、外筒下板22uの内縁から下方に延びる筒形状を有している。案内筒22aの外径s7は、タンク7の開口部7oの内径s8より若干小さく設定されている。
【0055】
外筒下板22uと案内筒22aとの接続箇所には、円環状のパッキン24が設置されている。なお、パッキン24は用いず構成してもよい。
局所排気装置2Eの組立ては、実施形態と同様、タンク7の開口部7oに、外筒22の案内筒22aを挿入して円環状のパッキン24を設けた外筒22を載置した後、内筒21を外筒22の上に載置する。
【0056】
つまり、作業者Pは、パッキン24を設けた外筒持ち手25を把持して外筒22を持ち、外筒22の案内筒22aをタンク7の開口部7oに嵌入し、外筒22をタンク7の開口部7oに載置する。
そして、作業者Pは、内筒持ち手26を把持して内筒1を持ち、内筒21の内筒周板21sを、タンク7の開口部7oに載置した外筒22の外筒周板22sの内部に挿入し、内筒21を外筒22の上に載置する。内筒21と外筒22との間には、円環状の空間の隙間22iが形成される。
【0057】
変形例によれば、外筒22の外筒上板(
図2、
図3の符号2o参照)が無い構成なので、外筒周板22sの内部の洗浄が容易である。そのため、外筒22を洗浄し易く、局所排気装置2Eの洗浄性に優れる。
また、内筒21と外筒22とが分割されるので、軽量で作業性がよい。
【0058】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、局所排気装置Eの吸気孔Eiをタンク7の入口の全周に連続して形成される場合を例示したが、所々途切れた不連続な吸気孔Eiで構成してもよい。吸気孔Eiがタンク7の入口の全周に亘って形成されることで、均一に近い制御風速が得られる。
【0059】
2.前記実施形態では、局所排気装置Eを内筒1、21と外筒2、22とで構成した場合を例示したが、吸気孔Eiがタンク7の内部にあれば、他の構成を採用してもよい。
【0060】
3.前記実施形態では、パッキン4、4a(24、24a)を設ける場合を例示したが、パッキン4(24)またはパッキン4a(24a)のみを設ける構成としてもよい。
【0061】
4.本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1、21 内筒
1o、21o 開口面(開口)
1u 内筒上板(上板)
2、22 外筒
2i、22i 隙間(間隙)
2o 外筒上板(上板)
3、23 排気ダクト接続部位(排気口)
4、24、4a、24a パッキン(シール材)
7 容器
7o 開口部(容器の入口)
21u 内筒上広板(上板)
E、2E 局所排気装置
Ei 吸気孔