IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大林組の特許一覧 ▶ 協立エアテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-床吹出口 図1
  • 特許-床吹出口 図2
  • 特許-床吹出口 図3
  • 特許-床吹出口 図4
  • 特許-床吹出口 図5
  • 特許-床吹出口 図6
  • 特許-床吹出口 図7
  • 特許-床吹出口 図8
  • 特許-床吹出口 図9
  • 特許-床吹出口 図10
  • 特許-床吹出口 図11
  • 特許-床吹出口 図12
  • 特許-床吹出口 図13
  • 特許-床吹出口 図14
  • 特許-床吹出口 図15
  • 特許-床吹出口 図16
  • 特許-床吹出口 図17
  • 特許-床吹出口 図18
  • 特許-床吹出口 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】床吹出口
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/068 20060101AFI20220301BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20220301BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 11/61 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20220301BHJP
   F24F 120/12 20180101ALN20220301BHJP
【FI】
F24F13/068 A
F24F13/10 B
F24F13/10 D
F24F11/30
F24F11/46
F24F11/61
F24F11/74
F24F11/63
F24F11/79
F24F120:12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018084377
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019190743
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】二宮 勉
(72)【発明者】
【氏名】森口 征則
(72)【発明者】
【氏名】中山 和樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】重松 拓也
(72)【発明者】
【氏名】木場 隆之
(72)【発明者】
【氏名】占部 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】内村 仁
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実公平07-020506(JP,Y2)
【文献】特開2009-046069(JP,A)
【文献】特開2004-205080(JP,A)
【文献】登録実用新案第3049595(JP,U)
【文献】特開2012-047418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/068
F24F 13/10
F24F 11/30
F24F 11/46
F24F 11/61
F24F 11/74
F24F 11/63
F24F 11/79
F24F 120/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の執務者の座席付近の床面に配置される床吹出口であって、
上端に開口部を有する円筒形状をなし、その周壁に円周方向に沿って所定間隔をおいて開設された複数の外通気口を有するケーシングと、
前記ケーシングに内接した状態で前記ケーシングの軸心と同軸上に配置され、前記軸心を中心に回転可能に配置された短円筒体と、前記短円筒体の周壁に複数の前記外通気口と同位相に開設された複数の内通気口と、前記短円筒体の上面の前記ケーシングの周壁寄りの領域に上方に向かって突設され、前記回転方向に沿った所定長さの平面部を有する突起部材と、を有するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を、前記軸心を中心に回転させる駆動手段と、
前記シャッタ部材の上方に、前記ケーシングの横断面方向に所定間隔をおいて平行に配列され、連接部材により連動して傾動する複数の羽根と、少なくとも1枚の前記羽根から前記突起部材に当接可能に延設された脚部と、を有するデフレクタと、
前記デフレクタの上方に位置する前記ケーシングの開口部に配置され、フェースに着脱可能に取り付けられたスリット付きの吹出グリルと、
前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた床吹出口。
【請求項2】
前記吹出グリルが複数のスリットを有し、前記フェースに対する前記吹出グリルの設置姿勢が前記ケーシングの軸心周りの回転方向に変更可能である請求項1記載の床吹出口。
【請求項3】
前記フェースに対する前記吹出グリルの設置姿勢を設定する係脱可能な凹凸嵌合機構を前記フェースと前記吹出グリルとの接触領域に複数設けた請求項2記載の床吹出口。
【請求項4】
前記制御手段の一部として、前記駆動手段の作動・停止操作を行うコントローラを備えた請求項1~3の何れかの項に記載の床吹出口。
【請求項5】
前記吹出グリルに接近する人間を識別する識別手段を設け、前記制御手段が前記識別手段から送信される信号に基づいて前記吹出グリルから吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め入力された状態に自動設定する機能を有する請求項1~4の何れかの項に記載の床吹出口。
【請求項6】
前記制御手段に、前記識別手段が人間存在を感知すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口との少なくとも一部が連通する位置まで回転させて停止する機能と、
前記識別手段が人間不在を感知して所定時間経過すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口とが連通しない位置まで回転させて停止する機能と、を設けた請求項5記載の床吹出口。
【請求項7】
前記識別手段が、画像センサ、ICタグ、赤外線センサ、Wi-Fi(登録商標)のビーコン検知、着座センサ、空気圧センサ若しくは人感センサのうちの1以上である請求項5または6記載の床吹出口。
【請求項8】
前記制御手段に、前記外通気口と前記内通気口の少なくとも一部が連通した状態が所定時間連続すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口とが連通しない位置まで回転させて停止する自動停止機能を設けた請求項1~7の何れかの項に記載の床吹出口。
【請求項9】
前記制御手段に、
前記外通気口と前記内通気口の少なくとも一部が連通した状態が連続し、予め設定された所定時間に近づくと警報を発する機能と、
前記警報を発した後、手動操作により前記自動停止機能を解除する機能と、を設けた請求項8記載の床吹出口。
【請求項10】
執務者の座席付近に配置された温度センサ、風速センサの少なくとも一方から送信される感知信号に基づいて前記吹出グリルから吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め設定された状態にセットする調整手段を前記制御手段に設けた請求項1~9の何れかの項に記載の床吹出口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機から供給される調和空気を建物内の執務者の座席付近の床面から室内に向かって吹き出す機能を有するパーソナル空調用の床吹出口に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルなどにおいては、床面とビル躯体との間に空間(所謂、床下空間)を設けたフリーアクセスフロアやOAフロアなどと呼ばれる構造が採用されている。前記床下空間はOA機器用の電源・各種ケーブルなどの配線スペースや、空調設備から供給される調和空気の流路などとして利用されている。
【0003】
前記床下空間を調和空気の流路として利用する場合、空調設備から前記床下空間内に供給された調和空気を居室の床面から室内に向かって吹き出させるため、床面に床吹出口が設けられている。
【0004】
従来、床吹出口については様々な機能(例えば、風量調節機能や風向調節機能など)を備えたものが提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「フリーアクセスフロアにおける空調用エア吹出口」などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平7-20506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された「フリーアクセスフロアにおける空調用エア吹出口」はエア吹出口の下部に取り付けられたエアチャンバが風量調節機構及び風向調節機構を有しているが、特に、風向調節機構の構造が複雑である。
【0007】
また、風向調節機構を構成する複数の風向調節板は、操作杆と同軸上の中空軸に放射状に取り付けられた複数の支杆にヒンジ部を介して起伏自在に取り付けられ、中空軸を回転操作すると、これらの風向調節板がそれぞれ支杆を中心に連動して傾動することにより風向を調節する、というものである。
【0008】
このため、前記中空軸の回転操作により調節可能な、エア吹出口から吹き出す空調用エアの風向は、エア吹出口から真上に向かって吹き出す状態か、エア吹出口を中心に放射状に広がるように吹き出す状態か、あるいはこれらの方向が混合した状態の何れかに限られ、空調用エアを一方向に向かって吹き出させること(風向に指向性を持たせること)が困難である。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、比較的簡素な構造であって、操作も簡単であり、調和空気の吹出方向に指向性を持たせることが可能な床吹出口を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る床吹出口は、
建物内の執務者の座席付近の床面に配置される床吹出口であって、
上端に開口部を有する円筒形状をなし、その周壁に円周方向に沿って所定間隔をおいて開設された複数の外通気口を有するケーシングと、
前記ケーシングに内接した状態で前記ケーシングの軸心と同軸上に配置され、前記軸心を中心に回転可能に配置された短円筒体と、前記短円筒体の周壁に複数の前記外通気口と同位相に開設された複数の内通気口と、前記短円筒体の上面の前記ケーシングの周壁寄りの領域に上方に向かって突設され、前記回転方向に沿った所定長さの平面部を有する突起部材と、を有するシャッタ部材と、
前記シャッタ部材を、前記軸心を中心に回転させる駆動手段と、
前記シャッタ部材の上方に、前記ケーシングの横断面方向に所定間隔をおいて平行に配列され、連接部材により連動して傾動する複数の羽根と、少なくとも1枚の前記羽根から前記突起部材に当接可能に延設された脚部と、を有するデフレクタと、
前記デフレクタの上方に位置する前記ケーシングの開口部に配置され、フェースに着脱可能に取り付けられたスリット付きの吹出グリルと、
前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
このような構成とすれば、制御手段により駆動手段を作動させシャッタ部材を回転させると、ケーシングの周壁寄りの領域を回転する突起部材が、デフレクタから垂下する羽根のうちケーシングの軸心の直近に位置する羽根に設けられた脚部に当接し、それを回転方向に押圧するので、脚部を有する羽根が傾斜するとともに、連接部材で繋がれた他の羽根も連動して同じ方向に傾斜する。これにより、複数の羽根の間を通過する調和空気の風向が変化するので、吹出グリルから吹き出す調和空気の風向を変更(調節)することができる。また、複数の羽根は同じ方向に傾斜するので、調和空気の吹出方向に指向性を持たせることが可能である。
【0012】
突起部材が羽根の脚部に当接した後もシャッタ部材を回転させると、突起部材と当接した脚部は、傾斜姿勢を保った状態で突起部材の平面部上を摺動していくので、脚部が平面部から離脱するまで複数の羽根は同様に傾斜姿勢を保ち続けるが、ケーシングの外通気口と、シャッタ部材の内通気口と、が互いに重なり合う領域(連通領域)は徐々に狭まっていく。これにより、前記連通領域を通過してケーシング内へ流入する調和空気は減少していくので、吹出グリルから吹き出す調和空気の風量を減少させることができる。
【0013】
従って、シャッタ部材の回転を所定位置で停止すれば、調和空気のケーシング内への調和空気の流入量は、ケーシングの外通気口とシャッタ部材の内通気口との連通領域の開口面積に対応した流入量となる。このように、シャッタ部材の停止位置を変更することにより、吹出グリルから吹き出す調和空気の風量を変更(調節)することができる。
【0014】
このように、本発明に係る床吹出口は一つの駆動手段を稼働させるという簡単な操作により、調和空気の風向並びに風量を変更(調節)することができ、シャッタ部材の回転により風量並びに風向を変更(調節)可能な機構を設けているため、構造も比較的簡素である。
【0015】
前記床吹出口においては、前記吹出グリルが複数のスリットを有し、前記フェースに対する前記吹出グリルの設置姿勢が、前記ケーシングの軸心周りの回転方向に変更可能であることが望ましい。
【0016】
このような構成とすれば、フェースに対する吹出グリルの設置状態をケーシングの軸心周りの回転方向に変更することにより、複数のスリットの方向を変化させることができるので、吹出グリルから吹き出す調和空気の風向を変更することができる。また、前述したデフレクタによる風向調節機能と、吹出グリルによる風向調節機能とを組み合わせれば、さらに細かな風向調節を行うことができる。
【0017】
前記床吹出口においては、前記フェースに対する前記吹出グリルの設置姿勢を設定する係脱可能な凹凸嵌合機構を前記フェースと前記吹出グリルとの接触領域に複数設けることが望ましい。
【0018】
このような構成とすれば、フェースに対する吹出グリルの設置姿勢を規則的に変更することができ、デフレクタにより風向調整された気流が、さらに、フェースの複数のスリットにより風向調整することができる。具体的には、スリット長手方向とデフレクタの羽根が直交する姿勢に吹出グリルを設置すれば、気流はデフレクタの動作によりスリット長手方向に沿った指向性の強い気流となる。また、スリット長手方向とデフレクタの羽根が45度の関係となるように吹出グリルを設置すれば、前述した場合よりも、やや指向性が緩和された気流となり、執務者の好みに応じて気流感を調整することができる。そのほか、フェースに対する吹出グリルの設置状態も安定する。
【0019】
前記床吹出口においては、前記制御手段の一部として、前記駆動手段の作動・停止操作を実行可能なコントローラを備えることが望ましい。
【0020】
このような構成とすれば、執務者が前記コントローラを操作することにより、吹出グリルから吹き出す調和空気の風向、風量を執務者の好みに応じて容易に調節することが可能となる。
【0021】
前記床吹出口においては、前記吹出グリルに接近する人間を識別する識別手段を設け、前記制御手段が、前記識別手段から送信される信号に基づいて前記吹出グリルから吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め入力された状態に自動設定する機能を有することが望ましい。
【0022】
このような構成とすれば、床吹出口を構成する吹出グリルからパーソナル空間(建物内の執務者の座席付近の空間)に向かって吹き出す調和空気の風向や風量を、個人の好みに応じた状態に自動設定することができる。
【0023】
前記床吹出口においては、前記制御手段に、
前記識別手段が人間存在を感知すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口との少なくとも一部が連通する位置まで回転させて停止する機能と、
前記識別手段が人間不在を感知して所定時間経過すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口とが連通しない位置まで回転させて停止する機能と、を設けることができる。
【0024】
このような構成とすれば、前記吹出グリルの近傍に人間が接近すると自動的に調和空気が吹き出す状態となるので利便性が向上し、また、前記吹出グリルの近傍に人間が居なくなった後の不要な空調エネルギをカットすることができるので、省エネを図ることができる。
【0025】
前記床吹出口においては、前記識別手段として、画像センサ、ICタグ、赤外線センサ、Wi-Fi(登録商標)のビーコン検知、着座センサ、空気圧センサ若しくは人感センサのうちの1以上を用いることができる。
【0026】
このような構成とすれば、前記吹出グリルに接近する人間を確実に識別することができる。
【0027】
前記床吹出口においては、前記制御手段に、
前記外通気口と前記内通気口の少なくとも一部が連通した状態が所定時間連続すると、前記駆動手段が作動して前記シャッタ部材を前記外通気口と前記内通気口とが連通しない位置まで回転させて停止する自動停止機能を設けることができる。
【0028】
このような構成とすれば、執務者が気づかないうちに長時間に亘って空調運転を連続すること、所謂、空調の消し忘れを防止することができる。
【0029】
前記床吹出口においては、前記制御手段に、
前記外通気口と前記内通気口の少なくとも一部が連通した状態が連続し、予め設定された所定時間に近づくと警報を発する機能と、
前記警報を発した後、手動操作により前記自動停止機能を解除する機能と、を設けることができる。
【0030】
このような構成とすれば、通常運転状態(前記外通気口と前記内通気口の少なくとも一部が連通した状態)が連続し、予め設定した所定時間(例えば、2時間)が近づいたことを、コントローラが発する警報によって知ることができ、その後は、コントローラの手動操作により、前記自動停止機能を解除して通常運転状態を継続するか、前記自動停止機能により停止するか、を選択することができるので、利便性が向上する。
【0031】
前記床吹出口においては、執務者の座席付近に配置された温度センサ、風速センサの少なくとも一方から送信される感知信号に基づいて前記吹出グリルから吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め設定された状態にセットする調整手段を設けることができる。
【0032】
このような構成とすれば、吹出口からパーソナル空間に向かって吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を、パーソナル空間の温度や風速に応じて、予め設定された状態にセットすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、比較的簡素な構造であって、操作も簡単であり、調和空気の吹出方向に指向性を持たせることが可能な床吹出口を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態である床吹出口を正面斜め上方から見た状態を示す一部省略斜視図である。
図2図1に示す床吹出口を左側面及び正面を含む斜め上方から見た状態を示す一部省略斜視図である。
図3図1に示す床吹出口の一部省略正面図である。
図4図1に示す床吹出口の一部省略平面図である。
図5図1に示す床吹出口の一部省略分解斜視図である。
図6図4中のA-A線における一部省略断面図である。
図7図4中のB-B線における一部省略断面図である。
図8図6中のC-C線における一部省略断面模式図である。
図9図1に示す床吹出口を構成する駆動手段の作動・停止操作を行うコントローラを示す一部省略正面図である。
図10図9に示すコントローラの一部省略右側面図である。
図11図1に示す床吹出口の動作状態を示す一部省略垂直断面図である。
図12】床吹出口が図11に示す状態にあるときの一部省略分解斜視図である。
図13図1に示す床吹出口の動作状態を示す一部省略垂直断面図である。
図14図1に示す床吹出口の動作状態を示す一部省略垂直断面図である。
図15図1に示す床吹出口の動作状態を示す一部省略垂直断面図である。
図16図1に示す床吹出口の動作状態を示す一部省略垂直断面図である。
図17】床吹出口が図16に示す状態にあるときの一部省略分解斜視図である。
図18図1に示す床吹出口を構成するフェース及び吹出グリルを示す一部省略斜視図である。
図19】(a)~(c)は図18に示すフェースに対する吹出グリルの設置姿勢の変更状態を示す一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図1図19に基づいて、本発明の実施形態である床吹出口100について説明する。
【0036】
図1図8に示すように、本実施形態の床吹出口100は、ケーシング10と、シャッタ部材20と、駆動手段30と、デフレクタ40と、フェース50と、吹出グリル60と、を備えている。なお、図1において、後述するケーシング10の軸心10cと平行な矢線U方向を「上または上方」と称し、同じく軸心10cと平行な矢線D方向を「下または下方と称する(以下、同様である)。
【0037】
図5に示すように、ケーシング10は、上端に開口部10aを有する円筒形状をなし、その周壁10bに円周方向に沿って所定間隔をおいて開設された複数の外通気口11を有する。開口部10aの周囲には円形のフランジ10dが形成されている。図8に示すように、4個の外通気口11は、ケーシング10の軸心10cを中心に90度間隔で開設されている。4個の外通気口11は、それぞれ周壁10bにおいて軸心10cを中心とする中心角S(本実施形態ではS=45度)の円弧に沿った範囲に開設されている。
【0038】
図5図8に示すように、シャッタ部材20は、ケーシング10に内接した状態でケーシング10の軸心10cと同軸上に配置され、軸心10cを中心に回転可能に配置された短円筒体20aと、短円筒体20aの周壁20bに複数(4個)の外通気口11と同位相に開設された複数(4個)の内通気口21と、短円筒体20aの上面のケーシング10の周壁10b寄りの領域に上方に向かって突設され、回転方向R(図8参照)に沿った所定長さの平面部22aを有する突起部材22と、を有する。
【0039】
図8に示すように、突起部材22は短円筒体20aの軸心20c(軸心10cと同軸)を中心とする中心角T(本実施形態ではT=90度)の円弧に沿った範囲に配置されている。突起部材22の平面部22aの平面視形状は、軸心20cを中心とする中心角90度の円弧に沿った扇形状(セグメント形状)をなしている。
【0040】
図6図7に示すように、シャッタ部材20を、軸心10c(20c)を中心に回転させる駆動手段であるモータ30がケーシング10の内部の下方寄りの部分に配置されている。モータ30の回転は、モータ30の上方に配置された減速機構31を経由し、駆動軸32によってシャッタ部材20に伝達される。
【0041】
図5図7に示すように、ケーシング10内においてシャッタ部材20の上方に配置されたデフレクタ40は、ケーシング10内に横断方向(軸心10cと直交する方向)に配置された円板状の隔壁部材46と、隔壁部材46に開設された通気口47の内部に配置された複数(6本)の羽根41,41,42,42,43,43と、連接部材45と、を備えている。
【0042】
隔壁部材46の通気口47の内部には、ケーシング110の横断方向(軸心10cと直交する方向)に沿って所定間隔をおいて複数(6本)の支軸44が配置され、6本の支軸44に、それぞれ垂下した状態で且つ支軸44を中心に傾動可能な状態で複数(6枚)の羽根41,41,42,42,43,43が取り付けられている。また、羽根41,41,42,42,43,43を連動して傾動させるための連接部材45が、羽根41,41,42,42,43,43を貫通する方向に配置されている。
【0043】
羽根41,41は軸心10cを挟んで鏡面対称をなすように配置され、羽根42,42は羽根41,41を挟んで鏡面対称をなすように配置され、羽根43は羽根42,41,41,42を挟んで鏡面対称をなすように配置されている。また、最も軸心10c近くに位置する2枚の羽根41,41の両側縁から下方に向かってそれぞれ一対の脚部48,48が延設されている。脚部48,48は羽根41の両側部から短冊状に垂下しており、その下端部寄りの部分は、後述するように、シャッタ部材20の回転に伴って回転しながら接近してくる突起部材22に当接可能である。
【0044】
図5図7に示すように、デフレクタ40の上方に位置するケーシング10の開口部10aには円環状のフェース50が配置され、フェース50の内周側に形成された円形の段差部51内に、円板状の吹出グリル60が着脱可能に嵌入されている。吹出グリル60には、平面視形状が先端が丸い短冊状をなす複数のスリット61が所定間隔をおいて互いに平行に開設されている。複数のスリット61は何れも吹出グリル60を厚さ方向に貫通している。本実施形態において、複数のスリット61は互いに平行をなすように開設されているが、これに限定するものではないので、複数のスリットが非平行状態に開設された吹出グリルを用いることもできる。
【0045】
図1図4に示す床吹出口100においては、駆動手段であるモータ30の作動・停止などの操作を行うため、図9図10に示すようなコントローラ70を備えている。図9に示すように、駆動手段(モータ30)を制御する制御手段の一部をなすコントローラ70は、直方体状のケーシング71の正面に、電源スイッチ72と、風向切替スイッチ73と、開度切替スイッチ74と、を備えている。図10に示すように、ケーシング71の背面からコネクタ75a付きの通信ケーブル75が延設されている。
【0046】
図6図7に示すように、ケーシング10内の下端付近には、駆動手段(モータ30)を制御する制御手段の一部をなす制御装置80が配置され、モータ30と制御装置80との間には通信ケーブル33が配線されている。制御装置80からコネクタ81a付きの通信ケーブル81が延設され、図10に示すコントローラ70から延設された通信ケーブル75のコネクタ75aと、通信ケーブル81のコネクタ81aとが着脱可能に接続されている。なお、本実施形態においては、制御装置80はケーシング10内に配置されているが、これに限定するものではないので、ケーシング10の外部やケーシング10から離れた位置に配置することもできる。
【0047】
次に、図11図19に基づいて、床吹出口100の使い方及び機能などについて説明する。図11に示すように、床吹出口100は、オフィスビルなどの室内の床面に敷設されたフロアパネル1に開設された円形の開口部2から下方に向かってケーシング10の下端側を挿入した状態で設置される。開口部2の内径は、ケーシング10の外径より大であるが、ケーシング10のフランジ10dの外径より小であるため、フロアパネル1上面の開口部2の周縁部分にフランジ10dの下面が当接した状態で設置される。
【0048】
図9図10に示すコントローラ70の風向切替スイッチ73を操作すると、モータ30が作動してシャッタ部材20が回転方向R(図5参照)に回転し、図11に示すように、ケーシング10の周壁10b寄りの領域を回転する突起部材22が、デフレクタ40から垂下する羽根41に設けられた脚部48に当接し、それを回転方向Rに押圧するので、脚部48を有する羽根41が傾斜するとともに、連接部材45で繋がれた他の羽根42,43も連動して同じ方向に傾斜する。
【0049】
これにより、複数の羽根41,42,43の間を通過する調和空気の風向が変化するので、吹出グリル60の複数のスリット61から吹き出す調和空気の風向を変更(調節)することができる。また、複数の羽根41,42,43は同じ方向に傾斜するので、調和空気の吹出方向に指向性を持たせることが可能である。
【0050】
突起部材22が羽根41の脚部48に当接した後、コントローラ70の開度切替スイッチ74を操作すると、シャッタ部材20が回転し、突起部材22と当接した脚部48は、傾斜姿勢を保った状態で突起部材22の平面部22aが相摺動していくので、脚部48が平面部22aから離脱するまで複数の羽根41,42,43は同様に傾斜姿勢を保ち続けるが、図13に示すように、ケーシング10の外通気口11と、シャッタ部材20の内通気口21と、が互いに重なり合う領域(連通領域X)は徐々に狭まっていく。これにより、連通領域Xを通過してケーシング10内へ流入する調和空気は減少していくので、吹出グリル60のスリット61から吹き出す調和空気の風量を減少する。
【0051】
従って、コントローラ70の開度切替スイッチ74を所定位置にセットすれば、シャッタ部材20の回転は所定位置で停止し、調和空気のケーシング10内への調和空気の流入量は、ケーシング10の外通気口11とシャッタ部材20の内通気口21との連通領域Xの開口面積に対応した流入量となる。このように、コントローラ70の開度切替スイッチ74を操作してシャッタ部材20の停止位置を変更することにより、吹出グリル60から吹き出す調和空気の風量を変更(調節)することができる。
【0052】
図13に示す状態からさらにシャッタ部材20を回転させると、図14に示すように、ケーシング10の外通気口11とシャッタ部材20の内通気口21との連通領域Xは無くなるので、ケーシング10内へ調和空気が流入しなくなり、吹出グリル60のスリット61から調和空気が吹き出さない状態となる。
【0053】
図14に示す状態からさらにシャッタ部材20を回転させると、図15に示すように、脚部48から突起部材22が離脱するので、複数の羽根41,42,43は鉛直下方に垂下した状態となる。
【0054】
図15に示す状態からさらにシャッタ部材20を回転させると、図16に示すように、突起部材22は、図11図12に示す状態のときに当接していた脚部48と軸心10cを挟んで180度反対側にある脚部48に当接するので、複数の羽根41,42,43は図11と反対側へ傾斜し、吹出グリル60から吹き出す調和空気の吹出方向が変化する。
【0055】
このように、本実施形態に係る床吹出口100は一つの駆動手段(モータ30)を作動させるという簡単な操作により、調和空気の風向並びに風量を変更(調節)することができる。また、一つのモータ30で駆動されたシャッタ部材20の回転により風量並びに風向を変更(調節)可能な機構を設けているため、構造も比較的簡素である。なお、床吹出口100においてはシャッタ部材20の回転方向Rは一方向であるが、これに限定するものではなく、正回転・逆回転する方式を採用することもできる。
【0056】
次に、図5図18に示すように、床吹出口100においては、吹出グリル60は互いに平行をなす複数のスリット61を有し、吹出グリル60の外周の下面部分には複数の凹部62が円周方向に沿って所定間隔をおいて設けられている。また、フェース50の段差部51の内周部分に、凹部62に対して着脱可能に嵌入する凸部52が設けられている。
【0057】
従って、吹出グリル60をフェース50の段差部51内に嵌め込むとき、凸部52が嵌入する凹部62を選択することにより、フェース50に対する吹出グリル60の設置姿勢を、図19(a)~(c)に示すように、ケーシングの軸心10c周りの回転方向に変更可能である。
【0058】
図19に示すように、フェース50に対する吹出グリル60の設置状態をケーシングの軸心10c周りの回転方向に変更することにより、複数のスリット61の方向を変化させることができるので、吹出グリル60から吹き出す調和空気の風向を変更することができる。また、前述したデフレクタ40による風向調節機能と、吹出グリル60による風向調節機能とを組み合わせれば、さらに細かな風向調節を行うことができる。
【0059】
具体的には、スリット61の長手方向とデフレクタ40の羽根41,42,43が直交する姿勢に吹出グリル60を設置すれば、気流はデフレクタ40の動作によりスリット61の長手方向に沿った指向性の強い気流となる。また、スリット61の長手方向とデフレクタ40の羽根41,42,43とが45度の関係となるように吹出グリル60を設置すれば、前述した場合よりも、やや指向性が緩和された気流となり、執務者の好みに応じて気流感を調整することができる。
【0060】
さらに、フェース50と吹出グリル60との接触領域に凸部52と複数の凹部62とからなる凹凸嵌合機構を設けることにより、フェース50に対する吹出グリル60の設置状態を安定させることができる。
【0061】
図9図10に示すように、床吹出口100においては、駆動手段であるモータ30の作動・停止操作などを行うコントローラ70を備えているため、執務者がコントローラ70を操作することにより、吹出グリル60から吹き出す調和空気の風向、風量を執務者の好みに応じて容易に調節することができる。
【0062】
床吹出口100においては、吹出グリル60に接近する人間を識別する識別手段と、識別手段から送信される信号に基づいて吹出グリル60から吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め入力された状態に自動設定する制御手段と、を設けることができる。
【0063】
このような構成とすれば、床吹出口100を構成する吹出グリル60からパーソナル空間に向かって吹き出す調和空気の風向や風量を、個人の好みに応じた状態に自動設定することができる。
【0064】
床吹出口100においては、前記識別手段が人間存在を感知すると、モータ30が作動してシャッタ部材20を外通気口11と内通気口21との少なくとも一部が連通する位置まで回転させて停止する機能と、前記識別手段が人間不在を感知して所定時間経過すると、モータ30が作動してシャッタ部材20を外通気口11と内通気口21とが連通しない位置まで回転させて停止する機能と、を設けることができる。
【0065】
このような構成とすれば、吹出グリル60の近傍に人間が接近すると自動的に調和空気が吹き出す状態となるので利便性が向上し、また、吹出グリル60の近傍に人間が居なくなった後の不要な空調エネルギをカットすることができるので、省エネを図ることができる。
【0066】
床吹出口100においては、前記識別手段として、画像センサ、ICタグ、赤外線センサ、Wi-Fi(登録商標)のビーコン検知、着座センサ、空気圧センサ若しくは人感センサのうちの1以上を用いることができる。このような構成とすれば、吹出グリル60に接近する人間を確実に識別することができ、執務者の滞在時間のみ空調を行うことが可能となり、無駄な空調エネルギをカットすることができる。
【0067】
床吹出口100においては、外通気口11と内通気口21の少なくとも一部が連通した状態が所定時間連続すると、モータ30が作動してシャッタ部材20を外通気口11と内通気口21とが連通しない位置まで回転させて停止する自動停止機能を設けることができる。
【0068】
このような構成とすれば、執務者が気づかないうちに長時間に亘って空調運転を連続すること、所謂、空調の消し忘れを防止することができる。
【0069】
床吹出口100においては、コントローラ70に、外通気口11と内通気口21の少なくとも一部が連通した状態が連続し、予め設定された所定時間に近づくと警報を発する機能と、警報を発した後、手動操作により自動停止機能を解除する機能と、を設けることができる。
【0070】
このような構成とすれば、通常運転状態(外通気口11と内通気口21の少なくとも一部が連通した状態)が連続し、予め設定した所定時間(例えば、2時間)が近づいたことを、コントローラ70が発する警報によって知ることができ、その後は、コントローラ70の手動操作により、前記自動停止機能を解除して通常運転状態を継続するか、前記自動停止機能により停止するか、を選択することができるので、利便性が向上する。
【0071】
床吹出口100においては、吹出グリル60から吹き出す調和空気の到達領域内に配置された温度センサ、風速センサの少なくとも一方から送信される感知信号に基づいて吹出グリル60から吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を予め設定された状態にセットする調整手段を設けることができる。
【0072】
このような構成とすれば、床吹出口100からパーソナル空間に向かって吹き出す調和空気の風向、風量の少なくとも一方を、パーソナル空間の温度や風速に応じて、予め設定された状態にセットすることができる。
【0073】
なお、図1図19に基づいて説明した床吹出口100は、本発明に係る床吹出口の一例を示すものであり、本発明に係る床吹出口は前述した床吹出口100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る床吹出口は、フリーアクセスフロアやOAフロアなどを備えたオフィスビルなどにおけるパーソナル空間の空調設備の一部として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 フロアパネル
2,10a 開口部
10 ケーシング
10b 周壁
10c,20c 軸心
11 外通気口
20 シャッタ部材
20a 短円筒体
21 内通気口
22 突起部材
22a 平面部
30 駆動手段(モータ)
31 減速機構
32 駆動軸
33,75,81 通信ケーブル
40 デフレクタ
41,42,43 羽根
44 支軸
45 連接部材
46 隔壁部材
47 通気口
48 脚部
50 フェース
51 段差部
52 凸部
60 吹出グリル
61 スリット
62 凹部
70 コントローラ
71 ケーシング
72 電源スイッチ
73 風向切替スイッチ
74 開度切替スイッチ
75a,81a コネクタ
80 制御装置
100 床吹出口
R 回転方向
S,T 中心角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19