(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】疑似介護臭組成物および疑似介護臭組成物を用いた介護臭に対する消臭効果の評価方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220301BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220301BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20220301BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C11B9/00 T
G01N33/50 F
G01N33/497 D
C11B9/00 D
C11B9/00 J
A61L9/00 Z
(21)【出願番号】P 2018100131
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高岳 留美
(72)【発明者】
【氏名】田澤 寿明
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165959(JP,A)
【文献】特開2000-253652(JP,A)
【文献】特開2012-042293(JP,A)
【文献】特開2012-052929(JP,A)
【文献】特開平01-294625(JP,A)
【文献】一般社団法人日本介護協会,”日本介護協会ブログ 書いた人:日本介護協会 2017年09月28日 エールズ消臭力”,[online],2017年09月28日,[2021年8月26日検索],インターネット<https://j-care.or.jp/authorized/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA-%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E7%94%A8-%E6%B6%88%E8%87%AD%E5%8A%9B>
【文献】SANSONE-LAND, A. et al.,Volatile constituents of commercial imported and domestic black-ripe table olives (Olea europaea),Food Chemistry,(2014), vol.149,pp.285-295,DOI 10.1016/j.foodchem.2013.10.090
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00- 9/02
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61L 9/00- 9/22
G01N33/48-33/98
G01N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)
【化1】
(式中、R
1は炭素数1~3の炭化水素基)
を含有する疑似介護臭組成物。
【請求項2】
更に、成分(B)
【化2】
(式中、R
2はオルト、メタまたはパラの位置にある、炭素数1~3の炭化水素基または水素原子)
を含有する請求項1に記載の疑似介護臭組成物。
【請求項3】
更に、成分(C)
【化3】
(式中、R
3は炭素数6~10の直鎖、分岐または環状の炭化水素基)
を含有する請求項2に記載の疑似介護臭組成物。
【請求項4】
成分(A)がサリチル酸メチルである請求項1~3のいずれかの項記載の疑似介護臭組成物。
【請求項5】
成分(B)がp-クレゾールである請求項2~4のいずれかの項記載の疑似介護臭組成物。
【請求項6】
成分(C)がデカナールまたはオクタナールである請求項3~5のいずれかの項記載の疑似介護臭組成物。
【請求項7】
成分(B)/成分(A)で表される質量比が0.001~0.4である請求項2~6のいずれかの項記載の疑似介護臭組成物。
【請求項8】
成分(C)/成分(A)で表される質量比が0.1~40である請求項3~7のいずれかの項記載の疑似介護臭組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の疑似介護臭組成物を用いた介護臭に対する消臭効果の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護にかかわる臭気、すなわち高齢者等の身体活動量の低下に伴う臭気(以下、介護臭という)を再現した疑似介護臭組成物及び前記疑似介護臭組成物を用いた介護臭に対する消臭効果の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化による被介護者の増加に伴い介護需要は更に高まると考えられている。被介護者が居住する介護空間においては、加齢臭、入浴及び着替えの回数の減少による皮脂臭、おむつの着用による排泄臭等に起因する特有の介護臭に悩んでいるケースが多い。被介護者本人の生活の質の改善と、被介護者を介護する家族・介護職員等の介護者の精神的負担を軽減するため、このような介護臭に対する消臭剤が求められている。またこの消臭剤を開発する目的で、介護臭を研究室において再現し、スクリーニング方法を確立するためのモデル臭気の開発が望まれている。
【0003】
介護空間に存在する臭気成分として、特許文献1では、従来技術として、官能的にキイとなる成分として、ノネナール等の中鎖アルデヒド類、クレゾール等のフェノール類、ジメチルスルフィド等のスルフィド類を挙げている。また特許文献2では、炭素数7~9の飽和脂肪酸を含む組成物が提案されている。特許文献3では、成分(A):炭素数6~9のフェノール類と、成分(B):炭素数6~10のアルデヒド類とを含み、成分(A)/成分(B)で表される体積比が0.001~200未満である組成物が、介護臭をより忠実に再現でき、臭気強度が弱い場合であっても不快感を実感できる疑似介護臭組成物を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-253652号公報
【文献】特開2012-42293号公報
【文献】特開2017-165959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、介護臭をより忠実に再現する疑似介護臭組成および該疑似介護臭組成物を用いた消臭芳香剤の評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、在宅介護における被介護者が使用する寝具から捕集された臭気が、意外にもサリチル酸のエステル等により、正確に再現できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、成分(A)
【化1】
(式中、R
1は炭素数1~3の炭化水素基)
を含有する疑似介護臭組成物である。
【0008】
また、本発明は、上記疑似介護臭組成物を用いた介護臭に対する消臭効果の評価方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、介護臭をより忠実に再現でき、臭気強度が弱い場合であっても不快感を実感できる疑似介護臭組成物、前記疑似介護臭組成物を用いた介護臭に対する消臭効果の評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の疑似介護臭組成物は、下記成分(A)
【化2】
(式中、R
1は炭素数1~3の炭化水素基)
を必須成分として含有するものである。
【0011】
成分(A)の具体的な例としては、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピルが挙げられる。成分(A)は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、介護臭との類似性の点からサリチル酸メチルを用いることが望ましい。本発明の疑似介護臭組成物における成分(A)の含有量は特に限定されず、必要な臭いの強さに応じて適宜設定すればよい。
【0012】
<成分(B)>
本発明の疑似介護臭組成物は、更に成分(B)
【化3】
(式中、R
2はオルト、メタまたはパラの位置にある、炭素数1~3の炭化水素基または水素原子)
を含有させることにより、より介護臭との類似性を高めることができる。
【0013】
成分(B)としては、メチルベンズアルデヒド(例えば、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド)、クレゾール(例えば、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール)、エチルフェノール(例えば、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール)、ビニルフェノール(例えば、o-ビニルフェノール、m-ビニルフェノール、p-ビニルフェノール)、プロピルフェノール(例えば、o-プロピルフェノール、m-プロピルフェノール、p-プロピルフェノール)等が挙げられる。成分(B)は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、p-クレゾールを単独で、又はp-クレゾールと他の成分(B)とを組み合わせて用いることが好ましく、特にp-クレゾールが、介護臭を再現する観点から好ましい。
【0014】
本発明の疑似介護組成物中における成分(B)/成分(A)で表される質量比は、通常0.001~0.4であり、好ましくは0.005~0.1である。
【0015】
<成分(C)>
本発明の疑似介護臭組成物は、上記成分(A)および(B)に加えて、更に成分(C)
【化4】
(式中、R
3は炭素数6~10の直鎖、分岐または環状の炭化水素基)
を含有させることにより、より介護臭への類似性を高めることができる。
【0016】
成分(C)としては、ヘキサナール、ヘプタナール、シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、オクタナール、ノナナール、デカナール、ジヒドロペリルアルデヒド等が挙げられる。成分(C)は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、デカナール若しくはオクタナールを単独で、又はデカナール若しくはオクタナールと、デカナール若しくはオクタナール以外の成分(C)とを組み合わせて用いることが好ましく、デカナールまたはオクタナールを用いることが介護臭を再現する観点から特に好ましい。
【0017】
本発明の疑似介護組成物中における成分(C)/成分(A)で表される質量比は、通常0.1~40であり、好ましくは0.5~10である。
【0018】
<任意成分>
本発明の疑似介護臭組成物は、上記必須成分を含有するものが好ましく、上記必須成分だけを含有することがより好ましいが、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、上記成分以外に、公知の成分を含有することができる。このような任意成分としては、例えば、アミン類、スルフィド類、脂肪酸、溶剤等が挙げられる。
【0019】
上記アミン類としては、アンモニア、1級アミン、2級アミン、3級アミン、複素環化合物等が挙げられる。具体的には、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、インドール等が挙げられる。これらの中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。アミン類は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。
【0020】
上記スルフィド類としては、ジメチルモノスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、アリルプロピルモノスルフィド、アリルプロピルジスルフィド、アリルプロピルトリスルフィド、ジアリルモノスルフィド、ジアリルトリスルフィド、ジアリルポリスルフィド、アリルメチルモノスルフィド、アリルメチルジスルフィド、アリルメチルトリスルフィド、ジプロピルモノスルフィド、ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルモノスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、ジイソプロピルモノスルフィド及びジメチルテトラスルフィド等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルジスルフィドが好ましい。これらスルフィド類は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。
【0021】
脂肪酸は、炭素数2~10であることが好ましい。脂肪酸としては、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸等が挙げられる。なかでも、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が好ましい。脂肪酸は、いずれかを単独で、又は2種以上を用いることができる。
【0022】
溶剤としては、水、エタノール、クエン酸トリエチル、アセトン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、流動パラフィン、LPG(液化石油ガス)等が挙げられる。溶剤の含有量は、疑似介護臭組成物の総体積に対して、90質量%(以下、単に「%」という)以上が好ましく、95%以上がより好ましく、99%以上がさらに好ましい。また溶剤は2種類以上を用いることができる。溶剤の含有量が上記範囲内であると、疑似介護臭組成物の各成分を比較的容易に分散することができる。
【0023】
本発明の疑似介護臭組成物は、従来公知の製造方法により製造される。例えば、溶剤に、上記成分(A)、必要により成分(B)、成分(C)、公知の成分を添加し、これらを混合する方法等が挙げられる。
【0024】
疑似介護臭組成物は、液状のままで、又は固形状の担体に含浸させて用いることができる。固形状の担体は、疑似介護臭組成物が担持できるものであれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、活性炭、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、ゼオライト、珪藻土、粘土鉱物、サイクロデキストリン、タルク、炭酸カルシウム、ゲル化剤、セルロース及びその誘導体、紙、不織布、繊維、樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、ポリビニル、ポリビニリデン、エチレン-ポリビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリアクリレート、アリルスチレン共重合体)等が挙げられる。固形状担体の形態も特に限定されず、例えば粉体、粒状、シート状、塊状等として使用できる。また、疑似介護臭組成物は、ゲル、クリーム、ペースト状等の形態にしてもよい。
【0025】
斯くして得られる本発明の疑似介護臭組成物は、これを評価用介護臭サンプルとして用いることにより、消臭効果を評価することができる。消臭効果を評価する方法においては、疑似介護臭組成物を単体で使用してもよく、他の成分、例えば溶剤や、安定剤、抗菌剤、界面活性剤、酸化防止剤、香料、植物抽出物等の添加剤を配合し、保存や評価試験での使用に即した組成物に調整して用いてもよい。
【0026】
具体的に、介護臭の消臭効果の評価は、本発明の疑似介護臭組成物に被検体(即ち、消臭成分)を作用させて臭いをかぎ、被検体を作用させる前の疑似介護臭組成物の臭いと比較することにより行うことができる。具体的には、疑似介護臭組成物を数段階に希釈し、各濃度の臭い標準サンプルを調製する。そして、被検体を作用させた後の疑似介護臭組成物の臭いを標準サンプルと照合し、消臭効果を官能評価により判定すればよい。官能評価は、1~20人のパネラーにより行うのが好ましく、3~10段階で評価するのが好ましい。
【0027】
疑似介護臭組成物に被検体を作用させる方法としては、特に限定されないが、例えば、疑似介護臭組成物を含浸させた布等に対し、被検体を噴霧又は塗布する方法;疑似介護臭組成物を含浸させた布等を被検体に浸漬する方法;被検体を担体に担持させて、疑似介護臭組成物を含浸させた布等が設置された空間で、該被検体を蒸散させる方法等が挙げられる。
【0028】
また、上記のような官能試験によらず、臭い成分をGC-MS等の化学的及び/又は物理的手法により分析し、被検体を作用させる前の疑似介護臭組成物と被検体を作用させた後の疑似介護臭組成物とを比較することにより、介護臭の消臭効果を評価してもよい。具体的には、疑似介護臭組成物を標準物質(スタンダード)として用い、あらかじめ検量線を作成する。この検量線を使用して、被検体を作用させた後の疑似介護臭組成物の臭い成分のピークを同定し、その量を測定すればよい。
【0029】
本発明の介護臭の消臭効果の評価方法は、消臭剤等の開発において使用することができる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1~6および比較例1~3
(1)疑似介護臭組成物の調製と介護臭との類似性の確認
各実施例および比較例の疑似介護臭組成物の組成を表1に示した。本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0032】
<成分(A)>
・サリチル酸メチル(ナカライテスク株式会社製)
【0033】
<成分(B)>
・p-クレゾール(ナカライテスク株式会社製)
【0034】
<成分(C)>
・デカナール(東京化成工業株式会社製)
【0035】
<任意成分>
・溶剤:プロピレングリコール(ナカライテスク株式会社製)
【0036】
(疑似介護臭組成物の調製)
成分(A)、成分(B)、成分(C)をそれぞれプロピレングリコールに1質量%の濃度となるように溶解させた溶液を、表1に示す組成に従って混合したのちプロピレングリコールで希釈し、疑似介護臭組成物を調製した。表1の成分(A)~(C)の配合量は1%プロピレングリコール溶液としての含有量である。表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。調製した疑似介護臭組成物をにおい紙(香料試験紙、7mm×50mm)の一端に含浸させ、評価用サンプルとした。
【0037】
(介護臭との類似性の確認)
<疑似介護臭組成物の評価方法>
実施例1~6および比較例1~3の疑似介護臭組成物を用いた評価用サンプルについて、家庭での介護経験または介護施設見学の経験のある専門パネラー10名が臭気強度、不快度、介護臭との類似性を以下のように評価し、10名の平均点を算出した。評価結果を表1に示す。
【0038】
[臭気強度の評価]
以下に示す臭気強度の評価基準に従って、評価用サンプルを採点した。
≪臭気強度の評価基準≫
5:強烈な臭い。
4:強い臭い。
3:楽に感知できる臭い。
2:何の臭いか判る弱い臭い。
1:やっと感知できる臭い。
0:無臭。
【0039】
[快・不快度の評価]
以下に示す快・不快度の評価基準に従って、評価用サンプルを採点した。
≪快・不快度の評価基準≫
-4:極端に不快。
-3:非常に不快。
-2:不快。
-1:やや不快。
0:快でも不快でもない。
1:やや快。
2:快。
3:非常に快。
4:極端に快。
【0040】
[介護臭との類似性の評価]
以下に示す介護臭との類似性の評価基準に従って、評価用サンプルを採点した。
≪介護臭の類似性の評価基準≫
5:非常に類似性がある。
4:類似性がある。
3:やや類似性がある。
2:ほとんど類似性がない。
1:類似性はない。
【0041】
【0042】
表1に示す結果から、本発明を適用した実施例1~6の疑似介護臭組成物は、成分(A)を含まない比較例1~3と比較して、介護臭との類似性において優れることが確認できた。また、本発明の疑似介護臭組成物は、実施例1~3のように臭気強度が強くない場合であっても、介護臭との類似性を実感できることを確認できた。一方、成分(A)を含まない比較例1~3は、介護臭との類似性においてやや劣ることが確認された。以上の結果から、本発明の疑似介護悪臭組成物は、介護臭をより忠実に再現できることを確認できた。
【0043】
(2)疑似介護臭組成物を利用した消臭効果の評価
<試験サンプルの作成>
実施例5に記載した割合で成分(A)~(C)とプロピレングリコールを混合し、疑似介護臭組成物を調製した。調製した疑似介護臭組成物を90mm×90mmの評価用ろ紙に0.6g滴下し、評価用サンプルとした。
【0044】
<消臭剤の調製>
安息香酸ナトリウム0.1%、柿タンニン5%、エタノール5%、水(残量)を混合して消臭剤を調製した。
【0045】
<臭気強度の評価基準>
上記[臭気強度の評価]と同様の基準を用いて評価した。
【0046】
<消臭試験>
試験サンプルを2枚用意し、一方のみに調製した消臭剤を市販のトリガー式スプレー容器に収納して3回スプレーし、試験サンプルをそれぞれ異なる10リットルのデドラーバッグに入れ、30分間放置した後、バッグ内の臭気強度から2枚のサンプルの介護臭の強さを評価した。
【0047】
その結果、消臭剤をスプレーしなかったサンプルの臭気強度は3.8であったが、消臭剤をスプレーしたサンプルの臭気強度は2.7に低下しており、消臭効果の評価用の介護臭指標物質及び消臭効果評価法として適したものであると判断した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の疑似介護臭組成物は、成分(A)を含有するため、介護臭をより忠実に再現した疑似介護臭組成物となる。この疑似介護臭組成物を用いれば、介護臭の消臭効果の評価をすることができる。
以 上