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  • 特許-グランドパッキンの交換方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】グランドパッキンの交換方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 41/04 20060101AFI20220301BHJP
   F16J 15/24 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
F16K41/04
F16J15/24 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018116768
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019219005
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】種村 翔太
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 治
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-034005(JP,U)
【文献】実開昭61-135075(JP,U)
【文献】実開昭62-066076(JP,U)
【文献】特開2003-185027(JP,A)
【文献】特開平11-51243(JP,A)
【文献】特開平10-26258(JP,A)
【文献】特開平8-262172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 41/00- 41/18
F16J 15/16- 15/32
F16J 15/324-15/3296
F16J 15/46- 15/50
F16J 15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブに設置されたグランドパッキンの交換方法であって、
前記バルブは、
弁棒と、
前記弁棒が挿通する円筒状の支持部を有する弁蓋と、を備え、
前記支持部には、前記弁棒の外周面と前記支持部の内周面との間をシールする前記グランドパッキンを設置する被設置部が形成されており、
前記被設置部の内面、および前記弁棒の前記グランドパッキンとの摺動面に、前記グランドパッキンとの剥離性を高める層がコーティングされており、
前記弁蓋は、前記支持部と、前記支持部が取り付けられ前記支持部とは別体に形成された蓋本体部と、を有し、
前記弁棒は、先端に弁体が取り付けられた第1弁棒と、前記第1弁棒の基端に着脱可能に連結され前記第1弁棒とは反対側の端部にハンドルが取り付けられた第2弁棒と、を有し、
前記第2弁棒は、前記弁蓋に一体成形されたヨークに支持されており、
前記バルブを閉じた状態で、前記第1弁棒と前記第2弁棒とを連結解除して分離させ、
前記ハンドルの操作によって前記第1弁棒と前記第2弁棒との間に空間を生じさせ、
前記グランドパッキンが設置された前記支持部を、前記第1弁棒の基端側に移動させて、前記空間を利用して前記バルブから取り出し、
取り出された前記支持部から古い前記グランドパッキンを除去した後、前記支持部に新品のグランドパッキンを設置する
ことを特徴とするグランドパッキンの交換方法。
【請求項2】
前記グランドパッキンとの剥離性を高める層は、フッ素樹脂またはDLC(Diamond-Like Carbon)から構成されていることを特徴とする請求項に記載のグランドパッキンの交換方法
【請求項3】
前記支持部は、前記蓋本体部の外側端面に当接するフランジを有し、
前記フランジは、前記蓋本体部の外側端面にねじ部材によって固定されており、
前記フランジと前記弁蓋の外側端面との間にシール部材が装着されていることを特徴とする請求項に記載のグランドパッキンの交換方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブのグランドパッキン設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブには、弁棒の上下運動や回転運動を許容しながら、バルブ内部の流体の外部漏洩を防ぐための軸部封止材として、グランドパッキンと呼ばれるシール材が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
グランドパッキンは、弁蓋におけるスタフィングボックス部と呼ばれる円筒状の支持部に形成された被設置部に設置されている。グランドパッキンは、押さえ部材で圧縮されることによって弁棒周辺の隙間をシールし、バルブ内部の流体が外部に漏洩しないように封止する役割を持っている。このようなグランドパッキンは、長時間の使用で変形や破損が起こり、外部への流体の漏洩が起こりやすくなるので、適宜または定期的に新しいものとの交換が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-129533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
グランドパッキンは、従来、石綿系のグランドパッキンが主流であったが、石綿の使用禁止に伴って、膨張黒鉛系のグランドパッキンが代替品として多く使用されている。膨張黒鉛系のグランドパッキンは、シール性等に優れる反面、長期間面圧をかけた状態で使用すると、グランドパッキンに含まれる黒鉛成分がスタフィングボックス部の内面にへばり付くことがある。このへばり付き事象によって、古いグランドパッキンの除去作業が手間取り、グランドパッキン交換時の工数が増加するという課題があった。
【0006】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、グランドパッキン交換時の作業性を向上させることができるグランドパッキンの交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための本発明は、バルブに設置されたグランドパッキンの交換方法である。前記バルブは、弁棒と、前記弁棒が挿通する円筒状の支持部を有する弁蓋と、を備える。前記支持部には、前記弁棒の外周面と前記支持部の内周面との間をシールするグランドパッキンを設置する被設置部が形成されている。そして、前記被設置部の内面、および前記弁棒の前記グランドパッキンとの摺動面に、前記グランドパッキンとの剥離性を高める層がコーティングされている。前記弁蓋は、前記支持部と、前記支持部が取り付けられ前記支持部とは別体に形成された蓋本体部と、を有し、前記弁棒は、先端に弁体が取り付けられた第1弁棒と、前記第1弁棒の基端に着脱可能に連結され前記第1弁棒とは反対側の端部にハンドルが取り付けられた第2弁棒と、を有し、前記第2弁棒は、前記弁蓋に一体成形されたヨークに支持されている。前記グランドパッキンの交換方法は、前記バルブを閉じた状態で、前記第1弁棒と前記第2弁棒とを連結解除して分離させ、前記ハンドルの操作によって前記第1弁棒と前記第2弁棒との間に空間を生じさせ、前記グランドパッキンが設置された前記支持部を、前記第1弁棒の基端側に移動させて、前記空間を利用して前記バルブから取り出し、取り出された前記支持部から古い前記グランドパッキンを除去した後、前記支持部に新品のグランドパッキンを設置するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グランドパッキン交換時の作業性を向上させることができるグランドパッキンの交換方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るバルブのグランドパッキン設置構造が適用されるバルブの縦断面図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るバルブのグランドパッキン設置構造が適用されるバルブ100の縦断面図である。図1では、バルブ100の一例として、例えば原子力発電所等で使用されている手動玉形弁を示す。
【0012】
図1に示すように、バルブ100は、流体が流れる流路11が形成された弁箱1と、弁箱1の上部に形成された開口部12を覆う弁蓋2とを備えている。弁蓋2は、ボルト13およびナット14によって弁箱1に固定されている。
【0013】
また、バルブ100は、流路11を開閉する弁体3と、弁体3が先端に取り付けられた軸部としての弁棒4と、弁棒4の上部を支持するヨーク5とを備えている。弁棒4は、弁蓋2を上下方向に貫通している。ヨーク5は、ここでは弁蓋2に一体成形されている。
【0014】
ヨーク5は、弁蓋2の上部における180度反対側に位置する2つの端部から上方にC字状に延伸する一対の延伸部51,51(図1では片側のみ表示)を有している。一対の延伸部51,51は、上端部で接合している。一対の延伸部51,51の接合部であるヨーク5の上端部には、取付け孔52が形成されており、この取付け孔52に、リング部材53が挿入されて固定されている。そして、リング部材53の内周面に形成された雌ねじに、弁棒4に形成された雄ねじが螺合している。
【0015】
弁棒4の上端部にはハンドル6が取り付けられている。ハンドル6を回転操作することによって、弁棒4が回転運動しつつ上下運動し、バルブ100が開閉される。例えば、弁棒4の先端に取り付けられた弁体3が弁箱1内の流路11に形成された座部15に押圧されることによって、流路11が閉止される。
【0016】
弁蓋2は、弁棒4が挿通する円筒状の支持部としてのスタフィングボックス部21を有している。弁蓋2は、ここでは、スタフィングボックス部21と、スタフィングボックス部21が取り付けられスタフィングボックス部21とは別体に形成された蓋本体部20とを有してる。
【0017】
弁棒4と、スタフィングボックス部21との間には、グランドパッキン7が装着されている。グランドパッキン7は、弁棒4の外周面41とスタフィングボックス部21の内周面23との間をシールする。弁棒4の外周面41に対向するスタフィングボックス部21の内側部分に、凹状を呈する被設置部22が形成されている。被設置部22の内面は、内周面23と底面24とを有している。この被設置部22にグランドパッキン7が設置されている。グランドパッキン7は、膨張黒鉛系の公知のものであり、例えば、膨張黒鉛テープの外周をニット編みまたは編組体からなる補強材で被覆したものである。
【0018】
グランドパッキン7は、リング状を呈しており、弁棒4の軸方向に積み重ねられた複数の層71を備えている。図1では、グランドパッキン7が6つの層71を備える場合が例示されているが、これに限定されるものではない。グランドパッキン7は、押さえ部材31によって上方から押さえ込まれている。押さえ部材31は、円筒状を呈しており、弁棒4に外嵌している。
【0019】
弁蓋2の上部における180度反対側に位置する2つの端部から、一対の突出部25,25(図1では片側のみ表示)が側方にそれぞれ突出している。突出部25は、弁蓋2に一体成形されており、ヨーク5の一対の延伸部51,51の間に位置している。突出部25は、二股状の先端部を有しており、その間に配置されたアイボルト26をピン27によって揺動可能に支持している。
【0020】
押さえ部材31の上方には、押さえ板28が配置されている。押さえ板28は、弁棒4に外嵌しており、押さえ部材31の上面に当接している。押さえ板28の両端側には、アイボルト26の先端側が挿通する孔部29,29(図1では片側のみ表示)がそれぞれ形成されている。アイボルト26の先端側を孔部29に挿通してナット30を締め込むことによって、押さえ板28は、押さえ部材31を介してグランドパッキン7を下方に押圧して締め込む。これにより、グランドパッキン7は、押さえ部材31と被設置部22の底面24との間で挟み込まれて軸方向に圧縮されるため、径方向に膨出して被設置部22の内周面23と弁棒4の外周面41とに当接し密着する。
【0021】
弁棒4は、先端に弁体3が取り付けられた第1弁棒42と、第1弁棒42の基端に着脱可能に連結された第2弁棒43とを有している。第2弁棒と43の第1弁棒42とは反対側の端部に、ハンドル6が取り付けられている。
【0022】
図2は、図1の要部拡大断面図である。図2に示すように、第1弁棒42と第2弁棒43とは、弁棒連結部8によって連結されている。
【0023】
図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。図3に示すように、第1弁棒42の基端側(第2弁棒43側)には、一対の凹溝44,44が互いに180度反対側にそれぞれ形成されている。凹溝44は、例えば断面円弧形状を呈している。また、第1弁棒42の基端側(第2弁棒43側)には、一対の平坦面45,45が互いに180度反対側にそれぞれ形成されている。平坦面45は、弁棒4の外周面41から径方向内側へ後退するように形成されており、周方向において一対の凹溝44,44の中間に位置している。一方、第2弁棒43の先端端側(第1弁棒42側)にも、第1弁棒42と同様な形状の、一対の凹溝44,44および一対の平坦面45,45がそれぞれ形成されている。
【0024】
弁棒連結部8は、第1弁棒42および第2弁棒43の径方向両側に配置された一対のプレート46,46と、一対のプレート46,46を第1弁棒42および第2弁棒43を間に挟んで締結する締結部材47とを備える。締結部材47は、ボルト47aとナット47bとを有している。プレート46には、ボルト47aが挿通する孔(図示せず)が形成されている。一対のプレート46,46は、平坦面45に当接した状態で、第1弁棒42および第2弁棒43を挟持している。締結部材47のボルト47aの軸の一部は、第1弁棒42および第2弁棒43の凹溝44内に入り込んで配置されている。このような弁棒連結部8によって、第1弁棒42と第2弁棒43とは、ハンドル6の回転操作時に回転運動および上下運動を伝達可能に強固に連結されている。
【0025】
図2に示すように、スタフィングボックス部21は、蓋本体部20の外側端面(図2では上側端面)に当接するフランジ21aを有している。フランジ21aは、蓋本体部20の外側端面に、複数のねじ部材32によって固定されている。そして、スタフィングボックス部21のフランジ21aと蓋本体部20の外側端面との間には、シール部材33が装着されている。シール部材33としては、Oリングやガスケット等が使用され得る。
【0026】
スタフィングボックス部21の被設置部22の内面である内周面23および底面24には、グランドパッキン7との剥離性(非粘着性、離型性)を高める層34がコーティングされている。また、ここでは、弁棒4のグランドパッキン7との摺動面にも、グランドパッキン7との剥離性を高める層34がコーティングされている。グランドパッキン7との剥離性を高める層34は、例えば、フッ素樹脂またはDLC(Diamond-Like Carbon)から構成されている。
【0027】
次に、グランドパッキン7の交換作業について説明する。
まず、作業者は、バルブ100を閉じた状態で、締結部材47を取り外して弁棒連結部8を弁棒4から取り除き、第1弁棒42と第2弁棒43とを連結解除して分離させる。そして、作業者がハンドル6をバルブ100を開く方向に回転させると、弁棒4の第2弁棒43のみが上昇し、第1弁棒42と第2弁棒43との間に空間が生じる。
【0028】
続いて、作業者は、ナット30を取り外して、押さえ板28および押さえ部材31をグランドパッキン7の上から取り除き、グランドパッキン7の上端面を露呈させる。
【0029】
続いて、作業者は、ねじ部材32を取り外して、グランドパッキン7が設置されたスタフィングボックス部21を、第1弁棒42の基端側(図1では上側)に移動させる。これにより、スタフィングボックス部21は、蓋本体部20から取り出されるとともに、第1弁棒42から引き抜かれる。そして、第1弁棒42と第2弁棒43との間に生じ空間を利用して、スタフィングボックス部21がバルブ100から取り出される。
【0030】
続いて、作業者は、バルブ100から取り出されたスタフィングボックス部21を手元に置いて、スタフィングボックス部21から古いグランドパッキン7を除去する。この除去作業は、例えば専用工具等を用いることによって行われる。そして、古いグランドパッキン7が除去されたスタフィングボックス部21に、新品のグランドパッキン7が設置される。このようにして、グランドパッキン7の交換を行うことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るバルブのグランドパッキン設置構造は、弁棒4と、弁棒4が挿通する円筒状の支持部としてのスタフィングボックス部21を有する弁蓋2と、を備える。スタフィングボックス部21には、弁棒4の外周面41とスタフィングボックス部21の内周面23との間をシールするグランドパッキン7を設置する被設置部22が形成されている。そして、被設置部22の内面に、グランドパッキン7との剥離性を高める層34がコーティングされている。
【0032】
このような構成によれば、グランドパッキン7が被設置部22の内面にへばり付いて固着することを抑制できる。つまり、グランドパッキン7の交換作業に際し、グランドパッキン7を被設置部22の内面から、より小さい力で剥離させて容易に除去することが可能となる。
したがって、グランドパッキン7交換時の作業性を向上させることができるバルブのグランドパッキン設置構造を提供できる。
【0033】
また、グランドパッキン7の除去が容易となり作業時間も低減されることで、バルブ100全体のメンテナンス性の向上も図られる。さらに、グランドパッキン7の除去が容易となるため、古いグランドパッキン7の一部が意図せずに被設置部22に残存する事象がなくなる。これにより、新品のグランドパッキン7への完全な交換が可能となるため、品質の向上が見込まれ、バルブ100使用時の外部への流体の漏洩防止につながる。
【0034】
また、本実施形態では、弁棒4のグランドパッキン7との摺動面に、グランドパッキン7との剥離性を高める層34がコーティングされている。
【0035】
このような構成によれば、グランドパッキン7の交換作業に際し、グランドパッキン7を弁棒4の摺動面から、より小さい力で剥離させて容易に分離することが可能となる。したがって、グランドパッキン7交換時の作業性をより向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、グランドパッキン7との剥離性を高める層34は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、またはDLC(Diamond-Like Carbon)から構成されている。
【0037】
このような構成によれば、高温環境下で摺動する面に対しても十分にグランドパッキン7との剥離性を高める層34を形成することができる。
【0038】
また、本実施形態では、弁蓋2は、円筒状の支持部としてのスタフィングボックス部21と、スタフィングボックス部21が取り付けられスタフィングボックス部21とは別体に形成された蓋本体部20と、を有する。
【0039】
このような構成によれば、スタフィングボックス部21を、蓋本体部20から独立した別構造にすることができる。これにより、スタフィングボックス部21の被設置部22の内面へのグランドパッキン7との剥離性を高める層34のコーティングをスタフィングボックス部21単体で行うことができ、コーティング作業が容易となる。
【0040】
また、グランドパッキン7をスタフィングボックス部21ごとバルブ100から取り出すことができる。このため、グランドパッキン7交換時に、バルブ100の設置状況に関わらずに手元でスタフィングボックス部21を取り扱うことができる。したがって、グランドパッキン7の交換作業がより容易になるとともに、作業品質も向上する。
【0041】
また、本実施形態では、弁棒4は、先端に弁体3が取り付けられた第1弁棒42と、第1弁棒42の基端に着脱可能に連結され第1弁棒42とは反対側の端部にハンドル6が取り付けられた第2弁棒43と、を有する。
【0042】
このような構成では、弁棒4が着脱可能な二分割タイプとされている。このため、グランドパッキン7が設置されたスタフィングボックス部21をバルブ100から取り出す際に、第1弁棒42と第2弁棒43とを連結解除して分離させることができる。これにより、第1弁棒42と第2弁棒43との間に形成された空間を利用して、グランドパッキン7が設置されたスタフィングボックス部21をバルブ100から取り出すことができる。仮に、弁棒4が二分割タイプでない場合には、弁蓋2と弁箱1とを分解し、ハンドル6を弁棒4から取り外してから、弁棒4を弁蓋2から取り外すという煩雑な作業が必要となる。そして、この後にグランドパッキン7が設置されたスタフィングボックス部21を蓋本体部20から取り外さなければならない。つまり、弁棒を二分割タイプとすることによって、前記した煩雑な作業を削減することができ、グランドパッキン7が設置されたスタフィングボックス部21をバルブ100から容易に取り出すことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、スタフィングボックス部21は、蓋本体部20の外側端面に当接するフランジ21aを有し、フランジ21aは、蓋本体部20の外側端面にねじ部材32によって固定されている。そして、フランジ21aと蓋本体部20の外側端面との間にシール部材33が装着されている。
【0044】
このような構成によれば、ねじ部材32による締結力によってフランジ21aからシール部材33へ面圧が加えられ、スタフィングボックス部21と蓋本体部20との間からの流体の漏洩を確実に防止することができる。
【0045】
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0046】
例えば、前記した実施形態では、本発明に係るバルブのグランドパッキン設置構造が手動玉形弁であるバルブ100に適用されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、他の種類のバルブにも適用され得る。
【符号の説明】
【0047】
2 弁蓋
3 弁体
4 弁棒
6 ハンドル
7 グランドパッキン
20 蓋本体部
21 スタフィングボックス部(支持部)
21a フランジ
22 被設置部
23 内周面(内面)
24 底面(内面)
33 シール部材
34 層
41 外周面
42 第1弁棒
43 第2弁棒
100 バルブ
図1
図2
図3