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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】表面実装型コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20220301BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018522417
(86)(22)【出願日】2017-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2017019601
(87)【国際公開番号】W WO2017212940
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2016112523
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231822
【氏名又は名称】日本端子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川原 勇三
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06471544(US,B1)
【文献】米国特許第06053767(US,A)
【文献】米国特許第05803765(US,A)
【文献】特開2014-165091(JP,A)
【文献】特開2006-339000(JP,A)
【文献】特開2012-123939(JP,A)
【文献】特開2006-100231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の端子取付壁及び前記端子取付壁の各辺から立設された4個の側壁を含む一方が開口した箱形の電気絶縁性の基板側ハウジングと、前記端子取付壁に取り付けられた複数の導電性の端子とを有し、前記基板側ハウジングの開口が上方に位置するストレートタイプと前記開口が側方に位置するライトアングルタイプとで共用できるように、前記ストレートタイプと前記ライトアングルタイプとの何れの取付姿勢をもっても前記基板側ハウジングがプリント基板に装着可能であり、前記基板側ハウジング内にプラグ側コネクタのプラグ側ハウジングを抜き差し可能に差し込まれる表面実装型コネクタであって、
前記端子取付壁は互いに直交するX軸とY軸によって定義される一つの仮想平面に沿って延在する壁によって構成されており、
前記端子は、前記X軸の方向に間隔をおいて2列に各々前記Y軸の方向に整列して配置され、
前記基板側ハウジングは、前記X軸の方向に離れた2個の前記側壁のうちの一方に、前記プラグ側ハウジングを差し込み位置に係脱可能に係止するロック部を有し、前記Y軸の方向に離れた2個の前記側壁の各々の、前記X軸の方向に異なる2箇所に、補強板を取付可能な補強板取付部を有し、
前記ライトアングルタイプでの使用では、前記2箇所の補強板取付部のうち前記プリント基板に近い前記補強板取付部に取り付けられた前記補強板の外辺が前記プリント基板に当接して固着され、前記ストレートタイプでの使用では、前記2箇所の補強板取付部のうち前記ロック部が形成された前記側壁に近い前記補強板取付部に取り付けられた前記補強板の外辺が前記プリント基板に当接して固着されており、
前記補強板取付部は前記側壁の前記X軸の方向の寸法の略1/2の間隔をおいて互いに平行に延在し、
前記補強板は、長方形状で、前記X軸の方向の幅寸法が前記Y軸の方向に離れた前記側壁の外壁面の前記X軸の方向の寸法の略1/2である表面実装型コネクタ。
【請求項2】
前記端子と前記プリント基板との導通接続が前記X軸の方向の片側において前記Y軸の方向に一列に等ピッチに配置された接続点で行われるシングルインライン型の表面実装型コネクタであり、
前記端子は、前記端子取付壁を貫通して前記基板側ハウジング内に位置し、前記プラグ側ハウジング側の端子と導通されるコンタクト部と、前記コンタクト部に接続された一端を有し、前記端子取付壁に沿って延在した基板側延長部と、前記基板側延長部の他端に設けられ、前記プリント基板に形成された端子接続用ランド部に導通接続される基板側接続部とを有し、
前記2列の端子のうち、
前記接続点に近い側の端子の前記基板側延長部は、前記X軸の方向に延在する部分のみによって直線状に構成されており、
前記接続点から遠い側の端子の前記基板側延長部は、前記X軸の方向に延在する部分及び隣り合う前記接続点のピッチ分の長さだけ前記Y軸の方向に延在する部分を含んでフック状或いは鉤状に構成されている請求項1に記載の表面実装型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型コネクタに関し、更に詳細には、端子列を2列有する多極の表面実装型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の表面に実装される表面実装型コネクタとして、矩形(長方形)の端子取付壁及び前記端子取付壁の各辺から立設された4個の側壁を含む一方開口の箱形の電気絶縁材製の基板側ハウジングと、前記端子取付壁部に取り付けられた複数の金属製の端子と、前記基板側ハウジングの前記側壁に装着されて外辺をプリント基板に半田付けされる板片状の補強金具とを有し、基板側ハウジングの開口(プラグ側ハウジングの差込口)がプリント基板の上方に位置するストレートタイプ(縦置き)と前記開口がプリント基板の側方に位置するライトアングルタイプ(横置き)とで共用できるものが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【0003】
このような表面実装型コネクタに用いられる補強金具の大きさは、端子の配置が1列の基板側ハウジングの側壁の大きさに略等しく、ストレートタイプとしての使用でもライトアングルタイプとしての使用でも補強金具の一つの外辺がプリント基板の表面に当接して半田付けされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-268905号公報
【文献】特開2014-165091号公報
【文献】特開2014-165093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表面実装型コネクタには端子の配置が1列のものと2列のものとがあり、2列配置の基板側ハウジングの側壁の幅は、当然のことながら1列配置の基板側ハウジングの側壁の2倍近くなる。2列配置の基板側ハウジングにおいて、2列配置の基板側ハウジングの側壁の大きさに略等しい大きさの補強金具(補強板)が用いられると、1列配置のものと同様に、ストレートタイプとしての使用でもライトアングルタイプとしての使用でも補強金具の一つの外辺がプリント基板の表面に当接して半田付けされる。しかし、2列配置の基板側ハウジングにおいて、部品の共用や材料費削減のために、1列配置の基板側ハウジングの側壁の大きさに略等しい大きさの補強金具が用いられると、ライトアングルタイプとしての使用において、補強金具はプリント基板の表面に近い側(下部側)に偏って配置される必要が生じる。
【0006】
基板側ハウジングに、プラグ側ハウジングを差し込み位置に係脱可能に係止するロック部が設けられる場合、ライトアングルタイプとしての使用では、ロック部は上側からロック解除操作が行われ得るように、基板側ハウジングの上部側に位置する配置になる。したがって、ライトアングルタイプとしての使用では、補強金具がプリント基板の表面に近い側に偏って配置されても、ロック解除の操作力やプラグ側コネクタに接続されているケーブルから作用するテンションに耐える十分な固定強度を確保することができる。
【0007】
しかし、そのような補強金具の配置であると、ストレートタイプとしての使用では、補強金具は基板側ハウジングの前側に位置するロック部より離れた後側に配置されることになり、ロック部の側において基板側ハウジングが補強金具によってプリント基板に固定されていないため、ロック解除の操作力やプラグ側コネクタに接続されているケーブルから作用するテンションに耐える十分な固定強度を確保することが難しい。このため、板厚が厚い補強金具を用いて補強金具とプリント基板との半田付け面積を大きくする必要が生じ、材料費削減に矛盾を生じる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、端子配置が2列配置のコネクタにおいて、補強板の材料費削減と補強板による十分な固定強度の確保とを両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態による表面実装型コネクタは、矩形の端子取付壁(14)及び前記端子取付壁(14)の各辺から立設された4個の側壁(16、18、20、22)を含む一方が開口した箱形の電気絶縁性の基板側ハウジング(12)と、前記端子取付壁(14)に取り付けられた複数の導電性の端子(30、32、34、36)とを有し、基板側ハウジング(12)の開口(24)が上方に位置するストレートタイプと前記開口(24)が側方に位置するライトアングルタイプとの何れか一方の取付姿勢をもって前記基板側ハウジング(12)がプリント基板(100)に装着可能であり、前記基板側ハウジング(12)内にプラグ側コネクタ(70)のプラグ側ハウジング(72)を抜き差し可能に差し込まれる表面実装型コネクタであって、前記端子取付壁(14)は互いに直交するX軸とY軸によって定義される一つの仮想平面に沿って延在する壁によって構成されており、前記端子(30、32、34、36)は、前記X軸の方向に間隔をおいて2列に各々前記Y軸の方向に整列して配置され、前記基板側ハウジング(12)は、前記X軸の方向に離れた2個の前記側壁(16、18)のうちの一方に、前記プラグ側ハウジング(72)を差し込み位置に係脱可能に係止するロック部(60)を有し、前記Y軸の方向に離れた2個の前記側壁(20、22)の各々の、前記X軸の方向に異なる2箇所に、補強板(62)を取付可能な補強板取付部(46、48)を有し、前記2箇所の補強板取付部(46、48)の少なくとも一方に取り付けられた前記補強板(62)の外辺が前記プリント基板に当接して固着される。
【0010】
この構成によれば、補強板(62)の取付位置を、ストレートタイプでの使用とライトアングルタイプとで、異なる2箇所の補強板取付部(46、48)の何れか一方に選択することにより、補強板(62)の外辺がプリント基板(100)に当接して固着されるから、ストレートタイプでの使用とライトアングルタイプでの使用の何れにおいても表面実装型コネクタ(10)のプリント基板(100)に対する固定が適切に補強される。また、補強板(62)はX軸の方向の幅は基板側ハウジング(12)のX軸の方向の幅より小さくてよく、このことにより、補強板(62)の材料費を削減できる。
【0011】
上記表面実装型コネクタの好ましい一つの実施形態として、前記補強板(62)は、前記X軸の方向の幅寸法が前記Y軸の方向に離れた前記側壁(20、22)の外壁面の前記X軸の方向の寸法の略1/2である。
【0012】
この構成によれば、補強板(62)を2箇所の補強板取付部(46、48)の何れかに取り付けられるもので共用できる。
【0013】
上記表面実装型コネクタの好ましい一つの実施形態として、前記端子(34、36)と前記プリント基板(100)との導通接続が前記X軸の方向の片側において前記Y軸の方向に一列に等ピッチに配置された接続点で行われるシングルインライン型の表面実装型コネクタであり、前記端子(34、36)は、前記端子取付壁(14)を貫通して前記基板側ハウジング(12)内に位置し、前記プラグ側ハウジング(72)側の端子と導通されるコンタクト部(34A、36A)と、前記コンタクト部(34A、36A)に接続された一端を有し、前記端子取付壁(14)に沿って延在した基板側延長部(34B、36B)と、前記基板側延長部(34B、36B)の他端に設けられ、前記プリント基板(100)に形成された端子接続用ランド部(106)に導通接続される基板側接続部(34C、36C)とを有し、前記2列の端子(34、36)のうち、前記接続点に近い側の端子(34)の前記基板側延長部(34B)は、前記X軸の方向に延在する部分のみによって直線状に構成されており、前記接続点から遠い側の端子(36)の前記基板側延長部(36B)は、前記X軸の方向に延在する部分(36Ba)及び隣り合う前記接続点のピッチ分の長さだけ前記Y軸の方向に延在する部分(36Bb)を含んでフック状或いは鉤状に構成されている。
【0014】
この構成によれば、端子配置が2列のものであっても、ストレートタイプとライトアングルタイプとの何れにおいてもシングルインライン仕様を実現できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による表面実装型コネクタによれば、端子配置は2列のコネクタにおいて、補強板の共用や材料費削減と補強板による十分な固定強度の確保とを両立する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による表面実装型コネクタの一つの実施形態をデュアルインライン仕様のストレートタイプとしての使用した状態を示す斜視図
図2】本実施形態の表面実装型コネクタのデュアルインライン仕様でのストレートタイプとしての使用状態を示す分解斜視図
図3】本実施形態の表面実装型コネクタのデュアルインライン仕様でのストレートタイプとしての使用状態を示す断面図
図4】本実施形態の表面実装型コネクタのシングルインライン仕様でのライトアングルタイプとしての使用状態を示す斜視図
図5】本実施形態の表面実装型コネクタのシングルインライン仕様でのライトアングルタイプとしての使用状態を示す分解斜視図
図6】本実施形態の表面実装型コネクタのシングルインライン仕様でのストレートタイプとしての使用状態を示す分解斜視図
図7】本実施形態の表面実装型コネクタのシングルインライン仕様でのストレートタイプとしての使用状態を示す断面図
図8】本発明による表面実装型コネクタに用いられる端子の他の実施形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明による表面実装型コネクタの一つの実施形態を、図1図7を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の表面実装型コネクタは全体を符号10によって示されている。表面実装型コネクタ10は、プリント基板100上に実装されるコネクタであり、一方のみが開口した箱形の電気絶縁性を有する樹脂製の基板側ハウジング12を含む。表面実装型コネクタ10には、図1に示されているように、プラグ側コネクタ70が接続される。
【0019】
プリント基板100は絶縁基板102の表面に金属層による導体パターン104及び端子接続用の端子接続用ランド部(接続点)106を形成されたものである。
【0020】
表面実装型コネクタ10は、プリント基板100上においてプラグ側コネクタ70(図1参照)の抜き差しが上下方向のストレートタイプでの使用(図1図3参照)と、プリント基板100上においてプラグ側コネクタ70の抜き差しが横方向のライトアングルタイプでの使用(図4図5参照)の何れか一方の取付姿勢をもってプリント基板100に装着可能である。
【0021】
基板側ハウジング12は、表面実装型コネクタ10の端子(デュアルインライン用端子30、32)とプリント基板100との導通接続が、図1図3に示されているように、後述するX軸の方向の両側において各々後述するY軸の方向に一列に等ピッチに配置された接続点(端子接続用ランド部106)で行われるデュアルインライン型の表面実装型コネクタと、表面実装型コネクタ10の端子(シングルインライン用端子34、36)とプリント基板100との導通接続が、図4図5に示されているように、後述するX軸の方向の片側において後述するY軸の方向に一列に等ピッチに配置された接続点(端子接続用ランド部106)で行われるシングルインライン型の表面実装型コネクタとで兼用である。
【0022】
基板側ハウジング12は、矩形の端子取付壁14(図3参照)及び端子取付壁14の各辺(4辺)から同じ側に立設された4個の側壁16、18、20、22を含み、側壁16、18、20、22の端子取付壁14との接続側とは反対の側が開口した直方体形状をした樹脂成形品であり、端子取付壁14とは反対の側にある開口24から複数(本実施形態では4個)のプラグ側コネクタ70を抜き差し可能に挿入される一つの直方状空間のコネクタ挿入室26を画定している。
【0023】
表面実装型コネクタ10は、ストレートタイプでの使用では、図1図3に示されているように、開口24がプリント基板100の上側に位置してプラグ側コネクタ70がコネクタ挿入室26に上方から挿入され、ライトアングルタイプでの使用では、図4図5に示されているように、開口24がプリント基板100の前側に位置してプラグ側コネクタ70がコネクタ挿入室26に前方から挿入される。
【0024】
プラグ側コネクタ70は、図1に示されているように、左右方向に配列されて4個あり、各々、電気絶縁性を有する箱形の樹脂製のプラグ側ハウジング72を含み、側壁16、18の内壁面に形成されたガイドレール部44、45に案内されてコネクタ挿入室26に差し込まれる。プラグ側ハウジング72は、各々、2個の雌型端子(不図示)を内蔵しており、当該雌型端子は、プラグ側ハウジング72がコネクタ挿入室26に差し込まれることにより、表面実装型コネクタ10に設けられている後述するX軸方向に離間した2列の雄型端子(デュアルインライン用端子30、32或いはシングルインライン用端子34、36)と導通接続される。
【0025】
各プラグ側ハウジング72は、ストレートタイプでの使用ではプリント基板100の前側に位置し、ライトアングルタイプでの使用ではプリント基板100の上側に位置する部位に、両持ち梁構造の樹脂製の弾性変形板部74を一体に有する。弾性変形板部74の中間部には係合用突部76が一体成形されている。係合用突部76は、弾性変形板部74の円弧状の弾性変形のもとに変位し、基板側ハウジング12の側壁16に貫通形成された係止用開口60に係脱可能に係合する。
【0026】
このように、基板側ハウジング12は、後述するX軸方向に離れた2個の側壁16、18のうちの一方の側壁16に、係止用開口60によってプラグ側ハウジング72を差し込み位置に係脱可能に係止するロック部を構成する。
【0027】
弾性変形板部74の上部には係脱操作部78が突出形成されている。係脱操作部78は、指先操作によって押圧されることにより、弾性変形板部74を円弧状に弾性変形させ、係止用開口60に対する係合用突部76の係合を離脱させる操作部をなす。
【0028】
表面実装型コネクタ10の説明に戻り、端子取付壁14は互いに直交するX軸とY軸によって定義される直交座標による一つの仮想平面に沿って延在する壁によって構成されている。本実施形態では、ストレートタイプでの使用では、図1図3に示されているように、X軸が前後方向に延在してY軸が左右方向に延在し、ライトアングルタイプでの使用では、図4図5に示されているように、X軸が上下方向に延在してY軸が左右方向に延在する。
【0029】
端子取付壁14の外壁面には、図3に示されているように、複数個の端子装着孔28が貫通形成されている。端子装着孔28には、デュアルインライン用端子30、32(図1図3参照)或いはシングルインライン用端子34、36(図4図5参照)が挿入される。デュアルインライン用端子30、32或いはシングルインライン用端子34、36の配置は、端子装着孔28の配置に従って、何れにおいても、X軸の方向に所定の間隔をおいて2列に、Y軸の方向に等ピッチで4個ずつ整列して配置される。これにより、デュアルインライン用端子30、32或いはシングルインライン用端子34、36は、ストレートタイプでの使用では前後方向に離れた2列になり、ライトアングルタイプでの使用では上下に離れた2列になる。
【0030】
デュアルインライン用端子30、32及びシングルインライン用端子34、36は、各々、金属等の導電性の材料によって構成され、コネクタ挿入室26内に突出してプラグ側コネクタ70の雌端子のコンタクト部(不図示)と導通接続される四角柱状のコンタクト部30A、32A、34A、36Aと、コンタクト部30A、32A、34A、36Aの基端に接続された一端を有して端子取付壁14の背面(コネクタ挿入室26とは反対側の面)に形成されている端子装着溝38、40、42に嵌合する横断面形状が四角形の基板側延長部30B、32B、34B、36Bと、基板側延長部30B、32B、34B、36Bの他端(先端)に設けられた基板側接続部30C、32C、34C、36Cとを一体に有する。
【0031】
端子装着溝38と40とは、図5に示されているように、基板側ハウジング12に一体成形されていて、横断面形状が四角形で、Y方向位置において各々X軸方向に直線状に延在している。端子装着溝38は基板側ハウジング12の側壁16の側にあり、端子装着溝40は基板側ハウジング12の側壁18の側にあって端子装着溝38より短い。端子装着溝42は、基板側ハウジング12に一体成形されていて、横断面形状が四角形で、端子装着溝38及び40に対してY方向に離れた位置にあって端子装着溝38及び40に平行にX軸方向に直線状に延在するX軸方向部分42Aと、当該X軸方向部分42Aの一端よりY方向に延在して端子装着溝38の中間部に連通するY方向部分42Bとを含んで鉤形をなしている。
【0032】
デュアルインライン用端子30、32の基板側延長部30B、32Bは、各々、図2図3に示されているように、全長に亘ってコンタクト部30A、32Aの基端からコンタクト部30A、32Aに対して直交する方向(X軸方向)に直線状に延在している。基板側延長部30B、32Bは、各々、端子装着溝38、40に嵌め込まれることにより、端子取付壁14の背面に沿って延在する形態で基板側ハウジング12に固定される。
【0033】
デュアルインライン用端子30は係止用開口60が形成されている基板側ハウジング12の側壁16の側に配置されるものであり、コンタクト部30Aと側壁16とのX軸方向の距離がもう一つのデュアルインライン用端子32のコンタクト部32Aと側壁18とのX軸方向の距離より長いことにより、基板側延長部30Bは基板側延長部32Bより長い。
【0034】
デュアルインライン用端子30、32の基板側接続部30C、32Cは、長方体形状をしていて、ストレートタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面30D、32Dと、ライトアングルタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面32Eとを有する。表面30D、32Dと表面32Eとは長方体の表面であって、互いに直交する方向に延在する平面である。
【0035】
シングルインライン用端子34は、図4図5に示されているように、コンタクト部36AがX軸方向で見てもう一つのシングルインライン用端子36のコンタクト部36Aよりも端子接続用ランド部106(接続点)に近い側(ライトアングルタイプでの使用で下側)に配置されるものである。シングルインライン用端子34の基板側延長部34Bは、全長に亘ってコンタクト部34Aの基端からコンタクト部34Aに対して直交する方向(X軸方向)に直線状に延在している。基板側延長部34Bは、端子装着溝40に嵌め込まれることにより、端子取付壁14の背面に沿って延在する形態で基板側ハウジング12に固定される。
【0036】
シングルインライン用端子34の基板側接続部34Cは、立方体形状をしていて、ストレートタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面34Dと、ライトアングルタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面34Eとを有する。表面34Dと表面34Eとは立方体の表面であって、互いに直交する方向に延在する平面である。
【0037】
してみれば、シングルインライン用端子34と短寸のデュアルインライン用端子32とは、同一形状、同一寸法の同一の部品であり、この二つの端子32、34は、共用で、一つの共通部品であってよい。
【0038】
シングルインライン用端子36は、図4図5に示されているように、コンタクト部34AがX軸方向で見てもう一つのシングルインライン用端子34のコンタクト部34Aよりも端子接続用ランド部106(接続点)から遠い側(ライトアングルタイプでの使用で上側)に配置されるものである。シングルインライン用端子36の基板側延長部36Bは、X軸の方向に延在する第1のX軸方向部分36Ba、当該第1のX軸方向部分36Baの先端から隣り合う接続点のピッチ分の長さだけY軸の方向に延在するY方向部分36Bb及びY方向部分36Bbから折り返すようにX軸の方向に延在する第2のX軸方向部分36Bcを含んで鉤状に形成されている。基板側延長部36Bは、その端子装着溝42及び38に嵌め込まれることにより、端子取付壁14の背面に沿って延在する形態で基板側ハウジング12に固定される。
【0039】
シングルインライン用端子36の基板側接続部36Cは、長方体形状をしていて、ストレートタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面36Dと、ライトアングルタイプでの使用で、プリント基板100の表面に対向して端子接続用ランド部106に半田付けされる表面36Eとを有する。表面36Dと表面36Eとは長方体の表面であって、互いに直交する方向に延在する平面である。
【0040】
基板側ハウジング12のY軸の方向に離れた2個の側壁20、22の外壁面には、図1図2図4図5に示されているように、各々、X軸の方向に異なる2箇所に、補強板62を取り付けるための第1の補強板取付部46及び第2の補強板取付部48が設けられている。第1の補強板取付部46及び第2の補強板取付部48は、各々、側壁20、22の外壁面のX軸方向(ストレートタイプでの使用で前後方向)に、側壁20、22のX軸方向の寸法の略1/2の間隔をおいて対をなす取付溝46A、48Aを有する。取付溝46A、48Aは、ストレートタイプでの使用では上下方向に互いに平行に延在する。このような構成において、第1の補強板取付部46は第2の補強板取付部48より係止用開口60の側にある。
【0041】
補強板62は、図2図5に示されているように、側壁20、22の外壁面のX軸方向(ストレートタイプでの使用で前後方向)の寸法の略1/2の短寸幅寸法(X軸方向の幅寸法)で、ストレートタイプでの使用での側壁20、22の外壁面の上下方向の寸法に略等しい長寸幅寸法の長方形状の主部62Aと、主部62Aの短寸幅の側の両縁部に略90度の折曲によって形成された長寸幅方向に延在する係合片部62Bと、主部62Aの長寸幅の側の一方の縁部に略180度の折曲によって形成された係合片部62Bと同じ側に折り返されたばね性を有するクリップ片部62Cとを含む。補強板62は、係合片部62Bが第1の補強板取付部46或いは第2の補強板取付部48の取付溝46A、48Aに係合することによりX軸方向の位置決めを行われ、主部62Aとクリップ片部62Cとで側壁20、22を挟み込むことにより基板側ハウジング12に固定される。なお、取付溝46A、48Aと係合片部62Bとの係合は、あり溝係合にすることができる。
【0042】
この補強板62は特開2014-165091号公報に示されているような1列配置の表面実装型コネクタのための補強板と共用できる。
【0043】
図1図3に示されているストレートタイプでの使用における表面実装型コネクタ10ではデュアルインライン用端子30、32が用いられている。デュアルインライン用端子30、32の基板側接続部30C、32Cの表面30D、32Dが各々対応する端子接続用ランド部106に半田付けされることにより、表面実装型コネクタ10上に固定される。
【0044】
更に、このストレートタイプでの使用では、係止用開口60の側の第1の補強板取付部46に補強板62が取り付けられ、補強板62の下辺がプリント基板100の表面に当接する。この当接部分の絶縁基板102上には導体パターン104及び端子接続用ランド部106と同じ金属層による半田付け部108が形成されており、補強板62は下辺を半田付け部108に半田付けによって固着される。これにより、表面実装型コネクタ10のプリント基板100に対する固定が補強される。
【0045】
ストレートタイプでの使用では、補強板62は第1の補強板取付部46或いは第2の補強板取付部48の何れに装着しても下辺をプリント基板100に固着することが可能であるが、表面実装型コネクタ10のプリント基板100に対する固定の補強は、ロック解除の操作力やプラグ側コネクタ70に接続されているケーブル(不図示)からのテンション(引っ張り力)が作用する側壁16の側で行われるべきである。このため、補強板62は側壁16に近い第1の補強板取付部46に装着され、表面実装型コネクタ10のプリント基板100に対する固定強度の補強が側壁16の側で行われるようにしている。
【0046】
このことにより、板厚が厚い補強板62を用いる必要がなく、補強板62の幅寸法が側壁20、22の外壁面のX軸方向の寸法の略1/2であること(小型化)と相まって材料費を削減することができる。
【0047】
ライトアングルタイプでの使用における表面実装型コネクタ10では、図4図5に示されているように、シングルインライン用端子34、36が用いられ、シングルインライン用端子34、36の基板側接続部34C、36Cの表面34E、36Eが各々対応する端子接続用ランド部106に半田付けされることにより、表面実装型コネクタ10上に固定される。
【0048】
更に、ライトアングルタイプでの使用では、プリント基板100に近い側にある第2の補強板取付部48に補強板62が取り付けられ、補強板62の下辺(長辺)がプリント基板100の表面に当接する。この当接部分の絶縁基板102上には導体パターン104及び端子接続用ランド部106と同じ金属層による半田付け部110が形成されており、補強板62は下辺を半田付け部108に半田付けによって固着される。これにより、X軸方向の幅寸法が側壁20、22の外壁面のX軸方向の寸法の略1/2の補強板62でも表面実装型コネクタ10のプリント基板100に対する固定が適切に補強される。
【0049】
上述したように、補強板62の取り付けを、ストレートタイプでの使用とアングルタイプでの使用とで、第1の補強板取付部46及び第2の補強板取付部48の何れか一方に選択することにより、ストレートタイプでの使用とアングルタイプでの使用の何れにおいても表面実装型コネクタ10のプリント基板100に対する固定が適切に補強される。補強板62の幅寸法が側壁20、22の外壁面のX軸方向の寸法の略1/2であることにより、第1の補強板取付部46に取り付ける補強板62と第2の補強板取付部48に取り付ける補強板62とを同一形状及び同一寸法の共通部品とすることができ、複数種類の補強板62を準備する必要がなくなる。
【0050】
ストレートタイプでは、上述したデュアルインライン仕様以外に、図6図7に示されているように、シングルインライン仕様にすることもできる。シングルインライン仕様ではシングルインライン用端子34、36が用いられる。補強板62はロック部に近い第1の補強板取付部46に取り付けられればよい。
【0051】
このように、端子配置は2列のものであっても、直線状のシングルインライン用端子34とフック形状のシングルインライン用端子36とが用いられることにより、ストレートタイプとライトアングルタイプとの何れにおいてもシングルインライン仕様を実現することができる。
【0052】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、シングルインライン用端子36は、図8に示されているように、基板側延長部36BがX軸の方向に延在する第1のX軸方向部分36Baと第1のX軸方向部分36Baの先端から隣り合う接続点のピッチ分の長さだけY軸の方向に延在するY方向部分36Bbとによって鉤状をなすものであってもよい。端子の個数は、2×4に限られることなく、2列配置を守って2×N(但しNは1以上の整数)であればよい。
【0053】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 表面実装型コネクタ
12 基板側ハウジング
14 端子取付壁
16 側壁
18 側壁
20 側壁
22 側壁
24 開口
26 コネクタ挿入室
28 端子装着孔
30 デュアルインライン用端子
30A コンタクト部
30B 基板側延長部
30C 基板側接続部
30D 表面
30E 表面
32 デュアルインライン用端子
32A コンタクト部
32B 基板側延長部
34 シングルインライン用端子
34A コンタクト部
34B 基板側延長部
34C 基板側接続部
34D 表面
34E 表面
36 シングルインライン用端子
36A コンタクト部
36B 基板側延長部
36Ba 第1のX軸方向部分
36Bb Y方向部分
36Bc 第2のX軸方向部分
36C 基板側接続部
36D 表面
36E 表面
38 端子装着溝
40 端子装着溝
42 端子装着溝
42A X軸方向部分
42B Y方向部分
44 ガイドレール部
45 ガイドレール部
46 第1の補強板取付部
46A 取付溝
48 第2の補強板取付部
48A 取付溝
60 係止用開口
62 補強板
62A 主部
62B 係合片部
62C クリップ片部
70 プラグ側コネクタ
72 プラグ側ハウジング
74 弾性変形板部
76 係合用突部
78 係脱操作部
100 プリント基板
102 絶縁基板
104 導体パターン
106 端子接続用ランド部
108 半田付け部
110 半田付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8