(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】化学-機械的研磨用スラリー組成物
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220301BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220301BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20220301BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550D
C09K3/14 550E
C09K3/14 550Z
C09G1/02
(21)【出願番号】P 2018560761
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2017005118
(87)【国際公開番号】W WO2017200297
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2016-0061230
(32)【優先日】2016-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】パク へジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンデ
(72)【発明者】
【氏名】イ ミンゴン
(72)【発明者】
【氏名】シン ジョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チン ソンフン
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-288537(JP,A)
【文献】特表2008-518481(JP,A)
【文献】特表2012-529174(JP,A)
【文献】特開2007-207907(JP,A)
【文献】特開2007-299942(JP,A)
【文献】特表2014-505358(JP,A)
【文献】特開2013-227168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
C09G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨剤;
アルミニウム0.000006乃至0.01重量%;及び
水を含
み、
前記研磨剤表面のシラノール基の数とアルミニウム含量が次の数式1の条件を満足する、
化学-機械的研磨用スラリー組成物。
[数式1]
0.0005≦(S*C)*100≦4.5
(ここで、Sは研磨剤表面1nm
2
に存在するシラノール基数であり(単位:個/nm
2
)、Cはスラリー組成物中のアルミニウム含量(重量%)である。)
【請求項2】
前記研磨剤はヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、及びこれらの混合物から成る群から選択され、その含量は0.001乃至20重量%である、請求項1に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項3】
前記研磨剤表面のシラノール基の個数が1乃至10個/nm
2である、請求項1又は2に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項4】
前記アルミニウムはアルミニウム塩、アルミニウム原子が研磨剤表面に吸着された形態、及びアルミニウムイオン(Al
3+)から成る群から選択される一つ以上の状態で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項5】
前記アルミニウムはアルミニウムの塩化物(Cl)、硫酸塩(SO
4)、アンモニウム塩(NH
4)、カリウム塩(K)、水酸化物(OH)、メチル化物(CH
3)、リン化物(P)及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項4に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項6】
前記スラリー組成物はpH調節剤を更に含み、前記pH調節剤は硝酸、塩酸、硫酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項7】
前記スラリー組成物は0.005乃至10重量%の酸化剤を更に含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項8】
前記スラリー組成物は0.0001乃至0.05重量%のバイオサイドを更に含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項9】
前記スラリー組成物は0.00001乃至0.5重量%のナノフェロシリコン又は鉄塩化合物の触媒を更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項10】
研磨剤0.001乃至20重量%;
アルミニウム0.000006乃至0.01重量%;
ナノフェロシリコン又は鉄塩化合物の触媒0.00001乃至0.5重量%;及び
残余の水を含
み、
前記研磨剤表面のシラノール基の数とアルミニウム含量が次の数式1の条件を満足する、
化学-機械的研磨用スラリー組成物。
[数式1]
0.0005≦(S*C)*100≦4.5
(ここで、Sは研磨剤表面1nm
2
に存在するシラノール基数であり(単位:個/nm
2
)、Cはスラリー組成物中のアルミニウム含量(重量%)である。)
【請求項11】
前記スラリー組成物はpHを1乃至6に調節するpH調節剤及び0.0001乃至0.05重量%のバイオサイドを更に含み、
前記pH調節剤は硝酸、塩酸、硫酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項
10に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項12】
前記スラリー組成物は酸化剤0.005乃至10重量%を更に含む、請求項
10又は11に記載の化学-機械的研磨用スラリー組成物。
【請求項13】
研磨剤0.001乃至20重量%;
アルミニウム0.000006乃至0.01重量%;
ナノフェロシリコン又は鉄塩化合物の触媒0.00001乃至0.5重量%;
酸化剤0.005乃至10重量%;及び
残余の水を含
み、
前記研磨剤表面のシラノール基の数とアルミニウム含量が次の数式1の条件を満足する、
化学-機械的研磨用スラリー組成物。
[数式1]
0.0005≦(S*C)*100≦4.5
(ここで、Sは研磨剤表面1nm
2
に存在するシラノール基数であり(単位:個/nm
2
)、Cはスラリー組成物中のアルミニウム含量(重量%)である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学-機械的研磨用スラリー組成物に関するもので、より詳細には酸性雰囲気下で経時によるpH変化が少ないので長期間保管が容易な化学-機械的研磨用スラリー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路技術が適用された半導体チップで、トランジスター、キャパシター、抵抗器等数多い機能要素(素子)たちが含まれており、このような個別的な機能要素たちが一定な形で図案された配線によって互いに繋がって回路を構成する。集積回路は各世代を経ながら小型化されたし、これによってチップ一つが持つ機能も徐々に増大されている。半導体チップの小型化によって、単純に素子の大きさを減少させることには限界があるので、最近には各素子を多層で形成する多層配線構造に対する研究が活発に進行されている。このように多層配線構造の半導体素子を製造するためには金属膜を研磨して平坦化する工程を遂行しなければならない。しかし一般的に金属膜は強度が高くて研磨が容易ではないので、金属膜を効果的に研磨するためには金属膜を比較的強度が低い金属酸化物形態に酸化させた後、研磨を遂行しなければならない。このような金属膜を研磨させるスラリー組成物にあって、研磨剤でシリカを使用した場合酸性領域でスラリー組成物の保管機関が長くなるほど粒子大きさ又はpHが増加する等の経時変化が発生することができて、それによって安定性(Shelf life time)に問題が起こることがある。
【発明の概要】
【技術的課題】
【0003】
従って、本発明の目的は酸性領域で優秀な研磨性能を維持しながらも長期間保管による変化が少なくて、長期保管安定性を持つ化学-機械的研磨用スラリー組成物を提供することである。
【課題の解決手段】
【0004】
前記目的を達成するために、本発明は研磨剤;アルミニウム0.000006乃至0.01重量%;及び水を含む化学-機械的研磨用スラリー組成物を提供する。前記研磨剤表面のシラノール基の数とアルミニウム含量が次の数式1の条件を満足することが望ましい。
【0005】
[数式1]
【0006】
0.0005≦(S*C)*100≦4.5
【0007】
ここで、Sは研磨剤表面1nm2に存在するシラノール基数で(単位:個/nm2)、Cはスラリー組成物中のアルミニウム含量(重量%)である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるスラリー組成物は安定性が優秀で、酸性領域でpHが増加される経時変化によって、スラリーの研磨性能が低下されスクラッチが増加されたり研磨速度が変わる問題を防止し、安定性(Shelf life time)が向上され長期間保管が容易である。
【発明の詳細な説明】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明による化学-機械的研磨用スラリー組成物は、研磨速度が優秀で、スクラッチ発生が少なくて、安定性も又優秀で、長期間保管が可能なものとして、研磨剤(abrasive)、アルミニウム及び水を含む。
【0011】
前記研磨剤は研磨対象膜を研磨するためのものとして、ヒュームドシリカ(fumed silica)、コロイダルシリカ(colloidal silica)、これらの混合物等のシリカ系研磨剤を使用する。前記研磨剤の粒子大きさは5乃至200nm、具体的には10乃至150nmであり、前記研磨剤の含量は、全体スラリー組成物に対し、0.001乃至20重量%、具体的には0.01乃至10重量%、更に具体的には0.1乃至5重量%である。前記研磨剤の粒子大きさが小さすぎたり、含量が少なすぎると、金属膜の研磨速度が低下されることがあるし、大きすぎたり、多すぎると、金属膜及びシリコン酸化膜に対するスクラッチが過度に発生することができる。
【0012】
シリカ系研磨剤表面のシラノール基(silanol group)はSi-OH又はSi-O-作用基を意味し、研磨剤表面にシラノール基の数が多いほど、研磨速度が優秀であることを確認した。研磨剤表面に化学的活性を持つシラノール基が多ければ、研磨剤が酸化膜表面の水酸基と容易に結合し物理的摩擦によって酸化膜表面が容易く除去されるので研磨速度が増加することと予想される。又シラノール基が 多いほど相対的にSi-O-Si縮合度が低く、物理的摩擦が過度に発生されないのでスクラッチ(Scratch)が減少することになる。一方研磨剤表面にシラノール基が過度に多ければ酸性領域での分散安定性が低下され長時間保管時pH変化が発生することになる。このようなpH変化等の保管安定性問題が発生すると、研磨速度等の研磨性能が優秀であるとしても、長期間品質を維持できないし、商品性が低下される。商品化されたスラリー製品は通常的に最少3~6ヶ月以上の保管安定性が要求されている。従って、本発明によるスラリー組成物は、研磨剤表面のシラノール基数が望ましくは1乃至10個/nm2、更に望ましくは1乃至8個/nm2、より望ましくは2乃至5個/nm2であるシリカ系研磨剤を使用することで、スラリー組成物の研磨速度を向上させ、スクラッチ(Scratch)発生を抑制できる。前記シラノール基の個数が1個/nm2未満であれば、研磨速度が低すぎて不均一度が増加し、スクラッチが増加される問題があるし、前記シラノール基の個数が10個/nm2を超過すると研磨速度の上昇効果は少なくなりながら、研磨剤表面の活性化度が高すぎて分散安定性が低下し、凝集及び沈殿が発生する恐れがある。
【0013】
本発明の化学-機械的研磨用スラリー組成物に使用されるアルミニウムは、スラリー組成物の長期保管時、pH等の変化を抑制し、スラリー組成物の安定性を改善させる一種のpH安定化剤(pH stabilizer)と作用する。前記アルミニウムはアルミニウム塩(Aluminum salts、アルミニウム塩化合物)を含み、必要によって、アルミニウム塩で成ることもある。前記アルミニウムはアルミニウムの塩化物(Cl)、硫酸塩(SO4)、アンモニウム塩(NH4)、カリウム塩(K)、水酸化物(OH)、メチル化物(CH3)、リン化物(P)及びこれらの混合物等、具体的には塩化物(Cl)、硫酸塩(SO4)、カリウム(K)及びこれらの混合物等を含むことができて、例えば、塩化アルミニウム(aluminum chloride、AlCl3)、硫酸アルミニウム(aluminum sulfate、Al2(SO4)3)、硫酸アルミニウムアンモニウム(ammonium aluminum sulfate、(NH4)Al(SO4)2)、硫酸アルミニウムカリウム(aluminum potassium sulfate、KAl(SO4)2)、水酸化アルミニウム(aluminum hydroxide、Al(OH)3)、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum、C6H18Al2)、リン化アルミニウム(aluminum phosphide、AlP)及びこれらの混合物等、具体的には塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの混合物、更に具体的には、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム及びこれらの混合物、最も具体的には塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム及びこれらの混合物から成る群から選択される。前記アルミニウムはスラリー組成物内で、アルミニウム塩及び/又は研磨剤と結合した形態及び/又はアルミニウムイオンの状態で存在することもある。即ち、本発明の組成物内で、前記アルミニウムはアルミニウム塩、アルミニウム原子が研磨剤表面に吸着された形態及びアルミニウムイオン(Al3+)から成る群から選択される一つ以上の状態で存在できる。
【0014】
本発明の化学-機械的研磨用スラリー組成物にあって、前記アルミニウム含量は0.000006乃至0.01重量%、具体的には、0.0001乃至0.005重量%である。前記アルミニウムの含量が少なすぎると、pH経時変化抑制効果が十分ではできないことがあるし、多すぎると、却って粒子大きさが増加される問題が発生することがある。即ち、酸性領域でスラリー内アルミニウムの含量が0.01重量%を超過すると、シリカ表面のシラノール基個数に無関係に電気二重層が圧縮されて凝集が発生して粒度(particle size)が増加する現状を確認した。イオン濃度が高いほど、イオンの原子価が大きいほど、電気二重層がより多く圧縮され凝集が発生される。従って、本発明によると、アルミニウムを少量で含むことによって、粒度増加なく効果的にpHを安定化させることができる。又アルミニウムを過度に多く使用することは、半導体工程を汚染させる恐れがあるので、望ましくない。
【0015】
本発明の一側面によると、スラリー組成物にあって、研磨剤表面のシラノール基の数とアルミニウム含量が次の数式1の条件を満足すると、スラリー組成物の長期保管時pH変化がより効果的に抑制され、スラリー組成物が安定化される。
【0016】
[数式1]
0.0005≦(S*C)*100≦4.5
ここで、Sは研磨剤表面1nm2に存在するシラノール基数であり(単位:個/nm2)、Cはスラリー組成物中のアルミニウム含量(重量%)である。前記シラノール基数は核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance;NMR)分析法、熱重量分析法(thermogravimetric analysis:TGA)、フーリエ変換赤外分光分析(Fourier transform infrared spectroscopy:FT-IR)、滴定法(Titration)等で測定できるし、本発明ではNaOHを利用した滴定法で測定した。
【0017】
研磨剤表面のシラノール基数(S)が多いほど一定含量以上のアルミニウムを含む場合、電気二重層の厚さが圧縮されて分散性が急激に低下される問題が発生することになる。よって研磨剤表面のシラノール基数に従って、過量のアルミニウムが含まれると粒度増加によって分散安定性が却って低下される。即ち、研磨剤表面のシラノール基個数によって、数式1を満足する適量のアルミニウムを含むことによって、粒度増加なくpH安定化効果を得ることができる。研磨剤表面のシラノール基数(S)とアルミニウム含量(C)の積((S*C)*100)が4.5を超過すると、pH安定化効果を得ることはできるが、研磨剤粒子表面の安定性が減少して粒度が増加する。却って、研磨剤表面のシラノール基数(S)とアルミニウム含量(C)の積((S*C)*100)が0.0005未満であればpH安定化効果を得ることができない。即ち、スラリー組成物の長期保管安定性を得るためには、研磨剤表面のシラノール基数(S)とアルミニウム含量(C)の積((S*C)*100)が4.5を超過しないことが重要である。
【0018】
本発明による化学-機械的研磨用スラリー組成物を構成する残り成分は水として、脱イオン水及び蒸留水等を使用でき、前記水の含量を重量%で表する場合、前記水の含量は例えば、79.95乃至99重量%、具体的には89.95乃至99重量%であることができる。本明細書で、スラリー組成物の残りの成分が水であることは、本発明の組成物が、研磨剤、アルミニウム成分及び必要によって、その他の添加剤を含む場合、研磨剤、アルミニウム成分及び必要によって使用される添加剤を除いた残りの成分が水であることを意味する。本発明による化学-機械的研磨用スラリー組成物のpHは1乃至6、具体的には1乃至4であり、前記スラリー組成物のpHが高すぎると、酸化膜形成が十分できなくて、研磨速度が低下されることがある。
【0019】
本発明による化学-機械的研磨用スラリー組成物は必要によって、pH調節剤(pH adjusting agent)及び/又はバイオサイド(biocide)を更に含むことができる。
【0020】
前記pH調節剤は、前記スラリー組成物のpHを1乃至6、具体的には1乃至4に調節する役割をして、通常的なスラリー組成物に使用されるpH調節剤(酸、塩基)を制限なく使用できて、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等、具体的には水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の塩基及びこれらの混合物を単独又は混合して使用することができる。前記pH調節剤の含量は、スラリー組成物全体に対し、0.0005乃至5重量%、具体的には0.001乃至1重量%である。前記pH調節剤の含量が前記範囲を外れると、スラリー組成物のpH調節が難しくなることがあるし、金属不純物(metal impurity)と作用しウェハー(wafer)汚染及び不良を誘発することがある。
【0021】
前記バイオサイドは、化学-機械的研磨用スラリー組成物が細菌、カビ等の微生物によって汚染されることを防止してくれることで、通常的に利用される製品を使用でき、具体的にはイソチアゾリノン(Isothiazolinone)又はその誘導体を使用でき、例えば、メチルイソチアゾリノン(Methyl isothiazolinone:MIT、MI)、クロロメチルイソチアゾリノン(Chloromethyl isothiazolinone:CMIT、CMI、MCI)、ベンズイソチアゾリノン(Benzisothiazolinone:BIT)、オクチルイソチアゾリノン(Octylisothiazolinone:OIT、OI)、ジクロロオクチルイソチアゾリノン(Dichlorooctylisothiazolinone:DCOIT、DCOI)、ブチルベンズイソチアゾリノン(Butylbenzisothiazolinone:BBIT)等を使用できる。前記バイオサイドの含量は、スラリー組成物全体に対し、0.0001乃至0.05重量%、具体的には0.001乃至0.01重量%である。前記バイオサイドの含量が少なすぎると、微生物を抑制する効果が少ないことがあるし、多すぎると、スラリー組成物の分散性が低下することがある。
【0022】
又、本発明によるスラリー組成物は金属膜及び絶縁膜(SiO2)を研磨するのに利用されることができ、研磨対象がタングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属膜である場合、酸化剤(oxidizing agent)を更に含むことができる。前記酸化剤は金属膜の表面に酸化膜を早く形成して金属膜の研磨を容易にするためのもので、化学-機械的研磨用スラリー組成物に使用される通常の酸化剤を制限なく使用でき、具体的には、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム及びこれらの混合物を使用できる。前記酸化剤はウェハー、基板等の金属膜を相応する酸化物に酸化させる。前記酸化剤の含量は、スラリー組成物全体に対し、0.005乃至10重量%、具体的には0.2乃至5重量%である。前記酸化剤の含量が少なすぎると、金属膜の研磨速度が低下されることがあり、多すぎると研磨効率が低下されることがある。
【0023】
前記研磨対象がタングステン金属膜である場合、触媒(catalyst)を更に含むことができる。前記触媒は、通常的に化学-機械的研磨用スラリー組成物に使用される触媒を制限なく使用でき、具体的には、ナノフェロシリコン(FeSi)、鉄塩化合物(例えば、硝酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、酢酸鉄等)等を使用できる。前記触媒の含量は、スラリー組成物全体に対し、0.00001乃至0.5重量%、具体的には0.001乃至0.05重量%である。前記触媒の含量が少なすぎると、金属膜の研磨速度が低下されることがあり、多すぎると反応性が過度に増加し研磨速度が不均一になることがある。
【0024】
本発明による化学-機械的研磨用スラリー組成物は0.001乃至20重量%の研磨剤、0.000006乃至0.01重量%のアルミニウム及び残り水を混合し攪拌して製造できるが、必要によって、0.0005乃至5重量%のpH調節剤、0.0001乃至0.05重量%のバイオサイド、0.005乃至10重量%の酸化剤及び0.00001乃至0.5重量%の触媒を更に含むことができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
【0026】
[実施例1乃至11及び比較例1乃至4]スラリー組成物の製造
【0027】
下記表1に表した含量の成分を常温で混合し、機械的攪拌機(Mechanical stirrer)で攪拌し、スラリー組成物(実施例1乃至11及び比較例1乃至4)を製造した。
【0028】
【0029】
[実験例1]スラリー組成物の経時変化確認
【0030】
前記実施例1乃至11及び比較例1乃至4で製造されたスラリー組成物を6ヶ月間常温保管した後、pH分析器(Metrohm 704、Metrohm)及び粒度分析器(ELS-Z、Otsuka Electronics)を利用して、それぞれのpH及び粒度の経時変化を測定してpHの経時変化を下記表2に、粒度の経時変化(単位:nm)を下記表3に表した。
【0031】
【0032】
【0033】
前記表2に表した通り、アルミニウムを0.000004重量%適用した比較例3の場合、比較例1に対比してpH経時変化量が減少されたが、効果が足りない反面、アルミニウム含量が0.000006重量%以上適用した実施例1乃至11及び比較例4は比較例1乃至3対比pH経時変化がほとんど発生しないことを知ることができる。又、前記表3に表した通り、アルミニウムを0.000004重量%適用した比較例3の場合、粒子大きさ変化がほとんど発生しなかったがpH変化抑制効果が足りないし、アルミニウムを0.000006乃至0.01重量%適用した実施例1乃至11の場合比較例1乃至2対比粒子大きさ(particle size)経時変化がほとんど発生しない結果を表す。しかし却ってアルミニウム含量が0.01重量%以上である場合、比較例4のように比較例1対比粒子大きさ(particle size)が却って増加する結果を確認できるので、適正含量を使用してこそ経時変化が発生しないようするのに効果的であることを知ることができる。
【0034】
[実験例2]研磨速度実験の測定
【0035】
アプライド・マテリアルズ社(Applied Materials社)のMirra 3400研磨装備(Polisher)にIC-1010研磨パッド(Rohm&Haas社製品)を付着し、8インチタングステン(W)及び8インチ絶縁膜(PE-TEOS)ブランケットウェハー(blanket wafer)を装着した。次に、前記実施例1乃至8及び比較例1乃至4で製造されたスラリー組成物を注入して前記ウェハーに供給しながら、タングステン膜(W)及び絶縁膜を60秒の間研磨したし、この時、前記実施例7、8及び比較例2はスラリー組成物を注入する前に過酸化水素2重量%を追加に混合して研磨したし、前記研磨条件を下記表4に表した。前記過酸化水素はスラリー組成物と混合された以後に過酸化水素が酸化剤に使用されると分解されるので、研磨する前に混合する。下記表4のIC圧力、RR圧力、EC圧力、UC圧力はそれぞれInter Chamber Pressure、Retainer Ring Pressure、External Chamber Pressure、Upper Chamber Pressureとして、ウェハーが装着されるHead内領域別圧力条件を表したものである。
【0036】
【0037】
タングステン(W)膜及び絶縁膜の研磨速度(Removal Rate、単位:Angstrom(Å)/min、以下R/R)をそれぞれ抵抗測定機(CMT-2000、4-point probe、(株)チャンミンTech製品/Thermawave OP-2600、KLA TENCOR製品)で測定した結果を下記表5(SiO2研磨速度)及び表6(タングステン(W)研磨速度)に表した。ここで、“研磨速度=CMP前厚さ-CMP後厚さ”の計算を利用して求めた。
【0038】
【0039】
【0040】
前記表5及び6に表した通り、塩化アルミニウムの含量が増加することによりSiO2研磨速度に影響を及ばないことを知ることができて、前記実施例7及び8のように塩化アルミニウム及び硫酸アルミニウムカリウムをそれぞれ0.01重量%適用した場合、比較例2対比タングステンの研磨速度に影響を及ばないことを知ることができる。
【0041】
[参考例1乃至10]シラノール基数に従うスラリー組成物のスクラッチ抑制効果測定
【0042】
下記表7に表した通りのような表面シラノール基数を持つコロイダルシリカ5重量%、pHを2.5で調節するためのpH調節剤(硝酸又は水酸化テトラメチルアンモニウム)及び残り蒸留水を含むスラリー組成物を製造した。シラノール基数(ρ[個/nm2])の測定は、滴定法(Titration)を使用して次のように遂行した。まず、分析容器内にシリカの総面積が90m2になるように適量(100ml以下)の溶液を製造して滴定用サンプル(X[ml])を用意する。次に、0.1M HNO3水溶液を使用してスラリー組成物のpHを3に調整し、pH変化量が0.01以下になるときまで十分に安定化させる。その後、0.1M NaOH水溶液を使用して0.5mV/min以下の速度でpH10まで滴定し、滴定溶液のH+及びOH- mol数変化がない領域に対する0.1M NaOH所要量(Y[mol])を求める。ここに、滴定用サンプルの初期量(X[ml])で分けてシリカ粒子に吸着した[OH-](B[mol/L])を求める(B=Y/X)。下記数式2からシリカ粒子が持つシラノール基密度を算出した。
【0043】
【0044】
ここで、NA[個/mol]はアボガドロ数、SBET[m2/g]はシリカ粒子の比表面積、Cp[g/L]はシリカ粒子の濃度をそれぞれ表す。
【0045】
製造されたスラリー組成物を利用し、絶縁膜(PE-TEOS)ブランケットウェハー(blanket wafer)を60秒の間研磨した後、Negevtech defect inspection装備を利用して、ウェハーに形成されたスクラッチ(scratch)の個数を測定した。又、前記スラリー組成物のSiO2絶縁膜研磨速度及び常温で30日保管前後のpH変化量を測定し、表7に一緒に表した。
【0046】
【0047】
前記表7に表した通り、シリカ表面にシラノール基数が多くなることによってOxide研磨速度が増加する反面Scratchは減少することを知ることができる。又研磨剤表面のシラノール基数が増加することによって常温で保管時pHが増加する現状が確認されたし、特に10個/nm2以上である場合pH変化量が急激に増加することを確認した。
【0048】
[実施例12乃至23、比較例5乃至10]シラノール基数及びアルミニウム含量によるスラリー組成物の長期保管安定性測定
【0049】
下記表8に表した通りのような表面シラノール基数を持つコロイダルシリカ5重量%、多様な含量の硫酸アルミニウム、pHを2.5に調節するためのpH調節剤(硝酸又は水酸化テトラメチルアンモニウム)及び残り蒸留水を含むスラリー組成物を製造した。製造されたスラリー組成物の時間経過によるpH変化量及び粒度変化量を測定して表9に表した。
【0050】
【0051】
【0052】
前記表9に表した通り、スラリー内シリカ表面のシラノール基数とアルミニウム含量を掛けた値が0.0005≦(S*C)*100≦4.5を満足するとき常温でより効率的に長期間pHを安定化させることができることを知ることができる。比較例9及び10のように、(S*C)*100が4.5を超過する場合にはpHは安定化される反面、粒度が急激に増加したし、比較例5乃至8のように(S*C)*100が0.0005未満である場合にはpH安定化効果が足りなかった。