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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】食料品用の保存容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/24 20060101AFI20220301BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B65D1/24
B65D81/32 U
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018567145
(86)(22)【出願日】2017-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 DE2017100326
(87)【国際公開番号】W WO2017220067
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】202016103346.2
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518383600
【氏名又は名称】エムザ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サイモン ディンケラー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ポーランド
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202014103147(DE,U1)
【文献】特開平10-119950(JP,A)
【文献】特開平10-327927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/24
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料品用の保存容器(100)であって、硬質のプラスチックから成る少なくとも1つの上へ開いた基体によって構成されており、前記基体は、少なくとも1つの周りを取り囲んでいる蓋受け縁(12、22)を有しており、かつ少なくとも2つの部分深皿(10、20)に分割されている保存容器(100)において、
- 前記部分深皿(10、20)は、袖形蝶番(30)を介して旋回可能に相互に結合されていること、
- 前記蓋受け縁(12、22)は、前記相互に結合された部分深皿(10、20)の共通の外周に沿って延びており、かつそれぞれ前記袖形蝶番(30)の端面で中断されていること、
- 各々の部分深皿(10、20)には、中断された前記蓋受け縁(12、22)の端部の間に、少なくとも1つのエラストマー性の封止性突起片(31、32)が形成されていること、および
前記部分深皿(10、20)はその互いに面した側でそれぞれ、高さを下げた側壁の内側縁(13、23)を有していることを特徴とする保存容器(100)。
【請求項2】
前記袖形蝶番(30)はフィルムヒンジとして形成されており、前記フィルムヒンジは、前記部分深皿(10、20)と同じプラスチックから成っていることを特徴とする請求項1に記載の保存容器(100)。
【請求項3】
前記袖形蝶番(30)はエラストマー性の素材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の保存容器(100)。
【請求項4】
前記エラストマー性の封止性突起片(31、32)は、前記袖形蝶番(30)に付加成形されていることを特徴とする請求項3に記載の保存容器(100)。
【請求項5】
前記袖形蝶番(30)は、下の層および上の層から成っており、前記下の層はフィルムヒンジとして形成されており、前記フィルムヒンジは前記部分深皿(10、20)と同じプラスチックから成っており、かつ前記上の部分層は熱可塑性のエラストマーから構成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の保存容器(100)。
【請求項6】
前記エラストマー性の封止性突起片(31、32)は、前記内側縁(13、23)に載っていることを特徴とする請求項1または5に記載の保存容器(100)。
【請求項7】
前記袖形蝶番(30)は屈曲線(35)を有しており、前記屈曲線(35)は、前記内側縁(13、23)の間の中心に配置された前記袖形蝶番(30)の中心軸からは外れて走っていることを特徴とする請求項1、5、または6のいずれか一項に記載の保存容器(100)。
【請求項8】
前記袖形蝶番(30)の壁厚は、前記屈曲線(35)に沿って減少していることを特徴とする請求項7に記載の保存容器(100)。
【請求項9】
前記基体は、大きな部分深皿と小さな部分深皿(10、20)に分割されており、かつ前記屈曲線(35)は、前記小さな部分深皿(20)の前記内側縁(23)より前記大きな部分深皿(10)の前記内側縁(13)の近くを走っていることを特徴とする請求項7または8に記載の保存容器(100)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の保存容器(100)を備え、および両方の部分深皿(10、20)を覆う蓋(40)を備えた保存容器セットであって、前記蓋(40)はその下面に、少なくとも1つの無端で周りを取り囲んでいる封止面(43)を有しており、前記封止面(43)は前記蓋受け縁(12,22)に当接可能であり、かつ前記封止面(43)、前記封止性突起片(31、32)と当接し、密封を形成するために平らな下面を有する、保存容器セット。
【請求項11】
前記部分深皿(10、20)の外周には少なくとも1つずつの係止突出部(11、21)が、関節式に前記蓋(40)に接合されたスナップ側板(41、42)と噛み合うために形成されていることを特徴とする請求項10に記載の保存容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品用の保存容器に関し、この保存容器は、硬質のプラスチックから成る少なくとも1つの上へ開いた基体によって構成されており、この基体は、少なくとも1つの蓋受け縁を有しており、かつ少なくとも2つの部分深皿に分割されている。
【背景技術】
【0002】
周りを取り囲んでいるスナップ突出部を有しており、かつ蓋で密閉することができ、蓋の方では関節式に接合されたスナップ側板を有している容器は、例えば特許文献1に示されている。それは、家庭内で保存のために多種多様に使用でき、水っぽいまたは液状の食料品の保存にも使用できる。このような保存容器は、詰めるべき食料品の大きさに応じて適切な容器容積を選択できるよう、複数の大きさで提供されている。これに関しては各々の保存容器が、その断面に合わせて作られた蓋で個々に密閉される。
【0003】
さらに、深絞り加工された使い捨て包装が知られており、これらの使い捨て包装では、2つの部分深皿が規定破断線に沿って相互に結合しており、したがって一方の部分深皿をもう一方の部分深皿に対してパタンと折り上げることができ、かつ部分深皿の中身をもう一方の部分深皿に流し込むことができ、これにより例えばミューズリーをヨーグルトにまたはチョコレートフレークを凝乳デザート(Quarkspeise)に流し込むことができる。
【0004】
特許文献2からは、複数の部分から成る保存容器が知られており、この保存容器では、異なる食料品を運べるように2つの部分容器が相互に連結されている。各々の部分深皿を専用の蓋で密閉することができる。つまり開閉するには、2つの別々の蓋をそれぞれ載置および密閉しまたは再び取り外さなければならない。一方の部分をもう一方の部分に対して高旋回させることで部分深皿の中身を互いの中へ流し込むことは、このような家庭用の保存容器では実施できず、なぜならこれは、硬質かつ比較的肉厚で熱可塑性のプラスチックから構成されており、長い耐用期間のために設計されており、したがって規定破断線は考慮されていないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2004/0084464号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009032198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、少なくとも2つの部分深皿を備えており、一方の部分深皿の中身をもう一方の部分深皿にあけることができ、各々の部分深皿用に別個の蓋が個々に必要ではない保存容器を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、保護請求項1の特徴を有する保存容器によって解決される。
【0008】
本発明によれば、部分深皿は、関節式に、つまりいわゆる袖形蝶番によって相互に結合されている。袖形蝶番の領域は、基体の外輪郭の中断部である。上の蓋受け縁は確かにほぼ連続しており、詳しくは一方の部分深皿の外側から、それと同一線上に配置されたもう一方の部分深皿の縁へとほぼ連続している。しかし蓋受け縁は袖形蝶番の両側で、つまりその両方の端面の領域でそれぞれ中断されている。そのうえ部分深皿の互いに向かい合う側壁は、外周の側壁ほどは高くない。外周を走っており、同様に硬質の素材コンポーネントから構成された蓋受け縁が、袖形蝶番の領域からは除去されていることで、両方の関節式に相互に結合された部分深皿の旋回が可能である。
【0009】
好ましいのは、硬質の素材から構成された部分深皿の側壁が、沈下した縁を有しており、かつ袖形蝶番が、おおよそこの低くなった縁の高さに配置されていることである。
【0010】
本発明の本質をなすのは、袖形蝶番の領域の部分深皿が、両方の部分深皿の専有面積全体を一緒にカバーする1つだけの蓋を使用できるように形成されていることである。統一的な蓋を使用することで、両方の部分深皿をそれらの柔軟な結合部の領域内で支え、したがって保存容器と蓋が相互に結合していれば、既知の容器に比べて変化したまさにこの領域で比較的大きな変形が起きる可能性はない。そのうえ基体は、それぞれの小さな中断部を除く袖形蝶番の両側では、仕切りだけを備えた既知の保存容器と同一に形成されており、したがって既存の蓋要素を活用することができる。基体での蓋の係止および密封は、現況技術から知られているのと同じように、詳しくはとりわけ関節式に蓋要素に接合されたスナップ側板を介して行われ、このスナップ側板が、基体の外周に形成された係止突出部の下でスナップフィットする。
【0011】
さらに、本発明に基づいて分割された基体でも気密性および液密性を達成するため、各々の部分深皿はエラストマー性の封止性突起片を有している。これは、蓋受け縁の端部の間に延びており、したがって各々の部分深皿では途切れ目のない縁輪郭が形成されており、この縁輪郭のうち少なくとも一方の部分は硬質のコンポーネントから、もう一方の、袖形蝶番の領域にある部分は軟質のコンポーネントから構成されている。したがって、その下面に無端の封止面を有する蓋を載置すると、周りの主な部分では、各々の部分深皿の硬質の蓋受け縁がこの封止面に当接する。まだ短手結合部が存在していない場所では、部分深皿の完全な密封を達成するため、袖形蝶番の領域で、軟質エラストマー性の封止性突起片が蓋下面に当接する。最端部での、硬質の蓋受け縁への接続領域では、軟質の封止性突起片が、それが蓋の下面の封止面にも当接することにより、残りの間隔を橋絡する。
【0012】
袖形蝶番は、例えばTPEから製作されており、かつ硬質熱可塑性の部分深皿の壁と直接的に結合している。
【0013】
さらに袖形蝶番は、少なくとも、複数の層の1つではフィルムヒンジとして形成することができ、このフィルムヒンジは、部分容器もそれから成っている同じ硬質で熱可塑性のプラスチックから成っている。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態は、両方の部分容器をこのようなフィルムヒンジによって結合し、かつその上に、追加的に軟質弾性のコンポーネントを層として射出成形する。この場合、封止性突起片を、袖形蝶番のエラストマー性の部分層と一緒に一体的に製造できることが有利である。これにより、一方では硬質のコンポーネントによって剛性および復元作用が達成され、それも、例えば部分容器の一方が、ユーザが保存容器をそれぞれもう一方の部分容器をつかんで高く持ち上げる際に強く垂れ下がらないような、ならびに蓋の載置および係止に関連するさらなる取扱いも簡単に可能であるような剛性および復元作用が達成される。他方では、必要な場合に一方の部分容器をもう一方の部分容器に対して高旋回または屈折させ得るよう、袖形蝶番の領域の良好な柔軟性が達成される。
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による保存容器の出発状態の長手断面図である。
図2】本発明による保存容器のパタンと倒された位置での長手断面図である。
図3】載置された蓋を備えた保存容器の密閉状態を示す図である。
図4】蓋のない保存容器の上からのパースが緩い透視図である。
図5】袖形蝶番の領域内の保存容器の細部の上からの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、2つの互いに分離した部分容器10、20から成る保存容器100を示している。部分容器10、20はそれぞれ上に向かっては、蓋受け縁12、22で終端している。蓋受け縁12、22は、両方の部分容器10、20の図示した出発位置では同じ平面内にある。部分容器10、20の外側には係止突出部11、21が付加成形されている。硬質で熱可塑性のプラスチックから構成された部分容器10、20は、互いに面した側ではそれぞれ、平画面内を真っすぐに走っている内側縁13、23で終端している。内側縁13、23の間に弾性の袖形蝶番30が付加成形されており、この袖形蝶番30を介して両方の部分深皿10、20が関節式に相互に結合されている。内側縁13、23の上方では袖形蝶番30がそれぞれ、上へ突き出ているエラストマー性の封止性突起片31、32を有している。
【0018】
図4は、出発状態の保存容器100を長手側からパースが緩い透視図で示している。係止突出部11、21および蓋受け縁12、22をはっきりと認識できる。蓋受け縁12、22または係止突出部11、21は袖形蝶番30の領域内では、確かに互いに向かって延びてはいるが、そこで明らかに中断されてもいる。
【0019】
袖形蝶番30には屈曲線35が、例えば局所的な材料弱化によって形成されている。屈曲線35は、両方の部分深皿10、20の間の中心に配置されているのではなく、大きな部分深皿10のより近くに配置されている。
【0020】
図2では、保存容器100の使用位置を示しており、この使用位置では、小さな部分容器20が高旋回しており、その一方で大きな部分容器10はその出発姿勢にあり続けている。その際、袖形蝶番30は屈曲線35の領域で屈曲している。袖形蝶番30のそのほかの領域、詳しくはとりわけ封止性突起片31、32は、それによって害されないでいる。袖形蝶番30は、中心を外れて配置された屈曲線35により、大きな部分容器10でのより狭い部分33と、小さな部分容器20でのより広い部分領域34とに分かれている。ヒンジ線または屈曲線35が中心を外れて配置されることで、封止性突起片32の上縁は、断面で見ると、封止性突起片31の上方まで行っている円軌道上を旋回する。つまり封止性突起片31、32は衝突せず、したがって一方の部分容器20のもう一方の部分容器10に対する旋回は、90度の角度だけでなく、そこを越えてもまだ可能である。これにより、小さな部分容器20のうち袖形蝶番30に面した側壁24を、斜めに下に向くように配置できる。よって小さな部分容器20内に収容されている食料品が、より容易にさらさら落ちるまたは流れ出ることができる。
【0021】
図3では、さらなる長手断面図で、保存容器100と、それ自体で知られている蓋要素40とから成る完全な保存容器セットを示している。外側では、蓋要素40がその封止面43で蓋受け縁12、22に載っている。スナップ側板41、42は、係止突出部11、21の下にスナップフィットしており、これにより、蓋40を封止面43の領域で蓋受け縁12、22上にしっかりとプレスする押圧力が引き起こされている。
【0022】
基体を分割している袖形蝶番30の領域では、密封が、蓋下面の追加的なエラストマー性の封止面によってではなく、袖形蝶番30の領域内のエラストマー性の封止性突起片31、32を介して引き起こされている。これらが変形し、かつ存在する押圧力によって蓋40の平滑な下面にしっかりと押しつけられており、したがってそこにも気密性および液密性の結合が存在している。
【0023】
耐密性に関しては、容器側では軟質の封止性突起片31、32と硬質の蓋受け縁12、22との間の移行部に、およびそこにあたる、蓋の外側での弾性の封止面とその中側での平滑な蓋面との間の移行部に、特別な注意が向けられている。図5では、蓋の弾性の封止面43の境界を一点鎖線で示唆している。封止面43が通常通り、蓋受け用の縁より明らかに幅広いことが認識できる。このことは、蓋40を簡単に載置することで、および複雑なアライメントなしで、確実な密封を達成するのに必要である。つまり小さな移行領域内では、弾性の封止性突起片31、32が、蓋40の同様に弾性の封止性面43に当接するので、各々の封止性突起片31、32が、厳密にこの領域内では少し上り勾配に形成されており、これにより必ずオーバーサイズが存在し、かつ蓋40を係止する際に弾性のコンポーネントが押しつぶされることで、確実な密封を達成することができる。
【0024】
図5からはさらに、袖形蝶番が下の層37および上の層36を含んでいることが分かる。上の層36は、好ましくは熱可塑性のエラストマーから成っており、両方の封止性突起片31、32を相互に結合している。下の層37はこれに対し、硬質で熱可塑性のプラスチックから成る橋であり、この橋は、両方の部分容器10、20を結合しており、かつ屈曲線35の領域ではフィルムヒンジとして形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5