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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】優れた回復を示す高ロフトの不織ウェブ
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20220301BHJP
   D04H 3/007 20120101ALI20220301BHJP
   D01F 6/06 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/007
D01F6/06 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019184292
(22)【出願日】2019-10-07
(62)【分割の表示】P 2016567456の分割
【原出願日】2015-01-29
(65)【公開番号】P2020020088
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2019-11-06
(31)【優先権主張番号】14/167,366
(32)【優先日】2014-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516230087
【氏名又は名称】バイアックス ファイバーフィルム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100215670
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 直毅
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】スターク ジェフリー
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-545440(JP,A)
【文献】特表2010-511488(JP,A)
【文献】特表2010-534493(JP,A)
【文献】特開昭56-068152(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102398(WO,A1)
【文献】特開2009-221618(JP,A)
【文献】第2版 繊維便覧,1994年03月25日,349頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D01D 5/08
D01F 1/00-6/69
D01F 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織ウェブの製造方法であって、前記方法が、ダイから収集器への距離が45cm~75cmとなるようにフィラメントを排出、放出、又は押出すことによって、多重列紡糸口金を有するメルトブローダイにより層を形成する工程を含み、前記ウェブが、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を含み、前記ウェブが、250ミリメートル未満の厚さ及び0g/m2,000g/m2の間の範囲の基本質量を有し、前記ウェブが、熱的に結合されており、前記ウェブの鉛直断面図が、機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、前記略V型、U型、又はC型の構造の各々が、前記機械方向に向く尖部を有し、前記ウェブが、1720Paの圧力下で30分間圧縮した後に0%~99%の間の範囲の回復値を有する、織ウェブの製造方法。
【請求項2】
前記ウェブが、ポリプロピレンから形成され、かつ0kg/m350kg/m3の間の範囲の密度を有する、請求項1に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項3】
前記ウェブが、230℃の温度及び2.16kgの圧力で10分間あたり1,550グラムのメルトフローレートを有するポリオレフィンから形成されている、請求項1に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項4】
前記ウェブが、230℃の温度及び2.16kgの圧力でg/10分間~,000g/10分間の間の範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンから形成されている、請求項1に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項5】
前記ウェブが、添加物を含有する、請求項1に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項6】
前記添加物が、超吸収剤、吸収性粒子、ポリマー、ナノ粒子、研磨微粒子、活性粒子、活性化合物、イオン交換樹脂、ゼオライト、柔軟剤、可塑剤、セラミック粒子、顔料、染料、風味料、芳香剤、制御放出小胞、結合剤、接着剤、粘着性付与剤、表面改質剤、滑沢剤、乳化剤、ビタミン、過酸化物、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、遅燃剤、消泡剤、静電防止剤、殺生物剤、抗真菌剤、分解剤、安定剤、伝導性改質剤、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項7】
前記ウェブが、少なくとも2つの分離した別個の層を含み、前記ウェブが2つの主要面を有し、前記主要面のうちの少なくとも1つがテクスチャード加工されている、請求項1に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項8】
織ウェブの製造方法であって、前記方法が、ダイから収集器への距離が45cm~75cmとなるようにフィラメントを排出、放出、又は押出すことによって、多重列紡糸口金を有するメルトブローダイにより層を形成する工程を含み、前記ウェブが、少なくとも2つの層を含み、各々がx方向、y方向、及びz方向で配向された繊維を備えた三次元構造を有し、前記ウェブが、00ミリメートル未満の厚さ及び0g/m2,000g/m2の間の基本質量を有し、前記ウェブが、ポリプロピレンから形成され、かつ熱的に結合されており、前記ウェブの各層の鉛直断面図が、機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、前記略V型、U型、又はC型の構造の各々が、前記機械方向に向く尖部を有し、前記ウェブが、1720Paの圧力下で30分間圧縮した後に0%~5%の間の範囲の回復値を有する、織ウェブの製造方法。
【請求項9】
前記ウェブが2つの主要面を有し、前記主要面のうちの少なくとも1つがテクスチャード加工されている、請求項8に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項10】
前記ウェブが、超吸収剤、吸収性粒子、ポリマー、ナノ粒子、研磨微粒子、活性粒子、活性化合物、イオン交換樹脂、ゼオライト、柔軟剤、可塑剤、セラミック粒子、顔料、染料、風味料、芳香剤、制御放出小胞、結合剤、接着剤、粘着性付与剤、表面改質剤、滑沢剤、乳化剤、ビタミン、過酸化物、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、遅燃剤、消泡剤、静電防止剤、殺生物剤、抗真菌剤、分解剤、安定剤、伝導性改質剤、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1又は2以上の添加物を含有する、請求項8に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項11】
織ウェブの製造方法であって、前記方法が、ダイから収集器への距離が45cm~75cmとなるようにフィラメントを排出、放出、又は押出すことによって、多重紡糸口金を有するメルトブローダイにより層を形成する工程を含み、前記ウェブが、繊維の少なくとも2つの層を含み、各々の層が複数のノズルを備えた異なる紡糸ヘッドから排出され、前記繊維が、フォーミングワイヤー上に堆積して、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を形成し、前記ウェブが、00ミリメートル未満の厚さ及び0g/m2,000g/m2の間の基本質量を有し、前記ウェブが、230℃の温度及び2.16kgの圧力で10分間あたり15g~30gのメルトフローレートを有するポリ乳酸から形成され、かつ熱的に結合されており、前記ウェブの鉛直断面図が、機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、前記略V型、U型、又はC型の構造の各々が、前記機械方向に向く尖部を有し、前記ウェブが、1720Paの圧力下で30分間圧縮した後に40%~90%の間の範囲の回復値を有する、織ウェブの製造方法。
【請求項12】
前記ウェブが2つの主要面を有し、前記主要面の両方がテクスチャード加工される、請求項11に記載の織ウェブの製造方法。
【請求項13】
前記ウェブが、超吸収剤、吸収性粒子、ポリマー、ナノ粒子、研磨微粒子、活性粒子、活性化合物、イオン交換樹脂、ゼオライト、柔軟剤、可塑剤、セラミック粒子、顔料、染料、風味料、芳香剤、制御放出小胞、結合剤、接着剤、粘着性付与剤、表面改質剤、滑沢剤、乳化剤、ビタミン、過酸化物、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、遅燃剤、消泡剤、静電防止剤、殺生物剤、抗真菌剤、分解剤、安定剤、伝導性改質剤、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1又は2以上の添加物を含有する、請求項11に記載の織ウェブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は優れた回復を示す高ロフトの不織ウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、スパンボンド、メルトブロー又はいくつかの他の押出プロセスによって形成されたポリマー繊維は、排出器(複数のノズルを備えたダイ等)から下流で、水平な方向にされたコンベヤーベルト上で収集される。かかるプロセスは、繊維が水平面に置かれるので、それらがx方向及びy方向に配向された2次元ウェブを生産する傾向がある。形成されたウェブでは、z方向に配向された繊維はたとえあるにしても非常に少ない。そのような理由で、完成したウェブは、一旦圧縮されれば回復を欠く傾向がある。このことは、かかる完成したウェブを、トラックによる輸送のために巻き上げるかもしくは積み重ねる必要があるか、又は離れた製造設備もしくは配送設備に送る必要がある場合、問題となる。ウェブが出荷中に締固められるか又は圧縮される場合、それらは元の厚さに回復する能力を欠く。加えて、一旦締固められるか又は圧縮される場合、かかるウェブは固く及び/又は堅くなる傾向があり、それらの孔構造は開口しなくなる。更に、かかるウェブのドレープ性が低下する可能性がある。機能的には、締固めされるか又は圧縮されたウェブが出荷後に近似的に初期のロフト厚へ回復することができない場合、断熱特性及び/又は防音特性のいくつかを失い、それによって、この目的のために所望されるものを下回る材料を供する。
【0003】
本明細書では、優れた回復を示す高ロフトの不織ウェブが提示される。
【発明の概要】
【0004】
簡潔には、本発明は優れた回復を示す高ロフトの不織ウェブに関する。
【0005】
高ロフトの不織ウェブは、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造である。ウェブは単層として構築すること又は2つ以上の層により形成することができる。ウェブは、約250ミリメートル未満の厚さ及び約50g/m2~約3,000g/m2の間の基本質量を有する。ウェブは、熱的結合装置、化学的結合装置、油圧機械結合装置、機械結合装置を使用して結合すること、又は非結合のままとすることができる。ウェブの鉛直断面図は、その機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、略V型、U型、又はC型の各々の構造は、機械方向に向く尖部を有する。ウェブは、IST 120.2(01)のガイドラインに従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の回復値を有する。
【0006】
x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を有する高ロフトの不織ウェブの生産のための装置も教示される。装置は、各々がフィラメントを排出する複数のノズルを有するダイを含み、複数のノズルの各々は遠位端を有する。一対の可動面は、各々の複数のノズルの遠位端からの約10cm~約150cmの間に位置する。一対の可動面は、入口及び出口を有する収束通路を形成する。また、装置は、一対の可動面の上に及びその間に複数のフィラメントを堆積させるための機構を含む。複数のフィラメントは収束通路を通って送られ、入口から出口へ順に移動して、三次元構造を形成する。装置は、その下流に位置決めされかつ一対の可動面に垂直に整列した、三次元構造を結合するための結合装置を更に含み、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維へと変換されたフィラメントを備えた高ロフトの不織ウェブを生成する。ウェブは、約250mm未満の厚さ及び約50g/m2~約3,000g/m2の間の範囲の基本質量を有する。高ロフトの不織ウェブの鉛直断面図は、機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、各々の略V型、U型、又はC型の構造は機械方向に向く尖部を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は水平な方向に対して90°回転されて、各々の尖部は右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に向くように所定位置で反転される。高ロフトの不織ウェブは、0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。
【0007】
高ロフトの不織ウェブを形成するプロセスは、複数のノズルを有するダイへ溶融ポリマーを導入する工程を含む。複数のノズルを介して溶融ポリマーを排出、放出、又は押出して、複数のフィラメントを形成する。次いで空気又は気体の流れを使用して、複数のフィラメントの移動及びドローイング/加速を容易にする。フィラメントは、複数のノズルから約10cm~約150cmの間で離れて位置する一対の可動面に向かって方向付けられる。一対の可動面は、入口及び出口を有する収束通路を形成する。複数のフィラメントは収束通路の入口の中へ堆積される。次いで、複数のフィラメントは収束通路を通って送られ、機械方向で入口から出口へ及び一対の可動面の間で順に移動して、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維へと変換されたフィラメントを備えた三次元構造を形成する。最後に、三次元構造を結合して、約250ミリメートル未満の厚さ及び約50g/m2~約3,000g/m2の間の範囲の基本質量を有する高ロフトの不織ウェブを形成する。高ロフトの不織ウェブの鉛直断面図は、その機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、各々の略V型、U型、又はC型の構造は機械方向に向く尖部を有する。高ロフトの不織ウェブは、0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。
【0008】
本発明の一般的な目的は、それを締固めて輸送することができるように、いかなる材料特性も失わずに、優れた回復を示す高ロフトの不織ウェブを提供することである。本発明のより具体的な目的は、良好な断熱値及び/又は防音値を備えた高ロフトの不織ウェブを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、寝具、室内装飾品、濾過、発泡体置換材料、及び緩衝材を利用する製品に使用できる、高ロフトの不織ウェブを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、圧縮後に約20%~約99%の間の回復を示す高ロフトの不織ウェブ、及び高い多孔性を示すかかるウェブを提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、圧縮後に約30%~約95%の間の回復を示す高ロフトの不織ウェブを提供することである。
【0012】
更に、本発明の目的は、圧縮後に約40%~約90%の間の回復を示す高ロフトの不織ウェブを提供することである。
【0013】
他の目的及び本発明の利点は、以下の記載及び添付の図面を考慮して当業者にさらに明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、各々の独自の形状の構造がウェブの機械方向に向く尖部を有する、本発明の高ロフトの不織ウェブの斜視図である。
図2】複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造を示し、各々の独自の形状の構造がウェブの機械方向に向く尖部を有する、高ロフトの不織ウェブの断面の鉛直断面図の概略図である。
図3】2層ウェブの横断面図である。
図4】多層ウェブの横断面図である。
図5】テクスチャード加工された上部表面及び下部表面を示す高ロフトの不織ウェブの別の実施形態の斜視図である。
図6図4に示される高ロフトの不織ウェブのテクスチャード加工された上部表面の概略図である。
図7】ダイの直下流に位置する一対の回転可能なドラムを利用する装置の概略図である。
図8】ダイの直下流に位置する一対の角度のあるコンベアーを利用する別の装置の概略図である。
図9】第1及び第2のメルトブローダイの間に配置したスパンボンドダイの組み合わせを使用する、さらに別の装置の概略図である。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
図1及び2を参照して、高ロフトの不織ウェブ10が示される。高ロフトの不織ウェブ10は、x方向、y方向、及びz方向に配向された、複数の繊維12を備えた三次元構造である。図1中で、X--Xは長手方向の中心軸を表わし、Y--Yは垂直の中心軸を表わし、Z--Zは横断した中心軸を表わす。「ウェブ」とは、織物、又はシートの形態で製造された材料を意味する。「高ロフト」とは、単位面積あたりの質量に対する厚さの大きな比率によって特徴づけられる、低密度の繊維状ウェブを意味する。ウェブ10の繊維は、連続又は不連続、結合又は非結合とすることができる。望ましくは、繊維12は連続的であり、繊維12のうちのいくつかは結合される。高ロフトのウェブは、体積で約5%~約60%の間で固体を有する。「不織」とは、織り糸に転換されず、当業者に公知の熱的、化学的、機械的、油圧機械的手段、又はいくつかの他の手段によって互いに結合される、天然繊維及び/又は人造繊維又はフィラメントのウェブ、シート又はバット(紙を除外する)を意味する。
【0016】
高ロフトの不織ウェブ10は多様な材料から形成することができる。高ロフトの不織ウェブ10は人造繊維から形成することができる。繊維はステープルファイバーとすることができる。典型的には、高ロフトの不織ウェブ10は、ポリマーから形成される。ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルエンジメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ナイロン、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリビニル、ポリテトラフルオロエチレン、超高分子量ポリエチレン、非常に高分子量のポリエチレン、高分子量ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、非繊維状可塑化セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-ブタジエン、スチレン-マレイン酸無水物、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、酢酸酪酸セルロース、可塑化セルロース化合物、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、天然繊維、その任意の誘導体、その任意のポリマーブレンド、その任意のコポリマー又はその任意の組み合わせからなる群から選択できる。化学技術分野における当業者は、本発明の高ロフトの不織ウェブの形成に使用することができる他のポリマーに精通している。本発明の高ロフトの不織ウェブ10は、上記で同定されたポリマーだけに限定されないことを理解されたい。
【0017】
高ロフトの不織ウェブ10は、様々な種類及びタイプの装置及びプロセスを使用して、形成又は製造することができる。高ロフトの不織ウェブ10の形成に使用できるいくつかの一般に公知の技術には、メルトブロー、スパンボンド、スパンメルト、溶液ブロー、エレクトロスピニング等の紡糸プロセスが含まれるが、これらに限定されない。加えて、高ロフトの不織ウェブ10は、乾式プロセス(繊維が2つの可動面の間のニップに置かれる場合、エアレイプロセス、カーディングプロセス又は任意の2つ以上のかかるプロセスの任意の組み合わせ等)によって製造することができる。製造された高ロフトの不織ウェブ10は結合又は非結合とすることができる。結合工程は、強度及び完全性を完成したウェブ10に付与する。
【0018】
「スパンボンド」とは、紡糸口金面の付近の繊維を冷やしながら低温の高速エアを使用して紡糸されたフィラメントを細くすることによって、熱可塑性ポリマーから強い繊維状不織布ウェブを直接生産するためのプロセスを意味する。次いで個別の繊維は、収集ベルト上にランダムに置かれ、次いで結合装置へ運ばれる。結合装置はウェブの強度及び完全性を付与する。繊維サイズは通常250μm未満であり、平均繊維サイズは約10ミクロン~約50ミクロンの間の範囲であり、メルトブローされた繊維と比較すると、結晶化した(固化した)フィラメントを細くする間に達成される分子鎖整列に起因して、この繊維は非常に強い。典型的なスパンボンドダイは複数列のポリマーノズル孔を有する。典型的なメルトフローレートは約500グラム/10分間未満である。
【0019】
「スパンメルト」とは、繊維が、1又は2以上の押出し機に接続されたダイヘッド中に位置する複数のノズルを介して、溶融ポリマーから紡糸されるプロセスを意味する。スパンメルトプロセスには、メルトブロー及び/又はスパンボンドを含むことができる。
【0020】
「メルトブロー」とは、高温の高速気流を使用して、複数の溶融ポリマー流を細くするプロセスを意味する。気体は、空気又は当業者に公知の他の気体とすることができる。次いで細くした繊維は、移動ベルト、コンベアー又は二重ドラム収集器上で収集される。典型的には、メルトブローダイは、1インチあたり約35のノズル、一列の紡糸口金、及び繊維流れを細くするための2つの傾斜した空気又は気体の噴流を有する。米国特許4,380,570号及びWO2005/106,085A1はメルトブロープロセスを教示し、そこでは、複数の列のポリマーノズルは空気ノズルによって囲まれ、それからの流れは互いに平行に整列される。
【0021】
さらに図1及び2を参照すると、高ロフトの不織ウェブ10は、材料の単層14として構築することができる。高ロフトの不織ウェブ10は装置を使用して形成することができ、空気又は気体を使用して、複数のノズルを介して溶融ポリマーを移動し複数のフィラメントに延伸することを促進する。複数のフィラメントの各々は単一ノズルを通って排出される。
【0022】
図3及び4を参照すると、2つの分離した別個の層(14及び16、図3を参照)の高ロフトの不織ウェブ10’を形成すること、又はウェブ10''は多層(図4を参照)を有することができることを理解されたい。「多層」とは、3、4、5、6、7又はそれ以上の分離した別個の層を意味する。層のうちのいくつかは、組成物及び特徴が別の層に類似する及び/又は同一とすることができ、その一方で、1又は2以上の層は残りの層のうちの1又は2以上とは組成物及び/又は特徴が異なることができる。図4において、分離した別個の3つの層18、20及び22が存在する。ウェブ10(単層14からなる)、ウェブ10’(2つの層14及び16からなる)、又はウェブ10''(3つの層18、20及び22からなる)が結合されて、強度及び完全性を付与できることを理解されたい。
【0023】
図3において、ウェブ10’は上部層14及び下部層16を有する2つの層の実施形態である。図4において、ウェブ10''は上部層18、中間層20及び下部層22を有する3つの層の実施形態である。2つ以上の層が完成した不織ウェブ中に存在する場合、各々の層が作製されるポリマーのタイプを異なるものにすることができることを理解されたい。加えて、所定の層の特徴を異なるものにすることができる。例えば、ある層の特徴は別の層とは異なることができる。ウェブ10''中の各々の層の厚さは異なるか又は同じとすることができる。ウェブ10''中の各々の層の密度も異なるか又は同じとすることができる。ウェブ10''中の各々の層の基本質量も異なるか又は同じとすることができる。
【0024】
図1及び2を再び参照すると、高ロフトの不織ウェブ10は単層構造として図示される。高ロフトの不織ウェブ10は、寸法が異なることができる厚さtを有する。一般的に、高ロフトの不織ウェブ10の厚さtは、約5ミリメートル(mm)~約300mmの間の範囲とすることができる。望ましくは、高ロフトの不織ウェブの厚さtは約250ミリメートル未満である。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の厚さtは約200mm未満である。さらにより望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の厚さtは約100mm未満である。最も望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の厚さtは約50mm未満である。2つ以上の層が完成したウェブ10’又は10''中に存在する場合、ウェブ10’又は10''の全厚は、どれだけの層が存在するかに依存して、2倍、3倍等になる場合がある。
【0025】
高ロフトの不織ウェブ10は異なる基本質量により形成することができる。一般的に、高ロフトの不織ウェブ10の基本質量は、1平方メートル(g/m2)あたり約50グラム~約3,000g/m2の間の範囲である。望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の基本質量は、1平方メートル(g/m2)あたり約750グラム~約2,500g/m2の間の範囲である。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の基本質量は、1平方メートル(g/m2)あたり約100グラム~約1,000g/m2の間の範囲である。さらにより望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10の基本質量は約600g/m2未満である。
【0026】
また、高ロフトの不織ウェブ10の密度は異なることができる。一般的に、高ロフトの不織ウェブ10は、1立方メートル(kg/m3)あたり約10キログラム~約250kg/m3の間の範囲の密度を有する。望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、約20kg/m3~約200kg/m3の間の範囲の密度を有する。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、約30kg/m3~約150kg/m3の間の範囲の密度を有する。さらにより望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、約40kg/m3~約100kg/m3の間の範囲の密度を有する。
【0027】
高ロフトの不織ウェブ10は結合又は非結合とすることができる。望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は結合される。一般的には、結合は、強度及び完全性をウェブ10へ付与する。結合は、当業者に公知の異なるタイプの装置及びプロセスを使用して行うことができる。様々な結合装置としては、機械的結合装置(ニードル結合等)、油圧機械式結合装置(湿式結合としても公知)、熱的結合装置(スルーエア結合及びオーブン熱結合、及び化学的結合を含む)を挙げることができる。いずれのタイプの結合装置を利用しても、繊維12、14、16、18、20及び22のうちの一部を一緒に結合して、高ロフトの不織ウェブ10、10’及び10''をより強くするようになっている。
【0028】
更に、高ロフトの不織ウェブ10は、ASTM D 1238試験方法の教示に従って、230℃の温度及び2.16kgの圧力で約4g/10分間~約6,000g/10分間の間の範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンから形成することができる。望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、230℃の温度及び2.16kgの圧力で約35g/10分間~約2,500g/10分間の間の範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンから形成することができる。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、230℃の温度及び2.16kgの圧力で約500g/10分間~約2,000g/10分間の間の範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンから形成することができる。最も望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、230℃の温度及び2.16kgの圧力で約500g/10分間~約1,500g/10分間の間の範囲のメルトフローレートを有するポリプロピレンから形成することができる。
【0029】
図2を再び参照すると、概略図は、機械方向(MD)に平行に見た、高ロフトの不織ウェブ10の鉛直断面図を明示する。高ロフトの不織ウェブ10の形成の間に、材料は左側から右側に向かって進む。高ロフトの不織ウェブ10の最先端は右側にある。高ロフトの不織ウェブ10は、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示す。これらのV型、U型、又はC型の構造24は図1でも図示される。略V型、U型、又はC型の構造24の各々は、機械方向(MD)に向く尖部26を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は、水平方向に対して90°回転され、各々の尖部が右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に向くように、所定位置で反転される。この特有な構造は、形成時に繊維12を置く方法に起因して生じる。この特有な構造は、高ロフトの不織ウェブ10に非常に高い回復値を与えるために重要である。高ロフトの不織ウェブは、INDA標準試験方法(IST 120.2(01))のガイドラインに従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。望ましくは、高ロフトの不織ウェブは、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約30%~約95%の間の範囲の回復値を有する。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブは、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約40%~約90%の間の範囲の回復値を有する。さらにより望ましくは、高ロフトの不織ウェブは、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約50%~約80%の間の範囲の回復値を有する。
【0030】
オフラインで積層される場合、2層のウェブ10’の各々の層(図3に示す)及び3層のウェブ10''の各々の層(図4に示す)は、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示すが、図9に示されるようにそれらが異なる紡糸ヘッドから同時に混合される場合、それらは1つの緊密に積み重ねられて構造化された略V型、U型、又はC型の構造を示すことを理解されたい。この種類の混合された高ロフトの構造は、異なる繊維サイズ、異なるポリマー材料、及び/又は異なる繊維横断面を有することができる。
【0031】
図3を再び参照すると、2層のウェブ10’はx方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を有する。この2つの層のウェブ10’は、約5ミリメートル~約500ミリメートルの間の厚さt1及び約50g/m2~約2,000g/m2の間の基本質量を有する。2層のウェブ10’は結合する必要はないが、望ましくは熱的に又は化学的に結合される。あるいは、ウェブ10’は、機械的に又は油圧機械的に結合することができる。ウェブ10’の2つの層(14及び16)の各々は、2層のウェブ10’の製造の間に機械方向(MD)に平行に見た場合の鉛直断面図を示し、それは複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示す。略V型、U型、又はC型の構造24の各々は、機械方向(MD)に向く尖部26を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は水平な方向に対して90°回転され、各々の尖部は右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に向くように、所定位置で反転される。2層のウェブ10’は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。望ましくは、2層のウェブ10’は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約30%~約95%の間の範囲の回復値を有する。より望ましくは、2層のウェブ10’は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約40%~約90%の間の範囲の回復値を有する。さらにより望ましくは、2層のウェブ10’は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約50%~約80%の間の範囲の回復値を有する。
【0032】
混合された繊維状材料から2つの分離した層14及び16として2つの層のウェブ10’を形成でき、各々の層は、例えば、異なる繊維サイズを有する、異なる材料から形成される、異なる繊維横断面を有することを理解されたい。更に、2つの層のウェブ10’を1又は2以上の層に積層することができる。追加層は、熱可塑性フィルム、フィルム、別の不織材料、紙、ボール紙等とすることができる。
【0033】
図4を再び参照すると、3層のウェブ10''は、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を有する。この3つの層のウェブ10''は、約5ミリメートル~約750ミリメートルの間の厚さt2及び約50g/m2~約2,000g/m2の間の基本質量を有する。3層のウェブ10''は結合する必要はないが、望ましくは熱的に又は化学的に結合する。あるいは、ウェブ10''は、機械的又は油圧機械的に結合することができる。ウェブ10''の3つの層(18、20及び22)の各々は、ウェブ10''の製造の間に機械方向(MD)に平行に見た場合の鉛直断面図を示し、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示す。略V型、U型、又はC型の構造24の各々は、機械方向(MD)に向く尖部26を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は水平な方向に対して90°回転され、各々の尖部は右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に向くように、所定位置で反転される。3層のウェブ10’は、IST 120.2(01)に従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の回復値を有する。望ましくは、3層のウェブ10は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約30%~約95%の間の範囲の回復値を有する。より望ましくは、3層のウェブ10は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約40%~約90%の間の範囲の回復値を有する。さらにより望ましくは、3層のウェブ10は、IST 120.2(01)のガイドラインに従って約50%~約80%の間の範囲の回復値を有する。
【0034】
また、高ロフトの不織ウェブ10、10’又は10''に添加物を包含できることを理解されたい。添加物(図示せず)は、高ロフトの不織ウェブ10、10’又は10''へ製造時に施工することができる。噴霧、散布、押出し、混合、塗布、浸漬などが含まれるがこれらに限定されない様々な手法を用いて添加物を施工することができる。添加物は、気体、液体、固体又は半固体とすることができる。添加物は、超吸収剤、吸収性粒子、パルプ繊維、ポリマー、ナノ粒子、研磨微粒子、活性粒子、活性化合物、イオン交換樹脂、ゼオライト、柔軟剤、可塑剤、セラミック粒子、顔料、染料、風味料、芳香剤、制御放出小胞、結合剤、接着剤、粘着性付与剤、表面改質剤、滑沢剤、乳化剤、ビタミン、過酸化物、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、遅燃剤、消泡剤、静電防止剤、殺生物剤、抗真菌剤、分解剤、安定剤、伝導性改質剤、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0035】
ここで図5及び6を参照すると、高ロフトの不織ウェブ11の別の実施形態では、2つの主要面28及び30を備えた単層14として形成されたものが示される。2つの主要面28及び30は互いに整列される。図5において、2つの主要面は上部表面28及び下部表面30を含む。「2つの主要面」とは、最も大きな表面領域を有するウェブ11の2つの表面を意味する。ウェブ11は2つの主要面28及び30を有し、これらの主要面28及び30の両方がテクスチャード加工される。「テクスチャード加工」とは、平滑とは対照的な、粗いか又は粒状の表面品質を意味する。テクスチャード加工は、ウェブ11の加工の間に様々な手法で形成することができる。図5において、複数の突起32は、上部表面28から上方へ及び下部表面30から下方へ延びる。「突起」とは、外向きに突出する膨出部、隆起部、又は膨張部を意味する。あるいは、上部表面及び/又は下部表面(それぞれ28及び30)に窪み部、空洞部、又は凹部を形成して、類似のテクスチャード加工効果を得ることができる。望ましくは、ウェブ11の2つの主要面(28及び30)のうちの少なくとも一方がテクスチャード加工される。より望ましくは、ウェブ11の2つの主要面(28及び30)の両方がテクスチャード加工される。
【0036】
装置
図7を参照するとして、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11を生産するための装置34が示される。装置34は、水平配置で方向付けされて示されるが、垂直配置又は垂直軸に対して他の角度で配置することができる。高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、x方向、y方向、及びz方向に配向された繊維を備えた三次元構造を有する。装置34は、各々がフィラメント40を排出、放出、又は押出す複数のノズル38を有するダイ36を含む。複数のノズルの各々38は遠位端42を有する。装置34は空気又は気体を使用して、複数のノズル38から溶融ポリマーを移動し複数のフィラメントに延伸するのを促進することができる。一対の可動面(44及び46)は、各々の複数のノズル38の遠位端42から約10センチメートル(cm)~約150cmの間に位置決めされる。図7に示されるように、一対の可動面(44及び46)は、第1の回転可能なドラム48及び第2の回転可能なドラム50とすることができる。あるいは、図8に示されるように、一対の可動面(44及び46)は、第1のコンベヤーベルト52及び第2のコンベヤーベルト54とすることができる。当業者に公知の可動面(44及び46)の他の形状を利用することもできる。
【0037】
一対の可動面(44及び46)が第1の回転可能なドラム48及び第2の回転可能なドラム50から構成される場合、第1の回転可能なドラム48は直径d1を有し、第2の回転可能なドラム50は直径d2を有することになる。望ましくは、直径d1は直径d2にほぼ等しい。より望ましくは、直径d1及びd2は同一である。第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)は、同じ平面X1--X1上で平行に互いに整列されることになる。フィラメント40が、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の間で、機械方向(MD)で左側から右側へ移動するように、装置34は水平に方向付けされることを理解されたい。
【0038】
さらに図7を参照すると、第2のドラム50は右回りに回転する第1のドラム48は左回りに回転することが理解できる。この特定の回転は、複数の連続的なフィラメント40を複数のノズル38から機械方向(MD)で移動させることになる。第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)のスピードは異なることができる。望ましくは、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の各々は、同じスピードで回転することができる。あるいは、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)のうちの1つは、他のドラムとは異なるスピードで回転することができるので、機械方向において異なる横断面構造を製作することができる(例えば、S形状又はS状形状)。第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の速度は、製作される材料の基本質量、所望されるウェブ10の厚さ、押出されるポリマーの種類、複数のノズル38を通るポリマースループットなどによって調整する必要がある。
【0039】
第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)は、室温で作動することができる。あるいは、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)は、高温又は室温未満の温度で作動することができる。望ましくは、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)は、室温で作動する。
【0040】
第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)は、フォーミングワイヤー又はスクリーンでカバーされた外周部を備えた中空円筒とすることができる。フォーミングワイヤー又はスクリーンは、当業者に公知の多様な異なる材料から作ることができる。例えば、合成材料(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)からフォーミングワイヤー又はスクリーンを作製することができる。あるいは、金属、鋼、アルミニウム、プラスチック、熱可塑性物質等かららフォーミングワイヤー又はスクリーンを作製することができる。様々な材料(木材、鋼、鋳鉄、アルミニウムなど等)から第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)を構築することができる。別の選択肢では、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の外周部を金属ベルトでカバーすることである。金属ベルトは、鉄又は非鉄金属とすることができる。金属ベルトは、所定パターンで配置すること又はランダムに配置することができる複数の隙間、開口、又は穴を含むことができる。隙間、開口、又は穴のサイズ及び形状は異なるものとすることができる。当業者に公知であるように、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の各々は、所望であれば、調整可能な真空チャンバーを装備することができる。場合によっては、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の外周部をわずかに加熱して、流入フィラメント40がそれらの上に、より容易に形成されるようにすることが好都合である。この理由は、隙間、開口、又は穴を含むワイヤー、スクリーン、又は金属ベルトのオープンメッシュデザインが、製作される高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の外側表面上に特定のテクスチャー又はパターンを形成できるということである。かかるテクスチャー又はパターンは、完成したウェブ10、10’、10''又は11の遮音特性及び/又は熱吸収特性を促進することができる。完成した高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11が、遮音目的及び/又は断熱目的のために使用される場合、これは重要な特性である。
【0041】
さらに図7を参照すると、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の各々が、中心軸56及び58をそれぞれ有することが分かるはずである。望ましくは、中心軸56及び58の各々は、共通の垂直面(X1--X1と示される)で整列される。垂直面X1--X1に垂直な各々のノズル38の遠位端42から測定される水平距離は、ダイから収集器への距離(DCD)を定める。DCD距離は約10cm~約150cmの間の範囲とすることができる。望ましくは、DCD距離は約100cm未満である。より望ましくは、DCD距離は約90cm未満である。さらにより望ましくは、DCD距離は約80cm未満である。最も望ましくは、DCD距離は約60cm未満である。正確なDCD距離は、押出されるポリマーの溶融温度、複数のノズル38を通るポリマースループット等を含むがこれらに限定されない、多くの因子に依存する。しかしながら、実験によって、可動面44及び46が各々の複数のノズル38の遠位端42の近くに位置するほど、製造された高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の回復値は、圧縮後に良好であることが見出された。DCD距離が約45cm~約75cmの間の範囲の場合、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、圧縮後に良好な回復値でもって製造することができる。
【0042】
第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の外周部は互いに間隔を置いて配置され、それによって収束通路60が生成される。「収束通路」とは、ある点に近づく収束点を意味する。この収束通路60は、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の間に定められたニップ62と等しい寸法に狭められる。ニップ62の寸法は様々とすることができる。第1及び第2の回転ドラム(それぞれ48及び50)は、その間に定められたニップ62の寸法を容易に調整できるように取り付ける必要がある。一般的に、ニップ62は約0.5cm~約25cmの間の範囲とすることができる。望ましくは、ニップ62は約0.5cmを超える。より望ましくは、ニップ62は約0.5cm~約10cmの間の範囲である。さらにより望ましくは、ニップ62は約0.5cm~約8cmの間の範囲である。最も望ましくは、ニップ62は約5cm未満である。
【0043】
収束通路60は、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の外周によって入口64及び出口66を定める。複数のフィラメント40が収束通路60の入口64で堆積すると、それらは、一対の可動面44及び46の上に及びその間で方向付けられて送られる。この送りは、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の回転によって促進される。この送りにより、複数のフィラメント40は収束通路60を通過して、入口64から出口66へ順に移動する。第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の回転運動により、複数のフィラメント40のうちの一部が第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の外周部を一時的に接触することになる。これらのフィラメント40は、ニップ62を通過する残りのフィラメント40に対して圧縮されて、三次元構造68を生成する。複数のフィラメント40はニップ62で圧縮され、この限定空間は、フィラメント40(冷却されるにつれて繊維12へと転換される)がx方向、y方向、及びz方向で整列されることを助ける。「転換される」とは、外観又は形状の著しい変化;性質、機能又は条件の変化;変換を意味する。したがって、二次元の構造の代わりに三次元構造68が製作される。形成された三次元構造68を安定化するいくつかの公知の結合プロセスを使用して繊維同士の結合を行わない場合、通常、三次元構造68は、非常に良好な回復値をもたないはずである。
【0044】
さらに図7を参照すると、三次元構造68は水平方向の機械方向(MD)で前進する。しかしながら、装置34が水平に方向付けされていない場合、又は追加の支持が必要な場合、コンベヤーベルト70を利用することができる。コンベヤーベルト70は、多孔質又は開口パターンを有するスクリーンにより構築することができ、熱は、ここを自由に通過することができる。コンベヤーベルト70は、複数のローラー72上で所定の方向で移動することができる。任意の数のローラー72を利用することができるが、図7には4つのローラー72が図示される。ローラー72のうちの1つは駆動ローラーであり、残りのローラー72、72及び72はアイドラー又は従動ローラーである。コンベヤーベルト70は連続的なループを形成し、下流の機械方向(MD)で三次元構造68を前進させるように時計回り方向で移動することが図示される。
【0045】
一部の高ロフトの不織ウェブ10は、特定の材料から及び特定の用途のために形成できることを理解すべきであり、ここでは結合は必要ない。しかしながら、大部分の高ロフトの不織ウェブ10に関して、三次元構造68に結合プロセスを行うことは有利である。一般的に結合は、完成したウェブ10へ強度及び完全性を付与する。様々な結合技法を利用することができる。単一の結合装置、又は一対の反対側に位置合わせされた結合装置を利用することができる。
【0046】
さらに図7を参照すると、結合装置74が示されており、三次元構造68の結合のために、一対の可動面44及び46の下流でその垂直方向に整列する。結合装置74は、三次元構造68が通過するように配置される。結合装置74は、熱的結合装置(スルーエア結合装置又はオーブン結合装置等)とすることができる。熱的結合装置は、熱を生成することで機能することができる。例えば、熱は、加熱流体(気体又は液体等)、固体(石炭等)の燃焼、不活性ガスの加熱、蒸気の使用、ナノ粒子からの二次照射の使用、赤外線加熱の使用などによって生成することができる。結合装置74自体は、炉、オーブン、熱電素子など、又はその任意の組み合わせを含むことができる。加えて、結合装置74は、化学的結合装置、機械的結合装置、油圧機械的結合装置、ニードル結合装置、湿式結合装置等とすることができる。
【0047】
熱的結合装置からの熱は、繊維12のうちの一部をx方向、y方向、及びz方向で互いに係止することになる。高ロフトの不織ウェブ10過不足なく生成するためには、全ての繊維12を一緒に結合することは必ずしも必要ではない。複数のフィラメント40が三次元構造68で固化する際に繊維12が生成される。複数の繊維12のうちの一部を一緒に結合することによって、高ロフトの不織ウェブ10は、約250mm未満、望ましくは約200mm未満、及びより望ましくは約100mm未満の厚さで生成される。また、高ロフトの不織ウェブ10は、約50g/m2~約3,000g/m2の間、望ましくは約100g/m2~約2,000g/m2の間、より望ましくは約100g/m2~約600g/m2の間の範囲の基本質量を有する。更に、ウェブ10の鉛直断面図は、その機械方向に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示す。略V型、U型、又はC型の構造24の各々は、機械方向に向く尖部26を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は水平な方向に対して90°回転され、各々の尖部は右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に面しているように、所定位置で反転される。この高ロフトの不織ウェブ10は、IST 120.2(01)に従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。IST 120.2(01)試験は、材料が0.25psiの圧力下30分間で圧縮されることを必要とする。望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、IST 120.2(01)に従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約30%~約95%の間の範囲の回復値を有する。より望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、IST 120.2(01)に従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約40%~約90%の間の範囲の回復値を有する。最も望ましくは、高ロフトの不織ウェブ10は、IST 120.2(01)に従って0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約50%~約80%の間の範囲の回復値を有する。
【0048】
さらに図7を参照すると、装置34は、高ロフトの不織ウェブ10への化学的結合剤の添加又は1又は2以上の添加物80の分配のために、1又は2以上の分配機構76及び78をさらに含むことができる。2つの分配機構76及び78は、図7に示されている。化学的結合システムは、熱的結合システムの代わりに利用することができる。化学的結合剤は、ウェブに対していくつかの新しい特徴(異なる表面化学、大きな剛性又は粗さ等)を与えることができる。分配機構の正確な数は様々とすることができる。典型的には、1又は2の分配機構76又は78を利用して、高ロフトの不織ウェブ10へ1又は2以上の添加物を添加する。添加物80は、上記のもののうちのいずれかに加えて、当業者に公知の他のものとすることができる。
【0049】
添加物80を含有する液体溶液中に高ロフトの不織ウェブ10を部分的又は完全に浸漬できることを理解されたい。液体溶液は、添加物80を高ロフトの不織ウェブ10へ良好に付着させるように化学的又は電気的に帯電させることができる。
【0050】
さらに図7を参照すると、装置34は、最後の分配機構76又は78から下流に位置する調節ユニット82を含むこともできる。調節ユニット82のデザイン及び機能は様々とすることができる。調節ユニット82は、高ロフトの不織ウェブ10を乾燥される必要がある場合に、熱又は他の何らかのプロセスを利用して、ウェブ10から湿分を除去できる乾燥機とすることができる。あるいは、調節ユニット82は、高ロフトの不織ウェブ10上に冷気を送風して温度を下げることができる冷却器とすることができる。さらに、調節ユニット82は、他のいくつかの機能、例えば、ウェブ10のエンボス加工、ウェブ10のプリント、高ロフトの不織ウェブ10と別の層との結合等を行うことができる。乾燥機及び冷却器は、当業者には公知の機器である。
【0051】
ここで図8を参照すると、装置34’の別の実施形態が示されており、一対の可動面44及び46は、第1のコンベヤーベルト52及び第2のコンベヤーベルト54として示されている。装置34’の向きは垂直方向であるが、他の方向を用いることができる。第1のコンベヤーベルト52は反時計回りに移動するが、第2のコンベヤーベルト54は時計回りに移動する。この配置によって、複数のノズル38から排出、放出、又は押出された複数のフィラメント40は、機械方向(MD)において垂直方向下向きに移動する。第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)は、様々なスピードで動作することができる。望ましくは、第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)は、同じスピードで動作することになる。
【0052】
第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)は、複数のノズル38の各々の遠位端42から最も遠くに位置する点に向かって収束する。開口部55(ニップ62に等しい)は、第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)の間に存在する。開口部55が存在し、平面X2--X2に位置する。平面X2--X2は、図7の平面X1--X1に相当する。平面X2--X2に垂直な各々のノズル38の遠位端42から測定した垂直距離は、ダイから収集器への距離(DCD)を定める。このDCD距離は、約10cm~約150cmの間の範囲とすることができる。望ましくは、DCD距離は約100cm未満である。より望ましくは、DCD距離は約90cm未満である。さらにより望ましくは、DCD距離は約80cm未満である。最も望ましくは、DCD距離は約60cm未満である。正確なDCD距離は、押出しポリマーの溶融温度、製作される材料の基本質量、複数のノズル38を通るポリマースループット、及び各々のノズルの内径等を含むがこれらに限定されない、多くの因子に依存する。
【0053】
図8に明示されるように、第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)は、互いに角度アルファ(α)で整列される。角度αは、様々とすることができる。望ましくは、角度αは約90°未満である。より望ましくは、角度αは約60°未満である。さらにより望ましくは、角度αは約50°未満である。最も望ましくは、角度αは約45°未満である。約15°~約45°の間の角度αは良好に機能する。この方向性は収束通路60及びニップ62を生じる。複数のフィラメント40は、第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)の上に及びその間に向けられて送られる際に、収束通路60の入口64に堆積する。この送りは、第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)の移動によって促進される。この送りにより、複数のフィラメント40は、収束通路60を通過して、入口64から出口66へ順に移動する。第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)の移動により、複数のフィラメント40のうちの一部が第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)の外周部に一時的に接触することになる。これらのフィラメント40は、ニップ62を通過する残りのフィラメント40に対して圧縮されて、三次元構造68を生成する。複数のフィラメント40はニップ62で圧縮され、この限定空間は、フィラメント40(冷却されるにつれて繊維12へと転換される)がx方向、y方向、及びz方向で整列されることを助ける。「転換される」とは、外観又は形状の著しい変化;性質、機能又は条件の変化;変換を意味する。したがって、三次元構造68は二次元の構造の代わりに製作される。形成された三次元構造68を安定化するいくつかの公知の結合プロセスを使用して繊維同士の結合を行わない場合、通常、三次元構造68は、非常に良好な回復値をもたないはずである。
【0054】
さらに図8を参照すると、装置34’は、コンベヤーベルト84に接触するまで、三次元構造68が垂直方向下向きに前進する点でも、図7に示す装置34とは異なる。コンベヤーベルト84は、三次元構造68の下向きの方向に対して垂直に配置される。コンベヤーベルト84は、時計回りの方向の連続ループで移動する。コンベヤーベルト84により、三次元構造68は、右側へ90°転向する。この新しい水平方向の右方向への移動は機械方向(MD’)と呼ぶ。
【0055】
コンベヤーベルト84は、複数のローラー86上に取り付けられる。任意の数のローラー86を利用することができるが、図8には4つのローラー86が示されている。各ローラー86のうちの1つは駆動ローラーであり、残りのローラー86、86及び86はアイドラー又は従動ローラーである。
【0056】
一部の高ロフトの不織ウェブ10は、特定の材料から及び特定の用途のために形成できることを理解すべきであり、ここでは結合は必要ない。しかしながら、大部分の不織ウェブ10を製作する場合、三次元構造68に結合プロセスを行うことは好都合である。一般的に結合は、完成したウェブ10へ強度及び完全性を付与する。様々な結合技法を利用することができる。図8において、単一の結合装置74が利用される。結合装置74から出る際に高ロフトの不織ウェブ10が形成されることになる。高ロフトの不織ウェブ10は厚さtを有する。
【0057】
ここで図9を参照すると、さらに別の装置34''が示され、これは第1のメルトブローダイ88、スパンボンドダイ90、及び第2のメルトブローダイ92を組み合わせたものを利用する。装置34''は、垂直構成に配置されて示されるが、他の配置も可能である。スパンボンドダイ90は、第1及び第2のメルトブローダイ(それぞれ88及び92)の間に配置される。このダイ配置は、異なる繊維サイズ、異なるポリマー材料、及び/又は異なる繊維横断面を有することができる、混合された高ロフトのハイブリッド不織ウェブを生産する。
【0058】
1又は2以上のスパンボンドダイ、メルトブローダイ、スパンメルトダイ等を使用して様々な組み合わせを得ることができることを理解されたい。図3に示す2層ウェブ10’の製造が望まれる場合、2層は、インライン又はオフラインで積層することができる。図4に示す3層ウェブ10’の製造が望まれる場合、図7に類似した3つのシステムを利用することができ、各層は、別の既製のウェブとインライン又はオフラインで積層することができる。各々のダイ88、90、及び92は、垂直方向、水平方向、又は外向き方向で、複数のフィラメント40を、排出、放出、押出し、紡糸、さもなければ送ることができる。残りの装置は、図7に関して図示及び説明した装置に類似する。1つの例外は、ダイから収集器への距離(DCD)は、中央のスパンボンドダイ90から平面X1--X1への距離によって計算される点である。この場合も同様に、DCD距離は約10cm~約150cmの間の範囲とすることができる。望ましくは、DCD距離は約100cm未満である。より望ましくは、DCD距離は約90cm未満である。さらにより望ましくは、DCD距離は約80cm未満である。最も望ましくは、DCD距離は約60cm未満である。正確なDCD距離は、押出されるポリマーの溶融温度、複数のノズル38を通るポリマースループットなどを含むがこれらに限定されない、多くの因子に依存する。しかしながら、実験によって、可動面44及び46が各々の複数のノズル38の遠位端42の近くに位置するほど、製造された高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の回復値は、圧縮後に良好であることが見出された。DCD距離が約45cm~約75cmの間の範囲の場合、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、圧縮後に良好な回復値でもって製造することができる。
【0059】
三次元構造68は収束通路60の出口66から出てくる。上述のように、三次元ウェブ10''の繊維12を一緒に結合して、ウェブ10''の強度を高めて完全性を改善するためにとは好都合であろう。結合装置74は、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)の下流に配置される。結合装置74は、上述の様々な種類の結合装置のうちのいずれかとすることができる。望ましくは、結合装置74は、熱的結合装置又は化学的結合装置である。
【0060】
上記の3つの装置34、34’又は34''のうちのいずれかにおいて、1又は2以上の特徴部を追加できることを理解されたい。例えば、製造プロセス時に高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の中へ天然繊維又は合成人造繊維を導入することができる。同様に、製造時にウェブ10、10’、10''又は11に非熱可塑性材料を付加することができる。
【0061】
更に、多成分繊維を紡糸又は押出すことができ、繊維は異なる断面直径を有し、ウェブ10、10’、10’又は11内に縮れた繊維を使用して、さもなければ繊維12を特定の方法で処理して、特有の完成した高ロフトの不織ウェブ10、10''、10''又は11を得るようになっている。
【0062】
様々なプロセス(メルトブロー、スパンボンド、スパンメルトなど等)は、フィラメントが異なる温度、圧力、流動率等で減じられることを必要とすることも認識されたい。例えば、処理空気は、ポリマー溶融物よりも低温又は高温とすることができる。
【0063】
プロセス
高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11を形成するプロセスを、図7~9を参照して説明する。プロセスは、溶融ポリマーをダイ36へ導入することを含む。ダイ36は複数のノズル38を有し、各々は遠位端42を有する。溶融ポリマーは、複数のノズル38から排出され、複数のフィラメント40を形成する。「排出する」とは、上記の公知の及び/又は当業者に公知のプロセスのうちのいずれかにおいて、圧力下で溶融ポリマーを押出すか、放出するか、紡糸するか、押し進めるか、又は送り出すことを意味する。プロセスは、空気又は気体の流れを使用して複数のフィラメント30の移動及び送りを促進することも含む。フィラメント40は、複数のノズル38から約10cm~約150cmの間で離れて位置する一対の可動面44及び46に向けられる。一対の可動面44及び46は、第1及び第2の回転可能なドラム(それぞれ48及び50)とすることができるか、又は第1及び第2のコンベヤーベルト(それぞれ52及び54)とすることができる。
【0064】
一対の可動面44及び46は、入口64及び出口66を有する収束通路60を形成する。複数のフィラメント40は、収束通路60の入口64の中に堆積する。次いで、複数のフィラメント40は収束通路60を通って送られ、機械方向で入口64から出口66へ及び一対の可動面44及び46の間で順に移動して、三次元構造68を形成する。三次元構造68において、フィラメント40は、冷却される際に、x方向、y方向、及びz方向で配向された繊維12に転換される。プロセスは、さらに、三次元構造68を結合して、約250ミリメートル未満の厚さt、t1、又はt2及び約50g/m2~約3,000g/m2の間の範囲の基本質量を有する、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11を形成することを含む。三次元構造68は、様々な結合装置を使用して結合することができる。使用できるいくつかの結合装置としては、熱的結合、スルーエア結合、オーブン結合、化学的結合、湿式結合、機械的結合、又は油圧機械的結合を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0065】
高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の鉛直断面図は、機械方向(MD)に平行に見た場合、複数の緊密に積み重ねられた略V型、U型、又はC型の構造24を示す。略V型、U型、又はC型の構造24の各々は、機械方向(MD)に向く尖部26を有する。換言すると、略V型又はU型の構造は水平方向に対して90°回転され、各々の尖部は右側に向く。C型の構造は、各々の尖部が右側に向くように、所定位置で反転される。高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、0.25psiの圧力下で30分間圧縮した後に約20%~約99%の間の範囲の回復値を有する。
【0066】
図3、4、及び9を再び参照すると、2つの分離した別個のダイ36及び36を利用して、2層ウェブ10’を生産することが可能である(図3を参照)。3つの分離した別個のダイ36、36及び36を利用して、3層ウェブ10''を生産することもできる(図4を参照)。同様に、4以上の分離した別個のダイ36、36、36及び36を利用して、4以上の層を有する多層ウェブを生産することができる。混合された繊維又は積層された層のこれらのハイブリッド不織高ロフト材料の構造は、異なる繊維サイズ、異なるポリマー材料、及び/又は異なる繊維横断面を有することができる。
【0067】
添加物80は、結合装置74の下流で高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11へ添加できることを理解されたい。添加物80は、上記のいずれかとすることができる。添加物80は、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''、又は11の上に堆積すること又はその上に噴霧することができる。あるいは、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、添加物80を含有した液体溶液中に浸漬することができる。
【0068】
また、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、結合装置74の下流で乾燥させることができることを理解されたい。同様に、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11は、結合装置74の下流で冷却することができる。かかる冷却は、高ロフトの不織ウェブ10、10’、10''又は11の温度を室温又はその付近に低下させることができる。
【0069】
実験
1.メルトブローユニット
多数の高ロフトの不織布サンプルウェブを、Biaxメルトブロー(MB)ダイとして公知の多重列紡糸口金を備えた381mmのメルトブローダイを有するメルトブローパイロットラインを使用して製作した。このダイは、N992 Quality Drive、Suite B、Greenville、WI 54942(米国)に所在のBiax-Fiberfilm Corporationから入手可能である。メルトブロー紡糸口金は242のポリマーノズルを有していた。各々の紡糸口金の内径は0.508ミリメートル(mm)であるが、各々の紡糸口金の外径は0.711mmであった。各々のポリマーノズルは空気ノズルによって取り囲まれ、ここで吹き込む空気は、ポリマーノズルと空気ノズルとの間の環状空間から流入した。空気ノズルの各々の直径は1.4mmであった。Biaxメルトブロー(MB)ダイのデザインは米国特許5,476,616号及び米国特許公開番号2005/0056956に教示される。典型的な商用Biaxメルトブロー(MB)ダイは、1メートルあたり約6,000~約11,000の間のノズルを有する。
【0070】
2.プロセス条件
複数の高ロフトの不織ウェブのサンプルは、パイロットのメルトブローラインを使用して作られており、本発明の概念を示す。高ロフトの不織ウェブは、スパンボンド装置を使用して作ることができることを理解されたい。更に、これらのサンプルを作るために使用される厳密なプロセス条件は変更できることを理解されたい。プロセス条件(空気温度、ポリマーの化学的性質又はタイプ、ポリマー溶融温度、ポリマースループット、空気スループット等)の任意の変形形態は変更することができる。
【0071】
第1の7つの不織ウェブサンプルを、ACHIEVE 6936G1(商標)でExxon-Mobilから提供されたポリプロピレンから作った。このポリプロピレンは10分間あたり1,550グラムの典型的なメルトフローレートを有していた(ASTM試験D 1238、230℃、2.16kgに従って)。最後の2つの不織ウェブサンプル(サンプル8及び9)を、INGEO PLA 6202D(商標)でNatureworksから提供されたポリ乳酸から作った。ポリ乳酸は10分間あたり15グラム(g)~30gのメルトフローレートを有していた(ASTM試験D 1238、210℃、2.16kgに従って)。
【0072】
ポリプロピレンサンプルは、以下のプロセス条件で製造した。
ポリマー溶融温度:190℃
空気温度:170℃
ポリマースループット:0.26g/ホール(hole)/分
気圧:35KPa
【0073】
これらのサンプルの基本質量は、第1及び第2の回転可能なドラムの速度変動によって、又は第1及び第2のコンベヤーベルトの速度変動によって、約150g/m2~500g/m2の間で変動する。ダイから収集器への距離(DCD)は、約30センチメートル(cm)~約45cmの間で変動する。
【0074】
ポリ乳酸サンプルは、以下のプロセス条件で作った。
ポリマー溶融温度:260℃
空気温度:260℃
ポリマースループット:1g/ホール(hole)/分
気圧:35KPa
【0075】
基本質量は約500g/m2であり、ダイから収集器への距離(DCD)は約75cmであった。
【0076】
サンプルの一部を120℃の温度で赤外線オーブンを使用して熱的に結合したが、ドウェル時間(接触時間)は約3秒~約5秒であった。
【0077】
3.特性評価試験
3.1基本質量
基本質量は単位面積質量として定義され、1平方メートルあたりのグラム(g/m2)で測定することができる。基本質量試験は、ASTM基準ASTM D3776に等価なINDA基準IST 130.1に従って行う。10個の異なるサンプルを、大きなサンプルウェブ中の異なる位置からダイカットし、各々は100cm2に等しい個々の面積を有していた。各々の質量を、天秤上質量の±0.1%以内の高精度の天秤を使用して各複製を測定した。グラム/m2の基本質量は、平均質量に100を掛けることによって測定した。
【0078】
3.2高ロフト不織布の厚さ
厚さは、規定された圧力下で測定した単一ウェブの1つの表面と反対の表面との間の距離として定義される。高ロフトの不織ウェブについて、厚さはINDA基準IST 120.2(01)に従って測定した。装置は、アンビル、押さえ金(presser foot)、及びこれらの2つの平行板の間の距離を示すスケールを有する厚さ試験装置を含む。押さえ金は、305mm×305mm(12インチ×12インチ)サイズで、288グラムの質量を有していた。代表的な5つの織物の試料をダイカットし、ASTM D1776中で規定される試験のための基準雰囲気中で試験した。サンプルは、織物の自然状態を変えないように注意して取り扱った。各試料を底板上に配置し、押さえ金をサンプルの最上部に注意して配置した。これらの試料の平均厚さを標準偏差と共に報告した。
【0079】
3.3高ロフトの不織布の圧縮及び回復
この試験において、移動可能な平面が規定の圧力下で高ロフトの不織ウェブサンプルによる平行な表面から変位した直線距離の観察によって、高ロフトの不織ウェブサンプルの圧縮及び回復性能を測定する。所定の時間間隔の後に、圧力を除去し、直線距離の回復を測定する。家具、衣類、及び遮断用途(音響又は熱)で用いるための高ロフトの不織ウェブの性能は、これらの圧縮値及び回復値から推定することができる。元の厚さT1(ミリメートル(mm)で測定された)はIST 120.2(01)に従って測定した。押さえ金を上げ、288グラムの質量を16.33kg(36ポンド)に置き換えて、1720Pa(0.25psi)の圧力を付与した。新しい質量による押さえ金を30分間高ロフトの不織ウェブサンプルの最上部に置き、次いで圧縮厚さT2を測定した。最後に、押さえ金を上げ、36ポンドの質量を288グラムの質量で置き換えた。5分後に、押さえ金を降下させて回復厚さT3を測定した。
パーセント圧縮=[(T1-T2)/T1]×100
パーセント回復=[T3/T1]×100
【0080】
実施例1
この実施例において、高ロフトの不織ウェブ特性に対する収集器タイプの効果を調べた。サンプル1及び2は、不織ウェブの厚さ又はキャリパーに関して大きな差異を示した。
大きな差異は、主に、平ベルト上で紡糸された繊維を収集することと、2.5cmのニップギャップを有する2つの回転ドラムの間でそれらを収集することとの対比に起因する。
両方のサンプルは、同じ単位面積質量を有するが、二重ドラム収集システムは厚さを1,500%増加させた。サンプル3は、高ロフトの不織サンプル#2を熱的に結合することによって、26%まで回復特性を強化できることを示した。かかる強化は、ウェブの断熱及び音響特性を著しく高めることになる。繊維形成条件及び結合条件を適切に調整すると、圧縮及び回復特性を著しく強化することができる(以下の表1を参照)。
【表1】
【0081】
実施例2
この実施例において、高ロフトの不織ウェブサンプルの圧縮-回復特性に対するダイから収集器への距離(DCD)の効果を調べた。メルトブローフィラメントを、ダイに近い距離で収集したが、これらは非常に粘着性がある。この動作は、第1及び第2の回転可能なドラムの間の高ロフトの不織ウェブサンプル中で繊維同士の結合をもたらし、追加的な下流での結合の必要性が回避される。これは低いポリマースループットで作動する装置に作用して、約150g/m2未満の基本質量の高ロフトの不織ウェブを製作する。しかしながら、ポリマースループット及び基本質量が増大した場合、ダイから収集器への距離(DCD)がより近くなると空気の管理が難しいので、吹き込み空気により、フィラメントが飛び回り、第1及び第2の回転可能なドラム上で捕捉されるのを妨害する。サンプル2及び3は、ダイ面から45cmのDCD距離での収集器で収集した。サンプル4及び5はダイ面から30cmのDCD距離で収集した。表2に示すように、より近いDCD距離で繊維を収集すると(サンプル4のように)、繊維同士の結合が強化され、サンプル3(熱的に結合)に類似の回復性能をもたらした。サンプル5は、サンプル#4をオーブン結合することによって得られた。しかしながら、追加の結合により実際に繊維が脆弱になったので、この追加の結合は実際にサンプル5の回復特性を28%だけ低下させたことが見出された。
【表2】
【0082】
実施例3
この実施例において、高ロフトの不織ウェブサンプルの圧縮-回復特性に対する基本質量が有する効果を調べた。表3に示すように、単位面積質量を増加させることによって、圧縮性が低下するが、これは第1及び第2の回転可能なドラムのニップの間を通過する、より大きな不織質量体によって明らかである。基本質量を増加させることによって、圧縮後のパーセント回復も高くなることも分かり、これは生成された多数の繊維同士の結合に起因する可能性がある。ダイから収集器へのより近い距離(DCD)でのサンプル6及び7の繊維の収集は、空気の管理の難しさ及び吹き込み減衰空気の前方の通路をブロックするフィラメントの大きな質量体に起因して、パイロット規模で上手くいかなかった。
【表3】
【0083】
実施例4
この実施例において、異なるポリマーに関する、2つの回転ドラムの間に形成されたニップでスパンメルト繊維を収集する概念について調べた。サンプル8及び9は、ポリ乳酸樹脂を使用して製作した。かかるポリマーの紡糸の困難性及びウェブ形成に伴う収縮効果にもかかわらず、2つの高ロフトの不織布サンプルを収集した。表4に示すように、熱的に結合されていないサンプル8は、赤外線熱オーブンを使用して熱的に結合されたサンプル9よりも、高い圧縮性かつ低い回復特性を有する。また、サンプル9は、取り扱い時にサンプル8よりも強く、サンプル9は、熱処理後の間にもたらされた繊維同士の結合に起因して崩壊しなかったので良好な構造完全性を有する。結合されていない繊維の構造的完全性は、他の結合技術、例えばスルーエア結合又は化学的結合等によって強化できることは良く知られている。
【表4】
【0084】
本発明は複数の具体的な実施形態と共に記載されているが、多くの代替、修飾及び変形は、前述の記載を考慮して当業者に明らかであろうことを理解されたい。したがって、本発明は、添付の請求項の精神及び範囲内にあるかかる代替例、変更例、及び変形例をすべて包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9