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特許7032384漏れを検出するために減圧治療システムの動作を制御するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】漏れを検出するために減圧治療システムの動作を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20220301BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019510943
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2017071693
(87)【国際公開番号】W WO2018041854
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】62/382,126
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベン・アラン・アスケム
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/018448(WO,A1)
【文献】特表2013-540477(JP,A)
【文献】特開2014-210020(JP,A)
【文献】特表2014-526924(JP,A)
【文献】特表2014-519905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧創傷療法装置であって、
創傷上に配置されて前記創傷上にシールを作り出す被覆材に、流体流路を介して陰圧を提供するように構成される陰圧源と、
前記流体流路内の圧力を測定するように構成される圧力センサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラが、
陰圧の印加を開始または再開する要求に応答して、
第一のモードで前記陰圧源を動作させて前記創傷に陰圧を提供し、
前記圧力センサによるある期間にわたる複数の測定値に基づいて、前記期間にわたる前記流体流路内の圧力の変化を判定し、
前記流体流路内の圧力がより陰圧になっているとの判定に応答して、前記陰圧源が前記第一のモードよりも多量の陰圧を提供する第二のモードで前記陰圧源を動作させ、
前記流体流路内の圧力がより陰圧になっていないとの判定に応答して、前記シール内の第一の漏れの表示を提供するように構成される、陰圧創傷療法装置。
【請求項2】
前記陰圧の印加を開始または再開する要求が、前記流体流路内で確立される陰圧設定値と関連付けられ、
前記第一のモードでの前記陰圧源の動作は、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに不十分であり、
前記第二のモードでの前記陰圧源の動作は、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに十分である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二のモードでの前記陰圧の動作が、前記コントローラを、
前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を前記陰圧設定値に減少し、
前記流体流路内の圧力が第一の期間にわたって前記陰圧設定値に達しない場合、第二の期間の間前記陰圧源を動作停止し、そして、
前記第二の期間が経過したとの判定に応答して、前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を減少し、前記陰圧設定値を確立するように構成することを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラがさらに、前記第二の期間の間の前記陰圧源の動作停止回数を監視するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラがさらに、前記陰圧源の前記動作停止回数が再試行閾値を超えるとの判定に応答して、前記シール内の第二の漏れの表示を提供するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第一の漏れが、前記第二の漏れよりも小さい強度の漏れを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記シール内の前記第一の漏れまたは第二の漏れの少なくとも一つ表示されたときに、前記陰圧源の動作停止する、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記第一のモードにおける前記陰圧源の動作が、前記流体流路内に約25mL/分の流量を確立することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記シール内の前記第一の漏れの前記表示が、約25mL/分以下の流量の漏れの表示に相当する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが、前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第一の圧力およびその後に前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第二の圧力の差の判定に基づいて、前記流体流路内の圧力の前記変化を判定するように構成される、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記第一のモードが低流量モードを含み、
前記低流量モードでは、前記陰圧源が前記流体流路内に前記第二のモードよりも低流量を供給する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、前記陰圧源のアクチュエータに供給される第一の駆動信号に基づいて、前記第一のモードで前記陰圧源を動作させるように構成される、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラが、前記陰圧源の前記アクチュエータに提供される第二の駆動信号に基づいて、前記第二のモードで前記陰圧源を動作させるように構成され、前記第二の駆動信号は前記第一の駆動信号とは異なる、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年8月31日に出願された米国仮特許出願第62/382,126号に対する優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本開示の一部を成す。
【0002】
本開示の実施形態は、局所陰圧(TNP)療法を用いて、創傷を被覆かつ治療するための方法及び装置に関する。具体的には、限定するものではないが、本明細書に開示された実施形態は、陰圧療法ポンプおよび被覆材、及びTNPシステムの動作を制御するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
様々な種類の創傷被覆材が、ヒトまたは動物の治癒過程を補助するものとして知られている。様々な種類の創傷被覆材には、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、フォームパッド、または多層創傷被覆材が含まれる。局所陰圧(TNP)療法は、真空補助閉鎖療法、陰圧創傷療法、または減圧創傷療法とも称されることがあり、創傷の治癒率を改善するための有益な機構として広く認識されている。こうした療法は、切開創傷、開放創、及び腹部創などの広範な創傷に適用することができる。
【0004】
TNP療法は、組織浮腫を軽減し、血流を促し、肉芽組織の形成を促進させ、過剰な滲出物を除去することによって創傷の閉鎖及び治癒を促し、細菌負荷つまり創傷への感染を低減し得る。その上、TNP療法は、創傷の外部障害を減らし、より迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、減圧療法または局所陰圧(TNP)療法を用いて、創傷を被覆かつ治療するための方法及び装置に関する。具体的には、限定するものではないが、本開示の実施形態は、陰圧療法装置、TNPシステムの動作を制御するための方法、及びTNPシステムの使用方法に関する。方法及び装置は、以下に説明する特徴の任意の組み合わせを組み込むか、または実装することができる。
【0006】
一部の実施形態では、陰圧創傷療法装置は、創傷の上に配置されて創傷上にシールを作り出す被覆材に、流体流路を介して陰圧を提供するように構成される陰圧源と、流体流路内の圧力を測定するように構成される圧力センサと、コントローラと、を含む。コントローラは、陰圧の印加を開始または再開する要求に応答して、第一のモードで陰圧源を動作させ、ある期間にわたる圧力センサによる複数の測定値に基づいて、その期間にわたる流体流路内の圧力の変化を判定するように構成され得る。コントローラはまた、流体流路内の圧力が減少しているとの判定に応答して、陰圧源が第一のモードよりも多量の陰圧を提供する第二のモードで陰圧源を動作させるように構成され得る。コントローラはまた、流体流路内の圧力が減少していないとの判定に応答して、シール内の第一の漏れの表示を提供するように構成され得る。
【0007】
上記の段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。陰圧の印加を開始または再開する要求は、流体流路内で確立される陰圧設定値と関連付けられ得る。第一のモードでの陰圧源の動作は、流体流路内の圧力を減少させて陰圧設定値を確立するのに不十分であり得る。第二のモードでの陰圧源の動作は、流体流路内の圧力を減少させて陰圧設定値を確立するのに十分であり得る。
【0008】
上記のいずれかの段落に記載の装置は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。第二のモードでの陰圧の動作は、コントローラがさらに、陰圧源を動作させて流体流路の圧力を陰圧設定値に減少し、流体流路内の圧力が第一の期間にわたって陰圧設定値に達しない場合、第二の期間の間陰圧源を動作停止し、そして、第二の期間が経過したとの判定に応答して、陰圧源を動作させて流体流路の圧力を減少し、陰圧設定値を確立するように構成されることを含み得る。
【0009】
上記のいずれかの段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。コントローラはさらに、第二の期間の間の陰圧源の動作停止の回数を監視するように構成され得る。コントローラはさらに、陰圧源の数が再試行閾値を超えるとの判定に応答して、シール内の第二の漏れの表示を提供するように構成され得る。第一の漏れは、第二の漏れよりも小さい強度の漏れであり得る。シール内の第一の漏れまたは第二の漏れの少なくとも一つの表示は、陰圧源の動作停止を含み得る。第一のモードでの陰圧源の動作は、流体流路内に約25mL/分の流量を確立することを含み得る。シール内の第一の漏れの表示は、約25mL/分以下の流量の漏れの表示に相当し得る。
【0010】
上記のいずれかの段落に記載の装置は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。コントローラは、圧力センサによって測定される流体流路内の第一の圧力およびその後に圧力センサによって測定される流体流路内の第二の圧力の差の判定に基づいて、流体流路内の圧力の変化を判定するように構成され得る。第一のモードは、低流量モードとすることができる。コントローラは、陰圧源のアクチュエータに提供される第一の駆動信号に基づいて、第一のモードで陰圧源を動作させるように構成され得る。コントローラは、陰圧源のアクチュエータに提供される第二の駆動信号に基づいて、第二のモードで陰圧源を動作させるように構成され得るが、第二の駆動信号は第一の駆動信号とは異なる。
【0011】
一部の実施形態では、陰圧創傷療法装置を動作させる方法は、陰圧の印加を開始または再開する要求に応答して、コントローラによって、第一のモードで陰圧源を動作させることを含む。陰圧源は、創傷の上に配置されて創傷上にシールを作り出す被覆材に、流体流路を介して陰圧を提供するように構成され得る。方法はまた、ある期間にわたる圧力センサによる複数の測定値に基づいて、その期間にわたる流体流路内の圧力の変化を判定することを含み得る。方法はまた、流体流路内の圧力が減少しているとの判定に応答して、陰圧源が第一のモードよりも多量の陰圧を提供する第二のモードで陰圧源を動作させることを含み得る。方法はまた、流体流路内の圧力が減少していないとの判定に応答して、シール内の第一の漏れの表示を提供することを含み得る。
【0012】
上記のいずれかの段落に記載の方法は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。陰圧の印加を開始または再開する要求は、流体流路内で確立される陰圧設定値と関連付けられ得る。第一のモードで陰圧源を動作させることは、流体流路内の圧力を減少させて陰圧設定値を確立するのに不十分であり得る。第二のモードで陰圧源を動作させることは、流体流路内の圧力を減少させて陰圧設定値を確立するのに十分であり得る。
【0013】
上記のいずれかの段落に記載の方法は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。第二のモードで陰圧を動作させることはさらに、陰圧源を動作させて流体流路内の圧力を陰圧設定値に減少することと、流体流路内の圧力が第一の期間にわたって陰圧設定値に達しない場合、第二の期間の間陰圧源を動作停止することと、第二の期間が経過したとの判定に応答して、陰圧源を動作させて流体流路内の圧力を減少し、陰圧源設定値を確立することと、を含む。
【0014】
上記のいずれかの段落に記載の方法は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。方法は、第二の期間の間の陰圧源の動作停止の回数を監視することを含み得る。方法は、陰圧源の動作停止の回数が再試行閾値を超えるとの判定に応答して、シール内の第二の漏れの表示を提供することを含み得る。第一の漏れは、第二の漏れよりも小さい強度の漏れであり得る。シール内の第一の漏れまたは第二の漏れの少なくとも一つの表示は、陰圧源を動作停止することを含み得る。第一のモードで陰圧源を動作させることは、流体流路内に約25mL/分の流量を確立することを含み得る。シール内の第一の漏れの表示は、約25mL/分以下の流量の漏れの表示に相当し得る。
【0015】
上記のいずれかの段落に記載の方法は、次の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。流体流路内の圧力の変化を判定することはさらに、圧力センサによって測定される流体流路内の第一の圧力およびその後に圧力センサによって測定される流体流路内の第二の圧力の差を判定することに基づき得る。第一のモードは、低流量モードとすることができる。第一のモードで陰圧源を動作させることはさらに、第一の駆動信号を陰圧源のアクチュエータに提供することを含み得る。第二のモードで陰圧源を動作させることはさらに、第二の駆動信号を陰圧源のアクチュエータに提供することを含み得るが、第二の駆動信号は第一の駆動信号とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の実施形態は、単に例示として、添付図面を参照して、ここで以下に記載される。
【0017】
図1図1は、ポンプ、被覆材、および導管を含む減圧力創傷療法装置の実施形態を図示する。
図2図2は、一部の実施形態による陰圧源の動作の上位レベル状態図を示す。
図3図3は、一部の実施形態による陰圧源の動作の動作状態図を示す。
図4図4は、一部の実施形態による陰圧源の動作の別の動作状態図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
本明細書に開示された実施形態は、減圧により創傷を治療する装置および方法に関する。本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。一部の実施形態では、局所的な周囲気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。したがって、陰圧値-XmmHgは、例えば、760mmHgをXmmHg下回る、すなわち言い換えると、圧力(760-X)mmHgという絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。
【0019】
本開示の一部実施形態に対する陰圧範囲は、およそ-80mmHg、または約-20mmHgと-200mmHg以上との間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。一部の実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給され得る。
【0020】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP」)療法システムで使用するように適用可能である。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減することができる。加えて、療法によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片及びフラップにおいて見出すことができる。
【0021】
減圧療法システム及び方法
図1は、ポンプアセンブリとして図示される陰圧源104と組み合わされた創傷被覆材102を含む減圧創傷療法装置100の一実施形態を図示する。本明細書で開示されるいくつかの装置の実施形態において、図1に図示する実施形態におけるように、陰圧源は、キャニスタのない陰圧源(陰圧源が滲出液または液体の回収キャニスタを有していないことを意味する)であり得る。しかし、本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。さらに、本明細書で開示されるいくつかの装置の実施形態において、いくつかの陰圧源の実施形態は、被覆材に取り付けられ、被覆材内に埋め込まれ、または被覆材によって支持され、あるいは、被覆材に隣接することができる。被覆材102は創傷(図示せず)の上に配置され得、次いで、導管106が被覆材102に接続され得る。被覆材102または本明細書で開示される任意のその他の被覆材は、任意の好適な材料、サイズ、構成要素などから成り得る。導管106または本明細書で開示されるその他の導管は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の好適な材料から形成され得る。
【0022】
被覆材102の一部の実施形態は、導管106の端を受けるように構成されるポート108を有してもよいが(例えば、導管106の第一の端106a)、このようなポート108は必要ではない。一部の実施形態では、導管は、別の形では、減圧源を被覆材102と創傷との間の空間に供給し、こうした空間内に所望のレベルの減圧を維持するように、被覆材108を通る、及び/又はその下を通過することができる。装置100の一部の実施形態は、導管106の第一の端106aがポート108にあらかじめ取り付けられるように構成され得る。導管106は、陰圧源104によって提供される減圧を被覆材102に供給するように、陰圧源104と被覆材102との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であり得る。一部の実施形態では、ポート108は、例えば、ユーザーが被覆材102及び/又はポート108の上に横たわる、あるいは別の形で圧力をかけるときに、ユーザーが不快感をほとんど経験しないか、または不快感を経験しないように、柔軟性のある可撓性材料で作られ得る。
【0023】
被覆材102にはすべての創傷被覆材要素(ポート108を含む)があらかじめ取り付けられ、単一のユニットに一体化された、単一の物品として設けられ得る。次いで、創傷被覆材102は、導管106を介して、陰圧源104といった陰圧源に接続され得る。一部の実施形態では、必要ではないが、陰圧源104は、PICO(商標)ポンプなどのように、小型化され、持ち運び可能とすることができるが、EZ CARE(商標)ポンプなどの、より大きな従来のポンプを被覆材102と共に使用してもよい。ポンプは、電気モーター、ボイスコイルアクチュエータ、圧電アクチュエータなどによって作動されるダイヤフラムポンプ(または任意のその他のタイプの陰圧ポンプ)であり得る。
【0024】
創傷被覆材102は、治療される創傷部位の上に置かれ得る。被覆材102は、創傷部位を覆う実質的に密封されたくぼみまたはエンクロージャを形成し得る。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0025】
一部の実施形態では、創傷部位が創傷パッキング材料で部分的または完全に埋められるのが好ましい場合がある。この創傷パッキング材料は任意であるが、特定の創傷、例えば深い創傷で望ましい場合がある。創傷パッキング材料は、創傷被覆材102に加えて使用され得る。創傷パッキング材料は、一般的に、多孔質材料および適合する材料、例えば発泡体(網状発泡体を含む)、およびガーゼを含み得る。創傷パッキング材料は、空間を埋めるように、創傷部位内に適合するサイズまたは形状であることが好ましい。次に、創傷被覆材102が創傷部位の上に配置され、創傷パッキング材料が創傷部位の上に重なり得る。創傷パッキング材料が使用される時、創傷被覆材102が創傷部位の上に密封されると、TNPは、ポンプから、創傷被覆材102を通り、創傷パッキング材料を通って創傷部位へと送られる。この陰圧は、滲出液およびその他の液体または分泌物を創傷部位から引き離す。
【0026】
一部の実施形態では、管材料106は、管材料106の第二の端106bに位置付けられるコネクタ112を有してもよい。コネクタ112は、噛合するコネクタ114aを短い長さの導管114と連通させ、コネクタをポンプハウジング(より詳細に後述する)によって支持させるか、または別の形で、陰圧源104から突出する短い長さの導管114と連結するように構成され得る。一部の実施形態では、管材料114の長さは、およそ14mm(0.55インチ)、またはおよそ0.5インチ~およそ5インチであり得る。短い長さの導管または管材料114は、患者がポンプおよびコネクタ112の上に横たわるかまたは別の形でそれらの上にいるときの不快感を減少させることができる。管材料106が陰圧源104から迅速にかつ容易に除去され得るように陰圧源104および管材料106を構成することは、必要な場合、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善し得る。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、本明細書で開示される管材料とポンプとの間の接続構成のいずれかを有するように構成され得る。
【0027】
一部の実施形態では、例示の実施形態におけるように、陰圧源104は、ユーザーの身体上またはユーザーの衣服内または被覆材102上で支持されるのに十分に小さく、かつ持ち運び可能なサイズのものであり得る。例えば、陰圧源104は、接着性の医療用テープを使用する、または別の方法を使用して、被覆材102に隣接して、被覆材102上に、あるいは別の形で、ヒトの皮膚の快適な場所に取り付けられるようにサイズ設定され得る。さらに、陰圧源104は、ヒトのズボンまたはシャツのポケットに収まるようにサイズ設定されてもよく、あるいは、吊りひも、ポーチ、又は他の好適なデバイスもしくは物品を使用して、ヒトの身体に繋ぎとめてもよい。
【0028】
装置100の一部の実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。被覆材102は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性のフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。装置の一部の実施形態は、単回使用療法用に設計されており、最大でおよそ7日から11日の使用後に環境に配慮した方法で廃棄され得る。ポンプは、例えば7日後など、所望の日数後に治療を自動的に終了して、ポンプのさらなる動作が可能でなくなるようにプログラムすることができる。一部の実施形態は、より長いまたは繰り返の使用のために設計され、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。
【0029】
一部の実施形態では、システム100は、動作状態を反映する表示、アラームなどをユーザーに提供する。システム100は、ユーザーにさまざまな動作状態を信号するように構成される、視覚、聴覚、触覚、およびその他のタイプのインジケータ及び/又はアラームを含み得る。このような状態には、システムオン/オフ、スタンバイ、一時停止、通常動作、被覆材問題、漏れ、エラーなどを含む。インジケータ及び/又はアラームは、一つまたは複数のスピーカー、ディスプレイ、光源など、及び/又はそれら組み合わせを含み得る。例えば、表示は、陰圧源を動作または動作停止する、陰圧源によって発生する陰圧レベルを減少する、陰圧源によって使用される電力量を低下させるなど、あるいはそれらの任意の組み合わせによって、提供され得る。
【0030】
図1に図示するように、インジケータ123は、一つまたは複数の発光ダイオード(LED)であり得る。インジケータ123は、陰圧源104のハウジング120上に位置付けることができ、正常のもしくは適切な動作状態、ポンプの故障、ポンプに供給される電力もしくは電源異常、電池の状態もしくは電圧レベル、被覆材内(例えば、シール内)もしくは流路内の漏れの検出、吸気の阻害、または任意のその他の類似のもしくは好適状態、あるいはそれらの組み合わせをユーザーに警告することを含む、陰圧源の様々な動作状態及び/又は故障状態をユーザーに警告するように構成され得る。一部の実施形態では、インジケータ123は、電池インジケータ、OKインジケータ、および被覆材インジケータを含み得る。陰圧源104はまた、制御ボタン122(スイッチまたは他の類似の構成要素でもあり得る)を有してもよい。
【0031】
被覆材102と陰圧源120との間の流体接続は、流体流路と称されることもある。
【0032】
一部の実施形態では、陰圧源104が被覆材102に取り付けられるか、または被覆材102内に埋め込まれる場合などには、導管106、ポート108、コネクタ112、または導管114の一つまたは複数の全体または一部が省略されてもよい。
【0033】
一部の実施形態では、陰圧源104は、少なくとも一つのメモリに結合され得る、少なくとも一つのコントローラによって制御される。
【0034】
漏れを検出するために陰圧源を制御するためのシステムおよび方法
一部の実施形態では、陰圧源104は、システムの動作を制御するように構成され得る。例えば、陰圧源104は、中断されずに治療を送達すること、及び/又は例えば、頻繁にもしくは不必要に治療を一時停止または延期することによって、ユーザーに不便を掛けるのを回避すること、と電力を節約し、陰圧源によって発生する雑音と振動を制限したいなどの要求との間の好適なバランスを提供するように構成され得る。図2は、一部の実施形態による陰圧源の動作の上位レベル状態図1200を示す。一部の実施形態では、陰圧源のコントローラは、状態図1200のフローを実施するように構成され得る。図2に示すように、陰圧源の動作は、一部の実施形態では、非活動/初期設定(状態1206及び1202)、活動状態1210、動作1250、ならびに寿命末期(状態1214)の4つの一般状態カテゴリーにグループ化することができる。図2および3に図示されるように、状態カテゴリー1210および1250はそれぞれ複数の状態を含み、状態間を遷移する。
【0035】
一部の実施形態では、電源(例えば、一つまたは複数の電池)が陰圧源に接続されていない、または除去されている(遷移1204によって図示されるように)、または陰圧源が動作されていない(例えば、動作ストリップを引っ張る、スイッチをトリガーするなどによって)限り、陰圧源は状態1206に留まる。この状態に留まる間、陰圧源は非活動状態のままである。電源が初めて接続される、及び/又は陰圧源が初めて動作すると、陰圧源は、パワーオンセルフテスト(POST)が実施され得る、状態1202に遷移する。パワーオンセルフテストは、メモリをテストする(たとえば、プログラムコードの周期的冗長検査などのチェックを実行して、完全性を判定すること、ランダムアクセスメモリをテストする機能など)、圧力センサを読み取って圧力値が好適な限度内にあるか否かを判定する、電源の残容量または寿命を読み取って(例えば、電池電圧、電流など)それが好適な限度内にあるか否かを決定する、および陰圧源をテストするなど、システムの適切な機能を確保するために様々なチェックを実施することを含み得る。図示するように、インジケータ(例えば、一つまたは複数のLED、一つまたは複数のLCDなど)は、陰圧源が後のPOSTテストを受けていることをユーザーに示すように構成され得る(例えば、一度明滅または点滅することによって)。
【0036】
一部の実施形態では、一つまたは複数のPOSTテストに不合格である場合、陰圧源は回復不能なエラー状態1214に遷移し得る。この状態の間は、陰圧源は治療を動作停止することができ、インジケータ123はエラーに遭遇したことをユーザーに示すように構成され得る。一部の実施形態では、すべてのインジケータが活動状態のままとなるよう構成され得る。エラーの深刻度に基づいて、一部の実施形態では、陰圧源は、エラーから回復して動作を継続する(または回復不能なエラー状態1214へ遷移)ように構成され得る。図示するように、陰圧源は、動作中に決定的エラーに遭遇すると、状態1214に遷移し得る。決定的エラーは、プログラムメモリエラー、プログラムコードエラー(例えば、無効な変数値に遭遇する)、コントローラ動作エラー(例えば、コントローラによってリセットされることなく、ウォッチドッグタイマーが終了する)、構成要素の故障(例えば、陰圧源の動作不能、圧力センサの動作不能など)、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0037】
POSTテストに合格すると、一部の実施形態では、陰圧源は手動一時停止状態1216に遷移し得る。図示するように、この遷移は、インジケータ123の一つ(例えば、電池インジケータ)を動作停止することによってユーザーに示され得る。陰圧源が手動一時停止状態1216に遷移して留まる場合、ユーザーは、一つまたは複数のインジケータ(例えば、OKインジケータおよび被覆材インジケータ)を動作停止するなどによって、表示を提供され得る。一部の実施形態では、陰圧源が手動一時停止状態1216に留まる間、治療を延期し得る。例えば、陰圧源(例えば、ポンプ)を動作停止(またはオフにする)してもよい。一部の実施形態では、表示は、陰圧源を動作停止することによって提供され得る。
【0038】
一部の実施形態では、陰圧源は、スイッチからの信号の受信に応答して、手動一時停止状態1216から(陰圧源が治療を送達するように構成される)動作状態カテゴリー1250への遷移1224を行うように構成され得る。例えば、ユーザーは、ボタンを押して、治療を開始、延期、及び/又は再開し得る。一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源が手動一時停止状態1216に留まる持続時間を監視するように構成され得る。これは、例えば、陰圧源が手動一時停止状態1216に遷移するときにリセットおよび開始され得る、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。陰圧は、期間が閾値を超えるときに、手動一時停止状態1216から動作状態カテゴリー1250への遷移1224を自動的に行うように構成され得る。一部の実施形態では、こうした閾値は、1分以下と1時間以上との間などの設定値であり得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定または変更され得る。一部の実施形態では、閾値は、様々な動作状態またはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられ得る。例えば、陰圧源が寿命に近付くと(以下に説明するように)、閾値を減少させてもよい。一部の実施形態では、ユーザーは、スイッチを起動する(例えば、ボタンを押す)ことによって治療を一時停止し、それによって陰圧源に、動作状態カテゴリー1250から手動一時停止状態1216への遷移1222を行わせ得る。一部の実施形態では、陰圧源は、ユーザーが単に治療を一時停止することができるように構成され得るが、電源を分断する(例えば、電池を除去する)ことによって治療が停止する。
【0039】
一部の実施形態では、陰圧源は、一時停止状態1218を含むように構成され得る。陰圧源が一時停止状態1218に遷移して留まるとき、ユーザーは表示を提供されてもよい。例えば、陰圧源は、OKインジケータを動作停止させ、被覆材インジケータを明滅または点滅させるように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源が手動一時停止状態1216に留まる間、治療を延期してもよい。例えば、陰圧源(例えば、ポンプ)を動作停止(またはオフ)し得るが、このことは、陰圧源が一時停止状態1218にあるとの表示をユーザーに提供する。以下に説明するように、一部の実施形態では、陰圧源は、再試行サイクルの回数が再試行限界を超えるとき(遷移1228)またはデューティサイクルがデューティサイクル限界を超えるとき(遷移1230)に、動作状態カテゴリー1250から一時停止状態1218へと遷移するように構成され得る。一部の実施形態では、遷移1228および1230は、システム内の漏れの存在を反映し得る。
【0040】
一部の実施形態では、陰圧源は、スイッチからの信号の受信に応答して(例えば、ユーザーがボタンを押して治療を再開する)、一時停止状態1218から動作状態カテゴリー1250(陰圧源が、ポンプを動作させて治療を送達するように構成される)への遷移1226を行うように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源が一時停止状態1218に留まる持続時間を監視するように構成され得る。例えば、これは、陰圧源が一時停止状態1218に遷移するときにリセットおよび開始され得る、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。陰圧源は、期間が閾値を超えるときに、一時停止状態1218から動作状態カテゴリー1250への遷移1226を自動的に行うように構成され得る。閾値は、本明細書に記載される手動一時停止状態1216の閾値と同じでもよく、または異なってもよい。一部の実施形態では、閾値は、1分以下と1時間以上との間などの設定値であり得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定または変更されてもよい。一部の実施形態では、閾値は、様々な動作条件またはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられ得る。例えば、陰圧源が寿命に近付くと(以下に説明するように)、閾値を減少させてもよい。
【0041】
一部の実施形態では、陰圧源は、治療を一時停止する様々な原因を区別するため、手動一時停止状態1216及び一時停止状態1218の両方を含む。こうした区別の能力によって、陰圧源が、治療を一時停止するための特定の原因の表示をユーザーに提供できるようにすることができる(例えば、手動一時停止状態1216および一時停止状態1218は異なる表示を提供することができる)。例えば、治療は、ユーザーが手動でボタンを押すことによって一時停止することができ、その場合、陰圧源は、動作状態カテゴリー1250から手動一時停止状態1216への遷移1222を行うことができる。別の例として、治療は、漏れを検出することによって一時停止することができ、その場合、陰圧源は、動作状態カテゴリー1250から一時停止状態1218への遷移1228及び/又は1230を行うことができる。一部の実施形態では、陰圧源は、治療の送達の延期もしくは一時停止を示す一つの状態、または二つ以上のこうした状態を含むように構成され得る。
【0042】
一部の実施形態では、陰圧源は、電源の残容量又は寿命を(例えば、電池電圧、電流などを周期的に読み取るか、もしくはサンプリングすることによって)監視するように構成され得る。陰圧源は、残容量をユーザーに示すように構成され得る。例えば、電源が正常な残容量(例えば、閾値と比較した結果として、2.7V、2.6V、2.5Vなど)を有すると判定された場合、電池インジケータを動作停止することができる。電源が低い残容量を有すると判定された場合、陰圧源は、例えば、遷移1220によって示されるように、電池インジケータを明滅または点滅させることによって、ユーザーに表示を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、電池インジケータは、陰圧源がどの状態にあるか、または特定の状態のみにあるかに係わらず、断続的もしくは継続的に明滅または点滅するように構成され得る。
【0043】
一部の実施形態では、電源の残容量が臨界レベルまたはその付近(例えば、閾値と比較した結果として、2.4V、2.3V、2.2Vなど)であると判定されると、陰圧源は、電池臨界状態1212に遷移するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、電源を交換又は再充電することなどによって電源容量が増加するまで、この状態に留まるように構成することができる。陰圧源は、電池臨界状態1212に留まっている間、治療を動作停止するように構成され得る。加えて、図示するように、陰圧源は、例えばすべてのインジケータを動作停止することによって、電源が臨界レベルまたはその付近にあることをユーザーに示すように構成され得る。
【0044】
一部の実施形態では、陰圧源は、第一の動作に続いて、約1日間、2~10日間などの所定の期間、治療を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、このような期間は、ユーザーによって変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。陰圧源は、こうした期間が終了すると廃棄することができる。一部の実施形態では、第一の動作は、動作ストリップを引っ張ること(例えば、状態1202への遷移)による、活動状態カテゴリー1210への遷移によって反映され得る。一旦陰圧源が動作されると、陰圧源は、活動状態に留まっていた持続時間を監視するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、活動状態カテゴリー1210に留まっている累積持続時間を監視するように構成され得る。これは、例えば、こうした持続時間を反映する、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。
【0045】
持続時間が閾値(例えば、7日間、10日間など)に達するか、またはそれを超えると、陰圧源は寿命末期(EOL)状態1240に遷移するように構成され得る。陰圧源は、状態1240に留まっている状態で治療を動作停止し、陰圧源の有効寿命の終わりに達したことをユーザーに示すように構成され得る。例えば、陰圧源は、すべてのインジケータを動作停止する、及び/又はボタンを動作停止するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源が使い捨てであるとき、寿命末期状態1240に遷移することは、陰圧源を廃棄できることを意味する。陰圧源は、一旦寿命末期に達すると、陰圧源を再び動作させることができないように構成され得る。例えば、陰圧源は、電源が分断され、その後再接続された場合であっても、再び動作させることができないように構成することができ、これは、表示、値、フラグなどを読み出し専用メモリに格納することによって達成され得る。
【0046】
図3は、一部の実施形態による陰圧源104の状態カテゴリー1250の動作フローを示す。陰圧源は、治療を送達し、システム内の漏れを監視し、表示をユーザーに提供するなどのために構成することができる。以下で説明するように、一部の実施形態では、陰圧源は、流体流路内で(例えば、被覆材102の下で)第一の設定値または所望の陰圧レベル(例えば、-100mmHgなど、-5mmHg以下と-200mmHg以上との間の陰圧)を確立することを最初に試みることによって、治療を送達するように構成され得る。一部の実施形態では、第一の所望の陰圧レベルは、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。一旦第一の所望の陰圧レベルが流体流路内で確立されると、陰圧源は、陰圧源(例えば、ポンプ)を動作停止するように構成され得る。システム内の漏れによって流体流路内で(例えば、被覆材102の下で)陰圧が減少する(例えば、標準大気圧に向かって下降する)と、陰圧源は、ポンプを動作させて流体流路内の第二の設定値または所望の陰圧レベル(例えば、-100mmHgなど、-5mmHg以下と-200mmHg以上との間の陰圧)を確立することによって、流体流路内の陰圧を回復するように構成され得る。一部の実施形態では、第二の所望の陰圧レベルは、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。一部の実施形態では、第1及び第二の所望の陰圧レベルは同じであり得る。一部の実施形態では、第1及び第二の所望の陰圧レベルは異なることができ、すなわち、第二の陰圧レベルは第一の陰圧レベルよりも低いか、又はその逆であることができる。
【0047】
一部の実施形態では、陰圧源は、手動一時停止状態1216及び/又は一時停止状態1218から状態1252に遷移し得る。以下で説明するように、この遷移は、ユーザーがボタンを押して治療を開始/再開することによって、及び/又は1時間などの持続時間が経過すると引き起こされ得る。陰圧源は、陰圧源を動作させて流体流路内の第一の所望の陰圧レベルを確立することができる、初期ポンプダウン(IPD)状態1260に即座に遷移するように構成することができる。一部の実施形態では、流体流路内の圧力レベルが第一の所望の陰圧レベルを上回る(下回る)場合に、陰圧源を動作させることができる。陰圧源を動作させて、流体流路内の(例えば、被覆材102の下の)第一の所望の陰圧レベルを確立することは、本明細書では、「初期ポンプダウン」として称される場合がある。陰圧源は、例えば、OKインジケータを明滅又は点滅させ、被覆材インジケータを動作停止することによって、初期ポンプダウンを実施していることをユーザーに示すように構成され得る。一部の実施形態では、例えば、陰圧源を動作させることによって、表示を提供することができる。陰圧源は、センサを読み取るかまたはサンプリングすることによって、流体流路内の圧力レベルを測定するように構成され得る。圧力センサは、ポンプ入口またはその付近、被覆材の下またはその付近など、流体流路内の任意の好適な位置に位置付けられ得る。一部の実施形態では、一つまたは複数の圧力センサが、例えば、異なる位置になど、流体流路内に位置付けられる。
【0048】
一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源がIPD状態1260に留まっている持続時間を監視するように構成され得る。これは、例えば、陰圧源がIPD状態1260へと遷移するときにリセットおよび開始され得る、タイマー(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせの)を維持することによって達成され得る。一部の実施形態では、電力の節約、ポンプによって発生する雑音及び/又は振動の制限などのために、陰圧源は、ある期間の間、初期ポンプダウン動作を延期し、その後で初期ポンプダウンを再試行するように構成され得る。この機能性は、例えば、電池電力を節約し、ユーザーの介在なしに過渡的及び/又は非過渡的な漏れを解決できるようにするか、あるいはユーザーが漏れを直すこと(例えば、被覆材を真っ直ぐにする、シールを直す、一つまたは複数の接続を確認するなど)ができるようにすることができる。
【0049】
一部の実施形態では、IPD状態1260に留まっている持続時間が閾値(例えば、30秒間)に等しいか又はそれを超えると、陰圧源は、状態1266への遷移1264を行うように構成され得る。一部の実施形態では、閾値は、5秒以下と5分以上との間などの設定値であり得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定または変更されてもよい。一部の実施形態では、閾値は、様々な動作状態またはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられ得る。一部の実施形態では、陰圧源は、遷移1264を行うときにポンプを動作停止するように構成され得る。陰圧源は、流体流路内の第一の所望の陰圧を確立するために行われる試みの回数を、(例えば、状態1252でリセットし、待機状態1270で更新することができるカウンタを維持することによって)監視するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、例えば電力を節約するために、限定数又は最大数のIPD再試行の試みを提供するように構成され得る。陰圧源は、限定数の連続的なIPD再試行の試みを提供するように構成することができることが好ましいが、陰圧源は、限定数の連続的でないIPD再試行の試み、又は連続的及び連続的でないIPD再試行の試みの組み合わせを提供するように構成され得る。IPD再試行の試みの閾値は、1、2、3、4、5などであり得る。一部の実施形態では、閾値は設定値であり得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定または変更されてもよい。一部の実施形態では、閾値は、様々な動作状態またはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられ得る。
【0050】
一部の実施形態では、陰圧源は、状態1266で、行われたIPD再試行の試みの回数が閾値(例えば、1回の再試行の試み)に等しいかまたはそれを超えているか否かを判定するように構成され得る。行われたIPD再試行の試みの回数が閾値に等しいかまたはそれを超えている場合、陰圧源は、本明細書に記載するように、治療が一時停止または延期される、一時停止状態1218への遷移1228aを行うように構成され得る。あるいは、陰圧源は、待機状態1270への遷移1268を行うように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、状態1266で陰圧源を動作停止するように構成することができ、それによって、陰圧源が状態1266に遷移したとの表示をユーザーに提供し得る。
【0051】
一部の実施形態では、陰圧源は、待機状態1270のポンプを動作停止し、それによって治療をある期間の間(例えば、15秒間など、1秒以下と1分以上との間)一時停止するように構成され得る。これは、例えば、陰圧源が待機状態1270へと遷移したときにリセットおよび開始され得る、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。待機状態1270におけるこの期間は、設定値または変数(例えば、自動的、もしくはユーザーによる)であり得る。一部の実施形態では、期間は、様々な動作状態またはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられ得る。陰圧源が待機状態1270に留まっている期間は、待機状態1270への遷移のたびに、増加又は減少させる(例えば、2など、0.1以下と4.0以上との間の係数で乗算する)ことができる。期間は、待機状態1270への一連の遷移それぞれにおいて減少または増加させることができる。期間は、閾値(例えば、4分など、1秒以下~5分以上の間)に等しくなるかまたはそれを過ぎるまで、減少又は増加させることができる。さらに、期間は、監視圧力状態1280への遷移、手動一時停止状態1216への遷移、一時停止状態1218などへの遷移の際に、初期値にリセットすることができる。
【0052】
一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源が待機状態1270にあることをユーザーに示すように構成され得る。例えば、陰圧源は、OKインジケータを点滅又は明滅させ、被覆材インジケータを動作停止するように構成され得る。一部の実施形態では、ポンプの動作停止によって、陰圧源が待機状態1270にあるという表示を提供することができる。待機状態の期間が経過すると、陰圧源は、待機状態1270からIPD状態1260への遷移1272を行うように構成され得るが、陰圧源は、流体流路内の第一の所望の陰圧レベルを確立するように試みることができる。一部の実施形態では、陰圧源は、被覆材の下の陰圧レベルが特定の安全レベルを上回ったまま留まることを確保するように構成され得る。例えば、陰圧源は、-225mmHgなど、-150mmHg以下と-250mmHg以上との間の安全レベルを上回る、流体流路内の陰圧レベルを維持するように構成され得る。
【0053】
一部の実施形態では、IPD状態1260、状態1266、および待機状態1270の間の再試行の遷移(例えば、遷移1264、1268、および1272)は、初期ポンプダウンを防止する漏れなどの高い流量の漏れを検出することができる。例えば、再試行遷移は、30scc/mの流量(例えば、30mL/分以上、またはより低いまたはより高い好適な流量)以上の漏れを検出することができる。より小さな流量を有する漏れは、以下に説明するように、状態1280と1290の間の遷移(例えば、1282および1284)によって検出され得るが、このような検出は長時間、例えば30分以上かかる場合がある。ある場合には、低い流量の漏れを迅速に検出する必要がある。例えば、患者の上に被覆材を置き、陰圧療法の送達を起動し得る医療従事者は、医療従事者が漏れを改善できるよう、漏れがあることを迅速に警告される必要があり得る。
【0054】
一部の実施形態では、低い流量の漏れは、初期ポンプダウンの前にIPD状態1260から(遷移1312を経由して)、または手動一時停止状態1216及び/又は一時停止状態1218から直接入る、漏れチェック状態1259によって迅速に検出され得る。漏れチェック状態1259では、コントローラは、陰圧源を動作させて、例えば、IPD状態1260におけるよりも低い流量を流体流路内に提供し得る。陰圧源によって提供される流量は、創傷の初期ポンプダウンを実施するのに十分ではない場合があるが、それでもなお、流量は、低流量漏れが流体流路内に存在するかどうかを検出するのに十分である。例えば、陰圧源は、漏れチェック状態1316において、約25scc/m(例えば、25mL/分またはより低いまたはより高い任意のその他の好適な流動)の流量を提供するように構成され得る。陰圧源がこのような低流量モードで動作する間、コントローラは、流体流路内の(例えば、被覆材の下の)圧力の変化を分析して、連続的な減圧の標識、例えば、漏れ率(例えば、被覆材シール内の)が陰圧流量を下回っている、したがって許容可能なレベル内であることを示す、流体流路内の圧力が減少しているか否かなど、を特定することができる。一方、流体流路内の圧力が静的である、または大気圧未満である場合、これは漏れ率が陰圧源の流量を超える、許容不能な場合がある漏れ率を示し得る(例えば、25scc/m、またはより低いまたはより高い任意のその他の好適な流量)。
【0055】
コントローラは、圧力センサから受信した複数の圧力読取値に基づいて、流体流路内の圧力の変化を分析し得る。例えば、第一の圧力読取値Pは時間tで読まれ、第二の圧力読取値Pはその後の時間tで読まれ得る。時間tおよびtは1秒または1秒未満またはそれ以上離れる場合がある。圧力レベルPとPとの間の差に基づき、コントローラは、流体流路内の圧力が減少している(例えば、より陰圧になっている)か否かを判定し得る。一部の実施形態では、二つ以上の圧力読取値を使用してもよく、また複数の圧力読取値をさらに処理する、例えば、平均化、平滑化、ローパスフィルタなどを行って、誤った判定を行うリスクを最小化することができる。一部の実施形態では、圧力の変化は、5秒以上または5秒以下などの、ある期間にわたって分析される。
【0056】
特定の実施形態では、流体流路内に漏れが存在するのを検出するのに応答して、コントローラが、一つまたは複数の表示をユーザーに提供してもよい。例えば、コントローラは、本明細書に記載するように、治療が一時停止または延期される、一時停止状態1218への遷移1316を引き起こし得る。コントローラが漏れの存在を検出しない場合、IPD状態1260への遷移1314が行われて、本明細書に記載するように、陰圧源が動作し続ける。一部の実施形態では、漏れチェック状態1259での漏れの検出は、毎分以下で実施され得る。一部の実施形態では、漏れの検出は10秒以下、30秒以下などで実施され得る。
【0057】
特定の実施形態では、漏れチェック状態1259は、陰圧源が動作停止である、例えば待機状態1270にあるなどの場合に、流体流路の圧力変化率を測定することで置換され得る。しかしながら、陰圧(大気圧に向かう)の減衰率が漏れの存在を示し得る間に、正確な決定を行うために創傷の体積を知る必要がある場合がある。一部の事例では、創傷の体積は先験的には知られていない。本明細書に記載される漏れチェック状態1259を利用することは、創傷容積とは独立した解決策を提供し得る。流体流量は本明細書に記述したように分析されるため、大きな体積は、小さな体積よりも低速で減圧するが、大きな創傷体積は、本明細書に記載されるように検出され得る一つまたは複数の漏れによってなおも減圧する。
【0058】
一部の実施形態では、陰圧源は、漏れチェック状態1259で動作するように較正され得る。例えば、ポンプのアクチュエータに供給される駆動信号を選択して(例えば、製造中のキャリブレーションの間など)、ポンプに低流量を提供させて漏れの存在を検出してもよい。駆動信号は、ポンプを止めないように選択され得る。異なる駆動信号をIPD状態で使用し得る。
【0059】
一部の実施形態では、流体流路内の第一の所望の陰圧レベルが確立されると、陰圧源は、監視状態1280への遷移1276を行うように構成され得る。陰圧源は、遷移1276を行う時に、IPD再試行の試みの回数をリセットするように構成され得る。陰圧源は、例えば、OKインジケータを明滅または点滅させ、被覆材インジケータを動作停止することによって、監視状態1280への遷移をユーザーに示すように構成され得る。監視状態1280に留まる間、陰圧源は、ポンプを動作停止し(これは、陰圧源が監視状態1280にあるとの表示をユーザーに提供し得る)、定期的にまたは連続的に流体流路内の圧力レベルを監視するように構成され得る。陰圧源は、センサを読み取ることまたはサンプリングすることによって、流体流路内の圧力レベルを測定するように構成され得る。
【0060】
一部の実施形態では、陰圧源は、例えば、システム内の漏れにより、流体流路内の陰圧のレベルが減少して閾値に達する及び/又は閾値を過ぎる(例えば、閾値未満となる)か否かを判定するように構成され得る。閾値は、-60Mmhgなど、-10Mmhg以下と-100mmHg以上との間の範囲から選択され得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。閾値に達したまたは閾値を過ぎたと判定される場合、陰圧源は、流体流路内の陰圧レベルを回復するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、第一の所望の陰圧レベルを再設定するか、または別の異なる陰圧レベルを設定するように構成され得る。これは、保守ポンプダウン(MPD)状態1290への遷移1282を行うことによって達成され得る。
【0061】
一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源がMPD状態1290にある間にポンプを起動させて、流体流路における所望の陰圧レベル(例えば、第一の所望のレベル)を確立するように構成され得る。陰圧源は、例えば、OKインジケータを明滅または点滅させ、そして被覆材インジケータを動作停止することによって、ユーザーに表示を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧の供給源を動作させる陰圧源は、陰圧源が状態1290に遷移したとの表示をユーザーに提供し得る。一部の実施形態では、陰圧源は、ポンプがIPD状態1264で起動された時よりもMPD状態1290でポンプが起動された時に、より少ない雑音および振動を生成するように構成され得る。たとえば、雑音レベルの差は、およそ7dB、およそ20dBなど、1dB以下と30dB以上との間であり得る。別の例として、雑音レベルの差は、30dB以下~80dB以上の間(およそ45dB、およそ50dB、およそ65dBなど)であり得る。
【0062】
一部の実施形態では、陰圧源は、MPD状態1290に留まる持続時間を監視するように構成され得る。これは、例えば、陰圧源がMPD状態1290への遷移1282を行う時にリセットおよび開始され得る、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。一部の実施形態では、電力の節約、ポンプによって発生する雑音及び/又は振動の制限などのために、陰圧源は、ある期間の間、保守ポンプダウン動作を延期し、その後で初期ポンプダウン及び/又は保守ポンプダウンを再試行するように構成され得る。この機能性は、例えば、電池電力を節約し、ユーザーの介在なしに過渡的及び/又は非過渡的な漏れを解決できるようにするか、あるいはユーザーが漏れを直すこと(例えば、被覆材を真っ直ぐにする、シールを直す、一つまたは複数の接続を確認するなど)ができるようにすることができる。
【0063】
一部の実施形態では、MPD状態1290における持続時間が、閾値(例えば、10秒などの、5秒以下~5分以上)に等しいか閾値を超え、そして流体流路内の圧力レベルが所望の陰圧レベルに達しないときに、陰圧源が、状態1294への遷移1292を行うように構成され得る。閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。一部の実施形態では、陰圧源は、遷移1292を行うときにポンプを動作停止するように構成され得るが、これは陰圧源が遷移を行っているとの表示をユーザーに提供し得る。陰圧源は、流体流路内の所望の陰圧を確立するために行われたMPDの試みの回数を監視する(例えば、状態1252において及び/又は遷移1228bを行うときにリセットされ、遷移1296を行うときに更新され得るカウンタを維持することで)ように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、限定数又は最大数のMPD再試行の試みを提供するように構成され得る(例えば電力を節約するために)。陰圧源は、限定数の連続的なMPD再試行の試みを提供するように構成することができることが好ましいが、陰圧源は、限定数の連続的でないMPD再試行の試み、又は連続的及び連続的でないIPD再試行の試みの組み合わせを提供するように構成され得る。MPD再試行の試みの閾値は、1、2、3、4、5などであり得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。陰圧源は、IPD再試行の試みの回数とMPD再試行の試みの回数を同じ値または異なる値に設定するように構成され得る。陰圧源は、行われたMPD再試行の試みの回数が閾値(例えば、3回の再試行の試み)に等しいかまたはそれを超えているか否かに状態1294を判定するように構成され得る。行われたMPD再試行の試みの回数が閾値に等しいかまたはそれを超えている場合、陰圧源は、本明細書に記載するように、治療が一時停止または延期される、一時停止状態1218への遷移1228bを行うように構成され得る。あるいは、陰圧源は、本明細書に記載するように、療法が一時停止または延期される、待機状態1270への遷移1296を行うように構成され得る。あるいは、陰圧源は、IPD状態1260またはMPD状態1290への遷移を行うように構成され得る。
【0064】
一部の実施形態では、陰圧源は、被覆材の下の圧力レベルが所望の陰圧レベルに達する、または超える(例えば、より大きくなる)場合に、監視状態1280への遷移1284を行うように構成され得る。また、陰圧源は、遷移1284を行う時に、MPD再試行の試みの回数をリセットするように構成され得る。
【0065】
一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源(例えば、ポンプ)のデューティサイクルを監視するように構成され得る。陰圧源は、定期的及び/又は連続的にデューティサイクルを監視するように構成され得る。デューティサイクル測定値は、漏れの存在もしくは漏れの程度、または創傷から吸引される流体(例えば、空気、液体、または固体の滲出物など)の流量などの、システム様々な動作状態を反映し得る。例えば、デューティサイクルの測定値は、大きな漏れがあることを示すことができ、陰圧源は、この状態を示す、及び/又は節電のためにポンプの動作を一時的に延期もしくは一時停止するようにプログラムされ得る。この機能性は、例えば、電池電力を節約し、ユーザーの介在なしに過渡的及び/又は非過渡的な漏れを解決できるようにするか、あるいはユーザーが漏れを直すこと(例えば、被覆材を真っ直ぐにする、シールを直す、一つまたは複数の接続を確認するなど)ができるようにすることができる。
【0066】
一部の実施形態では、陰圧源は、毎10秒以下と毎5分以上との間に一回など、周期的にデューティサイクルを監視するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、デューティサイクルを1分につき一回監視するように構成され得る。これは、(例えば、割込みによって、もしくはポーリングを介して示されるように)1分ごとに終了するように設定することができ、(例えば、割込みをクリアすることによって)再開することができる、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。一部の実施形態では、デューティサイクルを測定する時間間隔は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。一部の実施形態では、陰圧源が動作状態カテゴリー1250(すなわち、状態1260、1266、1270、1280、1290、1294及び/又はいずれかの状態間のいずれかの遷移)にあるときに、デューティサイクルを監視するように、陰圧源は構成され得るが、これはこの状態カテゴリーにあるときに、陰圧源がポンプを作動するように構成されるからである。一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源が動作状態カテゴリー1250の特定の状態及び/又は状態遷移、あるいは状態及び/又は状態遷移のサブセットにあるときに、デューティサイクルを監視するように構成され得る。一部の実施態様では、陰圧源は、ポンプアセンブリが、活動状態カテゴリー1210の特定の状態及び/又は状態遷移、状態及び/又は状態遷移のサブセット、又はすべての状態及び/又は状態遷移、あるいは本明細書に開示する任意の状態及び/又は状態遷移のいずれかの組み合わせにあるときに、デューティサイクルを監視するように構成され得る。図3に図示するように、陰圧源は、状態1260、1266、1270、1280、1290、1294のいずれかからの遷移1302、及び/又は状態のいずれかから状態1300への遷移を行うことができ、陰圧源は、経過した分の間のポンプのデューティサイクルを判定し得る。デューティサイクルは、次式にしたがって判定することができる:
【0067】
DC=t/T、(1)
【0068】
式中、DCはデューティサイクル、tは陰圧源が活動状態である持続時間、Tは検討中の合計時間である。デューティサイクルを1分につき一回監視する場合(すなわち、T=60秒)、デューティサイクルは次式のように(例えば、百分率で)表すことができる:
【0069】
DC=(経過した分の間のポンプ稼働時間/60)*100% (2)
【0070】
デューティサイクルを判定するために、陰圧源は、ポンプが活動状態(例えば、ポンプ稼働時間)及び/又は非活動状態であった持続時間を監視するように構成され得る。
【0071】
一部の実施形態では、陰圧源は、判定されたデューティサイクルを、1%以下と50%以上との間の範囲から選択することができるデューティサイクル閾値と比較するように構成され得る。比較は、例えば、システム内の漏れの存在を示し得る。換言すれば、ポンプが、デューティサイクル閾値に達するかまたは超えるような期間にわたって活動状態に留まっていた場合、ポンプは漏れを克服するために酷使されていることがある。このような場合、陰圧源は、治療の送達を延期または一時停止するように構成され得る。陰圧源は例えば、陰圧源を動作停止することによって、ポンプが酷使されている(例えば、デューティサイクルがデューティサイクル閾値を超えている)との表示をユーザーに提供するように構成され得る。一部の実施形態では、デューティサイクル閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。図3に図示するように、陰圧源は、判定されたデューティサイクルをデューティサイクル閾値(例えば、9%またはその他の好適な固定または動的閾値)と比較するように構成され得る。陰圧源は、例えば、陰圧源が状態1252からIPD状態1260に遷移するときにリセットすることができ得る、過負荷カウンタを維持し更新することによって、閾値を超えるデューティサイクルの数を監視するように構成され得る。
【0072】
一部の実施形態では、陰圧源は、状態1300において過負荷カウンタを更新するように構成され得る。判定されたデューティサイクルがデューティサイクル閾値を超えない場合、陰圧源は過負荷カウンタを減分し得る。一部の実施形態では、過負荷カウンタの最小値はゼロに設定することができ、すなわち過負荷カウンタが負になることはない。反対に、判定されたデューティサイクルがデューティサイクル閾値に等しいかまたはそれを超える場合、陰圧源は過負荷カウンタを増分し得る。
【0073】
幾つかの実施形態では、陰圧源は、デューティサイクル閾値に等しいかまたはそれを超えるデューティサイクルの合計数もしくは総数を監視するように構成され得る。この方策は、例えば、治療を中断することによる過渡的な漏れによって引き起こされることがある、一つまたは幾つかの不安定なサイクルを防ぐために、デューティサイクルの変化を平滑化または平均化する助けとすることができる。一部の実施形態では、陰圧源は、デューティサイクル閾値を超える連続または非連続的なデューティサイクルを監視するように構成され得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。デューティサイクル閾値を超えるデューティサイクルの数が過負荷閾値(例えば、30など、1~60以上の間)を超えると判定される場合、陰圧源は、本明細書に記載するように治療が延期または一時停止される、一時停止状態1216への遷移1230を行うように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は陰圧源を動作停止するように構成することができ、それによって、ポンプが酷使されている(例えば、デューティサイクルが過負荷閾値を超える)という表示をユーザーに提供し得る。デューティサイクル閾値を超えるデューティサイクルの数が過負荷閾値を超えると判定されない場合、陰圧源は、遷移1304を行い、かつ動作状態カテゴリー1250に留まるように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、同じ状態に戻る、及び/又は陰圧源がそこから遷移1302を行った状態の間で遷移するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、異なる状態へ遷移する、及び/又は状態間で遷移するように構成され得る。
【0074】
一部の実施形態では、陰圧源がさらに、陰圧源が動作状態カテゴリー1250にある状態でユーザーがボタン1002を押した場合に、治療を延期または一時停止するように構成される。一部の実施形態では、陰圧源は、手動一時停止状態1216に遷移するように構成され得る。
【0075】
図4は、一部の実施形態による陰圧源104の動作の別の状態図を示す。一部の実施形態では、コントローラは、状態図1400のフローを実施するように構成され得る。一部の実施形態では、フロー1400は、図2~3に図示するフローと概して類似していてもよい。状態1402は、状態1202に相当し、状態1406は状態1260に相当し、状態カテゴリー1410は状態カテゴリー1210に相当し、状態1414は状態1214に相当し、状態1416は状態1216に相当し、状態1418は状態1218に相当し、遷移1420は遷移1220に相当し、遷移1422は遷移1222に相当し、遷移1424は遷移1224に相当し、遷移1426は遷移1226に相当し、状態1440は状態1240に相当し、状態1459は状態1259に相当する。さらに、状態カテゴリー1450は状態カテゴリー1250に相当し、状態1460は状態1260に相当し、遷移1464は遷移1264に相当し、状態1466は遷移1266に相当し、遷移1468は遷移1268に相当し、遷移1428aは遷移1228aに相当し、状態1470は状態1270に相当し、遷移1472は遷移1272に相当する。さらに、遷移1476は遷移1276に相当し、状態1480は状態1280に相当し、遷移1482は遷移1282に相当し、状態1490は状態1290に相当し、遷移1492は遷移1292に相当し、状態1494は状態1294に相当し、遷移1496は遷移1296に相当し、遷移1428bは遷移1228bに相当し、遷移1512は遷移1312に相当し、遷移1514は遷移1314に相当し、遷移1516は遷移1316に相当する。
【0076】
一部の実施形態では、陰圧源は、MPD状態1490において流体流路内の所望の陰圧レベルが確立された後、デューティサイクルを監視するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源はまた、陰圧源がIPD状態1460に留まっている間にポンプが活動状態であった持続時間を考慮に入れることができる。図示するように、デバイスは、MPD状態1490からの遷移1484を行うように構成され得る。遷移1484遷移1284に類似したものであり得るが、IPD状態1480に直接遷移する代わりに、陰圧源を、状態1500のデューティサイクルを監視するように構成することができる。一部の実施形態では、陰圧源は、陰圧源が監視状態1480及びMPD状態1490に留まっている累積期間の間、デューティサイクルを監視するように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、直前または過去の監視及びMPDサイクル中の累積期間にわたって、デューティサイクルを監視するように構成され得る。例えば、状態1500に遷移する直前には、陰圧源は、持続時間X(その間ポンプが活動状態である)の間、MPD状態1490に留まっていることができる。それに加えて、MPD状態1490に遷移する直前に、陰圧源が持続時間Y(その間、ポンプが非活動状態であった)の間、監視状態1480に留まっていたと仮定して、デューティサイクル(DC)を次式のように、
【0077】
DC=100%*[X/(X+Y)]として表され得る(例えば、百分率で)。(3)
【0078】
デューティサイクルを判定するために、陰圧源は、ポンプが活動状及び/又は非活動状態であった持続時間を監視するように構成され得る。
【0079】
一部の実施形態では、陰圧源は、本明細書に記載するように、判定されたデューティサイクルをデューティサイクル閾値と比較するように構成され得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。デューティサイクルが閾値未満であると判定される場合、陰圧源は、監視状態1480への遷移1502を行うように構成され得る。反対に、デューティサイクルが閾値に等しいか又はそれを超えると判定される場合、陰圧源は、状態1506への遷移1504を行うように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、例えばポンプを動作停止することによって、デューティサイクルが閾値を超えているとの表示を提供することができる。
【0080】
一部の実施形態では、陰圧源は、デューティサイクルが閾値に等しいかまたはそれを超える合計時間もしくは総時間を監視するように構成され得る。この方策は、例えば、治療を中断することによる過渡的な漏れによって引き起こされることがある、一つまたは幾つかの不安定なサイクルを防ぐために、デューティサイクルの変化を平滑化または平均化する助けとすることができる。監視は、再開(例えば、遷移1476の際に)および更新(例えば、状態1506で)され得る、(ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせの)タイマーを維持することによって達成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、総持続時間閾値と比較することができる特定の総期間にわたって、デューティサイクルが閾値に等しいかまたはそれを超えるか否かを判定するように構成され得る。閾値は、30分など、5分間以下と2時間以上との間の範囲から選択され得る。一部の実施形態では、閾値は、ユーザーによって設定もしくは変更される、及び/又は様々な動作状態もしくはそれらの任意の組み合わせに基づいて変えられる、設定値であり得る。累積時間が閾値に等しいか閾値を超える場合、陰圧源は、陰圧源が療法の送達を延期または一時停止するように構成され得る、一時停止状態1418への遷移1508を行うように構成され得る。一部の実施形態では、陰圧源は、例えば、ポンプを動作停止することによって、この遷移をユーザーに示し得る。反対に、累積期間が閾値未満であると判定される場合、陰圧源は、監視状態1480への遷移1510を行うように構成され得る。ポンプアセンブリは、例えば、OKインジケータを明滅または点滅させ、そして被覆材インジケータを動作停止することによって、ユーザーに遷移1510を示すように構成され得る。
【0081】
他の変化形
陰圧源を制御するための追加的な実施形態が米国特許第8,905,985号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。ポンプの駆動信号を較正する追加の実施形態は、PCT公開WO2016/103035に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される実施形態は、これらの刊行物において記載される実施形態と互換性があり、それらの一部を成しており、本明細書に記載される特徴の一部または全ては、これらの刊行物に記載される特徴のいずれかと使用またはその他の方法で組み合わせることができる。
【0082】
本明細書で提供される閾値、限界値、期間などの値は、絶対的なものであることを意図するものではなく、したがっておおよそのものであり得る。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザーによって、固定されるかまたは変えられ得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の方向に参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、未満である、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈され得る。
【0083】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及び、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0084】
一定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形態において、様々な省略、置換、及び変形がなされ得る。一部の実施形態では、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGAなどのハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴及び特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0085】
本明細書で図示され、説明されるユーザーインターフェーススクリーンには、追加の構成要素または代替の構成要素が含まれ得る。これらの構成要素には、メニュー、リスト、ボタン、テキストボックス、ラベル、ラジオボタン、スクロールバー、スライダー、チェックボックス、コンボボックス、ステータスバー、ダイアログボックス、ウィンドウなどが含まれ得る。ユーザーインターフェーススクリーンには、追加の情報、または代替の情報が含まれ得る。構成要素は、任意の好適な順番に配置され、グループ化され、標示され得る。
【0086】
本開示には、特定の実施形態、実施例、及び適用例が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形及びその等価物にまで及び、これには本明細書に記載された特徴及び利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるはずである。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定され得る。
【0087】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、一定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」などの用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、及び動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0088】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、一定の実施形態が、少なくとも一つのXと、少なくとも一つYと、少なくとも一つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0089】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」及び「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0090】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてまたは本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
陰圧創傷療法装置であって、
創傷上に配置されて前記創傷上にシールを作り出す被覆材に、流体流路を介して陰圧を提供するように構成される陰圧源と、
前記流体流路内の圧力を測定するように構成される圧力センサと、
コントローラであって、陰圧の印加を開始または再開する要求に応答して、
第一のモードで前記陰圧源を動作させ、
前記圧力センサによるある期間にわたる複数の測定値に基づいて、前記期間にわたる前記流体流路内の圧力の変化を判定し、
前記流体流路内の圧力が減少しているとの判定に応答して、前記陰圧源が前記第一のモードよりも多量の陰圧を提供する第二のモードで前記陰圧源を動作させ、
前記流体流路内の圧力が減少していないとの判定に応答して、前記シール内の第一の漏れの表示を提供するように構成される、コントローラと、を備える、陰圧創傷療法装置。
[付記項2]
前記陰圧の印加を開始または再開する要求が、前記流体流路内で確立される陰圧設定値と関連付けられ、
前記第一のモードでの前記陰圧源の動作は、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに不十分であり、そして、
前記第二のモードでの前記陰圧源の動作は、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに十分である、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記第二のモードでの前記陰圧の動作が、前記コントローラがさらに、
前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を前記陰圧設定値に減少し、
前記流体流路内の圧力が第一の期間にわたって前記陰圧設定値に達しない場合、第二の期間の間前記陰圧源を動作停止し、そして、
前記第二の期間が経過したとの判定に応答して、前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を減少し、前記陰圧設定値を確立するように構成されることを含む、付記項2に記載の装置。
[付記項4]
前記コントローラがさらに、前記第二の期間の間の前記陰圧源の動作停止回数を監視するように構成される、付記項3に記載の装置。
[付記項5]
前記コントローラがさらに、前記陰圧源の前記回数が再試行閾値を超えるとの判定に応答して、前記シール内の第二の漏れの表示を提供するように構成される、付記項4に記載の装置。
[付記項6]
前記第一の漏れが、前記第二の漏れよりも小さい強度の漏れを含む、付記項5に記載の装置。
[付記項7]
前記シール内の前記第一の漏れまたは第二の漏れの少なくとも一つの前記表示が、前記陰圧源の動作停止を含む、付記項5または6のいずれかに記載の装置。
[付記項8]
前記第一のモードにおける前記陰圧源の動作が、前記流体流路内に約25mL/分の流量を確立することを含む、付記項1~7のいずれかに記載の装置。
[付記項9]
前記シール内の前記第一の漏れの前記表示が、約25mL/分以下の流量の漏れの表示に相当する、付記項8に記載の装置。
[付記項10]
前記コントローラが、前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第一の圧力およびその後に前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第二の圧力の差の判定に基づいて、前記流体流路内の圧力の前記変化を判定するように構成される、付記項1~9のいずれかに記載の装置。
[付記項11]
前記第一のモードが低流量モードを含む、付記項1~10のいずれかに記載の装置。
[付記項12]
前記コントローラが、前記陰圧源のアクチュエータに供給される第一の駆動信号に基づいて、前記第一のモードで前記陰圧源を動作させるように構成される、付記項1~11のいずれかに記載の装置。
[付記項13]
前記コントローラが、前記陰圧源の前記アクチュエータに提供される第二の駆動信号に基づいて、前記第二のモードで前記陰圧源を動作させるように構成され、前記第二の駆動信号は前記第一の駆動信号とは異なる、付記項12に記載の装置。
[付記項14]
陰圧創傷療法装置の動作方法であって、前記方法が、
コントローラによって、陰圧の印加を開始または再開する要求に応答して、
第一のモードで陰圧源を動作させることであって、前記陰圧源が、創傷の上に配置されて前記創傷上にシールを作り出す被覆材に、流体流路を介して陰圧を提供するように構成される、動作させることと、
圧力センサによるある期間にわたる複数の測定値に基づいて、前記期間にわたる前記流体流路内の圧力の変化を判定することと、
前記流体流路内の圧力が減少しているとの判定に応答して、前記陰圧源が前記第一のモードよりも多量の陰圧を提供する第二のモードで前記陰圧源を動作させることと、
前記流体流路内の圧力が減少していないとの判定に応答して、前記シール内の第一の漏れの表示を提供することと、を含む、陰圧創傷療法装置の動作方法。
[付記項15]
前記陰圧の印加を開始または再開する要求が、前記流体流路内で確立される陰圧設定値と関連付けられ、
前記第一のモードで前記陰圧源を動作させることは、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに不十分であり、
前記第二のモードで前記陰圧源を動作させることは、前記流体流路内の圧力を減少させて前記陰圧設定値を確立するのに十分である、付記項14に記載の方法。
[付記項16]
前記第二のモードで前記陰圧を動作させることがさらに、
前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を前記陰圧設定値に減少し、
前記流体流路内の圧力が第一の期間にわたって前記陰圧設定値に達しない場合、第二の期間の間前記陰圧源を動作停止し、そして、
前記第二の期間が経過したとの判定に応答して、前記陰圧源を動作させて前記流体流路内の圧力を減少し、前記陰圧設定値を確立することを含む、付記項15に記載の方法。
[付記項17]
前記第二の期間の間の前記陰圧源の動作停止の回数を監視することをさらに含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記陰圧源の前記回数が再試行閾値を超えるとの判定に応答して、前記シール内の第二の漏れの表示を提供することをさらに含む、付記項17に記載の方法。
[付記項19]
前記第一の漏れが、前記第二の漏れよりも小さい強度の漏れを含む、付記項18に記載の方法。
[付記項20]
前記シール内の前記第一の漏れまたは第二の漏れの少なくとも一つの前記表示が、前記陰圧源を動作停止することを含む、付記項18または19のいずれかに記載の方法。
[付記項21]
前記第一のモードで前記陰圧源を動作させることが、前記流体流路内に約25mL/分の流量を確立することを含む、付記項14~20のいずれかに記載の方法。
[付記項22]
前記シール内の前記第一の漏れの前記表示が、約25mL/分以下の流量の漏れの表示に相当する、付記項21に記載の方法。
[付記項23]
前記流体流路内の圧力の前記変化を判定することが、前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第一の圧力およびその後に前記圧力センサによって測定される前記流体流路内の第二の圧力の差を判定することに基づく、付記項14~22のいずれかに記載の方法。
[付記項24]
前記第一のモードが低流量モードを含む、付記項14~23のいずれかに記載の方法。
[付記項25]
前記第一のモードで前記陰圧源を動作させることがさらに、第一の駆動信号を前記陰圧源のアクチュエータに提供することを含む、付記項14~24のいずれかに記載の方法。
[付記項26]
前記第二のモードで前記陰圧源をさらに動作させることが、第二の駆動信号を前記陰圧源の前記アクチュエータに提供することをさらに含み、前記第二の駆動信号は前記第一の駆動信号とは異なる、付記項25に記載の方法。
図1
図2
図3
図4