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特許7032409都市環境における物品の流通のための地下流通システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】都市環境における物品の流通のための地下流通システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/10 20060101AFI20220301BHJP
   B61B 9/00 20060101ALI20220301BHJP
   B61B 12/00 20060101ALI20220301BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20220301BHJP
   F16L 55/26 20060101ALI20220301BHJP
   F16L 55/30 20060101ALI20220301BHJP
   F16L 55/46 20060101ALI20220301BHJP
   F16L 55/48 20060101ALI20220301BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220301BHJP
   G06Q 50/28 20120101ALI20220301BHJP
【FI】
B61B13/10
B61B9/00
B61B12/00
B61B13/00
F16L55/26
F16L55/30
F16L55/46
F16L55/48
G06Q10/08
G06Q50/28
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2019536661
(86)(22)【出願日】2017-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2017073367
(87)【国際公開番号】W WO2018050869
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】1658686
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519094156
【氏名又は名称】ヴァンシ・コンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ストゥブレ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-セルジュ・ボワッサヴィ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・トロクム
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-513856(JP,A)
【文献】国際公開第1999/043529(WO,A1)
【文献】特開2003-063645(JP,A)
【文献】特公昭53-011752(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第102602632(CN,A)
【文献】特表2008-537709(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105046474(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0075366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/10
F16L 55/30
B61B 9/00
B61B 12/00
B61B 13/00
F16L 55/26
F16L 55/46
F16L 55/48
G06Q 10/08
G06Q 50/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
都市環境における物品の流通のための地下流通システム(1)であって、
少なくともmの深さにおいて、既存の地上建物(B)および/またはインフラ(I)の基礎の下に延在する、少なくとも1つのループ(7)を形成する少なくとも1つのマイクロトンネル(2)であって、その輸送が自動化されている物品のコンテナが一定方向に循環する、少なくとも1つのマイクロトンネル(2)と、
前記ループに据え付けられた、地上とやりとりする複数の交換ステーション(4;6)であって、コンテナを前記マイクロトンネル(2)まで降下させ、前記コンテナが前記マイクロトンネル内で輸送された後に再び上昇させるシャフト(10)を各々が備える複数の交換ステーション(4)と
備える、地下流通システム(1)。
【請求項2】
前記交換ステーションは、複数のコンテナ(3)を地上またはマイクロトンネルへと同時に輸送するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記交換ステーションは、前記コンテナ(3)を前記マイクロトンネルと地上との間でループ状に輸送するための手段(11)を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの交換ステーション(4;6)は、特に、コンテナが輸送する前記物品の地上取り上げを前記荷積みユニットが待っている間に、前記コンテナ(3)を保管するように構成され、前記保管は、対応する前記シャフト(10)内において好適になされる、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロトンネル内を循環する前記コンテナ(3)を輸送するためのシャトル(17)、好ましくは自己推進式のシャトルを備える、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
記コンテナ(3)は、前記マイクロトンネルにおいて自律的に移動することができるように自己推進式である、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャトルまたは前記コンテナは、自律的に動力供給され得るように電池が装備される、請求項またはに記載のシステム。
【請求項8】
前記シャトルまたは前記コンテナは、特にマイクロトンネル内でのそれらの行程の間に、別個のまたは直線状の再充電ターミナルによって再充電される、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記シャトルまたは前記コンテナは、相互に平行でない回転軸の周りに回転する車輪(18)、好ましくは前記マイクロトンネルの壁に直接的に乗る車輪を備え、前記シャトルまたは前記コンテナは、好ましくは前記シャトルまたは前記コンテナを前記マイクロトンネルの下方部分において心出しするための自動システムを有する、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記シャトル(7)は、断面において、前記マイクロトンネルの全体形状を少なくとも部分的に反映する全体形状を有し、特に、前記マイクロトンネルの壁と同心であり、好ましくはアーチ形の、少なくとも1つのコンテナを受け入れるためのクレードル(19)を備える、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンテナ(3)は、円形の全体形状の断面を有する、請求項から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記マイクロトンネル(2)は、円形の全体形状の断面を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記マイクロトンネル(2)は、特に2.5mから3.5mの間の長さで、150mmから500mmの間の壁厚の、好ましくは少なくとも500メートルトンのボーリング推力に耐えるように構成された、順々に組み立てられる区域を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記マイクロトンネルは、組み立てられたアーチ形区分を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記区域または組み立てられた前記アーチ形区分は、特に二層の補強材を用いる、鉄筋コンクリートから少なくとも部分的に作られる、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記マイクロトンネルの断面における最大内部寸法、特に内径は、1.5mから4mの間であり、好ましくは、2.5mから4mの間である、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記マイクロトンネルは、20mまたは30m以上の深さに埋設される、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンテナ(3)のうちの少なくとも1つは、互いから独立して開閉され得る独立した区画室を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記交換ステーション(4;6)において、前記シャトル(17)から荷降ろし、および/または、前記シャトル(17)に荷積みするためのシステムを備える、請求項に記載のシステム。
【請求項20】
前記交換ステーション(4;6)の少なくとも1つの前記シャフトは、マイクロトンネル技術を用いて前記マイクロトンネル(2)をボーリングするときに、加工シャフトとして作用するのに十分な寸法とされる、請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
全体的な流量管理インテリジェンスを用いずに前記コンテナの輸送を規制するためのシステムを備え、各コンテナおよび/またはその輸送シャトルには、コンテナおよび/またはその前方に配置されたシャトルと前記交換ステーションとの位置特定を可能にする少なくとも1つのセンサが装備され、前記規制システムは、前記コンテナに、交通の負荷に応じて前記コンテナの速度を規制させ、前記交換ステーションに停止させ、かつ潜在的に、前記マイクロトンネルループから故障した車両を取り出すために前記故障した車両を押させることを可能にする、請求項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
都市の郊外に、前記都市環境から離れた交換ステーション(6)を備え、これにより輸送の地上手段(8)によって物品を容易に持ち込ませ、および物品を容易に運び出させる、請求項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記コンテナを輸送するための地上輸送車両を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記シャトル(17)は、前記マイクロトンネル内において少なくとも1つのケーブル(42)によって引っ張られる、請求項に記載のシステム。
【請求項25】
前記ケーブルは、前記マイクロトンネルによって形成された前記ループの区域の2つの端部の間に延び、これらの端部は、好ましくは、地上とやりとりする交換ステーション(4)に据え付けられる、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記シャトル(17)は、前記マイクロトンネルによって形成された前記ループ内の前記シャトル(17)の行程の間、第1のケーブルによって前記シャトル(17)が移動させられるループの第1の区域(107a)から、前記第1のケーブルと異なる第2のケーブルによって前記シャトル(17)が移動させられるループの第2の区域(107b)へと通過するように構成され、前記第1の区域から前記第2の区域への移行は、交換ステーション(6)内で行われる、請求項5を含む請求項1から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
各交換ステーションは、その目的地に到着したシャトルの内容物の少なくとも一部を、前記交換ステーションに到着したシャトルから荷下ろしし、この内容物を地上へと再び上昇させるように構成される、請求項5を含む請求項1から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
輸送される前記物品は、パレットにおいて梱包される、請求項から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
少なくとも1つの交換ステーションは、シャトル(17)を担持する軌道の一部分(90)を、前記輸送ループから来る新たなシャトルを受け入れるための位置であって、前記軌道の一部分(90)が前記マイクロトンネル内に延在する前記軌道に連続して延びる位置と、前記シャトルによって輸送される1つ以上のコンテナ(3)をリフト(60)へと荷降ろしさせるか、または、輸送するために前記シャトル(17)に1つ以上の新たなコンテナ(3)を受け入れさせる、荷積み/荷降ろし軌道(91)への切り替えの位置と、の間を輸送させるための機構を備える、請求項を含む請求項1から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
少なくとも1つの交換ステーションは、前記ループを形成する前記マイクロトンネルの2つの区域(107a、107b)を連結し、前記2つの区域は、それらの間にゼロでない角度を形成する異なった方向に向けられている、請求項1から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記区域(107a、107b)は真っ直ぐである、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
少なくとも1つの交換ステーションは、少なくとも1つのシャトルがそれ自体を位置決めできる軌道(95)の可動部分を担持する回転台(96)を備え、前記回転台は、前記可動軌道が、シャトルを載せるための軌道と一列になる位置と、前記可動軌道が、進路を決められるマイクロトンネルの隣の区域の前記軌道と一列になる位置と、を取ることができる、請求項5を含む請求項1から31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記交換ステーションは前記ループ上に配置され、前記システムは、前記ループ内に供給されかつ前記ループ(7)上に配置された前記交換ステーション(4)を用いて流通される物品を整理するための、少なくとも1つの注文ステーション(6)を備え、前記少なくとも1つの注文ステーション(6)は、少なくとも1つの二方向輸送ラインによって前記ループに、特に前記ループの少なくとも1つの交換ステーションに連結される、請求項1から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記輸送ラインは、コンテナもしくはシャトルが二方向に循環するトンネル、または前記コンテナもしくはシャトルが反対の方向に循環する2つのマイクロトンネルを備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記マイクロトンネルは、40m以上の深さに埋設される、請求項17に記載のシステム。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか一項に定められるようなシステム(1)を使用して、都市環境において物品を流通させるための方法であって、
a) 輸送の地上手段(8)によって物品を交換ステーション(6)へと持ち込むステップであって、これらの物品は、少なくとも1つのコンテナ内に収容されている、持ち込むステップと、
b) 前記コンテナを前記マイクロトンネル(2)へと降下させるステップと、
c) 地上とやりとりする別の交換ステーション(4)まで、前記コンテナを前記マイクロトンネル(2)内において循環させるステップであって、前記コンテナは、前記マイクロトンネル内を一定方向に循環する、循環させるステップと、
d) 前記コンテナを地上へと再び上昇させるステップと、
e) 前記前記コンテナを、または前記コンテナ内に収容された前記物品の全部もしくは一部を取り上げるステップと、
f) 前記コンテナ、または完全な前記コンテナもしくは前記コンテナを梱包するときにあらかじめ構築された要素の部分セット、を荷受人へと送るステップと、
を含む、方法。
【請求項37】
記コンテナ(3)は、特に前記コンテナまたは前記コンテナに収容された前記物品を取り上げる要求を待つ間に、地上へと再び上昇させられることなく前記交換ステーション(4)において収容されたままであり、特に前記交換ステーションの前記シャフト(10)において保管される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記物品は、主に請求項33または34に記載の輸送ラインを介して前記輸送ループへと投入される、請求項36または37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市環境における物品の流通に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を都市の中心部へと搬送することは、トラックなどの車両を使用して現在実施されており、これがいくつかの問題を提起している。
【0003】
まず、これらの車両の大部分は燃焼エンジン車両であるため、それらの車両の流れが都市の大気汚染の原因となっている。次に、主な交通路における混雑が理由で、物品の流通時間が長くなっている。
【0004】
そのため、都市環境における物品の流通を容易にし、加速させる必要性がある。
【0005】
物品の自動運搬のためのシステムは、中華人民共和国出願第105046474号明細書において提案されており、一定の数の分岐を伴うループ状のパイプラインを備えている。このパイプラインには、当該パイプライン内を循環する車両に電力を供給する役割を果たすレールが装備される。
【0006】
特許文献1は、例えば浅い深さまたは地上における住宅施設の下で延びる通路においてレール上を移動する複数の自律型コンテナを備える2地点間式の自動輸送システムを開示している。各コンテナは、電気モータによって移動させられ得る。このようなシステムは、大量の物品を輸送するようには設計されておらず、千トンはないとしても典型的には数百トンの日用品のトン数を伴う集塊全体に対して供することには適していない。また、コンテナが循環する経路の設置は、この経路が通過する住宅施設の計画と併せて実施される必要がある。なぜならば、経路は、少なくともその一部が、これらの住宅施設の下部構造と同じ深さに配置されるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2002/0062759号
【文献】米国特許出願公開第2003/0075366号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、物品を都市の中心部へと流通させる問題に対して解決策を提供するために、物品流通システムのさらなる向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の1つの主題は、本発明の第1の態様によれば、都市環境における物品の流通のための地下流通システムであって、
- 既存の地上建物および/またはインフラの基礎の下、地下、または他所に延在する、少なくとも1つのループを形成する少なくとも1つのマイクロトンネルであって、その輸送が自動化されている物品、特に荷積みユニット、特にコンテナに梱包された物品、またはパレット上の物品が循環する、少なくとも1つのマイクロトンネルと、
- 地上とやりとりする複数の交換ステーションであって、物品、特に荷積みユニットをマイクロトンネルまで降下させ、物品がマイクロトンネル内で輸送された後に再び上昇させるシャフトを各々が備える複数の交換ステーションと、
を備える、地下流通システムである。
【0010】
本発明は、輸送ループを比較的大きな深さまで埋設することで、混雑した都市環境において、最後から2番目のキロメートル(penultimate kilometer)の物流の問題に対する解答を提供する。このような深さは、既存の建物への干渉を回避し、または最小限にさえする。本発明は、都市の汚染を低減することも可能にする。
【0011】
輸送ループを作り出すためのマイクロトンネルの選択は、実績のある技術の使用を可能にし、関連する経済的利益と両立可能なコストで地下システムを作り出すことができる。
【0012】
また、輸送システムは、ループへと投入され、ループに据え付けられた交換ステーションを用いて流通させられる物品を注文するための少なくとも1つの注文ステーションを備える。この注文ステーションは、好ましくは、少なくとも1つの二方向輸送ラインによって、ループに連結され、特にループの少なくとも1つの交換ステーションに連結される。
【0013】
注文ステーションは、1つの同じ荷積みユニット内で一緒にグループ化された物品が1つの同じ交換ステーションに到着する配送に対応するように纏めて準備させられ、その交換ステーションにおいて、荷積みユニットは、マイクロトンネルによって形成されたループから取り出され、地上へと再び上昇させられて、一団の電気車両によって意のままに持って行かれ、例えば、一団の電気車両はこれらの物品をそれらの最終的な目的地へと搬送することになる。
【0014】
システムの周辺における1つ以上の注文ステーションの存在と、ループが供される都市の存在と、は物品の大きな処理能力を管理することと、ループに据え付けられ、比較的狭くなりがちであるシャフトと連通する交換ステーションによって行われ得るよりも容易に、大量の物品をループへと投入することと、を可能にする。
【0015】
また、ラインは傾斜してもよく、注文ステーションは、その地下の設置に関する限り、ループを形成するマイクロトンネル区域が埋設される深さより浅い深さにおいて埋設されてもよい。
【0016】
輸送システムは、荷積みユニットが荷積みされたシャトルを、注文ステーションに残すことと、ループ状に据え付けられ、物品の最終目的地に近いため選択された交換ステーションにおいて、それらの内容物を荷降ろしした後、注文ステーションに空で戻すことと、を含み得る。
【0017】
したがって、輸送システムは、「送り込み装置」ラインと称される、ループに物品を供給する少なくとも1つのラインを備え得る。このラインは一定方向であってもなくてもよい。このラインは、物品がシャトルによって循環するとき、物品を梱包してシャトルに荷積みするための物流施設に集中してもよい。このラインは、すべてではないとしても、シャトルの荷積みのほとんどを取り扱うことができ、ループ内の交換ステーションは、好ましくは、物品を荷積みするという主な役割ではなく、物品を流通させるという主な役割を有する。
【0018】
交換ステーションは、複数の荷積みユニット、特に複数のコンテナを地上またはマイクロトンネルへと同時に輸送するように構成され得る。具体的には、交換ステーションは、荷積みユニット、特にコンテナをマイクロトンネルと地上との間でループ状に輸送する手段を備え得る。
【0019】
交換ステーションは、ステーションの外側で、1つの上流のループ区域と1つの下流のループ区域とのみに連結され得る。上流区域から下流区域へと、物品が進行する方向を逆にする必要なく、ステーション内に曲げ部が生じてもよい。
【0020】
少なくとも1つの交換ステーションは、特に荷積みユニットが輸送することになる物品の地上取り上げを荷積みユニット待っている間に、荷積みユニット、特にコンテナを保管するように設計されてもよく、保管は、例えば対応するシャフト内において、または代替で、地上においてなされる。荷積みユニット、特にコンテナの少なくとも一部を交換ステーションのシャフトにおいて保管することは、システムの地上据付面積を最小限にすることを可能にする。
【0021】
好ましくは、システムは、マイクロトンネルにおいて循環する荷積みユニット、特にコンテナを輸送するためのシャトル、例えば自己推進式のシャトル、好ましくはケーブルで引っ張られるシャトルを備える。ケーブルの使用は、シャトルのコストを低減することを可能にし、同時に、迅速で信頼できる輸送システムを利用可能にする。
【0022】
代替例として、または加えて、荷積みユニットは、マイクロトンネルにおいて自律的に移動することができるように自己推進式であるコンテナである。
【0023】
具体的には、シャトルまたはコンテナは、有利には自律的に動力供給され得るように、電池が装備され得る。これは、マイクロトンネル内に電力供給レールを作る必要性を回避することを可能にし、これはシステムのコストを大幅に低減させる。
【0024】
物品は様々な方法で梱包され得る。
【0025】
物品は、物品が置かれるパレットから各々形成された荷積みユニット内に収容されてもよく、これらの物品はフィルム、特に伸縮フィルムを使用して、所定位置で保持される。
【0026】
物品は木箱に、または出荷コンテナの種類の任意の他の種類のコンテナに収容されてもよく、この任意の他の種類のコンテナは、金属製であってもなくてもよく、区画されていてもいなくてもよく、マイクロトンネルにおける循環に適した任意の形のものとでき、必要な場合には、輸送シャトルに配置される。
【0027】
特に、パレットを備える物品荷積みユニットの場合、各荷積みユニットの高さは、1.5mから2.3mの間とすることができ、好ましくは2mのオーダーである。幅は1mのオーダーとすることができ、パレットは、例えば欧州において標準的な種類のものである。
【0028】
実施形態の代替形態では、物品は、少なくとも1つのケーブルを使用してマイクロトンネル内において引っ張られるシャトルにおいて、マイクロトンネル内を循環する。このケーブルは、マイクロトンネルによって形成されたループの区域の2つの端部の間で延び、これらの端部は、好ましくは地上とやりとりする交換ステーションに据え付けられる。したがって、シャトルは、マイクロトンネルによって形成されたループ内におけるシャトルの行程の間、第1のケーブルによってシャトルが移動させられるループの第1の区域から、第1のケーブルと異なる第2のケーブルによってシャトルが移動させられるループの第2の区域を通過することができ、第1の区域から第2の区域への移行は、交換ステーション内で行われる。
【0029】
電気モータによって自律的に推進させられるとき、各シャトルまたはコンテナは、様々な方法で再充電され得る。有利には、シャトルまたはコンテナは、マイクロトンネル内でのそれらの行程の間、特に別個のまたは直線状の再充電ターミナルによって、再充電される。
【0030】
具体的には案内レールのない場合、シャトルまたはコンテナは、相互に平行でない回転軸の周りに回転する車輪、好ましくは、マイクロトンネルの壁に直接的に乗る車輪を有し得る。シャトルまたはコンテナは、車輪の軸を移動させるための、特にシャトルまたはコンテナをマイクロトンネルの下方部分において中心付けさせるための、自動心出しシステムを有してもよい。特許文献2は、コンテナの輸送に適合され得るマイクロトンネルの壁に直接的に沿って走行するように設計されたマイクロトンネルにおける輸送車両を開示している。
【0031】
代替形態では、マイクロトンネルには、コンテナまたはシャトルが進むレールが備えられる。コンテナまたはシャトルがケーブルによって引っ張られる場合、レールの使用が好ましい。
【0032】
区域に敷設されるケーブルは、1kmを超える長さ、例えば少なくとも4km、より良くは6km、例えば8km以上の長さであってもよく、したがって、ケーブルがシャトルを引っ張るために一方の方向に延び、空荷のときには他方の方向に延びるならば、4km以上の区域を達成することを可能にする。ケーブルは、スキーリフトまたはチェアリフトにおいて使用されるシステムと同様の方法で、プーリおよび引張ローラに搭載され得る。
【0033】
ケーブルは、レール同士の間で、これらレールと平行に延びることができ、コンパクト性の観点における利益を可能とし、関連する場合、レールと共通している支持部において搭載されるケーブル案内構造を可能にする。
【0034】
シャトルは、断面において、マイクロトンネルの全体形状を少なくとも部分的に反映する全体形状を有することができ、特にマイクロトンネルの壁と同心であり、アーチ形の、少なくとも1つのコンテナを受け入れるための、または他の荷積みユニットを受け入れるためのクレードルを備え得る。これは、物品を輸送するために使用されないマイクロトンネルの断面の大きさを縮小することで、システムの使用を最適化することを可能にし得る。
【0035】
また、これは、輸送される同じ体積の物品について、マイクロトンネルの外断面を最小限にすることを可能にし、したがって、製作することをより容易にする。数キロメートルまたは数十キロメートルの長さとなり得るマイクロトンネルの長さの場合、外断面における縮小は、たとえ僅かであっても、作業のコストに対して有意な波及効果がある。
【0036】
シャトルは、パレットに乗せられた物品などの1つ以上の荷積みユニット、好ましくは並べて置かれた2つまたは4つの荷積みユニットを受け入れるための空間を有し得る。
【0037】
各シャトルは、荷積みユニットにわたって延在する屋根と、屋根が乗る前壁および後壁と、を有してもよい。
【0038】
コンテナは円形の全体形状の断面を有し得る。他の断面形状、特に平坦部を有する円形、または多角形、特に正方形が可能である。
【0039】
好ましくは、マイクロトンネルは、円形の全体形状の断面を有し得る。
【0040】
マイクロトンネルは、様々な方法で製作され、および例えば、特に2.5mから3.5mの間の長さで、150mmから500mmの間の壁厚の次々に組み立てられる区域を備え、これらの区域は、好ましくは少なくとも500メートルトンのボーリング推力に耐えるように設計される。
【0041】
代替例として、マイクロトンネルは、組み立てられたアーチ形区分を備える。
【0042】
好ましくは、区域またはアーチ形区分は、特に二層の補強材を用いる、鉄筋コンクリートから少なくとも部分的に作られる。
【0043】
マイクロトンネルは、特に金属製のライニングを有してもよい。
【0044】
1つの例示の実施形態では、マイクロトンネルの断面における最大内部寸法、特に内径は、1.5mから4mの間であり、特に1.5mから2.5mの間、または2.5mから4mの間であり、例えば1.5mから2.2mの間、または3mから4mの間である。
【0045】
マイクロトンネルは、有利には5m以上の深さまで埋設される。本発明におけるマイクロトンネルの使用は、既存の基礎およびインフラの下をそれらと干渉することなく通過するように、例えば20m超もしくは30m超、またはさらには35m超、40m超、もしくは50m超といった、より大きい深さの埋め込みを予期することを可能にする。送り込み装置は、様々な深さであって、かつ、ループの深さではない深さに埋設され得る。
【0046】
コンテナのうちの少なくとも1つが、互いから独立して開閉され得る独立した区画室を有することは、有利となり得る。
【0047】
これは、対応する物品を回収するためにコンテナの一部だけへのアクセスを可能にする一方で、他の区画室に存在する物品にはアクセスすることができないため、特に物流の観点から魅力的であることを示すことができる。これは、物品の荷受人が様々である場合に有益となり得、物品は、別々の参加者によって別々の時間に取り上げられる。
【0048】
各コンテナは、必要に応じて、1つ以上のパレットを受け入れるように設計され得る。
【0049】
好ましくは、コンテナまたはシャトルはループに沿って一定方向に循環する。したがって、ループの2つの交換ステーションの間の各区域では、この区域の方向と同じ方向に循環する物品が進む。したがって、シャトルまたはコンテナはマイクロトンネル内で互いを通り過ぎることがなく、それによって、マイクロトンネルの断面をコンテナの断面に近づけるように調整することと、物品の輸送において、使用しないマイクロトンネル断面の大きさを縮小することと、を可能にする。
【0050】
しかしながら、上記に指摘したように、本発明は特に、シャトルに載せてまたはコンテナで搬送される物品が二方向に循環することになる、少なくとも1つの送り込み装置を使用してループへと持ってこられた物品を排除しない。このラインは、トンネル内の2つの軌道ラインであっても、または2つの平行なトンネルを有してもよい。
【0051】
システムは、交換ステーションにおいて、シャトルもしくはコンテナから荷降ろし、および/またはシャトルもしくはコンテナに荷積みするためのシステムを備え得る。具体的には、システムは、コンテナもしくは他の荷積みユニット、または、それで搬送される物品を輸送するのに適した地上輸送車両を備え得る。具体的には、最後のキロメートル(final kilometer)における物品の配送は、一団の電気車両によって実施され得る。
【0052】
輸送車両は、コンテナが円筒の形状である場合、コンテナを受け入れるための円筒のクレードルを有し得る。
【0053】
好ましくは、交換ステーションの少なくとも1つのシャフトは、マイクロトンネル技術を用いてマイクロトンネルをボーリングするときに加工シャフトとして作用するのに十分な寸法とされる。これは、マイクロトンネルのボーリングの間に行われる掘削作業が、1つ以上の交換ステーションを作り出すために後で使用でき、これらは物品または機器を保管するために使用できることを意味している。
【0054】
適切な場合、本発明による地下物品流通システムには、全体的な流量管理インテリジェンスを用いずにシャトルまたはコンテナの輸送を規制するためのシステムが備えられ、各コンテナおよび/またはその輸送シャトルには、先行するコンテナおよび/またはシャトルと交換ステーションとの位置特定を可能にする1つ以上のセンサが装備され、コンテナに、交通の負荷に応じてコンテナの速度を規制させ、交換ステーションにおいて停止させ、潜在的に、マイクロトンネルループから故障した車両を取り出すために故障した車両を押させることを可能にする。
【0055】
マイクロトンネルは、低減された酸素圧下にあり得る。これは、火災の危険性を抑制することを可能にする。具体的には、酸素レベルは、外気における通常のレベルよりも15%低くすることができ、さらに良くは、20%、または50%、またはそれ以上低くすることができる。
【0056】
各交換ステーションは、シャトルが交換ステーションに到着するときにシャトルを漸進的に減速させるために、例えばローラを使用した装置と、過剰な振動なく移動するケーブルにシャトルを掛かり止めさせるための発射システムと、を備え得る。
【0057】
交換ステーションは、シャトルによって搬送される物品を取り上げる一方で、同時に、シャトルを輸送ループにおけるその行程において進み続けさせるための機構を備え得る。
【0058】
シャトルの荷降ろしは、シャトルを異なる軌道へと切り替えることで、または軌道における変更なしで、シャトルの内容物を抽出することで、実施され得る。
【0059】
交換ステーションは、例えばシャトルを担持する軌道の一部分を、輸送ループから来る新たなシャトルを受け入れるための第1の位置であって、軌道の一部分がマイクロトンネルにおいて延在する軌道に連続して延びる位置と、シャトルによって輸送される1つもしくは複数の荷積みユニットを物品リフトなどのリフトへと荷降ろしさせるか、または輸送するためにシャトルに1つもしくは複数の新たな荷積みユニットを受け入れさせる荷積み/荷降ろし軌道への切り替えの第2の位置と、の間で輸送させるための機構を備える。
【0060】
代替例として、シャトルだけが、到着軌道から荷積み/荷降ろし軌道へと移動され、その車輪が係合されるレールは、この移動に追随しない。
【0061】
さらなる代替例として、シャトルが特定の荷積み/荷降ろし軌道へと切り替えられることなく、物品だけがシャトルから荷降ろしされる。
【0062】
シャトルは、引張ケーブルに結合されないときには、任意の手段によって、例えばローラによって、または、任意の他の補助駆動機構によって駆動され得る。
【0063】
荷積みユニットは、運搬ローラによって、および/または移行システムによって輸送され得る。
【0064】
ループは、交換ステーションにおいて据え付けられる曲げ部を備え得る。これは、ループ内における区域を真っ直ぐに保ち、マイクロトンネルをより容易に構築させ、シャトルをより容易に駆動させることを可能にすることができる。シャトルを曲げ部で曲げ進めるために、シャトルは、レール上で維持されかつシャトルを出発軌道へと向ける可動軌道レールを備える回転台が設けられてもよい。シャトルをレール上で維持せず、シャトルが、例えばローラもしくはローラコンベヤによって搬送されるか、またはシャトルをきつい曲げ部で曲げさせる任意の他の運搬システムによって輸送される補助駆動システムを使用して、シャトルを駆動することも可能である。
【0065】
1つの例示の実施形態では、交換ステーションが、ループを形成するマイクロトンネルの2つの区域を連結し、2つの区域は、それらの間にゼロでない角度を作る異なる方向に向けられ、交換ステーションは、少なくとも1つのシャトルがそれ自体を位置決めできる軌道の可動部分を担持する回転台を備える。
【0066】
この回転台は、可動軌道が、シャトルを載せるための軌道と一列になる位置と、前記可動軌道が、進路の決められるマイクロトンネルの隣の区域の軌道と一列になる位置と、を取ることができる。
【0067】
マイクロトンネルによって形成されたループは、連続した区域を備えてもよく、その長さは、例えば1km超であり、異なる向きの区域同士の間に連結を提供する交換ステーションによって連結される。区域は、必要に応じて真っ直ぐにすることができ、前述したように、マイクロトンネルをより容易にボーリングおよび連結させることができる。
【0068】
本発明のさらなる主題は、本発明の別の態様によれば、上記に定められるような本発明によるシステムを使用して、都市環境において物品を流通させるための方法であって、
a) 輸送の地上手段によって物品を交換ステーションへと持って行くステップであって、これらの物品は、少なくとも1つの荷積みユニット、特にコンテナにおいて収容されているか、またはパレット上にある、ステップと、
b) この荷積みユニット、特にコンテナをマイクロトンネルへと降下させるステップと、
c) 地上とやりとりする別の交換ステーションまで、マイクロトンネルにおいて荷積みユニット、特にコンテナを循環させるステップと、
d) 荷積みユニット、特にコンテナを地上へと再び上昇させるステップと、
を含む方法である。
本方法はまた、以下の追加のステップ、すなわち、
e) 荷積みユニット、特にコンテナまたは荷積みユニットが収容する物品の全部もしくは一部を取り上げるステップと、
f) 荷積みユニット、特にコンテナを完全に、または荷積みユニット、特にコンテナの梱包のときにあらかじめ構築された要素の部分セットで、荷受人へと送るステップと、
を含んでもよい。
【0069】
好ましくは、ループ内で輸送される物品のほとんどは、大きな物流の流れを確保するために設計され、専用のライン、つまり前述した送り込み装置によってループへと連結される少なくとも1つの交換ステーションから来る。
【0070】
本方法は、1000t/dを超える、または10000t/dすら超える輸送を予期することができる。
【0071】
荷積みユニット、特にコンテナは、地上へと再び上昇させられることなく交換ステーション内で収容されたままとすることができ、特に、交換ステーションのシャフト内に保管され、荷積みユニット、特にコンテナまたはそれに収容された物品を取り上げるための要求を待つことができる。
【0072】
本方法は、ケーブルによって引っ張られるシャトルにおける荷積みユニットを輸送するステップを含み得る。ケーブルは、5m/s以上の速度で、さらに良くは7m/s以上の速度、例えば8m/sのオーダーで走行し得る。各シャトルは、引張ケーブルの速度に到達するために交換ステーションを離れるときに加速され、次の交換ステーションに到着するときに漸進的に減速され得る。各シャトルは、ケーブルと係合する解放可能な留め具を備え得る。
【0073】
各荷積みユニットの重量は、好ましくは100kgから500kgの間であり、またはさらには、例えば1000kg超である。
【0074】
本発明のさらなる主題は、本発明の別の態様によれば、上記に定められているようなシステムにおいて物品を輸送するためのコンテナであって、1mから2.5mの間の外径を伴う円形の断面の円筒形の全体形状と、マイクロトンネルにおいて循環する輸送シャトルに素早く結合する手段と、を有し、特にシャトルがコンテナを受け入れるアーチ形のクレードルを有する、コンテナである。好ましくは、このようなコンテナは軸方向に区画化され、区画室が独立して開閉されることが可能である。
【0075】
本発明のさらなる主題は、パレットに載せられ、コンテナに入れられ、または別の方法とされる少なくとも1つの荷積みユニット、好ましくは物品を輸送するためのシャトルであって、引張ケーブルに結合するための機構と、車輪と、1つ以上の荷積みユニットを受け入れるための空間とを備え、好ましくは、4つの荷積みユニットが2個ずつ2列で配置されるシャトルである。シャトルは、側部において開けることができ、前壁と後壁とを連結する屋根を有し得る。
【0076】
本発明のさらに別の主題は、コンテナと、マイクロトンネル内でコンテナを輸送するためのシャトルと、から成る組立体であって、シャトルは、このコンテナが取り外し可能に受け入れられ得る、コンテナを受け入れるためのクレードルを備え、コンテナは回転柱の全体形状を有し、クレードルは、コンテナの長手方向軸の周りで同心であるアーチ形を有する、組立体である。
【0077】
具体的には、シャトルは、マイクロトンネルの壁に直接的に沿って延びるように設計された、非平行の回転軸を伴う車輪を備え得る。シャトルは、マイクロトンネルの下方部分においてシャトルを中心付けるための中心付けシステムを備えてもよい。
【0078】
本発明のさらに別の主題は、マイクロトンネルの2つの区域を連結する埋設された部分を備え、マイクロトンネルにおいて循環する荷降ろしシャトルの手段を備える交換ステーションである。
【0079】
交換ステーションは、例えば区域のうちの1つから来るシャトルを受け入れるための位置と、地上へと上昇するリフトへと荷積みユニットを往来で運搬するためのシステムを越えてシャトルが走行する、シャトルを荷積み/荷降ろし軌道において運搬する位置と、の間で移動するための第1の軌道と、荷積み/荷降ろし軌道において循環するシャトルを受け入れるための位置と、他の区域に向けて運搬する位置と、の間で移動することができる第2の軌道と、を備える。
【0080】
交換ステーションは、ループ状に循環する物品に、曲げ部を取らせるように設計され得る。
【0081】
交換ステーションは、一例では、ステーションの上流および下流に配置されたマイクロトンネルの2つの区域が、それらの間に角度を作り出す場合に、回転台に搭載される可動軌道を備え得る。代替例として、交換ステーションは、所望の曲げ部を通り抜けさせる、例えばキャスタまたはローラにおける、レールのないシャトル運搬手段を備える。レールも可動軌道も有していないシャトル運搬手段の使用は、シャトルをより容易に移動させ、切り替え装置の使用を回避する。これは、自己推進式でないシャトルの使用を可能にする。これは、コンパクト性の観点における節約も可能にし、そのため、交換ステーションを構築するために掘り返される土の量を抑えることを可能にする。回転台の使用は、間に大きな角度を設定したマイクロトンネルの2つの区域が、非常に容易に連結でき、それらの区間がそれらの長さを最適化するような方法で配向されることを意味する。これは、シャトルを引っ張るためのケーブル引張システムの使用と両立でき、シャトルを非常に高い速度で移動させることができる真っ直ぐな区域を使用することを可能にもする。
【0082】
本発明は、本発明の1つの非限定的な例示の実施形態についての、以下の詳細な記載を読むことと、添付の図面を検討することとから、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明の1つの例示の実施形態における、輸送ループが追随する経路の上方からの図を極めて概略的に示す図である。
図2】都市の中心部における、本発明によるシステムを貫いた縦断面図である。
図3】地上とやりとりする交換ステーションの一例を概略的かつ部分的に示す図である。
図4】コンテナの例を概略的かつ部分的に示す図である。
図5】マイクロトンネルにおいて進む、シャトルおよびコンテナの組立体の例を概略的かつ部分的に示す断面図である。
図6】輸送ループの2つの区域を連結する交換ステーションの一例の概略的な斜視図である。
図7】交換ステーションの代替形態の図である。
図8】輸送ループの代替形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図中に描写されている本発明によるシステム1は、マイクロトンネル2を備え、マイクロトンネル2は輸送ループ7を形成し、輸送ループ7は、都市の中心を構成し、図2に見られるような地上建物Bと、マイクロトンネル2がその下に延在している埋設されたインフラIと、を備える、混雑した都市環境Mの下に、少なくとも部分的に延在している。後者は、コンテナ3などの荷積みユニットに存在する物品の自動化された輸送を可能にするように設計されている。
【0085】
システム1は、物品を地上から降下させ、再び地上へと上昇させる交換ステーション4を備え、これらの交換ステーション4は輸送ループ7に沿って配置されて、局所的な流通のために物品を都市の様々な領域Zに送付させることを可能にしている。
【0086】
システム1は、交換ステーション6も備え、この交換ステーション6において物品の注文が行われ得、この注文活動は、トラックなどの地上輸送手段8によって物品を持ち込み、および持ち去ることを容易にするために、都市の郊外における、都市環境Mから離れた所で実施されるように計画される。これらの交換ステーション6は、注文ステーションとも称される。
【0087】
各交換ステーション4または6は、地上とマイクロトンネル2との間で、特にコンテナ3といった荷積みユニットを輸送するためのシステム11が内部に延在するシャフト10を備える。
【0088】
このシステム11は、例えば荷積みユニット3をループ状に循環させる機構を備え、これらのユニットは、例えばシャフト10において輸送される間、ゴンドラ12に結合され、またはさもなければ固定される。
【0089】
自動システム14が、マイクロトンネル2から荷積みユニット3を抽出し、輸送システム11に荷積みするために、シャフトの下部に設けられてもよく、到着する荷積みユニット3をゴンドラ12に置く。同様に、荷積みユニット3または荷積みユニット3内に収容された物品を抽出し、それらを地上において取り出させるために、ロボットシステム15が地上に設けられる。
【0090】
荷積みユニット3は、自己推進式コンテナであってもよく、または代替例として、マイクロトンネル2において一定方向に循環する輸送シャトル17によって搬送されてもよい。
【0091】
好ましくは、図5に示しているように、これらの輸送シャトル17は、マイクロトンネルの断面の占有を最適化するために、マイクロトンネル2の断面を概して反映する断面形状を有する。したがって、シャトル17は、図示しているように、少なくとも1つのコンテナ3を受け入れるクレードル19を有することができる。したがって、コンテナ3は、好ましくは図示しているように、マイクロトンネル2と同心の円形の断面を有する。
【0092】
シャトル17は、例えば、マイクロトンネルの壁に乗るシャトルの車輪18の回転軸同士の間の角度を変更することで、マイクロトンネルの下部においてシャトル17自体を心出しさせる機構を好ましくは備える。
【0093】
システム1は、以下のように、本発明の1つの例示の実施形態において使用され得る。
【0094】
物品が荷積みされたコンテナ3が、地上輸送手段8によって、都市のはずれまたは都市の外部に据え付けられた交換ステーション6のうちの少なくとも1つに搬送される。次に、コンテナはマイクロトンネル2へと降下させられる。次に、各コンテナ3は、輸送される物品の少なくとも一部が送られる必要がある交換ステーションまで輸送され、その後に地上へと再び上昇させられる。これらの物品が取り上げられた後、コンテナ3はマイクロトンネル2まで再び降下させられて、その一巡を続ける。必要な場合、コンテナ3は、交換ステーションに保管され、例えば地上取り上げの要求などを待つ。
【0095】
1つ以上のコンテナが交換ステーションに保管されるとき、マイクロトンネル2および地上からのコンテナの上昇または降下には、すべての他のコンテナの移動が伴われ得る。
【0096】
当然ながら、本発明はこの例に限定されていない。
【0097】
具体的には、コンテナの形は変更されてもよく、特に、コンテナには、地上車両による輸送およびマイクロトンネル内での輸送に適した任意の形が与えられ得る。物品は、コンテナに入れられることなく輸送されてもよい。
【0098】
荷積みユニットをマイクロトンネルと地上との間で移動させるために使用される手段は、変更されてもよく、1つ以上の荷積みユニットを上昇または降下させる1つ以上のリフトを考えることが特に可能である。
【0099】
荷積みユニット、特にコンテナの保管は、例えば地上における1つ以上の倉庫といった、交換ステーションのシャフト以外の場所で実施されてもよく、または例えば都市のはずれの交換ステーション6に存在する、浅い深さに埋設されてもよい。
【0100】
ここで、本発明による交換ステーション4および輸送システムの他の例が、図6図8を参照して記載されている。
【0101】
図6の例における交換ステーション4は、輸送ループ7の第1の区域107aを、この例では第1の区域107aと一列にされている第2の区域107bに連結している。
【0102】
この例における物品は、荷積みユニット3内のパレットに梱包される。
【0103】
荷積みユニット3は、輸送ループのマイクロトンネル区域内のレール40を走行するシャトル17によって輸送される。
【0104】
ケーブル引張機構42が、輸送ループの様々な区域107に沿ってシャトル17を移動させるために設けられている。
【0105】
シャトル17は、係合解除可能なスキーリフトおよびチェアリフトに存在する機構と同様の方法で引張ケーブルと係合する、係合解除可能な留め付け装置を備える。
【0106】
装置70および80が、補助駆動システムを使用して、ステーション4への到着において漸進的な減速と、ステーションを離れるときの漸進的な加速とをそれぞれ実施するために設けられている。
【0107】
図6の例では、減速装置70は、例えば、ケーブルの引っ張りが停止する領域までシャトル17を減速させるように、シャトル17がステーション4に近づくときにシャトル17への摩擦を増加させるローラを備える。次に、各シャトルは、例えばローラによるコンベヤに引き継がれ、このコンベヤは、荷積みユニット3を荷積み/荷降ろしするシステム50を越えてシャトルを駆動させる。
【0108】
このシステム50は、荷積みユニット3を、入口を越えてリフト60まで輸送するためのローラコンベヤ51を備えることができ、リフト60は荷積みユニット3を地上まで搬送することができる。図示されているように、リフトは2つの区画室の物品リフトとでき、一方の区画室は、例えばシャトル17によって荷降ろしされた荷積みユニット3を回収するために使用され、他方の区画室は、地上から下へと送られた荷積みユニット3を受け取り、それらをシャトル17へと荷積みするために使用される。
【0109】
次に、シャトル17はステーション4を離れ、引張ケーブルによって駆動させるようにシャトル17を引張ケーブルの速度に到達させる装置80によって、漸進的に加速させられる。
【0110】
図7の代替形態では、マイクロトンネルの区域107aおよび107bはそれらの間に角度を作り出しており、交換ステーション4は荷積み/荷降ろしシステムを備える。交換ステーション4に到着するシャトルは、シャトル17を受け入れるための、上流の区域107aのレール40の連続である第1の位置と、シャトル17を荷降ろしするための、図7に示しているような第2の部分と、の間を横へ移動することができる軌道の区域90に連続して位置決めされ、荷降ろしのときに、軌道のこの可動区域90は荷積み/荷降ろし軌道91と一列になる。この軌道91は、荷積みユニット3が上昇/降下させられるように、荷積みユニット3をリフト60へと移行するための開口を越えて移動する。
【0111】
荷積みユニット3が、任意の適切な移行機構を使用してリフト60の前を通り越すシャトル17に荷積みまたは荷降ろしされると、シャトルは軌道の第2の可動区域92において位置決めされ、第2の可動区域92は、軌道91に沿って進むシャトル17の荷積みを許容する位置と、この可動区域が回転台96に据え付けられた軌道の第3の区域95と一列にさせられる位置と、の間を横へ移動させられる。この回転台96は、軌道の第2の可動区域92に先に位置決めされているシャトル17を取り上げさせることができ、そのレールは、シャトル17がこの区域を離れることができるように、下流の第2の区域107bの軌道40と一列にされ得る。
【0112】
シャトル17を荷積み/荷降ろしするためのこのようなシステムは、ケーブル引張部42と両立する荷積みユニット3の素早く自動化された取り扱いを可能にし、可動プラットフォームテーブル96の存在は、真っ直ぐかまたは実質的に真っ直ぐであるループ区域107の使用を可能にすることで、ループをより容易に構築させる。
【0113】
図示されていない一部の代替形態では、シャトル17は、区域107aと107bとの間のレールの代わりにキャスタまたはローラにおいてシャトル17を走行させることと、適切な場合、シャトル17を比較的きつい曲げ部で通り抜けさせる案内手段を用いることと、によって、回転台なしで旋回させることができる。
【0114】
図示されていない代替形態では、シャトルが係合させられているレールと共に、シャトルを、コンベヤを用いて移動することで同時に輸送することなく、シャトルを荷降ろし/荷積み軌道へと持ってくることも可能である。
【0115】
他の代替形態では、マイクロトンネルの区域107において延びる軌道の連続としてある軌道にシャトルがある間にシャトルを荷降ろしまたは荷積みすることが可能でさえある。
【0116】
好ましくは、マイクロトンネルおよび交換ステーションは、火災の危険性を低減させるために、低減された酸素の雰囲気の下、または不活性の雰囲気の下に置かれる。これは、そうでない場合に規格に準拠するために必要とされる不必要な特定の安全装置を排除することでインフラのコストを抑制することを可能にする。
【0117】
図6および図7の例では、荷積みユニット3はパレット上の物品である。
【0118】
図8は、例えば図6および図7において示されているようなものである交換ステーション4によって連結された真っ直ぐまたは実質的に真っ直ぐなマイクロトンネルの区域107を備える輸送ループ7の実施形態の代替形態を描写している。
【0119】
ループ7へと投入される物品の主要な流れは、後方基地を構成する、郊外にある周辺の注文ステーション6へと連結された、送り込み装置と称されるライン110上を流れ、この注文ステーション6では、輸送される物品が梱包され、それらの目的地に従って注文される。したがって、最終的な目的地に到達するためにループ7の1つの同じ交換ステーション4を通過するように意図された物品は、1つの同じ荷積みユニット内に梱包され、この梱包は注文ステーションにおいて有利に行うことができる。シャトルが注文ステーション6において荷積みされる順番は、これらのシャトルの各々に荷積みされる物品の目的地に従って実施されてもよい。したがって、ステーション6は、ループへと投入される物品の流れの相当の割合を管理でき、ループに据え付けられた交換ステーション4からシャトルへと荷積みされる物品の流れを制限することを可能にする。
【0120】
ライン110は二方向とでき、平行であってもなくてもよい2つの軌道トンネルまたは2つのマイクロトンネルの形態で製作され得る。
【0121】
当然ながら、本発明は、1つの特定の種類の荷積みユニット3に限定されず、任意の種類のコンテナが使用されてもよい。
【0122】
地上では、交換ステーションは、例えば電気車両に設置され得る荷積み室または荷降ろし室へと荷積みユニット3が送られるのを待っている間に、荷積みユニット3を保管するための保管領域を備えてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 システム
2 マイクロトンネル
3 コンテナ、荷積みユニット
4 交換ステーション
6 交換ステーション、注文ステーション
7 輸送ループ
8 地上輸送手段
10 シャフト
11 システム
12 ゴンドラ
14 自動システム
15 ロボットシステム
17 輸送シャトル
19 クレードル
42 ケーブル引張機構
50 荷積み/荷降ろしするシステム
51 ローラコンベヤ
60 リフト
70 減速装置
80 装置
90 可動区域
91 荷積み/荷降ろし軌道
92 第2の可動区域
95 第3の区域
96 回転台、可動プラットフォームテーブル
107 区域
107a 第1の区域
107b 第2の区域
110 ライン
B 地上建物
I インフラ
M 都市環境
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8