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特許7032417用量を伝達するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】用量を伝達するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220301BHJP
   G16H 40/63 20180101ALI20220301BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
G16H20/10
G16H40/63
A61B5/145
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019545288
(86)(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2018052862
(87)【国際公開番号】W WO2018153648
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】17157529.3
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマイヤー, ピート
(72)【発明者】
【氏名】フリス, ミケール
(72)【発明者】
【氏名】ミゲリク, アラン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アラドッティル, ティナ ビョーク
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-229330(JP,A)
【文献】特表2016-517601(JP,A)
【文献】特表2011-523478(JP,A)
【文献】特開2015-208634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0350369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61B 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療レジメン(206)を実施する対象者によって実施された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置(250)であって、
前記装置は、一つ以上のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備え、前記メモリは、前記一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
前記治療レジメン(206)を実施するために前記対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセット(220)を取得する工程であって、前記第一のデータセットが時間経過に伴い服用される複数の薬剤記録を含み、前記複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録(222)が、
(i)前記一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置(104)を使用して前記対象者に注入される薬剤の量(226)を含む、それぞれの薬剤注入事象(224)と、
(ii)前記それぞれの薬剤注入事象(224)の発生に伴い前記それぞれの注入装置によって自動的に生成される前記時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ(229)と、を含む工程と、
前記時間経過に伴う複数の連続した時間窓(233)を作成する工程であって、各時間窓(234)が同じ固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓(234)について、薬剤記録のサブセット(235)を取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、それぞれ個別の薬剤記録のサブセット(235)は、前記第一のデータセット(220)からの多数の薬剤記録を含み、また前記それぞれの薬剤記録のサブセット(235)内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)は、前記それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(229)を有し、
それぞれ個別の薬剤記録(222)について、前記複数の薬剤記録のサブセットのうちそれぞれの薬剤記録のサブセット(235)内で、対応する相対的時間(237)を、前記相対的時間が時間窓(234)内にあるように割り当てる工程と、
前記複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセット(235)を選択し、それによって前記時間窓(234)の前記固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセット(231)を含む選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を取得する工程と、
前記注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータ(243)を含む工程と、
前記適格な注入事象グループのセット(240)内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について:
(i)時間ベースで,前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、前記グループ時間インジケータ(243)および前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット(231)内にある前記各薬剤記録(222)の前記相対的時間を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)前記それぞれの適格な注入事象グループの前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)の中心傾向の測度およびばらつきの測度を評価して、前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、前記中心傾向の測度(244、246)および前記ばらつきの測度(245、247)が前記相対的時間(237)に関連する工程と、
前記グループ化された薬剤記録のサブセットの前記評価された中心傾向の測度および前記評価されたばらつきの測度を含む前記表示データ(249)を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を表す前記注入事象の分布の前記中心傾向および前記ばらつきを伝達する工程とを含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記それぞれの適格な注入事象グループの前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理して、表示データ(249)を取得する前記工程(ii)がさらに、
前記それぞれの適格な注入事象グループの前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、前記中心傾向の測度(244、246)および前記ばらつきの測度(245、247)が体内に注入された前記薬剤の量(226)に関連する、装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の装置であって、前記注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する前記工程がさらに、
前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を使用することにより、前記注入事象の分布の確率密度関数(310)を推定する工程と、
確率密度関数(310)を使用して、前記注入事象の分布内の一つ以上の注入事象のグループを識別し(ここでそれぞれの前記識別された注入事象グループ(321)は確率密度関数(310)の局所的最大を示すピーク(322)によって識別され、前記識別されたピークはピーク値(323)および対応するピーク時(324)を含む)、それによって識別された注入事象グループのセット(320)を取得する工程と、
一つ以上の注入事象グループの識別に応答して、前記識別された注入事象グループのセット(320)内のそれぞれ個別の識別された注入事象グループ(321)について、前記それぞれの識別された注入事象グループ(321)が伝達されるのに適格であるかどうかを評価(前記ピーク値(323)の関数の評価を含む)し、前記評価されたピーク値(323)の関数が適格化のための所定の閾値(329)を超える時に、前記それぞれの識別されたグループが伝達されるのに適格であるとみなし、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程(240)とを含み、
ここで、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を決定する前記工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について、前記ピーク時(324)を前記グループ時間インジケータ(243)として使用することをさらに含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、さらに、
前記それぞれ個別の適格な注入事象グループについて、前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)の注入事象の頻度を示すように構成された表示データ(249)を取得する工程と、
前記確率密度関数(310)および前記ピーク値を正規化して正規ピーク値(325)を取得する工程であって、それによって、前記正規ピーク値(325)は、前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)の前記注入事象の頻度を示し、また前記表示データ(249)は前記正規ピーク値(325)をさらに含む、装置。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか一項に記載の装置であって、前記注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、およびそれによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する前記工程がさらに、
所定時間範囲のセット(330)を取得する工程であって、ここで前記所定時間範囲のセット(330)内のそれぞれの前記所定時間範囲(331)が前記時間窓の前記固定期間内で定義され、また前記所定時間範囲(331)のどれもが前記所定時間範囲のセット(330)内で別の所定時間範囲(331)と重複せず、
それぞれの所定時間範囲(331)について:
識別された注入事象グループ(321)を取得し、それによって識別された注入事象グループのセット(320)を取得する工程と、
前記識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程と、を含み、
ここで、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を決定する前記工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について、前記所定時間範囲(331)を前記グループ時間インジケータ(243)として使用することをさらに含む、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、それぞれの所定時間範囲(331)について、識別された注入事象グループ(321)を取得する前記工程が、さらに、
前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)内の前記薬剤記録(222)のうち識別された薬剤記録(332)のサブセットを時間ベースで決定する工程であって、ここで前記識別された薬剤記録のサブセット(332)内の前記薬剤記録(222)は、前記それぞれの所定時間範囲(331)内に相対的時間(237)を有し、
ここで、前記識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価する前記工程が、さらに、
前記識別された薬剤記録のサブセット(333)内の前記薬剤記録の数を評価する工程と、
前記薬剤記録の数(333)が、所定の閾値(329)よりも大きい(この場合、前記識別されたグループ(221)は適格である)、または所定の閾値(329)よりも小さい(この場合、前記識別されたグループ(221)は適格でない)かどうかを評価する工程、
前記識別されたグループ(221)が適格であることに応答して、前記識別された注入事象グループを適格な注入事象グループ(241)として特徴付ける工程とを含む、装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置であって、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する前記工程(ii)がさらに、
以下のそれぞれの適格な注入事象グループ(241)と関連付ける工程を含み:
前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応した前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)の前記中心傾向および前記ばらつきを表すように構成された、形状データ構造(350)であって、ここで前記形状データ構造(350)が、
前記中心傾向の測度を示す二次元形状で多角形を視覚化するように構成された中心傾向の多角形(352)を含む中心傾向のデータ構造(351)、
前記ばらつきの測度を識別する二次元形状で多角形を視覚化するように構成されたばらつき多角形(354)を含むばらつきのデータ構造(353)を含む、装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置であって、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する前記工程(ii)がさらに、
前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)の前記注入事象の頻度を示す、頻度インジケータ(334)を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程を含み、ここで前記頻度インジケータ(334)は、以下の関数である:
前記適格な注入事象グループのセット(240)内のグループ化された薬剤記録のすべてのサブセット内の前記薬剤記録の合計数に対する、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)内の前記薬剤記録の数、または
前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)内の前記選択した薬剤記録のサブセット(231)の前記薬剤記録の合計数に対する、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)内の前記薬剤記録の数を含み、
それによって、前記それぞれの適格な注入事象グループ(242)における前記注入の頻度についての表示を可能にし、前記表示データ(249)はさらに前記頻度インジケータ(334)を含む、装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置であって、前記複数の薬剤記録内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)がさらに、
(iii)前記対象者に注入された対応する薬剤タイプ(228)を含み、
ここで、前記選択された薬剤記録のサブセットのセットは、同じ薬剤タイプ(228)を含み、それによって、前記それぞれの薬剤タイプに対応する注入事象の分布を表し、
ここで、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する前記工程(ii)は、前記それぞれの薬剤タイプ(228)を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程をさらに含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記治療レジメンが、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与のインスリン薬剤投薬レジメンと、長時間作用型インスリン薬剤を用いた基礎インスリン薬剤投薬レジメンとを含む装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置であって、前記方法がさらに、
第二のデータセット(340)を取得する工程であって、前記第二のデータセット(340)は、前記時間経過内での前記対象者の複数の自律的グルコース測定と、前記複数の自律的グルコース測定におけるそれぞれ個別の自律的グルコース測定(341)について、前記それぞれの測定がなされた時を表すグルコース測定タイムスタンプ(342)とを含み、
それぞれ個別の時間窓(234)について、グルコース測定(345)のセットを作成する工程であって、それによって複数のグルコース測定のセットを作成し、ここで前記グルコース測定(345)のそれぞれのセット内の各グルコース測定(341)は、前記それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(342)を有し、
それぞれ個別のグルコース測定(311)について、前記時間窓内での前記相対的時間(343)である対応する相対的時間を関連付ける工程であって、それによって、前記複数のグルコース測定のセットは、前記時間窓内でのグルコース測定の分布を表し、
前記複数のグルコース測定のセットについて、前記中心傾向および前記ばらつきを前記相対的時間の関数として計算する工程とを含み、
ここで、前記表示データはさらに、前記複数のグルコース測定のセット、前記対応する相対的時間、ならびに前記計算された中心傾向および前記ばらつきを前記相対的時間の関数として含む、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記ディスプレイ(282)が、それぞれ第一の軸(711、721)および第二の軸(712、722)を含む第一の座標系(710)および第二の座標系(720)を表すように適合されており、
ここで、前記第一の座標系(710)は、前記注入事象の前記中心傾向および前記ばらつきを表すように適合されており、
ここで、前記第二の座標系は、前記グルコースデータの前記中心傾向および前記ばらつきを表すように適合されており、
ここで、表示データを伝達する前記工程はさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された前記得られた表示データ(249)を前記ディスプレイ(282)上の前記第一の座標系(710)に表示する工程と、
時間の関数として前記複数のグルコース測定のセットの中心傾向およびばらつきを含む、前記得られた表示データ(249)を前記ディスプレイ(282)上の前記第二の座標系(720)に表示する工程を含み、
ここで、前記第一の座標系(710)では、前記第二の軸(712)は前記注入された薬剤の量(226)を表し、また前記第二の座標系(720)では、前記第二の軸(722)は血液グルコース濃度を表し、また各座標系(710、720)の前記第一の軸(711、721)は前記相対的時間(237、343)を表し、かつ前記時間窓(234)によって画定される間隔内で定義される。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置であって、前記時間経過内でのライフスタイル関連事象(前記対象者が関与したもの)の分布の中心傾向およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴を伝達するようにさらに適合され、ここで前記方法はさらに、
ライフスタイルデータを獲得するために前記対象者によって使用される一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置(103)から第三のデータセットを取得する工程であって、前記第三のデータセットは、時間経過に伴う前記複数のライフスタイルデータ記録を含み、前記複数のライフスタイルデータ記録内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、
(i)前記それぞれの測定装置(103)を使用する前記対象者に対する効果を示す強度の測定値を含む、それぞれのライフスタイル事象と、
(ii)前記それぞれのライフスタイル測定装置(103)によって、前記それぞれのライフスタイル関連事象の発生に伴い自動的に生成されるか、またはユーザーによる前記それぞれのライフスタイル測定装置の起動によって生成される、前記時間経過内での対応する電子ライフスタイル事象タイムスタンプ、あるいは前記対象者が関与した前記ライフスタイル事象の開始時間および終了時間を示す開始タイムスタンプおよび終了タイムスタンプと、
それぞれ個別の時間窓(234)について、ライフスタイルデータ記録のサブセットを取得して、それによってライフスタイルデータ記録の複数のサブセットを取得する工程であって、ここで、ライフスタイルデータ記録のそれぞれ個別のサブセットは、前記第三のデータセットからの多数のライフスタイルデータ記録を含み、また前記それぞれのライフスタイルデータ記録のサブセット内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、前記それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別のライフスタイルデータ記録について、前記ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットのライフスタイルデータ記録の各サブセット内で、対応する相対的時間(237)を、前記相対的時間が前記時間窓(234)内にあるように割り当てる工程と、
前記ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットからライフスタイルデータ記録のサブセットのセットを選択し、それによって、前記時間窓(234)の前記固定期間に対応する間隔内でのライフスタイル事象の分布を表す多数の選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットを含む選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットのセットを取得する工程と、
前記ライフスタイル事象の分布内でライフスタイル事象の一つ以上の適格なグループを取得し、それによって、適格なライフスタイル事象グループのセット(240)を取得する工程であって、ここでそれぞれの適格なライフスタイル事象グループはグループ時間インジケータを含み、
前記適格なライフスタイル事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格なライフスタイル事象グループについて:
(iii)時間ベースで、前記それぞれの適格なライフスタイル事象グループに対応するグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを、前記グループ時間インジケータおよび前記選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットのセットのそれぞれの選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットにあるそれぞれのライフスタイルデータ記録の前記相対的時間を使用して決定し、それによって、グループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを取得する工程と、
(iv)前記それぞれの適格なライフスタイル事象グループの前記グループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを処理して、前記それぞれの適格なライフスタイル事象グループ内でライフスタイル事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すようにさらに構成された表示データ(249)を取得する工程であって、ここで、前記中心傾向の測度および前記ばらつきの測度は、前記相対的時間および/または前記強度の尺度に関連し、
前記表示データ(249)を(i)前記対象者、(ii)医療提供者、または(iii)前記装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、前記注入事象の前記中心傾向および前記ばらつきを伝達する工程とを含む、装置。
【請求項14】
治療レジメン(206)を実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表す投薬事象履歴を伝達するための方法であって、
一つ以上のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備える装置(250)を使用する工程であって、前記メモリが、前記一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
前記治療レジメン(206)を実施するために前記対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセット(220)を取得する工程であって、前記第一のデータセットが時間経過に伴い行われる複数の薬剤記録を含み、前記複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録(222)が、
(i)前記一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置(104)を使用して前記対象者に注入される薬剤の量(226)を含む、それぞれの薬剤の注入事象(224)と、
(ii)前記それぞれの薬剤注入事象(224)の発生に伴い前記それぞれの注入装置によって自動的に生成される前記時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ(229)と、を含む工程と、
前記時間経過に伴う複数の連続した時間窓(233)を作成する工程であって、各時間窓(234)が同じ固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓(234)について、薬剤記録のサブセット(235)を取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、それぞれ個別の薬剤記録のサブセット(235)は、前記第一のデータセット(220)からの多数の薬剤記録を含み、また前記それぞれの薬剤記録のサブセット(235)内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)は、前記それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(229)を有し、
それぞれ個別の薬剤記録(222)について、前記複数の薬剤記録のサブセットのうちそれぞれの薬剤記録のサブセット(235)内で、対応する相対的時間(237)を、前記相対的時間が前記時間窓(234)内にあるように割り当てる工程と、
前記複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセット(235)を選択し、それによって前記時間窓(234)の前記固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセット(231)を含む、多数の選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を取得する工程と、
前記注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータ(243)を含む工程と、
前記適格な注入事象グループのセット(240)内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について:
(i)時間ベースで、前記それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、グループ時間インジケータ(243)および前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット(231)内にある前記各薬剤記録(222)の前記相対的時間を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)前記それぞれの適格な注入事象グループの前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、前記グループ化された薬剤記録のサブセット(242)の中心傾向の測度およびばらつきの測度を評価して、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、前記中心傾向の測度(244、246)および前記ばらつきの測度(245、247)が前記相対的時間(237)に関連する工程と、
前記グループ化された薬剤記録のサブセットの前記評価された中心傾向の測度および前記評価されたばらつきの測度を含む前記表示データ(249)を(i)前記対象者、(ii)医療提供者、または(iii)前記装置(250)のユーザーに伝達し、それによって前記選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を表す前記注入事象の分布の前記中心傾向および前記ばらつきを伝達する工程とを含む、方法。
【請求項15】
一つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行された時に、請求項14に記載の方法を実行する命令を備えたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、治療レジメンを実施する対象者によって適用される血糖調節薬剤の注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するためのシステムおよび方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
2型真性糖尿病は、正常な生理学的インスリン分泌の進行性の障害により特徴付けられる。健常者において、膵β細胞による基礎インスリン分泌は、食事間の長期間にわたり安定したグルコース値を維持するために連続的に起こる。また健常者において、食事に反応した最初の第一相スパイクでインスリンが急速に放出される食事時分泌があり、その後、2~3時間後に基礎レベルに戻る持続性のインスリン分泌が続く。
【0003】
インスリンは、細胞による骨格筋および脂肪へのグルコース、アミノ酸、および脂肪酸の摂取を促進すること、および肝臓からのグルコースの産出を阻害することにより血糖値を下げる、インスリン受容体に結合するホルモンである。正常な健常者において、生理的基礎および食事時のインスリン分泌が正常血糖を維持し、これが空腹時血漿グルコース濃度および食後血漿グルコース濃度に影響を及ぼす。基礎および食事時インスリン分泌は、2型糖尿病では正常に機能を果たさず、早期の食後反応が不在である。これらの有害事象に対処するために、2型糖尿病に罹患した対象者にインスリン薬剤治療レジメンが提供されている。1型糖尿病に罹患した対象者にもインスリン薬剤治療レジメンが提供されている。これらのインスリン薬剤治療レジメンの目的は、推定される低血糖症および高血糖症の推定リスクを最小化する、望ましい空腹時血糖標的レベルを維持することである。近年において、2型糖尿病を罹患した対象者は、血糖の調節および改善しうる注射用処方薬としてリラグルチド、長時間作用性のグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストでも治療されてきており、またこれは食餌療法および運動と共に使用されるべきである。
【0004】
従来的なインスリン薬剤送達システムには、インスリン薬剤の頻繁な反復投与量を提供するポンプシステムの使用が含まれてきた。より頻度の低いインスリン薬剤注入またはその他のタイプの血糖調節薬剤と併用しての注入という形態で、インスリン薬剤治療レジメンを自己投与するために使用されうるインスリンペンなどの追加的なタイプの送達システムが開発されてきた。このような送達システムを使用した1型糖尿病および2型糖尿病に対する共通のアプローチは、食事事象に反応して、または食事事象を予想して対象者に処方されるインスリンレジメンにおいて、単回の短時間作用型インスリン薬剤(ボーラス)を注入することである。このようなアプローチでは、対象者は、毎日一回以上の食事の直前または直後に短時間作用型インスリン薬剤投薬を注入して、そのような食事の結果生じるグルコース値を下げる。
【0005】
注入装置の最近の開発として、投薬履歴(用量サイズおよび時間)を保存し、続いて用量データ履歴を携帯電話またはコンピュータシステムに送信する能力を持つ注入システムの開発がある。このデータを効果的に可視化するニーズがある。データは、望ましいグルコース管理のための投与レジメンの妥当性についての結論を引き出すために、グルコース履歴データと組み合わせて可視化されうる。
【0006】
医療提供者または患者が見るためにグルコースデータを表現する一般的な方法は、Ambulatory Glucose Profile(AGP)であり、これは「標準日」の毎時の管理にあたり、グルコース管理の中央値と、ばらつきの指標とを示すために臨床医によって開発されたものである。平均グルコース値と、ばらつきの両方を示す能力は、AGPの重要な要素である。平均グルコースが標的範囲よりも高く、ばらつきも非常に高い場合、結果として低血糖症になりかねないため、単にインスリン用量サイズを増やすことでこれに対処することは危険でありうる。さらに、血糖に大きなばらつきが存在することは、平均が範囲内であっても有害でありうることが知られている。US 2014/0206970号は、モーダルデイ全体でのグルコースデータのグラフィカルディスプレイを含むAmbulatory Glucose Profile窓を生成する方法を開示している。
【0007】
視覚表示は、複数の日にわたり収集したすべてのデータが折り畳まれ、午前零時に開始/終了する24時間に発生したかのように(日付に関係なく)時間に従いプロットされたモーダルデイ(標準日、平均日とも呼ばれる)を示す。中央値(50)、25、75(IQR)および10、90頻度パーセンタイルを表す滑らかな曲線は、Journal Diabetes Science Technology, March 2013, Volume 7, Issue 2:562-578ページにさらに記載されているとおり、24時間AGPを定義する。
【0008】
臨床医はこのタイプの可視化されたデータを使用して、患者によって使用されている現行のインスリン療法の適合性について何らかの結論を下すことができる一方、グルコース曲線は多数の入力からの出力である。糖尿病患者にとって重要な入力は、血糖調節薬剤の注入である。
【0009】
Doug Kanterは、ITPでのData Representationクラスの最後のプロジェクトで、インスリンポンプによって送達された蓄積された残存インスリン、および対応するグルコースデータを示す残存インスリンプロファイルを表現した。プロジェクトは、https://dougkanter.wordpress.com/2012/05/14/insulin-on-board-data-rep-final-project/に公開された。リンクは2017年2月14日に取得された。
【0010】
Medtronicは、糖尿病向けの治療管理ソフトウェアであるReport Reference Guide for CareLink proで、基礎およびボーラス注入速度がグルコースデータと共に表示されうることを示した。このソフトウェアは、ポンプからのインスリンデータを取り扱うために開発されている。このガイドは、https://www.medtronicdiabetes.com/sites/default/files/library/download-library/user-guides/carelink-v3_0/en_carelink_pro_report_ref_guide.pdfに公開された。リンクは2017年2月14日に取得された。
【0011】
WO 2015/047870号は、患者への薬剤の投与量を送達および記録するためのシステムを開示しており、WO 2016/007935号は、患者に薬剤を投与するための方法、システムおよび装置を開示している。システムは、移動通信装置と無線通信状態にある注入ペン装置を含む。装置は、調剤事象に関連する検出された調剤済み用量および時間データを処理し、用量データをユーザーの装置に無線で送信するセンサーユニットと通信状態にあるエレクトロニクス装置を備える。移動通信装置は、処理されたデータを使用してユーザーに健康情報を提供するソフトウェアアプリケーションを提供する。
【0012】
EP 2774641 B1号は、選択されたインスリンの投与量を投与するための配置を開示している。配置は、調整された用量を非接触感知するためのセンサーを含む。US 2013/0079727号は、時間および/または日付を決定して登録する手段と、選択され投与された投薬量を決定する手段を含むアプリケーション組立品を開示している。日付および/または時間は、適用された薬剤の量の信号と共に送信装置という手段によって受信装置に伝達されてもよい。送信は、例えば、Bluetoothを介して携帯電話により行うものでもよい。組立品には、警告、送信データ、ステータス情報およびこれに類するものを表示するためのディスプレイが提供されてもよい。これにより、取扱いが促進される。
【0013】
US 2006/0272652号は、糖尿病患者と医療専門家の両方に、血糖値に対する特定の摂取および事象の影響を説明し、この情報を読みやすく理解可能なユーザー形式で提示する対話型の視覚的教示ツールを提供するニーズを特定している。文書には、医師用操作・表示スクリーンが表示されたスクリーンが開示されている。医師用操作・表示スクリーンは、インスリン送達グラフ、炭水化物摂取グラフ、および血糖値グラフを含む。医師用操作・表示スクリーンに図示された時間枠は、1日のモーダルモードである。医師用操作・表示スクリーンに表示される読取値のあるそれぞれの日は、画面を操作して表示するが、異なる色または異なる幅/タイプフェースで表示される。実例として、一つのラインは月曜日を表し、第二のラインは火曜日を表し、第三のラインは水曜日を表す。この表示により、仮想患者ソフトウェアを利用する医師は、特定の患者について複数の日数の読取値を表示して、時間枠に特定された問題が発生したかどうかを判断することができる。インスリン送達グラフは、注入の時間および注入された薬剤の大きさを示す長方形によって示される。
【0014】
US 2016/0098848号は、時間に対して測定されたグルコース値の少なくとも一つの信号トレースに対応するデータ可視化を含むプレゼンテーションテンプレートを開示しており、さらには摂取を含んでもよく、またインスリン摂取インジケータが信号トレースの上に表示されてもよく、それによって、インスリン摂取インジケータは信号トレースを押し下げるものとして読み取られうる。CGMデータ(持続血糖モニタリングに関連するデータ)およびSMBGデータ(自己測定された血糖値に関するデータ)の両方で、ボーラスおよび食事摂取に対応する積み重ねアイコンは、ユーザーが毎回の投与量を視覚化するのに役立ちうる。上記の複数日の表示において、ボーラスおよび食事摂取に対応する(または、上記のヒストグラム図を提供する)積み重ねアイコンは、複数日の期間の過程全体で、ボーラスおよび食事摂取の平均をとることで達成されうる。
【0015】
先行技術では、ボーラスを平均することによる複数日の表示でのボーラスに対応する積み重ねアイコンまたはヒストグラム生成の可能性が開示されていると言われているが、ユーザーには、注入事象が発生するリズム、およびこのリズムがどの程度変化するかを示す情報は提示されない。治療レジメンは、血液調節薬剤の注入を、いつどのように適用するかについて指示を指定する。レジメンが適用されると、注入事象の分布に異なるパターンが現れ、パターンは活動および処方された治療レジメンにおける対象者のリズムに依存する。治療レジメンがどのように適用されるかを遡及的に理解するために、注入がどのようなリズムが適用されているかを示す方法でこれらのパターンを取得して伝達することが必要である。この問題については先行技術では対処されていないように見受けられる。
【0016】
上記を考慮して、本発明の一つの目的は、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達し、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって、時間に関連した分布の性質に関連する情報の伝達を可能にするための装置またはシステムおよび方法を提供することである。
【0017】
発明のさらなる目的は、注入事象のグループを注入事象の分布内のパターンとして自動的に識別し、それによって、治療レジメンがどのように適用されたかについてのリズムに関連する情報の伝達、および識別されたグループの時間に関する性質に関連した情報の伝達を可能にするための装置またはシステムおよび方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、注入事象のグループを注入事象の分布内でのパターンとして識別(ここで識別は時間間隔が目的である予め定義された指示に基づく)し、それによって識別されたグループの時間に関連した性質に関連する情報の伝達を可能にするための装置またはシステムおよび方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、投薬履歴と組み合わせて、対象者のグルコース測定を伝達し、それによって、期間内でのグルコースデータと注入事象の分布との関係の情報を伝達できるようにする装置またはシステムおよび方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、投薬履歴と組み合わせて、対象者がかかわってきた時間経過内でのライフスタイル関連事象の分布の平均およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴をさらに伝達し、それによって対象者がかかわってきた事象間の関係を伝達する可能性を改善する、装置またはシステムおよび方法を提供することである。
【発明の概要】
【0021】
本発明の開示では、上記の一つ以上の目的に対処する実施形態および態様が記載されるか、または以下の開示および模範的実施形態の説明から明らかな目的に対処する実施形態および態様が記載される。
【0022】
第一の態様において、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置が提供されており、
装置は、一つ以上のプロセッサおよびメモリを備え、メモリは、一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
治療レジメンを適用するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセットを取得する工程であって、第一のデータセットが時間経過に伴い服用される複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録が、
(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置を使用して対象者に注入される薬剤の量を含む、それぞれの薬剤注入事象と、
(ii)それぞれの薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置によって自動的に生成される時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプと、を含む工程と、
前記時間コース内に複数の連続した時間枠を作成する工程であって、各時間窓が同一の固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓について、薬剤記録のサブセットを取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、薬剤記録のそれぞれ個別のサブセットは、第一のデータセットからの多数の薬剤記録を含み、また薬剤記録のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別の薬剤記録は、それぞれの時間窓内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別の薬剤記録について、複数の薬剤記録のサブセットのうちそれぞれの薬剤記録のサブセット内で、時間窓内での相対的時間である対応する相対的時間を割り当てる工程と、
複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセットを選択し、それによって時間窓の固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセットを含む選択された薬剤記録のサブセットのセットを取得する工程と、
注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータを含む工程と、
適格な注入事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループについて:
(i)それぞれの適格な注入事象グループに対応するグループ化された薬剤記録のサブセットを、グループ時間インジケータおよび選択された薬剤記録のサブセットのセットのそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット内にある各薬剤記録の相対的時間を使用して、時間ベースで決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセットを処理し、グループ化された薬剤記録のサブセットの中心傾向値およびばらつき値を評価して、それぞれの適格な注入事象グループ内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データを取得する工程であって、中心傾向の測度およびばらつきの測度が相対的時間に関連する、工程と、
グループ化された薬剤記録のサブセットの評価された中心傾向の測度および評価されたばらつきの測度を含む表示データを(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置のユーザーに伝達し、それによって選択された薬剤記録のサブセットのセットを表す注入事象の分布の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
【0023】
これにより、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達し、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、およびそれによって、方法がグループ化された注入データ、および時間ベースでその注入グループに関連した中心傾向およびばらつきを提供する時に、治療レジメンがどのように適用されるかについてのリズムを伝達する可能性を改善する方法を実施するために適合された装置が提供されている。示されるように、選択された薬剤記録のサブセットのセットを表す注入事象の分布は、一つ以上の適格な注入事象グループを含み、したがってマルチモーダルな分布でありうる。示されるように、装置の主要な利点は、平均日、モーダルデイまたは標準日に、グループベースで、患者がある期間にわたりインスリンをどのように注入したかを説明するように構成されたデータと、それらの注入内で患者がインスリンを注入した時間のばらつき、すなわち、その中で注入が適用されるリズムを取得して伝達する能力を提供することである。注入事象のグループ化および注入用量の可視化は、HCPに、標準日において患者がインスリン注入をどのように実施したかについての概要を、AGPが標準日の血糖を描写するような方法を視覚的に補足する方法で提供する。実際に、装置は、注入事象データを取得し、時間ベースで適格な注入事象グループの分析および適格化をし、それによって適格なグループについて関連するパラメータおよびデータを含むデータ構造の作成の有効化をする方法を実施するように適合されており、ここで、データ構造は、時間的出現に関するリスト情報、すなわち、分布内での適格なグループの時間に関連した出現を通信するように適合される。メモリは、上述の利点を提供するために簡単に通信できる充実した表示データ構造を備える。中心傾向は、定量データが何らかの中心値の周りに集まる傾向として定義できる。中央値を囲む値との近接さは、一般的に標準偏差を使用して定量化される。ばらつきは、中心傾向とは対称的に、変数または確率分布におけるばらつきまたは散らばりであり、データセットにどの程度の変動があるかを示す。グループ化された薬剤記録のサブセットの、中心傾向の測度の評価、およびばらつきの測度の評価は、時間ベースでなされることができ、加えて、注入されたインスリンの量をベースになされてもよい。
【0024】
装置のさらなる態様において、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセットを処理して表示データを取得する工程(ii)はさらに、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセットを処理して、それぞれの適格な注入事象グループ内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データを取得する工程を含み、ここで中心傾向の測度およびばらつきの測度は体内に注入された薬剤の量に関連する。
【0025】
これにより、装置は、適格なグループ内の用量サイズおよび用量のばらつきに関連する性質についての情報を伝達するためにさらに適用されたデータ構造を提供するように適用されている。
【0026】
装置のさらなる態様において、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程はさらに、
選択された薬剤記録のサブセットのセットを使用することにより、注入事象の分布の確率密度関数を推定する工程と、
確率密度関数を使用して、注入事象の分布内の一つ以上の注入事象のグループを識別し(ここでそれぞれの識別された注入事象グループは確率密度関数の局所的最大を示すピークによって識別され、識別されたピークはピーク値および対応するピーク時を含む)、それによって識別された注入事象グループのセットを取得する工程と、
一つ以上の注入事象グループの識別に応答して、識別された注入事象グループのセット内の注入事象のそれぞれ個別の識別されたグループについて、それぞれの識別された注入事象グループが伝達されるのに適格であるかを評価して、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセットを決定する工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて、ピーク時をグループ時間インジケータとして使用することをさらに含む。
【0027】
これにより、注入事象のグループを注入事象の分布内のパターンとして自動的に識別し、それによって治療レジメンがどのように適用されたかについてのリズムに関連する情報、ならびに識別されたグループの時間に関連する性質、すなわち、どの程度の頻度で注入が適用されたか、および適用された注入の変動の大きさに関連する情報の伝達を可能にするようにさらに適合された装置が提供されている。
【0028】
装置のさらなる態様において、それぞれの識別された注入事象グループが伝達されるのに適格であるかを評価する工程は、ピーク値の関数が適格化のための所定の閾値よりも低いかどうかを評価することを含む。ピーク値の関数は比例定数と補正値によって定義される線形関数でもよく、簡単なケースでは、比例定数は1で補正値はゼロである。別の例では、関数はより高い次数の多項式であってもよく、例えば、二次関数であってもよい。
【0029】
これにより、識別されたグループは、ピーク値が所定の閾値よりも大きい場合に適格なグループであり、ピーク値が所定の閾値よりも小さい場合に適格なグループではないと評価されることができる。
【0030】
さらなる態様において、装置は、代替的な方法で適格なグループを取得するように適合されており、ここで注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程はさらに、
所定時間範囲のセットを取得する工程であって、ここで所定時間範囲のセット内のそれぞれの所定時間範囲が時間窓の固定期間内で定義され、また所定時間範囲のどれもが所定時間範囲のセット内で別の所定時間範囲と重複せず、
それぞれの所定時間範囲について:
識別された注入事象グループを取得し、それによって識別された注入事象グループのセットを取得する工程と、
識別された注入事象グループが適格な注入事象グループであるかどうかを評価し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセットを決定する工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて、所定時間範囲をグループ時間インジケータとして使用することをさらに含む。
【0031】
これにより、注入事象のグループを注入事象の分布内でのパターンとして識別(ここで識別は時間間隔が目的である予め定義された指示に基づく)し、それによって識別されたグループの時間に関連した性質に関連する情報の伝達を可能にするように、さらに適合された装置が提供されている。
【0032】
装置のさらなる態様において、それぞれの所定時間範囲について、識別された注入事象グループを取得する工程は、さらに、
選択された薬剤記録のサブセットのセット内の薬剤記録のうち識別された薬剤記録のサブセットを、時間ベースで決定する工程であって、ここで識別された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録は、それぞれの所定時間範囲内の相対的時間を有し;
ここで、識別された注入事象グループが適格な注入事象グループであるかどうかを評価する工程が、さらに、
識別された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録の数を評価する工程と、
薬剤記録の数が、所定の閾値よりも大きい(この場合、識別されたグループは適格である)、または所定の閾値よりも小さい(この場合、識別されたグループは適格でない)かどうかを評価する工程と、
識別されたグループが適格であることに応答して、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程とを含む。
【0033】
これにより、識別されたグループは、グループ内の薬剤記録の数に基づき適格化されうる。薬剤記録の数が所定の閾値より大きい場合、識別されたグループは適格として評価でき、また数が小さい場合にはその逆である。
【0034】
装置のさらなる態様において、それぞれの所定時間範囲について、識別された注入事象グループが適格な注入事象グループであるかどうかを評価する工程はさらに、
所定時間範囲が適格であるか適格でないかを示すユーザー入力を取得する工程と、
所定時間範囲が適格であることを示す、取得されたユーザー入力に応答して、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程と、を含む。
【0035】
これにより、識別されたグループはユーザー入力に基づき適格であると特徴付けられうる。例えば、ユーザーが追加的な知識を持つ場合、表示された構成で問題の識別されたグループを確認できることを決定する。
【0036】
装置のさらなる態様において、それぞれの所定時間範囲について、識別された注入事象グループが適格な注入事象グループであるかどうかを評価する工程はさらに、
所定時間範囲が適格であるか適格でないかを示す所定の入力を取得する工程と、
所定時間範囲が適格であることを示す、取得された所定の入力に応答して、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程と、を含む。
【0037】
これにより、識別されたグループは所定の入力に基づき適格であると特徴付けられうる。例えば、ユーザーまたは医療関係者(HCP)が注入データに追加的知識を持つ場合、表示された構成において、問題の識別されたグループを常に確認することを決定する。
【0038】
装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された表示データを取得する工程(ii)は、相対的時間および体内に注入された薬剤の量について中心傾向の測度を評価し、相対的時間および体内に注入された薬剤の量についてばらつきの測度を評価する工程を含む。
【0039】
装置のさらなる態様において、中心傾向の測度を決定する工程は、中央値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、上限および下限のパーセンタイルを評価することを含む。
【0040】
装置のさらなる態様において、中心傾向の測度を決定する工程は、平均値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、標準偏差を評価することを含む。
【0041】
装置のさらなる態様において、表示データは、それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の平均およびばらつきを表すように構成されたデータを含む。
【0042】
装置のさらなる態様において、表示データは、適格な注入事象グループのセットを含む。
【0043】
装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、表示データを取得する工程(ii)は、さらに、
以下のそれぞれの適格な注入事象グループと関連付ける工程を含む:
それぞれの適格な注入事象グループに対応したグループ化された薬剤記録のサブセットの中心傾向およびばらつきを表すように構成された、形状データ構造であって、ここで形状データ構造は、
中心傾向の測度を示す二次元形状で多角形を視覚化するように構成された中心傾向の多角形を含む中心傾向データ構造と、
ばらつきの測度を識別する二次元形状で多角形を視覚化するように構成されたばらつき多角形を含むばらつきデータ構造とを含む。
【0044】
これにより、それぞれの適格なグループの平均およびばらつきを、二次元での多角形として図形的に伝達するように適合された装置が提供されている。
【0045】
装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、表示データを取得する工程(ii)は、さらに、
以下のそれぞれの適格な注入事象グループと、以下を含むテーブルデータ構造を関連付ける工程を含み:
適格なグループ識別、
グループ化された薬剤記録のサブセットの相対的時間に基づく時間中央値および時間のばらつき、および
グループ化された薬剤記録のサブセットの注入された薬剤の量(226)に基づく用量中央値および用量のばらつき
これにより、それぞれの適格なグループの平均およびばらつきを表形式で伝達するように適合された装置が提供されている。
【0046】
装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、表示データを取得する工程(ii)は、さらに、
それぞれの適格な注入事象グループの注入事象の頻度を示す、頻度インジケータを表すように構成された表示データを取得する工程を含み、ここで頻度インジケータは、以下の関数である:
適格な注入事象グループのセット内のグループ化された薬剤記録のすべてのサブセット内の薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録の数、または
選択された薬剤記録のサブセットのセット内の選択した薬剤記録のサブセットの薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録の数、
それによって、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度についての表示を可能にし、表示データはさらに頻度インジケータを含む。
【0047】
これにより、得られた表示データは、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度の表示を可能にする。
【0048】
装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、表示データを取得する工程(ii)は、さらに、
それぞれの適格な注入事象グループの注入事象の頻度を示すように構成された表示データを取得する工程と、
確率密度関数およびピーク値を正規化して正規ピーク値を取得する工程であって、それによって、正規ピーク値は、それぞれの適格な注入事象グループの注入事象の頻度を示し、また表示データは正規ピーク値を含む。
【0049】
これにより、得られた表示データ構造は、正規確率分布を使用することによって、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度についての表示を可能にする。
【0050】
装置のさらなる態様において、治療レジメンは、GLP-1受容体アゴニストを含む薬剤を用いた、GLP-1受容体アゴニスト投薬レジメンを含む。
【0051】
装置のさらなる態様において、治療レジメンは、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与のインスリン薬剤投薬レジメンを含む。
【0052】
装置のさらなる態様において、複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録はさらに、
(iii)対象者に注入された対応する薬剤タイプを含み、
ここで、選択された薬剤記録のサブセットのセットは、同じ薬剤タイプを含み、それによって、それぞれの薬剤タイプに対応する注入事象の分布を表し、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、表示データを取得する工程(ii)は、それぞれの薬剤タイプを表すように構成された表示データを取得する工程をさらに含む。
これにより、薬剤記録は、異なる薬剤タイプに関連するデータが区別でき、別々に処理できることを可能にする。
【0053】
装置のさらなる態様において、治療レジメンは、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与のインスリン薬剤投薬レジメンと、長時間作用型インスリン薬剤を用いた基礎インスリン薬剤投薬レジメンとを含む。
【0054】
さらなる態様において、装置は、第一の座標系を表すために構成された表示装置をさらに備え、また表示データを伝達する工程はさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データをディスプレイ上の第一の座標系に表示する工程を含み、第一の座標系は、第一の軸および第二の軸を含み:
ここで、第一の座標系は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、第一の軸は、相対的時間を表し、かつ時間窓によって定義される間隔内で定義され、またここで第二の軸は、注入された薬剤の量を表す。
【0055】
装置のさらなる態様において、方法はさらに、
第二のデータセットを取得する工程であって、第二のデータセットは、時間経過内での対象者の複数の自律的グルコース測定と、複数の自律的グルコース測定におけるそれぞれ個別の自律的グルコース測定について、それぞれの測定がなされた時を表すグルコース測定タイムスタンプとを含み、
それぞれ個別の時間窓について、グルコース測定のセットを作成する工程であって、それによって複数のグルコース測定のセットを作成し、ここでグルコース測定のそれぞれのセット内の各グルコース測定は、それぞれの時間窓内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別のグルコース測定について、時間窓内での相対的時間である対応する相対的時間を関連付ける工程であって、それによって、複数のグルコース測定のセットは、時間窓内でのグルコース測定の分布を表し、
複数のグルコース測定のセットについて、中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として計算する工程、
ここで、表示データはさらに、複数のグルコース測定のセット、対応する相対的時間、ならびに計算された中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として含む。
【0056】
これにより、投薬履歴と組み合わせて、対象者のグルコース測定を伝達し、それによって、期間内でのグルコースデータと注入事象の分布との関係の上方を伝達できるようにする装置が提供されている。
【0057】
装置のさらなる態様において、ディスプレイは、それぞれ第一の軸および第二の軸を含む第一および第二の座標系を表すように適合されており、
ここで、第一の座標系は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、第二の座標系は、グルコースデータの中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、表示データを伝達する工程はさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データをディスプレイ上の第一の座標系に表示する工程と、
時間の関数として複数のグルコース測定のセットの中心傾向およびばらつきを含む、得られた表示データをディスプレイ上の第二の座標系に表示する工程を含み、
ここで、第一の座標系では、第二の軸は注入された薬剤の量を表し、また第二の座標系では、第二の軸は血液グルコース濃度を表し、また各座標系の第一の軸は相対的時間を表し、かつ時間窓によって画定される間隔内で定義される。
【0058】
これにより、注入データおよび血糖データは、別々に提示されることができるが、比較可能な座標系である。
【0059】
さらなる態様において、装置は、時間経過内でのライフスタイル関連事象(対象者が関与したもの)の分布の中心傾向およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴を伝達するようにさらに適合され、ここで方法はさらに、
ライフスタイルデータを獲得するために対象者によって使用される一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置から第三のデータセットを取得する工程であって、第三のデータセットは、時間経過に伴う複数のライフスタイルデータ記録を含み、複数のライフスタイルデータ記録内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、
(i)それぞれの測定装置を使用する対象者に対する効果を示す強度の測定値を含む、それぞれのライフスタイル事象と、
(ii)それぞれのライフスタイル測定装置によって、それぞれのライフスタイル関連事象の発生に伴い自動的に生成されるか、またはユーザーによるそれぞれのライフスタイル測定装置の起動によって生成される、時間経過内での対応する電子ライフスタイル事象タイムスタンプ、あるいは対象者が関与したライフスタイル事象の開始時間および終了時間を示す開始タイムスタンプおよび終了タイムスタンプと、
それぞれ個別の時間窓について、ライフスタイルデータ記録のサブセットを取得して、それによってライフスタイルデータ記録の複数のサブセットを取得する工程であって、ここで、ライフスタイルデータ記録のそれぞれ個別のサブセットは、第三のデータセットからの多数のライフスタイルデータ記録を含み、またライフスタイルデータ記録のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、それぞれの時間窓内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別のライフスタイルデータ記録について、ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットのライフスタイルデータ記録の各サブセット内で、時間窓内での相対的時間である対応する相対的時間を割り当てる工程と、
ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットからライフスタイルデータ記録のサブセットのセットを選択し、それによって、時間窓の固定期間に対応する間隔内でのライフスタイル事象の分布を表す多数の選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットを含む選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットを取得する工程と、
ライフスタイル事象の分布内でライフスタイル事象の一つ以上の適格なグループを取得し、それによって、適格なライフスタイル事象グループのセットを取得する工程であって、ここでそれぞれの適格なライフスタイル事象グループはグループ時間インジケータを含み、
適格なライフスタイル事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格なライフスタイル事象グループについて:
(i)時間ベースで、それぞれの適格なライフスタイル事象グループに対応するグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを、選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットのそれぞれの選択されたライフスタイルデータ記録サブセット内のライフスタイルデータ記録のグループ時間インジケータおよび相対的時間を使用して決定し、それによって、グループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)それぞれの適格なライフスタイル事象グループのグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを処理して、それぞれの適格なライフスタイル事象グループ内でライフスタイル事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すようにさらに構成された表示データを取得する工程であって、ここで、中心傾向の測度およびばらつきの測度は、相対的時間および/または強度の測定値に関連し、
表示データを(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
【0060】
これにより、投薬履歴と組み合わせて、対象者がかかわってきた時間経過内でのライフスタイル関連事象の分布の平均およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴をさらに伝達し、それによって対象者がかかわってきた事象間の関係を伝達する可能性を改善する、装置またはシステムが提供されている。
【0061】
さらなる態様において、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表す用量事象履歴を伝達するためのコンピュータで実施される方法が提供されており、
一つ以上のプロセッサおよびメモリを備える装置を使用して、メモリは、一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
治療レジメンを適用するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセットを取得する工程であって、第一のデータセットが時間経過に伴い服用される複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録が、
(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置を使用して対象者に注入される薬剤の量を含む、それぞれの薬剤注入事象と、
(ii)それぞれの薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置によって自動的に生成される時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプと、を含む工程と、
前記時間コース内に複数の連続した時間枠を作成する工程であって、各時間窓が同一の固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓について、薬剤記録のサブセットを取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、薬剤記録のそれぞれ個別のサブセットは、第一のデータセットからの多数の薬剤記録を含み、また薬剤記録のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別の薬剤記録は、それぞれの時間窓内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別の薬剤記録について、複数の薬剤記録のサブセットのうちそれぞれの薬剤記録のサブセット内で、時間窓内での相対的時間である対応する相対的時間を割り当てる工程と、
複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセットを選択し、それによって時間窓の固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセットを含む選択された薬剤記録のサブセットのセットを取得する工程と、
注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータを含む工程と、
適格な注入事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループについて:
(i)時間ベースで、それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、グループ時間インジケータ(243)および選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット(231)内にある各薬剤記録(222)の相対的時間を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、中心傾向の測度(244、246)およびばらつきの測度(245、247)が相対的時間(237)に関連する、工程と、
表示データ(249)を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
さらなる態様において、一つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行された時に、上記で定義したとおり、方法を実行する命令を備えたコンピュータプログラムが提供されている。
さらなる態様において、上記で定義したとおり、コンピュータプログラムがそれ上に格納された、コンピュータ可読データ担体が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するために、患者データを収集するためのデータ収集装置と、対象者からグルコースデータを測定する一つ以上のグルコースセンサーと、治療レジメンに従い血糖調節薬剤を注入するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置と、一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置とを含む、模範的システムトポロジーを図示するもので、ここで、上記特定した構成要素は、本開示の一実施形態に従い、通信ネットワークを経由して任意に相互接続される。
図2A図2Aは、本開示の一実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置を集合的に図示したものである。
図2B図2Bは、本開示の一実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置を集合的に図示したものである。
図3A図3Aは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3B図3Bは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3C図3Cは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3D図3Dは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3E図3Eは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3F図3Fは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3G図3Gは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3H図3Hは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3I図3Iは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図3J図3Jは、本開示の別の実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置の模範的実施態様を図示したものである。
図4図4は、本開示の様々な実施形態に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置のプロセスおよび機能の流れ図である。
図5A図5Aは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスの工程を図示したものである。
図5B図5Bは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスの工程を図示したものである。
図5C図5Cは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスの工程を図示したものである。
図6A図6Aは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスのさらなる態様を図示したものである。
図6B図6Bは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスのさらなる態様を図示したものである。
図6C図6Cは、図4に提供され、かつ本開示の一実施形態に従うプロセスのさらなる態様を図示したものである。
図7A図7Aは、本開示の一実施形態に従い表示データを伝達する代替的方法を図示する。
図7B図7Bは、本開示の一実施形態に従い表示データを伝達する代替的方法を図示する。
図8A図8Aは、本開示の一実施形態に従い表示データを伝達するさらなる代替的方法を図示する。
図8B図8Bは、本開示の一実施形態に従い表示データを伝達するさらなる代替的方法を図示する。
図9A図9Aは、本発明に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達する効果を集合的に図示したものである。図9Bは、本発明の一態様に従い通信された表示データを示し、図9Aは、中心傾向およびばらつきを表すために、注入事象をグループ化することなく表示データを伝達するようすを図示する。
図9B図9Bは、本発明に従い、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達する効果を集合的に図示したものである。図9Bは、本発明の一態様に従い通信された表示データを示し、図9Aは、中心傾向およびばらつきを表すために、注入事象をグループ化することなく表示データを伝達するようすを図示する。
図10図10は、本開示の一実施形態に従い表示データを伝達する代替的方法を図示し、表示データは表形式で記載されている。
【0063】
同様の参照符号は、図面のいくつかの図を通して対応する部品を指す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本開示は、時間経過に伴い取られた複数の血糖調節薬剤記録を含むデータセットの取得に依存する。複数の血糖調節薬剤記録内のそれぞれ個別の血糖調節薬剤記録は、(i)一つ以上の注入装置のセット内のそれぞれの注入装置を使用して、対象者に注入された血糖調節薬剤の量を含む、それぞれの血糖調節薬剤注入事象と、(ii)それぞれの血糖調節薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置によって自動的に生成される、時間経過内で対応する電子注入事象タイムスタンプとを含む。
【0065】
図1は、こうしたデータの取得のための統合システム105の例を示す。統合システム105は、一つ以上の接続された注入装置104、一つ以上のグルコースセンサー102、一つ以上の着用可能ライフスタイル測定装置(103)、メモリ(図示せず)、およびプロセッサ(図示せず)を含む。一部の実施形態において、グルコースセンサー102は、連続グルコースモニターである。一部の実施形態において、連続グルコースモニターは、対象者がかかわった、例えば食事摂取または空腹時間などのライフスタイル事象にタイムスタンプを付けることができるため、この目的で着用可能なライフスタイル測定装置と見なされることがある。
【0066】
統合システム105では、治療レジメンを対象者に適用するために使用される一つ以上の注入装置104からのデータが、複数のインスリン薬剤記録として得られる。各インスリン薬剤記録は、対象者が治療レジメンの一部として受けた、注入された血糖調節薬剤の量を指定するタイムスタンプ付き事象を含む。また、一部の実施形態において、対象者の自律的タイムスタンプ付きグルコース測定が取得される。こうした実施形態において、自律的グルコース測定は、フィルタリングされ、非一時的メモリに格納される。時間経過に伴い取られた対象者の複数の血糖調節薬剤記録は、注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すための投薬履歴を提供するために使用される。このようにして、本開示の方法に従って血糖薬剤記録が取り出され、通知される。
【0067】
ここで、実施形態、すなわち添付図面に図示された実施例を詳細に参照する。以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解を助けるために多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示はこれらの具体的な詳細なしに実施されうることが、当業者には明らかであろう。他の例では、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは詳細には記述されていない。
【0068】
また当然のことながら、第一、第二などの用語は本明細書では様々な要素を記述するために使用されてもよいが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第一の対象者は第二の対象者と呼ぶことができ、同様に、第二の対象者は第一の対象者と呼ぶことができる。第一の対象者および第二の対象者は両方とも対象者であるが、同じ対象者ではない。さらに、「対象者」、「ユーザー」、および「患者」という用語は本明細書では互換的に使用される。インスリンペンという用語は、インスリンの不連続投与を適用するのに適した注入装置を意味し、ここで注入装置は用量関連データのログおよび通信用に適合されている。
【0069】
本開示で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本発明を限定することを意図していない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別途示されていない限り、複数形を含むことが意図されている。「および/または」という用語は本明細書で使用される場合、関連する列挙された項目のうちの一つ以上のうちの一つ以上の可能性のある任意の組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。「含む」および/または「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、運転、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、作業、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または付加を除外しないことをさらに理解されたい。
【0070】
本明細書で使用される場合、「if」という用語は、文脈に応じて「時に」または「伴い」または「決定に応答して」または「検出に応答して」を意味すると解釈されうる。同様に、「決定された場合」または「[記載された状態または事象]が検出された場合」という語句は、文脈に応じて、「決定に伴い」または「決定に応答して」または「[記載された状態または事象]の検出に伴い」または「記載された状態または事象]の検出に応答して」と解釈される場合がある。
【0071】
本開示に従い、血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するためのシステム48の詳細な説明が、図1図3に関連して説明されている。そのため、図1~3は、本開示によるシステムのトポロジーを集合的に図示する。トポロジーにおいて、時間経過(図1、2、および3)内で治療レジメン(206)を適用した対象者によって実施された注入を伝達する投薬履歴通信装置(250)と、データ収集用の装置(「データ収集装置200」)と、薬物を対象者に注入するための一つ以上の注入装置104と、対象者に関連付けられた任意に一つ以上のグルコースセンサー102とがある。本開示全体を通して、データ収集装置200および投薬履歴通信装置250は、明確さの目的にのみ別個の装置として参照される。すなわち、データ収集装置200の開示された機能性および投薬履歴通信装置250の開示された機能性は、図1に図示するとおり別個の装置に含まれる。ところが、実際には、一部の実施形態において、データ収集装置200の開示された機能性および投薬履歴通信装置250の開示された機能性は、単一の装置に含まれることが理解される。一部の実施形態において、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250の開示された機能の開示された機能は単一の装置に含まれ、この単一の装置はスマートフォンである。一部の実施形態において、治療レジメン(206)は、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与インスリン薬剤投薬レジメン、または長時間作用型インスリン薬剤を用いた基礎インスリン薬剤投薬レジメンを含む。一部の実施形態では、治療レジメンは、リラグルチドまたはセマグルチドとしてGLP-1受容体アゴニストを含む薬剤を用いた投薬レジメンも含みうる。
【0072】
図1を参照すると、投薬履歴通信装置250は、対象者によって適用された注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達する。このために、投薬履歴通信装置250と電気的に通信状態にあるデータ収集装置200は、時間経過に伴い複数の血糖調節薬剤記録を受信し、各記録は、(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置104を使用して対象者に注入された血糖調節薬剤の量を含む、血糖調節薬剤注入事象と、(ii)血糖調節薬剤の注入事象の発生に伴い、それぞれの注入装置により生成される対応する電子注入事象のタイムスタンプと、(iii)対象者に注入されたそれぞれのタイプの血糖調節薬剤(複数の薬剤が適用された場合)(短時間作用型および長時間作用型インスリン薬剤のうち一つから、また代替的にGLP-1受容体アゴニストを含む薬剤)とを含む。一部の実施形態において、データ収集装置200は、グルコースレベルを測定するために対象者によって使用される一つ以上のグルコースセンサー(例えば、連続グルコースモニター/センサー)102からのグルコース測定値も受信する。一部の実施形態において、データ収集装置200は、そのようなデータを、対象者が使用する注入装置104および/またはグルコースセンサー102および/またはウェアラブルライフスタイル測定装置(103)から直接受信する。例えば、一部の実施形態において、データ収集装置200は、無線周波数信号を介してこのデータを無線で受信する。一部の実施形態において、このような信号は、802.11(Wifi)、Bluetooth、またはZigbee標準によるものである。一部の実施形態において、データ収集装置200は、こうしたデータを直接受信し、データを分析し、分析されたデータを投薬履歴通信装置250に渡す。一部の実施形態において、インスリンペン、および/またはグルコースセンサー102、またはウェアラブルライフスタイル測定装置(103)でありうる注入装置104は、RFIDタグを含み、RFID通信を使用してデータ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250に通信する。一部の実施形態において、データ収集装置200は、ライフスタイル事象の発生、こうした事象の開始または終了を測定するため、および/または事象が対象者の血糖値にどれだけ影響しうるかを定量化するために、対象者によって使用される一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置(例えば、嚥下行為を測定する食事摂取センサー、運動を測定する加速度計など)(103)からのライフスタイル関連事象測定を受信する。一部の実施形態において、ライフスタイル測定装置はまた、対象者の(例えば、ウェアラブル生理学的測定装置から、または温度計などのデータ収集装置200内の測定装置からの)生理学的測定を生成しうる。
【0073】
一部の実施形態において、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250は、対象者に近接していない、および/または無線機能を持たないか、またはそのような無線機能は薬剤注入データ、自律グルコースデータ、および/またはライフスタイル関連測定データを取得する目的で使用されない。こうした実施形態において、通信ネットワーク106は、インスリン薬剤注入データを一つ以上の注入装置104からデータ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250へ、および/または自律的グルコース測定をグルコースセンサー102からデータ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250へ、および/またはライフスタイル関連事象データを一つ以上のライフスタイル測定装置からデータ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250へ伝達するために使用されうる。
【0074】
ネットワーク106の例には、ワールドワイドウェブ(WWW)、イントラネット、および/または携帯電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、および無線通信によるその他の装置などの無線ネットワークが含まれるが、これらに限定されない。無線通信は、任意の複数の通信規格、プロトコルおよび技術を任意に使用し、これには、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、Evolution、Data-Only(EV-DO)、HSPA、HSPA+、Dual-Cell HSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、wideband code division multiple access(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多重接続(TDMA)、Bluetooth、Wireless Fidelity(Wi-Fi)(例えば、IEEE 802.11a、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11ax、IEEE 802.11b、IEEE 802.11gおよび/またはIEEE 802.11n)、voice over Internet Protocol(VoIP)、Wi-MAX、電子メールのプロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージ(例えば、extensible messaging and presence protocol(XMPP)、Session Initiation Protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、および/またはShort Message Service(SMS)、またはその他任意の適切な通信プロトコル(本開示の提出日現在でまだ開発されていない通信プロトコルを含む)が含まれるが、これに限定されない。
【0075】
一部の実施形態において、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250は、インスリンペンの一部である。すなわち、一部の実施形態において、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250および注入装置104は、単一の装置である。
【0076】
一部の実施形態において、単一のグルコースセンサー102が対象者に取り付けられており、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250は、グルコースセンサー102の一部である。すなわち、一部の実施形態において、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250およびグルコースセンサー102は、単一の装置である。
【0077】
当然ながら、システム48の他のトポロジーが可能である。例えば、通信ネットワーク106に依存するのではなく、一つ以上の注入装置104およびオプションの一つ以上のグルコースセンサー102が、情報をデータ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250に無線で直接送信してもよい。さらに、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250は、携帯型電子装置、サーバーコンピュータを構成してもよく、または実際にネットワーク内で一つに連結されている複数のコンピュータを構成してもよく、またはクラウドコンピューティング状況での仮想マシンであってもよい。そのため、図1に示す模範的なトポロジーは、当業者にとって容易に理解される方法で、本開示の実施形態の特徴を説明する役割を単に果たしている。
【0078】
図2を参照すると、典型的な実施形態において、投薬履歴通信装置250は、一つ以上のコンピュータを含む。図2での図示の目的で、投薬履歴通信装置250は、治療レジメンを実施する対象者によって適用された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表す投薬履歴を伝達するためのすべての機能性を含む単一のコンピュータとして表されている。ところが、本開示はそのように限定されていない。一部の実施形態において、投薬履歴を通信するための機能性は、任意の数のネットワーク接続されたコンピュータにわたって分散されている、および/またはいくつかのネットワーク接続されたコンピュータのそれぞれ上に存在する、および/または通信ネットワーク106を介してアクセス可能な遠隔位置にある一つ以上の仮想マシン上にホスティングされている。当業者であれば、アプリケーションには広範な異なるコンピュータトポロジーが使用され、こうしたすべてのトポロジーが本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0079】
上述内容を念頭において図2に戻ると、血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表す投薬履歴を伝達するための模範的な投薬履歴通信装置250は、一つ以上の処理装置(CPU)274、ネットワークまたはその他の通信インターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、一つ以上のコントローラ288によって任意にアクセスされる一つ以上の磁気ディスク記憶装置および/または永続的装置290、前述の構成要素を相互接続するための一つ以上の通信バス213、ユーザーインターフェース278、ディスプレイ282および入力280(例えば、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むユーザーインターフェース278、ならびに前述の構成要素に電力を供給するための電源276を含む。一部の実施形態において、メモリ192内のデータは、キャッシュなどの公知の計算技術を使用して、不揮発性メモリ290とシームレスに共有される。一部の実施形態において、メモリ192および/またはメモリ290は、中央処理装置274に対して遠隔に位置する大容量記憶装置を含む。言い換えると、メモリ192および/またはメモリ290内に保存される一部のデータは、実際には、投薬履歴通信装置250に対して外部であるが、インターネット、イントラネット、またはその他の形態のネットワークまたは電子ケーブル(図2の要素106として図示)を経由して、ネットワークインターフェース284を使用して、投薬履歴通信装置250によって電子的にアクセス可能なコンピュータ上にホスティングされてもよい。
【0080】
一部の実施形態において、対象者によって適用された注入の分布の平均およびばらつきを表す投薬履歴を伝達するための投薬履歴通信装置250のメモリ192は、以下を保存する:
・様々な基本システムサービスを取り扱う手順を含むオペレーティングシステム202、
・血糖調節薬剤の持続時間によって特徴付けられる血糖調節薬剤のための作用プロファイルの薬剤持続時間(図示されていない)、
・投薬履歴通信モジュール204、
・対象者が関与する治療レジメン206、
・治療レジメンを適用するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置からの第一のデータセット220であって、第一のデータセットが時間経過に伴う複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録内のそれぞれ個別の薬剤記録222が、(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置104を使用して対象者に注入された薬剤の量226を含む、それぞれの薬剤注入事象224と、(ii)それぞれの薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置104によって自動的に生成される、時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ229とを含むもの、
・時間経過に伴う複数の連続した時間窓233であって、各時間窓234が同じ固定期間であるもの、
・それぞれ個別の時間窓234について、多数の薬剤記録222を含む薬剤記録のサブセット235であって、薬剤記録235のサブセットが空白である場合はゼロでもよい、
・薬剤記録235のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別の薬剤記録222について、時間窓内の相対的時間である、対応する相対的時間237、
・選択された薬剤記録のサブセットのセット230、
・それぞれ個別の薬剤記録のサブセット231について、薬剤記録222および相対的時間237、
・適格な注入事象グループのセット240、
・適格な注入事象グループ241の各グループについて、グループ化された薬剤記録のサブセット242、グループ時間インジケータ243、薬剤記録222であり、また一部のさらなる実施形態においては、時間の中心傾向の測度244、時間のばらつきの測度245、注入された血糖調節薬剤246の量の中心傾向の測度、および血糖調節薬剤247の量のばらつきの測度も含む、
・時間の中心傾向の測度244、時間のばらつきの測度245を含み、また一部のさらなる実施形態においては、注入された血糖調節薬剤246の量の中心傾向の測度、および血糖調節薬剤247の量のばらつきの測度も含む、表示データ247。
【0081】
一部の実施形態において、投薬履歴通信モジュール204は、任意のブラウザ(電話、タブレット、ラップトップ/デスクトップ)内でアクセス可能である。一部の実施形態において、投薬履歴通信モジュール204は、ネイティブの装置フレームワーク上で動作し、AndroidまたはiOSなどのオペレーティングシステム202を実行する投薬履歴通信装置250上にダウンロードすることができる。
【0082】
一部の実施において、注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための投薬履歴通信装置250の上記に特定したデータ要素またはモジュールのうち一つ以上が、前述のメモリ装置のうち一つ以上の中に格納され、上述の機能を実行する命令セットに対応する。上記に特定したデータ、モジュールまたはプログラム(例えば、命令セット)は、個別のソフトウェアプログラム、手順またはモジュールとして実施される必要はなく、そのためこれらのモジュールのさまざまなサブセットを組み合わせたり、さまざまな実施においてその他の方法で再配置したりすることができる。一部の実施において、メモリ192および/または290は、上記で特定されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを任意に格納する。さらに、一部の実施形態において、メモリ192および/または290は、上述されていない追加的なモジュールおよびデータ構造を格納する。
【0083】
一部の実施形態において、注入の分布の平均およびばらつきを表す用量事象履歴を伝達するための投薬履歴通信装置250は、スマートフォン(例えば、iPHONE)、ラップトップ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはその他の形態の電子装置(例えば、ゲーム用コンソール)である。一部の実施形態において、投薬履歴通信装置250はモバイルではない。一部の実施形態において、投薬履歴通信装置250はモバイルである。
【0084】
図3A~3Jは、本開示で使用することができる投薬履歴通信装置250の特定の実施形態のさらなる説明を集合的に提供する。図3A~3Jに図示した投薬履歴通信装置250は、一つ以上の処理装置(CPU)274、周辺装置インターフェース370、メモリコントローラ368、ネットワークまたはその他の通信インターフェース284、メモリ192(例えば、ランダムアクセスメモリ)、ユーザーインターフェース278であって、そのユーザーインターフェース278はディスプレイ282および入力280(例えば、キーボード、キーパッド、タッチスクリーン)を含むもの、オプションの加速度計317、オプションのGPS 319、オプションのオーディオ回路372、オプションのスピーカー360、オプションのマイクロフォン362、投薬履歴通信装置250上の接触の強度を検出するための一つ以上のオプションの強度センサー364(例えば、投薬履歴通信装置250のタッチセンサー式表示システム282などのタッチセンサー式表面)、オプションの入出力(I/O)サブシステム366、一つ以上のオプションの光センサー373、前述の構成要素を相互接続するための一つ以上の通信バス213、および前述の構成要素に電源供給するための電源276を有する。
【0085】
一部の実施形態において、入力280は、タッチセンサー式面などのタッチセンサー式表示である。一部の実施形態において、ユーザーインターフェース278は、一つ以上のソフトキーボードの実施形態を含む。ソフトキーボードの実施形態は、表示されたアイコン上の標準(QWERTY)および/または標準的なシンボル構成を含みうる。
【0086】
図3A~3Jに図示される投薬履歴通信装置250は、加速度計317に加えて、投薬履歴通信装置250の位置および配向(例えば、縦方向または横方向)に関する情報を取得するため、および/または対象者による物理的作用の量を決定するための、磁気探知器(非表示)およびGPS 319(またはGLONASSまたはその他のグローバルナビゲーションシステム)受信器を任意に含む。
【0087】
図3A~3Jに図示した投薬履歴通信装置250は、注入の分布の平均およびばらつきを表す用量事象履歴を伝達するために使用されうる多機能装置の一例にすぎないこと、また、投薬履歴通信装置250は、表示されたよりも多いかまたは少ない構成要素を任意に有すること、二つ以上の構成要素を任意に組み合わせること、または異なる構成または配置の構成要素を任意に有することが理解されるべきである。図3Aに示す様々な構成要素は、一つ以上の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせ内に実施される。
【0088】
図3A~3Jに図示される投薬履歴通信装置250のメモリ192は、高速ランダムアクセスメモリを任意に含み、また一つ以上の磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ装置、またはその他の不揮発性ソリッドステート記憶装置などの不揮発性メモリも任意に含む。CPU 274などの投薬履歴通信装置250の他の構成要素によるメモリ192へのアクセスは、任意にメモリコントローラ368によって制御される。
【0089】
周辺機器インターフェース370は、装置の入力および出力周辺部をCPU 274およびメモリ192に連結するために使用できる。一つ以上のプロセッサ274は、投薬履歴通信装置250のさまざまな機能を実施しデータを処理するために、投薬履歴通信モジュール204などのメモリ192に格納されたさまざまなソフトウェアプログラムおよび/または一連の命令を実行または処理する。
【0090】
一部の実施形態において、周辺機器インターフェース370、CPU 274、およびメモリコントローラ368は、任意に単一のチップ上に実施される。その他の一部の実施形態において、それらは別個のチップに実施される。
【0091】
ネットワークインターフェース284のRF(無線周波数)回路は、電磁信号とも呼ばれるRF信号を受信および送信する。一部の実施形態において、持続的治療レジメン206、第一のデータセット220、および/または第二のデータセット、および/または第三のデータセットは、このRF回路を使用して、対象者と関連付けられたグルコースセンサー102、対象者と関連付けられた注入装置104、ライフスタイル測定装置103、および/またはデータ収集装置200などのうち、一つ以上の装置から受信される。一部の実施形態において、RF回路284は、電気信号を電磁信号へ、または電磁信号から変換し、通信ネットワークおよびその他の通信装置、グルコースセンサー102、および注入装置104および/またはライフスタイル測定装置200と、電磁信号を介して通信する。RF回路284は、これらの機能を実施するための周知の回路を任意に含み、これには、アンテナシステム、RFトランシーバ、一つ以上のアンプ、チューナー、一つ以上の振動器、デジタル信号プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどが含まれるが、これらに限定されない。RF回路284は、通信ネットワーク106と任意に通信する。一部の実施形態において、回路284はRF回路を含まず、実際には、一つ以上のハードワイヤー(例えば、光ケーブル、同軸ケーブル、または同種のもの)を通してネットワーク106に接続される。
【0092】
一部の実施形態において、オーディオ回路372、オプションのスピーカー360、およびオプションのマイクロフォン362が、対象者と投薬履歴通信装置250の間のオーディオインターフェースを提供する。オーディオ回路372は、周辺機器インターフェース370から音声データを受信し、音声データを電気信号に変換し、電気信号をスピーカー360に送信する。スピーカー360は、電気信号をヒトに聴こえる音波に変換する。オーディオ回路372はまた、音波からマイクロフォン362によって変換された電気信号を受信する。オーディオ回路372は、電気信号を音声データに変換し、処理のために音声データを周辺機器インターフェース370に送信する。音声データは、任意に、周辺機器インターフェース370によって、メモリ192および/またはRF回路284との間で、受信および/または送信される。
【0093】
一部の実施形態において、電源276は、電源管理システム、一つ以上の電源(例えば、電池、交流(AC))、再充電システム、電源異常検出回路、電力変換装置またはインバータ、電源ステータスインジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))および携帯機器内の電源の発生、管理および分布に関連したその他の任意の構成要素を任意に含む。
【0094】
一部の実施形態において、投薬履歴通信装置250はまた、一つ以上の光学センサー373も任意に含む。光学センサー373は、電荷結合素子(CCD)または相補形金属酸化膜半導体(CMOS)フォトトランジスタを任意に含む。光学センサー373は、環境から一つ以上のレンズを通して投影された光を受け取り、画像を表すデータへと光を変換する。光学センサー373は、静止画像および/またはビデオを任意に取り込む。一部の実施形態において、光学センサーは、入力280が静止画像またはビデオ画像取得のためのビューファインダーとして使用できるように、投薬履歴通信装置250の前面にある投薬履歴通信装置250にあるディスプレイ282の反対側に位置する。一部の実施形態において、別の光学センサー373は、(例えば、対象者の健康または状態を確認するため、対象者の物理的活性レベルを判断するため、遠隔での対象者の状態の診断を助けるため、または対象者の視覚的な生理学的測定を取得するために)対象者の画像が得られるように、投薬履歴通信装置250の正面に位置する。
【0095】
図3A~3Jに示すように、投薬履歴通信装置250は、様々な基本システムサービスを取り扱う手順を含むオペレーティングシステム202を備えることが好ましい。オペレーティングシステム202(例えば、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、Windows、またはVxWorksなどの埋め込みオペレーティングシステム)は、一般的なシステムタスク(例えば、メモリ管理、記憶装置制御、電源管理など)を制御および管理するための様々なソフトウェア構成要素および/またはドライバーを含み、さまざまなハードウェアとソフトウェアの構成要素の間の通信を容易にする。
【0096】
一部の実施形態において、投薬履歴通信装置250はスマートフォンである。他の実施形態では、投薬履歴通信装置250はスマートフォンではなく、むしろタブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、緊急車両コンピュータ、またはその他の形態または有線または無線ネットワーク装置である。一部の実施形態において、投薬履歴通信装置250は、図2または図3に示す投薬履歴通信装置250に見られる回路、ハードウェア構成要素、およびソフトウェア構成要素のいずれかまたはすべてを有する。簡潔性および明瞭性を目的として、投薬履歴通信装置250にインストールされた追加ソフトウェアモジュールをより強調するために、投薬履歴通信装置250について考えられる構成要素のいくつかのみが示されている。
【0097】
図1に開示した注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するためのシステム48はスタンドアロンで機能できる一方、一部の実施形態においては、何らかの方法で情報を交換するために電子医療記録と連動させることもできる。
【0098】
図3A~3Jに示すように、一部の実施形態において、対象者によって実施された注入の分布の平均およびばらつきを表す投薬履歴を伝達するための投薬履歴通信装置250のメモリ192は、以下の一つ以上のデータ構造をさらに保存する。
【0099】
図3Aは、注入事象の分布の確率密度関数310をさらに保存する実施形態の実施例と、識別された注入事象グループのセット320とを図示する。
【0100】
図3Bは、メモリ192が確率密度関数310、識別された注入事象グループのセットをさらに含む実施形態の別の実施例を図示し、それぞれの識別された注入事象グループ321は、ピーク値323を有するピーク322と、グループ時間インジケータであるピーク時とを含む。模範的実施形態では、メモリは、注入321の識別されたグループが伝達されるのに適格であるかどうかを評価するための所定の閾値をさらに保存する。
【0101】
図3Cは、メモリがさらに、評価のための興味深い時間範囲を示す所定時間範囲のセット330を含む別の模範的実施形態を図示する。所定時間範囲331それぞれはグループ時間インジケータであり、所定時間範囲は識別された薬剤記録のサブセット332と関連付けられ、多数の薬剤記録333が薬剤記録332のサブセット内の薬剤記録の数、および識別された注入事象グループ321である。メモリ192は、注入321の識別されたグループが伝達されるのに適格であるかどうかを評価するための所定の閾値をさらに保存する。
【0102】
図3Dは、メモリ192がさらに、注入321の識別されたグループが通信されるべきかどうかを評価するためのユーザー入力327閾値をさらに保存する代替的な模範的実施形態を図示する。
【0103】
図3Eは、メモリ192が、グラフィカルに表示されるよう構成されたデータの形状データ構造350をさらに保存する代替的な模範的実施形態を示し、この形状データ構造350は、相対的時間の中心傾向の位置を視覚的に示す二次元多角形をグラフィカルに図示するように構成された中心傾向の多角形352を構造化するための中心傾向のデータ構造351を備える。同様にデータ構造は、相対的時間のばらつきを視覚的に示すためのばらつきの多角形349を構造化するばらつきデータ構造353を含む。中心傾向多角形352およびばらつきの多角形349は、同じ変数に対応しており、注入された薬剤の大きさ、またはライフスタイル事象の相対的時間として他の変数の中心傾向を図示するためのさらなるデータを含んでもよい。
【0104】
図3Fは、メモリ192がさらに、データが表形式で表示されるように構造化されたテーブルデータ構造354を保存する代替的な模範的実施形態を図示し、データ構造354は、一例として、適格なグループの識別355、時間のばらつき356、用量中央値358および用量のばらつき359を含む。あるいは、テーブルデータ構造は、平均および標準偏差を伝達するためのデータを構造化することができる。
【0105】
図3Gは、メモリ192が、対応する適格な注入グループのために注入の頻度を示すための頻度インジケータ334をさらに保存する代替的な模範的実施形態を図示するもので、頻度インジケータは、例えば、注入の頻度が比較的低い場合により高い透明性で多角形を表示するための透明性の値を指定することができ、ここで多角形は、中心傾向またはばらつきを図示するための塗りつぶされた二次元の構造である。
【0106】
図3Hは、メモリ192が、対応する適格な注入グループのために注入の頻度を示すための正規化された確率密度関数311、正規ピーク値325をさらに保存する代替的な模範的実施形態を図示するもので、正規ピーク値は、例えば、注入の頻度が比較的低い場合により高い透明性で多角形を表示するための透明性の値を指定することができ、ここで多角形は、中心傾向またはばらつきを図示するための塗りつぶされた二次元の構造である。
【0107】
図3Iは、メモリ192がそれぞれの薬剤記録のタイプ、例えば、高速作用インスリン、長時間作用型インスリン、またはGLP-1様タンパク質を含む薬剤としうる一種の薬剤記録をさらに保存する代替的な模範的実施形態を示す。
【0108】
図3Jは、メモリ192が時間経過内に複数の自律的グルコース測定値を含む第二のデータセット340をさらに保存し、各自律的グルコース測定341がグルコース測定タイムスタンプ342と関連付けられている代替的な模範的実施形態を図示する。
【0109】
自律的グルコース測定が使用される実施形態では、ABBOTT(「LIBRE」)によるFREESTYLE LIBRE CGMなどの装置は、対象者の複数の自律的グルコース測定を行うためにグルコースセンサー102として役目を果たしうる。LIBREは、キャリブレーションフリーのグルコース測定値をオンスキンコインサイズセンサーで使用できるようにし、これは近くに一まとめにした時に、近距離無線通信を介して最長8時間のデータを読取装置(例えば、データ収集装置200および/または投薬履歴通信装置250)に送信できる。LIBREは毎日のあらゆる生活活動において14日間着用することができる。一部の実施形態において、自律的グルコース測定は、対象者から5分間以下、3分以下、または1分以下の間隔で自律的に実施される。一部の実施形態において、自律的グルコース測定は、対象者から5分以下、3分以下、または1以下、1日以上、2日以上、1分以上、1週間以上、2日以上、または2週以上の間隔で実施される。一部の実施形態において、自律的グルコース測定は、自律的に実施される(例えば、ヒトの労作なしに、ヒトの介入なしに)。
【0110】
これで、注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための用量事象履歴を伝達するためのシステム48の詳細については開示したため、本開示の一実施形態に従い、システムのプロセスおよび特徴の流れ図に関する詳細を、図4を参照しながら開示する。一部の実施形態において、このようなシステムのプロセスおよび特徴は、図2および図3に示すインスリン投薬量調整モジュール204によって実施される。
【0111】
ブロック402~422。図4を参照すると、1型真性糖尿病または2型真性糖尿病のいずれかを有する対象者におけるインスリン療法の目標は、正常な生理インスリン分泌とできるだけ一致させて、空腹時および食後血漿グルコースを制御することであり、また、データの収集や提示は治療の進展を理解するために重要な構成要素である。図2に図示した通り、装置250は、治療レジメンを実施する対象者によって実施された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するように構成された投薬履歴を伝達するために提供されている。装置は、一つ以上のプロセッサ274およびメモリ192/290を備え、メモリは、一つ以上のプロセッサによって実行される時に、下記に説明しかつ図4に図示する方法を実行する命令を格納する。上述のように、プロセッサ、メモリおよび保存された命令を構成することによって、投薬履歴通信装置250は、方法を実行するように構成または適合される。
【0112】
図4を参照すると、ブロック402は、方法の開始点を示し、ブロック404は、治療レジメン206を適用するために対象者が使用する一つ以上の注入装置104から第一のデータセット220を取得する工程を表す。第一のデータセット220は、時間経過に伴い取得された複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録内のそれぞれ個別の薬剤記録222が、(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置104を使用して対象者に注入された薬剤の量226を含む、それぞれの薬剤注入事象224と、(ii)それぞれの薬剤注入事象224の発生に伴いそれぞれの注入装置によって自動的に生成される、時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ229とを含む。
【0113】
ブロック406は、方法の別の工程を表し、ここで工程は、図5Aの上部に示すとおり、時間経過内に複数の連続時間窓233を作成することを含み、各時間窓234は同じ固定期間である。
【0114】
それぞれ個別の時間窓234について、ブロック408によって表される別の工程は、薬剤記録235のサブセットの作成を含み、それによって、同様に図5Aに図示するように、複数の薬剤記録のセット533を暗黙的に作成することを含む。このように、複数の薬剤記録533内のそれぞれ個別の薬剤記録のサブセット235は、第一のデータセットからの多数の薬剤記録220を含み、またそれぞれ個別の薬剤注入事象224またはそれぞれの薬剤記録のサブセット235内の薬剤記録222は、それぞれの時間窓234内のタイムスタンプ229を持つ。
【0115】
ブロック410は、方法の別の工程を表し、図5Aに図示されている。それぞれ個別の薬剤記録222について、複数の薬剤記録のセット533の薬剤記録235の各サブセット内で、工程は、対応する相対的時間237をそれぞれの薬剤記録222に割り当てることを含む。この目的のために、相対的時間は、窓234内の相対的時間として定義され、例えば、時間窓の開始時点から時間窓内の時点までの時間として測定され、注入事象の発生率を示す。時間窓の注入の発生率は、タイムスタンプによって識別される。このように、複数の薬剤記録533のセットは、注入の分布を表す。
【0116】
ブロック412は、方法の別の工程を表し、図5Aに図示されている。方法はさらに、複数の薬剤記録のサブセット533から薬剤記録のサブセットのセット235を選択し、それによって時間窓234の固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す、多数の選択された薬剤記録のサブセット231を含む選択された薬剤記録のサブセットのセット230を取得する工程を含む。分布は図5Bの窓W1に図示され、矢印A1~A2は、選択された薬剤記録のサブセット231の一つの薬剤記録が分布内でどのように分布するかを示す。
【0117】
ブロック414は、方法の別の工程を表し、図5Cに図示されている。方法はさらに、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループ240を取得し、それによって適格な注入事象グループのセットを取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータ243を含む工程を含む。分布は図5Cの窓W2に図示され、適格なグループは破線の長方形QG1およびQG2で示されている。
【0118】
ブロック416は、方法の別の工程を表し、図5Cに図示されている。方法はさらに、適格な注入事象グループのセット240内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ241について、時間ベースで、それぞれの適格な注入事象グループ241に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット242を、グループ時間インジケータ243および選択された薬剤記録のサブセットのセット230のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット231内にある各薬剤記録222の相対的時間237を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセット242を取得する工程を含む。
【0119】
ブロック418は、方法の別の工程を表し、図5Cに図示されている。方法はさらに、適格な注入事象グループのセット240内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ241について、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット242を処理して、それぞれの適格な注入事象グループ241内で注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ249を取得する工程を含み、ここで、中心傾向の測度244、246およびばらつきの測度245、247は、相対的時間237に関連する。
【0120】
ブロック420は、表示データ249を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程をさらに含む方法の別の工程を表す。ブロック422はプロセスの終了を図示する。
【0121】
さらなる態様において、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット242を処理して、ブロック418で表された表示データ249を取得する工程はさらに、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット242を処理して、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ249を取得する工程を含み、ここで中心傾向の測度(244、246)およびばらつきの測度(245、247)は体内に注入された薬剤の量(226)に関連する。
【0122】
図6A~6Eは、本開示の模範的実施形態のさらなる態様と、注入事象をグループ化することによるインスリン注入投与の分析である。ある日数期間からのインスリン用量データは、コンピュータシステム(PC、ウェブベースプラットフォーム、携帯電話など)に読み込まれる。インスリン用量は、一つ以上の異なる薬剤、すなわち長時間作用型および速効型インスリンを含む一つ以上のペン注入装置104からのものとすることができる。この解決策の全面的な利益を得るために、システムは同じ期間からのグルコースデータも有する。食事または運動に関するデータもこのシステムの一部としうる。
【0123】
複数の注入ペン104の分析は、別個に行われる。次の説明は、一つのペンについての一般的な分析である。結果として得られる分析の可視化は、両方のペンを一つにまとめて表示するか、または別個でもよい。
【0124】
さらなる態様において、ブロック414内のプロセスのさらなる工程は、分布内の注入事象グループを、投薬が発生した時間に基づき、すなわち時間ベースで、決定または識別することである。言い換えれば、ブロック414で表される、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット240を取得する工程はさらに、
選択された薬剤記録のサブセットのセット230を使用することにより、注入事象の分布の確率密度関数310を推定する工程と、
確率密度関数310を使用して、注入事象の分布内の一つ以上の注入事象のグループを識別し(ここでそれぞれの識別された注入事象グループ321は確率密度関数310の局所的最大を示すピーク322によって識別され、識別されたピークはピーク値323および対応するピーク時324を含む)、それによって識別された注入事象グループのセット320を取得する工程と、
一つ以上の注入事象グループの識別に応答して、識別された注入事象グループのセット320内のそれぞれ個別の識別された注入事象グループ321について、それぞれの識別された注入事象グループ321が伝達されるのに適格であるかを評価して、それによって適格な注入事象グループのセット240を取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセット242(ブロック416で表される)を決定する工程は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について、ピーク時324をグループ時間インジケータ243として使用することをさらに含む。
【0125】
さらなる態様において、それぞれの識別された注入事象グループが伝達されるのに適格であるかを評価する上述の工程は、ピーク値323の関数が適格化のための所定の閾値329を満足するかどうかを評価することをさらに含む。
【0126】
図6Aは、薬剤注入事象の分布を図示し、個々の薬剤注入事象は円によって示され、この例では速効型インスリンの注入を示す。図6Aは、無作為な変数の確率密度関数を推定する方法である、カーネル密度推定を使用することによる識別プロセスをさらに図示する。データセット、例えば、選択された薬剤記録のサブセットのセット230は、注入が発生した時点を含めて作成される。例えば、検査されるデータが速効型インスリン注入である場合、データセットは次のとおり呼び出される:Time_rapid。グラフィカル描写は、図6Aの円として示されている。
【0127】
次に、カーネル密度推定のために以前に定義されたアルゴリズムを使用して、密度関数が決定される:
KDF_rapid = f(Time_rapid)
この例では、mathworksによって提供されたカーネル密度推定器を使用した(www.mathworks.com/matlabcentral/fileexchange/14034-counter-density-estimator)。
【0128】
次にKDF_rapidを使用して、0~24時間のデータセットを生成する。これは24時間の固定幅を持つ時間窓234の例である。データセットDensity_rapidは、速効型注入の確率密度、すなわち、確率密度関数310を表す。
Density_rapid = f(Time_0to24hours, KDF_rapid)
後に簡素化するために、このデータは最大密度に基づいて正規化されるため、すべての値は0~1である。Density_rapidとして例示した正規化された確率関数311は、図6Aに説明目的で実線により図示されている。
【0129】
次に、確率密度関数310を使用して、注入事象のグループが適格化された時を決定する。これを行う一つの方法は、正規化された密度関数311のピーク325に基づいて、グループの概算中間点(ピーク時326)をまず特定することである。Density_rapid(図6Aに破線として示される)の数値微分をとり、その後、導関数がどこでゼロに等しい(最初のゼロ値がZ1で示される)かを見出すことがピークを見つける一つの方法である。いくつかの小さなピークが存在してもよく、これは注入点が単一または少数である結果である。したがって、ピークの評価のために、最小値、すなわち、適格化のための所定の閾値329を設定することが有用でありうる。この例では、最小値を0.15に設定したため、密度値が0.15未満のピークはすべて無視され、表示される適格性がある。この値は、自動的に設定されてもよく、ユーザーによって設定されてもよく、または所定のデータセットにとってどちらが最も適しているかを確認するために調整されてもよい。この分析の結果により、時点326(07:28、12:26、16:43、18:47)でピークを示す以下の描写が提供される。
【0130】
これで、ピーク時が異なる標準注入グループのおおよその時間を表しているが、次には、どの注入用量がそのグループに属するかを判断する必要がある。これを行う一つの方法は、各注入時間から様々なグループの時間までの時間差を単に計算することである。よって、各ポイントでのこれらの時間差の最小値は、注入が属するグループを決定する。この分析の後、図6Bのプロットは、さまざまな適格な注入事象グループの点を示す。第一の適格なグループ341-1のメンバーは円によって表され、第二の適格なグループ341-2のメンバーはプラス記号により表され、第三の適格なグループ(341-3)のメンバーは星印で表され、第四の適格なグループ(321-4)のメンバーはひし形によって表される。第一の適格な注入事象グループ241-1のメンバーは、第一のグループ化された薬剤記録のサブセット242-1を定義し、第二の適格な注入事象グループ241-2のメンバーは、第二のグループ化された薬剤記録のサブセット242-2を定義する、などである。
【0131】
別の態様では、ユーザー定義の時間範囲が、確率密度関数の使用に対する代替として注入事象のグループ化を識別するために使用されうる。この態様では、ブロック414によって表される注入事象の分布内で、一つ以上の適格な注入事象グループを獲得する工程、およびそれによって適格な注入事象グループのセット240を取得する工程が、さらに、
所定時間範囲のセット330を取得する工程であって、ここで所定時間範囲のセット330内のそれぞれの所定時間範囲331が時間窓の固定期間内で定義され、また所定時間範囲331のどれもが所定時間範囲のセット330内で別の所定時間範囲331と重複せず、
それぞれの所定時間範囲331について、前記方法は、
識別された注入事象グループ321を取得し、それによって識別された注入事象グループのセット320を取得する工程と、
識別された注入事象グループ321が適格な注入事象グループ241であるかどうかを評価し、それによって適格な注入事象グループのセット240を取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセット242(ブロック416で表される)を決定する工程は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について、所定時間範囲331をグループ時間インジケータ243として使用することをさらに含む。
【0132】
さらなる態様において、識別された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録の数を、特定されたサブセットが適格であるまたは適格ではないと認定するために使用することができる。それぞれの所定時間範囲331について、識別された注入事象グループ321を取得する上述の工程はさらに、
時間ベースで、選択された薬剤記録のサブセットのセット230内の薬剤記録222のうち識別された薬剤記録のサブセット332を決定する工程であって、ここで識別された薬剤記録のサブセット332内の薬剤記録222は、それぞれの所定時間範囲331内の相対的時間237を有し、
ここで、識別された注入事象グループ321が適格な注入事象グループ241であるかどうかを評価する上述の工程が、さらに、
識別された薬剤記録333のサブセット内の薬剤記録の数を評価する工程と、
薬剤記録333の数が、所定の閾値329よりも大きい(この場合、識別されたグループ221は適格である)、または所定の閾値329よりも小さい(この場合、識別されたグループ(221)は適格でない)かどうかを評価する工程と、
識別されたグループ221が適格であることに応答して、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループ241として特徴付ける工程とを含む。
【0133】
さらなる態様では、ユーザー入力は、識別されたグループも適格なグループであることを強制することができる。それぞれの所定時間範囲331について、識別された注入事象グループ321がさらに適格な注入事象グループ241であるかどうかを評価するための上述の工程は、さらに、
所定時間範囲331が適格であるか適格でないかを示すユーザー入力322を取得する工程と、
取得されたユーザー入力に応答して、所定時間範囲331が適格であることを示し、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程とを含む。
【0134】
さらなる態様では、所定の入力は、識別されたグループも適格なグループであることを強制することができる。それぞれの所定時間範囲331について、識別された注入事象グループ321がさらに適格な注入事象グループ241であるかどうかを評価するための上述の工程は、さらに、
所定時間範囲(331)が適格であるか適格でないかを示す所定の入力を取得する工程と、
得られた所定の入力に応答して、所定時間範囲(331)が適格であることを示し、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程とを含む。
【0135】
言い換えれば、上記で定義した自動グループ化ではなく、ユーザー(患者またはHCP)が注入事象グループを定義する時間範囲を定義することを認めることも有用でありうる。この場合、ユーザーは、名前、開始時間、終了時間によってグループを説明できる。例えば、ユーザーが「昼食注入」を11:00~13:00として定義するなどが考えられる。よって、この時間範囲中に発生するすべての速効型インスリン注入がこのグループに含まれる。同様に、ユーザーは「朝の注入」を07:00~10:00として定義しうる。よって、この時間範囲中に発生するすべての長時間作用型インスリン注入がこのグループに含まれる。
【0136】
さらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理して、注入事象(ブロック418で表される)の中心傾向およびばらつきを表すように構成された表示データを取得する工程は、相対的時間(237)および体内に注入された薬剤の量(226)について中心傾向の測度を評価し、相対的時間(237)および体内に注入された薬剤の量(226)についてばらつきの測度を評価する工程を含む。
【0137】
さらなる態様において、中心傾向の測度を決定する工程は、中央値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、上限および下限のパーセンタイルを評価することを含む。
【0138】
別の態様において、中心傾向の測度を決定する工程は、平均値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、標準偏差を評価することを含む。
詳細については、それぞれのグループ化された薬剤記録のサブセット242内の注入データの分析を以下に示す。グループ化された薬剤記録242は、説明目的のために以下に表示されている(G1、G2、...Gn)。第一に、時間中央値および用量中央値のサイズが計算され、保存される。平均用量(平均値)は中央値で代替されうる。
Median_time_Gn = median(Time_rapid_Gn)
Median_dose_Gn = median (Dose_rapid_Gn)
これらの値は、x,yの対で格納される。
(Median_time_G1, Median_dose_G1)
(Median_time_G2, Median_dose_G2)

(Median_time_Gn, Median_dose_Gn)
次に、各グループに対して次のパーセンタイルデータが計算され、保存される。
注入時間:
Percentile10_Time_Gn = percentile(10th, Time_rapid_Gn)
Percentile90_Time_Gn = percentile(90th, Time_rapid_Gn)
Percentile25_Time_Gn = percentile(25th, Time_rapid_Gn)
Percentile75_Time_Gn = percentile(75th, Time_rapid_Gn)
注入用量:
Percentile10_Dose_Gn = percentile(10th, Dose_rapid_Gn)
Percentile90_Dose_Gn = percentile(90th, Dose_rapid_Gn)
Percentile25_Dose_Gn = percentile(25th, Dose_rapid_Gn)
Percentile75_Dose_Gn = percentile(75th, Dose_rapid_Gn)
関数パーセンタイル(p,data)は、データセットdataについてパーセンタイル値pthを計算する。この例では、10、25、75、および90パーセンタイル値が計算される。
【0139】
これにより、データ分析部分が完了し、次のステップはデータ可視化のためのプロットを生成することであり、これを図6Cに示す。
【0140】
よって、装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセット242をそれぞれ個別の適格な注入事象グループ241について処理して、表示データ249を取得する工程(ブロック418で表される)は、さらに、
以下のそれぞれの適格な注入事象グループ241と関連付ける工程を含み:
それぞれの適格な注入事象グループ241に対応したグループ化された薬剤記録のサブセット242の中心傾向およびばらつきを表すように構成された、形状データ構造350であって、ここで形状データ構造350は、
中心傾向の測度を示す二次元形状で多角形を視覚化するように構成された中心傾向の多角形352を含む中心傾向のデータ構造351、
ばらつきの測度を識別する二次元形状で多角形を視覚化するように構成されたばらつき多角形354を含むばらつきのデータ構造353。
【0141】
グループセット内の各グループ(G1、G2、…、Gn)に対して同じ手順が実行される。まず、長方形として図示されたハッチングのある幾何学形状353-1は、計算された10パーセンタイル値および90パーセンタイル値に基づき生成され、相対的時間357がx軸で、用量226がy軸である。これは、各グループに対して発生した用量の80パーセント(90パーセント-10パーセント)の領域を表す。
【0142】
次に、より濃いハッチングが施された第二の影付きの幾何学形状353-2は、25パーセンタイル値および75パーセンタイル値に基づき生成される。これは、各グループに対して発生した用量の50パーセント(75パーセント-25パーセント)の領域を表す。
【0143】
最後に、暗点352は、時間中央値および用量値に基づいて構築されるもので、図6Cは、グループ化された注入のうち一つのサブセットのみを拡大して示すグラフを図示しており、これは、選択された時間窓のセットで取得された注入を表す標準注入の表現と呼ばれる。
【0144】
ブロック418によって表される工程で取得される表示データ249は、取得されたさまざまなデータ構造を含みうる。一つの態様において、表示データは、それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の平均およびばらつきを表すように構成されたデータを含む。さらなる態様において、表示データは、適格な注入事象グループのセットおよび関連するすべてのデータ構造およびデータを含む。
【0145】
さらなる態様において、方法は、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度の表示を可能にする。これは、装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセット242を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について処理して、表示データ249を取得する工程(ブロック418で表される)によって取得され、さらに:
それぞれの適格な注入事象グループ241の注入事象の頻度を示す頻度インジケータ334を表すように構成された表示データ249を取得する工程を含み、ここで頻度インジケータ334は、以下の関数である:
適格な注入事象グループのセット240内のグループ化された薬剤記録242のすべてのサブセット内の薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット内の薬剤記録の数(すなわち、割り算)、または
選択された薬剤記録のサブセットのセット230内の選択した薬剤記録231のサブセットの薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット242内の薬剤記録の数(すなわち、割り算);
それによって、それぞれの適格な注入事象グループ242における注入の頻度についての表示を可能にし、表示データ249はさらに頻度インジケータ334を含み、これにより最終的に周波数インジケータを表示できるようになる。
【0146】
さらなる態様において、方法は、正規確率分布を使用して、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入頻度の指標を可能にする。これは、装置のさらなる態様において、グループ化された薬剤記録のサブセット242を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について処理して、表示データ249を取得する工程によって取得され、さらに、
それぞれの適格な注入事象グループ241の注入事象の頻度を示すように構成された表示データ249を取得する工程と、
確率密度関数310およびピーク値を正規化して正規ピーク値325を取得する工程であって、それによって、正規ピーク値325は、それぞれの適格な注入事象グループ241の注入事象の頻度を示し、また表示データ249は正規ピーク値325を含む。
【0147】
言い換えれば、本発明の一つの追加的な要素は、その時点での注入の頻度に基づいて、その時点での注入の頻度に基づいて、その他の標準注入と比較して、または注入の合計数と比較して、標準注入の表現の影付き、またはその他の任意の連続的インジケータを変化させる可能性である。これは、前述の正規化された確率密度値を利用することによって行うことができ、これは、その時点で発生した注入の可能性を表す。影付きの強度は、相対的な密度値を反映させるために、各標準注入グループについて変えることができる。図7Aのグラフはこの実施例を示すもので、ここで標準注入は適格な注入グループ241-3によって表示される18:00の直前であり、低めの強度を受け、またその他3回(241-1、241-2、241-4)は、密度値の結果として高い強度が維持されている。[0.97, 0.99, 0.24, 0.88]。適格な注入グループ241-1’は、異なるペンを用いて適用される基礎注入に関連する分布からの注入を表し、これらのデータの分析は類似したアルゴリズムを用いて取得されるが、分析は、急速、速効型、GLP-1受容体アゴニストまたは超速効注入データの分析とは別個に実施される。言い換えれば、一つ以上の注入ペンに対して同じプロセスが行われ、これらのデータは同じグラフ上または別個のグラフ上にプロットされることになる。
【0148】
その後、このデータは血糖データとともに提示され、おそらくは食事データおよび運動データが得られる。図7Aグラフは、AGP形式で提示される血糖データを、2種類のインスリンからの標準日インスリン投与とともに示す。
【0149】
方法のさらなる態様では、収集されたデータは、それが関連する薬剤のタイプに従って取り扱うことができる。このさらなる態様において、複数の薬剤記録のそれぞれ個別の薬剤記録222について、方法はさらに、対象者に注入された対応する薬剤タイプ228を含み、また選択された薬剤記録のサブセットのセットは、どれも同じ薬剤タイプ228を含み、それによってそれぞれの薬剤タイプに対応する注入事象の分布を表す。グループ化された薬剤記録のサブセット242を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について処理して、表示データ249を取得する工程(ブロック418で表される)は、それぞれの薬剤タイプ228を表すように構成された表示データ249を取得する工程をさらに含む。
【0150】
さらなる態様において、治療レジメンは、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与インスリン薬剤投薬レジメンと、長時間作用型インスリン薬剤を用いた基礎インスリン薬剤投薬レジメンとを含むが、各薬剤タイプについて取得されたデータは、同じ座標系またはディスプレイで伝達できる場合であっても、別々に取り扱われる。
【0151】
さらなる態様において、表示データは座標系での提示が可能であり、ここで、装置はさらに、図7、8および9Bに示すとおり、第一の座標系710を表すために構成されたディスプレイ282を含む。このさらなる態様において、表示データを伝達する工程はさらに、それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データ249をディスプレイ282上の第一の座標系710に表示する工程を含み、第一の座標系は、第一の軸711および第二の軸712を含む。座標系はまた、第三の軸713を含んでもよい。第一の座標系は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合されている。第一の軸は、相対的時間237を表し、かつ時間窓234によって定義される間隔内で定義され、また第二の軸712は、注入された薬剤の量226を表す。座標系が第三の軸713を含む場合、第二の軸712は第一の薬剤タイプに関連してもよく、第三の軸713は第二の薬剤タイプに関連してもよい。
【0152】
さらなる態様において、装置250は、注入データおよび血糖データの両方を得ることができる。このさらなる態様において、方法はさらに、第二のデータセット340を取得する工程を含み、ここで第二のデータセット340は、時間経過内での対象者の複数の自律的グルコース測定と、複数の自律的グルコース測定におけるそれぞれ個別の自律的グルコース測定341について、それぞれの測定がなされた時を表すグルコース測定タイムスタンプ342とを含む。このさらなる態様において、方法はまた、それぞれ個別の時間窓234について、グルコース測定345のセットを作成して、それによって複数のグルコース測定のセットを作成する工程を含み、ここでグルコース測定341のそれぞれのセット内の各グルコース測定345は、それぞれの時間窓234内のタイムスタンプ342を有する。それぞれ個別のグルコース測定311について、時間窓内での相対的時間343である対応する相対的時間が関連付けられ、それによって、複数のグルコース測定のセットは、時間窓内でのグルコース測定の分布を表す。方法はさらに、複数のグルコース測定のセットについて、中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として計算する工程を含み、
ここで、表示データはさらに、複数のグルコース測定のセット、対応する相対的時間、ならびに計算された中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として含む。
【0153】
さらなる態様において、注入データおよびグルコースデータは、二つの座標系を含む共通ディスプレイに提示される。このさらなる態様において、装置は、第一の軸711、721および第二の軸712、722をそれぞれ含む第一の座標系710および第二の座標系720を表すように適合されたディスプレイ282を含み、第一の座標系710は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合される。第二の座標系は、グルコースデータの中心傾向およびばらつきを表すよう適合され、また表示データを伝達する工程はさらに、それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データ249を、ディスプレイ282の第一の座標系710に表示することを含む。方法はさらに、時間の関数として複数のグルコース測定のセットの中心傾向およびばらつきを含む得られた表示データ249を、ディスプレイ282上の第二の座標系720に表示する工程を含む。第一の座標系710については、第二の軸712は、注入された薬剤の量226を表し、第二の座標系720については、第二の軸722は血液グルコース濃度を表す。各座標系710、720の第一の軸711、721は相対的時間237、343を表し、時間窓234によって画定される間隔内に定義される。注入データと血糖データを比較するための最適な機会を得るには、図7~8に示されるように、2つの座標系は同期化されているべきである。
【0154】
図7~8は、ばらつきを図示する代替的な表示方法を図示する。図7Aは、それぞれの適格な注入グループについて、二つの次元で下限および上限を示す長方形を示す。
【0155】
図7Bは、それぞれの適格な注入グループについて、二つの次元で下限および上限を示す楕円を示す。
【0156】
図7Cは、それぞれの適格な注入グループについて表示されており、時間次元における下限および上限、および用量次元の上限を示す長方形を示す。用量次元のばらつきの下限は、ベースラインの長方形セットとして図示されていない。
【0157】
図7Dは、それぞれの適格な注入グループについて、一つの端部およびベースラインに90度の角がある角丸四角形を示し、時間次元における下限および上限、および用量次元の上限を示す。用量次元のばらつきの下限は、ベースラインの長方形セットとして図示されていない。
【0158】
本発明の態様の主な利点は、平均的な日に、患者が時間経過に伴いインスリンをどのように注入するか、また患者がインスリンを注入する時間(および場合によっては投与量)のばらつきを表示できる能力である。注入事象のグループ化および注入用量の可視化は、HCPに、標準日において患者がインスリン注入をどのように実施したかについての概要を、AGPが標準日の血糖を描写するような方法を視覚的に補足する方法で提供する。
【0159】
この例を図9Aおよび9Bに示しており、これは未加工の注入データ(図9A)の可視化を、自動的にグループ化され中央値およびパーセンタイル方式によって表示された注入データ(図9B)と比較する。この例では、患者は速攻型および長時間作用型インスリンの両方を投与される。患者は幾分不規則な注入を受ける傾向があり、未加工のデータのグラフは、明らかなグループのない、ある程度無作為なものに見えるようになる。
【0160】
さらなる態様において、方法は、図10に図示するように、表示データを表形式で伝達するために適合される。この態様において、グループ化された薬剤記録のサブセット242を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ241について処理し、表示データ249(ブロック218で表される)を取得する工程はさらに、それぞれの適格な注入事象グループ241を、(i)適格なグループの識別355と、(ii)時間中央値356と、(iii)相対的時間237に基づく、グループ化された薬剤記録のサブセット242の時間のばらつき357の下限および上限と、(iv)用量中央値358と、(v)グループ化された薬剤記録のサブセット242に基づく注入された薬剤の量226の用量のばらつき359と、を含む表データ構造354と関連付ける工程を含む。
【0161】
言い換えれば、得られた表示データは、上記に示す報告された値の表内にも含めることができ、推奨される用量と注入された用量の中央値との差も含めることができる。
【0162】
さらなる態様において、中央値の点は線または滑らかな曲線と結合して眼を引くようにしたり、または確率密度曲線またはそれを修正したバージョンを、注入データと共に表示したりできる。さらなる態様において、分析は、異なる期間(7日、2週間、30日、90日、など)について、おそらくはインスリン滴定と関連して行うことができ、ここで用量は定義された間隔で調節されるべきである。一例として、分析はまた、月曜日、火曜日、などに限り実施されることもできる。この場合、選択された薬剤記録のサブセットは、望ましい曜日に対応する。さらなる態様において、サブセットは、望ましい周期、すなわち、毎週火曜日、第二火曜日などで選択される。
【0163】
さらなる態様において、装置はさらに、対象者が関与した時間経過内でのライフスタイル関連事象の分布の中心傾向およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴を伝達するように適合されており、ここで、方法はさらに、ライフスタイルデータを取得するために対象者によって使用される一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置103から第三のデータセットを取得する工程を含み、第三のデータセットは、時間経過に伴う複数のライフスタイルデータ記録であって、複数のライフスタイルデータ記録内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、(i)それぞれの測定装置(103)を使用する対象者に対する影響を示す強度の尺度を含む、それぞれのライフスタイル事象と、(ii)それぞれのライフスタイル関連事象の発生に伴い、またはそれぞれのライフスタイル測定装置のユーザーによる起動により、または対象者が関与するライフスタイル事象の開始時間および終了時間を示す開始タイムスタンプおよび終了タイムスタンプによって、それぞれのライフスタイル測定装置103によって自動的に生成される、時間経過内での対応する電子ライフスタイル事象タイムスタンプとを含む。方法はさらに、それぞれ個別の時間窓234について、ライフスタイルデータ記録のサブセットを取得して、それによってライフスタイルデータ記録の複数のサブセットを取得する工程であって、ここで、ライフスタイルデータ記録のそれぞれ個別のサブセットは、第三のデータセットからの多数のライフスタイルデータ記録を含み、またライフスタイルデータ記録のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、それぞれの時間窓234内のタイムスタンプを有する。方法はさらに、それぞれ個別のライフスタイルデータ記録について、ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットのライフスタイルデータ記録の各サブセット内で、時間窓234内での相対的時間である対応する相対的時間237を割り当てる工程を含む。方法はさらに、ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットからライフスタイルデータ記録のサブセットのセットを選択し、それによって、時間窓(234)の固定期間に対応する間隔内でのライフスタイル事象の分布を表す多数の選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットを含む選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットを取得する工程を含む。方法はさらに、ライフスタイル事象の分布内でライフスタイル事象の一つ以上の適格なグループを取得し、それによって、適格なライフスタイル事象グループのセット240を取得する工程を含み、ここでそれぞれの適格なライフスタイル事象グループはグループ時間インジケータを含む。方法はさらに、適格なライフスタイル事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格なライフスタイル事象グループについて、(i)それぞれの適格なライフスタイル事象グループに対応するグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを、選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットのそれぞれの選択されたライフスタイルデータ記録サブセット内のライフスタイルデータ記録のグループ時間インジケータおよび相対的時間を使用して、時間ベースで決定し、それによって、グループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを取得する工程と、(ii)それぞれの適格なライフスタイル事象グループのグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを処理して、それぞれの適格なライフスタイル事象グループ内のライフスタイル事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すようにさらに構成された表示データ249を取得する工程を含み、ここで中心傾向の測度およびばらつきの測度が相対的時間および/または強度の尺度に関連する工程を含む。方法はさらに、表示データ249を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置250のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程を含む。
【実施例1】
【0164】
治療レジメン(206)を実施する対象者によって実施された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表すように構成された投薬履歴を伝達するための装置(250)であって、
装置は、一つ以上のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備え、メモリは、一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
治療レジメン(206)を適用するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセット(220)を取得する工程であって、第一のデータセットが時間経過に伴い服用される複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録(222)が、
(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置(104)を使用して対象者に注入される薬剤の量(226)を含む、それぞれの薬剤注入事象(224)と、
(ii)それぞれの薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置(224)によって自動的に生成される時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ(229)と、を含む工程と、
時間経過に伴う複数の連続した時間窓(233)作成する工程であって、各時間窓(234)が同じ固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓(234)について、薬剤記録のサブセット(235)を取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、薬剤記録(235)のそれぞれ個別のサブセットは、第一のデータセット(220)からの多数の薬剤記録を含み、また薬剤記録(235)のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)は、それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(229)を有し、
それぞれ個別の薬剤記録(222)について、複数の薬剤記録のサブセット(235)のうちそれぞれの薬剤記録のサブセット内で、時間窓(234)内での相対的時間である対応する相対的時間(237)を割り当てる工程と、
複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセット(235)を選択し、それによって時間窓(234)の固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセット(231)を含む選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を取得する工程と、
注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータ(243)を含む工程と、
適格な注入事象グループのセット(240)内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について:
(iii)時間ベースで、それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、グループ時間インジケータ(243)および選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット(231)内にある各薬剤記録(222)の相対的時間を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(iv)それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、中心傾向の測度(244、246)およびばらつきの測度(245、247)が相対的時間(237)に関連する、工程と、
表示データ(249)を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
【実施例2】
【0165】
注入された薬剤の量に関する中心傾向およびばらつき
実施例1による装置であって、それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)がさらに、
それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、中心傾向の測度(244、246)およびばらつきの測度(245、247)は体内に注入された薬剤の量(226)に関連する。
【実施例3】
【0166】
グループ時間インジケータとしてのピーク時
実施例1または2のいずれか一つによる装置であって、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程はさらに、
選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を使用することにより、注入事象の分布の確率密度関数(310)を推定する工程と、
確率密度関数(310)を使用して、注入事象の分布内の一つ以上の注入事象のグループを識別し(ここでそれぞれの識別された注入事象グループ(321)は確率密度関数(310)の局所的最大を示すピーク(322)によって識別され、識別されたピークはピーク値(323)および対応するピーク時(324)を含む)、それによって識別された注入事象グループのセット(320)を取得する工程と、
一つ以上の注入事象グループの識別に応答して、識別された注入事象グループのセット(320)内のそれぞれ個別の識別された注入事象グループ(321)について、それぞれの識別された注入事象グループ(321)が、伝達されるのに適格であるかを評価して、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を決定する工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について、ピーク時(324)をグループ時間インジケータ(243)として使用することをさらに含む。
【実施例4】
【0167】
実施例3による装置であって、それぞれの識別された注入事象グループが伝達されるのに適格であるかを評価する工程は、ピーク値(323)の関数が適格化のための所定の閾値(329)を満足させるかどうかを評価することを含む。
【実施例5】
【0168】
所定時間範囲をグループインジケータとして使用する
実施例1または2のいずれか一つによる装置であって、注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程はさらに、
所定時間範囲のセット(330)を取得する工程であって、ここで所定時間範囲のセット(330)内のそれぞれの所定時間範囲(331)が時間窓の固定期間内で定義され、また所定時間範囲(331)のどれもが所定時間範囲のセット(330)内で別の所定時間範囲(331)と重複せず、
それぞれの所定時間範囲(331)について:
識別された注入事象グループ(321)を取得し、それによって識別された注入事象グループのセット(320)を取得する工程と、
識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程と、を含み、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を決定する工程(i)は、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について、所定時間範囲(331)をグループ時間インジケータ(243)として使用することをさらに含む。
【実施例6】
【0169】
識別されたグループを評価するさらなる態様
実施例5による装置であって、それぞれの所定時間範囲(331)について、識別された注入事象グループ(321)を取得する工程は、さらに、
時間ベースで、選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)内の薬剤記録(222)のうち識別された薬剤記録(332)のサブセットを決定する工程であって、ここで識別された薬剤記録(332)のサブセット内の薬剤記録(222)は、それぞれの所定時間範囲(331)内の相対的時間(237)を有し、
ここで、識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価する工程が、さらに、
識別された薬剤記録(333)のサブセット内の薬剤記録の数を評価する工程と、
薬剤記録(333)の数が、所定の閾値(329)よりも大きい(この場合、識別されたグループ(221)は適格である)、または所定の閾値(329)よりも小さい(この場合、識別されたグループ(221)は適格でない)かどうかを評価する工程と、
識別されたグループ(221)が適格であることに応答して、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループ(241)として特徴付ける工程とを含む。
【実施例7】
【0170】
適格化のためにユーザー入力を使用するさらなる態様
実施例5による装置であって、それぞれの所定時間範囲(331)について、識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価する工程はさらに、
所定時間範囲(331)が適格であるか適格でないかを示すユーザー入力(322)を取得する工程と、
取得されたユーザー入力に応答して、所定時間範囲(331)が適格であることを示し、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程とを含む。
【実施例8】
【0171】
適格化のために所定の入力を使用するさらなる態様
実施例5による装置であって、それぞれの所定時間範囲(331)について、識別された注入事象グループ(321)が適格な注入事象グループ(241)であるかどうかを評価する工程はさらに、
所定時間範囲(331)が適格であるか適格でないかを示す所定の入力を取得する工程と、
得られた所定の入力に応答して、所定時間範囲(331)が適格であることを示し、識別された注入事象グループを適格な注入事象グループとして特徴付ける工程とを含む。
【実施例9】
【0172】
中心傾向およびばらつきの測度のさらなる態様
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、グループ化された薬剤記録のサブセットを、それぞれ個別の適格な注入事象グループについて処理し、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された表示データを取得する工程(ii)が、
相対的時間(237)および体内に注入された薬剤の量(226)の中心傾向の測度を評価し、
相対的時間(237)および体内に注入された薬剤の量(226)のばらつきの測度を評価することを含む。
【実施例10】
【0173】
実施例9による装置であって、中心傾向の測度を決定する工程は、中央値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、上限および下限のパーセンタイルを評価することを含む。
【実施例11】
【0174】
実施例9による装置であって、中心傾向の測度を決定する工程は、平均値を評価することを含み、ばらつきの測度を決定する工程は、標準偏差を評価することを含む。
【実施例12】
【0175】
表示データのさらなる態様
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、表示データが、それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の平均およびばらつきを表すように構成されたデータを含む、装置。
【実施例13】
【0176】
表示データが適格な注入事象グループのセットを含む、前述の実施例のいずれか一つによる発明。
【実施例14】
【0177】
平均およびばらつきを多角形として表示するさらなる態様
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)がさらに、
以下のそれぞれの適格な注入事象グループ(241)と関連付ける工程を含み:
それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応したグループ化された薬剤記録のサブセット(242)の中心傾向およびばらつきを表すように構成された、形状データ構造(350)であって、ここで形状データ構造(350)は、
中心傾向の測度を示す二次元形状で多角形を視覚化するように構成された中心傾向の多角形(352)を含む中心傾向のデータ構造(351)、
ばらつきの測度を識別する二次元形状で多角形を視覚化するように構成されたばらつき多角形(354)を含むばらつきのデータ構造(353)。
【実施例15】
【0178】
表形式での伝達のさらなる態様
実施例10による装置であって、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)がさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ(241)と、以下を含むテーブルデータ構造(354)と関連付ける工程:
適格なグループ識別(355)と、
グループ化された薬剤記録のサブセット(242)の相対的時間(237)に基づく時間中央値(356)および時間のばらつき(357)と、
グループ化された薬剤記録のサブセット(242)の注入された薬剤の量(226)に基づく用量中央値(358)および用量のばらつき(359)とを含む。
【実施例16】
【0179】
それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度の表示を可能にするさらなる態様
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)がさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ(241)の注入事象の頻度を示す、頻度インジケータ(334)を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程を含み、ここで頻度インジケータ(334)は、以下の関数である:
適格な注入事象グループのセット(240)内のグループ化された薬剤記録のすべてのサブセット内の薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)内の薬剤記録の数、または
選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)内の選択した薬剤記録のサブセット(231)の薬剤記録の合計数に対する、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)内の薬剤記録の数であり、
それによって、それぞれの適格な注入事象グループ(242)における注入の頻度についての表示を可能にし、表示データ(249)はさらに頻度インジケータ(334)を含む。
【実施例17】
【0180】
正規確率分布を使用して、それぞれの適格な注入事象グループにおける注入の頻度についての表示を可能にするさらなる態様
実施例3または4のいずれか一つによる装置であって、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)がさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ(241)の注入事象の頻度を示すように構成された表示データ(249)を取得する工程と、
確率密度関数(310)およびピーク値を正規化して正規ピーク値(325)を取得する工程であって、それによって、正規ピーク値(325)は、それぞれの適格な注入事象グループ(241)の注入事象の頻度を示し、また表示データ(249)は正規ピーク値(325)を含む。
【実施例18】
【0181】
GLP-1
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、治療レジメン(206)が、GLP-1受容体アゴニストを含む薬剤を用いた、GLP-1受容体アゴニスト投薬レジメン(216)を含む装置。
【実施例19】
【0182】
ボーラス投与インスリン
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、治療レジメンは、短時間作用型インスリン薬剤(210)を用いた、ボーラス投与のインスリン薬剤投薬レジメン(208)を含む。
【実施例20】
【0183】
薬剤タイプ
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、複数の薬剤記録内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)がさらに、
(iii)対象者に注入された対応する薬剤タイプ(228)を含み、
ここで、選択された薬剤記録のサブセットのセットは、同じ薬剤タイプ(228)を含み、それによって、それぞれの薬剤タイプに対応する注入事象の分布を表し、
ここで、グループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、それぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について処理して、表示データ(249)を取得する工程(ii)は、それぞれの薬剤タイプ(228)を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程をさらに含む。
【実施例21】
【0184】
薬剤タイプのさらなる態様:ボーラス投与および基礎投与
実施例20による装置であって、治療レジメンが、短時間作用型インスリン薬剤を用いた、ボーラス投与のインスリン薬剤投薬レジメンと、長時間作用型インスリン薬剤を用いた基礎インスリン薬剤投薬レジメンとを含む装置。
【実施例22】
【0185】
注入データの表示のさらなる態様 - 第一の座標系
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、装置が、第一の座標系(710)を表すために構成されたディスプレイ(282)をさらに備え、また表示データを伝達する工程はさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データ(249)をディスプレイ(282)上の第一の座標系(710)に表示する工程を含み、第一の座標系は、第一の軸(711)および第二の軸(712)を含み:
ここで、第一の座標系は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、第一の軸は相対的時間(237)を表し、かつ時間窓(234)によって定義される間隔内で定義され、またここで第二の軸(712)は、注入された薬剤の量(226)を表す。
【実施例23】
【0186】
注入データおよび血糖データのさらなる態様
実施例1~21のいずれか一つによる装置であって、方法がさらに、
第二のデータセット(340)を取得する工程であって、第二のデータセット(340)は、時間経過内での対象者の複数の自律的グルコース測定(341)と、複数の自律的グルコース測定におけるそれぞれ個別の自律的グルコース測定について、それぞれの測定がなされた時を表すグルコース測定タイムスタンプ(342)とを含む工程と、
それぞれ個別の時間窓(234)について、グルコース測定(345)のセットを作成する工程であって、それによって複数のグルコース測定のセットを作成し、ここでグルコース測定(345)のそれぞれのセット内の各グルコース測定(341)は、それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(342)を有する工程と、
それぞれ個別のグルコース測定(311)について、時間窓内での相対的時間(343)である対応する相対的時間を関連付ける工程であって、それによって、複数のグルコース測定のセットは、時間窓内でのグルコース測定の分布を表す工程と、
複数のグルコース測定のセットについて、中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として計算する工程とを含み、
ここで、表示データはさらに、複数のグルコース測定のセット、対応する相対的時間、ならびに計算された中心傾向およびばらつきを相対的時間の関数として含む。
【実施例24】
【0187】
注入データおよび血糖データの表示のさらなる態様 - 第一および第二の座標系
実施例23による装置であって、
ディスプレイ(282)が、それぞれ第一の軸(711、721)および第二の軸(712、722)を含む第一の座標系(710)および第二の座標系(720)を表すように適合されており、
ここで、第一の座標系(710)は、注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、第二の座標系は、グルコースデータの中心傾向およびばらつきを表すように適合されており、
ここで、表示データを伝達する工程はさらに、
それぞれの適格な注入事象グループ内での注入事象の中心傾向およびばらつきを表すように構成された得られた表示データ(249)をディスプレイ(282)上の第一の座標系(710)に表示する工程と、
時間の関数として複数のグルコース測定のセットの中心傾向およびばらつきを含む、得られた表示データ(249)をディスプレイ(282)上の第二の座標系(720)に表示する工程を含み、
ここで、第一の座標系(710)では、第二の軸(712)は注入された薬剤の量(226)を表し、また第二の座標系(720)では、第二の軸(722)は血液グルコース濃度を表し、また各座標系(710、720)の第一の軸(711、721)は相対的時間(237、343)を表し、かつ時間窓(234)によって画定される間隔内で定義される。
【実施例25】
【0188】
ライフスタイル事象のさらなる態様
前述の実施例のいずれか一つによる装置であって、装置が、時間経過内でのライフスタイル関連事象(対象者が関与したもの)の分布の中心傾向およびばらつきを表すライフスタイル事象履歴を伝達するようにさらに適合され、ここで方法はさらに、
ライフスタイルデータを獲得するために対象者によって使用される一つ以上のウェアラブルライフスタイル測定装置(103)から第三のデータセットを取得する工程であって、第三のデータセットは、時間経過に伴う複数のライフスタイルデータ記録を含み、複数のライフスタイルデータ記録内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、
(i)それぞれの測定装置(103)を使用する対象者に対する効果を示す強度の測定値を含む、それぞれのライフスタイル事象と、
(ii)それぞれのライフスタイル測定装置(103)によって、それぞれのライフスタイル関連事象の発生に伴い自動的に生成されるか、またはユーザーによるそれぞれのライフスタイル測定装置の起動によって生成される、時間経過内での対応する電子ライフスタイル事象タイムスタンプ、あるいは対象者が関与したライフスタイル事象の開始時間および終了時間を示す開始タイムスタンプおよび終了タイムスタンプと、
それぞれ個別の時間窓(234)について、ライフスタイルデータ記録のサブセットを取得して、それによってライフスタイルデータ記録の複数のサブセットを取得する工程であって、ここで、ライフスタイルデータ記録のそれぞれ個別のサブセットは、第三のデータセットからの多数のライフスタイルデータ記録を含み、またライフスタイルデータ記録のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別のライフスタイルデータ記録は、それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプを有し、
それぞれ個別のライフスタイルデータ記録について、ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットのライフスタイルデータ記録の各サブセット内で、時間窓(234)内での相対的時間である対応する相対的時間(237)を割り当てる工程と、
ライフスタイルデータ記録の複数のサブセットからライフスタイルデータ記録のサブセットのセットを選択し、それによって、時間窓(234)の固定期間に対応する間隔内でのライフスタイル事象の分布を表す多数の選択されたライフスタイルデータ記録のサブセットを含む選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットを取得する工程と、
ライフスタイル事象の分布内でライフスタイル事象の一つ以上の適格なグループを取得し、それによって、適格なライフスタイル事象グループのセット(240)を取得する工程であって、ここでそれぞれの適格なライフスタイル事象グループはグループ時間インジケータを含み、
適格なライフスタイル事象グループのセット内のそれぞれ個別の適格なライフスタイル事象グループについて:
(i)時間ベースで、それぞれの適格なライフスタイル事象グループに対応するグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを、選択されたライフスタイルデータ記録サブセットのセットのそれぞれの選択されたライフスタイルデータ記録サブセット内のライフスタイルデータ記録のグループ時間インジケータおよび相対的時間を使用して決定し、それによって、グループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)それぞれの適格なライフスタイル事象グループのグループ化されたライフスタイルデータ記録のサブセットを処理して、それぞれの適格なライフスタイル事象グループ内でライフスタイル事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すようにさらに構成された表示データ(249)を取得する工程であって、ここで、中心傾向の測度およびばらつきの測度は、相対的時間および/または強度の測定値に関連し、
表示データ(249)を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
【実施例26】
【0189】
治療レジメン(206)を実施する対象者によって実施された血糖調節薬剤注入の分布の中心傾向およびばらつきを表す投薬事象履歴を伝達するための方法、
一つ以上のプロセッサ(274)およびメモリ(192/290)を備える装置(250)を使用する工程であって、メモリが、一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、以下から成る方法を実行する命令を格納する:
治療レジメン(206)を適用するために対象者によって使用される一つ以上の注入装置から第一のデータセット(220)を取得する工程であって、第一のデータセットが時間経過に伴い服用される複数の薬剤記録を含み、複数の薬剤記録にあるそれぞれ個別の薬剤記録(222)が、
(i)一つ以上の注入装置内のそれぞれの注入装置(104)を使用して対象者に注入される薬剤の量(226)を含む、それぞれの薬剤注入事象(224)と、
(ii)それぞれの薬剤注入事象の発生に伴いそれぞれの注入装置(224)によって自動的に生成される時間経過内の対応する電子注入事象タイムスタンプ(229)と、を含む工程と、
時間経過に伴う複数の連続した時間窓(233)作成する工程であって、各時間窓(234)が同じ固定期間である工程と、
それぞれ個別の時間窓(234)について、薬剤記録のサブセット(235)を取得して、それによって複数の薬剤記録のサブセットを取得する工程であって、ここで、薬剤記録(235)のそれぞれ個別のサブセットは、第一のデータセット(220)からの多数の薬剤記録を含み、また薬剤記録(235)のそれぞれのサブセット内のそれぞれ個別の薬剤記録(222)は、それぞれの時間窓(234)内のタイムスタンプ(229)を有し、
それぞれ個別の薬剤記録(222)について、複数の薬剤記録のサブセット(235)のうちそれぞれの薬剤記録のサブセット内で、時間窓(234)内での相対的時間である対応する相対的時間(237)を割り当てる工程と、
複数の薬剤記録のサブセットから薬剤記録のサブセットのセット(235)を選択し、それによって時間窓(234)の固定期間に対応する間隔内での注入事象の分布を表す多数の選択された薬剤記録のサブセット(231)を含む選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)を取得する工程と、
注入事象の分布内で一つ以上の適格な注入事象グループを取得し、それによって適格な注入事象グループのセット(240)を取得する工程であって、各適格な注入事象グループがグループ時間インジケータ(243)を含む工程と、
適格な注入事象グループのセット(240)内のそれぞれ個別の適格な注入事象グループ(241)について:
(i)時間ベースで、それぞれの適格な注入事象グループ(241)に対応するグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を、グループ時間インジケータ(243)および選択された薬剤記録のサブセットのセット(230)のそれぞれの選択された薬剤記録のサブセット(231)内にある各薬剤記録(222)の相対的時間を使用して決定し、それによってグループ化された薬剤記録のサブセットを取得する工程と、
(ii)それぞれの適格な注入事象グループのグループ化された薬剤記録のサブセット(242)を処理し、それぞれの適格な注入事象グループ(241)内の注入事象の中心傾向の測度およびばらつきの測度を表すように構成された表示データ(249)を取得する工程であって、中心傾向の測度(244、246)およびばらつきの測度(245、247)が相対的時間(237)に関連する、工程と、
表示データ(249)を(i)対象者、(ii)医療提供者、または(iii)装置(250)のユーザーに伝達し、それによって、注入事象の中心傾向およびばらつきを伝達する工程とを含む。
【実施例27】
【0190】
一つ以上のプロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実行された時に、実施例26の方法を実行する命令を備えたコンピュータプログラム。
【実施例28】
【0191】
コンピュータ可読データ担体であって、それ上に実施例14によるコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読データ担体。
【引用した参考文献および代替的な実施形態】
【0192】
本明細書に引用された全ての参考文献は、あたかも各個別の刊行物、特許または特許出願が特定的にかつ個別に、参照によりその全体があらゆる目的で組み込まれるのと同程度に、その全体があらゆる目的で参照により組み込まれる。
【0193】
本発明は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれたコンピュータプログラム機構を含む、コンピュータプログラム製品として実装されてもよい。例えば、コンピュータプログラム製品は、図1、2、3の任意の組み合わせで示す、および/または図4で説明したプログラムモジュールを含むことができる。これらのプログラムモジュールは、CD-ROM、DVD、磁気ディスク記憶装置製品、USBキー、またはその他の任意の非一時的コンピュータ可読データまたはプログラム記憶製品に保存できる。
【0194】
本発明の多くの修正および変形は、当業者にとって明らかであるように、その趣旨および範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、例証としてのみ提供される。本発明およびその実用的用途の原理を最もよく説明するために実施形態を選択し説明してきたが、それにより、特定の用途に適した様々な修正を用いて、当業者が本発明および様々な実施形態を最良に利用できるようになる。本発明は、添付の請求項の条件によってのみ制限されるが、これはそのような請求の範囲が適用される同等物の全範囲とともに限定される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10