IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 達闥機器人有限公司の特許一覧

特許7032440測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体
<>
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図1
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図2
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図3
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図4
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図5
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図6
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図7
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図8
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図9
  • 特許-測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220301BHJP
【FI】
G05D1/02 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019561296
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2018075170
(87)【国際公開番号】W WO2019148467
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2019-11-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521093299
【氏名又は名称】達闥機器人有限公司
【氏名又は名称原語表記】CLOUDMINDS (SHANGHAI) ROBOTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2ND FLOOR, BUILDING 2, NO.1508 KUNYANG ROAD, MINHANG DISTRICT, SHANGHAI 200245, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】李連中
(72)【発明者】
【氏名】黄暁慶
(72)【発明者】
【氏名】徐慎華
(72)【発明者】
【氏名】張倹
(72)【発明者】
【氏名】邱勝林
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-53839(JP,A)
【文献】特開2012-221291(JP,A)
【文献】特開2000-284830(JP,A)
【文献】特開平2-204807(JP,A)
【文献】特開2003-162327(JP,A)
【文献】特許第2969174(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位方法であって、
予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像による測位が失敗したと判定されることと、
速度曲線によって前記ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うことと、を含み、そのうち、前記速度曲線は運行速度と時間との対応関係を示すことに用いられ
前記の、前記ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うことは、具体的に、
ロボットを、第1運行速度から第2運行速度まで減速するように制御することと、
前記ロボットが前記第2運行速度まで減速した後、周囲環境の画像を再取得して測位を行うことと、
測位が成功したと判定される場合、減速走行過程を停止することと、
測位が失敗したと判定される場合、前記ロボットをさらに減速して走行するように制御し、周囲環境の画像を再取得して、測位が成功するまで測位を行うここと、を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項2】
前記の、周囲環境の画像による測位が失敗したと判定されることは、
予め設定された周期に従って前記周囲環境の画像を採集、取得することと、
前記周囲環境の画像を予め作成されたマップサンプル集合における画像とマッチングすることと、
前記周囲環境の画像が前記マップサンプル集合における画像のいずれとマッチングしていない場合、測位が失敗したと判定されることと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項3】
前記の、測位が成功したと判定された後、前記測位方法は、
現時点の運行速度を取得することと、
取得した現時点の前記運行速度が0以上である場合、前記ロボットを第1運行速度まで加速するように制御することと、をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の測位方法。
【請求項4】
前記速度曲線は、余弦速度曲線、正弦速度曲線、台形速度曲線、Sタイプの速度曲線のいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の測位方法。
【請求項5】
前記余弦速度曲線における余弦値の角度が[0,π]の間に値を取ることを特徴とする請求項に記載の測位方法。
【請求項6】
前記正弦速度曲線における正弦値の角度が[π,2π]の間に値を取ることを特徴とする請求項に記載の測位方法。
【請求項7】
自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位装置であって、
予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像によって測位を行うための測位モジュールと、
前記測位モジュールによって周囲環境の画像による測位が失敗したと判定された後、速度曲線によって前記ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、前記測位モジュールを、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うように制御するための制御モジュールとを含み、そのうち、前記速度曲線は運行速度と時間との対応関係を示すことに用いられることを特徴とする測位装置。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリとを含むロボットであって、そのうち、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が格納されており、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1乃至のいずれか一項に記載の測位方法を実行できるように、前記指令は前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることを特徴とするロボット。
【請求項9】
コンピュータに請求項1乃至のいずれか一項に記載の測位方法を実行させるための前記コンピュータの指令が格納されたことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、視覚ナビゲーション技術の分野に関し、特に、測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術、例えばセンサ技術や人工知能アルゴリズムの迅速な発展に伴って、視覚的即値アドレッシングとマップ作成(VSLAM)に基づくロボットの自律測位ナビゲーション技術が一定の成果を上げたため、ロボットの機能をさらに豊富にし、そして、ロボットの適用範囲がどんどん拡大され、例えば物流業界にて使用される自動配達ロボットは徐々に人に代えて作業の一部または全部を完了し、生活を享受するように、より多くの人はより多くの個人的な余暇を得ることができる。
【0003】
しかし、本発明者は、従来技術に少なくとも、自律測位ナビゲーション機能を有するロボットは室内等、路面が平坦な場所を走行するだけでなく、室外等、地面状況が複雑な環境、例えば、丸石が敷設されている路面にて走行する必要もある。起伏の激しい路面上で走行する場合、ロボットが揺れ続けることによって、周囲環境の画像を採集するための画像採集装置(例えば、カメラ)は長時間にわたって露出状態にあって、明瞭な画像を撮影することができなくなってしまい、撮影された画像が明瞭ではないため、予め作成されたマットとマッチングしてロボットの現在の位置を測位することができず、それによって、ロボットはナビゲーションルートをタイムリーかつ正確に計画し、作業を完了することができないと同時に、ユーザの体験も損なってしまうという問題がある。
【発明の概要】
【0004】
本願の一部の実施例が解決しようとする技術的課題は、測位方法、装置、ロボット及びコンピューター読み取り可能な記憶媒体を提供することによって、上記の技術的課題を解決することにある。
【0005】
本願の1つの実施例には、自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位方法であって、予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像による測位が失敗したと判定されることと、ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うことと、を含む測位方法が提供される。
【0006】
本願の1つの実施例には、自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位装置であって、予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像によって測位を行うための測位モジュールと、測位モジュールによって周囲環境の画像による測位が失敗したと判定された後、ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位モジュールを、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うように制御するための制御モジュールとを含む測位装置が提供される。
【0007】
本願の1つの実施例には、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサと通信接続されるメモリとを含むロボットであって、そのうち、メモリには、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な指令が格納されており、少なくとも1つのプロセッサが本願の任意の方法実施例に係る測位方法を実行できるように、指令は少なくとも1つのプロセッサによって実行されるロボットが提供される。
【0008】
本願の1つの実施例には、コンピュータに本願の任意の方法実施例に係る測位方法を実行させるためのコンピュータの指令が格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0009】
従来技術に対して、本願の実施例では、自律測位ナビゲーション機能を有するロボットは、予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像を取得することにより測位操作を行い、周囲環境の画像による測位が失敗したと判定される場合、ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位が成功するまで周囲環境の画像による測位を継続する。上記の測位方法によれば、ロボットは走行中、その位置する環境に応じて自体の運行速度を合理的に調整することにより、ロボットの位置を正確に測位し、ナビゲーションルートをタイムリーかつ正確に計画し、作業を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
1つまたは複数の実施例をそれらに対応する図面によって例示的に説明する。これら例示的な説明は実施例に対する限定ではない。図面における符号が同様な要素は類似な要素として示されており、特別な声明がない限り、図面は比例上の限定とはならない。
【0011】
図1図1は、本願の第1実施例における測位方法のフローチャートである。
図2図2は、本願の第1実施例において余弦又は正弦速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図3図3は、本願の第1実施例において台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図4図4は、本願の第1実施例においてSタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図5図5は、本願の第2実施例における測位方法のフローチャートである。
図6図6は、本願の第2実施例において余弦又は正弦速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図7図7は、本願の第2実施例において台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図8図8は、本願の第2実施例においてSタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図である。
図9図9は、本願の第3実施例における測位装置のブロック図である。
図10図10は、本願の第4実施例におけるロボットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願の目的、技術案、利点をより明確にするために、以下、図面と実施例を組み合わせて本発明の一部の実施例をさらに詳細に説明する。ここで記載される具体的な実施例は単に本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものではないと理解すべきである。
【0013】
本願の第1実施例は、主に自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位方法に関し、その具体的なプロセスは図1に示されるようになる。
【0014】
ステップ101において、予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像による測位が失敗したと判定される。
【0015】
具体的には、ロボットが予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像による測位の操作は具体的に以下の方式で実現することができる。
【0016】
まず、ロボットは、予め設定された周期(例えば、5sごとに)に従って周囲環境の画像を採集、取得する必要がある。
【0017】
次に、ロボットにおける処理ユニット(例えば、CPU)は、取得した周囲環境の画像を予め作成されたマップサンプル集合における画像とマッチングし、周囲環境の画像がマップサンプル集合における画像のいずれとマッチングしていない場合、測位が失敗したと判定され、周囲環境の画像がマップサンプル集合におけるいずれかの画像とマッチングする場合、測位が成功したと判定される。
【0018】
また、本実施例に記載の予め作成されたマップサンプル集合における画像は具体的にウェブクローラ等のデータグラビングツールを使用して取得することができ、そして、測位の正確性を確保するために、実際の適用において定期的に更新することができ、具体的な実現方式はここで再び説明しない。当業者であれば、必要に応じて合理的に設定することができ、ここは制限しない。
【0019】
また、本実施例では、予め作成されたマップサンプル集合における画像とマッチングするための周囲環境の画像は、具体的に、予め設定された周期に従って画像採集装置(例えば、カメラ)で取得されるものである。
【0020】
また、本実施例では、周囲環境の画像を採集するための画像採集装置は、その設置位置が制限されていなく、即ち、画像採集装置は、ロボット上に設置されてもよいし(直接に路面で作業するロボットに対して)、他の物体上に設置されてもよい(運動物体上で作業するロボットに対して)。具体的な実現方式は、当業者であれば実際の必要に応じて合理的に設定することができ、ここは制限しない。
【0021】
また、本実施例に記載のロボットが予め設定された距離まで走行することは、具体的に、視覚的即値アドレッシングとマップ作成(VSLAM)の自律測位ナビゲーション技術に基づいて設置され、例えば、あるロボットに対して、当該予め設定された距離は10メートルであってもよく、即ち、10メートル以内にマップサンプル集合における画像と精確にマッチングできる一枚の周囲環境の画像さえ採集すれば、ロボットの現在の位置を測位することができ、そして、予め設定された距離ごとに測位した具体的な位置によって、ナビゲーションルートを描画し、それによって自律ナビゲーションを実現する。
【0022】
説明する必要があるが、以上は例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、周囲環境の画像を取得する方式、及び取得した周囲環境の画像によってマップサンプル集合における画像とマッチングする具体的な実現方式は、当業者であれば必要に応じて設定することができ、ここは制限しない。
【0023】
ステップ102において、ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行う。
【0024】
具体的に、ステップ102は、具体的に下記の方式で実現できる。
【0025】
ロボットを、第1運行速度(ロボットが設定した正常な作業速度であり、初めて測位が成功した際の運行速度でもある)から第2運行速度まで減速するように制御し、ロボットが第2運行速度まで減速した後、画像採集装置で周囲環境の画像を再取得し、そして測位を行う。
【0026】
測位が成功した場合(再取得した周囲環境の画像がマップサンプル集合におけるいずれかの画像とマッチングしている場合)、減速走行過程を停止して、第2運行速度をその作業に必要な運行速度として走行し続ける。
【0027】
測位が失敗した場合(再取得した周囲環境の画像がマップサンプル集合におけるいずれかの画像ともマッチングしていない場合)、ロボットをさらに減速して走行するように制御し、例えば、第2運行速度から第3運行速度まで減速させ、ロボットが第3運行速度まで減速した後、画像採集装置で周囲環境の画像を再取得し、そして、測位が成功するまで測位を行い、そうしないと、減速して走行し続ける。
【0028】
説明する必要があるが、本実施例では、上記したロボットへの減速走行操作の制御は、具体的に速度曲線によって実現されるものである。
【0029】
そのうち、速度曲線は、具体的に運行速度と時間との対応関係を示すことに用いられる。
【0030】
また、速度曲線は、余弦速度曲線、正弦速度曲線、台形速度曲線、Sタイプの速度曲線のいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0031】
また、実際の適用において、ロボットは、減速走行中、その速度がマイナス(即ち、0未満)になるわけがないため、速度曲線によってロボットの減速走行を制御する過程を実際の使用状況に適合させるために、本実施例に提供された余弦速度曲線における余弦値の角度が[0,π]の間に値を取り、正弦速度曲線における正弦値の角度が[π,2π]の間に値を取るようになる。
【0032】
上記の4つの速度曲線によってロボットの減速走行を制御する実現方式を容易に理解するために、以下、図2図4を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
説明する必要があるが、余弦速度曲線は余弦関数に基づいて描画され、正弦速度曲線は正弦曲線に基づいて描画され、余弦関数と正弦曲線との間を互いに置き換えることができ、また、余弦値の角度が[0,π]の間に値を取る際に描画された余弦速度曲線は、正弦値の角度が[π,2π]の間に値を取る際に描画された正弦速度曲線と同じであるため、余弦速度曲線又は正弦速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御して得られたグラフはいずれも図2で示されるようになり、説明の便宜上、以下、余弦速度曲線を例として、図2を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
具体的には、余弦速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御することは、具体的に以下の式によって実現される。
【0035】
そのうち、vはロボットが等速で運行する速度であり、Tは余弦角度であり、その取り得る値の範囲は[0,π]の間であって、かつエンドポイントを含む。
【0036】
上記の式によって、図2を得ることができる。具体的に、図2で示されるのは、ある測位成功の時刻tから、ロボットが速度v(本実施例では、第1速度)でパトロールすると同時に、測位の操作を継続し、予め設定された距離Dまでロボットが運行した後に測位が成功しなかった場合、ロボットはt ~tの時間内に余弦速度曲線でv(即ち、v/2)まで減速し、そして、等速で運行し、等速で運行する間に測位の操作を継続し、ロボットが速度vで運行すると測位が成功した場合、この測位処理を完了し、成功しなかった場合、減速を継続して、測位が成功するまで測位の操作を行うことである。
【0037】
図3は、台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図であり、図3から見られるように、台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する方式について、具体的に、等速の運行速度から、等減速、等速の順に運行速度を、再取得された周囲環境の画像によってロボットの現在の位置を測位することができるまで調整する。
【0038】
図4は、Sタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図であり、図4から見られるように、Sタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する方式について、具体的に、等速の運行速度から、減減速、等減速、加減速、等速の順に運行速度を、再取得された周囲環境の画像によってロボットの現在の位置を測位することができるまで調整する。
【0039】
説明する必要があるが、上記した減減速とは、減少し続ける加速度(運行速度の減少を抑制するための加速度)に従って行われた減速運動であり、即ち今回の過程においては、加速度は固定値ではなく、ずっと減少していく値である。
【0040】
上記した加減速とは、増大し続ける加速度に従って行われた減速運動であり、即ち等減速の過程から等速の過程までの僅かな加速の過程である。
【0041】
また、説明する必要があるが、以上は例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、上記のいくつかの速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御する操作は、当業者であれば把握した技術的手段によって合理的に設置することができる。
【0042】
また、上記の各速度曲線に基づいてロボットの減速走行に対する制御及び運行速度の復帰の過程に必要な加速度値は、実際の必要に応じて合理的に設定することができ、ここは制限しない。
【0043】
また、毎回の減速操作に具体的に減速しようとする目標運行速度は、当業者であればロボットのタイプ及び実際にロボットを適用する場合によって、ロボット内に運行速度調整テーブルを予め格納することによって、ロボットは減速操作が必要になるたびに予め格納された速度調整テーブルによって減速操作を行うことができ、具体的な実現方式は、ここで再び説明もせず、制限もしない。
【0044】
従来技術と比べて、本実施例に提供された測位方法は、走行中、ロボットにその位置する環境に応じて自体の運行速度を合理的に調整させることにより、ロボットの位置を正確に測位し、ナビゲーションルートをタイムリーかつ正確に計画し、作業を完了することができる。
【0045】
本願の第2実施例は、測位方法に関する。本実施例は、第1実施例を基にしてさらに改良したものであり、具体的な改良箇所は、測位が成功したと判定された後、ロボットを第1運行速度まで加速するように制御することであり、具体的なプロセスは図5に示されるようになる。
【0046】
具体的には、本実施例では、ステップ501~503を含み、そのうち、ステップ501、ステップ502はそれぞれ第1実施例におけるステップ101、ステップ102と略同じであり、ここで再び説明しない。以下、主に異なる部分を説明し、本実施形態に詳細に説明されていない技術的詳細について、第1実施例に提供された測位方法を参照することができ、ここで再び説明しない。
【0047】
ステップ503において、ロボットを第1運行速度まで加速するように制御する。
【0048】
具体的には、測位が成功したと判定された後、ロボットを第1運行速度まで加速するように制御する過程において、具体的に以下の方式によって遂行することができる。
【0049】
例えば、測位が成功したと判定された後、ロボットは自身の速度検出装置で現時点の運行速度を取得し、取得した現時点の運行速度が0以上である場合、記録した第1運行速度、現時点の運行速度及び設定された、第1運行速度まで復帰するのに必要な時間によって、加速度値を算出し、そして、算出された加速度値に従ってロボットを第1運行速度まで加速するように制御する。
【0050】
また、実際の状況に応じて、ロボットが正常に作業する場合の合理的な運行速度値の範囲を設定してもよい。取得した現時点の運行速度が依然としてロボットが正常に作業する場合の合理的な運行速度値の範囲内にある場合、第1運行速度に復帰してもよいし、現時点の運行速度に従って走行し続けてもよい。
【0051】
取得した現時点の運行速度がロボットが正常に作業する場合の合理的な運行速度値の範囲以外の場合、ロボットを第1運行速度まで加速するように制御する。
【0052】
説明する必要があるが、以上は例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、当業者であれば実際の必要に応じて合理的に設置することができ、ここは制限しない。
【0053】
余弦速度曲線、正弦速度曲線、台形速度曲線及びSタイプの速度曲線という4つの速度曲線によってロボットの減速走行を制御する実現方式を容易に理解するために、以下、図6図8を参照しながら具体的に説明する。
【0054】
説明する必要があるが、余弦速度曲線は余弦関数に基づいて描画され、正弦速度曲線は正弦曲線に基づいて描画され、余弦関数と正弦曲線との間を互いに置き換えることができ、また、余弦値の角度が[0,π]の間に値を取る際に描画された余弦速度曲線は正弦値の角度が[π,2π]の間に値を取る際に描画された正弦速度曲線と同じであるため、余弦速度曲線又は正弦速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御して得られたグラフはいずれも図6で示されるようになり、説明の便宜上、以下、余弦速度曲線を例として、図6を参照しながら具体的に説明する。
【0055】
具体的には、余弦速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御することは、具体的に以下の式によって実現される。
【0056】
そのうち、vはロボットが等速で運行する速度であり、Tは余弦角度であり、その取り得る値の範囲は[0,π]の間であって、かつエンドポイントを含む。
【0057】
上記の式によって、図6を得ることができる。具体的に、図6で示されるのは、ある測位成功の時刻tから、ロボットが速度v(本実施例では、第1速度)でパトロールすると同時に、測位の操作を継続し、予め設定された距離Dまでロボットが運行した後に測位が成功しなかった場合、ロボットはt ~tの時間内に余弦速度曲線でv(即ち、v/2)まで減速し、そして、等速で運行し、等速で運行する間に測位の操作を継続し、ロボットが速度vで運行すると測位が成功した場合、ロボットは、余弦速度曲線で速度vまで加速し、成功しなかった場合、減速を継続して、測位が成功するまで測位の操作を行い、そして、余弦速度曲線で速度vまで加速することである。
【0058】
説明する必要があるが、上記の式には、極端な状況が与えられており、即ち、ロボットが減速走行して測位を行う過程において、運行速度が0に下がるまで測位が成功し、この場合、急にvまで加速することによってロボットはバランスが崩れて転倒してしまうことを回避するために、ロボットを0からvまで加速してから、vからvまで加速するように制御することができる。
【0059】
実際の適用において、当業者であれば予め設定することができ、具体的な実現方式はここで制限しない。
【0060】
図7は、台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図であり、図7から見られるように、台形速度曲線によってロボットの運行速度を調整する方式について、具体的に、等速の運行速度から、等減速、等速の順に運行速度を、再取得された周囲環境の画像によってロボットの現在の位置を測位することができるまで調整し、測位が成功した後、ロボットをvまで加速するように制御する過程において、具体的に、等加速の方式に従って、ロボットの現時点の運行速度を初期運行速度vに復帰するまで調整する。
【0061】
図8は、Sタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する模式図であり、図8から見られるように、Sタイプの速度曲線によってロボットの運行速度を調整する方式について、具体的に、等速の運行速度から、減減速、等減速、加減速、等速の順に運行速度を、再取得された周囲環境の画像によってロボットの現在の位置を測位することができるまで調整し、測位が成功した後、ロボットをvまで加速するように制御する過程において、具体的に、減加速、等加速、加加速の順にロボットの現時点の運行速度を初期運行速度vに復帰するまで調整する。
【0062】
説明する必要があるが、上記した減加速は加減速と逆の過程であり、加加速は減減速と逆の過程である。
【0063】
また、説明する必要があるが、以上は例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、上記のいくつかの速度曲線に基づいてロボットの減速走行を制御する操作は、当業者であれば把握した技術的手段によって合理的に設置することができる。
【0064】
また、上記の各速度曲線に基づいてロボットの減速走行に対する制御及び運行速度の復帰の過程に必要な加速度値は、実際の必要に応じて合理的に設定することができ、ここは制限しない。
【0065】
従来技術と比べて、本実施例に提供された測位方法は、測位が成功したと判定された後、ロボットを第1運行速度まで加速し、即ち現在の運行速度から初期運行速度まで復帰するように制御することにより、ロボットはできる限り予め設定された時間内に作業を完了することができる。
【0066】
本願の第3実施例は、主に自律測位ナビゲーション機能を有するロボットに適用される測位装置に関し、その具体的な構成は図9に示されるようになる。
【0067】
図9に示されるように、測位装置は、測位モジュール901と制御モジュール902とを含む。
【0068】
そのうち、測位モジュール901は、予め設定された距離まで走行する過程において、周囲環境の画像によって測位を行うことに用いられる。
【0069】
制御モジュール902は、測位モジュール901によって周囲環境の画像による測位が失敗したと判定された後、ロボットを減速して走行するように制御するとともに、減速走行中、測位モジュール901を、測位が成功するまで周囲環境の画像により測位を行うように制御することに用いられる。
【0070】
具体的には、本実施例では、当該測位装置が装着されたロボットが予め設定された距離まで走行する過程において、測位モジュール901は、以下の方式を採用して周囲環境の画像による測位の操作を実現することができ、具体的に、周囲環境の画像を予め作成されたマップサンプル集合における画像とマッチングし、周囲環境の画像がマップサンプル集合における画像のいずれとマッチングしていない場合、測位が失敗したと判定され、周囲環境の画像がマップサンプル集合におけるいずれかの画像とマッチングする場合、測位が成功したと判定されることである。
【0071】
また、本実施例では、予め作成されたマップサンプル集合における画像とマッチングするための周囲環境の画像は、具体的に予め設定された周期に従って画像採集装置で採集、取得され、例えば5sごとに一回採集するものである。
【0072】
説明する必要があるが、以上は例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、画像採集装置が周囲環境の画像を採集する周期は、ロボットの実際の環境、伝送性能等の要因によって設定されてもよく、ここは制限しない。
【0073】
また、周囲環境の画像を採集するための画像採集装置は、その設置位置が制限されていなく、即ち、画像採集装置は、ロボット上に設置されてもよいし(直接に路面で作業するロボットに対して)、他の物体上に設置されてもよい(運動物体上で作業するロボットに対して)。具体的な実現方式は、当業者であれば実際の必要に応じて合理的に設定することができ、ここは制限しない。
【0074】
また、本実施形態に詳細に説明されていない技術的詳細について、本願のいずれかの実施例に提供された測位方法を参照することができ、こで再び説明しない。
【0075】
上記の説明から理解し易くなるように、本実施例に提供された測位装置は、それに含まれる測位モジュールと制御モジュールとが互いに合わせることで、測位装置が装着されたロボットは走行中その位置する環境に応じて自身の運行速度を合理的に調整することにより、ロボットの位置を正確に測位し、ナビゲーションルートをタイムリーかつ正確に計画し、作業を完了することができる。
【0076】
上記の装置実施例は例示に過ぎず、本願の特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、当業者であれば実際の必要に応じてモジュールの一部又は全部を選択して本実施例案の目的を達成することができ、ここは制限しない。
【0077】
本願の第4実施例は、ロボットに関し、具体的な構成は図10に示されるようになる。
【0078】
当該ロボットは、例えばスマートロボット掃除機、ナビゲーションロボット、無人航空機、無人自動運転車等、自律測位ナビゲーション機能を有する機器であってもよい。その内部には、具体的に1つ又は複数のプロセッサ1001と、メモリ1002とを含み、図10では、1つのプロセッサ1001を例として挙げる。
【0079】
本実施例では、上記の実施例に係る測位装置における各機能モジュールはいずれもプロセッサ1001上に配置されており、プロセッサ1001とメモリ1002とはバス又は他の方式で接続されることができ、図10では、バスで接続されることを例として挙げる。
【0080】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、ソフトウェアプログラム、コンピュータ実行可能なプログラム及びモジュール、例えば本願の任意の方法実施例に係る測位方法が対応するプログラム指令/モジュールを格納することに用いられることができる。プロセッサ1001は、メモリ1002に格納されたソフトウェアプログラム、指令及びモジュールを実行することにより、サーバの各機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち本願の任意の方法実施例に係る測位方法を実現する。
【0081】
メモリ1002は、プログラム格納領域とデータ格納領域とを含んでもよく、そのうち、プログラム格納領域はオペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションを格納することができ、データ格納領域はマップサンプル集合等の格納するための履歴データベースを作成することができる。なお、メモリ1002は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよいし、読み書き可能なメモリ(Random Access Memory、RAM)等を含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ1002は、プロセッサ1001に対して遠隔設置されるメモリを選択することができ、これらの遠隔メモリはネットワークを介して端末機器に接続されることができる。上記のネットワークの実例は、インターネット、社内のイントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動体通信ネットワーク及びそれらの組み合わせを含んでいるが、それらに限定されることはない。
【0082】
実際の適用において、メモリ1002には、少なくとも1つのプロセッサ1001によって実行される指令が格納されることができ、少なくとも1つのプロセッサ1001が本願の任意の方法実施例に係る測位方法を実行できるように、指令は少なくとも1つのプロセッサ1001によって実行され、測位装置における各機能モジュールを測位方法における測位操作を完了するように制御する。本実施形態に詳細に説明されていない技術的詳細について、本願の任意の実施例に提供された測位方法を参照することができる。
【0083】
また、クラウドコンピューティング技術の発展に伴って、ロボットの処理能力をさらに向上させるために、本実施例に記載のロボットは、クラウドインテリジェントロボットであってもよく、即ち処理操作を行うためのロボットの「脳」はクラウドに位置している。
【0084】
具体的には、クラウドインテリジェントロボットは安全かつ迅速なモバイルネットワークでロボットのボディーとクラウドの「脳」とを接続することにより、クラウドのインテリジェントコンピューティング能力が便利なサービスになるようにし、それによって、インテリジェントロボットの研究開発コストと稼働コストを大幅に削減するとともに、クラウドの強力なコンピューティング能力で自律ナビゲーションをより便利かつ迅速に行って、迅速な測位を実現することができる。
【0085】
説明する必要があるが、上記した2つのタイプのロボットは、本実施例における具体的な例示に過ぎず、本願の技術案及び特許請求の範囲に対する限定ではない。実際の適用において、当業者であれば従来の機械装置の発展状況に応じて、上記の測位方法の実現プロセスに基づいて実現することができ、ここは制限しない。
【0086】
本願の第5実施例は、コンピュータに本願の任意の方法実施例に係る測位方法を実行させることができるコンピュータの指令が格納されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0087】
当業者が理解できるように、上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施例であり、実際の適用において、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び細部で様々な変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10