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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】配電制御システム、配電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220301BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220301BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20220301BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220301BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20220301BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220301BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20220301BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J3/32
H02J3/46
H02J7/00 Y
H02J7/35 K
H02J7/34 D
H02S10/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089947
(22)【出願日】2020-05-22
(62)【分割の表示】P 2016141742の分割
【原出願日】2016-07-19
(65)【公開番号】P2020129962
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】森 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】中森 勇一
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-330057(JP,A)
【文献】特開2012-075243(JP,A)
【文献】特開2014-030299(JP,A)
【文献】特開2012-249471(JP,A)
【文献】特開2015-177606(JP,A)
【文献】特開2012-130096(JP,A)
【文献】特開2015-192485(JP,A)
【文献】特開2016-063629(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 3/46
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02S 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置によって発電される発電量を取得する発電量取得部と、
前記取得された発電量と基準値とを比較し、前記発電量が前記基準値未満である場合には前記発電された電力を直流負荷側に供給すると判定し、前記発電量が前記基準値以上である場合には、前記電力を電力変換部によって交流に変換して逆潮流すると判定する電力制御部と、
蓄電装置とを有し、
前記基準値は、前記蓄電装置の劣化状態に応じて異なる複数の基準値であり、
前記電力制御部は、
前記蓄電装置の劣化状態を検出した検出結果に基づいて、当該検出結果が示す劣化状態に対応する基準値と前記発電量とを比較する
配電制御システム。
【請求項2】
前記電力制御部は、
前記発電量が前記基準値未満である場合であって、供給対象の交流負荷が前記発電量を超える場合には、前記蓄電装置から放電させた電力と前記発電量に応じた電力を前記交流負荷に供給すると判定する
請求項1に記載の配電制御システム。
【請求項3】
前記蓄電装置に蓄電が必要な電力量である必要電力量を求める必要電力予測部と、
前記太陽光発電装置によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部と、を有し、
前記電力制御部は、
前記発電量が前記基準値を超える場合、前記必要電力量と前記予測発電量とに基づいて、前記蓄電装置が所定の時間までに目標充電量に到達するように充電する
請求項に記載の配電制御システム。
【請求項4】
前記蓄電装置に蓄電が必要な電力量である必要電力量を求める必要電力予測部と、
前記太陽光発電装置によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部と、を有し、
前記電力制御部は、
前記発電量が前記基準値を超える場合、前記必要電力量と前記予測発電量とに基づいて、前記発電量の一部を前記蓄電装置に蓄電することで逆潮流電力量のピークカットを行なう
請求項に記載の配電制御システム。
【請求項5】
太陽光発電装置によって発電される発電量を取得する発電量取得部と、
前記取得された発電量と基準値とを比較し、前記発電量が前記基準値未満である場合には前記発電された電力を直流負荷側に供給すると判定し、前記発電量が前記基準値以上である場合には、前記電力を電力変換部によって交流に変換して逆潮流すると判定する電力制御部と、
蓄電装置と
を有する配電制御システムにおいて実行される配電制御方法であり、
前記基準値は、前記蓄電装置の劣化状態に応じて異なる複数の基準値であり、
前記電力制御部は、
前記蓄電装置の劣化状態を検出した検出結果に基づいて、当該検出結果が示す劣化状態に対応する基準値と前記発電量とを比較する
配電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電制御システム、配電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電(以下PV;Photovoltaic)及び蓄電池を備えた住宅が増加してきている。PVで発電した直流電力は、交流電力に変換され、自家使用もしくは分電盤を経由して系統へ逆潮流される。
【0003】
このような、直流と交流との電力変換においては、コンバータやパワーコンディショナーが用いられる。下記の特許文献1では、コンバータやパワーコンディショナーを用いるにあたり、2度以上の電力変換を行なわないようにすることで、電力変換による損失を抑えたり、最大電力点追従制御を行なう配電システムについて記載されている。また、下記の特許文献2では、蓄電池のインバータにおける電力変換の効率と電力の価格とを考慮して、蓄電池への充放電スケジュールを決定する蓄電池制御装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5756903号公報
【文献】特開2016-63629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、PVは、太陽光をエネルギー源として発電するため、日射状況により、その発電量は大きく左右される。また、パワーコンディショナーは、PVの最大発電力に合わせて設置される。そのため、発電量が充分でない場合は、パワーコンディショナーの変換効率が低下することがある。
【0006】
一方で、太陽光発電装置と蓄電池とを備えた住宅等において、特に冷暖房等の需要の低い時期では、一日の総発電量が蓄電池の容量を上回ることがある。近年、1つのパワーコンディショナーでPV用と蓄電池用両方に用いる一体型パワーコンディショナーという製品も出てきている。この製品では、PVで発電された電力を直流のまま蓄電池へ送って充電するため、直流から交流、再度交流から直流に変換して充電する既存の製品に比べると変換効率が大きく向上している。
しかしながら、このような一体型パワーコンディショナーを用いる場合であっても、PV発電電力が蓄電池の入力電力を越えてオーバーフローした部分を直流から交流に変換する場合や、蓄電池がフルに充電された後であって発電量が充分でない場合に、直流から交流に変換する場合の変換効率が低下する。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、太陽光発電装置の発電量が増減する場合であっても、電力の変換効率の低減による電力損失を抑えることができる配電制御システム、配電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、太陽光発電装置によって発電される発電量を取得する発電量取得部と、前記取得された発電量と基準値とを比較し、前記発電量が前記基準値未満である場合には前記発電された電力を直流負荷側に供給すると判定し、前記発電量が前記基準値以上である場合には、前記電力を電力変換部によって交流に変換して逆潮流すると判定する電力制御部と、蓄電装置とを有し、前記基準値は、前記蓄電装置の劣化状態に応じて異なる複数の基準値であり、前記電力制御部は、前記蓄電装置の劣化状態を検出した検出結果に基づいて、当該検出結果が示す劣化状態に対応する基準値と前記発電量とを比較する。
【0010】
また、本発明は、上述の配電制御システムにおいて、前記電力制御部は、前記発電量が前記基準値未満である場合であって、供給対象の交流負荷が前記発電量を超える場合には、前記蓄電装置から放電させた電力と前記発電量に応じた電力を前記交流負荷に供給すると判定する。
【0011】
また、本発明は、上述の配電制御システムにおいて、前記蓄電装置に蓄電が必要な電力量である必要電力量を求める必要電力予測部と、前記太陽光発電装置によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部と、を有し、前記電力制御部は、前記発電量が前記基準値を超える場合、前記必要電力量と前記予測発電量とに基づいて、前記蓄電装置が所定の時間までに目標充電量に到達するように充電する。
【0012】
また、本発明は、上述の配電制御システムにおいて、前記蓄電装置に蓄電が必要な電力量である必要電力量を求める必要電力予測部と、前記太陽光発電装置によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部と、を有し、前記電力制御部は、前記発電量が前記基準値を超える場合、前記必要電力量と前記予測発電量とに基づいて、前記発電量の一部を前記蓄電装置に蓄電することで逆潮流電力量のピークカットを行なう。
【0014】
また、本発明は、上述の配電制御システムにおいて、太陽光発電装置によって発電される発電量を取得する発電量取得部と、前記取得された発電量と基準値とを比較し、前記発電量が前記基準値未満である場合には前記発電された電力を直流負荷側に供給すると判定し、前記発電量が前記基準値以上である場合には、前記電力を電力変換部によって交流に変換して逆潮流すると判定する電力制御部と、蓄電装置とを有する配電制御システムにおいて実行される配電制御方法であり、前記基準値は、前記蓄電装置の劣化状態に応じて異なる複数の基準値であり、前記電力制御部は、前記蓄電装置の劣化状態を検出した検出結果に基づいて、当該検出結果が示す劣化状態に対応する基準値と前記発電量とを比較する配電制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、太陽光発電装置の発電量が増減する場合であっても、電力の変換ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1の実施形態における配電制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
図2】記憶部14に記憶される電力変換効率データの一例を示す図である。
図3】配電制御システム1の動作を説明するフローチャートである。
図4】第2の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。
図5】第4の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。
図6】第5の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。
図7】第6の実施形態における発電量と交流の電力に変換する電力量とについて説明する図である。
図8】第6の実施形態における発電量と交流の電力に変換する電力量とについて説明する図である。
図9】予測対象の日の天気予報情報が示す天候に応じて立案された充電計画について説明する図である。
図10】グリーンモードで充電する場合と、配電制御システム1によって充電する場合について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による配電制御システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態における配電制御システムの構成を示す概略ブロック図である。
配電制御システム1は、太陽光発電装置10と、パワーコンディショナー(PCS)11と、蓄電装置12と、予測部13と、記憶部14と、電力制御部15、分電盤16を有する。
太陽光発電装置10は、太陽光を受けて発電をする。
PCS11は、太陽光発電装置10が発電した直流の電力を直流負荷(例えば、蓄電装置12)に供給する機能と、太陽光発電装置10が発電した直流の電力を交流の電力に変換して分電盤16に供給する機能と、蓄電装置12から供給される直流の電力を交流の電力に変換して分電盤16に供給する機能を有する。PCS11は、これらの電力供給機能について、電力制御部15からの指示に基づいて実行する。このPCS11としては、一体型パワーコンディショナーを用いることができる。
【0018】
蓄電装置12は、蓄電時においてPCS11から供給される電力を充電し、放電時において充電された電力をPCS11に放電する。この蓄電装置12は、電力を蓄積することができればよく、例えば、蓄電池、電気二重層コンデンサ、フライホイール・バッテリー等を用いることができる。
【0019】
予測部13は、蓄電装置12に蓄電が必要な電力量である必要電力量を求める必要電力予測機能と、太陽光発電装置10によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測機能と、を有する。
記憶部14は、基準値を記憶する。この基準値は、太陽光発電装置10によって発電される電力の基準を示す値である。また、この基準値は、パワーコンディショナー11の電力変換効率の基準を表す変換効率基準値を用いることもできる。また、記憶部14は、PCS11の電力変換効率と太陽光発電装置10の発電電力との関係を表す電力変換効率データを記憶する。
図2は、記憶部14に記憶される電力変換効率データの一例を示す図である。横軸は、太陽光発電装置10の発電電力であり、縦軸はPCS11の直流の電力から交流の電力に変換する場合の変換効率を示す電力変換効率である。ここで、発電電力がa(W)までの間において、PCS11の電力変換効率は0から増大する傾向にあるが、発電電力がa(W)以上の場合に比べて、電力変換効率が低いため、直流から交流に電力変換を行なうと、電力のロスが大きい。これに対し、発電電力がa(W)以上において、PCS11の電力変換効率は、η1以上であり、発電電力がa(W)未満の場合に比べて、増減が緩やかになる。このように、太陽光発電装置10の発電電力がa(W)以上の場合には、所定の電力変換効率(η1)以上の状態において、直流の電力を交流の電力に変換することができ、発電電力がa(W)未満の場合に比べて電力のロスを低減した状態で電力変換を行なうことができる。一方で、発電電力がa(W)未満の場合には、直流から交流への電力の変換を行なわずに、直流の電力のまま蓄電装置12に蓄電する。そのため、記憶部14は、所定の電力変換効率以上に達する発電電力(例えば、a(W))を記憶する。また、電力変換効率(例えば、η1)を記憶するようにしてもよい。
【0020】
図1に戻り、電力制御部15は、太陽光発電装置10からPCS11に対して入力された直流の電力がPCS11において測定された測定結果を、太陽光発電装置10によって発電される発電量としてPCS11から取得する。また、電力制御部15は、取得された発電量と記憶部14に記憶された基準値とを比較し、発電量が基準値未満である場合には発電された電力をPCS11から直流負荷(例えば、蓄電装置12や需要家内に設けられる直流負荷)に供給すると判定し、発電量が基準値以上である場合には、電力をPCS11によって交流に変換すると判定し、PCS11に対して、判定結果に従った電力変換を行なわせる。
【0021】
分電盤16は、電力制御部15からの指示に応じて、電力を系統に逆潮流させたり、室内負荷に電力を供給する。
【0022】
図3は、配電制御システム1の動作を説明するフローチャートである。
電力制御部15は、太陽光発電装置10の発電量をPCS11から取得し(ステップS101)、得られた発電量と記憶部14に記憶された電力の基準を示す基準値とを比較する(ステップS102)。電力制御部15は、発電量が基準値以上である場合には(ステップS103-YES)、発電電力を交流の電力に変換するようPCS11に指示を出力する。この指示に従い、PCS11は、太陽光発電装置10から供給される直流の電力を交流の電力に変換し、分電盤16に供給する(ステップS104)。
一方、発電電力が基準値未満である場合(ステップS103-NO)、電力制御部15は、発電電力を蓄電装置12に出力させる指示をPCS11に出力する。この指示に従い、PCS11は、太陽光発電装置10から供給される直流の電力を蓄電装置12に供給する(ステップS105)。例えばPCS11は、太陽光発電装置10から出力される直流の電力の電圧レベルが蓄電装置12に充電可能な電圧レベルとなっており、この太陽光発電装置10から出力される直流の電力をそのまま蓄電装置12に供給することで蓄電装置12に充電をする。
【0023】
電力制御部15は、一定時間の経過を待った後(ステップS106)、所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS107)、所定時間が経過していなければ(ステップS107-YES)、ステップS106に移行する。
一方、電力制御部15は、所定時間が経過した場合には(ステップS107-NO)、電力制御を終了するか否かを判定し(ステップS108)、電力制御を終了しない場合には(ステップS108-NO)、ステップS101に移行し、発電量を取得し、電力制御を終了する場合には(ステップS108-YES)、この処理フローを終了する。
【0024】
このように、電力制御部15は、所定時間毎に電力量を取得して基準値と比較して交流の電力に変換するか蓄電装置12に供給するかを判定するようにしたので、太陽光発電装置10の付近の天候が変化したとしても、その天候の変化に伴って変化する電力量に応じて、蓄電装置12に供給するか交流の電力に変換するかを判定することができる。これにより、天候の変化によって発電量が変化したとしても、その発電量に応じて、電力変換に伴う電力のロスが所定よりも大きくなる場合には交流の電力に変換せずに蓄電装置12に充電し、電力変換に伴う電力のロスが所定以下である場合には、交流の電力に変換して分電盤16側に供給することができる。このように、発電量が小さく、電力変換に伴う電力のロスが大きい場合には交流の電力に変換せず、少ない発電量でも蓄電装置12に電力を蓄積していった方が、電力を有効活用することができる。
【0025】
次に、上述の配電制御システム1における他の実施形態について説明する。以下説明する配電制御システム1の他の実施形態の構成は図1に示す構成と基本的には同じであるが、制御方法が一部異なるため、その相違点を説明する。
(第2の実施形態)
第1の実施形態において、PCS11は、太陽光発電装置10から得られた直流の電力を蓄電装置12にそのまま供給して充電したが、第2実施形態においては、太陽光発電装置10から得られた直流の電力の電圧レベルを、所定の電圧レベルに変換し、その直流の電力を蓄電装置12に供給して蓄電する。太陽光発電装置10から出力される電力の電圧レベルが、蓄電装置12に蓄電可能な電圧レベルに到達していない場合には、このようにしてDC/DCコンバータとして機能することで、蓄電装置12に蓄電することができる。このDC/DCの電力変換を行なう場合、その電力変換のロスが少なくなるような回路構成を用いることが好ましい。
図4は、第2の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。縦軸が発電量であり、横軸が時間である。電力制御部15は、発電量が基準値以上である場合には、太陽光発電装置10から得られた直流の電力をPCS11によってDC/AC変換を行なわせ、交流の電力として出力させ、発電量が基準値未満である場合には、太陽光発電装置10から得られた直流の電力をPCS11によってDC/DC変換を行なわせ、直流の電力として出力させ、蓄電装置12に充電させる。
【0026】
(第3の実施形態)
第1の実施形態において、電力制御部15は、太陽光発電装置10の発電量と基準値とを比較する場合について説明したが、第3の実施形態においては、基準値として、電力変換効率の基準値(例えば、図2に示すη1)を記憶部14に記憶させておく。そして、電力制御部15は、発電量の測定値が得られた際に、図2に示す電力変換効率と発電電力との関係に基づいて、測定された発電電力に対応する電力変換効率を読み出す。そして、電力制御部15は、発電量に応じた電力変換効率と基準値とを比較し、発電量に応じた電力変換効率が基準値以上である場合に、太陽光発電装置10から出力される直流の電力をPCS11によって交流の電力に変換させ、発電量に応じた電力変換効率が基準値未満である場合には、太陽光発電装置10から出力される直流の電力を蓄電装置12に供給して蓄電する。
【0027】
(第4の実施形態)
第1の実施形態において、電力制御部15は、太陽光発電装置10からの発電電力を全て、直流の電力として蓄電装置12に供給するか、交流の電力として分電盤16に供給して逆潮流させるかを制御するようにした。この第4の実施形態において、電力制御部15は、発電量が基準値以上である場合には、基準値を超えた発電量の少なくとも一部の発電電力を直流負荷側に供給すると判定し、残りの発電電力を交流に変換すると判定する。図5は、第4の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。縦軸が発電量であり、横軸が時間である。
電力制御部15は、例えば、発電量が基準値以上である場合において、基準値を超えた電力については、直流負荷に供給し、基準値未満の電力については、PCS11によって直流の電力から交流の電力に変換するように制御する。また、電力制御部15は、基準値を超えた電力の全てを直流負荷に供給してもよいし、基準値を超えた電力のうち一部を直流負荷に供給するように制御してもよい。また、電力制御部15は、基準値を超えた電力の全てを直流負荷に供給するか、基準値を超えた電力のうち一部を直流負荷に供給するかについては、時間に応じて切り替えるようにしてもよい。例えば、逆潮流が発生しやすい日中の時間帯においては、基準値を超えた電力の全てを直流負荷に供給するようにし、それ以外の時間帯においては、基準値を超えた電力の一部を直流負荷に供給する。これにより、複数の需要家において、逆潮流が発生したとしても、逆潮流される電力のピークを低減することが可能である。
【0028】
(第5の実施形態)
第5の実施形態において、電力制御部15は、太陽光発電装置10の発電量が基準値未満である場合であって、供給対象の交流負荷(例えば、分電盤16に接続された需要家内の交流負荷)に対して供給が必要となる電力量が発電量を超える場合には、蓄電装置12から放電させた電力と、太陽光発電装置10から供給される発電電力とPCS11によって交流の電力に変換し、交流負荷に供給させる。図6は、第5の実施形態における配電制御システム1における電力変換について説明する図である。縦軸が発電量、横軸が時間である。ある時刻において発電された電力の電力量が基準値を越えていないが、太陽光発電装置10から得られた電力を交流負荷に電力を供給する必要がある場合、電力制御部15は、蓄電装置12から放電してPCS11に電力を供給させ、少なくとも放電された電力と発電量の合計が基準値以上となるようにするとともに、供給対象である交流負荷に対して必要な電力に到達するような電力を蓄電装置12から放電させる。ここでは、太陽光発電装置10から供給される電力量が基準値未満である場合であっても、蓄電装置12から放電させ、これらを合わせて基準値以上の電力量を得ることで、直流の電力から交流の電力に変換する際のロスを、太陽光発電装置10から供給される電力のみを電力変換する場合に比べて、低減することができる。このように、第5の実施形態では、太陽光発電装置10からの電力量が基準値を下回っていたとしても、交流負荷が大きい場合には、蓄電装置12から、少なくとも基準値を上回るまで放電を行ない、発電電力と合わせてDC/AC変換を行なう。
【0029】
(第6の実施形態)
第6の実施形態において、電力制御部15は、朝夕の日照が弱い時間帯は、太陽光発電装置10からの電力を全て蓄電装置12に蓄積する。太陽の高度が高くなり、発電量が基準値を超えるような時間帯においては、電力制御部15は、太陽光発電装置10からの電力の少なくとも基準値に相当する電力量について、PCS11によって交流の電力に変換させ、残りの電力は蓄電装置12に充電を行う。ここでは、DC/AC変換する電力量は、基準値以上であれば任意の電力量としてよい。
図7図8は、第6の実施形態における発電量と交流の電力に変換する電力量とについて説明する図である。図7(a)、図8(a)の縦軸は発電量を表し、横軸は時間を表す。図7(b)、図8(b)の縦軸は発電量を表し、横軸は時間を表す。図7(a)、図8(a)において、朝の時間帯において0または0付近から発電量が増加し、昼の時間帯において発電量が最も高くなり、その後、夕方の時間帯において、発電量が0または0付近まで減少する。ここで、図7に示す場合において、発電量の基準値を超える時間帯(例えば昼の時間帯)については、図7(b)に示すように、太陽光発電装置10から得られる電力のうち、一定の電力については、直流の電力から交流の電力に変換する。電力制御部15によってこのような制御が行なわれることにより、図7(a)に示すように、朝の時間帯と夕方の時間帯において、発電量が基準値に到達していないため、発電電力は蓄電装置12に充電される。昼の時間帯において、発電量が基準値を超えると、充電される電力は一旦0またはほぼ0になるが、発電量が増大するにつれて充電される電力(発電量と交流の電力に変換される電力量の差)も増大し、夕方の時間帯に近づくにつれて0に近づき、発電量が基準値未満となった場合に、交流の電力への変換が行なわれなくなるため、太陽光発電装置10からの電力は全て蓄電装置12に蓄積される。
図8(b)に示す例では、太陽光発電装置10から得られる電力のうち、直流の電力から交流の電力に変換する変換量を時間の経過に応じて変える場合の一例について図示されており、ここでは、時間が経過するにつれて変換量が増大する場合について図示されている。このため、図8(a)に示すように、昼の時間帯において発電量が基準値を超えると、蓄電量が0または0付近から増大するが、交流の電力に変換される量も増大する。そのため、図8(a)では、昼の時間帯における蓄電量のピークが到来する時刻が、図7(a)の場合に比べて、早い時間帯となっている。
【0030】
(第7の実施形態)
この実施形態において、電力制御部15は、予測部13の必要電力予測機能や予測発電量予測機能を利用し、蓄電計画を生成し、太陽光発電装置10からの電力の利用計画を立案する。この実施形態では、例えば、朝夕の日照が弱い時間帯では、太陽光発電装置10から得られた電力を全て充電し、太陽の高度が高くなり、発電量が基準値を越えた時間帯(例えば昼の時間帯)においては、その時点における蓄電量とその日充電すべき充電量を計測、予測し、その日の日射量の予測値から、いつ充電すべきかの充電計画を生成し、その充電計画に従って充電を行う。日射量の予測値は、例えば、インターネットを介して接続される外部サーバから取得することができ、電力制御部15は、例えば、予測を行なう対象の日の前日に、予測対象日の日射量の予測値を外部サーバから受信する。予測部13は、必要電力を予測する場合、例えば、過去の数ヶ月から数年程度の電力使用履歴が記憶されたデータベースを参照し、予測対象日の天候、気温、室温等を天気予報サーバから取得し、これら天候、気温、室温の他に、季節、曜日等も含め最も類似する日において電力が使用された電力使用履歴を選択することで予測する。また、予測部13は、予測発電量を予測する場合、例えば、過去の数ヶ月から数年程度の発電履歴が記憶されたデータベースを参照し、予測対象日の天候、気温、室温等を天気予報サーバから取得し、これら天候、記憶、室温で最も類似する日において発電された発電履歴を選択することで予測する。
【0031】
図9は、予測対象の日の天気予報情報が示す天候に応じて立案された充電計画について説明する図である。図9(a)の縦軸は発電量である、横軸は時間である。図9(b)の縦軸は交流変換量であり、横軸は時間である。図9(b)では、昼の時間帯における所定の時刻において交流に変換する量がピークとなるように充電計画が設定された場合について図示されている。ここでは、発電電力が基準値を越えると予測された時間帯であって、発電電力のうち少なくとも基準値に相当する電力量を交流の電力に変換し、その残りの電力を蓄電装置12に蓄電するような充電計画であり、その日の所定の時間(例えば夕方の時刻)までには、蓄電装置12の蓄電量が所定の値(例えば残量の目標値)となるような充電計画が生成される。また、図9(b)においては、交流の電力に変換する量は、昼の時間帯における所定の時間がピークとなるような計画が立案される。このため、図9(a)に示すように、昼の時間帯において発電量が基準値を超えると、蓄電量が0または0付近から増大する点において、図7(a)と同じである。しかし、交流の電力に変換される量が所定の時刻に増大するように制御されるため、図9(a)では、昼の時間帯における充電量のピーク値は、図7(a)に示す昼の時間帯における充電量のピーク値よりも低くなっている。
【0032】
図9(c)は、午後から曇天になるような日において充電計画に沿って配電制御が行なわれた場合を説明する図である。この場合、午後から曇天となり、発電量が低下することが予測されるため、発電量が基準値に到達した時点でただちに交流の電力への変換を開始するのではなく、発電量が基準値を越えた後も一定時間だけ充電を行ない、その後、交流の電力への変換を開始する。これにより、発電量が基準値に到達した時点で交流の電力への変換を行なうと、その日の所定の時刻までに蓄電装置12を目標の充電量までに達しないような曇りの天候であっても、発電量が基準値を越えてもある程度充電を継続することで、その日の所定の時刻までに蓄電装置12に目標の充電量まで充電することができる。
【0033】
図9(d)は、日中に逆潮流のピークが生じないように逆潮流のピークカットをする場合を説明する図である。図9(d)において、縦軸が発電量であり、横軸が時間を表している。電力制御部15は、予測部13による予測結果に基づいて、日中の発電量が増大してピークを迎えるような予測結果が得られた場合には、発電量が基準値を超えた期間において、全て交流の電力に変換して逆潮流するのではなく、基準値を超える期間のうち少なくとも一部の期間において、基準値を超える発電量の一部を蓄電装置12の充電に割り当て、充電する。これにより、逆潮流される電力を低減させることができるため、系統側に逆潮流される電力のピークカットを行なうことができる。このような計画は、1つの需要家における配電制御システム1が実行するだけでなく、所定の地域内における複数の需要家におけるそれぞれの配電制御システム1が実行することで、その所定の地域全体として、逆潮流のピークを低減することができる。
【0034】
図10は、グリーンモードで充電する場合と、配電制御システム1によって充電する場合について説明する図である。図10(a)において、縦軸は充電量であり横軸は時間である。図10(b)において、縦軸はSOC(State Of Charge;充電比率)であり横軸は時間である。一般的なグリーンモードでは、発電電力を全て蓄電池に充電し、満充電になると全て逆潮流させるように制御される。そのため、図10(a)に示すように、充電開始から充電量が急峻に増加する(符号a2)。これに対して上述の配電制御システム1では、受電量を天候によって変動する発電量を考慮して適宜制御することができるため、充電量は、充電開始から緩やかに増加する(符号a1)。これにより、SOCについても、図10(b)に示すように、グリーンモードでは朝の時間帯において充電が行なわれ、昼の時間帯においては、SOCがほぼ100%に到達するため(符号a1)、昼の時間帯以降は全て逆潮流が行なわれる。これに対し、配電制御システム1では、昼の時間帯において緩やかに充電が行なわれ、夕方にはSOCがほぼ100%となるように充電されるため(符号a2)、昼の時間帯において、発電量の全てが逆潮流されるのではなく、一部が逆潮流されるため、逆潮流のピークを抑えることができる。
【0035】
(第8の実施形態)
この実施形態において、記憶部14は、基準値として蓄電装置12の充放電状態に応じて異なる複数の基準値を記憶する。蓄電装置12の充放電状態に応じて異なる複数の基準値としては、例えば、蓄電装置12の残量に応じて異なる複数の基準値を用いることができる。また、例えば、充放電を行なった過去の履歴に応じて異なる複数の基準値を用いることができる。充放電を行なった過去の履歴としては、ある時刻T1から時刻T2までW1(kwh)の充電を行ない、時刻T3から時刻T4まではW2(kwh)の放電を行なった、等の種々の充放電の履歴があり、これらの履歴それぞれに対して異なる基準値を記憶するようにしてもよい。また、例えば、梅雨の時期など日射時間が少ない日が一定以上連続するような期間等、充放電のサイクル等が他の期間(春、夏、秋、冬)と異なる期間毎に異なる基準値を記憶するようにしてもよいし、長期的な電池の劣化状態(容量変化)に応じて、異なる基準値を記憶するようにしてもよい。
【0036】
蓄電装置12の残量に応じて異なる複数の基準値を用いる場合、電力制御部15は、蓄電装置12の残量を蓄電装置12に設けられた残量測定部によって測定された測定結果を取得し、取得された残量に応じた基準値を記憶部14から読み出し、この基準値と発電量とを比較する。
充放電を行なった過去の履歴に応じて異なる複数の基準値を用いる場合、配電制御システム1は、蓄電装置12内の充放電を行なった履歴を記憶する充放電履歴記憶部を有し、電力制御部15は、蓄電装置12の充電または放電が行なわれると、その充電または放が行なわれた電力量(充電量または放電量)と充電または放電を行なった時刻とを対応付けて記憶する。そして、電力制御部15は、所定の期間における充電または放電が行なわれた電力量に対応する基準値を用いて比較する。
【0037】
梅雨の時期など日射時間が少ない日が一定以上連続するような期間等、充放電のサイクル等が他の期間(春、夏、秋、冬)と異なる期間毎に異なる基準値を用いる場合、電力制御部15は、充放電履歴を参照する期間としてある程度の期間(例えば数週間や1ヶ月など)に基づいて、その期間に応じた基準値を用いて比較する。例えば、北半球において、冬は日照時間も短く、太陽の角度も低いため発電量が少ない。そのため基準値を他の季節の場合に比べて低い値の基準値を用いる。これにより、日照時間が短い時期であっても一定の充電量を確保することができる。一方、夏は日照時間が長いため、他の季節に比べて基準値を高い値の基準値を用いる。これにより、一定の充電量に抑えつつ逆潮流も行なうことができる。この場合、春と秋における基準値は冬の基準値より高く、夏の基準値より低い基準値を用いる。なお、ここでは、冬の基準値としては、PCS11の電力変換効率がη1に対応する発電電力値以上であることが望ましい。これにより、PCS11の電力変換の際に生じる電力のロスを一定以内に抑えつつ、季節毎の日照時間等に応じた充電量、あるいは逆潮流の量とすることができる。
【0038】
長期的な電池の劣化状態(容量変化)に応じて、異なる基準値を用いる場合、電力制御部15は、所定の期間における蓄電装置12の劣化状態を監視し、その監視結果に応じた基準値を用いて比較する。
【0039】
(第9の実施形態)
この実施形態において、記憶部14は、基準値として蓄電装置12の劣化状態に応じて異なる複数の基準値を記憶する。例えば、SOC(State Of Charge)の度合を表す複数のレベルが設定されており、この各レベルのそれぞれに異なる基準値を記憶する。基準値としては、蓄電装置12の電池の劣化状態において、劣化状態が進行しているほど低い基準値となるようにされた複数の基準値を用いる。そして、電力制御部15は、蓄電装置12のSOCを測定し、測定結果に応じたレベルを特定し、特定されたレベルに対応した基準値を用いて比較する。これにより、発電電力がある程度低い状態であっても逆潮流を行ないやすくなるように制御することができ、蓄電装置12の蓄電池の劣化が進行して充電可能量が減少していった場合には、充電可能量の範囲に収まるように充電量を絞ることができる。これにより、充電し難い状況であるにも関わらず充電を行なってしまうという充電時のロスを低減することができる。なお、ここでは、複数の基準値のうち、低い基準値とは、PCS11の電力変換効率がη1に対応する発電電力値以上であることが望ましい。これにより、PCS11の電力変換の際に生じる電力のロスを一定以内に抑えつつ、蓄電装置12の電池の劣化状態を考慮して充電時のロスを低減することができる。
【0040】
(第10の実施形態)
この実施形態において、配電制御システム1は、太陽光発電装置10によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部を有する。記憶部14は、基準値として、予測された発電量に応じて異なる複数の基準値を記憶する。ここでは、異なる発電量に対してそれぞれ異なる基準値が対応づけされて記憶される。
電力制御部15は、発電量予測部によって得られた予測発電量に基づいて、当該予測発電量に応じた予測された発電量を特定し、特定された発電量に対応する基準値と発電量とを比較する。
【0041】
(第11の実施形態)
この実施形態において、配電制御システム1は、太陽光発電装置10によって発電される発電量の予測値である予測発電量を求める発電量予測部を有する。記憶部14は、基準値として太陽光発電装置10によって発電される発電量と予測発電量との差に応じて異なる基準値が複数設定され記憶する。基準値としては、発電量と予測発電量との差において、実際の発電量が予想発電量よりも大きいほど小さい基準値となるようにされた複数の基準値を用いる。また、この基準値としては、発電量と予測発電量との差において、実際の発電量が予想発電量よりも小さいほど大きな基準値となるようにされた複数の基準値を用いる。そして、電力制御部15は、太陽光発電装置10によって発電された発電量と発電量予測部によって得られた予測発電量との差を算出し、算出された差に応じた基準値を記憶部14から読み出し、この基準値と発電量を比較する。これにより、発電量が予測発電量を大きく超えるほど、基準値としては小さい値が用いられるため、逆潮流を行ないやすくなるように制御することができる。また、発電量が予測発電量以下であり、その差が大きいほど、基準値としては大きな値が用いられるため、発電量が少なく、電力変換時における電力のロスが生じやすい場面においては、電力変換をなるべく行なわず、充電するように制御することがで、電力のロスを抑えることができる。なお、ここでは、複数の基準値のうち、低い基準値とは、PCS11の電力変換効率がη1に対応する発電電力値以上であることが望ましい。
【0042】
(第12の実施形態)
この実施形態において、記憶部14は、電力変換部の電力変換効率に応じた基準値である第1基準値と、蓄電装置12の充放電状態、蓄電装置12の劣化状態、太陽光発電装置10によって発電される発電量の予測値、の基準値項目のうちいずれが1つである第2項目における状態に応じて異なる複数の基準値である第2基準値群とを記憶する。そして、電力制御部15は、第1基準値を記憶部14から読み出し、第2基準値群のうち第2項目に対応する取得結果に応じた第2基準値があるか否かを判定し、当該第2基準値がある場合には、第2基準値と発電量とを比較し、第2基準値がない場合には、第1基準値と発電量とを比較する。ここで、第2項目のうちいずれの項目を用いるかは、例えば予め決められており、電力制御部15は、その項目に対応する測定値あるいは予測値等の取得結果を得る。そして、その取得結果と、予め決められた項目における第2基準値群のなかかから、取得結果に対応する第2基準値があるか否かを判定する。例えば、蓄電装置12の劣化状態を表すレベルが第1レベルと第2レベルがあり、現在の蓄電装置12の劣化レベルが第1レベルまたは第2レベルに該当する場合には、そのレベルに対応した第2基準値を用いる。一方、現在の蓄電装置12の劣化レベルが第0レベルや第3レベル等である場合には、対応する劣化レベルがないので、電力制御部15は、基準値として、第1基準値を用いる。
【0043】
以上説明した実施形態において、電力制御部15は、系統(配電網)と連系されていない場合には、発電された電力量にかかわらず、発電された電力を蓄電装置に充電するようにしてもよい。
【0044】
また、以上、第1の実施形態から第7の実施形態について説明したが、少なくとも2つの実施形態を適宜組み合わせて配電制御システム1を構成するようにしてもよい。
【0045】
以上説明した実施形態によれば、発電量が十分なときにのみ逆潮流を行なうことにより、PCSにおける変換効率が高い状態の際に電力変換することができ、発電電力のロスを低減することができる。
また、1つの需要家だけでなく、所定の地域内における需要家における配電制御システム1のそれぞれが、上述の制御を行なうことで、発電量予測をしながら充電をしたり、ピーク時間帯に各需要家のそれぞれで集中して充電することで、太陽光発電装置からの発電電力の逆潮流が各需要から一気に集中してしまうような場合も解消することができる。特に、夏場においては、日中の発電量が地域全体で上昇するが、このような場合であっても、逆潮流のピークを抑えることができる。
【0046】
上述した実施形態における電力制御部15をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0047】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 配電制御システム 10 太陽光発電装置
11 パワーコンディショナー 12 蓄電装置
13 予測部 14 記憶部
15 電力制御部 16 分電盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10