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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】はんだごて管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/00 20060101AFI20220301BHJP
   B23K 3/03 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
B23K1/00 A
B23K3/03 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020099727
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021130133
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】202010123220.9
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502330713
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DELTA ELECTRONICS, INC.
【住所又は居所原語表記】No.252,ShanYing Rd.,Guishan Dist.,Taoyuan City 333,Taiwan, R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】黄正豪
(72)【発明者】
【氏名】呉信賢
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-248091(JP,A)
【文献】特開2019-018207(JP,A)
【文献】特開昭61-216853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 - 3/08、31/02、33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだごて管理システムであって、対象物とはんだごてと第1温度センサーと処理ユニットとを備え、
前記はんだごては、端部を有し、前記端部が加熱されて前記対象物と接触し、
前記第1温度センサーは、前記端部の温度を検測するように構成され、
前記処理ユニットは、前記第1温度センサーに接続され、前記端部の温度を受信し、前記処理ユニットは、前記端部と前記対象物との接触中の前記端部の温度変化に基づいて温度変化情報を取得し、前記温度変化情報が所定条件を満たした時、前記はんだごてを交換させ、前記温度変化情報は、前記端部の実際降温時間を含み、前記実際降温時間と参照降温時間との差分は第1差分値であり、前記所定条件は、前記第1差分値が第1プリセット値よりも大きいことを含む、ことを特徴とするはんだごて管理システム。
【請求項2】
前記温度変化情報は、前記端部の実際温度回復時間を含み、前記実際温度回復時間と参照温度回復時間との差分は第2差分値であり、前記所定条件は、前記第2差分値が第2プリセット値よりも大きいことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだごて管理システム。
【請求項3】
前記温度変化情報は、前記端部の実際降温値幅を含み、前記実際降温値幅と参照降温値幅との差分は第3差分値であり、前記所定条件は、前記第3差分値が第3プリセット値よりも大きいことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだごて管理システム。
【請求項4】
前記温度変化情報は、前記端部の実際温度曲線を含み、前記端部の前記実際温度曲線と第1参照温度曲線とが一致する場合、前記はんだごてを交換し、前記端部の実際温度曲線と第2参照温度曲線とが一致する場合、前記はんだごてのメンテナンスを行う、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだごて管理システム。
【請求項5】
第2温度センサーを備え、前記第2温度センサーは前記処理ユニットに接続され、前記第2温度センサーは、対象物の温度を検測し且つ前記処理ユニットに送信するように構成され、前記処理ユニットは、前記端部と前記対象物との接触中の前記対象物の温度変化に基づいて、前記対象物の実際昇温時間を取得し、前記実際昇温時間と参照昇温時間との差分は第4差分値であり、前記第4差分値が第4プリセット値よりも大きい場合、前記はんだごてを交換する、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだごて管理システム。
【請求項6】
はんだごて管理方法であって、
(S1)はんだごての端部の温度を継続的に検測するステップと、
(S2)前記端部を加熱して、前記端部を対象物に接続させるステップと、
(S3)前記端部と前記対象物との接触中の前記端部の温度変化に基づいて温度変化情報を取得するステップと、
(S4)前記温度変化情報が所定条件を満たすかどうかを判断し、判断結果がYESの場合、前記はんだごてを交換するステップと、を含み、
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際降温時間を含み、前記実際降温時間と参照降温時間との差分は第1差分値であり、前記(S4)ステップにおいて、前記所定条件は、前記第1差分値が第1プリセット値よりも大きい、ことを特徴とするはんだごて管理方法。
【請求項7】
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際温度回復時間を含み、前記実際温度回復時間と参照温度回復時間との差分は第2差分値であり、前記(S4)ステップにおいて、前記所定条件は、前記第2差分値が第2プリセット値よりも大きい、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【請求項8】
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際降温値幅を含み、前記実際降温値幅と参照降温値幅との差分は第3差分値であり、前記(S4)ステップにおいて、前記所定条件は、前記第3差分値が第3プリセット値よりも大きい、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【請求項9】
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際温度曲線を含み、前記(S4)ステップにおいて、前記実際温度曲線と第1参照温度曲線とが一致するかどうかを判断し、判断結果がYESの場合、前記はんだごてを交換する、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【請求項10】
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際温度曲線を含み、前記(S4)ステップを実行する前に、(S5)前記実際温度曲線と第2参照温度曲線とが一致するかどうかを判断するステップであって、判断結果がYESの場合、前記はんだごてのメンテナンスを行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【請求項11】
前記(S3)ステップにおいて、前記温度変化情報は、前記端部の実際温度曲線を含み、前記(S4)ステップでは、前記温度変化情報が前記所定条件を満たさない場合、(S5)前記実際温度曲線と第2参照温度曲線とが一致するかどうかを判断するステップであって、判断結果がYESの場合、前記はんだごてのメンテナンスを行うステップを実行する、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【請求項12】
前記(S2)ステップの前に、前記対象物の温度を継続的に検測するステップをさらに含み、前記(S3)ステップは、前記端部と前記対象物との接触中の前記対象物の温度変化に基づいて前記対象物の実際昇温時間を取得することを含み、前記実際昇温時間と参照昇温時間との差分は第4差分値であり、前記はんだごて管理方法は、(S3)ステップの後に、前記第4差分値が第4プリセット値よりも大きいかどうかを判断するステップであって、判断結果がYESの場合、前記はんだごてを交換するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載のはんだごて管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだごて管理システムおよび方法に関し、特に、はんだごての交換時期を判断できる、はんだごて管理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けシステムは、高温加熱状態のはんだごてヘッドを使用して低融点はんだ金属を溶融し、溶融はんだを使用してピンおよび回路接点を溶融する。長時間加熱状態と繰り返し溶接反応により、はんだシステムのはんだごてヘッドが酸化されることにより、はんだヘッドチップの熱伝導率が低下し、はんだ付けプロセスの品質に影響を与える。
【0003】
通常、はんだごてヘッドの寿命評価は、一定数の製品を製造した後にはんだごてヘッドを交換するなど、経験的データの統計に基づいている。ただし、こて先の品質は異なる場合があり、同じ仕様のこて先で同じ処理を行っても、こて先の使用損失は同じではない場合がある。そのため、はんだごてヘッドは交換前に使えなくなってしまい、結果として、製品の品質が低下する恐れがある。また、はんだごてヘッドは交換時に正常な機能ができる場合もあり、交換してしまうと、無駄が生じることがある。
【0004】
したがって、従来技術を改善できる、はんだごて管理システムおよび方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、はんだごて管理システムおよび方法を提供することであり、はんだごてと対象物との接触中の温度変化情報により、はんだごての熱伝導性能を取得することができ、はんだごての熱伝導性能が所定値よりも低い正確な場合に、はんだごてを交換することができる。これによって、安定した製品品質を維持するとともに、はんだごての交換が早すぎることによる無駄を避けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、はんだごて管理システムを提供している。はんだごて管理システムは、対象物と、はんだごてと、第1温度センサーと、処理ユニットとを備える。はんだごては、端部を有し、端部が加熱され且つ対象物に接触する。第1温度センサーは、端部の温度を検測するように構成される。処理ユニットは、第1温度センサーに接続され、端部の温度を受信する。処理ユニットは、端部と対象物との接触中の端部の温度変化に基づいて温度変化情報を取得し、温度変化情報が所定条件を満たした時にはんだごてを交換する。
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、はんだごて管理方法を提供している。はんだごて管理方法は、(S1ステップ)はんだごての端部の温度を継続的に検測するステップと、(S2)端部を加熱して、端部を対象物に接触させるステップと、(S3)端部と対象物との接触中の端部の温度変化に基づいて温度変化情報を取得するステップと、(S4)温度変化情報が所定条件を満たすかどうかを判断し、判断結果がYESの場合、はんだごてを交換するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の好ましい実施形態におけるはんだごて管理システムの構造概念図である。
図2】はんだごておよび対象物の温度変化を示す図であり、この図では、はんだごてが理想状態である。
図3A】現在状態および理想状態におけるはんだごての端部の温度変化を示す波形図である。
図3B】現在状態および理想状態における対象物の温度変化を示す波形図である。
図4】理想状態、メンテナンスの必要がある状態、交換の必要がある時のはんだごての端部の温度変化を示す波形図である。
図5】本発明の別の好ましい実施形態におけるはんだごて管理システムの構造概念図である。
図6】本発明の好ましい実施形態におけるはんだごて管理方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴および利点を具体化するいくつかの典型的な実施形態は、後続の段落で詳細に説明する。なお、本発明により、範囲を逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができる。また、以下の説明および図面は、本発明の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の好ましい実施形態におけるはんだごて管理システムの構造を示す図である。図1に示すように、はんだごて管理システム1は、対象物11とはんだごて12と第1温度センサー13と処理ユニット14とを備える。対象物11は、良好な熱伝導性を有する材料であるが、これには限定されない。はんだごて12は端部121を備え、端部121が加熱されて対象物11と接触する。第1温度センサー13は、端部121の温度を検測するように用いられている。処理ユニット14は、端部121の温度を受信するように第1温度センサー13に接続されている。処理ユニット14は、端部121と対象物11との接触時の端部121の温度変化に応じて温度変化情報を取得し、温度変化情報が所定条件を満たしたときにはんだごて12を交換する。いくつかの実施形態では、はんだごて管理システム1は温度調節器15を更に備え、温度調節器15ははんだごて12に接続され、はんだごて12の端部121の温度を制御するように構成される。
【0011】
図2は、はんだごておよび対象物の温度変化を示す図であり、ここでは、はんだごてが理想状態にある。図2では、実線は端部121の温度を示しており、破線は対象物11の温度を示している。図2に示すように、はんだごて12が対象物11を加熱して熔接する工程では、まず、端部121がプリセット温度T0にまで加熱される。そして、端部121を対象物11に接触させ、熱伝統により、端部121の温度は徐々に低下し、対象物11の温度は徐々に上昇する。対象物11の温度が上昇して端部121の温度と同じになった後、端部121と対象物11との温度が一緒に上昇する。最後に、端部121と対象物11との温度がプリセット温度T0まで上昇し、プリセット温度T0に維持される。ここで、端部121の温度の降下時間を降温時間とし、端部121の温度の降下幅を降温値幅とする。また、端部121の温度がプリセット温度T0から降下した後再びプリセット温度T0に戻る過程においてかかる時間を温度回復時間とする。前述した降温時間、降温値幅、および温度回復時間は、はんだごて12の端部121の熱伝導性能を反映することができる。
【0012】
はんだごて12が理想状態である場合(すなわち、はんだごて12は正常な機能を有し、使用に損傷がない)、端部121の参照降温時間t1r、参照降温値幅T1r、および参照温度回復時間t2rは、図2に示す通りである。なお、図2は、はんだごて12が理想状態である温度変化を示しており、はんだごて12の端部121は、使用損傷により熱伝導性能が低下すると、端部121と対象物11との温度波形は変更する。
【0013】
はんだごて12が複数回加熱され、且つ繰り返し熔接された後、はんだごて12の端部121が参加により劣化することは避けられない。これは、端部121の降温時間、降温値幅および温度回復時間の増加が現れる。はんだごて管理システム1の第1温度センサー13を利用することによって、はんだごて12と対象物11とが接触している時の温度変化の情報を得ることができ、はんだごて12の実際の熱伝導性能を知ることができる。実際の熱伝導性能とはんだごて12が理想的なでの熱伝導性能とを比較することによって、はんだごて12の熱伝導性能がどのぐらい低下するのかを推測することができる。これによって、使用者は所定値より低いはんだごて12の熱伝導性能を正確に検測してはんだごて12を交換することができる。これにより、安定した製品品質を維持することができ、はんだごて12を時期尚早に交換することによって生じる無駄を回避することができる。
【0014】
温度変化情報が所定条件を満たすかに基づいて、はんだごて12の熱伝導性能が特定のレベルまで低下し、使用できないかどうかを知ることができる。具体的には、温度変化情報は、例えば、はんだごて12の実際降温時間t1と、実際降温値幅T1と、実際温度回復時間t2などの数値を含めても良いが、これには限定されない。各温度変化情報のパラメーター値は、対応する参照パラメーター値と比べ、差分値を有し、所定条件は、前記差分値と、対応する所定値との大小関係である。
【0015】
図3Aは、はんだごての端部が現在状態および理想状態である温度変化の波形図であり、実線は端部121が理想状態である温度変化を示し、破線は端部121が現在状態である温度変化を示している。以下、図3Aを例として各温度変化情報のパラメーター値および対応する所定条件を説明する。
【0016】
温度変化情報は、はんだごて12の端部121の実際降温時間t1を含んでもよく、端部121の実際降温時間t1と参照降温時間t1rとの差分は第1差分値Δt1である。所定条件は、第1差分値Δt1が第1プリセット値よりも大きいことを含む。第1差分値Δt1が当該所定条件を満たす場合、はんだごて12の交換を行う。いつくかの実施形態では、第1プリセット値は、特定値または参照降温時間t1rに対する特定の比率に設定されても良いが、これに限定されない。
【0017】
温度変化情報は、はんだごて12の端部121の実際温度回復時間t2を含んでもよく、端部121の実際温度回復時間t2と参照温度回復時間t2rとの差分は第2差分値Δt2である。所定条件は、第2差分値Δt2が第2プリセット値よりも大きいことを含む。第2差分値Δt2が当該所定条件を満たす場合、はんだごて12の交換を行う。いつくかの実施形態では、第2プリセット値は、特定値または参照温度回復時間t2rに対する特定の比率に設定されても良いが、これに限定されない。
【0018】
温度変化情報は、はんだごて12の端部121の実際降温値幅T1を含んでもよく、端部121の実際降温値幅T1と参照降温値幅T1rとの差分は第3差分値ΔT1である。所定条件は、第3差分値ΔT1が第3プリセット値よりも大きいことを含む。第3差分値ΔT1が当該所定条件を満たす場合、はんだごて12の交換を行う。いつくかの実施形態では、第3プリセット値は、特定値または参照降温値幅T1rに対する特定の比率に設定されてもよく、これに限定されない。
【0019】
温度変化情報の実際降温時間t1、実際降温値幅T1、および実際温度回復時間t2などのパラメーター値のうち、使用者は、はんだごて12の実際熱伝導性能を判断するために、1つまたは複数のパラメーター値を選択することができる。
【0020】
再び図1を参照されない。いつくかの実施形態では、はんだごて管理システム1は第2温度センサー16を備える。第2温度センサー16は、処理ユニット14に接続され、対象物11の温度を検測しかつ対象物11の温度を処理ユニット14に送信するように構成されている。処理ユニット14は、端部121と対象物11との接触中の対象物11の温度変化に基づいて、対象物11の昇温時間を取得することができる。対象物11の昇温時間と参照値との比較によって、はんだごて12の熱伝導性能を推定し、これにより、はんだごて12の熱伝導性能の精度が向上する。具体的に、対象物11がはんだごて12の端部121と接触してから対象物11の温度がプリセット温度T0まで上昇するまでの時間は、対象物11の昇温時間であり、これは、はんだごて12の温度回復時間でもある。はんだごて12が理想状態である場合での対象物11の参照昇温時間t3rは、図2に示されている。
【0021】
図3Bは、現在状態および理想状態における対象物の温度変化を示す波形図であり、実線は理想状態における対象物11の温度変化を示し、破線は現在状態における対象物11の温度変化を示している。対象物11の実際昇温時間t3と参照昇温時間t3rとの差分は、第4差分値Δt3である。第4差分値Δt3が第4プリセット値より大きい場合、はんだごて12の交換を行う。いつくかの実施形態では、第4プリセット値は、特定値または参照昇温時間t3rに対する特定の比率に設定されてもよく、これに限定されない。
【0022】
さらに、はんだごて12の使用中、はんだごて12の熱伝導性能は損傷により低下する可能性があるが、はんだごて12を交換することなく、メンテナンスによりある損傷を修復することができ、これによりコストが削減されることができる。また、はんだごて12の適時のメンテナンスは、はんだごて12の使用寿命を延ばすことができる。以下、はんだごて12のメンテナンス時期の判定方法を説明する。図4は、理想状態におけるはんだごての端部は、メンテナンスが必要な場合および交換が必要な場合の温度変化を示す波形図であり、そのうち、実線は理想状態における端部121の温度曲線を示し、点線は、メンテナンスが必要な時のはんだごて12の端部121の温度曲線を示し、破線は、交換が必要な時のはんだごて12の温度曲線を示している。使用者は、交換が必要な時のはんだごて12の温度曲線を第1参照温度曲線(すなわち、図4の破線)とし、メンテナンスが必要な時の端部121の温度曲線を第2参照温度曲線(すなわち、図4の点線)とする。端部121と対象物11との接触中、処理ユニット14に送信された温度変化情報は、端部121の実際温度曲線をさらに含む。実際温度曲線と第2参照温度曲線とが一致している場合(一定の許容誤差は許容が許容される)、はんだごて12の端部121のメンテナンスを行う。
【0023】
はんだごて12の様々な起こり得る損傷に従って、異なる第2参照温度曲線を設定することができ、対応するメンテナンスも異なる。例えば、はんだごて12の端部121に残留スズが付着している場合、メンテナンスは、空気を吹き付けることによってはんだごて12からスズを除去することであり、端部121がわずかに酸化されている場合、メンテナンスは、ワイヤークリーナー(例えば、銅ブラシ)を使用して表面の酸化物を除去することができる。なお、いつくかの実施形態では、使用者は、異なる損傷状況に対応する複数の異なる第2参照温度曲線を設定することができ、且つ、端部121の実際温度曲線が第2参照温度曲線のいずれかに一致する場合に対応するメンテナンスを行うことができる。
【0024】
いつくかの実施形態では、特定の損傷状況に対応する参照温度曲線を設定するために、異なる損傷状況であるはんだごて12を収集して、端部121の温度曲線を取得することができ、曲線フィッティング(curve fitting)により、損傷状況の識別曲線を取得し、取得された曲線を損傷状況の参照温度曲線として使用することができる。なお、参照温度曲線の設定はこれに限定されない。
【0025】
いつくかの実施形態では、端部121の実際温度曲線が参照温度曲線に一致するかどうかを判断刷る時、波形図での比較に加えて、温度変化情報の複数のパラメーター値により判断することもできる。例えば、使用者が設定した参照温度曲線は、端部121の降温時間と、降温値幅と、温度回復時間などのパラメーター値を含み、温度変化情報は、現在状態における端部121の実際降温時間t1、実際降温値幅T1と、実際温度回復時間t2などのパラメーター値を含み、これらのパラメーター値が一致刷る場合、端部121の実際温度曲線と参照温度曲線とが一致すると推測できる。判断に使用されるパラメーター値が多いほど、判断結果はより正確になる。
【0026】
いつくかの実施形態では、図1に示すように、第1温度センサー13および第2温度センサー16は、熱電対などの接触式の温度センサーであるが、これに限定されない。別の実施形態では、図5に示すように、第1温度センサー13および第2温度センサー16は、赤外線熱画像装置などの非接触式の温度センサーであるが、これに限定されない。
【0027】
図6は、本発明の好ましい実施形態におけるはんだごての管理方法を示すフローチャート図であり、このはんだごての管理方法は、図1のはんだごて管理システム1に適用する。はんだごて12が複数のはんだ付けプロセスにかけられた後、はんだごての管理方法によって、はんだごて12を交換する必要があるかどうかを判断することができる。図6に示すように、はんだごて管理方法は、ステップS1、ステップS2、ステップS3、およびステップS4を含む。
【0028】
ステップS1では、はんだごて12の端部121の温度を連続的に検知する。ステップS2では、端部121を加熱し、端部121を対象物11に接触させる。ステップS3では、端部121と対象物11との接触中の端部121の温度変化によって温度変化情報を取得する。いつくかの実施形態では、温度変化情報は、端部121の実際温度曲線を含む。ステップS4では、温度変化情報が所定条件を満たすかどうか、または、実際温度曲線が第1参照温度曲線と一致するかどうかを判断し、判断結果がYESの場合、はんだごて12を交換する。ステップS4の判断結果がNOの場合、はんだごて12の損傷は製造過程にまだ影響を与えていないことを示しているため、はんだごて12ははんだ付け工程で使用し続けてもよく、はんだごて12の交換を行わない。
【0029】
いつくかの実施形態では、ステップS3における温度変化情報は、端部121の実際降温時間t1を含み、ここでは、実際降温時間t1と参照降温時間t1rとの差分は、第1差分値Δt1である。ステップS4では、所定条件は、第1差分値Δt1が第1プリセット値よりも大きいことを含む。いつくかの実施形態では、ステップS3における温度変化情報は、端部121の実際温度回復時間t2を含み、ここでは、実際温度回復時間t2と参照温度回復時間t2rとの差分は第2差分値Δt2である。ステップS4では、所定条件は、第2差分値Δt2が第2プリセット値よりも大きいことを含む。いつくかの実施形態では、ステップS3における温度変化情報は、端部121の実際降温値幅T1を含み、ここでは、実際降温値幅T1と参照降温値幅T1rとの差分は第3差分値ΔT1である。ステップS4では、所定条件は、第3差分値ΔT1が第3プリセット値よりも大きいことを含む。
【0030】
いつくかの実施形態では、はんだごて管理方法は、ステップS3の後、ステップS5を更に含む。前記ステップS5では、温度変化情報が所定条件を満たすかどうか、または、実際温度曲線が第2参照温度曲線と一致するかどうかを判断する。ステップS5の判断結果がYESの場合、はんだごて12のメンテナンスを行い、メンテナンス後のはんだ付け工程でははんだごて12を使用し続ける。ステップS5の判断結果がNOの場合、ステップS4を実行し、はんだごて12を交換する必要があるかどうかを判断する。ステップS5における所定条件は、ステップS4における所定条件に対応して具体的な条件を設定することができ、様々な起こり得る損傷状況に応じて調整することができ、ここでは詳細を省略する。別の実施形態では、ステップS5は、ステップS4後に実行されても良く、即ち、ステップS4でのはんだごてを交換する必要があるかどうかを判断し、はんだごてを交換する必要がないと判断された場合、ステップS5におけるはんだごてのメンテナンスを行う必要があるかどうかを判断する。
【0031】
いつくかの実施形態では、はんだごて管理方法は、ステップS2の前に、対象物11の温度を継続的検測するステップをさらに含む。はんだごて管理方法のステップS3では、端部121と対象物11との接触中の対象物11の温度変化に基づいて対象物11の実際昇温時間t3を取得することを含む。ここでは、実際昇温時間t3と参照昇温時間t3rとの差分は第4差分値Δt3である。はんだごて管理方法は、ステップS3の後、第4差分値Δt3が第4プリセット値よりも大きいかどうかを判断し、判断結果がYESの場合、はんだごて12を交換するステップを含む。
【0032】
上述したように、本発明は、はんだごて管理システムおよび方法を提供しており、はんだごてと対象物との接触中の温度変化情報により、はんだごての熱伝導性能をリアルタイムで取得することができる。これによって、はんだごての熱伝導性能が所定値より低い正確的な時に、はんだごてを交換することができる。したがって、安定した製品品質を維持するとともに、はんだごての交換が早すぎることによる無駄を避けることができる。また、本発明のはんだごて管理システムおよび方法によれば、対象物の温度を検測することができ、対象物の昇温時間と参照値との比較によって、はんだごての熱伝導性能を推測することができる。これによって、はんだごての熱伝導性能を評価する正確度が向上することができる。さらに、本発明のはんだごて管理システムおよび方法によれば、はんだごての損傷がある場合、素早くメンテナンスを行うことができ、はんだごての使用寿命を延ばすことができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。当業者による様々な変更は、添付された特許請求の範囲に含まれることを留意されたい。
【符号の説明】
【0034】
1:はんだごて管理システム
11:対象物
12:はんだごて
121:端部
13:第1温度センサー
14:処理ユニット
15:温度調節器
16:第2温度センサー
T0:プリセット温度
t1r:参照降温時間
T1r:参照降温値幅
t2r:参照温度回復時間
t3r:参照昇温時間
t1:実際降温時間
T1:実際降温値幅
t2:実際温度回復時間
t3:実際昇温時間
Δt1:第1差分値
Δt2:第2差分値
ΔT1:第3差分値
Δt3:第4差分値
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6